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特開2022-191036滅菌ドレープ、手術支援ロボットおよび滅菌ドレープの装着方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191036
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】滅菌ドレープ、手術支援ロボットおよび滅菌ドレープの装着方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 46/10 20160101AFI20221220BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20221220BHJP
   A61B 50/00 20160101ALI20221220BHJP
【FI】
A61B46/10
A61B34/35
A61B50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099646
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】伊原 大明
(72)【発明者】
【氏名】河野 護
(72)【発明者】
【氏名】佐合井 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】森 祐子
(57)【要約】
【課題】滅菌ドレープにより手術支援ロボットのロボットアームを覆う際の作業を容易に行うことが可能な滅菌ドレープを提供すること。
【解決手段】このドレープ70は、手術支援ロボット20のロボットアーム21を覆うための滅菌ドレープであって、一方側の端部に開口部73が設けられた袋状のドレープ本体71と、ドレープ本体71の一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部74と、ドレープ本体71の開口部73近傍に設けられ、ドレープ本体71をロボットアーム21に固定するための環状の伸縮紐75と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術支援ロボットのロボットアームを覆うための滅菌ドレープであって、
一方側の端部に開口部が設けられた袋状のドレープ本体と、
前記ドレープ本体の前記一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部と、
前記ドレープ本体の前記開口部近傍に設けられ、前記ドレープ本体を前記ロボットアームに固定するための環状の伸縮紐と、を備える、滅菌ドレープ。
【請求項2】
前記環状の伸縮紐は、前記一対の把持部の前記ドレープ本体への接続部に配置されている、請求項1に記載の滅菌ドレープ。
【請求項3】
前記ドレープ本体は、前記ロボットアームを覆う前の状態において、前記ロボットアームを覆った際に外側となる面が露出しないように内側に折り畳まれている、請求項1または2に記載の滅菌ドレープ。
【請求項4】
前記ドレープ本体の他方側に配置され、前記ロボットアームに手術器具を取り付けるためのアダプタが取り付けられる前記ロボットアームの取付部を覆うマウントカバーをさらに備え、
前記一対の把持部は、前記ドレープ本体の長手方向に直交する方向において、前記マウントカバーを挟む方向に対向するように配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の滅菌ドレープ。
【請求項5】
前記マウントカバーには、保護フィルムが引き剥がし可能に貼付されている、請求項4に記載の滅菌ドレープ。
【請求項6】
前記ドレープ本体と、前記保護フィルムとは、識別可能に互いに異なる色を有している、請求項5に記載の滅菌ドレープ。
【請求項7】
前記ドレープ本体は、無色透明であり、
前記保護フィルムは、有色である、請求項6に記載の滅菌ドレープ。
【請求項8】
前記マウントカバーは、平板状に形成されている、請求項4~7のいずれか1項に記載の滅菌ドレープ。
【請求項9】
前記一対の把持部は、前記ドレープ本体と同じ材料により、前記ドレープ本体と一体的に形成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の滅菌ドレープ。
【請求項10】
前記ドレープ本体と、前記環状の伸縮紐とは、識別可能に互いに異なる色を有している、請求項1~9のいずれか1項に記載の滅菌ドレープ。
【請求項11】
前記ドレープ本体は、無色透明であり、
前記環状の伸縮紐は、有色である、請求項10に記載の滅菌ドレープ。
【請求項12】
前記ドレープ本体は、他方側の端部が線状に閉じられているとともに、角部が面取りされた形状を有している、請求項1~11のいずれか1項に記載の滅菌ドレープ。
【請求項13】
前記環状の伸縮紐は、ゴム紐を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の滅菌ドレープ。
【請求項14】
手術器具が取り付けられるロボットアームと、
前記ロボットアームを覆う滅菌ドレープとを備え、
前記滅菌ドレープは、
一方側の端部に開口部が設けられた袋状のドレープ本体と、
前記ドレープ本体の前記一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部と、
前記ドレープ本体の前記開口部近傍に設けられ、前記ドレープ本体を前記ロボットアームに固定するための環状の伸縮紐と、を含む、手術支援ロボット。
【請求項15】
手術支援ロボットのロボットアームを滅菌ドレープで覆う滅菌ドレープ装着方法であって、
