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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190972
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】荷物保持装置及び無人荷物搬送機
(51)【国際特許分類】
   B64D 1/22 20060101AFI20221220BHJP
   B25J 15/10 20060101ALI20221220BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B64D1/22
B25J15/10
B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099533
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清上 博章
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707DS01
3C707ES05
3C707ET03
3C707EV02
3C707EW01
(57)【要約】
【課題】様々なサイズの荷物を保持可能な荷物保持装置無人荷物搬送機を提供する。
【解決手段】荷物保持装置10のアクチュエータ20が駆動されリンク機構18が変位されることにより、リンク機構18に連結されプレート14の4隅に配置された脚部16A~16Dがプレート14の中心側に変位される。これにより、各脚部16A~16Dにそれぞれ設けられた2つの上下方向部36A~36D、50A~50Dの内側面37A~37D、51A~51Dのうち、いずれか一方が荷物の側面に当接し、様々なサイズの荷物Bを挟持して保持することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に小型無人航空機が取り付けられる基台と、
前記基台の4隅にそれぞれ配置され、平面視で直方体形状の荷物の隣接する2側面に対してそれぞれ当接可能な2つの当接面をそれぞれ有する4つの脚部と、
前記基台の下側に取り付けられ、平面視で前記2つの当接面と交差する方向に変位自在に各前記脚部を支持する支持機構と、
前記脚部を平面視で前記基台の中心側に接近又は離間させる駆動機構と、
を備える荷物保持装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記基台に対して変位自在に当該基台に取り付けられ、4つの端部が4つの前記脚部の各々と接続されたリンク機構と、
前記リンク機構を前記基台に対して変位させることにより、前記リンク機構の端部に接続された4つの前記脚部を平面視で前記基台の中心側に接近又は離間させる駆動源と、
を備える請求項1記載の荷物保持装置。
【請求項3】
各前記脚部の各当接面の下端には、前記下端から内側に向かって延在し、前記荷物を下方から支持する支持部が形成されている請求項1又は2記載の荷物保持装置。
【請求項4】
前記脚部には、内側に付勢されており外側に変位自在な複数の上下ストッパが、初期位置において平面視で前記当接面から前記内側に突出し、上下方向の異なる位置に配置されている請求項3記載の荷物保持装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の荷物保持装置と、
前記基台上に取り付けられた小型無人航空機と、
を備える無人荷物搬送機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物保持装置及び無人荷物搬送機に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の無人航空機の下部にコンテナ等を保持させ、コンテナ内部に入れられた荷物を搬送する搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/194533号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記搬送装置は、小型の無人航空機の下部に保持されるコンテナのサイズが一定であり、変更することができない。また、コンテナに荷物を搭載するのに人手を要する。
