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特開2022-191193高出力フォーカルアブレーション用のカテーテル
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  • 特開-高出力フォーカルアブレーション用のカテーテル 図1
  • 特開-高出力フォーカルアブレーション用のカテーテル 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191193
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】高出力フォーカルアブレーション用のカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022095587
(22)【出願日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】17/347,986
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・トーマス・キース
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK13
4C160KK54
4C160KK57
4C160KK64
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】医療装置を提供すること。
【解決手段】医療装置は、第1の外径を有し、患者の体内の腔内に挿入するように構成された遠位端部を有する、可撓性挿入管を含む。剛性円筒形電極は、可撓性挿入管の遠位端部に固定され、且つ腔内の組織に接触するように構成され、第1の外径よりも少なくとも10%大きい第2の外径を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
第1の外径を有し、患者の体内の腔内に挿入するように構成された遠位端部を有する、可撓性挿入管と、
前記可撓性挿入管の前記遠位端部に固定され、前記腔内の組織に接触するように構成され、前記第1の外径よりも少なくとも10%大きい第2の外径を有する、剛性円筒形電極と、
を備える、医療装置。
【請求項2】
前記第2の直径は、前記第1の外径よりも少なくとも20%大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の外径は少なくとも3mmである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記剛性円筒形電極は、丸みを帯びた遠位縁部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記可撓性挿入管を通過しており、且つ、前記組織をアブレーションするのに十分な電力で前記剛性円筒形電極に高周波(RF)電気エネルギーを印加するように構成された、導電体を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記導電体によって前記電極に印加される前記RF電気エネルギーの前記電力は、少なくとも100Wである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記剛性円筒形電極は、中央容積を収容する外壁を備え、前記中央容積と連通する、前記外壁を貫通して形成された開口部を有し、前記装置は、前記可撓性挿入管を通過しており、且つ、前記中央容積に流体を供給するために結合された、管腔を備え、それにより、前記流体は、前記組織を灌注するために前記開口部を通って出る、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記管腔は、前記流体を軸方向に沿って前記中央容積に入力するように構成され、前記装置は、前記円筒形電極の前記中央容積内に配置されており、且つ、前記流体を前記開口部に向かって半径方向に偏向させるように構成されている、フローダイバータを備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記剛性円筒形電極は、遠位面と、側面と、を備え、円形縁部が前記遠位面と前記側面との間にあり、前記遠位面は、前記縁部を通って前記遠位面の周辺領域にわたって異なる方位角で半径方向外向きに延在する複数の細長い溝を含み、
前記装置は、前記剛性円筒形電極によって接触される前記組織に接触するように、前記細長い溝内に配置された、複数のセンサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記センサは、検知電極を備え、前記検知電極は、前記検知電極が接触している前記組織によって生成された電気生理信号を検知するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記円形縁部は、前記遠位面と前記側面との間に延在する丸みを帯びた輪郭を有し、前記センサは、前記センサの各々の外面が、前記遠位面と同一平面であり、且つ前記円形縁部の前記丸みを帯びた輪郭と同一平面であるように、前記細長い溝内に嵌合するようにサイズ決め及び成形されている、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、侵襲性医療用装置に関し、具体的には、アブレーションカテーテル及びその使用方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
