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特開2022-190855運転支援装置及び運転支援プログラム
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  • 特開-運転支援装置及び運転支援プログラム 図1
  • 特開-運転支援装置及び運転支援プログラム 図2
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  • 特開-運転支援装置及び運転支援プログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190855
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】運転支援装置及び運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/00 20060101AFI20221220BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20221220BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20221220BHJP
   B60R 11/04 20060101ALN20221220BHJP
【FI】
G08B21/00 U
G08B21/24
G08B25/00 510M
B60R11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099328
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 裕規
(72)【発明者】
【氏名】孝治 吉春
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 毅
(72)【発明者】
【氏名】宇宿 秀希
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊
(72)【発明者】
【氏名】王 暁峰
【テーマコード(参考)】
3D020
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC01
3D020BE03
5C086AA22
5C086AA60
5C086BA22
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086EA13
5C086EA23
5C086FA06
5C086FA12
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA10
5C087AA12
5C087AA19
5C087AA37
5C087DD03
5C087DD14
5C087DD35
5C087FF02
5C087FF23
5C087GG02
5C087GG06
5C087GG35
(57)【要約】
【課題】運転環境が好ましくないことをユーザに気づかせることが可能となる運転支援装置及び運転支援プログラムを提供する。
【解決手段】運転支援装置1は、車内に設置され、車内を撮像する撮像部12と、撮像部12によって撮像された、静止画または動画を含む画像を用いて画像に映る車内の窓ガラスの範囲を特定する範囲特定部231と、範囲特定部231によって特定された窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っているか否かを判定する判定部232と、判定部232によって窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っていると判定された場合、視界不良である旨を通知する通知部25と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内に設置され、前記車内を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された、静止画または動画を含む画像を用いて前記画像に映る前記車内の窓ガラスの範囲を特定する範囲特定部と、
前記範囲特定部によって特定された前記窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っていると判定された場合、視界不良である旨を通知する通知部と、を備える
ことを特徴する運転支援装置。
【請求項2】
前記窓ガラスの範囲とは、前記撮像部から前記車外の景色を撮像する際に妨げとなる物体が存在しない場合において前記画像に映る窓ガラスの範囲と定義され、
前記判定部によって判定される判定条件には、前記窓ガラスの範囲内で所定の動きが検出されたか否か、前記窓ガラスの範囲内かつ所定範囲以上で所定の色が検出されたか否か、前記窓ガラスの範囲内で乗員もしくは荷物が検出されたか否か、またはこれらの組合せが含まれる
ことを特徴する請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記判定条件の少なくとも1つについてスコアを算出し、算出されたスコアが所定値以上である場合に前記窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っていると判定する
ことを特徴する請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記スコアは、前記所定の色が付着している範囲が広いほど大きくなる、前記乗員もしくは前記荷物の大きさが大きいほど大きくなる、または、前記乗員の人数もしくは前記荷物の個数が多いほど大きくなる
ことを特徴する請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
端末装置のコンピュータに、
車内を撮像した画像を取得するステップと、
取得された、静止画または動画を含む画像を用いて前記画像に映る前記車内の窓ガラスの範囲を特定するステップと、
特定された前記窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上に映っているか否かを判定するステップと、
前記窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っていると判定された場合、視界不良である旨を通知するステップと、を実行させる
