(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191189
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】成形装置、及び成形装置を作動する方法
(51)【国際特許分類】
B30B 15/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B30B15/00 C
B30B15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094897
(22)【出願日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】21179535
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522235065
【氏名又は名称】フィースラー・エレクトロニク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ・フィースラー
【テーマコード(参考)】
4E088
【Fターム(参考)】
4E088JJ02
4E088KK07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】放射線検出器の改善した位置依存性の非アクティブ化が可能となる、成形装置及び成形装置を作動するための方法を提供する。
【解決手段】安全制御部(10)は、第1放射線検出器(23)の非アクティブ化のために、第1位置補正値と第1位置値とを加算することによって得た第1実際位置値と第1非アクティブ化位置値を比較して生じる第1ステータス信号(a)と、第2位置補正値と第2位置値とを加算することによって得た第2実際位置値と第1非アクティブ化位置値を比較して生じる第2ステータス信号(b)とを比較し、第1ステータス信号(a)と第2ステータス信号(b)が一致する場合に、非アクティブ化が実行されるように形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシンベッド(2)、マシンベッド(2)に収容されていて相対移動可能なツールキャリア(4)、駆動装置(37)を制御する機械制御部(11)、駆動装置(37)を遮断する安全制御部(10)、及び駆動装置(37)に組入れられている位置測定システム(12)を備える成形装置(1)であって、
マシンベッド(2)には、第1ツール(6)が配置されていて、
ツールキャリア(4)には、第2ツール(5)とツールキャリア(4)を移動する駆動装置(37)が組入れられていて、その際、第2ツール(5)は、第1ツール(6)と共に、可変サイズの作業ギャップ(20)を決定し
安全制御部(10)は、少なくとも一つの放射源(8)と放射源(8)に対向して配置されている複数の放射線検出器(23、24、25)とに接続されていて、
放射源(8)から発したビーム(14)の少なくとも一部は、第1ツール(6)の作業エッジ(36)に沿って整列されていて、
位置測定システム(12)は、ツールキャリア(4)の位置に依存して位置信号を提供するために形成されていて、その際、機械制御部(11)は、第1高速作業サイクルにおける位置信号を第1位置値へ周期的に処理するために、第1経路測定システムを有し、且つ安全制御部(10)は、第2低速作業サイクルにおける位置信号を第2位置値へ周期的に処理するために、第2経路測定システムを有する、当該成形装置において、
安全制御部(10)は、あらかじめ設定されている第1非アクティブ化位置での第1放射線検出器(23)の非アクティブ化のために、第1ステータス信号(a)と第2ステータス信号(b)の間の比較を実行するように、形成されていて、
第1ステータス信号(a)は、第1位置値に第1位置補正値を加算することによって、特に機械制御部(11)から、得られる第1実際位置値を、第1非活性位置値と比較することによって算出され、
第2ステータス信号(b)は、第1位置補正値に第2位置値を加算することによって、特に安全制御部(10)から、得られる第2実際位置値を、第1非活性位置値と比較することによって算出され、
安全制御部(10)は、第1ステータス信号(a)が第2ステータス信号(b)と一致する場合に非アクティブ化が実行するように形成されている、ことを特徴とする成形装置(1)。
【請求項2】
安全制御部(10)は、第2放射線検出器(24)の非アクティブ化が、特に排他的に第2位置値に基づいて、あらかじめ設定されている第2非アクティブ化位置で、実行するように調整されていて、
