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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191090
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/068 20060101AFI20221220BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20221220BHJP
   F21S 41/39 20180101ALI20221220BHJP
   F21S 41/32 20180101ALI20221220BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20221220BHJP
   F21S 41/36 20180101ALI20221220BHJP
   F21S 41/275 20180101ALI20221220BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20221220BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221220BHJP
【FI】
B60Q1/068 100
F21S41/148
F21S41/39
F21S41/32
F21S41/19
F21S41/36
F21S41/275
F21W102:155
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099732
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】大多和 克明
(72)【発明者】
【氏名】山梨 裕太
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA03
3K339BA12
3K339BA14
3K339BA25
3K339BA26
3K339BA30
3K339CA01
3K339CA02
3K339DA01
3K339GA02
3K339GA08
3K339GA13
3K339GA14
3K339GB01
3K339GC04
3K339GC05
3K339HA12
3K339HA13
3K339HA14
3K339HA15
3K339LA02
3K339LA03
3K339LA07
(57)【要約】
【課題】複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されている場合であっても、その光軸調整によって車両用灯具の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制する。
【解決手段】3つの灯具ユニット20を上下方向に回動させるための回動支持機構50として、その各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上下方向に回動可能に支持するユニット支持部材52と、このユニット支持部材52に支持された3つの灯具ユニット20の各々と係合した状態でこれらを一括して上下方向に回動させるユニット駆動部材54とを備えた構成とする。これにより、3つの灯具ユニット20の各々が上下方向に回動する際の回動軸線Ax1を、灯具前後方向に関して各灯具ユニット20の近くに配置可能とする。そしてこれにより、上下方向の光軸調整を行ったときに各灯具ユニット20が元の位置から上下方向に大きく変位してしまわないようにする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の灯具ユニットと、上記複数の灯具ユニットを所要方向に回動可能に支持するための回動支持機構と、を備えた車両用灯具において、
上記複数の灯具ユニットは、灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されており、
上記回動支持機構は、上記複数の灯具ユニットの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上記所要方向に回動可能に支持するように構成されたユニット支持部材と、上記ユニット支持部材に支持された上記複数の灯具ユニットの各々と係合した状態で上記複数の灯具ユニットを一括して上記所要方向に回動させるように構成されたユニット駆動部材とを備えている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記各灯具ユニットと上記ユニット駆動部材との係合部に、上記各灯具ユニットの上記所要方向の回動角度を微調整するための微調整機構が設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記複数の灯具ユニットは、ランプボディと透光カバーとで形成される灯室内に収容されており、
上記回動支持機構は、上記複数の灯具ユニットを上記ランプボディに対して上記所要方向と直交する方向に回動させ得るように構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記透光カバーは、上記複数の灯具ユニットからの照射光が透過する照射光透過領域に対して上記所要方向の両側に位置する領域に遮光処理が施された構成となっている、ことを特徴とする請求項3記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記所要方向は上下方向に設定されており、
上記ランプボディにレベリングアクチュエータが装着されており、
