IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特開-農作業機 図1
  • 特開-農作業機 図2
  • 特開-農作業機 図3
  • 特開-農作業機 図4
  • 特開-農作業機 図5
  • 特開-農作業機 図6
  • 特開-農作業機 図7
  • 特開-農作業機 図8
  • 特開-農作業機 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191070
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
A01B69/00 303A
A01B69/00 303M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099696
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】太田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】大久保 樹
(72)【発明者】
【氏名】久保田 祐樹
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB06
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB14
2B043DA01
2B043DA17
2B043EA02
2B043EB05
2B043EB15
2B043EB22
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC16
2B043EC18
2B043ED02
2B043ED12
(57)【要約】
【課題】自動操舵走行中に、自動操舵走行での進行方向を変更可能な農作業機を提供する。
【解決手段】走行装置を有する機体10の走行を制御する走行制御部と、自動操舵のための基準方位を決定する方位決定部と、基準方位に基づいて走行経路GLを生成する経路生成部と、を備え、走行制御部は、走行経路GLに基づいて機体10の走行を制御し、経路生成部は、人為操作具45の操作に応じて、元の走行経路GL1の方向とは異なる方向の新たな走行経路GL2を生成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置を有する機体の走行を制御する走行制御部と、
自動操舵のための基準方位を決定する方位決定部と、
前記基準方位に基づいて走行経路を生成する経路生成部と、を備え、
前記走行制御部は、前記走行経路に基づいて前記機体の走行を制御し、
前記経路生成部は、人為操作具の操作に応じて、元の前記走行経路の方向とは異なる方向の新たな前記走行経路を生成する農作業機。
【請求項2】
平面視において、前記新たな走行経路は、前記機体における特定の基準点を通る請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
機体位置情報を取得する取得部を備え、
前記経路生成部は、前記機体位置情報に基づいて前記新たな走行経路を生成し、
平面視において、前記新たな走行経路は、前記元の走行経路上における、前記人為操作具操作時の前記機体の位置に対応する点である対応点を通る請求項1に記載の農作業機。
【請求項4】
前記対応点は、前記人為操作具操作時の前記機体の位置から前記元の走行経路への投影点である請求項3に記載の農作業機。
【請求項5】
前記人為操作具は、操舵のための操舵操作具である請求項1から4の何れか一項に記載の農作業機。
【請求項6】
操舵のための操舵操作具と、
前記走行制御部の制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替えるモード切替部と、を備え、
前記走行制御部の制御モードが前記第1モードであるとき、前記走行制御部は、前記走行経路に基づいて前記機体の走行を制御し、
前記走行制御部の制御モードが前記第2モードであるとき、前記機体は、前記操舵操作具の操作に応じて走行する請求項1から5の何れか一項に記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行装置を備える農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような農作業機として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この農作業機(特許文献1では「田植機」)は、自動直進モードでの走行、及び、手動モードでの走行を行うことができるように構成されている。
【0003】
そして、自動直進モードでの走行において、この農作業機は、自動操舵走行を行う。また、手動モードでの走行において、この農作業機は、手動操舵によって走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-136015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の農作業機は、決定された基準方位に基づいて、走行経路を生成する。そして、この走行経路に沿って自動操舵走行を行う。
【0006】
ここで、自動操舵走行に先立って、基準方位の決定のために、オペレータは、第一登録ボタンと、第二登録ボタンと、を操作することによって、2つの地点を登録する必要がある。これら2つの地点の位置に基づいて、基準方位が決定される。そして、この基準方位に基づいて、走行経路が生成される。