一方側の端部に開口部が設けられた袋状のドレープ本体の前記一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部を把持しながら、前記ロボットアームを前記ドレープ本体により覆い、
前記ドレープ本体の前記開口部近傍に設けられた環状の伸縮紐により、前記ドレープ本体を前記ロボットアームに固定する、滅菌ドレープの装着方法。
【請求項16】
前記ロボットアームを覆った際に外側となる面が露出しないように内側に折り畳まれている前記ドレープ本体を、前記開口部を前記ロボットアームに沿って移動させて、前記ドレープ本体を裏返しながら、前記ロボットアームを前記ドレープ本体により覆う、請求項15に記載の滅菌ドレープの装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、滅菌ドレープ、手術支援ロボットおよび滅菌ドレープの装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術支援ロボットのロボットアームを覆う滅菌ドレープが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0003】
上記特許文献1には、一方側の端部に開口部が設けられた袋状のドレープ本体と、ドレープ本体の開口部にドレープ本体と一体的に設けられたカフスとを備える滅菌ドレープが開示されている。この特許文献1の滅菌ドレープでは、ドレープ本体に一体的に設けられたカフスの中に補助者が手を入れて、ロボットアームに沿って引っ張ることにより、ドレープ本体をロボットアームに取り付けている。
【0004】
上記特許文献2には、一方側の端部に開口部が設けられた袋状のドレープ本体を備える手術用ドレープ(滅菌ドレープ)が開示されている。この特許文献2の手術用ドレープでは、ロボットアームとドレープ本体との一方に磁石を設け、他方に鉄系金属部材を設け、磁石と鉄系金属部材とを磁力により吸着させて、ドレープ本体をロボットアームに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009-509653号公報
【特許文献2】特表2017-512547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の滅菌ドレープでは、補助者がドレープ本体に一体的に設けられたカフスの中に手を入れてロボットアームに沿って引っ張る必要がある。また、上記特許文献2の手術用ドレープ(滅菌ドレープ)では、比較的小さい磁石と鉄系金属部材を位置合わせして、ドレープ本体をロボットアームに対して固定する必要がある。このため、上記特許文献1および2では、滅菌ドレープによりロボットアームを覆う際の作業が煩雑であるという問題点がある。
【0007】
この発明は、滅菌ドレープにより手術支援ロボットのロボットアームを覆う際の作業を容易に行うことが可能な滅菌ドレープ、手術支援ロボットおよび滅菌ドレープの装着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面による滅菌ドレープは、手術支援ロボットのロボットアームを覆うための滅菌ドレープであって、一方側の端部に開口部が設けられた袋状のドレープ本体と、ドレープ本体の一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部と、ドレープ本体の開口部近傍に設けられ、ドレープ本体をロボットアームに固定するための環状の伸縮紐と、を備える。
【0009】
この発明の第1の局面による滅菌ドレープでは、ドレープ本体の一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部を設ける。これにより、手術の補助者などの作業者が一対の把持部を両手で把持しながらドレープ本体の一方側の端部をロボットアームに沿うように移動させることにより、滅菌ドレープによりロボットアームを容易に覆うことができる。また、ドレープ本体の開口部近傍に設けられ、ドレープ本体をロボットアームに固定するための環状の伸縮紐を設ける。これにより、ドレープ本体によりロボットアームを覆う作業の開始時に環状の伸縮紐を広げた状態で順次ロボットアームを覆う作業を進行させた後、固定位置まできた際に、環状の伸縮紐の縮みによる締め付け力を利用して、ドレープ本体をロボットアームに容易に固定することができる。これらの結果、滅菌ドレープにより手術支援ロボットのロボットアームを覆う際の作業を容易に行うことができる。
【0010】
この発明の第2の局面による手術支援ロボットは、手術器具が取り付けられるロボットアームと、ロボットアームを覆う滅菌ドレープとを備え、滅菌ドレープは、一方側の端部に開口部が設けられた袋状のドレープ本体と、ドレープ本体の一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部と、ドレープ本体の開口部近傍に設けられ、ドレープ本体をロボットアームに固定するための環状の伸縮紐と、を含む。
【0011】
この発明の第2の局面による手術支援ロボットでは、ドレープ本体の一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部を設ける。これにより、手術の補助者などの作業者が一対の把持部を両手で把持しながらドレープ本体の一方側の端部をロボットアームに沿うように移動させることにより、滅菌ドレープによりロボットアームを容易に覆うことができる。また、ドレープ本体の開口部近傍に設けられ、ドレープ本体をロボットアームに固定するための環状の伸縮紐を設ける。これにより、ドレープ本体によりロボットアームを覆う作業の開始時に環状の伸縮紐を広げた状態で順次ロボットアームを覆う作業を進行させた後、固定位置まできた際に、環状の伸縮紐の縮みによる締め付け力を利用して、ドレープ本体をロボットアームに容易に固定することができる。これらの結果、滅菌ドレープにより手術支援ロボットのロボットアームを覆う際の作業を容易に行うことが可能な手術支援ロボットを提供することができる。
