IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特開2022-190988情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図4
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図5
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図6
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図7
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図8
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図9
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図10
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図11
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図12
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図13
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図14
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図15
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図16
  • 特開-情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190988
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、車両システム、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20221220BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06Q10/06
B60R16/02 645Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099560
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋崎 勝哉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】車両の消費電力を低減する。
【解決手段】情報処理装置が、所定の車両について、走行システムを停止させる操作である遮断操作が行われたことを検知し、前記遮断操作が行われた地点である第一の地点に基づいて、前記車両が有する複数の電子制御ユニットの少なくともいずれかについて、前記遮断操作後における動作モードを決定する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の車両について、走行システムを停止させる操作である遮断操作が行われたことを検知することと、
前記遮断操作が行われた地点である第一の地点に基づいて、前記車両が有する複数の電子制御ユニットの少なくともいずれかについて、前記遮断操作後における動作モードを決定することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一の地点を分類した結果に基づいて前記動作モードの決定を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記分類は、前記第一の地点における、前記車両の駐車履歴に基づいて行われる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分類は、前記第一の地点における、前記車両と外部ネットワークとの間の通信環境に基づいて行われる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第一の地点と、当該第一の地点における前記複数の電子制御ユニットの動作モードとを対応付けた第一のデータに基づいて前記動作モードの決定を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第一のデータを、所定の記憶装置から取得する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第一のデータは、前記第一の地点と、前記遮断操作後における前記複数の電子制御ユニットの動作状況との関係を学習させた機械学習モデルである、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記動作モードは、第一のモードと、前記第一のモードより処理の実行頻度または実行時間を低減させた第二のモードと、の少なくともいずれかである、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記動作モードは、動作が許可された第一のモードと、動作が禁止された第二のモードと、の少なくともいずれかであり、前記制御部は、前記第二のモードにある前記電子制御ユニットをスリープさせる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
車両と、サーバ装置と、を含む車両システムであって、
前記サーバ装置は、
前記車両の走行システムを停止させる操作である遮断操作が行われた地点である第一の地点の位置情報に基づいて、前記車両が有する複数の電子制御ユニットのそれぞれの動作モードを決定するためのデータである第一のデータを生成する第一の制御部を有し、
前記車両は、
前記第一の地点の位置情報を前記サーバ装置に送信することと、
前記第一のデータに基づいて、自車両が有する複数の電子制御ユニットのそれぞれについて、前記遮断操作後における動作モードを決定することと、
