(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191048
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B60K20/02 E
B60K20/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099665
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松澤 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 亮太
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA03
3D040AA10
3D040AA14
3D040AA20
3D040AA22
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC01
3D040AC13
3D040AC59
3D040AD04
(57)【要約】
【課題】一対の変位部に効率的に変位力を作用させる。
【解決手段】シフト装置10では、レバー16におけるノブ26の左ボタン32及び右ボタン34がスライドされて、自動変速機のシフト位置の変更規制が解除される。ここで、左ボタン32及び右ボタン34がノブ26の互いに反対側の位置に配置されている。このため、ノブ26に対する把持力により左ボタン32及び右ボタン34をスライドさせることができ、左ボタン32及び右ボタン34に効率的にスライド力を作用させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部が設けられ、前記把持部が把持されて移動されることで車両の変速機のシフト位置が変更されるシフト体と、
前記変速機のシフト位置の変更を規制する規制機構と、
前記把持部の互いに反対側の位置に配置され、それぞれ変位されて前記規制機構による前記変速機のシフト位置の変更規制が解除される一対の変位部と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
一方の前記変位部の変位に連動して他方の前記変位部が変位される請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記変位部に設けられ、操作されると共に、前記シフト体の移動方向及び前記変位部の変位方向に対し非平行に配置される操作面を備える請求項1又は請求項2記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体の把持部が把持されてシフト体が移動されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシフトレバー装置では、シフトシャフトのシフトノブか把持されて、シフトシャフトが移動される。また、ロック機構がシフトシャフトの移動を規制しており、シフトノブのボタン部が変位されて、ロック機構によるシフトシャフトの移動規制が解除される。
【0003】
ここで、このシフトレバー装置では、ロック機構によるシフトシャフトの移動規制が解除される際に、シフトノブが把持されると共に、ボタン部が変位される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、一対の変位部に効率的に変位力を作用させることができるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、把持部が設けられ、前記把持部が把持されて移動されることで車両の変速機のシフト位置が変更されるシフト体と、前記変速機のシフト位置の変更を規制する規制機構と、前記把持部の互いに反対側の位置に配置され、それぞれ変位されて前記規制機構による前記変速機のシフト位置の変更規制が解除される一対の変位部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、一方の前記変位部の変位に連動して他方の前記変位部が変位される。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記変位部に設けられ、操作されると共に、前記シフト体の移動方向及び前記変位部の変位方向に対し非平行に配置される操作面を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体の把持部が把持されて、シフト体が移動されることで、車両の変速機のシフト位置が変更される。また、規制機構が変速機のシフト位置の変更を規制しており、把持部における一対の変位部がそれぞれ変位されて、規制機構による変速機のシフト位置の変更規制が解除される。
【0010】
ここで、一対の変位部が把持部の互いに反対側の位置に配置される。このため、把持部に対する把持力により一対の変位部を変位させることができ、一対の変位部に効率的に変位力を作用させることができる。
