(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191056
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】車両用ドアクローザ装置
(51)【国際特許分類】
E05B 77/06 20140101AFI20221220BHJP
E05B 81/34 20140101ALI20221220BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20221220BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
E05B77/06 Z
E05B81/34
B60J5/10 H
B60J5/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099678
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 晨鳴
(72)【発明者】
【氏名】片川 峰孝
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ32
2E250JJ42
2E250KK02
2E250LL01
2E250RR43
(57)【要約】
【課題】車両用ドアクローザ装置が大型化することを抑制し、且つ、シンプルな構造で、車両衝突時やドアを急激に閉動作した時などの衝撃によって意図せずドアがアンラッチ状態となることを抑制できる車両用ドアクローザ装置を提供する。
【解決手段】車両用ドアクローザ装置3は、車両100のバックドア101に設けられ、車両100の車体に設けられたストライカ103と係脱可能に係合するロック機構部30と、ロック機構部30を動作させるアクチュエータ部50と、を備える。アクチュエータ部50は、出力軸51と、出力軸51に固定され、ロック機構部30を動作させる出力レバー52と、出力軸51に固定された減速ギヤ55と、出力軸51を軸支し、減速ギヤ55を収容するアクチュエータケース60と、を備える。アクチュエータケース60の内部に、カウンタウエイト57が設けられている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアに設けられ、
前記車両の車体に設けられたストライカと係脱可能に係合するロック機構部と、
前記ロック機構部を動作させるアクチュエータ部と、
を備える、車両用ドアクローザ装置であって、
前記アクチュエータ部は、
出力軸と、
前記出力軸に固定され、前記ロック機構部を動作させる出力レバーと、
前記出力軸に固定された減速ギヤと、
前記出力軸を軸支し、前記減速ギヤを収容するアクチュエータケースと、を備え、
前記出力軸と前記減速ギヤと前記出力レバーとは、前記出力軸を回動軸として一体に回動し、
前記アクチュエータケースの内部に、カウンタウエイトが設けられている、車両用ドアクローザ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアクローザ装置であって、
前記カウンタウエイトは、前記減速ギヤに取り付けられている、車両用ドアクローザ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用ドアクローザ装置であって、
前記減速ギヤには、前記カウンタウエイトを係止する係止爪が設けられており、
前記カウンタウエイトには、前記カウンタウエイトを貫通する係止孔が形成されており、
前記係止爪は、前記係止孔を挿通して前記カウンタウエイトを係止する、車両用ドアクローザ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用ドアクローザ装置であって、
前記アクチュエータ部は、駆動モータをさらに備え、
前記減速ギヤ及び前記出力レバーは、前記駆動モータの動力によって回動可能であり、
前記駆動モータは、前記アクチュエータ部の上下方向において中央より上側に配置されており、
前記カウンタウエイトは、上下方向において前記駆動モータよりも下方に設けられている、車両用ドアクローザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに設けられる車両用ドアクローザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のドアに設けられ、車体に設けられたストライカと係合することによって車両のドアを全閉状態にロック可能なラッチ機構部と、ラッチ機構部を動作させるアクチュエータ部と、を備えた、車両用ドアクローザ装置が知られている。
【0003】
この種の車両用ドアクローザ装置においては、アクチュエータ部は所定の重量を有するため、車両の衝突時や、ドアを急激に閉動作した時などの衝撃によって、アクチュエータ部に慣性力が生じる。この慣性力によって、アクチュエータ部のロック機構部に対する相対位置が変化すると、アクチュエータ部を構成するいずれかの部材がラッチ機構部と接触してラッチ機構部が動作してしまい、意図せず車両のドアが開動作可能なアンラッチ状態になってしまう虞があった。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1から特許文献3には、意図せず車両のドアが開動作可能なアンラッチ状態になってしまうことを抑制した車両用ドアクローザ装置が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の車両用ドアクローザ装置は、車両の衝突時や、ドアを急激に閉動作した時などの衝撃によって、アクチュエータ部のロック機構部に対する相対位置が変化した場合でもラッチ機構部が動作しないように、ラッチ機構部を動作させるアクチュエータ部のレバー部材(オープンレバー19)の移動を制限する、クラッチ機構が設けられている。
【0006】
特許文献2及び特許文献3に記載の車両用ドアクローザ装置は、車両の衝突時や、ドアを急激に閉動作した時などの衝撃によってアクチュエータ部に生じる慣性力を打ち消すために、アクチュエータ部にカウンタウエイトが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3164520号公報
【特許文献2】特許第5994151号公報
【特許文献3】特許第4070883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用ドアクローザ装置は、クラッチ機構を設ける必要があるため、車両用ドアクローザ装置の構造が複雑化してしまう、という課題があった。また、特許文献2及び特許文献3に記載の車両用ドアクローザ装置は、カウンタウエイトを設けるために、車両用ドアクローザ装置が大型化してしまう、という課題があった。
【0009】
本発明は、車両用ドアクローザ装置が大型化することを抑制し、且つ、シンプルな構造で、車両衝突時やドアを急激に閉動作した時などの衝撃によって意図せずドアがアンラッチ状態となることを抑制できる車両用ドアクローザ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
車両のドアに設けられ、
前記車両の車体に設けられたストライカと係脱可能に係合するロック機構部と、
前記ロック機構部を動作させるアクチュエータ部と、
を備える、車両用ドアクローザ装置であって、
前記アクチュエータ部は、
出力軸と、
前記出力軸に固定され、前記ロック機構部を動作させる出力レバーと、
前記出力軸に固定された減速ギヤと、
前記出力軸を軸支し、前記減速ギヤを収容するアクチュエータケースと、を備え、
前記出力軸と前記減速ギヤと前記出力レバーとは、前記出力軸を回動軸として一体に回動し、
前記アクチュエータケースの内部に、カウンタウエイトが設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両用ドアクローザ装置が大型化することを抑制し、且つ、シンプルな構造で、車両衝突時やドアを急激に閉動作した時などの衝撃によって意図せずドアがアンラッチ状態となることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態の車両用ドアクローザ装置を備える車両用ドア開閉システムが搭載された車両の後部を右側から見た図である。
【
図2】
図1の車両において、バックドアを開けた状態の車両の後部を右側から見た図である。
【
図3】本発明の一実施形態の車両用ドアクローザ装置を前方右斜め上側から見た図である。
【
図4】
図3の車両用ドアクローザ装置を前方斜め下側から見た図である。
【
図5】
図3の車両用ドアクローザ装置を左側から見た側面図である。
【
図6】
図3の車両用ドアクローザ装置を、バックプレートを外した状態で上方斜め前側から見た図である。
【
図7】
図3の車両用ドアクローザ装置を、バックプレート及び本体ボディを外した状態で上方斜め前側から見た図である。
【
図8】
図3の車両用ドアクローザ装置における、ラッチに対するハーフラッチ検出スイッチ及びフルラッチ検出スイッチの配置を示す図である。
【
図9A】
図3の車両用ドアクローザ装置において、ラッチがアンラッチ位置にあるときのロック機構部の要部の状態を示す図である。
【
図9B】
図3の車両用ドアクローザ装置において、ラッチがハーフラッチ位置にあるときのロック機構部の要部の状態を示す図である。
【
図9C】
図3の車両用ドアクローザ装置において、ラッチがフルラッチ位置にあるときのロック機構部の要部の状態を示す図である。
【
図10】
図3の車両用ドアクローザ装置のアクチュエータ部を、前側ケースを取り外した状態で前方斜め下側から見た図である。
【
図11】
