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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191058
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】測距装置、及び測距方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20221220BHJP
   G01B 11/25 20060101ALI20221220BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G01C3/06 110A
G01B11/25 H
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099680
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】村岡 和彦
【テーマコード(参考)】
2F065
2F112
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA12
2F065AA53
2F065DD03
2F065FF04
2F065FF09
2F065GG23
2F065GG24
2F065HH05
2F065JJ03
2F065JJ18
2F065JJ26
2F065LL04
2F065LL22
2F065LL53
2F065QQ03
2F065QQ04
2F065QQ13
2F065QQ14
2F065QQ24
2F065QQ31
2F065QQ34
2F065SS13
2F112AA09
2F112CA12
2F112DA04
2F112DA19
2F112DA24
2F112DA28
2F112EA01
2F112FA07
2F112FA08
2F112FA14
2F112FA19
2F112FA29
2F112FA33
2F112FA35
2F112GA01
(57)【要約】
【課題】、測定対象の有する色の影響を抑制可能な測距装置、及び測距方法を提供する。
【解決手段】本開示によれば、測距装置は、所定の第1カラーパタンと、所定の第2カラーパタンとを順に測定対象に投影する投影部と、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとに基づき、測定対象までの距離を測定する情報処理部と、を備え、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、異なる波長帯域の光である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1カラーパタンと、所定の第2カラーパタンとを順に測定対象に投影する投影部と、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとに基づき、前記測定対象までの距離を測定する情報処理部と、
を備え、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、異なる波長帯域の光である、測距装置。
【請求項2】
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、3つの波長帯域の光の組合せで構成され、前記同一投影領域に対し、前記第1カラーパタンでは前記3つの波長帯域の光の少なくとも1波長帯域の光を投影し、前記第2カラーパタンでは前記3つの波長帯域の光のなかの残りの波長帯域の光を投影する、請求項1に記載の測距装置。
【請求項3】
前記3つの波長帯域の光のそれぞれは、赤色帯域、緑色帯域、及び青色帯域の光のいずれかである、請求項1に記載の測距装置。
【請求項4】
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとを投影された前記測定対象を順に撮像する撮像部を、
更に備える、請求項1に記載の測距装置。
【請求項5】
前記撮像部は、
前記投影部における前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの投影タイミングと、前記撮像部の撮像タイミングとを制御するタイミング制御部を有する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項6】
前記撮像部は、
赤色帯域の光に感度を有し、緑色帯域、及び青色帯域への感度が赤色帯域の光より抑制された赤色画素と、緑色帯域の光に感度を有し、赤色帯域、及び青色帯域への感度が緑色帯域の光より抑制された緑色画素と、青色帯域の光に感度を有し、赤色帯域、及び緑色帯域への感度が青色帯域の光より抑制された青色画素と、で構成される撮像画素が2次元状に配置された画素アレイを有する、請求項5に記載の測距装置。
【請求項7】
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれは、前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンのいずれかに対してより多くの画素信号を生成する、請求項6に記載の測距装置。
【請求項8】
前記撮像部は、
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれに対して、前記第1カラーパタンに応じて蓄積された第1蓄積電荷量に応じた電圧と、前記第2カラーパタンに応じて蓄積された第2蓄積電荷量に応じた電圧と、の差分に応じたデジタル画素信号に変換する、請求項7に記載の測距装置。
【請求項9】
前記タイミング制御部が生成する制御信号に基づき、
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれは、前記第1カラーパタンに対する撮像時間と、前記第2カラーパタンに対する撮像時間とが、等しくなるように制御される、請求項6に記載の測距装置。
【請求項10】
前記情報処理部は、
前記第1カラーパタンに対する前記撮像画素の出力信号と、前記第2カラーパタンに対する前記撮像画素の出力信号と、に基づき、前記測定対象のカラー画像を生成する画像生成部を有する、請求項6に記載の測距装置。
【請求項11】
前記情報処理部は、
前記デジタル画素信号に基づき、前記第1カラーパタン及び前記第2カラーパタンを撮像したデジタル画像から順にパタンを検出し、前記検出したパタンと前記投影部が投影した前記第1カラーパタン、及前記第2カラーパタンの少なくともいずれかを対応させ、前記測定対象の各部分までの距離を生成する計測部を有する、請求項8に記載の測距装置。
【請求項12】
前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンは、複数の区画領域で構成され、各区画領域のそれぞれの光の色は、前記赤色帯域、前記緑色帯域、及び前記青色帯域の光のいずれか、又は、前記赤色帯域、前記緑色帯域、及び前記青色帯域の光の中の2つに組み合わせのいずれかである、請求項3に記載の測距装置。
【請求項13】
前記複数の区画領域は、グループ化されており、グループ内の区画領域ごとの光の色は全て異なる、請求項12に記載の測距装置。
【請求項14】
前記複数の区画領域において、隣接した2つの色の組み合わせは全て異なる、請求項12に記載の測距装置。
【請求項15】
前記複数の区画領域の色は、ド・ブラウン列による循環パタンである、請求項14に記載の測距装置。
【請求項16】
前記複数の区画領域は、行列状に2次元配置されたタイルパタンである、請求項12に記載の測距装置。
【請求項17】
前記撮像部は、
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれに対して、前記第1カラーパタンに応じて蓄積された第1蓄積電荷量に応じた電圧を第1デジタル信号に変換し、前記第2カラーパタンに応じて蓄積された第2蓄積電荷量に応じた電圧を第2デジタル信号に変換し、それぞれの差分をデジタル画素信号とする、請求項6に記載の測距装置。
【請求項18】
前記情報処理部は、
前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンを生成するパタン生成部を有し、前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンの情報を有する信号を前記投影部に供給する、請求項1に記載の測距装置。
【請求項19】
前記撮像部は、
赤外域の波長帯を3つの波長帯に分け、それぞれの波長帯のみに感度を有する画素で構成され、
前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンは、前記赤外域の前記3つの波長帯のそれぞれで構成される、請求項1に記載の測距装置。
【請求項20】
前記撮像部は、
少なくとも波長帯域を2つの波長帯域に分け、それぞれの波長帯域のみに感度を有する画素で構成される、請求項1に記載の測距装置。
【請求項21】
所定の第1カラーパタンと、所定の第2カラーパタンとを順に測定対象に投影する投影工程と、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとに基づき、前記測定対象までの距離を測定する情報処理工程と、
を備え、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、異なる波長帯域の光である、測距方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は測距装置、及び測距方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三角測量の原理を応用したアクティブ法として、一方の視点としての光源から被写体表面に投影された光源像をもう一方の視点に設定したカメラで観察し形状計測する方法が一般に知られている。このようなアクティブ法では、ストライプパタンのような2次元的なカラーパタンが投影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-191058号公報
【特許文献2】特開2019-153822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カラーパタンを撮像するためには、カラーパタンそれぞれの色の波長に対する反射を必要とする。このため、色のついた被写体の測定は困難となる恐れがある。また、物体表面に特定の色の光を当てているため、物体の本来の色を観測する精度が低下する恐れがある。
そこで、本開示では、測定対象の有する色の影響を抑制可能な測距装置、及び測距方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、所定の第1カラーパタンと、所定の第2カラーパタンとを順に測定対象に投影する投影部と、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとに基づき、前記測定対象までの距離を測定する情報処理部と、
を備え、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、異なる波長帯域の光である、測距装置。
【0006】
