IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2022-190854ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法
<>
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図1
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図2
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図3
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図4
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図5
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図6
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図7
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図8
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図9
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図10
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図11
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図12
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図13
  • -ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190854
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20221220BHJP
   B23B 15/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B23Q7/04 L
B23B15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099324
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】391003668
【氏名又は名称】トーヨーエイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 省二
(72)【発明者】
【氏名】宮島 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】森分 勇磨
【テーマコード(参考)】
3C033
3C045
【Fターム(参考)】
3C033HH13
3C033HH21
3C045FB02
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で芯出しが不要な3つのハンドチャックにより、簡単な設備で複数ワークの脱着を効率よく行う。
【解決手段】昇降部材24で3つのハンドチャック31,32,33をワークストッカ40まで移動させ、未加工のワークを3つのハンドチャックのうちの2つに掴み、2つの未加工のワークを掴んだ状態で、昇降部材24で複数のワークチャック9のうちの1つまで移動し、このワークチャック9から加工済のワークを取り外し、ロータリテーブル30を周方向に回転させて未加工のワークをワークチャック9に取り付け、昇降部材24で、ロータリテーブル30を別のワークチャック9まで移動させ、ハンドチャックで加工済のワークを取り外した後、ロータリテーブル30を所定角度回転させてワークチャック9にもう1つの未加工のワークを取り付け、複数のワークチャック9に固定された未加工のワークを加工する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の複数のワークを交換するガントリローダであって、
上記ワークの脱着が可能な3つのハンドチャックと、
上記3つのハンドチャックを周方向に所定間隔を開けて有し、該ハンドチャックを所定角度に回転させるロータリテーブルと、
上記ロータリテーブルを所定位置に移動させるローダとを備えている
ことを特徴とするガントリローダ。
【請求項2】
上記ロータリテーブルは、四角柱状のテーブル本体を有し、該テーブル本体の周方向に連続する4面のうち3面にそれぞれ上記ハンドチャックが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のガントリローダ。
【請求項3】
上記ロータリテーブルは、三角柱状のテーブル本体を有し、該テーブル本体の周方向に連続する3面にそれぞれ上記ハンドチャックが設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガントリローダ。
【請求項4】