図3の車両用ドアクローザ装置を、アクチュエータ部の前側ケース、並びに、ロック機構部のバックプレート及び本体ボディを外した状態で前方左斜め上側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の車両用ドアクローザ装置を備える車両用ドア開閉システムが搭載された車両の一実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。各図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。なお、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは異なる場合があることに留意されたい。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0014】
図1及び
図2に示すように、車両100は、車両100の車体後面に形成された後部開口104を開閉するバックドア101を備える。バックドア101は、テールゲートとも称される。バックドア101の上端部には、ヒンジ102が設けられている。
【0015】
<ドア開閉制御システム>
本実施形態の車両用ドア開閉システム1は、車両100の車体後部に設けられたバックドア101の開閉を行うものである。車両用ドア開閉システム1は、車両用ドア開閉装置2と、車両用ドアクローザ装置3と、電子制御装置(Electronic Control Unit:ECU)7と、を備える。
【0016】
車両用ドア開閉装置2は、車両100のテールゲートとも称されるバックドア101をモータの動力を用いて開閉する電動装置である。本実施形態では、車両用ドア開閉装置2は、車両100のバックドア101のヒンジ102を回動することによってバックドア101を開閉できるように、車両100の天井に固定される。
【0017】
車両用ドアクローザ装置3は、車両100の後部開口104の下方部分に設けられたストライカ103と係脱可能に構成される電動装置である。車両用ドアクローザ装置3は、バックドア101が後部開口104を閉じた状態(
図1に示す閉状態)にした際、ストライカ103と係合できるように、バックドア101の下方部分に設けられる。そして、車両用ドアクローザ装置3とストライカ103とが係合すると、車両100のバックドア101は、閉状態にロックされる。車両用ドアクローザ装置3とストライカ103との係合が解除されると、車両100のバックドア101は、開閉動作可能となる。
【0018】
電子制御装置7は、前述した車両用ドア開閉装置2及び車両用ドアクローザ装置3の各動作を制御する装置である。電子制御装置7は、不図示の配線等を介して車両用ドア開閉装置2及び車両用ドアクローザ装置3と電気的に接続され、例えば、車両100の車体側部内に設けられる。
【0019】
なお、本実施形態では、車両用ドア開閉装置2、車両用ドアクローザ装置3、及び電子制御装置7が設けられた車両100は、ワンボックスカーやステーションワゴン等、後部開口104が荷物載置スペースや座席に通じるタイプの車両である。したがって、車両100は、バックドア101が開状態になって開放される後部開口104から、荷物の出し入れが可能となっている。さらに、車両100は、バックドア101が開状態になって開放される後部開口104から、乗員の乗り降りが可能であってもよい。
【0020】
<ドア開閉装置>
次に、車両用ドア開閉装置2の構成について説明する。車両用ドア開閉装置2は、車両100のバックドア101を電動で開閉するPTG(Power Tail Gate)ドライブユニットである。車両用ドア開閉装置2は、動力源であるPTGモータ21と、PTGモータ21の動力によって旋回するアーム22と、回転自在にアーム22に支持されたロッド23と、を備える。
【0021】
PTGモータ21は、車両100の車載電源から給電されて駆動し、これにより、バックドア101を開閉する動力を発生させる。PTGモータ21の駆動軸(回転軸)には、アーム22の基端部分が取り付けられる。アーム22は、PTGモータ21の動力によってPTGモータ21の駆動軸を中心に旋回する。アーム22の先端部分には、ロッド23の一端が回転自在に支持される。ロッド23の他端は、バックドア101のヒンジ102に接続する。ヒンジ102の一端は、ブラケット等を用いて回転自在に車両100の天井に取り付けられる。ヒンジ102の他端は、バックドア101に固定される。
【0022】
PTGモータ21の駆動軸とロッド23とが接続されたアーム22は、ロッド23及びヒンジ102を介してバックドア101に連係される。また、アーム22は、PTGモータ21の動力を受けて旋回するとともに、受けた動力をロッド23及びヒンジ102に伝達する。これにより、アーム22は、ロッド23を介してヒンジ102をバックドア101の開方向又は閉方向(
図2参照)に移動させる。
【0023】
なお、バックドア101の開方向は、バックドア101が車両100の後部開口104から離間する回動方向である。バックドア101の閉方向は、バックドア101が車両100の後部開口104に近接する回動方向である。車両用ドア開閉装置2は、PTGモータ21の動力を用いてアーム22を開方向に旋回させることにより、バックドア101を開く開動作を行う。また、車両用ドア開閉装置2は、PTGモータ21の動力を用いてアーム22を閉方向に旋回させることにより、バックドア101を閉じる閉動作を行う。
【0024】
<車両用ドアクローザ装置>
次に、車両用ドアクローザ装置3の構成について説明する。
【0025】
図3~
図7に示すように、車両用ドアクローザ装置3は、車両100に設けられたストライカ103(
図1及び
図2参照)と係脱可能に係合するロック機構部30と、ロック機構部30を動作させるアクチュエータ部50と、ロック機構部30及びアクチュエータ部50が取り付けられるブラケット70と、を備える。本実施形態では、アクチュエータ部50は、ロック機構部30を電動で動作させる。
【0026】
(ロック機構部の構成)
ロック機構部30は、車両100に設けられたストライカ103(
図1及び
図2参照)と係合及び離脱するラッチ31と、ストライカ103とラッチ31との係合状態を解除可能に維持するラチェット32と、ラチェット32の回動を規制するストッパ33と、ラッチ31と連係して回動するラッチレバー34と、ラッチ31とラチェット32との係合状態を解除するリリースレバー35と、を備える。
【0027】
ロック機構部30は、ロック機構部30のラッチ31と、ラチェット32と、ストッパ33と、を収容するケーシング40を備える。ケーシング40は、本体ボディ41と、本体ボディ41の下部を覆うカバープレート42と、本体ボディ41の上部を覆うバックプレート43と、を有する。
【0028】
カバープレート42は、比較的板厚の厚い金属板によって成形される。カバープレート42は、前端から後端に向かって上方に傾斜して延びる略平板状の底壁部42aと、底壁部42aの前端部から前方斜め上方向に延びる前壁部42bと、底壁部42aの左端部及び右端部から上方向に延びる左右一対の側壁部42cと、左右一対の側壁部42cそれぞれの上端部から車幅方向外側に向かって略平板状に延びる左右一対のフランジ部42dと、を有する。カバープレート42には、底壁部42aと、前壁部42bと、左右一対の側壁部42cと、によって囲まれた収容空間が形成される。カバープレート42の底壁部42aの上部は、本体ボディ41によって覆われている。
【0029】
カバープレート42の底壁部42aには、ラッチ31が固定されるラッチ軸36と、ラチェット32が固定されるラチェット軸37と、が回転自在に軸支されている。ラッチ軸36及びラチェット軸37は、カバープレート42の底壁部42aに対して略垂直に、カバープレート42の底壁部42aから前方斜め上方向へ延在するように設けられており、互いに平行に延在している。ラッチ31とラッチ軸36とは、ラッチ軸36を回動軸として一体に回動する。ラチェット32とラチェット軸37とは、ラチェット軸37を回動軸として一体に回動する。本実施形態では、ラッチ軸36とラチェット軸37とは、左右方向において、ラッチ軸36がラチェット軸37よりも左側、ラチェット軸37がラッチ軸36よりも右側、となるように配置されている。
【0030】
ロック機構部30は、ラッチ31がハーフラッチ位置に回動したことを検出するハーフラッチ検出スイッチ38aと、ラッチ31がフルラッチ位置に回動したことを検出するフルラッチ検出スイッチ38bと、ラチェット32が所定のセット位置にいるか否かを検出するラチェット検出スイッチ38cと、をさらに備える。ハーフラッチ検出スイッチ38a、フルラッチ検出スイッチ38b、及び、ラチェット検出スイッチ38cは、いずれも、ケーシング40の内部、すなわち、カバープレート42に形成された前述の収容空間内に配置されている。
【0031】
ラッチ31の「フルラッチ位置」とは、ラッチ31と車両100のストライカ103とが完全に係合する状態となるラッチ31の位置を指し、ラッチ31の「ハーフラッチ位置」とは、ラッチ31と車両100のストライカ103とが辛うじて係合する状態となるラッチ31の位置を指し、ラッチ31の「アンラッチ位置」とは、ラッチ31と車両100のストライカ103とが係合しない状態となるラッチ31の位置を指す。
【0032】
ラッチ31がフルラッチ位置にあるとき、バックドア101は、全閉位置で全閉状態の「フルラッチ状態」となる。ラッチ31がハーフラッチ位置にあるとき、バックドア101は、全閉位置の直前の位置で、ストライカ103がラッチ31に辛うじて係合して、バックドア101に荷重がかからなければ開動作しないものの全閉状態ではない「ハーフラッチ状態」となり、ラッチ31がアンラッチ位置にあるとき、バックドア101は、自由に開動作が可能な「アンラッチ状態」となる。
【0033】
ケーシング40には、ストライカ進入溝45が形成されている。ストライカ進入溝45は、カバープレート42の前壁部42bの左右略中央部から後方に向かって凹状に切り欠かれて形成されており、前述のストライカ103が進入可能となっている。ストライカ進入溝45は、左右方向において、ラッチ軸36とラチェット軸37との間に形成されている。
【0034】
