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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190896
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】予測システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20221220BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20221220BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099407
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】竹村 真也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】施設の利用状況に基づいてサービスの提供に要する時間を適切に予測できる予測できる予測システムを提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、予測システムは、撮影部、解析部及び予測部を具備する。撮影部は、施設において検知対象を撮影する。解析部は、撮影部が撮影する撮影データに基づいて、検知対象の属性を特定する。予測部は、検知対象の属性に基づいて、検知対象及び施設に関連する作業に要する作業時間に対応する作業指標を予測する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設において検知対象を撮影する撮影部と;
前記撮影部が撮影する撮影データに基づいて、前記検知対象の属性を特定する解析部と;
前記検知対象の属性に基づいて、前記施設で行う作業の作業指標を予測する予測部と;
を具備する、予測システム。
【請求項2】
前記検知対象の属性は、前記検知対象において経時的に固定された固定属性及び前記検知対象において経時的に変化する変動属性の少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の予測システム。
【請求項3】
前記検知対象は、前記施設を利用する利用者に関連する前記検知対象であり、
前記作業指標は、前記施設の前記利用者に関連する作業の前記作業指標である、
請求項1又は2に記載の予測システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等の施設では、施設に従事する作業者が、施設の利用者に所定のサービスを提供する。例えば、店舗では、店員のうちレジ担当者が、買い物客の商品を精算することがある。買い物客の人数が多い場合や、買い物客の購入する商品の数が多い場合等には、精算に要する時間が長くなる。このような場合、店舗は、レジ担当者の人数を増員することにより、円滑に会計を行うことができる。このように、施設は、適切なタイミングで所定のサービスを利用者に提供するため、施設の利用状況に基づいてサービスの提供に要する時間を適切に把握することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-135806号公報
【特許文献2】特開2021-026386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、施設の利用状況に基づいてサービスの提供に要する時間を適切に予測できる予測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、予測システムは、撮影部、解析部及び予測部を具備する。撮影部は、施設において検知対象を撮影する。解析部は、撮影部が撮影する撮影データに基づいて、検知対象の属性を特定する。予測部は、検知対象の属性に基づいて、検知対象及び施設に関連する作業に要する作業時間に対応する作業指標を予測する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、施設の利用状況に基づいてサービスの提供に要する時間を適切に予測できる予測システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る予測システムの一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る予測システムが店舗で使用される例において、解析部が撮影データを解析した解析結果を、属性項目ごとに示す表である。
