(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190987
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】コールドプレート
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20221220BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099559
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】益子 耕一
(72)【発明者】
【氏名】松田 将宗
(72)【発明者】
【氏名】川原 洋司
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA11
5E322AB01
5F136BA04
5F136CB07
5F136CB08
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】ベースプレートの反りを抑制することが可能なコールドプレートを提供する。
【解決手段】複数のフィンが形成されたベースプレートと、前記複数のフィンを覆うカバーと、発熱体を前記ベースプレートに熱的に接続させる接合層と、を備えている。前記ベースプレートは、金属部と、前記金属部の外周に設けられた樹脂部とを有し、前記発熱体は前記接合層を介して前記金属部に熱的に接続されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィンが形成されたベースプレートと、
前記複数のフィンを覆うカバーと、
発熱体を前記ベースプレートに熱的に接続させる接合層と、を備え、
前記ベースプレートは、金属部と、前記金属部の外周に設けられた樹脂部とを有し、
前記発熱体は前記接合層を介して前記金属部に熱的に接続されている、コールドプレート。
【請求項2】
前記カバーは、前記樹脂部に固定されている、請求項1に記載のコールドプレート。
【請求項3】
前記樹脂部と前記カバーとの間にOリングが介在されている、請求項1または請求項2に記載のコールドプレート。
【請求項4】
前記ベースプレートと前記カバーとが対向する方向を厚み方向と称するとき、前記金属部は、前記複数のフィンが形成された本体部と、前記本体部から前記厚み方向に直交する方向に突出した突出部と、を有する、前記請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコールドプレート。
【請求項5】
前記突出部は、前記本体部のうち、前記厚み方向において前記発熱体に近い側の端部に位置している、請求項4に記載のコールドプレート。
【請求項6】
前記突出部は、前記本体部のうち、前記厚み方向において前記発熱体から遠い側の端部に位置している、請求項4に記載のコールドプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールドプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベースプレート(フィンベース)上に発熱体(半導体素子)が実装されたコールドプレートが開示されている。ベースプレートには、複数のフィンが設けられ、複数のフィンはカバー(ウォータージャケット)により覆われている。一般的に、ベースプレートは金属製である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコールドプレートでは、ベースプレートにはんだ等の接合層を介して発熱体が接合されている。発熱体をベースプレートに接合するために接合層を加熱すると、熱はベースプレートにも伝わる。このとき、ベースプレートのうち、接合層が設けられている部分は高温となり、接合層から離れた部分は低温となりやすい。このような大きな温度勾配がベースプレートに生じると、ベースプレートに反りが生じる場合がある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、ベースプレートの反りを抑制することが可能なコールドプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係るコールドプレートは、複数のフィンが形成されたベースプレートと、前記複数のフィンを覆うカバーと、発熱体を前記ベースプレートに熱的に接続させる接合層と、を備え、前記ベースプレートは、金属部と、前記金属部の外周に設けられた樹脂部とを有し、前記発熱体は前記接合層を介して前記金属部に熱的に接続されている。
【0007】
