(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191044
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20221220BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06F1/16 312E
H05K7/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099661
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本多 修二
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 勇樹
【テーマコード(参考)】
4E352
【Fターム(参考)】
4E352BB02
4E352BB08
4E352CC07
4E352CC52
4E352DD07
4E352DR02
4E352DR17
4E352DR42
4E352GG20
(57)【要約】
【課題】裏面カバーの装着時のケーブルの挟み込みを回避しつつ、組立作業の容易化、部品点数の削減が容易な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、本体ケースと、裏面カバーと、本体ケースの縁部と、ヒンジを介して開閉可能に接続された表示部と、ヒンジを覆う中空のヒンジカバーの内部を経由して、情報処理ユニットと表示部とを電気的に接続するケーブルと、本体ケースに形成され、ヒンジカバーの軸方向の端部を支持するとともに、ヒンジカバーの内部を経由して情報処理ユニット側に導出されるケーブルの可動範囲を制限する開口部を有する壁部と、を備る。壁部は、開口部の周部にケーブルを一時的に支持可能なフック部と、フック部から離脱したケーブルを受け入れるケーブル収容部と、有し、裏面カバーは、本体ケースに装着する際にフック部に支持されたケーブルをケーブル収容部に押し出す裏面カバーに立設された押出部材を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理ユニットを収容する本体ケースと、
前記本体ケースに装着される裏面カバーと、
前記本体ケースの縁部と、ヒンジを介して開閉可能に接続された表示部と、
前記ヒンジを覆う中空のヒンジカバーの内部を経由して、前記情報処理ユニットと前記表示部とを電気的に接続するケーブルと、
前記本体ケースに形成され、前記ヒンジカバーの軸方向の端部を支持するとともに、前記ヒンジカバーの内部を経由して前記情報処理ユニット側に導出される前記ケーブルの可動範囲を制限する開口部を有する壁部と、
を備え、
前記壁部は、前記開口部の周部に前記ケーブルを一時的に支持可能なフック部と、前記フック部から離脱した前記ケーブルを受け入れるケーブル収容部と、有し、
前記裏面カバーは、前記本体ケースに装着する際に前記フック部に支持された前記ケーブルを前記ケーブル収容部に押し出す前記裏面カバーに立設された押出部材を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記裏面カバーは、前記押出部材を前記フック部に支持された前記ケーブルの押出開始位置に誘導する、前記裏面カバーに立設されたガイド部材を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記裏面カバーは、前記ガイド部材が前記縁部から離間する方向に所定量移動した状態で前記本体ケースに装着される際に、前記押出部材が前記ケーブルを前記離間する第一の方向とは逆方向の第二の方向に押し出す、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記押出部材は、前記フック部から前記ケーブルを押し出すとともに、前記壁部の前記フック部の形成面を覆う、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記押出部材は、前記縁部から離間する方向の幅が、基部から先端部に向かうのに連れて漸減する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置の一つの形態として、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータ、いわゆる、ノートパソコンが知られている。ノートパソコンは、例えば、情報処理ユニットを備える本体部と、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示部とがヒンジで接続されている。