IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社ミライズテクノロジーズの特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置 図1
  • 特開-半導体装置 図2
  • 特開-半導体装置 図3
  • 特開-半導体装置 図4
  • 特開-半導体装置 図5A
  • 特開-半導体装置 図5B
  • 特開-半導体装置 図5C
  • 特開-半導体装置 図5D
  • 特開-半導体装置 図5E
  • 特開-半導体装置 図5F
  • 特開-半導体装置 図5G
  • 特開-半導体装置 図6
  • 特開-半導体装置 図7
  • 特開-半導体装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190929
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20221220BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 652T
H01L29/78 653C
H01L29/78 652J
H01L29/78 652F
H01L29/78 658A
H01L29/78 658E
H01L29/78 655A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099471
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 洋平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 龍太
(57)【要約】
【課題】オン抵抗の増大を抑制しつつ、第1ディープ層と第2ディープ層とを効率よく接続することが可能な構造の半導体装置を提供する。
【解決手段】第2ディープ層5の下方において、ストライプ部4aにおける隣り合う各ラインを接続するように接続部4bを備える。このように、第2ディープ層5の下方に接続部4bを備えることで、第2ディープ層5と第1ディープ層4とが確実に接続され、第1ディープ層4をソース電位に固定できる。これにより、第1ディープ層4によるゲート絶縁膜11に掛かる電界を低下させる電界抑制効果を的確に発揮させられるなど、ゲート絶縁膜11の破壊を抑制できる。そして、接続部4bを第2ディープ層5の下方に対応して形成することで、電流の経路を狭くする範囲を少なくできる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレンチゲート構造の半導体素子を備えている半導体装置であって、
第1または第2導電型の半導体層(1)と、
前記半導体層の上に形成され、前記半導体層よりも低不純物濃度とされた第1導電型の第1層(2)と、
前記第1層の上に形成され、一方向を長手方向として複数本がストライプ状に並べられたストライプ部(4a)を有する第2導電型の第1ディープ層(4)、および、前記一方向を長手方向として前記第1ディープ層と交互に複数本がストライプ状に並べられた部分を有する第1導電型のJFET部(3)を含む飽和電流抑制層(3、4)と、
前記飽和電流抑制層の上に形成された第1導電型の第2層(6)と、
前記第1ディープ層に接続され、前記一方向と交差する方向を長手方向として、複数本備えられた第2導電型の第2ディープ層(5)と、
前記第2層の上に形成された第2導電型のベース領域(7)と、
前記ベース領域の上に形成され、前記第1層よりも第1導電型不純物濃度が高くされた第1導電型のソース領域(8)と、
前記ベース領域の上における前記ソース領域と異なる位置および前記第2ディープ層の上に形成され、前記ベース領域よりも第2導電型不純物濃度が高くされたコンタクト領域(9)と、
前記ソース領域および前記ベース領域を貫通するゲートトレンチ(10)内に、該ゲートトレンチの内壁面を覆うゲート絶縁膜(11)と該ゲート絶縁膜の上に配置されたゲート電極(12)とを備えて構成され、前記第2ディープ層の長手方向と同方向を長手方向として複数本がストライプ状に並べられたトレンチゲート構造と、
前記ゲート電極を覆うと共に前記ソース領域および前記コンタクト領域を露出させるコンタクトホールが形成された層間絶縁膜(13)と、
前記コンタクトホールを通じて、前記ソース領域および前記コンタクト領域に電気的に接続されたソース電極(14)と、
前記半導体層の裏面側に形成されたドレイン電極(15)と、を含み、
前記第2ディープ層は、前記トレンチゲート構造の複数本に対して1つもしくは複数備えられていて、隣り合う前記トレンチゲート構造の間に配置され、
前記第1ディープ層は、前記第2ディープ層の下方に配置され、前記第2ディープ層と接続されると共に、前記第1ディープ層の前記ストライプ部を構成する各ラインのうち隣り合うライン同士を接続する接続部(4b)を備えている、半導体装置。
【請求項2】
