(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190975
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】入隅部外壁取付金具、入隅部の外壁構造、及び、入隅部のリフォーム方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20221220BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20221220BHJP
E04F 19/06 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
E04F13/08 101Q
E04G23/02 C
E04F13/08 101C
E04F19/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099541
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110664
【氏名又は名称】ナンカイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】中松 保二
(72)【発明者】
【氏名】大井 健次
【テーマコード(参考)】
2E110
2E176
【Fターム(参考)】
2E110AA42
2E110AB04
2E110AB15
2E110AB22
2E110AB28
2E110BA02
2E110BA12
2E110CA09
2E110CC04
2E110CC17
2E110CC22
2E110DA09
2E110DB04
2E110DC06
2E110DC12
2E176AA05
2E176AA09
2E176BB24
2E176BB36
(57)【要約】
【課題】 入隅部の外壁を交換する際に、年代によって異なる複数の仕様に対応可能であり、リフォームの施工性を向上させることができる入隅部外壁取付金具、当該入隅部外壁取付金具を用いた入隅部の外壁構造、及び入隅部のリフォーム方法を提供する。
【解決手段】入隅部外壁取付金具1は、一方の外壁パネル4aと、一方の外壁パネル4aに直角な他方の外壁パネル4c又は窓サッシ5と、が突き合わされる入隅部の入隅部外壁取付金具1であって、柱体3に一端部12が固定され、他端部15が入隅部の目地の奥に配置される取付ブラケット10と、取付ブラケット10の他端部15に一方の外壁パネル4aに向かって回転可能に取り付けられ、一方の外壁パネル4aの第一枠部40を屋内方向に押さえる第一押え片22と、第一押え片22と逆方向に回転可能に取り付けられた第二押え片23と、を有する押え金具20と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側端部に第一枠部を有する一方の外壁パネルと、前記一方の外壁パネルに対して直角に配置される他方の外壁パネル又は窓サッシと、が突き合わされて形成される入隅部に設けられる入隅部外壁取付金具であって、
前記入隅部の壁内に形成される柱体に、一端部が固定されるとともに、他端部が前記入隅部に形成される目地の奥に配置される取付ブラケットと、
前記取付ブラケットの他端部に前記一方の外壁パネルに向かって回転可能に取り付けられ、前記第一枠部を屋内方向に押さえる第一押え片と、前記取付ブラケットの他端部に前記第一押え片と逆方向に回転可能に取り付けられた第二押え片と、を有する押え金具と、を備えることを特徴とする入隅部外壁取付金具。
【請求項2】
側端部に第一枠部を有する一方の外壁パネルと、前記一方の外壁パネルに対して直角に配置される他方の外壁パネル又は窓サッシと、が突き合わせられる入隅部の外壁構造であって、
前記入隅部の壁内に形成される柱体と、
一端部が前記柱体に固定されるとともに、他端部が前記入隅部に形成される目地の奥に配置される取付ブラケットと、
前記取付ブラケットの他端部に前記一方の外壁パネルに向かって回転可能に取り付けられ、前記第一枠部を屋内方向に押さえる第一押え片と、前記取付ブラケットの他端部に前記第一押え片と逆方向に回転可能に取り付けられた第二押え片と、を有する押え金具と、
を備えることを特徴とする入隅部の外壁構造。
【請求項3】
前記柱体は、前記一方の外壁パネルに向かって開口するように配置されたリップ溝形鋼であり、
前記柱体の内部に挿入され、当該柱体のリップの間に架設される平板状の裏板と、
前記柱体の外側で、当該柱体のリップの間に保持されるスペーサと、をさらに備え、
前記取付ブラケットは、前記一端部が前記スペーサを挟んで前記裏板の反対側に配置され、
前記一端部に形成される挿入孔に挿入されるとともに、前記裏板に形成されるネジ穴に螺着する固定ボルトにより、前記リップ及び前記スペーサを前記裏板及び前記一端部で挟着して、前記取付ブラケットが固定されることを特徴とする請求項2に記載の入隅部の外壁構造。
【請求項4】
前記挿入孔は水平方向に長い長孔であることを特徴とする請求項3に記載の入隅部の外壁構造。
【請求項5】
前記一方の外壁パネルと、前記他方の外壁パネルと、が突き合わせられる入隅部の外壁構造であって、
前記他方の外壁パネルは、側端部に第二枠部を有し、
前記第二押え片は、前記第二枠部を屋内方向に押さえることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の入隅部の外壁構造。
【請求項6】
