(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190926
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】復帰支援装置
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20221220BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G05B23/02 X
G05B19/418 Z
G05B23/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099464
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】西畑 康則
【テーマコード(参考)】
3C100
3C223
【Fターム(参考)】
3C100AA38
3C100AA53
3C100AA63
3C100BB13
3C223AA11
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EA06
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF42
3C223FF43
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH08
3C223HH29
(57)【要約】
【課題】生産関連設備におけるエラー発生時に、作業者に対しサイクル中のエラー発生位置を判りやすく知らせると共に、復帰のための操作を簡単に済ませる。
【解決手段】復帰支援装置(6)は、必要な情報を表示すると共に必要な指示入力を行う操作ボタンを操作可能に表示する操作表示装置(5)を備えると共に、動作フロー生成部(8)を備え、前記動作フロー生成部は、工程の1サイクルの各個動作を、一連の直列に連続した各個動作の順序として示す動作フローを生成し、前記操作表示装置に、前記動作フロー及びその動作フロー中の各個動作の現在の動作完了、動作未完了の進捗状況を示すと共に、前記各個動作の実行を指示するための復帰用操作ボタン(B3、B4)を配置した動作フロー画面を表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアクチュエータ(2)と、それらアクチュエータをプログラムに従って制御する動作制御装置(3)と、エラーを検出して動作を停止させるエラー処理部(7)とを備え、前記アクチュエータの複数の各個動作を1サイクルとした工程を自動で実行する生産関連設備(1)における、エラー発生時の復帰を支援する装置であって、
必要な情報を表示すると共に必要な指示入力を行う操作ボタンを操作可能に表示する操作表示装置(5)を備えると共に、動作フロー生成部(8)を備え、
前記動作フロー生成部は、前記工程の1サイクルの各個動作を、一連の直列に連続した各個動作の順序として示す動作フローを生成し、前記操作表示装置に、前記動作フロー及びその動作フロー中の各個動作の現在の動作完了、動作未完了の進捗状況を示すと共に、前記各個動作の実行を指示するための復帰用操作ボタン(B3、B4)を配置した動作フロー画面を表示させる復帰支援装置。
【請求項2】
前記動作フロー生成部は、前記動作フロー画面における各個動作の文字表示を、前記各アクチュエータの各個動作を示す各個画面から、当該各個動作の文字表示を引用して生成する請求項1記載の復帰支援装置。
【請求項3】
前記動作フロー画面においては、前記復帰用操作ボタンとして、前記動作フローの示す各個動作を1ステップ進める進みボタンと、1ステップ戻す戻しボタンとが表示され、それら進みボタン及び戻しボタンの2つの操作ボタンが有効とされて該動作フロー画面上での復帰操作が可能とされる請求項1又は2記載の復帰支援装置。
【請求項4】
前記動作フロー画面においては、前記動作フローの示す各個動作の完了、未完了が、ランプの点灯、消灯によって表示される請求項1から3のいずれか一項に記載の復帰支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産関連設備における、エラー発生時の復帰を支援する復帰支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生産関連設備、例えば、自動車用部品の組立設備等においては、複数の機械装置を備え、各機械装置に設けられたモータ、ソレノイド、シリンダ、リニアモータ、スイッチなどのアクチュエータを、コンピュータを主体とした制御装置により予め設定されたプログラムに基づき制御することにより、一連の工程を自動で実行するように構成されたものがある。この種の生産関連設備においては、各アクチュエータをセンサ等で監視しエラー発生が検出されると、機械装置全体を停止させると共に、エラーを報知する。作業者は、エラー報知に基づいて、機械装置の動作を復帰させるための復帰操作を行う。