【0012】
この発明の第3の局面による滅菌ドレープの装着方法は、手術支援ロボットのロボットアームを滅菌ドレープで覆う滅菌ドレープ装着方法であって、一方側の端部に開口部が設けられた袋状のドレープ本体の一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部を把持しながら、ロボットアームをドレープ本体により覆い、ドレープ本体の開口部近傍に設けられた環状の伸縮紐により、ドレープ本体をロボットアームに固定する。
【0013】
この発明の第3の局面による滅菌ドレープの装着方法では、一方側の端部に開口部が設けられた袋状のドレープ本体の一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部を把持しながら、ロボットアームをドレープ本体により覆う。これにより、手術の補助者などの作業者が一対の把持部を両手で把持しながらドレープ本体の一方側の端部をロボットアームに沿うように移動させることにより、滅菌ドレープによりロボットアームを容易に覆うことができる。また、ドレープ本体の開口部近傍に設けられた環状の伸縮紐により、ドレープ本体をロボットアームに固定する。これにより、ドレープ本体によりロボットアームを覆う作業の開始時に環状の伸縮紐を広げた状態で順次ロボットアームを覆う作業を進行させた後、固定位置まできた際に、環状の伸縮紐の縮みによる締め付け力を利用して、ドレープ本体をロボットアームに容易に固定することができる。これらの結果、滅菌ドレープにより手術支援ロボットのロボットアームを覆う際の作業を容易に行うことが可能な滅菌ドレープの装着方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、滅菌ドレープにより手術支援ロボットのロボットアームを覆う際の作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態によるロボット手術システムの概略を示した図である。
図2】一実施形態によるロボット手術システムの制御的な構成を示したブロック図である。
図3】一実施形態によるロボットアームにアダプタを介して手術器具が取り付けられた状態を示した斜視図である。
図4】一実施形態によるロボットアームにドレープを取り付けた状態を示した斜視図である。
図5】一実施形態によるロボットアームに取り付けられるドレープを示した側面図である。
図6】一実施形態によるロボットアームに取り付けられるドレープを示した平面図である。
図7】一実施形態によるドレープのマウントカバーを示した平面図である。
図8】一実施形態によるドレープの伸縮紐を示した拡大断面図である。
図9】一実施形態によるロボットアームに取り付けられるドレープの折り畳まれた状態を示した模式図である。
図10】一実施形態によるドレープを取り付ける際のロボットアームを示した図である。
図11】一実施形態によるドレープの挿入位置からロボットアームを挿入した状態を示した模式図である。
図12】一実施形態によるドレープの把持部をロボットアームに沿って移動させた第1状態を示した模式図である。
図13】一実施形態によるドレープの把持部をロボットアームに沿って移動させた第2状態を示した模式図である。
図14】一実施形態によるドレープをロボットアームに取り付けた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(ロボット手術システムの構成)
図1および図2を参照して、一実施形態によるロボット手術システム100の構成について説明する。
【0018】
図1に示すように、ロボット手術システム100は、遠隔操作装置10と、患者側装置20と、を備えている。遠隔操作装置10は、患者側装置20に設けられた医療器具(medical equipment)を遠隔操作するために設けられている。患者側装置20によって実行されるべき動作態様指令が術者(surgeon)である操作者Oにより遠隔操作装置10に入力されると、遠隔操作装置10は、動作態様指令をコントローラ24を介して患者側装置20に送信する。そして、患者側装置20は、遠隔操作装置10から送信された動作態様指令に応答して、ロボットアーム21aに取り付けられた手術器具(surgical instrument)40、ロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50等の医療器具を操作する。これにより、低侵襲手術が行われる。なお、患者側装置20は、特許請求の範囲の「手術支援ロボット」の一例である。
【0019】
患者側装置20は、患者Pに対して手術を行うインターフェースを構成する。患者側装置20は、患者Pが横たわる手術台30の傍らに配置される。患者側装置20は、複数のロボットアーム21a、21bを有し、このうち1つのロボットアーム21bに内視鏡50が取り付けられ、その他のロボットアーム21aに手術器具40が取り付けられる。各ロボットアーム21a、21bは、アームベース23に共通に支持されている。複数のロボットアーム21a、21bは複数の関節を有し、それぞれの関節には、サーボモータを含む駆動部と、エンコーダ等の位置検出器とが設けられている。ロボットアーム21a、21bは、コントローラ24を介して与えられた駆動信号によりロボットアーム21a、21bに取り付けられた医療器具が所望の動作を行うように制御されるように構成されている。