前記一方の外壁パネルと、前記窓サッシと、が突き合わせられる入隅部の外壁構造であり、
前記一方の外壁パネルの端部に形成され、前記入隅部の目地の側面となる外壁パネル側面部と、
前記窓サッシの端部に固定され、前記外壁パネル側面部に接近して、前記入隅部の目地幅を調整するサッシ入隅カバーと、
前記外壁パネル側面部と前記サッシ入隅カバーとの間に充填される目地材と、
を備えることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の入隅部の外壁構造。
【請求項7】
請求項5に記載の入隅部の外壁構造を施工する入隅部のリフォーム方法であって、
前記入隅部を形成する一方の既設外壁パネルを取り外す工程と、
前記入隅部を形成する他方の既設外壁パネルを取り外す工程と、
前記柱体に前記取付ブラケットの前記一端部を固定する工程と、
前記取付ブラケットの前記他端部に前記押え金具を固定する工程と、
一方の新設外壁パネルを、前記一方の既設外壁パネルを取り外した位置に配置する工程と、
他方の新設外壁パネルを、前記他方の既設外壁パネルを取り外した位置に配置する工程と、
前記入隅部に形成される前記目地を介して工具を挿入し、前記押え金具の前記第一押え片を前記一方の新設外壁パネルの前記第一枠部の屋外側に当接するように操作するとともに、前記第二押え片を前記他方の新設外壁パネルの前記第二枠部の屋外側に当接するように操作する工程と、
前記一方の新設外壁パネルの側面部と前記他方の新設外壁パネルの側面部との間に目地材を充填する工程と、を備えることを特徴とする入隅部のリフォーム方法。
【請求項8】
請求項6に記載の入隅部の外壁構造を施工する入隅部のリフォーム方法であって、
前記入隅部を形成する一方の既設外壁パネルを取り外す工程と、
前記窓サッシの端部にサッシ入隅カバーを固定する工程と、
前記柱体に前記取付ブラケットの前記一端部を固定する工程と、
前記取付ブラケットの前記他端部に前記押え金具を固定する工程と、
一方の新設外壁パネルを、前記一方の既設外壁パネルを取り外した位置に配置する工程と、
前記入隅部に形成される前記目地を介して工具を挿入し、前記押え金具の前記第一押え片を前記新設外壁パネルの前記第一枠部の屋外側に当接するように操作する工程と、
前記一方の新設外壁パネルの側面部と前記サッシ入隅カバーとの間に目地材を充填する工程と、を備えることを特徴とする入隅部のリフォーム方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁の入隅部に配置され外壁を取り付ける入隅部外壁取付金具、当該入隅部外壁取付金具を用いた入隅部の外壁構造、及び入隅部の外壁パネルを交換する入隅部のリフォーム方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入隅部を固定する外壁パネル固定構造が種々提案されている。例えば、特許文献1には、入隅部の外壁パネルを固定する外壁パネル固定構造として、入隅部に設けられている2つの外壁パネルのそれぞれの屋外側及び屋内側を挟んで保持する入隅用保持部材が開示されている。また、特許文献2には、断面略ハ字形に延設して形成された連結金具が開示されており、入隅部を形成する2つの外壁パネルの側端面にスペーサを介して連結金具の両傾斜片を結合させて入隅部を形成する点が開示されている。また、各外壁パネルの側端面と連結金具の傾斜片の外面とバックアップ材とで囲まれる空間にコーキング材を充填する構成が開示されている。
【0003】
そして、特許文献3には、一端が柱体に固定されており、他端が目地奥に配置される支持部材と、支持部材の他端に回転可能に配置される押え板とを有しており、押え板が外壁パネルに形成された板片を押さえることにより外壁パネルを固定する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-121881号公報
【特許文献2】実公平7-18810号公報
【特許文献3】特許第6389549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建物が建てられた年代によって外壁パネルの仕様、外壁パネルを固定する柱体の仕様、外壁パネルに隣接する窓サッシの仕様等が異なるため、例えば外壁パネルの交換リフォームにおいて、各異なる仕様ごとに、外壁パネルを取り付けるための部材を用意する必要があり、部材数の増大を招き、部材の在庫管理の効率が悪かった。また、年代ごとに異なる施工手順となるので、リフォームの施工性が低くなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、入隅部に設けられる外壁を交換する際に、年代によって異なる複数の仕様に対応可能であり、リフォームの施工性を向上させることができる入隅部外壁取付金具、当該入隅部外壁取付金具を用いた入隅部の外壁構造、及び入隅部のリフォーム方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の入隅部外壁取付金具は、側端部に板状の第一枠部を有する一方の外壁パネルと、前記一方の外壁パネルに対して直角に配置される他方の外壁パネル又は窓サッシと、が突き合わされて形成される入隅部に設けられる入隅部外壁取付金具であって、前記入隅部の壁内に形成される柱体に、一端部が固定されるとともに、他端部が前記入隅部に形成される目地の奥に配置される取付ブラケットと、前記取付ブラケットの他端部に前記一方の外壁パネルに向かって回転可