【0005】
そこで、小型の無人航空機の下部に様々なサイズの荷物を(コンテナを介さずに)直接保持可能な保持装置を取り付けることが考えられる。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、様々なサイズの荷物を保持可能な荷物保持装置及び無人荷物搬送機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の荷物保持装置は、上部に小型無人航空機が取り付けられる基台と、前記基台の4隅にそれぞれ配置され、平面視で直方体形状の荷物の隣接する2側面に対してそれぞれ当接可能な2つの当接面をそれぞれ有する4つの脚部と、前記基台の下側に取り付けられ、平面視で前記2つの当接面と交差する方向に変位自在に各前記脚部を支持する支持機構と、前記脚部を平面視で前記基台の中心側に接近又は離間させる駆動機構と、を備える。
【0008】
先ず、荷物保持装置が取り付けられた小型無人航空機が着地することにより、荷物保持装置の基台の下方に直方体形状の荷物が配置される。この際、平面視で荷物の中心と基台の中心が一致されると共に、荷物の側面と脚部の当接面が平行になるように小型無人航空機が着地する。
【0009】
また、支持機構によって基台に支持された4つの脚部は、初期位置で基台の中心に対して最も離間した位置とされている。
【0010】
次に、荷物保持装置の駆動機構が駆動され、基台の下側に取り付けられた支持機構に支持された脚部が基台の4隅から基台の中心側に変位される。
【0011】
これにより、荷物保持装置では、各脚部に設けられた2つの当接面のうち、いずれか一方が荷物の側面に当接し、四隅に設けられた各脚部の少なくとも一方の当接面で荷物の側面が挟持され、荷物を保持することができる。
【0012】
このように、荷物保持装置で荷物が保持されると、基台の上部に取り付けられた小型無人航空機が飛行することで、荷物が搬送されることになる。
【0013】
すなわち、荷物保持装置の基台の4隅に設けられた脚部を平面視で板状の基台の中心側に向かって変位させることで、各脚部に設けられた2つの当接面のうち、少なくとも一方の当接面が荷物の側面に当接し、荷物を挟持することができる。したがって、荷物保持装置は、異なるサイズの荷物を保持することが可能である。
【0014】
請求項2記載の荷物保持装置では、請求項1記載の荷物保持装置において、前記駆動機構は、前記基台に対して変位自在に当該基台に取り付けられ、4つの端部が4つの前記脚部の各々と接続されたリンク機構と、前記リンク機構を前記基台に対して変位させることにより、前記リンク機構の端部に接続された4つの前記脚部を平面視で前記基台の中心側に接近又は離間させる駆動源と、を備える。
【0015】
この荷物保持装置では、一つの駆動源を駆動させるだけで、基台に対して変位自在に取り付けられたリンク機構を変位させる。
【0016】
この結果、リンク機構の4つの端部にそれぞれ接続された4つの脚部を平面視で基台の中心側に変位させ、各脚部の少なくとも一方の当接面を荷物の側面に当接させ、荷物を挟持して保持することができる。すなわち、一つの駆動源を駆動させるだけで、様々なサイズの荷物を保持することができる。
【0017】
請求項3記載の荷物保持装置では、請求項1又は2記載の荷物保持装置において、各前記脚部の各当接面の下端には、前記下端から内側に向かって延在し、前記荷物を下方から支持する支持部が形成されている。
【0018】
各脚部の当接面の下端には、平面視で当接面から内側に向かって延在する支持部が形成されている。したがって、駆動機構によって各脚部が基台の中心側に接近する方向に変位して脚部の一方の当接面が荷物の側面に当接する際、少なくとも当該当接面の下端に形成された支持部が荷物の底面の下方に入り込み、荷物を下方から支持する。
【0019】
このように、各脚部の当接面が荷物の側面に当接して荷物を挟持する際、荷物(の端部)の底面を下方から支持部が支持するため、荷物の保持に要する駆動力を低減することができる
【0020】
なお、「内側」とは、各当接面に直交する方向で基台側のことである。
【0021】
請求項4記載の荷物保持装置は、請求項3記載の荷物保持装置において、前記脚部には、内側に付勢されており外側に変位自在な複数の上下ストッパが、初期位置において平面視で前記当接面から前記内側に突出し、上下方向の異なる位置に配置されている。
