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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191033
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20221220BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
B60K35/00 Z
G09F9/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099642
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼西 雄大
【テーマコード(参考)】
3D344
5G435
【Fターム(参考)】
3D344AA08
3D344AB01
3D344AD01
5G435AA07
5G435BB05
5G435CC09
5G435EE02
5G435EE03
5G435EE04
5G435EE07
5G435EE08
5G435EE14
5G435FF08
5G435GG43
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】表示部のカバーパネルがフレームに支持され、更にフレームが、背面側の筐体に支持されるものにおいて、カバーパネル、フレーム、および背面側筐体間における線膨張係数の差に伴う熱応力の影響を抑制可能な表示装置を提供する。
【解決手段】有機ELパネル130と、有機ELパネルの視認側に設けられたカバーパネル110と、有機ELパネルの背面側に設けられ、有機ELパネルを支持すると共に、端部側においてカバーパネルが接合されるフレーム150と、フレームの背面側に設けられ、フレームを支持するリアケース180と、を備える表示装置であって、フレームは、複数の分割フレーム150A、150Bから形成され、複数の分割フレームに対してカバーパネルが接合されており、複数の分割フレームは、それぞれ、リアケースに対して、面方向の一端側が固定支持され、他端側が面方向に対して摺動可能に支持されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部(130)と、
前記表示部の視認側に設けられたカバーパネル(110)と、
前記表示部の背面側に設けられ、前記表示部を支持すると共に、端部側において前記カバーパネルが接合されるフレーム(150)と、
前記フレームの背面側に設けられ、前記フレームを支持する背面側筐体(180)と、を備える表示装置であって、
前記フレームは、前記カバーパネルの面方向に分割された複数の分割フレーム(150A、150B)から形成され、複数の前記分割フレームに対して前記カバーパネルが接合されており、
複数の前記分割フレームは、それぞれ、前記背面側筐体に対して、前記面方向の一端側が固定支持され、他端側が前記面方向に対して摺動可能に支持された表示装置。
【請求項2】
前記摺動可能に支持された部位は、ボルト(191)にて締結される際の、ボルト用下孔が、摺動方向に延びる長孔(182a)として形成された請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記摺動可能に支持された部位は、前記分割フレームおよび前記背面側筐体の一方側に設けられて摺動方向に延びる凹部(152b)と、他方側に設けられて前記凹部に係合して摺動する凸部(182b)とから形成された請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記摺動可能に支持された部位は、弾性接着剤(192)による接合部である請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の前記分割フレームの隣接する領域は、隙間が埋まるように延設されて、前記表示部の側となる面が平面形成された請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示部は、複数の前記分割フレームに対応するように、複数の前記表示部から形成された請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項7】
前記カバーパネルは、前記フレームに対して、パネル用弾性接着剤(160)によって接合された請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
車両に搭載される請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の表示装置は、液晶パネル、光源モジュール、包囲部材、およびカバーパネル等を備えている。包囲部材は、液晶パネルおよび光源モジュールを側方から包囲する部材となっている。包囲部材の視認側端部には、弾性接着部材によって、カバーパネルの裏面の縁部が接着されている。また、包囲部材は、複数の分割フレームから形成されており、分割面は、互いの連結状態が維持されつつ、離間する方向に摺動可能に形成されている。
【0003】