【0011】
本発明の第2態様のシフト装置では、一方の変位部の変位に連動して、他方の変位部が変位される。このため、一方の変位部の変位により他方の変位部を変位させることができる。
【0012】
本発明の第3態様のシフト装置では、変位部の操作面が操作される。
【0013】
ここで、操作面がシフト体の移動方向及び変位部の変位方向に対し非平行に配置される。このため、操作面への操作力によりシフト体の移動を補助できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す後斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す左斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す右斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す後斜め下方から見た斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るシフト装置の主要部を示す右斜め後方から見た斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るシフト装置のノブ等を示す右斜め後方から見た斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るシフト装置のレバーの主要部を示す上方から見た平面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るシフト装置のレバーの主要部を示す上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係るシフト装置10が後斜め上方から見た斜視図にて示されており、
図2には、シフト装置10が左斜め後方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の右方を矢印RHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0016】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両のコンソールに設置されており、シフト装置10の前方、右方及び上方は、それぞれ車両の前方、右方及び上方に向けられている。
【0017】
図1及び
図2に示す如く、シフト装置10には、支持体としての略矩形板状のプレート12が設けられており、プレート12は、コンソール内に固定されている。プレート12の上面の左部及び右部には、案内部としての略矩形柱状のレール14が固定されており、レール14は、前後方向に延伸されている。レール14の上部には、断面略T字状のレール突起14Aが設けられており、レール突起14Aは、レール14の長手方向全体に配置されている。
【0018】
プレート12には、シフト体としてのレバー16が支持されている。
【0019】
レバー16には、移動部材としての略矩形板状のスライド板18が設けられており、スライド板18は、プレート12の上側に配置されている。スライド板18の下面の左部及び右部には、被案内部としての断面略C字形状のレール枠20が固定されており、レール枠20は、前後方向に延伸されると共に、内部が下側に開放されている。レール枠20内には、レール14のレール突起14Aが嵌合されており、レール枠20がレール突起14Aに案内されつつ前後方向にスライドされることで、スライド板18が前後方向にスライドされて、レバー16が前後方向にスライド(移動)される。
【0020】
スライド板18の上側には、略矩形板状の配置板22が固定されており、配置板22は、スライド板18と一体に前後方向にスライド可能にされている。配置板22の前後方向へのスライドは、所定範囲に規制されており、これにより、レバー16の前後方向へのスライドが所定範囲に規制されている。レバー16は、ホーム位置(基準位置)に配置されており、レバー16は、ホーム位置から前側にスライドされて前位置に配置されると共に、ホーム位置から後側にスライドされて後位置に配置される。また、配置板22の上側には、矩形筒状の配置筒22Aが一体に設けられており、配置筒22Aは、軸方向が上下方向に平行にされると共に、配置板22と一体に前後方向にスライド可能にされている。
【0021】
レバー16には、支持部材としての略断面T字状の支持柱24(
図4及び
図5参照)が設けられており、支持柱24の上側部分は、前後方向に延伸されている。支持柱24の下側部分は、上下方向に延伸されており、支持柱24の下側部分は、配置筒22A内に挿通されると共に、配置板22及びスライド板18に貫通されている。支持柱24の下側部分は、スライド板18に固定されると共に、プレート12に前後方向にスライド可能に貫通されており、支持柱24は、スライド板18と一体に前後方向にスライド可能にされている。
