(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190939
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】監視システム、監視衛星、監視方法、および監視プログラム
(51)【国際特許分類】
B64G 3/00 20060101AFI20221220BHJP
B64G 1/66 20060101ALI20221220BHJP
B64G 1/10 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B64G3/00
B64G1/66 A
B64G1/10 600
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099482
(22)【出願日】2021-06-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸彦
(57)【要約】
【課題】静止軌道と周回軌道を含む監視領域を俯瞰的に監視することが可能な監視システム、監視衛星、監視方法、および監視プログラムを提供すること
【解決手段】本開示にかかる監視システム1001は、地球の赤道面周回軌道に配置した複数の監視衛星1および地球上に存在する地上基地局2を備える監視システムである。地上基地局2は、複数の監視衛星1から監視情報を受信する通信部13cおよび複数の監視衛星1から受信した監視情報を解析する解析部14を備える。監視衛星1は、静止軌道の監視情報を取得する静止軌道監視部12aと、周回軌道の監視情報を取得する周回軌道監視部11aと、静止軌道監視部12aおよび周回軌道監視部11aが取得した監視情報を他の監視衛星および前記地上基地局との間で送受信する通信部13aとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球の赤道面周回軌道に配置した複数の監視衛星と、
地球上に存在する地上基地局と、を備える人工衛星の軌道の監視システムであって、
前記地上基地局は、
前記複数の監視衛星から監視情報を受信する第1の通信部と、
前記複数の監視衛星から受信した前記監視情報を解析する解析部と、を備え、
前記監視衛星は、
静止軌道の監視情報を取得する静止軌道監視部と、
周回軌道の監視情報を取得する周回軌道監視部と、
前記静止軌道監視部および前記周回軌道監視部が取得した監視情報を、他の監視衛星および前記地上基地局との間で送受信する第2の通信部とを備える監視システム。
【請求項2】
前記監視衛星が、第1の撮影手段と第2の撮影手段を備え、
前記第1の撮影手段は、前記第2の撮影手段よりも高い集光力を有し、
前記第2の撮影手段は、前記第1の撮影手段よりも広い視野角を有しており、
前記第1の撮影手段を前記静止軌道監視部として用い、
前記第2の撮影手段を前記周回軌道監視部として用いる請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視衛星が、
静止軌道よりも低く、
監視対象の周回軌道よりも高い高度の軌道上を周回する請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記監視情報を他の監視衛星から1つの前記監視衛星に集約し、当該監視衛星が前記地上基地局に対してまとめて前記監視情報を送信する請求項1及至3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記監視情報を前記地上基地局にもっとも近い距離に位置する前記監視衛星に集約し、当該監視衛星が前記地上基地局に対してまとめて前記監視情報を送信する請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
複数の前記監視衛星が、等間隔で赤道面周回軌道上に配置され、
前記静止軌道監視部が、天頂方向の前記静止軌道を監視し、
前記通信部が、前記静止軌道監視部が取得した監視情報を、他の監視衛星もしくは前記地上基地局に所定の周期で送信し、
前記所定の周期が、前記監視衛星の公転周期を前記監視衛星の数で割った商として定められる請求項1及至5のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項7】
複数の前記周回軌道監視部が取得した監視情報に基づいて、前記地上基地局が交会法を用いて宇宙物体の位置を特定する請求項1及至6のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項8】
地球の赤道面周回軌道に配置された監視衛星であって、
静止軌道の監視情報を取得する静止軌道監視部と、
周回軌道の監視情報を取得する周回軌道監視部と、
前記静止軌道監視部および前記周回軌道監視部が取得した前記監視情報を、少なくとも地上基地局に対して送信する通信部とを備える監視衛星。
【請求項9】
人工衛星の軌道の監視方法であって、
地球の赤道面周回軌道に配置した複数の監視衛星が、静止軌道の監視情報を取得するステップと、
周回軌道の監視情報を取得するステップと、
取得された前記監視情報を地上基地局に送信するステップとを実行し、
前記地上基地局が、複数の前記監視衛星が取得した監視情報を集約して解析する監視方法。
【請求項10】
地球の赤道面周回軌道に配置した監視衛星に搭載されたコンピュータを制御する監視プログラムであって、
前記コンピュータに、静止軌道の監視情報を取得するステップと、
周回軌道の監視情報を取得するステップと、