上記ユニット駆動部材は上記レベリングアクチュエータに連結されている、ことを特徴とする請求項3または4記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複数の灯具ユニットを備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用灯具の構成として、複数の灯具ユニットを所要方向(例えば上下方向)に回動可能に支持するための回動支持機構を備えたものが知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具において、複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017ー188331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されているので、回動支持機構によって上記所要方向の光軸調整を行うと、上記所要方向の回動軸線から灯具前後方向に離れた位置にある灯具ユニットは元の位置から上記所要方向に大きく変位してしまい、このため車両用灯具の意匠性が損なわれてしまう。
【0006】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数の灯具ユニットを備えた車両用灯具において、複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されている場合であっても、その光軸調整によって車両用灯具の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、回動支持機構の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0008】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
複数の灯具ユニットと、上記複数の灯具ユニットを所要方向に回動可能に支持するための回動支持機構と、を備えた車両用灯具において、
上記複数の灯具ユニットは、灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されており、
上記回動支持機構は、上記複数の灯具ユニットの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上記所要方向に回動可能に支持するように構成されたユニット支持部材と、上記ユニット支持部材に支持された上記複数の灯具ユニットの各々と係合した状態で上記複数の灯具ユニットを一括して上記所要方向に回動させるように構成されたユニット駆動部材とを備えている、ことを特徴とするものである。
【0009】
上記「複数の灯具ユニット」の具体的な個数や配置は特に限定されるものではなく、その際、3つ以上の灯具ユニットを備えている場合には、少なくとも2つの灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されていればよい。
【0010】
上記「所要方向」の具体的な方向は特に限定されるものではなく、例えば上下方向や左右方向等が採用可能である。
【0011】
上記「回動支持機構」は、複数の灯具ユニットを上記所要方向に回動可能に支持するための機能のみを備えた構成としてもよいし、これに加えて複数の灯具ユニットを上記所要方向と直交する方向に回動可能に支持するための機能をも備えた構成としてもよい。
【0012】
上記「ユニット支持部材」は、複数の灯具ユニットの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上記所要方向に回動可能に支持するように構成されていれば、ランプボディに支持された部材であってもよいし、ランプボディ自体であってもよい。
【0013】
上記「ユニット駆動部材」は、ユニット支持部材に支持された複数の灯具ユニットの各々と係合した状態で複数の灯具ユニットを一括して上記所要方向に回動させるように構成されていれば、これを実現するための具体的な構成は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る車両用灯具は、灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置された複数の灯具ユニットが、回動支持機構によって所要方向に回動し得るように構成されているが、この回動支持機構は、複数の灯具ユニットの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上記所要方向に回動可能に支持するように構成されたユニット支持部材と、このユニット支持部材に支持された複数の灯具ユニットの各々と係合した状態で複数の灯具ユニットを一括して上記所要方向に回動させるように構成されたユニット駆動部材とを備えているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0015】
すなわち、複数の灯具ユニットの各々が上記所要方向に回動する際の回動軸線を、灯具前後方向に関して各灯具ユニットの近くに配置することができるので、上記所要方向の光軸調整を行ったときに各灯具ユニットが元の位置から上記所要方向に大きく変位してしまわないようにすることができる。そしてこれにより車両用灯具の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0016】
このように本願発明によれば、複数の灯具ユニットを備えた車両用灯具において、複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されている場合であっても、その光軸調整によって車両用灯具の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0017】
上記構成において、さらに、各灯具ユニットとユニット駆動部材との係合部に、各灯具ユニットの上記所要方向の回動角度を微調整するための微調整機構が設けられた構成とすれば、複数の灯具ユニット相互間における上記所要方向の光軸ズレを容易に解消するこができる。
【0018】