能に取り付けられ、前記第一枠部を屋内方向に押さえる第一押え片と、前記取付ブラケットの他端部に前記第一押え片と逆方向に回転可能に取り付けられた第二押え片と、を有する押え金具と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の入隅部の外壁構造は、側端部に第一枠部を有する一方の外壁パネルと、前記一方の外壁パネルに対して直角に配置される他方の外壁パネル又は窓サッシと、が突き合わせられる入隅部の外壁構造であって、前記入隅部の壁内に形成される柱体と、一端部が前記柱体に固定されるとともに、他端部が前記入隅部に形成される目地の奥に配置される取付ブラケットと、前記取付ブラケットの他端部に前記一方の外壁パネルに向かって回転可能に取り付けられ、前記第一枠部を屋内方向に押さえる第一押え片と、前記取付ブラケットの他端部に前記第一押え片と逆方向に回転可能に取り付けられた第二押え片と、を有する押え金具と、を備えることを特徴としている。
【0009】
本発明の入隅部の外壁構造は、前記柱体は、前記一方の外壁パネルに向かって開口するように配置されたリップ溝形鋼であり、前記柱体の内部に挿入され、当該柱体のリップの間に架設される平板状の裏板と、前記柱体の外側で、当該柱体のリップの間に保持されるスペーサと、をさらに備え、前記取付ブラケットは、前記一端部が前記スペーサを挟んで前記裏板の反対側に配置され、前記一端部に形成される挿入孔に挿入されるとともに、前記裏板に形成されるネジ穴に螺着するボルトにより、前記リップ及び前記スペーサを前記裏板及び前記一端部で挟着して、前記取付ブラケットが固定されることを特徴としている。
【0010】
本発明の入隅部の外壁構造は、前記挿入孔は水平方向に長い長孔であることを特徴としている。
【0011】
本発明の入隅部の外壁構造は、前記一方の外壁パネルと、前記他方の外壁パネルと、が突き合わせられる入隅部の外壁構造であって、前記他方の外壁パネルは、側端部に板状の第二枠部を有し、前記第二押さえ片は、前記第二枠部を屋内方向に押さえることを特徴としている。
【0012】
本発明の入隅部の外壁構造は、前記一方の外壁パネルと、前記窓サッシと、が突き合わせられる入隅部の外壁構造であり、前記一方の外壁パネルの端部に形成され、前記入隅部の目地の側面となる外壁パネル側面部と、前記窓サッシの端部に固定され、前記外壁パネル側面部に接近して、前記入隅部の目地幅を調整するサッシ入隅カバーと、前記外壁パネル側面部と前記サッシ入隅カバーとの間に充填される目地材と、を備えることを特徴としている。
【0013】
本発明の入隅部のリフォーム方法は、前記入隅部を形成する一方の既設外壁パネルを取り外す工程と、前記入隅部を形成する他方の既設外壁パネルを取り外す工程と、前記柱体に前記取付ブラケットの前記一端部を固定する工程と、前記取付ブラケットの前記他端部に前記押え金具を固定する工程と、一方の新設外壁パネルを、前記一方の既設外壁パネルを取り外した位置に配置する工程と、他方の新設外壁パネルを、前記他方の既設外壁パネルを取り外した位置に配置する工程と、前記入隅部に形成される前記目地を介して工具を挿入し、前記押え金具の前記第一枠部を前記新設外壁パネルの前記第一押え片の屋外側に当接するように操作するとともに、前記第二枠部を前記第二第二押さえ片の屋外側に当接するように操作する工程と、前記一方の新設外壁パネルの側面部と前記他方の新設外壁パネルの側面部との間に目地材を充填する工程と、を備えることを特徴としている。
【0014】
本発明の入隅部のリフォーム方法は、前記入隅部を形成する一方の既設外壁パネルを取り外す工程と、前記窓サッシの端部にサッシ入隅カバーを固定する工程と、前記柱体に前記取付ブラケットの前記一端部を固定する工程と、前記取付ブラケットの前記他端部に前記押え金具を固定する工程と、一方の新設外壁パネルを、前記一方の既設外壁パネルを取り外した位置に配置する工程と、前記入隅部に形成される前記目地を介して工具を挿入し、前記押え金具の前記第一押え片を前記新設外壁パネルの前記第一枠部の屋外側に当接するように操作する工程と、前記一方の新設外壁パネルの側面部と前記サッシ入隅カバーとの間に目地材を充填する工程と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の入隅部外壁取付金具によると、取付ブラケットが、入隅部の壁内に形成される柱体に一端部が固定されるとともに、他端部が入隅部に形成される目地の奥に配置されて形成されており、押え金具が、取付ブラケットの他端部に一方の外壁パネルに向かって回転可能に取り付けられて、外壁パネルの第一枠部を屋内方向に押さえる第一押え片と、第一押え片と逆方向に回転可能に取り付けられた第二押え片と、を有して形成されているので、例えば、入隅部を構成する一方の外壁パネルを第一押え片で固定しつつ、他方の外壁パネルを第二押え片で固定することで、1つの入隅部外壁取付金具で、2つの外壁パネルを固定することができる。また、入隅部を構成する一方の外壁パネルを第一押え片で固定しつつ、他方側には既設の窓サッシや外壁パネルをそのまま残すこともできる。
【0016】
本発明の入隅部の外壁構造によると、一端部が柱体に固定される取付ブラケットの他端部が目地の奥に配置され、当該取付ブラケットの他端部に形成される押え金具が、一方の外壁パネルの第一枠部を屋内方向に押さえる第一押え片と、第一押え片と逆方向に回転可能に取り付けられた第二押え片と、を有しているので、一方の外壁パネルを第一押え片で固定しつつ、他方の外壁パネルを第二押え片で押さえて固定することもでき、既設の窓サッシをそのまま配置することができる。
