(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190905
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】塗装システム
(51)【国際特許分類】
B05B 5/025 20060101AFI20221220BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20221220BHJP
B05B 12/08 20060101ALI20221220BHJP
B05B 13/04 20060101ALI20221220BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B05B5/025 A
B05B5/025 E
B05B12/00 A
B05B12/08
B05B13/04
B05B1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099425
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000149790
【氏名又は名称】株式会社大気社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 敬二
(72)【発明者】
【氏名】野田 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】赤荻 隆斗
(72)【発明者】
【氏名】谷川 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 里佳
【テーマコード(参考)】
4F033
4F034
4F035
【Fターム(参考)】
4F033AA01
4F033BA03
4F033DA05
4F033EA05
4F033LA12
4F033LA13
4F033NA01
4F034AA04
4F034BA01
4F034BA07
4F034BA41
4F034BB01
4F034BB12
4F034BB15
4F034BB24
4F034BB25
4F034BB26
4F035AA03
4F035BA03
4F035BA06
4F035BA22
4F035BB06
4F035BB32
4F035BC03
4F035CA02
4F035CA04
4F035CB03
4F035CB13
4F035CB27
4F035CB29
4F035CC02
4F035CD06
4F035CD08
4F035CD12
4F035CD13
4F035CD18
4F035CD19
(57)【要約】
【課題】被塗物を搬送しながら塗装するにあたり、塗着効率の向上及び塗装ブース長の短縮が可能な塗装システムを提供する。
【解決手段】ボディ100を所定の搬送経路に沿って搬送しながら、当該ボディ100に塗装を行う塗装システム10であって、搬送経路に跨って配置されたゲート機構30と、それぞれ複数の静電霧化ノズル52が並設された複数の静電霧化塗装機構50と、ゲート機構30に配置され各静電霧化塗装機構50を個別に支持する複数のシャフト機構40と、を備え、各シャフト機構40は、それぞれが支持する静電霧化塗装機構50の、ボディ100の外板被塗面からの距離を調節可能に構成され、搬送経路に沿ってゲート機構30を見たときに、各静電霧化塗装機構50をボディ100の外板被塗面の全面又は一部を塗装することができるように配置可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗物を所定の搬送経路に沿って搬送しながら、当該被塗物の外板被塗面に塗装を行う塗装システムであって、
前記搬送経路に跨って配置されたゲート機構と、
それぞれ複数の静電霧化ノズルが並設された複数の静電霧化塗装機構と、
前記ゲート機構に配置され前記各静電霧化塗装機構を個別に支持する複数のシャフト機構と、を備え、
前記各シャフト機構は、それぞれが支持する前記静電霧化塗装機構の前記外板被塗面に対する塗装距離を調節可能に構成され、前記搬送経路に沿って前記ゲート機構を見たときに、前記各静電霧化塗装機構を前記外板被塗面の全面又は一部を塗装することができるように配置可能に構成されていることを特徴とする塗装システム。
【請求項2】
前記ゲート機構は、前記搬送経路の両脇に配置された一対の柱部と、当該一対の柱部に亘って設けられた貫部とを備えており、
前記各シャフト機構は、前記柱部及び前記貫部のそれぞれにおいて前記搬送経路に直交する方向に沿って前記ゲート機構を見たときに一列となるように配置されている、又は、前記搬送経路の前後方向に複数列であって、隣り合う列においてピッチが一致する、又はピッチがずれるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の塗装システム。
【請求項3】
