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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190935
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】棒状物繰出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/20 20060101AFI20221220BHJP
   B43K 24/08 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A45D40/20 D
B43K24/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099478
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】久我 渉
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353HA01
2C353HA07
2C353HC04
2C353HG01
2C353MA03
(57)【要約】
【課題】廃棄される部品の数を減らすことができるノック式の棒状物繰出容器を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る棒状物繰出容器1は、棒状化粧料Mを有するカートリッジ部10と、棒状化粧料Mを前進及び後退させるノック機構部20とを備える。カートリッジ部10は移動体14と、雌螺子部材15とを有し、ノック機構部20は連結部材24と、ノック部材21と、バネ部材26と、本体筒23と、回転部材22とを有する。ノック部材21は、押圧されたときに、押圧された力を回転力に変換して連結部材24及び雌螺子部材15を一方向に相対回転させることによって移動体14及び棒状化粧料Mを前進させる。回転部材22は、本体筒23に対して反対方向に相対回転されたときに、連結部材24及び雌螺子部材15を反対方向に相対回転させることによって移動体14及び棒状化粧料Mを後退させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状物を有するカートリッジ部と、
前記カートリッジ部が着脱可能とされており、前記棒状物を前進及び後退させるノック機構部と、
を備え、
前記カートリッジ部は、
前記棒状物を把持する把持部を有し、外周に雄螺子を有する移動体と、
前記雄螺子に螺合する雌螺子を有する筒状の雌螺子部材と、
を有し、
前記ノック機構部は、
前記カートリッジ部に連結され、前記カートリッジ部に連結されたときに前記雌螺子部材と同期回転可能とされる連結部材と、
前記棒状物を前進させるために押圧可能とされたノック部材と、
前記連結部材及び前記ノック部材を後方に付勢するバネ部材と、
前記連結部材及び前記バネ部材を収容する本体筒と、
前記本体筒の後側において前記ノック部材を収容し前記本体筒に対して相対回転可能とされた回転部材と、
を有し、
前記ノック部材は、押圧されたときに、押圧された力を回転力に変換して前記連結部材及び前記雌螺子部材を前記移動体に対して一方向に相対回転させることによって前記移動体及び前記棒状物を前進させ、
前記回転部材は、前記ノック部材への押圧が解除されて前記本体筒に対して前記一方向の反対方向に相対回転されたときに、前記連結部材及び前記雌螺子部材を前記移動体に対して前記反対方向に相対回転させることによって前記移動体及び前記棒状物を後退させる、
棒状物繰出容器。
【請求項2】
前記カートリッジ部は、前記雌螺子部材の後側において前記雌螺子部材と同期回転可能とされており前記連結部材が連結される筒状部材を有し、
前記筒状部材の内面には、前記筒状部材の軸線が延びる軸線方向に沿って延在する第1リブが形成されており、
前記連結部材の外面には、前記第1リブに回転方向に係合する第2リブが形成されている、
請求項1に記載の棒状物繰出容器。
【請求項3】
前記ノック機構部は、前記本体筒の内部において前記連結部材を収容する筒状のラチェット部材を有し、
前記連結部材の外面には、前記ラチェット部材の軸線が延びる軸線方向に沿って延在する第3リブが形成されており、
前記ラチェット部材の内面には、前記連結部材及び前記雌螺子部材の前記移動体に対する前記反対方向への相対回転がなされるときに前記第3リブと回転方向に係合する第4リブが形成されている、
請求項1又は2に記載の棒状物繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ノックすることによって棒状物を繰り出すノック式の棒状物繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ノックすることによって棒状物を繰り出す棒状物繰出容器としては種々のものが知られている。特開2020-103684号公報には、保持筒に保持される棒状内容物を繰り出す繰出容器が記載されている。繰出容器は、外装筒と、外装筒の内部に配置される螺旋筒と、螺旋筒の内部に挿入される収容筒と、上記の保持筒とを備える。外装筒の内部には、回転部材と、ノック部材と、介装リングと、付勢部材と、リング部材と、キャップと、ノック機構と、ロック機構とが設けられる。
【0003】