【0022】
この荷物保持装置では、基台の4隅に設けられた各脚部の2つの当接面のうち、一方が荷物の側面に当接する際、当接面から内側に突出して配置されている脚部に設けられた複数の上下ストッパのうち、荷物の側面が当接する上下ストッパのみ付勢力に抗して外側に変位(退避)する。すなわち、上下ストッパが干渉して脚部の当接面の荷物の側面に対する当接を妨げることはない。
【0023】
一方、荷物の高さよりも高い位置に位置する上下ストッパは、荷物の側面に押圧されることはないため、初期位置(当接面から内側に突出した位置)を維持する。すなわち、支持部に底面が支持された荷物の上面上に当接面から内側に突出した上下ストッパが位置するため、この上下ストッパと支持部によって荷物の上下方向のガタ付きが防止又は抑制される。この結果、荷物保持装置で荷物を搬送する際、小型無人航空機の加減速による上下方向の荷物のガタ付き、すなわち荷物の重心移動が防止又は抑制され、小型無人航空機の安定した飛行制御が可能となる。
【0024】
なお、「外側」とは、内側と反対側のことである。
【0025】
請求項5記載の無人荷物搬送機は、請求項1~4のいずれか一項に記載の荷物保持装置と、前記基台上に取り付けられた小型無人航空機と、を備える。
【0026】
この無人荷物搬送機は、請求項1~4のいずれか一項記載の荷物保持装置を有するため、駆動機構を駆動させるだけで、様々なサイズの荷物(の側面)を各脚部の当接面で挟持して保持し、搬送することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明に係る荷物保持装置によれば、様々なサイズの荷物を保持することができる。また、本発明に係る無人荷物搬送機によれば、様々なサイズの荷物を保持して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態に係る無人荷物搬送機の概略構成を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係る荷物保持装置の概略構成を示す斜視図である。
図3】(A)は一実施形態に係る荷物保持装置の脚部を示す分解斜視図であり、(B)は脚部を示す斜視図である。
図4】一実施形態に係る荷物保持装置のリンク機構と脚部の位置関係を示す底面図であり、脚部の開状態を示す図である。
図5】一実施形態に係る荷物保持装置のリンク機構と脚部の位置関係を示す底面図であり、脚部の閉状態を示す図である。
図6】(A)は脚部の脚における上下ストッパの初期状態を示す縦断面図であり、(B)は脚部の一方の脚の上下方向部の内側面に荷物の短手方向側面が当接した状態を示す縦断面図であり、(C)は脚部の他方の脚の上下ストッパに荷物の長手方向側面が当接した状態を示す縦断面図である。
図7】荷物と脚部との位置関係を説明する下面図であり、(A)は脚部の開状態、(B)は脚部の荷物保持状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[一実施形態]
一実施形態に係る荷物保持装置及び無人荷物搬送機について、図1図7を参照して説明する。なお、図1図2では、後述する脚部16B~16Dの脚30B~30D、32B~32Dにおける上下ストッパ46B~46D、60B~60Dを図示省略している。
【0030】
(構成)
荷物保持装置10は、図1に示すように、小型無人航空機12(下部のみ簡略化して図示)の下方に取り付けられ、全体として無人荷物搬送機100として利用されるものである。
【0031】
荷物保持装置10は、図2に示すように、板状のプレート14と、4本の脚部16A~16Dと、リンク機構18(図4図5参照)と、アクチュエータ20と、4本のリニアガイド22A~22Dと、を有する。
【0032】
プレート14が「基台」に相当し、リニアガイド22A~22Dが「支持機構」に相当する。また、リンク機構18とアクチュエータ20とが「駆動機構」に相当する。さらに、アクチュエータ20が「駆動源」に相当する。
【0033】
板状のプレート14は、矩形の各辺が内側に湾曲した略矩形状であり、その4隅にそれぞれ脚部16A~16Dが取り付けられている。すなわち、脚部16A~16Dは、平面視で長方形を構成するように配置されている(図7(A)参照)。
【0034】