その際、第2ツール(5)に対する第1放射線検出器(23)の間隔は、第2ツール(5)に対する第2放射線検出器(24)の間隔よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の成形装置(1)。
【請求項3】
機械制御部(11)は、第2ツール(5)が第1ツール(6)に接近するための第1、特に最大の接近速度に基づいて、且つ第1作業サイクルのための第1サイクル時間に基づいて、第1位置補正値が算出されるように調整されていて、
安全制御部(10)は、第1、特に最大の接近速度に基づいて、且つ第2作業サイクルのための第2サイクル時間に基づいて、第2位置補正値が算出されるように調整されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の成形装置(1)。
【請求項4】
安全制御部(10)は、第2実際位置値が第1実際位置値より前に経時的に生じた場合にのみ、第1放射線検出器の非アクティブ化が生じるように調整されている、ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の成形装置。
【請求項5】
成形装置(1)、特に請求項1~4のいずれか一項に記載の成形装置(1)を作動するための方法であって、当該方法が、以下のステップ、即ち、
マシンベッド(2)に配置されている第1ツール(6)と、マシンベッド(2)に収容されていて相対移動可能なツールキャリア(4)に固定され且つ可変サイズの作業間隔を第1ツール(6)と共に決定する第2ツール(5)との間の経時的に可変な間隔を計算するために位置測定システム(12)の位置信号を算出するステップ、
第1高速作業サイクルで運転される、機械制御部(11)の第1経路測定システムにおいて位置信号を第1位置値に処理するステップ、且つ第2低速作業サイクルで運転される、安全制御部(10)の第2経路測定システムにおいて位置信号を第2位置値に処理するステップ、
安全制御部(10)において、第1放射線検出器(23)の第1検出信号を処理するステップと、第2放射線検出器(24)の第2検出信号を処理するステップであって、これらの検出器は、第2ツール(5)の第1側方端部領域に配置されていて、且つ第2ルール(5)の第2端部領域に、対向して配置されている放射線源(8)から照明され、
その際、第2ツール(5)に対する第1放射線検出器(23)の間隔は、第2ツール(5)に対する第2放射線検出器(24)の間隔よりも大きい、ステップ、
第1ツール(6)と第2ツール(5)の間の第1、特に最大の、接近速度で作業間隔(20)の間隔幅を減少するために、作業間隔(20)が予め設定されている間隔幅よりも大きい間隔幅の場合、機械制御部(11)と安全制御部(10)によって、ツールキャリア(4)と連結する駆動装置(37)の為のエネルギー供給を開放するステップ、
第1ステータス信号(a)と第2ステータス信号(b)の間の比較を実施するステップであって、
その際、第1位置補正値と第1位置値を加算して、機械制御部(11)又は安全制御部(10)から得た第1実際位置値を、第1非アクティブ位置値と比較することによって、第1ステータス信号(a)が計算され、且つ
その際、第2位置補正値と第2位置値を加算して、安全制御部(10)から得た第2実際位置値を、第1非アクティブ位置値と比較することによって、第2ステータス信号(b)が計算される、ステップ、並びに
第1ステータス信号(a)と第2ステータス信号(b)とが一致する場合に、第1放射線検出器(23)を非アクティブ化するステップ、を備えることを特徴とする方法。
【請求項6】
第1放射線検出器(23)の非アクティブ化に伴い、第1接近速度から第2、特に平均、接近速度への駆動装置(37)の切り替えが実行される、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第2位置値が第2非アクティブ化位置と一致する場合には、第2非アクティブ化位置での第2放射線検出器(24)の非アクティブ化が、安全制御装置(10)によって実行される、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
第2放射線検出器(24)の非アクティブ化に伴い、第2接近速度から第3、特に低速の接近速度への駆動装置(37)の切り替えは実行される、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1位置補正値は、第1接近速度と第1作業サイクルのための第1サイクル時間に基づいて決定され、且つ第2位置補正値は、第1接近速度と第2作業サイクルのための第2サイクル時間に基づいて決定される、ことを特徴とする請求項5、6、7又は8に記載の方法。