ことを特徴する運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置及び運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ウィンドウの外界を撮像するカメラを車室内に設置し、このカメラによる撮像画像を処理してウィンドウの視界不良を判断する発明が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された発明は、湿気によるウィンドウ内側の曇り、ガラス自体の汚れ等による視界不良を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-139262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、窓ガラスの視界不良の原因は、曇り、汚れだけではない。乗員、荷物なども視界不良の原因になりうる。特許文献1に記載された発明はこの点を考慮しておらず、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、運転環境が好ましくないことをユーザに気づかせることが可能となる運転支援装置及び運転支援プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る運転支援装置は、車内に設置され、車内を撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された、静止画または動画を含む画像を用いて画像に映る車内の窓ガラスの範囲を特定する範囲特定部と、範囲特定部によって特定された窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っているか否かを判定する判定部と、判定部によって窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っていると判定された場合、視界不良である旨を通知する通知部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転環境が好ましくないことをユーザに気づかせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る運転支援装置1の構成図である。
図2図2は、バックミラーから見た車内後方を示す画像を説明する図である。
図3図3は、バックミラーから見た車内後方を示す画像を説明する図である。
図4図4は、バックミラーから見た車内後方を示す画像を説明する図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る運転支援装置1の一動作例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1を参照して運転支援装置1の構成例を説明する。運転支援装置1は車内に設置される。図1に示すように、運転支援装置1は、ドライブレコーダ10と、コントローラ20と、スピーカ30と、ディスプレイ31とを備える。
【0011】
ドライブレコーダ10は、搭載されている自車両の周辺の画像及び車内の画像、音声を記録する。図1に示すように、ドライブレコーダ10は、インターフェース11、撮像部12、記憶装置13を備える。本実施形態ではドライブレコーダ10は、バックミラー一体型のドライブレコーダとして説明するが、これに限定されない。バックミラーが映す画像(リアガラス及びサイドガラスが映る画像)、フロントガラスが映る画像を取得できれば足りる。
【0012】
インターフェース11は、ネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、コントローラ20との間でデータを送受信するために用いられる。
【0013】
撮像部12は、ドライブレコーダ10に内蔵されるカメラである。撮像部12はCCD(charge-coupled device)、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)などの撮像素子を有する。撮像部12は、リアガラスが映る画像、サイドガラスが映る画像、フロントガラスが映る画像、またはこれらのガラスが同時に映る画像(例えばリアガラスとサイドガラスが同時に映る画像)を撮像する。画像は、静止画でもよく動画でもよい。本実施形態では、上記の画像が取得できれば足りるため、ドライブレコーダ10(ドライブレコーダ10に内蔵されたカメラ)は必須ではない。例えば、ドライブレコーダ10の代わりに車内にスマートフォンをセットし、スマートフォンに内蔵されたカメラが上記の画像を取得してもよい。この場合、コントローラ20はスマートフォンから画像を取得すればよい。
【0014】
記憶装置13は、撮像部12によって撮像された画像、マイク(図示しない)によって取得された音声を記録する装置であり、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、ハードディスクなどである。
【0015】
コントローラ20は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部(インターフェース21)、記憶装置24を備える汎用のマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータには、運転支援装置1として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは運転支援装置1が備える複数の情報処理回路として機能する。なおここでは、ソフトウェアによって運転支援装置1が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して情報処理回路を構成することも可能である。また複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。コントローラ20は、端末装置のコンピュータに該当する。コントローラ20は、複数の情報処理回路の一例として、画像取得部22と、画像解析部23と、通知部25とを備える。画像解析部23は範囲特定部231と、判定部232に分類される。
【0016】
次に図2~4を参照して、画像取得部22、範囲特定部231、判定部232、及び通知部25の動作の詳細について説明する。図2~4は、バックミラー(撮像部12)から見た車内後方を示す画像である。図2~4に示す画像は、撮像部12によって撮像される。
【0017】
