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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191134
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B41J2/175 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010594
(22)【出願日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2021099174
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長島 巧
(72)【発明者】
【氏名】小泉 義弘
(72)【発明者】
【氏名】大屋 瞬
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA22
2C056KC01
2C056KC04
(57)【要約】
【課題】カートリッジの印刷装置に着脱する際の操作性が低下することを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】カートリッジは、挿入方向に移動させるための第1荷重を受ける第1操作面と、挿入姿勢において、重力上方向側に位置する上面を構成する主面と、挿入姿勢において、上面を構成し、主面よりも重力下方向側に位置する第2操作面であって、回転装着方向に移動させるための第2荷重を受ける第2操作面と、を備え、第2操作面と前記挿入方向との成す角度は、前記主面と挿入方向との成す角度よりも小さい。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジであって、
前記カートリッジの前記カートリッジ装着部への挿入姿勢において、前記カートリッジ装着部への水平方向に沿った挿入方向の手前側に位置する第1操作面であって、前記挿入方向に向かって押されることで、前記挿入方向に前記カートリッジを移動させるための第1荷重を受ける第1操作面と、
前記挿入姿勢において、重力上方向側に位置する上面を構成する主面と、
前記挿入姿勢において、前記上面を構成し、前記主面よりも重力下方向側に位置する第2操作面であって、前記重力下方向に向かって押されることで、前記カートリッジを前記重力下方向の成分を有する回転装着方向に移動させるための第2荷重を受ける第2操作面と、を備え、
前記挿入姿勢において前記挿入方向および前記重力下方向と直交する幅方向から前記カートリッジを見た側面視において、
前記第2操作面と前記挿入方向との成す角度は、前記第1操作面と前記挿入方向との成す角度よりも小さい、カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のカートリッジであって、さらに、
前記カートリッジ装着部が有する液体導入部が挿入される挿入開口部を有する底面を有し、
前記第1操作面は、前記第2操作面から前記底面が位置する側に延びる、カートリッジ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカートリッジであって、さらに、
外殻を形成するカートリッジ本体であって、前記第1操作面と前記第2操作面とを有するカートリッジ本体と、
前記第1操作面のうち前記回転装着方向側の端部以外の第1部分と、前記第2操作面とは、前記カートリッジ本体を収容する最小容積の仮想直方体の内側に位置する、カートリッジ。
【請求項4】
請求項3に記載のカートリッジであって、
前記第2操作面は、前記第1操作面に接続されており、
前記カートリッジは、さらに、前記第2操作面と対向し、前記第1操作面に接続された対向面を有し、
前記対向面のうち、前記第1操作面に接続された接続部分を除く第2部分は、前記仮想直方体の内側に位置する、カートリッジ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のカートリッジであって、
前記挿入姿勢かつ前記側面視において、
前記第1操作面は、前記挿入方向と略垂直であり、
前記第2操作面は、前記重力下方向と略垂直である、カートリッジ。
【請求項6】
印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジであって、
液体を収容するための液体収容部と、
前記液体収容部と連通し、中心軸を有する液体供給部と、
前記カートリッジを前記カートリッジ装着部の予め定めた位置まで挿入する方向である挿入方向であって前記中心軸に沿った中心軸方向と直交する挿入方向における奥側に位置する前面と、
前記挿入方向において前記前面と対向する第1操作面であって、前記挿入方向に前記カートリッジを移動させるための第1荷重を受ける第1操作面と、
前記カートリッジ装着部の液体導入部が挿入される挿入開口部を有する底面であって、重力下方向の成分を有する回転装着方向であって、前記カートリッジ装着部のうち前記挿入方向の奥側を回転支点とした回転装着方向における奥側に位置する底面と、
前記中心軸方向において前記底面と対向する上面であって、前記前面と前記第1操作面とを繋ぐ上面と、を備え、
前記上面は、
前記前面から前記挿入方向とは反対の取り外し方向に沿って延びる主面と、
前記主面よりも前記底面側に位置する第2操作面であって、前記重力下方向に押されることで生じる前記回転装着方向に前記カートリッジを移動させるための第2荷重を受ける第2操作面と、を有し、
前記カートリッジの前記カートリッジ装着部への挿入姿勢において前記挿入方向および前記重力下方向と直交する幅方向から前記カートリッジを見た側面視において、前記第2操作面と前記挿入方向との成す角度は、前記1操作面と前記挿入方向との成す角度よりも小さい、カートリッジ。
【請求項7】
請求項6に記載のカートリッジであって、さらに
前記第2操作面と対向する対向面を有し、
前記中心軸方向について、前記対向面は、前記第2操作面と前記底面との間に位置する、カートリッジ。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のカートリッジであって、
前記上面は、さらに、前記主面から前記取り外し方向側に延びる傾斜面であって、前記取り外し方向に向かうに従い前記底面側に位置するように前記挿入方向に対して傾斜する傾斜面を有し、
前記挿入姿勢かつ前記側面視において、
前記第2操作面と前記挿入方向との成す第1角度は、前記傾斜面と前記挿入方向との成す第2角度よりも小さい、カートリッジ。
【請求項9】
印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジであって、
前記カートリッジは、水平方向に沿った挿入方向に移動することで前記カートリッジ装着部の予め定めた位置まで挿入された後に、前記カートリッジ装着部のうち前記挿入方向の奥側を回転支点として、重力下方向の成分を有する回転装着方向に回転移動されることで、前記カートリッジ装着部への装着が完了し、
前記カートリッジは、
前記カートリッジの前記カートリッジ装着部への挿入姿勢において前記挿入方向の手前側に位置する第1操作面であって、前記挿入方向に向かって押されることで前記挿入方向に移動させるための第1荷重を受ける第1操作面と、
前記挿入姿勢において前記回転装着方向の手前側に位置する第2操作面であって、前記重力下方向に向かって押されることで前記回転装着方向に移動させるための第2荷重を受ける第2操作面と、
前記挿入姿勢において前記回転装着方向の手前側に位置し、前記第2操作面に向かうに従って内方側に位置するように前記挿入方向に対して傾斜する傾斜面であって、前記第2操作面に接続された傾斜面と、を備え、