【0003】
このとき、従来では、例えば特許文献1に示されるプログラマブル操作表示装置のように、異常復帰用の画面を表示することが考えられている。このプログラマブル操作表示装置においては、正常時における一連の工程の動作手順をアクチュエータの状態と共に記憶させておき、エラー発生時に、停止している動作ステップを判断し、その停止動作ステップからの継続した動作手順を指示するものである。作業者は、その異常復帰用の画面を見て、必要な復帰操作を行うことにより、機械装置を正常な動作ステップに復帰させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の異常復帰用の画面では、例えば並列動作を含んだ作動図通りの動作手順が表示されるので、作業者にとって動作手順が判りにくく、作業者のスキルや経験によっては、復帰のためにどのような操作を行えば良いかが判らないケースが多く発生する。また、復帰操作は、異常復帰用の画面ではなく、アクチュエータの各個動作を示す別の各個画面においてボタン操作を行うため、複数の画面を交互に切替えながら作業を行う必要があり、復帰に手間や時間がかかる問題もあった。尚、設備において一部の動作変更などがあった場合でも、異常復帰用の画面に必要な動作手順のデータをその都度作成する必要があり、設計者のかなりの負担となるといった不具合もあった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、生産関連設備におけるエラー発生時に、作業者に対しサイクル中のエラー発生位置を判りやすく知らせると共に、復帰のための操作を簡単に済ませることが可能な復帰支援装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の復帰支援装置(6)は、複数のアクチュエータ(2)と、それらアクチュエータをプログラムに従って制御する動作制御装置(3)と、エラーを検出して動作を停止させるエラー処理部(7)とを備え、前記アクチュエータの複数の各個動作を1工程とした複数の工程を1サイクルとして順に自動で実行する生産関連設備(1)における、エラー発生時の復帰を支援する装置であって、必要な情報を表示すると共に必要な指示入力を行う操作ボタンを操作可能に表示する操作表示装置(5)を備えると共に、動作フロー生成部(8)を備え、前記動作フロー生成部は、前記工程の1サイクルの各個動作を、一連の直列に連続した各個動作の順序として示す動作フローを生成し、前記操作表示装置に、前記動作フロー及びその動作フロー中の各個動作の現在の動作完了、動作未完了の進捗状況を示すと共に、前記各個動作の実行を指示するための復帰用操作ボタン(B3、B4)を配置した動作フロー画面を表示させる。
【0008】
なお、ここでいう、「生産関連設備」とは、製品の組立等の生産設備を含むことは勿論、複数の工程で製品の加工を行う加工設備、複数の工程で製品等の検査を行う検査設備、複数の工程で梱包などを行う設備、複数の工程で部品の解体、分解を行う設備、それらを組合わせた設備等を含んでいる。また、1工程におけるアクチュエータの各個動作としては、1つの動作のみを行う場合を含んでいても良い。
【0009】
上記構成によれば、動作フロー生成部によって、動作フローが生成され、エラー発生時に、操作表示装置に動作フロー画面が表示される。この動作フロー画面においては、1サイクルの複数の工程を一連の直列に連続した各個動作の順序として示す動作フローが示されると共に、その動作フロー中の各個動作の現在の動作完了、動作未完了の進捗状況が示されるようになる。従って、生産関連設備の作業者は、動作フロー画面を見て、各個動作のどこまでが動作完了し、どこからが動作未完了となっているかを容易に知ることができ、エラーに対する正しい復帰処理を行うことが可能となる。
【0010】
そして、操作表示装置に表示される動作フロー画面には、復帰用操作ボタンが配置されているので、他の画面に何度も移行させることなく、復帰用操作ボタンの操作に基づいて、復帰動作を行わせることが可能となる。この結果、生産関連設備におけるエラー発生時に、作業者に対しサイクル中のエラー発生位置を判りやすく知らせると共に、復帰のための操作を簡単に済ませることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態を示すもので、全体のシステム構成を概略的に示すブロック図
【
図2】エラー発生時の復帰手順を示すフローチャート
【
図3】動作フロー画面の生成手順を示すフローチャート(その1)
【
図4】動作フロー画面の生成手順を示すフローチャート(その2)
【
図6】操作表示装置に表示される動作フロー画面の一例を示す図
【
図7】操作表示装置に表示される各個メイン画面の一例を示す図
【