【請求項10】
第1非アクティブ化位置値は、第1放射線検出器(23)を非アクティブ化するための第1非アクティブ化位置に対して第1間隔を有し、
その際、第1間隔は、ツールキャリア(4)が第1非アクティブ化位置に到達する前に、第2作業サイクル内の第2安全制御部(10)で実施されている、第1実際位置値と第2実際位置値との間の比較が完了されているように、算定されている、ことを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシンベッド、マシンベッドに収容されていて相対移動可能なツールキャリア、駆動装置を制御する機械制御部、駆動装置を遮断する安全制御部、及び駆動装置に組入れられている位置測定システムを備える成形装置であって、マシンベッドには、第1ツールが配置されていて、ツールキャリアには、第2ツールとツールキャリアを移動する駆動装置とが組入れられていて、その際、第2ツールは、第1ツールと共に、可変サイズの作業ギャップを決定し、安全制御部は、少なくとも一つの放射源と放射源に対向して配置されている複数の放射線検出器とに接続されていて、放射源から発したビームの少なくとも一部は、第1ツールの作業エッジに沿って整列されていて、位置測定システムは、ツールキャリアの位置に依存して位置信号を提供するために形成されていて、その際、機械制御部は、第1高速作業サイクルにおける位置信号を第1位置値へ周期的に処理するために、第1経路測定システムを有し、且つ安全制御部は、第2低速作業サイクルにおける位置信号を第2位置値へ周期的に処理するために、第2経路測定システムを有する、成形装置に関する。更に、本発明は、成形装置を作動する方法に関する。
【0002】
特許文献1は、マシンベッドと、このマシンベッドに収容されていて、駆動装置と連結されている相対移動可能なツールキャリアと、駆動装置を制御する機械制御装置と、ツールキャリアの移動を監視するため且つ駆動装置の上流の分離装置を制御するために形成されている監視装置と、マシンベッドに対向するツールキャリアの位置を決定するための位置信号を出力するためにそれぞれ形成されている2つの経路測定システムとを備える成形装置を開示する。その際、第1経路測定システムは、第1高速作業サイクルにおける第1位置信号を周期的に提供するために形成されていて、且つその際、第2経路測定システムは、第2低速作業サイクルにおいて第2位置信号を周期的に提供するために形成されていて、且つ非アクティブ化は、比較の際に、第1及び第2位置信号の間の差が所定の値を下回った場合、少なくとも一つの放射線検出器で生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2940369号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、放射線検出器の改善した位置依存性の非アクティブ化が可能となる、成形装置及び成形装置を作動するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、安全制御部が、あらかじめ設定されている第1非アクティブ化位置での第1放射線検出器の非アクティブ化のために、第1ステータス信号と第2ステータス信号の間の比較を実行するように形成されている冒頭に述べた種類の成形装置に対して解決される。その際、第1ステータス信号は、第1位置値に第1位置補正値を加算することによって、特に機械制御部から、得られる第1実際位置値を、第1非活性位置値と比較することによって算出され、第2ステータス信号は、第2位置補正値に第2位置値を加算することによって、特に安全制御部から、得られる第2実際位置値を、第1非活性位置値と比較することによって算出され、安全制御部は、第1ステータス信号が第2ステータス信号と一致する場合に非アクティブ化を実行するように形成されている。
【0006】
好ましくは、第1ステータス信号と第2ステータス信号は、例えば論理ハイ信号若しくは論理ロー信号のような論理状態である。好ましくは、第1ステータス信号は、第1実際位置値と第1非アクティブ化位置値との間に同一性または実質的な一致(所定値間隔内)がある場合に、論理ハイ信号として出力され、それ以外は論理ロー信号として出力されることが企図されている。さらに、第2ステータス信号は、第2実際位置値と第1非アクティブ化位置値との間に同一性または実質的な一致(所定値間隔内)がある場合に、論理ハイ信号として出力され、それ以外は論理ロー信号として出力されることが企図されている。いずれにせよ、安全制御部は、第2ステータス信号を決定し、且つ第1ステータス信号と第2ステータス信号との比較を実行するという課題がある。第1ステータス信号は、機械制御部または安全制御部のいずれかで決定することができ、その際、第1位置値または第1実際位置値は、後者の場合において、機械制御部から生じる。