を実行する第二の制御部を有する、
車両システム。
【請求項11】
前記第一のデータは、前記第一の地点を分類した結果を示すデータであって、
前記第二の制御部は、前記第一の地点を分類した結果に基づいて前記動作モードの決定を行う、
請求項10に記載の車両システム。
【請求項12】
前記分類は、前記第一の地点における、前記車両の駐車履歴に基づいて行われる、
請求項11に記載の車両システム。
【請求項13】
前記分類は、前記第一の地点における、前記車両と外部ネットワークとの間の通信環境に基づいて行われる、
請求項11に記載の車両システム。
【請求項14】
前記第一のデータは、前記複数の電子制御ユニットの動作モードを指定するデータであって、
前記第一の制御部は、前記第一の地点と、当該第一の地点における前記複数の電子制御ユニットの動作モードとを対応付けた第二のデータに基づいて、前記第一のデータを生成する、
請求項10に記載の車両システム。
【請求項15】
前記動作モードは、第一のモードと、前記第一のモードより処理の実行頻度または実行時間を低減させた第二のモードと、の少なくともいずれかである、
請求項10から14のいずれか1項に記載の車両システム。
【請求項16】
前記動作モードは、動作が許可された第一のモードと、動作が禁止された第二のモードと、の少なくともいずれかであり、前記第二の制御部は、前記第二のモードにある前記電子制御ユニットをスリープさせる、
請求項10から14のいずれか1項に記載の車両システム。
【請求項17】
車両の走行システムを停止させる操作である遮断操作が行われたことを検知するステップと、
前記遮断操作が行われた地点である第一の地点に基づいて、前記車両が有する複数の電子制御ユニットの少なくともいずれかについて、前記遮断操作後における動作モードを決定するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項18】
前記第一の地点を分類した結果に基づいて前記動作モードの決定を行う、
請求項17に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記分類は、前記第一の地点における、前記車両の駐車履歴、または、前記第一の地点における、前記車両と外部ネットワークとの間の通信環境に基づいて行われる、
請求項18に記載の情報処理方法。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか1項に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
車載されたコンピュータが無線通信を行うシステムが普及している。これに関連し、例えば、特許文献1には、車両外部のサーバと通信を行う車載通信モジュールに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-061190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両の消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態の一態様は、所定の車両について、走行システムを停止させる操作である遮断操作が行われたことを検知することと、前記遮断操作が行われた地点である第一の地点に基づいて、前記車両が有する複数の電子制御ユニットの少なくともいずれかについて、前記遮断操作後における動作モードを決定することと、を実行する制御部を有する、情報処理装置である。
【0006】
本開示の実施形態の一態様は、車両と、サーバ装置と、を含む車両システムであって、前記サーバ装置は、前記車両の走行システムを停止させる操作である遮断操作が行われた地点である第一の地点の位置情報に基づいて、前記車両が有する複数の電子制御ユニットのそれぞれの動作モードを決定するためのデータである第一のデータを生成する第一の制御部を有し、前記車両は、前記第一の地点の位置情報を前記サーバ装置に送信することと、前記第一のデータに基づいて、自車両が有する複数の電子制御ユニットのそれぞれについて、前記遮断操作後における動作モードを決定することと、を実行する第二の制御部を有する、車両システムである。
【0007】
本開示の実施形態の一態様は、車両の走行システムを停止させる操作である遮断操作が行われたことを検知するステップと、前記遮断操作が行われた地点である第一の地点に基づいて、前記車両が有する複数の電子制御ユニットの少なくともいずれかについて、前記遮断操作後における動作モードを決定するステップと、を含む、情報処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態に係る車両システムの概要図。
図2】第一の実施形態に係る車両1が有する構成要素を説明する図。
図3】制御部が有する機能モジュールと、記憶部に記憶されるデータを説明する概要図。
図4】記憶部に記憶されるモードリストの例。
図5】第一の実施形態におけるサーバ装置の概要図。
図6】第一の実施形態における機械学習を説明する図。
図7】第一の実施形態における第一のフェーズのフロー図。
図8】第一の実施形態における第二のフェーズのフロー図。
図9】第二の実施形態における駐車地点モデルを説明する図。
図10】第二の実施形態における第一のフェーズのフロー図。
図11】第二の実施形態におけるモードリストの例。
図12】第二の実施形態における第二のフェーズのフロー図。
図13】第三の実施形態におけるサーバ装置の概要図。
図14】動作実績データと動作モードとの関係を例示した図。
図15】第三の実施形態における省電力モデルを説明する図。
図16】第三の実施形態における、第一のフェーズのフロー図。
図17】第三の実施形態における第二のフェーズのフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
車両が有している電子制御ユニットは、一般的に、車両の走行システムがシャットダウンされるとともに動作を停止する。しかし、近年の車両機能の向上に伴い、車両が駐車状態にある間もスタンバイを続ける電子制御ユニットが増えている。このような電子制御ユニットとして、セキュリティ機能を提供するもの、リモートコントロール機能を提供するもの、スマートホームと連携する機能を提供するものなどがある。