図8】各個画面の表示が、動作フロー画面に引用される様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、生産関連設備として、自動車用部品例えばエアコンのエバポレータの製造設備に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における生産関連設備としての製造設備1の全体のシステム構成を概略的に示している。ここで、製造設備1は、モータ、スイッチ、ソレノイド、シリンダ等からなる複数のアクチュエータ2と、それらアクチュエータ2に駆動信号を出力して動作させる動作制御装置3、全体を制御する制御装置4、HMIを構成する操作表示装置5を備えて構成される。尚、図示はしないが、製造設備1には、エラーなどを検出するための多数個のセンサ類も設けられている。
【0013】
前記制御装置4は、コンピュータを含んで構成され、前記動作制御装置3に対し指令信号を出力し、予め設定されたPLC動作プログラムに従って各アクチュエータ2による動作を実行させるようになっている。前記操作表示装置5は、例えばタッチパネルを有する液晶ディスプレイからなり、必要な情報を表示すると共に、操作ボタンを操作可能に表示する。この場合、操作表示装置5の画面には、後述する各個メイン画面12(
図7参照)、各個画面11(
図8参照)や動作フロー画面13(
図6参照)などが表示される。これら制御装置4及び操作表示装置5は、本実施形態に係る復帰支援装置6を構成する。
【0014】
詳しい図示及び説明は省略するが、この製造設備1においては、エバポレータの生産に、チューブ供給工程、フィン整列工程、フィン組付工程、蓄冷ケース供給工程など複数の工程を備え、ここでは、例えば、工程1、工程2、工程3、…、工程8といった8つの工程を備えるものとする。また、それら各工程においては、前記アクチュエータ2の複数の各個動作を1サイクルとした動作が繰り返し実行される。前記各個動作には、例えば、ローダの前進、後退、チャックの上昇、下降、チャック、アンチャック、パレットの搬送、位置決めなど様々な動作があり、また、複数のアクチュエータ2による並列動作が行われる場合もある。
【0015】
前記制御装置4は、予め入力された動作プログラムに従って、動作制御装置3に動作指令を出力して各工程を実行させる。このとき、制御装置4は、前記動作プログラム等に基づいて、前記操作表示装置5に各個メイン画面12や各個画面11を表示させる。
図7に示すように、前記各個メイン画面12には、全体を構成する複数の工程や、必要な操作ボタンB、選択されている工程や処理等を表すランプが表示される。このときの操作ボタンBには、各工程毎に、後述する動作フロー画面13をポップアップ表示させるための「フロー」の操作ボタンB1が含まれる。また、
図8に一部示すように、各個画面11には、各アクチュエータ2の個別の動作を指示する動作指示ボタンB2等が表示される。
【0016】
そして、制御装置4は、各工程の実行中に、センサ信号等に基づいてエラーが検出された場合に、動作制御装置3に対し動作停止指令を出力し、各アクチュエータ2の動作を停止させるエラー処理部7の機能を有する。そして、制御装置4は、各工程の1サイクルの各個動作を、一連の直列に連続した各個動作の順序として示す動作フローを生成する動作フロー生成部8としての機能を備える。
【0017】
前記動作フローは、例えば
図5に例示するように、各工程において繰返される1サイクル分の各個動作の動作順序のステップを表すもので、「ローダ前進」、「エスケープ1入」、「エスケープ2入」、…などと作成される。このとき、実際の自動運転では、「エスケープ1入」及び「エスケープ2入」等が、並列動作する場合であっても、どちらかが先になるように直列のパターンに書き替えられて作成される。そして、制御装置4は、操作表示装置5に、
図6に例示される動作フロー画面13を表示する。
【0018】
この動作フロー画面13では、前記動作フローが表示されると共に、その動作フロー中の各個動作の現在の動作完了、動作未完了の進捗状況を示す動作端ランプPLが表示され、さらに、「登録」等の操作ボタンB2、各個動作の実行を指示するための「進み」、「戻し」の復帰用操作ボタンB3、B4が配置される。そのうち各個動作については、例えば1画面で15個つまり15ステップの枠が予め設定され、それら各枠に、ステップの動作名称を表す文字表示、例えば「ローダ右上昇」等の動作名称が文字表示されると共に、動作端ランプPLが設けられる。
【0019】
このとき本実施形態では、
図8に示すように、動作フロー画面13における各個動作の文字表示は、各アクチュエータ2の各個動作を示す各個画面11から、当該各個動作の文字表示を引用して生成される。また、復帰用操作ボタンとして、動作フローの示す各個動作を1ステップ進める「進み」ボタンB3と、1ステップ戻す「戻し」ボタンB4とが設けられる。動作フロー画面13においてエラー発生時の復帰を行う際には、「進み」ボタンB3及び「戻し」ボタンB4の2つの操作ボタンのみが有効とされて該動作フロー画面13上での復帰操作が可能とされる。
