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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190887
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】電気接続構造体
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20221220BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221220BHJP
   H01R 4/2479 20180101ALN20221220BHJP
   H01R 4/58 20060101ALN20221220BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610A
H01R4/2479
H01R4/58 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099397
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 良也
(72)【発明者】
【氏名】金子 信崇
(72)【発明者】
【氏名】永田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 銀河
【テーマコード(参考)】
5E012
5G361
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E012BA33
5G361BA02
5G361BB01
5G361BC01
(57)【要約】
【課題】バスバー及びバスバーを収容するケースを含むブロックの着脱により、仕様差に対応可能であり、かつ、着脱作業性の良い電気接続構造体を提供する。
【解決手段】電気接続構造体1において、第2バスバーを収容する第2ケース22が、第1バスバー11を収容する第1ケース12に装着される。第1バスバー11と第2バスバーとが重ね合わされた状態で、ボルトBの軸部が、第1バスバー11及び第2バスバーに設けられた貫通孔に挿通されて、第2ケース22に設けられたナットの挿通孔に係止される。ボルトB及びナットの締結により、第1バスバー11と第2バスバーとが導通し、第1ケース12と第2ケース22とが固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1平板部を有し、前記第1平板部に第1貫通孔が設けられた第1バスバーと、
前記第1バスバーを収容する第1ケースと、
第2平板部を有し、前記第2平板部に第2貫通孔が設けられた第2バスバーと、
前記第2バスバーと導通する第1締結部材と、
前記第2バスバーを収容し、前記第1締結部材が設けられ、前記第1ケースに対して装着される第2ケースと、を備え、
前記第1締結部材及び前記第1締結部材と係合する第2締結部材のいずれか一方が、軸部と、前記軸部の一端側に設けられた頭部と、を有し、
前記第1締結部材及び前記第2締結部材の他方が、前記軸部が挿通されて前記軸部に係止される挿通孔を有し、
前記第2ケースが前記第1ケースに装着され、前記第1平板部と前記第2平板部とが重ね合わされた状態で、前記軸部が、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に挿通されて、前記挿通孔に係止されることにより、前記第1バスバーと前記第2バスバーとが導通し、前記第1ケースと前記第2ケースとが固定される、
電気接続構造体。
【請求項2】
前記第2バスバーは、ブースターケーブルのクリップ部の接続先になる導電性の救援端子を有する、
請求項1に記載の電気接続構造体。
【請求項3】
前記第2ケースは、前記軸部が挿通される第3貫通孔を有する端子を収容可能な端子収容室を有し、
前記端子は、前記第1バスバー及び前記第2バスバーに重ね合わされた状態で、前記軸部が、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔に挿通されて、前記挿通孔に係止されることにより、前記第1バスバー及び前記第2バスバーと導通し、前記端子収容室内に固定される、
請求項1又は2に記載の電気接続構造体。
【請求項4】
前記第2平板部の一端に、前記救援端子が設けられ、
前記第2平板部の他端に、前記第2貫通孔が設けられ、