この繰出容器では、キャップが外されてノック部材が上側に向けて押し込まれる(ノック操作される)と、ノック部材が回転部材を押し上げ、回転部材と共に螺旋筒、介装リング、保持筒、及び棒状内容物が収容筒及び外装筒に対して上側へ移動する。このとき、ノック部材及び外装筒に対して回転部材が周方向一方側へ回動する。その後、棒状内容物が外装筒に対して上方に突出して使用可能状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-103684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した繰出容器では、ノック部材を上側に押し込むノック操作によって棒状内容物が繰り出される。ところで、このノック式の繰出容器は、棒状内容物を使い切った後に、繰出容器の全てが廃棄されうる。エコロジーの観点からは廃棄される部品の数が少ないことが望ましく、ノック式の棒状物繰出容器でも廃棄される部品の数を削減することが求められる。
【0006】
本開示は、廃棄される部品の数を減らすことができるノック式の棒状物繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る棒状物繰出容器は、棒状物を有するカートリッジ部と、カートリッジ部が着脱可能とされており、棒状物を前進及び後退させるノック機構部と、を備える。カートリッジ部は、棒状物を把持する把持部を有し、外周に雄螺子を有する移動体と、雄螺子に螺合する雌螺子を有する筒状の雌螺子部材と、を有する。ノック機構部は、カートリッジ部に連結され、カートリッジ部に連結されたときに雌螺子部材と同期回転可能とされる連結部材と、棒状物を前進させるために押圧可能とされたノック部材と、連結部材及びノック部材を後方に付勢するバネ部材と、連結部材及びバネ部材を収容する本体筒と、本体筒の後側においてノック部材を収容し本体筒に対して相対回転可能とされた回転部材と、を有する。ノック部材は、押圧されたときに、押圧された力を回転力に変換して連結部材及び雌螺子部材を移動体に対して一方向に相対回転させることによって移動体及び棒状物を前進させる。回転部材は、ノック部材への押圧が解除されて本体筒に対して一方向の反対方向に相対回転されたときに、連結部材及び雌螺子部材を移動体に対して反対方向に相対回転させることによって移動体及び棒状物を後退させる。
【0008】
この棒状物繰出容器は、棒状物を有するカートリッジ部と、カートリッジ部に対して着脱可能とされたノック機構部とを備える。従って、棒状物を使い切った後には、ノック機構部からカートリッジ部を外し、カートリッジ部のみを廃棄すればよい。よって、棒状物繰出容器の全てを廃棄する必要はなく、カートリッジ部の交換時には既存のノック機構部に新たなカートリッジ部を装着すればよい。従って、廃棄される部品の数を減らすことができる。ノック機構部は、カートリッジ部の雌螺子部材と同期回転可能とされる連結部材と、棒状物を前進させるノック部材と、ノック部材を収容する回転部材とを有する。ノック部材は、押圧されたときに、押圧された力を回転力に変換して連結部材及び雌螺子部材を移動体に対して一方向に相対回転させることによって移動体及び棒状物を前進させる。従って、ノック部材の押圧によって棒状物を前進させて棒状物を繰り出すことができるので、棒状物繰出容器の使用性を高めることができる。すなわち、片手で棒状物繰出容器を持って片手でノック部材を押圧して棒状物を繰り出すことができるので、使用性が高い棒状物繰出容器とすることができる。また、回転部材は、ノック部材への押圧が解除されて本体筒に対して上記一方向の反対方向に相対回転されたときに、連結部材及び雌螺子部材を移動体に対して当該反対方向に相対回転させることによって移動体及び棒状物を後退させる。従って、本体筒に対する回転部材の相対回転によって棒状物を後退させることができる。以上より、この棒状物繰出容器では、ノックによる棒状物の繰り出し、及び回転部材の回転による棒状物の繰り戻しを行うことができる。
【0009】
カートリッジ部は、雌螺子部材の後側において雌螺子部材と同期回転可能とされており連結部材が連結される筒状部材を有してもよい。筒状部材の内面には、筒状部材の軸線が延びる軸線方向に沿って延在する第1リブが形成されており、連結部材の外面には、第1リブに回転方向に係合する第2リブが形成されていてもよい。この場合、カートリッジ部の雌螺子部材とノック機構部の連結部材とを筒状部材を介して連結することができると共に、雌螺子部材、筒状部材及び連結部材を同期回転可能とすることができる。
【0010】
ノック機構部は、本体筒の内部において連結部材を収容する筒状のラチェット部材を有してもよい。連結部材の外面には、ラチェット部材の軸線が延びる軸線方向に沿って延在する第3リブが形成されていてもよい。ラチェット部材の内面には、連結部材及び雌螺子部材の移動体に対する反対方向への相対回転がなされるときに第3リブと回転方向に係合する第4リブが形成されていてもよい。この場合、ラチェット部材を連結部材及び雌螺子部材と共に反対方向に同期回転させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、廃棄される部品の数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は、実施形態に係る棒状物繰出容器を示す側面図である。(b)は、(a)のA-A線断面図である。
図2】(a)は、実施形態に係るカートリッジ部を示す側面図である。(b)は、実施形態に係るノック機構部を示す側面図である。
図3】(a)は、実施形態に係る棒状物繰出容器の先筒を示す側面図である。(b)は、(a)のB-B線断面図である。
図4】実施形態に係る移動体を示す側面図である。
図5】(a)は、実施形態に係る雌螺子部材を示す側面図である。(b)は、(a)のC-C線断面図である。
図6】(a)は、実施形態に係る筒状部材を示す側面図である。(b)は、(a)のD-D線断面図である。
図7】(a)は、実施形態に係る本体筒を示す側面図である。(b)は、(a)のE-E線断面図である。
図8】(a)は、実施形態に係る連結部材を示す側面図である。(b)は、(a)のF-F線断面図である。