上記ハンドチャックは、外径の大きいワークと、外径の小さいワークとのどちらでも把持できるように、爪部分に段差が設けられている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のガントリローダ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のガントリローダと、
未加工及び加工済のワークを載置するワークストッカと、
上記ワークが固定される複数のワークチャックと、
上記ワークチャックに固定された上記ワークを加工する複数の加工部と、
上記ロータリテーブルを上記ワークチャックの1つまで移動させ、上記ハンドチャックで加工済のワークを取り外した後、上記ロータリテーブルを所定角度回転させて上記ワークチャックに未加工のワークを取り付け、上記ロータリテーブルを上記ワークチャックの別の1つまで相対的に移動させ、上記ハンドチャックで加工済のワークを取り外した後、上記ロータリテーブルを所定角度回転させて上記ワークチャックに未加工のワークを取り付けるように制御する制御部とを備えている
ことを特徴とする工作機械。
【請求項6】
ワークの脱着が可能な3つのハンドチャックと、3つのハンドチャックを周方向に所定間隔を開けて有し、該ハンドチャックを所定角度に回転させるロータリテーブルと、該ロータリテーブルを所定位置に移動させるローダとを準備し、
上記ローダで上記3つのハンドチャックをワークストッカまで移動させ、未加工のワークを上記3つのハンドチャックのうちの2つに掴み、
2つの上記未加工のワークを掴んだ状態で、上記ローダで複数のワークチャックのうちの1つまで移動し、
空いている上記ハンドチャックによって上記ワークチャックのうちの1つから加工済のワークを取り外し、
上記ロータリテーブルを周方向に回転させて上記未加工のワークを上記ワークチャックに取り付け、
上記ロータリテーブルを別の上記ワークチャックまで相対的に移動させ、空いている上記ハンドチャックで加工済のワークを取り外した後、上記ロータリテーブルを所定角度回転させて上記ワークチャックにもう1つの未加工のワークを取り付け、
複数の上記ワークチャックに固定された上記未加工のワークを加工し、
上記ローダで上記ワークストッカまで移動し、加工済の2つの上記ワークを該ワークストッカにそれぞれ載置する
ことを特徴とするワークの加工方法。
【請求項7】
上記ロータリテーブルを90°ずつ回転させて上記ワークの着脱を行う
ことを特徴とする請求項6に記載のワークの加工方法。
【請求項8】
上記ロータリテーブルを120°ずつ回転させて上記ワークの着脱を行う
ことを特徴とする請求項6に記載のワークの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガントリローダ、それを備えた工作機械及びワークの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1のように複数のワークを同時に加工する複合加工機械、多軸機械などが知られている。
【0003】
また、特許文献2のように、レール部と、このレール部に沿って走行するローダとを備えたローディング装置が知られている。このローディング装置では、ローダは旋回部と、この旋回部から伸縮するアーム部とを有し、このアーム部はワークを保持する複数のハンド部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3833386号公報
【特許文献2】特開2020-78847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように並列に並んだ主軸や取付具に取り付けたワークを交換する際、2個の加工済ワーク用のハンドと2個の未加工ワーク用のハンドを搭載し、同時に交換するようにしていた。
【0006】
特許文献2のような2つのハンド部であっても、結局は複数のアーム部を必要としていた。
【0007】
このような場合、チャックが4個以上必要となり、高価となるばかりかワークとチャックの芯出しが困難で生産性向上を阻害していた。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構造で芯出しが不要な3つのハンドチャックにより、簡単な設備で複数ワークの脱着を効率よく行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、3つのハンドチャックを回転可能に有するロータリテーブルを用いるようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明では、工作機械の複数のワークを交換するガントリローダを対象とし、
上記ガントリローダは、
上記ワークの脱着が可能な3つのハンドチャックと、
上記3つのハンドチャックを周方向に所定間隔を開けて有し、該ハンドチャックを所定角度に回転させるロータリテーブルと、
上記ロータリテーブルを所定位置に移動させるローダとを備えている。
【0011】
上記の構成によると、3つのハンドチャックを周方向に回転させれば同じ位置に割り出しできるので、ローダで位置決めさえしておけば、ハンドチャックを変える場合でも新たに芯出しをする必要がない。また、2つのワークを同時に交換する場合に3つのハンドチャックで足りるので、構成及び制御が容易となる。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記ロータリテーブルは、四角柱状のテーブル本体を有し、該テーブル本体の周方向に連続する4面のうち3面にそれぞれ上記ハンドチャックが設けられている。