心臓の高周波(RF)アブレーションは、心房細動などの心不整脈を矯正するために広く利用されている。アブレーション処置は、典型的には、その遠位端部に1つ以上の電極を有するカテーテルを心臓内に挿入することと、心臓内の選択された領域をアブレーションするために1つ以上の電極にRFエネルギーを印加することと、を含む。この目的のために、様々な種類のカテーテルを使用することができる。一例として、Biosense Webster(Irvine,カリフォルニア州)によって製造されたQDOT MICRO(登録商標)カテーテルは、温度制御アブレーションモードで最大90ワットのRF電力で最大4秒間のアブレーションを可能にする。
【0003】
このようなカテーテルは、例えば、その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第10,517,667号に記載されている。カテーテルは、アブレーションのための電極として作用するように構成された遠位先端部を有する挿入管を備える。典型的には、概してカップ状の形状で形成された遠位先端部は、その外面に形成された少なくとも1つの空洞を有する。各空洞について、空洞に嵌合するように構成されたそれぞれの微小電極が存在し、外面は、遠位先端部の外面と一致するように輪郭形成されている。典型的には、微小電極は、遠位先端部から絶縁され、その結果、微小電極は、より大きい遠位先端部によって拾われた遠距離場信号とは無関係に、微小電極は高い空間分解能で、身体によって生成された電位を検出することができる。
【0004】
高出力フォーカルアブレーションカテーテルは、電極の領域を灌注するための手段を含み得る。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0104000号は、体内の組織にエネルギーを印加するためにエネルギー源に結合された少なくとも1つの遠位電極を有する医療用プローブを記載している。複数の開口部が電極内に形成されている。プローブの遠位区間に配置された流体方向付けアセンブリは、軸方向通路を有し、この軸方向通路は、軸方向通路に対して直角に配置された少なくとも1つの軸横断方向通路と流体連通し、且つアセンブリの外部へとつながっている。少なくとも1つの軸横断方向通路の前方に配置された遮断終端部は、灌注流体が前方へ軸方向に流れるのを阻止し、これにより、流体は、少なくとも1つの軸横断方向に、電極の管腔内へ外向きに流れ、開口部を通って電極を出る。
【0005】
アブレーションカテーテルの遠位端部はまた、他のタイプのセンサを含み得る。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0117298号は、患者の体内に挿入するように構成された遠位端部を有し、電気エネルギーを伝達するための導電体を有する管腔を含む挿入管からなる医療用プローブを記載している。プローブはまた、挿入管の遠位端部に取り付けられ、導電体に電気的に連結された導電性キャップを有する。キャップは、中に複数の長手方向のボアを有する側壁を含む。複数の熱電対は、長手方向のボア内に配置され、導電性セメントは、熱電対と導電性キャップとの間に導電性の接触を形成させながらも、ボア内の熱電対を固定するために少なくとも部分的に長手方向のボアを充填する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に記載される本発明の実施形態は、改善されたカテーテル並びにそれらの製造及び使用のための方法を提供する。
【0007】
従って、本発明の一実施形態によれば、第1の外径を有し、患者の体内の腔内に挿入するように構成された遠位端部を有する可撓性挿入管を含む医療装置が提供される。剛性円筒形電極は、可撓性挿入管の遠位端部に固定され、且つ腔内の組織に接触するように構成され、第1の外径よりも少なくとも10%大きい第2の外径を有する。
【0008】
開示された実施形態では、第2の直径は、第1の外径よりも少なくとも20%大きい。追加的又は代替的に、第2の外径は、少なくとも3mmである。更に追加的又は代替的に、剛性円筒形電極は、丸みを帯びた遠位縁部を有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、装置は、可撓性挿入管を通過しており、且つ、組織をアブレーションするのに十分な電力で剛性円筒形電極に高周波(RF)電気エネルギーを印加するように構成された、導電体を含む。開示された実施形態では、導電体によって電極に印加されるRF電気エネルギーの電力は、少なくとも100Wである。
【0010】