【0007】
走行経路が生成された後、自動操舵走行での進行方向を変更するためには、一旦、手動操舵走行に切り替え、2つの地点を再度登録し、走行経路を改めて生成することが必要となる。即ち、特許文献1に記載の農作業機においては、自動操舵走行中に、自動操舵走行での進行方向を変更することはできない。
【0008】
本発明の目的は、自動操舵走行中に、自動操舵走行での進行方向を変更可能な農作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、走行装置を有する機体の走行を制御する走行制御部と、自動操舵のための基準方位を決定する方位決定部と、前記基準方位に基づいて走行経路を生成する経路生成部と、を備え、前記走行制御部は、前記走行経路に基づいて前記機体の走行を制御し、前記経路生成部は、人為操作具の操作に応じて、元の前記走行経路の方向とは異なる方向の新たな前記走行経路を生成することにある。
【0010】
本構成によれば、経路生成部により生成された走行経路に基づいて、自動操舵走行を行うことができる。そして、自動操舵走行中に、オペレータが人為操作具を操作すると、新たな走行経路が生成される。この新たな走行経路の方向は、元の走行経路の方向とは異なる。そのため、自動操舵走行での進行方向が変化することとなる。
【0011】
従って、本構成であれば、自動操舵走行中に、自動操舵走行での進行方向を変更可能な農作業機を実現できる。
【0012】
さらに、本発明において、平面視において、前記新たな走行経路は、前記機体における特定の基準点を通ると好適である。
【0013】
新たな走行経路が生成された時点で、機体が新たな走行経路から離れた位置に位置している場合、機体を新たな走行経路へ近付けるために旋回が必要となることがある。このとき、機体と新たな走行経路との間の距離が比較的長い場合、急旋回が行われる可能性がある。その結果、圃場の表面を荒らしてしまう事態が想定される。
【0014】
ここで、上記の構成によれば、新たな走行経路が生成された時点で、機体は走行経路上に位置することとなる。そのため、上述のように急旋回が行われる事態は起こりにくい。従って、圃場の表面を荒らしてしまう事態を回避しやすい。
【0015】
さらに、本発明において、機体位置情報を取得する取得部を備え、前記経路生成部は、前記機体位置情報に基づいて前記新たな走行経路を生成し、平面視において、前記新たな走行経路は、前記元の走行経路上における、前記人為操作具操作時の前記機体の位置に対応する点である対応点を通ると好適である。
【0016】
新たな走行経路が人為操作具操作時の機体の位置を通過するように生成される構成において、オペレータが人為操作具を操作する直前に、圃場の凹凸等の影響により、機体の走行位置が元の走行経路に対して左右方向に変化してしまうことが考えられる。その結果、人為操作具操作時の機体の位置が、オペレータの想定していた位置からずれることにより、オペレータの意図とは異なる位置に新たな走行経路が生成されてしまう事態が想定される。
【0017】
ここで、上記の構成によれば、新たな走行経路は、人為操作具操作時の機体の位置ではなく、元の走行経路上に位置する対応点を通るように生成される。そのため、オペレータが人為操作具を操作する直前に、圃場の凹凸等の影響により、機体の走行位置が元の走行経路に対して左右方向に変化した場合であっても、オペレータの意図した通りの位置に新たな走行経路が生成されやすい。
【0018】
さらに、本発明において、前記対応点は、前記人為操作具操作時の前記機体の位置から前記元の走行経路への投影点であると好適である。
【0019】
本構成によれば、機体の走行位置が元の走行経路に対して左右方向に変化することによって投影点の位置が変わることはない。即ち、機体の走行位置が元の走行経路に対して左右方向に変化しても、対応点の位置は変化しない。従って、オペレータが人為操作具を操作する直前に、圃場の凹凸等の影響により、機体の走行位置が元の走行経路に対して左右方向に変化した場合であっても、オペレータの意図した通りの位置に新たな走行経路が生成されやすい。
【0020】
さらに、本発明において、前記人為操作具は、操舵のための操舵操作具であると好適である。
【0021】
本構成によれば、人為操作具が操舵操作具とは別に設けられる構成に比べて、オペレータにより操作される操作具の個数が少なくなる。これにより、オペレータの操作負担が軽減されやすい。
【0022】
さらに、本発明において、操舵のための操舵操作具と、前記走行制御部の制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替えるモード切替部と、を備え、前記走行制御部の制御モードが前記第1モードであるとき、前記走行制御部は、前記走行経路に基づいて前記機体の走行を制御し、前記走行制御部の制御モードが前記第2モードであるとき、前記機体は、前記操舵操作具の操作に応じて走行すると好適である。
【0023】
本構成によれば、走行制御部の制御モードが第1モードであるとき、走行経路に基づいて自動操舵走行を行うことができる。また、走行制御部の制御モードが第2モードであるとき、オペレータが操舵操作具を操作することにより、手動操舵走行を行うことができる。そして、モード切替部は、走行制御部の制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替えることができる。
【0024】
即ち、本構成によれば、自動操舵走行と手動操舵走行との間で走行の状態を切り替え可能な農作業機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】制御部に関する構成を示すブロック図である。