前記挿入姿勢において前記挿入方向および前記重力下方向と直交する幅方向から前記カートリッジを見た側面視において、前記第2操作面と前記挿入方向との成す第1角度は、前記傾斜面と前記挿入方向との成す第2角度よりも小さい、カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水平方向に沿った装着方向にカートリッジを移動させて、印刷装置のカートリッジ装着部にカートリッジを装着する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-140011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、利用者は、カートリッジのうち装着方向の手前側の後面を押すことで、カートリッジに荷重を加えてカートリッジを装着方向に移動させる。ここで、印刷装置の種類によっては、カートリッジをカートリッジ装着部に装着する場合に、装着完了までに複数方向へのカートリッジの移動が必要になる場合が生じ得る。この場合において、カートリッジの各移動のための荷重がカートリッジに加えられた場合、加えられた荷重が分散して、装着の際の操作性が低下する場合が生じ得る。また、カートリッジの外形が大きくなった場合、カートリッジを印刷装置に着脱する際の操作性が低下する場合が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本開示の第1形態によれば、印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカートリッジは、前記カートリッジの前記カートリッジ装着部への挿入姿勢において、前記カートリッジ装着部への水平方向に沿った挿入方向の手前側に位置する第1操作面であって、前記挿入方向に向かって押されることで、前記挿入方向に前記カートリッジを移動させるための第1荷重を受ける第1操作面と、前記挿入姿勢において、重力上方向側に位置する上面を構成する主面と、前記挿入姿勢において、前記上面を構成し、前記主面よりも重力下方向側に位置する第2操作面であって、前記重力下方向に向かって押されることで、前記カートリッジを前記重力下方向の成分を有する回転装着方向に移動させるための第2荷重を受ける第2操作面と、を備え、前記挿入姿勢において前記挿入方向および前記重力下方向と直交する幅方向から前記カートリッジを見た側面視において、前記第2操作面と前記挿入方向との成す角度は、前記第1操作面と前記挿入方向との成す角度よりも小さい。
【0006】
(2)本開示の第2形態によれば、本開示の第2形態によれば、印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカートリッジは、液体を収容するための液体収容部と、前記液体収容部と連通し、中心軸を有する液体供給部と、前記カートリッジを前記カートリッジ装着部の予め定めた位置まで挿入する方向である挿入方向であって前記中心軸に沿った中心軸方向と直交する挿入方向における奥側に位置する前面と、前記挿入方向において前記前面と対向する第1操作面であって、前記挿入方向に前記カートリッジを移動させるための第1荷重を受ける第1操作面と、前記カートリッジ装着部の液体導入部が挿入される挿入開口部を有する底面であって、重力下方向の成分を有する回転装着方向であって、前記カートリッジ装着部のうち前記挿入方向の奥側を回転支点とした回転装着方向における奥側に位置する底面と、前記中心軸方向において前記底面と対向する上面であって、前記前面と前記第1操作面とを繋ぐ上面と、を備え、前記上面は、前記前面から前記挿入方向とは反対の取り外し方向に沿って延びる主面と、前記主面よりも前記底面側に位置する第2操作面であって、前記重力下方向に押されることで生じる前記回転装着方向に前記カートリッジを移動させるための第2荷重を受ける第2操作面と、を有し、前記カートリッジの前記カートリッジ装着部への挿入姿勢において前記挿入方向および前記重力下方向と直交する幅方向から前記カートリッジを見た側面視において、前記第2操作面と前記挿入方向との成す角度は、前記1操作面と前記挿入方向との成す角度よりも小さい。
【0007】
(3)本開示の第3形態によれば、印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカートリッジは、水平方向に沿った挿入方向に移動することで前記カートリッジ装着部の予め定めた位置まで挿入された後に、前記カートリッジ装着部のうち前記挿入方向の奥側を回転支点として、重力下方向の成分を有する回転装着方向に回転移動されることで、前記カートリッジ装着部への装着が完了する。このカートリッジは、前記カートリッジの前記カートリッジ装着部への挿入姿勢において前記挿入方向の手前側に位置する第1操作面であって、前記挿入方向に向かって押されることで前記挿入方向に移動させるための第1荷重を受ける第1操作面と、前記挿入姿勢において前記回転装着方向の手前側に位置する第2操作面であって、前記重力下方向に向かって押されることで前記回転装着方向に移動させるための第2荷重を受ける第2操作面と、前記挿入姿勢において前記回転装着方向の手前側に位置し、前記第2操作面に向かうに従って内方側に位置するように前記挿入方向に対して傾斜する傾斜面であって、前記第2操作面に接続された傾斜面と、を備え、前記挿入姿勢において前記挿入方向および前記重力下方向と直交する幅方向から前記カートリッジを見た側面視において、前記第2操作面と前記挿入方向との成す第1角度は、前記傾斜面と前記挿入方向との成す第2角度よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態としての印刷システムの構成を示す斜視図。
図2】カートリッジ装着部にカートリッジが装着された図。
図3】カートリッジ装着部とカートリッジとを説明するための図。
図4】カートリッジ装着部を+Z方向側から見た図。
図5】第1種カートリッジの分解斜視図。
図6】第1種カートリッジの側面図。
図7】第1種カートリッジの斜視図。
図8】第1種カートリッジの一部を示す図。
図9】カートリッジのカートリッジ装着部への装着過程を説明する第1図。
図10】カートリッジのカートリッジ装着部への装着過程を説明する第2図。
図11図10をY方向とZ方向とに平行なYZ平面で切断した場合の断面図。
図12】カートリッジのカートリッジ装着部への装着過程を説明する第3図。
図13図12をYZ平面で切断した場合の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.実施形態:
A-1.印刷システムの構成:
図1は、本開示の実施形態としての印刷システム1の構成を示す斜視図である。図1には、互いに直交する3つの空間軸であるXYZ軸が描かれている。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向は、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を示している。X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向と逆の方向が、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向である。X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向を、それぞれ-X方向,-Y方向,-Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸に沿った方向で正負を問わないものを、それぞれX方向,Y方向,Z方向とよぶ。これ以降に示す図及び説明についても同様である。
【0010】
印刷システム1は、印刷装置10と、印刷装置10に液体であるインクを供給するカートリッジ4とを備える。
【0011】
本実施形態の印刷装置10は、液体としてのインクを吐出ヘッド22から吐出するインクジェットプリンターである。この印刷装置10は、ポスター等の大判の用紙(A2~A0等)に印刷を行う大型のプリンターである。印刷装置10は、カートリッジ装着部6と、制御部31と、キャリッジ20と、吐出ヘッド22と、駆動機構30とを備える。また、印刷装置10は、印刷装置10の動作をユーザーが操作するための操作ボタン15を備える。
【0012】
カートリッジ装着部6は、+Y方向側に位置する第1装置壁67を有する。第1装置壁67は、カートリッジ4の収容室61への出入口である挿抜開口部674を有する。この挿抜開口部674を介してカートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に収容されたり、収容室61からカートリッジ4が取り外されたりする。カートリッジ装着部6には、複数のカートリッジ4がそれぞれ着脱可能に装着される。本実施形態では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のインクに対応して4種類のカートリッジ4が1つずつ、すなわち合計4つのカートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される。ブラックのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Kとも呼び、イエローのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Yとも呼び、マゼンタのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Mとも呼び、シアンのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Cとも呼ぶ。本実施形態において、カートリッジ4Kは、カートリッジ4C,4M,4Yよりも多くの液体を収容可能に構成されている。よって、カートリッジ4Kを第1種カートリッジ4Aとも呼び、カートリッジ4C,4M,4Yを第2種カートリッジ4Bとも呼ぶ。