これにより、カバーパネルと、包囲部材とで、線膨張係数が異なる場合であっても、弾性接着部材によって、カバーパネルと包囲部材との線膨張係数の差によって発生する応力(熱応力)が吸収され、カバーパネルが受ける熱応力を低減することができるようになっている。加えて、包囲部材における分割フレームが摺動可能に形成されていることから、更に、カバーパネルと包囲部材との線膨張の差分が吸収されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-129068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、包囲部材は、光源モジュールのバックライトを固定するためのバックシャーシ(表示装置の背面側の筐体)に接合されているので、カバーパネルおよび包囲部材(フレーム)は、バックシャーシの線膨張の影響を受ける可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、上記問題に鑑み、表示部のカバーパネルがフレームに支持され、更にフレームが、背面側の筐体に支持されるものにおいて、カバーパネル、フレーム、および背面側筐体間における線膨張係数の差に伴う熱応力の影響を抑制可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0008】
本開示では、画像を表示する表示部(130)と、
表示部の視認側に設けられたカバーパネル(110)と、
表示部の背面側に設けられ、表示部を支持すると共に、端部側においてカバーパネルが接合されるフレーム(150)と、
フレームの背面側に設けられ、フレームを支持する背面側筐体(180)と、を備える表示装置であって、
フレームは、カバーパネルの面方向に分割された複数の分割フレーム(150A、150B)から形成され、複数の分割フレームに対してカバーパネルが接合されており、
複数の分割フレームは、それぞれ、背面側筐体に対して、面方向の一端側が固定支持され、他端側が面方向に対して摺動可能に支持されたことを特徴としている。
【0009】
この開示によれば、フレームは、複数の分割フレームから形成されるようにしているので、フレームが1つの部材によって形成される場合に対して、1つ1つの分割フレームを相対的に小さくすることができる。よって、カバーパネルに対して、それぞれの分割フレームの線膨張に伴う変位量を相対的に小さくすることができるので、カバーパネルと分割フレームとの間における線膨張係数の差に伴う熱応力を抑制することができる。
【0010】
また、分割フレームは、それぞれ、背面側筐体に対して、一端側では固定支持され、他端側では面方向に摺動可能に支持されているので、分割フレームと背面側筐体との間において、線膨張係数の差に伴う変位を吸収することができる。よって、分割フレームと背面側筐体との間の線膨張係数の差に伴う熱応力を抑制することができる。
【0011】
総じて、カバーパネル、フレーム、および背面側筐体の間における熱応力の影響を抑制することができる。
【0012】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の表示装置の構成を示す、分解斜視図である。
図2】第1実施形態の表示装置を示す断面図である。
図3図2におけるIII-III部を示す断面図である。
図4】第2実施形態の表示装置を示す断面図である。
図5図4のV方向から見た矢視図である。
図6図5の組付け要領を示す説明図である。
図7】第3実施形態の表示装置を示す断面図である。
図8図7のVIII方向から見た矢視図である。
図9】第4実施形態の表示装置を示す断面図である。
図10図9のX方向から見た斜視図である。
図11】第5実施形態の表示装置を示す断面図である。
図12図11のXII方向から見た矢視図である。
図13図12の変形例を示す矢視図である。
図14】第6実施形態の表示装置を示す断面図である。
図15】第7実施形態の表示装置を示す断面図である。
図16図15のXVI部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態の表示装置100Aを、図1図3に示す。第1実施形態の表示装置100Aは、車両に搭載されて、例えば、コンビネーションメータ装置、あるいはセンターインフォメーションディスプレイ装置(以下、CID装置)等に適用されている。コンビネーションメータ装置では、例えば、車速、エンジン回転数、走行燃費、航続可能距離等の各種車両情報が表示され、また、CID装置では、例えば、カーナビゲーション装置、カーエアコン装置、およびカーオーディオ装置等にかかる各種装置情報が表示される。
【0016】
表示装置100Aは、自発光式の表示部として、例えば、有機ELパネル130が使用されており、例えば、車両のダッシュボートにおいて、運転席と対向する位置、あるいは、車両の幅方向の中央位置等に配置されて、表示される画像がユーザ(例えば、運転者)に視認されるようになっている。以下、図1図2に示すように、表示装置100Aの車両後方側をユーザ側、車両前方側を背面側と呼ぶ。また、図2に示すように、表示装置100Aに対する車両上での左右方向をX方向、前後方向をY方向、および上下方向をZ方向と定義する。
【0017】
表示装置100Aは、図1図2に示すように、カバーパネル110、光学透明接着剤120、有機ELパネル130、熱伝導性部材140、フレーム150、接着剤160、回路基板170、およびリアケース180等を備えており、これらの各部材が積層されている。