図3】自動操舵走行が行われる場合の例を示す図である。
図4】自動操舵走行が行われる場合の例を示す図である。
図5】新たな自動操舵目標ラインが生成される前の状態を示す図である。
図6】新たな自動操舵目標ラインの生成を説明する図である。
図7】第1別実施形態における新たな自動操舵目標ラインの生成を説明する図である。
図8】第1別実施形態における新たな自動操舵目標ラインの生成を説明する図である。
図9】第1別実施形態における新たな自動操舵目標ラインの生成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図1に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。また、図1に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0027】
また、以下の説明においては、特に断りがない限り、図3図9に示す矢印Nの方向を「北」、矢印Sの方向を「南」、矢印Eの方向を「東」、矢印Wの方向を「西」とする。
【0028】
〔コンバインの全体構成〕
図1に示すように、普通型のコンバイン1(本発明に係る「農作業機」に相当)は、機体10、刈取部H、脱穀装置13、穀粒タンク14、搬送部16、穀粒排出装置18、衛星測位モジュール80を備えている。また、機体10は、クローラ式の走行装置11、運転部12、エンジン(図示せず)を有している。
【0029】
走行装置11は、コンバイン1における下部に備えられている。また、走行装置11は、エンジンからの動力によって駆動する。そして、コンバイン1は、走行装置11によって走行可能である。
【0030】
また、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられている。運転部12には、オペレータが搭乗可能である。運転部12は、運転座席12aを有している。運転座席12aには、オペレータが着座可能である。
【0031】
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の上側に設けられている。また、衛星測位モジュール80は、運転部12の上面に取り付けられている。
【0032】
刈取部Hは、コンバイン1における前部に備えられている。そして、搬送部16は、刈取部Hの後側に設けられている。また、刈取部Hは、刈刃15及びリール17を含んでいる。
【0033】
刈刃15は、圃場の植立穀稈を刈り取る。また、リール17は、機体左右方向に沿うリール軸芯17b周りに回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。刈刃15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送部16へ送られる。
【0034】
この構成により、刈取部Hは、圃場の穀物を収穫する。そして、コンバイン1は、刈刃15によって圃場の植立穀稈を刈り取りながら走行装置11によって走行する刈取走行が可能である。
【0035】
刈取部Hにより収穫された刈取穀稈は、搬送部16によって機体後方へ搬送される。これにより、刈取穀稈は脱穀装置13へ搬送される。
【0036】
脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
【0037】
尚、脱穀装置13や穀粒タンク14等は、機体10に含まれていても良い。
【0038】
また、図1に示すように、運転部12には、通信端末4が配置されている。通信端末4は、種々の情報を表示可能に構成されている。本実施形態において、通信端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、通信端末4は、コンバイン1の機外に位置していても良い。
【0039】
ここで、コンバイン1は、手動操舵走行及び自動操舵走行を行うことができるように構成されている。手動操舵走行とは、オペレータの手動操舵によって走行を行うことを意味する。また、自動操舵走行とは、自動操舵によって走行を行うことを意味する。自動操舵とは、自動的に操舵を行うことである。
【0040】
自動操舵走行に、αターンやUターン等の大きな方向転換が含まれていても良いし、含まれていなくても良い。また、自動操舵走行に、後進走行が含まれていても良いし、含まれていなくても良い。
【0041】
運転部12には、主変速レバー(図示せず)が設けられている。コンバイン1が手動操舵走行または自動操舵走行を行っているとき、オペレータが主変速レバーを操作すると、コンバイン1の車速が変化する。即ち、コンバイン1が手動操舵走行または自動操舵走行を行っているとき、オペレータは、主変速レバーを操作することにより、コンバイン1の車速を変更することができる。
【0042】
また、運転部12には、操舵操作具41(図2参照)が設けられている。コンバイン1が手動操舵走行を行っているとき、オペレータが操舵操作具41を操作すると、走行装置11における左右のクローラの間に速度差が生じるように構成されている。これにより、コンバイン1が旋回する。即ち、コンバイン1が手動操舵走行を行っているとき、オペレータは、操舵操作具41を操作することにより、コンバイン1の操舵を行うことができる。
【0043】
即ち、コンバイン1は、操舵のための操舵操作具41を備えている。
【0044】