上記構成において、さらに、複数の灯具ユニットがランプボディと透光カバーとで形成される灯室内に収容された構成とした上で、回動支持機構の構成として複数の灯具ユニットをランプボディに対して上記所要方向のみならずこれと直交する方向にも回動させ得る構成とすれば、光軸調整の自由度を高めることができる。
【0019】
その際、さらに、透光カバーとして、複数の灯具ユニットからの照射光が透過する照射光透過領域に対して上記所要方向の両側に位置する領域に遮光処理が施された構成とすれば、照射光透過領域が帯状に形成されるようにすることができ、これにより車両用灯具の意匠性を高めることができる。しかも、上記所要方向の光軸調整を行っても各灯具ユニットの上記所要方向の変位量が大きくならないようにすることができるので、照射光透過領域の上記所要方向の幅を最小限に抑えることができ、これにより車両用灯具の意匠性を一層高めることができる。
【0020】
上記「遮光処理」は、特定の処理に限定されるものではなく、例えば、透光カバーの内面に施された黒色塗装や金属蒸着等の表面処理、あるいは、透光カバーを2色成形品で構成した上で、照射光透過領域に対して上記所要方向の両側に位置する領域を遮光材料で形成する処理等を採用することが可能である。
【0021】
このような構成を採用した場合において、さらに、上記所要方向が上下方向に設定された構成とした上で、ランプボディにレベリングアクチュエータが装着されるとともに、このレベリングアクチュエータにユニット駆動部材が連結された構成とすれば、回動支持機構としてレベリング機能を備えたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
図2図1のII-II線断面図
図3図1のIII-III線断面図
図4図1のIV部詳細図
図5図2のV部詳細図
図6】上記車両用灯具の主要構成要素を示す斜視図
図7図6のVII 部詳細図
図8】上記主要構成要素の組付けの様子を示す、図5と同様の図
図9】上記車両用灯具からの照射光によって形成される配光パターンを透視的に示す図
図10】上記実施形態の作用を示す、図3と同様の図
図11】上記実施形態の比較例を示す、図10と同様の図
図12】上記実施形態の第1変形例を示す、図2と同様の図
図13】上記実施形態の第2変形例を示す、図10と同様の図
図14】上記実施形態の第3変形例を示す、図10と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図である。また、図2図1のII-II線断面図であり、図3図1のIII-III線断面図である。
【0025】
これらの図において、Xで示す方向が「灯具前方」であり、Yで示す方向が「ユニット前方」と直交する「左方向」(灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0026】
図1~3に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の右前端部に装着されるロービーム照射用のヘッドランプとして構成されている。この車両用灯具10は、ランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、3つの灯具ユニット20が左右方向(すなわち車幅方向)に並んだ状態で収容された構成となっている。
【0027】
透光カバー14は、透明の樹脂製部材で構成されており、その左側(すなわち車幅方向内側)から右側に向かって灯具後方側に傾斜して延びるように形成されている。この透光カバー14は、3つの灯具ユニット20からの照射光が透過する照射光透過領域14A以外の領域14Bに遮光処理が施された構成となっている。この遮光処理は、透光カバー14の内面に有色塗装膜(例えば黒色塗装膜)16を形成することによって行われている。その際、照射光透過領域14Aは単一の横長矩形状領域として設定されており、領域14Bは照射光透過領域14Aを全周にわたって囲む領域として設定されている。
【0028】
3つの灯具ユニット20は、いずれも同様の構成を有するプロジェクタ型の灯具ユニットであって、灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されている。具体的には、3つの灯具ユニット20は同一水平面上に配置されており、かつ、透光カバー14の形状に応じて右側に位置するものほど灯具後方側に変位した状態で配置されている。
【0029】
3つの灯具ユニット20は、ユニット支持部材52とユニット駆動部材54とを備えた回動支持機構50により、ランプボディ12に対して上下方向および左右方向に回動可能に支持されている。これらユニット支持部材52およびユニット駆動部材54は、いずれも樹脂製部材で構成されている。
【0030】
ユニット支持部材52は、3つの灯具ユニット20の各々を、灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上下方向に回動可能に支持するように構成されている。具体的には、各灯具ユニット20は、その灯具前後方向の略中央位置でかつその下端部において左右方向に水平に延びる回動軸線Ax1を中心にして、ユニット支持部材52に対して上下方向に回動し得るように構成されている。
【0031】
ユニット駆動部材54は、ユニット支持部材52に支持された3つの灯具ユニット20の各々と係合した状態で、これらを一括して上下方向に回動させるように構成されている。具体的には、ユニット駆動部材54は、各灯具ユニット20の回動軸線Ax1の略真上の位置において各灯具ユニット20と係合しており、この状態で灯具前後方向に移動(図3に示す矢印A参照)することによって各灯具ユニット20を回動軸線Ax1まわりに回動(図3に示す矢印B参照)させるように構成されている。
【0032】
ユニット支持部材52は、ランプボディ12の後壁部における右寄り下端部(灯具正面視では左寄り下端部)から灯具前方へ向けて延びるピボットピン62と、ランプボディ12の後壁部における左下端部から灯具前方へ向けて延びるエイミングスクリュウ64とを介してランプボディ12に支持されている。また、ユニット駆動部材54は、ランプボディ12の後壁部における右寄り上端部から灯具前方へ向けて延びるエイミングスクリュウ66を介してランプボディ12に支持されている。