前記接続部は、前記第2ディープ層すべての下方に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続部は、前記第2ディープ層のうちの一部の下方にのみ形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2ディープ層は、ストライプ状に配置されており、
前記接続部は、隣り合う前記第2ディープ層の間隔の整数倍の間隔で配置されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2ディープ層は、ストライプ状に配置されており、
前記接続部は、前記第2ディープ層の長手方向に沿って、隣り合う前記第1ディープ層のうちの前記ストライプ部の間において、形成された部分と形成されていない部分とが交互に配置され、前記半導体素子の上面視において千鳥状に配置されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2ディープ層は、ストライプ状に配置されており、
前記接続部は、前記第1ディープ層の前記ストライプ部を構成する各ラインのうちの任意の1組もしくは複数組の隣り合う2つのラインの間にのみ配置されている、請求項3に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレンチゲート構造の半導体素子を備えた半導体装置に関するものであり、特に半導体材料として炭化珪素(以下、SiCという)が用いられるSiC半導体装置に適用すると好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、SiCを用いたパワーデバイスとして、トレンチゲート構造のMOSFETが知られている。トレンチゲート構造のMOSFETでは、トレンチゲート構造を構成するためのトレンチの底部に電界集中が起こり、ゲート絶縁膜が容易に破壊されてしまうという問題がある。このため、特許文献1に示されるように、トレンチの底部での電界集中を緩和するために、トレンチの長手方向と交差する方向に沿って、トレンチ下部にストライプ状の第1ディープ層を形成している。また、第1ディープ層とベース領域とが第2ディープ層によって連結されており、ベース領域の表層部に形成されるコンタクト領域がソース電極に電気的に接続されることで、ベース領域および第2ディープ層を通じて第1ディープ層をソース電位に固定している。このような第1ディープ層を備えることで、高電界がゲート絶縁膜側に入り難くなるようにでき、ゲート絶縁膜の絶縁破壊を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-46908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような構造の半導体装置において、上記効果を十分に得るためには、第1ディープ層と第2ディープ層とが低抵抗で接続されていることが望ましい。
【0005】
しかしながら、製造上のばらつきによって第1ディープ層と第2ディープ層とが繋がらない、または、一部が繋がらず第1ディープ層と第2ディープ層との間が高抵抗になると十分な効果が得られない。このような不具合を回避するために、特許文献1においては、第1ディープ層を格子状に形成することで、第2ディープ層と繋がるようにしているが、第1ディープ層を単純に格子状にすると、電流の経路が狭くなり、MOSFETのオン抵抗が増大すると言う課題がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、オン抵抗の増大を抑制しつつ、第1ディープ層と第2ディープ層とを効率よく接続することが可能な構造の半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、トレンチゲート構造の半導体素子を備えている半導体装置であって、第1または第2導電型の半導体層(1)と、半導体層の上に形成され、半導体層よりも低不純物濃度とされた第1導電型の第1層(2)と、第1層の上に形成され、一方向を長手方向として複数本がストライプ状に並べられたストライプ部(4a)を有する第2導電型の第1ディープ層(4)、および、一方向を長手方向として第1ディープ層と交互に複数本がストライプ状に並べられた部分を有する第1導電型のJFET部(3)を含む飽和電流抑制層(3、4)と、飽和電流抑制層の上に形成された第1導電型の第2層(6)と、第1ディープ層に接続され、前記一方向と交差する方向を長手方向として、複数本備えられた第2導電型の第2ディープ層(5)と、第2層の上に形成された第2導電型のベース領域(7)と、ベース領域の上に形成され、第1層よりも第1導電型不純物濃度が高くされた第1導電型のソース領域(8)と、ベース領域の上におけるソース領域と異なる位置および第2ディープ層の上に形成され、ベース領域よりも第2導電型不純物濃度が高くされたコンタクト領域(9)と、ソース領域およびベース領域を貫通するゲートトレンチ(10)内に、該ゲートトレンチの内壁面を覆うゲート絶縁膜(11)と該ゲート絶縁膜の上に配置されたゲート電極(12)とを備えて構成され、第2ディープ層の長手方向と同方向を長手方向として複数本がストライプ状に並べられたトレンチゲート構造と、ゲート電極を覆うと共にソース領域およびコンタクト領域を露出させるコンタクトホールが形成された層間絶縁膜(13)と、コンタクトホールを通じて、ソース領域およびコンタクト領域に電気的に接続されたソース電極(14)と、半導体層の裏面側に形成されたドレイン電極(15)と、を含んでいる。そして、第2ディープ層は、トレンチゲート構造の複数本に対して1つもしくは複数備えられていて、隣り合うトレンチゲート構造の間に配置され、第1ディープ層は、第2ディープ層の下方に配置され、第2ディープ層と接続されると共に、第1ディープ層のストライプ部を構成する各ラインのうち隣り合うライン同士を接続する接続部(4b)を備えている。