取得された前記監視情報を、地上基地局に対して送信するステップとを実行させる監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は監視システム、監視衛星、監視方法、および監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球の周囲を公転する人工衛星の軌道には、静止軌道と周回軌道がある。静止軌道は、地球の赤道と同一平面上に存在する軌道であり、地球の自転周期と静止軌道上の衛星の公転周期が一致する軌道である。静止軌道上に存在する衛星は地球の自転周期と自身の公転周期が一致しているため、地球上の定点から観測すると当該衛星は静止しているように見える。静止軌道以外の軌道上に存在する衛星は、地球上の定点から観測すると、移動しているように見え、このような軌道を周回軌道と呼ぶ。周回軌道については、高度、軌道形状、および軌道傾斜角等に大きな制約はないが、一般的によく利用される周回軌道は、静止軌道よりも低い高度に設定されていることが多い。静止軌道は、例えば衛星放送用人工衛星等の地球上の特定の区域にとどまる必要のある衛星の軌道として利用されることが多い。周回軌道は、静止軌道と比較して低い高度に設定することが可能であるため、例えば、地球環境観測衛星や国際宇宙ステーションなど、多種多様な用途に利用されている。
【0003】
このように地球の衛星軌道の利用は近年大きく増加しているが、同時に人工衛星の破損の原因となる宇宙ゴミの存在や、軌道の混み合い等の問題が表面化してきており、衛星軌道の監視をおこなうことが必須となってきている。
【0004】
関連技術にかかる広域監視システムでは、静止軌道の監視は地上設置型望遠鏡を主力として実施されているが、日射の関係で夜間しか観測できず常続的な監視はできなかった。また、周回軌道の監視は地上設置型レーダを主力として実施されているが、この場合、視界が電波水平線に制限され、設置可能位置が大陸や島嶼等に制約される。そのため、常続的な監視は不可能であり、限られた範囲の観測データから衛星軌道を予測する必要があった。また、それに起因して静止軌道、周回軌道とも観測から次観測の期間が長くなるため、時間経過で監視精度が劣化していくという問題があった。また、次回の軌道観測範囲をこの精度劣化分を見込み大きく確保する必要があることから監視効率が悪化する問題もあった。
【0005】
先行文献1には、赤道上の高度1000~2000km上空に配置された複数の人工衛星同士で通信をおこない、地球上の特定緯度の領域を網羅的に監視する監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
静止軌道の高度がおおよそ36000kmなのに対して、一般的によく利用される周回軌道の高度はおおよそ400~2000kmであり、18~90倍ほどの高度差がある。また、静止軌道上の宇宙物体は地球上からみて静止しているのに対して、周回軌道上の宇宙物体は常に移動をおこなっている。これら2点の差に起因して、静止軌道を監視する場合と、周回軌道を監視する場合とでは全く異なる設備や手法が必要となる。さらに、関連技術では、いずれの場合においても、監視範囲が広大であるために監視範囲全体の監視情報を取得するのに時間がかかり、監視範囲内の領域によって、監視情報の取得時間にばらつきが出てしまっていた。つまり、関連技術には、静止軌道と周回軌道の両方を含む監視範囲を俯瞰的に監視することができないという課題があった。
【0008】
先行文献1に、この課題を解決可能な技術は記載されていない。
【0009】
本開示は、前述した課題を解決するためになされたものであり、静止軌道と周回軌道を含む監視領域を俯瞰的に監視することが可能な監視システム、監視衛星、監視方法、および監視プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示にかかる監視システムは、
地球の赤道面周回軌道に配置した複数の監視衛星と、
地球上に存在する地上基地局と、を備える人工衛星の軌道の監視システムであって、
前記地上基地局は、
前記複数の監視衛星から監視情報を受信する第1の通信部と、
前記複数の監視衛星から受信した前記監視情報を解析する解析部と、を備え、
前記監視衛星は、
静止軌道の監視情報を取得する静止軌道監視部と、
周回軌道の監視情報を取得する周回軌道監視部と、
前記静止軌道監視部および前記周回軌道監視部が取得した監視情報を、他の監視衛星および前記地上基地局との間で送受信する第2の通信部とを備える監視システムである。
【0011】
本開示にかかる監視衛星は、
地球の赤道面周回軌道に配置された監視衛星であって、
静止軌道の監視情報を取得する静止軌道監視部と、
周回軌道の監視情報を取得する周回軌道監視部と、
前記静止軌道監視部および前記周回軌道監視部が取得した前記監視情報を、少なくとも地上基地局に対して送信する通信部とを備える監視衛星である。
【0012】
本開示にかかる監視方法は、
人工衛星の軌道の監視方法であって、
地球の赤道面周回軌道に配置した複数の監視衛星が、静止軌道の監視情報を取得するステップと、
周回軌道の監視情報を取得するステップと、
取得された前記監視情報を地上基地局に送信するステップとを実行し、
前記地上基地局が、複数の前記監視衛星が取得した監視情報を集約して解析する監視方法である。
【0013】
本開示にかかる監視プログラムは、
地球の赤道面周回軌道に配置した監視衛星に搭載されたコンピュータを制御する監視プログラムであって、
前記コンピュータに、静止軌道の監視情報を取得するステップと、
周回軌道の監視情報を取得するステップと、
取得された前記監視情報を、地上基地局に対して送信するステップとを実行させる監視プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本開示により、静止軌道と周回軌道の両方を含む監視範囲を俯瞰的に監視することが可能な監視システム、監視衛星、監視方法、および監視プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1にかかる監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態2にかかる監視システムの位置関係を示す俯瞰図である。
【
図3】実施の形態2にかかる監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態2にかかる静止軌道監視の動作を説明するための断面図である。