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、3つの波長帯域の光の組合せで構成され、前記同一投影領域に対し、前記第1カラーパタンでは前記3つの波長帯域の光の少なくとも1波長帯域の光を投影し、前記第2カラーパタンでは前記3つの波長帯域の光のなかの残りの波長帯域の光を投影してもよい。
【0007】
前記3つの波長帯域の光のそれぞれは、赤色帯域、緑色帯域、及び青色帯域の光のいずれかであってもよい。
【0008】
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとを投影された前記測定対象を順に撮像する撮像部を、
更に備えてもよい。
【0009】
前記撮像部は、
前記投影部における前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの投影タイミングと、前記撮像部の撮像タイミングを制御する制御信号を生成するタイミング生成部を有してもよい。
【0010】
前記撮像部は、
赤色帯域の光に感度を有し、緑色帯域、及び青色帯域への感度が赤色帯域の光より抑制された赤色画素と、緑色帯域の光に感度を有し、赤色帯域、及び青色帯域への感度が緑色帯域の光より抑制された緑色画素と、青色帯域の光に感度を有し、赤色帯域、及び緑色帯域への感度が青色帯域の光より抑制された青色画素と、で構成される撮像画素が2次元状に配置された画素アレイを有してもよい。
【0011】
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれは、前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンのいずれかに対してより多くの画素信号を生成してもよい。
【0012】
前記撮像部は、
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれに対して、前記第1カラーパタンに応じて蓄積された第1蓄積電荷量と、前記第2カラーパタンに応じて蓄積された蓄積電荷量と、の差分に応じた電圧をデジタル画素信号に変換してもよい。
【0013】
前記タイミング生成部が生成する制御信号に基づき、
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれは、前記第1カラーパタンに対する撮像時間と、前記第2カラーパタンに対する撮像時間とが、等しくなるように制御されてもよい。
【0014】
前記情報処理部は、
前記第1カラーパタンに対する前記撮像画素の出力信号と、前記第2カラーパタンに対する前記撮像画素の出力信号と、に基づき、前記測定対象のカラー画像を生成する画像生成部を有してもよい。
【0015】
前記情報処理部は、
前記デジタル画素信号に基づき、前記第1カラーパタン及び前記第2カラーパタンを撮像したデジタル画像から順にパタンを検出し、前記検出したパタンと前記投影部が投影した前記第1カラーパタン、及前記第2カラーパタンの少なくともいずれかを対応させ、前記測定対象の各部分までの距離を生成する計測部を有してもよい。
【0016】
前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンは、複数の区画領域で構成され、各区画領域のそれぞれの光の色は、前記赤色帯域、前記緑色帯域、及び前記青色帯域の光のいずれか、又は、前記赤色帯域、前記緑色帯域、及び前記青色帯域の光の中の2つに組み合わせのいずれかであってもよい。
【0017】
前記複数の区画領域は、グループ化されており、グループ内の区画領域ごとの光の色は全て異なってもよい。
【0018】
前記複数の区画領域において、隣接した2つの色の組み合わせは全て異なってもよい。
【0019】
前記複数の区画領域の色は、ド・ブラウン列による循環パタンであってもよい。
【0020】
前記複数の区画領域は、行列状に2次元配置されたタイルパタンであってもよい。
【0021】
前記撮像部は、
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれに対して、前記第1カラーパタンに応じて蓄積された第1蓄積電荷量に応じた電圧を第1デジタル信号に変換し、前記第2カラーパタンに応じて蓄積された蓄積電荷量に応じた電圧を第2デジタル信号に変換し、それぞれの差分をデジタル画素信号としてもよい。
【0022】
前記情報処理部は、
前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンを生成するパタン生成部を有し、前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンの情報を有する信号を前記投影部に供給してもよい。
【0023】
前記撮像部は、
赤外域の波長帯域を3つの波長帯域に分け、それぞれの波長帯のみに感度を有する画素で構成され、
前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンは、前記赤外域の前記3つの波長帯のそれぞれで構成されてもよい。
【0024】
前記撮像部は、
少なくとも波長帯域を2つの波長帯域に分け、それぞれの波長帯域のみに感度を有する画素で構成されてもよい。
【0025】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、所定の第1カラーパタンと、所定の第2カラーパタンとを順に測定対象に投影する投影工程と、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとに基づき、前記測定対象までの距離を測定する情報処理工程と、
を備え、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、異なる波長帯域の光である、測距方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る測距装置の構成例を示す図。
図2】測定対象までの測定原理を説明するための図。
図3】本実施形態に係る測距装置のより詳細な構成例を示すブロック図。
図4】画素アレイの構成例を示す模式図。
図5】第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの色配置例を模式的に示す図。
図6A】カラーパタンの赤色光と、緑色光と、青色光と、の組合せを示す表。
図6B】カラーコード例を示す表。
図7】第1カラーパタンの投影例を模式的に示す図。
図8】反射の無い領域への投映例を示す図。
図9図6Aで示した表に、各画素の反応を撮像R/G/Bで更に示した表。
図10】第1カラーパタンしか投影しない場合の表。
図11】撮像画素の構成例を示す図。
図12】AD変換部を構成するADC回路の一例を示すブロック図。
図13】差分露光処理の概略図。
図14】シャッターのタイミングチャート例を示す図。
図15】フローティングディフュージョンの転送タイミングチャート例を示す図。
図16】読み出し(read)のタイミングチャート例を示す図。
図17】第1カラーパタンに画素が感度を有する場合を示す図。
図18】第2カラーパタンに画素が感度を有する場合を示す図。
図19】パタンを反射率の物体に投映した場合の輝度を示す表。
図20】反射率(R:50%、G:100%、B:75%)の物体に投映し差分AD変換をした結果を示す表。
図21】有意なカラー成分に変換した結果を示す表。
図22図6Aで示したパタンを本実施形態に係る差分AD変換を通した場合の結果を示す表。
図23】青色光を反射しない物体を測定した結果を示す表。
図24】ド・ブラウンにより生成したカラーストライプパタンを示す表。
図25】ド・ブラウン列のアルゴリズムによる循環パタンの拡張の例を示す図。
図26】縦列方向に色の変化を拡張したカラータイルパタンを示す表。
図27図26のカラータイルパタン例の配置を示す図。
図28】カウンタ差分、デジタル差分の読み出しのタイミングチャートを示す図。
図29】ADCのコンパレータ入力の波形を示す図。
図30】特定画素が第2カラーパタンに感度を有する場合を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、測距装置、及び測距方法の実施形態について説明する。以下では、測距装置、及び測距方法の主要な構成部分を中心に説明するが、測距装置、及び測距方法には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0028】
(一実施形態)
図1は、本実施形態に係る測距装置1の構成例を示す図である。図1に示すように、測距装置1は、投影部100と、撮像部200と、情報処理部300とを備える。本実施形態に係る投影部100は、例えばプロジェクタであり、複数種類のカラーパタンを順に測定対象T100に投影する。なお、領域T100aは、測定対象T100の凸領域を示している。
【0029】
情報処理部300は、例えばCPU(CentralProcessingUnit)やMPU(MicroProcessor)を含んで構成され、記憶部に記憶されるプログラムを実行することにより各処理部を構成する。この情報処理部300は、投影部100から投影する複数種類のカラーパタンを生成し、投影部100に供給する。また、情報処理部300は、撮像部200が撮影した、複数種類のカラーパタンの画像を処理し、距離情報と測定対象T100のカラー情報とを生成する。なお、情報処理部300が用いるプログラムは、記憶部に記憶に記憶されていてもよいし、あるいは、DVD(DigitalVersatileDisc)などの記憶媒体やクラウドコンピュータ等に記憶されていてもよい。また、そのプログラムは、情報処理部300において、CPU(CentralProcessingUnit)やMPU(MicroProcessor)によってRAM(RandomAccessMemory)等を作業領域として実行されてもよいし、あるいは、ASIC(ApplicationSpecificIntegratedCircuit)やFPGA(FieldProgrammableGateArray)等の集積回路により実行されてもよい。
【0030】
撮像部200は、例えばカメラであり、測定対象T100に投影に投影された複数種類のカラーパタンを撮像する。
【0031】
図2は、測定対象T100までの測定原理を説明するための図である。図2に示すように、情報処理部300は、三角測量の原理に基づき、距離情報を生成する。投影部100の視点をA、撮像部200の視点をB、AとBとを繋いだ線分ABの長さをLとする。この場合、距離Lと、線分ABに対する投影部100と、撮像部200の角度は予め情報処理部300に設定する。
【0032】
これにより、測定対象T100の点Pまでの距離は、(1)式で算出される。撮像部200からの角度αは、後述するカラーパタンの投影角度毎に設定されている。また、角度βは、撮像部200により撮像された画像上のカラーパターの位置情報を用いることにより算出される。すなわち、測定対象T100の表面全域において各カラーパタンのエッジにおける各点Pの角度α、βを計算することにより、測定対象T100の距離、及び表面形状が測定される。
【数1】
【0033】
図3は、本実施形態に係る測距装置1のより詳細な構成例を示すブロック図である。上述のように、投影部100は、例えばプロジェクタである。このプロジェクタは、例えば光源、液晶パネル、レンズで構成される。投影部100は、撮像部200で生成される同期信号に従い、測定物T100に対して第1カラーパタン(pattern1)と、第2カラーパタン(pattern2)とを順に投映する。