図2に示すように、コンバイン1は、人為操作具45を備えている。本実施形態において、人為操作具45は、操舵のための操舵操作具41である。操舵操作具41は、レバー型の操作具であり、機体左右方向に揺動操作可能に構成されている。
【0045】
〔制御部に関する構成〕
図2に示すように、コンバイン1は、制御部20を備えている。制御部20は、走行制御部24を有している。
【0046】
走行制御部24は、走行装置11を制御可能に構成されている。走行制御部24は、走行装置11を制御することにより、機体10の走行を制御する。
【0047】
即ち、コンバイン1は、走行装置11を有する機体10の走行を制御する走行制御部24を備えている。
【0048】
尚、制御部20、及び、制御部20に含まれる走行制御部24等の各要素は、マイクロコンピュータ等の物理的な装置であっても良いし、ソフトウェアにおける機能部であっても良い。
【0049】
〔自動操舵走行に関する構成〕
図2に示すように、制御部20は、自動操舵制御部30を有している。自動操舵制御部30は、走行制御部24の制御モードを、第1モードと第2モードとの間で切り替えることができるように構成されている。
【0050】
走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、コンバイン1が自動操舵走行を行うように、走行装置11を制御する。
【0051】
また、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、走行制御部24に、操舵操作具41の操作に応じた信号が入力される。そして、走行制御部24は、この信号に応じて、走行装置11を制御することにより、機体10の走行を制御する。
【0052】
この構成により、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、機体10は、操舵操作具41の操作に応じて走行する。これにより、コンバイン1は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、手動操舵走行を行う。
【0053】
以下では、自動操舵走行に関する構成について詳述する。
【0054】
図2に示すように、制御部20は、自車位置算出部21(本発明に係る「取得部」に相当)を有している。
【0055】
図1に示すように、衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星GSからのGPS信号を受信する。そして、図2に示すように、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づいて、コンバイン1の自車位置を示す測位データを自車位置算出部21へ送る。
【0056】
尚、本発明はこれに限定されない。衛星測位モジュール80は、GPSを利用するものでなくても良い。例えば、衛星測位モジュール80は、GPS以外のGNSS(GLONASS、Galileo、みちびき、BeiDou等)を利用するものであっても良い。
【0057】
自車位置算出部21は、衛星測位モジュール80により出力された測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標(本発明に係る「機体位置情報」に相当)を経時的に算出する。これにより、自車位置算出部21は、コンバイン1の位置座標を取得する。
【0058】
即ち、コンバイン1は、コンバイン1の位置座標を取得する自車位置算出部21を備えている。
【0059】
また、図2に示すように、コンバイン1は、慣性計測装置81を備えている。また、制御部20は、自車方位算出部25を有している。
【0060】
慣性計測装置81は、コンバイン1の機体10のヨー角度の角速度、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を経時的に検知する。慣性計測装置81による検知結果は、自車方位算出部25へ送られる。
【0061】
自車方位算出部25は、自車位置算出部21から、コンバイン1の位置座標を受け取る。そして、自車方位算出部25は、慣性計測装置81による検知結果と、コンバイン1の位置座標と、に基づいて、コンバイン1の姿勢方位を算出する。
【0062】
より具体的には、まず、コンバイン1の走行中に、現在のコンバイン1の位置座標、及び、直前に走行していた地点におけるコンバイン1の位置座標に基づいて、自車方位算出部25は、初期姿勢方位を算出する。次に、初期姿勢方位が算出されてからコンバイン1が一定時間走行すると、自車方位算出部25は、その一定時間の走行の間に慣性計測装置81により検知された角速度を積分処理することにより、姿勢方位の変化量を算出する。
【0063】
そして、このように算出された姿勢方位の変化量を初期姿勢方位に足し合わせることによって、自車方位算出部25は、姿勢方位の算出結果を更新する。その後、一定時間毎に、姿勢方位の変化量が同様に算出されると共に、順次、姿勢方位の算出結果が更新されていく。
【0064】
以上の構成により、自車方位算出部25は、コンバイン1の姿勢方位を算出する。
【0065】
図2に示すように、自動操舵制御部30は、方位決定部31、経路生成部32、モード切替部33、直進判定部34を備えている。
【0066】
直進判定部34は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、機体10が所定距離D1に亘って直進したか否かを判定する。
【0067】