【0011】
しかし、駐車中においてスタンバイを続ける電子制御ユニットが増加すると、電力の消費が増え、車両のバッテリに負担をかけてしまうという問題が生じる。
本開示に係る情報処理装置は、かかる問題を解決する。
【0012】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、所定の車両について、走行システムを停止させる操作である遮断操作が行われたことを検知することと、前記遮断操作が行われた地点である第一の地点に基づいて、前記車両が有する複数の電子制御ユニットの少なくともいずれかについて、前記遮断操作後における動作モードを決定することと、を実行する制御部を有する。
【0013】
遮断操作は、車両の走行システムを停止させる操作である。遮断操作として、例えば、車両のイグニッションを切る操作、走行用の電源を切る操作、エンジンを停止する操作、ハイブリッドシステムを停止する操作などが例示できる。遮断操作が行われたことは、車両が、走行可能な状態から駐車状態に遷移することを意味する。
制御部は、遮断操作が行われた場所に基づいて、車両が有する複数の電子制御ユニットのそれぞれについて、遮断操作後における動作モード(すなわち、車両が駐車を開始した後における動作モード)を決定する。
【0014】
駐車中において、車両が有する複数の電子制御ユニットを動作させることが好ましいか否かは、その環境によって変わる。
例えば、車両が、オーナーの自宅以外の場所に駐車されている場合、スマートホームと連携する電子制御ユニットを動作させる必要はない。一方、車両が自宅の駐車場にある場合、当該電子制御ユニットは動作させることが好ましい。
よって、遮断操作が行われた場所(すなわち、車両が駐車された場所)に基づいて、各電子制御ユニットの動作モードを決定することで、電子制御ユニットの不要な動作を抑制することができ、消費電力を低減することができる。
【0015】
動作モードとして、例えば、「スリープモード」、「動作を続けるモード」といったものが例示できる。なお、動作モードは、消費電力に関連するものであれば、これ以外であってもよい。例えば、「通常よりも通信量を削減するモード」、「通常よりも消費電力を
削減するモード」などであってもよい。
【0016】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。各実施形態に記載されているハードウェア構成、モジュール構成、機能構成等は、特に記載がない限りは開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0017】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る車両システムの概要について、図1を参照しながら説明する。本実施形態に係る車両システムは、車両1と、サーバ装置300と、を含んで構成される。
【0018】
車両1は、外部ネットワークとの通信機能を有するコネクティッドカーである。車両1は、DCM(Data Communication Module)100と、電子制御ユニット200(Electronic Control Unit,ECUとも称する)を含んで構成される。
なお、図1では、単一のECU200を例示しているが、車両1は、複数のECU200を含んでいてもよい。
【0019】
DCM100は、外部ネットワークと無線通信を行う装置である。DCM100は、車両1が有するコンポーネント(以下、車両コンポーネント)を、外部ネットワークに接続するためのゲートウェイとして機能する。例えば、DCM100は、車両1が有するECU200に対して、外部ネットワークへのアクセスを提供する。これにより、車載された複数のECU200は、DCM100を介して、ネットワークに接続された外部装置と通信することができる。
【0020】
サーバ装置300は、車両1に対して情報提供を行う装置である。本実施形態では、サーバ装置300は、車両1に対して、駐車中における複数のECU200の動作モードを決定するための情報を提供する。なお、サーバ装置300は、その他の情報(例えば、交通情報や、インフォテイメントに関連する情報など)を車両1に提供する装置を兼ねていてもよい。
【0021】
図2は、本実施形態に係る車両1が有する構成要素を説明する図である。本実施形態に係る車両1は、DCM100と、複数のECU200A,200B…(以下、ECU200と総称する)を含んで構成される。
ECU200は、異なる車両コンポーネントを管轄する複数のECUを含んでいてもよい。複数のECUとして、例えば、ボディECU、エンジンECU、ハイブリッドECU、パワートレインECUなどが例示できる。また、ECU200は、機能単位で分割されていてもよい。例えば、セキュリティ機能を実行するECU、自動駐車機能を実行するECU、リモートコントロール機能を実行するECU、インフォテイメント機能を実行するECUといった区分けも可能である。
【0022】
DCM100は、アンテナ110、通信モジュール120、GPSアンテナ130、GPSモジュール140、制御部101、記憶部102、および、通信インタフェース103を有して構成される。
【0023】
アンテナ110は、無線信号の入出力を行うアンテナ素子である。本実施形態では、アンテナ110は、移動体通信(例えば、3G、LTE、5G等の移動体通信)に適合したものである。なお、アンテナ110は、複数の物理的なアンテナを含んで構成されてもよい。例えば、マイクロ波やミリ波などの高周波帯の電波を利用した移動体通信を行う場合、通信の安定化を図るため、複数のアンテナを分散して配置してもよい。
通信モジュール120は、移動体通信を行うための通信モジュールである。
【0024】
GPSアンテナ130は、測位衛星(GNSS衛星とも称する)から送信された測位信号を受信するアンテナである。
GPSモジュール140は、GPSアンテナ130によって受信された信号に基づいて、位置情報を算出するモジュールである。
【0025】
制御部101は、所定のプログラムを実行することで、DCM100の各種機能を実現する演算ユニットである。制御部101は、例えば、CPU等によって実現されてもよい。