【0034】
液晶パネルは透過性を持ち、光源から発光された光を透過、若しくは遮断する素子を有する。この素子をマトリクス状に配置してプロジェクタに入力された画像を生成する。液晶パネルは赤(R)/緑(G)/青(B)の各色の画素がマトリックスに並んでおり、プロジェクタに入力された画像、すなわち第1カラーパタンと、第2カラーパタンとで順に駆動される。光源から発光した光は液晶パネルを通過し、レンズによりスクリーンに投映される。このように、本実施形態では、撮像部200で生成される同期信号に従い、測定物T100に対して第1カラーパタンと、第2カラーパタンとを順に投映する。なお、本実施形態では、赤、緑、青を単にR、G、Bと記す場合がある。
【0035】
また、このプロジェクタでは、光源を点灯することにより、撮像部200の画素アレイ206と投影部100のスキャン速度の差異を抑制し、画素アレイ206と投影部100との同期動作を可能とする。例えば、本実施形態に係るプロジェクタは、光源の制御機能に加え、液晶パネルの第1カラーパタンと、第2カラーパタンとの更新を発光タイミングの前に行うことが可能である。なお、更新タイミングの詳細は後述する。また、プロジェクタに用いる画像生成素子は液晶パネルに代えてデジタルライトプロセッシング(DLP)等を用いてもよい。この場合、光源から発光した光はデジタルライトプロセッシング(DLP)に反射させ、レンズを通してスクリーンに投映させる。光源の発光によりプロジェクタの投映が制御可能であり、本実施形態に係る投影部100に用いることも可能である。
【0036】
撮像部200は、レンズ202と、イメージセンサ204とを有する。測定対象T100の像はレンズ202を介してイメーイメージセンサ204に結像し、光電変換の原理により撮像される。すなわち、このイメージセンサ204は、画素アレイ206と、AD変換部208と、信号処理部210と、画像出力インターフェース212と、タイミング制御部214と、画素制御部216と、タイミング出力インターフェース218とを、有する。
【0037】
図4は、画素アレイ206の構成例を示す模式図である。図4に示すように、画素アレイ206は、複数の撮像画素P206を行列状に配置して構成される。また、各撮像画素P206はRGB画素を有する。例えば、撮像画素P206は、赤色フィルタを介して光電変換する赤(R)色画素と、緑色フィルタを介して光電変換する緑(G)色画素と、青色フィルタを介して光電変換する青(B)色画素とを有する。
【0038】
例えば、各画素は、フォトダイオードPDの光電変換によって蓄積された蓄積電荷(ここでは、光電子)をフローティングディフュージョンFDに転送し、蓄積するタイプを用いる(特許文献2参照)。このような、フォトトランジスタ(PD)とフローティングディフュージョンFDとが対となるタイプの画素を用いることにより、1番目の第1カラーパタンに対応する第1蓄積電荷量に応じた電圧と、2番目の第2カラーパタンに対応する第2蓄積電荷量に応じた電圧と、の差分を、一度にAD変換し、デジタル画素値を生成することが可能となる。画素アレイ206の画素及びAD変換の動作の詳細は後述する。
【0039】
後述するように、本実施形態に係るカラーパタンは、赤色フィルタの透過帯域に対応する赤(red)光と、緑色フィルタの透過帯域に対応する緑(green)光と、青色フィルタの透過帯域に対応する青(blue)光と、の組み合わせで構成される。このため、赤(R)色画素は、カラーパタン中の青(blue)光と、緑(green)光とには、感度が抑制され、反応しないように構成されている。同様に、緑(G)色画素は、カラーパタン中の赤(red)光と、青(blue)光とには、感度が抑制され、反応しないように構成されている。同様に、青(B)色画素は、カラーパタン中の赤(red)光と、緑(green)光とには、感度が抑制され、反応しないように構成されている。すなわち、各撮像画素P206は、赤色帯域の光に感度を有し、緑色帯域、及び青色帯域への感度が赤色帯域の光より抑制された赤(R)色画素と、緑色帯域の光に感度を有し、赤色帯域、及び青色帯域への感度が緑色帯域の光より抑制された緑(G)色画素と、青色帯域の光に感度を有し、赤色帯域、及び緑色帯域への感度が青色帯域の光より抑制された青(B)色画素と、で構成される。
【0040】
なお、本実施形態では、処理の省電力化と高速化のために、トランジスタ(PD)とローティングディフュージョンFDとが対となるタイプの画素を用いるが、これに限定されない。例えば、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとに対する画像信号を順に、逐次的なAD変換を行う場合には、光電変換素子で構成される一般的な画素を用いてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、赤(R)色画素と、緑(G)色画素と、青(G)色画素と、で構成されるが、これに限定されない。例えば、赤外域の波長帯を3つの、分離した波長帯に分け、それぞれの波長帯のみに感度を有する画素を構成してもよい。この場合、カラーパタンは、3つの、分離した波長帯のそれぞれで構成される。この場合、人の目には視覚感度のない波長帯を測距に用いるので、人の視覚に感知されずに測距が可能となる。なお、本実施形態では、赤(R)色画素、緑(G)色画素、青(G)色画素を単にそれぞれ、R画素、G画素、B画素と称する場合がある。
【0042】
再び図4に示すように、画素制御部216は、横方向に配線された制御線(control wires)により各撮像画素P206を構成するR/G/B画素毎のシャッター(shutter)/ローティングディフュージョン(FD)転送/読み出し(read)などの制御を行う。制御用の制御線(control wires8~1)は横方向に共通化されており、上から下に行アドレス(vertical address8~1)が割り当てられている。
【0043】
縦方向に配線された配線VSL1~VSLnはR/G/B画素のデータをAD変換部208(図3参照)に供給する信号線であり、制御線(control wires)によって選択された画素から蓄積信号電荷がAD変換部208に入力される。
【0044】
AD変換部208には、画素アレイ206の各画素に蓄積された蓄積信号電荷に応じた電圧が、配線VSL1~VSLnを介して供給される。AD変換部208は、蓄積信号電荷に応じた電圧をAD変換し、デジタルデータであるデジタル画素信号に変換する。このAD変換部208は、例えば差分AD変換を行う。このAD変換部208は、露光により蓄積された各画素の蓄積信号電荷(光電荷)に応じた電圧をリニアに変換し、第1カラーパタンの撮像に対応する第1フレームの第1蓄積電荷量と、第2カラーパタンの撮像に対応する第2フレームの第2蓄積電荷量と、の差分をAD変換する制御を行うことが可能である。なお、AD変換部208の動作例の詳細も後述する。
【0045】
信号処理部210は、AD変換部208で生成されたデジタルの画像データを画像出力インターフェース212に供給する。この場合、信号処理部210は、ノイズ低減処理やしきい値処理などの各種の信号処理を行うことが可能である。
【0046】
画像出力インターフェース212は、信号線へのレベル変換などを行う。そして、画像出力インターフェース212は、AD変換部208で生成された画像データを情報処理部300に供給する。
【0047】
タイミング制御部214は、投影部100から投影させる第1カラーパタン、及び第2カラーパタンのタイミングと、画素アレイ206の各画素における第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの撮像タイミングと、AD変換部208のAD変換タイミングとを同期させる制御行う。より具体的には、タイミング制御部214は、AD変換部208に対しては差分AD変換の駆動タイミングを制御する。タイミング制御部214は、画素制御部216に対しては、画素アレイ206の各画素における第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの撮像タイミングを制御する。
【0048】
画素制御部216は、上述のように、タイミング制御部214のタイミング制御に従い、画素アレイ206の各画素における第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの撮像タイミングを制御する。より詳細には、画素アレイ206の各画素の初期化、フォトトランジスタ(PD)での光電変換、フォトトランジスタ(PD)からローティングディフュージョンFDへの転送などの制御タイミングを制御する。
【0049】
タイミング出力インターフェース218は、タイミング制御部214で生成された同期タイミングの情報を含む制御信号を信号線へのレベル変換などを行う。そして、タイミング出力インターフェース218は、同期タイミングの情報を含む制御信号を情報処理部300に供給する。
【0050】
情報処理部300は、タイミング入力インターフェース302と、パタン生成部304と、プロジェクタ出力インターフェース306と、発光制御部308と、画像入力インターフェース310と、第2信号処理部312、画像生成部314と、3次元計測演算部316と、データ出力インターフェース318とを、有する。タイミング入力インターフェース302は、タイミング制御部214の生成する同期タイミングの情報を含む制御信号を入力する。
【0051】
パタン生成部304は、タイミング制御部214の生成する同期タイミングに応じて、第1カラーパタン、及び第2カラーパタンを生成する。
【0052】
プロジェクタ出力インターフェース306は、パタン生成部304が生成した第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの情報を含む画像信号を投影部100に供給する。発光制御部308は、タイミング制御部214の生成する同期タイミングに応じて、第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの投影タイミングに対応させて、投影部100の光源の発光制御を行う。すなわち、発光制御部308は、発光タイミングの情報を含む発光制御信号を、プロジェクタ出力インターフェース306を介して投影部100に供給する。
【0053】
画像入力インターフェース310は、撮像部200が撮像した画像データを入力し、第2信号処理部312に供給する。第2信号処理部312は、撮像部200が撮像した画像データのRGB正規化、2値化処理を行う。これらの処理の詳細は後述する。
【0054】
画像生成部314は、RGB正規化した画像データに基づき、通常のRGBカラーの撮像画像データを生成する。そして、画像生成部314は、撮像画像データをデータ出力インターフェース318に供給する。この場合、画像生成部314は、ガンマ変換、周波数処理、ノイズ低減処理などを撮像画像データに施すことも可能である。
【0055】