【0018】
カバーパネル110は、有機ELパネル130を保護するために設けられた透光性の(透明な)板状の部材となっており、有機ELパネル130のユーザ側(視認側)に設けられている。カバーパネル110は、例えば、ガラス材から形成されている。カバーパネル110は、透光性を有することから、有機ELパネル130によって形成される画像が透過してユーザに視認されるようになっている。カバーパネル110の正面形状は、横長の長方形を成している。尚、カバーパネル110の材質としては、ガラスの他にも、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)や、PC(ポリカーボネート)等の透明な樹脂部材等を用いたものとしてもよい。
【0019】
有機ELパネル130は、表示面にマトリックス配置される複数の画素の発光によって、各種車両情報や各種装置情報等の画像を表示する表示部であり、カバーパネル110の背面側に配置されている。有機ELパネル130の「EL」は、Electro Luminescenceの略表示である。有機ELパネル130は、OLED(Organic Light Emitting Diode)とも表示される。
【0020】
本実施形態では、有機ELパネル130は、複数(ここでは2つ)、設けられている。各有機ELパネル130は、ユーザ側から見た形状(表示面)が、それぞれ横長の四角形を成しており、複数の有機ELパネル130が長辺方向に並べられて、全体の大きさが、カバーパネル110の大きさに相当するように形成されている。尚、有機ELパネル130は、上記のように2つの設定に限らず、3つ以上の設定としてもよいし、1つの設定としてもよい。
【0021】
有機ELパネル130は、自発光式の表示部であり、例えば、液晶式のパネルのようなバックライトを必要としないので、表示装置100Aの厚み寸法としては、極めて薄く設定することが可能となっている(薄型化)。反面、有機ELパネル130は、自発光式であること、および、薄型に伴い内部熱密度が増大することにより、作動時にある程度の発熱を伴う。有機ELパネル130は、フレキシブル性を有しており、たわませたり折曲げたりすることも可能となっている。
【0022】
有機ELパネル130は、制御基板131を有している。制御基板131は、有機ELパネル130の表示面における画像の表示状態を制御するようになっている。制御基板131は、フレキシブル配線132によって、有機ELパネル130に接続されている。制御基板131は、フレキシブル配線132が折り返されて、後述するフレーム150(各分割フレーム150A、150B)の背面側に固定されている。制御基板131も、有機ELパネル130と同様に、発熱を伴う部材となっている。
【0023】
そして、カバーパネル110と有機ELパネル130との間には、例えば、光透過性、および弾性を有する光学透明接着剤120が設けられて、カバーパネル110と有機ELパネル130とは、接合されている。接着剤としては、光学透明接着剤120に代えて、他の透明な弾性を有する粘着剤(例えば、光学粘着シート(OCA)等)としてもよい。
【0024】
フレーム150は、有機ELパネル130の背面側に配置された、金属製の部材となっている。フレーム150は、薄型化された有機ELパネル130の剛性を得るための骨格部材となっている。また、フレーム150は、金属製部材とすることで、有機ELパネル130、制御基板131、および後述する回路基板170に対するヒートシンクの役割を果たす部材にもなっている。
【0025】
フレーム150は、カバーパネル110の面方向に、複数(ここでは2つ)に分割されている。分割されたフレーム150は、ユーザ側から見た形状が、横長の四角形を成しており、分割フレーム150A、および分割フレーム150Bとなっている。ここでは、各分割フレーム150A、150Bは、各有機ELパネル130に対応している。
【0026】
各分割フレーム150A、150Bは、例えば、アルミニウム、マグネシウム、あるいはアルミニウムおよびマグネシウムの合金等を材料として、ダイカスト加工によって形成された金属成形品となっており、ユーザ側面の外周部にはカバーパネル110側に突出する側壁151が設けられている。また、各分割フレーム150A、150Bの背面側の端部(例えば、四角形の角部4箇所)には、背面側(リアケース180側)に突出するボス部152が設けられている。ボス部152には、背面側から形成された雌ねじ部152aが設けられている。
【0027】
各分割フレーム150A、150Bの側壁151の内側領域のユーザ側面に有機ELパネル130がそれぞれ配置されている。各有機ELパネル130と、各分割フレーム150A、150Bとの間には、熱伝導性部材140が介在されて、各有機ELパネル130は、各分割フレーム150A、150Bに固定されている。熱伝導性部材140は、例えば、柔軟性を有する放熱ゲルシートである。尚、熱伝導性部材140としては、放熱ゲルシート以外にも、例えば、放熱グリスを用いることができる。各有機ELパネル130で発生される熱は、熱伝導性部材140を介して、各分割フレーム150A、150Bから外部に放出されるようになっている。
【0028】
