(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191011
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】電子機器及びその制御方法、通信システム、プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20221220BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H02J50/20
H02J7/00 301D
H02J7/00 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099613
(22)【出願日】2021-06-15
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森井 崇
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA13
5G503EA05
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】送信機が発信する無線通信データの量が少ない環境にあっても、電子機器の受電量を確保できるようにする。
【解決手段】第1の無線通信方式で電力を受電する受電部と、受電部により受電した電力により、二次電池を充電する充電部と、二次電池の残量を検出する第1の検出部と、第1の検出部により検出された二次電池の残量が第1の閾値以下になった場合に、第1の無線通信方式よりも通信距離の短い第2の無線通信方式を用いて、ダミーデータの送信要求を外部に送信する第1の送信部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信方式で電力を受電する受電手段と、
前記受電手段により受電した電力により、二次電池を充電する充電手段と、
前記二次電池の残量を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により検出された前記二次電池の残量が第1の閾値以下になった場合に、前記第1の無線通信方式よりも通信距離の短い第2の無線通信方式を用いて、ダミーデータの送信要求を外部に送信する第1の送信手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の検出手段により検出された前記二次電池の残量が、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上になった場合に、前記第1の送信手段は、前記第2の無線通信方式を用いて、前記ダミーデータの送信の停止要求を外部に送信することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2の無線通信方式は、前記第1の無線通信方式よりも消費電力が少ないことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の無線通信方式は、無線LANを用いた通信方式であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2の無線通信方式は、Bluetooth Low Energyであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記二次電池の容量は、前記第2の無線通信方式を動作させることが可能な容量であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
第1の無線通信方式で電力を受電する受電手段と、
前記受電手段により受電した電力により、二次電池を充電する充電手段と、
前記二次電池の残量を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により検出された前記二次電池の残量が第1の閾値以下になった場合に、前記第1の無線通信方式よりも通信距離の短い第2の無線通信方式を用いて、ダミーデータの送信要求を外部に送信する第1の送信手段と、を有する第1の電子機器と、
前記第2の無線通信方式を用いて、前記送信要求を受信する受信手段と、
前記送信要求に応じて、前記第1の無線通信方式で、前記ダミーデータを送信する第2の送信手段と、を有する第2の電子機器と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
前記第1の検出手段により検出された前記二次電池の残量が、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上になった場合に、前記第1の送信手段は、前記第2の無線通信方式を用いて、前記ダミーデータの送信の停止要求を外部に送信することを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第2の無線通信方式は、前記第1の無線通信方式よりも消費電力が少ないことを特徴とする請求項7または8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記第1の無線通信方式は、無線LANを用いた通信方式であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項11】