【0022】
支持柱24の上側部分は、把持部としての略矩形筒状のノブ26内に収容されており、ノブ26の下壁には、支持柱24の下側部分が貫通されている。ノブ26は、支持柱24の上側部分に固定されており、ノブ26は、支持柱24と一体に前後方向にスライド可能にされている。ノブ26の軸方向は、左右方向に平行に配置されており、ノブ26内は、左側及び右側に開放されている。ノブ26は、車両の乗員(特に運転者)の手によって把持可能にされており、ノブ26が乗員の手によって把持された状態で、レバー16が前後方向にスライド可能にされている。
【0023】
ノブ26の上壁には、表示部28が設けられている。表示部28には、前側から後側に向けて、「R」表示28R、「N」表示28N及び「D」表示28Dがこの順番で配置されており、「R」表示28R、「N」表示28N及び「D」表示28Dは、ノブ26の上側から視認可能にされている。
【0024】
ノブ26の後側には、シフト部としての略台形柱状のPスイッチ30が設けられており、Pスイッチ30は、ノブ26の後壁に貫通されて、支持柱24の上側部分の後部に支持されている。Pスイッチ30は、上側かつ前側の部分を中心として所定範囲で回動可能にされると共に、下側に付勢されており、Pスイッチ30は、乗員の手指(例えば親指)によって付勢力に抗して上側に回動可能にされている。
【0025】
ノブ26の左側及び右側には、それぞれ変位部としての略矩形柱状の左ボタン32及び右ボタン34(
図6及び
図7参照)が設けられている。左ボタン32及び右ボタン34は、ノブ26内に部分的に嵌入されて、ノブ26から左右方向外側に突出されており、左ボタン32及び右ボタン34は、ノブ26に対し左右方向に所定範囲でスライド可能にされている。左ボタン32の左面(突出端面)及び右ボタン34の右面(突出端面)は、それぞれ操作面としての左操作面32A及び右操作面34Aにされている。左操作面32Aの前側部分及び右操作面34Aの前側部分は、後方へ向かうに従いノブ26の左右方向外側へ向かう方向に傾斜されており、左操作面32Aの後側部分及び右操作面34Aの後側部分は、前方へ向かうに従いノブ26の左右方向外側へ向かう方向に傾斜されている。左ボタン32は、乗員の手指(例えば左手の親指以外の指又は右手の親指)により、左操作面32Aが押圧操作されて、右方にスライド(変位)可能にされており、右ボタン34は、乗員の手指(例えば左手の親指又は右手の親指以外の指)により、右操作面34Aが押圧操作されて、左方にスライド(変位)可能にされている。
【0026】
左ボタン32及び右ボタン34には、それぞれ連動部としての略矩形柱状の左連動柱32B及び右連動柱34Bが一体に設けられており、左連動柱32Bは、左ボタン32から右方に延出されると共に、右連動柱34Bは、右ボタン34から左方に延出されている。左連動柱32Bは、右連動柱34Bの前側に配置されており、左連動柱32B及び右連動柱34Bは、支持柱24の上側部分の上側に配置されている。左連動柱32B及び右連動柱34Bには、それぞれ略矩形状の左連動孔32C及び右連動孔34Cが形成されており、左連動孔32C及び右連動孔34Cは、それぞれ左連動柱32B及び右連動柱34Bを上下方向に貫通すると共に、前後方向に長尺にされている。
【0027】
支持柱24の上側部分の上側には、連動部材としての菱形板状の連動板36(
図5参照)が支持されており、連動板36は、中央部分において支持柱24に回転可能に支持されている。連動板36の前端部及び後端部には、それぞれ略円柱状の左連動ピン36A及び右連動ピン36Bが一体に設けられており、左連動ピン36A及び右連動ピン36Bは、連動板36から上方に突出されている。左連動ピン36A及び右連動ピン36Bは、それぞれ左ボタン32(左連動柱32B)の左連動孔32C及び右ボタン34(右連動柱34B)の右連動孔34Cに挿入されており、左連動ピン36A及び右連動ピン36Bは、それぞれ、左連動孔32C及び右連動孔34Cに左右方向において嵌合されると共に、左連動孔32C及び右連動孔34Cに対し前後方向に移動可能にされている。
【0028】
左ボタン32が右方にスライドされた際には、左連動柱32B(左連動孔32Cを含む)が右方にスライドされて、連動板36(左連動ピン36A及び右連動ピン36Bを含む)が回転されることで、右連動柱34B(右連動孔34Cを含む)が左方にスライドされて、右ボタン34が左方にスライドされる。右ボタン34が左方にスライドされた際には、右連動柱34B(右連動孔34Cを含む)が左方にスライドされて、連動板36(右連動ピン36B及び左連動ピン36Aを含む)が回転されることで、左連動柱32B(左連動孔32Cを含む)が右方にスライドされて、左ボタン32が右方にスライドされる。このため、左ボタン32と右ボタン34とが連動板36によって連動されてスライドされる。