【0020】
アームベース23は、ポジショナ22に支持されている。ポジショナ22は、垂直多関節ロボットを含んでいる。ポジショナ22は、アームベース23の位置を3次元的に移動させるように構成されている。
【0021】
ロボットアーム21aには、先端部に医療器具としての手術器具40が着脱可能に取り付けられる。手術器具40は、図3に示すように、ロボットアーム21aに取り付けられるハウジング43と、細長形状のシャフト42と、シャフト42の先端部に設けられたエンドエフェクタ41とを備えている。エンドエフェクタ41として、例えば、把持鉗子、シザーズ、フック、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーが挙げられるが、これに限られるものではなく、各種の処置具を適用することができる。患者側装置20を用いた手術において、ロボットアーム21aは、患者Pの体表に留置したカニューラ(トロッカ)を介して患者Pの体内に手術器具40を導入する。そして、手術器具40のエンドエフェクタ41は、手術部位の近傍に配置される。
【0022】
図1に示すように、ロボットアーム21bには、先端部に医療器具としての内視鏡50が着脱可能に取り付けられる。内視鏡50は、患者Pの体腔内を撮影するものであり、撮影した画像は、遠隔操作装置10に対して出力される。内視鏡50として、3次元画像を撮影することができる3D内視鏡若しくは2D内視鏡が用いられる。患者側装置20を用いた手術において、ロボットアーム21bは、患者Pの体表に留置したトロッカを介して患者Pの体内に内視鏡50を導入する。そして、内視鏡50が手術部位の近傍に配置される。
【0023】
遠隔操作装置10は、操作者Oとのインターフェースを構成する。遠隔操作装置10は、ロボットアーム21aに取り付けられた医療器具を操作者Oが操作するための装置である。すなわち、遠隔操作装置10は、操作者Oによって入力された手術器具40および内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令をコントローラ24を介して患者側装置20へ送信可能に構成されている。遠隔操作装置10は、たとえば、マスタの操作をしながらも患者Pの様子がよく見えるように手術台30の傍らに設置される。なお、遠隔操作装置10は、例えば動作態様指令を有線通信または無線通信により送信するようにし、手術台30が設置された手術室とは別室に設置することも可能である。
【0024】
手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、手術器具40の動作(一連の位置及び姿勢)及び手術器具40個別の機能によって実現される動作の態様である。たとえば、手術器具40が把持鉗子である場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、エンドエフェクタ41の手首のロール回転位置及びピッチ回転位置と、ジョーの開閉を行う動作である。また、手術器具40が高周波ナイフである場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、高周波ナイフの振動動作、具体的には高周波ナイフに対する電流の供給であり得る。また、手術器具40がスネアワイヤである場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、束縛動作および束縛状態の解放動作であり得る。また、バイポーラやモノポーラに電流を供給することによって手術対象部位を焼き切る動作であり得る。
【0025】
内視鏡50によって実行されるべき動作態様とは、たとえば、内視鏡50先端の位置及び姿勢、又はズーム倍率の設定である。
【0026】
遠隔操作装置10は、図1および図2に示すように、操作ハンドル11と、操作ペダル部12と、表示部13と、制御装置14と、を備えている。
【0027】
操作ハンドル11は、ロボットアーム21aに取り付けられた医療器具を遠隔で操作するために設けられている。具体的には、操作ハンドル11は、医療器具(手術器具40、内視鏡50)を操作するための操作者Oによる操作を受け付ける。操作ハンドル11は、水平方向に沿って2つ設けられている。つまり、2つの操作ハンドル11のうち一方の操作ハンドル11は、操作者Oの右手により操作され、2つの操作ハンドル11のうち他方の操作ハンドル11は、操作者Oの左手により操作される。
【0028】
また、操作ハンドル11は、遠隔操作装置10の後方側から、前方側に向かって延びるように配置されている。操作ハンドル11は、所定の3次元の操作領域内で動かすことができるように構成されている。すなわち、操作ハンドル11は、上下方向、左右方向、および前後方向に動かすことができるように構成されている。
【0029】
遠隔操作装置10と患者側装置20とは、ロボットアーム21aおよびロボットアーム21bの動作の制御においては、マスタスレーブ型のシステムを構成する。すなわち、操作ハンドル11は、マスタスレーブ型のシステムにおけるマスタ側の操作部を構成し、医療器具が取り付けられたロボットアーム21aおよびロボットアーム21bはスレーブ側の動作部を構成する。そして、操作ハンドル11を操作者Oが操作すると、操作ハンドル11の動きをロボットアーム21aの先端部(手術器具40のエンドエフェクタ41)またはロボットアーム21bの先端部(内視鏡50)がトレースして移動するようにロボットアーム21aまたはロボットアーム21bの動作が制御される。
【0030】