図6に示すように、本体ボディ41は、カバープレート42の底壁部42aの上部を覆う区画壁部41aを有する。互いに平行なラッチ軸36及びラチェット軸37の上端側から見て、区画壁部41aは、ラッチ軸36、ハーフラッチ検出スイッチ38a、及び、フルラッチ検出スイッチ38bが配置される領域と、ラチェット軸37及びラチェット検出スイッチ38cが配置される領域と、においては、本体ボディ41の下端部近傍で延在し、ストライカ進入溝45が形成される領域においては、本体ボディ41の上端部近傍で延在する。したがって、区画壁部41aは、ストライカ進入溝45が形成される領域が、ラッチ軸36、ハーフラッチ検出スイッチ38a、及び、フルラッチ検出スイッチ38bが配置される領域と、ラチェット軸37及びラチェット検出スイッチ38cが配置される領域と、に対して上方に窪むように形成されている。
【0035】
ラッチ軸36及びラチェット軸37は、カバープレート42に形成された前述の収容空間内に、本体ボディ41の区画壁部41aを挿通して配置されている。ラッチ31、ラチェット32、及びストッパ33は、カバープレート42に形成された前述の収容空間内であって、区画壁部41aの下方に配置されている。ハーフラッチ検出スイッチ38a、フルラッチ検出スイッチ38b、及び、ラチェット検出スイッチ38cは、カバープレート42に形成された前述の収容空間内であって、区画壁部41aの上方に配置されている。ストライカ進入溝45は、ストライカ進入溝45が形成される領域の区画壁部41aが、ラッチ軸36、ハーフラッチ検出スイッチ38a、及び、フルラッチ検出スイッチ38bが配置される領域の区画壁部41aと、ラチェット軸37及びラチェット検出スイッチ38cが配置される領域の区画壁部41aと、に対して上方に窪んだ窪み形状によって形成される。したがって前述のストライカ103は、ストライカ進入溝45が形成された領域の区画壁部41aの下方に進入する。
【0036】
図3及び
図4に示すように、バックプレート43は、本体ボディ41の上部を覆う略平板状のカバー部43aと、カバー部43aの左右両端部からそれぞれ車幅方向外側に向かって略平板状に延びる左右一対のフランジ部43bと、左右一対のフランジ部43bの車幅方向外側の各端部から上方に向かって延在する左右一対の固定部43cと、を有する。左右一対のフランジ部43bは、カバープレート42の左右一対のフランジ部42dとそれぞれ対向して延在する。さらに、バックプレート43は、カバー部43aの後端部の右側領域から上方に延在する取付部43dを有する。
【0037】
図6に示すように、ラッチ31は、略中央に形成された貫通孔にラッチ軸36が挿通される板状の部材である。ラッチ31には、外周縁から貫通孔(ラッチ軸36)に向かって窪んだ凹形状を有し、バックドア101のストライカ103が挿入される係合溝31aが形成されている。ラッチ31は、係合溝31aがストライカ進入溝45と交差してラッチ軸36を回動軸として回動するように、カバープレート42に形成された前述の収容空間内に配置される。ラッチ31は、ラッチ軸36に設けられたラッチばね36aにより、ラッチ軸36を中心として、フルラッチ位置からハーフラッチ位置を経由しアンラッチ位置に至る方向、すなわち、ラッチ軸36の上端側から見て反時計回りの方向に付勢されている。ラッチばね36aは、カバープレート42に形成された前述の収容空間内であって、区画壁部41aの上方に配置されている。
【0038】
図7に示すように、ラッチ31は、バックドア101が閉じる際に、ハーフラッチ位置及びフルラッチ位置で車両100のストライカ103を係合保持する。すなわち、ラッチ31は、バックドア101が閉じるとともにストライカ進入溝45に沿って進入するストライカ103を係合溝31aに当接させる。その後、ラッチ31は、ストライカ103を係合溝31aに当接した状態を維持しながら、ラッチばね36aの付勢力に抗してアンラッチ位置からハーフラッチ位置に回動し、ハーフラッチ位置でストライカ103を係合溝31aに係合させてストライカ103を係合溝31a内に保持する。さらに、ラッチ31は、このストライカ103を係合溝31aに係合した状態を維持しながら、ラッチばね36aの付勢力に抗してハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動し、これにより、係合溝31a内にストライカ103を完全に保持する。
【0039】
一方、ラッチ31は、後述するラチェット32との係合状態が解除された際、ラッチばね36aの付勢力によって、フルラッチ位置からハーフラッチ位置を経由してアンラッチ位置に回動する。これにより、ラッチ31は、係合溝31aとストライカ103との係合状態を解除し、係合溝31aからストライカ103を解放する。
【0040】
ラチェット32は、ラッチ31の回動位置を規制する部材である。
図7に示すように、ラチェット32は、略中央に形成された貫通孔にラチェット軸37が挿通される板片状の部材である。ラチェット32は、後述するリリースレバー35の下側アーム部35aと当接可能に後方に延出したレバーアーム32aと、ラッチ31と係合可能にラチェット軸37の径方向外側に延出したラッチ係合アーム32bと、を有する。ラチェット32は、ラチェット軸37を回動軸として回動するように、カバープレート42に形成された前述の収容空間内に配置される。ラチェット32は、ラチェット軸37に設けられたラチェットばね37aにより、ラチェット軸37を中心として、ラッチ31に近接する方向、すなわち、ラチェット軸37の上端側から見て時計回りの方向(以下、係合方向という)へ付勢されている。ラチェットばね37aは、カバープレート42に形成された前述の収容空間内であって、区画壁部41aの上方に配置されている。
【0041】
ラチェット32は、ラチェットばね37aの付勢力によって係合方向に回動し、これにより、ラッチ31と係合して、ラッチ31の回動を規制するとともにラッチ31とストライカ103との係合状態を維持する。一方、ラチェット32は、後述するリリースレバー35の作用により、ラチェットばね37aの付勢力に抗してラッチ31から離間する方向、すなわち、ラチェット軸37の上端側から見て反時計回りの方向(以下、解除方向という)に回動する。これにより、ラチェット32は、ラッチ31との係合状態を解除する。
【0042】
ラチェット32の係合方向への回動は、カバープレート42の底壁部42aに配置されたストッパ33によって規制される。ストッパ33は、例えば、弾性部材である。本実施形態では、ストッパ33は、カバープレート42に形成された前述の収容空間内の右前端部に設けられている。
【0043】
図8に示すように、ハーフラッチ検出スイッチ38a及びフルラッチ検出スイッチ38bは、ラッチ31の回動位置を検出するスイッチである。ハーフラッチ検出スイッチ38a及びフルラッチ検出スイッチ38bは、いずれも、対象物との接触によって沈み込むプッシュボタン式の検出端子を用いて構成されている。ハーフラッチ検出スイッチ38aは、フルラッチ検出スイッチ38bよりも上方に配置されており、ラッチ軸36の周方向において、ラッチ軸36の上端側から見てフルラッチ検出スイッチ38bから反時計回り方向に所定角度ずれた位置に配置されている。
【0044】
ラッチ31の上面には、ラッチ31の上面から上方に突出したカム部31eが設けられている。カム部31eは、ラッチ31と一体に回動する。カム部31eは、ラッチ31の回動軌跡に沿った円弧形状のカム面31fを有する。カム面31fは、ラッチ31の上面から上方に延在し、本体ボディ41の区画壁部41aに形成された孔部を挿通して、本体ボディ41の区画壁部41aの上方に延出している。カム面31fは、ラッチ31の回動軌跡に沿ってラッチ31の周方向に延在する円弧形状を有する第1カム面31f1と、第1カム面31f1の上端から上方に延在し、ラッチ31の周方向における第1カム面31f1の反時計回り方向側の端部から、ラッチ31の回動軌跡に沿ってラッチ31の周方向に延在する円弧形状を有する第2カム面31f2と、を有する。第1カム面31f1と第2カム面31f2とは、ラッチ31の回動軌跡に沿った同一の円弧面を形成している。第2カム面31f2の周方向長さは、第1カム面31f1よりも小さくなっており、カム面31fは、一部幅広のカム面部分をもつ二段構造となっている。第1カム面31f1は、ラッチ31の回動と一体にカム部31eが回動することによって、フルラッチ検出スイッチ38bの検出端子と摺接可能である。第2カム面31f2は、ラッチ31の回動と一体にカム部31eが回動することによって、ハーフラッチ検出スイッチ38aの検出端子と摺接可能である。
【0045】
ハーフラッチ検出スイッチ38aは、ラッチ31がハーフラッチ位置に回動したことを検出するハーフラッチ検出部として機能する。
【0046】
具体的には、ラッチ31の回動位置がアンラッチ位置である場合、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、カム部31eの第2カム面31f2と接触した状態となり、オン状態になる。そして、ラッチ31がアンラッチ位置からハーフラッチ位置まで回動する間、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、第2カム面31f2との接触が継続され、オン状態が維持される。そして、ラッチ31の回動位置が、ハーフラッチ位置になると、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、第2カム面31f2から離れてオフ状態になる。このように、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、オン状態からオフ状態への切り替わりによって、ラッチ31の回動位置がアンラッチ位置からハーフラッチ位置に変化したことを検出する。なお、ラッチ31がハーフラッチ位置からフルラッチ位置まで回動する間、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、第2カム面31f2から離れた状態を継続して、オフ状態を維持する。
【0047】
