(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190927
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】被加工材の不良検出装置及び被加工材の不良検出方法
(51)【国際特許分類】
B21J 9/20 20060101AFI20221220BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20221220BHJP
B30B 15/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B21J9/20
G01L5/00 L
B30B15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099465
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 健児
(72)【発明者】
【氏名】大賀 義高
(72)【発明者】
【氏名】角谷 千明
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大慈
【テーマコード(参考)】
2F051
4E087
4E088
【Fターム(参考)】
2F051AA12
2F051AB10
4E087AA05
4E087CA22
4E087CA24
4E087CA27
4E087CA32
4E087EC17
4E087EC22
4E087GA02
4E088JJ04
(57)【要約】
【課題】被加工材に発生する異常をより確実に検出できると共に、異常が発生している箇所の特定も容易になる被加工材の不良検出装置を提供する。
【解決手段】圧力センサ7をプレス機1のパンチ3に、被加工材6との接触面圧を測定するように配置し、ロガー13によって圧力センサ7より出力される信号の電圧値をデータとして記録する。データ処理装置14は、ロガー13に記録されたデータを処理することで被加工材6にワレが発生したか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチ(3,21,31,41,51,61)及びダイ(4,22,32,42,52,62)を用いて被加工材(4,24,34,44,54,64)を塑性加工する装置に適用され、
前記被加工材との接触面圧を測定するように、前記パンチ及びダイの一方又は両方に配置される圧力センサ(7)と、
この圧力センサより出力される信号の電圧値をデータとして記録するデータ記録部(13)と、
このデータ記録部に記録されたデータを処理することで、前記被加工材にワレが発生したか否かを判定するデータ処理部(14)とを備える被加工材の不良検出装置。
【請求項2】
前記圧力センサは、薄膜圧力センサである請求項1記載の被加工材の不良検出装置。
【請求項3】
前記薄膜圧力センサは、感圧部が前記被加工材の接触面に係るように配置されており、
前記データ処理部は、ワレが発生していない被加工材より得られた前記信号の電圧波形を標準電圧波形として予め記憶しており、
被加工材の加工中に得られる前記信号の電圧波形及び前記標準電圧波形について、前記パンチと前記被加工材との接触面積が急激に拡大する期間における圧力の低下率を比較することで前記判定を行う請求項2記載の被加工材の不良検出装置。
【請求項4】
前記圧力センサは、前記被加工材の外形において、加工前に係る位置と、加工後に係る位置との間に配置されている請求項1から3の何れか一項に記載の被加工材の不良検出装置。
【請求項5】
前記圧力センサの感圧部(8b~8g)を、前記被加工材が前記パンチに接触する面の端部に係る位置に配置する請求項1から4の何れか一項に記載の被加工材の不良検出装置。
【請求項6】
前記圧力センサは複数の感圧部を有しており、
前記感圧部(8a)の1つを、前記パンチの加工面の中央部に係る位置に配置する請求項1から5の何れか一項に記載の被加工材の不良検出装置。
【請求項7】
パンチ及びダイを用いて被加工材を塑性加工する際に、
前記被加工材との接触面圧を測定するように、前記パンチ及びダイの一方又は両方に圧力センサを配置し、
前記圧力センサより出力される信号の電圧値をデータとして記録し、
記録されたデータを処理することで、前記被加工材にワレが発生したか否かを判定する被加工材の不良判定方法。
【請求項8】
前記圧力センサに、薄膜圧力センサを用いる請求項7記載の被加工材の不良検出方法。
【請求項9】
ワレが発生していない被加工材より得られた前記信号の電圧波形を標準電圧波形として予め記憶し、