【0033】
ピボットピン62は、その先端部が球状に形成されており、その基端部はランプボディ12に固定支持されている。一方、ユニット支持部材52には、ピボットピン62の先端部と係合するスフェリカルステップベアリング68が装着されている。
【0034】
エイミングスクリュウ64は、その前半部がネジ部として形成されており、その基端部はランプボディ12に回転可能に支持されている。一方、ユニット支持部材52には、エイミングスクリュウ64のネジ部と螺合するエイミングナット72が装着されている。
【0035】
エイミングスクリュウ66は、その前半部がネジ部として形成されており、その基端部はランプボディ12に装着されたレベリングアクチュエータ40に連結されている。一方、ユニット駆動部材54には、エイミングスクリュウ66のネジ部と螺合するエイミングナット74が装着されている。
【0036】
エイミングスクリュウ66とエイミングナット74との螺合位置は、ピボットピン62とスフェリカルステップベアリング68との係合位置の略真上に位置しているが、エイミングスクリュウ64とエイミングナット72との螺合位置は、ピボットピン62とスフェリカルステップベアリング68との係合位置に対して真横の位置よりも灯具前方側に変位している。
【0037】
3つの灯具ユニット20は、ユニット支持部材52およびユニット駆動部材54と共に、エイミングスクリュウ66とエイミングナット74との螺合位置とピボットピン62とスフェリカルステップベアリング68との係合位置とを結ぶようにして略鉛直方向に延びる回動軸線Ax2を中心にして、ランプボディ12に対して左右方向に回動可能に支持されている。そして、3つの灯具ユニット20は、エイミングスクリュウ64の回転操作によって左右方向の光軸調整が一括して行われるようになっている。
【0038】
各灯具ユニット20とユニット駆動部材54との係合部には、その係合位置を灯具前後方向に移動(図3に示す矢印C参照)させることによって各灯具ユニット20の上下方向の回動角度を微調整するための微調整機構80が設けられている(これについては後述する)。
【0039】
次に、各灯具ユニット20の具体的な構成について説明する。
【0040】
図4図1のIV部詳細図であり、図5図2のV部詳細図である。また、図6は、車両用灯具10の主要構成要素を示す斜視図であり、図7図6のVII 部詳細図である。
【0041】
図4~7にも示すように、灯具ユニット20は、車両前後方向に延びる光軸Axを有する投影レンズ22と、この投影レンズ22の後側焦点Fよりも灯具後方側に配置された光源としての発光素子24と、この発光素子24を上方側から覆うように配置され、この発光素子24からの光を投影レンズ22へ向けて反射させるリフレクタ26とを備えた構成となっている。
【0042】
投影レンズ30は、前面が凸面状に形成された平凸非球面レンズとして構成されており、灯具正面視において横長矩形状の外形形状を有している。
【0043】
発光素子24は、横長矩形状の発光面を有する白色発光ダイオードで構成されている。
【0044】
リフレクタ26は、発光素子24の発光中心を第1焦点とする略楕円面状の反射面を有しており、この反射面において発光素子24からの出射光を灯具前方へ向けて収束光として反射させるようになっている。
【0045】
発光素子24およびリフレクタ26は、アルミダイカスト製のベース部材30の上面に支持されており、投影レンズ22もベース部材30に支持されている。
【0046】
ベース部材30には、ロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成するためにリフレクタ24からの反射光の一部を投影レンズ22へ向けて上向きに反射させる上向き反射面30aが形成されている。この上向き反射面30aの前端縁30a1は、後側焦点Fから左右両側へ向けて灯具前方側に湾曲して延びるように形成されている。
【0047】
ベース部材30は、複数の放熱フィン30bを備えており、これにより発光素子24で発生した熱を効率良く放散させるヒートシンクとして機能するようになっている。複数の放熱フィン30bは、左右方向に等間隔をおいて配置された状態で、いずれも鉛直下方へ向けて延びるように形成されている。
【0048】
ベース部材30の前端部には、光軸Axと直交する鉛直面に沿って横長矩形状に延びるフレーム部30cが形成されており、このフレーム部30cにおいて投影レンズ30を灯具後方側から固定支持するようになっている。
【0049】
ベース部材30の左右両側面の下端部には、左右両方向へ向けて円柱状に突出する1対の水平ピン30dが形成されている。ベース部材30は、これら左右1対の水平ピン30dがユニット支持部材52と係合することによって回動軸線Ax1まわりに回動し得る構成となっている。
【0050】
ベース部材30における上面の右端部には、鉛直上方へ向けて延びる鉛直ブラケット30eが形成されている。この鉛直ブラケット30eは、灯具前後方向に関して右側の水平ピン30dと同じ位置に形成されており、その上端部にはアジャスティングナット82が装着されている。
【0051】
一方、ユニット駆動部材54には、3つの灯具ユニット20の各々と対応する位置に、灯具前方へ向けて延びるアジャスティングスクリュウ84が配置されている。各アジャスティングスクリュウ84は、その前半部がネジ部として形成されており、その基端部がユニット駆動部材54に回転可能に支持されている。そして、各アジャスティングスクリュウ84は、そのネジ部において各灯具ユニット20のアジャスティングナット82と螺合している。
【0052】
上記微調整機構80は、これらアジャスティングエイミングナット82およびアジャスティングスクリュウ84によって構成されている。
【0053】