【0029】
支持柱24の上側部分の前部には、検出機構としてのスイッチ38(
図3参照)が固定されており、スイッチ38には、付勢部としての柱状のスイッチ部38Aが設けられている。スイッチ部38Aは、所定範囲で左右方向に移動可能にされており、スイッチ部38Aは、右方に付勢されて、右方に突出されている。スイッチ部38Aは、右ボタン34の左端に当接されており、スイッチ部38Aは、右ボタン34を右方に付勢すると共に、右ボタン34及び連動板36を介して左ボタン32を左方に付勢している。右ボタン34が左方にスライドされた際(左ボタン32が右方にスライドされて右ボタン34が左方にスライドされた際を含む)には、スイッチ部38Aが付勢力に抗して左方にスライドされて、スイッチ38が右ボタン34の左方へのスライド(左ボタン32の右方へのスライドを含む)を検出する。
【0030】
シフト装置10の左部には、付勢機構としての節度機構40が設けられている。
【0031】
節度機構40には、略矩形柱状の節度柱42が設けられており、節度柱42は、スライド板18の左端部に固定されて、スライド板18と一体に前後方向にスライド可能にされている。節度柱42は、スライド板18から下側に突出されており、節度柱42は、プレート12に前後方向にスライド可能に貫通されている。
【0032】
節度柱42の下部内には、付勢部材としての略矩形柱状の節度ピン42Aが挿入されており、節度ピン42Aは、節度柱42に対し上下方向に移動可能にされると共に、下側に付勢されている。節度ピン42Aは、節度柱42から下方に突出されており、節度ピン42Aの下面は、前後方向において凸状に湾曲されている。
【0033】
節度ピン42Aの下側には、付勢体としての略矩形柱状の節度ブロック44が配置されており、節度ブロック44は、プレート12の下側に固定されている。節度ブロック44の上面は、付勢面としての節度面44Aにされており、節度面44Aは、前後方向中央部から前後方向両側へ向かうに従い上側へ向かう方向に傾斜されている。節度ピン42Aは、付勢力により節度面44Aの前後方向中央部に配置されており、これにより、レバー16がホーム位置に配置されている。レバー16がホーム位置から前側及び後側にスライドされる際には、それぞれ、節度ピン42Aが付勢力に抗して上側に移動されつつ節度面44Aの前側部分及び後側部分に移動される。レバー16がホーム位置から前側及び後側にスライドされた状態で、レバー16へのスライド力の作用が解除された際には、節度ピン42Aが付勢力により下側に移動されつつ節度面44Aの前後方向中央部に移動されることで、レバー16がホーム位置にスライド(復帰)される。
【0034】
シフト装置10の右部には、シフト検出機構としてのセンサ機構46(
図5参照)が設けられている。
【0035】
センサ機構46には、被検出部としての略矩形板状の検出板48が設けられており、検出板48は、スライド板18の右端部に固定されて、スライド板18と一体に前後方向にスライド可能にされている。検出板48は、スライド板18から下方に突出されると共に、左右方向に垂直に配置されており、検出板48は、プレート12に前後方向にスライド可能に貫通されている。
【0036】
プレート12の前部及び右部の下側には、略L字形板状の配線基板50(
図4参照)が固定されており、配線基板50の右部は、検出板48の下側に配置されている。配線基板50の右部の上面には、検出部としての断面U字状の前センサ50A及び後センサ50Bが固定されており、前センサ50A及び後センサ50Bは、それぞれ検出板48の前側及び後側に配置されると共に、内部が前後方向両側及び上側に開放されている。レバー16がホーム位置から前位置にスライドされた際には、検出板48が前センサ50A内に配置されて、前センサ50Aが内部への検出板48の配置(レバー16の前位置へのスライド)を検出する。レバー16がホーム位置から後位置にスライドされた際には、検出板48が後センサ50B内に配置されて、後センサ50Bが内部への検出板48の配置(レバー16の後位置へのスライド)を検出する。
【0037】
上記表示部28、Pスイッチ30、スイッチ38、前センサ50A及び後センサ50Bは、配線基板50を介して規制機構としての車両の制御装置52(
図4参照)に電気的に接続されており、制御装置52には、変速機としての車両の自動変速機54(
図4参照)が電気的に接続されている。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0039】
以上の構成のシフト装置10では、レバー16におけるノブ26のPスイッチ30が回動された際に、制御装置52の制御により、自動変速機54のシフト位置が「P」位置(パーク位置)に変更される。
【0040】