図3図3は、実施形態に係る予測システムが店舗で使用される例において、予測部が作業指標を計算するときに用いられる、属性項目の属性と作業指標との対応関係を示す表である。
図4図4は、実施形態に係る予測システムが店舗で使用される例において、予測部が図2に示す解析結果及び図3に示す対応関係に基づいて、属性項目の属性を作業指標に対応させた結果を示す表である。
図5図5は、実施形態に係る予測システムが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の予測システム(100)は、撮影部(103)、解析部(106)及び予測部(107)を具備する。撮影部(103)は、施設において検知対象を撮影する。解析部(106)は、撮影部(103)が撮影する撮影データに基づいて、検知対象の属性を解析する。予測部(107)は、検知対象の属性に基づいて、検知対象及び施設に関連する作業の作業指標を予測する。これにより、予測システム(100)は、施設の利用状況に基づいてサービスの提供に要する時間を適切に予測できる。
【0009】
実施形態の予測システム(100)では、検知対象の属性は、検知対象において経時的に固定された固定属性及び検知対象において経時的に変化する変動属性の少なくとも一方を含む。これにより、予測システム(100)は、施設の利用状況に基づいてサービスの提供に要する時間を適切に予測できる。
【0010】
実施形態の予測システム(100)では、検知対象は、施設を利用する利用者に関連する検知対象である。作業指標は、施設の利用者に関連する作業の作業指標である。これにより、予測システム(100)は、施設の利用状況に基づいてサービスの提供に要する時間を適切に予測できる。
【0011】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(実施形態)
実施形態に係る予測システム100は、例えば、撮影装置101が設置される施設において使用される。施設としては、例えば、小売店の店舗等(スーパー、コンビニエンスストア等)が挙げられる。店舗の客が店舗で買い物をする場合、店舗の客によって、購入する商品数や購入に要する時間が異なる。そのため、例えば、商品の会計を担当する従業員(レジ担当)がある程度いたとしても、店舗の客が購入する商品の選択を終えた後に商品の会計を行うとき、円滑に会計を進めることが難しい場合がある。本実施形態の予測システム100は、対象作業が実施される前に、検知対象としての施設の利用者が有する属性に基づいて、対象作業の作業指標を予測する。これにより、施設の従業員や管理者は、対象作業を行う従業員をあらかじめ増員する等の対応を行うことで、施設の利用者に円滑にサービスを提供することができる。
【0013】
図1は、実施形態に係る予測システム100の一例を概略的に示すブロック図である。予測システム100は、撮影装置101及び処理装置102を備える。撮影装置101は、予測システム100が使用される施設に設置される。撮影装置101は、例えば、入口や、予測システム100が使用される施設が店舗の場合は陳列棚、陳列ラックなどを撮影する。撮影装置101は、撮影部103及び通信部104を備える。また、処理装置102は、予測システム100が使用される施設を管理する施設管理者や、撮像装置101が設置されたテナントの入居者・管理者等が、利用する。処理装置102は、制御部105、解析部106、予測部107、記憶部108、通信部109及び告知部110を具備する。制御部105は、解析部106及び予測部107を含む。撮影装置101及び処理装置102は、通信部104,109を介して互いに通信可能である。なお、通信部104,109は、互いに通信可能に構成されていれば、無線通信を行う構成であってもよく、有線ケーブルにより接続されていてもよい。
【0014】
撮影部103は、予測システム100が使用される施設において検知対象を撮影する。撮影部103は、例えば、カメラである。撮影部103は、当該施設の検知対象を撮影した撮影データを生成する。撮影データは、通信部104から通信部109に送信されることで、処理装置102に渡される。撮影データは、画像及び/又は動画である。そのため、予測システム100は、撮影部103により、予測システム100が使用される施設の検知対象を画像として取得し、予測システム100が使用される施設の検知対象の経時的な変化を動画として取得する。なお、撮影データは、撮影部103で生成されるだけでなく、処理装置102の制御部105により適宜加工等なされてもよい。