【0017】
本発明の入隅部の外壁構造によると、リップ溝形鋼の柱体の内部に挿入されて、リップの間に架設される裏板と、柱体の外側でリップの間に保持されるスペーサと、をさらに備えており、取付ブラケットの一端部がスペーサを挟んで裏板の反対側に配置され、取付ブラケットの一端部に形成された挿入孔にボルトを挿入して、裏板に形成されるネジ穴に螺着させて、リップ及びスペーサを裏板及び一端部で挟着して、取付ブラケットが固定されるので、スペーサの厚さによって、取付ブラケットの位置を調整することができ、年代によって柱体の寸法が異なるなどの様々な仕様の相違に対応して、同一の押え金具を使用することができる。
【0018】
本発明の入隅部の外壁構造によると、取付ブラケットの一端に形成される挿入孔は水平方向に長い長孔であるので、取付ブラケットの位置を調整することができ、年代によって異なる様々な仕様の相違に対応して、同一の押え金具を使用することができる。
【0019】
本発明の入隅部の外壁構造によると、一方の外壁パネルに形成される第一枠部を第一押え片が屋内方向に押さえるとともに、他方の外壁パネルに形成される第二枠部を第二押え片が屋内方向に押さえることができ、1つの押え金具で2つの外壁パネルの固定ができるので、施工を容易にすることができる。
【0020】
本発明の入隅部の外壁構造によると、サッシ入隅カバーが窓サッシの端部に固定され、外壁パネル側面部に接近して入隅部の目地幅を調整するので、外壁交換リフォームなどで既設の窓サッシと新設外壁パネルとの間の目地幅が長すぎる場合にも、サッシ入隅カバーを設けることで、目地幅を短くすることができ、適切な目地の収まりとすることができる。
【0021】
本発明の入隅部のリフォーム方法によると、入隅部を形成する両方の外壁パネルを取り外し、柱体に取付ブラケットの一端部を固定した後、取付ブラケットの他端部に押え金具を固定し、一方の新設外壁パネルを、一方の既設外壁パネルを取り外した位置に配置するとともに、他方の新設外壁パネルを、他方の既設外壁パネルを取り外した位置に配置し、2つの新設外壁パネルの間の目地を介して工具を挿入し、一方の外壁パネルの第一枠部を押え金具の第一押え片の屋外側に当接するように操作するとともに、第二枠部を第二押さえ片の屋外側に当接するように操作して、一方の新設外壁パネルの側面部と他方の新設外壁パネルの側面部との間に目地材を充填するので、2つの新設外壁パネルを1つの押え金具によって固定することができ、部品点数を削減しつつ施工性を向上させることができる。
【0022】
本発明の入隅部のリフォーム方法によると、窓サッシの端部にサッシ入隅カバーを固定することで、目地幅を調整することができるので、一方の新設外壁パネルの側面部とサッシ入隅カバーとの間に目地材を充填して、適切な目地の収まりとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第一実施形態の入隅部の外壁構造の全体構成を説明する目地材を省略した断面図。
【
図2】第一実施形態の入隅部の外壁構造の目地材等を説明する入隅部外壁取付金具の一部の記載を省略した断面図。
【
図3】(A)は、取付ブラケットの外観構成を説明する斜視図、(B)は押え金具の外観構成を説明する斜視図。
【
図4】入隅部外壁取付金具を柱体に取り付ける状態を説明する分解斜視図。
【
図5】挿入孔が長孔であることで取付ブラケットの取付位置を一方の外壁パネルの面外方向にずらして調整する構成を説明する図。
【
図6】スペーサを用いない入隅部の外壁構造とすることで、取付ブラケットを一方の外壁パネルの面内方向にずらして調整する構成を説明する図。
【
図7】第一押え片及び第二押え片を揺動可能に固定した押え金具を説明する図。
【
図8】異なる仕様の窓サッシに取付らえる断面L字のサッシ入隅カバーを説明する図。
【
図9】既設の外壁パネル及び既設の窓サッシから形成されている入隅部を示す図。
【
図10】(A)は、入隅部の一方の既設外壁パネルを取り外すとともに、窓サッシの端部にサッシ入隅カバーを固定した状態を示す図、(B)は、(A)の一部拡大図であり、入隅止板に取付ブラケットを挿入可能な孔を加工する状態を示す図。
【
図11】第一実施形態の入隅部のリフォーム方法において、取付ブラケットを柱体に固定した状態を示す図。
【
図12】第一実施形態の入隅部のリフォーム方法において、一方の新設外壁パネルを配置し、入隅止板に第一枠部を押し付けて新設外壁パネルを固定した状態を説明する図。
【
図13】第二実施形態の入隅部の外壁構造の全体構成を説明する目地材を省略した断面図。
【
図14】第二実施形態の入隅部の外壁構造の目地材等を説明する入隅部外壁取付金具の一部の記載を省略した断面図。
【
図15】両側にそれぞれ既設の外壁パネルが形成されている入隅部を説明する図。
【
図16】入隅部を形成する両方の既設外壁パネルを取り外した状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第一実施形態〕
以下、発明に係る入隅部外壁取付金具1、当該入隅部外壁取付金具1を用いた入隅部の外壁構造2、及び入隅部の外壁構造2を施工する入隅部のリフォーム方法の第一実施形態について、
図1から