画像取得部22は、インターフェース11,21を介して撮像部12によって撮像された画像を取得する。図2において、符号40はサイドガラスを示し、符号41はリアガラスを示し、符号50は後部座席のシートを示す。符号42は、リアガラス41の範囲を示す。
【0018】
図3に示す符号60は、車内の後部に積まれた荷物(ダンボール)を示す。図2図3を比較すると、ダンボール60によってリアガラス41の範囲42が小さくなっていることがわかる。ダンボール60は、撮像部12から車外の景色を撮像する際に妨げとなる物体といえる。つまりダンボール60は、視界を悪化させる物体といえる。範囲特定部231は、撮像部12によって撮像された画像を用いて画像に映る車内の窓ガラスの範囲を特定する。範囲特定部231によって特定される窓ガラスの範囲とは、撮像部12から車外の景色を撮像する際に妨げとなる物体が存在しない場合において画像に映る窓ガラスの範囲と定義される。したがって、図2に示す範囲42が、範囲特定部231によって特定される窓ガラスの範囲である。図3に示す範囲42は、範囲特定部231によって特定される窓ガラスの範囲ではない。図3に示す範囲42は、範囲特定部231によって特定された図2の範囲42が、小さくなっていることを示すものである。ここでいう「小さくなった」とは、ダンボール60の存在によって概念的に小さくなっていることを意味するものであり、現実にリアガラス41の範囲が小さくなったことを意味するものではない。範囲特定部231による特定方法の一例を説明する。ドライブレコーダ10の設置場所は固定されているため(バックミラーに設置)、撮像部12によって撮像される範囲も固定となる。よってリアガラス41、サイドガラス40を示す座標群を予め記憶装置24に記憶させておけば、範囲特定部231は記憶装置24を参照することにより自動的に窓ガラスの範囲を特定できる。
【0019】
判定部232は、範囲特定部231によって特定された、図2に示す範囲42内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っているか否かを判定する。図2に示す例では、範囲42内に車外の景色以外の物体が映っていないため、判定部232は、物体は映っていないと判定する。一方で、図3に示す例では、「図2に示す範囲42内」にダンボール60が映っている。したがって、ダンボール60が所定時間以上画像に映っている場合、判定部232は、物体は映っていると判定する。所定時間は特に限定されないが、一例として、ドライバが車両に乗り込んでから車両を動かすまでの時間である。
【0020】
ここで、撮像部12から車外の景色を撮像する際に妨げとなる物体は、ダンボール60に限定されない。例えば、図4に示すように、後部座席のシート50に乗車する乗員70、71も妨げとなる物体となりうる。乗員70、71の頭部(もちろん頭部以外の身体も含む)によって、撮像部12から見て車外の景色が妨げられるからである。その他として、ダンボール60以外の荷物(ゴルフバッグ、スーツケースなど)、窓ガラスの曇り、窓ガラスに付着した泥なども妨げとなる物体となりうる。なお、基本的に常時車両に搭載される物体は妨げとなる物体から除外される。例えば、図2~4に示す後部座席のヘッドレストより高いヘッドレストが採用される車両であれば、そのヘッドレストによって車外の景色が妨げられる可能性があるが、そのようなヘッドレストは妨げとなる物体から除外される。
【0021】
繰り返しになるが、図4に示す範囲42は、範囲特定部231によって特定される窓ガラスの範囲ではない。図4に示す範囲42は、図3に示す範囲42と同様に、範囲特定部231によって特定された図2の範囲42が、乗員70、71の存在が原因で小さくなっていることを示すものである。
【0022】
通知部25は、判定部232によって窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っていると判定された場合、視界不良である旨を通知する。図3図4に照らして具体的に説明すれば、ダンボール60または乗員70、71が所定時間以上映っていると判定された場合、通知部25は視界不良である旨をユーザ(主にドライバ)に通知する。通知方法の一例として、通知部25はスピーカ30を介して音声で「リアガラスの視界が不良です」とユーザに通知する。または通知部25はディスプレイ31に「リアガラスの視界が不良です」と表示してユーザに伝えてもよい。なおディスプレイ31は、カーナビゲーション装置のディスプレイでもよく、ディスプレイメータでもよく、ヘッドアップディスプレイでもよい。その他の通知として、視界不良であることがユーザに伝われば足りるため、インジケータ(例えばディスプレイメータ内のインジケータ)を点灯または点滅させてもよい。
【0023】
判定部232は、範囲特定部231によって特定された、図2に示す範囲42内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っているか否かを判定する、と説明したが、これに限定されない。判定部232は、さらに他の条件を加えて、妨げとなる物体が映っているか否かを判定してもよい。他の条件として、妨げとなる物体が図2に示す範囲42において、所定範囲に渡って映っているか否か、が含まれてもよい。ダンボール60または乗員70、71が図2に示す範囲42を遮る場合であっても、遮る範囲が運転の邪魔にならなければ、視界を悪化させるとまではいえない。よって、判定部232は、範囲特定部231によって特定された、図2に示す範囲42内に車外の景色以外の物体が所定時間以上、所定範囲に渡って映っているか否かを判定してもよい。判定後の動作は上述と同じであるため記載を省略する。所定範囲は、とくに限定されないが、図2に示す範囲42の70%と設定されてもよい。
【0024】
他の条件として、窓ガラスの範囲内で所定の動きが検出されたか否か、窓ガラスの範囲内かつ所定範囲以上で所定の色が検出されたか否か、窓ガラスの範囲内で乗員もしくは荷物が検出されたか否か、またはこれらの組合せが含まれてもよい。判定部232は、「窓ガラスの範囲内で所定の動きが検出されたか否か」、「窓ガラスの範囲内かつ所定範囲以上で所定の色が検出されたか否か」、「窓ガラスの範囲内で乗員もしくは荷物が検出されたか否か」の判定条件のうち、少なくとも1つについてスコアを算出し、算出されたスコアが所定値以上である場合に、妨げとなる物体が所定時間以上映っていると判定してもよい。もちろん3つの判定条件のすべてについてスコアが算出されてもよい。所定値については実験、シミュレーションを通じて求めることができる。
【0025】