前記軸部が挿通される第3貫通孔を有する端子が、前記第1バスバー及び前記第2バスバーに重ね合わされた状態で、前記軸部が、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔に挿通されて、前記挿通孔に係止される、
請求項2に記載の電気接続構造体。
【請求項5】
前記第2バスバー及び前記第2ケースが装着されない前記電気接続構造体は、ガソリンエンジン車両に搭載され、
前記第2バスバー及び前記第2ケースが装着された前記電気接続構造体は、ハイブリッドエンジン車両に搭載される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の電気接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される、ジャンクションボックスやヒューズボックス等の電気接続箱においては、車両の仕様により、電源入出力端子の有無等の、必要な回路構成が異なる。一例として、ハイブリッドエンジン車等の電動車両に搭載される電気接続箱には、他車両からバッテリーの充電を受けるための救援端子が設けられる。このように車両の仕様によって必要な回路構成は異なるものの、車両の仕様差に関係なく共通の電気接続箱を使用可能とするため、電気接続箱に、最大仕様の救援端子、バスバー、及び端子締結部を設けることが行われる。一方で、必要に応じてオプション回路を増設可能な電気接続箱が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-7424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の電気接続箱は、ベース回路用バスバーを含むベース回路を収容するベース箱本体と、オプション回路用バスバーを含むオプション回路を収容するオプション箱本体とを備える。この電気接続箱は、オプション箱本体がベース箱本体の周壁に対して着脱自在に装着可能とされる。また、ベース回路用バスバーに突設されたベース回路側接合部とオプション回路用バスバーに突設されたオプション回路側接合部が相互に接合される。この構成により、オプション回路が不要な際に、オプション箱本体を取り外して、無駄なスペースの発生を防いでいる。
【0005】
上記特許文献1においては、ベース回路用バスバーとオプション回路用バスバーとは、それぞれに設けた接合部を、別体形成された接合用板部材にそれぞれ重ね合わせて、メカニカルクリンチにより接合している。このためオプション回路の増設に際して、専用のポンチ及びダイを用いてベース回路用バスバーとオプション回路用バスバーとを接合する必要があり、電気接続箱に収容される電気接続構造体の組み付け作業性において改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バスバー及びバスバーを収容するケースを含むブロックの着脱により、仕様差に対応可能であり、かつ、着脱作業性の良い電気接続構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続構造体は、下記(1)~(5)を特徴としている。
第1平板部を有し、前記第1平板部に第1貫通孔が設けられた第1バスバーと、
前記第1バスバーを収容する第1ケースと、
第2平板部を有し、前記第2平板部に第2貫通孔が設けられた第2バスバーと、
前記第2バスバーと導通する第1締結部材と、
前記第2バスバーを収容し、前記第1締結部材が設けられ、前記第1ケースに対して装着される第2ケースと、を備え、
前記第1締結部材及び前記第1締結部材と係合する第2締結部材のいずれか一方が、軸部と、前記軸部の一端側に設けられた頭部と、を有し、
前記第1締結部材及び前記第2締結部材の他方が、前記軸部が挿通されて前記軸部に係止される挿通孔を有し、
前記第2ケースが前記第1ケースに装着され、前記第1平板部と前記第2平板部とが重ね合わされた状態で、前記軸部が、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に挿通されて、前記挿通孔に係止されることにより、前記第1バスバーと前記第2バスバーとが導通し、前記第1ケースと前記第2ケースとが固定される。
(2)前記第2バスバーは、ブースターケーブルのクリップ部の接続先になる導電性の救援端子を有する、
上記(1)に記載の電気接続構造体。
(3)前記第2ケースは、前記軸部が挿通される第3貫通孔を有する端子を収容可能な端子収容室を有し、