脚部16A~16Dは、同様の構成であるため、脚部16Aのみ説明し、脚部16B~16Dの説明は省略する。また、脚部16B~16Dで、脚部16Aと同様の構成要素には脚部16Aの構成要素と同一の参照番号に参照符号B~Dを付して、その詳細な説明を省略する。
【0035】
脚部16Aは、図3(A)、図3(B)に示すように、2本の脚30A、32Aと、連結部材34Aとから構成されている。
【0036】
脚30Aは、上下方向に延在する板状の上下方向部36Aと、上下方向部36Aの上端から内側に延在する板状の上水平部38Aと、上下方向部36Aの下端から内側に延在する板状の下水平部40Aと、を有する。
【0037】
上下方向部36Aにおいて、プレート14側の面を内側面37Aという。この内側面37Aが「当接面」に相当する。
【0038】
なお、本実施形態において「内側」とは、脚30Aであれば内側面37Aに直交する方向でプレート14側、脚32Aであれば後述する内側面51Aに直交する方向でプレート14側を意味する。
【0039】
また、下水平部40Aの内側先端部分は、内側に向かって下方向に傾斜したガイド部42Aとされている。
【0040】
さらに、脚30Aの上下方向部36Aには、図3(A)、図3(B)に示すように、上下方向に延在する長孔44Aが形成されており、この長孔44Aに後述する上下ストッパ46Aが複数(本実施形態では6個)配設されている。
【0041】
図6(A)に示すように、6個の上下ストッパ46Aは、それぞれ長孔44Aの幅方向に延在する6個の回転軸48Aを中心として揺動自在であり、図示しないバネの付勢力により内側方向に付勢されており、付勢力に抗して外側に揺動可能とされている。
【0042】
また、上下ストッパ46Aは、図6(A)に示すように、回転軸48Aの軸方向から視て直角三角形状とされており、初期状態で上下方向部36Aから内側(プレート14側)に突出して配置されると共に、直角三角形の直角をなす一方の辺を構成する底面47Aが水平状態とされている。
【0043】
なお、各上下ストッパ46A、各底面47Aを区別する場合には、それぞれ上下ストッパ46A1~46A6、底面47A1~47A6という。
【0044】
脚32Aも脚30Aと同様の構成であり、図3(A)に示すように、上下方向部50A(内側面51A)と、上水平部52Aと、下水平部54A、ガイド部56A、長孔58A、複数(本実施形態では6個)の上下ストッパ60Aとを有する。
【0045】
脚30Aと脚32Aは、図3(B)に示すように、それぞれの上下方向部36A、50Aが平面視で90度ずらして配置され、各上水平部38A、52A同士が四分の一円形状(扇形)の連結部材34Aで連結されている。
【0046】
さらにまた、脚部16Aの連結部材34Aの上面には係合部62Aが形成されている。この係合部62Aを介して、プレート14の下面の隅に設けられたリニアガイド22Aに脚部16Aが支持されている。
【0047】
具体的には、リニアガイド22Aは、図4に示すように、プレート14の下面において、平面視で下面の中心側から隅に向かう方向に延在するレール64Aを有し、このレール64Aに係合部62Aが変位自在に嵌合されることにより、脚部16Aはリニアガイド22Aを介してプレート14に支持されている。したがって、脚部16Aは、リニアガイド22A(レール64A)に沿ってプレート14の隅から中心に向かって進退自在とされている。
【0048】
なお、各脚部16A~16Dの脚30A~30D、32A~32Dの上下方向部36A~36D、50A~50Dの内側面37A~37D、51A~51Dが「当接面」に相当する。また、各脚部16A~16Dの脚30A~30D、32A~32Dの下水平部40A~40D、54A~54Dが「支持部」に相当する。
【0049】
リンク機構18は、図4に示すように、2本の棒状の中央リンク70A、70Bと、連結部材72と、4本の棒状のリンク82A~82Dと、を含む。
【0050】
リンク機構18では、2本の棒状の中央リンク70A、70Bがその中央において平面視で直交して交差するように連結部材72で一体化されている。また、連結部材72で一体化された中央リンク70A、70Bが、その交差位置で上下方向に延在する中心軸76を介してプレート14の下面に回転自在に支持されている。
【0051】
さらに、中央リンク70A、70Bの各両端部には、それぞれ回転自在なジョイント(上下方向に延在するピン)80A~80Dを介して4本の棒状のリンク82A~82Dの一端が接続されている。
