(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191092
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】噴霧式除菌装置
(51)【国際特許分類】
B05B 17/06 20060101AFI20221220BHJP
C02F 1/68 20060101ALI20221220BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20221220BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20221220BHJP
A61L 2/23 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B05B17/06
C02F1/68 510A
C02F1/68 520B
C02F1/68 520V
C02F1/68 530A
B05B12/00 Z
A61L2/18
A61L2/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099734
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】516201102
【氏名又は名称】株式会社ハイスト
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】高倉 勲
【テーマコード(参考)】
4C058
4D074
4F035
【Fターム(参考)】
4C058AA28
4C058BB07
4C058DD12
4C058JJ02
4C058JJ06
4C058JJ24
4D074AA05
4D074BB02
4D074DD03
4D074DD05
4D074DD18
4D074DD34
4F035AA02
4F035BA22
4F035BB01
(57)【要約】
【課題】服装外観にシミや薬液浸透を起こすことがなく、且つ安全性に優れた薬液を噴霧可能とする噴霧式除菌装置を提供する。
【解決手段】噴霧式除菌装置は、縦型の門型枠体からなり、門型枠体内部の中空部を経由して内壁面に形成したスリットから除菌噴霧体を噴霧可能に構成したる噴霧ゲートと、噴霧ゲートの基部の内部に収納した除菌液タンクと、除菌液タンクの薬液内で一定の高さを維持して浮遊する比重に構成したフロート体と、フロート体に一体に連結した超音波装置と、除菌液タンクのタンク内空間と門型枠体内部の中空部とを連通した噴霧体連通ダクトと、除菌液タンクのタンク内空間と門型枠体内部の中空部との間の適宜の位置に介在した噴霧体流通ファンとよりなることとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型の門型枠体からなり、門型枠体内部の中空部を経由して内壁面に形成したスリットから除菌噴霧体を噴霧可能に構成したる噴霧ゲートと、
噴霧ゲートの基部の内部に収納した除菌液タンクと、
除菌液タンクの薬液内で一定の高さを維持して浮遊する比重に構成したフロート体と、
フロート体に一体に連結した超音波装置と、
除菌液タンクのタンク内空間と門型枠体内部の中空部とを連通した噴霧体連通ダクトと、
除菌液タンクのタンク内空間と門型枠体内部の中空部との間の適宜の位置に介在した噴霧体流通ファンとよりなる噴霧式除菌装置。
【請求項2】
除菌液タンク中の水分に炭化チタンを主成分としたセラミック錠剤を投入することにより除菌液タンク中の水分を除菌機能を有するラディカル水とすることを特徴とする請求項1に記載の噴霧式除菌装置。
【請求項3】
除菌液タンク内の水にセラミック錠剤を接触させるために、多数の薬液流通孔を周壁に設けたセラミック錠剤収納の錠剤収納パイプを除菌液タンク内に挿入したことを特徴とする請求項1又は2に記載の噴霧式除菌装置。
【請求項4】