図12を参照しつつ説明する。本実施形態における入隅部が形成される建物は、外壁パネルをリップ溝形鋼の柱体3に固定する軽量鉄骨造の建物である。本実施形態における入隅部の外壁構造2は、既存の躯体を利用して、新設外壁パネル4aを設置する構造であり、一方の外壁パネル4aと他方の窓サッシ5とが突き合わせられることによって入隅部を形成している。
【0025】
入隅部の外壁構造2は、
図1及び
図2に示すように、入隅部の壁内に形成される柱体3と、柱体3に固定されて入隅部の屋内側に配置される入隅止板6と、入隅部に外壁パネル4aを取り付ける入隅部外壁取付金具1と、側端部に板状の第一枠部40を有する一方の外壁パネル4aと、前記一方の外壁パネル4aに対して直角に配置される他方の窓サッシ5と、を備えている。なお、
図1においては、入隅部外壁取付金具1を図示する都合上、後述する目地材7、入隅断熱材8、及び目地バックアップ材9の記載を省略している。また、
図2においては、目地材7、入隅断熱材8、及び目地バックアップ材9を図示する都合上、入隅部外壁取付金具1の記載を一部省略している。
【0026】
柱体3は、建物の構造躯体の一部を構成し鉛直方向に延びる鋼製の柱体3である。柱体3は、本実施形態においては、一方の外壁パネル4aに向かって開口するように配置されたリップ溝形鋼である。柱体3は、例えば矩形フレーム状に形成された軸組フレームの一部であり、入隅部の頂部の屋内側に立設されるリップ溝形鋼の別の柱体にボルト及びナットで連結されている。なお、柱体3が連結される別の柱体の配置や形状は、上述のものに限定されるものではなく、建物の年代によって異なるものである。
【0027】
入隅止板6は、水平断面がL字状となる鋼板性であり、入隅部の奥に配置されており、入隅部に一方の外壁パネル4a及び他方の窓サッシ5を固定する下地となっている。
【0028】
入隅部外壁取付金具1は、
図3(A)に示すように取付ブラケット10と、
図3(B)に示すように、押え金具20とを有する。取付ブラケット10は、
図1及び
図4に示すように、一端部12が柱体3に固定される。取付ブラケット10の一端部12が固定される柱体3の内部には、中央にネジ穴32が形成される裏板30が設けられている。裏板30は、柱体3の内部で、当該柱体3の2つのリップの間に架設されるように配置される平板状である。柱体3の外側には、当該柱体3の2つのリップ及び開口を挟んで裏板30と逆側にスペーサ31が設けられている。スペーサ31は、鋼製平板の上下縁を折り曲げて形成されており、折り曲がった上下縁の左右両端には切り欠き33が形成されており、当該切り欠き33が柱体3のリップに整合することで、柱体3の外側で2つのリップの間に保持される。スペーサ31の中央には貫通孔34が形成されている。
【0029】
取付ブラケット10の一端部12は、中央に挿入孔13が形成される平板状である。挿入孔13には固定ボルト14が挿入される。挿入孔13は水平方向に長い長孔となっている。固定ボルト14は、取付ブラケット10の一端部12に形成された挿入孔13、及びスペーサ31に形成された貫通孔34、に挿入されて、裏板30のネジ穴32に螺着される。固定ボルト14を締め付けることで、柱体3のリップ及びスペーサ31を裏板30及び取付ブラケット10の一端部12で挟着し、当該取付ブラケット10は柱体3に固定される。このとき、取付ブラケット10の一端部12に形成される挿入孔13が水平方向に長い長孔であることで、
図5(A)(B)に示すように、取付ブラケット10は、その取付位置を一方の外壁パネル4aの面外方向にずらして調整することができる。また、入隅部の外壁構造2において、複数の異なる厚さのスペーサ31を用意することや、
図6に示すように、スペーサ31を用いないことで、取付ブラケット10の取付位置を、一方の外壁パネル4aの面内方向にずらして調整することもできる。これによって、入隅部の仕様が建物が建築された年代などによって異なる場合であっても、異なる仕様に合わせて取付ブラケット10の位置を調整して、一方の外壁パネル4aを固定することができる。
【0030】
取付ブラケット10は、
図1、及び
図3(B)に示すように、一端部12から略直角に入隅部の頂部に向かって折曲され、さらに、略45度戻る方向に折曲して形成されており、他端部15が入隅部に形成される目地の奥に配置される。取付ブラケット10の他端部15には、押え金具20の取付ボルト24が挿入されて螺着されるボルト孔16が形成されている。
【0031】
押え金具20は、取付ブラケット10の他端部15の屋外側に締付固定されるベース21と、ベース21に対して回転可能に固定される第一押え片22、及び第二押え片23と、を有する。ベース21は、縦長の平板状であり、取付ブラケット10に固定するための取付ボルト24が挿入される取付孔25が設けられている。また、
図3(B)及び
図7に示すように、ベース21の取付孔25よりも上方の位置には第一押え片22を揺動可能に固定する第一軸部26が形成されている。ベース21の取付孔25よりも下方の位置には第二押え片23を揺動可能に固定する第二軸部27が形成されている。
【0032】
第一押え片22は、基端部が第一軸部26に揺動可能に固定されており、基端部から折れ曲がって、一方の外壁パネル4aの側端部に形成された板状の第一枠部40を屋内方向に押えている。第二押え片23は、第一押え片22と同様の形状であり、第二軸部27に揺動可能に固定される。ベース21の側縁はそれぞれ一部が屋外方向に向かって折れ曲がって形成され、第一押え片22の揺動範囲を一方の外壁パネル4a側の範囲に規制し、第二押え片23の揺動範囲を他方の窓サッシ5側の範囲に規制する規制部28が形成されている。