【0013】
印刷装置10は、+Y方向側の前面に交換用カバー13を有する。交換用カバー13は開閉可能に構成されている。交換用カバー13を開くことで、カートリッジ装着部6の開口が現れて、カートリッジ4の着脱が可能となる。カートリッジ装着部6にカートリッジ4が装着されると、液体流通管としてのチューブ24を介してキャリッジ20に設けられた吐出ヘッド22にインクが供給可能となる。本実施形態では、水頭差を利用してカートリッジ4から吐出ヘッド22にインクが供給される。具体的には、カートリッジ装着部6内のインクの液面と吐出ヘッド22との水頭差によってインクが吐出ヘッド22に供給される。なお、他の実施形態では、印刷装置10の図示しないポンプ機構によって、カートリッジ4内のインクを吸引することで、インクが吐出ヘッド22に供給されてもよい。なお、チューブ24は、インクの種類毎に設けられている。ここで、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着されて、液体としてのインクが印刷装置10に供給できる状態を「装着完了状態」とも呼ぶ。
【0014】
吐出ヘッド22には、インクの種類毎にノズルが設けられている。吐出ヘッド22は、ノズルから印刷用紙2に向かってインクを吐出して文字や画像等のデータを印刷する。なお、本帆実施形態では、印刷装置10は、カートリッジ装着部6がキャリッジ20の動きとは連動しない、いわゆる「オフキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターである。キャリッジ20にカートリッジ装着部6が設けられ、キャリッジ20と共にカートリッジ装着部6が移動する、いわゆる「オンキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターにも本開示の技術は適用できる。
【0015】
制御部31は、印刷装置10の各部の制御や、カートリッジ4との信号の授受を行う。キャリッジ20は、吐出ヘッド22を印刷用紙2に対して相対的に移動させる。
【0016】
駆動機構30は、制御部31からの制御信号に基づいてキャリッジ20を往復動させる。駆動機構30は、タイミングベルト32と、駆動モーター34とを備える。タイミングベルト32を介して駆動モーター34の動力をキャリッジ20に伝達することによって、キャリッジ20がX方向に沿った方向である主走査方向に往復移動する。また、印刷装置10は、印刷用紙2を+Y方向である副走査方向に移動させるための搬送機構を備える。印刷が行なわれる際には、搬送機構によって印刷用紙2が副走査方向に移動し、前面カバー11上に印刷完了後の印刷用紙2が出力される。
【0017】
また、キャリッジ20を主走査方向に移動させた印刷領域外の位置には、ホームポジションと呼ばれる領域が設けられており、ホームポジションには、正常に印刷を実行させるためのメンテナンスを行うメンテナンス機構が搭載されている。メンテナンス機構は、吐出ヘッド22の底面側でノズルが形成されている面に押し付けられて、ノズルを取り囲むように閉空間を形成するキャップ部材8や、吐出ヘッド22のノズル面に押し付けるためにキャップ部材8を昇降させる図示しない昇降機構や、キャップ部材8が吐出ヘッド22のノズル面に押し付けられることで形成される閉空間に負圧を導入する図示しない吸引ポンプなどから構成されている。
【0018】
本実施形態では、印刷システム1の使用状態において、印刷用紙2を搬送する副走査方向に沿った軸をY軸とし、重力下方向に沿った軸をZ軸とし、キャリッジ20の移動方向に沿った軸をX軸とする。ここで、「印刷システム1の使用状態」とは、水平な面に印刷システム1が設置された状態をいう。また、本実施形態では、副走査方向を+Y方向、その逆方向を-Y方向とし、重力下方向を-Z方向、重力上方向を+Z方向とする。X方向とY方向は水平方向に沿った方向である。また、印刷システム1を前面側から見たときに、右側から左側に向かう方向を+X方向とし、その逆方向を-X方向とする。また本実施形態では、装着のためにカートリッジ装着部6にカートリッジ4が挿入される挿入方向が-Y方向であり、カートリッジ4がカートリッジ装着部6から取り外される方向が+Y方向である。よって、カートリッジ装着部6のうち、-Y方向側を奥側とも呼び、+Y方向側を手前側とも呼ぶ。また、本実施形態では、複数のカートリッジ4の配列方向がX方向となる。
【0019】
図2は、カートリッジ装着部6とカートリッジ4とを説明するための図である。図2において、カートリッジ4K,4M,4Yはカートリッジ装着部6への装着が完了した装着完了状態を示している。また図2において、カートリッジ4Cはカートリッジ装着部6への挿入が完了した挿入完了状態を示している。
【0020】
カートリッジ4は、水平方向に沿った挿入方向D1に移動することでカートリッジ装着部6の予め定めた位置まで挿入された後に、カートリッジ装着部6のうち挿入方向D1の奥側を回転支点698として、重力下方向の成分を有する回転装着方向D2に回転移動されることで、カートリッジ装着部6への装着が完了する。具体的には、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に装着する際には、装着過程が実行される。装着過程は、端子接続過程と、端子接続過程の次に実行される供給部接続過程と、を有する。端子接続過程は、第1装置壁67の挿抜開口部674を介して、カートリッジ4を水平方向に沿った挿入方向D1に移動させて、カートリッジ装着部6の収容室61に挿入することで、予め定めた位置まで挿入する過程である。予め定めた位置は、カートリッジ4の後述するカートリッジ側端子と、カートリッジ装着部6の後述する装置側端子との接触が完了する位置である。供給部接続過程は、装置側端子とカートリッジ側端子との接触を維持した状態で、カートリッジ装着部6の後述する液体導入部とカートリッジ4の後述する液体供給部とを接続する過程である。具体的には、供給部接続過程では、カートリッジ装着部6の回転支点698を中心に、カートリッジ4の第1操作面47側を矢印に示す回転装着方向D2に回転移動させることで、液体導入部と液体供給部とが接続する。なお、装着完了状態では、カートリッジ4は、カートリッジ装着部6の第1装置壁67側に設けられた係合形成体によって係合されることで装着完了状態が保持されている。
【0021】
カートリッジ4をカートリッジ装着部6から取り出す場合には、ユーザーは、カートリッジ4の第1操作面47側を持ち上げることで、回転支点698を支点として回転装着方向D2とは反対方向である接続解除方向D3に後端47側を回転移動させる。この回転移動の際に、係合形成体による係合が解除される。接続解除方向D3にカートリッジ4を回転移動させてカートリッジ4が挿入完了状態になった後に、取り外し方向D4である+Y方向にカートリッジ4を移動させることで、カートリッジ装着部6からカートリッジ4が取り出される。
【0022】
A-2.カートリッジ装着部の詳細構成:
図3は、カートリッジ装着部6の斜視図である。図4は、カートリッジ装着部6を+Z方向側から見た図である。図3および図4では、理解の容易のためにカートリッジ装着部6の一部の構成の図示は省略している。カートリッジ装着部6について、X方向を幅方向、Y方向を奥行方向、Z方向を高さ方向とも呼ぶ。以下において、特に状態についての記載がない場合には、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着されていない初期配置状態のときのカートリッジ装着部6を前提に各要素について説明する。
【0023】
図3に示すように、カートリッジ装着部6は、カートリッジ4が収容される収容室61を形成する。収容室61は、略直方体形状である。収容室61のうちで、各カートリッジ4C,4M,4Y,4Kを収容する部分であるスロット61C,61M,61Y,61Kは、概ね各カートリッジ4C,4M,4Y,4Kの外観形状に対応している。本実施形態では、カートリッジ4Kは他のカートリッジ4C,4M,4Yに比べ、収容する液体の量を大きくするためにX方向の寸法が大きい。よって、本実施形態では、スロット61Kの幅は、他のスロット61C,61M,61Yの幅よりも大きい。