【0026】
記憶部102は、主記憶装置および補助記憶装置を含むメモリ装置である。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置にロードして実行することによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。
【0027】
制御部101は、外部ネットワークと、車両1が有するコンポーネント(車両コンポーネント)との間でなされる通信を仲介する機能を実行する。例えば、ある車両コンポーネントが、外部ネットワークとの通信を必要とする場合、制御部101は、当該車両コンポーネントから送信されたデータを外部ネットワークに中継する機能を実行する。また、外部ネットワークから送信されたデータを受信し、当該データを適切な車両コンポーネントに転送する機能を実行する。
【0028】
さらに、制御部101は、自装置に固有な機能を実行することができる。例えば、制御部101は、セキュリティシステムの監視機能や通話機能を実行可能に構成されており、車内で発生したトリガに基づいて、セキュリティ通報や緊急通報等を行うことができる。
また、制御部101は、自車両が駐車された場合に、その位置に基づいて、複数のECU200の動作モードを決定し、駐車中において動作モードを切り替える制御を実行する。詳細な方法については後述する。
【0029】
通信インタフェース103は、DCM100を車載ネットワークに接続するためのインタフェースユニットである。本実施形態では、電子制御ユニット(ECU200)を含む複数の車両コンポーネントが、車載ネットワークのバス400を介して相互に接続される。車載ネットワークの規格として、例えば、CAN(Controller Area Network)を例示
することができる。なお、車載ネットワークが、複数の規格を利用するものである場合、通信インタフェース103は、通信先の規格に合わせた複数のインタフェース装置を有していてもよい。CAN以外の通信規格として、例えば、イーサネット(登録商標)などを例示することができる。
【0030】
次に、制御部101によって実行される機能について説明する。図3は、制御部101が有する機能モジュールと、記憶部102に記憶されるデータを説明する概要図である。制御部101が有する機能モジュールは、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムを制御部101によって実行することで実現することができる。
【0031】
データ中継部1011は、車両コンポーネント間で送受信されるデータの中継を行う。例えば、車載ネットワークに接続された第一の装置によって送出されたメッセージを受信し、必要に応じて、当該メッセージを、車載ネットワークに接続された第二の装置に転送する処理を実行する。第一および第二の装置は、ECU200であってもよいし、他の車両コンポーネントであってもよい。
また、データ中継部1011は、車両コンポーネントから、外部ネットワークを宛先とするメッセージを受信した場合に、当該メッセージを外部ネットワークに中継する。また、外部ネットワークから送信されたデータを受信し、当該データを適切な車両コンポーネ
ントに転送する。
【0032】
緊急通報部1012は、車両1に異常事態が発生した場合に、車外のオペレータに対して緊急通報を行う。異常事態の一例として、交通事故や車両故障の発生が挙げられる。緊急通報部1012は、例えば、車内に設けられたコールボタンの押下、エアバッグの展開といった所定のトリガが発生した場合に、オペレータとの接続を開始し、車両の乗員とオペレータとの間での通話を可能にする。なお、緊急通報時に、緊急通報部1012は、車両の位置情報をオペレータに送信してもよい。この場合、緊急通報部1012は、GPSモジュール140から位置情報を取得してもよい。
【0033】
セキュリティ管理部1013は、セキュリティ監視処理を行う。セキュリティ管理部1013は、例えば、車両の電子ロックを管轄するECU200から受信したデータに基づいて、正規の手順によらずに車両が解錠されたことを検知し、所定の装置に対してセキュリティ通報を送信する。なお、セキュリティ通報には、車両の位置情報が含まれていてもよい。この場合、セキュリティ管理部1013は、GPSモジュール140から位置情報を取得してもよい。セキュリティ管理部1013は、自車両のセキュリティに問題が生じたと判定した場合に、位置情報を取得し、取得した位置情報を、予め指定された外部装置に周期的に送信するようにしてもよい。
【0034】
電力管理部1014は、車両1が有している複数のECU200の動作モードを決定することで、省電力に関する制御を行う。具体的には、車両1が駐車状態となった場合に、車両1が駐車された地点(以下、駐車地点と称する)を取得する。また、駐車地点に基づいて、複数のECU200のそれぞれについて動作モードを決定し、当該複数のECU200の動作モードを切り替える。
【0035】
動作モードとは、ECU200を動作させるモードであり、例えば、「通常モード」、「スリープモード」、「省電力モード」などである。省電力モードは、ECU200が行う処理の実行頻度を減らすモード、処理の実行時間を減らすモード、外部との通信頻度を減らすモード、待機電流を減らすモード等に分かれていてもよい。
【0036】
複数のECU200のそれぞれを適切な動作モードに切り替えることで、車両システム全体の消費電力を低減することができる。例えば、通常の動作において、30秒おきに外部との通信を行うECU200がある場合、通信の間隔を5分に変更することで、消費電力を抑えることができる。
本実施形態では、動作モードとして、「通常」および「休止(スリープ)」を例示する。
【0037】
記憶部102は、モードリスト102Aを記憶する。
モードリスト102Aは、車両1が有する複数のECU200の動作モードが記録されたリストである。図4に、モードリスト102Aの例を示す。
モードリスト102Aは、車両1が特定の地点に駐車された場合における、複数のECU200の動作モードを定義するデータである。
