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  • 特開-通信回路 図1
  • 特開-通信回路 図2
  • 特開-通信回路 図3
  • 特開-通信回路 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190909
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】通信回路
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/38 20150101AFI20221220BHJP
【FI】
H04B1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099429
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古森 篤朗
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011KA16
(57)【要約】
【課題】
比較的簡単かつ安価な構成で、通信の盗聴による情報の傍受を確実に防止可能な信頼性の高い通信回路を提供する。
【解決手段】
電気通信路によって通信を行う通信回路であって、通信を行う通信部と、前記電気通信路に対し信号を発信する信号生成部と、前記信号生成部の発した信号とその反射波を検知する信号受信部と、前記信号生成部と前記信号受信部を制御し、前記通信部に情報を伝達する制御部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気通信路によって通信を行う通信回路であって、
通信を行う通信部と、
前記電気通信路に対し信号を発信する信号生成部と、
前記信号生成部の発した信号とその反射波を検知する信号受信部と、
前記信号生成部と前記信号受信部を制御し、前記通信部に情報を伝達する制御部と、
を備える通信回路。
【請求項2】
請求項1に記載の通信回路であって、
前記通信部は、前記制御部からの情報に基づき、一部もしくは全部の通信を停止する通信回路。
【請求項3】
請求項1に記載の通信回路であって、
前記通信部は、前記制御部からの情報を、前記電気通信路に接続された他の通信回路へ伝達する通信回路。
【請求項4】
請求項1に記載の通信回路であって、
前記制御部は、予め記憶しておいた前記電気通信路に接続された通信回路の個数と、前記信号受信部からの情報とを比較し、盗聴の有無を判定する通信回路。
【請求項5】
請求項1に記載の通信回路であって、
前記信号生成部は、前記制御部からの情報に基づき、前記電気通信路に対しパルス信号を発信する通信回路。
【請求項6】
請求項1に記載の通信回路であって、
前記信号生成部は、前記制御部からの情報に基づき、前記電気通信路に対し正弦波を発信する通信回路。
【請求項7】
請求項6に記載の通信回路であって、
前記信号受信部は、前記信号生成部の発した正弦波とその反射波を比較し、それらの位相差および波高差を検出する通信回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回路の構成とその制御に係り、特に、高い情報セキュリティが要求される通信回路に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信の盗聴は、情報漏洩や改竄、なりすましに繋がり、これを防ぐことはセキュリティ向上のために重要である。そのため、秘密鍵暗号方式、公開鍵暗号方式などの様々な技術が開発されており、セキュリティの向上に貢献している。
【0003】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、複数の通信路を用いることで盗聴に対する耐性を向上させる技術が開示されている。
【0004】
特許文献1の技術では、通信する情報を複数に分割し、用意された複数の通信路に分けて送受信している。複数の通信路を利用することで、一つの通信路が盗聴されていても、全ての情報を傍受できないようにすることで、セキュリティを向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-39677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、秘密鍵暗号方式や公開鍵暗号方式は、計算量的安全性を根拠にしている。したがって、コンピュータの演算処理能力のアップや、新たな攻撃手法が開発されることにより、盗聴された情報が短時間で解読される可能性もあり、情報漏洩を完全に防ぐことが困難となることが予想される。
【0007】
また、上記特許文献1で開示された技術では、設定された複数の通信路全てで盗聴される可能性がある。また、複数の通信路を設置しなければならないことや、送信側と受信側でそれぞれ各通信路に対応したインターフェースを準備しなければならないことから費用が高額となる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、比較的簡単かつ安価な構成で、通信の盗聴による情報の傍受を確実に防止可能な信頼性の高い通信回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、電気通信路によって通信を行う通信回路であって、通信を行う通信部と、前記電気通信路に対し信号を発信する信号生成部と、前記信号生成部の発した信号とその反射波を検知する信号受信部と、前記信号生成部と前記信号受信部を制御し、前記通信部に情報を伝達する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、比較的簡単かつ安価な構成で、通信の盗聴による情報の傍受を確実に防止可能な信頼性の高い通信回路を実現することができる。
【0011】
これにより、セキュリティを向上した通信路を構築することができる。
【0012】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1に係る通信回路の概略構成を示す図である。
図2図1の通信回路の動作を概念的に示す図である。
図3】本発明の実施例2に係る通信回路の概略構成を示す図である。
図4図3の通信回路の動作を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【実施例0015】
図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係る通信回路の構成とその制御(動作)について説明する。図1は、本実施例の通信回路の概略構成を示す図である。図2は、図1の通信回路の動作を概念的に示す図である。