【
図5A】実施の形態2にかかる静止軌道監視の動作を説明するための断面図である。
【
図5B】実施の形態2にかかる静止軌道監視の動作を説明するための断面図である。
【
図6】実施の形態2にかかる静止軌道監視の動作を説明するための模式図である。
【
図7】実施の形態2にかかる静止軌道監視の動作を説明するための模式図である。
【
図8】実施の形態2にかかる静止軌道監視の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】実施の形態2にかかる周回軌道監視の動作を説明するための断面図である。
【
図10】実施の形態2にかかる周回軌道監視の動作を説明するための俯瞰図である。
【
図11】実施の形態2にかかる周回軌道監視の動作を説明するための俯瞰図である。
【
図12】実施の形態2にかかる周回軌道監視の動作を説明するための模式図である。
【
図13】実施の形態2にかかる周回軌道監視の動作を説明するための模式図である。
【
図14】実施の形態2にかかる周回軌道監視の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図15】実施の形態2にかかる衛星間通信の動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる監視システムの構成を示すためのブロック図である。本実施の形態にかかる監視システム1001は、複数の監視衛星1a及びbと、地上基地局2と、を備える。なお、
図1では、簡単のため監視衛星が2機しか記載されていないが、監視衛星の数は2機には限られず、3機以上であってもよい。監視衛星1aは、地球の赤道面周回軌道上に投入された人工衛星であり、周回軌道監視部11a、静止軌道監視部12a、および通信部13aを備える。監視衛星1bは、監視衛星1aと同様の構成をしている。また、地上基地局2は、地球上に設置された人工衛星の基地局であり、通信部13c及び解析部14を備える。監視衛星1a及びbは静止軌道および周回軌道の監視情報を取得し、取得した監視情報を地上基地局2に集約する。
【0017】
周回軌道監視部11aは、周回軌道の監視情報を取得する。周回軌道監視部11aは、例えば、望遠鏡、カメラや監視情報の処理部を含む。周回軌道監視部11aは、取得した監視情報を通信部13aに出力する。
【0018】
静止軌道監視部12aは、静止軌道の監視情報を取得する。静止軌道監視部12aは、例えば、望遠鏡、カメラや監視情報の処理部を含む。静止軌道監視部12aは、取得した監視情報を通信部13aに出力する。
【0019】
通信部13aは、監視衛星1bおよび地上基地局2と通信をおこなう通信機である。通信部13aは、周回軌道監視部11aおよび静止軌道監視部12aから入力した監視情報を、監視衛星1bおよび地上基地局2に送信する。また、通信部13aは、監視衛星1bが取得した監視情報を取得する。
【0020】
通信部13cは、監視衛星1a及び1bと通信をおこなう通信機である。通信部13cは、監視衛星1a及びbから、監視衛星1a及びbが取得した監視情報を受信する。通信部13cは、受信した監視情報を解析部14に出力する。
【0021】
解析部14は、監視衛星1a及びbが取得した監視情報を通信部13cから入力し、それらを集約して解析する。解析部14は、複数の監視衛星が取得した情報を集約して解析することで、監視範囲内の領域毎の監視情報の取得時間のばらつきを抑制することができる。
【0022】
本実施の形態1にかかる監視システム1001によれば、複数の監視衛星が、周回軌道と静止軌道のそれぞれから監視情報を取得し、地上基地局において、これらの監視情報に基づいて監視する構成としているので、静止軌道と周回軌道の両方を含む監視範囲を俯瞰的に監視することができる。
【0023】
実施の形態2.
以下、
図2~12を参照して本実施の形態について詳しく説明する。
図2は本実施の形態にかかる監視システムおよび監視範囲の位置関係を説明するための俯瞰図である。
図2は、紙面が赤道面と平行になるように図示されている。監視システム1002(
図3参照)は、監視衛星1および地上基地局2を備えている。監視衛星1は、地球Eの赤道面周回軌道101上に投入された人工衛星である。本実施の形態では、12機の監視衛星1が、赤道面周回軌道101に投入され、それらの公転周期は120分であるとする。なお、台数および公転周期はこの値に限定されるものでなく、適宜調整可能である。また、監視衛星1は、静止軌道102よりも低く、監視対象の周回軌道103よりも高い高度の軌道101を周回することが好ましい。監視衛星1を、このような高度に投入することによって、静止軌道102の監視情報の精度が向上し、監視可能な周回軌道103の範囲を広げることができる。さらに、これらの監視衛星1は等間隔で配置されていることが好ましい。なお、ここでいう等間隔とは、完全に同一の間隔である必要はなく、ある程度長さが異なっていてもよい。このような配置にすることによって、監視が必要な範囲を効率的に監視することができる。監視衛星1は、静止軌道と周回軌道を含む監視範囲の監視情報を取得し、取得された監視情報は、地上基地局2に集約される。地上基地局2は、地球E上に位置する施設である。具体的には、地上基地局2は、赤道面周回軌道101上を公転する監視衛星1からの監視情報を受信可能な地球上の地域に位置している。
【0024】
図3は、本実施の形態にかかる監視システム1002の構成を説明するためのブロック図である。前述したとおり、監視システム1002は、監視衛星1および地上基地局2を備えている。
図3では、簡単のため、図中には監視衛星1が監視衛星1a及びbの2機しか記載されていないが、実際には前述したように、監視システム1002は12機の監視衛星1を備えている(すなわち、監視衛星1a~1lを備えている)。なお、12機の監視衛星1は全て同様の構成をしている。監視衛星1aは、静止軌道監視センサ15a、周回軌道監視センサ16a、衛星側通信部17a、および制御部18aを備えている。また、地上基地局2は、基地局側通信部19及び広域監視処理装置20を備えている。