ユニット支持部材52は、各灯具ユニット20のベース部材30を灯具後方側および左右両側から囲むように形成されている。そして、このユニット支持部材52は、灯具前方へ向けて延びる左右1対のアーム部52A、52Bにおいて、ベース部材30を回動軸線Ax1まわりに回動可能に支持するように構成されている。
【0054】
右側に位置するアーム部52Aは、左右方向に間隔をおいて配置された1対の鉛直板状部52A1、52A2を備えている。各鉛直板状部52A1、52A2は、灯具側面視において灯具前方へ向けて楔状に延びるように形成されており、その先端部においてベース部材30の右側の水平ピン30dと係合するようになっている。その際、外側の鉛直板状部52A1は、その先端部が平面視において灯具前方へ向けて楔状に突出して延びるように形成されており、その内側面には右側の水平ピン30dに対して灯具前方側から係合する係合凹部52A1aが形成されている。一方、内側の鉛直板状部52A2は、その前端面が鉛直板状部52A1の係合凹部52A1aの後端位置よりも僅かに灯具後方側に位置しており、この前端面には右側の水平ピン30dに対して灯具後方側から係合する係合凹部52A2aが形成されている。各係合凹部52A1a、52A2aは、灯具側面視において略半円状に凹んだ凹部として形成されている。
【0055】
左側に位置するアーム部52Bは、左右方向に間隔をおいて配置された1対の鉛直板状部52B1、52B2を備えている。各鉛直板状部52B1、52B2も、灯具側面視において灯具前方へ向けて楔状に延びるように形成されており、その先端部においてベース部材30の左側の水平ピン30dと係合するようになっている。その際、内側の鉛直板状部52B2には、水平ピン30dの外径よりも僅かに大きい内径を有する円形貫通孔52B2aが形成されている。
【0056】
ベース部材30は、左側の水平ピン30dがユニット支持部材52のアーム部52Bにおける鉛直板状部52B2の円形貫通孔52B2aに挿入された状態で、右側の水平ピン30dがユニット支持部材52のアーム部52Aにおける鉛直板状部52A1の係合凹部52A1aおよび鉛直板状部52A2の係合凹部52A2aと係合することにより、ユニット支持部材52に対して回動軸線Ax1まわりに回動可能に支持されるように構成されている。
【0057】
図8は、ベース部材30がユニット支持部材52に組み付けられる際の様子を示す、図5と同様の図である。
【0058】
図8に示すように、ベース部材30は、左側の水平ピン30dが鉛直板状部52B2の円形貫通孔52B2aに挿入された後、右側の水平ピン30dが灯具前方側から鉛直板状部52A1の先端部に当接し、この鉛直板状部52A1を撓み変形させた後、その係合凹部52A1aおよび鉛直板状部52A2の係合凹部52A2aと係合するようになっている。そして、この係合が完了した後は、左側の水平ピン30dの先端面が鉛直板状部52B1に当接するとともに右側の水平ピン30dの先端面が鉛直板状部52A1に当接し、これによりベース部材30が左右方向に関しても位置決めされるようになっている。
【0059】
図9は、車両用灯具10からの照射光によって車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンPLを透視的に示す図である。
【0060】
ロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁に左右段違いのカットオフラインCL1、CL2を有している。このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH-Vを鉛直方向に通るV-V線を境にして左右段違いで水平方向に延びており、V-V線よりも右側の対向車線側部分が下段カットオフラインCL1として形成されるとともに、V-V線よりも左側の自車線側部分が、この下段カットオフラインCL1から傾斜部を介して段上がりになった上段カットオフラインCL2として形成されている。
【0061】
ロービーム用配光パターンPLにおいて、下段カットオフラインCL1とV-V線との交点であるエルボ点Eは、H-Vの0.5~0.6°程度下方に位置している。
【0062】
ロービーム用配光パターンPLは、3つの灯具ユニット20からの照射光によって形成される3つの配光パターンPLоを重畳させた合成配光パターンとして形成されている。
【0063】
3つの灯具ユニット20はいずれも同様の構成を有しているので、3つの配光パターンPLоはいずれも同様の配光パターンとして形成される。その際、各灯具ユニット20は微調整機構80によって上下方向の回動角度が微調整され得る構成となっているので、この微調整が行われることによって各配光パターンPLоはそのカットオフラインの上下位置が揃えられ、これによりロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2が鮮明に形成されるようになっている。
【0064】
図10は、車両用灯具10において、その灯具ユニット20の上下方向の光軸調整を行ったときの様子を示す、図3と同様の図である。
【0065】
図10においては、灯具ユニット20が基準位置にある状態を実線で示しており、灯具ユニット20が基準位置から上向きに最大角度まで回動したときの状態を2点鎖線で示しており、灯具ユニット20が基準位置から下向きに最大角度まで回動したときの状態を破線で示している。なお、図10においては最大角度が±4°に設定されている場合の状態を示している。
【0066】
ここで灯具ユニット20が基準位置にある状態とは、その光軸Axが水平方向に向いている状態を意味するものであって、レベリングアクチュエータ40が作動していない状態で微調整機構80によって灯具ユニット20の回動軸線Ax1まわりの回動角度を微調整することによって実現される。
【0067】
この状態から、レベリングアクチュエータ40を作動させてユニット駆動部材54を灯具後方側に移動させると、灯具ユニット20はユニット支持部材52に対して回動軸線Ax1まわりに上向きに回動し、一方、ユニット駆動部材54を灯具前方側に移動させると灯具ユニット20は下向きに回動する。