【0033】
入隅部の一方の外壁パネル4aは、
図1に示すように、本実施形態においては、既設外壁パネル50を取り外して、新たに設置された新設の外壁パネル4aである。この外壁パネル4aは、パネル本体41と、パネル本体41の裏面の周縁に形成される第一枠部40と、パネル本体41の裏面側で、第一枠部40の内側に設けられる断熱材42とを有する。第一枠部40は、一方の外壁パネル4aの面内方向の外側を向いて開口する溝形であり、一方側板がパネル本体41に固定され、他方側板が第一押え片22によって屋内方向に向けて入隅止板6に押し付けられている。
【0034】
入隅部の他方の窓サッシ5は、例えば引き違いの窓障子を嵌め込んで形成される窓を形成する窓サッシ5である。窓サッシ5は引き違い窓に限定されるものではなく、他の方法で開放される窓であってもよく、また、はめ殺し窓であってもよい。入隅止板6には、端部が折れ曲がってL形状に形成されたサッシ止プレート51がボルト及びナットで固定されており、このサッシ止プレート51が、窓サッシ5の側端縁の屋内側の位置から側方に突出するように形成された係止片52を、入隅止板6との間に挟んで、窓サッシ5を固定している。
【0035】
窓サッシ5には、側端縁の係止片52よりも屋外側における窓サッシ5の端部にサッシ入隅カバー53が固定される。サッシ入隅カバー53は、不等辺のLアングル54の一方の板面と、溝形の長手材55の一方の側面と、を互いに当接させて固定した形状である。サッシ入隅カバー53は、Lアングル54の他方の板面と、溝形鋼の底面とが、屋外を向いて段差の無い平坦な面となるように互いに固定されている。サッシ入隅カバー53は、Lアングル54が窓サッシ5の屋外側の角に固定されて、長手材55が一方の外壁パネル4aの側面部に接近するように延びて形成されている。サッシ入隅カバー53は、窓サッシ5の仕様によって寸法及び形状の異なる複数種類が用意されており、窓サッシ5の仕様による入隅部の目地幅の相違に対応し、仕様が異なる場合でも目地幅が同じになるように調整している。サッシ入隅カバー53は、Lアングル54と長手材55との組み合わせたものに限定されず、窓サッシ5の仕様によっては、
図8に示すように、断面L字の金属製長尺体であってもよい。
【0036】
外壁パネル4aの側面部とサッシ入隅カバー53とで形成される入隅部の目地の奥には、
図2に示すように、入隅止板6に当接するように板状の入隅断熱材8が設けられ、当該入隅断熱材8の屋外側に目地バックアップ材9が断面L字状に、一方の外壁パネル4a及び他方の窓サッシ5の上下方向全長にわたって配置されている。そして、外壁パネル4a側面部とサッシ入隅カバー53の間に例えば湿式の目地材7が充填されている。なお、外壁パネル4a側面部及びサッシ入隅カバー53の間の目地には、湿式の目地材7に替えて乾式の目地材が充填されていてもよい。このように、サッシ入隅カバー53によって、目地幅を調整するので、適切な幅及び深さの目地とすることができ、目地材7を充填することで、適切な期間にわたって適切な水密性や耐火性等の性能を発揮することができる。
【0037】
次に、以上のように構成される入隅部の外壁構造2を施工する入隅部のリフォーム方法について説明する。本実施形態の入隅部のリフォーム方法は、
図9に示すように、既設の外壁パネル50及び既設の窓サッシ5から形成されている入隅部のリフォーム方法であり、既設の外壁パネル50を新設の外壁パネル4aに交換するリフォーム方法である。
【0038】
入隅部のリフォーム方法は、まず、
図9及び
図10(A)に示すように、入隅部を形成する一方の既設外壁パネル50を取り外す。具体的には入隅部に固定されている乾式目地材57を取り外し、既設外壁パネル50を固定している外壁固定プレート56を取り外して、既設外壁パネル50を取り外す。
【0039】
そして、窓サッシ5の端部に当該窓サッシ5の仕様に合わせて用意されたサッシ入隅カバー53を固定する。サッシ入隅カバー53には、窓サッシ5に当接する位置に両面テープが設けられており、当該両面テープで仮固定した後、ビスを打ち込んでサッシ入隅カバー53を窓サッシ5に固定する。本実施形態では、サッシ入隅カバー53を構成するLアングル54が窓サッシ5の屋外側の角に固定されて、長手材55が一方の外壁パネル4aの側面部に接近するように延びるように固定される。
【0040】
次に、
図10(B)に示すように、入隅止板6に取付ブラケット10を挿入可能な孔を加工する。取付ブラケット10は、当該孔に挿入され、適切な位置に配置される。このとき、
図4及び
図11に示すように、入隅止板6の屋内側で、柱体3の内部に架設されるように裏板30が配置され、柱体3の外側にスペーサ31が配置され、取付ブラケット10の一端部12の中央に形成された挿入孔13から固定ボルト14を挿入し、スペーサ31に形成された貫通孔34を通して、裏板30のネジ穴32に固定ボルト14を螺着させて、当該固定ボルト14を締め付けることで、柱体3のリップ及びスペーサ31を裏板30及び取付ブラケット10の一端部12で挟着して、取付ブラケット10を柱体3に固定する。なお、柱体3の寸法によっては、
図6に示すように、スペーサ31を配置せずに取付ブラケット10を直接柱体3に固定してもよい。また、柱体3の寸法によっては、スペーサ31を異なる厚さのものに変更してもよい。取付ブラケット10は、スペーサ31の厚さやスペーサ31を設けないことでその取付位置を調整することができ、取付ブラケット10の一端部12に形成される挿入孔13が水平方向に長い長孔であることで調整することができる。
