(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191028
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221220BHJP
B41J 19/20 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J19/20 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099635
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】小栗 惇
【テーマコード(参考)】
2C056
2C480
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056EA24
2C056EC11
2C056EC33
2C056EC35
2C056FA10
2C056FA15
2C056HA38
2C480CA01
2C480CB02
2C480DA01
2C480DB02
2C480DB13
(57)【要約】
【課題】スライド軸とガイドレールとの角度調整をより簡易な構造で実現する。
【解決手段】プリンタ10は、ベース部材60に設けられ、副走査方向Xに延びる一対のスライドレール50と、記録媒体5が載置されるテーブル48を有し、スライドレール50に沿って副走査方向Xに移動可能なテーブルユニット40と、ベース部材60に固定されかつ板状に形成された第1支持壁71および第2支持壁72と、主走査方向Yに延び、第1支持壁71と第2支持壁72とに架け渡された支持部材75と、支持部材75に設けられ、主走査方向Yに延びるガイドレール18と、ガイドレール18に摺動可能に設けられ、主走査方向Yに移動可能なキャリッジ32と、第1支持壁71を副走査方向Xに押圧する押圧部82を有し、スライドレール50に対するガイドレール18の角度αを調整する調整機構80と、を備えている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材に設けられ、副走査方向に延びる一対のスライド軸と、
記録媒体が載置されるテーブルを有し、前記スライド軸に支持され、前記スライド軸に沿って前記副走査方向に移動可能なテーブルユニットと、
前記ベース部材に固定され、前記テーブルユニットよりも主走査方向の一方側に位置し、前記主走査方向および上下方向に延びる板状に形成された第1支持壁と、
前記ベース部材に固定され、前記テーブルユニットよりも前記主走査方向の他方側に位置し、前記主走査方向および前記上下方向に延びる板状に形成された第2支持壁と、
前記テーブルユニットよりも上方に位置し、前記主走査方向に延び、前記第1支持壁と前記第2支持壁とに架け渡された支持部材と、
前記支持部材に設けられ、前記主走査方向に延びるガイドレールと、
前記ガイドレールに摺動可能に設けられ、前記主走査方向に移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに設けられ、前記テーブルに載置された前記記録媒体にインクを吐出するインクヘッドと、
前記第1支持壁を前記副走査方向の一方側または他方側に押圧する押圧部を有し、前記スライド軸に対する前記ガイドレールの角度を調整する調整機構と、を備えている、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記第1支持壁には、前記副走査方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記調整機構は、
前記ベース部材に固定され、前記副走査方向に貫通するねじ孔が形成された固定部材と、
前記押圧部を有し、前記貫通孔および前記ねじ孔に挿入された調整ねじと、を有し、
前記押圧部は、
前記第1支持壁よりも前記副走査方向の一方側に位置し、前記第1支持壁を押圧可能な第1押圧部と、
前記第1支持壁よりも前記副走査方向の他方側に位置し、前記第1支持壁を押圧可能な第2押圧部と、を含み、
前記調整ねじを第1の方向に回転させると、前記第1押圧部が前記第1支持壁を押圧して、前記第1支持壁を前記副走査方向の前記他方側に撓ませ、かつ、前記調整ねじを第2の方向に回転させると、前記第2押圧部が前記第1支持壁を押圧して、前記第1支持壁を前記副走査方向の前記一方側に撓ませるように構成されている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記第1支持壁は、前記ベース部材に固定される底面部と、底面部から上方に延びる本体部と、を備え、