また、カバーパネル110の外周部と、各分割フレーム150A、150Bにおける側壁151の端部とは、接着剤160によって接合されている。接着剤160としては、弾性を有する弾性接着剤を用いるのがよい。弾性接着剤は、本開示のパネル用弾性接着剤に対応する。
【0029】
回路基板170は、例えば、車両の各種センサからの情報、あるいはユーザの入力情報等を得て、コンビネーションメータ装置、あるいはCID装置として、有機ELパネル130に表示すべき画像の決定、表示を制御(システム制御)する制御部となっている。回路基板170は、例えば、フレーム150の背面側の面に固定されている。
【0030】
リアケース180は、フレーム150の背面側に設けられて、フレーム150を支持する背面側筐体である。リアケース180は、例えば、樹脂材、あるいは金属材から形成されている。リアケース180の外周部には、カバーパネル110側に延設された側壁181と、各分割フレーム150A、150Bの各ボス部152に対向するようにして、各分割フレーム150A、150B側に突出するボス部182が形成されている。
【0031】
リアケース180のX方向における中央領域のボス部182には、ボルト用下孔として、丸孔1820が形成されている。X方向における中央領域は、各分割フレーム150A、150Bの一端側に対応している。また、リアケース180のX方向における両端部側のボス部182には、ボルト用下孔として、長孔182aが形成されている。X方向における両端部側は、各分割フレーム150A、150Bの他端側に対応している。
【0032】
長孔182aの長軸は、図3に示すように、X方向に沿っている。長孔182aの長軸寸法は、各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180とにおける温度変化に伴うX方向の膨張、収縮の差分を考慮した寸法に設定されている。尚、長孔182aの設定にあたっては、Z方向の膨張、収縮差分についても考慮したものとするのが好ましい。
【0033】
各分割フレーム150A、150Bのボス部152と、リアケース180のボス部182とが位置合わせされて、ボルト191によって、各分割フレーム150A、150Bにリアケース180が固定されている。各分割フレーム150A、150Bの一端側(図2中のX方向の中央領域)でのリアケース180との固定は、ボルト191と丸孔1820とによる通常の固定支持となっている。
【0034】
また、各分割フレーム150A、150Bの他端側(図2中のX方向の両端部側)でのリアケース180との固定は、長孔182aによる隙間を伴う固定支持となっている。長孔182aによる隙間によって、温度差に伴う各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との膨張、収縮の差分の相対移動が吸収可能となっている(本開示の摺動可能支持)。つまり、長孔182aの長軸方向は、膨張、収縮に伴う摺動方向に沿うように(延びるように)設定されている。
【0035】
本実施形態の表示装置100Aの構成は、以上のようになっており、以下、その作動および作用効果について説明する。
【0036】
ユーザが表示装置100Aの作動操作(例えば、イグニッションスイッチオン)をすると、有機ELパネル130の表示面における各画素の発光状態が、制御基板131および回路基板170によって制御されて、所定の画像(各種車両情報、あるいは各種装置情報等)が表示される。ユーザは、表示される画像に基づいて(画像を視認して)、車両の運転を行うことができる。
【0037】
表示装置100Aは、車両に搭載されており、外部環境(季節や天候等)に応じて、車内の温度変化は大きいものとなる。
【0038】
本実施形態では、フレーム150は、複数の分割フレーム150A、150Bから形成されるようにしているので、フレーム150が1つの部材によって形成される場合に対して、1つ1つの分割フレーム150A、150Bを相対的に小さくすることができる。よって、カバーパネル110に対して、それぞれの分割フレーム150A、150Bの線膨張に伴う変位量を相対的に小さくすることができるので、カバーパネル110と各分割フレーム150A、150Bとの間における線膨張係数の差に伴う熱応力を抑制することができる。
【0039】
尚、カバーパネル110と各分割フレーム150A、150Bとを接合する接着剤160として、弾性接着剤(パネル用弾性接着剤)を用いることで、線膨張に伴う変位量を吸収することができるので、更に、効果的に熱応力を抑制することができる。
【0040】
また、各分割フレーム150A、150Bは、それぞれ、リアケース180に対して、一端側では固定支持され、他端側では長孔182a(隙間)によって面方向に摺動可能に支持されているので、各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、線膨張係数の差に伴う変位を吸収することができる。よって、各分割フレーム150A、150Bとリアケース180との間の線膨張係数の差に伴う熱応力を抑制することができる。
【0041】
総じて、カバーパネル110、フレーム150(各分割フレーム150A、150B)、およびリアケース180の間における熱応力の影響を抑制することができる。
【0042】