本実施形態では、車両1が、特定の地点(以下、特定地点)に駐車された場合に、電力管理部1014が、モードリスト102Aに従って、車両1が有する複数のECU200の動作モードを変更する。車両1が特定地点以外の場所に駐車されている場合、車両1が有する複数のECU200は、通常通りの動作を行う。
【0038】
図2に戻り、ECU200について説明する。
ECU200は、車両1が有するコンポーネントを制御する電子制御ユニットである。車両1に含まれるECU200は複数あってもよい。複数のECU200は、例えば、エ
ンジン系統、電装系統、パワートレイン系統など、それぞれ異なる系統のコンポーネントを制御する。ECU200は、規定されたメッセージを生成し、車載ネットワークを介して周期的に送受信する機能を有する。
【0039】
また、ECU200は、DCM100を介して外部ネットワークと通信することで、所定のサービスを提供することができる。所定のサービスとして、例えば、リモートサービス(例えば、リモート空調サービス)、セキュリティ監視サービス、スマートホームと連携するサービス、自動駐車サービス(駐車区画と建物のエントランスの間を自動走行するサービス)などが挙げられる。
【0040】
また、ECU200は、車両の乗員に情報を提供する車載装置(例えば、カーナビゲーション装置)を制御してもよい。車載装置は、車両の乗員に情報を提供する装置であって、カーナビゲーションシステム、インフォテインメントシステム、ヘッドユニットとも呼ばれる。これにより、車両の乗員に対して、ナビゲーションや娯楽の提供を行うことができる。また、ECU200は、ホームネットワークを介して、交通情報、道路地図データ、音楽や動画像などをダウンロードしてもよい。
【0041】
ECU200は、DCM100と同様に、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROMやディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。
【0042】
ECU200は、制御部201と、記憶部202と、通信インタフェース203と、を含んで構成される。
制御部201は、所定のプログラムを実行することで、ECU200の各種機能を実現する演算ユニット(プロセッサ)である。記憶部202は、主記憶装置および補助記憶装置を含むメモリ装置である。
通信インタフェース203は、ECU200を車載ネットワーク(CANバス)に接続するインタフェースである。通信インタフェース203は、制御部201によって生成された所定形式のメッセージをCANバスに送信する処理と、CANバスから受信したメッセージを制御部201に送信する処理を実行する。
【0043】
ネットワークバス400は、車載ネットワークを構成する通信バスである。なお、本例では、一つのバスを例示しているが、車両1は、二つ以上の通信バスを有していてもよい。複数の通信バスは、DCM100や、複数の通信バスを取りまとめるゲートウェイによって互いに接続されていてもよい。
【0044】
次に、サーバ装置300について説明する。図5は、第一の実施形態におけるサーバ装置300の概要図である。
サーバ装置300は、車両1が駐車した地点(駐車地点)を所定のクラスに分類する装置である。
【0045】
第一の実施形態では、サーバ装置300は、分類結果として、車両1が駐車した地点(駐車地点)が、特定地点であるか否かを判定する。本実施形態では、特定地点とは、車両1が過去に駐車した地点の中で駐車時間が最も長い地点である。特定地点は、車両1の使用拠点(例えば、オーナーの自宅)に対応する地点(例えば、自宅駐車場)であると推定することができる。
サーバ装置300は、駐車地点と駐車時間との関係を学習した機械学習モデル(駐車地点モデル302A)を記憶しており、サーバ装置300は、当該モデルが出力したデータを用いて、駐車地点が特定地点であるか否かを判定する。
【0046】
サーバ装置300は、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、サーバ装置300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。
【0047】
サーバ装置300は、制御部301、記憶部302、および、通信部303を有して構成される。
制御部301は、サーバ装置300が行う制御を司る演算装置である。制御部301は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
制御部301は、学習部3011、および、分類部3012の2つの機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0048】
学習部3011は、駐車地点を分類するための機械学習モデル(駐車地点モデル302A)の学習を実行する。図6は、機械学習を説明する図である。
【0049】
学習部3011は、学習フェーズを実行する。具体的には、車両1から受信した、駐車地点に対応する位置情報と、当該駐車地点における駐車時間を示すデータ(駐車時間データ)に基づいて、駐車地点モデル302Aの学習を行う。これにより、駐車地点の位置情報を入力すると、当該駐車地点における推定駐車時間を出力する機械学習モデルを得ることができる。なお、学習フェーズは、所定のタイミングで事前に実行される。
なお、駐車地点モデル302Aは、サーバ装置300が管理する複数の車両1ごとに構築される。
【0050】
分類部3012は、分類フェーズを実行する。具体的には、車両1から受信した位置情報(すなわち、駐車地点に対応する位置情報)を駐車地点モデル302Aに入力し、駐車時間データを取得する。駐車時間データは、当該駐車地点における駐車時間の予想値を含む。駐車時間データは、全体における順位を表すデータを含んでいてもよい。分類部3012は、駐車時間データに基づいて、駐車地点が特定地点であるか否かを判定し、その結果を車両1に送信する。
【0051】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部301によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部301において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータ(前述した駐車地点モデル302Aを含む)が記憶される装置である。