前記薄膜圧力センサの感圧部が、前記被加工材の接触面に係るように配置し、
被加工材の加工中に得られる前記信号の電圧波形及び前記標準電圧波形について、前記パンチと前記被加工材との接触面積が急激に拡大する期間における圧力の低下率を比較することで前記判定を行う請求項8記載の被加工材の不良検出方法。
【請求項10】
前記圧力センサを、前記被加工材の表面において、加工前と加工後との双方に係る位置に配置する請求項7から9の何れか一項に記載の被加工材の不良検出方法。
【請求項11】
前記圧力センサの感圧部を、前記被加工材が前記パンチに接触する面の端部に係る位置に配置する請求項7から10の何れか一項に記載の被加工材の不良検出方法。
【請求項12】
複数の感圧部を有する圧力センサを用いる際に、
前記感圧部の1つを、前記パンチの加工面の中央部に係る位置に配置する請求項7から11の何れか一項に記載の被加工材の不良検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工材を塑性加工する装置に適用され、被加工材の不良検出する装置及び
方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1では、プレス加工を行う装置において塑性加工材の良否を判別するため、AEセンサをプレス装置のプレスベッド側に配置し、そのセンサにより検知される弾性波の波形を評価することで異常を判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、AEセンサを配置する位置がプレス加工が行われる位置から離れているため、センサ信号の強度が低下して不良品の判別が困難であると共に、不良が発生している箇所の判別も困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加工材に発生する異常をより確実に検出できると共に、異常が発生している箇所の特定も容易になる被加工材の不良検出装置及び被加工材の不良検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の被加工材の不良検出装置によれば、圧力センサを、パンチ及びダイの一方又は両方に被加工材との接触面圧を測定するように配置し、データ記録部は、圧力センサより出力される信号の電圧値をデータとして記録する。データ処理部は、データ記録部に記録されたデータを処理することで被加工材にワレが発生したか否かを判定する。このように構成すれば、パンチ又はダイの少なくとも一方に配置されたに圧力センサよって、被加工材に加えられる圧力をより直接的に測定できる。そして、その圧力が変化する態様に基づいて、被加工材にワレが発生したか否かをより確実に判定できる。
【0007】
請求項2記載の被加工材の不良検出装置によれば、圧力センサに薄膜圧力センサを用いるので、実働状態の系を変化させることなく、被加工材の接触面圧を高精度に測定できる。
【0008】
請求項3記載の被加工材の不良検出装置によれば、薄膜圧力センサの感圧部を、被加工材の接触面に係るように配置する。データ処理部には、ワレが発生していない被加工材について得られた圧力センサの出力信号の電圧波形を、標準電圧波形として予め記憶しておく。そして、データ処理部は、被加工材の加工中に得られる前記信号の電圧波形及び前記標準電圧波形について、パンチと被加工材との接触面積が急激に拡大する期間における圧力の低下率を比較することで前記判定を行う。
【0009】
本願発明の発明者らは、被加工材の加工中において、パンチとの接触面積が急激に拡大する期間に被加工材にワレが発生すると、その接触面圧は、ワレが発生しない被加工材に比較して急激に低下することを見出した。そこで、データ処理部が上記のように判定を行うことで、被加工材にワレが発生したことを確実に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態であり、据え込み加工を行うプレス機及び被加工材の不良検出装置の構成を示す図
【
図2】パンチに圧力センサが取り付けられた状態を示す側面図
【
図5】被加工材にパンチが接触した後の変位量に応じた、圧力センサにより検出される圧力値及びロードセル荷重の変化を示す図
【
図6】被加工材にワレが発生しない場合と発生した場合との圧力低下率を示す図
【
図7】被加工材にパンチが接触した後の変位量に応じた、接触面積及び被加工材の直径の変化を示す図
【
図9】被加工材の外周部と中央部とで検出される圧力の変化を示す図
【
図10】第2実施形態であり、圧力センサの配置のバリエーションを示す図