【0008】
このように、第2ディープ層の下方において、ストライプ部を構成する各ラインのうち隣り合うライン同士を接続するように接続部を備えている。このように、第2ディープ層の下方に接続部を備えているため、第2ディープ層と第1ディープ層とが確実に接続され、第1ディープ層をソース電位に固定できる。これにより、第1ディープ層によるゲート絶縁膜に掛かる電界を低下させる電界抑制効果を的確に発揮させられるなど、ゲート絶縁膜の破壊を抑制できる。
【0009】
そして、このような接続部を第2ディープ層の下方に対応して形成していることから、特許文献1のように第1ディープ層を格子状に形成する場合と比較して電流の経路を狭くする範囲を少なくできる。したがって、オン抵抗の増大を抑制しつつ、第1ディープ層と第2ディープ層とを効率よく接続することが可能な構造のSiC半導体装置とすることが可能となる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態にかかるSiC半導体装置の断面構成を示す図である。
図2図1に示すSiC半導体装置の一部を示した斜視断面図である。
図3】第1ディープ層および第2ディープ層のレイアウトを示した透過斜視図である。
図4】第1ディープ層と第2ディープ層およびトレンチゲート構造のレイアウトを示した上面図である。
図5A図2に示すSiC半導体装置の製造工程を示す斜視断面図である。
図5B図5Aに続くSiC半導体装置の製造工程を示す斜視断面図である。
図5C図5Bに続くSiC半導体装置の製造工程を示す斜視断面図である。
図5D図5Cに続くSiC半導体装置の製造工程を示す斜視断面図である。
図5E図5Dに続くSiC半導体装置の製造工程を示す斜視断面図である。
図5F図5Eに続くSiC半導体装置の製造工程を示す斜視断面図である。
図5G図5Fに続くSiC半導体装置の製造工程を示す斜視断面図である。
図6】第2実施形態で説明するSiC半導体装置における第1ディープ層と第2ディープ層のレイアウトを示した透過斜視図である。
図7】第3実施形態で説明するSiC半導体装置における第1ディープ層と第2ディープ層のレイアウトを示した透過斜視図である。
図8】第4実施形態で説明するSiC半導体装置における第1ディープ層と第2ディープ層のレイアウトを示した透過斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。本実施形態では、半導体材料としてSiCを用いたSiC半導体装置を例に挙げて説明するが、シリコン(Si)などの他の半導体材料で構成される半導体装置としても良い。
【0014】
本実施形態にかかるSiC半導体装置は、半導体素子として、図1および図2に示すトレンチゲート構造の反転型の縦型MOSFETが形成されたものである。これらの図に示す縦型MOSFETは、SiC半導体装置のうちのセル領域に形成されており、そのセル領域を囲むように耐圧保持領域が形成されることでSiC半導体装置が構成されているが、ここでは縦型MOSFETのみ図示してある。なお、以下では、図1および図2に示すように、互いに直交する一方向をそれぞれX方向、Y方向、Z方向として説明する。具体的には、縦型MOSFETの奥行方向をX方向、X方向に対して交差する縦型MOSFETの幅方向をY方向、縦型MOSFETの厚み方向もしくは深さ方向、つまりXY平面に対する法線方向をZ方向とする。
【0015】
また、図2は、セル領域の一部を切り出して示した斜視断面図であるが、各部のレイアウトを見やすくするために、SiC半導体装置の構成の一部を省略して示してある。
【0016】
図1および図2に示されるように、SiC半導体装置には、SiCからなるn型基板1が半導体基板として用いられている。n型基板1の主表面上に、n型基板1より低濃度とされたドリフト層の一部を構成するn型層2が形成されている。n型基板1は半導体層に相当し、n型層2は、第1導電型の第1層に相当する。
【0017】
セル領域では、n型層2の上に、SiCからなるドリフト層の一部を構成するn型のJFET部3とp型の第1ディープ層4が形成されている。n型層2は、n型基板1と反対側においてJFET部3と連結されている。
【0018】