前記第2の無線通信方式は、Bluetooth Low Energyであることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項12】
前記二次電池の容量は、前記第2の無線通信方式を動作させることが可能な容量であることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項13】
第1の無線通信方式で電力を受電する受電手段と、
前記受電手段により受電した電力により、二次電池を充電する充電手段と、
前記二次電池の残量を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により検出された前記二次電池の残量が第1の閾値以下になった場合に、前記第1の無線通信方式よりも通信距離の短い第2の無線通信方式を用いて、ダミーデータの送信要求を外部に送信する第1の送信手段と、を有する第1の電子機器と、
前記第2の無線通信方式を用いて、前記送信要求を受信する第1の受信手段と、
前記送信要求に応じて、前記第1の無線通信方式を用いて、前記ダミーデータの送信要求を外部に送信する第2の送信手段と、を有する第2の電子機器と、
前記第2の送信手段から送信された送信要求を、前記第1の無線通信方式を用いて受信する第2の受信手段と、
前記送信要求に応じて、前記第1の無線通信方式で、前記ダミーデータを送信する第3の送信手段と、を有する第3の電子機器と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項14】
前記第1の検出手段により検出された前記二次電池の残量が、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上になった場合に、前記第1の送信手段は、前記第2の無線通信方式を用いて、前記ダミーデータの送信の停止要求を外部に送信することを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
前記第2の無線通信方式は、前記第1の無線通信方式よりも消費電力が少ないことを特徴とする請求項13または14に記載の通信システム。
【請求項16】
前記第1の無線通信方式は、無線LANを用いた通信方式であることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項17】
前記第2の無線通信方式は、Bluetooth Low Energyであることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項18】
前記二次電池の容量は、前記第2の無線通信方式を動作させることが可能な容量であることを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項19】
第1の無線通信方式で電力を受電する受電手段と、前記受電手段により受電した電力により、二次電池を充電する充電手段と、前記二次電池の残量を検出する第1の検出手段と、を備える電子機器を制御する方法であって、
前記第1の検出手段により検出された前記二次電池の残量が第1の閾値以下になった場合に、前記第1の無線通信方式よりも通信距離の短い第2の無線通信方式を用いて、ダミーデータの送信要求を外部に送信する送信工程を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項20】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線で電力を送信する技術を使用する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無線で電力を伝送する技術分野においては、電磁誘導方式や、共鳴送電方式、マイクロ波方式などが知られている。その中でも、無線LANや携帯電話通信などのマイクロ波を利用したエネルギーハーベスティングは、充電を不要とする、バッテリーレス、ワイヤレス化を可能とする、CO2を排出せず環境にやさしいなどの利点があり、注目を集めている。
【0003】
マイクロ波を用いて受電する技術としては、レクテナを用いた無線電力受電システムが知られており、その技術は、特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0004】
特許文献1には、マイクロ波を受信する受信手段と、受信したマイクロ波を整流する第1及び第2整流回路と、受信手段と第1及び第2整流回路との間に介設されたハイブリッド回路とを備えたレクテナが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、複数のアンテナによって受電された電流を計測して、複数のアンテナから、効率が最大となるアンテナを選択するといった無線電力伝送システムが開示されている。
【0006】
特許文献1や特許文献2に開示された無線電力受電システムにおいは、
図7に示すように無線通信データを受信して、電池などに充電を行っている。
図7において、マイクロ波を用いて受電する電子機器700は、受電した電力で電池などに充電を行う。スマートフォンなどに代表される無線通信機器710と、アクセスポイントや公衆基地局などの無線通信機器720が通信を行っており、電子機器700はその通信電波から受電している。