【0020】
また、この動作フロー画面13においては、動作フローの示す各個動作の完了、未完了が、動作端ランプPLの点灯、消灯によって表示される。動作が完了し各個動作においては、動作端ランプPLが点灯(図では白抜きで表示)され、動作が未完了の各個動作は、動作端ランプPLが消灯状態(図ではグレーの塗りつぶしで表示)とされる。尚、動作フロー画面13においては、1工程つまり1サイクルが15個のステップを超える場合には、例えば標準的で4画面、最大10画面までの複数画面がウィンドウ表示可能に設けられる。
【0021】
ここで、上記動作フロー画面13を自動生成させるにあたっては、作業者は、各個メイン画面12において、工程毎に設けられている「フロー」のボタンB1をタッチ操作することにより、動作フロー画面13に表示が切替えられる。そして、この動作フロー画面13において、登録のボタンBを操作することにより、動作フローの登録の処理が行われる。
図3及び
図4のフローチャートは、動作フロー生成部8が実行する、動作フローの生成手順を示している。但し、これらフローチャートは、本来一連のものであるが、紙面の大きさの関係で、2つの図に分けて記載している。
【0022】
まず、
図3において、動作フロー生成の処理が開始されると、ステップS1では、制御装置4より、各個動作端ランプPLのデータが取得され、点灯状態を示す関数L1[**]の各要素に、PLC[**]の各要素が入力される。次のステップS2では、動作フロー画面13の「登録」のボタンB2が押下されたかどうかが判断される。「登録」のボタンB2が押下されてない場合には(ステップS2にてNo)、そのままステップS4に進む。「登録」のボタンB2が押下された場合には(ステップS2にてYes)、ステップS3にて、変数iが1とされると共に、動作端ランプPLの番号を示す関数R1[**]の各要素が0とされ、動作端ランプPLの点灯回数を示す関数R2[**]の各要素が0とされ、次のステップS4に進む。
【0023】
ステップS4では、登録中かどうかが判断され、登録中でない場合には(ステップS4にてNo)、後述する
図4のステップS21に進む。登録中である場合には(ステップS4にてYes)、次のステップS5にて、変数aが1とされる。ステップS6からステップS19までは、全ての各個動作端ランプPLに対する処理が終了するまでループが繰り返される。
【0024】
ステップS7では、今回の各個動作端ランプPLの点灯状態L1[a]が1即ち点灯であるかどうかが判断される。今回の各個動作端ランプPLの点灯状態L1[a]が1である場合には(ステップS7にてYes)、次のステップS8にて、前回の各個動作端ランプPLの点灯状態L2[a]が0即ち消灯であるかどうかが判断される。前回の各個動作端ランプPLの点灯状態L2[a]が0である場合には(ステップS8にてYes)、ステップS9に進む。今回の各個動作端ランプPLの点灯状態L1[a]が1でなく(ステップS7にてNo)、あるいは、前回の各個動作端ランプPLの点灯状態L2[a]が0でない場合には(ステップS8にてNo)、ステップS18に進む。
【0025】
前記ステップS9にて、OFFからONに変化した各個動作端ランプPLの番号が、R1[i]=aとして記憶される。ステップS10では、各個画面11のコメントライブラリより、該当する各個動作端ランプPLの動作名称を引用し、動作フローの動作名称に表示される。ステップS11では、変数bが1とされる。
【0026】
次のステップS12のループ開始からステップS16のループ終了までは、ここまでの記憶数、つまり各個動作端ランプPLの番号の記憶数だけの処理が繰り返される。まず、ステップS13では、同じ各個動作端ランプPLが点灯していたか、つまり、R1[b]=aかどうかが判断される。R1[b]=aでない場合には(ステップS13にてNo)、ステップS16に進む。R1[b]=aである場合には(ステップS13にてYes)、次のステップS14にて、該当する各個動作端ランプPLが点灯していた回数がカウントアップ、つまり、R2[i]=R2[i]+1とされる。次のステップS15では、変数bの値が1だけインクリメントされ、ステップS16に進む。
【0027】
ステップS12~ステップS16のループを終了すると、次のステップS17にて、変数iの値が1だけインクリメントされ、次のステップS18では、変数aの値が1だけインクリメントされる。この後、ステップS6~ステップS19のループが繰り返される。そして、ステップS6~ステップS19のループを終了すると、次のステップS20にて、今回の全各個動作端ランプPLの状態が、前回の全各個動作端ランプPLの状態として記憶、つまり、関数L1[**]の各要素が、関数L2[**]に入力され、処理が終了される。
【0028】
これに対し、上記ステップS4で登録中と判断されなかった場合には(ステップS4にてNo)、