追加的又は代替的に、剛性円筒形電極は、中央容積を収容する外壁を含み、中央容積と連通する、外壁を貫通して形成された開口部を有し、装置は、可撓性挿入管を通過しており、且つ、中央容積に流体を供給するために結合された、管腔を含み、それにより、流体は、組織を灌注するために開口部を通って出る。開示された実施形態では、管腔は、流体を軸方向に沿って中央容積に入力するように構成されており、装置は、円筒形電極の中央容積内に配置されており、且つ、流体を開口部に向かって半径方向に偏向させるように構成されている、フローダイバータを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、剛性円筒形電極は、遠位面と、側面と、を含み、円形縁部が遠位面と側面との間にあり、遠位面は、縁部を通って遠位面の周辺領域にわたって異なる方位角で半径方向外向きに延在する複数の細長い溝を含み、装置は、剛性円筒形電極によって接触される組織に接触するように、細長い溝内に配置された、複数のセンサを含む。一実施形態では、センサは、検知電極を含み、検知電極は、検知電極が接触している組織によって生成された電気生理信号を検知するように構成されている、検知電極を含む。追加的又は代替的に、円形縁部は、遠位面と側面との間に延在する丸みを帯びた輪郭を有し、センサは、センサの各々の外面が、遠位面と同一平面であり、且つ円形縁部の丸みを帯びた輪郭と同一平面であるように、細長い溝内に嵌合するようにサイズ決め及び成形されている。
【0012】
本発明の実施形態によれば、患者の心臓の心室にカテーテルを挿入し、カテーテルの遠位端部の電極を心臓内の組織と接触させることを含む、治療の方法が更に提供される。組織をアブレーションするために、少なくとも100Wの電力で、カテーテルを通して電極に高周波(RF)電気エネルギーを印加する。
【0013】
本発明は、図面とともに、その実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による、アブレーションカテーテルの遠位端部の概略面図である。
図2】本発明の実施形態による、図1のカテーテルの遠位先端部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述のQDOTマイクロカテーテルなどのデバイスを使用する高出力フォーカルアブレーションは、特にこのアプローチが処置を行うのに必要な時間を大幅に短縮するため、治療的に有利であることが見出されている。本明細書で使用される「フォーカルアブレーション」という用語は、単一の場所で、心筋組織などの体内の組織へのエネルギーの印加を指す。フォーカルアブレーションは、典型的には、バスケット、バルーン、又はラッソーアセンブリなどの多電極遠位アセンブリを有するプローブを同時に使用して、ある範囲の場所でアブレーションするのではなく、カテーテル又は他のプローブの先端部で単一の電極を使用する。90WのRF電力を有するQDOTマイクロカテーテルを使用して、単一の場所でのフォーカルアブレーションをわずか4秒で達成することができる。
【0016】
より高いレベルのRF電力を使用して、より深い病変を作成し、アブレーション時間を更に短縮する能力を有することが望ましいであろう。より短いアブレーション時間はまた、アブレーション電極がアブレーション中に心筋との接触をシフト又は失う可能性も低減する。しかしながら、当該技術分野で知られているフォーカルカテーテルにおける電力送達はまた、過剰な電力がカテーテル先端部及び身体組織の過熱及び病変を引き起こす可能性があるため、カテーテル先端電極の直径によって制限される。次に、電極直径は、これまでカテーテル挿入管の直径に限定されており、当技術分野で知られているフォーカルカテーテルの病変深さは、RFアブレーションの生物物理学に起因して先端直径の約3~4倍に限定されている。挿入管の直径は、典型的には2.5mmの範囲であり、カテーテルを患者の血管系を通して心臓に容易に挿入することを可能にする。従って、RFアブレーション電力は、100W未満のレベルに実際に限定されており、病変深さは10mm未満に制限されている。
【0017】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、心臓カテーテルなどの装置を提供することによってこれらの制限を克服し、ここで、剛性円筒形電極は、その遠位端部に電極が固定されている可撓性挿入管の外径よりも少なくとも10%大きい外径を有する。いくつかの実施形態では、電極直径は、挿入管直径よりも少なくとも20%大きい。典型的な心臓アブレーション用途では、この基準は、剛性円筒形電極の外径が3mm以上であることを意味する。これらの寸法の増加により、先端電極の体積は、当該技術分野で知られているカテーテルの体積よりも50~100%大きくすることができ、従って100Wを超えるRFアブレーション電力の印加をサポートし、より深いアブレーション病変を生成する。しかしながら、電極サイズの適度な増加を考慮すると、患者の血管系を通って心臓内にカテーテルを非外傷的に操作することが依然として可能である。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による、アブレーションカテーテル20の遠位端部の概略面図である。カテーテル20は、可撓性挿入管22を備え、その遠位端部は、心臓の心室などの患者の体内の腔内に挿入するように構成される。剛性円筒形電極24は、挿入管22の遠位端部に固定され、腔内の組織に接触するように構成される。図示の例における電極24の外径は、約3.7mmであり、3mm未満である挿入管22の外径よりも20%超大きい。
【0019】
電極24は、金などの適切な生体適合性金属を含む。電極は、丸みを帯びた縁部を有する円筒として形成され、平坦な遠位面26と丸い側面28とを備え、面26と28との間に円形縁部30を有する。縁部30は、例えば上述の米国特許第10,517,667号に記載されているカテーテルの遠位先端部の輪郭と同様の丸みを帯びた輪郭を有する。灌注開口部32は、電極24の外側シェルを通過し、生理食塩水溶液などの灌注流体が開口部を通って出ることを可能にし、電極が接触している組織を灌注する。この灌注機構の詳細を図2に示す。