縦型の門型枠体の上部桁には人体感知センサーを設け、人体が門型枠体に一定距離接近した時点で除菌噴霧体の噴霧を開始し、一定時間噴霧した時点で自動的に噴霧を停止するように制御したことを特徴とする請求項1~3いずれかに記載の噴霧式除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、方形型噴霧ゲートの内壁面のスリットから除菌機能を有する噴霧体を噴霧可能とした噴霧式除菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人体付着のウイルスや病原菌を除去するために人体の全面に薬液を噴霧状に散布する除菌装置が使用されている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
この装置は、予めタンク中に除菌性薬液を貯留しておき超音波を利用して薬液を霧状に霧散させて霧状薬液を人体に散布するように構成したものが一般的であった。
【0004】
人体に霧状薬液を散布する為の機構としては、人体が通過するだけの空間を保持した散布枠体から人体に向けて薬液を霧状に噴射して人体の服装外表面に付着したウイルスなどを除菌するように構成したものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の噴霧式の除菌装置では超音波発生装置を収納した超音波水槽と薬液を貯留したタンク水槽とを別個に設け、タンク水槽から必要に応じて薬液を超音波水槽に供給して噴霧体とする、所謂二層式構造が主流であった。このような二層式構造では、超音波発生装置の上方に残存する薬液の体積や深さが一定にならないため、薬液機能を有する噴霧体の噴射密度が統一されておらず噴霧過程の時間経過によって噴霧状の薬液濃度にばらつきが生じやすく、また噴霧体が噴霧対象物に到達と同時に液化し散布対象物の服装外観にシミや薬液浸透を起こす恐れがあった。
【0007】
更には、噴霧する薬液は相当量の貯留薬液をタンクに保留しておくことが必要であり、そのために人間が通過する大きさの散布ゲートと共に容量の大きな除菌液タンクや噴霧機構の設置が併設される必要があり、簡便な除菌装置として家屋の出入り口に設置することができない等の不都合が生じていた。
【0008】
この発明では、特定の薬液を用いた超音波装置の特定の配置構造や噴霧形態によって常に一定量の薬液噴霧体を除菌噴霧体とし門型枠体内で噴射噴霧し従来の薬液噴霧形態と異なる噴霧状の除菌噴霧体とすることにより、服装外観にシミや薬液浸透を起こすことがなく、且つ安全性に優れた薬液を噴霧可能とする除菌装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、縦型の門型枠体からなり、門型枠体内部の中空部を経由して内壁面に形成したスリットから除菌噴霧体を噴霧可能に構成した噴霧ゲートと、噴霧ゲートの基部の内部に収納した除菌液タンクと、除菌液タンクの薬液内で一定の高さを維持して浮遊する比重に構成したフロート体と、フロート体に一体に連結した超音波発生装置と、除菌液タンクのタンク内空間と門型枠体内部の中空部とを連通した噴霧体連通ダクトと、除菌液タンクのタンク内空間と門型枠体内部の中空部との間の適宜の位置に介在した噴霧体流通ファンとよりなる噴霧式除菌装置を提供せんとする。
【0010】
また、除菌液タンク中の水分に炭化チタンを主成分としたセラミック錠剤を投入することにより除菌液タンク中の水分を除菌機能を有するラディカル水とすることを特徴とする。
【0011】
また、除菌液タンク内の水にセラミック錠剤を接触させるために、多数の薬液流通孔を周壁に設けたセラミック錠剤収納の錠剤収納パイプを除菌液タンク内に挿入したことを特徴とする。
【0012】
また、縦型の門型枠体の上部桁には人体感知センサーを設け、人体が門型枠体に一定距離接近した時点で除菌噴霧体の噴霧を開始し、一定時間噴霧した時点で自動的に噴霧を停止するように制御したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、門型枠体内部の中空部を経由して内壁面に形成したスリットから除菌噴霧体を噴霧することができ、人が門型枠体の内部を通過すると噴霧形成機構を介して門型枠体内部の中空部を経由して内壁面に形成したスリットから除菌噴霧体を噴霧することができ、しかも、噴霧ゲート基部に収納した除菌液タンクにおいては薬液内で一定の高さを維持して浮遊する比重のフロート体を薬液内に沈降させて収納しているので、フロート体に一体に連結した超音波装置も同じく薬液内で一定の深さで浮遊した状態とし、超音波装置の上方にあるラディカル水層から超音波による除菌噴霧体を噴出させて噴霧ゲート内の人体へ除菌噴霧することができる効果がある。