ノートパソコンは、本体部に対し表示部を開動作させ、キーボード等の入力部と表示部とを分離し使用可能状態にする。また、本体部に対し表示部を閉動作させ、入力部を表示部で覆い非使用状態として、コンパクト化して携帯性の向上を行うとともに入力部や表示部の保護を行うようにしている。このように構成されるノートパソコンにおいて、本体部と表示部との電気的接続は、例えば、ヒンジを経由し配線されるケーブルによって行われる場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように構成される情報処理装置(例えば、ノートパソコン)を組み立てる場合、本体カバーから裏面カバーが外された状態の本体部(情報処理ユニット)に対して、表示部から延びるケーブルを接続する。この場合、ケーブルは、本体部と表示部を機械的に接続するヒンジの内部空洞部を通して情報処理ユニットに接続する。このとき、表示部の開閉動作に伴いケーブルに過剰なストレスが加わらないようにするために、ケーブルに遊び(弛み)を設ける場合があるが、裏面カバーを本体ケースに装着する際に、裏面カバーの縁部と本体ケースの縁部との接続部で弛んだケーブルを挟み込んでしまう場合がある。そのため、ケーブルを本体カバーに固定テープで固定する等の対策が必要であり、組立作業の繁雑化、部品コストの増加等の原因になるという問題があった。
【0005】
従って、本発明が解決する課題の一例は、裏面カバーの装着時のケーブルの挟み込みを回避しつつ、組立作業を容易にするとともに部品点数の削減を容易に行うことのできる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る情報処理装置は、情報処理ユニットを収容する本体ケースと、前記本体ケースに装着される裏面カバーと、前記本体ケースの縁部と、ヒンジを介して開閉可能に接続された表示部と、前記ヒンジを覆う中空のヒンジカバーの内部を経由して、前記情報処理ユニットと前記表示部とを電気的に接続するケーブルと、前記本体ケースに形成され、前記ヒンジカバーの軸方向の端部を支持するとともに、前記ヒンジカバーの内部を経由して前記情報処理ユニット側に導出される前記ケーブルの可動範囲を制限する開口部を有する壁部と、を備え、前記壁部は、前記開口部の周部に前記ケーブルを一時的に支持可能なフック部と、前記フック部から離脱した前記ケーブルを受け入れるケーブル収容部と、有し、前記裏面カバーは、前記本体ケースに装着する際に前記フック部に支持された前記ケーブルを前記ケーブル収容部に押し出す前記裏面カバーに立設された押出部材を有する。
【0007】
また、前記裏面カバーは、例えば、前記押出部材を前記フック部に支持された前記ケーブルの押出開始位置に誘導する、前記裏面カバーに立設されたガイド部材を備えてもよい。
【0008】
また、前記裏面カバーは、例えば、前記ガイド部材が前記縁部から離間する方向に所定量移動した状態で前記本体ケースに装着される際に、前記押出部材が前記ケーブルを前記離間する第一の方向とは逆方向の第二の方向に押し出すようにしてもよい。
【0009】
また、前記押出部材は、例えば、前記フック部から前記ケーブルを押し出すとともに、前記壁部の前記フック部の形成面を覆うようにしてもよい。
【0010】
また、前記押出部材は、例えば、前記縁部から離間する方向の幅が、基部から先端部に向かうのに連れて漸減するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、ケーブルは、当該ケーブルの可動範囲を制限する開口部を形成する壁部に設けられたフック部に一時的に支持される。そして、裏面カバーを本体ケースに装着する過程で、押田部材がフック部に支持されたケーブルを壁面に形成されたケーブル収容部に押し出す。その結果、ケーブルをテープ等で固定することなく、裏面カバーの装着時のケーブルの挟み込みを回避可能となり、組立作業を容易にするとともに部品点数の削減に容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる情報処理装置の外観を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる情報処理装の底面側に装着された裏面カバーを示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる情報処理装置から裏面カバーを取り外した状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる情報処理装置のヒンジカバーのカバー装着部を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる情報処理装置の壁部の開口部に形成されるフック部とケーブル収容部とを示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる情報処理装置の壁部の開口部に形成されるフック部にケーブルを一時的に支持させた状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる情報処理装置の裏面カバーの内側面を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる情報処理装置の裏面カバーの内側面に形成される押出部材とガイド部材を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる情報処理装置において、ケーブルのフォーミング手順の第1段階を説明する例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる情報処理装置において、ケーブルのフォーミング手順の第2段階を説明する例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかる情報処理装置において、ケーブルのフォーミング手順の第3段階を説明する例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態にかかる情報処理装置において、ケーブルのフォーミング手順の第4段階を説明する例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態にかかる情報処理装置の壁部の開口部に形成されるフック部とケーブル収容部の他の形状を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0014】
図1は、実施形態にかかる情報処理装置10の外観を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図2は、情報処理装置10の本体部12の底面側に装着された裏面カバー14を示す例示的かつ模式的な平面図である。また、
図3は、情報処理装置10の本体部12を構成する本体ケース16から裏面カバー14を取り外した状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。なお、本実施形態において、便宜上、図中矢印X1-X2方向を情報処理装置10の幅方向(長手方向)、図中矢印Y1-Y2方向を情報処理装置10の奥行き方向(短手方向)、図中矢印Z1-Z1方向を情報処理装置10の厚み方向として説明する。
【0015】
情報処理装置10は、例えば、広く普及している携帯型パーソナルコンピュータ(いわゆるノートパソコン)である。情報処理装置10は、本体ケース16と表示部18とが、ヒンジ20を介して開閉可能に接続されている。なお、
図3に示されるように、情報処理装置10の本体部12の内部には、情報処理ユニット22として、例えば、中央演算処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、マザーボード(M/B)及びドーターボードのような種々の回路基板、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)のような記録装置、電源ユニット、バッテリ、通信ユニット等が配置されている。また、表示部18は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。なお、情報処理ユニット22や表示部18は、周知の構成が利用可能であり、詳細な説明は省略する。
【0016】
ヒンジ20は、利用者が情報処理装置10を使用するために本体部12に正対した場合に、本体ケース16の奥側の縁部の幅方向(矢印X1-X2方向)に延びる本体長辺縁部16aの一部に設けられている。
図1の場合、ヒンジ20は、本体長辺縁部16aの幅方向の左右端部近傍の例えば2箇所に配置され、表示部18の下端額縁部の一部である表示長辺縁部18aを回動可能に支持している。情報処理装置10の使用時には、表示部18を開動作することにより、本体部12の上面に配置された入力装置24(例えば、キーボードやタッチパッド等)と、表示部18の表示領域部26とを離反させ、互いに露出させて使用可能状態にすることができる。また、情報処理装置10の非使用時や携帯時等には、表示部18を閉動作することにより、入力装置24を表示領域部26で覆い、互いに保護するとともに、情報処理装置10をコンパクト化し、携帯し易い状態にすることができる。
【0017】