ノブ26の左ボタン32及び右ボタン34がスライドされない状態(スイッチ38が左ボタン32及び右ボタン34のスライドを検出しない状態)で、レバー16がホーム位置から前位置及び後位置にスライドされた際(レバー16の前位置及び後位置へのスライドをそれぞれ配線基板50の前センサ50A及び後センサ50Bが検出した際)には、制御装置52の制御により、自動変速機54のシフト位置が「N」位置(ニュートラル位置)に変更されて、自動変速機54のシフト位置が「R」位置(リバース位置)及び「D」位置(ドライブ位置)に変更されることが規制される。
【0041】
ノブ26の左ボタン32及び右ボタン34がスライドされた状態(スイッチ38が左ボタン32及び右ボタン34のスライドを検出した状態)で、レバー16がホーム位置から前位置にスライドされた際(レバー16の前位置へのスライドを前センサ50Aが検出した際)には、制御装置52の制御により、自動変速機54のシフト位置が「R」位置に変更される(自動変速機54のシフト位置の「R」位置への変更規制が解除される)。
【0042】
ノブ26の左ボタン32及び右ボタン34がスライドされた状態(スイッチ38が左ボタン32及び右ボタン34のスライドを検出した状態)で、レバー16がホーム位置から後位置にスライドされた際(レバー16の後位置へのスライドを後センサ50Bが検出した際)には、制御装置52の制御により、自動変速機54のシフト位置が「D」位置に変更される(自動変速機54のシフト位置の「D」位置への変更規制が解除される)。
【0043】
自動変速機54のシフト位置が「N」位置、「R」位置及び「D」位置に変更された際には、それぞれ、制御装置52の制御により、ノブ26の表示部28における「N」表示28N、「R」表示28R及び「D」表示28Dが点灯表示される。
【0044】
ここで、レバー16におけるノブ26の左ボタン32及び右ボタン34がノブ26の左右方向における互いに反対側の位置に配置されている。このため、左ボタン32及び右ボタン34をスライドさせた状態で、レバー16をスライドさせる場合には、例えば乗員が手の親指と親指以外の指(特に人差し指)とによりノブ26の左ボタン32から右ボタン34までの部分を挟持することで、ノブ26を把持できると共に、左ボタン32及び右ボタン34をスライドさせることができる。
【0045】
これにより、ノブ26に対する把持力により左ボタン32及び右ボタン34をスライドさせることができ、左ボタン32及び右ボタン34に効率的にスライド力を作用させることができる。さらに、ノブ26に対する把持操作(レバー16をスライドさせるための前提操作)と左ボタン32及び右ボタン34に対するスライド操作とを同一の操作にでき、ノブ26に対する操作数を少なくできて、ノブ26に対する操作負担を軽減できる。しかも、ノブ26を把持すると同時に左ボタン32及び右ボタン34をスライドさせて、レバー16をスライドさせることで、レバー16を操作でき、レバー16の操作方法を簡単にできる。
【0046】
さらに、左ボタン32と右ボタン34とが連動板36によって連動されてスライドされる。このため、左ボタン32及び右ボタン34のスライド荷重を左ボタン32と右ボタン34とに分散させることができ、左ボタン32及び右ボタン34のそれぞれをスライドさせるための乗員の負荷を小さくできる。しかも、乗員の怪我等の非常時に左ボタン32及び右ボタン34の一方を乗員がスライドさせることができない場合でも、乗員が左ボタン32及び右ボタン34の他方をスライドさせることで、左ボタン32及び右ボタン34の一方をスライドさせることができる。
【0047】
また、左ボタン32の左操作面32Aの前側部分及び右ボタン34の右操作面34Aの前側部分が後方へ向かうに従いノブ26の左右方向外側へ向かう方向に傾斜されている。このため、レバー16が後方にスライドされる際に、乗員の手指により左操作面32Aの前側部分及び右操作面34Aの前側部分に操作力が作用されることで、レバー16に当該操作力の後方への分力を作用させることができ、当該操作力によりレバー16の後方へのスライドを補助できる。
【0048】
さらに、左ボタン32の左操作面32Aの後側部分及び右ボタン34の右操作面34Aの後側部分が前方へ向かうに従いノブ26の左右方向外側へ向かう方向に傾斜されている。このため、レバー16が前方にスライドされる際に、乗員の手指により左操作面32Aの後側部分及び右操作面34Aの後側部分に操作力が作用されることで、レバー16に当該操作力の前方への分力を作用させることができ、当該操作力によりレバー16の前方へのスライドを補助できる。
【0049】
また、ノブ26の上壁に表示部28(「R」表示28R、「N」表示28N及び「D」表示28D)が設けられている。このため、乗員が手の親指と親指以外の指(特に人差し指)とによりノブ26の左ボタン32から右ボタン34までの部分を挟持した際には、乗員が手の親指と親指以外の指との間を介して表示部28を視認でき、乗員の手が表示部28の視認を阻害することを抑制できる。
【0050】
[第2実施形態]
図8には、本発明の第2実施形態に係るシフト装置60のレバー16の主要部が示す上方から見た平面図にて示されている。
