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特開2022-190844車載制御装置、イーサネットスイッチおよび機器設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190844
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】車載制御装置、イーサネットスイッチおよび機器設定方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20221220BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20221220BHJP
   H04L 12/46 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H04L12/28 303
B60R16/023 P
H04L12/28 100A
H04L12/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099308
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】菊地 慶剛
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】大津 智弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】泉 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033BA06
5K033DA01
5K033DA15
5K033DB14
5K033DB19
(57)【要約】
【課題】車載ネットワークの設定変更が可能な構成において、当該車載ネットワークにおいて安定した通信を実現する。
【解決手段】車両に搭載される車載制御装置であって、車載ネットワークにおける電子機器から前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記算出用情報に基づいて、前記設定変更タイミングを算出する算出部と、前記算出部により算出された前記設定変更タイミングにおいて前記車載ネットワークの設定変更が実行されるための処理を行う制御部とを備え、前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載制御装置であって、
車載ネットワークにおける電子機器から前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記算出用情報に基づいて、前記設定変更タイミングを算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記設定変更タイミングにおいて前記車載ネットワークの設定変更が実行されるための処理を行う制御部とを備え、
前記算出部は、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミング、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステム以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミング、および前記車載ネットワークにおいて所定値以上の帯域マージンが存在するタイミングのうちの少なくともいずれか1つにさらに基づいて、前記設定変更タイミングを算出し、
前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含み、
前記算出部は、設定変更対象のシステムを含む、提供するサービスが互いに異なるシステムごとに、設定変更が可能なタイミングを算出し、算出した前記各タイミングに基づいて前記設定変更タイミングを算出する、車載制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記車載ネットワークにおける前記電子機器間で情報を中継する中継装置経由で前記算出用情報を取得し、
前記算出部は、前記算出用情報に基づいて、前記中継装置の設定変更内容および前記中継装置の前記設定変更タイミングを算出し、
前記制御部は、前記処理として、前記設定変更内容が前記設定変更タイミングにおいて前記中継装置に反映されるための処理を行う、請求項1に記載の車載制御装置。
【請求項3】
車両に搭載されるイーサネットスイッチであって、
車載ネットワークにおける電子機器間の情報を中継する中継部を備え、
前記中継部は、前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を前記電子機器から取得するかまたは生成し、前記設定変更タイミングを算出する他の装置へ送信し、
前記他の装置から前記設定変更タイミングに基づく設定変更要求を受信し、受信した前記設定変更要求に従って前記中継部の設定変更を行う設定部とを備え、
前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含む、イーサネットスイッチ。
【請求項4】
車両に搭載される車載制御装置における機器設定方法であって、
車載ネットワークにおける電子機器から前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得するステップと、
取得した前記算出用情報に基づいて、前記設定変更タイミングを算出するステップと、
算出した前記設定変更タイミングにおいて前記車載ネットワークの設定変更が実行されるための処理を行うステップとを含み、
前記設定変更タイミングを算出するステップにおいては、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミング、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステム以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミング、および前記車載ネットワークにおいて所定値以上の帯域マージンが存在するタイミングのうちの少なくともいずれか1つにさらに基づいて、前記設定変更タイミングを算出し、
前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含み、
前記設定変更タイミングを算出するステップにおいては、設定変更対象のシステムを含む、提供するサービスが互いに異なるシステムごとに、設定変更が可能なタイミングを算出し、算出した前記各タイミングに基づいて前記設定変更タイミングを算出する、機器設定方法。
【請求項5】
車両に搭載され、車載ネットワークにおける電子機器間の情報を中継する中継部を備えるイーサネットスイッチにおける機器設定方法であって、
前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を前記電子機器から取得するかまたは生成し、前記設定変更タイミングを算出する他の装置へ送信するステップと、
前記他の装置から前記設定変更タイミングに基づく設定変更要求を受信し、受信した前記設定変更要求に従って前記中継部の設定変更を行うステップとを含み、
前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含む、機器設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載制御装置、イーサネットスイッチおよび機器設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車載ネットワークの構成の設定変更を行う技術が開発されている。たとえば、特許文献1(国際公開第2015145334号)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、車両用制御装置は、複数の中継器からなる車両ネットワークが内部に構築された車両の状態と前記複数の中継器それぞれに設定する制御内容を対応付けた制御シナリオに基づき、前記複数の中継器を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015145334号