【0052】
通信部303は、サーバ装置300をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部303は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信インタフェースを含んで構成される。
【0053】
次に、本実施形態に係る車両システムに含まれる構成要素が実行する処理のフローについて説明する。
【0054】
本実施形態に係る車両システムに含まれる構成要素が実行する処理は、サーバ装置300が駐車地点モデル302Aの学習を行わせるフェーズと、学習済みの駐車地点モデル302Aを用いて、車両1が有するECU200の動作モードを決定するフェーズとに大別される。前者を第一のフェーズ、後者を第二のフェーズと称する。
【0055】
まず、第一のフェーズについて説明する。図7は、第一のフェーズ、すなわち、サーバ
装置300が駐車地点モデル302Aを学習させる処理のフロー図である。
【0056】
まず、ステップS11で、車両1が有するDCM100(電力管理部1014)が、自車両のイグニッションが切られたことを検知する。電力管理部1014は、自車両のイグニッションが切られたことを検知した場合に、駐車時間のカウントを開始する。
【0057】
ステップS12では、車両1が有するDCM100(電力管理部1014)が、自車両のイグニッションが投入されたことを検知する。電力管理部1014は、自車両のイグニッションが投入されたことを検知した場合に、駐車時間のカウントを停止する。本ステップでは、電力管理部1014が、GPSモジュール140を介して位置情報を取得し、取得した位置情報と、カウントされた駐車時間を示すデータ(駐車時間データ)をサーバ装置300へ送信する。
【0058】
ステップS13では、サーバ装置300(学習部3011)が、車両1から受信した位置情報と駐車時間データを用いて、駐車地点モデル302Aの学習を行う。
【0059】
次に、第二のフェーズについて説明する。図8は、第二のフェーズ、すなわち、学習済みの駐車地点モデル302Aを用いて、車両1が有するECU200の動作モードを決定するフェーズのフロー図である。
【0060】
まず、ステップS21で、車両1が有するDCM100(電力管理部1014)が、自車両のイグニッションが切られたことを検知する。電力管理部1014は、自車両のイグニッションが切られたことを検知した場合に、GPSモジュール140を介して位置情報を取得し、サーバ装置300へ送信する。
【0061】
次に、ステップS22で、サーバ装置300(分類部3012)が、駐車地点モデルを用いて、駐車地点に対応する駐車時間データを取得する。そして、当該駐車地点が特定地点であるか(すなわち、複数の駐車地点の中で駐車時間が最も長い駐車地点であるか)否かを判定し、その判定結果をDCM100へ送信する。
【0062】
次に、ステップS23で、電力管理部1014が、駐車地点が特定地点であるか否かを判定する。駐車地点が特定地点でない場合、処理はステップS24へ進む。駐車地点が特定地点である場合、処理は終了する。
【0063】
ステップS24では、電力管理部1014が、モードリスト102Aを参照し、各ECU200の動作モードを変更するためのコマンドを生成する。コマンドは、対象のECU200の数だけ生成されてもよい。生成されたコマンドは、車載ネットワークを介して、対象のECU200のそれぞれに対して送信される。
例えば、指定された動作モードが「休止」である場合、対象のECU200に対してスリープを指示するコマンドが送信される。また、動作モードとして、消費電力を抑えるモードが指定された場合、対象のECU200に対して当該モードへの移行を指示するコマンドが送信される。
【0064】
ステップS25では、コマンドを受信した各ECU200が、コマンドに従ってその動作モードを変更する。
第一の実施形態では、駐車地点が特定地点ではない場合、つまり、自宅以外において車両1が駐車されている場合において、図4に示したように、スマートホームと連携するECU200が休止状態となる。これにより、ECU200による無用な電力の消費を抑制することができる。
【0065】
DCM100(電力管理部1014)が、自車両のイグニッションが投入されたことを検知した場合(ステップS26)、電力管理部1014は、ECU200の動作モードを元に戻すためのコマンド(復帰コマンド)を生成し、対象のECU200に送信する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態では、車両1が駐車された地点が、特定地点であるか否かに基づいて、車両1が有する複数のECU200のそれぞれの動作モードを指定するための処理を実行する。これにより、所定の特徴を持つ駐車地点において、複数のECU200の動作モードを変更することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、車両1の駐車時間が最も長い駐車地点(すなわち、車両1の本拠地)を特定地点としたが、ある駐車地点が特定地点であるか否かは、他の基準に基づいて判定してもよい。また、当該判定は、車両1から取得した、位置情報以外のデータを用いて行ってもよい。
また、本実施形態では、駐車地点が特定地点ではない場合に、ECU200の動作モードを変更したが、駐車地点が特定地点である場合において、ECU200の動作モードを変更するようにしてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、機械学習モデルを用いて、特定地点に関する判定を行ったが、当該判定はこれ以外の手段を用いて行ってもよい。また、学習の結果(例えば、特定地点のリスト等)をサーバ装置300からDCM100に送信し、特定地点に関する判定を車両1側で行うようにしてもよい。
【0069】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、車両1が駐車した地点が特定地点であるか否かに基づいて、複数のECU200の動作モードを切り替えるか否かを決定した。