【0015】
処理装置102は、例えばコンピュータであり、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。記憶媒体には、メモリ等の主記憶装置に加え、補助記憶装置が含まれ得る。記憶媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、及び、半導体メモリ等が挙げられる。処理装置102では、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。処理装置102では、プロセッサは、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。また、処理装置102では、プロセッサによって実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークを介して接続されたコンピュータ(サーバ)、又は、クラウド環境のサーバ等に格納されてもよい。この場合、プロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。処理装置102において、制御部105、解析部106及び予測部107は、処理装置102に備えられるプロセッサで実行される処理の少なくとも一部を実行する。また、処理装置102の記憶媒体が、記憶部108として機能する。
【0016】
なお、処理装置102には、ユーザーインターフェースが設けられてもよい。ユーザーインターフェースでは、利用者によって各種の操作等が入力されるとともに、利用者に告知する情報等が表示等によって告知される。ユーザーインターフェースは、ディスプレイなどの表示部であったり、タッチパネルやキーボードなどの入力部であったりする。ユーザーインターフェースは、例えば、制御部105とは別体に設けられていてもよい。
【0017】
ある一例では、処理装置102は、撮影装置101とネットワークを介して通信可能なサーバである。すなわち、処理装置102が、通信部104,109を介して、撮影装置101と通信可能である。処理装置102は、撮影装置101に設けられる処理装置等を、セカンダリー(スレーブ)の制御装置として使用することにより、撮影装置101の撮影部103を制御できる。
【0018】
別のある一例では、処理装置102は、クラウド環境に構築されるクラウドサーバである。この場合、クラウド環境のインフラは、仮想CPU等の仮想プロセッサ及びクラウドメモリによって、構成される。仮想プロセッサによって実行される処理の一部を、制御部105、解析部106及び予測部107が実行する。そしてクラウドメモリが記憶部108として機能する。なお、記憶部108は、処理装置102とは別の処理装置に設けられてもよい。別の処理装置は、処理装置102とは別のコンピュータ等である。この場合、処理装置102は、記憶部108等が設けられるコンピュータにネットワークを介して接続される。
【0019】
解析部106は、撮影部103で生成された撮影データに基づいて、検知対象の属性を解析する(特定する)。検知対象は、例えば、予測システム100が使用される施設の利用者等の人物である。また、一人の人物(個人単位)を検知対象としてもよいし、複数の人物(グループ単位)を検知対象としてもよい。検知対象の属性は、施設を利用するときの検知対象の特徴を示す情報であり、検知対象が施設において使用する物品等を含む。予測システム100では、属性として、複数の属性を適宜設定することができる。属性は、例えば、処理装置102に設けられるユーザーインターフェースを介して、予測システム100が使用される施設に応じて設定される。そして、属性に設定される内容が、検知対象の属性内容である。本実施形態では、検知対象の属性が、固定属性及び変動属性の少なくとも一方を含むことが好ましい。固定属性は、検知対象において経時的に固定された属性である。変動属性は、検知対象において経時的に変化する属性である。検知対象が、前述のように施設の利用者等の人物である場合、固定属性は例えば性別や人数であり、変動属性は例えば使用物品数である。この例によれば、固定属性において「人数」が属性の1つであり、「1人」が属性内容の1つであり、変動属性において「使用物品数」が属性の1つであり、「2つ」が属性内容の1つである。なお、複数の固定属性のそれぞれは、互いに組み合わせて使用されてもよい。ある一例では、「性別」と「人数」とを組み合わせることにより、固定属性として「性別人数」が用いられる。この場合、例えば、「性別人数」が固定属性の1つであり、「男性1人」が属性内容の1つである。
