(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191082
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】点灯制御装置、点灯制御方法、照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/10 20200101AFI20221220BHJP
【FI】
H05B47/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099720
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】杉山 友希
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 允彦
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA03
3K273CA02
3K273CA12
3K273EA14
3K273EA24
3K273EA36
3K273FA40
3K273FA41
3K273GA06
3K273GA14
3K273GA25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発光素子の導通時間(点灯時間)をより均一にする。
【解決手段】コントローラ11を用いて、互いに並列接続される複数の光源ユニット2,3を時分割で駆動する方法であって、(a)前記コントローラが、(b)前記複数の光源ユニットの各々に直列接続された複数のスイッチ素子12,13のうち1つのスイッチ素子を閉状態に制御し、(c)電源回路と前記複数の光源ユニットとの間の電流経路を流れる電流が閾値以上になったときに規定時間の計時を開始し、(d)前記規定時間が経過したときに前記1つのスイッチ素子を開状態に制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列接続される複数の光源ユニットを時分割で駆動する装置であって、
前記複数の光源ユニットと接続されており当該各光源ユニットへ駆動電圧を供給する電源回路と、
前記複数の光源ユニットの各々に直列接続された複数のスイッチ素子と、
前記電源回路と前記複数の光源ユニットとの間の電流経路を流れる電流が閾値以上の場合に第1状態となり当該電流が当該閾値未満の場合に第2状態となる信号を出力する電流検出部と、
前記電流検出部から出力される前記信号に基づいて前記複数のスイッチ素子及び前記電源回路の動作を制御するコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、前記複数のスイッチ素子のうち1つのスイッチ素子を閉状態に制御した後、前記電流検出部の前記信号が前記第1状態になったときに規定時間の計時を開始し、当該規定時間が経過したときに前記1つのスイッチ素子を開状態に制御する、
点灯制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記1つのスイッチ素子を閉状態に制御することと併せて前記電源回路の動作を開始させ、前記スイッチ素子を開状態に制御することと併せて前記電源回路の動作を停止させる、
請求項1に記載の点灯制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記1つのスイッチ素子を閉状態に制御し、前記規定時間の経過に伴って前記1つのスイッチ素子を開状態に制御する制御を、前記複数のスイッチ素子の各々に対して時分割で実行する、
請求項1又は2に記載の点灯制御装置。
【請求項4】
前記電源回路がDC-DCコンバータである、
請求項1~3の何れか1項に記載の点灯制御装置。
【請求項5】
前記複数の光源ユニットは、各々1つ以上の発光素子を有して構成される、
請求項1~4の何れか1項に記載の点灯制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記電流検出部の前記信号が前記第1状態を維持した時間を計測して当該時間と前記規定時間の差分を求め、当該差分を用いて前記規定時間を補正する、
請求項1~5の何れか1項に記載の点灯制御装置。
【請求項7】
コントローラを用いて、互いに並列接続される複数の光源ユニットを時分割で駆動する方法であって、
前記コントローラが、