また、患者側装置20は、設定された動作倍率に応じてロボットアーム21aの動作を制御するよう構成されている。たとえば、動作倍率が1/2倍に設定されている場合、手術器具40のエンドエフェクタ41は、操作ハンドル11の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
【0031】
操作ペダル部12は、医療器具に関する機能を実行するための複数のペダルを含んでいる。複数のペダルは、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルと、を含んでいる。また、複数のペダルは、操作者Oの足により操作される。
【0032】
凝固ペダルは、手術器具40を用いて手術部位を凝固させる操作を行うことができる。具体的には、凝固ペダルは、操作されることにより、手術器具40に凝固用の電圧が印加されて、手術部位の凝固が行われる。切断ペダルは、手術器具40を用いて手術部位を切断させる操作を行うことができる。具体的には、切断ペダルは、操作されることにより、手術器具40に切断用の電圧が印加されて、手術部位の切断が行われる。
【0033】
カメラペダルは、体腔内を撮像する内視鏡50の位置及び姿勢を操作するために用いられる。具体的には、カメラペダルは、内視鏡50の操作ハンドル11による操作を有効にする。つまり、カメラペダルが押されている間は、操作ハンドル11により内視鏡50の位置および姿勢を操作することが可能である。たとえば、内視鏡50は、左右の操作ハンドル11の両方を用いることにより操作される。具体的には、左右の操作ハンドル11の中間点を中心に左右の操作ハンドル11を回動させることにより、内視鏡50が回動される。また、左右の操作ハンドル11を共に押し込むことにより、内視鏡50が奥に進む。また、左右の操作ハンドル11を共に引っ張ることにより、内視鏡50が手前に戻る。また、左右の操作ハンドル11を共に上下左右に移動させることにより、内視鏡50が上下左右に移動する。
【0034】
クラッチペダルは、ロボットアーム21aと、操作ハンドル11との操作接続を一時切断し手術器具40の動作を停止させる場合に用いられる。具体的には、クラッチペダルが操作されている間は、操作ハンドル11を操作しても、患者側装置20のロボットアーム21aが動作しない。たとえば、操作により操作ハンドル11が移動可能な範囲の端部近傍に来た場合に、クラッチペダルが操作されることにより、操作接続を一時切断して、操作ハンドル11を中央位置付近に戻すことができる。そして、クラッチペダルの操作を中止するとロボットアーム21aと操作ハンドル11とが再び接続され、中央付近で操作ハンドル11の操作を再開することができる。
【0035】
表示部13は、内視鏡50が撮像した画像を表示することができる。表示部13は、スコープ型表示部または非スコープ型表示部を含む。スコープ型表示部とは、たとえば、覗き込むタイプの表示部である。また、非スコープ型表示部とは、通常のパーソナルコンピュータのディスプレイのような覗き込むタイプではない平坦な画面を有する開放型の表示部を含む概念である。
【0036】
スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置20のロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。非スコープ型表示部が取り付けられた場合にも、患者側装置20に設けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。なお、非スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置20に設けられた内視鏡50により撮像された2D画像が表示されてもよい。
【0037】
図2に示すように、制御装置14は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部141と、ROMおよびRAM等のメモリを有する記憶部142と、画像制御部143とを含んでいる。制御装置14は、集中制御する単独の制御装置により構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。制御部141は、操作ハンドル11により入力された動作態様指令を、操作ペダル部12の切替状態に応じて、ロボットアーム21aによって実行されるべき動作態様指令であるか、または、内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であるかを判定する。そして、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が手術器具40によって実行されるべき動作態様指令であると判断すると、動作態様指令をロボットアーム21aに対して送信する。これによって、ロボットアーム21aが駆動され、この駆動によってロボットアーム21aに取り付けられた手術器具40の動作が制御される。
【0038】
また、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であると判定すると、当該動作態様指令をロボットアーム21bに対して送信する。これによって、ロボットアーム21bが駆動され、この駆動によってロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50の動作が制御される。
【0039】
記憶部142には例えば手術器具40の種類に応じた制御プログラムが記憶されていて、取り付けられた手術器具40の種類に応じて制御部141がこれらの制御プログラムを読み出すことにより、遠隔操作装置10の操作ハンドル11及び/又は操作ペダル部12の動作指令が個別の手術器具40に適合した動作をさせることができる。