判定部232によって算出されるスコアについて説明する。「窓ガラスの範囲内で所定の動きが検出されたか否か」の一例は、図2に示す範囲42内で車外の景色に関する動きベクトルが検出されたか否かを意味する。動きベクトルとは、車外の景色に映る物体の移動方向、移動量を表すものである。検出された動きベクトルの数が多いほど、スコアは小さくなる。一方で、検出された動きベクトルの数が少ないほど、スコアは大きくなる。検出された動きベクトルの数が少ないほど、映っている車外の景色が少ないといえ、視界は不良といえるからである。
【0026】
「窓ガラスの範囲内かつ所定範囲以上で所定の色が検出されたか否か」の一例は、図2に示す範囲42において、所定範囲以上に渡って曇りを示す色または泥を示す色が検出されたか否かを意味する。ここでいう所定範囲とは、例えば図2に示す範囲42の30%~100%である。図2に示す範囲42の30%~100%において、曇りを示す色または泥を示す色が付着している範囲が狭いほど、スコアは小さくなる。一方で、曇りを示す色または泥を示す色が付着している範囲が広いほど、スコアは大きくなる。曇りを示す色または泥を示す色が付着している範囲が広いほど、視界は不良といえるからである。
【0027】
「窓ガラスの範囲内で乗員または荷物が検出されたか否か」の一例は、図2に示す範囲42内で乗員70、71またはダンボール60が検出されたか否かを意味する。乗員70、71またはダンボール60が小さいほど、スコアは小さくなる。一方で、乗員70、71またはダンボール60が大きいほど、スコアは大きくなる。乗員70、71またはダンボール60が大きいほど、視界は不良といえるからである。また、乗員または荷物については、大きさだけではなく、人数、個数を考慮してもよい。この場合、検出された乗員の人数が多いほど、または、検出された荷物の個数が多いほど、スコアは大きくなる。検出された乗員の人数が多いほど、または、検出された荷物の個数が多いほど、視界は不良といえるからである。乗員もしくは荷物の大きさ、または数量に関しては、どちらか一方のみでスコアが算出されてもよく、両方を組み合せてスコアが算出されてもよい。
【0028】
次に、図5に示すフローチャートを参照して、運転支援装置1の一動作例を説明する。ステップS101において、画像取得部22は、インターフェース11,21を介して撮像部12によって撮像された画像を取得する。処理はステップS103に進み、範囲特定部231は、撮像部12によって撮像された画像を用いて画像に映る車内の窓ガラスの範囲を特定する。処理はステップS105に進み、判定部232は、上記で説明した動きベクトル、曇りを示す色または泥を示す色、乗員または荷物の大きさ、数量に関するスコアを算出する。処理はステップS107に進み、判定部232は、算出されたスコアを用いて、範囲特定部231によって特定された範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っているか否かを判定する。判定部232によって窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っていると判定された場合(ステップS109でYes)、処理はステップS111に進み、通知部25は視界不良である旨をユーザに通知する。判定部232によって窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っていると判定されない場合(ステップS109でNo)、一連の処理は終了する。なおステップS105に示すスコア算出は必須ではない。
【0029】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る運転支援装置1によれば、以下の作用効果が得られる。
【0030】
運転支援装置1は、車内を撮像する撮像部12と、撮像部12によって撮像された、静止画または動画を含む画像を用いて画像に映る車内の窓ガラスの範囲を特定する範囲特定部231と、範囲特定部231によって特定された窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っているか否かを判定する判定部232と、判定部232によって窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っていると判定された場合、視界不良である旨を通知する通知部25と、を備える。これにより、運転環境が好ましくないこと(視界不良であること)をユーザ(主にドライバ)に気づかせることが可能となる。また、視界不良であるか否かが自動的に判定されるため、ユーザが運転環境を確認するための時間を短縮させることが可能となる。窓ガラスには、フロントガラス、サイドガラス、及びリアガラスが含まれる。
【0031】
窓ガラスの範囲とは、撮像部12から車外の景色を撮像する際に妨げとなる物体が存在しない場合において画像に映る窓ガラスの範囲と定義される。したがって、窓ガラスの範囲とは、図2に示す範囲42を意味するものであり、図3図4に示す範囲42を意味するものではない。判定部232によって判定される判定条件には、窓ガラスの範囲内で所定の動きが検出されたか否か、窓ガラスの範囲内かつ所定範囲以上で所定の色が検出されたか否か、窓ガラスの範囲内で乗員もしくは荷物が検出されたか否か、またはこれらの組合せが含まれてもよい。これにより視界不良であるか否かを精度よく判定することが可能となる。
【0032】
判定部232は、判定条件の少なくとも1つについてスコアを算出してもよい。判定部232は、算出されたスコアが所定値以上である場合に窓ガラスの範囲内に車外の景色以外の物体が所定時間以上映っていると判定してもよい。これにより視界不良であるか否かを精度よく判定することが可能となる。スコアは、所定の色が付着している範囲が広いほど大きくなる、乗員もしくは荷物の大きさが大きいほど大きくなる、または、乗員の人数もしくは荷物の個数が多いほど大きくなる。所定の色の一例は、曇りを示す色または泥を示す色である。
【0033】
上述の実施形態に記載される各機能は、1または複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理回路は、また、記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や回路部品等の装置を含む。
【0034】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0035】
1 運転支援装置
12 撮像部
20 コントローラ
22 画像取得部
23 画像解析部
231 範囲特定部
232 判定部
25 通知部
図1
図2
図3
図4
図5