一方、ラッチ31がフルラッチ位置からハーフラッチ位置まで回動する間、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、第2カム面31f2から離れた状態が維持され、オフ状態が維持される。そして、ラッチ31の回動位置がハーフラッチ位置になると、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、第2カム面31f2に接触してオン状態になる。さらに、ラッチ31がハーフラッチ位置からアンラッチ位置まで回動する間、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、第2カム面31f2との接触が維持され、オン状態が維持される。このように、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、オフ状態からオン状態への切り替わりによって、ラッチ31の回動位置がフルラッチ位置からハーフラッチ位置に変化したことを検出する。
【0048】
フルラッチ検出スイッチ38bは、ラッチ31がフルラッチ位置に回動したことを検出するフルラッチ検出部として機能する。
【0049】
具体的には、ラッチ31の回動位置がアンラッチ位置である場合、フルラッチ検出スイッチ38bは、カム部31eの第1カム面31f1と接触した状態となり、オン状態になる。そして、ラッチ31がアンラッチ位置からハーフラッチ位置を経てフルラッチ位置まで回動する間、フルラッチ検出スイッチ38bは、第1カム面31f1との接触が継続され、オン状態が維持される。そして、ラッチ31の回動位置がフルラッチ位置になると、フルラッチ検出スイッチ38bは、第1カム面31f1から離れてオフ状態になる。このように、フルラッチ検出スイッチ38bは、オン状態からオフ状態への切り替わりによって、ラッチ31の回動位置がフルラッチ位置であることを検出する。
【0050】
一方、ラッチ31の回動位置がフルラッチ位置である場合、フルラッチ検出スイッチ38bは、カム部31eの第1カム面31f1から離れた状態となり、オフ状態になる。そして、ラッチ31がフルラッチ位置からアンラッチ位置に向かって回動すると、フルラッチ検出スイッチ38bは、第1カム面31f1に接触してオン状態になる。そして、ラッチ31が、フルラッチ検出スイッチ38bと接触した後、ハーフラッチ位置を経由してアンラッチ位置まで回動する間、フルラッチ検出スイッチ38bは、第1カム面31f1との接触が維持され、オン状態が維持される。このように、フルラッチ検出スイッチ38bは、このようなオフ状態からオン状態への切り替わりによって、ラッチ31の回動位置が、フルラッチ位置からハーフラッチ位置又はアンラッチ位置に変化したことを検出する。なお、ラッチ31の回動位置がアンラッチ位置である場合、フルラッチ検出スイッチ38bは、カム部31eの第1カム面31f1と接触した状態となり、オン状態になる。
【0051】
前述したハーフラッチ検出スイッチ38a及びフルラッチ検出スイッチ38bは、それぞれ、ラッチ31の回動位置の検出結果を示す電気信号、すなわち、オン状態又はオフ状態を示す検出信号を電子制御装置7に順次送信する。
【0052】
図7に戻って、ラチェット検出スイッチ38cは、ラチェット32がセット位置にいるか否かを検出するラチェット検出部として機能する。セット位置とは、ラッチ31がハーフラッチ位置又はフルラッチ位置にあるときに、ラッチ31と係合してラッチ31の回動を規制するラチェット32の位置である。ラチェット32は、セット位置にあるとき、ラチェットばね37aによって付勢されてストッパ33に当接している。
【0053】
ラチェット検出スイッチ38cは、対象物との接触によって沈み込むプッシュボタン式の検出端子を用いて構成されている。ラチェット検出スイッチ38cは、ラチェット32近傍の所定位置に配置される。
【0054】
ラチェット32の上面には、ラチェット32の上面から上方に突出した突起部32cが設けられている。突起部32cは、ラチェット32と一体に回動する。突起部32cは、ラチェット32の上面から上方に延在し、本体ボディ41の区画壁部41aに形成された孔部を挿通して、本体ボディ41の区画壁部41aの上方に延出している。突起部32cは、ラチェット32と一体に回動することによって、ラチェット検出スイッチ38cの検出端子と当接可能である。ラチェット検出スイッチ38cは、ラチェット32がセット位置にいる場合、突起部32cと当接しておらず、オン状態になる。ラチェット検出スイッチ38cは、ラチェット32がセット位置にない場合、突起部32cと当接してオフ状態になる。このように、ラチェット検出スイッチ38cは、オン状態とオフ状態との切り替わりによって、ラチェット32がセット位置にあるか否かを検出する。ラチェット検出スイッチ38cは、ラチェット32がセット位置にあるか否かの検出結果を示す電気信号、すなわち、オン状態又はオフ状態を示す検出信号を電子制御装置7に送信する。
【0055】
ラッチレバー34は、ラッチ31をハーフラッチ位置からフルラッチ位置へ回動させるためのものである。本実施形態では、ラッチレバー34は、バックプレート43の上面に近接又は当接する位置に配置される。ラッチレバー34は、ラッチ軸36の上端側から見て、角丸長方形状を有する。ラッチ軸36の上端側から見て、ラッチレバー34の長手方向の一端部は、ラッチ軸36の上端部に固定される。ラッチレバー34とラッチ軸36とは、ラッチ軸36を回転軸として一体に回動する。したがって、ラッチレバー34と、ラッチ軸36と、ラッチ31とは、ラッチ軸36を回転軸として一体に回動する。ラッチレバー34は、ラッチ軸36の上端側から見て、ラッチレバー34の長手方向の他端部(ラッチ軸36に固定された側と反対側の端部)がラッチ軸36よりも後方となるように配置されている。ラッチレバー34の長手方向の他端部には、ラッチレバー34の上面からラッチ軸36と略平行に上方に延出した当接部34aが設けられている。当接部34aは、ラッチ軸36と略平行に上方に延出した略円柱形のピンである。当接部34aは、後述する出力レバー52の回動時に、出力レバー52のラッチレバー押圧部52aが当接可能な位置まで、ラッチレバー34の上面からラッチ軸36と略平行に上方に延出している。
【0056】
リリースレバー35は、ラッチ31とラチェット32との係合状態を解除するためのものである。本実施形態では、バックプレート43の取付部43dに、リリースレバー軸39が固定されており、リリースレバー35は、リリースレバー軸39に回動可能に軸支されている。リリースレバー軸39は、左右方向において、ラッチ軸36よりも右方に設けられている。リリースレバー35は、前後方向において、バックプレート43の取付部43dの背面に回動可能に設けられている。リリースレバー軸39及びリリースレバー35は、リリースレバー35の回動軸と直交する平面と、ラチェット32及びラチェット軸37の回動軸と直交する平面とが略垂直に交わるように配置されている。
【0057】
リリースレバー35は、リリースレバー軸39から下方に延在する下側アーム部35aと、リリースレバー軸39から上方に延在する上側アーム部35bと、を有する。リリースレバー35は、リリースレバー軸39に設けられたリリースレバーばね39aにより、リリースレバー35の下側アーム部35aがラチェット32から離間する方向、すなわち、リリースレバー35の回動軸方向の前端側から見て反時計回りの方向へ付勢されている。リリースレバー35の下側アーム部35aには、後方に屈曲して延出する当接部35cが形成されている。下側アーム部35aの当接部35cは、後述する出力レバー52の回動時に、出力レバー52のリリースレバー押圧部52bが当接可能な位置まで、後方に延出している。リリースレバー35は、後述する出力レバー52のリリースレバー押圧部52bによって、下側アーム部35aの当接部35cが押圧された場合、リリースレバーばね39aの付勢力に抗して、リリースレバー35の回動軸方向の前端側から見て時計回りの方向に回動する。すると、リリースレバー35の下側アーム部35aは、ラチェット32のレバーアーム32aに当接してレバーアーム32aを押圧し、ラチェット32を解除方向に回動させる。これにより、ラチェット32は、ラッチ31から離間して、ラッチ31との係合状態が解除される。この結果、ラッチ31は、ラッチばね36aの付勢力によって、フルラッチ位置又はハーフラッチ位置からアンラッチ位置に回動する。
【0058】
リリースレバー35の上側アーム部35bは、ラッチ31とラチェット32との係合状態を手動で解除する手動解除手段として機能する。例えば、電気系統の故障やバッテリの消耗等によって、後述するラッチ駆動モータ53に電力供給ができず、車両用ドアクローザ装置3からストライカ103を解放することができない非常時に、バックドア101の車内側から蓋体等(不図示)を取り外してリリースレバー35の上側アーム部35bを手動で操作してリリースレバー35を回動させることにより、ラッチ31とラチェット32との係合状態を手動で解除することができる。
【0059】
(ロック機構部のストライカとの係合動作)
続いて、車両100のバックドア101を開閉する際における、ロック機構部30のストライカ103(
図1及び
図2参照)との係合動作について、
図9A~
図9Cを参照しながら説明する。
図9Aは、ラッチ31がアンラッチ位置にあるときのラッチ31及びラチェット32の状態を示す図である。
図9Bは、ラッチ31がハーフラッチ位置にあるときのラッチ31及びラチェット32の状態を示す図である。
図9Cは、ラッチ31がフルラッチ位置にあるときのラッチ31及びラチェット32の状態を示す図である。
【0060】
図9A~
図9Cに示すように、ラッチ31は、前述したように、外周面に開口する係合溝31aと、ストライカ103と噛み合うフック部31bと、フルラッチ状態の際にラチェット32と噛み合うフルラッチ係止部31cと、ハーフラッチ状態の際にラチェット32と噛み合うハーフラッチ係止部31dと、を有する。
【0061】