JFET部3と第1ディープ層4は、飽和電流抑制層を構成するものであり、共に、Y方向を長手方向として延設され、X方向において交互に繰り返し並べられて配置されている。つまり、n型基板1の主表面に対する法線方向から見て、JFET部3の少なくとも一部と第1ディープ層4は、それぞれ複数のライン状、換言すればストライプ状とされ、それぞれが交互に並べられたレイアウトとされている。
【0019】
さらに、本実施形態では、第1ディープ層4を単にストライプ状に形成するだけでなく、図3および図4に示すように、X方向にも延設されていて、第1ディープ層4のうちストライプ状に配置された各ラインの隣り合うライン同士が接続されている。具体的には、第1ディープ層4は、後述する第2ディープ層5の下方と対応する位置にも形成されている。以下、第1ディープ層4のうちストライプ状に配置された部分をストライプ部4aと言い、第2ディープ層5の下方に位置する部分を接続部4bと言う。
【0020】
なお、本実施形態の場合、JFET部3が第1ディープ層4よりも下方まで形成されたものとされている。このため、JFET部3のうちストライプ状とされている部分は第1ディープ層4の下方において連結した状態になっているが、ストライプ状とされている各部はそれぞれ複数の第1ディープ層4の間に配置された状態となっている。
【0021】
第1ディープ層4は、p型不純物層によって構成されており、深さ方向においてp型不純物濃度が一定とされている。上記したように、第1ディープ層4は、ストライプ部4aと接続部4bとを有している。ストライプ部4aの各ラインは一定幅とされ、等間隔に配置されている。また、接続部4bの幅については任意であるが、第1ディープ層4をイオン注入などで形成する際のマスク設計などを考慮すると、ストライプ部4aの各ラインと同じ幅とすると好ましい。
【0022】
接続部4bは、第2ディープ層5を第1ディープ層4と確実に接続するために備えられている。本実施形態では、接続部4bは、第2ディープ層5が形成された位置に形成されており、Z方向から見た場合、接続部4bと第2ディープ層5とが重なって配置された状態となっている。接続部4bについては、第2ディープ層5の直下に配置されていると好ましいが、第1ディープ層4の形成用のマスクの位置ずれなどに起因して、第2ディープ層5と重なりつつも、若干形成位置がずれていても構わない。また、接続部4bについては、ストライプ部4aと同時に形成しているためストライプ部4aと同じ深さとなっているが、異なる深さ担っていても構わない。
【0023】
さらに、JFET部3および第1ディープ層4の上には、SiCからなるドリフト層の一部を構成し、第1導電型の第2層に相当するn型層6が形成されている。n型層6は、n型不純物濃度がn型層2と同じにされていても良いが、高くすることで縦型MOSFETのチャネルを通じて流れる電流がY方向に拡散できるようにすることができる。
【0024】
なお、本実施形態では、n型層2とJFET部3およびn型層6によってドリフト層が構成されているが、ドリフト層の構成については任意であり、例えば、n型層2とn型基板1との間にバッファ層を備えた構造とすることもできる。
【0025】
n型層6の上にはSiCからなるp型ベース領域7が形成されている。また、p型ベース領域7の上には、SiCからなるn型ソース領域8が形成されている。p型ベース領域7は、第1ディープ層4よりもp型不純物濃度が低くされている。また、n型ソース領域8は、n型不純物濃度がn型層6よりも高濃度とされている。
【0026】
また、p型ベース領域7上におけるn型ソース領域8と異なる位置などに、p型ベース領域7よりもp型不純物濃度が高くされたコンタクト領域に相当するコンタクトp型層9が形成されている。本実施形態では、コンタクトp型層9は、X方向を長手方向とするライン状の部分(以下、連結層9aという)と、それに対して交差するY方向を長手方向とするライン状の部分(以下、コンタクト部9bという)とによって構成されている。さらに、連結層9aの下方には、p型ベース領域7およびn型層6を貫通して第1ディープ層4に繋がる第2ディープ層5が形成されている。第2ディープ層5は、連結層9aと共にX方向を長手方向としてライン状に形成されている。
【0027】
連結層9aおよび第2ディープ層5は、第1ディープ層4をソース電位に固定するために、第1ディープ層4と後述するソース電極14とを連結させる役割を果たす。コンタクト部9bは、p型ベース領域7をソース電位にする役割を果たす。なお、コンタクト部9bが第2ディープ層5に繋がっていれば、コンタクト部9bからp型ベース領域7および第2ディープ層5を介して第1ディープ層4をソース電位に固定できる。この場合には、連結層9aについては必須ではないが、ここでは第2ディープ層5を広範囲にソース電極14と連結させるために連結層9aを備えてある。
【0028】