【特許文献2】国際公開第2015179123号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載ネットワークの設定変更を動的に行う場合、車両の環境等によっては当該設定変更が車載ネットワークにおける通信に影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載ネットワークの設定変更が可能な構成において、当該車載ネットワークにおいて安定した通信を実現することが可能な車載制御装置、イーサネットスイッチおよび機器設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載制御装置は、車両に搭載される車載制御装置であって、車載ネットワークにおける電子機器から前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記算出用情報に基づいて、前記設定変更タイミングを算出する算出部と、前記算出部により算出された前記設定変更タイミングにおいて前記車載ネットワークの設定変更が実行されるための処理を行う制御部とを備え、前記算出部は、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミング、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステム以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミング、および前記車載ネットワークにおいて所定値以上の帯域マージンが存在するタイミングのうちの少なくともいずれか1つにさらに基づいて、前記設定変更タイミングを算出し、前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含み、前記算出部は、設定変更対象のシステムを含む、提供するサービスが互いに異なるシステムごとに、設定変更が可能なタイミングを算出し、算出した前記各タイミングに基づいて前記設定変更タイミングを算出する。
【0007】
本開示のイーサネットスイッチは、車両に搭載されるイーサネットスイッチであって、車載ネットワークにおける電子機器間の情報を中継する中継部を備え、前記中継部は、前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を前記電子機器から取得するかまたは生成し、前記設定変更タイミングを算出する他の装置へ送信し、前記他の装置から前記設定変更タイミングに基づく設定変更要求を受信し、受信した前記設定変更要求に従って前記中継部の設定変更を行う設定部とを備え、前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含む。
【0008】
本開示の機器設定方法は、車両に搭載される車載制御装置における機器設定方法であって、車載ネットワークにおける電子機器から前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得するステップと、取得した前記算出用情報に基づいて、前記設定変更タイミングを算出するステップと、算出した前記設定変更タイミングにおいて前記車載ネットワークの設定変更が実行されるための処理を行うステップとを含み、前記設定変更タイミングを算出するステップにおいては、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミング、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステム以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミング、および前記車載ネットワークにおいて所定値以上の帯域マージンが存在するタイミングのうちの少なくともいずれか1つにさらに基づいて、前記設定変更タイミングを算出し、前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含み、前記設定変更タイミングを算出するステップにおいては、設定変更対象のシステムを含む、提供するサービスが互いに異なるシステムごとに、設定変更が可能なタイミングを算出し、算出した前記各タイミングに基づいて前記設定変更タイミングを算出する。
【0009】
本開示の機器設定方法は、車両に搭載され、車載ネットワークにおける電子機器間の情報を中継する中継部を備えるイーサネットスイッチにおける機器設定方法であって、前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を前記電子機器から取得するかまたは生成し、前記設定変更タイミングを算出する他の装置へ送信するステップと、前記他の装置から前記設定変更タイミングに基づく設定変更要求を受信し、受信した前記設定変更要求に従って前記中継部の設定変更を行うステップとを含み、前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含む。
【0010】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載制御装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、車載制御装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、車載制御装置を含むシステムとして実現され得る。
【0011】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備えるイーサネットスイッチとして実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、イーサネットスイッチの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、イーサネットスイッチを含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、車載ネットワークの設定変更が可能な構成において、当該車載ネットワークにおいて安定した通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る車載制御装置の構成を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る車載制御装置における条件テーブルの一例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける設定変更処理のシーケンスの一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る車載制御装置が設定変更要求処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る中継装置が設定変更を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける設定変更処理のシーケンスの他の例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る車載制御装置が設定変更要求処理を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
図10図10は、本開示の実施の形態に係る中継装置が設定変更を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0015】
(1)本開示の実施の形態に係る車載制御装置は、車両に搭載される車載制御装置であって、車載ネットワークにおける電子機器から前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記算出用情報に基づいて、前記設定変更タイミングを算出する算出部と、前記算出部により算出された前記設定変更タイミングにおいて前記車載ネットワークの設定変更が実行されるための処理を行う制御部とを備え、前記算出部は、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミング、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステム以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミング、および前記車載ネットワークにおいて所定値以上の帯域マージンが存在するタイミングのうちの少なくともいずれか1つにさらに基づいて、前記設定変更タイミングを算出し、前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含み、前記算出部は、設定変更対象のシステムを含む、提供するサービスが互いに異なるシステムごとに、設定変更が可能なタイミングを算出し、算出した前記各タイミングに基づいて前記設定変更タイミングを算出する。