前記複数の光源ユニットの各々に直列接続された複数のスイッチ素子のうち1つのスイッチ素子を閉状態に制御すること、
電源回路と前記複数の光源ユニットとの間の電流経路を流れる電流が閾値以上になったときに規定時間の計時を開始すること、
前記規定時間が経過したときに前記1つのスイッチ素子を開状態に制御すること、
を含む、点灯制御方法。
【請求項8】
請求項1~6の何れかに記載の点灯制御装置と、
当該点灯制御装置と接続された複数の光源ユニットと、
を含む、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯制御装置、点灯制御方法、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-103039号公報(特許文献1)には、LEDとスイッチを含む直列回路同士を並列に接続し、これらに対してDC-DCコンバータから電力を供給するように構成した照明装置が記載されている。この照明装置では、各スイッチを独立に開閉させることで各LEDを個別に点消灯させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る具体的態様は、発光素子の導通時間をより均一にすることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本開示に係る一態様の点灯制御装置は、互いに並列接続される複数の光源ユニットを時分割で駆動する装置であって、(a)前記複数の光源ユニットと接続されており当該各光源ユニットへ駆動電圧を供給する電源回路と、(b)前記複数の光源ユニットの各々に直列接続された複数のスイッチ素子と、(c)前記電源回路と前記複数の光源ユニットとの間の電流経路を流れる電流が閾値以上の場合に第1状態となり当該電流が当該閾値未満の場合に第2状態となる信号を出力する電流検出部と、(d)前記電流検出部から出力される前記信号に基づいて前記複数のスイッチ素子及び前記電源回路の動作を制御するコントローラと、を含み、(e)前記コントローラは、前記複数のスイッチ素子のうち1つのスイッチ素子を閉状態に制御した後、前記電流検出部の前記信号が前記第1状態になったときに規定時間の計時を開始し、当該規定時間が経過したときに前記1つのスイッチ素子を開状態に制御する、点灯制御装置である。
[2]本開示に係る一態様の点灯制御方法は、コントローラを用いて、互いに並列接続される複数の光源ユニットを時分割で駆動する方法であって、(a)前記コントローラが、(b)前記複数の光源ユニットの各々に直列接続された複数のスイッチ素子のうち1つのスイッチ素子を閉状態に制御すること、(c)電源回路と前記複数の光源ユニットとの間の電流経路を流れる電流が閾値以上になったときに規定時間の計時を開始すること、(d)前記規定時間が経過したときに前記1つのスイッチ素子を開状態に制御すること、を含む、点灯制御方法である。
[3]本開示に係る一態様の照明装置は、前記[1]の点灯制御装置と、当該点灯制御装置と接続された複数の光源ユニットと、を含む、照明装置である。
【0006】
上記構成によれば、発光素子の導通時間(点灯時間)をより均一にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態の点灯制御装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、コントローラを実現するマイクロコンピュータの構成例を示す図である。
【
図3】
図3(A)~
図3(F)は、点灯制御装置の基本的な動作を説明するための波形図である。
【
図4】
図4は、コントローラにおける動作手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図5(A)~
図5(D)は、点灯制御装置の動作を説明するための波形図である。
【
図6】
図6(A)~
図6(D)は、比較例の点灯制御装置の動作を説明するための波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、一実施形態の点灯制御装置の構成を示す図である。図示の点灯制御装置1は、車両に搭載されたバッテリ4から電力供給を受けて、各々複数の発光素子(LED)を含んで構成されたランプユニット2、3の点消灯を制御するものである。この点灯制御装置1は、DC-DCコンバータ10、コントローラ11、スイッチ素子12、13、抵抗素子14、容量素子15を含んで構成されている。なお、点灯制御装置1と各ランプユニット(光源ユニット)2、3を含んで車両用灯具(照明装置)が構成されている。