【0014】
すなわち、本発明では、除菌噴霧体を生成する超音波装置はフロート体と一体になってラディカル水中に沈下浮遊し、しかも、上方に一定の高さのラディカル水層を保持して浮遊しているため、超音波装置によりラディカル水層から微粒子の除菌噴霧体が生成され噴霧体連通ダクトを介して噴霧ゲートのスリットから噴出される。
【0015】
超音波装置の噴霧働に伴い除菌液タンク内のラディカル水が徐々に減少沈下し最後は除菌液タンクの底部にまで降下するもののラディカル水層の薬液が噴霧されて消失してしまうまではラディカル水層からの除菌噴霧体は一定の濃度と量と速度で噴霧ゲートのスリットから噴出されることになる。
【0016】
従って、除菌液タンク内薬液の残量に関わらず一定の濃度と量と噴霧化速度を維持してタンク内薬液から除菌噴霧体を生成し噴出することができる効果がある。
【0017】
請求項2の発明によれば、除菌液タンク中の水分に炭化チタンを主成分としたセラミック錠剤を投入することにより除菌液タンク中の水分を除菌機能を有するラディカル水としたことにより、従来薬液として殺菌機能を有する次亜塩度酸成分などを使用して除菌機能と共に人体の健康被害にも影響を及ぼす成分を使用していたが、かかる健康被害の影響が皆無で短時間に大量の除菌噴霧体を安心して人体へ噴霧することができる効果がある。
【0018】
請求項3の発明によれば、除菌液タンク内の水にセラミック錠剤を接触させるために、多数の薬液流通孔を周壁に設けたセラミック錠剤収納の錠剤周のパイプを除菌液タンク内に挿入したことにより、簡単な構造により確実にセラミック錠剤の炭化チタン成分を除菌噴霧体中に溶解させ常勤機能を果たすことができる効果がある。
【0019】
請求項4の発明によれば、縦型の門型枠体の上部桁には人体感知センサーを設け、人体が門型枠体に一定距離接近した時点で除菌噴霧体の噴霧を開始し、一定時間噴霧した時点で自動的に噴霧を停止するように制御するように構成したことにより、人体が噴霧式除菌装置に近づくと自動的に噴霧形成機能が予備的に作動し人体が噴霧ゲートに侵入した時に人体の全身に向かって除菌噴霧体を噴射することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の噴霧式除菌装置の全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の噴霧式除菌装置の一部内部構造を示す斜視図である。
【
図3】本発明の噴霧式除菌装置における噴霧形成機構の説明図である。
【
図4】本発明の噴霧式除菌装置における噴霧形成機構の内部構造を示す斜視図である。
【
図5】本発明の噴霧式除菌装置における噴霧形成機構の内部構造を示す平面図である。
【
図6】噴霧形成機構における超音波装置の浮遊状態およびラディカル水層の状態を説明する
図5におけるI―I’線断面図である。
【
図7】噴霧形成機構における超音波装置の浮遊状態およびラディカル水層の状態を説明する
図5におけるI―I’線断面図である。
【
図8】セラミック錠剤を噴霧形成機構の除菌液タンク内の水分に接触溶解させるための治具の構成を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の要旨は、縦型の門型枠体からなり、門型枠体内部の中空部を経由して内壁面に形成したスリットから除菌噴霧体を噴霧可能に構成したる噴霧ゲートと、噴霧ゲートの基部の内部に収納した除菌液タンクと、除菌液タンクの薬液内で一定の高さを維持して浮遊する比重に構成したフロート体と、フロート体に一体に連結した超音波装置と、除菌液タンクのタンク内空間と門型枠体内部の中空部とを連通した噴霧体連通ダクトと、除菌液タンクのタンク内空間と門型枠体内部の中空部との間の適宜の位置に介在した噴霧体流通ファンとよりなる噴霧式除菌装置に関する。