【0007】
この方法は、機械制御部が、安全指向の運転に向けて具備されている特別な安全対策がなく、つまり第1位置測定システムを使用して算出した第1位置値と第1実際位置値が、安全指向に形成されている安全制御部によって算出される第2位置値と第2実際位置値の場合よりも、高い確率で間違う可能性があるということを考慮したものである。典型的には、機械制御部が、成形装置を制御するために必要な計算を実施することができる単一のプロセッサを備え、その際、第1位置値と第1実際位置値の決定は、この計算であり、したがって、周辺機器を含むプロセッサは第1経路測定システムを形成する。さらに、例えば、第2位置値と第2実際位置値は、互いに独立して働き、共に第2経路測定システムを形成する少なくとも2つのマイクロプロセッサを使用して、安全制御部で算出されることが企図されている。第2実際位置値は、2つのマイクロプロセッサが計算した第2位置値と第2実際位置値が一致する場合にのみ、この第2経路測定システムによって出力される。
【0008】
この方法によって、第1実際の位置値と、第2実際の位置値と、非アクティブ化位置値が一致しなければならないので、所望の非アクティブ化位置における第1放射線検出器のより確実な非アクティブ化を可能にする。第1実際位置値と第2実際位置値の両方に影響をもたらすかもしれない誤差影響の場合、第1位置信号と第2位置信号の間の偏差間隔を考慮する場合よりも、第1実際位置値と、第2実際位置値及び第1非アクティブ位置値とを比較することによって、大きな確率で誤った非アクティブ化が除外されている。
【0009】
好ましくは、第1位置補正値は第1定数値であり、第2位置値は第2定数値であり、これらの値は、安全制御装置に保存され、且つそれぞれの形成装置の条件に適合されている。
【0010】
本発明の有利でさらなる構成は従属請求項の対象である。
【0011】
安全制御部は、第2放射線検出器の非アクティブ化が、特に排他的に第2位置値に基づいて、あらかじめ設定されている第2非アクティブ化位置で、実行するように調整されていることが機能的であり、その際、第2ツールに対する第1放射線検出器の間隔は、第2ツールに対する第2放射線検出器の間隔よりも大きい。この場合、第1非アクティブ化位置に到達すると、第1ツールと第2ツールとの間の接近速度の減少が、駆動装置の対応した制御によって実行されること、且つ安全制御部は、第2低速作動サイクルにもかかわらず、第1ツールに対する第2ツールの位置の安全に十分正確な決定を実施すること、が前提とされる。従って、第1高速作業サイクルで計算されている、機械制御部で計算され、且つより高い誤り確率を有する第1位置値の評価をここでは省くことができる。
【0012】
好ましくは、機械制御部は、第2ツールが第1ツールに接近するための第1、特に最大の接近速度に基づいて、且つ第1作業サイクルのための第1サイクル時間に基づいて、第1位置補正値が算出されるように具備されていて、安全制御部は、第1、特に最大の接近速度に基づいて、且つ第2作業サイクルのための第2サイクル時間に基づいて、第2位置補正値が算出されるように具備されている、ことが企図されている。
【0013】
第1位置補正値は、第2位置補正値と比較して値が小さく、したがって、機械制御部が、第1位置値を計算するための短い第1サイクル時間をもたらす、高速作業サイクルで運転されることを反映する。
【0014】
第1位置補正値は、第1サイクル時間内に第2ツールが第1ツールに対して進む経路に対応し、その際、第1ツールと第2ツールとの間の移動は均一である。従って、第1位置補正値と第1位置値とを加算することによって得られる第1実際位置値は、第1ツールに対する第2ツールの実際位置に相当する。
【0015】
第2位置補正値は、第2サイクル時間内に第2ツールが第1ツールに対して進む経路に対応し、その際、第1ツールと第2ツールとの間の移動もまた、ここでは均一である。従って、第2位置補正値と第2位置値とを加算することによって得られる第2実際位置値も、第1ツールに対する第2ツールの実際位置に相当する。
【0016】
本発明のさらなる構成では、安全制御部が、第2実際位置値が第1実際位置値より前に経時的に生じた場合にのみ、第1放射線検出器の非アクティブ化が生じるように具備されていることが企図されている。これにより、安全関連の放射線検出器の非アクティブ化が早すぎる時点(その時点ですでに第1放射線検出器のスイッチがオフになっていると、利用者に危険が及ぶ可能性がある)で行われないことが保証される。
