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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190965
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/08 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
F24C15/08 D
F24C15/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099519
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】西島 正浩
(72)【発明者】
【氏名】後藤 敏之
(57)【要約】
【課題】加熱調理器を壁の内側に容易に設置する。
【解決手段】加熱調理器1は、壁Wに空けられた開口100から壁Wの内部に向かって延びる載置面200に載置される。加熱調理器1は、筐体40と、支持部21と、回転部31とを備える。支持部21は、載置面200に接触し、加熱調理器1を支持する。回転部31は、載置面200を転がり、加熱調理器1を移動させる。筐体40が載置面200の上に位置する状態において、支持部21は、回転部31より開口100側に位置する。支持部21が載置面200に非接触の状態において、回転部31が載置面200に接触して転がる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に空けられた開口から前記壁の内部に向かって延びる載置面に載置される加熱調理器であって、
筐体と、
前記載置面に接触し、前記加熱調理器を支持する支持部と、
前記載置面を転がり、前記加熱調理器を移動させる回転部と
を備え、
前記筐体が前記載置面の上に位置する状態において、前記支持部は、前記回転部より前記開口側に位置し、
前記支持部が前記載置面に非接触の状態において、前記回転部が前記載置面に接触して転がる、加熱調理器。
【請求項2】
前記支持部の前記載置面との接触面が曲面である、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記筐体を保護する保護部を備え、
前記保護部は、前記開口上部の前記壁と対向する、請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記回転部の外周部が前記筐体の端から突出しない、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
壁に空けられた開口から前記壁の内部に向かって延びる載置面に載置される加熱調理器であって、
筐体と、
前記載置面に接触し、前記加熱調理器を支持する支持部と、
前記筐体を保護する保護部と
を備え、
前記保護部は、前記開口上部の壁と対向し、
前記筐体が前記載置面の上に位置する状態において、前記筐体における前記載置面と対向する底面と、前記筐体における前記開口側の前面と反対側の背面とが曲面を構成し、
前記筐体における前記底面と反対側の上面と、前記背面とで構成される角よりも前記曲面の曲率半径が大きく、
前記支持部の前記載置面との接触面が曲面である、加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
引出し式加熱調理器が知られている。引出し式加熱調理器は、加熱庫と、引出し体とを備える。加熱庫は、加熱調理室を有する。引出し体は、開閉扉と一体化されている。引出し体は、加熱調理室に対して引出し可能に設置される。
【0003】
特許文献1には、引出し式加熱調理器と、引出し式加熱調理器がビルトインされる戸棚構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-133634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加熱調理器を戸棚構造の壁の内側にビルトインするには、加熱調理器を設置位置の高さまで持ち上げて、壁の開口から内側に挿入する必要がある。加熱調理器は、重たいものが多く、壁の内側に設置することが容易ではない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、壁の内側に容易に設置することが可能な加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱調理器は、壁に空けられた開口から前記壁の内部に向かって延びる載置面に載置される。加熱調理器は、筐体と、支持部と、回転部とを備える。前記支持部は、前記載置面に接触し、前記加熱調理器を支持する。前記回転部は、前記載置面を転がり、前記加熱調理器を移動させる。前記筐体が前記載置面の上に位置する状態において、前記支持部は、前記回転部より前記開口側に位置する。前記支持部が前記載置面に非接触の状態において、前記回転部が前記載置面に接触して転がる。
【0008】
本発明に係る加熱調理器は、壁に空けられた開口から前記壁の内部に向かって延びる載置面に載置される。加熱調理器は、筐体と、支持部と、保護部とを備える。前記支持部は、前記載置面に接触し、前記加熱調理器を支持する。前記保護部は、前記筐体を保護する。前記保護部は、前記開口上部の壁と対向する。前記筐体が前記載置面の上に位置する状態において、前記筐体における前記載置面と対向する底面と、前記筐体における前記開口側の前面と反対側の背面とが曲面を構成する。前記曲面の曲率半径は、前記筐体における前記底面と反対側の上面と、前記背面とで構成される角よりも大きい。前記支持部の前記載置面との接触面が曲面である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加熱調理器を壁の内側に容易に設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る加熱調理器及び加熱調理器の取付を示す図である。