【0025】
本実施の形態にかかる静止軌道監視センサ15aは、
図1に示す静止軌道監視部12aに相当し、例えば天体望遠鏡である。静止軌道監視センサ15aは、監視衛星1aから見て天頂方向に位置する静止軌道上の区間201aを撮影する(
図4参照)。なお、区間201aは、静止軌道上の固定された区間ではなく、監視衛星1aの公転運動に伴って移動する。静止軌道監視センサ15aは、記録した映像を静止軌道102の監視情報として、制御部18aに出力する。
【0026】
周回軌道監視センサ16aは、
図1に示す周回軌道監視部11aに相当し、例えば天体望遠鏡である。周回軌道監視センサ16aは、視野901a(
図9及び10参照)に含まれる領域を撮影しており、特に、後述する領域501a(
図11参照)を撮影している。なお、視野901aおよび領域501aは、地球からみて固定された領域ではなく、監視衛星1aの公転運動に伴って移動する。周回軌道監視センサ16aは、記録した映像を周回軌道103の監視情報として、制御部18aに出力する。
【0027】
ここで、本実施の形態にかかる監視衛星1は、第1の天体望遠鏡と第2の天体望遠鏡を備え、第1の天体望遠鏡は第2の天体望遠鏡よりも高い集光力を有し、第2の天体望遠鏡は第1の天体望遠鏡よりも広い視野角を有していてもよい。そして、監視衛星1は、第1の天体望遠鏡を静止軌道監視センサ15aとして用い、第2の天体望遠鏡を周回軌道監視センサ16aとして用いてもよい。本開示にかかる監視システム1002を適用する典型的な例において、監視衛星1aと静止軌道102の距離と、監視衛星1aと周回軌道103の距離と、を比較すると、前者のほうがより大きい。そのため、静止軌道監視センサ15aは、周回軌道監視センサ16aよりも高い集光力を有していることが好ましい。一方、後ほど詳しく説明するが、静止軌道監視センサ15aは静止軌道の少なくとも1点を撮影できていればそれでよく、周回軌道監視センサ16aは視野角が大きいほど監視範囲を広くすることができる。そのため、周回軌道監視センサ16aは、静止軌道監視センサ15aよりも広い視野角をもっていることが好ましい。
【0028】
衛星側通信部17aは、他の監視衛星1および地上基地局2と通信をおこなう通信機である。ここで、衛星側通信部17aはレーザ光を用いて通信をおこなってもよい。衛星側通信部17aは、制御部18aの制御に基づいて通信をおこなう。具体的には、衛星側通信部17aは制御部18aによって決定された送信先(他の監視衛星1もしくは地上基地局2)に、制御部18aから入力した監視情報を送信する。また、衛星側通信部17aは、他の監視衛星1から監視情報を受信し、地上基地局2からコマンドを受信する。衛星側通信部17aはこれらを受信すると、受信した情報を制御部18aに出力する。
【0029】
制御部18aは、監視衛星1aの動作を制御するコンピュータである。具体的には、制御部18aは、静止軌道監視センサ15aおよび周回軌道監視センサ16aから、これらの取得した監視情報を入力する。さらに、制御部18aは、取得した監視情報を衛星側通信部17aに出力し、自身の決定した送信先に送信させる(送信先の決定方法については、後ほど詳しく説明する)。この時、制御部18aは、静止軌道監視センサ15aおよび周回軌道監視センサ16aの取得した監視情報に、他の監視衛星1から受信した監視情報を添付して送信してもよい。また、制御部18aは、地上基地局2から送信されたコマンドを衛星側通信部17aから入力した時、そのコマンドを実行する。
【0030】
基地局側通信部19は、地上基地局2に備えられた通信装置であり、典型的には、パラボラアンテナを備えた通信装置である。基地局側通信部19は、監視衛星1と通信をおこなう。具体的には、監視衛星1から、監視衛星1が取得した監視情報を受信して、広域監視処理装置20に出力する。また、広域監視処理装置20から、監視衛星に対するコマンドが出力された時は、それを監視衛星1に送信する。
【0031】
広域監視処理装置20は、基地局側通信部19から入力した監視情報を解析する。具体的には、広域監視処理装置20は、基地局側通信部19が受信した複数の監視衛星1の取得した情報を集約し、それらを解析する。また、広域監視処理装置20は、監視衛星1に対するコマンドを出力してもよい。広域監視処理装置20は、典型的には地上基地局2に備え付けられたコンピュータである。
【0032】
続いて、
図3~15を用いて、監視システム1002が静止軌道および周回軌道を監視する動作について詳細に説明する。まず始めに、
図3~6を用いて、静止軌道の監視方法について詳しく説明する。静止軌道を監視するにあたっては、前述したように複数の監視衛星1が、可能な限り等しい間隔で赤道面周回軌道上に配置されていることが好ましい。また、静止軌道監視センサ15aが、天頂方向の静止軌道102を監視し、衛星側通信部17aが、静止軌道102が取得した監視情報を、他の監視衛星1もしくは地上基地局2に所定の周期で送信するとよい。さらに、所定の周期は、監視衛星1の公転周期を監視衛星1の数で割った商として定めるのがよい。
【0033】
図4、5A及びBは、監視システム1002、地球E、静止軌道102を赤道面で切ったときの断面図である。なお、簡単のため、図は一部省略している。静止軌道を監視するにあたって、監視衛星1a~1lの12機の監視衛星はほぼ等間隔で、軌道101上を公転している。前述したように、静止軌道監視センサ15aは、
図4に示すように、監視衛星1aから見て天頂方向にある静止軌道102上の区間201aを監視している。
【0034】
ここで、静止軌道102の全長距離と区間201aの距離を比較すると、区間201aの距離は無視できるほど小さい。そこで、
図5aのように、区間201aは、静止軌道監視センサ15aが観測する静止軌道102上の観測点301aとして考えても差し支えがない。ここで、観測点301aは地球の中心点Gと、監視衛星1aを通る直線が静止軌道102と交わる点であるといえる。この観測点301aは、監視衛星1aが軌道101を公転するのに伴って静止軌道102上を移動する。静止軌道監視センサ15aは、この観測点301aを観測し続ける。