図9Aに示すように、ラッチ31がアンラッチ位置にあるアンラッチ状態において、係合溝31aの開口は、ラッチ軸36の軸方向から見て、ロック機構部30のケーシング40のカバープレート42に形成されたストライカ進入溝45と重なる位置となっており、ストライカ進入溝45の開口に向かって開口している。一方、係合溝31aよりも左側に位置するフック部31bは、ストライカ進入溝45から退避した状態、すなわち、ラッチ軸36の軸方向から見て、ストライカ進入溝45と重ならない位置となっている。そして、アンラッチ状態において、ラッチ31は、ストライカ103と係合しておらず、ストライカ進入溝45内に進入するストライカ103を受け入れることも可能であり、ストライカ進入溝45からストライカ103を解放することも可能である。したがって、ラッチ31がアンラッチ位置にある場合、車両用ドアクローザ装置3のロック機構部30は、バックドア101の閉状態のロックを解除している。この場合、バックドア101は、バックドア101に設けた不図示の操作ハンドル等を操作しなくとも、開閉することができる。
【0062】
また、ラッチ31がアンラッチ位置にある場合、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、カム部31eのカム面31f(詳細には、第2カム面31f2)と接触しており、フルラッチ検出スイッチ38bは、カム部31eのカム面31f(詳細には、第1カム面31f1)と接触している。したがって、ハーフラッチ検出スイッチ38a及びフルラッチ検出スイッチ38bは、双方ともオン状態となっている。
【0063】
次いで、バックドア101が閉動作されると、車両用ドアクローザ装置3は、車両100の後部開口104の下端部に設けられたストライカ103に係合するように接近する。この際、ストライカ103が、ストライカ進入溝45に沿ってロック機構部30の内部へ進入する。ラッチ31は、ストライカ進入溝45に進入してきたストライカ103を、フルラッチ係止部31cに当接させるとともに係合溝31a内に受け入れる。その後、ラッチ31は、係合溝31a内にストライカ103を受け入れた状態を維持しながら、ラッチ軸36を回動軸として、
図9Aに示すアンラッチ位置から
図9Bに示すハーフラッチ位置へと、ラッチ軸36の上端側から見て時計回り方向に回動する。このラッチ31の回動に伴い、フック部31bは、ストライカ進入溝45の前端側から後方へと移動しながら、
図9Bに示すようにストライカ進入溝45を横切る状態となる。そして、ラッチ31は、ハーフラッチ位置への回動が完了し、
図9Bに示すようにハーフラッチ位置でストライカ103と係合する。詳細には、フック部31bは、ストライカ103と係合して、ストライカ進入溝45からのストライカ103の解放を阻止するとともに、係合溝31a内にストライカ103を係合保持する。
【0064】
図9Bに示すように、ラッチ31がハーフラッチ位置にある場合、ラチェット32のラッチ係合アーム32bは、ハーフラッチ係止部31dでラッチ31と係合する。これにより、ハーフラッチ位置にあるラッチ31が、アンラッチ位置に向かって回動することが規制される。そして、ラッチ31がハーフラッチ位置にある場合、車両用ドアクローザ装置3のロック機構部30は、バックドア101を半ドア状態に維持する。この場合、操作ハンドルが操作される等によって、ラッチ31がアンラッチ位置へと回動しない限り、バックドア101が開かないようになっている。なお、半ドア状態とは、次のように定義される。すなわち、全閉状態のときに、万一何らかの原因でラッチ31のフルラッチ係止部31cとラチェット32のラッチ係合アーム32bとの係合が外れても、不意にバックドア101が開かないように、ラッチ31には、フルラッチ位置とアンラッチ位置との間において、ラチェット32のラッチ係合アーム32bがラッチ31のハーフラッチ係止部31dと係合して、バックドア101を半閉状態に保持し得るようになっているハーフラッチ位置が設定されている。このバックドア101の半閉状態のことを、「半ドア状態」という。
【0065】
また、ラッチ31がハーフラッチ位置にある場合、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、カム部31eのカム面31f(詳細には、第2カム面31f2)から離れてオン状態からオフ状態に切り替わる。一方、フルラッチ検出スイッチ38bは、カム部31eのカム面31f(詳細には、第1カム面31f1)との接触が継続され、オン状態が維持される。また、ラチェット32のラッチ係合アーム32bがハーフラッチ係止部31dと係合する前後の回動に伴って、ラチェット32が解除方向に回動して前述したセット位置から離れたときに突起部32cがラチェット検出スイッチ38cに一時的に接触し、ラチェット検出スイッチ38cはオフ状態に切り替わり、ラチェット32が係合方向に回動してセット位置に復帰すると、突起部32cがラチェット検出スイッチ38cから離間して、ラチェット検出スイッチ38cはオン状態に切り替わる。
【0066】
ハーフラッチ位置にあるラッチ31が、ラッチ軸36を回動軸として、フルラッチ位置へと、ラッチ軸36の上端側から見て時計回り方向に回動すると、
図9Cに示すように、フック部31bは、ハーフラッチ位置よりも後方で、ストライカ進入溝45を横切る状態となって、ストライカ進入溝45の開口を閉塞する。そして、ラッチ31は、フルラッチ位置への回動が完了し、
図9Cに示すようにフルラッチ位置でストライカ103と完全に係合する。詳細には、フック部31bは、ストライカ103との係合を進行して、ストライカ進入溝45からのストライカ103の解放を阻止し続けながら、係合溝31aの後端部近傍でストライカ103を完全に係合保持する。
【0067】
ラッチ31がフルラッチ位置にある場合、ラチェット32のラッチ係合アーム32bは、フルラッチ係止部31cでラッチ31と係合する。これにより、フルラッチ位置にあるラッチ31が、ハーフラッチ位置又はアンラッチ位置に向かって回動することが規制される。そして、ラッチ31がフルラッチ位置にある場合、車両用ドアクローザ装置3のロック機構部30は、バックドア101を全閉状態でロックする。この場合、車両用ドアクローザ装置3のアクチュエータ部50によってラッチ31をアンラッチ位置へ回動させない限り、バックドア101が開かないようになっている。
【0068】
また、ラッチ31がフルラッチ位置にある場合、ハーフラッチ検出スイッチ38aは、カム面31f(詳細には、第2カム面31f2)から離間した状態を継続してオフ状態を維持する。フルラッチ検出スイッチ38bは、カム面31f(詳細には、第1カム面31f1)から離れてオン状態からオフ状態に切り替わる。また、ラチェット検出スイッチ38cは、ラチェット32がフルラッチ係止部31cと係合する前後の回動に伴って、ラチェット32が解除方向に回動して前述したセット位置から離れたときに突起部32cがラチェット検出スイッチ38cに一時的に接触し、ラチェット検出スイッチ38cはオフ状態に切り替わり、ラチェット32が係合方向に回動してセット位置に復帰すると、突起部32cがラチェット検出スイッチ38cから離間して、ラチェット検出スイッチ38cはオン状態に切り替わる。
【0069】
一方、
図9Bに示すハーフラッチ位置、又は、
図9Cに示すフルラッチ位置にあるラッチ31と係合状態にあるラチェット32が、ラチェット軸37を回動軸として解除方向に回動すると、ラッチ31とラチェット32との係合が解除される。前述したように、ラチェット32は、アクチュエータ部50が動作して、リリースレバー35が、リリースレバー35の回動軸方向の前端側から見て時計回りの方向に回動することによって、ラチェット軸37を回動軸として解除方向に回動する。アクチュエータ部50の動作の詳細については、後述する。なお、ラチェット32は、ラチェット軸37を中心として係合方向へ回動するよう付勢されている。また、ラチェット軸37を中心としたラチェット32の係合方向への回動は、
図9A~
図9Cに示すように、ストッパ33がラチェット32と当接することによって、所定位置以上に回動しないように規制される。
【0070】
(アクチュエータ部の構成)
図10に示すように、アクチュエータ部50は、出力軸51と、出力軸51に固定され、ロック機構部30のラッチレバー34及びリリースレバー35を動作させる出力レバー52と、を備える。さらに、アクチュエータ部50は、アクチュエータケース60を備える。アクチュエータケース60の内部には、アクチュエータ部50の駆動源であるラッチ駆動モータ53と、ラッチ駆動モータ53の動力によって回転するピニオンギヤ54と、出力軸51に固定され、ピニオンギヤ54と噛合する減速ギヤ55と、減速ギヤ55の回動位置が中立位置であるか否かを検出する中立位置検出スイッチ56と、が収容されている。
【0071】
アクチュエータケース60は、ラッチ駆動モータ53、ピニオンギヤ54、減速ギヤ55、及び、中立位置検出スイッチ56の前方を覆う前側ケース61と、ラッチ駆動モータ53、ピニオンギヤ54、減速ギヤ55、及び、中立位置検出スイッチ56の後方を覆う後側ケース62と、を有する。前側ケース61の外周縁には、複数の係合部が設けられており、後側ケース62の外周縁には、複数の被係合部が設けられている。前側ケース61の各係合部が、後側ケース62の各被係合部に係合することによって、前側ケース61と後側ケース62とが係合している。
【0072】
出力軸51は、前端が前側ケース61から前方に突出している。出力軸51は、前側ケース61と後側ケース62とによって軸支されている。本実施形態では、出力軸51は、軸方向が前方に向かって下方に傾斜して前後方向に延在するように配置されている。
【0073】