連結層9aや第2ディープ層5および接続部4bの形成間隔は任意であるが、本実施形態では、後述する複数本のトレンチゲート構造の数本、例えば図4に示すように5本につき1つの間隔で連結層9aや第2ディープ層5が形成され、これらがストライプ状に配置されている。連結層9aおよび第2ディープ層5の幅については任意であるが、ここでは図1に示すように隣り合うトレンチゲート構造の間隔としている。勿論、連結層9aを隣り合うトレンチゲート構造の間隔よりも狭く形成してあっても良い。また、第2ディープ層5の幅についても、隣り合うトレンチゲート構造の間隔以上としているが、その間隔より狭くされていても良い。また、コンタクト部9bの形成間隔も任意であるが、広すぎるとp型ベース領域7の中でコンタクト部9bまでの距離が長くなる部分が生じることから、p型ベース領域7の全域を的確にソース電位にできる程度の形成間隔としている。加えて、コンタクト部9bが形成された部分においてチャネル密度を低下させることになるため、それを抑制できるようにコンタクト部9bの形成間隔を設定している。
【0029】
さらに、p型ベース領域7およびn型ソース領域8を貫通してn型層6に達するように、所定幅かつ所定深さで形成されたゲートトレンチ10が形成されている。このゲートトレンチ10の側面と接するように上述したp型ベース領域7やn型ソース領域8さらには連結層9aが配置されている。ゲートトレンチ10は、図2のY方向を幅方向、JFET部3や第1ディープ層4の長手方向と交差する方向、ここではX方向を長手方向、Z方向を深さ方向とするライン状のレイアウトで形成されている。そして、図1図2に示したように、ゲートトレンチ10は、複数本がY方向に等間隔に配置されたストライプ状とされており、それぞれの間にp型ベース領域7およびn型ソース領域8が配置されている。ただし、第2ディープ層5が形成された領域においては、ゲートトレンチ10の間のp型ベース領域7が第2ディープ層5に代えられている。
【0030】
なお、ここではn型基板1の主表面に対する法線方向から見て、つまり縦型MOSFETの上面視において、ゲートトレンチ10がストライプ状となるようにしているが、ゲートトレンチ10が少なくともストライプ状の部分を有した構造とされていれば良い。例えば、隣り合うライン状のゲートトレンチ10の2本を1組として、その両端同士が半円状に繋がるようにゲートトレンチ10をレイアウトしても良い。
【0031】
p型ベース領域7のうちゲートトレンチ10の側面に位置する部分を、縦型MOSFETの作動時にn型ソース領域8とn型層6との間を繋ぐチャネル領域として、チャネル領域を含むゲートトレンチ10の内壁面がゲート絶縁膜11で覆われている。ゲート絶縁膜11の表面にはドープドPoly-Siにて構成されたゲート電極12が形成されており、これらゲート絶縁膜11およびゲート電極12がゲートトレンチ10内に配置されることでトレンチゲート構造が構成されている。さらに、ゲート電極12を覆うように層間絶縁膜13が形成されている。層間絶縁膜13は、ゲートトレンチ10の外側に張り出していても良いが、ここではゲートトレンチ10内に配置され、ゲートトレンチ10がゲート絶縁膜11とゲート電極12および層間絶縁膜13によって埋め尽くされている。
【0032】
また、図1に示すように、n型ソース領域8の表面やゲート電極12の表面には、層間絶縁膜13を介してソース電極14などが形成されている。なお、ソース電極14は、層間絶縁膜13上に形成されることでSiC部分と電気的に絶縁されているが、層間絶縁膜13に形成されたコンタクトホールを通じて、n型ソース領域8およびコンタクトp型層9と電気的に接触させられている。
【0033】
一方、n型基板1の裏面側にはn型基板1と電気的に接続されたドレイン電極15が形成されている。このような構造により、nチャネルタイプの反転型のトレンチゲート構造の縦型MOSFETが構成されている。このような縦型MOSFETが複数セル配置されることでセル領域が構成されている。
【0034】
このように構成される縦型MOSFETを有するSiC半導体装置は、例えば、ソース電圧Vsを0V、ドレイン電圧Vdを1~1.5Vとした状態で、ゲート電極12に対して20Vのゲート電圧Vgを印加することで動作させられる。すなわち、ゲート電圧Vgが印加されることにより、縦型MOSFETは、ゲートトレンチ10に接する部分のp型ベース領域7にチャネル領域が形成され、ドレイン-ソース間に電流が流れるという動作を行う。
【0035】
このとき、JFET部3および第1ディープ層4が飽和電流抑制層として機能し、飽和電流抑制効果を発揮することで低オン抵抗を図りつつ、低飽和電流を維持することが可能となっている。具体的には、JFET部3のうちストライプ状とされた部分と第1ディープ層4とが交互に繰り返し形成された構造とされていることから、次に示すような作動を行う。
【0036】
まず、ドレイン電圧Vdが例えば1~1.5Vのように通常作動時に印加される電圧である場合には、第1ディープ層4側からJFET部3へ伸びる空乏層は、JFET部3のうちストライプ状とされた部分の幅よりも小さい幅しか伸びない。このため、JFET部3内へ空乏層が伸びても電流経路が確保される。また、JFET部3のn型不純物濃度をn型層2よりも高くすれば、電流経路を低抵抗に構成できるため、低オン抵抗を図ることも可能となる。
【0037】