【0022】
また、除菌液タンク中の水分に炭化チタンを主成分としたセラミック錠剤を投入することにより除菌液タンク中の水分を除菌機能を有するラディカル水とすること、
また、除菌液タンク内の水にセラミック錠剤を接触させるために、多数の薬液流出孔を周壁の設けたセラミック錠剤収納の錠剤収納パイプを除菌液タンク内に挿入したこと、
また、縦型の門型枠体の上部桁には人体感知センサーを設け、人体が門型枠体に一定距離接近した時点で除菌噴霧体の噴霧を開始し、一定時間噴霧した時点で自動的に噴霧を停止するように制御したことに特徴を有する。
【0023】
以下、この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。なお、
図1は、本発明の噴霧式除菌装置Aの全体を示す斜視図である。
図2は、門型枠体1の内部の中空部を説明する斜視図である。
図3から
図5までは、本発明の噴霧式除菌装置Aにおける噴霧形成機構aの説明図である。
図6および
図7は噴霧形成機構aにおける超音波装置8の浮遊状態やラディカル水層10に関する説明図を示す。
【0024】
噴霧式除菌装置Aは、概略的には噴霧ゲートを門型枠体とし門型内に除菌噴霧体Fを噴霧するように構成して除菌作用を果たすものである。
【0025】
また、噴霧式除菌装置Aは、
図1に示すように、門型枠体1内を人が歩行通過する際に除菌噴霧体Fを噴霧可能としている。そのため、少なくとも高さは高身長の人であっても屈むことなく通過が可能な寸法とし、横幅は車椅子での通行や小さな子共と一緒に通過可能な寸法とする。
【0026】
門型枠体1の内部は、
図2に示すように、中空部として噴霧体の流通する空間噴霧路2としている。
【0027】
門型枠体1の内壁面には多数のスリット3を形成し空間噴霧路2と連通したスリット3から除菌噴霧体Fを門型枠体1の門型空間内に噴霧可能に構成しているこれらの噴霧ゲート4の左右両柱の基部は該側方に張出し側部5を形成しその内部には後述する除菌液タンク6やフロート体7や超音波装置8などの除菌噴霧体生成のための噴霧形成機構aが収納されている。
【0028】
噴霧形成機構aは、
図3に示すように、除菌液タンク6とタンク内に浮遊させたフロート体7(
図6を参照)とフロート体7に一体に連結した超音波装置8とよりなる。
【0029】
すなわち、方形箱体に形成した除菌液タンク6内にはラディカル水Wが収納されており、ラディカル水Wは後述する炭化チタンを主成分としたセラミック錠剤Cにより水分を除菌機能化しており、かかるラディカル水Wは超音波装置8により噴霧化されて噴霧ゲート4に噴出される。
【0030】
除菌液タンク6のラディカル水W中には略コの字状に形成した単体フロート7-1を互いに開放部突き合わせ状態で浮遊させており、単体フロート7-1を一体としてフロート体7を構成し、フロート体7は除菌液タンク6のラディカル水Wの薬液内で一定の高さを維持して浮遊するような比重に構成しており、従って、ラディカル水W中ではフロート体7が水中に浮遊した状態でフロート体7上方は一定の高さを保持して噴霧化されるラディカル水層10が形成されている。
【0031】
しかも、左右の単体フロート7-1を一定間隔で連結した連結板9上には単体フロート7-1間に超音波装置8を載置固定している。
【0032】
超音波装置8は、超音波振動子13からの振動派を薬液中に発信し薬液振動に伴う噴霧を生成しこれを超微粒子の噴霧体とするものであり、噴霧体連通ダクト11を介して噴霧ゲート4のスリット3から噴出して除菌機能を果たすように構成している。
【0033】
超音波装置8は、
図4および
図5に示すように、複数の超音波振動子13(本実施例では6つ)を上面に2列に並べて配設している。それぞれの超音波振動子13は、電子制御を行うことにより個別に起動操作を可能としている。すなわち、起動する超音波振動子13の数を必要に応じて調整して、除菌噴霧体Fの生成量を調整可能とする。例えば、2つの超音波振動子13を起動させた「弱」、4つの超音波振動子13を起動させた「中」、或いは6つ全ての超音波振動子13を起動させた「強」とすることができる。
【0034】