図4のフローチャートに進み、ステップS21にて、サイクル開始であるかどうかが判断される。サイクル開始である場合には(ステップS21にてYes)、次のステップS22にて、各個動作端ランプPLの点灯した回数を示す関数F2[**]の各要素が0とされ、ステップS23に進む。サイクル開始でない場合には(ステップS21にてNo)、そのままステップS23に進む。ステップS23では、変数mに1がセットされる。
【0029】
ステップS24からステップS36までは、全ての各個動作端ランプPLの数に対するチェックが終了するまで処理ループが繰り返される。ステップS25では、今回の各個動作端ランプPLの点灯状態L1[m]が1即ち点灯であるかどうかが判断される。各個動作端ランプPLの点灯状態L1[m]が1である場合には(ステップS25にてYes)、次のステップS26にて、前回の各個動作端ランプPLの点灯状態L2[m]が0即ち消灯であるかどうかが判断される。
【0030】
前回の各個動作端ランプPLの点灯状態L2[m]が0である場合には(ステップS26にてYes)、ステップS27に進む。今回の各個動作端ランプPLの点灯状態L1[m]が1でなく(ステップS25にてNo)、あるいは、前回の各個動作端ランプPLのL2[m]が0でない場合には(ステップS26にてNo)、ステップS35に進む。ステップS27では、各個動作端ランプPLが点灯していた回数がカウントアップ、つまり、F2[m]=F2[m]+1とされる。次のステップS28では、変数nに1がセットされる。次のステップS29のループ開始からステップS34のループ終了までは、各個動作端ランプPLの番号の記憶数だけの処理が繰り返される。
【0031】
まず、ステップS30では、各個動作端ランプPLの記憶が検索され、n番目の各個動作端ランプPLがR1[n]=mかどうかが判断される。R1[n]=mである場合には(ステップS30にてYes)、ステップS31に進み、回数記憶の検索が行われ、R2[n]=F2[m]かどうかが判断される。R2[n]=F2[m]である場合には(ステップS31にてYes)、ステップS32に進み、F1[n]=1とされ、動作フローの進捗を示す動作端ランプPLが点灯される。R1[n]=mでなかった場合(ステップS30にてNo)、あるいは、R2[n]=F2[m]でなかった場合(ステップS31にてNo)には、そのままステップS33に進む。ステップS33では、変数nの値が1だけインクリメントされ、ステップS34に進む。
【0032】
ステップS29~ステップS34のループを終了すると、次のステップS35にて、変数mの値が1だけインクリメントされ、この後、ステップS24~ステップS36のループが繰り返される。そして、ステップS24~ステップS36のループを終了すると、次のステップS20にて、今回の全各個動作端ランプPLの状態が、前回の全各個動作端ランプPLの状態として記憶、つまり、関数L1[**]の各要素が、関数L2[**]に入力され、処理が終了される。
【0033】
さて、本実施形態では、次の作用説明でも述べるように、制御装置4は、製造設備1における運転時にエラー発生を検出した際に、操作表示装置5に動作フロー画面13が表示される。この動作フロー画面13においては、動作端ランプPLの点灯、消灯によって、動作フロー中の各個動作の現在の動作完了、動作未完了の進捗状況が示されるようになる。作業者は、動作フロー画面13を見て、動作フロー中の各個動作のどこまでが動作完了し、どこからが動作未完了となっているか、つまりエラーによる停止位置を容易に知ることができ、エラーに対する正しい復帰処理を行うことが可能となる。
【0034】
そして、操作表示装置5に表示される動作フロー画面13には、「進み」ボタンB3及び「戻し」ボタンB4からなる復帰用操作ボタンが配置されている。作業者は、動作フローの示す一連の各個動作のうち動作端ランプPLが消灯している動作未完了位置から、「戻し」ボタンB4を操作することにより、各個動作を1ステップ戻すことができ、「進み」ボタンB3を操作することにより、各個動作を1ステップ進めることができる。「進み」ボタンB3を繰返し操作することにより、サイクルの終了まで動作を進めることができ、その後、通常の自動運転を進めることができる。
【0035】
次に、上記構成の作用について述べる。
図2のフローチャートは、製造設備1の運転中にエラーが発生した場合の復帰処理の手順を示している。上記したように、工程のいずれかにおいてエラーが発生した場合には、制御装置4は、アクチュエータ2の動作を停止すると共に、操作表示装置5に動作フロー画面13を表示する。作業者は、動作フロー画面13の動作端ランプPLの点灯状態を見て、現在動作がどこまで進行しているか、言い換えれば、どのステップで動作が停止しているかを、容易に知ることができる。
【0036】