情報処理装置10において、本体部12の情報処理ユニット22と表示部18とは、表示部18から引き出されるケーブル28によって電気的に接続されている。ケーブル28は、
図3に示されるように、本体ケース16と表示部18とを回転可能に接続するヒンジ20を包囲する円筒形状の中空のヒンジカバー20aの内部を経由して情報処理ユニット22に含まれるコネクタ(不図示)に接続される。
【0018】
ケーブル28は、情報処理装置10の組立完了後の使用時に表示部18の開閉動作を行った場合に、過剰なストレスがかからないように、十分な弛みを持たせた状態で、ヒンジカバー20a内に挿入される。ケーブル28の弛みは、表示部18の開閉時にストレスがかかることを回避する反面、情報処理装置10の組立時に裏面カバー14を装着する際に弛み部分が裏面カバー14の縁部と本体ケース16の縁部との間に挟まってしまう可能性がある。そこで、本実施形態の情報処理装置10は、以下に示すケーブル28の一時的支持構造を備え、ケーブル28の弛み部分の挟み込みを回避するように構成している。
【0019】
図4は、本体ケース16(本体部12)に表示部18を接続する際に、ヒンジカバー20a(ヒンジ20)を収容するヒンジ装着部30を示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、
図5は、ヒンジ装着部30の部分拡大図である。本体ケース16は、例えば、樹脂等で形成される成形品であり、内壁面(情報処理ユニット22が収容される側の面)に、ヒンジ装着部30が一体的に形成されている。
【0020】
ヒンジ装着部30は、円筒形状のヒンジカバー20aの両端部を支持する第1壁部32、第2壁部34、及びヒンジカバー20aの軸方向に延びる円筒部の受け部となる第3壁部36で構成されている。
【0021】
第1壁部32は、
図3に示されるように、表示部18側からヒンジカバー20aを経由して本体ケース16の内部に延びるケーブル28を引き出すための第1開口部38が形成されている。第1開口部38は、
図5に示すヒンジ装着部30の部分拡大図に詳細に示されるように、フック部40とケーブル収容部42が、第1開口部38の内周部に形成されている。
【0022】
第1壁部32に形成されたフック部40は、
図6に示されるように、ヒンジカバー20aの端部から導出されるケーブル28を一時的に支持する切欠き部である。フック部40は、例えば、本体ケース16のベース面16b(裏面側が入力装置24等が配置される本体部12の表面)と略平行な溝で、ケーブル28の直径や本数等に応じて、矢印Y1-Y2方向の深さや矢印Z1-Z2方向の幅を決定することができる。なお、フック部40は、ヒンジカバー20aから導出されるケーブル28の全てを完全に収容し、かつ少なくとも情報処理装置10の組み立て作業中(裏面カバー14の装着作業中)にケーブル28の弾性や暴れによって自然に脱落しない程度の抵抗力(挟持力)を発生し得る挟持力を発生できるような幅に設定される。なお、フック部40の開口端40aの近傍に矢印Z1-Z2方向に突出した低い突起を設け、ケーブル28の自然の脱落を抑制するようにしてもよい。ケーブル28は、情報処理装置10の組立作業中、裏面カバー14を本体ケース16に装着する前工程で作業者による手作業でフック部40に挿入(係止)される。
【0023】
ケーブル28がフック部40によって支持されることにより、情報処理装置10の組立作業中にケーブル28の弛み部分が裏面カバー14の縁部と本体ケース16の縁部との間に挟まれないように、本体ケース16に対して位置決め(フォーミング)することができる。
【0024】
第1開口部38は、さらに、後述するように、裏面カバー14の組み付け作業の際にフック部40から離脱させたケーブル28を受け入れるケーブル収容部42を備える。ケーブル収容部42は、フック部40の下方(矢印Z2方向;ベース面16b側)に位置する。つまり、ケーブル28は、フック部40による支持が不要になった場合、後述するようにフック部40から押し出される。ケーブル収容部42は、重力方向が矢印Z2方向の場合、ケーブル28が自然に落下して収容されるような窪みとして形成されている。すなわち、ケーブル収容部42は、裏面カバー14と本体ケース16との間にケーブル28が挟み込まれる心配がなくなった段階で、フック部40から押し出されたケーブル28を収容する。ケーブル収容部42は、情報処理装置10の使用時におけるケーブル28の正規の配置位置であり、第1開口部38の一部に形成された広い空間にケーブル28を自由状態(実質的な規制を受けない状態)で収容可能である。その結果、情報処理装置10の使用時に、ケーブル28は、ヒンジカバー20aの内部で弛みを伴う自由状態で収容され、表示部18の開閉動作が行われた場合でも、ケーブル28に過剰なストレスが付与されることが抑制され、ケーブル28の断線や接触不良を抑制することができる。換言すれば、第1開口部38は、ケーブル28が弛みを有して導出されても、必要以上に暴れないように可動範囲を制限する。