【0016】
このような構成により、車載ネットワークにおける電子機器から取得した算出用情報を用いて適切な設定変更タイミングを算出することができるため、車載ネットワークの設定変更を動的に行う場合において、優先度の高い通信および通信負荷を考慮して、当該設定変更が車載ネットワークにおける通信に影響を及ぼす可能性を低減することができる。したがって、車載ネットワークの設定変更が可能な構成において、当該車載ネットワークにおいて安定した通信を実現することができる。
【0017】
前記算出部は、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミングに基づいて、前記設定変更タイミングを算出してもよい。
【0018】
このような構成により、車載ネットワークの設定変更の前後において、特に設定変更対象のシステムのより安定した通信を実現することができる。
【0019】
前記算出部は、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステム以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミングに基づいて、前記設定変更タイミングを算出してもよい。
【0020】
このような構成により、車載ネットワークの設定変更の前後において、特に設定変更対象のシステム以外のシステムの、より安定した通信を実現することができる。
【0021】
前記算出部は、前記車載ネットワークにおいて所定値以上の帯域マージンが存在するタイミングに基づいて、前記設定変更タイミングを算出してもよい。
【0022】
このような構成により、車載ネットワークの設定変更の前後において、特に車載ネットワークにおける通信トラフィックの状況を考慮した適切な設定変更タイミングを算出することができる。
【0023】
前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジを含んでもよい。
【0024】
このような構成により、車載ネットワークの設定変更の際の、特に車載ネットワークにおける機器構成を考慮した適切な設定変更タイミングを算出することができる。
【0025】
前記算出用情報は、前記電子機器が属するシステムのサービスを含んでもよい。
【0026】
このような構成により、車載ネットワークの設定変更の際の、特に車載ネットワークにおいて提供される各種サービスを考慮した適切な設定変更タイミングを算出することができる。
【0027】
前記算出用情報は、前記車両の走行状態を含んでもよい。
【0028】
このような構成により、車載ネットワークの設定変更の際の、特に車両の走行状態を考慮した適切な設定変更タイミングを算出することができる。たとえば、自動運転走行中のために、優先度の高い通信が行われていたり、通信負荷が高かったりする場合に、車載ネットワークの設定変更を実施すべきかどうかを適切に判断することができる。
【0029】
前記算出用情報は、前記車両の電源状態を含んでもよい。
【0030】
このような構成により、車載ネットワークの設定変更の際の、特に車両における電源供給状態および供給電源の種類等を考慮した適切な設定変更タイミングを算出することができる。
【0031】
前記算出部は、設定変更対象のシステムを含む、提供するサービスが互いに異なるシステムごとに、設定変更が可能なタイミングを算出し、算出した前記各タイミングに基づいて前記設定変更タイミングを算出してもよい。
【0032】
このような構成により、車載ネットワークの設定変更の際の、車載ネットワークにおいて提供されるサービスごとの状況および条件等を考慮した適切な設定変更タイミングを総合的に決定し、各サービスのより円滑な提供を実現することができる。
【0033】
(2)前記取得部は、前記車載ネットワークにおける前記電子機器間で情報を中継する中継装置経由で前記算出用情報を取得し、前記算出部は、前記算出用情報に基づいて、前記中継装置の設定変更内容および前記中継装置の前記設定変更タイミングを算出し、前記制御部は、前記処理として、前記設定変更内容が前記設定変更タイミングにおいて前記中継装置に反映されるための処理を行ってもよい。
【0034】
このような構成により、車載ネットワークにおいて通信への影響が大きい中継処理のより適切な設定変更内容および設定変更タイミングを決定し、車載ネットワークの設定変更の前後においてより円滑な通信を実現することができる。
【0035】
(3)本開示の実施の形態に係るイーサネットスイッチは、車両に搭載されるイーサネットスイッチであって、車載ネットワークにおける電子機器間の情報を中継する中継部を備え、前記中継部は、前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を前記電子機器から取得するかまたは生成し、前記設定変更タイミングを算出する他の装置へ送信し、前記他の装置から前記設定変更タイミングに基づく設定変更要求を受信し、受信した前記設定変更要求に従って前記中継部の設定変更を行う設定部とを備え、前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含む。
【0036】
このような構成により、車載ネットワークにおける電子機器から取得した算出用情報を用いて適切な設定変更タイミングを算出することができるため、車載ネットワークの設定変更を動的に行う場合において、優先度の高い通信および通信負荷を考慮して、当該設定変更が車載ネットワークにおける通信に影響を及ぼす可能性を低減することができる。また、車載ネットワークにおいて通信への影響が大きい中継処理のより適切な設定変更内容および設定変更タイミングを決定し、車載ネットワークの設定変更の前後においてより円滑な通信を実現することができる。したがって、車載ネットワークの設定変更が可能な構成において、当該車載ネットワークにおいて安定した通信を実現することができる。
【0037】
(4)本開示の実施の形態に係る機器設定方法は、車両に搭載される車載制御装置における機器設定方法であって、車載ネットワークにおける電子機器から前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得するステップと、取得した前記算出用情報に基づいて、前記設定変更タイミングを算出するステップと、算出した前記設定変更タイミングにおいて前記車載ネットワークの設定変更が実行されるための処理を行うステップとを含み、前記設定変更タイミングを算出するステップにおいては、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミング、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステム以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミング、および前記車載ネットワークにおいて所定値以上の帯域マージンが存在するタイミングのうちの少なくともいずれか1つにさらに基づいて、前記設定変更タイミングを算出し、前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含み、前記設定変更タイミングを算出するステップにおいては、設定変更対象のシステムを含む、提供するサービスが互いに異なるシステムごとに、設定変更が可能なタイミングを算出し、算出した前記各タイミングに基づいて前記設定変更タイミングを算出する。
【0038】
このような方法により、車載ネットワークにおける電子機器から取得した算出用情報を用いて適切な設定変更タイミングを算出することができるため、車載ネットワークの設定変更を動的に行う場合において、優先度の高い通信および通信負荷を考慮して、当該設定変更が車載ネットワークにおける通信に影響を及ぼす可能性を低減することができる。したがって、車載ネットワークの設定変更が可能な構成において、当該車載ネットワークにおいて安定した通信を実現することができる。
【0039】