【0013】
上記の構成によると、-90°、0°、+90°の割り出しのため、簡単な構造で容易に割り出しができ、安価で制御が容易なローダが得られる。
【0014】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記ロータリテーブルは、三角柱状のテーブル本体を有し、該テーブル本体の周方向に連続する3面にそれぞれ上記ハンドチャックが設けられている。
【0015】
上記の構成によると、-120°、0°、+120°の割り出しのため、簡単な構造で容易に割り出しができ、安価で制御が容易なローダが得られる。
【0016】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記ハンドチャックは、外径の大きいワークと、外径の小さいワークとのどちらでも把持できるように、爪部分に段差が設けられている。
【0017】
上記の構成によると、爪部分の内径の小さい部分で外径の小さいワークを把持し、爪部分の内径の大きい部分で外径の大きいワークを把持することができるので、外径の異なるワークでも1つのロータリテーブルで効率的に脱着が可能である。
【0018】
第5の発明の工作機械は、
第1から第4のいずれか1つの発明のガントリローダと、
未加工及び加工済のワークを載置するワークストッカと、
上記ワークが固定される複数のワークチャックと、
上記ワークチャックに固定された上記ワークを加工する複数の加工部と、
上記ロータリテーブルを上記ワークチャックの1つまで移動させ、上記ハンドチャックで加工済のワークを取り外した後、上記ロータリテーブルを所定角度回転させて上記ワークチャックに未加工のワークを取り付け、上記ロータリテーブルを上記ワークチャックの別の1つまで相対的に移動させ、上記ハンドチャックで加工済のワークを取り外した後、上記ロータリテーブルを所定角度回転させて上記ワークチャックに未加工のワークを取り付けるように制御する制御部とを備えている。
【0019】
上記の構成によると、3つのハンドチャックという簡単な構成で、2つのワークを効率的に交換することができる商品性の高い工作機械が得られる。なお、「ロータリテーブルをワークチャックの別の1つまで相対的に移動させ」とは、ロータリテーブルとワークチャックのいずれを移動させてもよいことを意味する。
【0020】
第6の発明のワークの加工方法では、
ワークの脱着が可能な3つのハンドチャックと、3つのハンドチャックを周方向に所定間隔を開けて有し、該ハンドチャックを所定角度に回転させるロータリテーブルと、該ロータリテーブルを所定位置に移動させるローダとを準備し、
上記ローダで上記3つのハンドチャックをワークストッカまで移動させ、未加工のワークを上記3つのハンドチャックのうちの2つに掴み、
2つの上記未加工のワークを掴んだ状態で、上記ローダで複数のワークチャックのうちの1つまで移動し、
空いている上記ハンドチャックによって上記ワークチャックのうちの1つから加工済のワークを取り外し、
上記ロータリテーブルを周方向に回転させて上記未加工のワークを上記ワークチャックに取り付け、
上記ロータリテーブルを別の上記ワークチャックまで相対的に移動させ、空いている上記ハンドチャックで加工済のワークを取り外した後、上記ロータリテーブルを所定角度回転させて上記ワークチャックにもう1つの未加工のワークを取り付け、
複数の上記ワークチャックに固定された上記未加工のワークを加工し、
上記ローダで上記ワークストッカまで移動し、加工済の2つの上記ワークを該ワークストッカにそれぞれ載置する。
【0021】
上記の構成によると、3つのハンドチャックを周方向に回転させれば同じ位置に割り出しできるので、ローダで位置決めさえしておけば、ハンドチャックを変える場合でも新たに芯出しをする必要がないので、制御が容易である。また、2つのワークを同時に交換する場合に3つのハンドチャックで足りるので、制御が容易である。なお、「ロータリテーブルを別のワークチャックまで相対的に移動させ」とは、ロータリテーブルとワークチャックのいずれを移動させてもよいことを意味する。
【0022】
第7の発明では、第6の発明において、
上記ロータリテーブルを90°ずつ回転させて上記ワークの着脱を行う。
【0023】
上記の構成によると、-90°、0°、+90°の割り出しのため、簡単な構造で容易に割り出しができ、極めて制御が容易である。
【0024】
第8の発明では、第6の発明において、
上記ロータリテーブルを120°ずつ回転させて上記ワークの着脱を行う。
【0025】
上記の構成によると、-120°、0°、+120°の割り出しのため、簡単な構造で容易に割り出しができ、極めて制御が容易である。