前記各シャフト機構は、前記柱部及び前記貫部のそれぞれにおいて前記搬送経路の前後方向に複数列であって隣り合う列においてピッチが半ピッチずらされ、かつ、前記搬送経路に沿って前記ゲート機構を見たときに隣り合う静電霧化塗装機構のそれぞれが有する複数の静電霧化ノズルのうち端部の一部が重なるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の塗装システム。
【請求項4】
前記シャフト機構は、前記静電霧化塗装機構を、少なくとも前記搬送経路に沿った軸心周りに回動可能、又は、前記搬送経路と直交する軸心周りに回動可能に支持することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の塗装システム。
【請求項5】
前記ゲート機構は、少なくとも、前記搬送方向に沿って移動可能、又は、前記外板被塗面に対する姿勢が変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の塗装システム。
【請求項6】
当該塗装システムの制御をする制御機構が備えられ、
前記制御機構は、当該被塗物の設計時の外板被塗面の形状データ、前記被塗物を搬送する前に測定された当該被塗物の外板被塗面の形状データ、又は、前記被塗物を搬送しながら塗装直前に測定された当該被塗物の外板被塗面の形状データに基づいて、前記各シャフト機構を個別に制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の塗装システム。
【請求項7】
当該塗装システムの制御をする制御機構が備えられ、
前記制御機構は、当該被塗物の設計時の外板被塗面の形状データ、前記被塗物を搬送する前に測定された当該被塗物の外板被塗面の形状データ、又は、前記被塗物を搬送しながら塗装直前に測定された当該被塗物の外板被塗面の形状データに基づいて、前記各静電霧化ノズル又は前記各静電霧化塗装機構からの塗料の吐出を制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の塗装システム。
【請求項8】
当該塗装システムの制御をする制御機構が備えられ、
前記制御機構は、前記被塗物の外板被塗面が有する特徴点と、前記搬送経路に規定された基準点に基づいて、前記搬送経路上における前記被塗物の位置と向きとを特定可能に構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の塗装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗物を所定の搬送経路に沿って搬送しながら、当該被塗物の外板被塗面に塗装を行う塗装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車、鉄道車両、航空機等の被塗物に塗装を行う塗装システムにおいては、当該被塗物を塗装室内の所定の搬送経路に沿って搬送しながら、当該搬送経路に沿って配置された複数のロボットアームにそれぞれ支持されたスプレー機構によって当該被塗物に塗装を行っている。
【0003】
当該ロボットアームとしては、直交二軸型、直交三軸型、又は多関節六軸型のロボットアームが用いられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような従来の塗装システムにおいては、ロボットアームに支持されたスプレー機構を被塗物の外板被塗面に沿って自在に可動させるためのスペースが必要であった。さらに、従来の塗装システムにおいては、搬送経路に沿って複数台のロボットアームを設置する構成であるため、塗装ブース長が長くなりがちであった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、被塗物を搬送しながら塗装するにあたり、塗着効率の向上及び塗装ブース長の短縮が可能な塗装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するための本発明に係る塗装システムの特徴構成は、被塗物を所定の搬送経路に沿って搬送しながら、当該被塗物の外板被塗面に塗装を行う塗装システムであって、前記搬送経路に跨って配置されたゲート機構と、それぞれ複数の静電霧化ノズルが並設された複数の静電霧化塗装機構と、前記ゲート機構に配置され前記各静電霧化塗装機構を個別に支持する複数のシャフト機構と、を備え、前記各シャフト機構は、それぞれが支持する前記静電霧化塗装機構の前記外板被塗面に対する塗装距離を調節可能に構成され、前記搬送経路に沿って前記ゲート機構を見たときに、前記各静電霧化塗装機構を前記外板被塗面の全面又は一部を塗装することができるように配置可能に構成されている点にある。
【0008】
静電霧化塗装機構は、静電霧化ノズルから吐出される帯電状態の塗料を、当該静電霧化ノズルの周りに形成される電場の作用により微粒化するように構成されている。微粒化した帯電状態の塗料は、被塗物と静電霧化塗装機構との間の電位差により静電的に当該被塗物に引き付けられて飛翔することで被塗物の外板被塗面に塗着する。