【0020】
電極24の遠位面26は、遠位面の周辺領域にわたって異なる方位角で半径方向外向きに延在し、縁部30を通って側面28まで通過する複数の細長い溝34を含む。(「方位角」は、カテーテル20の長手方向軸を中心とした回転角を指し、半径方向は、遠位面26の平面内でこの軸に垂直である。「周辺領域」は、長手方向軸に近接する中央領域とは対照的に、縁部30に近接する領域を指す。溝は、半径方向の長さが方位方向の幅の少なくとも2倍であるという意味で「細長い」という意味である。)本実施例では、電極24は、120°離れて位置する3つの溝34を含む。あるいは、電極は、より多数又はより少数のこのような溝を含んでもよい。
【0021】
検知電極36は、細長い溝34に嵌め込まれているが、電極24の金属体から電気的に絶縁されている。検知電極36は、電極24によって接触される組織と接触し、従って、感知電極が接触している組織によって生成される電気生理信号を検知する。これらの信号は、アブレーション処置の前、後、更には最中の組織における局所電気的活動の指標を提供する。代替的又は追加的に、熱電対などの他のタイプのセンサは、溝34内、並びに電極24の本体内の他の位置に嵌合することができる。検知電極36自体は細長く、各検知電極36の外面が遠位面26及び円形縁部30の丸みを帯びた輪郭と同一平面になるように、溝34内に嵌合するようなサイズ及び形状である。この同一平面構成は、非外傷性先端部を作成し、均一な電気接触を確実にし、電気的なホットスポット及びアーク放電を回避するのに有用である。
【0022】
カテーテル20は、例えば、上述の米国特許第10,517,667号並びに米国特許出願公開第2018/0104000号及び米国特許出願公開第2019/0117298号に記載されているカテーテルの代わりに、増加したRF電力レベルで、心臓内アブレーションに使用することができる。カテーテル20が患者の心臓の心室に挿入され、電極24が心臓内の組織と接触すると、RF電気エネルギーをカテーテルを通して少なくとも100Wの電力で電極に印加して組織をアブレーションすることができる。米国特許第10,517,667号並びに米国特許出願公開第2018/0104000号及び米国特許出願公開第2019/0117298号に記載されているシステムは、RF発生器、灌注ポンプ、及び検知回路を含み、これらは同様に、必要な変更を加えて、カテーテル20からの信号を駆動、灌注、及び受信するために適用され得る。米国特許出願公開第2018/0104000号及び米国特許出願公開第2019/0117298号はまた、カテーテル20の遠位端部に同様に一体化することができる温度センサ、接触力センサ、及び位置センサを記載している。ただし、これらの追加のセンサは、簡潔にするために本明細書では省略されている。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態による、図1の線II-IIに沿ったカテーテル20の遠位先端部の概略断面図である。この図から分かるように、電極24は、上述の米国特許及び米国特許出願に示されているように、挿入管22を通って制御コンソールに至る導電体40を介してRFアブレーションエネルギーを受け取るように接続されている。(図示された実施形態では、例えば、導体40は、フローダイバータ50内の円筒形の遠位空間にはんだ付けすることによって電気的及び機械的に固定される。)先に述べたように、導体40は、電極によって接触された組織を迅速にアブレーションするのに十分な少なくとも100Wの電力でRFエネルギーを電極24に伝達することができる。検知電極36は同様に、挿入管22を通過するワイヤ42によって、コンソール内の回路を検知するように接続されている。
【0024】
剛性円筒形電極24は外壁44を備え、外壁は中央容積46を囲んで収容する。可撓性挿入管22を通過する管腔48は、軸方向に沿って中央容積46に流体を供給する。流体は、開口部32を通って中央容積46を出て、電極24に近接する組織を灌注する。中央容積46内のフローダイバータ50は、管腔48を通って入る流体を開口部32に向かって半径方向に偏向させ、電極24を取り囲む領域全体への流体の均一な分散を確実にする。開口部32自体は、流体分散を向上させるように傾斜している。組織灌注のためのこの構成の更なる特徴は、上述の米国特許出願公開第2018/0104000号に記載されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、カテーテル20はまた、温度検知能力を有する。この目的のために、熱電対などの温度センサ52が電極24内のボア54に挿入される。弾性湾曲ロッド56は、温度センサ52を定位置に保持し、温度センサは電極24の外面に面しており、信頼性の高い測定を保証する。図2に示す実施形態では、各ボア54は、異なる軸方向位置に2つの温度センサ52を含む。
【0026】
上に記載される実施形態は例として挙げたものであり、本発明は本明細書の上記で具体的に図示及び説明されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、前述の本明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者に着想されるであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0027】