前記端子は、前記第1バスバー及び前記第2バスバーに重ね合わされた状態で、前記軸部が、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔に挿通されて、前記挿通孔に係止されることにより、前記第1バスバー及び前記第2バスバーと導通し、前記端子収容室内に固定される、
上記(1)又は(2)に記載の電気接続構造体。
(4)前記第2平板部の一端に、前記救援端子が設けられ、
前記第2平板部の他端に、前記第2貫通孔が設けられ、
前記軸部が挿通される第3貫通孔を有する端子が、前記第1バスバー及び前記第2バスバーに重ね合わされた状態で、前記軸部が、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔に挿通されて、前記挿通孔に係止される、
上記(2)に記載の電気接続構造体。
(5)前記第2バスバー及び前記第2ケースが装着されない前記電気接続構造体は、ガソリンエンジン車両に搭載され、
前記第2バスバー及び前記第2ケースが装着された前記電気接続構造体は、ハイブリッドエンジン車両に搭載される、
上記(1)~(4)のいずれか一に記載の電気接続構造体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バスバー及びバスバーを収容するケースを含むブロックの着脱により、電源入出力の有無による仕様差に対応可能であり、かつ、着脱作業性の良い電気接続箱を提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電気接続構造体の斜視図である。
図2図2は、図1に示す電気接続構造体において端子を取り外した状態を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示す電気接続構造体において端子及び第2ブロックを取り外した状態を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示した第2ブロックの斜視図である。
図5図5は、第2ブロックを前側から視た斜視図である。
図6図6は、第2ブロックの分解斜視図である。
図7図7は、図1に示した第1バスバーの斜視図である。
図8図8は、図1におけるA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る電気接続構造体1の斜視図である。図2は、電気接続構造体1において丸形端子Tを取り外した状態を示す斜視図である。図3は、電気接続構造体1において丸形端子T及び第2ブロック20を取り外した状態を示す斜視図である。図4は、図1に示した第2ブロック20の斜視図である。図5は、第2ブロック20を前側から視た斜視図である。図6は、第2ブロック20の分解斜視図である。図7は、図1に示した第1バスバー11の斜視図である。図8は、図1におけるA-A断面図である。以下、説明の便宜上、図1に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交する。
【0013】
電気接続構造体1は、自動車等の車両に搭載される、ジャンクションボックスやヒューズボックス等の電気接続箱に収容されて、電気接続箱の一部を構成する。電気接続箱は、バッテリーやオルタネータなどの電源と、車両に搭載される各種の補機等との間に接続され、電源から供給される電力を各種の電子部品等を介して補機等に分配する。
【0014】
電気接続構造体1は、図1に示すように、第1ブロック10と、第2ブロック20と、回路構造体30と、を備える。
図1に示す構成によれば、電気接続構造体1は、後述する救援端子212B(図6参照)を使用可能であり、丸形端子T(図2参照)を接続可能である。また、電気接続構造体1は、図2に示すように、第2ブロック20に丸形端子Tを接続せず、救援端子212Bを使用可能である。さらに、電気接続構造体1は、図3に示すように、第1ブロック10及び回路構造体30に対して第2ブロック20を装着せず、第1ブロック10及び回路構造体30のみを使用可能である。このように、電気接続構造体1は、第1ブロック10及び回路構造体30を基本構成として、仕様に応じて、第2ブロック20を増設可能とする。図1及び図2に示す、第2ブロック20が装着された電気接続構造体1は、ガソリンエンジン車両に搭載され、図3に示す、第2ブロック20が装着されない電気接続構造体1は、ハイブリッドエンジン車両に搭載される。
【0015】
(回路構造体30)
回路構造体30は、樹脂製のケースと、ケース内部の収容空間に収容される、配線用の導電性板材であるバスバーや、リレー、ヒューズ等の各種電気部品と、を有する。回路構造体30は、図3に示すように、上下方向に視て略L字状を呈する本体部31と、本体部31から右側に突出した突出部32とを有する。