【0020】
解析部106は、撮影データに含まれる画像に基づいて検知対象の属性を解析する。また、解析部106は、撮影データに含まれる動画に撮影された検知対象の経時的な動き(動作)に基づいて、検知対象の属性を解析する。ある一例では、解析部106は、撮影データの動画を画像と併せて解析することで、検知対象の属性を解析する。これにより、撮影データの画像のみでは検知対象の属性の解析が難しい場合であっても、解析部106は、適切に検知対象の属性を解析することができる。
【0021】
予測部107は、検知対象の属性に基づいて、検知対象及び施設の少なくとも一方に関連する作業の作業指標を予測する。作業指標は、検知対象及び/又は施設に関連する作業の完了に要する時間に関連する指標である。ある一例では、作業指標は、施設の利用者に関連する作業の完了に要する時間に関連する指標である。作業指標は、作業指標に対応する作業に対して重み付けされた指標で表される。そのため、作業指標は、少なくとも同一の属性内の属性内容を、互いに偏りなく評価可能に設定されることが好ましい。施設が店舗である場合、作業は、例えば、商品の陳列作業、商品の会計作業、顧客の誘導作業等である。この指標は、直接的に作業時間を示す指標であってもよく、間接的に作業時間を示す指標であってもよい。例えば、作業指標は、所定の作業に対してある作業時間を要する原因に関連する指標であってもよく、所定の作業に要する作業時間そのものを指標としてもよい。なお、作業指標は、予測部107が検知対象の属性に基づいて作業の重みを適切に評価できる指標であれば、特に限定されるものではない。
【0022】
本実施形態の予測システム100がスーパー等の小売店の店舗で使用される場合、撮影データは、例えば、検出対象としての客の店舗への入店状況を撮影したデータである。この場合、予測システム100で使用される撮影装置101は、店舗への入店状況を撮影できる箇所に設置されることが好ましい。すなわち、撮影装置101は、検知対象としての客を、店舗への入店時に撮影できることが好ましい。このようにすることで、客の入店時から時間が可能な限り経過しない時点で、予測システムを用いて作業指標を予測することができる。また、入店状況を俯瞰的に撮影するため、撮影装置101は、店舗において鉛直方向の高い位置に設置されることが好ましい。撮影装置101の設置箇所は、例えば、壁において天井に近い位置、天井等である。なお、撮影装置101は、天井に設置される照明に備えられていてもよい。
【0023】
撮影装置101は、撮影部103が客の入店状況を撮影した撮影データを、通信部104を介して処理装置102に送信する。処理装置102は、通信部109を介して撮影データを受信する。制御部105は、受信した撮影データに基づいて、作業指標を予測する。予測された作業指標は、告知部110に表示等されて、店舗の従業員等に告知される。以下、店舗の例において、解析部106及び予測部107が実行する処理内容の一例を、図2図4を用いて具体的に説明する。
【0024】
解析部106は、前述のように、撮影データに基づいて、検知対象を解析する。店舗の例では、解析部106は、撮影データに基づいて、検知対象としての客を識別する。図2は、前述の店舗の例において、解析部106が撮影データを解析した解析結果を、属性ごとに示す表である。検知対象番号は、撮影データにおいて検知された検知対象に付される番号である。検知対象番号は、例えば、検知対象ごとに異なる値である。本例では、撮影データから検知された順に検知対象番号が付される。この検知対象番号は、一定期間ごと(例えば、1日ごと、1週間ごと、1か月ごと、1年ごとなど)にリセットされて新しく1から付与されるように構成してもよいし、予測システム100の運用開始時から継続して異なる番号を付与し続けるように構成してもよい。属性は、検知対象の属性を識別する。本例の属性は、商品移動用具及び商品量である。商品移動用具は、店舗で客が購入する予定の商品を入れて店舗内を移動するための用具である。商品移動用具の属性内容は、例えば、買い物カゴ、買い物カート等である。買い物カートについては、大型、小型、チャイルドシート付き、子供が乗り込む乗り物形態、など、属性がさらに細分化されていてもよい。商品量は、商品移動用具に入っている商品の量である。図2の例では、商品量の属性内容が6段階で示される。商品量の属性内容は、商品量が最も多い状態から商品量がない状態の順に、「とても多い」「多い」「普通」「少ない」「とても少ない」「なし」である。本例において、商品移動用具は固定属性の1つであり、商品量は変動属性の1つである。