【0017】
本発明は、成形装置を作動する方法にも関し、当該方法が、以下のステップ、即ち、
マシンベッドに配置されている第1ツールと、マシンベッドに収容されていて相対移動可能なツールキャリアに固定され且つ可変サイズの作業間隔を第1ツールと共に決定する第2ツールとの間の経時的に可変な間隔を計算するために位置測定システムの位置信号を算出するステップ、
第1高速作業サイクルで運転される、機械制御部の第1経路測定システムにおいて位置信号を第1位置値に処理するステップ、且つ第2低速作業サイクルで運転される、安全制御部の第2経路測定システムにおいて位置信号を第2位置値に処理するステップ、
安全制御部において、第1放射線検出器の第1検出信号を処理するステップと、第2放射線検出器の第2検出信号を処理するステップであって、これらの検出器は、第2ツールの第1側方端部領域に配置されていて、且つ第2ルールの第2端部領域に、対向して配置されている放射線源から照明され、その際、第2ツールに対する第1放射線検出器の間隔は、第2ツールに対する第2放射線検出器の間隔よりも大きい、ステップ、
第1ツールと第2ツールの間の第1、特に最大の、接近速度で作業間隔の間隔幅を減少するために、作業間隔が予め設定されている間隔幅よりも大きい間隔幅の場合、機械制御部と安全制御部によって、ツールキャリアと連結する駆動装置の為のエネルギー供給を開放するステップ、
第1ステータス信号と第2ステータス信号の間の比較を実施するステップであって、その際、第1位置補正値と第1位置値を加算して、機械制御部又は安全制御部から得た第1実際位置値を、第1非アクティブ位置値と比較することによって、第1ステータス信号が計算され、且つその際、第2位置補正値と第2位置値を加算して、安全制御部から得た第2実際位置値を、第1非アクティブ位置値と比較することによって、第2ステータス信号が計算される、ステップ、並びに
第1ステータス信号と第2ステータス信号とが一致する場合に、第1放射線検出器を非アクティブ化するステップ、を備える方法である。
【0018】
本発明のさらなる構成では、第1放射線検出器の非アクティブ化に伴い、第1接近速度から第2、特に平均、接近速度への駆動装置の切り替えが実行される、ことが企図されている。
【0019】
この方法のさらなる構成では、第2位置値が第2非アクティブ化位置と一致する場合には、第2非アクティブ化位置での第2放射線検出器の非アクティブ化が、安全制御装置によって実行される、ことが企図されている。
【0020】
この方法のさらなる構成では、第2放射線検出器の非アクティブ化に伴い、第2接近速度から第3、特に低速の接近速度への駆動装置の切り替えが実行される、ことが企図されている。
【0021】
本方法のさらなる実施形態では、第1位置補正値は、第1接近速度と第1作業サイクルのための第1サイクル時間に基づいて決定され、且つ第2位置補正値は、第1接近速度と第2作業サイクルのための第2サイクル時間に基づいて決定される、ことが企図されている。
【0022】
好ましくは、この方法において、第1非アクティブ化位置値は、第1放射線検出器を非アクティブ化するための第1非アクティブ化位置に対して第1間隔を有し、その際、第1間隔は、ツールキャリアが第1非アクティブ化位置に到達する前に、第2作業サイクル内の第2安全制御部で実施されている、第1実際位置値と第2実際位置値とで比較が完了されているように、算定されている、ことが企図されている。
【0023】
本発明の有利な実施形態が図面に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】
図1による成形装置の基本的な機能構成要素の概略図である。
【
図3】フェードアウト項目を決定するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に従い、一例として、型曲げ機1として形成されている成形機は、2つのガイドロッド3が取り付けられているマシンベッド2を備え、このガイドロッドは、ツールキャリア4を直線移動可能に支持するために形成されている。ツールキャリア4は、ツールとして利用され且つ第1ツールと称されている雄型5を、第2ツールと称される雌型6に対して移動するために、垂直方向において、ガイドロッド3に沿って直線的に移動することができる。閉鎖移動方向33への雄型5の移動中、雄型5と雌型6との間の作業間隔20が縮小する。その結果、雄型5と雌型6の間の作業間隔に挿入可能な不図示の工作物、例えば金属板の変形が可能となる。
【0026】