また、負荷短絡などによってドレイン電圧Vdが通常作動時の電圧よりも高くなると、第1ディープ層4側からJFET部3へ伸びる空乏層がJFET部3のうちストライプ状とされた部分の幅よりも伸びる。そして、n型層6よりも先にJFET部3が即座にピンチオフされる。これにより、低飽和電流を維持することができ、負荷短絡等によるSiC半導体装置の耐量を向上することが可能となる。
【0038】
このように、JFET部3および第1ディープ層4が飽和電流抑制層として機能し、飽和電流抑制効果を発揮することで、低オン抵抗と低飽和電流を両立することができるSiC半導体装置とすることが可能となる。
【0039】
さらに、JFET部3を挟み込むように第1ディープ層4を備えることで、JFET部3のうちストライプ状とされた部分と第1ディープ層4とが交互に繰り返し形成された構造とされている。このため、ドレイン電圧Vdが高電圧になったとしても、下方からn型層2に伸びてくる空乏層の伸びが第1ディープ層4によって抑えられ、トレンチゲート構造に延伸することを防ぐことができる。したがって、ゲート絶縁膜11に掛かる電界を低下させる電界抑制効果を発揮させられ、ゲート絶縁膜11が破壊されることを抑制できるため、高耐圧で信頼性の高い素子とすることが可能となる。そして、このようにトレンチゲート構造への空乏層の延伸を防げるため、n型層2やJFET部3のn型不純物濃度を比較的濃くすることができ、低オン抵抗化を図ることが可能となる。
【0040】
よって、低オン抵抗かつ高信頼性の縦型MOSFETを有するSiC半導体装置とすることが可能となる。
【0041】
なお、本実施形態のSiC半導体装置は、ゲート電圧Vgを印加していないときには、チャネル領域が形成されていないため、ドレイン-ソース間に電流が流れないノーマリオフ型の半導体素子となる。また、JFET部3については、ゲート電圧Vgを印加していないときでもドレイン電圧Vdが通常作動時の電圧よりも高くならないとピンチオフしないため、ノーマリオン型となる。
【0042】
以上のような動作を行うためには、第1ディープ層4が的確にソース電位に固定されることが必要であるが、本実施形態では、連結層9aおよび第2ディープ層5を通じて第1ディープ層4をソース電位に固定している。そして、第2ディープ層5の下方に接続部4bを備え、第2ディープ層5と第1ディープ層4とが確実に接続されるようにしていることから、第1ディープ層4を確実にソース電位に固定できる。このため、本実施形態のSiC半導体装置は、的確に上記のような動作を行うことができる。
【0043】
次に、本実施形態にかかるnチャネルタイプの反転型のトレンチゲート構造の縦型MOSFETを備えたSiC半導体装置の製造方法について、図5A図5Gに示す製造工程中の断面図を参照して説明する。
【0044】
図5Aに示す工程〕
まず、半導体基板として、例えばSiCで構成されるn型基板1を用意する。そして、図示しないCVD(chemical vapor deposition)装置を用いたエピタキシャル成長により、n型基板1の主表面上にSiCからなるn型層2を形成する。このとき、n型基板1の主表面上に予めn型層2を成長させてある所謂エピ基板を用いても良い。さらに、n型層2の上にSiCからなるJFET部3をエピタキシャル成長させる。
【0045】
図5Bに示す工程〕
JFET部3の所定領域に第1ディープ層4を形成する。例えば、JFET部3の表面に、酸化膜などで構成されるマスク17を配置したのち、マスク17をパターニングして第1ディープ層4の形成予定領域を開口させる。そして、p型不純物をイオン注入し、ストライプ部4aおよび接続部4bを同時に形成することで第1ディープ層4を形成する。その後、マスク17を除去する。
【0046】
なお、ここでは、第1ディープ層4をイオン注入によって形成しているが、イオン注入以外の方法によってストライプ部4aおよび接続部4bを含む第1ディープ層4を形成しても良い。例えば、JFET部3を選択的に異方性エッチングして第1ディープ層4と対応する位置に凹部を形成し、この上にp型不純物層をエピタキシャル成長させたのち、JFET部3の上に位置する部分においてp型不純物層を平坦化して第1ディープ層4を形成する。このように、第1ディープ層4をエピタキシャル成長によって形成することもできる。
【0047】
図5Cに示す工程〕
引き続き、図示しないCVD装置を用いて、JFET部3および第1ディープ層4の上にn型SiCをエピタキシャル成長させることで、n型層6を形成する。続けて、n型層6の上にp型ベース領域7をエピタキシャル成長させる。
【0048】
図5Dに示す工程〕
p型ベース領域7の上に第2ディープ層5と対応する位置を開口させた酸化膜などで構成されるマスク18を形成する。そして、そのマスク18を用いてp型不純物をイオン注入することで、第2ディープ層5を形成する。この後、マスク18を除去する。
【0049】
図5Eに示す工程〕
第2ディープ層5およびp型ベース領域7の上にn型ソース領域8をエピタキシャル成長させる。
【0050】
図5Fに示す工程〕
型ソース領域8の上にコンタクトp型層9と対応する位置を開口させたマスク19を形成する。そして、そのマスク19を用いてp型不純物をイオン注入することで、連結層9aおよびコンタクト部9bを含むコンタクトp型層9を形成する。この後、マスク19を除去する。