【0051】
本実施形態に係るシフト装置60は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0052】
図8に示す如く、本実施形態に係るシフト装置60では、レバー16のノブ26において、左ボタン32の左連動柱32B及び右ボタン34の右連動柱34Bがラックにされている。左連動柱32Bの後端及び右連動柱34Bの前端には、それぞれ左ラック歯32D及び右ラック歯34Dが形成されており、左ラック歯32D及び右ラック歯34Dは、左右方向に連続して配置されている。
【0053】
レバー16における支持柱24の上側部分の上側には、連動部材としての連動ギヤ62が回転可能に支持されており、連動ギヤ62は、左ボタン32の左連動柱32Bと右ボタン34の右連動柱34Bとの間に配置されて、左連動柱32Bの左ラック歯32D及び右連動柱34Bの右ラック歯34Dと噛合されている。
【0054】
左ボタン32が右方にスライドされた際には、左連動柱32B(左ラック歯32Dを含む)が右方にスライドされて、連動ギヤ62が回転されることで、右連動柱34B(右ラック歯34Dを含む)が左方にスライドされて、右ボタン34が左方にスライドされる。右ボタン34が左方にスライドされた際には、右連動柱34B(右ラック歯34Dを含む)が左方にスライドされて、連動ギヤ62が回転されることで、左連動柱32B(左ラック歯32Dを含む)が右方にスライドされて、左ボタン32が右方にスライドされる。このため、左ボタン32と右ボタン34とが連動ギヤ62によって連動されてスライドされる。
【0055】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0056】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態では、制御装置52(規制機構)が自動変速機54のシフト位置の「R」位置及び「D」位置への変更を電気的な制御により規制する。しかしながら、規制機構がノブ26の前位置及び後位置へのスライドを機械的に規制して、自動変速機54のシフト位置の「R」位置及び「D」位置への変更が規制されてもよい。
【0057】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、左ボタン32の左操作面32A及び右ボタン34の右操作面34Aが前後方向に非平行に配置される。しかしながら、左ボタン32の左操作面32A及び右ボタン34の右操作面34Aが前後方向に平行(特に左右方向に垂直)に配置されてもよい。
【0058】
さらに、上記第1実施形態及び第2実施形態では、左ボタン32と右ボタン34とが連動板36又は連動ギヤ62によって連動されてスライドされる。しかしながら、左ボタン32と右ボタン34とが連動されずに別々にスライドされてもよい。
【0059】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、左ボタン32と右ボタン34とがスイッチ38のスイッチ部38A(付勢部)により付勢される。しかしながら、左ボタン32と右ボタン34とがスイッチ38のスイッチ部38Aとは別の付勢部により付勢されてもよく、左ボタン32と右ボタン34とが別々の付勢部により付勢されてもよい。
【0060】
さらに、上記第1実施形態及び第2実施形態では、左ボタン32のスライドと右ボタン34のスライドとがスイッチ38(検出機構)により検出される。しかしながら、左ボタン32のスライドと右ボタン34のスライドとが別々の検出機構により検出されてもよい。
【0061】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、左ボタン32及び右ボタン34(一対の変位部)がノブ26の左右方向における互いに反対側の位置に配置されている。しかしながら、一対の変位部がノブ26の左右方向以外の方向(例えば前後方向)における互いに反対側の位置に配置されてもよい。
【0062】
さらに、上記第1実施形態及び第2実施形態では、レバー16がスライドされる。しかしながら、レバー16が回動又は軸周りに回転されてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、シフト装置10、60がコンソールに設置される。しかしながら、シフト装置10、60がインストルメントパネル又はステアリングコラムに設置されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10・・・シフト装置、16・・・レバー(シフト体)、26・・・ノブ(把持部)、32・・・左ボタン(変位部)、32A・・・左操作面(操作面)、34・・・右ボタン(変位部)、34A・・・右操作面(操作面)、52・・・制御装置(規制機構)、54・・・自動変速機(変速機)、60・・・シフト装置