【
図11】第3実施形態であり、押し出し加工を行うプレス機に適用した場合を示す図(加工前)
【
図12】押し出し加工を行うプレス機に適用した場合を示す図(加工後)
【
図13】第4実施形態であり、前方押し出し加工を行うプレス機に適用した場合を示す図(加工前)
【
図14】押し出し加工を行うプレス機に適用した場合を示す図(加工後)
【
図15】第5実施形態であり、側方押し出し加工を行うプレス機に適用した場合を示す図(加工前)
【
図16】側方押し出し加工を行うプレス機に適用した場合を示す図(加工後)
【
図17】第6実施形態であり、絞り加工を行うプレス機に適用した場合を示す図(加工前)
【
図18】絞り加工を行うプレス機に適用した場合を示す図(加工後)
【
図19】第7実施形態であり、曲げ加工を行うプレス機に適用した場合を示す図(加工前)
【
図20】押し出し加工を行うプレス機に適用した場合を示す図(加工後)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1に示すように、プレス機1は、上側ダイ2に配置されたパンチ3と、下側ダイ4に配置されたカウンタパンチ5とを備えている。カウンタパンチ5の上面部には、例えば円柱状の金属である被加工材6が載置される。プレス機1では、パンチ3が被加工材6に上方より圧力を加えることで、被加工材6を据え込み加工する。パンチ3の加工面である下面部には、圧力センサ7が配置されている。
【0012】
図2から
図4に示すように、圧力センサ7は例えば薄膜圧力センサであり、円柱状のパンチ3の下面部を覆うように配置されている。圧力センサ7は、例えば2つの感圧部8a,8bを有しており、感圧部8aはパンチ3の中央部に配置され、感圧部8bは、
図3に波線で示す、被加工材6がパンチ3に接触する面の端部に係る位置,つまり被加工材6の上面外周部6aに係る位置に配置される。尚、感圧部8は、外周部6aに係る位置に2つ以上配置しても良い。感圧部8には、圧力の変化を電気抵抗の変化として検出するピエゾ抵抗効果を有する感圧膜を用いる。
【0013】
図4に示すように、圧力センサ7は、約10μm程度の薄膜で構成され、上記の感圧部8に相当し、パターン形成された感圧膜101の上下を、絶縁膜102U,102Dにより挟み込んだ層構造となっている。また、絶縁膜102U側には、パンチ3との密着性を向上させるために密着膜103が配置され、圧力センサ7は、密着膜103を介してパンチ3の下面に密着されている。一方、絶縁膜102D側には、必要に応じて、パンチ3による加工圧力への耐久性を確保するための保護膜104を配置しても良い。
【0014】
圧力センサ7の感圧部8に対して、一対の電流印加端子9a及び9bと、一対の電圧測定端子10a及び10bとが設けられており、これらの端子9及び10とが感圧部8と4本の配線11により接続されている。電流印加端子9には、図示しない電流源が接続される。電圧測定端子10は、
図1に示すアンプ12の入力端子に接続される。これにより、4端子法によって、感圧部8における感圧膜101の抵抗値変化を高精度に検出する。また、感圧部8から片側1本ずつ計2本の配線11を有する構成でも検出可能であるが、その際に配線11の抵抗値は、感圧部8の抵抗値に対して1%以下であると良い。
【0015】
アンプ12は、圧力センサ7より出力される電圧信号を増幅して、データ記録部の一例であるロガー13に出力する。ロガー13は、入力される電圧信号をA/D変換したデータを内部のメモリに時系列で記録する。データ処理部であるデータ処理装置14は、ロガー13に記録されているデータの時系列変化に基づいて、プレス機1により加工が行われている被加工材6にワレが発生したか否かを判定する。例えば、ロガー13及びデータ処理装置14としての機能は、パーソナルコンピュータで実現しても良い。
【0016】
次に、本実施形態において、被加工材6にワレが発生したことを判定するための原理について説明する。プレス機1のパンチ3により被加工材6の据え込み加工を行う際には、圧力センサ7によって、被加工材6の接触面の接触圧力を計測し、加工中の圧力波形41を取得する。
図5は、感圧部8bにより検出される圧力の波形を示したものである。
【0017】
被加工材6がパンチ3により押しつぶされ始めると、被加工材6が径方向に拡がることで接触面積が急拡大するため、
図6に示すように接触圧力が大きく低下する。