前記本体部の前記上下方向の領域を、上方から下方に向けて、上側領域、上側中央領域、下側中央領域、下側領域に四等分したときに、前記調整ねじは、前記上側中央領域または前記下側中央領域に位置する、請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記第1支持壁における前記主走査方向の前記他方側の端部に形成されている、請求項2または3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記スライド軸は、前記副走査方向に延びる第1スライド軸と、前記副走査方向に延び、前記第1スライド軸よりも前記主走査方向の前記他方側に位置する第2スライド軸と、を含み、
前記ガイドレールは、平面視で前記ガイドレールと前記第2スライド軸とが交差する領域を中心に回動するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット方式によって記録媒体に画像を印刷するインクジェットプリンタが知られている。例えば、特許文献1には、主走査方向に延びるガイドレールと、ガイドレールに摺動自在に設けられたキャリッジと、キャリッジに搭載されたインクヘッドと、記録媒体が載置されるテーブルを有しかつ主走査方向と平面視において直交する副走査方向に移動可能なテーブルユニットとを備えたインクジェットプリンタが開示されている。特許文献1のプリンタでは、インクヘッドは、主走査方向に移動しながらテーブルに載置された記録媒体にインクを吐出する。その後、テーブルユニットが副走査方向に移動することにより、テーブルに載置された記録媒体は副走査方向に移動する。これを繰り返し行うことによって、記録媒体に所定の画像が印刷される。
【0003】
ところで、記録媒体が載置されたテーブルが移動する方向である副走査方向は、インクヘッドが搭載されたキャリッジの移動する方向である主走査方向に対して直交している必要がある。しかしながら、プリンタを組み立てた際における各部材の寸法や配置位置の誤差などによって、主走査方向と副走査方向とが直交しないことがあり得る。即ち、キャリッジが摺動可能に設けられたガイドレールと、テーブルユニットが移動可能に設けられたスライド軸とが直交しないことがあり得る。かかる場合には、記録媒体に吐出されるインクの着弾位置にずれが生じてしまい、形成される画像の品質が低下してしまう虞がある。かかる問題を解決すべく、特許文献1には、テーブルが摺動自在に設けられたシャフト(スライド軸に相当)の角度を調整することによって、インクヘッドが摺動自在に設けられたガイドレールに対する角度を調整する角度調整機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-121712号公報公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のようにスライド軸の角度を調整する角度調整機構では、スライド軸の全体をガイドレールが固定されたベース部に対して動かす必要があるため、スライド軸が固定された固定部材が大型化してしまう。さらに、プリンタが大型化した場合には、スライド軸が固定された固定部材やスライド軸に支持されたテーブルユニットの重量が重くなるため、固定部材の角度の調整に際して固定部材の追従性が低下してしまい、ガイドレールに対する微細な角度調整が困難であるという問題が生じ得る。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スライド軸とガイドレールとの角度調整をより簡易な構造で実現することができるインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインクジェットプリンタは、ベース部材と、前記ベース部材に設けられ、副走査方向に延びる一対のスライド軸と、記録媒体が載置されるテーブルを有し、前記スライド軸に支持され、前記スライド軸に沿って前記副走査方向に移動可能なテーブルユニットと、前記ベース部材に固定され、前記テーブルユニットよりも主走査方向の一方側に位置し、前記主走査方向および上下方向に延びる板状に形成された第1支持壁と、前記ベース部材に固定され、前記テーブルユニットよりも前記主走査方向の他方側に位置し、前記主走査方向および前記上下方向に延びる板状に形成された第2支持壁と、前記テーブルユニットよりも上方に位置し、前記主走査方向に延び、前記第1支持壁と前記第2支持壁とに架け渡された支持部材と、前記支持部材に設けられ、前記主走査方向に延びるガイドレールと、前記ガイドレールに摺動可能に設けられ、前記主走査方向に移動可能なキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記テーブルに載置された前記記録媒体にインクを吐出するインクヘッドと、前記第1支持壁を前記副走査方向の一方側または他方側に押圧する押圧部を有し、前記スライド軸に対する前記ガイドレールの角度を調整する調整機構と、を備えている。