【0041】
そして、押え金具20のベース21に設けられた取付孔25に取付ボルト24を挿入して、押え金具20を取付ブラケット10の他端部15に固定する。次いで、
図12に示すように、既設外壁パネル50を取り外した位置に一方の新設外壁パネル4aを配置し、一方の外壁パネル4aの側面部とサッシ入隅カバー53との間に形成される目地を通して図示しないレンチなどの工具を挿入し、押え金具20の第一押え片22を回転させて、一方の新設外壁パネル4aの第一枠部40の屋外側に当接するように操作して、入隅止板6に第一枠部40を押し付けて新設外壁パネル4aを固定する。
【0042】
そして、
図2に示すように、一方の新設外壁パネル4aの側面部とサッシ入隅カバー53との間の目地の奥に、入隅止板6に当接するように入隅断熱材8を設けて、当該入隅断熱材8の屋外側に目地バックアップ材9を配置する。そして、外壁パネル4a側面部とサッシ入隅カバー53の間に目地材7を充填し、本実施形態の入隅部のリフォーム方法を完了する。この入隅部のリフォーム方法によると、窓サッシ5の端部にサッシ入隅カバー53を固定することで、目地幅を調整することができるので、一方の新設外壁パネル4aの側面部とサッシ入隅カバー53との間に目地材7を充填して、適切な目地の収まりとすることができる。
【0043】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態に係る入隅部外壁取付金具1、当該入隅部外壁取付金具1を用いた入隅部の外壁構造2、及び入隅部の外壁構造2を施工する入隅部のリフォーム方法の第二実施形態について、
図13から
図16を参照しつつ説明する。なお、第一実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態における入隅部の外壁構造2は、既存の躯体を利用して、新設外壁パネル4b,4cを設置する構造であり、一方の外壁パネル4bと他方の外壁パネル4cとが突き合わせられることによって入隅部を形成している。
【0044】
入隅部の外壁構造2は、
図13に示すように、入隅部の壁内に形成される柱体3と、柱体3に固定されて入隅の屋内側に配置される入隅止板6と、入隅部に外壁パネル4b.4cを取り付ける入隅部外壁取付金具1と、側端部に側方に開口する溝形の第一枠部40を有する一方の外壁パネル4bと、側端部に側方に開口する溝形の第二枠部43を有する他方の外壁パネル4cと、を備えている。なお、
図13においては、入隅部外壁取付金具1を図示する都合上、後述する目地材7、入隅断熱材8、及び目地バックアップ材9の記載を省略している。柱体3、及び入隅止板6は、第一実施形態と同じ構成であるので具体的な説明を省略する。また、入隅部外壁取付金具1は、第一実施形態と同様に、取付ブラケット10と、押え金具20とを有する。第一実施形態と同様に、固定ボルト14が、取付ブラケット10の一端部12に形成された挿入孔13、及びスペーサ31に形成された貫通孔34、に挿入されて、裏板30のネジ穴32に螺着され、固定ボルト14を締め付けることで、柱体3のリップ及びスペーサ31を裏板30及び取付ブラケット10の一端部12で挟着することで、当該取付ブラケット10は柱体3に固定されている。
【0045】
取付ブラケット10、裏板30、及びスペーサ31の形状は第一実施形態と同様である。取付ブラケット10の一端部12の中央に設けられた挿入孔13が水平方向に長い長孔となっており、取付ブラケット10の取付位置を、一方の外壁パネル4bの面外方向にずらして調整できるとともに、複数の異なる厚さのスペーサ31を用意することや、スペーサ31を用いないことで、取付ブラケット10の取付位置を、一方の外壁パネル4bの面内方向にずらして調整することもできる。これによって、入隅部の仕様が建物が建築された年代などによって異なる場合であっても、異なる仕様に合わせて取付ブラケット10の位置を調整して、一方の外壁パネル4bを固定することができる。
【0046】
また、取付ブラケット10の他端部15は第一実施形態と同様に入隅部の目地奥に配置され、押え金具20が固定されている。押え金具20は、第一実施形態と同様に、取付ブラケット10の他端部15の屋外側に締付固定されるベース21と、ベース21に対して回転可能に固定される第一押え片22、及び第二押え片23と、を有する。
【0047】
入隅部の一方の外壁パネル4b及び他方の外壁パネル4cは、それぞれ、既設外壁パネル50を取り外して、新たに設置された新設の外壁パネル4b,4cである。一方の外壁パネル4b及び他方の外壁パネル4cは同じ構成であり、一方の外壁パネル4bは、パネル本体41と、パネル本体41の裏面の周縁に形成される第一枠部40と、パネル本体41の裏面側で、第一枠部40の内側に設けられる断熱材42とを有し、他方の外壁パネル4cは、パネル本体41と、パネル本体41の裏面の周縁に形成される第二枠部43と、パネル本体41の裏面側で、第二枠部43の内側に設けられる断熱材42とを有する。第一枠部40及び第二枠部43は、それぞれの外壁パネル4b,4cの面内方向の外側を向いて開口する溝形であり、一方側板がパネル本体41に固定され、他方側板が第一押え片22又は第二押え片23によって屋内方向に向けて入隅止板6に押し付けられている。
【0048】