この構成によれば、ベースプレートが金属部および樹脂部を有している。そして、金属部には接合層を介して発熱体が熱的に接続され、樹脂部は金属部の外周に設けられている。このため、ベースプレートの全体が金属である場合と比較して、接合層を加熱した際に、金属部に生じる温度勾配を小さくすることができる。したがって、ベースプレートの反りを抑えることが可能となる。さらに、ベースプレートが金属部および樹脂部を有しているため、ベースプレートの全体が金属である場合に比べて、ベースプレートの熱容量を小さくすることができる。このため、発熱体をベースプレートに熱的に接続するために接合層を加熱する際に、ベースプレートに奪われる熱量を小さくすることができる。この結果、接合層を効率よく加熱することが可能となり、コールドプレートの製造効率を向上させることも可能である。
【0008】
ここで、前記カバーは、前記樹脂部に固定されていてもよい。
【0009】
また、前記樹脂部と前記カバーとの間にOリングが介在されていてもよい。
【0010】
前記ベースプレートと前記カバーとが対向する方向を厚み方向と称するとき、前記金属部は、前記複数のフィンが形成された本体部と、前記本体部から前記厚み方向に直交する方向に突出した突出部と、を有してもよい。
【0011】
前記突出部は、前記本体部のうち、前記厚み方向において前記発熱体に近い側の端部に位置していてもよい。
【0012】
前記突出部は、前記本体部のうち、前記厚み方向において前記発熱体から遠い側の端部に位置していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の上記態様によれば、ベースプレートの反りを抑制することが可能なコールドプレートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係るコールドプレートの平面図である。
【
図3】
図1に示す矢視III-III断面図である。
【
図4】第1実施形態に係るベースプレートを発熱体側から見た場合の平面図である。
【
図5】第1実施形態に係るベースプレートの断面図である。
【
図7】第2実施形態に係るベースプレートを示す断面図である。
【
図8】第3実施形態に係るベースプレートを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係るコールドプレートの構成を、
図1から
図6を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係るコールドプレート1Aの平面図である。
図2は、
図1に示す矢視II-II断面図である。
図3は、
図1に示す矢視III-III断面図である。
図1~
図3に示すように、コールドプレート1Aは、ベースプレート20と、カバー30とを備えている。カバー30は、ベースプレート20が有する複数のフィン23を覆っている。
【0016】
(方向定義)
ここで本実施形態では、ベースプレート20とカバー30とが対向する方向を厚み方向と称する。厚み方向から見ることを平面視と称する。
ベースプレート20は、カバー30と対向する対向面20bと、対向面20bとは反対側の実装面20aと、を有している。対向面20bおよび実装面20aは、いずれも、厚み方向に直交するように延びている。
【0017】
図2に示すように、ベースプレート20の実装面20aには接合層15が設けられている。接合層15により、回路基板10がベースプレート20に接合されている。また、回路基板10には発熱体11が実装されている。発熱体11は、例えばCPU等のチップである。ただし、発熱体11の種類は、動作に伴って発熱するものであれば適宜変更可能である。
回路基板10は、絶縁基板10aと、絶縁基板10aの第1面に設けられた導電パターン層10bと、絶縁基板10aの第2面に設けられた導電層10cとを備えている。発熱体11は、導電パターン層10bに電気的に接続されている。導電層10cは、GND電位であってもよい。
【0018】
フィン23は、ベースプレート20の対向面20bに対して垂直に立設する板状に形成されている。フィン23の先端面23aは、
図2に示すように、対向面20bと平行に延びている。先端面23aはカバー30に接していてもよいし、接していなくてもよい。フィン23の長手方向の両端である側端面23bは、対向面20bに対して垂直に延びている。先端面23aと側端面23bとの間は、傾斜面23cによって接続されている。傾斜面23cは、後述する冷媒分配流路4及び冷媒回収流路5と対向して配置されている。フィン23の形状は特に限定されず、フィン23は、傾斜面23cを有していなくてもよい。
【0019】
図2に示すように、カバー30は、有頂筒状に形成されており、天壁部32と、天壁部32の外周部に連設された周壁部33と、を備えている。天壁部32は厚さ方向においてベースプレート20の対向面20bと対向している。カバー30は、例えば樹脂製である。カバー30の具体的な材質としては、ポリフェニレンスルフィルド(PPS)、ナイロン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ABS樹脂などを採用できる。ただし、カバー30は金属製であってもよい。
【0020】
天壁部32は、
図1に示すように、平面視で矩形状に形成されている。周壁部33は、矩形の筒状(角筒状とも言う)に形成されている。周壁部33の開口端部(ベースプレート20側の端部)には、外側に突出するフランジ部34が形成されている。