【0008】
本発明のインクジェットプリンタによると、調整機構は、第1支持壁を副走査方向の一方側または他方側に押圧する押圧部を有する。押圧部によって第1支持壁を押圧することにより、第1支持壁を副走査方向に撓ませることができる。これにより、第1支持壁に架け渡された支持部材は、第2支持壁側を中心にして回動する。即ち、支持部材に設けられたガイドレールは、第2支持壁側を中心にして回動する。このように、調整機構は、ガイドレールを回動させてガイドレールの位置を変更することによって、スライド軸に対するガイドレールの角度を調整することができる。以上より、本発明のインクジェットプリンタでは、スライド軸を基準にしてガイドレールの角度を調整することができ、ガイドレールの角度の調整は第1支持壁を撓ませることによって容易に実現することができる。なお、スライド軸側の位置は変更することがないため、プリンタが大型化してテーブルユニット等の重量が増加したとしても調整機構自体が大型化することがない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スライド軸とガイドレールとの角度調整をより簡易な構造で実現することができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】一実施形態に係る本体ケースを取り外した状態のプリンタの前方斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る本体ケースを取り外した状態のプリンタの正面図である。
【
図4】一実施形態に係る本体ケースを取り外した状態のプリンタの平面図である。
【
図5】一実施形態に係る本体ケースを取り外した状態のプリンタの後方斜視図である。
【
図6】一実施形態に係る本体ケースを取り外した状態のプリンタの側面図である。
【
図7】一実施形態に係る第1支持壁および調整機構の周辺の構造を示す斜視図である。
【
図8】
図4のA-A線に沿う断面図であり、第1押圧部が第1支持壁を押圧している状態を示す図である。
【
図9】
図4のA-A線に沿う断面図であり、第2押圧部が第1支持壁を押圧している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」と称する)について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10の斜視図である。以下の説明では、プリンタ10を正面から見たときに、プリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、プリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xは前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交している。符号Zは、上下方向を示している。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0013】
プリンタ10は、インクジェット式のプリンタである。プリンタ10は、家庭用のプリンタと比較すると主走査方向Yに長い、いわゆる大型のプリンタである。例えば、プリンタ10は、業務用のプリンタである。本実施形態では、プリンタ10は、記録媒体5上に画像を印刷する。
【0014】
本実施形態において用いられる記録媒体5は、例えば、記録紙や転写紙などの平面シートであってもよいし、携帯電話ケースなどの各種ケース、小型電子機器、キーホルダやフォトフレームやペンなどの部品小物、日用品、アクセサリなどの立体物であってもよい。記録媒体5を形成する材料は、普通紙やインクジェット用印刷紙などの紙類はもちろんのこと、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)共重合体などの樹脂類、アルミニウムやステンレス鋼などの金属類、カーボン、陶器、セラミック、ガラス、ゴム、皮革、木材などであってもよい。
【0015】
図2に示すように、プリンタ10は、ベース部材60と、ベース部材60に取り付けられた本体ケース12(
図1参照)と、キャリッジ移動機構20と、インクヘッドユニット30と、テーブル移動機構38と、テーブルユニット40と、を備えている。
【0016】
図2に示すように、ベース部材60は、ベースプレート61と、フロントフレーム62と、リアフレーム63と、左サイドフレーム64と、右サイドフレーム65とを有する。ベースプレート61は、板状に形成されかつ中央に位置する中央ベース部61Aと、中央ベース部61の左方に配置されかつ板状に形成された左側ベース部61Bと、中央ベース部61の右方に配置されかつ板状に形成された右側ベース部61Cと、を有する。左側ベース部61Bは、後述する第1支持壁71を支持する。右側ベース部61Cは、後述する第2支持壁72を支持する。