3次元計測演算部316は、2値化した画像データを用いて、第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの投影角αと撮像部200が撮像した画像した画像における対応箇所におけるβとを取得する。そして、3次元計測演算部316は、(1)式に基づき、各点の距離dを演算し、3次元計測データを生成して、データ出力インターフェース318に供給する。このように3次元計測演算部316は、第1カラーパタン及び第2カラーパタンを撮像したデジタル画像からパタンを検出し、検出したパタンと投影部100が投影した第1カラーパタン、及第2カラーパタンの少なくともいずれかを対応させ、測定対象T100の各部分までの距離を生成する。なお、本実施形態に係る3次元計測演算部が計測部に対応する。
【0056】
データ出力インターフェース318は、画像生成部314から供給された撮像画像データ、3次元計測データを記憶部(ストレージ)、スクリーンなどに供給する。なお、3次元計測データは、測定対象T100の各部分までの距離を意味する。
【0057】
ここで、図5図6A及び図6Bに基づき、パタン生成部304が生成する第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの例を詳細に説明する。図5は、第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの色配置例を模式的に示す図である。上述のように、第1カラーパタン、及び第2カラーパタンは、順に繰り返し、投影部100により測定対象T100に投影される。図5では、第1カラーパタン、及び第2カラーパタンは、別行に図示しているが、第1カラーパタンと第2カラーパタンとは順に同じ位置に投影される。例えば、第1カラーパタン内においてC1で示すストライプの投影後には、ストライプC1と同じ位置に、第2カラーパタン内においてC6で示すストライプが投影される。C1~C6は後述するカラーコード(図6B参照)に対応する。
【0058】
図6Aは、第1カラーパタン(patter1)、及び第2カラーパタン(patter2)の赤色(R:red)光と、緑色(G:green)光と、青色(B:blue)光と、の組合せを示す表である。図6Bは、カラーコード例を示す表である。例えばカラー番号C1には、赤色(red)、カラー番号C2には、ピンク色(pink)、カラー番号C3には、緑色(green)、カラー番号C4には、黄色(yellow)、カラー番号C5には、青色(blue)、カラー番号C6には、スカイブルー色(sky blue)が対応する。
【0059】
再び図6Aに示すように、図6Aのストライプ番号(Color bar No.)は、図5の各ストライプの位置に対応する。投影色(color)は、図6Bのカラーコード(C1~C6)に対応する色を示す。
【0060】
また、R/G/Bは、赤色(R:red)光と、緑色(G:green)光と、青色(B:blue)光と、の組合せを示す。例えば、赤色(red)光は、1/0/0で示され、赤色(R:red)光で構成される。同様に、ピンク色(pink)光は、1/0/1で示され、赤色(R:red)光と、青色(B:blue)光で構成される。同様に、緑色(green)光は、0/1/0で示され、緑色(G:green)光で構成される。同様に、黄色(yellow)光は、1/1/0で示され、赤色(R:red)光と、緑色(G:green)光で構成される。同様に、青色(blue)光は、0/0/1で示され、青色(B:blue)光で構成される。同様に、スカイブルー色(sky blue)光は、0/1/1で示され、緑色(G:green)光と、青色(B:blue)光とで構成される。
【0061】
すなわち、第1カラーパタンにおけるR/G/Bが1/0/0で示されるカラー番号C1の赤色(red)光の後に、第2カラーパタンにおけるR/G/Bが0/1/1で示されるカラー番号C6のスカイブルー色(sky blue)が照射される。このように、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、3つの波長帯域の光(赤色(R:red)光と、緑色(G:green)光と、青色(B:blue)光)の組合せで構成され、同一投影領域に対し、第1カラーパタンでは3つの波長帯域の光(赤色(R:red)光と、緑色(G:green)光と、青色(B:blue)光)の少なくとも1波長帯域(例えば赤色(red))の光を投影し、第2カラーパタンでは3つの波長帯域の光(赤色(R:red)光と、緑色(G:green)光と、青色(B:blue)光)のなかの残りの波長帯域の光(例えば、緑色(G:green)光と、青色(B:blue)光と)を投影する。換言すると、1/0/0[R/G/B]で構成される光と、排他的な0/1/1[R/G/B]で構成される光とが順に投影される。ここで排他的とは、第1カラーパタンでの1/0/0[R/G/B]の構成色と、第2カラーパタンでの0/1/1[R/G/B]の構成色とを加算すると1/1/1[R/G/B]となる関係を、本実施形態では排他的、或いは補完的と称することとする。
【0062】
ここで排他的な組み合わせについてより具体的に説明する。図4に示すように撮像画素P206に示すRGB画素において、R画素は、第1カラーパタンにおいて、1/0/0[R/G/B]で構成されるカラー番号C1の赤色(red)光が投影されると反応、すなわち光電変換するが、第2カラーパタンにおいて、0/1/1[R/G/B]で構成されるカラー番号C6のスカイブルー色(sky blue)光が投影されると光電変換しない。
【0063】
一方で、G画素は、第1カラーパタンにおいて、1/0/0[R/G/B]で構成されるカラー番号C1の赤色(red)光が投影されると光電変換しないが、第2カラーパタンにおいて、0/1/1[R/G/B]で構成されるカラー番号C6のスカイブルー色(sky blue)光が投影されると光電変換する。同様に、B画素は、第1カラーパタンにおいて、1/0/0[R/G/B]で構成されるカラー番号C1の赤色(red)光が投影されると光電変換しないが、第2カラーパタンにおいて、0/1/1[R/G/B]で構成されるカラー番号C6のスカイブルー色(sky blue)光が投影されると光電変換する。
【0064】
すなわち、第1カラーパタンにおいて、R画素は光電変換するが、残りのG、B画素は光電変換しない。一方で、第2カラーパタンにおいて、R画素は光電変換しないが、残りのG、B画素は光電変換する。このように、排他的な関係では、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとで光電変換するR/G/B画素が排他的に入れ替わる。これから分かるように、撮像画素P206(図4参照)内の赤色画素、緑色画素、及び青色画素のそれぞれは、第1カラーパタン、及び第2カラーパタンのいずれかに対してより多くの画素信号を生成する。
【0065】
同様に、撮像画素P206に示すRGB画素において、R画素は、第1カラーパタンにおいて、1/0/1[R/G/B]で構成されるカラー番号C2のピンク色(pink)光が投影されると光電変換するが、第2カラーパタンにおいて、0/1/0[R/G/B]で構成されるカラー番号C3の緑色(green)光が投影されると光電変換しない。一方で、G画素は、1/0/1[R/G/B]で構成されるカラー番号C2のピンク色(pink)光が投影されると光電変換しないが、第2カラーパタンにおいて、0/1/0[R/G/B]で構成されるカラー番号C3の緑色(green)光が投影されると光電変換する。
一方で、B画素は、1/0/1[R/G/B]で構成されるカラー番号C2のピンク色(pink)光が投影されると光電変換するが、第2カラーパタンにおいて、0/1/0[R/G/B]で構成されるカラー番号C3の緑色(green)光が投影されると光電変換しない。
【0066】
このように、ストライプ番号(Color bar No.)1~6に対応する各投影領域には、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとで、(Color No.C1、Color No.C6)、(Color No.C2、Color No.C3)、(Color No.C3、Color No.C2)、(Color No.C4、Color No.C5)、(Color No.C5、Color No.C4)、(Color No.C6、Color No.C1)となるように、排他的に組み合わされる投影光が投影される。なお、組合せは排他的であればよく、これらの組み合わせに限定されない。
【0067】
図7は、第1カラーパタンの投影例を模式的に示す図である。観測点Pは色の変わり目の部分となる。図7に示すように、パタン生成部304では、カラー番号C1の赤色(red)光に左端から順にR1、R2、R3、R4、、、RnとID付けをする。同様に、パタン生成部304では、カラー番号C2からC6に対して、pi1~pin、G1~Gn、Y1~Yn、B1~Bn、sb1~sbn、などとID付けをする。
【0068】
図7に示すように、物体上の着目ラインは、R3よりもR4に近いため、撮像部200から撮像しても着目ラインを容易に特定可能となる。上からの投影図T100cでもR4で正しいことがわかる。一方で、従来から一般的に用いられる白黒ストライプでは、着目ラインが、どのラインかを識別するのが困難となる。このようにカラーストライプを用いると、凸領域T100a等での測定精度をより向上させることが可能となる。
【0069】
ここで、図8、及び図9に基づき、特定光に対して反射のない色調を有する領域T100aに対する処理効果を説明する。図8は、特定光に対して反射の無い領域T100aへの投映例を示す図である。図8のA図は、測定対象T100の凸領域T100aの正面図と、上面図を示す。凸領域T100aは、黄色を有する。このため、青色(B:blue)光は、凸領域T100aの黄色で吸収され、ほとんど反射されない。
【0070】
図8のB図は、測定対象T100の凸領域T100aに第1カラーパタンが投影されている状態を示す図である。図8のC図は、測定対象T100の凸領域T100aに第2カラーパタンが投影されている状態を示す図である。また、凸領域T100aにおいて黒色として撮像される領域B1、B2を示している。
【0071】
図9は、図6Aで示した表に、各画素RGBの反応を撮像R/G/Bとして更に示した表である。図9で示すように青色(B:blue)光は、凸領域T100aの黄色で吸収され、ほとんど反射されない。このため、撮像R/G/Bで示すB画素の反応が0として示される。特に、投影0/0/1[R/G/B]で構成されるカラー番号C5(Color No.5)の青色(B:blue)光では、撮像0/0/0[R/G/B]となり、各RGB画素で光信号がほぼ取得されない状態となる。このため、撮像0/0/0[R/G/B]で示される撮像画素P206(図4参照)においては黒色領域B1(図8参照)として撮像される。
【0072】
一方で、上述のように、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとで、(Color No.C4、Color No.C5)、(Color No.C5、Colorr No.C4)となるように、排他的(或いは補完的)に組み合わされる。このため、1/1/0[R/G/B]で構成されるカラー番号C4(Color No.C4)の黄色(yellow)光は、反射成分を有することとなる。
【0073】