ラッチ駆動モータ53は、車両用ドアクローザ装置3の動力を発生させる電動式の駆動モータ(駆動源)である。ラッチ駆動モータ53は、上下方向においてアクチュエータ部50の上下中央より上側に配置されており、長手方向が車幅方向に延在するように、アクチュエータケース60の内部に取り付けられている。本実施形態では、ラッチ駆動モータ53は、アクチュエータケース60内部の上端部に配置されている。ラッチ駆動モータ53は、車両100の車載電源から給電されて駆動し、動力を発生させる。ラッチ駆動モータ53の出力軸には、ウォームギヤである出力ギヤ53aが設けられており、ラッチ駆動モータ53の動力は、出力ギヤ53aを介してピニオンギヤ54に伝達される。本実施形態では、ラッチ駆動モータ53の出力軸は、右方向に延出している。
【0074】
ピニオンギヤ54は、回転軸が出力軸51と平行になるように配置されている。ピニオンギヤ54は、例えば、鋼鉄等の金属材料によって作製されている。ピニオンギヤ54は、大径ギヤ部54aと、大径ギヤ部54aの前面から前方に突出し、大径ギヤ部54aよりも小径の小径ギヤ部54bと、を有する。ピニオンギヤ54は、前端が前側ケース61に軸支され、後端が後側ケース62に軸支されている。大径ギヤ部54aは、ウォームギヤであるラッチ駆動モータ53の出力ギヤ53aと噛合している。小径ギヤ部54bは、減速ギヤ55と噛合している。
【0075】
したがって、ラッチ駆動モータ53は、正転作動又は逆転作動することによって、出力ギヤ53aを介して、ピニオンギヤ54を一方側又は他方側に回転させる。
【0076】
減速ギヤ55は、出力軸51に固定されている。減速ギヤ55は、上方に出力軸51を中心とする円弧状の外周面が形成された略扇形のギヤ部材であり、円弧状の外周面に歯部55aが設けられている。減速ギヤ55の歯部55aは、ピニオンギヤ54の小径ギヤ部54bと噛合している。したがって、減速ギヤ55は、ピニオンギヤ54を介して、ラッチ駆動モータ53の動力によって、出力軸51を回動軸として回動する。本実施形態では、減速ギヤ55は、樹脂材料によって作製されている。減速ギヤ55は、アクチュエータケース60の内部に配置される。
【0077】
このように、ピニオンギヤ54は、ラッチ駆動モータ53の動力を減速ギヤ55に伝達し、減速ギヤ55は、ラッチ駆動モータ53の動力によって、出力軸51を回動軸として回動する。そして、出力軸51の軸方向前端側から見て、ラッチ駆動モータ53の動力によってピニオンギヤ54が時計回り方向に回転すると、減速ギヤ55は、反時計回り方向に回動し、ラッチ駆動モータ53の動力によってピニオンギヤ54が反時計回り方向に回転すると、減速ギヤ55は、時計回り方向に回動する。
【0078】
減速ギヤ55には、出力軸51の径方向外側に突出する突出部55bが形成されている。突出部55bは、減速ギヤ55の回動軌跡に沿った円弧形状のカム面55cを有する。突出部55bは、減速ギヤ55と一体成形されており、減速ギヤ55と一体に回動する。
【0079】
出力レバー52は、アクチュエータケース60の外部に配置されている。出力レバー52は、アクチュエータケース60の前方に配置され、前側ケース61の前方に突出した出力軸51の前端部に固定されている。出力レバー52は、出力軸51を回動軸として、出力軸51及び減速ギヤ55と一体に回動する。出力レバー52は、鋼鉄等の金属材料によって作製されている。
【0080】
出力レバー52には、出力軸51と平行に、出力レバー52の前面から前方に突出したラッチレバー押圧部52aが設けられている。ラッチレバー押圧部52aは、略円柱状のピン(シャフト)形状を有する。ラッチレバー押圧部52aは、出力レバー52と一体に回動する。ラッチレバー押圧部52aは、左右方向において、ラッチレバー34の当接部34aとリリースレバー35との間に設けられている。ラッチレバー押圧部52aは、出力レバー52と一体に、出力軸51の軸方向前端側から見て時計回り方向に回動したときに、ラッチレバー34の当接部34aと当接可能に形成されている。
【0081】
出力レバー52には、ラッチレバー押圧部52aよりも出力軸51の径方向外側に、リリースレバー押圧部52bが形成されている。本実施形態では、リリースレバー押圧部52bは、出力レバー52の一部が前下方に屈曲して形成されている。リリースレバー押圧部52bは、出力レバー52と一体に形成されている。リリースレバー押圧部52bは、リリースレバー35の下側アーム部35aの上方に位置するように形成されている。リリースレバー押圧部52bは、リリースレバー35の下側アーム部35aに形成された当接部35cの上方に設けられている。リリースレバー押圧部52bは、出力レバー52が出力軸51の軸方向前端側から見て反時計回り方向に回動したときに、リリースレバー35の下側アーム部35aに形成された当接部35cと当接可能に形成されている。
【0082】
出力レバー52には、リリースレバー押圧部52bよりも出力軸51の径方向外側まで延出したストッパレバー52cが形成されている。ストッパレバー52cは、リリースレバー押圧部52bの下方に形成されており、先端部が下方に湾曲している。また、ストッパレバー52cの先端部は、ラッチレバー押圧部52aが設けられた面よりも前方に位置し、ラッチレバー押圧部52aが設けられた面と略平行に延在している。ストッパレバー52cは、出力レバー52が出力軸51の軸方向前端側から見て反時計回り方向に回動したときに、先端部がカバープレート42と当接可能に形成されている。したがって、出力軸51の軸方向前端側から見て反時計回り方向への出力レバー52の回動範囲は、ストッパレバー52cの先端部がカバープレート42と当接する位置までの範囲に規制される。
【0083】
減速ギヤ55の回動位置は、減速ギヤ55と一体に回動する出力レバー52のラッチレバー押圧部52aが、ラッチレバー34とリリースレバー35との間で、ラッチレバー34及びリリースレバー35の双方から離間した位置であり、且つ、減速ギヤ55と一体に回動する出力レバー52のリリースレバー押圧部52bが、リリースレバー35の下側アーム部35aに形成された当接部35cの上方で、ラッチレバー34及びリリースレバー35の双方から離間した位置である、中立位置を含む。ラッチ駆動モータ53が駆動していないとき、減速ギヤ55の回動位置は、中立位置に維持される。
【0084】
出力レバー52は、減速ギヤ55の回動位置が中立位置であるときに、出力軸51から径方向外側に向かって右上方向に延在するように出力軸51に固定されている。したがって、減速ギヤ55及び出力レバー52が出力軸51の軸方向前端側から見て時計回り方向に回動すると、ラッチレバー押圧部52a及びリリースレバー押圧部52bは、右方向に変位するように回動し、減速ギヤ55及び出力レバー52が出力軸51の軸方向前端側から見て反時計回り方向に回動すると、ラッチレバー押圧部52a及びリリースレバー押圧部52bは、下方向に変位するように回動する。
【0085】
そして、ピニオンギヤ54を介して伝達されるラッチ駆動モータ53の動力によって、減速ギヤ55が、中立位置から出力軸51の軸方向前端側から見て時計回り方向に回動すると、出力レバー52のラッチレバー押圧部52aは、右方向に変位してラッチレバー34の当接部34aに当接し、ラッチレバー34の当接部34aを左方向に押圧して、ラッチレバー34を動作させる。
【0086】
また、ピニオンギヤ54を介して伝達されるラッチ駆動モータ53の動力によって、減速ギヤ55が、中立位置から出力軸51の軸方向前端側から見て反時計回り方向に回動すると、出力レバー52のリリースレバー押圧部52bは、リリースレバー35の下側アーム部35aに形成された当接部35cに当接し、リリースレバー35の下側アーム部35aを下方向に押圧して、リリースレバー35を動作させる。
【0087】
中立位置検出スイッチ56は、減速ギヤ55の回動位置が中立位置であるか否かを検出する中立位置検出部として機能する。具体的には、中立位置検出スイッチ56は、対象物との接触によって沈み込むプッシュボタン式の検出端子を用いて構成されている。中立位置検出スイッチ56は、アクチュエータケース60の内部に収容され、減速ギヤ55の径方向外側に位置するようにアクチュエータケース60に固定されている。
【0088】
中立位置検出スイッチ56の検出端子は、減速ギヤ55の回動位置が中立位置であるときに、減速ギヤ55に形成された突出部55bのカム面55cと接触する位置に設けられている。また、中立位置検出スイッチ56の検出端子は、減速ギヤ55の回動位置が中立位置ではないときに、突出部55bのカム面55cから離間するように設けられている。このように、減速ギヤ55に形成された突出部55bは、中立位置検出スイッチ56の被検出部として機能する。
【0089】
減速ギヤ55の回動位置が中立位置である場合、中立位置検出スイッチ56の検出端子は、減速ギヤ55に形成された突出部55bのカム面55cと接触状態となるため、中立位置検出スイッチ56は、オフ状態となる。一方、減速ギヤ55の回動位置が中立位置でない場合、中立位置検出スイッチ56の検出端子は、突出部55bのカム面55cと非接触状態となるため、中立位置検出スイッチ56は、オン状態となる。このように、中立位置検出スイッチ56は、減速ギヤ55に形成された突出部55bが所定位置にあるか否かを検出することによって、減速ギヤ55の回動位置が中立位置であるか否かを検出する。さらに、中立位置検出スイッチ56は、このようなオン状態とオフ状態との切り替わりによって、減速ギヤ55が、クローズ動作又はリリース動作の実行後に、中立位置に正しく復帰したか否かを検出できる。
【0090】
中立位置検出スイッチ56は、減速ギヤ55の回動位置の検出結果を示す電気信号、すなわち、オン状態又はオフ状態を示す検出信号を電子制御装置7(
図1及び
図2参照)に出力する。
【0091】
図3~
図7に戻って、ブラケット70は、前述したように、ロック機構部30及びアクチュエータ部50が適宜取り付けられる部材である。
【0092】