これに対し、第二の実施形態は、駐車地点を複数のクラスに分類し、分類結果に応じて、各ECU200の動作モードを個別に指定する実施形態である。
【0070】
第二の実施形態では、サーバ装置300が、駐車地点を、「自宅」「職場」といったような、事前に定義された複数のラベルによって分類する。
例えば、サーバ装置300は、車両1から収集した情報に基づいて、所定の駐車地点が、車両1のオーナーの自宅に対応する地点であることを学習する。また、学習結果に基づいて、駐車を開始した車両1に対して、「自宅」というラベルを通知する。これにより、車両1は、「自宅」に対応する動作モードで複数のECU200を動作させればよいことを認識することができる。
【0071】
第二の実施形態では、駐車地点モデルは、駐車地点の位置情報と、駐車地点の種別を表すラベル(以下、種別ラベル)を用いて学習されたモデルである。図9は、第二の実施形態における駐車地点モデルを説明する図である。第二の実施形態における駐車地点モデルは、教師データが駐車時間データではなく、種別ラベルであるという点において第一の実施形態と相違する。
【0072】
図10は、第二の実施形態における第一のフェーズのフロー図である。
第二の実施形態では、サーバ装置300(学習部3011)は、車両1から受信した、駐車地点に対応する位置情報と、当該駐車地点に対応する種別ラベルに基づいて、駐車地点モデル302Aの学習を行う。これにより、駐車地点の位置情報を入力すると、当該駐車地点に対応する種別ラベルを出力する機械学習モデルを得ることができる。
【0073】
ステップS11Aでは、車両1が有するDCM100(電力管理部1014)が、自車両のイグニッションが切られたことを検知し、第一の実施形態と同様に、駐車地点の位置
情報を取得する。
また、電力管理部1014は、駐車地点に対応する種別ラベルを取得し、位置情報とともにサーバ装置300に送信する。
種別ラベルは、「自宅」「職場」といったように、ユーザごとに異なるものであってもよい。この場合、駐車地点に対応する種別ラベルをユーザから取得してもよい。例えば、ユーザが所持する携帯端末から、自宅や職場の位置に関するデータを取得し、当該データを用いて種別ラベルを生成してもよい。
【0074】
また、種別ラベルは、「商業施設」「鉄道駅」といったように、一般的なものであってもよい。この場合、車両1に搭載されているナビゲーション装置に記憶されている地図データ等を用いて種別ラベルを生成してもよい。
【0075】
ステップS12Aでは、学習部3011が、駐車地点に対応する位置情報と、種別ラベルを用いて駐車地点モデル302Aの学習を行う。
【0076】
第二の実施形態では、DCM100が、駐車地点の種別ごとに、モードリストを記憶している。図11は、第二の実施形態におけるモードリスト102Aの例である。本例では、「自宅」と「職場」で、それぞれ異なる動作モードが定義されている。本例では、例えば、職場においては、スマートホームと連携を行うECU200は休止される。
【0077】
図12は、第二の実施形態における第二のフェーズのフロー図である。第一の実施形態と同様の処理については点線で示し、説明は省略する。
【0078】
本実施形態では、ステップS22Aにおいて、サーバ装置300(分類部3012)が、駐車地点モデル302Aを用いて、駐車地点に対応する種別ラベルを取得する。取得された種別ラベルは、DCM100へ送信される。
【0079】
ステップS24Aでは、DCM100(電力管理部1014)が、種別ラベルに対応する動作モードのリストを取得し、各ECU200に対するコマンドを生成する。例えば、図11の例において、「職場」という種別が得られた場合、駐車中において、ECU200Dのみを休止させるコマンドを生成する。なお、駐車地点に対応する種別が得られなかった場合、車両1が有する複数のECU200は、通常通り動作する。
以降の処理は、第一の実施形態と同様である。
【0080】
以上説明したように、第二の実施形態では、所定の基準によって駐車地点を複数のクラスに分類し、分類結果ごとに各ECU200の動作モードを指定する。これにより、よりきめ細かい省電力制御を行うことが可能になる。
【0081】
なお、本実施形態における種別ラベルは、充電設備など、所定の施設の有無を示すものであってもよい。これにより、例えば、「充電設備を有する駐車場においては、充電を管理するECU200を動作させる」といったことが可能となる。
【0082】
また、種別ラベルは、ネットワークインフラの有無に基づいたものであってもよい。これにより、例えば、「所定のネットワークにアクセスできる駐車場においては、当該ネットワークへのアクセスを必須とするECU200を動作させる」といったことが可能となる。
【0083】
また、種別ラベルは、無線通信環境に基づいたものであってもよい。例えば、サーバ装置300が移動体通信において利用される無線信号の電界強度マップを記憶し、駐車位置ごとの電界強度に基づいて種別ラベルを生成してもよい。これにより、例えば、移動体通
信の性能が十分に発揮できない場所においては通信を抑制するといったことが可能になる。
【0084】
(第三の実施形態)
第一ないし第二の実施形態では、事前に作成されたモードリストをDCM100が記憶した。これに対し、第三の実施形態は、駐車中における複数のECU200の過去の動作実績に基づいて、駐車中におけるECU200の好ましい動作モードをサーバ装置300が学習する実施形態である。
【0085】
第三の実施形態では、車両1が駐車を行うごとに、サーバ装置300が、駐車中における複数のECU200の動作実績を取得し、駐車地点と、ECU200の好ましい動作モードとの関係を、機械学習モデル(省電力モデルと称する)によって学習する。
第三の実施形態では、DCM100の記憶部102にモードリスト102Aは記憶されない。代わりに、サーバ装置300の記憶部302に、省電力モデル302Bが記憶される。図13は、第三の実施形態におけるサーバ装置300の概要図である。
【0086】