図4に示すように、中央ベース部61A、左側ベース部61Bおよび右側ベース部61Cは、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さより長くなるように形成されている。中央ベース部61Aの副走査方向Xの長さは、左側ベース部61Bおよび右側ベース部61Cの副走査方向Xの長さより長い。フロントフレーム62は、ベースプレート61の中央ベース部61Aの前端から上方に延びる。フロントフレーム62は、主走査方向Yに延びる。リアフレーム63は、ベースプレート61の後端から上方に延びる。即ち、リアフレーム63は、中央ベース部61Aの後端、左側ベース部61Bの後端、右側ベース部61Cの後端から上方に延びる。リアフレーム63は、主走査方向Yに延びる。左サイドフレーム64は、中央ベース部61Aの左端から上方に延びる。左サイドフレーム64は、副走査方向Xに延びる。左サイドフレーム64は、フロントフレーム62とリアフレーム63とを接続する。左サイドフレーム64は、左側ベース部61Bより右方に位置する。左サイドフレーム64は、後述する左側壁76を支持する。右サイドフレーム65は、中央ベース部61Aの右端から上方に延びる。右サイドフレーム65は、副走査方向Xに延びる。右サイドフレーム65は、フロントフレーム62とリアフレーム63とを接続する。右サイドフレーム65は、右側ベース部61Cより左方に位置する。右サイドフレーム65は、左サイドフレーム64よりも右方に位置する。右サイドフレーム65は、後述する右側壁77を支持する。ベース部材60は、ベースプレート61の中央ベース部61Aと、フロントフレーム62と、リアフレーム63と、左サイドフレーム64と、右サイドフレーム65とで囲われた収容空間60Aを有する。収容空間60Aは、上方が開口した箱状に形成され、テーブル移動機構38およびテーブルユニット40を収容する。
【0017】
図1に示すように、本体ケース12の前部の中央には、フロントカバー13Cが設けられている。本体ケース12の前部の左方には、左カバー13Lが設けられている。本体ケース12の前部の右方には、右カバー13Rが設けられている。フロントカバー13C、左カバー13Lおよび右カバー13Rは、本体ケース12に対して開閉可能に構成されている。フロントカバー13Cには、窓13Wが設けられている。窓13Wは、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。作業者は、窓13Wから本体ケース12の内部を視認することができる。本体ケース12の下部には、ベース部材60が取り付けられている。本体ケース12は、ベース部材60に支持されている。
【0018】
図2に示すように、プリンタ10は、第1支持壁71と、第2支持壁72と、第1支持壁71および第2支持壁72に架け渡された支持部材75と、左側壁76と、右側壁77と、を備えている。第1支持壁71は、テーブルユニット40より左方に位置する。第1支持壁71は、ベースプレート61の左側ベース部61Bおよび左サイドフレーム64に固定されている。第1支持壁71は、上下方向Zおよび主走査方向Yに延びる本体部71Lと、本体部71Lの下端に接続され、かつ主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びる底面部71Mと、を有する。底面部71Mは、締結部材78によって左側ベース部61Bに固定されている。締結部材78は、例えば、ビスである。第2支持壁72は、テーブルユニット40より右方に位置する。第2支持壁72は、ベースプレート61の右側ベース部61Cおよび右サイドフレーム65に固定されている。第2支持壁72は、上下方向Zおよび主走査方向Yに延びる本体部72Lと、本体部72Lの下端に接続され、かつ主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びる底面部72Mと、を有する。底面部72M(
図4も参照)は、締結部材78によって右側ベース部61Cに固定されている。第1支持壁71および第2支持壁72は、主走査方向Yおよび上下方向Zに延びる。第1支持壁71および第2支持壁72は、板状に形成されている。第1支持壁71および第2支持壁72は、例えば、鉄(例えばSECC)から形成されている。
図7に示すように、第1支持壁71には、副走査方向Xに貫通する貫通孔71Hが形成されている。貫通孔71Hには、後述する調整機構80の調整ねじ85が挿入される。貫通孔71Hは、第1支持壁71の右端部に形成されている。貫通孔71Hは、左サイドフレーム64の上方に形成されている。
【0019】