詳述すると、操舵操作具41の操作状態を示す信号が、操舵操作具41から自動操舵制御部30へ送られる。直進判定部34は、この信号に基づいて、操舵操作具41が操作されているか否かを経時的に判定する。
【0068】
また、コンバイン1の位置座標が、自車位置算出部21から自動操舵制御部30へ送られる。そして、直進判定部34は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標に基づいて、操舵操作具41が操作されていない間のコンバイン1の移動距離を算出する。算出された移動距離が所定距離D1に達した場合、直進判定部34は、機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定する。また、算出された移動距離が所定距離D1に達しない場合、直進判定部34は、機体10が所定距離D1に亘って直進していないと判定する。
【0069】
そして、方位決定部31は、直進判定部34によりコンバイン1が所定距離D1に亘って直進したと判定された場合、所定距離D1に亘って行われた直進の方向に基づいて基準方位TA(図3参照)を決定する。
【0070】
より具体的には、方位決定部31は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標に基づいて、操舵操作具41が操作されていない間のコンバイン1の位置座標の推移を記憶する。そして、直進判定部34により、コンバイン1が所定距離D1に亘って直進したと判定されたとき、方位決定部31は、記憶している位置座標のうちの2地点を、第1通過地点Y1及び第2通過地点Y2として決定する。
【0071】
このとき、方位決定部31は、直進判定部34によってコンバイン1が所定距離D1に亘って直進したと判定された時点でのコンバイン1の位置座標を、第2通過地点Y2として決定する。また、所定距離D1に亘って行われた直進の開始時点でのコンバイン1の位置座標を、第1通過地点Y1として決定する。
【0072】
言い換えれば、所定距離D1に亘って行われた直進の始点及び終点が、それぞれ、第1通過地点Y1及び第2通過地点Y2として決定される。
【0073】
そして、方位決定部31は、第1通過地点Y1と第2通過地点Y2とに基づいて、自動操舵制御のための基準方位TAを決定する。
【0074】
より具体的には、方位決定部31は、第1通過地点Y1から第2通過地点Y2へ向かう直線の方向を算出する。ここで、第1通過地点Y1から第2通過地点Y2へ向かう直線の方向は、所定距離D1に亘って行われた直進の方向に等しい。即ち、方位決定部31は、所定距離D1に亘って行われた直進の方向を算出する。そして、方位決定部31は、算出された方向を、基準方位TAとして決定する。
【0075】
基準方位TAの形式は、特に限定されないが、例えば、東西南北を基準とした形式(例えば、「北」や「北27度東」等)であっても良いし、座標系における単位ベクトルであっても良い。
【0076】
また、基準方位TAは、一方から他方への向きを有するものでなくても良い。例えば、基準方位TAは、座標系における直線の傾き(例えば、第1通過地点Y1と第2通過地点Y2とを通る直線の傾き)を示すものであっても良いし、座標系における直線そのもの(例えば、第1通過地点Y1と第2通過地点Y2とを通る直線そのもの)を示すものであっても良いし、東西南北を基準として方向を示すもの(例えば、「南北方向」や「東西方向」等)であっても良い。
【0077】
このように、コンバイン1は、自動操舵のための基準方位TAを決定する方位決定部31を備えている。
【0078】
尚、本発明はこれに限定されない。直進判定部34は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、コンバイン1が所定時間に亘って直進したか否かを判定するように構成されていても良い。そして、この場合、方位決定部31は、直進判定部34によりコンバイン1が所定時間に亘って直進したと判定された場合、所定時間に亘って行われた直進の方向に基づいて基準方位TAを決定するように構成されていても良い。
【0079】
尚、所定距離D1は、特に限定されないが、例えば1メートルであっても良い。また、所定時間は、特に限定されないが、例えば1秒であっても良い。
【0080】
方位決定部31が基準方位TAを決定すると、経路生成部32が自動操舵目標ラインGL(本発明に係る「走行経路」に相当)を生成すると共に、モード切替部33が走行制御部24の制御モードを第2モードから第1モードに切り替える。
【0081】
このとき、経路生成部32は、図3に示すように、平面視で機体10における特定の基準点Kを通ると共に基準方位TAに沿う方向に延びるように、自動操舵目標ラインGLを生成する。そして、自動操舵目標ラインGLを示す情報が、自動操舵制御部30から走行制御部24へ送られる。
【0082】
このように、コンバイン1は、基準方位TAに基づいて自動操舵目標ラインGLを生成する経路生成部32を備えている。
【0083】
本実施形態において、基準点Kは、刈取部Hの前端部における左右方向中央位置である。しかしながら、本発明はこれに限定されない。基準点Kは、例えば衛星測位モジュール80の位置であっても良い。
【0084】
走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、自車方位算出部25から受け取ったコンバイン1の姿勢方位と、自動操舵制御部30から受け取った自動操舵目標ラインGLを示す情報と、に基づいて、コンバイン1の走行を制御する。より具体的には、走行制御部24は、自動操舵目標ラインGLに沿った自動操舵走行によって刈取走行が行われるように、機体10の走行を制御する。このとき、走行制御部24は、例えば、基準点Kが自動操舵目標ラインGL上に位置するように、機体10の走行を制御する。