(5)本開示の実施の形態に係る機器設定方法は、車両に搭載され、車載ネットワークにおける電子機器間の情報を中継する中継部を備えるイーサネットスイッチにおける機器設定方法であって、前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を前記電子機器から取得するかまたは生成し、前記設定変更タイミングを算出する他の装置へ送信するステップと、前記他の装置から前記設定変更タイミングに基づく設定変更要求を受信し、受信した前記設定変更要求に従って前記中継部の設定変更を行うステップとを含み、前記算出用情報は、前記車載ネットワークのトポロジ、前記電子機器が属するシステムのサービス、前記車両の走行状態、および前記車両の電源状態のうちの少なくともいずれか1つを含む。
【0040】
このような方法により、車載ネットワークにおける電子機器から取得した算出用情報を用いて適切な設定変更タイミングを算出することができるため、車載ネットワークの設定変更を動的に行う場合において、優先度の高い通信および通信負荷を考慮して、当該設定変更が車載ネットワークにおける通信に影響を及ぼす可能性を低減することができる。また、車載ネットワークにおいて通信への影響が大きい中継処理のより適切な設定変更内容および設定変更タイミングを決定し、車載ネットワークの設定変更の前後においてより円滑な通信を実現することができる。したがって、車載ネットワークの設定変更が可能な構成において、当該車載ネットワークにおいて安定した通信を実現することができる。
【0041】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0042】
[構成および基本動作]
[車載通信システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。図1を参照して、車載通信システム301は、車両1に搭載され、車載制御装置101と、中継装置151A,151Bと、6つの電子機器202と、電源部51とを備える。以下、中継装置151A,151Bの各々を中継装置151とも称する。中継装置151は、電子機器の一例である。
【0043】
なお、車載通信システム301は、1つの車載制御装置101を備える構成に限定されず、2つ以上の車載制御装置101を備える構成であってもよい。また、車載通信システム301は、2つの中継装置151を備える構成に限定されず、1つまたは3つ以上の中継装置151を備える構成であってもよい。また、車載通信システム301は、6つの電子機器202を備える構成に限定されず、5つ以下または7つ以上の複数の電子機器202を備える構成であってもよい。
【0044】
車載制御装置101は、それぞれ2つのケーブル2を介して中継装置151A,151Bと接続されている。中継装置151Aは、それぞれ3つのケーブル2を介して3つの電子機器202と接続されている。中継装置151Bは、それぞれ3つのケーブル2を介して3つの電子機器202と接続されている。ケーブル2は、たとえば、イーサネット(登録商標)ケーブルである。中継装置151は、たとえばイーサネットスイッチである。車載制御装置101、中継装置151、電子機器202およびケーブル2は、車載ネットワークを構成する。
【0045】
電子機器202は、たとえば、ECU(Electronic Control Unit)等の車載装置である。
【0046】
具体的には、電子機器202は、たとえば、運転支援システム(Advanced Driver-Assistance System:ADAS)における各種装置への指示等を行う運転支援装置である。また、電子機器202は、たとえば、上記各種装置の一例である、電動パワーステアリング(Electric Power Steering:EPS)、ブレーキ制御装置、アクセル制御装置、もしくはステアリング制御装置であるか、または、運転支援装置に計測情報を与えるセンサ等である。
【0047】
また、電子機器202は、たとえば、IVI(In-Vehicle Infotainment)システムにおけるカーナビゲーション装置、ディスプレイおよびカーオーディオ等である。なお、IVIシステムを構成する装置として、電子機器202は、ユーザが車両1に持ち込む装置、一例として、タブレット等の携帯端末またはUSB(Universal Serial Bus)メモリであってもよい。
【0048】
また、電子機器202は、ADASおよびIVIシステムを構成する機器に限らず、他の用途の機器であってもよい。
【0049】
図1に示す車載通信システム301では、互いに異なるシステムに属する電子機器202が共通の中継装置151に接続されている。より詳細には、中継装置151Aに1つのADAS系の電子機器202および2つのIVI系の電子機器202が接続され、中継装置151Bに2つのADAS系の電子機器202および1つのIVI系の電子機器202が接続されている。
【0050】
中継装置151は、車載ネットワークにおける複数の電子機器202間の情報の中継処理を行う。より詳細には、中継装置151は、電子機器202から各種情報が格納されたイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームを直接または他の装置経由で宛先の電子機器202へ送信する。
【0051】
また、中継装置151は、電子機器202と車載制御装置101との間の情報の中継処理を行う。より詳細には、中継装置151は、電子機器202から各種情報が格納されたイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームを車載制御装置101へ送信する。また、中継装置151は、車載制御装置101から各種情報が格納されたイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームを直接または他の装置経由で宛先の電子機器202へ送信する。
【0052】
車載制御装置101は、車載ネットワークの設定変更を行う。より詳細には、車載制御装置101は、OTA(Over The Air)を用いた電子機器202のソフトウェアのアップデート、および車載ネットワークへの新たな電子機器202の追加等に伴い、たとえば中継装置151による中継処理の設定を変更するための設定情報を生成し、生成した設定情報が格納されたイーサネットフレームを宛先の中継装置151へ送信する。中継装置151は、受信したイーサネットフレームから設定情報を取得し、取得した設定情報に基づいて自己の中継処理の設定を変更する。
【0053】
なお、車載制御装置101は、たとえば、図示しない複数の電子機器202が直接接続され、中継装置151と同様に、各電子機器202間の情報の中継処理を行う構成であってもよい。この場合、車載制御装置101は、自己の中継処理の設定を変更するための設定情報を生成し、生成した設定情報に基づいて自己の中継処理の設定を変更する。
【0054】
電源部51は、車載制御装置101、中継装置151および電子機器202等に電力を供給する。たとえば、電源部51は、常時電源、イグニッション電源、およびアクセサリ電源等の複数種類の電源を含む。電源部51は、対応する種類の電源の電力を電子機器202等に供給する。
【0055】
具体的には、たとえば、電源部51は、ADAS系の電子機器202にイグニッション電源の電力を供給し、IVIシステム系の電子機器202にイグニッション電源およびアクセサリ電源の電力を供給する。
【0056】
[中継装置]
図2は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。図2を参照して、中継装置151は、4つの通信ポート21と、中継部22と、処理部24と、記憶部25とを備える。処理部24は、設定部の一例である。なお、中継装置151は、4つの通信ポート21を備える構成に限定されず、2つ、3つまたは5つ以上の通信ポート21を備える構成であってもよい。
【0057】
通信ポート21は、たとえばケーブル2を接続可能な端子である。なお、通信ポート21は、集積回路の端子であってもよい。4つの通信ポート21は、ケーブル2を介して車載制御装置101または電子機器202に接続されている。
【0058】
処理部24は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサにより実現される。中継部22は、たとえば、L2スイッチICおよびプロセッサにより実現される。記憶部25は、たとえば不揮発性メモリである。
【0059】
