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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191019
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】発熱装置
(51)【国際特許分類】
   F24V 30/00 20180101AFI20221220BHJP
   C01B 3/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F24V30/00 302
C01B3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099622
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】市川 靖
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寛志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀和
(72)【発明者】
【氏名】内村 允宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅紀
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140AA02
4G140AA14
4G140AA16
4G140AA24
4G140AA43
(57)【要約】
【課題】従来の発熱システムは、構造全体が大型であり、自動車等の車両に搭載することが不可能であった。
【解決手段】ガスの供給及び排出が可能な筐体3と、水素ガスの充填が可能であり且つ水素を吸蔵する材料を含む発熱材料2を収容した材料容器4と、発熱材料2に熱を供給する加熱器5と、筐体3の内部に材料容器4を固定する固定部材6とを備え、固定部材6が、筐体3の内部において、材料容器4と、加熱器5及び筐体3とを熱的に接続し、その周囲にガスの流通空間Sを形成しているカートリッジ式の発熱装置1とすることで、車載に適した小型化を実現し、再生処理において、溶融した発熱材料の流出を防止して、熱、パージガス、及び水素ガスを発熱材料2に供給することを可能にし、再生処理を円滑に行えるものとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を吸蔵する材料を含み且つ再生可能な発熱材料を用いたカートリッジ式の発熱装置であって、
内部に対してガスの供給及び排出が可能な筐体と、
水素ガスの充填が可能であり且つ前記発熱材料を収容した材料容器と、
前記筐体に装着して前記材料容器内の前記発熱材料に熱を供給する加熱器と、
前記筐体の内部に前記材料容器を固定する固定部材とを備え、
前記固定部材が、前記筐体の内部において、前記材料容器と、前記加熱器及び前記筐体とを熱的に接続していると共に、その周囲にガスの流通空間を形成していることを特徴とする発熱装置。
【請求項2】
前記筐体が、外部に開放された少なくとも1つの管状部を有し、
前記加熱器が、前記管状部に対して着脱可能であり、
前記材料容器を含む前記固定部材を複数備え、
複数の前記固定部材が、前記管状部を中心にして放射状に配置してあることを特徴とする請求項2に記載の発熱装置。
【請求項3】
複数の前記固定部材が、前記管状部の中心線に沿う方向に所定間隔で配置してあることを特徴とする請求項3に記載の発熱装置。
【請求項4】
複数の前記固定部材が、連結部により互いに連結してあることを特徴とする請求項3に記載の発熱装置。
【請求項5】
前記筐体が、他の構造体に装着するためのガイドを有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の発熱装置。
【請求項6】
前記材料容器が、上側に開放されていると共に、高さに対して横幅が大きい形状であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の発熱装置。
【請求項7】
前記材料容器が、気体に対する透過性を有していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の発熱装置。
【請求項8】
前記材料容器を含む前記固定部材が、前記筐体に対して着脱可能であり、
前記材料容器が、前記固定部材に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の発熱装置。
【請求項9】
前記筐体、前記固定部材、及び前記材料容器のうちの少なくとも前記材料容器が、非誘電体材料で形成してあることを特徴とする請求項8に記載の発熱装置。
【請求項10】
前記材料容器が、上側に開放されていると共に、その上側を大径端とするテーパ形状であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の発熱装置。