【0009】
静電霧化塗装機構においては、電気力線に沿って塗料は飛翔するのであるが、例えば、複数の静電霧化ノズル群の周囲に、針電極を設け、当該針電極によって印加される電圧を制御することによって、スプレーパターンが制御され塗装範囲の制御が可能となる。したがって、隣り合う静電霧化塗装機構の塗装範囲の重なりを調節したり回避したりすることができる。
【0010】
静電霧化塗装機構が有する静電霧化ノズルは塗料の霧化に圧縮空気を用いないため、被塗物の周辺に静電霧化ノズルが発生させる気流がないことなどから塗料が飛び散り難い。したがって、例えば回転霧化ノズルのような静電霧化ノズルよりも塗着効率がよい。しかし、当該静電霧化ノズルは、所定時間当たりの塗料吐出量が少ないことから、小型の部品の塗装などに適用が限られていた。
【0011】
このような静電霧化塗装機構をロボットアームに支持させて塗装を行う場合には、被塗物の搬送速度を低下させたり、搬送方向に沿って複数台のロボットアームを設置させたりする必要があるため、塗装に要する時間や搬送距離が長くなってしまう。
【0012】
静電霧化塗装機構は、外板被塗面からの最適な塗装距離が50~120mmと近く、均一な塗膜厚さを実現するためには、静電霧化塗装機構を外板被塗面から適切な塗装距離に位置させる必要がある。例えば、被塗物の外板被塗面が複雑な形状をしている場合には、ゲート機構を通過する外板被塗面の形状変化に合わせて、静電霧化塗装機構の位置を変更させる必要がある。
【0013】
上述の構成によると、各静電霧化塗装機構は、搬送経路に沿ってゲート機構を見たときに、塗着効率のよい適切な塗装距離から外板被塗面の全面又は一部、すなわち任意の箇所を塗装することができるように配置させられるため、被塗物をゲート機構に一度通過させるだけで全面を高品質に塗装することができるため、塗装ブース長の短縮ができるようになった。
【0014】
本発明によれば、従来のようなロボットアームに支持された回転霧化ノズルによって塗装を行う構成の塗装システムに比べて、塗装ブース長を最大1/15に短縮することができるようになった。
【0015】
静電霧化塗装機構が有する静電霧化ノズルは塗着効率が略100%と、よいこと、及び塗装ブース長を短縮できることから当該塗装に要する給排気量を、多関節ロボットに回転霧化ノズルを取り付けて行う塗装に要する給排気量の最大1/150にまで削減することができるようになった。したがって、被塗物に塗着しなかった塗料ミストを塗装室から排出するために、従来の塗装システムでは必要であった大掛かりな給排気設備や、排出した塗料ミストを回収するための回収設備を簡略化できる。
【0016】
被塗物の搬送方向をX方向としたときに、静電霧化塗装機構は、X方向において、静電霧化ノズルの配置数が多いほど外板被塗面が曲面を有する場合に、各静電霧化ノズルと外板被塗面との距離が不均一となるため、塗膜厚さや平滑度の観点から塗装品質が保ち難い。このため、静電霧化ノズルの配置数は、塗膜厚さの許容範囲に基づいて、外板被塗面の形状に応じた塗装品質が確保できるように決定される。
【0017】
各静電霧化塗装機構は、同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。例えば、各静電霧化塗装機構が異なる構成をとる場合には、それぞれの静電霧化塗装機構が有する静電霧化ノズルの配置数や、配置パターンを異ならせることが考えられる。なお、X方向における静電霧化ノズルの配置数、及び、静電霧化塗装機構の配置数は、目標塗膜厚さ、被塗物の搬送速度、及び、静電霧化ノズルの塗装能力に基づいて設計される。
【0018】
例えば、被塗物が自動車のボディであるような場合に、外板被塗面において曲率が小さな領域(例えば、ボンネットやルーフ)に対応する静電霧化塗装機構においては、静電霧化ノズルの配置数を多く構成し、曲率が大きな領域(例えば、フェンダー)に対応する静電霧化塗装機構においては、静電霧化ノズルの配置数を少なく構成することが考えられる。
【0019】
すなわち、外板被塗面が曲面であるときは、静電霧化ノズルの配置数が多すぎると、すべて静電霧化ノズルが同時に外板被塗面からの最適な塗装距離を維持できないため、このような静電霧化塗装機構においては搬送方向に沿った方向において、静電霧化ノズルの配置数を少なく設定することによって、塗装品質を確保することができる。なお、外板被塗面が傾斜面であるときは、投影塗装面積に対して実塗装面積が大きく、つまり、見かけの単位時間あたりの塗装能力が相対的に低くなるため、このような静電霧化スプレー機構においては搬送方向に沿った方向において、静電霧化ノズルの配列数を多く設定したり、搬送方向に沿って複数列の静電霧化スプレー機構を配設したりすることによって、塗装品質を確保することができる。
【0020】