図9】(a)は、実施形態に係るラチェット部材を示す側面図である。(b)は、(a)のG-G線断面図である。
図10】(a)は、実施形態に係る回転部材を示す側面図である。(b)は、(a)のH-H線断面図である。
図11】(a)は、実施形態に係るノック部材を示す側面図である。(b)は、図11(a)のJ-J線断面図である。
図12】(a)は、棒状物繰出容器の棒状物の繰り出し時における状態を示す側面図である。(b)は、(a)のK-K線断面図である。
図13】(a)は、棒状物繰出容器の棒状物の繰り戻し時における状態を示す側面図である。(b)は、(a)のL-L線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る棒状物繰出容器の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0014】
本開示において、「棒状物」は、塗布対象である被塗布部に塗布される棒状物を示している。「棒状物」は、例えば、棒状化粧料、又は棒状描画材であってもよい。本実施形態では、棒状物が棒状化粧料である例について説明する。「化粧料」は、例えば、リップスティック、リップライナー、リップグロス、アイライナー、アイブロウ、美容スティック又はコンシーラーである。「化粧料」は、柔軟性材料を含む(例えば、半固形状、軟固形状、軟質状、ゼリー状、ムース状、又はこれらを含む練り物等の)棒状物であってもよい。
【0015】
図1(a)は、実施形態に係る棒状物繰出容器1の側面図である。図1(b)は、図1(a)のA-A線断面図である。図1(a)及び図1(b)に示されるように、棒状物繰出容器1は、例えば、内部に収容された棒状化粧料Mを使用者のノック操作によって繰り出す(押し出す)棒状化粧料繰出容器である。棒状化粧料Mは、一例として、揮発性を有する棒状化粧料である。
【0016】
棒状物繰出容器1は丸棒状を呈する。棒状物繰出容器1は、棒状物繰出容器1の軸線Lが延びる方向である軸線方向Dに沿って延在している。棒状物繰出容器1は、棒状化粧料Mを有するカートリッジ部10と、カートリッジ部10が着脱可能とされたノック機構部20とを備える。カートリッジ部10は、例えば、棒状化粧料Mを使い切った後にノック機構部20から外すことが可能とされている。また、ノック機構部20に新たなカートリッジ部10を装着することが可能とされている。
【0017】
本開示において、ノック機構部20から見てカートリッジ部10が設けられる方向、及び棒状化粧料Mを繰り出す方向を「前」、「前側」又は「前方」とし、カートリッジ部10から見てノック機構部20が設けられる方向、及び棒状化粧料Mを繰り戻す方向を「後」、「後側」又は「後方」として説明する。
【0018】
図2(a)は、カートリッジ部10を示す側面図である。図2(b)は、ノック機構部20を示す側面図である。図1(b)、図2(a)及び図2(b)に示されるように、 ノック機構部20は、棒状化粧料Mを繰り出すノック部材21と、ノック部材21の一部を収容する回転部材22と、回転部材22に相対回転可能に連結された本体筒23とを有する。回転部材22及び本体筒23は、円筒状を呈する。回転部材22は、本体筒23の後側に設けられる。ノック部材21は回転部材22から後方に突出している。
【0019】
まず、本実施形態に係るカートリッジ部10について説明する。カートリッジ部10は、キャップ11と、キャップ11が装着された先筒12とを有する。カートリッジ部10の内部には、軸線方向Dに沿って移動すると共に雄螺子14bを有する移動体14と、雄螺子14bに螺合する雌螺子15bを有する筒状の雌螺子部材15と、雌螺子部材15の後側に位置する筒状部材16とが設けられる。
【0020】
キャップ11は有底筒状を呈する。キャップ11は内面に環状凸部11bを有し、先筒12は環状凸部11bが軸線方向Dに係合する凸部12bを外面に有する。先筒12は、凸部12bがキャップ11の環状凸部11bに軸線方向Dに係合した状態でキャップ11から後方に突出している。先筒12は雄螺子部12cを有する。雄螺子部12cがノック機構部20に螺合することによってノック機構部20にカートリッジ部10が装着される。なお、カートリッジ部10をノック機構部20に装着させる構造としては、上記の螺合に限られない。例えば、上記の螺合に代えて、カートリッジ部10及びノック機構部20のそれぞれの内面に突起を設け、ノック機構部20の突起にカートリッジ部10の突起を係合させる構造としてもよい。
【0021】
図3(a)は、先筒12を示す側面図である。図3(b)は、図3(a)のB-B線断面図である。図1(b)、図3(a)及び図3(b)に示されるように、先筒12は、前側筒部12Aと、前側筒部12Aよりも後側に位置する後側筒部12Bと、前側筒部12A及び後側筒部12Bの間に位置する鍔部12dとを有する。後側筒部12Bは、鍔部12dから後方に延びる筒状の部位である。後側筒部12Bは、円筒状を呈する。後側筒部12Bの外周には、本体筒23の内面に螺合する前述した雄螺子部12cが形成されている。雄螺子部12cは、鍔部12dの後側に設けられる。
【0022】
鍔部12dは、キャップ11及び本体筒23の間に設けられ、棒状物繰出容器1の外部に露出している。前側筒部12Aは、先筒12の前端12fに向かうに従って縮径するテーパ面12gと、テーパ面12gの後側に位置する環状凹部12hと、環状凹部12hの後方に位置する傾斜面12jと、鍔部12dから傾斜面12jに向かって延びる突部12kとを有する。
【0023】
先筒12の前端12fには、棒状化粧料Mが露出する開口12mが形成されている。開口12mの後側には棒状化粧料Mを収容する先筒12の内部空間12pが形成されている。テーパ面12gにおける先筒12の外径は、前端12fから後方に向かうに従って大きくなっている。