【0085】
即ち、走行制御部24は、自動操舵目標ラインGLに基づいて機体10の走行を制御する。より具体的には、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、自動操舵目標ラインGLに基づいて機体10の走行を制御する。
【0086】
尚、本実施形態において、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、オペレータが自動操舵終了ボタン(図示せず)を操作すると、モード切替部33は、走行制御部24の制御モードを第1モードから第2モードに切り替える。
【0087】
即ち、コンバイン1は、走行制御部24の制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替えるモード切替部33を備えている。
【0088】
ここで、方位決定部31により基準方位TAが決定されると共に、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わる場合について、例を挙げて説明する。
【0089】
図3及び図4に示す例では、コンバイン1は、圃場における外周側を走行している。図3において、コンバイン1は、まず、圃場の北東部の第1地点P1から圃場に進入する。このとき、走行制御部24の制御モードは第2モードである。また、このとき、基準方位TAは、まだ決定されていないものとする。そして、コンバイン1は、圃場の北端において、西へ向かって走行する。
【0090】
次に、コンバイン1は、第2地点P2を通過する。この時点で、オペレータが、操舵操作具41を直進状態に操作するものとする。これにより、コンバイン1は、第2地点P2から直進する。
【0091】
この例では、コンバイン1が第2地点P2を通過してから第3地点P3に到達するまでの間、オペレータは、操舵操作具41を操作しないものとする。また、第2地点P2から第3地点P3までの距離が、所定距離D1であるとする。
【0092】
この場合、コンバイン1が第3地点P3に到達した時点で、直進判定部34は、機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定する。これに応じて、方位決定部31は、基準方位TAを決定する。
【0093】
このとき、方位決定部31は、第2地点P2を第1通過地点Y1として決定する。また、方位決定部31は、第3地点P3を第2通過地点Y2として決定する。そして、方位決定部31は、第1通過地点Y1から第2通過地点Y2へ向かう直線の方向を算出し、この方向を基準方位TAとして決定する。図3において、基準方位TAは、西の方角に一致する。
【0094】
そして、基準方位TAが決定された直後に、自動操舵目標ラインGLが生成されると共に、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わる。この自動操舵目標ラインGLは、コンバイン1が第3地点P3に到達した時点での基準点Kの位置を通るように生成される。また、この例では、自動操舵目標ラインGLは、第2地点P2と第3地点P3とを通っている。また、この自動操舵目標ラインGLは、圃場の北端部において、東西方向に延びている。
【0095】
そして、図3に示すように、コンバイン1は、第3地点P3から、自動操舵走行を開始する。これにより、コンバイン1は、圃場の北端において西へ向かって自動操舵走行を行う。
【0096】
その後、コンバイン1が圃場の西端に到達すると、オペレータは、例えば上述の自動操舵終了ボタンを操作することにより、自動操舵走行を終了させる。これにより、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードに切り替わる。
【0097】
また、このとき、オペレータは、操舵操作具41を左側へ操作して、コンバイン1の進行方向を南方へ変更する。
【0098】
そして、図4に示すように、コンバイン1は、第4地点P4を通過する。この時点で、オペレータが、操舵操作具41を直進状態に操作するものとする。これにより、コンバイン1は、第4地点P4から直進する。
【0099】
この例では、コンバイン1が第4地点P4を通過してから第5地点P5に到達するまでの間、オペレータは、操舵操作具41を操作しないものとする。また、第4地点P4から第5地点P5までの距離が、所定距離D1であるとする。
【0100】
この場合、コンバイン1が第5地点P5に到達した時点で、直進判定部34は、機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定する。これに応じて、方位決定部31は、新たな基準方位TAを決定する。
【0101】
このとき、方位決定部31は、既に決定されていた基準方位TAを破棄する。即ち、図3に示した西向きの基準方位TAは、この時点で破棄される。そして、方位決定部31は、第4地点P4を第1通過地点Y1として決定する。また、方位決定部31は、第5地点P5を第2通過地点Y2として決定する。そして、方位決定部31は、第1通過地点Y1から第2通過地点Y2へ向かう直線の方向を算出し、この方向を基準方位TAとして決定する。図4において、基準方位TAは、南の方角に一致する。
【0102】