【0025】
第2壁部34は、
図4に示されるように、第1壁部32から図中矢印X1方向に、ヒンジカバー20aの軸方向の長さより僅かに大きく離間した位置でベース面16bに立設される板状の部材である。第2壁部34は、第2開口部34aを有する。第2開口部34aは、ヒンジカバー20aにおいて、ケーブル28の導出側と逆側に突出したヒンジ本体20b(
図3参照)を挿通し支持する。
【0026】
第3壁部36は、ヒンジカバー20a(ヒンジ20)が本体ケース16(ヒンジ装着部30)に装着された場合に、ヒンジカバー20aの外周面を支持し、ヒンジカバー20a、すなわちヒンジ20を安定的に本体ケース16側で支持する。
【0027】
図7は、情報処理装置10の裏面カバー14の内側面14aを示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、
図8は、情報処理装置10の裏面カバー14の内側面14aに形成される押出部材44とガイド部材46を示す例示的かつ模式的な斜視図である。裏面カバー14は、
図3に示される本体ケース16に収容される情報処理ユニット22を覆う、例えば樹脂等で形成された板状の部品である。
【0028】
裏面カバー14の内側面14aに立設される押出部材44とガイド部材46は、裏面カバー14と一体的に形成されている。押出部材44及びガイド部材46は、裏面カバー14を本体ケース16に組み付けた場合に、ヒンジ20(ヒンジカバー20a)を支持するヒンジ装着部30に対応する位置に形成されている。押出部材44は、第1壁部32の外側の面(
図6中X2方向の面)に接触または近接する位置で矢印Z1-Z2方向に延設されている。
【0029】
押出部材44は、裏面カバー14を本体ケース16に装着する際に、フック部40に支持されたケーブル28をケーブル収容部42に押し出す板状の部材である。押出部材44は、裏面カバー14が本体ケース16に組み付けられた際に、本体ケース16の本体長辺縁部16aに係合するカバー長辺縁部14bから離間する第一の方向(図中Y1方向)の幅Sが、基部44aから先端部44bに向かうのに連れて漸減する。したがって、押出部材44は、先端部44bから内側面14a(カバー長辺縁部14b)に向かって、
図8において下り方向に傾斜する斜面44cを備える。裏面カバー14が本体ケース16に組み付けられる際に、斜面44cがフック部40に支持されるケーブル28に接触して、離間する第一の方向とは逆方向の第二の方向(矢印Y2方向)のケーブル収容部42に向かって押し出す動作を行うことができる。押出部材44の斜面44cによるケーブル28の押し出し動作の詳細は後述する。
【0030】
ガイド部材46は、押出部材44をフック部40に支持されたケーブル28の押出開始位置に誘導する。ガイド部材46は、
図8において、X1-Y1平面の断面形状が、略C字形状の部品で、一対のガイド脚部46aが接続部材46bで接続されている。ガイド部材46は、裏面カバー14を本体ケース16に組み付ける際に、一対のガイド脚部46aが本体ケース16に形成された第3壁部36の背面36a(
図4参照)に接触可能な位置に立設している。したがって、ガイド部材46は、押出部材44の幅方向(矢印Y1-Y2方向)に対して、90°ずれた位置(矢印X1-X2方向に沿う位置)に設けられている。なお、ガイド部材46のガイド脚部46aは、第3壁部36のいずれかの位置で接触可能なように形成されていればよいが、第3壁部36の矢印X1-X2方向の略中央部に接触するように形成することで、安定したガイド性能を得やすい。
【0031】
このように構成される、ケーブル収容部42(フック部40、ケーブル収容部42)及び押出部材44、ガイド部材46を備える情報処理装置10において、ケーブル28のフォーミング(位置決め)の手順を
図9~
図12を用いて説明する。
【0032】
図9は、情報処理装置10において、ケーブル28のフォーミング手順の第1段階を説明する例示的かつ模式的な斜視図である。
【0033】
前述したように、本体部12に表示部18を組み付ける場合、表示部18側から延びるケーブル28は、ヒンジカバー20aの内部を通過し、本体部12の本体ケース16に収容される情報処理ユニット22側に引き出される。この場合、ケーブル28は、ヒンジカバー20aを収容するヒンジ装着部30を構成する第1壁部32の第1開口部38の一部に形成されたフック部40に一時的に押し込まれ支持される。ケーブル28は、フック部40によって支持されることにより、弛みを持たせた状態でヒンジカバー20aから導出されても、フック部40によってフォーミング(位置決め)が行われるため、ケーブル28の暴れが抑制され、本体部12と表示部18の組立時に周囲の部品(例えば裏面カバー14のカバー長辺縁部14b等)に挟まれることが防止できる。その結果、組立作業の効率化に寄与するとともに、組立品質の安定化や向上に寄与することができる。