本実施形態では、ブラケット70は、出力軸51の軸方向前端側から見て、下方に向かって開口した略U字形状を有する。そして、アクチュエータケース60が、ブラケット70の背面に左下端部、左上部、右上部、及び、右下端部の計4か所でボルトによって取り付けられている。また、バックプレート43の左右一対の固定部43cの各上端部が、それぞれブラケット70の左下端部及び右下端部でアクチュエータケース60を固定するボルトによって共締めされて、ブラケット70の前面に取り付けられている。さらに、ブラケット70には、補強部材71が取り付けられている。補強部材71は、ブラケット70の右下端部及び左上部でアクチュエータケース60を固定するボルトによって共締めされて、ブラケット70の背面に取り付けられている。補強部材71は、前側ケース61と出力レバー52との間で、出力軸51を回動自在に支持している。
【0093】
ロック機構部30及びアクチュエータ部50が取り付けられたブラケット70は、バックドア101にボルト等によって固定される。これにより、車両用ドアクローザ装置3は、バックドア101に固定される。その際、車両用ドアクローザ装置3は、ストライカ103と噛合するロック機構部30がバックドア101から車体内部側に向かって露出するように、バックドア101に固定される。
【0094】
(アクチュエータ部の動作)
続いて、アクチュエータ部50の動作について、
図11を参照しながら説明する。
【0095】
まず、車両用ドアクローザ装置3のクローズ動作時におけるアクチュエータ部50の動作について説明する。車両用ドアクローザ装置3のクローズ動作とは、ラッチ31をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させる動作である。
【0096】
車両用ドアクローザ装置3のクローズ動作時において、ラッチ駆動モータ53は、減速ギヤ55が、中立位置から出力軸51の軸方向前端側から見て時計回り方向に回動するように駆動する。減速ギヤ55が、ピニオンギヤ54を介して伝達されるラッチ駆動モータ53の動力によって、中立位置から出力軸51の軸方向前端側から見て時計回り方向に回動すると、出力レバー52も、出力軸51の軸方向前端側から見て時計回り方向に減速ギヤ55と一体に回動し、ラッチレバー押圧部52aが、ラッチレバー34の当接部34aに当接して、ラッチレバー34の当接部34aを左方向に押圧し、ラッチレバー34を動作させる。ラッチレバー34の当接部34aが出力レバー52のラッチレバー押圧部52aによって左方向に押圧されると、ラッチレバー34、ラッチ軸36、及びラッチ31が、ラッチばね36aの付勢力に抗して、ラッチ軸36の軸方向上端側から見て時計回り方向に一体に回動する。この結果、ラッチ31は、ラッチばね36aの付勢力に抗して、ハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動する。
【0097】
このようにして、減速ギヤ55と一体に回動する出力レバー52が、ラッチレバー34とともにラッチ31をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させることによって、車両用ドアクローザ装置3は、クローズ動作を行う。
【0098】
そして、車両用ドアクローザ装置3のクローズ動作により、ラッチ31は、
図9Cに示すようにフルラッチ位置でストライカ103と完全に係合する。さらに、ラチェット32のラッチ係合アーム32bが、フルラッチ係止部31cでラッチ31と係合することによって、ラッチ31とストライカ103とは、完全に係合した状態が維持されるので、バックドア101は、全閉状態でロックされる。
【0099】
なお、車両用ドアクローザ装置3のクローズ動作によって、減速ギヤ55が中立位置から出力軸51の軸方向前端側から見て時計回り方向に回動すると、中立位置検出スイッチ56の検出端子は、減速ギヤ55に形成された突出部55bのカム面55cとの接触状態から非接触状態へと遷移するため、中立位置検出スイッチ56は、オフ状態からオン状態に切り替わる。そして、車両用ドアクローザ装置3のクローズ動作が完了し、減速ギヤ55が中立位置に復帰すると、中立位置検出スイッチ56の検出端子は、突出部55bのカム面55cとの非接触状態から接触状態へと遷移するため、中立位置検出スイッチ56は、オン状態からオフ状態に切り替わる。
【0100】
次に、車両用ドアクローザ装置3のリリース動作時におけるアクチュエータ部50の動作について説明する。車両用ドアクローザ装置3のリリース動作とは、ラッチ31をフルラッチ位置又はハーフラッチ位置からアンラッチ位置に回動させる動作である。
【0101】
車両用ドアクローザ装置3のリリース動作時において、ラッチ駆動モータ53は、減速ギヤ55が、中立位置から出力軸51の軸方向前端側から見て反時計回り方向に回動するように駆動する。減速ギヤ55が、ピニオンギヤ54を介して伝達されるラッチ駆動モータ53の動力によって、中立位置から出力軸51の軸方向前端側から見て反時計回り方向に回動すると、出力レバー52も、出力軸51の軸方向前端側から見て反時計回り方向に減速ギヤ55と一体に回動し、リリースレバー押圧部52bが、リリースレバー35の下側アーム部35aに形成された当接部35c当接して、リリースレバー35の下側アーム部35aを下方向に押圧する。リリースレバー35の下側アーム部35aの当接部35cがリリースレバー押圧部52bによって下方向に押圧されると、リリースレバー35は、リリースレバーばね39aの付勢力に抗して、リリースレバー35の回動軸方向の前端側から見て時計回りの方向に回動する。すると、リリースレバー35の下側アーム部35aは、ラチェット32のレバーアーム32aに当接してレバーアーム32aを右方向に押圧し、ラチェット32を解除方向に回動させる。これにより、ラチェット32は、ラッチ31から離間して、ラッチ31との係合状態が解除される。この結果、ラッチ31は、ラッチばね36aの付勢力によって、フルラッチ位置又はハーフラッチ位置からアンラッチ位置に回動する。
【0102】
このようにして、減速ギヤ55と一体に回動する出力レバー52が、リリースレバー35を介してラッチ31とラチェット32との係合状態を解除させ、ラッチばね36aの付勢力によって、ラッチ31をフルラッチ位置又はハーフラッチ位置からアンラッチ位置に回動させることによって、車両用ドアクローザ装置3は、リリース動作を行う。
【0103】
そして、車両用ドアクローザ装置3のリリース動作により、ラッチ31とラチェット32との係合が解除されると、ラッチばね36aの付勢力によって、ラッチ31は、
図9Aに示すアンラッチ位置に回動するので、ラッチ31とストライカ103との係合状態は解除され、ストライカ103はラッチ31から離脱可能な状態となる。すなわち、バックドア101は閉状態のロックが解除されてアンラッチ状態となり、開動作可能になる。
【0104】
なお、車両用ドアクローザ装置3のリリース動作によって、減速ギヤ55が中立位置から出力軸51の軸方向前端側から見て反時計回り方向に回動すると、中立位置検出スイッチ56の検出端子は、減速ギヤ55に形成された突出部55bのカム面55cとの接触状態から非接触状態へと遷移するため、中立位置検出スイッチ56は、オフ状態からオン状態に切り替わる。そして、車両用ドアクローザ装置3のリリース動作が完了し、減速ギヤ55が中立位置に復帰すると、中立位置検出スイッチ56の検出端子は、突出部55bのカム面55cとの非接触状態から接触状態へと遷移するため、中立位置検出スイッチ56は、オン状態からオフ状態に切り替わる。
【0105】
(カウンタウエイトの配置)
アクチュエータ部50は所定の重量を有するため、車両100の衝突時や、バックドア101を急激に閉動作した時などの衝撃によって、アクチュエータ部50に慣性力が生じる。この慣性力によって、アクチュエータ部50のロック機構部30に対する相対位置が変化すると、出力レバー52のリリースレバー押圧部52b、又は、アクチュエータ部50を構成するいずれかの部材が、意図せずリリースレバー35と接触してしまい、リリースレバー35によって、ラチェット32を解除方向に回動し、ラッチ31がアンラッチ位置に回動してしまう場合がある。ラッチ31がアンラッチ位置に回動すると、バックドア101は、アンラッチ状態となるため、意図せず開動作してしまう虞がある。
【0106】
図10及び
図11に示すように、本実施形態では、車両100の衝突時や、バックドア101を急激に閉動作した時などの衝撃によってアクチュエータ部50に生じる慣性力を打ち消すために、アクチュエータ部50には、カウンタウエイト57が設けられている。アクチュエータ部50にカウンタウエイト57を設け、車両100の衝突時や、バックドア101を急激に閉動作した時などの衝撃によってアクチュエータ部50に生じる慣性力を打ち消すように、アクチュエータ部50の重心位置等の重量バランスを適正化することによって、バックドア101を急激に閉動作した時などの衝撃がアクチュエータ部50に加わっても、アクチュエータ部50がロック機構部30に対して相対移動することを抑制できる。これにより、車両100の衝突時や、バックドア101を急激に閉動作した時などにおいて、出力レバー52のリリースレバー押圧部52b、又は、アクチュエータ部50を構成するいずれかの部材が、意図せずリリースレバー35と接触することが抑制されるので、意図せずバックドア101がアンラッチ状態となることを、シンプルな構造で抑制できる。
【0107】
カウンタウエイト57は、アクチュエータケース60の内部に設けられており、上下方向においてラッチ駆動モータ53よりも下方に設けられている。本実施形態では、カウンタウエイト57は、減速ギヤ55に取り付けられている。
【0108】
アクチュエータケース60の内部にカウンタウエイト57が設けられていることによって、車両用ドアクローザ装置が大型化することを抑制しつつ、カウンタウエイト57を設けることができる。これにより、車両用ドアクローザ装置3が大型化することを抑制し、且つ、シンプルな構造で、車両100の衝突時や、バックドア101を急激に閉動作した時などの衝撃によって意図せずバックドア101がアンラッチ状態となることを抑制できる。
【0109】