第三の実施形態では、サーバ装置300(学習部3011)は、所定の駐車地点における、複数のECU200の過去の動作実績を示すデータ(動作実績データ)を取得し、動作実績データに基づいて、対応するECU200の望ましい動作モードを決定し、省電力モデルの学習を行う。
【0087】
例えば、サーバ装置300は、車両1から収集した情報に基づいて、所定の駐車地点において、「あるECU200が通信を要求したが、移動体通信ネットワークが利用できなかった」ことを判定する。斯様な駐車地点においては、次回以降の駐車時においてもネットワークが利用できない可能性が高い。そこで、サーバ装置300は、当該駐車地点においては、当該ECU200を動作させない、または、当該ECU200の通信の頻度を低下させるよう、省電力モデルの学習を行う。
【0088】
図14は、複数のECU200についての動作実績データと、各ECU200の望ましい動作モードとの関係を例示した図である。例えば、あるECU200について、駐車中において通信の要求が発生したにもかかわらず、通信がタイムアウトした場合、駐車地点のネットワーク環境に問題があると考えられるため、当該駐車地点においては当該ECU200を休止すべき(または、通信の頻度を低下させるべき)旨の判定を行う。反対に、通信の要求があり、かつ、正常に通信が行われた場合、当該ECU200を動作させるべき旨の判定を行う。このような判定を複数のECU200のそれぞれについて行うことで、複数のECU200の好ましい動作モードが記述されたモードリストを生成することができる。
【0089】
また、サーバ装置300は、生成したモードリストを用いて、省電力モデル302Bの学習を行う。省電力モデル302Bは、駐車地点の位置情報と、モードリストとの関係を学習するモデルである。図15は、第三の実施形態における省電力モデルを説明する図である。本実施形態では、サーバ装置300が、動作実績データに基づいてモードリストを生成し、当該モードリストを用いて省電力モデル302Bの学習を行う。これにより、駐車地点の位置情報を入力すると、当該駐車地点に対応するモードリスト(すなわち、複数のECU200の好ましい動作モードのリスト)が出力される機械学習モデルを得ることができる。
【0090】
図16は、第三の実施形態における、第一のフェーズのフロー図である。
まず、ステップS31で、車両1が有するDCM100(電力管理部1014)が、自車両のイグニッションが切られたことを検知する。電力管理部1014は、自車両のイグ
ニッションが切られたことを検知した場合に、複数のECU200の動作状況の監視を開始する(ステップS32)。監視の結果(動作ログおよび通信のログ)は、駐車中において記憶部102に随時蓄積される。
【0091】
ステップS33では、車両1が有するDCM100(電力管理部1014)が、自車両のイグニッションが投入されたことを検知する。電力管理部1014は、自車両のイグニッションが投入されたことを検知した場合に、ECU200の監視を停止する。本ステップでは、電力管理部1014が、GPSモジュール140を介して位置情報を取得し、取得した位置情報と、駐車中に蓄積された、ECU200の動作状況を示すデータ(動作実績データ)をサーバ装置300へ送信する。
【0092】
ステップS34では、サーバ装置300(学習部3011)が、動作実績データに基づいてモードリストを生成する。
そして、ステップS35において、受信した位置情報、および、生成したモードリストを用いて、省電力モデル302Bの学習を実行する。
【0093】
図17は、第三の実施形態における第二のフェーズのフロー図である。第一の実施形態と同様の処理については点線で示し、説明は省略する。
【0094】
本実施形態では、ステップS22Bにおいて、サーバ装置300(分類部3012)が、省電力モデル302Bを用いて、駐車地点に対応するモードリストを取得する。取得されたモードリストはDCM100へ送信される。
【0095】
ステップS24Bでは、DCM100(電力管理部1014)が、取得したモードリストに基づいて、各ECU200に対するコマンドを生成する。例えば、図14の例の場合、ECU200Aおよび200Bを休止させるコマンドを生成する。
以降の処理は、第一の実施形態と同様である。
【0096】
以上説明したように、第三の実施形態においては、駐車中におけるECU200の動作実績に基づいて、所定の駐車地点ごとに、ECU200の好ましい動作モードを学習する。これにより、モードリストを事前に生成せずとも、ECU200の動作モードを決定することが可能になる。
【0097】
なお、本実施形態では、動作実績データに基づいて生成されたモードリストを教師データとして省電力モデル302Bの学習を行ったが、動作実績データを教師データとして当該学習を行ってもよい。この場合、ステップS22Bにおいて、省電力モデル302Bの出力に基づいてモードリストを生成するようにしてもよい。
【0098】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0099】
また、第一および第二の実施形態では、サーバ装置300が駐車地点の分類を行ったが、サーバ装置300を利用せず、処理をDCM100で完結させてもよい。
また、実施形態の説明では、駐車地点に基づいて、ECU200の動作モードを決定したが、さらなる条件を用いて、ECU200の動作モードを決定してもよい。例えば、駐車地点が、車両1を充電可能な駐車場である場合、「車両が充電中である場合は所定のECU200を動作させる」、「車両が充電中でない場合は当該ECUを休止させる」とい
った条件を付加してもよい。
【0100】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0101】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0102】
1・・車両
100・・DCM
200・・・ECU
400・・・ネットワークバス
101,201・・・制御部
102,202・・・記憶部
103,203・・・通信インタフェース
110・・・アンテナ
120・・・通信モジュール
130・・・GPSアンテナ
140・・・GPSモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17