本発明においては、前記ゲート機構は、前記搬送経路の両脇に配置された一対の柱部と、当該一対の柱部に亘って設けられた貫部とを備えており、前記各シャフト機構は、前記柱部及び前記貫部のそれぞれにおいて前記搬送経路に直交する方向に沿って前記ゲート機構を見たときに一列となるように配置されている、又は、前記搬送経路の前後方向に複数列であって、隣り合う列においてピッチが一致する、又はピッチがずれるように配置されていると好適である。
【0021】
例えば、各シャフト機構が、一列となるように配置されている構成であると、被塗物の搬送方向におけるゲート機構の寸法をコンパクトにすることができる。
【0022】
また、各シャフト機構が、搬送経路の前後方向に複数列となるように配置されている構成であると、被塗物をゲート機構に一度通過させるだけで全面を複数回塗装することができる。
【0023】
また、各シャフト機構が、複数列であって隣り合う列においてピッチがずれるように配置されている構成であると、隣り合う静電霧化スプレー機構どうしの配置に余裕があるため当該隣り合う静電霧化スプレー機構どうしが接触するような虞を回避することができる。
【0024】
本発明においては、前記各シャフト機構は、前記柱部及び前記貫部のそれぞれにおいて前記搬送経路の前後方向に複数列であって隣り合う列においてピッチが半ピッチずらされ、かつ、前記搬送経路に沿って前記ゲート機構を見たときに隣り合う静電霧化塗装機構のそれぞれが有する複数の静電霧化ノズルのうち端部の一部が重なるように配置されていると好適である。
【0025】
各シャフト機構が、複数列であって隣り合う列において半ピッチずれるように配置されている構成であるため、隣り合う静電霧化塗装機構どうしの配置に余裕があり、当該隣り合う静電霧化塗装機構どうしが接触するような虞を回避することができる。その際、搬送経路に沿ってゲート機構を見たときに隣り合う静電霧化塗装機構のそれぞれが有する複数の静電霧化ノズルのうち端部の一部が重なるように配置されていることから、隣り合う静電霧化塗装機構の間に塗装ができない範囲が生じることもない。柱部において最も貫部側に位置する静電霧化塗装機構と、貫部において最も柱部側に位置する静電霧化塗装機構との間においても塗装ができない範囲が生じることがない。なお、柱部における列と貫部における列とは搬送経路の前後方向において互いにずらされていることが好ましい。
【0026】
本発明においては、前記シャフト機構は、前記静電霧化塗装機構を、少なくとも前記搬送経路に沿った軸心周りに回動可能、又は、前記搬送経路と直交する軸心周りに回動可能に支持すると好適である。
【0027】
均一な塗膜厚さを実現するためには、静電霧化塗装機構を外板被塗面に対して正対させる必要がある。例えば、被塗物の外板被塗面が複雑な形状をしている場合には、ゲート機構を通過する外板被塗面の形状変化に合わせて、静電霧化塗装機構の姿勢を変更させる必要がある。上述の構成によると、シャフト機構は、外板被塗面と正対していない静電霧化塗装機構においては、シャフト機構が当該静電霧化塗装機構を、搬送経路に沿った軸心周りに回動させたり、搬送経路と直交する軸心周りに回動させたりすることにより、塗装品質を確保することができる。
【0028】
本発明においては、前記ゲート機構は、少なくとも、前記搬送方向に沿って移動可能、又は、前記外板被塗面に対する姿勢が変更可能に構成されていると好適である。
【0029】
被塗装物が、例えば自動車のボディであるような場合に、フロントやリアを塗装する必要がある。シャフト機構による静電霧化塗装機構の回動のための可動範囲を大きく構成しなくても、ゲート機構の搬送経路に対する位置や、ゲート機構自体の姿勢を変更することによって、静電霧化塗装機構を適切な塗装距離や塗装姿勢とすることができる。
【0030】
本発明においては、当該塗装システムの制御をする制御機構が備えられ、前記制御機構は、当該被塗物の設計時の外板被塗面の形状データ、前記被塗物を搬送する前に測定された当該被塗物の外板被塗面の形状データ、又は、前記被塗物を搬送しながら塗装直前に測定された当該被塗物の外板被塗面の形状データに基づいて、前記各シャフト機構を個別に制御可能に構成されていると好適である。
【0031】
被塗物の外板被塗面の形状に応じて、隣り合う静電霧化塗装機構であっても最適な塗装距離や塗装姿勢が異なるため、制御機構は上述のように各静電霧化塗装機構を個別に外板被塗面からの最適な塗装距離に位置させたり、外板被塗面に対して最適な塗装姿勢とさせたりすることができ、塗装品質を保つことができる。
【0032】
なお、各シャフト機構の制御は、シャフト機構毎に行ってもよいし、隣り合う所定の数のシャフト機構群毎に行ってもよい。
【0033】
本発明においては、当該塗装システムの制御をする制御機構が備えられ、前記制御機構は、当該被塗物の設計時の外板被塗面の形状データ、前記被塗物を搬送する前に測定された当該被塗物の外板被塗面の形状データ、又は、前記被塗物を搬送しながら塗装直前に測定された当該被塗物の外板被塗面の形状データに基づいて、前記各静電霧化ノズル又は前記各静電霧化塗装機構からの塗料の吐出を制御可能に構成されていると好適である。