【0035】
図5Bは、
図5Aから所定の時間が経過した時の監視衛星と、観測点301aの位置を示している。ここでいう、所定の時間とは、監視衛星1の公転周期(120分)を監視衛星1の数(12機)で割った時間であり、つまりは10分である。
図5aから10分が経過すると、監視衛星1aは地球の中心点Gから見て30度(
図5a及びbの角度αに対応)移動し、
図5aにおける監視衛星1bの位置に移動する。これに伴って観測点301aも静止軌道102上を移動する。ここで、
図5B中の地点401aは
図5Aの時点における観測点301aの地点を表しており、地点402aは
図5Bの時点における観測点301aの地点を表している。つまり、観測点301aは、当該の10分の間に地点401aから地点402aまでの区間202aを移動しており、静止軌道監視センサ15aはこの区間202aの監視情報を取得していることになる。
【0036】
監視衛星1b~1lも、監視衛星1aと同様に、当該の10分間に区間202b~lの監視情報を取得している。その様子を表したのが
図6である。
図6は、軌道101および静止軌道102上の位置を地球の中心点Gから観測した角度に対応させた図である。
図6における101aは
図5Aの時点における軌道101を、101bは
図5Bの時点における軌道101を表している。なお、基準点は、
図5A時点における監視衛星1aの位置を0度としている。
図6を見ると、
図5A時点では0度地点にいた監視衛星1aが、
図5b時点では30度地点に移動していることがわかる。さらに、静止軌道上の観測点301aも0度地点から30度地点に移動していることがわかる。これと同様に、観測点301b~lも10分の間にそれぞれ30度ずつ移動しており、これに対応する静止軌道102上の区間の監視情報を取得している。ここで、
図6に示す通り、観測点301a~lが移動した区間(すなわち12機の監視衛星1が監視情報を取得した区間)を合計すると、静止軌道の全区間と一致する。つまり、本実施の形態にかかる監視衛星1a~1lの監視情報を合わせると、10分毎に静止軌道102全域の監視情報を取得することができる。よって、監視衛星1a~1lが取得した監視情報を、後述の動作によって地上基地局2に集約し、解析をおこなうことで、10分毎に静止軌道102の全領域の監視情報を提供することができる。
【0037】
1機の監視衛星1で静止軌道102を監視した場合、提供される静止軌道102の監視情報は、その取得時間が領域によって最大120分ほどばらついてしまう。しかしながら、上述したように静止軌道102を監視することによって、監視情報の取得時間のばらつきは10分まで抑制することが可能で、結果として、監視情報の精度が向上する。
【0038】
地上基地局2は、監視衛星1a~1lが取得した監視情報に基づいて、静止軌道上に存在する宇宙物体601(
図7参照)の監視をおこなう。以下、地上基地局2が静止軌道を監視する際の処理を説明する。
図8は、地上基地局2の静止軌道監視の処理を示すフローチャートである。まず始めに、地上基地局2は、監視衛星1a~1lが取得した監視情報に基づいて静止軌道102全域の監視情報を取得する(S1)。次に、地上基地局2は、取得した静止軌道102全域の監視情報に基づいて、宇宙物体601の存在を認識する(S2)。地上基地局2は、静止軌道衛星のリストを参照し、宇宙物体601がリストに記載されているかどうかを判定する(S3)。宇宙物体601がリストに記載されていなかった場合、地上基地局2は、宇宙物体601を不明目標として登録し、識別子の付与をおこなう(S4)。また、宇宙物体601を不明目標として登録した時、地上基地局2は、宇宙物体601の周囲を飛行する人工衛星に対して、警告を通知してもよい。
【0039】
続いて、
図9~14を用いて、監視システム1002が、周回軌道の監視情報を取得する動作について、詳しく説明する。周回軌道は、軌道高度、軌道傾斜角とも多種多様なので、単一の周回軌道監視センサ16a~lで、軌道を特定することができない。そのため、監視システム1002は、各周回軌道監視センサ16a~lが監視している領域を重複させることで、全監視領域が最低2つの周回軌道監視センサ16a~lによって監視されているようにし、複数の監視衛星1の監視情報に基づき、交会法を用いて監視領域内の宇宙物体の位置を特定する。
【0040】
図9及び10は、周回軌道監視センサ16aの視野を説明するための図である。
図9は、監視衛星1a、地球E、および周回軌道101を、地軸Aと監視衛星1aを含む平面で切ったときの断面図である。
図9によると、本実施の形態にかかる周回軌道監視センサ16aは、北極方向の宇宙に視野901aを向けており、視野に地球が入り込まないようにしている。このように周回軌道監視センサ16aの視野を設定することで、地球表面の太陽光反射や、地球輻射に起因する観測ノイズを抑制することができ、微小な宇宙物体を観測することができる。
図10は、監視衛星1a、地球E、および周回軌道101を、北極点上空から見た時の俯瞰図である。
図10によると、本実施の形態にかかる周回軌道監視センサ16aは、北極点方向を中心として視野901aを向けていることがわかる。
【0041】
周回軌道監視センサ16b~lも、周回軌道監視センサ16aと同様に視野901b~lを有している。さらに、本実施の形態にかかる周回軌道監視センサ16a~lは、隣り合う周回軌道監視センサ同士で視野を重複させている。
図11は、周回軌道監視センサ16aの視野901aが、監視衛星1aと隣り合う監視衛星1b及び1lに搭載された周回軌道監視センサ16b及びlの視野901b及びlと重複していることを示した図である。