図2に示すように、支持部材75は、主走査方向Yに延びる。支持部材75は、テーブルユニット40より上方に位置する。支持部材75は、第1支持壁71および第2支持壁72に固定されている。後述するように、第1支持壁71が副走査方向Xに撓むことによって、支持部材75は、第2支持壁72側を中心にして副走査方向Xに回動する。
図3に示すように、プリンタ10には、テーブルユニット40が通過可能に構成され、副走査方向Xに貫通する開口14Hが形成されている。開口14Hは、支持部材75、第1支持壁71および第2支持壁72に囲まれて形成されている。左側壁76は、テーブルユニット40より左方かつ第1支持壁71より右方に位置する。右側壁77は、テーブルユニット40より右方かつ第2支持壁72より左方に位置する。
図4に示すように、左側壁76および右側壁77は、副走査方向Xおよび上下方向Z延びる。左側壁76は、左サイドフレーム64に固定されている。右側壁77は、右サイドフレーム65に固定されている。
図5に示すように、左側壁76および右側壁77は、支持部材75を支持する。
【0020】
図2に示すように、プリンタ10は、支持部材75に設けられたガイドレール18を備えている。ガイドレール18は、主走査方向Yに延びている。ガイドレール18は、支持部材75から前方に向けて突出するように形成されている。ガイドレール18は、テーブルユニット40より上方に位置する。ガイドレール18は、開口14H(
図3参照)より上方に位置する。ガイドレール18には、インクヘッドユニット30の後述するキャリッジ32が摺動可能に設けられている。ガイドレール18は、キャリッジ32の主走査方向Yへの移動をガイドするものである。
【0021】
図2に示すように、キャリッジ移動機構20は、テーブルユニット40の後述するテーブル48に載置された記録媒体5に対してキャリッジ32を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。キャリッジ移動機構20は、キャリッジ32を主走査方向Yに移動させる。なお、キャリッジ移動機構20の構成は特に限定されない。
図3に示すように、キャリッジ移動機構20は、左側のプーリ21と、右側のプーリ22と、無端状のベルト23と、キャリッジモータ24とを備えている。左側のプーリ21は、ガイドレール18の左端より右方に設けられている。右側のプーリ22は、ガイドレール18の右端より右方に設けられている。左側のプーリ21および右側のプーリ22は、支持部材75に固定されている。ベルト23は、左側のプーリ21と右側のプーリ22とに巻き掛けられている。右側のプーリ22には、キャリッジモータ24が接続されている。ただし、キャリッジモータ24は、左側のプーリ21に接続されていてもよい。ここでは、キャリッジモータ24が駆動して、右側のプーリ22が回転することで、左側のプーリ21と右側のプーリ22との間においてベルト23が走行する。
【0022】
図3に示すように、インクヘッドユニット30は、テーブルユニット40より上方に配置されている。インクヘッドユニット30は、キャリッジ32と、キャリッジ32に設けられた複数のインクヘッド34と、キャリッジ32に取り付けられたケース31と、光照射装置35とを備えている。ケース31は、箱状に形成されている。ケース31内には、インクヘッド34が収容されている。
【0023】
図6に示すように、キャリッジ32は、ベルト23に取り付けられている。キャリッジ32は、ガイドレール18に摺動可能に係合している。キャリッジ32は、後述するテーブル48より上方に配置されている。キャリッジモータ24の駆動によってベルト23が走行して、キャリッジ32が主走査方向Yに移動することに伴い、キャリッジ32に搭載されたインクヘッド34および光照射装置35は主走査方向Yに移動する。
【0024】
図4に示すように、インクヘッド34は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。インクヘッド34は、それぞれ、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。インクヘッド34は、テーブル48に載置された記録媒体5にインクを吐出可能に構成されている。インクヘッド34は、インクを吐出しかつ副走査方向Xに並ぶ複数のノズル(図示せず)を備えている。インクヘッド34のノズルから吐出されるインクは、例えば、光硬化性インクである。光硬化性インクとしては、例えば、紫外線硬化インクが挙げられる。紫外線硬化インクは、紫外線が照射されると硬化する性質を有する。本実施形態では、インクヘッドユニット30は、4つのインクヘッド34を備えているが、これに限定されない。
【0025】
光照射装置35は、記録媒体5に吐出された光硬化性インク(例えば紫外線硬化インク)に光(例えば紫外線)を照射する装置である。