【0034】
図10は、情報処理装置10において、ケーブル28のフォーミング手順の第2段階を説明する例示的かつ模式的な斜視図である。
【0035】
上述した第1段階で、本体部12に表示部18が組み付けられた後、本体ケース16に裏面カバー14を装着し、情報処理ユニット22を本体ケース16と裏面カバー14とによって、実質的に密閉状態にする。この場合、フック部40に一時的に支持されたケーブル28をケーブル収容部42に移動させる必要がある。前述したように、裏面カバー14に形成された押出部材44によってフック部40からケーブル28を押し出す。この際に、ケーブル28に押出部材44を不用意に接近させると、押出部材44によって、ケーブル28を真上から押し潰し、断線等のダメージを与えてしまう場合がある。
【0036】
そこで、本体ケース16に裏面カバー14を装着する場合、まず、ガイド部材46の先端部46cを、ヒンジ装着部30を構成する第3壁部36の上端部36bに当接させる。この場合、押出部材44の矢印Z1方向の高さは、先端部44bがケーブル28に接触しない高さに設定されている。つまり、押出部材44の高さは、本体ケース16に裏面カバー14を組み付ける時に、ガイド部材46を第3壁部36に当接させることによって、それ以上ベース面16bに接近することを防止する。その結果、押出部材44の先端部44bは、フック部40の形成位置に到達せず、ケーブル28が押出部材44によって押し潰されることを確実に回避することができる。
【0037】
図11は、情報処理装置10において、ケーブル28のフォーミング手順の第3段階を説明する例示的かつ模式的な斜視図である。
【0038】
上述した第2段階で、押出部材44によるケーブル28の押し潰しを回避した後、裏面カバー14を、ガイド部材46が本体長辺縁部16aから離間する方向(図中矢印Y1方向、第一の方向)に所定量移動させる。この状態で、ガイド部材46の先端部46cは、第3壁部36の上端部36bから矢印Y1方向に外れ、裏面カバー14がベース面16bにさらに接近可能になる。この場合、押出部材44に形成された斜面44cがケーブル28をフック部40から押し出す。
図11に示されるように、斜面44cは、基部44aに近づくほど矢印Y1-Y2方向の幅が徐々に広がっている。したがって、裏面カバー14の矢印Z2方向への移動に伴い、第1壁部32側で押出部材44がフック部40を徐々に覆うことになる。その結果、ケーブル28は、過剰なストレスを受けることなく、押し出される。
【0039】
図12は、情報処理装置10において、ケーブル28のフォーミング手順の第4段階を説明する例示的かつ模式的な斜視図である。
【0040】
図12は、裏面カバー14が矢印Z2方向に完全に降下して、裏面カバー14のカバー長辺縁部14bが本体ケース16の本体長辺縁部16aに当接し、裏面カバー14が本体ケース16の正規の位置に組み付けられた状態である。この状態で、ケーブル28は、ヒンジカバー20a(
図9参照)の内部及び第1開口部38の位置においても自由に動くことができる。その結果、本体部12に対して表示部18を開閉操作する場合でもケーブル28に過剰なストレスがかかることを回避することができる。また、裏面カバー14を本体ケース16に装着する過程で、ケーブル28は、フック部40から押し出される動作中で、完全な自由状態ではないため、ケーブル28が裏面カバー14と本体ケース16との間に挟み込まれてしまうことを確実に回避することができる。その結果、従前のように組立作業中にケーブル28をテープ等で固定する必要がなくなる。つまり、固定用のテープ等の部品の削減を容易に行うことができる。また、テープ等による固定を行うことなく、ケーブル28の弛みにより暴れを抑制しつつ、裏面カバー14と本体ケース16との組立作業が可能になり、組立作業効率の向上に寄与することができる。
【0041】
また、
図12に示されるように、裏面カバー14の本体ケース16に対する組付けが完了した時点で、押出部材44は第1壁部32のフック部40の形成面を完全に覆っている。その結果、本体部12に対して表示部18を開閉操作する際に、ケーブル28がヒンジカバー20a(
図9参照)の中で暴れたとしても、ケーブル28がフック部40に再度引っ掛かってしまうことが防止され、ケーブル28に不要なストレスがかかったり、断線の原因になったりすることが防止できる。