図10は、比較例として、第1カラーパタンしか投影しない場合の表である。図10に示すように、第1カラーパタンしか投影しない場合には、投影0/0/1[R/G/B]で構成されるストライプ番号5(Color bar No.5)の青色(B:blue)光では、撮像0/0/0[R/G/B]となり、各RGB画素で光信号がほぼ取得されない状態となる。このため、ストライプ番号5の青色(B:blue)光が投影された領域は、対象物が黒色領域か、黄色領域かの判別ができなくなってしまう。これに対して、図9に示す様に、排他的に組み合わせた第1カラーパタンと、第2カラーパタンとを投影する場合には、凸領域T100aが着色されていても、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとのいずれかで、反射光を撮像可能となる。このため、排他的に組み合わせた第1カラーパタンと、第2カラーパタンとを投影する場合には、対象物が黒色領域(或いは対象物が無限遠にある)か、黄色領域(特定色が吸収される領域)かの判別が可能となる。
【0074】
このように、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、異なる波長帯域の光である。これにより、測定対象T100により、一方の波長帯域の光が吸収されても、他方の波長帯域の光が反射さるようにカラーパタンを構成可能となる。なお、本実施形態では、投影光を赤色(R:red)光と、緑色(G:green)光と、青色(B:blue)光と、の組合せとしたがこれに限定されない。例えば、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、異なる波長帯域の光であればよい。すなわち、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、一方の波長帯域の光が吸収されても、他方の波長帯域の光が反射さるように、補完的に構成すればよい。この場合、少なくとも波長帯を2つの波長帯域に分け、撮像部200(図2参照)を構成する画素をそれぞれの波長帯域のみに感度を有するように構成してもよい。
【0075】
図11は、撮像画素P206の構成例を示す図である。図11に示すように、撮像画素P206を構成する各画素は、フォトダイオードPDと、トランジスタSW1、SW2、SW3、AMPとを有する。制御線(contorol wires)は、3本の制御線RST、TRG、SELで構成される。
【0076】
フォトダイオードPDは、一端がグランドGNDに接続され、他端がトランジスタSW1の一端に接続される。このトランジスタSW1の他端は、フローティングディフュージョンFDに接続される。また、トランジスタSW2の一端はフローティングディフュージョンFDに接続され、他端は、トランジスタAMPの一端端に接続される。トランジスタAMPの一端端はVSS線に接続され、他端は、トランジスタSW3の一端に接続される。トランジスタSW3の他端は、VSL線に接続される。トランジスタSW1のゲートは制御線TRGに接続され、トランジスタSW2のゲートは制御線RSTに接続され、トランジスタSW3のゲートは制御線SELに接続され、トランジスタAMPのゲートはフローティングディフュージョンFDに接続される。なお、以下ではフォトダイオードPDを単にPDと記し、フローティングディフュージョンFDを単にFDと記す場合がある。
【0077】
図12は、AD変換部208を構成するADC回路の一例を示すブロック図である。図12に示すように、ADC回路(図4参照)は、複数のAZ回路と、コンパレータと、カウンタを有する。DAC回路は、内部にカウンタ(図示なし)を有し、問えばデクリメントしながらカウンタ値に応じた電圧値を出力する。
【0078】
AZ回路は、オートゼロの回路機構で指示された期間(図示なし)で入力された信号の電圧をAZ基準電圧に合わせ、入力と出力との間の電圧オフセットを保持する。このAZ回路は、指示された期間を過ぎても電圧オフセットを維持することが可能である。このADC回路は、DAC回路からの入力と、VSL線からの入力とに対する2つのAZ回路を有する、これらのAZ回路は、コンパレータに電圧オフセットを出力する。
【0079】
図13は、差分露光処理の概略図である。図13に基づき、差分露光処理例を説明する。図13に示すように、画像Im130は、イメージセンサ204の駆動タイミングを示す。横軸は時間を示し、縦軸は画素アレイ206の縦アドレス(Virtical address)(図4参照)を示す。このイメージセンサ204では、縦アドレスごとに順に処理される。すなわち、縦アドレスをインクリメントして処理する様子を斜めのグラフで示している。
【0080】
画像Im132は、プロジェクタ発光タイミングの制御信号であるフラッシュ発光(Flash strobe)信号を示している。画像Im134は、第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの生成、更新タイミングをそれぞれ示している。画像Im136は、プロジェクタ発光タイミングを示している。画像Im138は、第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの投影タイミングを示している。
【0081】
画像Im130に示すように画素アレイ206(図4参照)では、行毎に画素リセット(shutter)、FD転送、読み出し「read」およびAD変換が順に行われる。左のラインL130が画素リセット「shutter」のタイミングを示し、中央のラインL132が「FD転送」のタイミングを示し、右のラインL134が「read」のタイミングを示す。以下では、画素リセットをシャッターと記す場合がある。
【0082】
FD転送は画素リセット(shutter)と読み出し「read」の時間的に中央のタイミングで行われる。これにより、画素リセット(shutter)からFD転送、FD転送から読み出し「read」は合同な並行四辺形となる。これは、画素リセット(shutter)からFD転送までの露光時間と、FD転送から読み出し「read」までの露光時間が等しいことを示す。また、画素リセット(shutter)からFD転送までの露光を第1フレーム、FD転送から読み出し「read」までの露光を第2フレームとする。すなわち、第1フレームが第1カラーパタンの撮像に対応し、第2フレームが第2カラーパタンの撮像に対応する。
【0083】
イメージセンサ204内のタイミング生成部214(図3参照)は、画素リセット(shutter)の起動タイミング、FD転送起動タイミング、read起動タイミング、およびプロジェクタ発光タイミングであるフラッシュ発光(Flash strobe)タイミングを生成する。画素リセット(shutter)の起動タイミング、FD転送起動タイミング、read起動タイミング、およびプロジェクタ発光タイミングの情報を含む制御信号は、画素制御部216に供給され、画素制御のトリガとして、制御される。プロジェクタ発光タイミングの制御信号であるフラッシュ発光(Flash strobe)信号は、イメージセンサ204内のイメージセンサのタイミング出力I/F212から、情報処理部300のタイミング入力I/F302を経て、パタン生成部304と発光制御部308に供給される。
【0084】
投影部100から投映される第1カラーパタン、及び第2カラーパタンは、イメージセンサ204の撮影動作と同期させるため、イメージセンサ204内からプロジェクタ発光タイミングの制御信号であるフラッシュ発光(Flash strobe)信号を発行する。フラッシュ発光期間は、2つの露光のそれぞれで画素リセット(shutter)、FD転送、読み出し「read」の動作が停止したタイミングであり、2つのフラッシュ発光(Flash strobe)期間の長さを等しくする。
【0085】
投影部100では、画面更新に時間がかかるため、光源発光しない期間に第1カラーパタン、及び第2カラーパタンの更新をそれぞれ行う。撮像部200から受け取ったフラッシュ発光(Flash strobe)信号がハイ(High)からロウ(Low)に変化したタイミングをトリガに画面更新を行う。予め、第1カラーパタン(Pattern1)の画面を映し、1度目のフラッシュ発光(Flash strobe)信号のハイ(High)からロウ(Low)の変化点で第2カラーパタン(Pattern2)の画面更新を行う。2度目のフラッシュ発光(Flash strobe)信号のハイ(High)からロウ(Low)の変化点で第1カラーパタン(Pattern 1)の画面更新を行い、以降、これを繰り返す。こように、投影部100の発光は、投影部100の光源を制御することにより行なわれる。光源には発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、キセノンフラッシュ等を使うことが可能である。
【0086】
再び図11にもどり、撮像画素P206の各画素は、第1カラーパタンに対応する信号電荷と、第2カラーパタンに対応する信号電荷を順に蓄積し、VSL線に供給する。すなわち、これらの画素は、シャッター「shutter」、「FD転送」、読み出し「read」の駆動を順に行う。
【0087】
ここで、図4を参照にしつつ、図14に基づき、シャッター「shutter」のタイミングを説明する。図14は、シャッターのタイミングチャート例を示す図である。上から順に制御線RST、TRG、SELの信号レベルを示している。制御線TRGがハイ(High)になると、トランジスタSW1が導通状態となり、フォトダイオードPDの電荷がFDに伝導される。この際に、制御線RSTをハイ(High)にすることによりトランジスタSW2が導通状態となり、フローティングディフュージョンFDの電荷がVSS線に伝導する。この制御によってフォトダイオードPDとフローティングディフュージョンFDの電荷がVSS線に流れ電荷がクリアされる。そして、制御線TRG、RSTを再びロウ(Low)にすることによりトランジスタSW1、SW2が遮断しフォトダイオードPDの電荷が流れない状態となり、シャッター「shutter」が終了して、露光蓄積が開始される。以下では遮断を非導通状態と記す場合がある。
【0088】
図15は、フローティングディフュージョンFDの転送タイミングチャート例を示す図である。上から順に制御線RST、TRG、SELの信号レベルを示している。制御線TRGをハイ(High)にすることより、トランジスタSW1が導通状態となり、フォトダイオードPDの電荷がフローティングディフュージョンFDに転送保持される。この後、制御線TRGをロウ(Low)にし、ランジスタSW1を遮断し、フォトダイオードPDの露光により蓄積される電荷が、それ以上FDに転送されない状態にする。これにより、第1カラーパタンに対応する第1フレームの露光の電荷を蓄えたフォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに移動し保持する。
【0089】
図16は、読み出し(read)のタイミングチャート例を示す図である。上から順に制御線RST、TRG、SELの信号レベルを示している。図14に示すように、読み出し(read)の制御では、オートゼロ「Auto zero」、FDリセット、FD転送、AD変換を連続的に行う。
【0090】
オートゼロでは、制御線SELをハイ(High)にすることより、トランジスタSW3を導通状態にする。これにより、FDの電圧がトランジスタAMPの増幅作用により増幅され、VSLに伝導される。これによりFDに蓄積された第1フレームの露光蓄積の電荷量に応じた電圧がVSL線に伝導される。