【0016】
(第1ブロック10)
第1ブロック10は、導電性板材である第1バスバー11と、第1バスバー11を収容する絶縁樹脂製の第1ケース12とを有する。第1ブロック10は、回路構造体30に対して装着可能である。
【0017】
第1バスバー11は、図7に示すように、平板部111、112、及び屈曲部113、114を有する。第1バスバー11は、後述する第2バスバー21が接続された場合の最大電圧値に使用可能、すなわち最大仕様時用に設計されたものである。
【0018】
平板部111は、左右方向に延在する略矩形状部材であり、中央付近においてわずかに屈曲し、電気部品をするための複数の帯板状端子及び音叉端子を有する。
平板部112は、平板部111の右側端部から右方向に延びる略矩形状部材であり、円形の貫通孔11A(第1貫通孔)が設けられる。
屈曲部113は、平板部112の右側端部から右側に延びて後方に屈曲された屈曲板材の後端に、帯板状端子を有し、上下方向に視て略L字状を呈する。
屈曲部114は、平板部111の左側端部から前方に屈曲され、左方向に延びた後前方に屈曲された屈曲板材である。屈曲部114における、前後方向に延びる面であって、平板部111と離間した側の面が、端子接続部とされる。屈曲部114は、回路構造体30のケース内部に収容され、このケースに固定されたボルトに対して、一例として電源入力用の丸形端子が、ナットで締結されることにより、第1バスバー11の一端(左側端部)が回路構造体30に固定される。
【0019】
第1ケース12は、図3に示すようにケース本体121と突出部122とバスバー係止部123とを有し、係止機構を介して、回路構造体30に対して装着可能に組み付けられる。
【0020】
ケース本体121は、左右方向に延び、上面及び下面が開放された略直方体形状を有し、第1バスバー11の平板部111を収容する。ケース本体121は、内部に複数の係合爪を有し、第1バスバー11の複数の帯板状端子の基部にそれぞれ設けられた複数の開口部(図7参照)に係合する。
突出部122は、ケース本体121から右方向に突出し、平板部111の右側端部及び平板部112を収容する。突出部122は、内部に係合爪を有し、第1バスバー11の屈曲部113に設けられた開口部に係合する。突出部122は、前後方向の厚みが比較的小さい略直方体形状であって、前面、上面及び下面が開放された形状を有し、後面にU字状の輪郭を有する開口部122Aが設けられる。開口部122Aから、第1バスバー11の貫通孔11A及び貫通孔11A周辺の平板部112が露出する。
バスバー係止部123は、第1バスバー11の屈曲部113を収容する角柱状部材であり、バスバー係止部123の内壁面に設けられた係止機構によって第1バスバー11の他端(右側端部)を係止する。
【0021】
(第1ブロック10の組み付け)
第1バスバー11が、第1ケース12の下方から上昇し、平板部111がケース本体121内に挿入され、平板部112及び屈曲部113が突出部122内に挿入される。このように、第1バスバー11は、第1ケース12に収容され、複数の係合爪によって内部に保持される。第1ブロック10には、上方からリレー、ヒューズ等の電気部品が取り付けられる。
【0022】
(第2ブロック20)
第2ブロック20は、図6に示すように、導電性板材である第2バスバー21と、第2バスバー21を収容する絶縁樹脂製の第2ケース22と、第2ケース22内に固定されるナット23とを有する。第2ブロック20は、図4及び図5に示すように、後述するキャップC、ボルトB及びスタッドボルトSを有するが、図6においてはキャップC、ボルトB及びスタッドボルトSの図示を省略している。
【0023】
第2バスバー21は、図6に示すように、平板部211、平板部212(第2平板部)、屈曲部213、及び接続部214を有する。
平板部211は、左右方向に延在する略矩形状部材であり、右寄りの中間部においてわずかに屈曲する。
【0024】
平板部212は、平板部211の左側端部から後方に延びる延在部を介して、左側に延び、かつ、左右方向の長さよりも上下方向の長さが長い略矩形状板材である。平板部212は、下方の中央よりやや左寄りの位置に、円形の貫通孔21A(第2貫通孔)が設けられる。貫通孔21Aに挿通されたボルトBと、第2ケース22内に固定されたナット23とで、平板部212に図2に示す丸形端子Tが締結接続される。すなわち、平板部212は、下方側の一端が、丸形端子T等の端子が接続される接続部212Aとされる。丸形端子Tは、ボルトBの軸部B1が挿通される、円形の貫通孔T1(第3貫通孔)を一端に有し、他端に電線が接続される。平板部212は、上方側の他端が、救援端子212Bとされる。救援端子212Bは、バッテリーと電気的に接続され、ブースターケーブルのクリップ部の接続先になる。救援端子212Bに、ブースターケーブルのクリップ部が接続されることで、ハイブリッドエンジン車両のバッテリーを充電することが可能である。