図2】加熱調理器の下面を示す図である。
図3】取付後の加熱調理器を示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係る加熱調理器の取り付けの第1段階を示す図である。
図5】本発明の実施形態1に係る加熱調理器の取り付けの第2段階を示す図である。
図6】本発明の実施形態1に係る加熱調理器の取り付けの第3段階を示す図である。
図7】本発明の実施形態2に係る加熱調理器の取り付けの第1段階を示す図である。
図8】本発明の実施形態2に係る加熱調理器2の取り付けの完了を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態1について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
図1図3を参照して、本発明の実施形態1に係る加熱調理器1について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る加熱調理器1及び加熱調理器1の取付を示す図である。図2は、加熱調理器1の下面を示す図である。図3は、取付後の加熱調理器1を示す図である。
【0013】
加熱調理器1は、被加熱物Sを加熱調理する。被加熱物Sは、例えば食材である。加熱調理器1は、例えば、電子レンジ及びオーブンレンジ等である。加熱調理器1は、壁Wに取り付けられる。具体的には、加熱調理器1は、壁Wに空けられた開口100から壁Wの内部に向かって延びる載置面200に設置される。
【0014】
加熱調理器1は、筐体40と、支持部21と、回転部31とを備える。筐体40は、上外壁40Aと、後外壁40Bと、右外壁40Cと、左外壁40Dと、及び底外壁40Eと、前面部12とを有する。
【0015】
前面部12は、蓋12aを含む。蓋12aは、前面部12の一端に取付けられる。蓋12aは、前面部12に対して開閉自在に設けられる。
【0016】
図2に示すように、例えば、底外壁40Eには、支持部21A、21B、21C、21Dと、回転部31A及び回転部31Bとが配置される。支持部21A及び支持部21Bは、例えば、加熱調理器1を支持する脚である。回転部31A及び回転部31Bは、例えば、加熱調理器1を支持しつつ移動させる車輪である。
【0017】
なお、図2では、底外壁40Eに4つの支持部21と2つの回転部31とが配置される例を示すが、支持部21の数は4つに限らず、回転部31の数は2つに限らない。例えば、支持部21の数は2つであってもよい。具体的には、支持部21A~21Dのうち、支持部21A、21Bのみが底外壁40Eに配置されてもよいし、支持部21C、21Dのみが底外壁40Eに配置されてもよい。また、支持部21の配置及び回転部31の配置は、図2に示す配置に限らない。
【0018】
また、加熱調理器1が載置面200に設置された(筐体40が載置面200の上に位置する)状態において、支持部21A、21B、21C、21Dは、それぞれ、底外壁40Eにおいて、回転部31A、31Bより開口100側に位置する。支持部21A、21B、21C、21Dのうち、支持部21C、21Dは、支持部21A、21Bより開口100側に位置する。
【0019】
加熱調理器1が載置面200に設置されると、支持部21及び回転部31の少なくとも一方は、載置面200に接触する。支持部21が載置面200に接触した状態において、支持部21は、加熱調理器1を支持する。
【0020】
例えば、回転部31の外周部は、筐体40の後端(後外壁40B)から突出しない。したがって、例えば、載置面200の奥が壁になっている場合、壁を傷つける可能性を減らすことができる。
【0021】
また、筐体40は、加熱調理室15と、加熱部16とを有する。加熱調理室15は、筐体40に収容される箱状部材である。加熱調理室15の底壁15Dには被加熱物Sが配置される。
【0022】
加熱部16は、加熱調理室15に配置された被加熱物Sを加熱する。実施形態1において、加熱部16は、例えば、レンジ加熱機能、熱風循環加熱機能、及びグリル加熱機能を有する。レンジ加熱機能は、例えば、加熱調理室15にマイクロ波を放射することによって、被加熱物Sを加熱調理する機能である。熱風循環加熱機能は、例えば、加熱調理室15に熱風を循環させて加熱調理室15の温度の均一化を図ったり、熱風を被加熱物Sの上面に直接吹き付けたりすることによって、被加熱物Sを加熱調理する機能である。グリル加熱機能は、主として、被加熱物Sを輻射熱に曝すことによって、被加熱物Sを加熱調理する機能である。つまり、加熱部16は、例えば、マイクロ波供給部及びヒータを含む。
【0023】
例えば、加熱部16は、ユーザーが加熱調理器1に対して加熱開始の指示を入力すると、マイクロ波又は熱風の供給を開始する。その結果、被加熱物Sの加熱が開始される。
【0024】
次に、図4図6を参照して、加熱調理器1の取り付けについて説明する。図4図6は、加熱調理器1及び壁Wの上下方向の断面図である。図4図6は、加熱調理器1の取り付けを段階的に示す。図4は、本発明の実施形態1に係る加熱調理器1の取り付けの第1段階を示す図である。図5は、本発明の実施形態1に係る加熱調理器1の取り付けの第2段階を示す図である。図6は、本発明の実施形態1に係る加熱調理器1の取り付けの第3段階を示す図である。第3段階は、加熱調理器1の取り付けの完了を示す。
【0025】
図4に示すように、加熱調理器1を壁Wに取り付けるには、まず、加熱調理器1が載置面200の高さまで持ち上げられる。
【0026】
そして、加熱調理器1の後外壁40B側から開口100へ挿入され、回転部31が載置面200に接触する。回転部31が載置面200に接触した状態で、加熱調理器1が壁Wの奥の方へ向かって押されると、回転部31は、載置面200を転がり、加熱調理器1を壁Wの奥の方へ移動させる。
【0027】