型曲げ機1は、例えば、複数の構成要素から構成されている監視装置7が装備されていて、この監視装置は、型曲げ機1による傷害のリスクを最小限に抑え、且つ加工されるべき工作物のために迅速で問題のない加工シーケンスを保証するように、設けられている。一例として、監視装置7は、ツールキャリア4に取り付けられていて、送信装置8と受信装置9とを有するライトグリッド21を備える。送信装置8は複数の検出ビーム14を提供し、この検出ビームは、単なる典型例として、雌型6の最長縁部22に対して平行に位置合わせされ、且つ受信装置9の放射線検出器23、24、25によって受信することができる。
【0027】
受信装置9の放射線検出器23、24、25は、ライトグリッドの検出ビーム14がそれぞれの(詳細には図示されていない)感光性放射線検出器23、24、25に当たると、各々電気信号を安全制御部10に提供する。従って、安全制御装置10が、例えばユーザを危険領域に干渉することによって、どの検出ビーム14が遮られているかを確定することが可能で、且つ作業ギャップ20の大きさに依存して適切な反応をもたらすことができる。
【0028】
更に、型曲げ機1は、位置測定システム12の走査装置27と、フットスイッチ15と、安全制御部10とにそれぞれ電気的に連結されている機械制御部11を備える。機械制御部11は、一例として、数値計算機制御部(CNC制御部、コンピュータ数値制御装置)として形成され得る。機械制御部11は、雄型5、雌型6、(不図示の)工作物の幾何形状及び工作物の所望の変形に関する情報のユーザによる入力を可能にし、並びにそこから雌型6に対する雄型5の移動シーケンスを決定する。フットスイッチ15は、オペレータによる移動シーケンスの作動を可能にする。
【0029】
位置測定システム12は、走査装置27に加えて、ガイドロッド3のうちの1つに取り付けられているガラススケール26を備え、このガラススケール26は実量器として使用し且つ走査装置によって非接触で(特に光学的に)走査することができる。その際、走査装置27は、雌型6に対する雄型5の位置を算出することができる電気的な位置信号を提供するように調整されている。
【0030】
図1に描画されているツールキャリア4及びそのツールキャリアに収容されている雄型5に対する移動を開始するために、型曲げ機1が、機械制御部11によって制御することができる駆動装置37を備える。一例として、駆動装置37は、油圧ポンプ16に連結されている電気モータ50を備え、この油圧ポンプは、ガイドロッド3に割り当てられている(不図示の)油圧シリンダに油の流れを提供することが可能である。この目的のために、必要な電気エネルギーを供給するため、電気モータ50は、機械制御部11と電気的に接続されている。駆動装置37の安全な運転モードのためには、分離装置17が、機械制御部11と電気モータ50の間の電気接続に、ループ接続されていて、この分離装置17は、安全制御部10によって制御することができ、同様に監視装置7の構成要素を形成する。分離装置の不図示の変形例では、この分離装置は、油圧シリンダへの油の流れのための遮断弁を有し、且つそれに応じて、オイルポンプと油圧シリンダの間に配置されている。
【0031】
異なる高さの雄型5に対するライトグリッド21の位置の適合は、送信装置8と受信装置9が、ツールキャリア4のガイド手段18を用いてそれぞれ直線移動可能に収容されることによって可能となる。好ましくは、送信装置8と受信装置9のためのガイド手段18は、2つのガイド手段18の同期調節が保証されるように、互いに移動連結されている。
【0032】
一例として、位置測定システム12と機械制御部11が、安全規格の第1の安全カテゴリに従って形成され、一方、安全制御部10は、安全規格の第2の、より高い安全カテゴリに従って形成され、よって、増大した安全要件を満たすことが企図されている。例えば、安全制御部10は互いに独立して働く、 同様の演算操作を実施するために形成されている少なくとも2つのプロセッサを備え、このプロセッサは、例えば、雌型6に対する雄型5のための間違った位置決定の確率を低減することができるように、各々交互にコントロールを実施する。
【0033】
機械制御部11は、走査装置27によって提供される位置信号を、例えば1kHzの(第1作業サイクルとも呼ばれる)クロック周波数で処理するように形成されている。その結果、非常に短い期間(この期間は、1ミリ秒又は数ミリ秒を含む)の後にすでに機械制御部11によって出力した第1位置値を、提供することができる。
【0034】
それに対して、安全制御部10は、安全制御部10のための基礎となる高い安全カテゴリの要件に基づき、位置信号に基づいて計算される第2位置値のより広範な計算及び検査が必要であるので、大幅に遅くなる。その結果、安全制御部10によって第2位置値の出力が、低いクロック周波数で、例えば100ヘルツのクロック周波数で実行される。