【0024】
図3に示すように、カートリッジ装着部6は、収容室61を形成する6つの装置壁62,63,64,65,66,67を有する。本開示において「壁」とは、単一の壁に加え、複数の壁によって構成された壁を含む概念である。第1装置壁67は、カートリッジ4を収容室61に挿入したり取り外したりする際に通過させる挿抜開口部674を形成する。第2装置壁62は、収容室61の-Y方向側の壁を形成する。第2装置壁62は、Y方向において第1装置壁67と対向する。第2装置壁62は、印刷装置10の使用状態において、概ね垂直な壁である。
【0025】
装置上壁63は、収容室61の+Z方向側の壁を形成する。装置底壁64は、Z方向において装置上壁63と対向し、収容室61の-Z方向側の壁を形成する。装置底壁64は、支持部材610によって形成されている。装置底壁64は複数の装置開口部614を有する。本実施形態では、装置開口部614は、スロット61C,61M,61Y,61Kに応じて4つ形成されている。装置上壁63および装置底壁64は、第2装置壁62と第1装置壁67と交差する。本開示において、「交わる」や「交差する」とは、(i)2つの要素が相互に交差し実際に交わる状態、(ii)一方の要素を延ばした場合に他方の要素に交わる状態、及び、(iii)相互の要素をそれぞれ延ばした場合に互いの要素が交わる状態、のいずれかの状態であることを意味する。
【0026】
第1装置側壁65は、収容室61の+X方向側の壁を形成する。第2装置側壁66は、X方向において第1装置側壁65と対向し、収容室61の-X方向側の壁を形成する。第1装置側壁65および第2装置側壁66は、第2装置壁62と第1装置壁67と装置上壁63と装置底壁64と交差する。
【0027】
図3および図4に示すように、カートリッジ装着部6は、さらに、支持部材610と、液体導入部642と、装置側供給部位置決め部644と、装置案内部602と、係合形成体677と、を有する。支持部材610は、装着されるカートリッジ4の数に応じて複数設けられている。本実施形態では、支持部材610は4つ設けられている。支持部材610は、収容室61の重力下方向側の装置底壁64を形成する。支持部材610は、カートリッジ4を重力下方向側である-Z方向側から支持する。支持部材610は、Y方向に沿って延びる部材である。支持部材610は、凹形状である。支持部材610は、装置底壁64を形成する主壁613と、第1支持側壁611と、第2支持側壁612とを有する。
【0028】
主壁613は、重力下方向側に位置する凹形状の底部を形成する。主壁613のうち、第1装置壁67側の端部には、装置開口部614が形成されている。装置開口部614は、主壁613の厚み方向に主壁613を貫通する。
【0029】
図3に示すように、第1支持側壁611は、主壁613の+X方向側端部から重力上方向である+Z方向に立ち上がる。第2支持側壁612は、主壁613の-X軸方向側端部から+Z方向に立ち上がる。第1支持側壁611と第2支持側壁612とは、X方向に対向する。
【0030】
装置案内部602は、カートリッジ4を挿入方向D1および取り外し方向D4に案内する。装置案内部602は、支持部材610ごとに設けられている。装置案内部602は、第1支持側壁611と第2支持側壁612とのそれぞれに設けられている。装置案内部602は、第1支持側壁611と第2支持側壁612に設けられた突起である。図4に示すように、第1支持側壁611に設けられた第1装置案内部602aは、第1支持側壁611から第2支持側壁612に向かって突出する突起である。第1装置案内部602aは、Y方向に沿って延びる。また、第1装置案内部602aは、Y方向に間隔をあけて複数配置されている。第2支持側壁612に設けられた第2装置案内部602bは、第2支持側壁612から第1支持側壁611に向かって突出する突起である。第2装置案内部602bは、Y方向に沿って延びる。また、第2装置案内部602bは、Y方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0031】
図3および図4に示すように、液体導入部642は、カートリッジ4の液体を受け入れる。図3に示すように、液体導入部642は中心軸CA1を有する。本実施形態では、中心軸CA1は、Z方向に対して+Y方向に4°傾いている。カートリッジ装着部6の初期配置状態では、液体導入部642は、収容室61内に位置することなく、収容室61よりも-Z方向側に位置する。つまり、液体導入部642は、支持部材610に対して収容室61を挟んで反対側に位置する。これにより、カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に挿入される場合に、液体導入部642にカートリッジ4が衝突することを防止できる。液体導入部642の先端部642bは、回転支点698を中心に支持部材610を回転装着方向D2に回転移動させて装置開口部614を押し下げることで、収容室61内に配置される。つまり、回転支点698は、支持部材610を回転移動させて装置開口部614を重力下方向側に変位させることで、装置開口部614を介して液体導入部642の先端部642bを、収容室61内に配置させる。
【0032】
図3に示す装置側供給部位置決め部644は、カートリッジ4の後述する供給部位置決め部に受け入れられることで、カートリッジ4の液体供給部の液体導入部642に対する動きを規制する。これにより、カートリッジ4の液体供給部の位置決めが行われる。カートリッジ装着部6の初期配置状態では、装置側供給部位置決め部644は、収容室61内に位置することなく、収容室61よりも-Z方向側に位置する。つまり、装置側供給部位置決め部644は、支持部材610に対して収容室61を挟んで反対側に位置する。これにより、カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に挿入される場合に、装置側供給部位置決め部644にカートリッジ4が衝突することを防止できる。装置側供給部位置決め部644の他端部644bは、回転支点698を中心に支持部材610を回転装着方向D2に回転させて装置開口部614を押し下げることで、収容室61内に配置される。つまり、回転支点698は、支持部材610を回転させて装置開口部614を変位させることで、装置開口部614を介して装置側供給部位置決め部644の他端部644bを、収容室61内に配置させる。
【0033】
図4に示すように、カートリッジ装着部6は、さらに、装置側端子部70を有する。装置側端子部70は、カートリッジ4の装着完了状態においてカートリッジ4のカートリッジ側端子と接触する装置側端子を有する。
【0034】
図4に示すように、係合形成体677は、支持部材610よりも+Y方向側に形成されている。また、係合形成体677は、挿抜開口部674よりも-Z方向側に位置する。係合形成体677には、各スロット61C~61Kに対応して図示しない弾性を有する装着係合部が4つ配置されている。
【0035】
A-3.カートリッジの詳細構成:
図5は、第1種カートリッジ4Aの分解斜視図である。図6は、第1種カートリッジ4Aの側面図である。図7は、第1種カートリッジ4Aの斜視図である。図8は、第1種カートリッジ4Aの一部を示す図である。図5図8に示すXYZ軸は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への挿入姿勢を基準としてる。挿入姿勢は、カートリッジ装着部6への挿入が完了した挿入完了状態のときのカートリッジ4の姿勢と同じである。第1種カートリッジ4Aと第2種カートリッジ4Bとの異なる点は、液体収容体401の幅である。第1種カートリッジ4Aは第2種カートリッジ4Bよりも幅が大きい点である。これにより、第1種カートリッジ4Aの液体収容部450の容積は、第2種カートリッジ4Bの液体収容部450の容積よりも大きい。その他の構成については、第1種カートリッジ4Aと第2種カートリッジ4Bとで同様の構成であるため、以下では、第1種カートリッジ4Aを図示してカートリッジ4の構成を説明する。
【0036】
図7に示すように、カートリッジ4の外形は略直方体形状である。カートリッジ4において、カートリッジ装着部6への挿入方向D1である-Y方向に沿った方向が長手方向であり、X方向が幅方向としての短手方向であり、Z方向が重力下方向、すなわち高さ方向である。カートリッジ4において、長手方向の寸法が最も大きく、短手方向の寸法が最も小さい。幅方向は、挿入姿勢において、挿入方向D1と重力下方向に直交する方向である。