図11によると、視野901aは領域501aにおいて、視野901bまたはlのいずれかと重複している。本実施の形態にかかる監視衛星1aは、この領域501aを自身に割り当てられた監視領域として設定し、この領域内を通過する宇宙物体を監視対象としている。なお、本実施の形態では、この監視領域501aが、地球の中心点Gから観測したときに、監視衛星1aを中心として60度の角度に渡って存在するように視野901a、b、及びlを調整している。
【0042】
監視衛星1aは監視領域501aを監視しているが、監視衛星1b~1lもこれと同様の形状の領域501b~lを監視しており、それぞれの監視領域は隣り合う領域同士が重なり合っている。その様子を示したのが、
図12である。
図12は、監視衛星1a~1lおよび監視領域501a~lの位置を地球の中心点Gから観測した角度に対応させた図である。なお、基準点は、監視衛星1aの位置を0度としている。
図12を見ると、監視衛星1bは30度の地点に、また、監視衛星1lは330度の地点に存在している。また、先ほど
図11で図示した監視領域501aについても330度から30度の領域にまたがって存在していることがわかる(なお、図では途中で途切れている)。
図12によると前述したとおり、隣り合う監視領域同士が重なり合っている。例えば、30度から60度の領域では、監視領域501bおよび監視領域501cが重なり合っているし、150度から180度の地点では、監視領域501fおよび監視領域501gが重なり合っている。
【0043】
このような構成にすることによって、監視領域501a~lを足し合わせた監視領域内のどの地点を宇宙物体が通過しても、必ず2機の監視衛星1で宇宙物体を監視することができる。
図13は、監視衛星1a及び1bが2機で、宇宙物体602を監視している様子を表している。
【0044】
図14は、宇宙物体602の監視情報を取得してからの地上基地局2の処理を示すフローチャートである。監視衛星1a及び1bの宇宙物体602の監視情報は、後述する動作によって、地上基地局2に集められ、広域監視処理装置20に入力される(S1)。広域監視処理装置20は、監視衛星1a及び1bの2機からの監視情報に基づいて、交会法を用いて宇宙物体602の座標を割り出す(S2)。次に、広域監視処理装置20は、宇宙物体の座標を時間毎にプロットすることによって、宇宙物体602が飛行している周回軌道を推定する(S3)。宇宙物体602の軌道を推定すると、広域監視処理装置20は周回軌道衛星のリストを参照し、宇宙物体602がリストに記載されているかどうかを判定する(S4)。宇宙物体602がリストに記載されていなかった場合、広域監視処理装置20は、宇宙物体602を不明目標として登録し、識別子の付与をおこなう(S5)。また、宇宙物体602を不明目標として登録した時、広域監視処理装置20は、宇宙物体602の周囲を飛行する人工衛星に対して、警告を通知してもよい。
【0045】
このような構成にすることによって、軌道高度、軌道傾斜角とも多種多様な周回軌道103の監視精度を高めることができる。
【0046】
続いて、監視衛星1a~1lが各々の取得した監視情報を地上基地局2に集約する動作について、
図15を用いて詳しく説明する。
図15は、監視衛星1a~1lと地上基地局2の位置関係を示す模式図である。なお、簡単のために地球Eも軌道101も直線状に記載しているが、実際は当然円形である。本実施の形態にかかる監視システム1002は、監視情報を1つの監視衛星1に集約し、当該監視衛星1が地上基地局2に対してまとめて監視情報を送信する。さらに詳しく言うと、監視システム1002は、監視情報を地上基地局2にもっとも近い距離に位置する監視衛星1に集約し、当該監視衛星1が地上基地局2に対してまとめて監視情報を送信する。
【0047】
図15の点701a~lは、それぞれ監視衛星1a~1lが取得した監視情報を表している。前述したように、監視衛星1a~1lは、地上基地局2に最も近い監視衛星1に各々が取得した監視情報701a~lを集約する。
図15の場合、監視衛星1gが最も地上基地局2に距離が近いので、監視衛星1a~1lは、監視衛星1gに監視情報701a~lを集約する。なお、監視衛星1a~1lは公転しているので、地上基地局2に最も距離の近い監視衛星1は、時間の経過に従って順次入れ替わっていく。監視衛星1a~1lは、監視衛星1gに情報を集約する時に、遠い監視衛星から順次、隣の監視衛星に情報を送信していく。たとえば、監視衛星1aが取得した監視情報701aが、監視衛星1gまで到達する様子を示す。監視衛星1aは、取得した監視情報701aを、隣接する監視衛星1bに送信する。監視情報701aを受信した監視衛星1bは、これに自身の取得した監視情報701bを追加して、次に隣接する監視衛星1cへと送信する。これを繰り返すことによって、最終的に監視情報701aは、監視情報701b~fを追加された状態で、監視衛星1fから監視衛星1gに送信される。同様の処理で、監視情報701h~lも監視衛星1gに集約される。監視情報701a~lまでの監視情報を取得した監視衛星1gはこれらをまとめて地上基地局2に送信する。地上基地局2は受信した監視情報701a~lを前述したように解析する。
【0048】
また、監視衛星1a~1lは、監視情報701a~lを送信するときに、自らのテレメトリ情報を添付してもよい。
【0049】
逆に、地上基地局2から監視衛星1a~1lにコマンドを送信するときは、地上基地局2が最も距離の近い監視衛星1にコマンドを送信し、コマンドを受信した監視衛星1が隣接する監視衛星1に対して、順次コマンドを転送していくようにしてもよい。また、監視衛星1の間で通信トラブルが発生した場合は、それぞれの監視衛星が地上基地局2に最も近づいた時に1機ずつ通信修正コマンドを送信するようにするとよい。
【0050】
このような構成にすることによって、監視システム1002は、地上基地局2に監視衛星1a~1lの監視情報を効率的に集約することができる。
【0051】
以上をまとめると、本実施の形態2にかかる監視システム1002は、静止軌道と周回軌道を含む監視領域を俯瞰的に監視することが可能であり、監視情報の精度を向上させることができる。
【0052】
その他の実施の形態.