【0034】
各静電霧化ノズルや各静電霧化塗装機構は吐出の制御が可能であるため、塗膜厚さを均一にしたり、不均一にしたり、スプレーパターンを自由に変更することができる。
【0035】
例えば、外板被塗面の形状が平面でないようなときに静電霧化塗装機構を回動させたときは、隣り合う静電霧化塗装機構の塗装範囲が重なることがあり、隣り合う静電霧化塗装機構のどちらからも塗料を吐出すると、塗装範囲が重なる部分においては塗膜が厚くなってしまう。塗装範囲が重なる両静電霧化塗装機構においては、少なくともいずれかの静電霧化塗装機構が有する静電霧化ノズルのうち、当該塗装範囲が重なる部分に塗料を吐出する静電霧化ノズル又は静電霧化塗装機構からの塗料の吐出量を減少ないし非吐出状態としたり、針電極によって印加される電圧の制御により塗装範囲を制御したりすることによって、塗装範囲が重なる部分においても塗膜厚さが均一とさせることができるため、塗装品質を保つことができる。
【0036】
また、静電霧化ノズル又は静電霧化塗装機構からの塗料の吐出量が一定であるとすると、被塗物の搬送速度が速いときは塗膜厚さが薄くなり、被塗物の搬送速度が遅いときは塗膜厚さが厚くなる。被塗物の搬送速度に応じて、静電霧化ノズル又は静電霧化塗装機構からの塗料の吐出量を制御することによって、所望の塗膜厚さを得ることができる。なお、必要の塗膜厚さが得られるように、当該塗装範囲においては、静電霧化塗装機構において静電霧化ノズルを複数列配置したり、静電霧化塗装機構を複数列備えたりしてもよい。
【0037】
また、外板被塗面が曲面であるときは、投影塗装面積に対して実塗装面積が大きく、つまり、見かけの単位時間あたりの塗装能力が相対的に低くなるため、このような静電霧化塗装機構においては搬送方向に沿った方向において、静電霧化ノズル又は静電霧化塗装機構からの塗料の吐出量を増加させることによって、塗装品質を確保することができる。
【0038】
被塗物の外板被塗面の端部においては、静電霧化ノズルや静電霧化塗装機構が塗装すべき外板被塗面が無いような場合もある。このような場合には、当該静電霧化ノズル又は静電霧化塗装機構を非吐出状態とすることによって、塗料の無駄な消費を回避することができる。
【0039】
なお、静電霧化ノズルや静電霧化塗装機構からの塗料の吐出の制御は、静電霧化ノズル毎や静電霧化塗装機構毎に行ってもよいし、例えば、隣り合う所定の数の静電霧化ノズル群毎や、隣り合う所定の数の静電霧化塗装機構群毎に行ってもよい。また、例えば静電霧化塗装機構において複数列の静電霧化ノズルが配置されているときは、当該静電霧化ノズルの列毎であってもよいし、静電霧化塗装機構が複数列配置されているときは、当該静電霧化塗装機構の列毎であってもよい。
【0040】
本発明においては、当該塗装システムの制御をする制御機構が備えられ、前記制御機構は、前記被塗物の外板被塗面が有する特徴点と、前記搬送経路に規定された基準点に基づいて、前記搬送経路上における前記被塗物の位置と向きとを特定可能に構成されていると好適である。
【0041】
上述の構成によると、搬送経路における被塗物の実際の位置や向きを特定できるため、精度よくシャフト機構を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図5】シャフト機構の伸縮、静電霧化塗装機構の回動の説明図である。
【
図6】シャフト機構の伸縮、静電霧化塗装機構の回動の説明図である。
【
図8】別実施形態に係る静電霧化塗装機構の説明図である。
【
図9】別実施形態に係るゲート機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明に係る塗装システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、
図2、
図3及び
図4には、被塗物としての自動車のボディ100を塗装する塗装システム10が示されている。なお、
図1、
図2、
図3及び
図4においてボディ100の搬送方向をX方向とし、ボディ100の搬送方向に水平面内において直交する方向をY方向とし、ボディ100の搬送方向に垂直面内において直交する方向をZ方向とする。
【0044】
塗装システム10は、塗装ブースの内部にボディ100を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベア機構20と、コンベア機構20によって搬送されるボディ100に跨って配置されるゲート機構30と、ゲート機構30に配置された複数のシャフト機構40と、各シャフト機構40に支持された複数の静電霧化塗装機構50と、当該塗装システム10の制御を行う制御機構等を備えている。
【0045】