図7にも示すように、被加工材を6パンチ3により押し込んで行くと、接触面積が急増し始めるタイミングが存在する。その接触面積が増加するタイミングと同時に被加工材6のワレが発生することを、本発明の発明者らは確認した。また、被加工材6にワレが発生した近傍の感圧部8は荷重を受け持たなくなるため、前記圧力低下率が更に低下する。よって、接触面積が増加する領域の圧力低下率を、ワレが発生しなかった標準状態の低下率と比較することでワレ検出が可能となる。
【0018】
そこで、接触面積が拡大し始める初期区間42における圧力波形41について、変位に対する圧力低下率を算出する。
図5では、初期区間42が、例えば接触開始後の変位が5mm超から6.5mm未満となっている。初期区間42や圧力低下率は、被加工材6の材料や加工条件により決まるため、それらの条件に応じて適宜変更すれば良い。
【0019】
そして、本発明の発明者らは、初期区間42における圧力低下率は、加工中にワレが発生しなかったものに比較して、加工中にワレが発生したものは圧力低下率がより大きくなることを見出した。
【0020】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図8に示すように、加工中にワレが発生しなかった被加工材6の圧力波形41を標準圧力波形41aとして取得し、予めデータ処理装置14に記憶する(S1)。そして、標準圧力波形41aから圧力低下率R
sを算出する(S2)。また、実際に被加工材6を加工している際の圧力波形41bを取得し(S3)、その圧力波形41bから圧力低下率R
nを算出する(S4)。尚、低下率R
s,R
nは絶対値とする。
【0021】
そして、圧力低下率Rn,Rsを比較し、(Rn≧Rs)であれば(YES)被加工材6にワレは発生しておらず「正常」と判定し(S6)、(Rn<Rs)であれば(NO)被加工材6にワレが発生しており「不良」と判定する(S7)。
【0022】
また、
図9に示すように、パンチ3の中央部に配置した圧力センサ7の感圧部8aにより検出される接触圧力の最大値は、感圧部8bにより検出される接触圧力の最大値よりも高くなる。感圧部8aより得られる接触圧力を計測することで、パンチ3の損傷の有無も検知することが可能となる。
【0023】
以上のように本実施形態によれば、圧力センサ7をプレス機1のパンチ3に、被加工材6との接触面圧を測定するように配置し、ロガー13によって圧力センサ7より出力される信号の電圧値をデータとして記録する。データ処理装置14は、ロガー13に記録されたデータを処理することで被加工材6にワレが発生したか否かを判定する。
【0024】
このように構成すれば、パンチ3に配置された加工圧力に耐え得る薄膜圧力センサ7よって、実働状態の系を変化させることなく、被加工材6に加えられる接触面圧を直接的に測定できる。そして、その圧力が変化する態様に基づいて、被加工材6にワレが発生したか否かを高精度に判定できる。
【0025】
また、圧力センサ7の感圧部8を被加工材6の接触面に係るように配置し、データ処理装置14には、ワレが発生していない被加工材6について圧力センサ7より出力された信号の電圧波形を、標準電圧波形として予め記憶する。そして、データ処理装置14は、被加工材6の加工中に得られる前記信号の電圧波形及び前記標準電圧波形について、パンチと被加工材との接触面積が急激に拡大する期間における圧力の低下率を比較することで前記判定を行う。すなわち、被加工材6の加工中にパンチ3との接触面積が急激に拡大する期間に被加工材6にワレが発生すると、その接触面圧はワレが発生しない被加工材6に比較して急激に低下する。したがって、データ処理装置14が上記のように判定を行うことで、被加工材6にワレが発生したことを確実に判定できる。
【0026】
加えて、圧力センサの感圧部8aをパンチ3の中央部に配置し、感圧部8bを被加工材6aに係る位置に配置した。これにより、被加工材6におけるワレの発生を精度良く検出できると共に、パンチ3の損傷の有無についても検出できる。
【0027】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
図10に示すように、第2実施形態では、圧力センサ7が7つの感圧部8a~8gを備えている場合に、そのうち6つの感圧部8b~8gを、被加工材6の上面外周部6aに係る位置に、開き角60°毎に配置している。このように配置することで、被加工材6のワレが発生した個所が、それぞれ感圧部8b~8gに対応する6つの領域の何れに属するかを判定できる。
【0028】
また、被加工材6の加工前の上面外周部6aに対して、加工後には上面外周部6bまで接触面積が広がることが想定される場合、6つの感圧部8b~8gを、外周部6aから外周部6bまでの間に配置したり、外周部6b上に配置しても良い。