【0051】
図5Gに示す工程〕
型ソース領域8などの上に図示しないマスクを形成したのち、マスクのうちのゲートトレンチ10の形成予定領域を開口させる。そして、マスクを用いてRIE等の異方性エッチングを行うことで、ゲートトレンチ10を形成する。
【0052】
その後、マスクを除去してから例えば酸化膜をデポジションすること、もしくは熱酸化を行うことによってゲート絶縁膜11を形成し、ゲート絶縁膜11によってゲートトレンチ10の内壁面上およびn型ソース領域8の表面上を覆う。そして、p型不純物もしくはn型不純物がドープされたPoly-Siをデポジションした後、これをエッチバックし、ゲートトレンチ10内にPoly-Siを残すことでゲート電極12を形成する。これにより、トレンチゲート構造が完成する。
【0053】
さらに、ゲート電極12およびゲート絶縁膜11の表面を覆うように、例えば酸化膜などによって構成される層間絶縁膜13を形成する。そして、図示しないマスクを用いてn型ソース領域8およびコンタクトp型層9が露出するまで層間絶縁膜13をエッチングし、コンタクトホールを形成すると共にゲートトレンチ10内に層間絶縁膜13を残す。
【0054】
この後の工程については図示しないが、以下のような工程を行う。すなわち、層間絶縁膜13の表面上に例えば複数の金属の積層構造により構成される電極材料を形成したのち、電極材料をパターニングすることでソース電極14を形成する。さらに、n型基板1の裏面側にドレイン電極15を形成する。このようにして、本実施形態にかかるSiC半導体装置が完成する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のSiC半導体装置では、第2ディープ層5の下方において、ストライプ部4aにおける隣り合う各ラインを接続するように接続部4bを備えている。このように、第2ディープ層5の下方に接続部4bを備えているため、第2ディープ層5と第1ディープ層4とが確実に接続され、第1ディープ層4をソース電位に固定できる。これにより、第1ディープ層4によるゲート絶縁膜11に掛かる電界を低下させる電界抑制効果を的確に発揮させられるなど、ゲート絶縁膜11の破壊を抑制できる。
【0056】
そして、このような接続部4bを第2ディープ層5の下方に対応して形成していることから、特許文献1のように第1ディープ層4を格子状に形成する場合と比較して電流の経路を狭くする範囲を少なくできる。したがって、オン抵抗の増大を抑制しつつ、第1ディープ層4と第2ディープ層5とを効率よく接続することが可能な構造のSiC半導体装置とすることが可能となる。
【0057】
(第2実施形態)
第2施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して接続部4bのレイアウトを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0058】
本実施形態では、図3に示すように、すべての第2ディープ層5の下方に接続部4bを配置するのではなく、図6に示したようにストライプ状に配置された第2ディープ層5の数本につき1つの割合で接続部4bを配置する。ここでは、隣り合う第2ディープ層5の間隔の整数倍の間隔で接続部4bが配置されるようにしている。
【0059】
このように、すべての第2ディープ層5の下方に接続部4bを配置しなくても、その一部の下方に接続部4bが備えられるようにしても良い。この場合、下方に接続部4bが形成されていない第2ディープ層5については、第1ディープ層4との接続が不十分になり得るが、少なくとも下方に接続部4bが形成された第2ディープ層5が第1ディープ層4と接続される。このため、第1ディープ層4を確実にソース電位に固定することが可能となる。また、接続部4bが形成された部分は電流の経路を狭くすることになるため、接続部4bを少なくする分、電流の経路を広くすることができ、よりオン抵抗の増大を抑制することが可能となる。
【0060】
(第3実施形態)
第3施形態について説明する。本実施形態も、第1実施形態に対して接続部4bのレイアウトを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0061】
本実施形態も、すべての第2ディープ層5の下方に接続部4bを配置するのではなく、図7に示すように、各第2ディープ層5の長手方向に沿って、隣り合うストライプ部4aの間において接続部4bを形成する部分と形成しない部分とを交互に配置する。つまり、縦型MOSFETの上面視において、接続部4bが千鳥状に配置されるようにしている。
【0062】
このように、すべての第2ディープ層5の下方に接続部4bを配置せず、その一部の下方に接続部4bが備えられる構造として、接続部4bを千鳥状に配置するようにしても良い。このようにしても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
(第4実施形態)