【0025】
屈曲部213は、平板部212の右側端部の下端から前方に延び、上方に屈曲された板状部材である。屈曲部213は、左右方向に視てL字形状を有する。
接続部214は、屈曲部213における、平板部212と接続される箇所とは逆側の端部から、前方に延びる略正方形状板材である。接続部214は、中央に円形の貫通孔21Bを有する。貫通孔21Bには、第2ケース22内に固定されたスタッドボルトS(図4参照)の軸部が挿通される。
【0026】
第2ケース22は、図4に示すように端子収容部221と保護部220とバスバー収容部222とボルト保持部223とを有し、上下方向に視て略L字状を呈する。第2ケース22は、第2バスバー21を収容し、ナット23(図6参照)が内部に固定される。第2ケース22は、第1ブロック10の突出部122を内部に収容し、ボルトBとナット23とで締結されることにより、第1ケースに対して装着される。第2ケース22は、後述する複数の係止部Rを介して、回路構造体30に対して装着される。
【0027】
端子収容部221は、下面が開放された中空の略直方体形状を有し、内部に、丸形端子T(図2参照)を収容可能な端子収容室TCを有する。端子収容部221は、前面側の内壁に、ナット23のフランジ232の上端部及び左右側端部を挟持する溝を有し、ナット23を保持する。端子収容部221内において、図8に示すように、ナット23の後方には第2バスバー21の接続部212Aが接触して配置され、ナット23が第2バスバー21と電気的に接続される。端子収容部221は、上面の後端側から後面にかけて形成された開口部221Aを有する。
【0028】
開口部221Aは、第1ケース12の開口部122Aに対応する形状、すなわちU字状の輪郭を有する。開口部221Aは、図4に示すように、端子収容部221内に収容された第2バスバー21の接続部212Aを露出させる。開口部221Aを介して、丸形端子Tの取付及びボルトBの締結作業が可能となる。
【0029】
端子収容部221は、左側面において、矩形状の開口部221Bを有する。開口部221Bは、端子収容部221の左側面下端から上方に延びる。第2ブロック20を第1ブロック10に装着する際、端子収容部221の下方から、開口部221Bを介して、第1ブロック10の突出部122が端子収容室TC内に挿入されて収容される。
【0030】
保護部220は、端子収容部221の上方に設けられ、救援端子212Bを保護する。保護部220は、図4及び図5に示すように、キャップCと、支持部2201、2202、2203とを有する。
【0031】
キャップCは、救援端子212Bの上面及び左右側面を覆うカバー部と、カバー部の右側端部に設けられた回動軸と、カバー部の左側端部に設けられた係止爪とを有する。
支持部2201は、端子収容部221の右側壁から上方に延びて、キャップCの回動軸を支持する。支持部2201は、救援端子212Bの右側面を覆う。
支持部2202は、端子収容部221の前方かつ左側から上方に延びる部材であり、上部に、キャップCの係止爪に係合する係止部を有する。支持部2202は、救援端子212Bの左側面を覆う。
【0032】
支持部2203は、端子収容部221の上部前方側において上方に延び、前側に平面部を有する部材であり、救援端子212Bの後面を覆う。支持部2203の平面部は、救援端子212Bに沿って延び、救援端子212Bに対応する形状を有する。
【0033】
救援端子212Bを使用する際、作業者は、キャップCの係止爪を押して係止部との係合を解除してキャップCを回動軸周りに回動して、救援端子212Bを露出させる。ブースターケーブルのクリップ部にて、救援端子212Bと支持部2203とを合わせて挟持する。
【0034】
バスバー収容部222は、端子収容部221から右側に延び、上面及び下面が開放された略直方体形状の部材であり、第2バスバー21の平板部211を収容する。バスバー収容部222の内部には係合爪が設けられ、第2バスバー21の平板部211に設けられた開口部に係合する。バスバー収容部222は、後面における左右方向の中央に係止部Rを有する。係止部Rは、ロック部R1と、ロック部R1の左右側に設けられた一対のスライド部R2とを有し、回路構造体30に設けられた係止機構にスライド係止される。