【0024】
環状凹部12hはOリング13を保持するために設けられる。環状凹部12hにOリング13が入り込み、環状凹部12hに入り込んだOリング13はキャップ11の内面に密着する。これにより、キャップ11が装着された状態においてOリング13よりも前側(前端12f側)の気密が確保される。
【0025】
環状凹部12hと傾斜面12jの間には前述した凸部12bが形成されている。先筒12は、例えば、先筒12の周方向に沿って並ぶ複数の凸部12bを有する。複数の凸部12bのそれぞれがキャップ11の環状凸部11bに軸線方向Dに係合する。凸部12bは、円形状を呈する。
【0026】
傾斜面12jにおける先筒12の外径は、後方に向かうに従って大きくなっている。傾斜面12jの後方には軸線方向Dに延びる突部12kが設けられる。先筒12は複数の突部12kを有し、複数の突部12kは先筒12の周方向に沿って並んでいる。突部12kはキャップ11の内面に係合し、鍔部12dにキャップ11の開口を形成する端面11cが軸線方向Dに沿って対向した状態で、先筒12にキャップ11が装着される。
【0027】
先筒12の内部空間12pは、開口12mから後方に延在している。内部空間12pは、先筒12を軸線方向Dに貫通している。内部空間12pには、移動体14、雌螺子部材15及び筒状部材16が収容される。移動体14、雌螺子部材15及び筒状部材16は、この順で並ぶように配置される。
【0028】
内部空間12pには、軸線方向Dに沿って延びる突条12qが設けられる。先筒12は、例えば、複数の突条12qを有する。突条12qは、移動体14の回り止めのために設けられる。すなわち、突条12qは移動体14と回転方向(周方向)に係合する。これにより、移動体14は先筒12に対して回転不能に係合する。
【0029】
内部空間12pにおける突条12qの後方には、突条12qが形成された内面12rから拡径する第1段部12sと、第1段部12sの後方において拡径する第2段部12tとが設けられる。第1段部12sは、第2段部12tよりも先筒12の前側に位置する。第1段部12sの後側における先筒12の内径は第1段部12sの前側における先筒12の内径よりも大きく、第2段部12tの後側における先筒12の内径は第2段部12tの前側における先筒12の内径よりも大きい。
【0030】
内部空間12pには、筒状部材16が軸線方向Dに係合する環状凹部12v及び環状凸部12wが形成されている。環状凹部12v及び環状凸部12wは第2段部12tよりも後方に位置する。環状凹部12vは環状凸部12wの前側に設けられる。環状凸部12wを乗り越えた筒状部材16が環状凹部12vに嵌合することによって先筒12に筒状部材16が軸線方向Dに係合する。
【0031】
図4は、移動体14を示す側面図である。図1(b)及び図4に示されるように、移動体14は、棒状化粧料Mを保持する保持部14Aと、保持部14Aから軸線方向Dに延在すると共に外周に前述した雄螺子14bが形成された棒状部14Bとを備える。保持部14Aは棒状部14Bの前側に位置する。
【0032】
保持部14Aは、棒状化粧料Mを把持する筒状の把持部14cと、把持部14cの径方向外側に位置すると共に先筒12の突条12qに回転方向に係合する係合部14dとを有する。係合部14dが突条12qに回転方向に係合することによって移動体14は先筒12に回転不能に係合する。
【0033】
棒状部14Bは、保持部14Aから後方に延在する。棒状部14Bは、雄螺子14bと、雄螺子14bの後側に位置する曲面部14fとを有する。曲面部14fは、雄螺子14bが形成されていない部分に相当し、例えば、移動体14の後端に設けられる。雄螺子14bは、雌螺子部材15の雌螺子15bに螺合する部位であり、雌螺子15bと螺合部Tを構成する。
【0034】
図5(a)は、雌螺子部材15を示す側面図である。図5(b)は、図5(a)のC-C線断面図である。図1(b)、図5(a)及び図5(b)に示されるように、雌螺子部材15は、軸線方向Dに延びる筒状を呈する。雌螺子部材15は、筒部15Aと、筒部15Aの後側に位置するバネ部15Bとを有する。
【0035】
筒部15Aは、前側に位置する小径部15cと、後側に位置する大径部15dとを有する。小径部15c及び大径部15dの間には段差15fが形成されている。雌螺子部材15は、小径部15cの内面に雌螺子15bを有する。雌螺子部材15の内部は、移動体14の棒状部14Bが収容される収容空間15gとされている。
【0036】
雌螺子部材15は、筒部15Aとバネ部15Bの間に雌螺子部材15の径方向外側に突出する突出部15hを有する。突出部15hは、筒状部材16の内面に回転方向に係合する。突出部15hが筒状部材16の内面に回転方向に係合することによって、筒状部材16に雌螺子部材15が同期回転可能に係合する。
【0037】
バネ部15Bは、突出部15hから後方に延在する。バネ部15Bは、筒状部15jと、筒状部15jに形成されたスリット15kとを有する。スリット15kは、筒状部15jにおいて軸線方向Dに延びる螺旋状とされている。バネ部15Bは、スリット15kを有することにより、棒状物繰出容器1の落下時等の外力作用時に内部に伝わる衝撃を緩和して棒状物繰出容器1及び棒状化粧料Mを保護する。
【0038】
図1(b)、図6(a)及び図6(b)に示されるように、筒状部材16は、雌螺子部材15の後側に設けられる。筒状部材16は、円筒状を呈する。筒状部材16は、筒状部材16の後端において筒状部材16の径方向外側に突出する鍔部16bを有する。鍔部16bには、先筒12の後端12xが突き当たる。
【0039】