【0007】
また、
図8は、無線通信機器720と無線通信機器710が無線通信を行っている場合の、電波の出力電力と、電子機器700が電波から受電する電力と、電子機器700の電池電圧を示している。電池の電圧は電力を受電した時の充電および、受電していない時の自己電力消費による減電により電圧が変化している。横軸は時間を示している。このように、無線通信機器710と無線通信機器720が無線で通信データを送受信して、通信を行っている際、電子機器700は通信データから受電を行い、電池への充電を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-23857号公報
【特許文献2】特開2011-114949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に開示された従来技術では、無線LANや携帯電話通信などのマイクロ波を送信する送信機が発信する無線通信データの量が少ない環境においては、電力の受電量が少なくなる。そのため、例えばデータ通信を行わない時のビーコン程度の通信頻度では、受電する電力よりも電子機器700が消費する電力のほうが大きく、バッテリが減電してしまう。
【0010】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、送信機が発信する無線通信データの量が少ない環境にあっても、電子機器の受電量を確保できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係わる電子機器は、第1の無線通信方式で電力を受電する受電手段と、前記受電手段により受電した電力により、二次電池を充電する充電手段と、前記二次電池の残量を検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段により検出された前記二次電池の残量が第1の閾値以下になった場合に、前記第1の無線通信方式よりも通信距離の短い第2の無線通信方式を用いて、ダミーデータの送信要求を外部に送信する第1の送信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、送信機が発信する無線通信データの量が少ない環境にあっても、電子機器の受電量を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係わる電子機器の構成を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態における無線通信機器のブロック図。
【
図3】電子機器と無線通信機器の通信動作を示すシーケンス図。
【
図4】
図3のシーケンスを行った場合の、各部の状態を示す図。
【
図5】第2の実施形態における無線通信機器のブロック図。
【
図6】第2の実施形態における電子機器と無線通信機器の通信動作を示すシーケンス図。
【
図7】従来の無線電力受信システムの構成を示す図。
【
図8】従来の無線電力受信システムのタイミング図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる電子機器100の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、カメラやスマートフォンなどのモバイル機器に代表される電池で動作する電子機器100は、
図7のシステムにおける電子機器700に該当する。
【0017】
図1において、メイン制御部101は、電子機器100全体を制御する。サブ制御部102は、電子機器100を制御する制御部であるが、メイン制御部101に比べ低消費電力で動作する。記憶部103は、電源が供給されていなくても設定などを記憶しておくことができる記憶部であり、メイン制御部101と通信を行う。また、メイン制御部101およびサブ制御部102は、記憶部103に記憶されているプログラムを実行することにより、電子機器100全体を制御する。電源スイッチ104は、電子機器100の電源をON/OFFするためにユーザーが操作するスイッチである。
【0018】
メイン電池120は、電子機器100を動作させるための主電源であり、リチウムイオン電池などに代表される充電可能な二次電池である。補助電池121は、電子機器100を動作させるための電池であるが、メイン電池120よりも電池容量が小さく、主電源が無い場合の補助的な役割を果たす。補助電池121には、充電可能な二次電池が用いられる。電池検知部122は、電池収納部でのメイン電池120の有無や、電池残量などを検知する。電池検知部123は、電池収納部での補助電池121の有無や、電池の残量などを検知する。電源制御部124は、電子機器100の各部への電源供給を制御する機能を有し、メイン電池120などから、メイン制御部101、サブ制御部102、記憶部103などに供給する電力を制御する。
【0019】
受電制御部125は、マイクロ波などから受ける電力を制御する。受電検知部126は受電制御部125で受電している電力量などを検知する。無線通信制御部150は、無線によるデータの送受信を行う制御部で、2.4GHz帯の電波を使う無線LANなどが適用される。無線通信制御部151は、無線によるデータの送受信を行う制御部で、無線通信制御部150よりも低消費電力で、電池容量の小さい補助電池121を用いて動作を行うことができる。ここでは、例えば2.4GHz帯の電波を使うBluetooth Low Energyなどが適用される。