【0037】
図7に示すように、カートリッジ4は、外殻を構成するカートリッジ本体41と、カートリッジ本体41に取り付けられた回路基板50とを備える。本実施形態では、カートリッジ本体41は、図5に示すように2つの部材によって構成されている。詳細には、カートリッジ本体41は、液体収容体401と、液体収容体401に嵌合によって取り付けられたアダプター402とを備える。なお、他の実施形態では、カートリッジ本体41は、一体であってもよい。
【0038】
液体収容体401とアダプター402とはそれぞれ、ポリプロピレンなどの合成樹脂を例えば射出成形することによって成型される。液体収容体401とアダプター402とは同じ材料によって形成されていてもよいし、異なる材料によって形成されていてもよい。
【0039】
液体収容体401は、液体としてのインクを収容するための液体収容部450と、液体供給部442とを有する。液体供給部442は、液体収容部450と連通する。液体供給部442は、液体収容体401の底面から延びる部材であり、中心軸CA2を有する。中心軸CA2は、挿入完了状態では、Z方向に平行である。中心軸CA2に沿った方向を中心軸方向とも呼ぶ。挿入方向D1は、中心軸CA2に沿った中心軸方向と直交する。
【0040】
アダプター402は、液体収容体401の底面側に取り付けられる。アダプター402は液体供給部442を収容する凹形状の供給部配置部831を有する。供給部配置部831の底面には挿入開口部446が形成されている。挿入開口部446は、液体導入部642が挿入される部分である。挿入開口部446は、液体供給部442の先端開口である供給部先端部442aとZ方向に対向する。
【0041】
図7に示すように、カートリッジ本体41は、前面42と、後面として第1操作面47と、上面43と、底面44と、第1側面45と、第2側面46と、コーナー部89とを有する。各面42,43,44,45,46,47は、各壁42,43,44,45,46,47とも呼ぶ。
【0042】
前面42と第1操作面47とは、挿入姿勢において、挿入方向D1に沿ったY方向において対向する。前面42は、挿入姿勢において挿入方向D1の奥側、すなわち挿入方向D1の先端側である-Y方向側の先端面を形成する。第1操作面47は、挿入姿勢において挿入方向D1の手前側、すなわちカートリッジ4をカートリッジ装着部6から取り外す取り外し方向D4である+Y方向側に位置する面を形成する。図6に示すように、第1操作面47は、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に挿入する際に、利用者によって挿入方向D1に向かって押されることでカートリッジ4を挿入方向D1に移動させるための第1荷重FD1を受ける。この第1荷重FD1は、カートリッジ4を挿入方向D1に移動させるための力である。第1操作面47は、上面43のうち+Y方向側の端部、すなわち後述する第2操作面435の+Y方向側の端部から底面44が位置する側に延びる。第1操作面47は、平面形状である。本実施形態における「平面形状」とは、凹凸の無い平面に加え、多少の凹凸を含む面も含む概念である。図8に示すように、挿入姿勢かつ幅方向から見た側面視において、第1操作面47は、挿入方向D1に対して略垂直である。本実施形態では、挿入姿勢かつ幅方向から見た側面視において、第1操作面47と挿入方向D1との成す角度AGaは、86°±2°である。つまり、第1操作面47の法線ベクトルV1の方向と、挿入方向D1との成す角度は、4°±2°の範囲である。なお、他の実施形態では、角度AGaは90°であってもよい。上記のごとく「第1操作面47は、挿入方向D1に対して略垂直」とは、第1操作面47と挿入方向D1との成す角度AGaが90°である状態に加え、84°以上90°以下の状態も含む。
【0043】
図6に示すように、上面43と底面44とは、中心軸CA2の中心軸方向であるZ方向において対向する。図7に示すように、底面44は、カートリッジ装着部6の液体導入部642が挿入される挿入開口部446と、供給部位置決め部448とを有する。底面44は、カートリッジ4の装着完了状態において、カートリッジ4の下側の面を形成する。底面44は、カートリッジ装着部6のうち挿入方向D1の奥側を回転支点698とした回転装着方向D2における奥側、すなわち回転装着方向D2の先端側に位置する面である。供給部位置決め部448は、装着過程において、装置側供給部位置決め部644を受け入れて、液体供給部442の液体導入部642に対する位置決めを行う。具体的には、装着過程のうちの供給部接続過程において、供給部位置決め部448は、装置側供給部位置決め部644を受け入れて、回転装着方向D2と交差する方向の供給部位置決め部448の動きを規制することで、液体導入部642に対する液体供給部442の位置決めを行う。供給部位置決め部448は、底面44に形成され、底面44の外表面から窪んだ凹部である。
【0044】
図6に示すように、上面43は、中心軸方向であるZ方向において底面44と対向する。上面43は、カートリッジ4の装着完了状態において、カートリッジ4の上側の面を形成する。上面43は、挿入姿勢において回転装着方向D2の手前側、すなわち、回転装着方向D2とは反対方向である接続解除方向D3の奥側に位置する。上面43は、前面42と第1操作面47とを繋ぐ。上面43は、主面432と、傾斜面433と、第1操作面47に接続された第2操作面435とを有する。主面432と傾斜面433と第2操作面435は、平面形状である。
【0045】
主面432は、3つの面431,433,435のうちで最も大きい面である。主面432は、前面42から挿入方向D1とは反対方向の取り外し方向D4に沿って延びる。主面432は、挿入方向D1に平行である。傾斜面433は、主面432から取り外し方向D4側に延びる。傾斜面433の+Y方向側の端部は、第1操作面47に接続されている。傾斜面433は、取り外し方向D4側に向かうに従い、すなわち第1操作面47に向かうに従い、底面44側であるカートリッジ本体41の内方側に位置するように挿入方向D1に対して傾斜する。図8に示すように、例えば、挿入姿勢かつ側面視において、傾斜面433と挿入方向D1との成す第2角度AG2は、10°以上35°以下の範囲である。第2操作面435は、傾斜面433と第1操作面47とを繋ぐ。第2操作面435は、利用者によって重力下方向に向かって押されることで生じるカートリッジ4を回転装着方向D2に移動させるための第2荷重FD2を受ける。第2荷重FD2の向きは概ね重力下方向である。また回転装着方向D2は重力下方向の成分を有する。挿入姿勢において、第2操作面435は、主面432よりも重力下方向側に位置する。挿入姿勢かつ側面視において、第2操作面435と挿入方向D1との成す第1角度AG1は、第2角度AG2よりも小さい。第1角度AG1は、例えば、2°以下であり、本実施形態では0°である。第2操作面435は、挿入姿勢かつ側面視において重力下方向と略垂直である。ここで言う「重力下方向と略垂直」とは、第2操作面435と重力下方向との成す角度が90°である状態に加え、90°±2°の範囲にある状態も含む。また、上述の記載から分かるように、挿入姿勢かつ側面視において、第2操作面435と挿入方向D1との成す第1角度AG1は、第1操作面47と挿入方向D1との成す角度AGaよりも小さい。なお、重力下方向と、第2荷重FD2の向きは概ね同じである。また、回転装着方向D2において、第2操作面435を通るカートリッジ4の回転軌跡の接線方向は、側面視において、第2操作面435と略垂直に交わる。図6に示すように、傾斜面433によって、第2操作面435の上側には第1スペースSP1が生じる。
【0046】
図7に示すように、第1側面45と第2側面46とは、幅方向であるX方向に対向する。第1側面45と第2側面46とはそれぞれ、挿入姿勢において、Y方向とZ方向に平行である。第1側面45は、+X方向側に位置する面である。第2側面46は、-X方向側に位置する面である。図7に示すように、コーナー部89は、前面42と底面44とが交差するコーナー部分に設けられている。コーナー部89は、内方に凹んだ凹形状の端子配置部90を有する。回路基板50は、端子配置部90に配置されている。
【0047】