また、ラッチ駆動モータ53は、アクチュエータ部50の構成要素の中で、質量が大きい重量物である。アクチュエータ部50において、ラッチ駆動モータ53は、上下方向においてアクチュエータ部50の上下中央より上側、本実施形態では、アクチュエータケース60内部の上端部に配置されている。これに対し、カウンタウエイト57は、上下方向においてラッチ駆動モータ53よりも下方に設けられているので、アクチュエータ部50の重心位置を、上下方向においてアクチュエータ部50の上下中央に近づけることができる。これにより、車両100の衝突時や、バックドア101を急激に閉動作した時などの衝撃によってアクチュエータ部50に生じる慣性力を打ち消すことができるので、車両100の衝突時や、バックドア101を急激に閉動作した時などの衝撃によって意図せずバックドア101がアンラッチ状態となることをより抑制できる。
【0110】
さらに、カウンタウエイト57は減速ギヤ55に設けられているので、出力軸51と減速ギヤ55と出力レバー52とを含む、出力軸51を回動軸として一体に回動するモジュールの重心位置を出力軸51の近傍に設定可能となる。本実施形態では、特に、減速ギヤ55が樹脂材料で作製されているのに対し、出力レバー52が、一般に樹脂材料よりも比重が大きい鋼鉄等の金属材料で作製されており、加えて、出力レバー52は、出力軸51から径方向外側に延在するように設けられているので、カウンタウエイト57が設けられていない場合、出力軸51と減速ギヤ55と出力レバー52とを含む、出力軸51を回動軸として一体に回動するモジュールの重心位置は、出力軸51から離れた位置となる。したがって、カウンタウエイト57を、出力軸51の周方向において、出力レバー52の反対側に位置するように減速ギヤ55に設けることによって、出力軸51と減速ギヤ55と出力レバー52とを含む、出力軸51を回動軸として一体に回動するモジュールの重心位置を出力軸51の近傍に設定可能となる。これにより、アクチュエータ部50の通常動作時において、出力軸51と減速ギヤ55と出力レバー52とを含む、出力軸51を回動軸として一体に回動するモジュールの回動速度が安定する。したがって、カウンタウエイト57が減速ギヤ55に設けられていることによって、車両100の衝突時や、バックドア101を急激に閉動作した時などの衝撃によって意図せずバックドア101がアンラッチ状態となることを抑制できることに加えて、減速ギヤ55の重心が回転中心からずれていることに起因するアンバランスな状態が解消されるため、アクチュエータ部50の通常動作時における振動が低減して動作が安定し、アクチュエータ部50の通常動作時に発生する作動音が一定となる。
【0111】
本実施形態では、減速ギヤ55の前面に、カウンタウエイト57を収容可能に後方に窪んだ収容部55dが形成されている。さらに、減速ギヤ55の前面に形成された収容部55dの底壁部には、前方に突出した係止爪55eが設けられている。本実施形態では、3つの係止爪55eが設けられている。カウンタウエイト57は、略円柱形状を有し、中心にカウンタウエイト57を貫通する係止孔57aが形成されている。カウンタウエイト57は、減速ギヤ55の収容部55dに設けられた係止爪55eが係止孔57aを挿通するようにして、減速ギヤ55の収容部55d内に配置されている。そして、減速ギヤ55の収容部55dに設けられた係止爪55eは、カウンタウエイト57の係止孔57aを挿通して、カウンタウエイト57の前面に係合し、カウンタウエイト57を係止する。
【0112】
このように、減速ギヤ55に設けられた係止爪55eは、カウンタウエイト57に設けられた係止孔57aを挿通してカウンタウエイト57を係止するので、減速ギヤ55において、カウンタウエイト57が配置される領域の外側、本実施形態では、減速ギヤ55の収容部55dの外側にカウンタウエイト57を固定するための部材を設けることが不要となる。これにより、アクチュエータ部50が大型化することをより抑制しつつ、カウンタウエイト57を設けることができる。
【0113】
<電子制御装置>
電子制御装置7は、前述したように、不図示の配線等を介して車両用ドア開閉装置2及び車両用ドアクローザ装置3と電気的に接続され、例えば、
図1及び
図2に示すように、車両100の車体側部内に設けられる。
【0114】
電子制御装置7は、車両用ドアクローザ装置3の中立位置検出スイッチ56、ハーフラッチ検出スイッチ38a、フルラッチ検出スイッチ38b、及び、ラチェット検出スイッチ38cの各検出信号や、車両100のバックドア101を開操作及び閉操作するための開操作部8及び閉操作部9の操作等に基づいて、車両用ドア開閉装置2のPTGモータ21及び車両用ドアクローザ装置3のラッチ駆動モータ53を適宜制御する。
【0115】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0116】
例えば、本実施形態では、車両用ドア開閉システム1は、車両100の後部開口104に設けられたバックドア101の開閉を行うものとしたが、車両用ドア開閉システム1は、車両100の車体側部に設けられたドアの開閉を行うものであってもよい。
【0117】
また、例えば、本実施形態では、カウンタウエイト57は、減速ギヤ55に取り付けられているものとしたが、カウンタウエイト57は、アクチュエータケース60内部の他の位置に設けられていてもよい。
【0118】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0119】
(1) 車両(車両100)のドア(バックドア101)に設けられ、
前記車両の車体に設けられたストライカ(ストライカ103)と係脱可能に係合するロック機構部(ロック機構部30)と、
前記ロック機構部を動作させるアクチュエータ部(アクチュエータ部50)と、
を備える、車両用ドアクローザ装置(車両用ドアクローザ装置3)であって、
前記アクチュエータ部は、
出力軸(出力軸51)と、
前記出力軸に固定され、前記ロック機構部を動作させる出力レバー(出力レバー52)と、
前記出力軸に固定された減速ギヤ(減速ギヤ55)と、
前記出力軸を軸支し、前記減速ギヤを収容するアクチュエータケース(アクチュエータケース60)と、を備え、
前記出力軸と前記減速ギヤと前記出力レバーとは、前記出力軸を回動軸として一体に回動し、
前記アクチュエータケースの内部に、カウンタウエイト(カウンタウエイト57)が設けられている、車両用ドアクローザ装置。
【0120】
(1)によれば、減速ギヤを収容するアクチュエータケースの内部にカウンタウエイトが設けられているので、車両用ドアクローザ装置が大型化することを抑制しつつカウンタウエイトを設けることができる。これにより、車両用ドアクローザ装置が大型化することを抑制し、且つ、シンプルな構造で、車両衝突時やドアを急激に閉動作した時などの衝撃によって意図せずドアがアンラッチ状態となることを抑制できる。
【0121】
(2) (1)に記載の車両用ドアクローザ装置であって、
前記カウンタウエイトは、前記減速ギヤに取り付けられている、車両用ドアクローザ装置。
【0122】
(2)によれば、カウンタウエイトは減速ギヤに設けられているので、出力軸と減速ギヤと出力レバーとを含む、出力軸を回動軸として一体に回動するモジュールの重心位置を出力軸の近傍に設定可能となる。これにより、アクチュエータ部の通常動作時において、出力軸と減速ギヤと出力レバーとを含む、出力軸を回動軸として一体に回動するモジュールの回動速度が安定する。したがって、車両衝突時やドアを急激に閉動作した時などの衝撃によって意図せずドアがアンラッチ状態となることを抑制できることに加えて、減速ギヤの重心が回転中心からずれていることに起因するアンバランスな状態が解消されるため、アクチュエータ部の通常動作時における振動が低減して動作が安定し、アクチュエータ部の通常動作時に発生する作動音が一定となる。
【0123】
(3) (2)に記載の車両用ドアクローザ装置であって、
前記減速ギヤには、前記カウンタウエイトを係止する係止爪(係止爪55e)が設けられており、
前記カウンタウエイトには、前記カウンタウエイトを貫通する係止孔(係止孔57a)が形成されており、
前記係止爪は、前記係止孔を挿通して前記カウンタウエイトを係止する、車両用ドアクローザ装置。
【0124】
(3)によれば、減速ギヤに設けられた係止爪は、カウンタウエイトに設けられた係止孔を挿通してカウンタウエイトを係止するので、減速ギヤにおいて、カウンタウエイトが配置される領域の外側にカウンタウエイトを固定するための部材を設けることが不要となる。これにより、アクチュエータ部が大型化することをより抑制しつつ、カウンタウエイトを設けることができる。
【0125】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の車両用ドアクローザ装置であって、
前記アクチュエータ部は、駆動モータ(ラッチ駆動モータ53)をさらに備え、
前記減速ギヤ及び前記出力レバーは、前記駆動モータの動力によって回動可能であり、
前記アクチュエータ部において、
前記駆動モータは、前記アクチュエータ部の上下方向において中央より上側に配置されており、
前記カウンタウエイトは、上下方向において前記駆動モータよりも下方に設けられている、車両用ドアクローザ装置。
【0126】
(4)によれば、アクチュエータ部において、駆動モータは、上下方向においてアクチュエータ部の上下中央より上側に配置されており、カウンタウエイトは、上下方向において駆動モータよりも下方に設けられているので、アクチュエータ部の重心位置を、上下方向においてアクチュエータ部の上下中央に近づけることができる。これにより、車両衝突時やドアを急激に閉動作した時などの衝撃によってアクチュエータ部に生じる慣性力を打ち消すことができるので、車両衝突時やドアを急激に閉動作した時などの衝撃によって意図せずドアがアンラッチ状態となることをより抑制できる。
【符号の説明】
【0127】
3 車両用ドアクローザ装置
30 ロック機構部
50 アクチュエータ部
51 出力軸
52 出力レバー
53 ラッチ駆動モータ(駆動モータ)
55 減速ギヤ
55e 係止爪
57 カウンタウエイト
57a 係止孔
60 アクチュエータケース
100 車両
101 バックドア(ドア)
103 ストライカ