中継部22は、車載ネットワークにおける複数の電子機器202間の情報の中継処理を行う。すなわち、中継部22は、電子機器202から送信されたイーサネットフレームを通信ポート21経由で受信し、受信したイーサネットフレームに対して中継処理を行う。たとえば、中継部22は、L2スイッチとして機能することが可能であり、自己の中継装置151に接続された電子機器202間において伝送されるイーサネットフレームに対して中継処理を行う。なお、中継部22は、L3スイッチとして機能することが可能であり、異なる中継装置151に接続された電子機器202間において伝送されるイーサネットフレームに対して中継処理を行う構成であってもよい。
【0060】
同様に、中継部22は、車載ネットワークにおける車載制御装置101および電子機器202間の情報の中継処理を行う。すなわち、中継部22は、車載制御装置101または電子機器202から送信されたイーサネットフレームを通信ポート21経由で受信し、受信したイーサネットフレームに対して中継処理を行う。
【0061】
中継部22は、たとえば記憶部25に保存されている各種テーブルを参照することにより、上記のような中継処理を行う。
【0062】
中継部22は、車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を電子機器202から取得するかまたは自ら生成し、設定変更タイミングを算出する他の装置へ送信する。
【0063】
より詳細には、中継部22は、対応の通信ポート21経由で電子機器202からイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームから算出用情報を取得する。中継部22は、生成または取得した算出用情報を対応の通信ポート21経由で車載制御装置101へ送信する。
【0064】
一例として、算出用情報は、車載ネットワークのトポロジを含む。また、他の例として、算出用情報は、電子機器202が属するシステムのサービスを含んでもよい。また、他の例として、算出用情報は、車両1の走行状態を含んでもよい。また、他の例として、算出用情報は、車両1の電源状態を含んでもよい。また、算出用情報は、これら各情報のいずれか複数または全部を含んでもよい。
【0065】
具体的には、たとえば、電子機器202から提供される算出用情報は、停車中および走行中等の車両1の走行状態、イグニッション電源およびアクセサリ電源等の車両1の電源状態、電子機器202が提供するサービスの情報、ならびに電子機器202の属するシステム等を含む。
【0066】
また、たとえば、中継装置151から提供される算出用情報は、たとえば、各通信ポートの帯域マージン等を含む。これにより、通信の輻輳が生じやすい中継装置151の通信経路の情報を用いて、車載ネットワークにおける通信トラフィックをより適切に判断することができる。
【0067】
算出用情報の伝送方法として、たとえば、算出用情報は、サービス情報、具体的にはSOME/IP(Scalable service-Oriented MiddlewarE over IP)のSD(Service Discovery)におけるメッセージのオプション領域に格納される。たとえば当該メッセージの情報により、送信元の機器または装置の属するシステムを把握することができる。
【0068】
また、たとえば、算出用情報は、トポロジ情報、具体的にはLLDP(Link Layer Discovery Protocol)のフレームの拡張領域、またはSNMP(Simple Network Management Protocol)におけるパケットの拡張MIB(Management Information Base)領域に格納される。
【0069】
なお、算出用情報は、たとえば専用のフレームに格納されて車載制御装置101へ送信される構成であってもよい。
【0070】
[車載制御装置]
図3は、本開示の実施の形態に係る車載制御装置の構成を示す図である。図3を参照して、車載制御装置101は、2つの通信ポート11と、中継部12と、算出部13と、制御部14と、記憶部15とを備える。中継部12は、取得部の一例である。なお、車載制御装置101は、2つの通信ポート11を備える構成に限定されず、1つまたは3つ以上の通信ポート11を備える構成であってもよい。
【0071】
通信ポート11は、たとえばケーブル2を接続可能な端子である。なお、通信ポート11は、集積回路の端子であってもよい。たとえば、2つの通信ポート11は、ケーブル2を介して中継装置151A,151Bにそれぞれ接続されている。
【0072】
算出部13および制御部14は、たとえば、CPUおよびDSP等のプロセッサにより実現される。中継部12は、たとえば、L2スイッチICおよびプロセッサにより実現される。記憶部15は、たとえば不揮発性メモリである。
【0073】
中継部12は、車載ネットワークにおける電子機器202および中継装置151から車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得する。
【0074】
たとえば、中継部12は、車載ネットワークにおける電子機器202間で情報を中継する中継装置151経由で電子機器202からの算出用情報を取得するか、または中継装置151によって生成された算出用情報を取得する。
【0075】
より詳細には、中継部12は、通信ポート11経由で中継装置151からイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームから算出用情報を取得する。中継部12は、取得した算出用情報を算出部13へ出力する。
【0076】
なお、中継部12は、電子機器202および中継装置151の両方から算出用情報を取得する構成に限らず、電子機器202および中継装置151のいずれか一方から算出用情報を取得する構成であってもよいし、自己の車載制御装置101に直接接続された図示しない電子機器202から算出用情報を取得する構成であってもよい。
【0077】
算出部13は、少なくとも算出用情報に基づいて、中継装置151等の設定変更内容および設定変更タイミングを算出する。
【0078】
たとえば、算出部13は、収集した各種情報、具体的にはトポロジ情報およびサービス情報等に基づいて、中継装置151等の設定変更内容を算出する。
【0079】
より詳細には、算出部13は、収集した各種情報に基づいて、中継装置151による中継処理の設定内容、および自己の車載制御装置101による中継処理の設定内容の少なくともいずれか一方が変更される設定変更内容を算出する。設定変更内容は、一例として、中継処理におけるフィルタリング、およびQoS(Quality of Service)制御における各種フレームの優先順位等である。また、設定変更内容は、設定変更の有無を含め、たとえば中継装置151および車載制御装置101における通信ポートごとに決定される。
【0080】
なお、算出部13は、収集した各種情報の提供元以外の電子機器または装置の設定変更内容を算出する構成であってもよい。
【0081】
また、算出部13は、中継部12により取得された算出用情報に基づいて、設定変更タイミングを算出し、制御部14に通知する。
【0082】
たとえば、算出部13は、車載ネットワークにおける設定変更対象のシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミングに基づいて、設定変更タイミングを算出する。
【0083】
また、他の例として、算出部13は、車載ネットワークにおける設定変更対象のシステム以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミングに基づいて、設定変更タイミングを算出する。たとえば、算出部13は、車両1の走行に関わる機能およびサービスに影響を与えないタイミングに基づいて、設定変更タイミングを算出する。
【0084】
また、他の例として、算出部13は、車載ネットワークにおいて所定値以上の帯域マージンが存在するタイミングに基づいて、設定変更タイミングを算出する。
【0085】
なお、算出部13は、上記各タイミングのいずれか複数または全部の組み合わせに基づいて総合的に設定変更タイミングを算出する構成であってもよい。
【0086】
図4は、本開示の実施の形態に係る車載制御装置における条件テーブルの一例を示す図である。図4を参照して、車載制御装置101における記憶部15は、電子機器202の属するシステムごとの、設定変更が許可される条件を示す条件テーブルを記憶している。この条件テーブルの例では、車両の挙動すなわち状態についての条件、および帯域マージンの条件の両方が満たされた場合、電子機器202の設定変更が許可される。
【0087】