そして、基準方位TAが決定された直後に、自動操舵目標ラインGLが生成されると共に、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わる。この自動操舵目標ラインGLは、コンバイン1が第5地点P5に到達した時点での基準点Kの位置を通るように生成される。また、この例では、自動操舵目標ラインGLは、第4地点P4と第5地点P5とを通っている。また、この自動操舵目標ラインGLは、圃場の西端部において、南北方向に延びている。
【0103】
そして、図4に示すように、コンバイン1は、第5地点P5から、自動操舵走行を開始する。これにより、コンバイン1は、圃場の西端において南へ向かって自動操舵走行を行う。
【0104】
〔新たな自動操舵目標ラインの生成〕
経路生成部32は、コンバイン1が自動操舵走行を行っているとき、操舵操作具41の操作に応じて、新たな自動操舵目標ラインGLを生成するように構成されている。そして、新たな自動操舵目標ラインGLの方向は、元の自動操舵目標ラインGLの方向とは異なっている。
【0105】
即ち、経路生成部32は、人為操作具45の操作に応じて、元の自動操舵目標ラインGLの方向とは異なる方向の新たな自動操舵目標ラインGLを生成する。
【0106】
以下では、新たな自動操舵目標ラインGLの生成について詳述する。
【0107】
図5に示すコンバイン1は、東西方向に延びる第1ラインGL1に沿って、東へ向かって自動操舵走行を行っている。第1ラインGL1は、自動操舵目標ラインGLである。このとき、走行制御部24の制御モードは第1モードである。
【0108】
図5に示す状態においては、圃場の傾斜等の影響により、コンバイン1の走行位置が第1ラインGL1から南側にずれているものとする。そのため、基準点Kは、第1ラインGL1から離れた位置に位置している。尚、図5では、説明のために、コンバイン1と第1ラインGL1との間隔を誇張して示している。
【0109】
このとき、オペレータが操舵操作具41を左側へ操作すると、操舵操作具41から自動操舵制御部30へ所定の信号が送られる。経路生成部32は、この信号に応じて、図6に示すように、新たな自動操舵目標ラインGLである第2ラインGL2を生成する。
【0110】
詳述すると、経路生成部32は、操舵操作具41が操作された時点でのコンバイン1の位置座標に基づいて、操舵操作具41が操作された時点での基準点Kの位置を算出する。
【0111】
尚、コンバイン1の位置座標は、具体的には、衛星測位モジュール80の位置であっても良いし、基準点Kの位置であっても良い。コンバイン1の位置座標が基準点Kの位置である場合、経路生成部32は、コンバイン1の位置座標を、そのまま、基準点Kの位置として用いる。
【0112】
そして、経路生成部32は、平面視において、操舵操作具41が操作された時点での基準点Kの位置を通るように、新たな自動操舵目標ラインGLを生成する。
【0113】
即ち、平面視において、新たな自動操舵目標ラインGLは、機体10における特定の基準点Kを通る。
【0114】
尚、新たな自動操舵目標ラインGLは、基準点Kよりも機体後側においては生成されなくても良い。言い換えれば、基準点Kが新たな自動操舵目標ラインGLの端点であっても良い。この場合も、本発明に係る「特定の基準点を通る」に相当する。
【0115】
また、以上で説明した構成により、経路生成部32は、コンバイン1の位置座標に基づいて新たな自動操舵目標ラインGLを生成する。
【0116】
そして、図6に示すように、新たな自動操舵目標ラインGLである第2ラインGL2の方向は、元の自動操舵目標ラインGLである第1ラインGL1の方向とは異なっている。
【0117】
詳述すると、図6に示す例では、操舵操作具41が左側へ操作される。そのため、経路生成部32は、元の自動操舵目標ラインGLの方向に対して、平面視で左回りに所定角度だけ回転させた方向に延びるように、新たな自動操舵目標ラインGLを生成する。尚、この所定角度は、例えば1°であっても良いし、いかなる角度であっても良い。
【0118】
仮に、操舵操作具41が右側へ操作された場合は、経路生成部32は、元の自動操舵目標ラインGLの方向に対して、平面視で右回りに所定角度だけ回転させた方向に延びるように、新たな自動操舵目標ラインGLを生成する。
【0119】
このように、経路生成部32は、操舵操作具41の操作方向に応じて、新たな自動操舵目標ラインGLの方向を決定する。そして、新たな自動操舵目標ラインGLが生成された後、コンバイン1は、新たな自動操舵目標ラインGLに沿って自動操舵走行を行う。尚、新たな自動操舵目標ラインGLが生成される際、走行制御部24の制御モードは第1モードのままで維持される。
【0120】
新たな自動操舵目標ラインGLが生成される際、元の自動操舵目標ラインGLは破棄されても良いし、経路生成部32等に記憶されても良い。
【0121】
以上で説明した構成であれば、経路生成部32により生成された自動操舵目標ラインGLに基づいて、自動操舵走行を行うことができる。そして、自動操舵走行中に、オペレータが人為操作具45を操作すると、新たな自動操舵目標ラインGLが生成される。この新たな自動操舵目標ラインGLの方向は、元の自動操舵目標ラインGLの方向とは異なる。そのため、自動操舵走行での進行方向が変化することとなる。
【0122】
従って、以上で説明した構成であれば、自動操舵走行中に、自動操舵走行での進行方向を変更可能なコンバイン1を実現できる。
【0123】
〔第1別実施形態〕
上記実施形態において、新たな自動操舵目標ラインGLは、基準点Kを通るように生成される。
【0124】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0125】