本発明では、かかる超音波装置8はフロート体7と一体になってラディカル水W中で上方に一定高さのラディカル水層10を保持した状態で浮遊している。
【0035】
超音波装置8の振動子作動に伴い上部のラディカル水層10から微粒子の除菌噴霧体Fが生成され噴霧体連通ダクト11を介して送られて噴霧ゲート4のスリット3から噴出される。
【0036】
超音波装置8の噴霧に伴い除菌液タンク6内のラディカル水Wが徐々に減少沈下してくるとラディカル水層10を保持したまま水中で浮遊するフロート体7も沈下して最後は除菌液タンク6の底部にまで降下するがラディカル水層10のラディカル水Wの噴霧消失してしまうまで除菌噴霧体Fは生成されて搬送されて噴霧ゲート4のスリット3から噴出される。
【0037】
すなわち、上記のフロート体7と共に水中に一定の深さで沈降浮遊する超音波装置8は除菌液タンク6の収容薬液(ラディカル水W)の量に関わらず一定の深さと量を維持したラディカル水層10の噴霧化をコンスタントに行うことができる。
【0038】
図中の符号11は、除菌液タンク6のタンク内空間と門型枠体内部の中空部とを連通した噴霧体連通ダクトであり、符号12は、除菌液タンク6のタンク内空間と門型枠体内部の中空部との間に介在した噴霧体流通ファンである。
【0039】
噴霧体流通ファン12は、供給電圧を調整可能とすることで、風量を「弱」、「中」、「強」の3パターンに変更可能に構成している。したがって、超音波装置8による除菌噴霧体Fの発生量と噴霧体流通ファン12による風量との組み合わせによって、通過する人の数や通過速度に応じて除菌噴霧体Fの噴霧量と噴霧速度を調整可能としている。これにより、適量の除菌噴霧体Fを噴霧するため薬液のロスを可及的に低減することができる。
【0040】
具体的には、超音波装置8による除菌噴霧体Fの発生量を「弱」、噴霧体流通ファン12の風量を「弱」とした場合、約12時間の除菌噴霧体Fの噴霧が可能となる。これは、5秒に1人が通行可能とした場合に8,640人が利用できる計算となる。
【0041】
また、超音波装置8による除菌噴霧体Fの発生量を「中」、噴霧体流通ファン12の風量を「中」とした場合、約9時間の除菌噴霧体Fの噴霧が可能となる。これは、5秒に1人が通行可能とした場合に6,480人が利用できる計算となる。
【0042】
超音波装置8による除菌噴霧体Fの発生量を「強」、噴霧体流通ファン12の風量を「強」とした場合、約7時間の除菌噴霧体Fの噴霧が可能となる。これは、5秒に1人が通行可能とした場合に5,040人が利用できる計算となる。
【0043】
このように、噴霧式除菌装置Aを載置する環境(利用する人の数)に適した超音波装置8による除菌噴霧体Fの発生量と噴霧体流通ファン12による風量との組み合わせに設定することで、ラディカル水Wの補充を最低限度とすることができる。
【0044】
さらに、噴霧形成機構aを収納した門型枠体1における引出し側部5の蓋体には吸気口14が形成されており、噴霧体流通ファン12の起動に伴って吸気口14を介して空気の供給が行われている。この吸気口14内方にはゴミや埃の侵入を防ぐための防塵フィルター22を配置することで、噴霧式除菌装置A内部の汚染を可及的に回避することができる。
【0045】
また、図中の符号20は、超音波装置8を構成する超音波振動子13や噴霧体流通ファン12を電子制御可能するための操作盤である。
【0046】
除菌液タンク6中の水分を除菌機能水としてのラディカル水Wに変質するための薬剤としては、炭化チタンを主成分としたセラミック錠剤Cを投入することにより水分を除菌機能を有するラディカル水Wに変質することができる。
【0047】
すなわち、炭化チタンを主成分としたセラミック錠剤Cの製造技術は、以下のような材料により製造される。
【0048】
セラミック錠剤Cは、チタン、並びに炭素、ホウ素、窒素、及びケイ素からなる群から選択される少なくとも1種、を含む出発原料を燃焼合成することにより得られる多孔質セラミックを含有する炭化チタンセラミックである(特許6706827号公報)。このようなセラミック錠剤Cは、水に入れた際に水分子と反応し、2種類のラディカル(ヒドロキシラディカル、及びメチルラディカル)を発生することで優れた除菌力を発揮するラディカル水を生み出す。