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、簡単な構造で芯出しが不要な3つのハンドチャックにより、簡単な設備で複数ワークの脱着を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態1に係るガントリローダを含む工作機械を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に関し、(a)が1つ目のワークチャックから加工済ワークをアンローディングする様子を示す斜視図であり、(b)がロータリテーブルを回転させて未加工のワークのローディング位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(c)が1つ目のワークチャックに未加工のワークを取り付けた様子を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に関し、(a)が2つ目のワークチャックの手前に移動して2つ目の加工済ワークのアンローディング位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(b)が2つ目のワークチャックから2つ目の加工済ワークをアンローディングする様子を示す斜視図であり、(c)がロータリテーブルを回転させて2つ目の未加工のワークのローディング位置を割り出す様子を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態1に関し、(a)が2つ目のワークチャックに2つ目の未加工のワークをローディングした様子を示す斜視図であり、(b)が2つのワークチャックから離れ、2つの未加工ワークの加工を開始する様子を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態1に関し、(a)がワークストッカの上まで移動して排出位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(b)が2つ目の加工済ワークをワークストッカに排出した様子を示す斜視図であり、(c)が3つ目の未加工のワークの上に移動してそのクランプ位置を割り出す様子を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態1に関し、(a)が3つ目の未加工のワークをクランプする様子を示す斜視図であり、(b)が1つ目の加工済ワークの排出位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(c)が1つ目の加工済ワークを排出した後、4つ目の未加工ワークの位置まで移動する様子を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態1に関し、(a)がロータリテーブルを回転させて4つ目の未加工ワークのクランプ位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(b)が4つ目の未加工ワークをクランプした様子を示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態2に関し、(a)が1つ目のワークチャックの手前まで移動してアンローディング位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(b)が1つ目のワークチャックから1つ目の加工済のワークをアンローディングする様子を示す斜視図であり、(c)がロータリテーブルを回転させて1つ目のワークチャックに対する1つ目の未加工ワークのローディング位置を割り出す様子を示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態2に関し、(a)が1つ目のワークチャックに1つ目の未加工ワークをローディングした様子を示す斜視図であり、(b)が2つ目のワークチャックの手前に移動して2つ目の加工済ワークのアンローディング位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(c)が2つ目の加工済ワークをアンローディングする様子を示す斜視図である。
図10】本発明の実施形態2に関し、(a)が2つ目のワークチャックに対する2つ目の未加工ワークのローディング位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(b)が2つ目の未加工ワークをローディングした様子を示す斜視図であり、(c)が2つのワークチャックから離れ、2つの未加工ワークの加工を開始する様子を示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態2に関し、(a)がワークストッカの上まで移動してロータリテーブルを30°回転させて排出位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(b)が2つ目の加工済ワークをワークストッカに排出した様子を示す斜視図であり、(c)が3つ目の未加工のワークの上に移動してそのクランプ位置を割り出す様子を示す斜視図である。
図12】本発明の実施形態2に関し、(a)が3つ目の未加工のワークをクランプする様子を示す斜視図であり、(b)がロータリテーブルを120°回転させて1つ目の加工済ワークの排出位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(c)が1つ目の加工済ワークを排出する様子を示す斜視図である。
図13】本発明の実施形態2に関し、(a)が4つ目の未加工ワークまで移動し、そのクランプ位置を割り出す様子を示す斜視図であり、(b)が4つ目の未加工ワークをクランプした様子を示す斜視図である。