【0029】
(第3実施形態)
図11及び
図12に示すように、第3実施形態は、パンチ21並びにダイ22及びボトムダイ23により、被加工材24を押し出し加工するプレス機に適用した場合である。被加工材24は、ボトムダイ23上に配置され、パンチ21によりで押し込み加工されると、ダイ22とパンチ21との間において上方に向かって押し出される。
【0030】
圧力センサ7は、第1実施形態等と同様に、パンチ21の下面部を覆うように配置されるが、感圧部8の1つを、被加工材24の不良が発生しやすい部位に対応するR部21Rに設けることで、不良検出を精度良く行うことができる。
【0031】
(第4実施形態)
図13及び
図14に示すように、第4実施形態は、パンチ31並びにダイ32及びボトムダイ33により、被加工材34を前方押し出し加工するプレス機に適用した場合である。ボトムダイ33の中央部には、テーパ部35及び絞り部36からなる絞り穴37が形成されている。ダイ32側に保持されている被加工材34に対し、
図14に示すように、パンチ31により押し出し加工を行うことで、被加工材34の下部が絞り穴34に押し出されて、絞り穴34に嵌合する形状に加工される。
【0032】
この場合、被加工材34がボトムダイ33の絞り部36を通過する際に、ワレ等の不良が発生し易い。そこで、圧力センサ7を、感圧部8a,8bがそれぞれテーパ部35や、テーパ部35と絞り部36との境界部に位置するように、それらの内面に貼り付けるように配置する。これにより、被加工材34の不良検出が可能になる。
【0033】
(第5実施形態)
図15及び
図16に示すように、第5実施形態は、パンチ41並びにダイ42及びボトムダイ43により、被加工材44を側方押し出し加工するプレス機に適用した場合である。ダイ42及びボトムダイ43が対向する部分には、図中の左右方向に延びるように絞り穴45L,45Rが形成されている。
【0034】
被加工材44は、底面部がボトムダイ43に接する状態で保持されている。
図16に示すように、パンチ41により押し出し加工を行うことで、被加工材44の一部が絞り穴45L,45Rに押し出される。この場合、被加工材44が側方に拡大する箇所で被加工材の不良が発生し易い。そこで、圧力センサ7を、ダイ42及びボトムダイ43と被加工材44との接触面に感圧部8が位置するように配置することで、被加工材44の不良検出が可能になる。
【0035】
(第6実施形態)
図17及び
図18に示すように、第6実施形態は、パンチ51並びにダイ52及びホルダ53により、被加工材54を絞り加工するプレス機に適用した場合である。板状の被加工材54の端部は、下側のホルダ53Dの上に配置されたダイ52と、上側のホルダ53Uとの間に挟持されている。そして、
図18に示すように、パンチ51が被加工材54の中央部に圧力を加えることで、絞り加工が行われる。尚、抜き加工についても同様の構成で可能である。
【0036】
この場合、被加工材54の変形が大きくなるダイ52のR部52Rや、パンチ51の中央部やR部51Rで、被加工材54の不良が発生し易い。そこで、圧力センサ7を、感圧部8がそれらの位置に係るように配置することで、被加工材54の不良検出が可能になる。
【0037】
(第7実施形態)
図19及び
図20に示すように、第7実施形態は、パンチ61並びにダイ62及びホルダ63により、被加工材64を曲げ加工するプレス機に適用した場合である。板状の被加工材64の一端部は、下側のホルダ63Dの上に配置されたダイ62と、上側のホルダ63Uとの間に挟持されている。そして、
図20に示すように、パンチ61が被加工材64他端部に圧力を加えることで、曲げ加工が行われる。
【0038】
この場合、被加工材64の変形が大きくなるダイ62のR部62Rやパンチ61及びダイ62の側面部で被加工材64の不良が発生し易い。そこで、圧力センサ7を、感圧部8がそれらの位置に係るように配置することで、被加工材64の不良検出が可能になる。
【0039】
(その他の実施形態)
必ずしも感圧部8aを、パンチ3等の中央部に配置する必要はない。
圧力センサ7は、必ずしも薄膜圧力センサに限らない。プレス機の加工圧力に耐え得るセンサであれば良い。
第2実施形態において、複数の感圧部を配置する開き角は60°に限らない。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0040】
図面中、1はプレス機、2は上側ダイ、3はパンチ、4は下側ダイ5はカウンタパンチ、6は被加工材、7は圧力センサ、8は感圧部、13はロガー、14はデータ処理装置を示す。