また、各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、リアケース180のボルト用下孔を長孔182aとして、長孔182aの長軸を線膨張に沿う摺動方向に設定することで、摺動可能とする支持構造を容易に形成することができる。
【0043】
また、各分割フレーム150A、150Bに対応するように、表示部が複数の有機ELパネル130から形成されるようにしており、全体構成として収まりの良い表示装置100Aとすることができる。
【0044】
また、表示装置100Aは、車両に搭載されている。車両においては、外部環境(季節や天候等)によって、車室内温度は大きく変化し得るので、熱応力の影響を抑制するのに、本表示装置100Aを用いて好適である。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態の表示装置100Bを図4図6に示す。第2実施形態の表示装置100Bは、上記第1実施形態の表示装置100Aに対して、分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、摺動可能に支持された部位(リアケース180の両端部側の摺動可能支持部)の構造を変更したものである。
【0046】
図5に示すように、各分割フレーム150A、150Bの他端側のボス部152には、X方向(摺動方向)に延びる凹部152bが形成されている。凹部152bの断面形状は、例えば、半円形を成している。
【0047】
また、リアケース180の両端部側のボス部182には、凹部152b側に突出して、凹部152bに沿うように延びる凸部182bが形成されている。凸部182bの断面形状は、例えば、半円形を成している。
【0048】
図6に示すように、リアケース180に対して、相対的に各分割フレーム150A、150Bを回転するように移動させることで、凹部152bに凸部182bが嵌合されている。凸部182b(リアケース180)は、凹部152b(各分割フレーム150A、150B)に対して、相対的にX方向(線膨張係数の差に伴う変位の発生方向)に摺動可能となっている。尚、凸部182b(リアケース180)は、凹部152b(各分割フレーム150A、150B)に対して、相対的にY方向の移動は禁止されている。
【0049】
これにより、凹部152bと凸部182bとによって、摺動可能に支持された部位が形成される。よって、上記第1実施形態と同様に、各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、線膨張係数の差に伴う変位を吸収することができるので、各分割フレーム150A、150Bとリアケース180との間の線膨張係数の差に伴う熱応力を抑制することができる。
【0050】
(第3実施形態)
第3実施形態の表示装置100Cを図7図8に示す。第3実施形態の表示装置100Cは、上記第1実施形態の表示装置100Aに対して、分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、摺動可能に支持された部位(リアケース180の両端部側の摺動可能支持部)の構造を変更したものである。本実施形態では、リアケース180は、例えば、樹脂材から形成されている。
【0051】
図8に示すように、各分割フレーム150A、150Bの他端側のボス部152には、Y方向にへこんで、X方向(摺動方向)に延びる凹部152cが形成されている。凹部152cの断面形状は、例えば、開口側が狭く、奥側が開口側よりも広い円形となって、全体が鍵穴状を成している。凹部152cの開口側は、対向する2面によって形成される空間であり、奥側は円形がX方向に連続する空間となっている。
【0052】
また、リアケース180の両端部側のボス部182には、ボス部152側に突出して、凹部152cに沿うように延びる凸部182cが形成されている。凸部182cの断面形状は、例えば、首部と、首部の幅よりも直径が大きく設定された円形とから形成されている。凸部182cの首部はX方向に連続する板状を成し、先端側はX方向に延びる円柱状を成している。リアケース180が樹脂材から形成されていることから、凸部182cは、凹部152cへの挿入時に弾性変形可能となっている。
【0053】
凸部182cは、スナップのごとく凹部152cに挿入、嵌合されている。凸部182c(リアケース180)は、凹部152c(各分割フレーム150A、150B)に対して、相対的にX方向(線膨張係数の差に伴う変位の発生方向)に摺動可能となっている。尚、凸部182c(リアケース180)は、凹部152c(各分割フレーム150A、150B)に対して、相対的にY方向の移動は禁止されている。
【0054】
これにより、凹部152cと凸部182cとによって、摺動可能に支持された部位が形成される。よって、上記第1実施形態と同様に、各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、線膨張係数の差に伴う変位を吸収することができるので、各分割フレーム150A、150Bとリアケース180との間の線膨張係数の差に伴う熱応力を抑制することができる。
【0055】
(第4実施形態)
第4実施形態の表示装置100Dを図9図10に示す。第4実施形態の表示装置100Dは、上記第1実施形態の表示装置100Aに対して、分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、摺動可能に支持された部位(リアケース180の両端部側の摺動可能支持部)の構造を変更したものである。本実施形態では、リアケース180は、例えば、金属材から形成されている。