より詳細には、ADASでは、イグニッション電源がオンの場合、自動運転等のサービスが稼働する。このため、ADAS系の電子機器202は、車両の挙動すなわち状態についての条件として、アクセサリ電源のみがオンの場合、車両1の挙動についての制限無しで設定変更が許可され、イグニッション電源がオンの場合、車両1が停車中の場合に設定変更が許可される。
【0088】
さらに、帯域マージンの条件として、車載制御装置101および中継装置151間においてXbps(ビット/秒)以上の帯域マージンが確保されている場合、設定変更が許可される。
【0089】
一方、IVIシステムでは、アクセサリ電源またはイグニッション電源がオンの場合、サービスが稼働する。このため、IVI系の電子機器202は、車両の挙動すなわち状態についての条件として、アクセサリ電源またはイグニッション電源がオンの場合、車両1の走行についての制限無しで、IVIシステムのサービスが停止中の場合に設定変更が許可される。
【0090】
さらに、帯域マージンの条件として、車載制御装置101および中継装置151間においてYbps以上の帯域マージンが確保されている場合、設定変更が許可される。一例として、XをYより大きい値に設定することにより、たとえば車載ネットワークの設定変更によりADASが影響を受ける可能性をIVIシステムと比べて低くすることができる。
【0091】
たとえば、IVI系の電子機器202の通信経路の設定が変更される場合、IVI系についての中継処理等の設定が変更対象となる一方で、非対象のADAS系のサービスに影響を与えないような設定変更タイミングを決定する必要がある。
【0092】
具体的には、たとえば、上述のように、車両1の走行中はADAS系の設定変更を禁止し、イグニッション電源がオンでかつ車両1の停車中において、車載制御装置101および中継装置151間においてXbps以上の帯域が確保されている場合に、算出部13によって設定変更タイミングが決定され、車載ネットワークの設定変更が実施される。
【0093】
なお、車載制御装置101は、条件テーブルを予め保持する構成、すなわち設定変更タイミングについての条件が予め登録されている構成に限らず、学習モデル等を用いて、条件テーブルと同様の内容を算出して設定変更タイミングを決定する構成であってもよい。
【0094】
また、たとえば、算出部13は、算出用情報としてのトポロジ情報に基づいて、図1に示すようなシステム構成を判断する。算出部13は、判断したシステム構成も考慮して、設定変更対象および設定変更内容を算出する。たとえば、算出部13は、条件テーブルを参照して、現在の帯域マージンの相違から、中継装置151Aは設定変更可能であるが、中継装置151Bは設定変更できないと判断し、設定変更対象を中継装置151Aと決定した上で、中継装置151Aの設定変更内容および設定変更タイミングを算出する。
【0095】
また、車載通信システム301において、ある中継装置151に同じシステムAに属する複数の電子機器202のみが接続されていると仮定した場合、算出部13は、算出用情報としてのトポロジ情報に基づいて、このようなシステム構成を判断する。算出部13は、システムAが設定変更対象となる場合において、システムA以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミングを考慮することなく、システムAの機能またはサービスを停止可能なタイミングに基づいて、設定変更タイミングを算出する。
【0096】
制御部14は、車載ネットワークの設定変更として、たとえば、中継装置151による中継処理の設定、および自己の車載制御装置101による中継処理の設定の少なくともいずれか一方を変更する。
【0097】
より詳細には、制御部14は、算出部13から通知された設定変更タイミングにおいて上記設定変更内容に従った車載ネットワークの設定変更が実行されるための設定変更要求処理を行う。
【0098】
たとえば、制御部14は、上記設定変更要求処理として、当該設定変更内容が当該設定変更タイミングにおいて中継装置151に反映されるための処理を行う。
【0099】
再び図2を参照して、処理部24は、他の装置である車載制御装置101から当該設定変更タイミングに基づく設定変更要求を中継部22経由で受信し、受信した設定変更要求に従って、たとえば記憶部25における上記各種テーブルの内容を更新することにより、中継部22の設定変更を行う。
【0100】
[動作の流れ]
本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態でまたは通信回線を介して流通する。
【0101】
図5は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける設定変更処理のシーケンスの一例を示す図である。図5は、1つの中継装置151に2つの電子機器202が接続される場合を示している。
【0102】
車載通信システム301において、中継装置151は、車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を電子機器202から受信するかまたは生成して車載制御装置101へ送信する。
【0103】
車載制御装置101は、算出用情報を受信して、設定変更タイミングに基づく設定変更要求を中継装置151へ送信する。
【0104】
具体的には、図5を参照して、まず、各電子機器202は、定期的または不定期に、算出用情報を生成して中継装置151へ送信する。中継装置151は、各電子機器202から受信した算出用情報を車載制御装置101へ送信する(ステップS1およびS2)。
【0105】
また、中継装置151は、定期的または不定期に、算出用情報を生成して中継装置151へ送信する(ステップS3)。
【0106】
ここで、電子機器202および中継装置151は、たとえば、トポロジ情報およびサービス情報等に算出用情報を含めて中継装置151へ送信する。
【0107】
次に、車載制御装置101は、収集した各種情報に基づいて、たとえば中継装置151の設定変更内容および設定変更タイミングを算出する(ステップS4)。
【0108】
次に、車載制御装置101は、算出した設定変更内容を示す設定変更要求、および算出した設定変更タイミングを示すタイミング情報を中継装置151へ送信する。なお、車載制御装置101は、設定変更タイミングを設定変更要求に含めて送信する構成であってもよい(ステップS5)。
【0109】
次に、中継装置151は、車載制御装置101から受信したタイミング情報の示す設定変更タイミングの到来を検知し(ステップS6)、車載制御装置101から受信した設定変更要求の示す設定変更内容に従って中継部22等の設定変更を行う(ステップS7)。
【0110】
次に、中継装置151は、設定変更が完了した旨を示す設定変更応答を車載制御装置101へ送信する(ステップS8)。
【0111】
上記のように、算出用情報を定期的または不定期に取得する構成により、たとえば、OTAにより電子機器202等のソフトウェアが更新されたことによる必要帯域の変更を把握し、より適切な設定変更タイミングを算出することができる。
【0112】
なお、各電子機器202および中継装置151が自律的に算出用情報を車載制御装置101へ送信する構成に限らず、車載制御装置101が、算出用情報を各電子機器202および中継装置151に要求し、要求の応答として送信される算出用情報を取得する構成であってもよい。
【0113】
図6は、本開示の実施の形態に係る車載制御装置が設定変更要求処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0114】
算出部13は、設定変更対象のシステムを含む、提供するサービスが互いに異なるシステムごとに、設定変更が可能なタイミングを算出し、算出した各タイミングに基づいて設定変更タイミングを算出する。
【0115】
より詳細には、算出部13は、車載ネットワークにおける設定変更対象のシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミング、車載ネットワークにおける設定変更対象のシステム以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミング、および車載ネットワークにおいて所定値以上の帯域マージンが存在するタイミングを総合的に判断することにより、設定変更タイミングを算出する。
【0116】
また、制御部14は、設定変更要求処理として、設定変更タイミングを含む設定変更要求を車載ネットワークにおける電子機器たとえば中継装置151へ送信する。
【0117】