図14】その他の実施形態に係るロータリテーブル及びワークチャックを示し、(a)が小さい方のワークのアンローディング位置を割り出す様子を示し、(b)が小さな未加工ワークと大きな未加工ワークをそれぞれに対応するクランプ位置でクランプした状態のロータリテーブル及びその周辺を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係るガントリローダ20を含む工作機械1を示す。この工作機械1は、例えば、研削機であり、工場などの載置面に載置するベッド2を備える。工作機械1は、旋盤など他の機械加工機でもよい。工作機械1は、工作機械1全体を制御する制御部としてのコントローラ41を備えている。このコントローラ41は、例えば、マイクロコンピュータよりなる。
【0030】
ベッド2には、X軸方向に移動可能な2つのX軸テーブル3が設けられ、それぞれのX軸テーブル3に、Z軸方向に移動可能なZ軸テーブル4が搭載されている。各Z軸テーブル4に、ツール5aを取り付けた状態で回転可能な加工部としてのスピンドル5が設けられている。本実施形態では、2本のスピンドル5が設けられている。工作機械1内に2本以上のスピンドル5が設けられていてもよい。詳しくは説明しないが、ツール5aはツールストッカからコントローラ41の制御により自動で交換できるようになっている。
【0031】
ベッド2から垂直に延びる一対のコラム6にY軸方向に移動可能なY軸テーブル7がそれぞれ搭載され、各Y軸テーブル7には主軸(C軸8)が設けられている。このC軸8にワークチャック9が回転可能に設けられている。図示しないが、各テーブル3,4,7を移動させるアクチュエータは、特に限定されないが、例えば、エアシリンダ、電動モータ、油圧シリンダなどで構成されている。
【0032】
工作機械1は、ベッド2の上方に、複数のワークを交換するガントリローダ20を備えている。
【0033】
ガントリローダ20は、例えば、4本の垂直な支持柱21と2本の水平な走行レール22とを備え、これら2本の走行レール22の上を1本の水平レール23が水平移動に設けられている。この水平レール23に昇降部材24が上下昇降移動可能に設けられている。図示しないが、水平レール23及び昇降部材24を移動させるアクチュエータは、特に限定されず、例えば、エアシリンダ、電動モータ、油圧シリンダなどで構成されている。このような構成により、昇降部材24は、ベッド2上の所定範囲内で移動可能となっている。これら支持柱21、走行レール22、水平レール、昇降部材及びこれらを駆動させるアクチュエータでローダが構成されている。
【0034】
昇降部材24には、回転可能なロータリテーブル30が設けられている。図示しないが、このロータリテーブル30は、サーボモータなどの回転角度の制御が容易なモータで回転駆動されるようになっている。
【0035】
図2に拡大して示すように、ロータリテーブル30は、四角柱状(直方体状)のテーブル本体30aを有し、テーブル本体30aの周方向に連続する4面のうち3面にそれぞれハンドチャック31,32,33が周方向に所定間隔を開けて設けられている。ハンドチャック31,32,33は、例えば、開閉可能な爪部材を有し、所定の大きさのワークの脱着が可能となっている。3つのハンドチャック31,32,33は、それぞれワークの姿勢を変えられるように回転可能に構成されていてもよい。ロータリテーブル30は、コントローラ41の制御により、ハンドチャック31,32,33を所定角度に回転させることができるようになっている。
【0036】
ベッド2の側方には、未加工及び加工済のワークを載置するワークストッカ40が設けられている。ワークストッカ40は、ワークが搬出入されるコンベア状になっていてもよい。
【0037】
詳しくは後述するが、本実施形態では、コントローラ41がロータリテーブル30をワークチャック9の1つまで移動させ、ハンドチャック31,32,33で加工済のワークを取り外した後、ロータリテーブル30を所定角度回転させてワークチャック9に未加工のワークを取り付け、ロータリテーブル30をワークチャック9の別の1つまで相対的に移動させ、ハンドチャック31,32,33で加工済のワークを取り外した後、ロータリテーブル30を所定角度回転させてワークチャック9に未加工のワークを取り付けるように制御するように構成されている。
【0038】
-ガントリローダの作動-
次に、本実施形態に係るガントリローダ20の作動について説明する。以下、コントローラ41が予め設定されたプログラムに沿って工作機械1全体の作動を制御する。
【0039】
まず、図1に示すように、ワークストッカ40の上に未加工ワークWB1,WB2…を並べておく。
【0040】
次いで、ハンドチャック32,33で1つ目及び2つ目の未加工ワークWB1,WB2をチャックしておく。
【0041】
次に、その状態で、走行レール22及び水平レール23を利用し、ロータリテーブル30を1つ目のワークチャック9の位置まで移動させて1つ目の加工済ワークWA1を割り出す。
【0042】
次いで、図2(a)に示すように、1つ目のワークチャック9から加工済ワークWA1をアンローディングする。
【0043】
次いで、図2(b)に示すように、ロータリテーブル30を90°回転させて未加工ワークWB1のローディング位置を割り出す。
【0044】
次に図2(c)に示すように、1つ目のワークチャック9に1つ目の未加工ワークWB1を取り付ける。
【0045】
次に、図3(a)に示すように、水平レール23を利用し、2つ目のワークチャック9の手前にロータリテーブル30を移動させて2つ目の加工済ワークWA2のアンローディング位置を割り出す。
【0046】
次いで、図3(b)に示すように、2つ目のワークチャック9から2つ目の加工済ワークWA2をアンローディングする。