【0052】
このリンク82A~82Dの他端が回転自在なジョイント(上下方向に延在するピン)84A~84Dを介して脚部16A~16Dに接続されている。
【0053】
アクチュエータ20は、図2に示すように、プレート14の上面に取り付けられており、プレート14に形成された孔部90を介して腕部92がプレート14の下面側に伸びており、その先端に伸縮自在なロッド94(図4参照)が設けられている。
【0054】
ロッド94の先端は、図4に示すように、リンク機構18の中央リンク70Bの途中に回転自在なジョイント(上下方向に延在するピン)96を介して取り付けられており、ロッド94が伸縮することによって、リンク機構18(中央リンク70A、70B、連結部材72)がプレート14に対して中心軸76を中心にして回転する構成である。すなわち、ロッド94が伸縮することによって、中央リンク70A、70Bとジョイント80A~80Dを介して接続されたリンク82A~82Dが変位し、リンク82A~82Dの端部がジョイント84A~84Dを介して接続された脚部16A~16Dがリニアガイド22A~22Dに沿って変位する構成である(図4図5参照)。
【0055】
図4に示すように、アクチュエータ20の駆動によってロッド94が最も短縮すると、リニアガイド22A~22D上でプレート14の中心から最も離間した位置に脚部16A~16Dが位置することになる。これを脚部16A~16Dが「開状態」であるという。 図5に示すように、アクチュエータ20の駆動によってロッド94が最も伸長すると、リニアガイド22A~22D上でプレート14の中心から最も接近した位置に脚部16A~16Dが位置することになる。これを脚部16A~16Dが「閉状態」であるという。
【0056】
なお、ロッド94は、アクチュエータ20の腕部92に対して平面視で回転可能とされており、伸縮時に中央リンク70Bに追従可能とされている。
【0057】
荷物保持装置10の上部に配置される小型無人航空機12は、図1に示すように、ロータ部分等を含む本体部102(箱体のみを図示)と、本体部102の両側部から斜め下方に延在する一対の脚部104A、104Bとを有する。
【0058】
本体部102は、プレート14上に立設された棒状の4本の支持体106(図2参照)上に固定される。すなわち、荷物保持装置10上に小型無人航空機12が配置されてもプレート14の上面側に配置されたアクチュエータ20と干渉することが支持体106で防止されている。
【0059】
また、脚部104A、104Bは、それぞれ本体部102の両側面から斜め外側下方に延在する支持部108A、108Bと、支持部108A、108Bの下端に設けられ水平方向に延在する着地部110A、110Bと、を有する。
【0060】
なお、小型無人航空機12と荷物保持装置10が一体化された状態で、脚部104の下端である着地部110A、110Bが最下端となり、荷物保持装置10の脚部16A~16Dの下端は、着地部110A、110Bよりも高い位置とされている。
【0061】
(作用)
無人荷物搬送機100による荷物の搬送(荷物保持装置10による荷物の保持)について説明する。
【0062】
先ず、無人荷物搬送機100を荷物搭載位置に所定の姿勢で着地させる。ここで、「所定の姿勢で着地」とは、搭載される直方体形状である荷物の平面視長方形の中心位置と、無人荷物搬送機100(荷物保持装置10)のプレート14の中心を一致させると共に、荷物の側面と荷物保持装置10の脚部16A~16Dの上下方向部36A~36D、50A~50Dの内側面37A~37D、51A~51Dとが平行となるように着地させることをいう。
【0063】
続いて、図示しないリフタによって荷物が無人荷物搬送機100の荷物保持装置10(プレート14)の下方から脚部16A~16Dの間に上昇する(図7(A)参照)。この時、荷物Bの底面B3の高さが、脚部16A~16Dの下水平部40A~40D、54A~54Dの下面と同等の高さとされる。
【0064】
図7(A)に示すように、荷物保持装置10の各脚部16A~16Dの脚30A~30D、32A~32Dの下水平部40A~40D、54A~54Dよりも内側に荷物Bが配置される。
【0065】