【0091】
続けて、AD変換器208では、AZ回路の機構によりVSL線の電位とAZ基準電圧とのオフセットを記録、保持する。制御SELを再びロウ(Low)にすることによりトランジスタSW3を非導通状態にし、FDの電荷量の変化がVSL線に伝導しないように制御する。
【0092】
続けて、FDリセットは制御線RSTをハイ(High)にすることにより、トランジスタSW2を導通状態にする。これによりFDの電荷をVss線に導通してリセットする。FDをリセットし、制御線RSTを再びロウ(Low)とすることにより、トランジスタSW2を非導通状態にする。
【0093】
続けて、FD転送では、制御線TRGをハイ(High)にすることにより、トランジスタSW1を導通状態にする。これにより、フォトダイオードPDの電荷をFDに転送する。次に、第2フレーム、つまり第2カラーパタンにおいて露光蓄積されたフォトダイオードPDの電荷をFDに転送、保持する。
【0094】
続けて、AD変換では、制御線SELをHighハイ(High)にすることにより、トランジスタSW3を導通状態にする。これにより、FDの電圧をトランジスタAMPの増幅作用により増幅して、VSL線に電圧を伝導する。このように、第2フレームの露光蓄積の電荷量の情報を、VSL線を介して供給可能となる。AD変換器208では、このVSL線に伝導された電圧値をAD変換する。これにより、第1カラーパタンに対応する第1フレームにおける露光蓄積の電荷量に比例する電圧と、第2カラーパタンに対応する第2フレームにおける露光蓄積の電荷量に比例する電圧と、の差分がAD変換される。
そして、AD変換の終了後SELをロウ(Low)にして、トランジスタSW3を非導通状態にする。
【0095】
図17、及び図18は、第1カラーパタン提示時のコンパレータ(図12)入力のVSL(AZ通過後)L170、DAC(AZ通過後)の波形を示す図である。図17は、第1カラーパタンに画素が感度を有する場合、すなわち光電変換する場合を示す図である。
【0096】
上述のように、第1カラーパタン、第2カラーパタンは排他的に構成されるので、特定の1画素では第1カラーパタン、第2カラーパタンのいずれか片方でしか光電変換が行われない。図17のVSL(AZ通過後)L170に示すように、電荷は負のエネルギーを持つので、電荷が多いほど負の電圧が大きくなる。図17では下方向が電圧では負になりエネルギーは大きくなる。
【0097】
第1カラーパタンに有効な光が存在するAD変換は、読み出し「read」(図13参照)の制御のときに行われる。図17の制御ステートは、図16における読み出し「read」のタイミングチャートに対応する。オートゼロ(AZ)ステートではFDに蓄積された電荷の電圧がVSL(AZ通過後)L170に現れる。そのため、第1フレームで撮像された第1カラーパタンにおける蓄積電荷に応じた値があるため、VSL(AZ通過後)L170の電圧は大きく下に振れる。VSL(AZ通過後)L170の電圧が安定したところでオートゼロのAZ回路(図12)を有効にし、VSL(AZ通過後)L170の電圧と、DAC(AZ通過後)の電圧とをAZ基準電圧に揃え、ここを基準点にする。AZ回路(図12)はその後、このオフセット値を維持しオフセット値を加算した出力をVSL(AZ通過後)L170、およびDAC(AZ通過後)に出力し続ける。なお、FD reset、FD転送ステートでは、VSLは高インピーダンス(Hi-Z)になっているので大きくは変化しない状態で維持される。
【0098】
続くAD変換ステートでは第2フレームの値が読み出される。第2フレームは第2カラーパタンに対応する光は撮像さえず、環境光の反射に起因する露光が行われる。このため、VSL(AZ通過後)電圧L180は、第1フレームのVSL線の電圧に対して小さくなり、大きく上に振れる。VSL(AZ通過後)電圧L170が安定した後に、AD変換が実行される。DAC回路(図12参照)の出力を電圧の高い方から低い方へリニアに変化させるシングルスロープAD変換を示している。ADCカウンタはDACのスロープスタートで0から一定間隔でインクリメント(increment)する。VSL(AZ通過後)電圧L170とDAC電圧とが交差するところでコンパレータが反転し、カウンタのカウントを止める。このカウンタの値がデジタルデータ(Digital data)となり信号処理部210に供給される。カウンタとDAC回路のスロープは同期しており、AZ基準電圧のカウント値は一定であり予め設定されている。このため、コンパレータが反転したときのカウント値からAZ基準電圧のカウンタ値を引くことによって、ADコンバータの結果を正負の値として取得可能となる。図17に示すように、画素が第1カラーパタン(pattern 1)に感度がある場合には、負の値が結果になる
【0099】
図18は、第2カラーパタンに画素が感度を有する場合、すなわち光電変換する場合を示す図である。AD変換の方法は、前述した図17と同等の手順である。特定画素の光電変換素子への透過光量は、第1フレームが多く(暗く)、第2フレームが少ない(明るい)ためAZステートのVSL(AZ通過後)電圧L180の振幅は小さく、AD変換ステートでは下の方向に振れるAD変換の結果は正の値となる。このように、特定の画素において、第1カラーパタン(pattern1)に感度がある場合は負の値となり、第2カラーパタン(pattern2)に感度がある場合は正の値になる。
【0100】
これらから分かるように、R/G/Bの画素(図4参照)の結果を総合的に用いることにより、第1カラーパタン(pattern1)と第2カラーパタン(pattern2)とのそれぞれのカラーコードを1度のAD変換により判別することが可能となる。また第1カラーパタン(pattern1)と第2カラーパタン(pattern2)との配色の組み合わせと、差分AD変換を行うイメージセンサ204とにより、ノイズとなる環境光の影響の軽減をしつつ、2つのカラーパタンを同時に取得することが可能となる。
【0101】
再び図13を参照すると、第1カラーパタン(pattern1)を含む第1フレーム、第2カラーパタン(pattern 2)を含む第2フレームの期間は、同時に環境光による反射光を露光している。これらは測定の際にはノイズとなる。このため、測距の測定の際にノイズとなる光を抑えるため暗室のような環境を作るのだが、本発明では影響光の影響が軽減されるため、必ずしも暗室を構築しなくて済むため、測定環境の自由度が増加する。
【0102】
以下に、より詳細に、本実施形態による環境光反射の抑制について説明する。ここで、第1フレーム期間の環境光反射の露光をN1(ノイズ)、第2フレーム期間の環境光反射の露光をN2(ノイズ)とする。また、第1カラーパタン(pattern 1)の色をP1C、第2カラーパタンの色をP2Cとすると、(2)式に示す様に、第1フレームではP1C+N1、第2フレームではP2C+N2が露光される。
【0103】
ここで測定シーンは静止物体で環境光の変化が無いことを仮定できるため、N1=N2となるので、差分AD変換を行うことにより、第2フレームの露光から第1フレームの露光の減算を行うことが可能となる。
【数2】
【0104】
このように、環境光反射の露光成分N1、N2が消え、カラーパタンP1C、P2Cの露光成分の情報だけが抽出される。また、本実施形態のカラーパタンでは色成分に分離すると、各色に於いて第1カラーパタン(pattern 1)、第2カラーパタン(pattern 2)のいずれかは、発光しない0となる。このため、本実施形態に係るイメージセンサ204は、上述したようにR/G/Bのいずれかを通すカラーフィルターを用いて色を分離しているため、R/G/Bの色ごとでは、第1カラーパタン(pattern 1)、又は、第2カラーパタン(pattern 2)のいずれかの発光に対応する値しか存在しなくなる。例えば、上述のように、Color bar Noが1番の場合、P1Cの色成分(R、G、B)は(1、0、0)で、P2Cの色成分(R、G、B)は(0、1、1)になる。これを色成分ごとに式2で解くと、(-1、1、1)となる。ここで、P1Cは負の値であるので-1を1とし、正の値を0に置き換えると、(1、0、0)となり、P2Cは正の値であるので1を1とし負の値を0に置き換えると、(0、1、1)となり、Color bar Noの2つの色を判別することが可能となる。
【0105】
また、通常動作であれば、第1期間と第2期間との2回のAD変換を行い、算術的に減算処理することも可能となる。しかし、AD変換には多くの電力を消費し、データ量が多く、算術処理にも電力を消費してしまう。一方で、本実施形態では、AD変換を1度に行うことにより消費電力およびデータ量、算術処理を削減可能としている。なお、本実施形態では、アナログ回路により差分を取得しているが、対応する処理をデジタル演算によって行っても良い。
【0106】
図19は、図6Aで示したカラーパタンを反射率(R:50%、G:100%、B:75%)の物体に投映した場合の輝度を示す表である。すなわち、物体の反射率がR(赤)50%、G(緑)100%、B(青)75%の物体に投影したときの表面の明るさを示す。ここでは、値を、0~255の分解能としている。
【0107】
図20は、図6Aで示したカラーパタンを反射率(R:50%、G:100%、B:75%)の物体に投映し差分AD変換をした結果を示す表である。ここでは、値を、-255~255の分解能としている。第1カラーパタン(pattern 1)は負の数値、第2カラーパタン(pattern 2)は正の数値になる。この-255~255の範囲を分解能とした(R、G、B)の値が画像信号として、第2信号処理部312に供給される。
【0108】
第2信号処理部312は、差分AD変換後の値ADが、しきい値TH(正の数とする)より大きいとき、すなわち、AD>THのときは結果を1とし、しきい値THに-1をかけたときより小さいとき、すなわち、AD<-THのときは結果を-1とする。また、値ADが、-TH≦AD≦THのときには結果を0とする。しきい値THはノイズを考慮した数値に設定することによりノイズの影響を除外することができる。デバイスの能力にもよるがここではTH=10とした結果を図21に示す。すなわち、通常の撮影状態では、反射率、物体への距離は未知の値であり、距離による減衰、その他のノイズを考慮し、0値周辺にしきい値を用意し、しきい値以上の絶対値のある部分を有意な光と判別することとする。
【0109】
図21は、有意なカラー成分に変換した結果を示す表である。すなわち、第2信号処理部312が分AD変換後の値に基づき、有意なカラー成分に変換した結果例を示す表である。
【0110】
また、図22は、図6Aで示したパタンを本実施形態に係る差分AD変換を通した場合の結果を示す表である。理論差分AD変換後は(2)式にしたがい、第2カラーパタン(pattern2)から第1カラーパタン(pattern1)を引いた計算結果を示している。図21、22の結果から分かるように、理論差分AD変換後の行の値は、第2信号処理部312が生成した値と一致する。このように、反射率を考慮したイメージセンサによる測定により、パタンの測定が可能となる。
【0111】
図23は、青色光を反射しない物体を測定した結果を示す表である。図23に示すように、0が含まれたときは、測定物体の反射が無い色を特定し、これによりカラーストライプの番号(Color bar No)の範囲を絞ることが可能となる。例えば、測定結果が、{R、G、B}={-1、1、0}を示す場合、B(青)の反射がない物体であり、これは投影された光のカラーストライプの組み合わせ(Color bar 組み合わせ)(図19参照)が、1番か2番であることを示す。