【請求項11】
前記材料容器が、上側に開放されていると共に、その底部に、頂部を小径端とするテーパ形状の凸部を有することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の発熱装置。
【請求項12】
前記筐体の外面に、熱抵抗を有する保護部材を備えたことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の発熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を吸蔵する材料を収容した構造を有し、熱源として用いられる発熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記したような発熱装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものがあった。特許文献1に記載の発熱システムは、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金を用い、水素系ガスを供給することで過剰熱を発する複数の発熱体セルと、この発熱体セルの加熱制御を行う統合制御部とを備えている。統合制御部は、発熱体セルを加熱するとともに、発熱体セルに水素系ガスを供給し、発熱体セル毎に出力された過剰熱を出力回収器により回収させる制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-110835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来の発熱システムは、ガス供給器、ガス回収器、及び熱流体の循環器等の周辺機器を一体的に備えることから、構造全体が大型であり、自動車等の車両に搭載することは不可能である。
【0005】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、再生処理可能な発熱材料を用いたカートリッジ式の発熱装置であって、車載に適した小型化を実現すると共に、再生処理において、溶融した発熱材料の流出を防止して、熱、パージガス、及び水素ガスを発熱材料に供給することが可能であり、再生処理を円滑に行うことができる発熱装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる発熱装置は、水素を吸蔵する材料を含み且つ再生処理可能な発熱材料を用いたカートリッジ式の発熱装置である。発熱装置は、内部に対してガスの供給及び排出が可能な筐体と、水素ガスの充填が可能であり且つ発熱材料を収容した材料容器と、筐体に装着して材料容器内の発熱材料に熱を供給する加熱器と、筐体の内部に材料容器を固定する固定部材とを備えている。そして、発熱装置は、固定部材が、筐体の内部において、材料容器と、加熱器及び筐体とを熱的に接続していると共に、その周囲にガスの流通空間を形成していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係わる発熱装置は、上記の構成を採用したことにより、車載に適した小型化を実現すると共に、再生処理において、溶融した発熱材料の流出を防止して、熱、パージガス、及び水素ガスを発熱材料に供給することが可能であり、再生処理を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係わる発熱装置の第1実施形態を示す縦断面図(A)、及び横断面図(B)である。
図2図1に示す材料容器を分解状態にした斜視図(A)、保持部材の平面図(B)、及び片側を断面にした保持部材の正面図(C)である。
図3】本発明に係わる発熱装置の第2~第4の実施形態を示す各々横断面図(A)~(C)である。
図4】本発明に係わる発熱装置の第5実施形態を示す縦断面図(A)、第6実施形態を示す縦断面図(B)、及び筐体から取り出した保持部材を示す縦断面図(C)である。
図5】形状が異なる材料容器の3例を説明する各々断面図(A)~(C)である。
図6】本発明に係わる発熱装置の第7実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〈第1実施形態〉
図1に示す発熱装置1は、水素を吸蔵する材料を含み且つ再生処理可能な発熱材料2を用いたカートリッジ式の装置である。この発熱装置1は、例えば、自動車等の車両に搭載する場合、対象部位に応じて様々な姿勢で装着することが可能である。但し、発熱装置1は、再生処理をする際に、発熱材料2を溶融させるので、一定の姿勢に維持する必要がある。そこで、以下においては、再生処理時の姿勢を基準にして、各構成部位の位置関係を説明する。
【0010】
発熱装置1は、内部に対してガスの供給及び排出が可能な筐体3と、水素ガスの充填が可能であり且つ発熱材料2を収容した材料容器4とを備えている。また、発熱装置1は、筐体3に装着して材料容器4内の発熱材料2に熱を供給する加熱器5と、筐体3の内部に材料容器4を固定する固定部材6とを備えている。