監視システム1002は、衛星打ち上げロケットを周回軌道監視センサ16aによって継続追尾することで、人工衛星の新規軌道参入と打上基地情報と紐づけされた宇宙物体識別情報を生成するようにしてもよい。このようにすることで、新規に軌道に投入された宇宙物体を確実に識別することができる。
【0053】
監視システム1002は、監視衛星1に船舶自動識別信号受信機を装備することで、監視衛星1の観測範囲内を航行する船舶自己位置通報を収集し、海洋ドメイン情報を生成してもよい。
【0054】
監視システム1002は、監視衛星1に航空機自動識別信号受信機を装備することで、監視衛星1の観測範囲内を飛行する航空機自己位置通報を収集し、航空ドメイン情報を生成してもよい。
【0055】
前述までの実施の形態に記載された監視衛星1の動作は、監視衛星1の制御部18に搭載されたプログラムによって実行されてもよい。
【0056】
なお、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0057】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
地球の赤道面周回軌道に配置した複数の監視衛星と、
地球上に存在する地上基地局と、を備える人工衛星の軌道の監視システムであって、
前記地上基地局は、
前記複数の監視衛星から監視情報を受信する第1の通信部と、
前記複数の監視衛星から受信した前記監視情報を解析する解析部と、を備え、
前記監視衛星は、
静止軌道の監視情報を取得する静止軌道監視部と、
周回軌道の監視情報を取得する周回軌道監視部と、
前記静止軌道監視部および前記周回軌道監視部が取得した監視情報を、他の監視衛星および前記地上基地局との間で送受信する第2の通信部とを備える監視システム。
(付記2)
前記監視衛星が、第1の撮影手段と第2の撮影手段を備え、
前記第1の撮影手段は、前記第2の撮影手段よりも高い集光力を有し、
前記第2の撮影手段は、前記第1の撮影手段よりも広い視野角を有しており、
前記第1の撮影手段を前記静止軌道監視部として用い、
前記第2の撮影手段を前記周回軌道監視部として用いる付記1に記載の監視システム。
(付記3)
前記監視衛星が、
静止軌道よりも低く、
監視対象の周回軌道よりも高い高度の軌道上を周回する付記1又は2に記載の監視システム。
(付記4)
前記通信部が、レーザ光を用いて、他の前記周回衛星もしくは、前記基地局と通信を行う付記1及至3のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記5)
前記監視情報を他の監視衛星から1つの前記監視衛星に集約し、当該監視衛星が前記地上基地局に対してまとめて前記監視情報を送信する付記1及至4のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記6)
前記監視情報を前記地上基地局にもっとも近い距離に位置する前記監視衛星に集約し、当該監視衛星が前記地上基地局に対してまとめて前記監視情報を送信する付記5に記載の監視システム。
(付記7)
複数の前記周回衛星が、該当周回衛星から遠い前記周回衛星から順次中継しながら、前記周回衛星が取得した監視情報を送信することで、その時点で最も前記基地局に近い距離に位置する1つの周回衛星に監視情報を集約する付記1及至6のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記8)
複数の前記監視衛星が、等間隔で赤道面周回軌道上に配置され、
前記静止軌道監視部が、天頂方向の前記静止軌道を監視し、
前記通信部が、前記静止軌道監視部が取得した監視情報を、他の監視衛星もしくは前記地上基地局に所定の周期で送信し、
前記所定の周期が、前記監視衛星の公転周期を前記監視衛星の数で割った商として定められる付記1及至7のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記9)
複数の前記周回軌道監視部が取得した監視情報に基づいて、前記地上基地局が交会法を用いて宇宙物体の位置を特定する付記1及至8のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記10)
前記周回軌道監視部が衛星打ち上げロケットを打ち上げ時から継続追尾し、
前記衛星打ち上げロケットによって軌道投入された人工衛星の軌道情報と、前記衛星打ち上げロケットを打ち上げた打ち上げ基地局の情報と、を関連付けて記録する付記1及至9のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記11)
前記周回軌道監視部が、海上を航行する船舶の位置を取得する付記1及至10のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記12)
前記周回軌道監視部が、飛行する航空機の位置を取得する付記1及至11のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記13)
地球の赤道面周回軌道に配置された監視衛星であって、
静止軌道の監視情報を取得する静止軌道監視部と、
周回軌道の監視情報を取得する周回軌道監視部と、
前記静止軌道監視部および前記周回軌道監視部が取得した前記監視情報を、少なくとも地上基地局に対して送信する通信部とを備える監視衛星。