【0020】
無線通信制御部152は、無線によるデータの送受信を行う制御部で、無線通信制御部150とは通信に使用している周波数帯域が異なり、例えば5GHz帯の電波を使う無線LANなどが適用される。無線通信制御部153は、無線によるデータの送受信を行う制御部で、無線通信制御部150や、無線通信制御部152とは通信に使用している周波数帯域が異なり、ここでは、28GHz帯などを使った第5世代通信システムなどが適用される。
【0021】
整流回路160は、無線通信制御部150がデータ通信で使用する周波数帯の通信電波を整流して受電制御部125に供給する。整流回路161は、無線通信制御部152がデータ通信で使用する周波数帯の通信電波を整流して受電制御部125に供給する。整流回路162は、無線通信制御部153がデータ通信で使用する周波数帯の通信電波を整流して受電制御部125に供給する。
【0022】
切替え回路163は、同一の周波数帯を使用する無線通信制御部150と無線通信制御部151を切り替える。切替え回路164は、無線通信制御部150または無線通信制御部151で無線データ通信を行うか、整流回路160を介して受電制御部125に無線通信電波を電力として供給するかを切り替える。切替え回路165は、アンテナ175に対してアンテナ整合回路171とアンテナ整合回路172を切り替える。切替え回路166は、無線通信制御部152で無線データ通信を行うか、整流回路161を介して受電制御部125に無線通信電波を電力として供給するかを切り替える。切替え回路167は、無線通信制御部153で無線データ通信を行うか、整流回路162を介して受電制御部125に無線通信電波を電力として供給するかを切り替える。
【0023】
入力フィルタ回路168は、無線通信制御部150または無線通信制御部151がデータ通信で使用する周波数帯を通過させる。入力フィルタ回路169は、無線通信制御部152がデータ通信で使用する周波数帯を通過させる。入力フィルタ回路170は、無線通信制御部153がデータ通信で使用する周波数帯を通過させる。
【0024】
アンテナ整合回路171は、アンテナ175とのインピーダンスを使用周波数において整合させる。アンテナ整合回路172は、アンテナ175とのインピーダンスを使用周波数において整合させる回路で、アンテナ整合回路171とは同じ通信周波数帯域内で、異なる周波数の整合を行う。アンテナ整合回路173は、アンテナ176とのインピーダンスを使用周波数において整合させる。アンテナ整合回路174は、アンテナ177とのインピーダンスを使用周波数において整合させる。
【0025】
アンテナ175は、無線通信制御部150と無線通信制御部151が使用する周波数帯の電波を受信する。アンテナ176は、無線通信制御部152が使用する周波数帯の電波を受信する。アンテナ177は、無線通信制御部153が使用する周波数帯の電波を受信する。ここで、無線通信制御部151が送受信可能な通信距離は、無線通信制御部150が送受信可能な通信距離よりも小さい。
【0026】
図2は、カメラやスマートフォンなどのモバイル機器に代表される無線通信機器200の構成を示すブロック図である。
図2において、無線通信機器200は、電池で動作し、
図7のシステムにおける無線通信機器710に該当する。
【0027】
図2において、メイン制御部201は、無線通信機器200全体を制御する。メイン電池220は、無線通信機器200を動作させるための主電源である。電源制御部224は、無線通信機器200を動作させるための電源制御部で、メイン電池220からの電力を無線通信機器200の各部に供給する。
【0028】
無線通信制御部251は、第2の無線通信方式によりデータの送受信を行うことができる。ここでは、すでに説明したように、低消費電力での動作が可能な、例えば2.4GHz帯の電波を使うBluetooth Low Energyなどが適用される。アンテナ275は、無線通信制御部251が送受信を行うために用いられ、無線通信制御部251が使用する周波数帯に最適化されている。
【0029】
無線通信制御部250は、無線通信制御部251の第2の無線通信方式とは異なる、第1の無線通信方式でデータの送受信を行う制御部で、例えば5GHz帯の電波を使う無線LANなどが適用可能である。アンテナ276は、無線通信制御部250が送受信を行うために用いられ、無線通信制御部250が使用する周波数帯に最適化されている。また、無線通信制御部251が送受信可能な通信距離は、無線通信制御部250が送受信可能な通信距離よりも小さい。
【0030】
次に、
図3は、電子機器100と無線通信機器200の通信動作を示すシーケンス図である。
【0031】
電子機器100において、電池検知部123は補助電池121の電圧を検出しており、ステップS301において、補助電池121の電圧値がある閾値1の電圧以下(第1の閾値以下)になったこと、つまりは電池残量が少いことを検出する。ここでの閾値1は、サブ制御部102と無線通信制御部151とが動作するために必要な最低限の電池電圧である。ステップS302では、電池検知部123からサブ制御部102に、補助電池121の「残量少ない」という情報を通知する。「残量少ない」という情報を受け取ったサブ制御部102は、ステップS303で無線通信制御部151に対し「ダミーデータ送信」という情報を送信するように命令する(送信要求)。「ダミーデータ送信」という情報を送信するように命令を受け取った無線通信制御部151は、ステプS304で周囲の無線通信機器に(外部に)「ダミーデータ送信」という通知を行う。