【0068】
図10においては、灯具ユニット20が基準位置にある状態で、その投影レンズ22からの出射光が透光カバー14を透過し得る最大範囲をハッチングで示している。また、灯具ユニット20が基準位置から上向きおよび下向きに最大角度まで回動したときに投影レンズ22からの出射光が透光カバー14を透過し得る最大範囲を2点鎖線および破線でそれぞれ示しており、その最大上下幅をHで示している。
【0069】
図2に示すように、3つの灯具ユニット20は透光カバー14との間隔が互いに略同じ値となるように配置されており、かつ、各灯具ユニット20において回動軸線Ax1の位置は同一であるので、最大上下幅Hも各灯具ユニット20に関して略同じ値となる。
【0070】
透光カバー14の照射光透過領域14Aの上下幅は、最大上下幅Hよりも僅かに大きい値となるように設定されている。
【0071】
図11は、本実施形態の比較例を示す、図10と同様の図である。
【0072】
図11に示すように、本比較例に係る車両用灯具10´も、ランプボディ12´と透光カバー14´とで形成される灯室内に、3つの灯具ユニット20´(図11では単一の灯具ユニット20´のみを図示)が上下方向に回動可能に収容された構成となっているが、これらを上下方向に回動させるための回動支持機構50´の構成が本実施形態の場合と異なっている。
【0073】
すなわち、本比較例の回動支持機構50´は、本実施形態のユニット支持部材52およびユニット駆動部材54を単一の部材として一体化させたブラケット52´を備えた構成となっている。このブラケット52´は、本実施形態の場合と同様、スフェリカルステップベアリング68´およびエイミングナット72´を介してランプボディ12´に支持されるとともにピボットピン62´およびエイミングスクリュウ64´を介してランプボディ12´に支持されており、かつ、エイミングスクリュウ64´はレベリングアクチュエータ40´に連結されている。
【0074】
図11においても、図10と同様、灯具ユニット20´が基準位置にある状態を実線で示しており、灯具ユニット20´が基準位置から上向きに最大角度まで回動したときの状態を2点鎖線で示しており、灯具ユニット20´が基準位置から下向きに最大角度まで回動したときの状態を破線で示している。なお、図11においても最大角度が±4°に設定されている場合の状態を示している。
【0075】
本比較例においては、レベリングアクチュエータ40´が作動すると、灯具ユニット20´はブラケット52´と共に、ピボットピン62´とスフェリカルステップベアリング68´との係合位置を通るようにして水平方向に延びる回動軸線Ax1´まわりに回動する。
【0076】
したがって、灯具ユニット20´が基準位置から上向きおよび下向きに最大角度まで回動したときに投影レンズ22´からの出射光が透光カバー14´を透過し得る最大上下幅H´は、図10に示す最大上下幅Hよりもかなり大きなものとなる。このため、透光カバー14´の照射光透過領域14A´の上下幅も、図10に示す透光カバー14の照射光透過領域14Aの上下幅よりもかなり大きなものとなる。
【0077】
その際、図11に示す灯具ユニット20よりも灯具後方側に位置する灯具ユニット20に関しては、その最大上下幅が最大上下幅H´よりも小さくなるが、図11に示す灯具ユニット20よりも灯具前方側に位置する灯具ユニット20に関しては、その最大上下幅が最大上下幅H´よりもさらに大きくなる。
【0078】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0079】
本実施形態に係る車両用灯具10は、灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置された3つの灯具ユニット20が、回動支持機構50によって上下方向(所要方向)に回動し得るように構成されているが、この回動支持機構50は、3つの灯具ユニット20の各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上下方向に回動可能に支持するように構成されたユニット支持部材52と、このユニット支持部材52に支持された3つの灯具ユニット20の各々と係合した状態で3つの灯具ユニット20を一括して上下方向に回動させるように構成されたユニット駆動部材54とを備えているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0080】
すなわち、3つの灯具ユニット20の各々が上下方向に回動する際の回動軸線Ax1を、灯具前後方向に関して各灯具ユニット20の近くに配置することができるので、上下方向の光軸調整を行ったときに各灯具ユニット20が元の位置から上下方向に大きく変位してしまわないようにすることができる。そしてこれにより車両用灯具10の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0081】
このように本実施形態によれば、3つの灯具ユニット20を備えた車両用灯具10において、3つの灯具ユニット20が灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されているにもかかわらず、その光軸調整によって車両用灯具10の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0082】
しかも本実施形態においては、各灯具ユニット20とユニット駆動部材54との係合部に、各灯具ユニットの上下方向の回動角度を微調整するための微調整機構80が設けられているので、3つの灯具ユニット20相互間における上下方向の光軸ズレを容易に解消するこができる。そしてこれにより、車両用灯具10からの照射光によって形成されるロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2が鮮明に形成されるようにすることが容易に可能となる。