図3に示すように、光照射装置35は、インクヘッド34より右方に配置されている。光照射装置35は、キャリッジ32に固定されている。本実施形態では、光照射装置35は、インクヘッド34より右方に配置されているが、これに限定されない。光照射装置35は、インクヘッド34より左方に配置されていてもよい。また、インクヘッド34の左方および右方のそれぞれに光照射装置35が設けられていてもよい。
【0026】
図4に示すように、テーブルユニット40は、テーブル移動機構38の後述する第1スライドレール51および第2スライドレール52に沿って副走査方向Xに移動可能に構成されている。テーブルユニット40は、記録媒体5が載置されるテーブル48と、テーブル48を副走査方向Xに移動可能に支持するテーブルキャリッジ49(
図3参照)と、を備えている。テーブル48は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも短い矩形状に形成されている。なお、テーブル48は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長くてもよく、副走査方向Xの長さと主走査方向Yの長さが同一であってもよい。
図3に示すように、テーブル48は、支持部材75より下方に配置されている。テーブル48は、インクヘッドユニット30より下方に配置されている。テーブル48は、テーブルキャリッジ49の上端部に設けられている。テーブルキャリッジ49は、第1スライドレール51(
図4参照)および第2スライドレール52(
図4参照)に摺動可能に支持されている。テーブルキャリッジ49は、第1スライドレール51および第2スライドレール52に沿って副走査方向Xに移動可能に設けられている。テーブルキャリッジ49は、図示しない昇降機構によって、テーブル48を上下方向Zに移動可能に構成されている。
【0027】
テーブル移動機構38は、テーブルユニット40のテーブル48を副走査方向Xに移動させる機構である。
図4に示すように、テーブル移動機構38は、テーブルユニット40を副走査方向Xに移動可能に支持するスライドレール50と、テーブルユニット40を副走査方向Xに移動させる移動装置41と、を備えている。スライドレール50は、副走査方向Xに延びる第1スライドレール51および第2スライドレール52を含む。第2スライドレール52は、第1スライドレール51の右方に配置されている。第1スライドレール51および第2スライドレール52は、平行に配置されている。第1スライドレール51は、左サイドフレーム64に設けられている。第2スライドレール52は、右サイドフレーム65に設けられている。スライドレール50は、スライド軸の一例である。第1スライドレール51は、第1スライド軸の一例である。第2スライドレール52は、第2スライド軸の一例である。
【0028】
図4に示すように、移動装置41は、ベース部材60上に配置されている。移動装置41は、ベース部材60の収容空間60Aに収容されている。移動装置41は、前側のプーリ42と、後側のプーリ43と、無端状のベルト44と、駆動モータ45とを備えている。前側のプーリ42は、中央ベース部61Aの前側に設けられている。後側のプーリ43は、中央ベース部61Aの後側に設けられている。ベルト44は、前側のプーリ42と後側のプーリ43とに巻き掛けられている。後側のプーリ43には、駆動モータ45が接続されている。ただし、駆動モータ45は、前側のプーリ42に接続されていてもよい。ここでは、駆動モータ45が駆動して、後側のプーリ43が回転することで、前側のプーリ42と後側のプーリ43との間においてベルト44が走行する。テーブルキャリッジ49(
図2参照)は、ベルト44に取り付けられている。このため、駆動モータ45の駆動によってベルト44が走行すると、テーブルキャリッジ49は第1スライドレール51および第2スライドレール52に沿って、副走査方向Xに移動する。即ち、移動装置41は、テーブル48を副走査方向Xに移動させることができる。
図4は、テーブル48が最も後方に位置する状態を示す。
【0029】
図4に示すように、プリンタ10は、第2スライドレール52に対するガイドレール18の角度αを調整する調整機構80(
図7も参照)を備えている。調整機構80は、第1支持壁71(
図7参照)を副走査方向Xに撓ませることにより、第2スライドレール52に対するガイドレール18の角度αを調整する。調整機構80は、第1支持壁71を副走査方向Xの一方側(ここでは前方)または他方側(ここでは後方)に押圧する押圧部82(
図8参照)を有する。
図8に示すように、調整機構80は、ベース部材60(より詳細には左サイドフレーム64)に固定され、副走査方向X(ここでは前後方向)に貫通するねじ孔81Hが形成された固定部材81と、第1支持壁71に形成された貫通孔71Hおよびねじ孔81Hに挿入された調整ねじ85と、を有する。固定部材81は、断面L字形状に形成されている。固定部材81は、前後方向に延びる第1部分81Aと、第1部分81Aの前端から上方に延びる第2部分81Bとを有する。第1部分81Aには、締結部材78が挿入される挿入孔81Cが形成されており、締結部材78によって第1部分81Aは左サイドフレーム64に固定されている。第2部分81Bには、ねじ孔81Hが形成されている。