具体的には、図6を参照して、まず、車載制御装置101は、各電子機器202および中継装置151から定期的または不定期に送信されるサービス情報、トポロジ情報および算出用情報等を収集し(ステップS21)、収集した各種情報(以下、収集情報とも称する。)の内容を確認し、当該内容が更新されていない場合、新たな情報の到着を待ち受ける(ステップS22でNO)。
【0118】
そして、車載制御装置101は、収集情報の内容が更新された場合(ステップS22でYES)、たとえば最新の収集情報の内容に基づいて、設定変更対象となる中継装置151の通信ポート21等、および設定変更内容を算出する(ステップS23)。
【0119】
次に、車載制御装置101は、たとえば最新の算出用情報および条件テーブルに基づいて、システムごとの設定変更タイミング、たとえば条件テーブルに示す条件を満たす期間を候補として算出する(ステップS24)。
【0120】
次に、車載制御装置101は、候補の各設定変更タイミング、および設定変更対象に基づいて、設定変更タイミングを算出する。たとえば、車載制御装置101は、設定変更対象の通信ポート21に対応するシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミングと、非対象の通信ポート21に対応するシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミングとのANDをとったタイミングを設定変更タイミングとして算出する。具体的には、たとえば、車載制御装置101は、条件テーブルに示すADASの条件およびIVIシステムの条件の両方を満たす期間等のタイミングを、設定変更タイミングとして算出する(ステップS25)。
【0121】
次に、車載制御装置101は、ANDをとった結果のタイミングが存在する場合、すなわち各システムに影響の無いタイミングが存在する場合(ステップS26でYES)、設定変更要求およびタイミング情報の中継装置151への送信、および自己の中継処理の設定変更の少なくともいずれか一方の設定変更要求処理を行う(ステップS27)。
【0122】
一方、車載制御装置101は、ANDをとった結果、各システムに影響の無いタイミングが存在しない場合であって(ステップS26でNO)、タイムアウトしていない場合(ステップS28でNO)、新たな情報の収集を継続する(ステップS21)。
【0123】
他方、車載制御装置101は、タイムアウトした場合(ステップS28でYES)、警報表示等のエラー処理を行う(ステップS29)。
【0124】
なお、車載制御装置101は、エラー処理の条件として、所定回数のトライを未実施である場合(ステップS28でNO)、新たな情報の収集を継続し、所定回数のトライを実施済みである場合(ステップS28でYES)、エラー処理を行う構成であってもよい。
【0125】
図7は、本開示の実施の形態に係る中継装置が設定変更を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0126】
中継装置151における処理部24は、設定変更要求に含まれる設定変更タイミングの到来を検知して設定変更を行う。
【0127】
具体的には、図7を参照して、中継装置151は、算出用情報の生成タイミングの到来を待ち受け(ステップS41でNO)、電子機器202からの算出用情報の受信を待ち受け(ステップS43でNO)、かつ車載制御装置101からの設定変更要求およびタイミング情報の受信を待ち受ける(ステップS45でNO)。
【0128】
そして、中継装置151は、算出用情報の生成タイミングが到来した場合(ステップS41でYES)、算出用情報を生成して車載制御装置101へ送信する(ステップS42)。
【0129】
また、中継装置151は、電子機器202から算出用情報を受信した場合(ステップS43でYES)、受信した算出用情報を車載制御装置101へ送信する(ステップS44)。
【0130】
また、中継装置151は、車載制御装置101から設定変更要求およびタイミング情報を受信した場合(ステップS45でYES)、タイミング情報の示す設定変更タイミングの到来を待ち受け(ステップS46でNO)、設定変更タイミングが到来した場合(ステップS46でYES)、設定変更要求の示す設定変更内容に従って中継部22等の設定変更を行う(ステップS47)。
【0131】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける設定変更処理のシーケンスの他の例を示す図である。図8は、1つの中継装置151に2つの電子機器202が接続される場合を示している。
【0132】
図8を参照して、ステップS11~S14の動作は、図5に示すステップS1~S4の動作と同様である。
【0133】
次に、車載制御装置101は、算出した設定変更タイミングが到来すると、算出した設定変更内容を示す設定変更要求を中継装置151へ送信する(ステップS15)。
【0134】
次に、中継装置151は、車載制御装置101から設定変更要求を受信したことに応答して、受信した設定変更内容に従って中継部22等の設定変更を行う(ステップS16)。
【0135】
次に、中継装置151は、設定変更が完了した旨を示す設定変更応答を車載制御装置101へ送信する(ステップS17)。
【0136】
図9は、本開示の実施の形態に係る車載制御装置が設定変更要求処理を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
【0137】
具体的には、図9を参照して、ステップS31~S36の動作は、図6に示すステップS21~S26の動作と同様である。
【0138】
次に、車載制御装置101は、ANDをとった結果のタイミングが存在する場合、すなわち各システムに影響の無いタイミングが存在する場合(ステップS36でYES)、設定変更タイミングの到来を待ち受け(ステップS37でNO)、設定変更タイミングが到来した場合(ステップS37でYES)、設定変更要求の中継装置151への送信、および自己の中継処理の設定変更の少なくともいずれか一方の設定変更要求処理を行う(ステップS38)。
【0139】
ステップS39,S40の動作は、図6に示すステップS28,S29の動作と同様である。
【0140】
図10は、本開示の実施の形態に係る中継装置が設定変更を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
【0141】
処理部24は、設定変更タイミングを含まない設定変更要求を受信したことに応答して設定変更を行う。
【0142】
具体的には、図10を参照して、ステップS51~S54の動作は、図7に示すステップS41~S44の動作と同様である。
【0143】
中継装置151は、車載制御装置101から設定変更要求を受信したことに応答して(ステップS55でYES)、設定変更要求の示す設定変更内容に従って中継部22等の設定変更を行う(ステップS56)。
【0144】
なお、本開示の実施の形態に係る車載通信システムでは、車載制御装置101における算出部13は、提供するサービスが互いに異なるシステムごとに、設定変更が可能なタイミングを算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。算出部13は、1つのシステムのみ、たとえば設定変更対象以外のシステムの許可条件を満たす設定変更タイミングを算出する構成であってもよい。また、車載通信システム301において、1種類のシステムのみが設けられる構成であってもよい。
【0145】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システムでは、車載制御装置101における算出部13は、中継装置151または当該車載制御装置101の設定変更内容および設定変更タイミングを算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。算出部13は、たとえば、電子機器202の設定変更内容および設定変更タイミングを算出する構成であってもよい。また、車載通信システム301において、中継装置151が設けられない構成であってもよい。
【0146】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システムでは、トポロジ情報、サービス情報および算出用情報が動的に、すなわち定期的または不定期に車載制御装置101に与えられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。トポロジ情報、サービス情報および算出用情報の一部または全部が静的に与えられる、たとえば車両1の出荷時に車載制御装置101に予め登録される構成であってもよい。