【0011】
図示例の筐体3は、概略角柱状の外観を有すると共に、図1中で水平方向となる中心線上に、両端で外部に開放された管状部3Aを有し、内部に、管状部3Aを中心とする環状の閉空間を形成している。また、筐体3は、図1中で左側となる一端に、内部にガスを供給するための供給バルブV1と、内部のガスを排出するための排出バルブV2とを備えている。
【0012】
図示例の材料容器4は、図2(A)に示すように、扁平な円柱形状を成しており、上側に開放されていると共に、その開放部を閉塞する蓋4Aを有し、扁平な円柱形状に形成した発熱材料2を収容している。この材料容器4は、高さ寸法Hに対して横幅である直径Lが大きい形態であり、これにより、発熱材料2と水素ガスとの接触面をできるだけ大きく確保している。
【0013】
また、材料容器4は、蓋4Aに、ガスを流通させる流通穴4Bを有している。なお、材料容器4は、蓋4A以外の部分に流通穴を形成しても良いし、気体に対して透過性を有する材料で形成しても良い。
【0014】
図示例の加熱器5は、棒状を成すセラミックスヒータであって、図1中に仮想線で示すように、筐体3の管状部3Aに対して着脱可能である。この加熱器5は、少なくとも管状部3Aの熱膨張率よりも大きい熱膨張率を有し、加熱の際に膨張することで管状部3A内に固定される。発熱材料2については後に詳しく述べる。
【0015】
固定部材6は、筐体3の内部において、材料容器4と、加熱器5及び筐体3とを熱的に接続し、その周囲にガスの流通空間Sを形成する。固定部材6は、ガスの流通性を有する構造若しくは材料であれば良く、例えば、多孔質材を用いることができ、より具体的には、金属、SiCやAlなどのファインセラミックスを用いることができる。
【0016】
この実施形態の発熱装置1は、材料容器4を含む固定部材6を複数備えており、筐体3の内部において、図1(B)に示すように、管状部3Aを中心にして、複数(図では4個)の固定部材6を放射状に配置している。また、発熱装置1は、図1(A)に示すように、管状部3Aの中心線に沿って、複数(図では6個)の固定部材6を所定間隔で配置している。これにより、ガスの流通空間Sは、筐体3内において、中心線に沿って連続すると共に、固定部材6同士の間の空間も含むものである。
【0017】
管状部3Aの中心線に沿って配置する固定部材6は、いずれも同形状である。他方、管状部3Aを中心にして放射状に配置する固定部材6は、基本構造は同じであるが、筐体3及び管状部3Aとの接触箇所が上下左右で異なる。図2(B)及び(C)に示す固定部材6は、管状部3Aの上側に配置するもので、下面が管状部3Aに接触するとともに上面が筐体3の内面に接触して、発熱材料2と、加熱器5及び筐体3とを熱的に接続する。
【0018】
図示例の固定部材6は、材料容器4の収容空間の上側に、ガス流通部6Aを有する。ガス流通部6Aは、管状部3Aの軸線方向に連続すると共に、両端で開放されている。さらに、固定部材6は、材料容器4の収容及び取り出しを行うために、例えば、上部を開閉可能な蓋にした構造でも良い。
【0019】
発熱材料2は、水素吸蔵脱蔵特性が異なる第1及び第2の金属を含む水素吸蔵合金により形成される。第1の金属及び第2の金属は、具体的な種類について特に制限はなく、上記の水素吸蔵機能を発揮し得る組み合わせから任意に選択可能である。そして、ある金属が「第1の金属」に該当するか「第2の金属」に該当するかは、組み合わされる他の金属との関係で決定される相対的なものである。このため、これらの金属の組み合わせによっては、ある金属が「第1の金属」に該当する場合と、「第2の金属」に該当する場合の双方の可能性が存在する。
【0020】
第1の金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、及び鉛(Pb)が挙げられる。また、第2の金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、及びカルシウム(Ca)が挙げられる。これらの金属は、発熱量の大きい発熱材料2を構成することが可能である点で好ましい。
【0021】
加熱温度が比較的低い場合でも発熱材料2として機能し得るという観点からは、融点が比較的低いスズ(Sn)を第1の金属として用いることが好ましい。また、発熱量が大きいという観点からは、アルミニウム(Al)を第1の金属として用いることも好ましい。
【0022】
さらに、「第1の金属-第2の金属」の組み合わせとしては、ニッケル-ジルコニウム、アルミニウム-ニッケル、アルミニウム-チタン、アルミニウム-マンガン、アルミニウム-亜鉛、スズ-チタン、アルミニウム-カルシウムなどが挙げられる。特に発熱量の大きい発熱材料2を構成することが可能であるという観点からは、アルミニウム-ニッケル、アルミニウム-チタン、スズ-チタンの組み合わせが好ましく、アルミニウム-ニッケル、スズ-チタンの組み合わせがより好ましく、アルミニウム-ニッケルの組み合わせが特に好ましい。なお、これら以外の金属や、これら以外の組み合わせが用いられても良いことは勿論である。