【0030】
図6に示すように、第1支持壁71の本体部71L上下方向Zの領域を、上方から下方に向けて、上側領域71A、上側中央領域71B、下側中央領域71C、下側領域71Dに四等分したときに、調整ねじ85は、上側中央領域71Bまたは下側中央領域71Cに位置する。本実施形態では、調整ねじ85は、下側中央領域71Cに位置する。
図8に示すように、調整ねじ85は、第1支持壁71をベースプレート61に固定された固定部材81に締結する部材である。調整ねじ85は、調整ねじ85の一端側に設けられた頭部85Aと、調整ねじ85の他端側に設けられたねじ部85Bと、ねじ部85Bに固定されたナット85Cと、を有する。ねじ部85Bは、固定部材81に形成されたねじ孔81Hに螺合する。ナット85Cは、固定部材81より前方に位置する。押圧部82は、調整ねじ85に設けられている。押圧部82は、頭部85Aの後部(即ちナット85C側)に設けられ、第1支持壁71を後方に押圧可能な第1押圧部86と、ナット85Cの前部(即ち頭部85A側)に設けられ、第1支持壁71を前方に押圧可能な第2押圧部87と、を含む。第1押圧部86は、第1支持壁71よりも前方に位置する。第2押圧部87は、第1支持壁71よりも後方に位置する。
【0031】
図8に示すように、調整ねじ85を第1の方向(例えば時計回り)に回転させると、固定部材81のねじ孔81Hに螺合する調整ねじ85のねじ部85Bが副走査方向Xの一方(ここでは後方)に移動し、その移動に伴って第1押圧部86が第1支持壁71を押圧して、第1支持壁71を後方に撓ませるように構成されている。ここで、第1支持壁71は、下部側(即ち底面部71M)が締結部材78によってベースプレート61の左側ベース部61Bに固定されているため(
図7参照)、第1押圧部86によって押圧されることで、第1支持壁71の上部側(即ち本体部71L)が後方に撓む。一方、第2支持壁72は、底面部72M(
図4参照)が締結部材78によって右側ベース部61Cに固定されている。そして、第1支持壁71および第2支持壁72の上部には、ガイドレール18が設けられた支持部材75が固定されているため、第1支持壁71が可動、より詳細には後方に撓むことにより、支持部材75は第2支持壁72側(固定側)を中心にして後方に回動する。これにより、第2スライドレール52に対するガイドレール18の角度αが調整される。一方、
図9に示すように、調整ねじ85を第2の方向(第1の方向と反対の方向。例えば反時計回り。)に回転させると、固定部材81のねじ孔81Hに螺合する調整ねじ85のねじ部85Bが副走査方向Xの他方(ここでは前方)に移動し、その移動に伴って第2押圧部87が第1支持壁71を押圧して、第1支持壁71を前方に撓ませるように構成されている。ここで、第1支持壁71は、下部側(即ち底面部71M)が締結部材78によってベースプレート61の左側ベース部61Bに固定されているため(
図7参照)、第2押圧部87によって押圧されることで、第1支持壁71の上部側(即ち本体部71L)が前方に撓む。一方、第2支持壁72は、底面部72M(
図4参照)が締結部材78によって右側ベース部61Cに固定されている。そして、第1支持壁71および第2支持壁72の上部には、ガイドレール18が設けられた支持部材75が固定されているため、第1支持壁71が可動、より詳細には前方に撓むことにより、支持部材75は第2支持壁72側(固定側)を中心にして前方に回動する。これにより、第2スライドレール52に対するガイドレール18の角度αが調整される。このように、調整機構80によって第1支持壁71を前方および後方に撓ませることにより、ガイドレール18は、平面視でガイドレール18と第2スライドレール52とが交差する領域(例えば第2支持壁72の左端部)を中心に回動するように構成されている。
【0032】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、調整機構80は、第1支持壁71を副走査方向Xの一方側(ここでは前方)または他方側(ここでは後方)に押圧する押圧部82を有する。押圧部82によって第1支持壁71を押圧することにより、第1支持壁71を副走査方向Xに撓ませることができる。これにより、第1支持壁71に架け渡された支持部材75は、第2支持壁72側を中心にして回動する。即ち、支持部材75に設けられたガイドレール18は、第2支持壁72側を中心にして回動する。このように、調整機構80は、ガイドレール18を回動させてガイドレール18の位置を変更することによって、第2スライドレール52に対するガイドレール18の角度αを調整することができる。以上より、本実施形態のプリンタ10では、第2スライドレール52を基準にしてガイドレール18の角度αを調整することができ、ガイドレール18の角度αの調整は第1支持壁71を撓ませることによって容易に実現することができる。なお、第2スライドレール52側の位置は変更することがないため、プリンタ10が大型化してテーブルユニット40等の重量が増加したとしても調整機構80自体が大型化することがない。