この際、図4に示すように、リンク機構18は開状態とされており、各脚部16A~16Dはリニアガイド22A~22D上において平面視で最もプレート14の中心から離間した位置とされている。
【0066】
この状態(図4参照)で、アクチュエータ20が駆動されてロッド94が伸長されると、図5に示すように、プレート14の下面側でリンク機構18の中央リンク70A、70Bが図5の状態から図上時計回りに回転される。これにより、中央リンク70A、70Bにジョイント80A~80Dを介して接続されたリンク82A~82Dが変位される。
【0067】
したがって、リンク82A~82Dの端部に接続された脚部16A~16Dは、図5に示すように、リニアガイド22A~22Dに沿ってプレート14の中心側に変位する。
【0068】
このように、脚部16A~16Dがプレート14の中心側に変位することにより、荷物Bの長手方向側面B1と短手方向側面B2とのいずれか一方に、各脚部16A~16Dの脚30A~30D、32A~32Dのいずれか一方の上下方向部36A~36D、50A~50Dの内側面37A~37D、51A~51Dが当接される。
【0069】
その際、脚30A~30D、32A~32Dの少なくとも一方の下水平部40A~40D、54A~54Dは、下方向に傾斜したガイド部42A~42D、56A~56D(図3(A)、(B)参照)の案内によって荷物Bの底面B3の下に潜りこむ。すなわち、下水平部40A~40D、54A~54Dの少なくとも一方で荷物Bを支持する。
【0070】
本実施形態では、図7(B)に示すように、荷物Bの短手方向側面B2に、各脚部16A~16Dの脚30A~30Dの上下方向部36A~36Dの内側面37A~37Dが当接される場合について説明する。
【0071】
図7(B)に示すように、脚部16A~16Dの各脚30A~30Dの下水平部40A~40Dが、ガイド部42A~42Dの案内によって荷物Bの底面B3の下方に潜りこむと共に、上下方向部36A~36Dの内側面37A~37Dが当接される。
【0072】
この際、図6(B)に示すように、脚30Aの上下方向部36Aの長孔44Aに設けられている複数の上下ストッパ46A1~46A6のうち、荷物Bの短手方向側面B2に押圧された上下ストッパ46A3~46A6は、内側への付勢力に抗して外側に押圧される。したがって、荷物Bの短手方向側面B2が脚30Aの上下方向部36Aの内側面37Aに当接することを上下ストッパ46Aが阻害することはない。
【0073】
一方、図6(C)に示すように、脚部16Aの脚32Aも、下水平部54Aがガイド部56A
の案内によって荷物Bの底面B3の下方に潜り込み、荷物Bを下方から支持する。ただし、脚部16Aの移動は、短手方向側面B2に脚30Aの上下方向部36Aの内側面37Aが当接することで規制されているため、脚32Aの上下方向部50Aの内側面51Aに荷物Bの長手方向側面B1が当接することはない(図7(B)参照)。
【0074】
この場合であっても、図6(C)に示すように、荷物Bの長手方向側面B1が脚32Aの長孔58Aに配設された上下ストッパ60A1~60A6のうち、荷物Bの長手方向側面B1に押圧された上下ストッパ60A3~60A6は、内側への付勢力に抗して外側に変位する。
【0075】
換言すると、上下ストッパ60A3~60A6によって荷物Bの長手方向側面B1が押圧されることになる。
【0076】
他の脚部16B~16Dも、脚部16Aと同様である。
【0077】
このように、アクチュエータ20を駆動することにより、平面視矩形状の荷物Bの短手方向側面B2が各脚部16A~16Dの脚30A~30Dの上下方向部36A~36D(内側面37A~37D)で挟持されると共に、長手方向側面B1が脚32A~32Dの上下ストッパ60A~60Dで挟持される。
【0078】
したがって、直方体形状の荷物Bの平面視形状(短手方向長さと長手方向長さ)が様々異なっていても、確実に保持することができる。
【0079】
また、荷物Bの底面B3を各脚部16A~16Dの脚30A~30D、32A~32Dの下水平部40A~40D、54A~54Dで支持しているため、荷物Bの質量荷重を支持するためのアクチュエータ20の駆動力を低減できる。すなわち、荷物Bを保持するためのアクチュエータ20の電力消費を抑制することができる。したがって、小型無人航空機12に荷物保持装置10を取り付けて無人荷物搬送機100として運用する際、小型無人航空機12の航続距離や運用時間をほとんど短縮することなく運用することができる。