筒状部材16は、鍔部16bの前側に位置する環状凹部16cと、環状凹部16cの前側に位置する環状凸部16dとを有する。環状凹部16cには、先筒12の内面に密着するOリング17が入り込む。環状凹部16cに入り込んだOリング17が先筒12の内面に密着することによって先筒12の気密が確保される。環状凸部16dは、先筒12の環状凸部12wを前方に乗り越えて環状凹部12vに係合する。環状凸部16dが環状凹部12vに係合することによって、筒状部材16が先筒12に軸線方向Dに係合する。
【0040】
筒状部材16は、雌螺子部材15が入り込む第1内部空間16fと、後述するノック機構部20の連結部材24が入り込む第2内部空間16gとを有する。第2内部空間16gは第1内部空間16fよりも後方に位置する。筒状部材16は、第1内部空間16fと第2内部空間16gを仕切る壁部16hを有する。
【0041】
第1内部空間16fには、雌螺子部材15の突出部15hが入り込む凹部16jが形成されている。凹部16jは、筒状部材16の径方向に貫通すると共に軸線方向Dに沿って延在する。軸線方向Dに延びる凹部16jに突出部15hが入り込むことにより、筒状部材16に雌螺子部材15が同期回転可能に係合する。
【0042】
第2内部空間16gには、第2内部空間16gに入り込んだ連結部材24が回転方向に係合する第1リブ16kが形成されている。第1リブ16kは軸線方向Dに延在する。第1リブ16kは、軸線方向Dに延在する第1延在面16mと、軸線方向Dに延在すると共に第1延在面16mよりも後方まで延在する第2延在面16pと、第1延在面16mの後端から第2延在面16pの後端まで延在する傾斜面16qとを有する。傾斜面16qは、軸線方向Dに対して傾斜している。
【0043】
次に、本実施形態に係るノック機構部20について説明する。ノック機構部20は、前述したノック部材21、回転部材22、本体筒23及び連結部材24のほか、ラチェット部材25とバネ部材26とを更に備える。連結部材24、ラチェット部材25及びバネ部材26は本体筒23に収容されている。
【0044】
図1(b)、図7(a)及び図7(b)に示されるように、本体筒23は、外面が平滑面とされた円筒状を呈する。すなわち、本体筒23は、外面に凹凸を有しない。本体筒23は、前側内部空間23bと、後側内部空間23cと、前側内部空間23b及び後側内部空間23cを仕切る壁部23dとを有する。
【0045】
本体筒23は、前側内部空間23bに形成された雌螺子部23fを有する。雌螺子部23fには先筒12の雄螺子部12cが螺合する。雌螺子部23fに雄螺子部12cが螺合することにより、本体筒23に先筒12が取り付けられる。本体筒23に先筒12が取り付けられることによって、ノック機構部20にカートリッジ部10が取り付けられる。
【0046】
本体筒23は、壁部23dの後側に、本体筒23の回転方向に沿って並ぶ複数の傾斜突起23gを有する。傾斜突起23gは、ラチェット部材25に回転方向に係合する部位である。後側内部空間23cには、環状凹部23hが形成されている。環状凹部23hは、ラチェット部材25が軸線方向Dに係合する部位である。
【0047】
図1(b)、図8(a)及び図8(b)に示されるように、連結部材24は、棒状を呈する。連結部材24は、本体筒23に対して軸線方向Dに移動する。連結部材24は、本体筒23に対して前方に移動(前進)することにより、カートリッジ部10(筒状部材16)に回転方向に係合し、本体筒23に対して後方に移動(後退)することによりカートリッジ部10から離間する。
【0048】
連結部材24は、前側部分24Aと、後側部分24Bと、前側部分24A及び後側部分24Bの間に位置しており、前側部分24A及び後側部分24Bよりも外径が大きい鍔部24mを有する拡径部24Cとを備える。前側部分24Aは、連結部材24の前端24bから後方に延びる第1外周面24cと、第1外周面24cの後端に位置する段差部24dから後方に延びる第2外周面24fとを有する。後側部分24Bは、鍔部24mから後方に延在する外周面24qを有する。例えば、後側部分24Bの外径は前側部分24Aの外径よりも小さい。
【0049】
連結部材24は、筒状部材16の第1リブ16kに回転方向に係合する第2リブ24gを有する。第2リブ24gは、第1外周面24cから突出すると共に軸線方向Dに延在する。第1外周面24cに対する第2リブ24gの高さは、例えば、第1外周面24cに対する第2外周面24fの高さと同一である。この場合、第2リブ24gは第2外周面24fと面一とされている。
【0050】
第2リブ24gは、軸線方向Dに延在する第3延在面24hと、軸線方向Dに延在すると共に第3延在面24hよりも前方に延在する第4延在面24jと、第3延在面24hの前端から第4延在面24jの前端まで延在する傾斜面24kとを有する。傾斜面24kは、軸線方向Dに対して傾斜している。連結部材24は複数の第2リブ24gを有し、筒状部材16は複数の第1リブ16kを有し、複数の第2リブ24gのそれぞれが回転方向に並ぶ一対の第1リブ16kの間に入り込むことによって、連結部材24が筒状部材16に同期回転可能に係合する。
【0051】
拡径部24Cは、前側部分24Aから連結部材24の径方向外側に突出する鍔部24mと、鍔部24mから後方に延在する第3リブ24pとを有する。連結部材24は複数の第3リブ24pを有し、複数の第3リブ24pは連結部材24の回転方向に沿って並んでいる。第3リブ24pは、後側部分24Bの外周面24qから連結部材24の径方向外側に突出している。
【0052】
第3リブ24pは、鍔部24mから後方に延在する第5延在面24rと、鍔部24mから後方に延在すると共に第5延在面24rの後端よりも後方に延在する第6延在面24sと、第5延在面24rの後端から第6延在面24sの後端まで延在する傾斜面24tとを有する。
【0053】