【0112】
第2信号処理部312は、これを元に、この測定点の周囲状況、例えば、左隣、右隣の色結果等で推測して補完していくことが可能となる。第2信号処理部312では、このColor bar No.1の左隣は、6番であるが、2番の左隣は1番であること、2番の右隣は3番であるが、1番の右隣は2番であることなどの特徴を用いて補完推測を行うことが可能となる。例えば第2信号処理部312は、ストライプの場合は色の変化点が測定ポイントになるので、1番と2番との境目、2番と3番との境目等の検出した変化点を全ての画像位置と、どのColor bar No.の境目かの情報を、測距データとして3次元計測演算部316(図3参照)に送ることが可能となる。3次元計測演算部316は、画像位置から撮像部200と測定点の角度を割り出し、また、Color bar No.情報から投影部100と測定点の角度を割り出し、予め定めておいた投影部100と撮像部200間の距離Lの3つの情報から三角測量により測定点の距離を計算する。3次元計測演算部316は、全ての測定ポイントPで距離を計算し、そのデータをデータ出力I/F318を介して、ストレージに保存したり、ディスプレイに表示したり、する。
【0113】
一方、比較例(図10参照)に示すように、反射がない場合は、その色の結果は0となる。例えば、{R、G、B}={1、0、0}となった場合、従来例では、測定物体が全ての色を反射したのか、G(緑)の反射がないのか、B(青)の反射がないのかの区別がつかなくなる。したがって、1番の可能性、B(青)が欠損した2番である可能性、G(緑)が欠損した4番である可能性が残る。このため、周囲の測定結果で推測する際の、情報の正確さが本実施形態に対して劣る結果となる。また、5番のように、光が反射して帰ってこない場合は、物体の形状を確認することが出来ないため、物体が欠けて見える測定結果となる。
【0114】
このように、比較例では測距のために1つのカラーパタンしか投影しないために、物体の色は特定困難となる。一方で本実施形態では、2つのカラーパタンによりR、G、Bの三原色を照射しているため、測定物体の色再現が可能となる。
【0115】
図20を再び参照すると、図20では、反射率、R:50%、G:100%、B:75%の物体に、照射して反射してくる色ごとの輝度を示している。数値は0~255までの範囲で正規化した表現である。このため、50%は127となり、100%は255となり、75%は191となる。この測定結果を用いて色再現を行うためには、各色輝度を絶対値に変換することで測定物体の色を得ることが可能となる。例えば第2信号処理部312(図3参照)は、図20では、Color bar Noの1番では、{-127、255、191}であるので負の値の絶対値をとることにより、{127、255、191}を生成することが可能となる。
【0116】
一方で、測定物体に白色光を当てた場合を考える。白色の色成分は{255、255、255}であり、測定物体の反射率は{50%、100%、75%}である。これらを色成分ごとに乗算し小数点以下を切り捨てると、{127、255、191}という色になる。これは図20において、Color bar Noの1番から計算した値と一致する。第2信号処理部312(図3参照)は、画像生成部314(図3参照)は、これらの一連の変換を、イメージセンサ204で得た全ての画素に対して行い、画像生成部314(図3参照)に供給する。そして、画像生成部314は、RGB{127、255、191}などの撮像画素P206毎のデジタル画素信号に基づき、2次元のRGB画像データを生成し、データ出力I/F318を介して、ストレージに記録したり、ディスプレイに表示したりする。
【0117】
図24は、ド・ブラウン(de bruijn)により生成したカラーストライプパタン(color bar No.)を示す表である。図24に示すように、ド・ブラウンの色配列や、マトリックスタイルパタンでも、本実施形態に係るカラーパタンを構成可能となる。図25は、ド・ブラウン列のアルゴリズムによる循環パタンの拡張の例を示す図である。図24、25に示すように、例えば、第1カラーパタン(pattern1)の中で、左が赤(red)で右が緑(green)のパタンは一箇所だけであり、同様に他の色の組み合わせも一箇所だけになる。
【0118】
ここでも、上述の実施形態と同様に、色成分ごとに発光の有り、無で構成してもよい。すなわち排他的な組み合わせで作成される。このため、第2カラーパタン(pattern2)は第1カラーパタン(pattern1)で用いられなかった色成分により構成される。第2カラーパタン(pattern2)においても隣接した2つの色の組み合わせは全てユニークとなる。これらは30の色の循環となり一番右、例えば第1カラーパタン(pattern1)のスカイブルー(sky blue)の右は赤(red)となり、再び30の色の循環を繰り返す。繰り返しによってつながった色もユニークな組み合わせとなる。図24で示すカラーストライプパタンでも上述の処理が可能である。但し、左隣または右隣の組み合わせを見て、図24のド・ブラウン(de bruijn)列により改良したカラーストライプパタンに一致するカラーストライプパタンの番号(Color bar no)を検索して特定する。特定の色成分の反射がないなどの場合も同様に両隣の色の組み合わせで補完を行うことが可能である。なお、6色の循環に比べて数が増えるので、測定粒度を保ったまま視度差を広げたり、また、1つ1つの色の幅を狭くすることにより測定粒度を高めたり、することが可能となる。
【0119】
図26は、縦列方向に色の変化を拡張したカラータイルパタンを示す表である。カラータイル番号(Color tile No.)図27は、図26のカラータイルパタン例の配置を示す図である。図27の数字はカラータイル番号(Color tile No.)に対応する。
【0120】
図26、27に示すように、水平方向の色の順番はそのままにして、縦方向にも同じ順番で並べることも可能である。このようなパタンを1単位として横方向、縦方向に並べる。ここでも、本実施形態により、色成分ごとに発光の有り、発光の無しの組み合わせで作成され、第2カラーパタン(pattern2)は第1カラーパタン(pattern1)で用いなかった色成分により構成する。第2カラーパタン(pattern 2)においても隣接した2つの色の組み合わせは全てユニークとなる。カラータイルパタンにおいても、既に説明した方法により処理を行うことが可能である。但し、特定の色成分の反射がないなどの場合、左隣または右隣の色による推測に加えて、上または下の色による推測を用いることが出来る。これにより反射不足等の障害時に、補完演算のための情報が増えるので、補完の正確性がより向上する。また、カラータイルパタンでもド・ブラウン式や別の循環パタンを用いてもよい。
【0121】
図28は、カウンタ差分、デジタル差分の読み出し(read)のタイミングチャートを示す図である。図28は、AD変換を2回行う例を示す図である。上から順に制御線RST、TRG、SELの信号レベルを示している。図28に示すように、読み出し(read)の制御では、オートゼロ「Auto zero」、AD変換、FDリセット、FD転送、AD変換を連続的に行う。なお、シャッター(shutter)ステート、FD転送ステートの制御は、図14、15の例と同等である。一方で、読み出し(read)ステートの制御は異なる。図28に示すように、オートゼロ「Auto zero(2) 」、AD変換(2)、FDリセット、FD転送、AD変換(3)が連続して行われる。
【0122】
オートゼロ「Auto zero(2)」では画素(図11参照)では、トランジスタSW11を非導通状態とし、AD変換部208のAD変換器(図4参照)はAZ回路の機構によりVSL線の電圧とAZ基準電圧とのオフセットを記録、保持する。AD変換(2)ステートでは、制御線SELをハイ(High)にすることによりトランジスタSW3を導通状態とし、FDの電圧をトランジスタAMPにより増幅させた値でVSL線に伝導する。これにより、FDに蓄積された第1フレームの露光蓄積の電荷量に応じた電圧がVSL線に伝導される。AD変換器(図4参照)はVSL線の電圧に対して一回目のAD変換を行う。これは、即ち第1フレームで蓄積された電荷量に比例する電圧をAD変換していることとなる。制御線SELを再びロウ(Low)にすることにより、トランジスタSW3を非導通状態とし、FDの電荷量の変化がVSL線に影響しないようにする。
【0123】
FDリセットは制御線RSTをハイ(High)にすることにより、トランジスタSW2を導通状態とし、FDの電荷をVss線に流してリセットする。FDのリセット後に、制御線RSTを再びロウ(Low)にして、トランジスタSW2を非導通状態とする。FD転送は、制御線TRGをハイ(High)にすることにより、トランジスタSW1を導通状態とし、PDの電荷をFDに転送する。これにより、第2フレームの露光蓄積されたPDの電荷がFDに転送され、保持される。
【0124】
AD変換(3)では、制御線SELをハイ(High)にし、トランジスタSW3を導通状態とする。これにより、FDの電圧をトランジスタAMPにより増幅して、VSL線に伝導させる。これにより、第2フレームにおける露光蓄積の電荷量に比例する電圧を、VSL線を介して伝導できる。AD変換器では、この値のAD変換を行う。これは、すなわち第2フレームにおける露光蓄積の電荷量に比例する電圧をAD変換していることとなる。AD変換の終了後制御線SELをロウ(Low)にして、トランジスタSW3を非導通状態とする。
【0125】
図29は、図28のタイミングチャートに対応するADCのコンパレータ入力のVSL(AZ通過後)、DAC(AZ通過後)の波形を示す図である。図29は、特定画素が第1カラーパタンに感度を有する場合である。図29のVSL(AZ通過後)L290に示すように、電荷は負のエネルギーを持つので電荷が多いほど負の電圧が大きくなる。図29では下方向が電圧では負になりエネルギーは大きくなる。
【0126】
オートゼロ(AZ)ステートではVSL(AZ通過後)L290とDAC(AZ通過後)の電圧をAZ基準電圧に揃え、ここを基準点にする。AZ回路はその後、このオフセット値を維持しオフセット値を加算した出力をVSL(AZ通過後)L290およびDAC(AZ通過後)に出力し続ける。AD変換(2)ステートではFDに蓄積された電荷の電圧がVSLに現れる。そのため、第1フレームでの蓄積電荷に投影光に応じた蓄積量があるためVSL(AZ通過後) L290は大きく下に振れる。VSL(AZ通過後) L290が安定したところで一回目のAD変換を行い、予め0にクリアしていたADCカウンタでカウントする。
【0127】
DACの出力を電圧の高い方から低い方へリニアに変化させるシングルスロープAD変換を示している。ただし、本実施形態ではカウンタによる差分処理を行うため、ここではカウンタをデクリメント(decrement)する。VSL(AZ通過後)とDAC(AZ通過後)の電圧が交差するところでコンパレータが反転しADCカウンタは停止し値を保持する。
【0128】