【0049】
水と反応して2種類のラディカルを発生することは、炭化チタンセラミックの優れた特徴と言える。すなわち、一般的な酸化物セラミックは炭素源がなく、水と反応してもヒドロキシラディカルを発生させるのみである。これに対して炭化チタンセラミックは、メチルラディカルも併せて発生させることでより優れた殺菌力を発揮することができる。
【0050】
本実施例におけるセラミック錠剤Cは、まず、チタンと炭素と銀の粉末化合物を電気着火し、約3000℃の瞬間高温化学反応により燃焼合成された多孔質炭化チタンを得る。次いで多孔質炭化チタンを粉砕し粒径2μmの粉状体とする。なお、粉砕物の粒径は少なくとも多孔質炭化チタンの多孔質構造を維持できる大きさ以上とする。また、セラミック錠剤Cと水との反応を邪魔しない粒径以内であれば自由に設定できる。
【0051】
さらに、この粉状体を加圧成形してセラミック錠剤Cとする。セラミック錠剤Cの粒径や重量は、除菌液タンク6に満たす水分の量に応じて変えて十分な除菌効果を得られるように調整する。十分な除菌効果を得られる濃度としては、10ppm~100ppmとなるようにセラミック錠剤Cを除菌液タンク6中の水分と反応させる。すなわち、除菌液タンク6に10Lの水分が収納されているのであれば、セラミック錠剤Cは直径略1cm、重量略1gの円盤状とすることによって、10ppmのラディカル水Wを生成することができる。
【0052】
また、除菌液タンク6内の水分にセラミック錠剤Cを接触溶解させるための治具Jとして以下の構造の錠剤収納パイプ本体15とその頭部に設けた円形のヘッドフランジ16とよりなり(
図8を参照。)、パイプ本体15内には略1cm以下の円盤状のセラミック錠剤Cを下方挿入孔から挿入して閉塞するように構成している。
【0053】
かかる治具はパイプ本体15を除菌液タンク6天板内に穿孔した孔17から挿入してヘッドフランジ16でタンク天板18に係止固定するように構成されている。
【0054】
除菌液タンク6内に挿入されたパイプ本体15の周壁には多数の薬液流通孔23からタンク6内のラディカル水Wが浸入してセラミック錠剤Cと接触し炭化チタンの薬効機能により変質したラディカル水Wは除菌機能を生成して超音波装置8により微粒子の除菌噴霧体Fと化して噴霧ゲート4のスリット3から噴出される。
【0055】
また、縦型の門型枠体の上部桁には人体感知センサー19を設け、人体が門型枠体1に一定距離接近した時点で除菌噴霧体Fの噴霧を開始し、一定時間噴霧した時点で自動的に噴霧を停止するように制御構成している。
【0056】
また、縦型の門型枠体の上部横桁部には、LED電光部21を設けることができる。これにより、例えば「前進して下さい」という使用者への指示や、「超音波ミスト噴霧式除菌ゲート」という噴霧式除菌装置Aの説明を表示させることによって、使用者が利用しやすい噴霧式除菌装置Aとすることができる。
【0057】
この発明は上記のように構成したものであり、人の集合する場所に本噴霧式除菌装置Aを設置しておけば噴霧ゲート4内を人が通過する際に予め一定の距離に近づいた時点で噴霧形成機構aが自動的に作動立上げの準備をして人が門型枠体1をくぐりゲート内に侵入すると噴霧形成機構aが作動を開始して超音波装置8が高振動数の振動波を生成して除菌液タンク6内のラディカル水Wを噴霧化して噴霧体連通ダクト11を介して中空の門型枠体1内を通りスリット3から除菌噴霧体Fを噴出して人の衣服表面や人体露出部に除菌噴霧を行うものである。
【符号の説明】
【0058】
A 噴霧式除菌装置
a 噴霧形成機構
C セラミック錠剤
F 除菌噴霧体
W ラディカル水
J 治具
1 門型枠体
2 空間噴霧路
3 スリット
4 噴霧ゲート
5 張出し側部
6 除菌液タンク
7 フロート体
7-1 単体フロート
8 超音波装置
9 連結板
10 ラディカル水層
11 噴霧体連通ダクト
12 噴霧体流通ファン
13 超音波振動子
14 吸気口
15 錠剤収納パイプ本体
16 ヘッドフランジ
17 孔
18 タンク天板
19 人体感知センサー
20 操作盤
21 LED電光部
22 防塵フィルター
23 薬液流通孔