【0056】
図9に示すように、各分割フレーム150A、150Bの他端側のボス部152と、リアケース180の両端部側のボス部182とは、X軸方向に並ぶように位置設定されている。ボス部152と、ボス部182との間には、各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180とにおける温度変化に伴うX方向の膨張、収縮の差分を考慮した寸法の隙間が形成されている。
【0057】
図10に示すように、ボス部152には、X方向に貫通された貫通孔152dが形成されている。貫通孔152dの断面形状は、例えば、円形となっている。また、ボス部182には、貫通孔152dと同軸となる貫通孔182dが形成されている。貫通孔182dの断面形状は、例えば、貫通孔152dと同様の円形となっている。
【0058】
そして、各分割フレーム150A、150Bにリアケース180が組み付けされる状態で、隙間をもってX方向に並ぶボス部152、182の貫通孔152d、182dに、円柱状のピン191aが挿入されている。ピン191aは、貫通孔152dと貫通孔182dのうち、いずれか一方において固定され、他方において、摺動可能となっている。よって、ボス部152とボス部182とは、ピン191aを介して、相対的にX方向(線膨張係数の差に伴う変位の発生方向)に摺動可能となっている。尚、ボス部152(各分割フレーム150A、150B)は、ボス部182(リアケース180)に対して、相対的にY方向の移動は禁止されている。
【0059】
これにより、ボス部152、182において挿入されたピン191aによって、摺動可能に支持された部位が形成される。よって、上記第1実施形態と同様に、各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、線膨張係数の差に伴う変位を吸収することができるので、各分割フレーム150A、150Bとリアケース180との間の線膨張係数の差に伴う熱応力を抑制することができる。
【0060】
(第5実施形態)
第5実施形態の表示装置100Eを図11図12に示す。第5実施形態の表示装置100Eは、上記第1実施形態の表示装置100Aに対して、分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、摺動可能に支持された部位(リアケース180の両端部側の摺動可能支持部)の構造を変更したものである。本実施形態では、リアケース180は、例えば、樹脂材、あるいは金属材から形成されている(第1実施形態と同一)。
【0061】
図11に示すように、各分割フレーム150A、150Bの他端側のボス部152と、リアケース180の両端部側のボス部182とは、X軸方向に並ぶように位置設定されている。ボス部152と、ボス部182との間には、各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180とにおける温度変化に伴うX方向の膨張、収縮の差分を考慮した寸法の隙間が形成されている。
【0062】
図12に示すように、ボス部152には、X方向に貫通された凹部152cが形成されている。凹部152cは、上記第3実施形態で説明したものと同様のものである。また、ボス部182には、凹部152cの円形部分と同軸となる貫通孔182dが形成されている。貫通孔182dは、上記第4実施形態で説明したものと同様のものである。
【0063】
そして、貫通孔182dには、予めピン191aが挿入されており、ピン191aの一端側が、貫通孔182dの内周面に固定されている。ピン191aは、例えば、樹脂材から形成されており、弾性変形可能となっている。
【0064】
ピン191aの他端側は、スナップのごとく凹部152cに挿入、嵌合されている。よって、ボス部152とボス部182とは、ピン191aを介して、相対的にX方向(線膨張係数の差に伴う変位の発生方向)に摺動可能となっている。尚、ボス部152(各分割フレーム150A、150B)は、ボス部182(リアケース180)に対して、相対的にY方向の移動は禁止されている。
【0065】
これにより、ボス部152、182において挿入されたピン191aによって、摺動可能に支持された部位が形成される。よって、上記第1実施形態と同様に、各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、線膨張係数の差に伴う変位を吸収することができるので、各分割フレーム150A、150Bとリアケース180との間の線膨張係数の差に伴う熱応力を抑制することができる。
【0066】
尚、図13に示すように、ボス部152に貫通孔152dを設けて、貫通孔152dにピン191aの他端側を挿入、固定し、ボス部182に鍵穴状の凹部182eを設けて、ピン191aの一端側を挿入、嵌合したものとしてもよい。これにより、上記と同様に、ボス部152、182において挿入されたピン191aによって、摺動可能に支持された部位が形成される。
【0067】
(第6実施形態)