【0042】
図13は、情報処理装置10における第1壁部32の第1開口部38の変形例であり、フック部40Mとケーブル収容部42の形状を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0043】
ケーブル28は、搭載する情報処理装置10の仕様により直径が異なったり、挿通するケーブル28の本数が変化したりする。
【0044】
上述した
図5に示す例と同様に、フック部40Mとケーブル収容部42Mは、第1開口部38の内周部に形成されている。上述した
図6に示す例の場合、フック部40は、例えば、2本の細径のケーブル28が支持できるような形状(矢印Y1-Y2方向の深さ、矢印Z1-Z2方向の幅)を備えている。一方、フック部40Mは、
図13に示されるように、フック部40Mは、例えば、細径のケーブル28より太い1本のケーブル28Mを支持可能な形状(矢印Y1-Y2方向の深さ、矢印Z1-Z2方向の幅)を備える。
【0045】
この場合もケーブル28Mは、本体ケース16に対する裏面カバー14の装着前に、フック部40Mに支持させる。その結果、裏面カバー14と本体ケース16とを組み立てる際に、ケーブル28Mが裏面カバー14と本体ケース16との間に挟まれてしまうことを防止できる。また、押出部材44及びガイド部材46を備える裏面カバー14を本体ケース16に組付ける際に、押出部材44の斜面44cによって、ケーブル28Mは、フック部40Mから押し出される。フック部40Mから離脱したケーブル28Mは、ケーブル収容部42に受け入れられる。ケーブル収容部42は、フック部40の下方(矢印Z2方向)に位置する。つまり、ケーブル28Mは、フック部40Mによる支持が不要になった場合、フック部40Mから押し出される。ケーブル収容部42は、重力方向が矢印Z2方向の場合、ケーブル28Mが自然に落下して収容されるような窪みとして形成されている。
【0046】
裏面カバー14が本体ケース16の正規の位置に組み付けられた状態で、ケーブル28Mは、ヒンジカバー20a(
図9参照)の内部及び第1開口部38の位置においても自由に動くことができる。その結果、本体部12に対して表示部18を開閉操作する場合でもケーブル28Mに過剰なストレスがかかることを回避することができる。また、ケーブル28Mは、裏面カバー14を本体ケース16に装着する過程では、フック部40Mに支持(押し出される過程でまだ支持)されているため、ケーブル28が裏面カバー14と本体ケース16との間に挟み込まれてしまうことが確実に回避することができる。その結果、組立作業中にケーブル28Mをテープ等で固定する必要がなくなる。つまり、固定用のテープ等の部品の削減を容易に行うことができる。また、テープ等による固定を行うことなく、ケーブル28Mの弛みにより暴れを抑制しつつ、裏面カバー14と本体ケース16との組立作業が可能になり、組立作業効率の向上に寄与することができる。
【0047】
なお、上述したように、情報処理装置10の仕様によって、採用されるケーブルの態様は適宜変化する。したがって、採用するケーブルの形態(太さや本数等)に応じて、フック部40(40M)の形状も適宜変更することが望ましく、同様の効果を得うることができる。例えば、ケーブルがフラットケーブルの場合、フック部の形状はフラットケーブルに対応して形成される。
【0048】
また、上述した例では、フック部40やフック部40Mは、ベース面16bと略平行に矢印Y1-Y2方向に延びる形状として示した。他の実施形態では、矢印Y2方向に向かうのに連れて、傾斜する形状でもよい。例えば、フック部40(40M)が
図5、
図13において、上方(矢印Z1方向)に傾く場合、裏面カバー14を本体ケース16に装着する前にケーブル28(ケーブル28M)が脱落し難くなり、作業性の向上に寄与できる。逆にフック部40(40M)が下方(矢印Z2方向)に傾く場合、押出部材44の斜面44cによってケーブル28(28M)を押し出す場合の押し出し作業がズムーズになり、この点においても作業性の向上に寄与することができる。
【0049】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
10…情報処理装置、12…本体部、14…裏面カバー、14a…内側面、14b…カバー長辺縁部、16…本体ケース、16a…本体長辺縁部、18…表示部、18a…表示長辺縁部、20…ヒンジ、20a…ヒンジカバー、22…情報処理ユニット、28,28M…ケーブル、30…ヒンジ装着部、32…第1壁部、34…第2壁部、38…第1開口部、40、40M…フック部、42…ケーブル収容部、44…押出部材、44c…斜面、46…ガイド部材。