【0033】
本実施形態のプリンタ10では、第1支持壁71には、副走査方向Xに貫通する貫通孔71Hが形成され、調整機構80は、ベース部材60の左サイドフレーム64に固定され、副走査方向Xに貫通するねじ孔81Hが形成された固定部材81と、押圧部82を有し、貫通孔71Hおよびねじ孔81Hに挿入された調整ねじ85と、を有し、押圧部82は、第1支持壁71よりも前方に位置し、第1支持壁71を押圧可能な第1押圧部86と、第1支持壁71よりも後方に位置し、第1支持壁71を押圧可能な第2押圧部87と、を含み、調整ねじ85を第1の方向に回転させると、第1押圧部86が第1支持壁71を押圧して、第1支持壁71を後方に撓ませ、かつ、調整ねじ85を第2の方向に回転させると、第2押圧部87が第1支持壁71を押圧して、第1支持壁71を前方に撓ませるように構成されている。このように、調整ねじ85を回転させる方向を変更するという簡単な構成によって、第1支持壁71を前後方向に撓ますことができる。また、調整ねじ85の回転量に応じて第1支持壁71のたわみ量が変化するため、第2スライドレール52に対するガイドレール18の角度αをより精度よく調整することができる。
【0034】
本実施形態のプリンタ10では、第1支持壁71の本体部71Lの上下方向Zの領域を、上方から下方に向けて、上側領域71A、上側中央領域71B、下側中央領域71C、下側領域71Dに四等分したときに、調整ねじ85は、上側中央領域71Bまたは下側中央領域71Cに位置する。調整ねじ85が第1支持壁71の下側領域71Dにある場合には、調整ねじ85を回転させても第1支持壁71があまり撓まず、また、調整ねじ85が第1支持壁71の上側領域71Aにある場合には、調整ねじ85をわずかに回転させただけで第1支持壁71が大きく撓んでしまうため、調整ねじ85による第1支持壁71のたわみ量を調整するのがやや困難である。しかしながら、調整ねじ85を上側中央領域71Bまたは下側中央領域71Cに位置させることにより、調整ねじ85の回転量と第1支持壁71のたわみ量との関係がより適切になり、第2スライドレール52に対するガイドレール18の角度αをより精度よく調整することができる。
【0035】
本実施形態のプリンタ10では、第1支持壁71の貫通孔71Hは、第1支持壁71における右端部に形成されている。これにより、支持部材75の変位量をより大きく確保することができる。即ち、第2スライドレール52に対するガイドレール18の角度αの変位量をより大きくすることができる。
【0036】
本実施形態のプリンタ10では、スライドレール50は、副走査方向Xに延びる第1スライドレール51と、副走査方向Xに延び、第1スライドレール51よりも右方に位置する第2スライドレール52と、を含み、ガイドレール18は、平面視でガイドレール18と第2スライドレール52とが交差する領域を中心に回動するように構成されている。これにより、第2スライドレール52(および第1スライドレール51)とガイドレール18との角度αがより正確に調整される。
【0037】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0038】
上述した実施形態では、調整機構80が第1支持壁71を副走査方向Xに撓ませることによって第2スライドレール52に対するガイドレール18の角度αを調整するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、調整機構80が第2支持壁72を副走査方向Xに撓ませることによって第1スライドレール51に対するガイドレール18の角度を調整するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
5 記録媒体
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
18 ガイドレール
32 キャリッジ
34 インクヘッド
40 テーブルユニット
48 テーブル
50 スライドレール(スライド軸)
51 第1スライドレール(第1スライド軸)
52 第2スライドレール(第2スライド軸)
60 ベース部材
71 第1支持壁
71H 貫通孔
72 第2支持壁
75 支持部材
80 調整機構
81 固定部材
81H ねじ孔
85 調整ねじ
86 第1押圧部
87 第2押圧部