第3リブ24pの傾斜面24tの向きは、第2リブ24gの傾斜面24kの向きとは反対である。傾斜面24tには前進するノック部材21が当接し、傾斜面24tにノック部材21が当接することによって連結部材24がノック部材21に対して相対回転する。第3リブ24pは、連結部材24の径方向外側に位置するラチェット部材25に対して同期回転可能に係合する。
【0054】
図1(b)、図9(a)及び図9(b)に示されるように、ラチェット部材25は、筒状を呈する。ラチェット部材25は前側筒部25Aと後側筒部25Bとを有し、前側筒部25A及び後側筒部25Bの間に鍔部25bが形成されている。鍔部25bの前側には本体筒23が対向し、鍔部25bの後側には回転部材22が対向する。鍔部25bの径方向外側を向く面は棒状物繰出容器1の外部に露出している。後側筒部25Bは、径方向外側に突出する環状凸部25tを有する。環状凸部25tには、回転部材22が軸線方向Dに係合する。
【0055】
前側筒部25Aは、ラチェット部材25の前端に位置する傾斜突起25cと、傾斜突起25cの後方に位置するバネ部25dと、バネ部25dの後方に位置するラチェット部25fとを有する。傾斜突起25cは、本体筒23の傾斜突起23gに回転方向に係合する部位である。
【0056】
バネ部25dは、筒状部25gと、筒状部25gに形成されたスリット25hとを有する。スリット25hは、ラチェット部材25の回転方向に延びる第1スリット部25jと、第1スリット部25jよりも後方においてラチェット部材25の回転方向に延びる第2スリット部25kと、第1スリット部25jから第2スリット部25kまで延びると共に軸線方向Dに対して斜めに延在する傾斜スリット部25mとを有する。バネ部25dは、スリット25hを有することにより、傾斜突起25cと本体筒23の傾斜突起23gとを一定方向(例えば、後方から見た場合における反時計回り)に回転可能とする。
【0057】
ラチェット部25fは、ラチェット部材25の内面に形成された第4リブ25pを有する。ラチェット部材25は複数の第4リブ25pを有し、複数の第4リブ25pはラチェット部材25の回転方向に沿って並んでいる。第4リブ25pは、ラチェット部材25の内面からラチェット部材25の径方向内側に突出している。
【0058】
第4リブ25pは、軸線方向Dに延在する第7延在面25qと、軸線方向Dに延在すると共に第7延在面25qの前端よりも前側に延在する第8延在面25rと、第7延在面25qの前端から第8延在面25rの前端まで延在する傾斜面25sとを有する。第4リブ25pは、連結部材24の第3リブ24pと同期回転可能に係合する。
【0059】
第4リブ25pは、前側リブ部25wと、後側リブ部25xとを含む。前側リブ部25w及び後側リブ部25xは、ノック部材21が回転方向に係合する部位(ノック部材21の回り止め)である。前側リブ部25wには押圧されていない状態におけるノック部材21の後述する凸部21gが回転方向に係合し、後側リブ部25xには押圧された状態におけるノック部材21の後述するテーパ部21dが回転方向に係合する。このように第4リブ25pにはノック部材21が回転方向に係合する。
【0060】
前側筒部25Aは、ラチェット部材25の径方向外側に突出する環状凸部25vを有する。環状凸部25vは、鍔部25bの前側に設けられる。環状凸部25vには、本体筒23の環状凹部23hが係合する。環状凸部25vに環状凹部23hが係合することによって、ラチェット部材25に本体筒23が軸線方向Dに係合する。
【0061】
図1(b)、図10(a)及び図10(b)に示されるように、回転部材22は、外面が平滑面とされた円筒状を呈する。回転部材22は、ラチェット部材25の後側筒部25B、及びノック部材21を収容する。回転部材22の内部には、前側収容部22bと、前側収容部22bよりも内径が小さい後側収容部22cとが設けられ、前側収容部22bに後側筒部25Bが収容されると共に後側収容部22cにノック部材21が収容される。
【0062】
前側収容部22bには、回転部材22の径方向外側に窪む環状凹部22dが形成されている。環状凹部22dにはラチェット部材25の環状凸部25tが係合する。環状凹部22dに環状凸部25tが係合することにより、回転部材22にラチェット部材25が軸線方向Dに係合する。
【0063】
後側収容部22cには、螺旋状凹部22fが形成されている。螺旋状凹部22fは、回転部材22の後端から延びる内面22gから回転部材22の径方向外側に窪む段差であって螺旋壁22hから前方に延びる部分である。回転部材22は、例えば、2つの螺旋壁22hを有する。
【0064】
螺旋状凹部22fを画成する螺旋壁22hは螺旋状とされている。螺旋壁22hは螺旋状凹部22fの後端に位置する螺旋状の壁部である。螺旋壁22hはノック部材21の後述する凸部21bが対向する部位である。凸部21bが螺旋壁22hに沿って移動することにより、ノック部材21に対して回転部材22が螺旋状に移動する。
【0065】
図1(b)、図11(a)及び図11(b)に示されるように、ノック部材21は、有底筒状を呈する。ノック部材21は、棒状化粧料Mを繰り出すために押圧可能とされている。ノック部材21は前方に押圧することが可能とされており、ノック部材21の前方への押圧によって棒状化粧料Mが繰り出される。ノック部材21は、前側に位置する小径部21cと、小径部21cの後端から徐々に拡径するテーパ部21dと、テーパ部21dから後方に延在する大径部21fとを有する。ノック部材21は複数のテーパ部21dを有し、複数のテーパ部21dがノック部材21の回転方向に沿って並んでいる。
【0066】
ノック部材21は、小径部21cに凸部21gを有する。ノック部材21は複数の凸部21gを有し、複数の凸部21gはノック部材21の回転方向に沿って並んでいる。凸部21gは、テーパ部21dを通り軸線方向Dに沿って延びる仮想直線上に配置されている。すなわち、ノック部材21の回転方向における凸部21gの位置は、ノック部材21の回転方向におけるテーパ部21dの位置と同一である。