ゲート機構30は、コンベア機構20による搬送経路を跨ぐ位置に配置された一対の柱部31と、当該柱部31に亘って設けられた貫部32とを備えており、図示しない移動機構によって、コンベア機構20による搬送経路に沿って移動可能となっている。なお、ゲート機構30は、柱部31の下端を中心に回動可能に構成されていたり、貫部32が柱部31に沿って上下に移動可能に構成されていたりしてもよい。
【0046】
各シャフト機構40は、それぞれが支持する静電霧化塗装機構50の、ボディ100の外板被塗面に対する塗装距離を調節可能に構成され、コンベア機構20による搬送経路に沿ってゲート機構30を見たときに、各静電霧化塗装機構50を外板被塗面の全面又は一部を塗装することができるように配置可能に構成されている。
【0047】
本実施形態においては、柱部31には、複数のシャフト機構40がZ方向に沿って、X方向に前後する二列となるように配置され、貫部32には、複数のシャフト機構40がY方向に沿って、X方向に前後する二列となるように配置されている。その際、各シャフト機構40は、隣り合う列において半ピッチずれるように配置され、X方向に沿ってゲート機構30を見たときに隣り合う静電霧化塗装機構50がそれぞれ有する複数の静電霧化ノズル52のうち端部の一部が重なるように配置されている。また、柱部31におけるシャフト機構40の列と貫部32におけるシャフト機構40の列とがX方向に沿って前後にずらされている。
【0048】
シャフト機構40は、シリンダ41と当該シリンダ41に対して電磁的に進退制御されるロッド42とを有する複動型のアクチュエータから構成されている。ただし、シャフト機構40は、シリンダ41と当該シリンダ41に対して油圧や空気圧により進退制御されるロッド42とを有する複動型のアクチュエータから構成されていてもよい。
【0049】
各シャフト機構40は、シリンダ41に対してロッド42が進退することにより、ロッド42の先端に支持された静電霧化塗装機構50をボディ100の外板被塗面に対して近づけたり遠ざけたりさせることができる。
【0050】
これにより、各静電霧化塗装機構50は、それぞれ塗着効率のよい適切な塗装距離、例えば外板被塗面から50~120mmの位置からの塗装が可能となる。
【0051】
さらに、シャフト機構40はロッド42の先端に支持機構43を備えており、静電霧化塗装機構50は支持機構43を介してシャフト機構40に支持されている。
【0052】
支持機構43は、電気制御されるサーボモータ等を有し、静電霧化塗装機構50を、X方向に沿った軸心周りに回動可能(
図5参照)、及び、Y方向又はZ方向に沿った軸心周りに回動可能(
図6参照)に支持するように構成されている。なお、回動可能角度は、支持機構43の進退方向を中心として、X方向に関しては±20度、Y方向及びZ方向に関しては±90度程度に設定されている。ただし回動可能角度はこの限りではない。
【0053】
これにより、シャフト機構40によって、静電霧化塗装機構50をボディ100外板被塗面に対して適正な塗装姿勢させることができる。例えば、X方向から見て、ボディ100の外板被塗面と正対していない静電霧化塗装機構50においては、静電霧化塗装機構50を回動させることによって、当該外板被塗面に対して正対させることができる。
【0054】
さらには、シャフト機構40は、静電霧化塗装機構50を、X方向に沿った軸心周りに回動させたり、Y方向又はZ方向に沿った軸心周りに支持する回動させたりすることにより、搬送されるボディ100の外板被塗面における同じ箇所に塗装をしたり、外板被塗面の形状が平面でないような場合であっても塗装をしたりできるため、塗装品質を確保することができる。
【0055】
静電霧化塗装機構50は、ノズルヘッド51と、当該ノズルヘッド51に直線的に並設された複数の静電霧化ノズル52と、各静電霧化ノズル52に塗料を供給する塗料供給機構と、各ノズルヘッド51と外板被塗面との間に電位差を付与する前記電圧印加機構と、所定の数の静電霧化ノズル52群の塗料の吐出状態と非吐出状態とを切り替える前記切替機構と、ノズルヘッド51に設けられた針電極53等とを備えている。
【0056】
図7に示すように、ノズルヘッド51は、100個の静電霧化ノズル52が、隣り合うものどうしが3mmのピッチで、貫部32に設けられるシャフト機構40が支持する静電霧化塗装機構50においてはY方向に沿って、柱部31に設けられるシャフト機構40が支持する静電霧化塗装機構50においてはZ方向に沿って直線状に並設されている。当該静電霧化塗装機構50からの塗料の吐出量は、100cc/minに設定されている。静電霧化ノズル52は塗料の霧化に圧縮空気を用いないため、ボディ100の周辺に静電霧化ノズル52が発生させる気流がないことなどから塗料が飛び散り難く、結果として塗着効率が良い。
【0057】
なお、ノズルヘッド51における各静電霧化ノズル52の配置は上述した構成に限らない。静電霧化ノズル52の配置は、