図6に示すように、カートリッジ4はさらに、段差面87と、対向面431とを有する。段差面87は、アダプター402によって形成された面である。段差面87は、底面44のうちで取り外し方向D4側である+Y方向側の端部から上面43側に立ち上がる面である。図7に示すように、段差面87には、カートリッジ係合部497が形成されている。カートリッジ係合部497は、段差面87の外表面から窪んだ凹部である。カートリッジ係合部497は、装着完了状態において装着係合部697が入り込むことで、装着係合部697と係合する。この係合によってカートリッジ4のカートリッジ装着部6に対する装着完了状態が維持される。
【0048】
図6に示すように、対向面431は、液体収容体401によって形成された面である。対向面431は、液体収容体401の底面となる。対向面431は、中心軸CA2に沿った中心軸方向において第2操作面435と対向する。対向面431は、底面44よりも重力上方向側に位置する。すなわち、中心軸CA2に沿った中心軸方向について、対向面431は、第2操作面435と底面44との間に位置する。これにより、カートリッジ本体41が大型化することを抑制でき、図6に示すように、対向面431の下側には第2スペースSP2が生じる。
【0049】
図6に示すように、カートリッジ本体41を収容する最小容積の仮想直方体を点線で示す仮想直方体VCとする。この場合において、第1操作面47のうち回転装着方向D2側の端部47b以外の第1部分47aと、第2操作面435とは、仮想直方体VCの内側に位置する。端部47bは、第1操作面47のうち対向面431が交わる部分である。第1部分47aと第2操作面435とが仮想直方体VCの内側に位置することで、カートリッジ本体41が大型化することを抑制できる。また、対向面431のうち第1操作面47に接続された接続部分431bを除く第2部分431aは、仮想直方体VCの内側に位置する。第2部分431aが仮想直方体VCの内側に位置することで、カートリッジ本体41が大型化することを抑制できる。
【0050】
A-4.カートリッジの装着過程:
図9は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への装着過程を説明する第1図である。図10は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への装着過程を説明する第2図である。図11は、図10をY方向とZ方向とに平行なYZ平面で切断した場合の断面図である。図12は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への装着過程を説明する第3図である。図13は、図12をYZ平面で切断した場合の断面図である。
【0051】
まず回路基板50のカートリッジ側端子521と、カートリッジ装着部6の装置側端子721とが接触する予め定めた位置まで、カートリッジ4を挿入方向D1に沿って移動させることで端子接続過程が実行される。端子接続過程では、利用者は、第1操作面47を挿入方向D1に向けて押す。これによって第1操作面47は挿入方向D1を向いた第1荷重FD1を受ける。第1操作面47は、第2操作面435から底面44が位置する側に延びる。詳細には、本実施形態では、第1操作面47は、カートリッジ4の挿入姿勢かつ側面視において、挿入方向D1と略垂直である。つまり、第1操作面47の法線ベクトルV1の向きは、挿入方向D1と略平行である。これにより、利用者が第1操作面47を挿入方向D1に向けて押すことで生じる第1荷重FD1が分散することを抑制できる。よって、利用者はより小さな力で第1操作面47を挿入方向D1に押すことでカートリッジ4を挿入方向D1に移動させることができる。つまり、第1荷重FD1の向きを第1操作面47に対して90°に近い向きにできるため、第1荷重FD1が挿入方向D1以外に分散することを抑制できるので、利用者はより小さな力で第1操作面47を挿入方向D1に押すことでカートリッジ4を挿入方向D1に移動させることができる。これにより、カートリッジ4の挿入方向D1への操作性が低下することを抑制できる。
【0052】
図10および図11に示すように、カートリッジ側端子521と装置側端子721とが接触する予め定めた位置まで、カートリッジ4を挿入方向D1に沿って移動させて端子接続過程が完了した後に、供給部接続過程が実行される。つまり、利用者は第2操作面435を重力下方向に押すことで、回転支点698を中心として重力下方向成分を有する回転装着方向D2にカートリッジ4を回転移動させる。これにより、図13に示すように、供給部位置決め部448が装置側供給部位置決め部644を受け入れることで、液体供給部442の液体導入部642に対する位置決めが開始される。次いで、液体供給部442が液体導入部642に挿入されて接続されることで、カートリッジ4のカートリッジ装着部6の装着は完了する。ここで、図8に示すように、挿入姿勢かつ側面視において、第2操作面435と挿入方向D1との成す第1角度AG1は、傾斜面433と挿入方向D1との成す第2角度AG2よりも小さい。これにより、第2操作面435と重力下方向との成す角度は、傾斜面433と重力下方向との成す角度よりも90°に近くできる。よって、第2荷重FD2の向きを第2操作面435に対して90°に近い向きにできるため、傾斜面433を重力下方向に押す場合よりも第2荷重が重力下方向以外に分散することを抑制できる。これにより、カートリッジ4を回転装着方向D2に移動させるために第2操作面435を重力下方向に押す力をより小さくできる。よって、カートリッジ4の装着において、カートリッジの回転装着方向D2への操作性が低下することを抑制できる。特に、本実施形態では、挿入姿勢かつ側面視において、第2操作面435は重力下方向と略垂直である。これにより、供給部接続過程の際に、第2操作面435に加えられる第2荷重が分散することを抑制できるので、カートリッジ4を回転装着方向D2に移動させるために第2操作面435を重力下方向に押す力をより小さくできる。以上のように、カートリッジ4の装着の際の操作性が低下することを抑制できる。
【0053】
図13に示すように、カートリッジ4の装着完了状態では、カートリッジ4の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続される。これにより、カートリッジ4の液体収容部450に収容された液体が、液体供給部442を介して液体導入部642に供給される。また、本実施形態では、液体供給部442から液体導入部642に液体が供給される一方で、カートリッジ装着部6の液体貯留部699に収容された空気が気泡となって、液体導入部642、液体供給部442を流通して液体収容部450に流通する。これにより、液体収容部450の気液交換が行われる。なお、他の実施形態では、カートリッジ4が液体収容部450と外部とを連通させる大気連通路を有し、この大気連通路を介して気液交換が行われてもよい。大気連通路は液体供給部442とは異なる位置に配置されており、例えば、液体収容部450を形成する壁に形成される。
【0054】
またカートリッジ4の装着完了状態では、カートリッジ4のカートリッジ係合部497が、カートリッジ装着部6の装着係合部697と係合することで、装着完了状態が維持される。装着係合部697は、カートリッジ装着部6の第1装置壁67側に位置する係合形成体677に形成されている。
【0055】
カートリッジ4がカートリッジ装着部6から取り外される場合には、まず利用者はカートリッジ4の第1操作面47側を重力上方側に持ち上げることで、回転支点698を中心に重力上方向成分を有する接続解除方向D3にカートリッジ4を移動させる。この移動の過程において、ばねで構成された装着係合部697がカートリッジ4によって変位することで装着係合部697とカートリッジ係合部497との係合が解除される。カートリッジ4が挿入姿勢になるまで接続解除方向D3に移動した後に、利用者は、カートリッジ4の第1操作面47側を把持して取り外し方向D4にカートリッジ4を移動させる。これにより、カートリッジ装着部6からカートリッジ4が取り外される。
【0056】
ここで、図2に示すように、4つのカートリッジ4C,4M,4Y,4KがX方向に並んでいるため、隣り合うカートリッジ4同士の間のスペースは小さい。よって、カートリッジ4を把持して取り外し方向D4にカートリッジ4を移動させるために、カートリッジ4の側面45,46を把持することは困難である。一方で、図11および図13に示すように、カートリッジ4において、傾斜面433によって第2操作面435の上側には第1スペースSP1が生じ、段差面87によって対向面431の下側には第2スペースSP2が生じる。この第1スペースSP1や第2スペースSP2によって、以下に記載するように、カートリッジ4の取り外しの際の操作性を向上できる。例えば、図13に示すように、第2スペースSP2が形成されることで、利用者は第2スペースSP2に手を差し入れることで対向面431に対して重力上方向に押し上げることができる。また、図11に示す挿入姿勢において、第1スペースSP1および第2スペースSP2が形成されることで、利用者は第1スペースSP1および第2スペースSP2に手を差し入れることで、第2操作面435と対向面431を把持してカートリッジ4を取り外し方向D4に移動させることができる。