【0023】
発熱材料2は、前処理として、真空脱気及び加熱離脱をして合金表面からの不純物を取り除き、次いで、加熱しながら水素を合金へ供給して吸蔵させ、水素化物合金状態にする。
【0024】
上記の発熱材料2は、運転時において、水素ガスの存在下で加熱することで水素を吸蔵して水素固溶体又は水素化物になり、水素固溶体又は水素化物の相転移の繰り返しにより水素の吸蔵及び放出(脱蔵)を繰り返す。これにより、発熱材料2は、過剰熱をパルス的に発生させ、水素の吸脱蔵を何度も繰り返すうちに、水素吸蔵合金であった材料が徐々に吸蔵機能がない単なる合金になる。
【0025】
そこで、発熱材料2は、再生処理として、前処理と同様に、不純物の除去や、加熱及び水素の吸蔵を行って、初期の水素化物合金状態にする。これにより、発熱材料2は、再生されて過剰熱の発生機能を回復する。
【0026】
上記構成を備えた発熱装置1は、例えば、自動車の車室内の熱源として、シート、ダッシュパネル、計器パネル、及びフロア等の対象物(他の構造物)に装着される。この際、発熱装置1は、筐体3を主外観とするカートリッジ式であるから、取り扱いが容易であると共に、対象物の狭い空間にも装着し得る。そして、発熱装置1は、水素ガスの存在下において、加熱器5により発熱材料2を加熱することで過剰熱を発生し、その熱を筐体3から対象物に伝達する。
【0027】
また、発熱装置1は、再生処理時には、供給バルブV1及び排出バルブV2を用いて、真空脱気、発熱材料2に対するパージガスや水素ガスの供給などを行う。この際、発熱装置1は、筐体3内の流通空間Sと、固定部材6の内外と、材料容器4の内外とが互いに連通しているので、外部から発熱材料2に対するガスの供給及び排出が円滑に行われる。さらに、発熱装置1は、加熱炉等の再生処理装置に投入して、発熱材料2を再生処理する。この際、発熱装置1は、筐体3から加熱器5を取り外すことで、熱による加熱器5の破損を未然に防止し得る。
【0028】
このように、発熱装置1は、カートリッジ式であるから、取り扱いが容易であると共に、車載に適した小型化を実現している。また、発熱装置1は、再生処理時においては、溶融した発熱材料2を材料容器4から流出させることなく、熱、パージガス、及び水素ガスを発熱材料2に供給することが可能であり、再生処理を円滑に行うことができる。
【0029】
さらに、発熱装置1は、発熱材料2を収容した固定部材6を複数個備え、これらを管状部3Aを中心にして放射状に配置すると共に、管状部3Aの中心線に沿って所定間隔で配置している。これにより、発熱装置1は、夫々の発熱材料2に対して水素ガスの流通性が充分に確保され、単一の装置で出力の向上を実現すると共に、出力変動にも対応し得るものとなる。
【0030】
図3図6は、本発明に係わる第2~第7の実施形態を説明する図である。なお、以下の各実施形態では、第1実施形態と同一の構成部位に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0031】
〈第2~第4の実施形態〉
図3に示す発熱装置1は、筐体3が、他の構造体(対象物)に装着するためのガイド3Gを有する。図3(A)に示す第2実施形態の発熱装置1は、第1実施形態と同様の構成を備えると共に、筐体3の下部に、平面状の底面を形成するガイド3Gを有する。
【0032】
図3(B)に示す第3実施形態の発熱装置1は、筐体3が、所定間隔で平行に配置した2本の管状部3A,3Aを有し、各管状部3Aに、加熱器(図1中の符号5)を着脱可能に備えている。この発熱装置1は、夫々の管状部3Aを中心にして複数(図示例は4個)の固定部材6を放射状に備えており、筐体3の下部に、平面状の底面を形成するガイド3Gを有する。
【0033】
図3(C)に示す第4実施形態の発熱装置1は、筐体3の3Aを中心にして複数(図示例は4個)の固定部材6を放射状に備えると共に、その外側に、複数(図示例は8個)の固定部材6を周方向に配列した構成である。内外に配置した固定部材6は、互いに接触している。また、周方向に配列した固定部材6は、互いに隣接する同士が接触している。そして、発熱装置1は、筐体3の下部に、平面状の底面を形成するガイド3Gを有する。
【0034】
各実施形態の発熱装置1は、発熱材料2を収容した複数の固定部材6を配列することにより、単一の装置で出力の向上を実現すると共に、出力変動にも対応できる。また、各発熱装置1は、加熱炉等の再生処理装置に投入した際に、ガイド3Gにより、筐体3の姿勢を安定させ、溶融した発熱材料2の流出をより確実に防止する。なお、ガイド3Gは、他の構造体(対象物)の形態に応じて、凸型や凹型などの各種形状を採用することができ、運転時や再生処理時における姿勢を安定させる。
【0035】
〈第5及び第6の実施形態〉