図1に示す平面視で、フランジ部34(カバー30)の外形は、ベースプレート20の外形と同じである。ただし、平面視においてフランジ部34とベースプレート20とで外形が異なっていてもよい。
【0021】
図2に示すように、天壁部32には、冷媒入口管2が接続された入口側マニホールド35と、冷媒出口管3が接続された出口側マニホールド36と、が形成されている。入口側マニホールド35は、天壁部32の表面32a(厚さ方向においてベースプレート20とは反対側の面)から突出している。入口側マニホールド35の内部には、複数のフィン23の一端側の空間と連通する冷媒分配流路4が形成されている。冷媒分配流路4は、平面視で、複数のフィン23と直交する方向に延びている。
【0022】
出口側マニホールド36も、入口側マニホールド35と同様に、天壁部32の表面32aから突出している。出口側マニホールド36の内部には、複数のフィン23の他端側の空間と連通する冷媒回収流路5が形成されている。
冷媒入口管2から流入した冷媒は、冷媒分配流路4、複数のフィン23の隙間(スリット)、冷媒回収流路5を経て、冷媒出口管3から流出する。このとき冷媒は、フィン23の熱を受け取る。したがって、フィン23に熱的に接続されている発熱体11を冷却することができる。
【0023】
ベースプレート20は、
図2及び
図3に示すように、金属部21と、樹脂部22とを有している。樹脂部22は、金属部21の外周に設けられている。なお、
図3は、図を簡略にするために冷媒分配流路4及び冷媒回収流路5を省略している。
金属部21は、例えば、銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金などの熱伝導性の良好な金属によって形成されている。金属部21に、
図3に示すように、複数のフィン23が形成されている。
【0024】
図4は、ベースプレート20を発熱体側から見た場合の平面図である。
図5は、ベースプレート20の断面図である。
図4に示すように、樹脂部22には、中央に開口部22aが形成されている。開口部22aは、
図5に示すように、樹脂部22を厚み方向に貫通している。開口部22aには、段部22bが形成されている。これにより、開口部22aには、平面視における面積が互いに異なる第一開口部22cと第二開口部22dとが形成されている。第一開口部22cは、発熱体11側に形成され、第二開口部22dは、フィン23側に形成されている。本実施形態では、第一開口部22cの面積S1が第二開口部22dの面積S2よりも大きい。
図4に示すように、複数のフィン23が並べられた方向を並列方向とするとき、第一開口部22cの並列方向の寸法L1は、第二開口部22dの並列方向の寸法L2より大きい。また、並列方向および厚さ方向の双方に直交する方向を直交方向とするとき、第一開口部22cの直交方向の寸法L1aは、第二開口部22dの直交方向の寸法L2aより大きい。
【0025】
金属部21は、樹脂部22の開口部22aに応じた形状を有している。具体的には、
図5に示すように、金属部21は、本体部21aと、本体部21aから厚み方向に直交する方向に突出する突出部21bとを有している。本体部21aは第二開口部22d内に嵌合しており、突出部21bは第一開口部22c内に嵌合している。この構成により、樹脂部22の開口部22aに、金属部21が嵌め込まれている。本実施形態では、突出部21bは、本体部21aのうち、厚み方向において発熱体11に近い側の端部に位置している。
金属部21の本体部21aは、
図3に示すように、第二開口部22dを通してカバー30側に露出している。本体部21aの基面21d(カバー30側の端面)は、周壁部33と接触している。なお、複数のフィン23は本体部21aの基面21dから突出している。
【0026】
次に、ベースプレート20とカバー30との接続構造について説明する。フランジ部34は、
図3に示すように、ベースプレート20の樹脂部22と接触している。ベースプレート20の樹脂部22には複数の貫通孔22e(
図4も参照)が形成されている。また、カバー30のフランジ部34には、複数の貫通孔34aが形成されている。フランジ部34の貫通孔34aは、樹脂部22の貫通孔22eに対応する位置に配置されている。これらの貫通孔22e、34aに、共通のネジ41が挿通され、ナット42が締め付けられている。これにより、ベースプレート20の樹脂部22とカバー30とが、ネジ41及びナット42によって固定されている。
【0027】
図3に示すように、フランジ部34のベースプレート20側の面34bには、環状の溝34cが形成されている。溝34cは、ベースプレート20の樹脂部22と厚さ方向において対向する位置に形成されている。溝34cは面34bから窪んでいる。図示は省略するが、溝34cは平面視において周壁部33を囲うように、環状に設けられている。溝34cの内側には、Oリング45が配置されている。すなわち、樹脂部22とカバー30との間にOリング45が介在されている。Oリング45は、溝34cと同様に、平面視において環状である。Oリング45は、例えばゴム製である。Oリング45は、圧縮され弾性変形した状態で、樹脂部22と溝34cの内面との間に挟まれている。この構成により、冷媒がベースプレート20とカバー30との間の隙間から漏れ出てしまうことを抑制することができる。