図8に示すように、二列のドットマトリックス状であってもよい。均一な塗膜分布が得られればよく、ボディ100の外板被塗面の形状や塗装仕様等に応じて適宜変更可能である。
【0058】
なお、ノズルヘッド51は非導電材料又は弱導電材料により形成されており、これにより、前記電圧印加機構により高電圧が印可された状態にあるノズルヘッド51が不測に他物に接近する状態になったとしても、ノズルヘッド51と他の物との間での放電の発生が防止される。
【0059】
前記塗料供給機構は、塗料を貯留する貯留タンクや、当該貯留タンクの塗料を供給する供給ポンプや、当該貯留タンクから静電霧化ノズル52まで塗料を供給する供給ホース等を備えて構成されている。供給ポンプによって、貯留タンク内の塗料が供給ホースを介して静電霧化ノズル52に供給される。供給ポンプは、塗料の供給量を調節可能に構成されている。
【0060】
前記電圧印加機構は、ノズルヘッド51と外板被塗面との間に電位差を付与するものである。なお、塗料は電気抵抗値が1~20MΩcm程度のものが使用される。
【0061】
前記電圧印加機構によって高電圧(5~60kVのプラス電圧又はマイナス電圧)を印加することにより各静電霧化ノズル52の周りには電場が形成され、各静電霧化ノズル52から吐出された帯電状態の塗料は、いわゆる静電噴霧として、各静電霧化ノズル52の周りに形成された電場の作用により微粒化され、微粒化した帯電状態の塗料が、ノズルヘッド51と外板被塗面との間の電位差により、外板被塗面に静電的に引き寄せられて飛翔することで外板被塗面に塗着する。
【0062】
静電霧化塗装機構50においては、静電霧化ノズル52から吐出された塗料は電気力線に沿って飛翔する。針電極53によって印加される電圧を制御することによって、スプレーパターンが制御され塗装範囲の制御が可能となる。
【0063】
ノズルヘッド51において100本の静電霧化ノズル52が3mmのピッチで並配されていることから、静電霧化ノズル52の周りには、隣り合う静電霧化ノズル52どうしの間で電場の相互干渉が生じるにしても、電場が偏りなく均一に形成され、これにより、それら静電霧化ノズル52から噴出された帯電状態の塗料の微粒化が均一になることで、被塗物の塗装品質が向上する。
【0064】
また、一部の静電霧化ノズル52から噴出された帯電状態の塗料の微粒化が電場の偏りのために不十分になることが原因で、微粒化が不十分な塗料がノズルヘッド51に付着するといったことも効果的に防止され、これにより、ノズルヘッド51に対する清掃メンテナンスの負担も軽減される。
【0065】
前記切替機構は、所定の数の静電霧化ノズル52群毎に塗料の吐出状態と非吐出状態と切り替える開閉バルブから構成されている。
【0066】
前記制御機構は、制御盤等から構成され、いわゆる三次元測定により、ボディ100を搬送する前に測定された当該ボディ100の外板被塗面の形状データに基づいて、コンベア機構20によるボディ100の搬送及び搬送速度の制御や、ゲート機構30の移動の制御や、シャフト機構40のロッド42の進退の制御や、支持機構43の回動の制御や、静電霧化塗装機構50の前記塗料供給機構、前記電圧印加機構、前記切替機構及び針電極53の制御を行うように構成されている。
【0067】
なお、三次元測定においては、ボディ100の外板被塗面が有する特徴点と、搬送経路に規定された基準点を測定可能であり、前記制御機構は当該特徴点と当該基準点に基づいて、搬送経路上におけるボディ100の位置と向きとを特定可能に構成されている。これにより、前記搬送経路におけるボディ100の実際の位置や向きを特定できるため、精度よくシャフト機構40を制御することができる。ただし、ボディ100の外板被塗面の形状データの測定は上記の測定方法によらず、他の測定方法によって行われてもよい。
【0068】
例えば、外板被塗面の形状が平面でないようなときに静電霧化塗装機構50を回動させたときは、隣り合う静電霧化塗装機構50の塗装範囲が重なることがあり、隣り合う静電霧化塗装機構50のどちらからも塗料を吐出すると、塗装範囲が重なる部分においては塗膜が厚くなってしまう。塗装範囲が重なる両静電霧化塗装機構50においては、少なくともいずれかの静電霧化塗装機構50が有する静電霧化ノズル52のうち、当該塗装範囲が重なる部分に塗料を吐出する静電霧化ノズル52群又は静電霧化塗装機構50からの塗料の吐出量を減少ないし非吐出状態としたり、針電極53によって印加される電圧の制御により塗装範囲を制御したりすることによって、塗装範囲が重なる部分においても塗膜厚さが均一とさせることができるため、塗装品質を保つことができる。
【0069】
また、ボディ100の外板被塗面の端部においては、静電霧化塗装機構50の静電霧化ノズル52のうち塗装すべき外板被塗面が無いような場合もある。このような場合は、当該静電霧化ノズル52を非吐出状態とすることによって、塗料の無駄な消費を回避することができる。
【0070】