【0016】
本実施例の通信回路は、図1に示すように、ユニット1と、ユニット2と、ユニット1及びユニット2を接続する通信経路C1とで構成されている。
【0017】
ユニット1は、主制御回路11、トランシーバ12、信号生成回路13、信号受信回路14、制御回路15を備えている。ユニット2は、主制御回路21、トランシーバ22を備えている。
【0018】
図1において、ユニット1の主制御回路11とユニット2の主制御回路21は、トランシーバ12とトランシーバ22と通信経路C1を介して通信を行う。
【0019】
信号生成回路13は、制御回路15の要求に応じてパルス信号を通信経路C1に発信する。
【0020】
信号受信回路14は、通信経路C1からパルス信号を受信すると、それを制御回路15へ伝達する。
【0021】
制御回路15は、信号生成回路13へのパルス信号送信の要求と、信号受信回路14からのパルス信号受信情報の受け取りと、盗聴有無の判断と、主制御回路11への盗聴有無の情報の伝達を行う。
【0022】
図2を用いて、図1の通信回路の動作を説明する。図2の上側は盗聴者が不在の場合の動作を示しており、下側は盗聴者が存在する場合の動作を示している。
【0023】
図2の上側に示すように、盗聴者が不在の場合、信号生成回路13は、制御回路15の要求によりパルス信号を通信経路C1に発信する。発信されたパルス信号は、ユニット2に到達するとその受信端で反射し、再びユニット1へ回帰する。
【0024】
よって、信号受信回路14では、信号生成回路13から発信されたパルス信号と、反射してきたパルス信号の2つを受信し、制御回路15へ伝達する。
【0025】
制御回路15は、予め記憶しておいた、通信経路C1に接続されたユニットの個数と、信号受信回路14からの情報とを比較し、盗聴が無いことを判断し、主制御回路11へ伝達する。
【0026】
一方、図2の下側に示すように、盗聴者が存在する場合、信号生成回路13によって発信されたパルス信号は、ユニット2と盗聴者の2点で反射し、ユニット1へ回帰する。
【0027】
よって、信号受信回路14では、信号生成回路13から発信されたパルス信号と、反射してきたパルス信号の3つを受信し、制御回路15へ伝達する。
【0028】
制御回路15は、予め記憶しておいた、通信経路C1に接続されたユニットの個数と、信号受信回路14からの情報とを比較し、盗聴の可能性があることを判断し、主制御回路11へ伝達する。
【0029】
主制御回路11は、制御回路15からの情報により、盗聴があったと判断した場合、ユニット2の主制御回路21との通信において、セキュリティを必要とする情報の一部もしくは全部の送信を停止する。また、ユニット2の主制御回路21に対し盗聴の存在を伝達し、セキュリティを必要とする情報の送信を抑制する様に要求する。
【0030】
これによって、通信経路C1に盗聴者が存在しても、セキュリティを必要とする情報のやり取りが行われないため、盗聴者は必要な情報を得ることが出来ない。
【0031】
以上説明したように、本実施例の通信回路は、電気通信路(通信経路C1)によって通信を行う通信回路であって、通信を行う通信部(トランシーバ12)と、電気通信路(通信経路C1)に対し信号を発信する信号生成部(信号生成回路13)と、信号生成部(信号生成回路13)の発した信号とその反射波を検知する信号受信部(信号受信回路14)と、信号生成部(信号生成回路13)と信号受信部(信号受信回路14)を制御し、通信部(トランシーバ12)に情報を伝達する制御部(制御回路15,主制御回路11)と、を備えて構成されている。
【0032】
また、制御部(制御回路15,主制御回路11)は、予め記憶しておいた電気通信路(通信経路C1)に接続された通信回路の個数と、信号受信部(信号受信回路14)からの情報とを比較し、盗聴の有無を判定する。
【0033】
本実施例の通信回路によれば、情報の傍受を防止でき、セキュリティを向上した通信路を構築することが出来る。
【実施例0034】
図3及び図4を参照して、本発明の実施例2に係る通信回路の構成とその制御(動作)について説明する。図3は、本実施例の通信回路の概略構成を示す図である。図4は、図3の通信回路の動作を概念的に示す図である。
【0035】
本実施例の通信回路は、図3に示すように、実施例1(図1)の信号生成回路13及び信号受信回路14に替えて、発振回路33及び位相・波高検出回路34を備える点において、実施例1(図1)と異なっている。その他の構成は、実施例1(図1)と同様である。
【0036】
発振回路33は、例えば、正弦波を出力する回路である。発振回路33は、制御回路15の要求に応じて発振信号(正弦波)を通信経路C1に発信する。
【0037】
位相・波高検出回路34は、発振回路33の発振信号(正弦波)と、通信経路C1からの受信信号を比較し、位相差及び波高差を検出する回路である。
【0038】
図4を用いて、図3の通信回路の動作を説明する。図4の上側は盗聴者が不在の場合の動作を示しており、下側は盗聴者が存在する場合の動作を示している。
【0039】
図4の上側に示すように、盗聴者が不在の場合、ユニット1の発振回路33から出力された発振信号は、ユニット2に到達するとその受信端で反射し、再びユニット1へ回帰する。
【0040】
すると、ユニット1で観測される信号は、発振回路33から出力された発振信号と、ユニット2から反射してきた信号の合成波となる。この合成波は、発振回路33の発振信号と比較して、位相と波高が変化する。
【0041】
位相・波高検出回路34は、その位相と波高の変化の度合いを制御回路15へ伝達する。
【0042】
制御回路15は、予め記憶しておいた位相と波高の情報と、位相・波高検出回路34からの情報とを比較し、盗聴が無いことを判断し、主制御回路11へ伝達する。
【0043】
一方、図4の下側に示すように、盗聴者が存在する場合、ユニット1で観測される信号は、発振回路33から出力された発振信号と、ユニット2と盗聴者から反射してきた信号の合成波となり、図4の上側に示す盗聴者が不在の場合の合成波とは、位相、波高共に異なる。
【0044】
よって、位相・波高検出回路34から制御回路15へ伝達される情報も異なるため、制御回路15は、盗聴の可能性があることを判断し、主制御回路11へ伝達する。以降の動作は、図1及び図2の説明と同様である。
【0045】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…ユニット1
2…ユニット2
11…主制御回路
12…トランシーバ
13…信号生成回路
14…信号受信回路
15…制御回路
21…主制御回路
22…トランシーバ
33…発振回路
34…位相・波高検出回路
C1…通信経路
図1
図2
図3
図4