【0035】
ボルト保持部223は、バスバー収容部222の右側端部から前方に延びる部材であり、図6に示すように、載置部2231と固定部2232とを有する。
【0036】
載置部2231は、第2バスバー21の屈曲部213に沿う形状を有し、第2バスバー21を介して、図1等に示すように回路構造体30の突出部32が載置される。載置部2231の前側及び後側の各立壁は対向面にそれぞれ係合爪が設けられる。これらの係合爪は、第2バスバー21の屈曲部213に対応して設けられた開口部に係合する。
【0037】
固定部2232は、載置部2231に連続して設けられた略直方体形状の部材であり、上部に、スタッドボルトSのフランジF(図4参照)を挟持する収容部を有し、スタッドボルトSを固定する。固定部2232の前面及び左側面には、図5に示すように係止部Rが設けられ、回路構造体30に設けられた係止機構にスライド係止される。
【0038】
ナット23は、中央に円筒状の貫通孔を有する円筒部231と、円筒部231の前側に設けられ、中央に円形の貫通孔を有するフランジ232と、を有する。円筒部231の貫通孔及びフランジ232に連続する貫通孔は、内周面に螺旋状のねじ溝が設けられた挿通孔233であり、内部にボルトBが挿通される。
【0039】
ボルトBは、図8に示すように、軸部B1と、軸部B1の一端側に設けられた頭部B2と、を有するスタッドボルトである。軸部B1の外周面には螺旋状のねじ山が設けられ、ナット23のねじ溝と螺合する。すなわち、ナット23の挿通孔233は、ボルトBの軸部B1が挿通されて軸部B1に係止される。
【0040】
(第2ブロック20の組み付け)
以上のように構成された第2ブロック20の組み付けについて図6を参照して説明する。第2バスバー21は、第2ケース22の上方から下降して、接続部212Aが端子収容部221内に挿入され、平板部211がバスバー収容部222内に挿入され、屈曲部213及び接続部214が載置部2231及び固定部2232上に載置される。このように、第2バスバー21は、第2ケース22に収容され、3か所の係合爪によって内部に保持される。第2バスバー21を収容した第2ケース22の保護部220には、キャップCが回動自在に取り付けられる。
【0041】
一方、ナット23は、第2ケース22の下方から上昇して、端子収容部221内に挿入され、フランジ232の上端部及び左右側端部が、端子収容部221内の溝に挟持されて固定される。
【0042】
(第1ブロック10及び回路構造体30に対する第2ブロック20の装着)
第1ブロック10及び回路構造体30に対する第2ブロック20の装着について説明する。第2ブロック20を増設する場合、上記のように組み付けた第2ブロック20を、回路構造体30に装着する前の第1ブロック10に対して装着する。
【0043】
第1ブロック10の右側上方に第2ブロック20を配置し、端子収容部221の下方から、開口部221Bを介して、第1ブロック10の突出部122を端子収容室TC内に挿入し、平板部112と平板部212の接続部212Aとを重ね合わせた状態とする。そして、端子収容室TC内に突出部122が収容された状態の第1ブロック10及び第2ブロック20を、回路構造体30に、下方から近接させ、本体部31のケースに設けられた開口部を介して、屈曲部114を本体部31のケース内部に挿入する。
【0044】
このとき、突出部32が載置部2231に載置され、第1ケース12及び第2ケース22の外周に設けられた係止機構により、回路構造体30に第1ブロック10及び第2ブロック20が係止される。すなわち、平板部112と平板部212の接続部212Aとが重ね合わされた状態で、第2ケース22が第1ケース12に装着される。
【0045】
第2ブロック20が第1ブロック10に装着されて回路構造体30に係止されると、突出部122は、突出部122におけるケース本体121との接続部分の上端が、端子収容部221の左側面において開口部221Bの上縁を形成する部分に当接して配置される。また、ケース本体121の右側面と端子収容部221の左側面とが当接して配置される。
【0046】