図4(A)に示す発熱装置1は、第1実施形態と同様の基本構成を有すると共に、筐体3が、一端部を開閉するキャップ3Cを備えている。キャップ3Cは、供給バルブV1及び排出バルブV2を一体的に備えており、本体に対してねじ結合等により固定される。このキャップ3Cには、加熱器5を着脱可能に設けても良い。
【0036】
上記の発熱装置1は、より好ましい実施形態として、材料容器4を含む各固定部材6が、筐体3に対して着脱可能であり、材料容器4が、固定部材6に対して着脱可能である構成にすることができる。また、発熱装置1は、より好ましい実施形態として、筐体3、固定部材6、及び材料容器4のうちの少なくとも材料容器4が、非誘電体材料で形成してある構成にすることができる。なお、発熱装置1は、筐体3、固定部材6、及び材料容器4の全てを非誘電体材料で形成することがさらに好ましい。
【0037】
図4(B)に示す発熱装置1は、図4(A)に示す第5実施形態と同様の構成を有すると共に、管状部3Aの中心線に沿って所定間隔で配置した複数の固定部材6が、これらの配列方向に沿う連結部7により互いに連結してある構造である。この場合、発熱装置1は、図4(C)に示すように、連結部7で一体化した複数の固定部材6を筐体3から取り出すことができる。
【0038】
上記構成を備えた発熱装置1は、筐体3と固定部材6、及び固定部材6と材料容器4を夫々着脱可能にすることで、再生処理装置の大きさ等に応じて分解することができる。また、発熱装置1は、筐体3、固定部材6、及び材料容器4のうちの少なくとも材料容器4が、非誘電体材料で形成することで、再生処理を行う際に以下の効果を発揮する。
【0039】
すなわち、発熱装置1は、筐体3、固定部材6、及び材料容器4の全てを被誘電体材料で形成しておけば、加熱器5を外して、筐体3ごと高周波誘導加熱炉に投入して、発熱材料2のみを加熱溶融させることができる。また、発熱装置1は、固定部材6及び材料容器4を被誘電体材料で形成しておけば、固定部材6ごと高周波誘導加熱炉に投入して、発熱材料2のみを加熱溶融させることができる。
【0040】
さらに、発熱装置1は、材料容器4のみを被誘電体材料で形成しておけば、材料容器4を高周波誘導加熱炉に投入して、発熱材料2のみを加熱溶融させることができる。このように、上記の発熱装置1は、再生処理装置の大きさ等に応じて分解し、高周波誘導加熱炉において発熱材料2のみを加熱溶融させることができ、再生処理を効率良く行うことができる。
【0041】
ここで、発熱装置1は、より好ましい実施形態として、図5に示す材料容器4を採用することができる。材料容器4は、発熱材料2の熱膨張率よりも大きい熱膨張率を有しており、再生処理の際に、発熱材料2とともに加熱されて膨張し、再生処理後の降温により収縮する。
【0042】
これに対して、図5(A)に示す扁平な円筒形の材料容器4では、同図下段に示すように、固体化した発熱材料2により収縮が妨げられた際に、応力集中により破損しないように、高強度に形成しておく必要がある。
【0043】
図5(B)に示す材料容器4は、上側に開放されていると共に、その上側を大径端とするテーパ形状としている。この材料容器4は、同図下段に示すように収縮した際、固体化した発熱材料2がテーパ面に沿って上方に逃げることで応力集中が回避され、破損を防ぐことができる。これにより、材料容器4は、高強度に形成する必要が無く、軽量化等を実現する。
【0044】
また、図5(C)に示す材料容器4は、上側に開放されていると共に、その底部に、頂部を小径端とするテーパ形状の凸部4Cを有する。この材料容器4にあっても、同図下段に示すように収縮した際、固体化した発熱材料2が凸部4Cのテーパ面に沿って上方に逃げることで応力集中が回避されるので、破損の防止や軽量化を実現し得る。
【0045】
〈第7実施形態〉
図6に示す発熱装置1は、第1実施形態と同様の構成を備えると共に、筐体3の外面に、熱抵抗を有する保護部材8を備えている。図示例の発熱装置1は、筐体3の一端部、すなわち供給バルブV1予備排出バルブV2を配置した一端部を除く全体に、保護部材8を配置している。なお、保護部材8は、再生処理工程を考慮して、筐体3に対して着脱可能にしても構わない。
【0046】
上記の発熱装置1は、先の実施形態と同様の効果が得られるうえに、筐体3の外面よりも温度が下がるので、その材料や厚さ等を適宜選択することにより、所望の発熱温度を確保して、それを維持することができる。
【0047】
本発明に係わる発熱装置は、その構成が上記各実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能であり、各実施形態で説明した構成を組み合わせたり、筐体、発熱材料、材料容器、加熱器、固定部材の形状等々を変更したりすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 発熱装置
2 発熱材料
3 筐体
3A 管状部
3G ガイド
4 材料容器
5 加熱器
6 固定部材
7 連結部
8 保護部材
S 流通空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6