【0040】
画像制御部143は、内視鏡50が取得した画像を表示部13に伝送する。画像制御部143は、必要に応じて画像の加工修正処理を行う。
【0041】
図3に示すように、手術器具40は、ロボットアーム21aに取り付けられる。ロボットアーム21は、清潔区域において使用されるため、ドレープ70により覆われる。また、アームベース23は、清潔区域において使用されるため、ドレープにより覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者Oを含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させるときは、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者Oを含む手術チームのメンバーがその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ70により覆われる。なお、ドレープ70は、特許請求の範囲の「滅菌ドレープ」の一例である。
【0042】
ドレープ70は、ロボットアーム21と、手術器具40または内視鏡50との間に配置される。具体的には、ドレープ70は、アダプタ60と、ロボットアーム21との間に配置される。アダプタ60は、ドレープ70を挟み込むようにして、ロボットアーム21に取り付けられる。つまり、アダプタ60は、ロボットアーム21との間にドレープ70を挟み込むためのドレープアダプタである。また、手術器具40は、ロボットアーム21aにドレープ70を介して取り付けられたアダプタ60に取り付けられる。ロボットアーム21aは、手術器具40のエンドエフェクタ41を駆動させるために、アダプタ60を介して手術器具40に動力を伝達する。なお、図示はしないが、ドレープ70は、ロボットアーム21bと、内視鏡50が取り付けられた内視鏡アダプタとの間にも配置される。
【0043】
(ドレープ)
図3および図4に示すように、ドレープ70は、ロボットアーム21aおよびロボットアーム21bを覆うように構成されている。ドレープ70は、図5および図6に示すように、ドレープ本体71と、マウントカバー72と、開口部73と、一対の把持部74と、伸縮紐75とを含んでいる。
【0044】
ドレープ本体71は、ロボットアーム21を覆う。ドレープ本体71は、可撓性を有するフィルムである。ドレープ本体71は、たとえば、低密度ポリエチレンなどの樹脂材により形成されている。また、ドレープ本体71は、薄膜状に形成されている。また、ドレープ本体71は、無色透明の色を有している。
【0045】
ドレープ本体71は、一方側の端部に開口部73が設けられている。また、ドレープ本体71の開口部73とは反対側の他方側の端部は、閉塞されている。このように、ドレープ本体71は、長手方向の一方側の端部を開放し、長手方向の他方側の端部を閉塞した細長い袋状に形成されている。
【0046】
また、ドレープ本体71は、図9に示すように、ロボットアーム21を覆う前の状態において、ロボットアーム21を覆った際に外側となる面が露出しないように内側に折り畳まれている。つまり、ドレープ本体71は、使用前において、ロボットアーム21を覆った際に外側となる面は、内側に折り畳まれた状態となる。これにより、ドレープ本体71がロボットアーム21に取り付けられる前の状態において、清潔区域に配置される外側の面が汚染されるのを抑制することができる。また、ドレープ70は、使用前において、折り畳まれた状態で、滅菌袋内に収容されている。たとえば、ドレープ70は、高密度ポリエチレン不織布(タイベックなど)により形成された滅菌袋内に収容されている。そして、ドレープ70は、使用する際に、滅菌袋から取り出されて、ロボットアーム21に取り付けられる。また、ドレープ70は、酸化エチレンガスにより滅菌されている。
【0047】
マウントカバー72は、ドレープ本体71の他方側に配置されている。また、マウントカバー72は、ロボットアーム21に手術器具40を取り付けるためのアダプタ60が取り付けられるロボットアーム21の取付部211を覆うように構成されている。また、マウントカバー72は、ロボットアーム21の取付部211の外郭の形状に合わせた形状を有している。マウントカバー72は、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタラートなどの樹脂材により形成されている。マウントカバー72は、平板状に形成されている。マウントカバー72には、図7に示すように、取付部211からアダプタ60を介して手術器具40に駆動を伝達するための部材および取付部211とアダプタ60とを係合するための係合部を通すための複数の貫通孔72bが設けられている。
【0048】
また、マウントカバー72には、図6に示すように、保護フィルム72aが引き剥がし可能に貼付されている。保護フィルム72aは、ドレープ本体71をロボットアーム21に取り付けた後に、マウントカバー72を介してロボットアーム21の取付部211にアダプタ60を取り付ける前に引き剥がされる。これにより、ドレープ本体71の外側の清潔区域がドレープ本体71の内側の汚染区域に通じるのを抑制することができる。保護フィルム72aは、低密度ポリエチレンなどの樹脂材により形成されている。また、保護フィルム72aは、ドレープ本体71とは識別可能に、互いに異なる色を有している。たとえば、保護フィルム72aは、有色透明の色を有している。また、保護フィルム72aは、水色透明の色を有している。これにより、ドレープ本体71に対して保護フィルム72aが貼付されたマウントカバー72の位置を容易に認識することができるので、ドレープ本体71をロボットアーム21に取り付ける際に、マウントカバー72をロボットアーム21の取付部211の位置に容易に配置することができる。