第1別実施形態において、新たな自動操舵目標ラインGLは、平面視で、元の自動操舵目標ラインGL上における対応点T1を通るように生成される。対応点T1とは、人為操作具45操作時の機体10の位置に対応する点である。尚、第1別実施形態において、機体10の位置とは、具体的には、基準点Kの位置である。
【0126】
例えば、図7に示すコンバイン1は、図5及び図6に示した例と同様に、自動操舵走行を行っている。
【0127】
このとき、オペレータが操舵操作具41を左側へ操作すると、操舵操作具41から自動操舵制御部30へ所定の信号が送られる。経路生成部32は、この信号に応じて、図7に示すように、新たな自動操舵目標ラインGLである第2ラインGL2を生成する。
【0128】
詳述すると、経路生成部32は、上記実施形態と同様に、操舵操作具41が操作された時点での基準点Kの位置を算出する。
【0129】
次に、経路生成部32は、基準点Kから元の自動操舵目標ラインGLへ垂直に延びる対応線Mと、元の自動操舵目標ラインGLと、の交点を、対応点T1として算出する。即ち、対応点T1は、人為操作具45操作時の機体10の位置から元の自動操舵目標ラインGLへの投影点である。
【0130】
尚、対応線Mは、元の自動操舵目標ラインGLに対して厳密に垂直でなくても良い。即ち、対応点T1は、図7に示す位置に対して、コンバイン1の進行方向で前後に多少ずれていても良い。
【0131】
そして、経路生成部32は、平面視において、対応点T1を通るように、新たな自動操舵目標ラインGLを生成する。尚、新たな自動操舵目標ラインGLは、対応点T1よりも機体後側においては生成されなくても良い。言い換えれば、対応点T1が新たな自動操舵目標ラインGLの端点であっても良い。この場合も、本発明に係る「対応点を通る」に相当する。
【0132】
このように、平面視において、新たな自動操舵目標ラインGLは、元の自動操舵目標ラインGL上における、人為操作具45操作時の機体10の位置に対応する点である対応点T1を通る。
【0133】
尚、本発明はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、経路生成部32は、対応線Mにおいて基準点Kと対応点T1との間に位置する中間設定点T2を決定すると共に、平面視において、中間設定点T2を通るように、新たな自動操舵目標ラインGLを生成するように構成されていても良い。
【0134】
また、例えば、図9に示すように、経路生成部32は、対応線Mの延長線上に位置する延長設定点T3を決定すると共に、平面視において、延長設定点T3を通るように、新たな自動操舵目標ラインGLを生成するように構成されていても良い。
【0135】
〔その他の実施形態〕
(1)走行装置11は、ホイール式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
【0136】
(2)人為操作具45は、操舵操作具41とは異なる部材であっても良い。例えば、操舵のためのステアリングホイールが備えられると共に、ステアリングホイールに、押しボタンにより構成された人為操作具45が設けられていても良い。また、人為操作具45が操舵操作具41から離れた位置に設けられていても良い。
【0137】
(3)自車位置算出部21、走行制御部24、自車方位算出部25、自動操舵制御部30、方位決定部31、経路生成部32、モード切替部33、直進判定部34のうち、一部または全てがコンバイン1の外部に備えられていても良いのであって、例えば、コンバイン1の外部に設けられた管理施設や管理サーバに備えられていても良い。
【0138】
(4)第1通過地点Y1及び第2通過地点Y2が手動で決定可能であっても良い。
【0139】
例えば、コンバイン1が第1登録ボタン(図示せず)及び第2登録ボタン(図示せず)を備えると共に、第1登録ボタンが操作された時点でのコンバイン1の位置座標が第1通過地点Y1として決定され、第2登録ボタンが操作された時点でのコンバイン1の位置座標が第2通過地点Y2として決定されても良い。
【0140】
(5)経路生成部32は、基準方位TAに基づいて、圃場の未作業領域(具体的には未刈領域)を網羅するメッシュ線や複数の平行線により構成される自動走行経路を生成するように構成されていても良い。この場合、この自動走行経路は、本発明に係る「走行経路」に相当する。また、この場合、基準方位TAは、例えば、通信端末4に対する人為操作に基づいて決定された方位であっても良い。また、この場合、基準方位TAは、圃場における刈取走行を効率良く行うことができる走行方向であると好適である。
【0141】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、普通型のコンバインだけではなく、自脱型のコンバイン、トラクタ、田植機、トウモロコシ収穫機、ジャガイモ収穫機、ニンジン収穫機等、種々の農作業機に利用可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 コンバイン(農作業機)
10 機体
11 走行装置
21 自車位置算出部(取得部)
24 走行制御部
31 方位決定部
32 経路生成部
33 モード切替部
41 操舵操作具
45 人為操作具
GL 自動操舵目標ライン(走行経路)
GL1 第1ライン(元の走行経路)
GL2 第2ライン(新たな走行経路)
K 基準点
T1 対応点
TA 基準方位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9