図5は、加熱調理器1が壁Wの奥の方まで移動した状態(第2段階)を示す。図4及び図5に示すように、加熱調理器1を壁Wの奥の方へ移動させる際、加熱調理器1は、載置面200に対して傾けられる。具体的には、前面部12側が持ち上げられて、前面部12側が後外壁40B側より上になるように傾けられる。
【0028】
加熱調理器1を傾けることで、支持部21が載置面200に接触することを防ぐ。支持部21が載置面200に接触しないことで、加熱調理器1と載置面200との間の摩擦が小さくなり、より小さい力で加熱調理器1を移動させることができ、加熱調理器1を壁Wの内側に容易に設置できる。
【0029】
加熱調理器1が壁Wの奥の方まで移動すると、次に、前面部12側の持ち上げが止められ、加熱調理器1が載置面200に対して平行になる。加熱調理器1が載置面200に対して平行になると、支持部21は、載置面200に接触し、加熱調理器1を支持する。
【0030】
図6は、加熱調理器1を載置面200に対して平行にした状態(第3段階)を示す。図6に示すように、前面部12を壁Wに密着させるには、図5に示す状態から、加熱調理器1の上側に位置を変えずに、加熱調理器1の下側(支持部21及び回転部31を含む)を壁Wの奥の方へ移動させる必要がある。
【0031】
支持部21の載置面200との接触面21Mを曲面にして載置面200と接触面21Mとの摩擦を小さくすることで、支持部21が載置面200を滑りやすくする。その結果、加熱調理器1の上側に位置を変えずに、加熱調理器1の下側を壁Wの奥の方へ移動させやすくなる。また、接触面21Mを曲面であると、載置面200に傷がつきにくい。
【0032】
加熱調理器1が載置面200に対して平行になり、支持部21が載置面200に接触すると、回転部31は、載置面200に非接触の状態となる。
【0033】
支持部21が載置面200に接触して加熱調理器1を支持し、回転部31が載置面200に非接触であることで、加熱調理器1と載置面200との間の摩擦が大きくなり、加熱調理器1の移動により大きい力を要するため、加熱調理器1の移動が困難になる。
【0034】
また、図4図6に示すように、加熱調理器1が傾いた状態で、加熱調理器1が壁Wの奥の方まで移動すると、前面部12が開口100の上部の壁Wに接触し、前面部12に傷がついたり、前面部12が破損する恐れがある。
【0035】
前面部12の傷又は破損を防ぐため、加熱調理器1は、保護部51を備える。保護部51は、筐体40を保護する。保護部51は、開口100の上部の壁Wと対向する位置に設けられる。保護部51は、例えば、前面部12に取り付けられた緩衝材である。緩衝材は、例えば、樹脂等の柔らかい材質の部材である。
【0036】
また、保護部51は、例えば、周囲と異なる素材で構成された前面部12の一部である。
【0037】
また、保護部51は、所定の形状の前面部12の一部であってもよい。具体的には、前面部12の壁Wと対向する面の上端の角が面取り加工されていてもよい。
【0038】
以上、図1図6を参照して説明したように、支持部21が回転部31より開口100側に位置することで、より摩擦が小さい回転部31が支持部21より先に載置面200に接触して載置面200を転がる。したがって、より小さい力で加熱調理器1を移動させることができ、加熱調理器1を壁Wの内側に容易に設置できる。
【0039】
続いて、図7及び図8を参照して、本発明の実施形態2に係る加熱調理器2について説明する。実施形態2は、回転部31を備えない点が実施形態1と異なる。以下、実施形態2について実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と重複する事項の説明は割愛する。
【0040】
図7及び図8を参照して、本発明の実施形態2に係る加熱調理器2と、加熱調理器2の取り付けについて説明する。図7は、本発明の実施形態2に係る加熱調理器2の取り付けの第1段階を示す図である。図8は、本発明の実施形態2に係る加熱調理器2の取り付けの完了を示す図である。図7及び図8は、加熱調理器2及び壁Wの上下方向の断面図である。
【0041】
加熱調理器2は、筐体40と、支持部21と、保護部51とを備える。筐体40は、上外壁40Aと、後外壁40Bと、右外壁40Cと、左外壁40Dと、及び底外壁40Eと、前面部12とを有する。
【0042】
図7に示すように、加熱調理器2を壁Wに取り付けるには、まず、加熱調理器2が載置面200の高さまで持ち上げられる。
【0043】
そして、加熱調理器2の後外壁40B側から開口100へ挿入され、後外壁40B側の支持部21の接触面21Mが載置面200の上に位置するまで、加熱調理器2が壁Wの奥の方へ移動させられる。
【0044】
そして、接触面21Mと、底外壁40Eと後外壁40Bとで構成される接触面40Mとが載置面200に接触する。
【0045】
接触面40Mが上外壁40Aと後外壁40Bとで構成される角よりも曲率半径が大きい曲面を構成することで、載置面200と接触面40Mとの摩擦が小さくなり、筐体40が載置面200を滑りやすくする。その結果、より小さい力で加熱調理器1を移動させることができる。
【0046】
以上、図面(図1図8)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0047】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、加熱調理器の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1、2 :加熱調理器
12 :前面部
21、21A、21B :支持部
21M、40M :接触面
31、31A、31B :回転部
40 :筐体
40A :上外壁
40B :後外壁
40E :底外壁
51 :保護部
100 :開口
200 :載置面
W :壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8