【0047】
次に、図3(c)に示すように、ロータリテーブル30を90°回転させて2つ目の未加工ワークWB2のローディング位置を割り出す。
【0048】
次いで、図4(a)に示すように、2つ目のワークチャック9に2つ目の未加工ワークWB2をローディングする。
【0049】
次に、図4(b)に示すように、ロータリテーブル30が2つのワークチャック9から離れ、2つの未加工ワークWB1,WB2の加工を開始する。
【0050】
そして、未加工ワークの加工を行っている間に、昇降部材24が図5(a)に示すように、ワークストッカ40の上まで移動して排出位置を割り出す。本実施形態では、ロータリテーブル30の外周に90°単位でハンドチャックが設けられているので、2つ目の未加工ワークWB2をローディングした姿勢からロータリテーブル30を回転させる必要がない点で有利である。
【0051】
次いで、図5(b)に示すように、昇降部材24を昇降させて2つ目の加工済ワークWA2をワークストッカ40に排出する。
【0052】
次に、図5(c)に示すように、昇降部材24を水平移動させて3つ目の未加工ワークWB3の上に移動してそのクランプ位置を割り出す。
【0053】
次いで、図6(a)に示すように、昇降部材24を昇降させて3つ目の未加工ワークWB3をクランプする。
【0054】
次に、図6(b)に示すように、ロータリテーブル30を90°回転させて1つ目の加工済ワークWA1の排出位置を割り出す。
【0055】
次いで、図6(c)に示すように、1つ目の加工済ワークWA1を排出した後、昇降部材24を水平移動させて4つ目の未加工ワークWB4の位置まで移動する。
【0056】
次いで、図7(a)に示すように、4つ目の未加工ワークWB4の上方でロータリテーブル30を180°回転させてそのクランプ位置を割り出す。
【0057】
次に、図7(b)に示すように、昇降部材24を昇降させて4つ目の未加工ワークWB4をクランプする。
【0058】
そして、図1の状態に戻って同様の作業を繰り返す。
【0059】
このように、昇降部材24で3つのハンドチャック31,32,33をワークストッカ40まで移動させ、未加工のワークを3つのハンドチャック31,32,33のうちの2つに掴み、2つの未加工ワークWB1,WB2を掴んだ状態で、昇降部材24で2つのワークチャック9のうちの1つまで移動し、空いているハンドチャック31によってワークチャック9のうちの1つから加工済ワークWA1を取り外し、ロータリテーブル30を周方向に回転させて未加工ワークWB1をワークチャック9に取り付け、昇降部材24で、ロータリテーブル30を別のワークチャック9まで移動させ、空いているハンドチャック32で加工済ワークWA2を取り外した後、ロータリテーブル30を90°回転させてワークチャック9にもう1つの未加工ワークWB2を取り付け、複数のワークチャック9に固定された未加工のワークを加工し、昇降部材24でワークストッカ40まで移動し、2つの加工済ワークWA1,WA2をワークストッカ40にそれぞれ載置する。
【0060】
本実施形態では、ロータリテーブル30を90°単位で回転させてワークの着脱を行う。-90°、0°、+90°の割り出しのため、簡単な構造で容易に割り出しができ、安価で制御が容易な昇降部材24が得られる。
【0061】
以上説明したように、本発明によれば、簡単な構造で芯出しが不要な3つのハンドチャックにより、簡単な設備で複数ワークの脱着を効率よく行うことができる。
視図である。
【0062】
本実施形態では、3つのハンドチャック31,32,33を周方向に回転させれば同じ位置に割り出しできるので、昇降部材24で位置決めさえしておけば、ハンドチャックを変える場合でも新たに芯出しをする必要がない。2つのワークを同時に交換する場合に3つのハンドチャックで足りるので、構成及び制御が容易となる。
【0063】
したがって、本実施形態に係るガントリローダ20によると、簡単な構造で芯出しが不要な3つのハンドチャック31,32,33により、簡単な設備で複数ワークの脱着を効率よく行うことができる。
【0064】
(実施形態2)
図8図13は本発明の実施形態2を示し、ロータリテーブル130の形状が異なる点で実施形態1と異なる。なお、以下の実施形態では、図1図7と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0065】
本実施形態のロータリテーブル130は、三角柱状のテーブル本体130aを有し、このテーブル本体130aの周方向に連続する3面にそれぞれハンドチャック31,32,33が設けられている。本実施形態では、ロータリテーブル30を120°ずつ回転させてワークの着脱を行うようになっている。
【0066】
また、本実施形態では、スピンドル5側ではなく、ワークチャック9のあるC軸8側にX軸テーブル3及びZ軸テーブル4が設けられている。図示しないが、スピンドル5側がY軸テーブル6に設けられている。
【0067】
次に、本実施形態に係るガントリローダ20の作動について説明する。
【0068】
上記実施形態1と同様に、図8(a)に示すように、走行レール21及び水平レール23を利用し、昇降部材24が1つ目のワークチャック9の手前まで移動してアンローディング位置を割り出す。
【0069】
次いで、図8(b)に示すように、昇降部材24又はZ軸テーブル4を移動させて1つ目のワークチャック9から1つ目の加工済ワークWA1をアンローディングする。