また、ボディ100の搬送方向から見て、外板被塗面が曲面であるときは、投影塗装面積に対して実塗装面積が大きく、つまり、見かけの単位時間あたりの塗装能力が相対的に低くなるため、このような静電霧化塗装機構50においては静電霧化ノズル52からの塗料の吐出量を増加させることによって、所望の塗膜厚さを得ることができる。
【0071】
なお、前記制御機構は、ボディ100を搬送しながら塗装直前に測定された外板被塗面の形状データに基づいて上述の制御を行うように構成されていてもよい。前記制御機構は、ボディ100の設計時の外板被塗面の形状データに基づいて上述の制御を行うように構成されていてもよい。
【0072】
また、前記制御機構は、各シャフト機構40毎や、各静電霧化ノズル52毎に各制御を行ってもよいし、隣り合う所定の数のシャフト機構40群毎や、静電霧化ノズル52群毎に各制御を行ってもよい。さらに、前記制御機構は、例えば静電霧化塗装機構50において複数列の静電霧化ノズル52が配置されているときは、当該静電霧化ノズル52の列毎であってもよいし、静電霧化塗装機構50が複数列配置されているときは、当該静電霧化塗装機構50の列毎に各制御を行ってもよい。
【0073】
図9に示すように、シャフト機構40が、X方向に前後する複数列となるように配置されている構成であると、同じ外板被塗面に対して複数回の塗装が可能となる。
【0074】
また、
図9に示すように、シャフト機構40が、複数列であって隣り合う列において半ピッチずれるように配置されている構成であると、隣り合う静電霧化塗装機構50どうしの配置に余裕があり、当該静電霧化塗装機構50を回動させる際に当該隣り合う静電霧化塗装機構50どうしが接触するような虞を回避することができる。その際、搬送経路に沿ってゲート機構を見たときに隣り合う静電霧化塗装機構50のそれぞれが有する複数の静電霧化ノズル52のうち端部の一部が重なるように配置されていることから、隣り合う静電霧化塗装機構50の間に塗装ができない範囲が生じることもない。例えば、柱部31において最も貫部32側に位置する静電霧化塗装機構50と、貫部32において最も柱部31側に位置する静電霧化塗装機構50との間においても塗装ができない範囲が生じることがない。
【0075】
また、複数のシャフト機構40が柱部31においてZ方向に沿って一列となるように配置され、かつ、複数のシャフト機構40が貫部32においてY方向に沿って一列となるように配置されていてもよい。その際、柱部31におけるシャフト機構40の列と貫部32におけるシャフト機構40の列とが一致するように配置されていてもよい。なお、柱部31におけるシャフト機構40の列と貫部32におけるシャフト機構40の列とX方向にずれるように配置されていてもよい。さらに、柱部31には、複数のシャフト機構40がZ方向に沿って、X方向に前後する二列となるように配置され、貫部32には、複数のシャフト機構40がY方向に沿って、X方向に前後する二列となるように配置されていてもよい。その際、各シャフト機構40は、隣り合う列においてピッチが一致するように配置されていてもよいし、ピッチがずれるように配置されていてもよい。
【0076】
上述した実施形態においては、各静電霧化塗装機構50は、同一の構成である場合について説明したが、この限りではない。各静電霧化塗装機構50は、異なる構成であってもよい。例えば、各静電霧化塗装機構50は、静電霧化ノズル52の配置数や、配置パターンが異なっていてもよい。
【0077】
例えば、ボディ100のうち曲率が小さな外板被塗面であるボンネットやルーフ等に塗装を行う静電霧化塗装機構50においては、静電霧化ノズル52の配置数を多く構成し、ボディ100のうち曲率が大きな外板被塗面であるフェンダー等に塗装を行う静電霧化塗装機構50においては、静電霧化ノズル52の配置数を少なく構成することが考えられる。
【0078】
ボディ100の搬送方向から見て、外板被塗面が曲面であるときは、投影塗装面積に対して実塗装面積が大きく、つまり、見かけの単位時間あたりの塗装能力が相対的に低くなるため、このような静電霧化塗装機構50においては搬送方向に沿った方向において、静電霧化ノズル52の配置数を多く設定しておく。または、ゲート機構30において搬送方向に沿って複数列の静電霧化塗装機構50を配置する。
【0079】
なお、上述のように図面を参照しつつ本発明を説明したが、本発明は当該図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る塗装システムは、例えば、自動車、鉄道車両、航空機などのボディや一般産業における塗装を行う技術分野において特に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 :塗装システム
20 :コンベア機構
30 :ゲート機構
31 :柱部
32 :貫部
40 :シャフト機構
41 :シリンダ
42 :ロッド
43 :支持機構
50 :静電霧化塗装機構
51 :ノズルヘッド
52 :静電霧化ノズル
53 :針電極
100 :ボディ(被塗物)