【0009】
ランプユニット2は、複数(図示の例では8個)の発光素子を直列接続して構成されており、一端側がスイッチ素子12と接続され、他端側がGND端子(基準電位端子)と接続されている。ランプユニット3は、ランプユニット2よりも少ない数の発光素子(図示の例では5個)を直列接続して構成されており、一端側がスイッチ素子13と接続され、他端側がGND端子(基準電位端子)と接続されている。これらのランプユニット2、3は、例えばランプユニット2が車両の車幅を示すポジションランプとして用いられるものであり、ランプユニット3が車両前方へロービームを照射するヘッドランプとして用いられるものである。
【0010】
DC-DCコンバータ10は、バッテリ4の電力供給を受けて、各ランプユニット2、3へ電流を流すための電圧を生成して出力する。本実施形態のDC-DCコンバータ10は、各ランプユニット2、3とDC-DCコンバータ10との間の電流経路上に接続された抵抗素子14の両端電圧に基づいて各ランプユニット2、3に流れる電流(以下、「LED電流」という。)を検出する電流検出部16を備える。電流検出部16は、LED電流が所定の閾値(例えば規定値の50%)以上になるとハイレベル(第1状態)となり、閾値より小さくなるとローレベル(第2状態)になる信号を出力する。なお、電流検出部16はDC-DCコンバータ10とは別体で構成されていてもよい。
【0011】
スイッチ素子12は、一端側が抵抗素子14を介してDC-DCコンバータ10と接続され、他端側がランプユニット2と接続されている。同様に、スイッチ素子13は、一端側が抵抗素子14を介してDC-DCコンバータ10と接続され、他端側がランプユニット3と接続されている。これらのスイッチ素子12、13は、コントローラ11の制御信号を受けてオンオフ状態(開閉状態)が切り替えられる。各スイッチ素子12、13としては、例えば電界効果型トランジスタやバイポーラ型トランジスタなどを用いることができる。
【0012】
抵抗素子14は、一端側がDC-DCコンバータ10と接続され、他端側が各スイッチ素子12、13と接続されている。容量素子15は、一端側が抵抗素子14と各スイッチ素子12、13の間に接続され、他端側がGND端子に接続されている。容量素子15は、DC-DCコンバータ10の出力電圧の安定化やノイズ吸収等の役割を有する。
【0013】
コントローラ11は、各スイッチ素子12、13と接続されているとともに、DC-DCコンバータ10と接続されており、点灯制御装置1の全体動作を制御する。このコントローラ11は、例えばCPU、ROM、RAM等を含んで構成されるマイクロコンピュータ(後述の
図2参照)を用い、CPUにおいて所定のプログラムが実行されることによって実現されるものである。コントローラ11において実現される機能を理解しやすくするために、以下の説明では機能ブロックを用いて説明を行う。コントローラ11は、機能ブロックとしてのエッジ検出部21、計測部22、タイマー部23、補正値算出部24、スイッチ制御部25、制御信号出力部26を備える。
【0014】
エッジ検出部21は、DC-DCコンバータ10の電流検出部16から出力される信号のハイレベルエッジ、すなわち信号がローレベルからハイレベルに変化する立ち上がりエッジを検出する。
【0015】
計測部22は、DC-DCコンバータ10の電流検出部16から出力される信号がハイレベルとなってからローレベルに変化するまでの時間、すなわちハイレベルを維持した時間を計測する。
【0016】
タイマー部23は、エッジ検出部21により立ち上がりエッジが検出されたことに対応してタイマー動作(計時動作)を開始し、予め設定された規定時間を計測する。
【0017】
補正値算出部24は、計測部22によって計測される時間に基づいて、タイマー部23においてタイマー動作時に計測されるべき規定時間を補正するための補正値を算出する。
【0018】
スイッチ制御部25は、各スイッチ素子12、13のオンオフ動作を制御するための制御信号を各スイッチ素子12、13へ出力する。本実施形態のスイッチ制御部25は、タイマー部23によるタイマー動作が完了し、所定時間が経過したことに対応して各スイッチ素子12、13をオン状態(閉状態)からオフ状態(開状態)にするための制御信号を出力する。
【0019】