【0070】
次いで、図8(c)に示すように、ロータリテーブル130を120°回転させて1つ目のワークチャック9に対する1つ目の未加工ワークWB1のローディング位置を割り出す。
【0071】
次いで、図9(a)に示すように、昇降部材24又はZ軸テーブル4を移動させて1つ目のワークチャック9に1つ目の未加工ワークWB1をローディングする。
【0072】
次に図9(b)に示すように、X軸テーブル3を移動させて2つ目のワークチャック9の手前にロータリテーブル130を移動させ、2つ目の加工済ワークWA2のアンローディング位置を割り出す。
【0073】
次いで図9(c)に示すように、昇降部材24又はZ軸テーブル4を移動させて、2つ目の加工済ワークWA2をアンローディングする。
【0074】
次に図10(a)に示すように、ロータリテーブル30を120°回転させて2つ目のワークチャック9に対する2つ目の未加工ワークWB2のアンローディング位置を割り出す。
【0075】
次いで、図10(b)に示すように、昇降部材24又はZ軸テーブル4を移動させて2つ目の未加工ワークWB2をアンローディングする。
【0076】
次に、図10(c)に示すように、昇降部材24が2つのワークチャック9から離れ、2つの未加工ワークWB1,WB2の加工を開始する。
【0077】
次に、図11(a)に示すように、昇降部材24がワークストッカ40の上まで移動して2つ目の加工済ワークWA2の排出位置を割り出す。上記実施形態1と違って120°単位でハンドチャックが設けられているので、そのままの姿勢では排出できないが、30°角度を戻すだけで2つ目の加工済ワークWA2が真下に来るので、制御が容易である。
【0078】
次いで、図11(b)に示すように、昇降部材24が上下移動して2つ目の加工済ワークWA2をワークストッカ40に排出する。
【0079】
次に、図11(c)に示すように、昇降部材24が移動して3つ目の未加工ワークWB3の上に移動してそのクランプ位置を割り出す。
【0080】
次いで、図12(a)に示すように、昇降部材24が上下移動して3つ目の未加工ワークWB3をクランプする。
【0081】
次に、図12(b)に示すように、ロータリテーブル130を120°回転させて1つ目の加工済ワークWA1の排出位置を割り出す。
【0082】
次いで、図12(c)に示すように、昇降部材24を上下移動させて1つ目の加工済ワークWA1を排出する。
【0083】
次に図13(a)に示すように、昇降部材24が4つ目の未加工ワークWB4の上方まで移動し、そのクランプ位置を割り出す。
【0084】
次に、図13(b)に示すように、昇降部材24を昇降させて4つ目の未加工ワークWB4をクランプする。
【0085】
この後、図1と同様の状態に戻り、同様の作業が繰り返される。
【0086】
本実施形態では、-120°、0°、+120°の割り出しのため、簡単な構造で容易に割り出しができ、安価で制御が容易な昇降部材24が得られる。上記実施形態1のようにハンドチャックのない面が設けられていないので、ロータリテーブル130の回転自体には無駄がない。
【0087】
したがって、本実施形態に係るガントリローダ20によっても、簡単な構造で芯出しが不要な3つのハンドチャックにより、簡単な設備で複数ワークの脱着を効率よく行うことができる。
【0088】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0089】
例えば、図14に示すように、ハンドリングする2つのワークの大きさが異なっていてもよい。この場合には、ハンドチャック31’,32’,33’は、小さな外径の未加工ワークWB1'を掴む内径の小さい部分Xと、大きな外径の未加工ワークWB2'を掴む内径の大きな部分Yとの段違いの把持部位を有しているとよい。そうすれば、大きさの異なる2つのワークであっても、1つのロータリテーブル30に設けたハンドチャック31’,32’,33’によって容易にハンドリングを行うことができる。
【0090】
上記実施形態では、制御部(コントローラ41)の一例として、マイクロコンピュータを説明した。ただし、制御部は、工作機械1を制御するものであれば、物理的にどのように構成してもよい。例えば、制御部は、マイクロコンピュータやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等のように、ソフトウェア(プログラム)を利用するものであってもよい。あるいは、制御部は、ハードウェア(回路部品)を組み合わせて実現してもよい。
【0091】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0092】
1 工作機械
2 ベッド
3 X軸テーブル
4 Z軸テーブル
5 スピンドル(加工部)
5a ツール
5b ツールストッカ
6 コラム
7 Y軸テーブル
8 C軸
9 ワークチャック
20 ガントリローダ
21 支持柱(ローダ)
22 走行レール(ローダ)
23 水平レール(ローダ)
24 昇降部材(ローダ)
30 ロータリテーブル
30a テーブル本体
31 ハンドチャック
31,32,33 ハンドチャック
40 ワークストッカ
41 コントローラ(制御部)
130 ロータリテーブル
130a テーブル本体
WA1,WA2 加工済ワーク
WB1,WB2 未加工ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14