第4施形態について説明する。本実施形態も、第1実施形態に対して接続部4bのレイアウトを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0064】
本実施形態も、すべての第2ディープ層5の下方に接続部4bを配置するのではなく、図8に示すように、複数の第2ディープ層5に対して1つの割合で接続部4bを配置している。また、接続部4bが備えられた第2ディープ層5の下方の全域に接続部4bを備えるのではなく、ストライプ部4aを構成する複数のラインのうちの任意の1組もしくは複数組の隣り合う2つのラインの間にのみ接続部4bを備えている。
【0065】
このように、すべての第2ディープ層5の下方に接続部4bを配置せず、その一部の下方に接続部4bが備えられる構造として、第3実施形態よりも更に接続部4bの配置面積を少なくした構造としても良い。
【0066】
なお、このような構造とする場合でも、ストライプ部4aを構成する各ラインが少なくとも1つ以上は接続部4bと接続されるようにすると好ましい。このようにすれば、少なくとも1つの接続部4bに接続されることで、すべてのストライプ部4aを的確にソース電位に固定することが可能となる。
【0067】
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0068】
(1)上記第1実施形態では、JFET部3を形成してからp型不純物をイオン注入することで第1ディープ層4を形成するようにした。これに対して、第1ディープ層4をn型層2の上にエピタキシャル成長させたのち、n型不純物をイオン注入することでJFET部3を形成しても良い。勿論、第1ディープ層4をエピタキシャル層の成長させたのちに、JFET部3の形成予定領域において第1ディープ層4を除去し、n型不純物層をエピタキシャル成長させ、さらにn型不純物層をエッチバックしてJFET部3を形成しても良い。
【0069】
(2)また、上記各実施形態では、複数のトレンチゲート構造に対して1つの割合で第2ディープ層5を形成したが、第2ディープ層5の形成間隔については任意であり、等間隔に形成していなくても良い。つまり、トレンチゲート構造の複数本に対して1つもしくは複数、第2ディープ層5が備えられた構造とすることができる。
【0070】
(3)また、上記各実施形態では、半導体材料としてSiCを用いる場合を例に挙げて説明したが、Siや他の化合物半導体を半導体材料として用いる半導体装置に対しても本発明を適用できる。
【0071】
(4)また、上記各実施形態では、第2ディープ層5をp型ベース領域7の表面からp型ベース領域7およびn型層6にイオン注入することによって形成している。また、連結層9aおよびコンタクト部9bを同時に形成している。このような製造方法は、特に、SiCのように注入されたイオンが熱処理により拡散しない半導体材料を用いるような場合に有効である。熱処理によりイオンが拡散するSiなどの半導体材料を用いる場合には、連結層9aとコンタクト部9bとを別々に形成することとし、n型ソース領域8の表面に配置したマスクを用いて連結層9aおよび第2ディープ層5を同時に形成するようにしても良い。また、連結層9aおよび第2ディープ層5を別々に形成する場合、これらの幅が異なっていても良い。
【0072】
また、第2ディープ層5をp型ベース領域7の表面からではなく、n型層6の表面から形成し、p型ベース領域7を介して連結層9aに接続される構造とされていても良い。
【0073】
(5)また、上記実施形態では、半導体層としてn型基板1を用意し、このn型基板1の上に第1層に相当するn型層2をエピタキシャル成長させる構造を例に挙げた。しかしながら、これも一例を示したのであり、n型層2を半導体基板として用いて、その裏面側にイオン注入を行うことでn型層2よりも高不純物濃度とされる半導体層を形成するようにしても良い。
【0074】
(6)また、上記各実施形態では、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたnチャネルタイプの縦型MOSFETを例に挙げて説明したが、各構成要素の導電型を反転させたpチャネルタイプの縦型MOSFETとしても良い。また、上記説明では、半導体素子として縦型MOSFETを例に挙げて説明したが、同様の構造のIGBTに対しても本発明を適用することができる。nチャネルタイプのIGBTの場合、上記各実施形態に対してn型基板1の導電型をn型からp型に変更するだけであり、その他の構造や製造方法に関しては上記各実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0075】
1…n型基板、3…JFET部、4…第1ディープ層、4a…ストライプ部、
4b…接続部、5…第2ディープ層、7…p型ベース領域、8…n型ソース領域
9…コンタクトp型層、9a…連結層、9b…コンタクト部
10…ゲートトレンチ、11…ゲート絶縁膜、12…ゲート電極、13…層間絶縁膜
14…ソース電極、15…ドレイン電極
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7
図8