これにより、作業者は、エラーに対する対処を容易に行うことができ、設備状態に問題がある場合には(ステップS41にてNo)、ステップS42にて、設備に対する必要な処置を行うことができる。また、ワーク状態に問題がある場合には、(ステップS43にてNo)、ステップS44にて、ワークに対する必要な処置を行うことができる。エラーの要因となった設備やワークに対する処置が終了すると(ステップS43にてYes)、次のステップS45にて、復帰操作が行われる。
【0037】
この復帰操作は、作業者が「戻し」ボタンB4或いは「進み」ボタンB3を操作して、各個動作を1ステップずつ戻したち、1ステップずつ進めることにより行うことができ、サイクルの終了まで動作を進めることにより、リスタートが可能となる。これにより、操作表示装置5において他の画面に何度も移行させることなく、復帰用操作ボタンB3、B4の操作に基づいて、短時間で動作フロー画面13上での復帰動作を行わせることが可能となる。ちなみに、本発明者らの試験では、例えば19ステップの復帰動作に、従来では、6分かかっていたものが、本実施形態によれば、1.5分で済ませることができた。
【0038】
このような本実施形態の復帰支援装置6によれば、動作フロー生成部8によって動作フローを生成し、操作表示装置5に動作フロー画面13を表示させることができる。この動作フロー画面13においては、1サイクルの複数の工程を一連の直列に連続した各個動作の順序として示す動作フローが示されると共に、その動作フロー中の各個動作の現在の動作完了、動作未完了の進捗状況が示されるようになる。従って、作業者は、動作フロー画面13を見て、各個動作のどこまでが動作完了し、どこからが動作未完了となっているかを容易に知ることができ、エラーに対する正しい復帰処理を行うことが可能となる。
【0039】
そして、操作表示装置5に表示される動作フロー画面13には、復帰用操作ボタンB3、B4が配置されているので、他の画面に何度も移行させることなく、それら復帰用操作ボタンB3、B4の操作に基づいて、簡単に短時間で復帰動作を行わせることが可能となる。この結果、本実施形態によれば、生産関連設備におけるエラー発生時に、作業者に対しサイクル中のエラー発生位置を判りやすく知らせると共に、復帰のための操作を簡単に済ませることができるという優れた効果を得ることができる。
【0040】
特に本実施形態では、動作フロー生成部8が、動作フロー画面13における各個動作の文字表示を、各アクチュエータ2の各個動作を示す各個画面11から、当該各個動作の文字表示を引用して生成するように構成した。これにより、動作フロー画面13における各個動作の文字表示の誤記がなく、より簡易に動作フローの画面を自動で生成することができる。この場合、文字表示が入っていない枠だけを先に作って、文字表示を追加して動作フローを容易に作成することができる。
【0041】
また本実施形態では、動作フロー画面13においては、復帰用操作ボタンとして、動作フローの示す各個動作を1ステップ進める「進み」ボタンB3と、1ステップ戻す「戻し」ボタンB4とを設け、それら「進み」ボタンB3及び「戻し」ボタンB4の2つの操作ボタンが有効とされて該動作フロー画面13上での復帰操作が可能となるように構成した。これにより、作業者は、「進み」ボタンB3及び「戻し」ボタンB4の2つの操作ボタンのいずれかを操作して、工程の復帰を行わせることができ、復帰の操作を極めて簡単に済ませることができる。
【0042】
さらに本実施形態では、動作フロー画面13においては、動作フローの示す各個動作の完了、未完了を、動作端ランプPLの点灯、消灯によって表示するように構成した。これによれば、作業者は、動作端ランプPLの点灯、消灯によって、各個動作の完了がどこまで進んだかが一目で判るようになり、また、動作端ランプPLを点灯制御するだけの簡単な構成で済ませることができる。
【0043】
尚、上記実施形態では、生産関連設備として、例えば自動車用部品の製造設備1に適用するようにしたが、様々な製造設備に適用することができる。生産関連設備には、製品の組立等の生産設備を含むことは勿論、複数の工程で製品の加工を行う加工設備、複数の工程で製品等の検査を行う検査設備、複数の工程で梱包などを行う設備、複数の工程で部品の解体、分解を行う設備、それらを組合せた設備等を含んでいる。また、1工程におけるアクチュエータの各個動作としては、1ステップの動作のみを行う場合を含んでいても良い。
【0044】
その他、動作フロー画面13や各個メイン画面12等の画面構成についても、様々な変形が可能であることは勿論である。動作フローの登録の処理等の処理手順についても、様々な変更が可能である。本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0045】
図面中、1は製造設備(生産関連設備)、2はアクチュエータ、3は動作制御装置、4は制御装置、5は操作表示装置、6は復帰支援装置、7はエラー処理部、8は動作フロー生成部、11は各個画面、12は各個メイン画面、13は動作フロー画面、B、B1~B4は操作ボタン、PLはランプを示す。