【0067】
凸部21gは、ラチェット部材25の第4リブ25pの前側リブ部25wと回転方向に係合する。ノック部材21は、ノック部材21の前端21hから後方に延在するスリット21jを有する。ノック部材21のテーパ部21dは、ラチェット部材25の第4リブ25pの後側リブ部25xと回転方向に係合する。ノック部材21は、例えば、2個の凸部21bを有する。凸部21bは円柱状を呈する。凸部21bは回転部材22の螺旋壁22hに沿って螺旋状に移動する。
【0068】
ノック機構部20はバネ部材26を有し、バネ部材26は本体筒23の壁部23dと連結部材24の鍔部24mとの間に配置されている。バネ部材26の前端が壁部23dに位置しており、バネ部材26の後端が鍔部24mに位置する。バネ部材26は、連結部材24及びノック部材21を後方に付勢する。
【0069】
以上のように構成される棒状物繰出容器1における棒状化粧料Mの繰り出し(前進)、及び棒状化粧料Mの繰り戻し(後退)の手順について説明する。まず、初期状態(未使用状態)において、ノック機構部20の連結部材24は、カートリッジ部10の筒状部材16に回転方向に係合していない(第2リブ24gが第1リブ16kに回転方向に係合していない)。このとき、本体筒23から先筒12を外してノック機構部20に対してカートリッジ部10を交換可能な状態とされている。
【0070】
棒状化粧料Mを繰り出すときには、図1(b)、図12(a)及び図12(b)に示されるように、棒状物繰出容器1からキャップ11を外し先筒12を露出させる。ノック部材21が前方に押圧されると、連結部材24が前進して筒状部材16と回転方向に係合すると共に、凸部21gが連結部材24の傾斜面24t(図8参照)に接触する。
【0071】
このとき、第2リブ24gが第1リブ16kに回転方向に係合した状態で凸部21gが傾斜面24tに接触する。前進する凸部21gに対して傾斜面24tが回転方向に移動するので、ノック部材21に対して連結部材24及び筒状部材16が一方向(例えば後方から見た場合における時計回り)に相対回転する。
【0072】
連結部材24及び筒状部材16が一方向に相対回転すると、筒状部材16及び雌螺子部材15が同期回転すると共に、雌螺子部材15が移動体14に対して一方向に相対回転する。この一方向への相対回転に伴って雌螺子15b及び雄螺子14bからなる螺合部Tの螺合作用が働き、当該螺合作用によって移動体14が前進する。そして、先筒12に対して移動体14及び棒状化粧料Mが前進することにより、先筒12の開口12mから棒状化粧料Mが繰り出される。
【0073】
ノック部材21の1回のノック(押圧)における棒状化粧料Mの繰出量は、例えば、0.5mmである。ノック部材21への押圧を解除すると、バネ部材26の付勢力によって連結部材24及びノック部材21が後方に移動し、筒状部材16から連結部材24が離間する。そして、連結部材24及びノック部材21の位置が初期状態における位置に戻される。
【0074】
棒状化粧料Mを繰り戻すときには、図1(b)、図13(a)及び図13(b)に示されるように、本体筒23に対して回転部材22を前述した一方向の反対方向(例えば後方から見た場合における反時計回り)に相対回転させる。本体筒23に対して回転部材22を反対方向に相対回転させると、ノック部材21の凸部21bが回転部材22の螺旋壁22hに沿って前進する。
【0075】
このとき、ラチェット部材25の第4リブ25pは連結部材24の第3リブ24pに回転方向に係合している。更に、回転部材22を本体筒23に対して反対方向に相対回転させると、回転部材22、ノック部材21、ラチェット部材25及び連結部材24が同期回転する。このとき、本体筒23に対してラチェット部材25が相対回転するので、本体筒23の傾斜突起23gをラチェット部材25の傾斜突起25cが反対方向に乗り越えてカチカチというクリック音が生じる。
【0076】
これに伴い、連結部材24、筒状部材16及び雌螺子部材15が同期回転し、連結部材24、筒状部材16及び雌螺子部材15が移動体14に対して反対方向に相対回転する。この反対方向への相対回転に伴って螺合部Tの螺合作用が働き、当該螺合作用によって移動体14が後退する。先筒12に対して移動体14及び棒状化粧料Mが後退することにより、棒状化粧料Mが繰り戻される。
【0077】
次に、本実施形態に係る棒状物繰出容器1の作用効果について詳細に説明する。棒状物繰出容器1は、棒状化粧料Mを有するカートリッジ部10と、カートリッジ部10に対して着脱可能とされたノック機構部20とを備える。従って、棒状化粧料Mを使い切った後には、ノック機構部20からカートリッジ部10を外し、カートリッジ部10のみを廃棄すればよい。よって、棒状物繰出容器1の全てを廃棄する必要はなく、カートリッジ部10の交換時には既存のノック機構部20に新たなカートリッジ部10を装着すればよい。従って、廃棄される部品の数を減らすことができる。
【0078】
ノック機構部20は、カートリッジ部10の雌螺子部材15と同期回転可能とされる連結部材24と、棒状化粧料Mを前進させるノック部材21と、ノック部材21を収容する回転部材22とを有する。ノック部材21は、押圧されたときに、押圧された力を回転力に変換して連結部材24及び雌螺子部材15を移動体14に対して一方向に相対回転させることによって移動体14及び棒状化粧料Mを前進させる。従って、ノック部材21の押圧によって棒状化粧料Mを前進させて棒状化粧料Mを繰り出すことができるので、棒状物繰出容器1の使用性を高めることができる。すなわち、片手で棒状物繰出容器1を持って片手でノック部材21を押圧して棒状化粧料Mを繰り出すことができるので、使用性が高い棒状物繰出容器1とすることができる。