【0049】
ここで、本実施形態では、一対の把持部74は、図5および図6に示すように、ドレープ本体71の一方側の端部から延びるように設けられている。つまり、一対の把持部74は、開口部73が設けられた側の端部に配置されている。これにより、手術の補助者などの作業者が一対の把持部74を把持しながらドレープ本体71の一方側の端部をロボットアーム21に沿うように移動させることにより、ドレープ70によりロボットアーム21を容易に覆うことができる。
【0050】
また、一対の把持部74は、図6に示すように、ドレープ本体71の長手方向に直交する方向において、マウントカバー72を挟む方向に対向するように配置されている。これにより、マウントカバー72をロボットアーム21の取付部211の位置に配置させた状態で、マウントカバー72を挟み込むように一対の把持部74を両手で把持しながら、ドレープ本体71の一方側の端部をロボットアーム21に沿うように移動させることができる。その結果、ドレープ本体71の一方側の端部をバランスよく移動させることができるので、ドレープ本体71に捻じれなどが生じるのを抑制して、ドレープ本体71を容易にロボットアーム21に取り付けることができる。
【0051】
また、一対の把持部74は、ドレープ本体71と同じ材料により、ドレープ本体71と一体的に形成されている。これにより、一対の把持部74をドレープ本体71とは別個に設ける場合に比べて、部品点数が増加するのを抑制することができるとともに、ドレープ70に把持部74を容易に形成することができる。
【0052】
ここで、本実施形態では、環状の伸縮紐75は、ドレープ本体71の開口部73近傍に設けられている。また、環状の伸縮紐75は、ドレープ本体71をロボットアーム21に固定するように構成されている。具体的には、伸縮紐75は、環状に形成されている。また、伸縮紐75は、伸縮可能に構成されている。たとえば、環状の伸縮紐75は、ゴム紐を含んでいる。つまり、環状の伸縮紐75は、引っ張ることにより直径を大きくすることができるとともに、引っ張られなくなると直径が小さく(自然長となる)なる。また、環状の伸縮紐75の自然長における直径は、ロボットアーム21の直径よりも小さい。これにより、環状の伸縮紐75の縮みによる締め付け力を利用して、ドレープ本体71をロボットアーム21に容易に固定することができる。
【0053】
また、環状の伸縮紐75は、一対の把持部74のドレープ本体71への接続部に配置されている。つまり、環状の伸縮紐75は、一対の把持部74の近傍に配置されている。これにより、一対の把持部74により環状の伸縮紐75を広げることができるので、ドレープ本体71をロボットアーム21に取り付ける際に、環状の伸縮紐75がロボットアーム21に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0054】
また、環状の伸縮紐75は、ドレープ本体71とは識別可能に、互いに異なる色を有している。たとえば、環状の伸縮紐75は、不透明の有色の色を有している。また、環状の伸縮紐75は、青色を有している。これにより、ドレープ本体71の開口部73の近傍に設けられた伸縮紐75の位置を容易に認識することができるので、ドレープ本体71をロボットアーム21に取り付ける際に、開口部73の位置を容易に認識することができる。
【0055】
環状の伸縮紐75は、図8に示すように、収容部75aに配置されている。収容部75aは、ドレープ本体71を折りたたみ、溶着部75bを熱溶着することにより形成されている。つまり、収容部75aは、ドレープ本体71と同じ材料により、ドレープ本体71と一体的に形成されている。
【0056】
ドレープ本体71は、他方側の端部が線状に閉じられている。また、ドレープ本体71は、角部が面取りされた形状を有している。具体的には、図5に示すように、ドレープ本体71の他方側の端部(閉じられている端部)には、マウントカバー72が設けられている側に向かって先細るように面取部76が設けられている。これにより、手術器具40が取り付けられる側のドレープ本体71の端部を絞ることができるので、ドレープ本体71がダブついて、手術器具40や作業者に干渉するのを抑制することができる。
【0057】
ドレープ本体71は、図6および図9に示すように、使用前の状態において、複数の折り返し線A1、A2、A3、A4、A5およびA6により折り返されて畳まれている。ドレープ本体71は、折り返し線A1、A3およびA5では、谷折りにより内側に折り返されている。また、ドレープ本体71は、折り返し線A2およびA4では、山折りにより内側に折り返されている。また、ドレープ本体71は、折り返し線A6では、他方側の端部が折り返し線A5側に折り返されている。 折り畳まれたドレープ本体71は、折り返し線A5の間にロボットアーム21が挿入される挿入位置が配置される。つまり、折り畳まれたドレープ本体71は、図11に示すように、折り返し線A5の間の挿入位置を広げた状態で、ロボットアーム21に被せられる。
【0058】
(ドレープの装着方法)
図10図14を参照して、患者側装置20のロボットアーム21をドレープ70で覆う滅菌ドレープ装着方法について説明する。ドレープ70は、作業者(術者の補助者である看護師など)により、ロボットアーム21に装着される(取り付けられる)。
【0059】
滅菌ドレープ装着方法では、一方側の端部に開口部73が設けられた袋状のドレープ本体71の一方側の端部から延びるように設けられた一対の把持部74を把持しながら、ロボットアーム21をドレープ本体71により覆い、ドレープ本体71の開口部73近傍に設けられた環状の伸縮紐75により、ドレープ本体71をロボットアーム21に固定する。