【0083】
また本実施形態においては、回動支持機構50が3つの灯具ユニット20をランプボディ12に対して上下方向のみならず左右方向(上記所要方向と直交する方向)にも回動させ得る構成となっているので、光軸調整の自由度を高めることができる。その際、本実施形態においては、上下方向の回動中心となる回動軸線Ax1が灯具前後方向と直交する方向に延びているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0084】
すなわち、図11に示す比較例において、3つの灯具ユニット20´を上下方向に回動させる際の回動軸線Ax1´が、灯具前後方向と直交する左右方向ではなく斜め方向(例えば図2においてピボットピン62とスフェリカルステップベアリング68との係合位置とエイミングスクリュウ64とエイミングナット72との螺合位置とを結ぶ方向)に延びている場合には、上下方向の光軸調整を行ったとき各灯具ユニット20´は灯具前後方向に延びる鉛直面に対して傾斜した鉛直面に沿って回動するので、ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2は水平方向に延びる状態から傾斜してしまう。
【0085】
これに対し本実施形態においては、回動軸線Ax1が灯具前後方向と直交する左右方向に延びているので、上下方向の光軸調整を行ったとき各灯具ユニット20は灯具前後方向に延びる鉛直面に沿って回動し、これによりロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2は水平方向に延びる状態に維持される。
【0086】
また本実施形態においては、ランプボディ12にレベリングアクチュエータ40が装着されており、このレベリングアクチュエータ40に対してユニット駆動部材54が連結されているので、回動支持機構50としてレベリング機能を備えたものとすることができる。
【0087】
さらに、本実施形態の透光カバー14は、3つの灯具ユニット20からの照射光が透過する照射光透過領域14Aに対してその上下方向の両側に位置する領域14Bに遮光処理が施されているので、照射光透過領域14Aが横長の帯状に形成されるようにすることができ、これにより車両用灯具10の意匠性を高めることができる。しかも本実施形態においては、上下方向の光軸調整を行っても各灯具ユニット20の上下方向の変位量が大きくならないので、照射光透過領域14Aの上下方向の幅を最小限に抑えることができ、これにより車両用灯具10の意匠性を一層高めることができる。
【0088】
また本実施形態においては、各灯具ユニット20のユニット支持部材52への組付けが、ベース部材30に形成された左側の水平ピン30dをユニット支持部材52の鉛直板状部52B2に形成された円形貫通孔52B2aに挿入し、その後、ベース部材30に形成された右側の水平ピン30dを灯具前方側から鉛直板状部52A1の先端部に当接させ、この鉛直板状部52A1を撓み変形させた後、その係合凹部52A1aおよび鉛直板状部52A2の係合凹部52A2aと係合させることによって行われる構成となっているので、その組付作業効率を高めることができる。
【0089】
上記実施形態においては、3つの灯具ユニット20が、同一水平面上において左右方向に並んだ状態で配置されているものとして説明したが、これ以外の状態で配置された構成とすることも可能である。
【0090】
上記実施形態においては、3つの灯具ユニット20が、いずれも同様の配光パターンPLоを形成する構成となっているものとして説明したが、互いに異なる配光パターンを形成する構成とすることも可能である。その際、一部の灯具ユニット20からの照射光によってハイビーム用配光パターン等を形成する構成とすることも可能である。
【0091】
上記実施形態においては、各灯具ユニット20が、リフレクタ26を備えたプロジェクタ型の灯具ユニットであるものとして説明したが、リフレクタ26を備えていないプロジェクタ型の灯具ユニットやパラボラ型の灯具ユニット等を採用することも可能である。
【0092】
上記実施形態においては、車両用灯具10が3つの灯具ユニット20を備えているものとして説明したが、2つ以下あるいは4つ以上の灯具ユニット20を備えた構成とすることも可能である。
【0093】
上記実施形態においては、ユニット駆動部材54がエイミングスクリュウ66を介してレベリングアクチュエータ40に連結されているものとして説明したが、エイミングスクリュウ66が直接ランプボディ12に回転可能に支持された構成とすることも可能である。
【0094】
上記実施形態においては、3つの灯具ユニット20の各々がユニット支持部材52に対して上下方向に回動可能に支持されており、このユニット支持部材52がランプボディ12に対して左右方向に回動可能に支持されているものとして説明したが、3つの灯具ユニット20の各々が直接ランプボディ12に対して上下方向に回動可能に支持された構成とすることも可能である。このような構成を採用した場合においても、上下方向の光軸調整によって車両用灯具10の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる。そしてこれにより、左右方向の光軸調整を必要としないフォグランプ等において、簡易な灯具構成により上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0095】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0096】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0097】
図12は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、図2と同様の図である。
【0098】