このように一方の外壁パネル4bの第一枠部40が押え金具20の第一押え片22によって屋内方向に向けて入隅止板6に押し付けられるとともに、他方の外壁パネル4cの第二枠部43が押え金具20の第二押え片23によって屋内方向に向けて入隅止板6に押し付けられるので、1つの押え金具20によって両側の外壁パネル4b,4cを固定することができ、施工性を向上させることができる。
【0049】
一方の外壁パネル4bの側面部と他方の外壁パネル4cの側面部とで形成される入隅部の目地の奥には、
図14に示すように、入隅止板6に当接するように板状の入隅断熱材8が設けられ、当該入隅断熱材8の屋外側に目地バックアップ材9が断面L字状に、一方の外壁パネル4b及び他方の外壁パネル4cの上下方向全長にわたって配置されている。そして、2つの外壁パネル4b,4c側面部の間に例えば湿式の目地材7、又は、乾式の目地材が充填されている。なお、
図14においては、目地材7、入隅断熱材8、及び目地バックアップ材9を図示する都合上、入隅部外壁取付金具1の記載を一部省略している。
【0050】
次に、以上のように構成される第二実施形態の入隅部の外壁構造2を施工する入隅部のリフォーム方法について説明する。本実施形態の入隅部のリフォーム方法は、
図15に示すように、両側にそれぞれ既設の外壁パネル50が形成されている入隅部のリフォーム方法であり、両方の既設の外壁パネル50をそれぞれ新設の外壁パネル4b,4cに交換するリフォーム方法である。
【0051】
入隅部のリフォーム方法は、まず、
図16に示すように、入隅部を形成する一方の既設外壁パネル50を取り外す。そして、入隅部を形成する他方の既設外壁パネル50も取り外す。具体的には入隅部に固定されている乾式目地材57を取り外し、両側の既設外壁パネル50を固定しているそれぞれの外壁固定プレート56を取り外して、両側の既設外壁パネル50を取り外す。
【0052】
そして、入隅止板6に取付ブラケット10を挿入可能な孔を加工する。取付ブラケット10は当該孔に挿入され、当該取付ブラケット10の他端部15が入隅部の目地の奥に配置されるように、適切な位置に配置される。そして、入隅止板6の屋内側で、柱体3の内部に架設されるように裏板30が配置され、柱体3の外側にスペーサ31が配置され、取付ブラケット10の一端部12の中央に形成された挿入孔13から固定ボルト14を挿入し、スペーサ31に形成された貫通孔34を通して、裏板30のネジ穴32に固定ボルト14を螺着させて、当該固定ボルト14を締め付けることで、柱体3のリップ及びスペーサ31を裏板30及び取付ブラケット10の一端部12で挟着して、取付ブラケット10を柱体3に固定する。なお、第一実施形態と同様に、柱体3の寸法によってはスペーサ31を配置せずに取付ブラケット10を直接柱体3に固定してもよい。また、柱体3の寸法によっては、スペーサ31を異なる厚さのものに変更してもよい。取付ブラケット10は、スペーサ31の厚さやスペーサ31を設けないことでその取付位置を調整することができ、取付ブラケット10の一端部12に形成される挿入孔13が水平方向に長い長孔であることで調整することができる。
【0053】
そして、押え金具20のベース21に設けられた取付孔25に取付ボルト24を挿入して、押え金具20を取付ブラケット10の他端部15に固定する。次いで、
図13に示すように、一方の既設外壁パネル50を取り外した位置に一方の新設外壁パネル4bを配置し、他方の既設外壁パネル50を取り外した位置に他方の新設外壁パネル4cを配置する。そして、一方の外壁パネル4bの側面部と他方の外壁パネル4cの側面部との間に形成される目地を通して図示しないレンチなどの工具を挿入し、押え金具20の第一押え片22を回転させて、一方の新設外壁パネル4bの第一枠部40の屋外側に当接するように操作して、入隅止板6に第一枠部40を押し付けて一方の新設外壁パネル4bを固定する。また、同様に一方の外壁パネル4bの側面部と他方の外壁パネル4cの側面部との間に形成される目地を通して図示しないレンチなどの工具を挿入し、押え金具20の第二押え片23を回転させて、他方の新設外壁パネル4cの第二枠部43の屋外側に当接するように操作して、入隅止板6に第二枠部43を押し付けて他方の新設外壁パネル4cを固定する。
【0054】
そして、一方の新設外壁パネル4bの側面部と他方の新設外壁パネル4cの側面部との間の目地の奥に、
図14に示すように、入隅止板6に当接するように入隅断熱材8を設けて、当該入隅断熱材8の屋外側に目地バックアップ材9を配置する。そして、両方の外壁パネル4b,4c側面部の間に目地材7を充填し、第二本実施形態の入隅部のリフォーム方法を完了する。この入隅部のリフォーム方法によると、1つの入隅部外壁取付金具1によって一方の外壁パネル4b及び他方の外壁パネル4cをそれぞれ固定するので、施工性を向上させることができる。
【0055】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る入隅部外壁取付金具1、入隅部の外壁構造2、及び入隅部のリフォーム方法は、住宅の入隅部の外壁交換リフォームを行う際に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0057】
1 入隅部外壁取付金具
2 入隅部の外壁構造
3 柱体
4a 一方の外壁パネル
4b 一方の外壁パネル
4c 他方の外壁パネル
5 窓サッシ
7 目地材
10 取付ブラケット
12 一端部
13 挿入孔
14 固定ボルト
15 他端部
20 押え金具
22 第一押え片
23 第二押え片
30 裏板
31 スペーサ
40 第一枠体
43 第二枠体
53 サッシ入隅カバー