接続部212Aに丸形端子Tを接続する場合(図1参照)には、丸形端子Tが平板部112及び接続部212Aに重ね合わされた状態とする。図8に示すように、開口部22A及び開口部12Aを介して、ボルトBを端子収容室TC内に挿入し、軸部B1を貫通孔T1、11A、21Aに挿通する。接続部212Aがナット23の円筒部231後端面に当接し、接続部212A、平板部112、及び丸形端子Tの一端が互いに密着した状態で、頭部B2の前端面が、丸形端子Tの後面に当接して、軸部B1がナット23の挿通孔233に螺合されて係止される。よって、頭部B2の前端面とナット23の円筒部231後端面との間に、平板部112、接続部212A、及び丸形端子Tが挟持されて、締結される。このように、救援端子212Bの下方に丸形端子Tを接続した状態で、第2ブロック20が、第1ブロック10及び回路構造体30に固定される。
【0047】
一方、図2に示すように接続部212Aに丸形端子Tを接続しない場合には、接続部212Aがナット23の円筒部231後端面に当接し、接続部212A及び平板部112が互いに密着した状態とする。この状態において、頭部B2の前端面が平板部112の後面に当接するまで軸部B1を回転させると、接続部212A及び平板部112がボルトB及びナット23によって締結される。このように、救援端子212Bを含む第2ブロック20が、第1ブロック10及び回路構造体30に固定される。
【0048】
以上説明したように、電気接続構造体1によれば、第2ケース22を第1ケース12に装着し、平板部112と接続部212Aとが重ね合わされた状態で、ボルトB及びナット23によって第1バスバー11及び第2バスバー21を締結する。この締結により、第1バスバー11と第2バスバー21とが導通し、第1ケース12と第2ケース22とが固定される。このため、上記構成の電気接続構造体1が収容される電気接続箱において、第1バスバー11及び第1ケース12を含む第1ブロック10を、仕様によらず共通して使用し、必要に応じて、第2バスバー21及び第2ケース22を含む第2ブロック20を増設できる。すなわち、第2ブロック20の着脱により、電源入出力の有無による仕様差に対応可能となる。
【0049】
また、電気接続構造体1によれば、第2ケース22にナット23が固定され、ボルトBの軸部B1が貫通孔11A、21Aに挿通されて、ナット23の挿通孔233に係止される。このように、ボルトBとナット23との締結により、第1バスバー11と第2バスバー21とを固定でき、かつ、第1ケース12と第2ケース22とを固定できるため、第2バスバー21を含む第2ブロック20の着脱を作業性よく行うことができる。
【0050】
さらに、電気接続構造体1によれば、救援端子212B及び貫通孔21Aが平板部212に配置され、平板部212の接続部212Aにおける貫通孔21Aの周縁部に、平板部112を介して丸形端子Tが接続される。よって、救援端子212B及び丸形端子Tが上下方向に並んで配置される。よって、スペース効率を悪化させずに丸形端子Tを締結できる。
【0051】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。例えば、上記実施形態では、ボルトBと、第2ブロック20に固定されたナット23とが締結部材である例を示したが、第2ブロック20にボルトが固定され、ナットが外部からこのボルトに係合してもよい。
【0052】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る電気接続構造体1の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1]第1平板部(平板部112)を有し、前記第1平板部に第1貫通孔(貫通孔11A)が設けられた第1バスバー(11)と、
前記第1バスバーを収容する第1ケース(12)と、
第2平板部(平板部212)を有し、前記第2平板部に第2貫通孔(貫通孔21A)が設けられた第2バスバー(21)と、
前記第2バスバーと導通する第1締結部材(ナット23)と、
前記第2バスバーを収容し、前記第1締結部材が設けられ、前記第1ケースに対して装着される第2ケース(22)と、を備え、
前記第1締結部材(ナット23)及び前記第1締結部材と係合する第2締結部材(ボルトB)のいずれか一方が、軸部(B1)と、前記軸部の一端側に設けられた頭部(B2)と、を有し、
前記第1締結部材及び前記第2締結部材の他方が、前記軸部が挿通されて前記軸部に係止される挿通孔(233)を有し、
前記第2ケースが前記第1ケースに装着され、前記第1平板部と前記第2平板部とが重ね合わされた状態で、前記軸部が、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に挿通されて、前記挿通孔に係止されることにより、前記第1バスバーと前記第2バスバーとが導通し、前記第1ケースと前記第2ケースとが固定される、
電気接続構造体(1)。