【0025】
なお、解析結果は、解析部106から記憶部108に出力されて記憶部108に記憶されてもよく、記憶部108に記憶されることなく解析部106から予測部107に出力されてもよい。記憶部108に出力される場合、予測部107は、解析結果を必要とする時点において、都度、記憶部108から解析結果を読み出す。
【0026】
図2に示す店舗の解析結果は、解析部106が撮影データに基づいて検知対象として5人の客を解析した結果の例である。検知対象番号1の客は、商品移動用具として買い物カゴを使用し、商品量はとても少ない。検知対象番号2の客は、商品移動用具として買い物カゴを使用し、商品量が普通である。検知対象番号3の客は、商品移動用具として買い物カートを使用し、商品量がとても多い。検知対象番号4の客は、商品移動用具として買い物カートを使用し、食品量は多い。検知対象番号5の客は、商品移動用具を使用せず、商品量はない。このように、解析部106は、検知対象ごとに、検知対象番号、商品移動用具及び商品量を互いに関連付けて解析する。
【0027】
予測部107は、前述した解析部106の解析結果に基づいて、作業指標を算出する。図3は、予測部107が作業指標を算出するときに用いる、属性(属性内容)と作業指標との対応関係を示す表である。図3の一例では、作業指標は数値で表される。属性「商品移動用具」について、属性内容「なし」に対応する作業指標は「3」であり、属性「買い物カゴ」に対応する作業指標は「6」であり、属性「買い物カート」に対応する作業指標は「10」である。また、属性「商品量」について、属性内容「なし」に対応する作業指標は「0」であり、属性内容「とても少ない」に対応する作業指標は「1」であり、属性内容「少ない」に対応する作業指標は「2」であり、属性内容「普通」に対応する作業指標は「3」であり、属性内容「多い」に対応する作業指標は「4」であり、属性内容「とても多い」に対応する作業指標は「5」である。このような対応関係は、予測システム100においてあらかじめ記憶部108に記憶される。予測部107は、対応関係を必要とする時点において、都度、記憶部108から対応関係を読み出す。
【0028】
図4は、予測部107が、図2に示す解析結果を図3に示す対応関係に基づいて、検知対象ごとの作業指標を算出した結果を示す表である。検知対象番号1の客について、属性「商品移動用具」の属性内容は「買い物カゴ」であるため、これに対応する作業指標は「6」である。また、属性「商品量」の属性内容は「とても少ない」であるため、これに対応する作業指標は「1」である。よって、検知対象番号1の客における作業指標の合計(総作業指標)は「7」である。検知対象番号1の客と同様にして、検知対象番号2~5の客それぞれについて、属性に作業指標を対応付けて総作業指標を算出すると、検知対象番号2の客における総作業指標は「9」、検知対象番号3の客における総作業指標は「9」、検知対象番号3の客における総作業指標は「15」、検知対象番号4の客における総作業指標は「14」、検知対象番号5の客における総作業指標は「3」である。そして、予測部107は、検知対象番号ごとの総作業指標に基づいて、全作業指標を算出する。本例の全作業指標は、総作業指標のすべてを合計することにより算出され、「48」となる。
【0029】
なお、上述したように属性については、固定属性及び変動属性が存在するが、総作業指数を算出するにあたって、どちらかに重みづけを行ってもよい。例えば、変動属性の作業指標は、時間が経つにつれて変化するおそれがあるため、固定属性の作業指針の影響が大きくなるように重みづけを行う。この場合、総作業指標を算出する際に、固定属性の作業指標をX倍(X>1)する、もしくは変動属性の作業指標をY倍(0<Y<1)した後に、総作業指標を算出すればよい。
【0030】
告知部110は、予測部107が算出した作業指標を、予測システム100を使用する店舗の従業員等に告知する。告知部110が作業指標を告知する形式は特に限定されるものではない。例えば、告知部110は予測された作業指標そのものを表示することで告知してもよく、作業指標に基づいたグラフ等を作成してグラフィカルに表示してもよく、総作業指標のみを告知してもよい。また、告知部110は、作業指標が所定の値を超えたことに基づいて、告知音により作業指標の増加を告知してもよい。これらの内容は、告知部110が、通信部109を介して、店舗の従業員等が所持する通信端末に送信されてもよい。このようにして、従業員等は、作業指標に基づいて、店舗における従業員の配置やシフトをあらかじめ適切に調整することができる。