【0079】
また、回転部材22は、ノック部材21への押圧が解除されて本体筒23に対して上記一方向の反対方向に相対回転されたときに、連結部材24及び雌螺子部材15を移動体14に対して当該反対方向に相対回転させることによって移動体14及び棒状化粧料Mを後退させる。従って、本体筒23に対する回転部材22の相対回転によって棒状化粧料Mを後退させることができる。以上より、棒状物繰出容器1では、ノックによる棒状化粧料Mの繰り出し、及び回転部材22の回転による棒状化粧料Mの繰り戻しを行うことができる。
【0080】
本実施形態において、カートリッジ部10は、雌螺子部材15の後側において雌螺子部材15と同期回転可能とされており連結部材24が連結される筒状部材16を有する。筒状部材16の内面には、筒状部材16の軸線が延びる軸線方向Dに沿って延在する第1リブ16kが形成されており、連結部材24の外面には、第1リブ16kに回転方向に係合する第2リブ24gが形成されている。よって、カートリッジ部10の雌螺子部材15とノック機構部20の連結部材24とを筒状部材16を介して連結することができると共に、雌螺子部材15、筒状部材16及び連結部材24を同期回転可能とすることができる。
【0081】
本実施形態において、ノック機構部20は、本体筒23の内部において連結部材24を収容する筒状のラチェット部材25を有する。図8及び図9に示されるように、連結部材24の外面には、ラチェット部材25の軸線が延びる軸線方向Dに沿って延在する第3リブ24pが形成されている。ラチェット部材25の内面には、連結部材24及び雌螺子部材15の移動体14に対する反対方向への相対回転がなされるときに第3リブ24pと回転方向に係合する第4リブ25pが形成されている。よって、ラチェット部材25を連結部材24及び雌螺子部材15と共に反対方向に同期回転させることができる。
【0082】
以上、本開示に係る棒状物繰出容器の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る棒状物繰出容器は、前述の実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨の範囲内において変形し、更に他のものに用いられるものであってもよい。すなわち、棒状物繰出容器を構成する各部品の構成、形状、大きさ、材料及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0083】
例えば、前述の実施形態では、棒状物が揮発性を有する棒状化粧料Mである例について説明した。しかしながら、本開示において、棒状物は、揮発性を有しない棒状化粧料であってもよいし、化粧料以外の棒状物であってもよい。本開示に係る棒状物は、前述したようにリップグロス、リップ、アイカラー若しくはアイライナー等の化粧料であってもよいし、マーキングペン等の文房具(描画材)、医薬品又は泥状物を含む棒状物であってもよく、これらの棒状物を本開示に係る棒状物繰出容器に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0084】
1…棒状物繰出容器、10…カートリッジ部、11…キャップ、11b…環状凸部、11c…端面、12…先筒、12A…前側筒部、12b…凸部、12B…後側筒部、12c…雄螺子部、12d…鍔部、12f…前端、12g…テーパ面、12h…環状凹部、12j…傾斜面、12k…突部、12m…開口、12p…内部空間、12q…突条、12r…内面、12s…第1段部、12t…第2段部、12v…環状凹部、12w…環状凸部、12x…後端、13…Oリング、14…移動体、14A…保持部、14b…雄螺子、14B…棒状部、14c…把持部、14d…係合部、14f…曲面部、15…雌螺子部材、15A…筒部、15b…雌螺子、15B…バネ部、15c…小径部、15d…大径部、15f…段差、15g…収容空間、15h…突出部、15j…筒状部、15k…スリット、16…筒状部材、16b…鍔部、16c…環状凹部、16d…環状凸部、16f…第1内部空間、16g…第2内部空間、16h…壁部、16j…凹部、16k…第1リブ、16m…第1延在面、16p…第2延在面、16q…傾斜面、17…Oリング、20…ノック機構部、21…ノック部材、21b…凸部、21c…小径部、21d…テーパ部、21f…大径部、21g…凸部、21h…前端、21j…スリット、22…回転部材、22b…前側収容部、22c…後側収容部、22d…環状凹部、22f…螺旋状凹部、22g…内面、22h…螺旋壁、23…本体筒、23b…前側内部空間、23c…後側内部空間、23d…壁部、23f…雌螺子部、23g…傾斜突起、23h…環状凹部、24…連結部材、24A…前側部分、24B…後側部分、24b…前端、24C…拡径部、24c…第1外周面、24d…段差部、24f…第2外周面、24g…第2リブ、24h…第3延在面、24j…第4延在面、24k…傾斜面、24m…鍔部、24p…第3リブ、24q…外周面、24r…第5延在面、24s…第6延在面、24t…傾斜面、25…ラチェット部材、25A…前側筒部、25B…後側筒部、25b…鍔部、25c…傾斜突起、25d…バネ部、25f…ラチェット部、25g…筒状部、25h…スリット、25j…第1スリット部、25k…第2スリット部、25m…傾斜スリット部、25p…第4リブ、25q…第7延在面、25r…第8延在面、25s…傾斜面、25t,25v…環状凸部、25w…前側リブ部、25x…後側リブ部、26…バネ部材、D…軸線方向、L…軸線、M…棒状化粧料(棒状物)、T…螺合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13