【0032】
無線通信機器200の無線通信制御部251が、ステップS305で「ダミーデータ送信」という情報を受信すると、ステップS306でメイン制御部201に「ダミーデータ送信」の通知を行う。メイン制御部201は、ステップS307において、無線通信制御部250に「ダミーデータ送信」の命令を送る。無線通信制御部250は「ダミーデータ送信」の命令を受信すると、ステップS308でダミーデータを送信する。ここでのダミーデータ送信とは、対向機などとの通信を確立することなく、データを連続送信し続けることであり、対向する無線通信機器300からのデータ受信確認信号などが受信できなくても、データを連続して送信し続ける。
【0033】
無線通信機器200がダミーデータを送信し続けると、電子機器100のサブ制御部102は、アンテナ176から電波を受信して電力を受電し、補助電池121を充電する。その後、サブ制御部102は、ステップS309で、電池検知部123が補助電池121の電圧が閾値2の電圧以上(第2の閾値以上)になったことを検知する。ここでの閾値2は、補助電池121が満充電の電圧値や、ダミーデータ送信が停止するまでの時間を考慮して満充電となるような電圧値である。
【0034】
その後、ステップS310で電池検知部123からサブ制御部102に補助電池121の「残量多い」という情報を通知する。「残量多い」という情報を受け取ったサブ制御部102は、ステップS311で無線通信制御部151に対し「ダミーデータ停止」という情報を送信する命令を行う(停止要求)。「ダミーデータ停止」という情報を送信する命令を受け取った無線通信制御部151は、ステップS312で周囲の無線通信機器に「ダミーデータ停止」の通知を行う。
【0035】
無線通信機器200の無線通信制御部251が、ステップS313で「ダミーデータ停止」の情報を受信すると、ステップS314でメイン制御部201に「ダミーデータ停止」の通知を行う。メイン制御部201は、ステップS315で、無線通信制御部250にダミーデータ停止の命令を送る。無線通信制御部250は、ダミーデータ停止の命令を受信すると、ステップS316でダミーデータを停止する。
【0036】
次に、
図4は、
図3のシーケンスを行った場合の、各部の状態を示す図である。
図4は、
図3のシーケンスを実施した場合の無線通信機器300(
図7のシステムにおける無線通信機器710に該当する)と無線通信機器200が無線通信を行っている時の電波の出力電力、電子機器100が無線通信により受電した電力、電子機器100の補助電池121の電圧を示している。
図8と同様の箇所は、ここでの説明は省略する。
【0037】
電子機器100の補助電池121の電圧が、閾値1以下になった時(時刻T1)、無線通信制御部151がBluetoothなどの第2の通信を使い、周囲の無線通信機器に「ダミーデータ送信」の通知を行う。無線通信機器200の無線通信制御部251が第2の通信で「ダミーデータ送信」の情報を受信(時刻T2)し、その後、メイン制御部201の指令により、無線通信制御部250は第1の通信を用いてダミーデータを送信する(時刻T3)。
【0038】
無線通信機器200がダミーデータを送信し続けると、電子機器100はアンテナ176から電波を受信して電力を受電し、補助電池121が充電される。その後、充電が継続されて、電子機器100の補助電池121の電圧が、閾値2を超えた時(時刻T4)、無線通信制御部151が、Bluetoothなどの第2の通信を用い、周囲の無線通信機器に「ダミーデータ停止」の通知を行う。無線通信機器200の無線通信制御部251が第2の通信で「ダミーデータ停止」の情報を受信(時刻T5)し、その後、メイン制御部201の指令により、無線通信制御部250は第1の通信によるダミーデータの送信を停止する(時刻T6)。これにより、無線通信機器200からのダミーデータの送信が停止され、電子機器100は、アンテナ176から受電し補助電池121へ充電する動作を停止する。
【0039】
ここで、無線通信制御部250が使用する第1の通信の送信可能な通信距離が、無線通信制御部151と無線通信制御部251が使用する第2の通信の通信距離よりも小さい場合、第1の通信でダミーデータを送信しても、電子機器100に電波が届かない。これによって、無駄にダミーデータを送信してしまう可能性がある。そのため、無線通信制御部151と無線通信制御部251が使用する第2の通信の通信距離は、無線通信制御部250が使用する第1の通信の通信距離と同等以下であることが望ましい。
【0040】
また、上記では、電子機器100の補助電池121の電圧が、閾値1以下になった場合について説明した。しかし、補助電池121の容量に比べ、消費電力の割合が高い場合、メイン電池120が無い状態、例えば、メイン電池120が電子機器100から抜かれた状態になった時点で、補助電池121が、急激に減電してしまう可能性がある。このような場合に対応するために、閾値1を設けず、メイン電池120が無い状態に陥った時点で、無線通信制御部151がBluetoothなどの第2の通信を使い、周囲の無線通信機器に「ダミーデータ送信」の通知を行うようにしてもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