[2]前記第2バスバーは、ブースターケーブルのクリップ部の接続先になる導電性の救援端子(212B)を有する、
上記[1]に記載の電気接続構造体。
[3]前記第2ケースは、前記軸部が挿通される第3貫通孔(貫通孔T1)を有する端子(丸形端子T)を収容可能な端子収容室(TC)を有し、
前記端子は、前記第1バスバー及び前記第2バスバーに重ね合わされた状態で、前記軸部が、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔に挿通されて、前記挿通孔に係止されることにより、前記第1バスバー及び前記第2バスバーと導通し、前記端子収容室内に固定される、
上記[1]又は[2]に記載の電気接続構造体。
[4]前記第2平板部の一端に、前記救援端子が設けられ、
前記第2平板部の他端に、前記第2貫通孔が設けられ、
前記軸部が挿通される第3貫通孔(T1)を有する端子(丸形端子T)が、前記第1バスバー及び前記第2バスバーに重ね合わされた状態で、前記軸部が、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔に挿通されて、前記挿通孔に係止される、
上記[2]に記載の電気接続構造体。
[5]前記第2バスバー及び前記第2ケースが装着されない前記電気接続構造体は、ガソリンエンジン車両に搭載され、
前記第2バスバー及び前記第2ケースが装着された前記電気接続構造体は、ハイブリッドエンジン車両に搭載される、
上記[1]~[4]のいずれかに記載の電気接続構造体。
【0053】
上記[1]の構成によれば、第2ケースを第1ケースに装着し、第1バスバーの第1平板部と第2バスバーの第2平板部とが重ね合わされた状態で、第1及び第2締結部材によって締結する。この締結により、第1バスバーと第2バスバーとが導通し、第1ケースと第2ケースとが固定される。このため、上記構成の電気接続構造体が収容される電気接続箱において、第1バスバー及び第1ケースを含む第1ブロックを、仕様によらず共通して使用し、必要に応じて、第2バスバー及び第2ケースを含む第2ブロックを増設できる。すなわち、第2ブロックの着脱により、電源入出力の有無による仕様差に対応可能である。
また、上記[1]の構成によれば、第2ケースに第1締結部材が設けられ、第2締結部材によって第1バスバーと第2バスバーとを締結できるため、第2バスバーを含む第2ブロックの着脱を作業性よく行うことができる。
【0054】
上記[2]の構成によれば、救援端子を有しない電気接続構造体に対して、救援端子を増設できる。よって、救援端子が不要な仕様にも適用できるように、予め救援端子を設けた電気接続構造体を用いる場合と比較して、低コストで、各仕様に応じた構造を実現できる。
【0055】
上記[3]の構成によれば、第1バスバーと第2バスバーとの締結箇所に端子を共締めできるので、端子による電源入出力線の接続を容易に行うことができる。
【0056】
上記[4]の構成によれば、救援端子及び第2貫通孔が第2平板部に配置され、第2平板部における第2貫通孔の周縁部に端子が接続されるので、救援端子及び端子が一方向に並んで配置される。よって、スペース効率を悪化させずに端子を締結できる。
【0057】
上記[5]の構成によれば、ガソリンエンジン車両用の電気接続構造体とハイブリッドエンジン車両用の電気接続構造体とで、第1バスバー及び第1ケースを共用でき、ガソリンエンジン車両用の電気接続構造体の製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0058】
1 電気接続構造体
10 第1ブロック
11 第1バスバー
11A、21A、21B、T1 貫通孔
12 第1ケース
12A 開口部
20 第2ブロック
21 第2バスバー
22 第2ケース
22A、122A、221A、221B 開口部
23 ナット
30 回路構造体
31 本体部
32 突出部
111、112、211、212 平板部
113、114、213 屈曲部
121 ケース本体
122 突出部
123 バスバー係止部
212A、214 接続部
212B 救援端子
220 保護部
221 端子収容部
222 バスバー収容部
223 ボルト保持部
231 円筒部
232、F フランジ
233 挿通孔
2201、2202、2203 支持部
2231 載置部
2232 固定部
B ボルト
B1 軸部
B2 頭部
C キャップ
R 係止部
S スタッドボルト
T 丸形端子
TC 端子収容室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8