制御信号出力部26は、DC-DCコンバータ10による電圧出力動作の実行/停止を切り替えるための制御信号を出力する。本実施形態では、制御信号出力部26は、タイマー部23によるタイマー動作により規定時間が経過したことに対応してDC-DCコンバータ10を停止状態(電圧を出力しない状態)にするための制御信号を出力する。
【0020】
図2は、コントローラを実現するマイクロコンピュータの構成例を示す図である。図示のマイクロコンピュータは、相互に通信可能に接続されたCPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、記憶装置204、外部インタフェース(I/F)205を含んで構成されている。CPU201は、ROM202から読み出される基本制御プログラムをベースにして動作し、記憶装置204に格納されたプログラム(アプリケーションプログラム)206を読み出してこれを実行することにより、上記したコントローラ11の各機能を実現する。RAM203は、CPU201の動作時に使用させるデータを一時的に記憶する。記憶装置204は、例えばハードディスク、ソリッドステートドライブなどの不揮発性の記憶装置であり、プログラム206など種々のデータを格納する。外部インタフェース205は、CPU201と外部装置を接続するインタフェースである。
【0021】
図3(A)~
図3(F)は、点灯制御装置1の基本的な動作を説明するための波形図である。本実施形態では、点灯制御装置1による制御の1つの周期Tの間にランプユニット2とランプユニット3のそれぞれに時分割で電力が供給され、各ランプユニット2、3が時分割で点灯する。このとき、周期Tの長さを人間の視認限度よりも短くして繰り返し点消灯を制御することで、外観上はランプユニット2、3ともに連続的に点灯しているように感得される。
【0022】
具体的には、
図3(A)に示すように、周期T内の期間T1の始期にスイッチ素子12(図中「SW12」と表記する。)がオン状態に制御され、期間T1の終期にスイッチ素子12がオフ状態に制御される。
【0023】
この期間T1において、
図3(C)に示すようにスイッチ素子12のオン状態への切り替えに併せてDC-DCコンバータ10からの駆動電圧V
outが0ボルトから所定値まで上昇し、一定値となった後、スイッチ素子12のオフ状態への切り替えに併せて駆動電圧V
outが0ボルトまで低下する。
【0024】
また、
図3(E)に示すように、ランプユニット2を流れるLED電流I
2は、駆動電圧V
outがランプユニット2の各発光素子の順方向電圧VFの合計値を超えた時点から増加を開始し、所定値まで上昇した後に一定となり、その後、駆動電圧V
outの低下に伴って低下し、順方向電圧VFの合計値以下となった時点で0アンペアになる。
【0025】
このとき、
図3(D)に示すように、電流検出部16から出力される信号は、図示の例ではLED電流I
2が定格値(図示の上昇後の一定値)を基準に50%以上の大きさとなるとハイレベルに変化し、50%を下回るとローレベルに変化する。本実施形態では、電流検出部16から出力される信号がハイレベルを維持する期間T2が予め定めた規定時間(ターゲット時間:一例として300μs)となるように、スイッチ素子12のオンオフ状態が制御される。この制御の詳細については後述する。
【0026】
ランプユニット3の点灯制御についても上記したランプユニット2の場合と同様である。具体的には、
図3(B)に示すように、期間T1の終点から一定期間を空けた後の始点から始まる期間T3の始期にスイッチ素子13(図中「SW13」と表記する。)がオン状態に制御され、期間T3の終期にスイッチ素子13がオフ状態に制御される。
【0027】
この期間T3において、
図3(C)に示すようにスイッチ素子13のオン状態への切り替えに併せてDC-DCコンバータ10からの駆動電圧V
outが0ボルトから所定値まで上昇し、一定値となった後、スイッチ素子13のオフ状態への切り替えに併せて駆動電圧V
outが0ボルトまで低下する。
【0028】
また、
図3(F)に示すように、ランプユニット3を流れるLED電流I
3は、駆動電圧V
outがランプユニット3の各発光素子の順方向電圧VFの合計値を超えた時点から増加を開始し、所定値まで上昇した後に一定となり、その後、駆動電圧V
outの低下に伴って低下し、順方向電圧VFの合計値以下となった時点で0アンペアになる。
【0029】
このとき、
図3(D)に示すように、電流検出部16から出力される信号は、図示の例ではLED電流I