以下、
図5、
図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係わる電子機器について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態における、無線通信機器200がダミーデータを送信し続けた場合にメイン電池220の残量が減ってしまうといった問題を解消する方法について説明する。
【0042】
図5において、
図7の無線通信機器720に該当する無線通信機器500は、アクセスポイントや公衆基地局などの無線通信機器で、特定の場所に設置されてコンセントなどの電源で動作する。
【0043】
図5において、無線通信機器500を動作させるための電源制御部524は、コンセントなどの電源から電力供給を受け、無線通信機器500の各部に電源を供給する。メイン制御部501は、無線通信機器500全体を制御する。無線通信制御部550は、
図1で示した無線通信制御部151とは異なる通信方式で通信を行い、例えば5GHz帯の電波を使う無線LANなどが適用される。アンテナ576は、無線通信制御部550が通信に用いる無線電波を送受信するためのアンテナで、無線通信制御部550が使用する周波数帯に最適化されている。
【0044】
次に、
図6は、電子機器100、無線通信機器200、および無線通信機器500の通信動作を示すシーケンス図である。
図6において、
図3と同様の箇所は、同じ符号をつけて、ここでの説明は省略する。
【0045】
図3と異なる箇所は、ステップS306で、無線通信制御部251がメイン制御部201に「ダミーデータ送信」の通知を行った以降である。
【0046】
「ダミーデータ送信」の通知を受け取ったメイン制御部201は、ステップS607で、無線通信制御部250に「ダミーデータ送信」の情報を送信する命令を送る。ステップS608において、無線通信制御部250は通信を行っていた無線通信機器500の無線通信制御部550に対し、「ダミーデータ送信」の通知を行う。無線通信機器500の無線通信制御部550が、ステップS609で「ダミーデータ送信」の情報を受信すると、ステップS610でメイン制御部501に「ダミーデータ送信」の通知を行う。メイン制御部501は、ステップS611で、無線通信制御部550に「ダミーデータ送信」の命令を送る。
【0047】
無線通信制御部550は、「ダミーデータ送信」の命令を受信すると、ステップS612でダミーデータを送信する。ここでのダミーデータ送信は、対向機などとの通信を確立することなく、データを連続して送信し続ける動作であり、対向する無線通信機器200からのデータ受信確認信号などが受信できなくても、データを連続して送信し続ける。また、ダミーデータの送信は一定周期で停止、送信を繰り返し、停止している間に無線通信機器200などからの通信を受け付ける。この一定周期の期間は、無線通信機器200と無線通信機器500との間で事前に決めることができ、無線通信機器200も把握している。ここにおいて、無線通信機器500はコンセントからの電力で、ダミーデータを送信する電力を賄うことができる。無線通信機器500がダミーデータの送信を繰り返し行うことにより、電子機器100はアンテナ176から電波を受信して電力を受電し、補助電池121の充電を行う。
【0048】
その後、ステップS309~ステップS314までは、
図3と同様であり、
図3と異なる箇所は、ステップS314で、無線通信制御部251がメイン制御部201に「ダミーデータ停止」の通知を行った以降である。
【0049】
「ダミーデータ停止」の通知を受け取ったメイン制御部201は、ステップS615で、無線通信制御部250に「ダミーデータ停止」の情報を送信する命令を送る。ステップS616において、無線通信制御部250は通信を行っていた無線通信機器500の無線通信制御部550に対し、「ダミーデータ停止」の通知を行う。無線通信制御部550がステップS617で「ダミーデータ停止」の情報を受信すると、ステップS618でメイン制御部501に「ダミーデータ停止」の通知を行う。メイン制御部501は、ステップS619で、無線通信制御部550に「ダミーデータ停止」の命令を送る。無線通信制御部550は「ダミーデータ停止」の命令を受信すると、ステップS620でダミーデータの送信を停止する。
【0050】
以上のように、上記の第2の実施形態では、コンセントなどから電源を取ることができる無線通信機器500によりダミーデータの送信を行うため、無線通信機器200のメイン電池220の電力を消費してしまうことを抑制することができる。
【0051】
(他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。
【0052】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0053】
100:電子機器、101:メイン制御部、102:サブ制御部、120:メイン電池、121:補助電池、122,123:電池検知部、124:電源制御部、125:受電制御部、150,151:無線通信制御部、175:アンテナ