【0080】
さらに、荷物Bは、底面B3が脚部16A~16Dの下水平部40A~40D、54A~54Dで支持されると共に、上面B4が短手方向側面B2又は長手方向側面B1で押圧変位されなかった最下段の上下ストッパ46A~46D(例えば、上下ストッパ46A2の底面47A2(図6(B)参照))、上下ストッパ60A~60D(例えば、上下ストッパ60A2の底面61A2(図6(C)参照))によって規制される。すなわち、荷物Bの上下方向の変位が規制されるため、無人荷物搬送機100の飛行中に小型無人航空機12の加減速による荷物Bの上下方向のガタ付きが防止又は抑制される。
【0081】
すなわち、無人荷物搬送機100の飛行中に荷物Bがガタ付き、荷物Bの重心位置が変動することが抑制され、無人荷物搬送機100(小型無人航空機12)の安定した飛行制御を行うことができる。
【0082】
さらに、荷物保持装置10の脚部16A~16Dの下水平部40A~40D、54A~54Dの内側先端にそれぞれ内側に向かって下方に傾斜したガイド部42A~42D、56A~56Dが形成されているため、下水平部40A~40D、54A~54Dが荷物Bの底面B3の下方に容易に潜り込むことができる。
【0083】
(その他)
なお、本実施形態で説明した荷物保持装置10では、一つのアクチュエータ20の駆動によってリンク機構18を介して各脚部16A~16Dをプレート14の四隅から中心に向かう方向に沿って進退自在としたが、各脚部16A~16Dを四つのリニアアクチュエータ等で個別に変位可能に構成しても良い。
【0084】
また、荷物保持装置10の各脚部16A~16Dは、平面視でプレート14の四隅から中心に向かって変位自在の構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、平面視において、各脚部16A~16Dの上下方向部36A~36D、50A~50Dの内側面37A~37D、51A~51Dの双方と交差する方向(荷物Bの長手方向側面B1、短手方向側面B2と交差する方向)においてプレート14の中心側に接近又は離間する方向に4つの脚部16A~16Dが変位可能であれば良い。このように構成すれば、平面視の矩形形状が異なる荷物を脚部16A~16Dの脚30A~30Dと脚32A~32Dで保持可能である。
【0085】
さらに、荷物保持装置10の各脚部16A~16Dの脚30A~30Dに設けられた上下ストッパ46A~46D、60A~60Dは、それぞれ回転軸48A~48D、62A~62Dを中心として回転(揺動)可能に構成されたが、上下ストッパ46A~46D、60A~60Dは内側に付勢されており、外側に変位可能であれば、特に構成を限定するものではない。
【0086】
また、本実施形態の荷物保持装置10では、脚部16A~16Dの各脚30A~30D、32A~32Dにそれぞれ下水平部40A~40D、54A~54Dを設けて、荷物Bの底面B3を支持する構成としたが必須ではない。
【0087】
さらに、本実施形態の荷物保持装置10では、脚部16A~16Dの各脚30A~30D、32A~32Dにそれぞれ上下ストッパ46A~46D、60A~60Dを設けて、荷物Bの側面(長手方向側面B1、短手方向側面B2)を支持する構成としたが必須ではない。
【0088】
荷物保持装置は、脚30A~30D、32A~32Dの少なくとも一方の上下方向部36A~36D、50A~50Dの内側面37A~37D、51A~51Dで荷物Bを挟持して保持可能であれば良い。
【0089】
以上、実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
10 荷物保持装置
12 小型無人航空機
14 プレート(基台)
16A~16D 脚部
18 リンク機構(駆動機構)
20 アクチュエータ(駆動機構、駆動源)
22A~22D リニアガイド(支持機構)
37A~37D 内側面(当接面)
40A~40D 下水平部(支持部)
46A~46D 上下ストッパ
51A~51D 内側面(当接面)
54A~54D 下水平部(支持部)
60A~60D 上下ストッパ
100 無人荷物搬送機
B 荷物
B1 長手方向側面(側面)
B2 短手方向側面(側面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7