3が定格値(図示の上昇後の一定値)を基準に50%以上の大きさとなるとハイレベルに変化し、50%を下回るとローレベルに変化する。本実施形態では、電流検出部16から出力される信号がハイレベルを維持する期間T4が予め定めた一定値(ターゲット時間:一例として3000μs)となるように、スイッチ素子13のオンオフ状態が制御される。この制御の詳細については次に説明する。
【0030】
本実施形態の点灯制御装置1の構成及び基本的な動作は上記の通りであり、次にコントローラ11における動作手順について
図4のフローチャート並びに
図5の波形図を参照しながら説明する。なお、制御結果に矛盾や不整合を生じない限りにおいて適宜、動作の順序を入れ替えることも可能であり、またここで言及しない他の動作を追加してもよく、それらの実施態様も排除されない。
【0031】
コントローラ11のスイッチ制御部25は、一方のスイッチ素子(ここではスイッチ素子12とする。)をオン状態にする(ステップS11)。また、コントローラ11の制御信号出力部26は、DC-DCコンバータ10をオン状態(電圧を出力する状態)にする(ステップS12)。
【0032】
これにより、
図5(A)に示すようにスイッチ素子12がオン状態となり、ランプユニット2とDC-DCコンバータ10が導通する。そして
図5(B)に実線で示すように、DC-DCコンバータ10から出力される駆動電圧V
outが上昇し始める。
【0033】
駆動電圧V
outが上昇し、ランプユニット2の各発光素子に流れるLED電流I
2が閾値(定格値の50%)以上になると、
図5(C)に実線で示すように電流検出部16がハイレベルの信号を出力する(ステップS13)。それに伴い、エッジ検出部21でハイレベルエッジが検出され、このハイレベルエッジの検出に伴って、タイマー部23が計時動作を開始する(ステップS14)。
【0034】
タイマー部23により規定時間(例えば上記した300μs)の経過が計時されると、スイッチ制御部25は、スイッチ素子12をオフ状態にする(ステップS15)。
【0035】
LED電流が閾値よりも低くなると、電流検出部16がローレベルの信号を出力する(ステップS16)。
【0036】
計測部22は、電流検出部16から出力される信号がハイレベルを維持した期間を計測する。補正値算出部24は、計測部22によって計測されたハイレベル期間の測定値とターゲット値との差分を算出し、その差分を補正値としてメモリに記憶させる(ステップS17)。
【0037】
なお、ステップS17で得られる補正値は、次周期におけるタイマー部の計時に反映される。例えばハイレベル期間の規定時間が300μsであるのに対して、測定値が305μsであったとすると、それらの差分から求めた補正値は-5μsとなる。次周期においてタイマー部23は、この補正値を反映して規定時間を295μsに設定して計時を行う。
【0038】
その後、ステップS11に戻り、ランプユニット3とスイッチ素子13の直列回路部に対して上記と同様のステップS11~ステップS17の各処理を行う。これで1つの周期Tでの制御が完了する。その後はまたステップS11へ戻り、ランプユニット2とスイッチ素子12の直列回路部に対する同様のステップS11~ステップS17の各処理と、ランプユニット3とスイッチ素子13の直列回路部に対するステップS11~ステップS17の各処理とを交互に行う。
【0039】
以下、
図5及び
図6を参照しながら本実施形態による効果を説明する。本実施形態では発光素子の数の異なる2つのランプユニット2、3を時分割で駆動しているため、DC-DCコンバータ10から出力される駆動電圧がランプユニット毎に変動する。このとき、例えばDC-DCコンバータ10として昇圧、降圧及び昇降圧の3つのモードによる動作可能なHブリッジ方式のDC-DCコンバータを用いていたとすると、バッテリ4からの入力電圧とDC-DCコンバータ10の出力電圧がほぼ等しくなる領域ではDC-DCコンバータ10において昇圧と昇降圧のトポロジー切り替えが頻繁に発生する。つまり、周期毎に昇圧で駆動を開始する場合と昇降圧で駆動を開始する場合がランダムに発生し、両者間で駆動電圧の上昇開始点が変動する。例えば、昇降圧で駆動を開始する場合のほうが駆動電圧の上昇開始点が遅れる。このような理由で、DC-DCコンバータ10の駆動電圧の上昇開始点がランダムに変動する場合を想定する。
【0040】
図5(B)に点線で示すように、DC-DCコンバータ10の駆動電圧の上昇開始点が上記のような理由で遅れたとすると、これに追随して