【0060】
また、滅菌ドレープ装着方法では、ロボットアーム21を覆った際に外側となる面が露出しないように内側に折り畳まれているドレープ本体71を、開口部73をロボットアーム21に沿って移動させて、ドレープ本体71を裏返(展開)しながら、ロボットアーム21をドレープ本体71により覆う。
【0061】
具体的には、図10に示すように、ロボットアーム21の先端を立てた状態にする。つまり、ロボットアーム21は、取付部211に手術器具40を取り付けた場合には、手術器具40が下方に延びるように配置される姿勢になる。
【0062】
次に、図11に示すように、ロボットアーム21の先端に、ドレープ本体71が折り畳まれた状態のドレープ70が被せられる。この場合、図9に示すように、ドレープ本体71の挿入位置が広げられて、ロボットアーム21が挿入位置からドレープ本体71に挿入される。また、この際に、ドレープ70のマウントカバー72がロボットアーム21の取付部211に対向するように、ドレープ本体71がロボットアーム21に被せられる。
【0063】
次に、図12および図13に示すように、ドレープ70の一対の把持部74が把持されて、把持部74(開口部73)が、ロボットアーム21に沿うように移動される。これにより、内側に折り畳まれたドレープ本体71が裏返される。また、把持部74を移動させることにより、折り畳まれたドレープ本体71が展開されて、ドレープ本体71によりロボットアーム21が覆われていく。この場合、一対の把持部74を互いに間隔が広がるように把持して伸縮紐75を伸ばして直径を大きくした状態で、把持部74をロボットアーム21に沿って移動させてもよい。
【0064】
次に、図14に示すように、ドレープ70の一対の把持部74(開口部73)がロボットアーム21の付け根まで到達すると、把持部74が離される。また、環状の伸縮紐75によりドレープ本体71の一方側の端部が、ロボットアーム21の付け根に固定される。また、ロボットアーム21の付け根には環状の溝が設けられており、この環状の溝に環状の伸縮紐75が収まるようにして、ドレープ本体71の一方側の端部がロボットアーム21の付け根に固定される。これにより、ドレープ本体71によりロボットアーム21が覆われる。また、ドレープ本体71の外側が滅菌された面となり、ドレープ70に覆われたロボットアーム21を清潔区域に配置することが可能となる。
【0065】
複数のロボットアーム21に対して、順次ドレープ70が取り付けられる。そして、ロボットアーム21に取り付けられたドレープ70からマウントカバー72を覆う保護フィルム72aが引き剥がされて、マウントカバー72を介してアダプタ60がロボットアーム21の取付部211に取り付けられる。その後、アダプタ60に手術器具40が取り付けられる。
【0066】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0067】
たとえば、上記実施形態では、ドレープ本体が無色透明である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ドレープ本体が有色透明であってもよいし、半透明であってもよい。また、ドレープ本体が不透明であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、患者側装置(手術支援ロボット)にロボットアームが4つ設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、手術支援ロボットに3つ以下または5つ以上のロボットアームが設けられていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ドレープ本体に一対の把持部が一体的に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ドレープ本体の一方側の端部に、別部材により形成された一対の把持部が取り付けられていてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、ドレープ本体を折り返して形成された収容部に伸縮紐を配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ドレープ本体とは別部材により収容部を形成してもよい。また、ドレープに収容部を設けずに伸縮紐をドレープ本体に対して接着してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、伸縮紐がゴム紐を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、伸縮紐がゴム以外の伸縮性のある樹脂などの材料により形成されていてもよい。また、伸縮紐が紐状に形成されたコイルばねを含んでいてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、アダプタが、ドレープと別体に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アダプタとドレープとが一体的に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
20:患者側装置(手術支援ロボット)、21、21a、21b:ロボットアーム、40:手術器具、60:アダプタ、70:ドレープ(滅菌ドレープ)、71:ドレープ本体、72:マウントカバー、72a:保護フィルム、73:開口部、74:把持部、75:伸縮紐、211:取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14