【0028】
ここで、発熱体11が実装された回路基板10は、接合層15を介してベースプレート20の金属部21上に配置されている。言い換えると、回路基板10は、ベースプレート20の樹脂部22上には配置されていない。この構成により、発熱体11は、ベースプレート20の金属部21に熱的に接続されている。これにより、発熱体11から発生した熱は回路基板10及び接合層15を介して、ベースプレート20の金属部21に伝わる。また、金属部21には複数のフィン23が形成されており、フィン23は冷媒によって冷却される。このようにして、コールドプレート1Aは発熱体11を冷却する。
【0029】
次に、金属部21と樹脂部22との接続構造について説明する。
本実施形態では、金属部21は、樹脂部22と熱融着されている。金属部21と樹脂部22との融着原理を説明すると、
図5及び
図6に示すように、樹脂部22と接触する金属部21の突出部21bの表面25には、表面処理によって粗面化部50が形成されている。粗面化部50は、複数の微細孔51を有している。
【0030】
このように粗面化された突出部21bの表面25に、カバー30を押し付け、加熱圧着する。これにより、カバー30の一部が軟化あるいは溶融し、微細孔51に入り込んで、その後、固化する。その結果、微細孔51に入り込んだ樹脂がアンカーとなり、ベースプレート20の金属部21と樹脂部22とが接合される。なお、金属部21と樹脂部22とがその他の接続構造によって接続されていてもよい。
【0031】
以上説明したように、本実施形態のコールドプレート1Aは、複数のフィン23が形成されたベースプレート20と、複数のフィン23を覆うカバー30と、発熱体11をベースプレート20に熱的に接続させる接合層15と、を備えている。ベースプレート20は、金属部21と、金属部21の外周に設けられた樹脂部22とを有し、発熱体11は接合層15を介して21金属部に熱的に接続されている。
【0032】
このようなコールドプレート1Aによれば、ベースプレート20が金属部21および樹脂部22を有している。このため、ベースプレート20がすべて金属である場合(すなわち、本実施形態の樹脂部22が金属部21と一体の金属製である場合)に比べて、接合層15を加熱した際に、金属部21に生じる温度勾配を小さくすることができる。したがって、ベースプレート20の反りを抑えることが可能となる。
さらに、ベースプレート20が金属部21および樹脂部22を有しているため、ベースプレート20がすべて金属である場合に比べて、ベースプレート20の熱容量を小さくすることができる。このため、発熱体11をベースプレート20に熱的に接続するために接合層15を加熱する際に、ベースプレート20に奪われる熱量を小さくすることができる。この結果、接合層15を効率よく加熱することが可能となり、コールドプレート1Aの製造効率を向上させることができる。
【0033】
また、金属部21は、複数のフィン23が形成された本体部21aと、本体部21aから厚み方向に直交する方向に突出した突出部21bと、を有している。この構成によれば、突出部21bを用いて金属部21と樹脂部22とを位置合わせすることが可能となる。
また、本実施形態における突出部21bは、本体部21aのうち、厚み方向において発熱体11に近い側の端部に位置している。これにより、Oリング45が樹脂部22に接した構造をコンパクトに実現することができる。
【0034】
また、カバー30は、樹脂部22に固定されているため、金属部21を小さくすることが可能である。すなわち、樹脂部22を大きくすることが可能となるため、金属部21に生じる温度勾配をより小さくすることができる。これにより、ベースプレート20の反りをより抑制することが可能となる。
また、
図4に示すように、厚さ方向から見たとき、樹脂部22の幅は金属部21よりも小さくすることができる。このため、樹脂部22内で生じる温度むらは、金属部21内で生じる温度むらよりも小さくなる。その結果、樹脂部22では反りが生じにくい。本実施形態では、樹脂部22とカバー30との間にOリング45が介在されている。すなわち、反りが生じにくい樹脂部22にOリング45が接触しているので、ベースプレート20とカバー30との気密性を向上させることができる。
【0035】
なお、金属部21に、発熱体11が実装された回路基板10を1つ配置された構成を示したが、発熱体11が実装された回路基板10の数は2つ以上であってもよい。
Oリング45を用いて、ベースプレート20とカバー30との気密性を向上させたが、必ずしもOリングが設けられていなくてもよい。
金属部21と樹脂部22との接続に熱融着を用いたが、接続方法に関しては特に限定されない。