図5(D)に点線で示すようにLED電流I
2の上昇開始点も遅れる。このとき、
図5(C)に示すように、電流検出部16から出力される信号がハイレベルになるタイミングも本来期待されるa点から遅れてb点となる。このb点でのハイレベルエッジがエッジ検出部21により検出され、それに応じてスイッチ制御部25によりスイッチ素子12がオン状態となり、タイマー部23が計時動作を開始する。このため、DC-DCコンバータ10の駆動電圧の上昇開始点が遅れたとしても、その遅れ分を反映したb点から規定時間(一例として300μs)が計時され、その間、ランプユニット2に駆動電圧V
outが供給され続ける。また、DC-DCコンバータ10をオフにしてからLED電流が立ち下がるまでには、容量素子15の影響等もあり遅れが発生するが、本実施形態では電流検出部16の信号がハイレベルを維持する期間に基づいて補正値を算出して次の周期の制御に反映しているため、このような立ち下がりの遅れも補正することができる。従って、DC-DCコンバータ10の駆動電圧の開始点の変動等によらず、ランプユニット2への駆動電圧の印加時間、換言するとLED電流の導通時間を一定に制御することができる。それにより、出射光のちらつきが軽減される。
【0041】
これに対して、
図6に示す比較例のように、スイッチ素子12がオン状態に切り替わるタイミング(
図6(A)参照)にタイマー部23による計時動作の開始を連動させた場合を考える。DC-DCコンバータ10の駆動電圧の上昇開始点に遅れが生じたとすると(
図6(B)の点線参照)、その分だけ
図6(D)に示すようにLED電流I
2の上昇開始点も遅れる。このとき、スイッチ素子12がオン状態になったタイミングから一定時間を計時してスイッチ素子12をオフ状態にする制御を行っているので、駆動電圧の上昇開始点に遅れに追随できず、
図6(C)に示すようにLED電流の導通時間が短くなる。図示の例では10μs短くなっている。この10μsの遅れについては次の周期でスイッチ素子12のオン状態の時間を長くすることで対応することもできるが、周期毎にLED電流の導通時間が変動することになるので、出射光のちらつき(増減光)を生じさせる。また、次の周期でも同様にDC-DCコンバータ10の駆動電圧の上昇開始点が遅れるとは限らず、それも出射光のちらつきの原因となり得る。1つの周期での導通時間が短い場合には相対的に導通時間の増減が特に影響を与える。
【0042】
なお、上記の効果説明では、ランプユニット2とスイッチ素子12の直列回路部における動作を例にしているが、ランプユニット3とスイッチ素子13の直列回路部においても同様の効果を得られる。
【0043】
以上のような実施形態によれば、DC-DCコンバータ10のトポロジー切り替え等による駆動電圧の上昇開始点の変動によらず、各ランプユニット2、3に含まれる各発光素子の導通時間(点灯時間)をより均一にすることが可能になる。
【0044】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態では2つのランプユニットを1つのDC-DCコンバータにて時分割で駆動する場合を例示していたが、3つ以上のランプユニットを時分割する場合に本開示の内容を適用してもよい。また、電源回路の一例としてDC-DCコンバータを挙げていたが電源回路はこれに限定されない。
【0045】
また、各ランプユニットに含まれる発光素子の数は一例であり、これに限定されない。さらに、各ランプユニット内における発光素子の接続形態は上記した実施形態の直列接続に限られず、並列接続でもよいし、直列接続と並列接続の混合した接続であってもよい。また、実施形態にて説明した規定時間などの数値は例示であってそれらに限定されない。
【0046】
また、上記した実施形態ではランプユニットとして車両のヘッドランプやポジションランプを例示していたが本開示の適用範囲はこれに限定されない。例えば、車両のリアランプに適用してもよいし、ハイビーム用ランプに適用してもよい。さらに、適用範囲は車両用途にも限られない。
【符号の説明】
【0047】
1:点灯制御装置、2、3:ランプユニット、4:バッテリ、10:DC-DCコンバータ、11:コントローラ、12、13:スイッチ素子、14:抵抗素子、15:容量素子、16:電流検出部、21:エッジ検出部、22:計測部、23:タイマー部、24:補正値算出部、25:スイッチ制御部、26:制御信号出力部