【0147】
ところで、車載ネットワークの設定変更を動的に行う場合、車両の環境等によっては当該設定変更が車載ネットワークにおける通信に影響を及ぼす可能性がある。
【0148】
具体的には、OTA(Over The Air)を用いたソフトウェアのアップデート、および車載ネットワークへの新たな電子機器の追加等に伴うネットワークの動的設定変更が注目されている。
【0149】
ネットワークの動的設定変更を実施する際、環境によっては通信を一時遮断する必要がある可能性がある。たとえば、上述のように中継装置151に直接接続されている複数の電子機器202の属するシステムが互いに異なる場合、設定変更タイミングによっては、設定変更対象でないシステムにおいて通信断が生じる可能性がある。
【0150】
単にネットワークを動的に設定変更する機能を備えたシステムでは、たとえば自動運転走行中のために、優先度の高い通信が行われていたり、通信負荷が高かったりする場合に、ネットワークの設定変更を実施すべきかどうかを適切に判断することができない。
【0151】
また、OTA(Over The Air)を用いたソフトウェアのアップデート、および車載ネットワークへの新たな電子機器の追加等に伴い、システム構成に変化が生じた場合、当該システムは、ネットワーク設定変更においてどの程度の帯域を要するかを判断することができない。
【0152】
これに対して、本開示の実施の形態に係る車載制御装置では、中継部12は、車載ネットワークにおける電子機器202から車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得する。算出部13は、中継部12により取得された算出用情報に基づいて、設定変更タイミングを算出する。制御部14は、算出部13により算出された設定変更タイミングにおいて車載ネットワークの設定変更が実行されるための設定変更要求処理を行う。
【0153】
また、本開示の実施の形態に係る機器設定方法では、車載制御装置101において、まず、車載ネットワークにおける電子機器202から車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得する。次に、取得した算出用情報に基づいて、設定変更タイミングを算出する。次に、算出した設定変更タイミングにおいて車載ネットワークの設定変更が実行されるための設定変更要求処理を行う。
【0154】
このような構成により、車載ネットワークにおける電子機器から取得した算出用情報を用いて適切な設定変更タイミングを算出することができるため、車載ネットワークの設定変更を動的に行う場合において、優先度の高い通信および通信負荷を考慮して、当該設定変更が車載ネットワークにおける通信に影響を及ぼす可能性を低減することができる。したがって、車載ネットワークの設定変更が可能な構成において、当該車載ネットワークにおいて安定した通信を実現することができる。
【0155】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置では、中継部22は、車載ネットワークにおける電子機器202間の情報を中継する。中継部22は、車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を電子機器202から取得するかまたは生成し、設定変更タイミングを算出する他の装置へ送信する。処理部24は、当該他の装置から当該設定変更タイミングに基づく設定変更要求を受信する。
【0156】
また、本開示の実施の形態に係る機器設定方法では、中継装置151において、まず、車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を電子機器202から取得するかまたは生成し、設定変更タイミングを算出する他の装置へ送信する。次に、当該他の装置から当該設定変更タイミングに基づく設定変更要求を受信し、受信した設定変更要求に従って中継部22の設定変更を行う。
【0157】
このような構成により、車載ネットワークにおける電子機器から取得した算出用情報を用いて適切な設定変更タイミングを算出することができるため、車載ネットワークの設定変更を動的に行う場合において、優先度の高い通信および通信負荷を考慮して、当該設定変更が車載ネットワークにおける通信に影響を及ぼす可能性を低減することができる。また、車載ネットワークにおいて通信への影響が大きい中継処理のより適切な設定変更内容および設定変更タイミングを決定し、車載ネットワークの設定変更の前後においてより円滑な通信を実現することができる。したがって、車載ネットワークの設定変更が可能な構成において、当該車載ネットワークにおいて安定した通信を実現することができる。
【0158】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0159】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
車両に搭載される車載制御装置であって、
車載ネットワークにおける電子機器から前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記算出用情報に基づいて、前記設定変更タイミングを算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記設定変更タイミングにおいて前記車載ネットワークの設定変更が実行されるための処理を行う制御部とを備え、
前記算出部は、少なくとも前記算出用情報に基づいて、設定変更内容および設定変更タイミングを算出し、
前記制御部は、前記設定変更タイミングにおいて前記設定変更内容に従った前記設定変更が実行されるための処理を行い、
前記算出部は、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステムの機能またはサービスを停止可能なタイミング、前記車載ネットワークにおける設定変更対象のシステム以外のシステムの機能またはサービスに影響を与えないタイミング、および前記車載ネットワークにおいて所定値以上の帯域マージンが存在するタイミングを総合的に判断することにより、前記設定変更タイミングを算出し、
前記制御部は、前記処理として、前記設定変更タイミングを含む設定変更要求を前記車載ネットワークにおける電子機器へ送信するか、または前記設定変更タイミングにおいて前記設定変更タイミングを含まない設定変更要求を前記車載ネットワークにおける電子機器へ送信する、車載制御装置。
【0160】
[付記2]
車両に搭載されるイーサネットスイッチであって、
車載ネットワークにおける電子機器間の情報を中継する中継部を備え、
前記中継部は、前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を前記電子機器から取得するかまたは生成し、前記設定変更タイミングを算出する他の装置へ送信し、
前記他の装置から前記設定変更タイミングに基づく設定変更要求を受信し、受信した前記設定変更要求に従って前記中継部の設定変更を行う設定部とを備え、
前記設定部は、前記設定変更要求に含まれる前記設定変更タイミングの到来を検知して前記設定変更を行うか、または前記設定変更タイミングを含まない前記設定変更要求を受信したことに応答して前記設定変更を行う、イーサネットスイッチ。
【0161】
[付記3]
車両に搭載される車載通信システムであって、
車載ネットワークにおける電子機器間の情報を中継するイーサネットスイッチと、
車載制御装置とを備え、
前記イーサネットスイッチは、前記車載ネットワークの設定変更タイミングの算出に用いる算出用情報を前記電子機器から受信するかまたは生成して前記車載制御装置へ送信し、
前記車載制御装置は、前記算出用情報を受信して、前記設定変更タイミングに基づく設定変更要求を前記イーサネットスイッチへ送信する、車載通信システム。
【符号の説明】
【0162】
1 車両
2 ケーブル
11 通信ポート
12 中継部
13 算出部
14 制御部
15 記憶部
21 通信ポート
22 中継部
24 処理部
25 記憶部
51 電源部
101 車載制御装置
151,151A,151B 中継装置
202 電子機器
301 車載通信システム
図1
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図10