ベースプレート20とカバー30とをネジ41及びナット42を用いて接続したがこれに限らない。例えば、金属部21と樹脂部22との接続構造と同様に、ベースプレート20とカバー30とを熱融着させてもよい。
【0036】
(第2実施形態)
図7に示すように、第2実施形態のコールドプレート1Bでは、ベースプレート60の金属部61及び樹脂部62の形状が第1実施形態と異なる。第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0037】
図7に示すように、樹脂部62には、中央に開口部62aが形成されている。開口部62aは、樹脂部62を厚み方向に貫通している。開口部62aには、段部62bが形成されている。これにより、開口部62aには、平面視における面積が互いに異なる第一開口部62cと第二開口部62dとが形成されている。第一開口部62cは、発熱体11側に形成され、第二開口部62dは、フィン23側に形成されている。本実施形態では、第一開口部62cの面積S3が第二開口部62dの面積S4より小さい。
【0038】
金属部61は、樹脂部22の開口部62aに応じた形状を有している。具体的には、
図7に示すように、金属部61は、本体部61aと、本体部61aから厚み方向に直交する方向に突出する突出部61bとを有している。本体部61aは第一開口部62c内に嵌合しており、突出部61bは第二開口部62d内に嵌合している。この構成により、樹脂部62の開口部62aに、金属部61が嵌め込まれている。本実施形態では、突出部61bは、本体部61aのうち、厚み方向において発熱体11から遠い側の端部に位置している。
【0039】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、金属部21は、樹脂部22と熱融着されている。すなわち、カバー30と接触する金属部61の突出部61bの表面65には、表面処理によって粗面化部50が形成されている。
第1実施形態と同様に、粗面化部50の微細孔51に入り込んだ樹脂がアンカーとなり、ベースプレート60の金属部61と樹脂部62とが接合される。
【0040】
本実施形態のコールドプレート1Bによれば、突出部61bは、本体部61aのうち、厚み方向において発熱体11から遠い側の端部に位置している。これにより、金属部61のうち、接合層15が設けられる面の面積を小さくすることができる。したがって、接合層15が加熱されたときに、金属部61内に生じる温度勾配を低減することが可能となり、コールドプレート1Bの反りをより抑えることができる。
【0041】
(第3実施形態)
図8に示すように、第3実施形態のコールドプレート1Cでは、開口部の形状及び金属部の形状が第1実施形態と異なる。第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0042】
図8に示すように、ベースプレート70は、金属部71と樹脂部72とを有している。樹脂部72には、中央に開口部72cが形成されている。開口部72cは、第一面72aから第二面72bに向かって厚み方向に貫通している。
金属部71は、本体部71aと、本体部71aから厚み方向に直交する方向に突出する突出部71bとを有している。本体部71aは開口部72c内に嵌合している。突出部71bは、樹脂部72の第一面72aに接触している。この構成により、樹脂部72の開口部72cに金属部71が嵌め込まれている。本実施形態では、平面視における開口部72cの面積S5は、金属部71の実装面71cの面積S6より小さい。本実施形態では、突出部71bは、本体部71aのうち、厚み方向において発熱体11から近い側の端部に位置している。
【0043】
樹脂部72の第一面72aと接触する金属部71の突出部71bの表面75には、表面処理によって粗面化部50が形成されている。
第1実施形態と同様に、粗面化部50の微細孔51に入り込んだ樹脂がアンカーとなり、ベースプレート70の金属部71と樹脂部72とが接合される。
【0044】
本実施形態のコールドプレート1Cによれば、樹脂部72の開口部72cに段部を形成しなくても、金属部71と樹脂部72とを位置合わせし、固定することができる。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0046】
例えば、前記第1~第3実施形態では、発熱体11が回路基板10を介してベースプレート20、60、70に熱的に接続されていた。しかしながら、発熱体11が接合層15によってベースプレート20に直接的に接合されていてもよい。つまり、回路基板10はなくてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1A…コールドプレート 1B…コールドプレート 1C…コールドプレート 11…発熱体 15…接合層 20、60、70…ベースプレート 21、61、71…金属部 21a、61a、71a…本体部 21b、61b、71b…突出部 22、62、72…樹脂部 23…フィン 45…Oリング