〔実施の態様〕
(1) 医療装置であって、
第1の外径を有し、患者の体内の腔内に挿入するように構成された遠位端部を有する、可撓性挿入管と、
前記可撓性挿入管の前記遠位端部に固定され、前記腔内の組織に接触するように構成され、前記第1の外径よりも少なくとも10%大きい第2の外径を有する、剛性円筒形電極と、
を備える、医療装置。
(2) 前記第2の直径は、前記第1の外径よりも少なくとも20%大きい、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第2の外径は少なくとも3mmである、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記剛性円筒形電極は、丸みを帯びた遠位縁部を有する、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記可撓性挿入管を通過しており、且つ、前記組織をアブレーションするのに十分な電力で前記剛性円筒形電極に高周波(RF)電気エネルギーを印加するように構成された、導電体を備える、実施態様1に記載の装置。
【0028】
(6) 前記導電体によって前記電極に印加される前記RF電気エネルギーの前記電力は、少なくとも100Wである、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記剛性円筒形電極は、中央容積を収容する外壁を備え、前記中央容積と連通する、前記外壁を貫通して形成された開口部を有し、前記装置は、前記可撓性挿入管を通過しており、且つ、前記中央容積に流体を供給するために結合された、管腔を備え、それにより、前記流体は、前記組織を灌注するために前記開口部を通って出る、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記管腔は、前記流体を軸方向に沿って前記中央容積に入力するように構成され、前記装置は、前記円筒形電極の前記中央容積内に配置されており、且つ、前記流体を前記開口部に向かって半径方向に偏向させるように構成されている、フローダイバータを備える、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記剛性円筒形電極は、遠位面と、側面と、を備え、円形縁部が前記遠位面と前記側面との間にあり、前記遠位面は、前記縁部を通って前記遠位面の周辺領域にわたって異なる方位角で半径方向外向きに延在する複数の細長い溝を含み、
前記装置は、前記剛性円筒形電極によって接触される前記組織に接触するように、前記細長い溝内に配置された、複数のセンサを備える、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記センサは、検知電極を備え、前記検知電極は、前記検知電極が接触している前記組織によって生成された電気生理信号を検知するように構成されている、実施態様9に記載の装置。
【0029】
(11) 前記円形縁部は、前記遠位面と前記側面との間に延在する丸みを帯びた輪郭を有し、前記センサは、前記センサの各々の外面が、前記遠位面と同一平面であり、且つ前記円形縁部の前記丸みを帯びた輪郭と同一平面であるように、前記細長い溝内に嵌合するようにサイズ決め及び成形されている、実施態様9に記載の装置。
(12) 治療の方法であって、
患者の心臓の心室にカテーテルを挿入し、前記カテーテルの遠位端部の電極を前記心臓内の組織と接触させることと、
前記組織をアブレーションするために、少なくとも100Wの電力で、前記カテーテルを通して前記電極に高周波(RF)電気エネルギーを印加することと、
を含む、方法。
(13) 前記カテーテルは、第1の外径を有する可撓性挿入管を備え、前記電極は、前記可撓性挿入管の遠位端部に固定され、前記第1の外径よりも少なくとも10%大きい第2の外径を有する、剛性円筒形電極を備える、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記第2の直径は、前記第1の外径よりも少なくとも20%大きい、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記第2の外径は少なくとも3mmである、実施態様13に記載の方法。
【0030】
(16) 前記剛性円筒形電極は、丸みを帯びた遠位縁部を有する、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記組織を灌注するために、前記電極内の開口部を通して流体を供給することを含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記流体を供給することは、前記流体を、前記カテーテルの管腔を通って、軸方向に沿って前記電極の中央容積に入力することと、前記中央容積内にフローダイバータを適用して、前記流体を前記開口部に向かって半径方向に偏向させることと、を含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記電極の周辺領域にわたって異なる方位角で半径方向外向きに延在する、複数の細長いセンサを使用して、前記組織によって生成された電気生理信号を検知することを含む、実施態様12に記載の方法。
図1
図2
【外国語明細書】