【0035】
その結果、走査装置27によって提供されている位置信号は、機械制御部11から、例えば1ミリ秒後に既に第1位置値として提供されるが、安全制御部10から、10ミリ秒後にはじめて第2位置値として利用することができる。その結果、第1位置値を第2位置値と直接比較することはできない。
【0036】
第1位置値と第2位置値との間で有意義な比較を行うことができるようにするために、且つ特に、雄型5の位置に依存して、放射線検出器23、24、25の非アクティブ化を実施することができるようにするために、機械制御器11は、それぞれ最も新しい第1位置値を安全制御部10に提供し、且つ安全制御部10は、第1位置値と第2位置値のさらなる処理を行うことが、企図されている。
【0037】
この目的のために、第1実際位置値を維持するために、安全制御部10は、機械制御部11から提供されている現在の第1位置値に、第1位置補正値を加算することが、企図されている。さらに、第2実際位置値を維持するために、安全制御部は、それぞれの現在の第2位置値に、第2位置補正値を加算することが、企図されている。次いで、安全制御部10において、第1実際位置値と、第2実際位置値と、安全制御部10に格納されている非アクティブ化位置値との間で比較を行うことができる。一例として、第1放射線検出器23の非アクティブ化はライトグリット21を装備したツールキャリア4が雌型6に接近することによる割り当てられている検出ビーム14の中断の直前の時点で、からで行われることが、企図され得る。これによって、安全制御部10とそれに接続されている分離装置によって、駆動装置37の安全指向の遮断が防止される。
【0038】
一例として、第1位置補正値は、機械制御11によって第1位置値を算出するために必要である期間中に、第1閉鎖速度、特に最大閉鎖速度でツールキャリア4が移動する距離に対応するように計算されていることが企図されている。さらに、単なる典型例として、第2位置補正値は、安全制御部10によって第2位置値を計算するために必要である期間中に、ツールキャリアが第1閉鎖速度で移動する距離に対応するように、計算されていることが企図されている。
【0039】
第1非アクティブ化位置値は、雌型6に対する、ツールキャリアに取り付けられている雄型5を有する、ツールキャリア4の位置に対応し、この雌型6は、第1放射線検出器23に当たる検出ビーム14が、作業間隔20の減少の間、雌型6の中断を妨げるために、第1放射線検出器23のフェードアウトを実施しなければならない、ツールキャリア4の位置から、第1間隔だけ離れている。この場合、第1間隔は、安全制御部10が第1実際位置値、第2実際位置値、及び第1非アクティブ化位置値の間の比較を行うために必要である期間中、ツールキャリア4が第1閉鎖速度で移動する距離に対応する。
【0040】
第1放射線検出器23を非アクティブ化する為の手順の概略図は、
図3で理解できる。この場合、位置計測システム12の位置信号は、走査装置27と接続されている信号線51を介して、安全制御部10と機械制御部11に提供することが企図されている。
【0041】
機械制御部11では、位置信号s(t)から第一の位置値x(t)の計算が行われ、その際、単なる典型例として、この計算が、機械制御部11の第1作業サイクルに対応するある期間内でそれぞれ実施されることを前提とする。安全制御部10では、第2位置値y(t)の計算が行われ、その際、単なる典型例として、この計算が、安全制御部10の第2作業サイクルに対応するある期間内でそれぞれ実施されることを前提とする。この場合、安全制御部10の第2作業サイクルは、機械制御部11の第1作業サイクルよりも著しく長いので、例えば、位置信号s(t10)に基づいて安全制御部11で計算した第2位置値y(t10)を出力することができる時点で、機械制御部11によって位置信号s(t12)に基づいて計算した第1位置値x(t12)を、既に出力することができる、という状況に起因する。次いで、第1放射線検出器を非アクティブ化するか、又はフェードアウトする条件であって、安全制御部10と機械制御部11によって計算した位置が第1非アクティブ化位置値と一致するように、定式化されている条件の存在を検査することができるようにするために、更に追加の手段が必要である。
【0042】