第6実施形態の表示装置100Fを図14に示す。第6実施形態の表示装置100Fは、上記第1実施形態の表示装置100Aに対して、分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、摺動可能に支持された部位(リアケース180の両端部側の摺動可能支持部)の構造を変更したものである。
【0068】
図14に示すように、各分割フレーム150A、150Bの他端側のボス部152と、リアケース180の両端部側のボス部182とは、対向する面の間において、弾性接着剤192によって接合されている。弾性接着剤192によって、ボス部182(リアケース180)は、ボス部152(各分割フレーム150A、150B)に対して、相対的にX方向(線膨張係数の差に伴う変位の発生方向)に摺動可能となっている。尚、ボス部182(リアケース180)は、ボス部152(各分割フレーム150A、150B)に対して、相対的にY方向の移動は禁止されている。
【0069】
これにより、ボス部152とボス部182との間の弾性接着剤192(接合部)によって、摺動可能に支持された部位が形成される。よって、上記第1実施形態と同様に、各分割フレーム150A、150Bと、リアケース180との間において、線膨張係数の差に伴う変位を吸収することができるので、各分割フレーム150A、150Bとリアケース180との間の線膨張係数の差に伴う熱応力を抑制することができる。
【0070】
尚、リアケース180の中央領域におけるボルト191を廃止して、上記の弾性接着剤192にて、ボス部152とボス部182とを接合するようにしてもよい。
【0071】
(第7実施形態)
第7実施形態の表示装置100Gを図15図16に示す。第7実施形態の表示装置100Gは、上記第1実施形態の表示装置100Aに対して、表示部として、複数の有機ELパネル130を、単数(1個仕様)の有機ELパネル130に変更したものである。1つの有機ELパネル130の表示面の大きさは、複数の場合の全体の表示面の大きさと同等に形成されている。
【0072】
有機ELパネル130が1個仕様であることから、対応する光学透明接着剤120、および熱伝導性部材140は、1つの有機ELパネル130に対応するように、非分割となっている。
【0073】
図16に示すように、各分割フレーム150A、150Bの隣接する領域は、両者の間の隙間が埋まるように延設されて、有機ELパネル130側の面がほぼ平面となるように形成されている。
【0074】
つまり、各分割フレーム150A、150Bのリアケース180の中央領域における側壁151は、廃止されている。また、隣接する各分割フレーム150A、150Bは、相手側に向けて延設されている。分割フレーム150Aにおける延設部は、有機ELパネル130側の面が維持されて延びており、Y方向の中央部に凹部152eが形成されている。また、分割フレーム150Bにおける延設部は、凹部152eに挿入される凸部152fとなっている。よって、各分割フレーム150A、150Bは、分割されているものの、両延設部によって、有機ELパネル130側がほぼ1つの平面となるように形成されている。
【0075】
尚、リアケース180の両端部側に対応するボス部152と、ボス部182とは、上記第1実施形態~第6実施形態で説明した、摺動可能に支持された部位(構造)となっている。
【0076】
これにより、フレーム150は、各分割フレーム150A、150Bから形成されているものの、隣接する部位にて、互い延設させて、凹部152eと凸部152fとの組み合わせとすることで、各分割フレーム150A、150B間の隙間を極力小さく(最小化)することができる。よって、表示部として有機ELパネル130を1個仕様とする場合のフレーム150への装着が容易となる。
【0077】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、リアケース180の中央領域において、各分割フレーム150A、150Bとリアケース180とを固定支持とし、リアケース180の両端部側において各分割フレーム150A、150Bとリアケース180とを摺動可能支持とした。しかしながら、この固定支持と、摺動可能支持の位置を逆にしてもよい。
【0078】
また上記各実施形態では、自発光式の表示部として、有機ELパネル130を代表例として説明したが、これに限定されることなく、他の蛍光表示管、無機ELディスプレイ等に適用してもよい。
【0079】
また、表示装置100A~100Gは、車両に搭載されるものとして説明したが、これに限定されることなく、家庭用や業務用等に使用されるものとしてもよい。
【0080】
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、更に請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【符号の説明】
【0081】
100A~100G 表示装置
110 カバーパネル
130 有機ELパネル(表示部)
150 フレーム
150A、150B 分割フレーム
152b 凹部
160 接着剤(パネル用弾性接着剤)
180 リアケース(背面側筐体)
182b 凸部
191 ボルト
192 弾性接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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