【0031】
また、この告知部110への告知内容は、制御部105で判断してもよく、例えば、制御部105は全作業指標の経時的な変化に応じて、将来の状態を予測し、その予測された状態に適した告知を従業員等に行うように判断する。この判断は、解析部106で行われてもよいし、予測部107で行われてもよいし、制御部105は告知判断部(図1には図示せず)を備えていて、告知判断部で行われてもよい。
【0032】
なお、予測システム100では、作業指標の算出は所定のタイミングで繰り返し実行される。作業指標の算出は、例えば、10秒に1回実行される。これにより、予測システム100は、作業指標を更新し続ける。作業指標の更新頻度は、予測システム100が使用される施設において、適宜設定することができる。このようにして取得された作業指標は、所定の時間幅を1つの時間帯とする複数の時間帯ごとに分割されて、記憶部108に書き込まれることにより保存される。ある一例では、30分(1800秒)を1つの時間帯として作業指標が記憶部108に書き込まれる。作業指標が10秒に1回更新される場合、作業指標は、180回ごとに分割されて、記憶部108に書き込まれる。記憶部108に保存された作業指標は、例えば、日時、検知対象番号、検知対象、属性及び属性内容と関連付けられて、作業指標に関連するデータとして保存されてもよい。なお、記憶部108に書き込まれるのは、全作業指標だけであってもよい。この場合、日時と検知対象番号とが関連付けられて保存される。検知対象番号を関連付ける理由の一つは、ある時間帯での施設内にいる人数を、全作業指標と関連付けるためである。
【0033】
図5は、前述した予測システム100が実行する全作業指標を算出(予測)する処理の一例を示すフローチャートである。図5の処理は、予測システム100において作業指標が予測されるたびに、予測システム100によって実行される。したがって、図5の処理は、予測システム100の1回の予測において実行される処理の一例を示す。
【0034】
予測システム100は、撮影装置101において、撮影部103が施設の状況を撮影した撮影データを生成する(S501)。生成された撮影データは、通信部104,109を介して、処理装置102に送信される。処理装置102では、制御部105において、解析部106が撮影データに基づいて、検知対象の属性を解析し、特定する(S502)。解析された検知対象の属性に基づいて、予測部107は、属性を作業指標に変換し、作業指標を設定する(S503)。予測部107は、検知対象の作業指標に基づいて、総作業指標を算出する(S504)。これにより、予測システム100は、施設の利用状況を全作業指標として、予測することができる。なお上述したように、全作業指標を算出(予測)した後は、算出(予測)された全作業指標に応じた告知が行われる。
【0035】
前述のように本実施形態の予測システム100は、撮影部103、解析部106及び予測部107を具備する。撮影部103は、施設において検知対象を撮影する。解析部106は、撮影部103が撮影する撮影データに基づいて、検知対象の属性を特定する。予測部107は、検知対象の属性に基づいて、施設で行う作業の作業指標を予測する。これにより、予測システム100では、作業の完了に要する時間に関連する指標である作業指標を、適切に予測することができる。そのため、予測システム100を使用する施設では、例えば、当該施設の従業員等の人数を勘案して、予め従業員の配置等を調整することができる。その結果、施設における作業効率(業務効率)を改善することができる。
【0036】
予測システム100では、検知対象の属性が、検知対象において経時的に固定された固定属性及び検知対象において経時的に変化する変動属性の少なくとも一方を含むことが好ましい。固定属性及び変動属性の両方を検知対象の属性に用いて解析することにより、予測システム100は、作業指標をより適切に予測することができる。
【0037】
(変形例)
ある変形例では、記憶部108に書き込まれた過去の作業指標に関連するデータに基づいて、予測システム100が使用される日時における作業指標を予測してもよい。予測システム100における予測は、例えば、機械学習等の人工知能(AI)を利用してもよい。この場合、例えば、記憶部108から読み出した作業指標に関連するデータに基づいて、日時に対する作業指標の変化を学習させることで、作業指標の予測モデルを作成する。予測システム100では、当該予測モデルに基づいて、予測システム100が使用される日時における作業指標を予測する。また、予測システム100が作業指標を予測した後、過去の作業指標に関連するデータに基づいて、予測データを評価してもよい。