FDリセット(reset)、FD転送ステートではVSL線L290は高インピーダンス(Hi-Z)になっているので大きくは変化しない状態が維持される。続くAD変換ステートでは第2フレームの値が読み出される。第2フレームでは第2カラーパタンに対する感度がなく、環境光の反射の露光成分が主として蓄積電荷に変換される。このため、第1フレームの値に対して蓄積電荷量に応じた電圧が小さくなる。このように、AZ基準電圧に対して小さく下の位置に振れる。図29に示すように、第1フレームに大きな値があるので結果として上に振れることになる。VSL(AZ通過後)L290が安定した後に、2回目のAD変換を実行する。ADCカウンタは一回目のAD変換の値から今度は、インクリメント(increment)する。VSL線の電圧とDACが交差するところでコンパレータが反転しカウンタのカウントを止める。一回目のAD変換で負の方向にカウントしていたので、このカウンタの値が2つのフレームの差分結果となり信号処理部210に供給されるデクリメント(decrement)の値の方が大きいため結果は負の値となる。
【0129】
図30は、特定画素が第2カラーパタンに感度を有する場合を示す図である。AD変換の方法は、図29に示した手順と同等である。第1フレームが暗く第2フレームが明るいためAD変換(2)ステートのVSL(AZ通過後)L300の値は小さくなり、AZ基準電圧から小さく下に振れ、AD変換(2)では大きく下に振れて、インクリメント(increment)の値の方が大きいため結果は正の値となる。これによって図17、18と同等の結果を得られ、以降の処理は図17、18と同じように行うことが可能となる。
なお、本実施形態ではADCカウンタのインクリメント(increment)とデクリメント(decrement)による実装を行ったが、回路削減のためにAD変換(2)ステートもインクリメント(increment)を行い、AD変換(3)ステートの前に反転することによって差分処理を実行してもよい。また、AD変換(2)時にインクリメント(increment)で第1フレームのAD変換を行い、その値を信号処理部に送ってもよい。その後に、AD変換(3)時の前にADCを0にクリアし、第2フレームのAD変換を行い、その値を信号処理部に送り、信号処理部は2つの差分をデジタル回路で実行させてもよい。
【0130】
以上説明したように、本実施形態によれば、投影部100が、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとを順に測定対象T100に投影し、情報処理部300が、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとに基づき、測定対象T100までの距離を測定する。この場合、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、異なる波長帯域の光である。これにより、測定対象T100により、一方の波長帯域の光が吸収されても、他方の波長帯域の光が反射さるようにカラーパタンを構成可能となる。
【0131】
また、第1カラーパタンと、第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光が3つの波長帯域の光の組合せで構成され、同一投影領域に対し、第1カラーパタンでは3つの波長帯域の光の少なくとも1波長帯域の光を投影し、第2カラーパタンでは3つの波長帯域の光のなかの残りの波長帯域の光を投影することとした。これにより、測定対象T100により、3つの波長帯域の光のいずれかが吸収されても、他の波長帯域の光が反射さるので、測定対象T100までの距離測定が可能となる。また、3つの波長帯域の光のそれぞれの反射強度を画素信号として生成可能となり、測定対象T100の有する色の情報を生成可能となる。
【0132】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
【0133】
(1) 所定の第1カラーパタンと、所定の第2カラーパタンとを順に測定対象に投影する投影部と、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとに基づき、前記測定対象までの距離を測定する情報処理部と、
を備え、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、異なる波長帯域の光である、測距装置。
【0134】
(2) 前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、3つの波長帯域の光の組合せで構成され、前記同一投影領域に対し、前記第1カラーパタンでは前記3つの波長帯域の光の少なくとも1波長帯域の光を投影し、前記第2カラーパタンでは前記3つの波長帯域の光のなかの残りの波長帯域の光を投影する、(1)に記載の測距装置。
【0135】
(3) 前記3つの波長帯域の光のそれぞれは、赤色帯域、緑色帯域、及び青色帯域の光のいずれかである、(2)に記載の測距装置。
【0136】
(4) 前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとを投影された前記測定対象を順に撮像する撮像部を、に備える、(3)に記載の測距装置。
【0137】
(5) 前記撮像部は、
前記投影部における前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの投影タイミングと、前記撮像部の撮像タイミングを制御する制御信号を生成するタイミング生成部を有する、(4)に記載の測距装置。
【0138】
(6) 前記撮像部は、
赤色帯域の光に感度を有し、緑色帯域、及び青色帯域への感度が赤色帯域の光より抑制された赤色画素と、緑色帯域の光に感度を有し、赤色帯域、及び青色帯域への感度が緑色帯域の光より抑制された緑色画素と、青色帯域の光に感度を有し、赤色帯域、及び緑色帯域への感度が青色帯域の光より抑制された青色画素と、で構成される撮像画素が2次元状に配置された画素アレイを有する、(5)
に記載の測距装置。
【0139】
(7) 前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれは、前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンのいずれかに対してより多くの画素信号を生成する、
(6)に記載の測距装置。
【0140】
(8) 前記撮像部は、
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれに対して、前記第1カラーパタンに応じて蓄積された第1蓄積電荷量と、前記第2カラーパタンに応じて蓄積された蓄積電荷量と、の差分に応じた電圧をデジタル画素信号に変換する、(6)に記載の測距装置。
【0141】
(9) 前記タイミング生成部が生成する制御信号に基づき、
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれは、前記第1カラーパタンに対する撮像時間と、前記第2カラーパタンに対する撮像時間とが、等しくなるように制御される、(6)に記載の測距装置。
【0142】
(10) 前記情報処理部は、
前記第1カラーパタンに対する前記撮像画素の出力信号と、前記第2カラーパタンに対する前記撮像画素の出力信号と、に基づき、前記測定対象のカラー画像を生成する画像生成部を有する、(6)乃至(9)のいずれか一項に記載の測距装置。
【0143】
(11) 前記情報処理部は、
前記デジタル画素信号に基づき、前記第1カラーパタン及び前記第2カラーパタンを撮像したデジタル画像から順にパタンを検出し、前記検出したパタンと前記投影部が投影した前記第1カラーパタン、及前記第2カラーパタンの少なくともいずれかを対応させ、前記測定対象の各部分までの距離を生成する計測部を有する、(8)に記載の測距装置。
【0144】
(12) 前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンは、複数の区画領域で構成され、各区画領域のそれぞれの光の色は、前記赤色帯域、前記緑色帯域、及び前記青色帯域の光のいずれか、又は、前記赤色帯域、前記緑色帯域、及び前記青色帯域の光の中の2つに組み合わせのいずれかである、(2)乃至(4)のいずれか一項に記載の測距装置。
【0145】
(13) 前記複数の区画領域は、グループ化されており、グループ内の区画領域ごとの光の色は全て異なる、(12)に記載の測距装置。
【0146】
(14) 前記複数の区画領域において、隣接した2つの色の組み合わせは全て異なる、(12)に記載の測距装置。
【0147】
(15) 前記複数の区画領域の色は、ド・ブラウン列による循環パタンである、(14)
に記載の測距装置。
【0148】
(16) 前記複数の区画領域は、行列状に2次元配置されたタイルパタンである、(12)
乃至(15)のいずれか一項に記載の測距装置。
【0149】
(17) 前記撮像部は、
前記撮像画素内の前記赤色画素、前記緑色画素、及び前記青色画素のそれぞれに対して、前記第1カラーパタンに応じて蓄積された第1蓄積電荷量に応じた電圧を第1デジタル信号に変換し、前記第2カラーパタンに応じて蓄積された蓄積電荷量に応じた電圧を第2デジタル信号に変換し、それぞれの差分をデジタル画素信号とする、(6)に記載の測距装置。
【0150】
(18) 前記情報処理部は、
前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンを生成するパタン生成部を有し、前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンの情報を有する信号を前記投影部に供給する、(1)乃至(17)のいずれか一項に記載の測距装置。
【0151】
(19) 前記撮像部は、
赤外域の波長帯域を3つの波長帯域に分け、それぞれの波長帯域のみに感度を有する画素で構成され、
前記第1カラーパタン、及び前記第2カラーパタンは、前記赤外域の前記3つの波長帯域のそれぞれで構成される、(1)に記載の測距装置。
【0152】
(20) 前記撮像部は、
少なくとも波長帯域を2つの波長帯域に分け、それぞれの波長帯域のみに感度を有する画素で構成される、(1)に記載の測距装置。
【0153】
(21) 所定の第1カラーパタンと、所定の第2カラーパタンとを順に測定対象に投影する投影工程と、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとに基づき、前記測定対象までの距離を測定する情報処理工程と、
を備え、
前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、前記第1カラーパタンと、前記第2カラーパタンとの同一投影領域に投影される光は、ことなる波長帯域の光である、測距方法。
【0154】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0155】
1:測距装置、100:投影部、200:撮像部、206:画素アレイ、214:タイミング制御部、300:情報処理部、304:パタン生成部、316:3次元計測演算部、314:画像生成部、P206:撮像画素。
図1
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図6A
図6B
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