(付記14)
人工衛星の軌道の監視方法であって、
地球の赤道面周回軌道に配置した複数の監視衛星が、静止軌道の監視情報を取得するステップと、
周回軌道の監視情報を取得するステップと、
取得された前記監視情報を地上基地局に送信するステップとを実行し、
前記地上基地局が、複数の前記監視衛星が取得した監視情報を集約して解析する監視方法。
(付記15)
地球の赤道面周回軌道に配置した監視衛星に搭載されたコンピュータを制御する監視プログラムであって、
前記コンピュータに、静止軌道の監視情報を取得するステップと、
周回軌道の監視情報を取得するステップと、
取得された前記監視情報を、地上基地局に対して送信するステップとを実行させる通信監視プログラム。
【符号の説明】
【0058】
1、1a~l 監視衛星
2 地上基地局
11、11a、11b 周回軌道監視部
12、12a、12b 静止軌道監視部
13、13a~c 通信部
14 解析部
15a、15b 静止軌道監視センサ
16a~l 周回軌道監視センサ
17a、17b 衛星側通信部
18a、18b 制御部
19 基地局側通信部
20 広域監視処理装置
101 赤道面周回軌道
102 静止軌道
103 周回軌道
201a 静止軌道監視区間
202a 静止軌道監視区間
301a~l 静止軌道観測点
401a 静止軌道監視点の移動始点
402a 静止軌道監視点の移動終点
501a~l 周回軌道監視領域
601 静止軌道上宇宙物体
602 周回軌道上宇宙物体
701a~l 監視情報
901a~l 周回軌道監視センサの視野
1001、1002 監視システム
E 地球
G 地球の中心点
N 北極点
A 地軸
【手続補正書】
【提出日】2022-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球の赤道面周回軌道に配置した複数の監視衛星と、
地球上に存在する地上基地局と、を備える人工衛星の軌道の監視システムであって、
前記地上基地局は、
前記複数の監視衛星から監視情報を受信する第1の通信部と、
前記複数の監視衛星から受信した前記監視情報を解析する解析部と、を備え、
前記監視衛星は、
静止軌道の監視情報を取得する静止軌道監視部と、
周回軌道の監視情報を取得する周回軌道監視部と、
前記静止軌道監視部および前記周回軌道監視部が取得した監視情報を、他の監視衛星および前記地上基地局との間で送受信する第2の通信部とを備える監視システム。
【請求項2】
前記監視衛星が、第1の撮影手段と第2の撮影手段を備え、
前記第1の撮影手段は、前記第2の撮影手段よりも高い集光力を有し、
前記第2の撮影手段は、前記第1の撮影手段よりも広い視野角を有しており、
前記第1の撮影手段を前記静止軌道監視部として用い、
前記第2の撮影手段を前記周回軌道監視部として用いる請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視衛星が、
静止軌道よりも低く、
監視対象の周回軌道よりも高い高度の軌道上を周回する請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記監視情報を他の監視衛星から1つの前記監視衛星に集約し、当該監視衛星が前記地上基地局に対してまとめて前記監視情報を送信する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記監視情報を前記地上基地局にもっとも近い距離に位置する前記監視衛星に集約し、当該監視衛星が前記地上基地局に対してまとめて前記監視情報を送信する請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
複数の前記監視衛星が、等間隔で赤道面周回軌道上に配置され、
前記静止軌道監視部が、天頂方向の前記静止軌道を監視し、
前記第2の通信部が、前記静止軌道監視部が取得した監視情報を、他の監視衛星もしくは前記地上基地局に所定の周期で送信し、
前記所定の周期が、前記監視衛星の公転周期を前記監視衛星の数で割った商として定められる請求項1乃至5いずれか1項に記載の監視システム。
【請求項7】
複数の前記周回軌道監視部が取得した監視情報に基づいて、前記地上基地局が交会法を用いて宇宙物体の位置を特定する請求項1乃至6いずれか1項に記載の監視システム。
【請求項8】
地球の赤道面周回軌道に配置された監視衛星であって、
静止軌道の監視情報を取得する静止軌道監視部と、
周回軌道の監視情報を取得する周回軌道監視部と、
前記静止軌道監視部および前記周回軌道監視部が取得した前記監視情報を、少なくとも地上基地局に対して送信する通信部とを備える監視衛星。
【請求項9】
人工衛星の軌道の監視方法であって、
地球の赤道面周回軌道に配置した複数の監視衛星が、静止軌道の監視情報を取得するステップと、
周回軌道の監視情報を取得するステップと、
取得された前記監視情報を地上基地局に送信するステップとを実行し、
前記地上基地局が、複数の前記監視衛星が取得した監視情報を集約して解析する監視方法。
【請求項10】
地球の赤道面周回軌道に配置した監視衛星に搭載されたコンピュータを制御する監視プログラムであって、
前記コンピュータに、静止軌道の監視情報を取得するステップと、
周回軌道の監視情報を取得するステップと、
取得された前記監視情報を、地上基地局に対して送信するステップとを実行させる監視プログラム。