【0057】
上記実施形態によれば、図6に示すように、カートリッジ4は、上面43を構成する主面432と、上面43を構成し、主面432よりも重力下方向側に位置する第2操作面435を有する。これにより、主面432と第2操作面435とが同じ高さ位置になる場合に比べて、カートリッジ4の外形が大きくなることを抑制できる。また、上記実施形態によれば、図8に示すように、カートリッジ4は第2操作面435に向かうに従って内方側に位置する傾斜面433を有する。言い換えれば、カートリッジ4は、取り外し方向D4に向かうに従い底面44側に位置するように挿入方向D1に対して傾斜する傾斜面433を有する。これによっても、カートリッジ4の外形が大きくなることを抑制できる。カートリッジ4の外形が大きくなることを抑制することで、カートリッジ4の重量が小さくなったり、利用者がカートリッジ4を把持しやすくなったりするため、利用者はカートリッジ4を印刷装置10に着脱する際の操作性が低下することを抑制できる。カートリッジ4をカートリッジ装着部6に装着する際に、第1操作面47に加えられる第1荷重FD1や第2操作面435に加えられる第2荷重FD2が、カートリッジ4を押し進める方向以外に分散することを抑制できる。これにより、カートリッジ4の装着過程における操作性が低下することを抑制できる。
【0058】
B.他の実施形態:
B-1.他の実施形態1:
本開示は、インクジェットプリンター及びそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の印刷装置に装着されるカートリッジにも適用することができる。例えば、以下のような各種の印刷装置及びそのカートリッジに適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材を噴射する印刷装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材を噴射する印刷装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する印刷装置
(5)精密ピペットとしての試料印刷装置
(6)潤滑油の印刷装置
(7)樹脂液の印刷装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する印刷装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する印刷装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する印刷装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッドを備える印刷装置
【0059】
なお、「液滴」とは、印刷装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、印刷装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
【0060】
B-2.他の実施形態2:
上記実施形態では、図5および図6に示すように、カートリッジ4の主面432や傾斜面433は平面形状であったが、これに限定されるものではない。例えば、傾斜面433は、カートリッジ4の外方側に凸となる曲面形状や、カートリッジ4の内方側に凸となる曲面形状であってもよい。また傾斜面433は、複数の平面の組み合わせによって構成されていてもよい。また、傾斜面433は、主面432と第2操作面435とを繋ぐ面であればよく、例えば重力下方向に沿った面であってもよい。
【0061】
C.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0062】
(1)本開示の第1形態によれば、印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカートリッジは、前記カートリッジの前記カートリッジ装着部への挿入姿勢において、前記カートリッジ装着部への水平方向に沿った挿入方向の手前側に位置する第1操作面であって、前記挿入方向に向かって押されることで、前記挿入方向に前記カートリッジを移動させるための第1荷重を受ける第1操作面と、前記挿入姿勢において、重力上方向側に位置する上面を構成する主面と、前記挿入姿勢において、前記上面を構成し、前記主面よりも重力下方向側に位置する第2操作面であって、前記重力下方向に向かって押されることで、前記カートリッジを前記重力下方向の成分を有する回転装着方向に移動させるための第2荷重を受ける第2操作面と、を備え、前記挿入姿勢において前記挿入方向および前記重力下方向と直交する幅方向から前記カートリッジを見た側面視において、前記第2操作面と前記挿入方向との成す角度は、前記第1操作面と前記挿入方向との成す角度よりも小さい。この形態によれば、第2操作面が主面よりも重力下方向側に位置することで、カートリッジの外形が大きくなることを抑制できる。これにより、利用者は、カートリッジを印刷装置に着脱する際の操作性が低下することを抑制できる。また、カートリッジにおいて、第2操作面と挿入方向との成す角度は、第1操作面と挿入方向との成す角度よりも小さい。これにより、第2操作面と重力下方向との成す角度は、第1操作面と重力下方向との成す角度よりも90°に近くできる。よって、第2荷重の向きを第2操作面に対して90°に近い向きにできるので、第2荷重が分散することを抑制できる。よって、カートリッジを回転装着方向に移動させるために第2操作面を重力下方向に押す力をより小さくできる。これにより、カートリッジの装着において、カートリッジの回転装着方向への操作性が低下することを抑制できる。
【0063】
(2)上記形態において、さらに、前記カートリッジ装着部が有する液体導入部が挿入される挿入開口部を有する底面を有し、前記第1操作面は、前記第2操作面から前記底面が位置する側に延びていてもよい。この形態によれば、第1操作面が第2操作面から底面が位置する側に延びることで、第1荷重の向きを第1操作面に対して90°に近い向きにできるため、第1荷重が分散することを抑制できる。これにより、より小さな力で第1操作面を挿入方向に向けて押すことで、カートリッジを挿入方向に移動させることができる。よって、カートリッジの装着において、カートリッジの挿入方向への操作性が低下することを抑制できる。
【0064】
(3)上記形態において、さらに、外殻を形成するカートリッジ本体であって、前記第1操作面と前記第2操作面とを有するカートリッジ本体と、前記第1操作面のうち前記回転装着方向側の端部以外の第1部分と、前記第2操作面とは、前記カートリッジ本体を収容する最小容積の仮想直方体の内側に位置していてもよい。この形態によれば、第1操作面の第1部分と第2操作面とが仮想直方体の内側に位置することで、カートリッジ本体が大型化することを抑制できる。
【0065】
(4)上記形態において、前記第2操作面は、前記第1操作面に接続されており、前記カートリッジは、さらに、前記第2操作面と対向し、前記第1操作面に接続された対向面を有し、前記対向面のうち、前記第1操作面に接続された接続部分を除く第2部分は、前記仮想直方体の内側に位置していてもよい。この形態によれば、対向面のうち第2部分が仮想直方体の内側に位置することで、カートリッジ本体が大型化することを抑制できる。
【0066】
(5)上記形態において、前記挿入姿勢かつ前記側面視において、前記第1操作面は、前記挿入方向と略垂直であり、前記第2操作面は、前記重力下方向と略垂直であってもよい。この形態によれば、第1操作面に加えられる第1荷重が分散することを抑制できるので、カートリッジを挿入方向に移動させるために第1操作面を押す力をより小さくできる。またこの形態によれば、第2操作面に加えられる第2荷重が分散することを抑制できるので、カートリッジを回転装着方向に移動させるために第2操作面を重力下方向に押す力をより小さくできる。以上のように、カートリッジの装着の際の操作性が低下することを抑制できる。
【0067】