図12に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、透光カバー114の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0099】
すなわち、本変形例の透光カバー114も、3つの灯具ユニット20からの照射光が透過する照射光透過領域114A以外の領域114Bに遮光処理が施された構成となっており、この遮光処理は透光カバー114の内面に有色塗装膜116を形成することによって行われている。
【0100】
ただし本変形例においては、透光カバー114の照射光透過領域114Aが、3つの灯具ユニット20の各々に対してその灯具前方側に配置された3つの横長矩形状領域として設定されている。
【0101】
本変形例の構成を採用することにより、透光カバー114として、その照射光透過領域114Aを必要最小限のサイズの横長矩形状領域として設定することができ、これにより車両用灯具110の意匠性を高めることができる。
【0102】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0103】
図13は、本変形例に係る車両用灯具210を示す、図10と同様の図である。
【0104】
図13に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、透光カバー214の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0105】
すなわち、本変形例の透光カバー214も、3つの灯具ユニット20からの照射光が透過する照射光透過領域214A以外の領域214Bに遮光処理が施された構成となっている。
【0106】
この遮光処理は、透光カバー214を2色成形品で構成した上で、照射光透過領域214Aを透明樹脂材料で形成するとともに、その周囲に位置する領域214Bの内面側部分を有色樹脂材料(例えば黒色樹脂材料)で形成することによって行われている。その際、照射光透過領域214Aの上下幅は、最大上下幅Hよりも僅かに大きい値となるように設定されている。
【0107】
本変形例の構成を採用した場合においても、灯具ユニット20の光軸調整によって車両用灯具210の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0108】
また、本変形例の構成を採用することにより、透光カバー214に対して後処理を施すことを必要とせずに、車両用灯具210の意匠性を高めることができる。
【0109】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0110】
図14は、本変形例に係る車両用灯具310を示す、図10と同様の図である。
【0111】
図14に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、透光カバー314の構成が上記実施形態の場合と一部異なっており、かつ、エクステンションパネル318が追加配置された構成となっている。
【0112】
すなわち、本変形例の透光カバー314は、その全体が透明の樹脂製部材で構成されており、遮光処理は施されていない。
【0113】
エクステンションパネル318は、不透明の樹脂製部材で構成されており、灯室内において透光カバー314に沿って延びるように配置されている。
【0114】
エクステンションパネル318には、3つの灯具ユニット20からの照射光が通過する領域に開口部318aが形成されている。この開口部318aの開口形状は、透光カバー314において3つの灯具ユニット20からの照射光が透過する照射光透過領域314Aを灯室内側から囲む横長矩形状に設定されている。そして、この開口部318aの周縁部には、3つの灯具ユニット20からの照射光の最大照射範囲に沿って灯具後方側へ向けて延びる周縁フランジ部318bが形成されている。
【0115】
本変形例の構成を採用した場合においても、灯具ユニット20の光軸調整によって車両用灯具310の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0116】
また、本変形例の構成を採用した場合においても、透光カバー314に対して後処理を施すことを必要とせずに、車両用灯具310の意匠性を高めることができる。
【0117】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0118】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0119】
10、110、210、310 車両用灯具
12 ランプボディ
14、114、214、314 透光カバー
14A、114A、214A、314A 照射光透過領域
14B、114B、214B 領域
16、116 有色塗装膜
20 灯具ユニット
22 投影レンズ
24 発光素子
26 リフレクタ
30 ベース部材
30a 上向き反射面
30a1 前端縁
30b 放熱フィン
30c フレーム部
30d 水平ピン
30e 鉛直ブラケット
40 レベリングアクチュエータ
50 回動支持機構
52 ユニット支持部材
52A、52B ユニット支持部
52A1、52A2、52B1、52B2 鉛直板状部
52A1a、52A2a 係合凹部
52B2a 円形貫通孔
54 ユニット駆動部材
62 ピボットピン
64、66 エイミングスクリュウ
68 スフェリカルステップベアリング
72、74 エイミングナット
80 微調整機構
82 アジャスティングナット
84 アジャスティングスクリュウ
318 エクステンションパネル
318a 開口部
318b 周縁フランジ部
Ax 光軸
Ax1、Ax2 回動軸線
CL1 下段カットオフライン
CL2 上段カットオフライン
E エルボ点
F 後側焦点
PL ロービーム用配光パターン
PLо 配光パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6