この目的のために、機械制御部11によって出力した第1位置値x(t)は、安全制御部10に送信され、且つ安全制御部10内の第1演算操作52の一部として、第1位置補正値k1に加算され、次いで第1演算操作52の一部として、第1非アクティブ化位置値zとの比較が行われる。代替的には、第1演算操作52と比較とが機械制御部11で実施されることを企図することができる。比較が正[t]になる場合は、第1演算操作52によって第1ステータス信号として利用される論理ハイレベルa=1を第1バッファ55に出力する。一方、この比較が負[f]になる場合、機械制御部11から更新された第1位置値x(t+1)の要求が生じ、且つ第1バッファ55への論理ローレベルa=0の出力が生じる。
【0043】
さらに、安全制御部10によって算出されている第2位置値y(t)は、安全制御部10において第2演算操作53の一部として第2位置補正値k2に加算され、次いで、第2演算操作53の一部として第1非アクティブ化位置値zとの比較が行われる。この比較が正[t]になる場合は、第2演算操作53によって第2ステータス信号として利用される論理ハイレベルb=1を第2バッファ56に出力する。一方、この比較が負[f]になる場合、安全制御部10から更新された第1位置値y(t+1)の要求が生じ、且つ第2バッファ56への論理ローレベルb=0の出力が生じる。
【0044】
更に、安全制御部10では、第1バッファ55に格納された論理レベルa(第1ステータス信号)と第2バッファ56に格納された論理レベルb(第2ステータス信号)とハイ-レベル1との比較を行うことからなる第3演算操作54が行われる。条件a=b=1が満たされている場合、安全制御部10はフェードアウト信号57を提供する。例えば、フェードアウト信号57は、第1放射線検出器23のセンサ信号からの処理を中断するために、安全制御部10内で使用することができる。その結果、第1放射線検出器23の信号レベルの変化が分離装置17につながらない。
【0045】
一例として、型曲げ機1は、以下の様に運転することができる。先ず、ライトグリッド21のセルフテストが、マシンベッド2とそのマシンベッドに取り付けられている雌型6に対して最大距離にあるツールキャリア4の静止位置で行われる。この場合、検出器ビーム14が放射線検出器23、24、25に当たるとき、対応する信号を引き起こすか否かが検査される。さらに、ライトグリッド21の受信装置9と送信装置8の位置決めは、ツールキャリア4に収容されている雄型5に依存してガイド手段18を用いて行われる。この場合、ツールキャリア4の停止距離と同様に、雄型5の幾何学的形状も考慮され、この停止距離は、制動距離とも呼ぶことができ、且つライトグリッド21の中断が検出されたときにツールキャリア4が移動する距離を意味する。特に、この距離は、安全制御装置10の第2作動サイクル、および分離装置17の反応時間、およびそれぞれの閉鎖速度、すなわち雄型5と雌型6の接近速度に依存する。好ましくは、ここでは、第1放射線検出器23と作業エッジ36の間のこの間隔が少なくともオーバトラベル距離に対応するように第1放射線検出器23が雄型5の作業エッジ36から離間して配置されていることが企図されている。
【0046】
その後、雌型6上に工作物を載置した後、ユーザが、フットスイッチ15を作動することによって加工することが可能である。この目的のために、雄型5に対する所定の移動シーケンスが企図されていて、これは、一例として以下のステップを含むことが可能である。フットスイッチ15の作動後の第1ステップにおいて、ツールキャリア4は、「高速」または「急速」とも称される第1閉鎖速度に加速される。この高速移動の場合、例えば全ての放射線検出器23、24、25の監視が実行される。ツールキャリア4が雌型6に接近するときに、検出ビーム14の少なくとも1つの中断が放射線検出器23、24、25によって検出されない場合、所定の間隔が雄型5と雌型6との間に到達するとき、第1放射線検出器23の信号がフェードアウトすることが企図されている。このフェードアウトによって、分離装置17の望ましくない起動が防止され、そうでなければ、これは、放射線検出器23に当たる検出ビーム14の中断によって生じる。
【0047】
このフェードアウトを実施するために、安全制御装置10と機械制御装置11とが、位置測定システム12の位置信号を用いて、それぞれの位置値を算出し、次いで、この位置値が、位置補正値を使用して安全制御装置10で実際位置値に処理され、第1又は第2ステータス信号を決定するために、実際位置値が、第1非アクティブ化位置値と比較することができる、ことが企図されている。次いで、第1ステータス信号aと第2ステータス信号bが一致する場合、第1放射線検出器23の非アクティブ化することができる。さらに、雄型5がワークピースに当たることを避けるために、第1放射線検出器23のフェードアウトの時点で、第1接近速度若しくは閉鎖速度から第2接近速度若しくは閉鎖速度への切り替えを実行することもできる。
【外国語明細書】