(6)本開示の第2形態によれば、印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカートリッジは、液体を収容するための液体収容部と、前記液体収容部と連通し、中心軸を有する液体供給部と、前記カートリッジを前記カートリッジ装着部の予め定めた位置まで挿入する方向である挿入方向であって前記中心軸に沿った中心軸方向と直交する挿入方向における奥側に位置する前面と、前記挿入方向において前記前面と対向する第1操作面であって、前記挿入方向に前記カートリッジを移動させるための第1荷重を受ける第1操作面と、前記カートリッジ装着部の液体導入部が挿入される挿入開口部を有する底面であって、重力下方向の成分を有する回転装着方向であって、前記カートリッジ装着部のうち前記挿入方向の奥側を回転支点とした回転装着方向における奥側に位置する底面と、前記中心軸方向において前記底面と対向する上面であって、前記前面と前記第1操作面とを繋ぐ上面と、を備え、前記上面は、前記前面から前記挿入方向とは反対の取り外し方向に沿って延びる主面と、前記主面よりも前記底面側に位置する第2操作面であって、前記重力下方向に押されることで生じる前記回転装着方向に前記カートリッジを移動させるための第2荷重を受ける第2操作面と、を有し、前記カートリッジの前記カートリッジ装着部への挿入姿勢において前記挿入方向および前記重力下方向と直交する幅方向から前記カートリッジを見た側面視において、前記第2操作面と前記挿入方向との成す角度は、前記1操作面と前記挿入方向との成す角度よりも小さい。この形態によれば、第2操作面が主面よりも重力下方向側に位置することで、カートリッジの外形が大きくなることを抑制できる。これにより、利用者は、カートリッジを印刷装置に着脱する際の操作性が低下することを抑制できる。また、カートリッジにおいて、第2操作面と挿入方向との成す角度は、第1操作面と挿入方向との成す角度よりも小さい。これにより、第2操作面と重力下方向との成す角度は、第1操作面と重力下方向との成す角度よりも90°に近くできる。よって、第2荷重の向きを第2操作面に対して90°に近い向きにできるため、第2荷重が分散することを抑制できる。これにより、より小さな力で第2操作面を重力下方向に押すことで、カートリッジを回転装着方向に移動させることができる。よって、カートリッジの装着において、カートリッジの回転装着方向への操作性が低下することを抑制できる。
【0068】
(7)上記形態において、さらに、前記第2操作面と対向する対向面を有し、前記中心軸方向について、前記対向面は、前記第2操作面と前記底面との間に位置していてもよい。この形態によれば、カートリッジ本体が大型化することを抑制できる。
【0069】
(8)上記形態において、前記上面は、さらに、前記主面から前記取り外し方向側に延びる傾斜面であって、前記取り外し方向に向かうに従い前記底面側に位置するように前記挿入方向に対して傾斜する傾斜面を有し、前記挿入姿勢かつ前記側面視において、
前記第2操作面と前記挿入方向との成す第1角度は、前記傾斜面と前記挿入方向との成す第2角度よりも小さくてもよい。この形態によれば、カートリッジは第2操作面に向かうに従って底面側に位置する傾斜面を有することで、カートリッジの外形が大きくなることを抑制できる。これにより、利用者は、カートリッジを印刷装置に着脱する際の操作性が低下することを抑制できる。また、カートリッジにおいて、第2操作面と挿入方向との成す第1角度は、傾斜面と挿入方向との成す第2角度よりも小さい。これにより、第2操作面と重力下方向との成す角度は、傾斜面と重力下方向との成す角度よりも90°に近くできる。よって、第2荷重の向きを第2操作面に対して90°に近い向きにできるので、傾斜面を重力下方向に押す場合よりも第2荷重が分散することを抑制できる。よって、カートリッジを回転装着方向に移動させるために第2操作面を重力下方向に押す力をより小さくできる。これにより、カートリッジの装着において、カートリッジの回転装着方向への操作性が低下することを抑制できる。
【0070】
(9)本開示の第3形態によれば、印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。前記カートリッジは、水平方向に沿った挿入方向に移動することで前記カートリッジ装着部の予め定めた位置まで挿入された後に、前記カートリッジ装着部のうち前記挿入方向の奥側を回転支点として、重力下方向の成分を有する回転装着方向に回転移動されることで、前記カートリッジ装着部への装着が完了する。前記カートリッジは、前記カートリッジの前記カートリッジ装着部への挿入姿勢において前記挿入方向の手前側に位置する第1操作面であって、前記挿入方向に向かって押されることで前記挿入方向に移動させるための第1荷重を受ける第1操作面と、前記挿入姿勢において前記回転装着方向の手前側に位置する第2操作面であって、前記重力下方向に向かって押されることで前記回転装着方向に移動させるための第2荷重を受ける第2操作面と、前記挿入姿勢において前記回転装着方向の手前側に位置し、前記第2操作面に向かうに従って内方側に位置するように前記挿入方向に対して傾斜する傾斜面であって、前記第2操作面に接続された傾斜面と、を備え、前記挿入姿勢において前記挿入方向および前記重力下方向と直交する幅方向から前記カートリッジを見た側面視において、前記第2操作面と前記挿入方向との成す第1角度は、前記傾斜面と前記挿入方向との成す第2角度よりも小さい。この形態によれば、カートリッジは第2操作面に向かうに従って内方側に位置する傾斜面を有することで、カートリッジの外形が大きくなることを抑制できる。これにより、利用者は、カートリッジを印刷装置に着脱する際の操作性が低下することを抑制できる。また、カートリッジにおいて、第2操作面と挿入方向との成す第1角度は、傾斜面と挿入方向との成す第2角度よりも小さい。これにより、第2操作面と重力下方向との成す角度は、傾斜面と重力下方向との成す角度よりも90°に近くできる。よって、第2荷重の向きを第2操作面に対して90°に近い向きにできるので、傾斜面を重力下方向に押す場合よりも第2荷重が分散することを抑制できる。よって、カートリッジを回転装着方向に移動させるために第2操作面を重力下方向に押す力をより小さくできる。これにより、カートリッジの装着において、カートリッジの回転装着方向への操作性が低下することを抑制できる。
【0071】
本開示は、上記形態の他に、カートリッジの製造方法、カートリッジと印刷装置とを備えた印刷システムなどの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…印刷システム、2…印刷用紙、4,4C,4M,4Y,4K…カートリッジ、4A…第1種カートリッジ、4B…第2種カートリッジ、6…カートリッジ装着部、8…キャップ部材、10…印刷装置、13…交換用カバー、15…操作ボタン、20…キャリッジ、22…吐出ヘッド、24…チューブ、30…駆動機構、31…制御部、32…タイミングベルト、34…駆動モーター、41…カートリッジ本体、42…前面、43…上面、44…底面、45…第1側面、46…第2側面、47…第1操作面、47a…第1部分、47b…端部、50…回路基板、61…収容室、61C,61M,61Y,61K…スロット、62…第2装置壁、63…装置上壁、64…装置底壁、65…第1装置側壁、66…第2装置側壁、67…第1装置壁、70…装置側端子部、87…段差面、89…コーナー部、90…端子配置部、401…液体収容体、402…アダプター、431…対向面、431a…第2部分、431b…接続部分、432…主面,433…傾斜面、435…第2操作面、442…液体供給部、442a…供給部先端部、446…挿入開口部、448…供給部位置決め部、450…液体収容部、497…カートリッジ係合部、521…カートリッジ側端子、602…装置案内部、602a…第1装置案内部、602b…第2装置案内部、610…支持部材、611…第1支持側壁、612…第2支持側壁、613…主壁、614…装置開口部、642…液体導入部、642b…先端部、644…装置側供給部位置決め部、644b…他端部、674…挿抜開口部、677…係合形成体、697…装着係合部、698…回転支点、699…液体貯留部、721…装置側端子、831…供給部配置部、AG1…第1角度、AG2…第2角度、AGa…角度、CA1…中心軸、CA2…中心軸、D1…挿入方向、D2…回転装着方向、D3…接続解除方向、D4…取り外し方向、FD1…第1荷重、FD2…第2荷重、SP1…第1スペース、SP2…第2スペース、V1…法線ベクトル、VC…仮想直方体
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