【0038】
また、ある変形例の作業指標の予測モデルにおいて、店舗では、任意の1つの検知対象において、変動属性である商品量の作業指標は現在の状態から大きく減少することは少ない(一度手にとった商品を元に戻すケースはそれほど多くない)と想定される。そのため、既に検知対象番号が振られている検知対象については、変動属性である商品量の作業指標は現在の状態を維持する又は現在の状態より増加すると、予測するように構成されていてもよい。
【0039】
ある変形例では、作業指標の予測モデル作成において、作業指標の対象となる作業に関連するデータを用いて、予測モデルを作成してもよい。例えば、予測システム100がスーパー等の小売店の店舗で使用され、作業指標の対象となる作業が会計作業である場合、日時と会計作業で会計される商品の個数とを関連付けて、予測モデルを作成する。
【0040】
また、別のある変形例では、処理装置102は、調整部をさらに備える(図示せず)。本変形例の調整部は、前述した実施形態等における属性項目の属性と作業指標との対応関係や、総作業指標を算出する際の重み付けを調整する。
【0041】
一般的に、予測システム100が予測(算出)した全作業指標は、予測システム100が使用されている施設の実際の利用状況と対応する(比例する)。ただし、全作業指標から得られる施設の利用状況と、施設の実際の利用状況とが合致しない場合がある。例えば、全作業指標から得られる施設の利用状況は中程度の混雑度を示す一方で、実際の利用状況は高い混雑度となる可能性がある。このとき、調整部は、実際の利用状況の混雑度に基づく所定の処理方法により、前述の対応関係及び/又は前述の重み付けを調整する。これにより、全作業指標から得られる施設の利用状況は、高い混雑度を示す。
【0042】
ここで、施設の実際の利用状況は、例えば、単位時間あたりの会計商品数により表される。施設の実際の利用状況は、例えば、通信部109や処理部102に設けられたキーボードなどのインターフェースを介して、処理部102に入力される。入力された施設の実際の利用状況は、入力されたときの時刻と関連付けられて記憶部108に記憶される。そして、調整部は、ある時間の全作業指標又はある時間の全作業指標から得られる施設の利用状況と、施設の実際の利用状況と、を比較する。両者の差が所定の値より大きい場合、調整部は、全作業指標の算出に関する調整を実行することで、両者の差を所定の値より小さくする。
【0043】
調整部は、作業指標の傾向に基づいて、前述の調整を実行してもよい。例えば、前述の調整を実行する日が、買い物カートを使用する人が多い日(固定属性の作業指標が高い日)であるとする。この場合、調整部は、固定属性の作業指標により前述の差が生じていると判断する。この判断に基づいて、調整部は、固定属性の作業指標の値や、固定属性の作業指標の重み付けを調整する。
【0044】
なお、調整部は、リアルタイムで調整してもよく、所定の時間(例えば、1時間、1日、1週間など)ごとに調整してもよい。この場合、調整部は、記憶部108に記憶された過去の作業指標の履歴に基づいて、調整の対象となる指標(項目)を決定する。また、調整部が前述したように調整した後も差が所定の値より大きい場合、調整部は一定時間経過後に、再度同様に調整する。このとき、調整部は、前回の調整及び現在の状況(前述した差)に基づいて、調整の対象となるパラメータやその調整幅を学習するように構成されてもよい。
【0045】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、予測システムは、撮影部、解析部及び予測部を具備する。撮影部は、施設において検知対象を撮影する。解析部は、撮影部が撮影する撮影データに基づいて、検知対象の属性を特定する。予測部は、検知対象の属性に基づいて、検知対象及び施設に関連する作業に要する作業時間に対応する作業指標を予測する。これにより、施設の利用状況に基づいてサービスの提供に要する時間を適切に予測できる予測システムを提供することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
100…予測システム、101…撮影装置、102…処理装置、103…撮影部、104…通信部、105…制御部、106…解析部、107…予測部、108…記憶部、109…通信部、110…告知部。

図1
図2
図3
図4
図5