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特開2022-1911951,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸のトリペンチルエステルを含む可塑剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191195
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸のトリペンチルエステルを含む可塑剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20221220BHJP
   C07C 69/75 20060101ALI20221220BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20221220BHJP
   C08L 27/06 20060101ALI20221220BHJP
   C08K 5/12 20060101ALI20221220BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C08L101/00
C07C69/75 Z
C09K3/00 103P
C08L27/06
C08K5/12
C08K5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022095629
(22)【出願日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】21179453.2
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル グラス
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ブーク
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ウォルト
【テーマコード(参考)】
4H006
4J002
【Fターム(参考)】
4H006AA03
4H006AB50
4H006BJ20
4H006BS20
4J002AA011
4J002AB022
4J002BD031
4J002BD041
4J002BD081
4J002BD091
4J002BE062
4J002BG052
4J002CF192
4J002CK022
4J002CN012
4J002CN022
4J002EH037
4J002EH046
4J002EH097
4J002EH127
4J002EH136
4J002EH147
4J002EH157
4J002FD026
4J002FD027
4J002GB00
4J002GC00
4J002GG02
4J002GH00
4J002GH01
4J002GJ01
4J002GJ02
4J002GL00
4J002GQ01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フタル酸系可塑剤の代替となる可塑剤を提供する。
【解決手段】式(I)

(式中、基R、R及びRは、各々独立して、n-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルからなる群から選択される)で表される化合物を少なくとも1つ含む、可塑剤組成物とする。さらに、ポリマー特にPVC及び塩化ビニル含有コポリマーの可塑剤としての式(1)の化合物を含む可塑剤組成物、及びポリマーとして少なくともPVCを含む可塑剤組成物の使用も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)
【化1】
(式中、基R、R及びRは、各々独立して、n-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルからなる群から選択される)
で表される、化合物を少なくとも1つ含む、可塑剤組成物。
【請求項2】
基R、R及びRは同一である、請求項1に記載の可塑剤組成物。
【請求項3】
以下の式(I)
【化2】
(式中、n-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルからなる群からの1つの基は、式(I)で表される化合物の全ての基R、R及びRに対して、30~95モル%の比率で混合物中に存在し、他の1つの基、又は他の2つの基は、各々5~70モル%の比率で混合物中に存在する)
で表される化合物の混合物を含む、請求項1記載の可塑剤組成物。
【請求項4】
n-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルからなる群から選択される1つの基が、式(I)で表される化合物の全ての基R、R及びRに対して、40~95モル%の比率で混合物中に存在し、他の1つの基又は他の2つの基は、5~60モル%の比率で前記混合物中に存在する、請求項3に記載の可塑剤組成物。
【請求項5】
2-メチルブチル基は、式(I)で表される化合物の全ての基R、R及びRに対して、各々、最大で60モル%、好ましくは最大で40モル%の比率で混合物に存在する、請求項3又は4に記載の可塑剤組成物。
【請求項6】
可塑剤組成物は、安息香酸アルキル、アジピン酸ジアルキル、グリセリンエステル、クエン酸トリアルキル、アシル化クエン酸トリアルキル、二安息香酸グリコール、トリメリット酸のトリアルキルエステル、テレフタル酸ジアルキル、フタル酸ジアルキル、フランジカルボン酸エステル、ジアンヒドロヘキシトールのジアルカノールエステル((例えば、イソソルビド)、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル、ポリマー用可塑剤、例えばポリアジピン酸塩、及び1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルからなる群から選択されるさらなる可塑剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の可塑剤組成物。
【請求項7】
さらなる可塑剤は、C8~C13アルキル安息香酸塩、C4~C10アジピン酸ジアルキル、C4~C9アルキル基を有するクエン酸トリアルキル、C4~C10トリメリット酸トリアルキル、C4~C9テレフタル酸ジアルキル、C4~C13フタル酸ジアルキル、特にC9~C13フタル酸ジアルキル及び1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のC4~C10ジアルキルエステルからなる群より選択される、請求項6に記載の可塑剤組成物。
【請求項8】
式(I)で表される少なくとも1つの化合物又は前記式(I)で表される化合物の混合物に加えて、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸エステル又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸エステル、特に対応するジイソノニル又はジ-2-エチルヘキシルエステルを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の可塑剤組成物。
【請求項9】
式(I)で表される少なくとも1つの化合物又は前記式(I)で表される化合物の混合物に加えて、テレフタル酸ジエチルヘキシル(DOTP)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の可塑剤組成物。
【請求項10】
式(I)で表される少なくとも1つの化合物又は前記式(I)で表される化合物の混合物に加えて、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジ(イソ)ペンチル、安息香酸イソデシル、安息香酸イソノニル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチル、ジプロピレン二安息香酸グリコール、ジエチレン二安息香酸グリコール、トリエチレン二安息香酸グリコール及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される高速ゲル化可塑剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の可塑剤組成物。
【請求項11】
ポリマー用可塑剤としての、請求項1~10のいずれか一項に記載の可塑剤組成物の使用。
【請求項12】
PVC又は塩化ビニル含有ポリマー用の請求項11に記載の使用。
【請求項13】
ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル又はアクリル酸ブチルとのコポリマー、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン、ポリスルフィド、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)及びニトロセルロースからなる群から選択される1つ以上のポリマー、及び請求項1~7のいずれか一項に記載の可塑剤組成物、を含む、可塑剤組成物。
【請求項14】
可塑剤組成物は、ポリマーとして少なくともPVCを含む、請求項13に記載の可塑剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の式(I)
【0002】
【化1】
(式中、基R、R及びRは、各々独立して、n-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルからなる群から選択される)
で表される、化合物を少なくとも1つ含む、可塑剤組成物に関する。本発明はさらに、ポリマーの可塑剤としての可塑剤組成物及び可塑剤組成物を含む可塑剤組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックやポリマーは多くの用途に不可欠である。ポリ塩化ビニル(PVC)は、経済的に最も重要なプラスチックの一つであり、硬質PVCの形態と軟質PVCの形態の両方で用いられる。多くのプラスチック及びポリマーは、多くの場合、加工するには脆弱であるか、加工が困難であるため、多くの用途分野において可塑剤や可塑剤組成物をプラスチックに添加して、その特性を適宜適応させている。
【0004】
例えば、床材、玩具等のPVC系製品の製造では、加工性を向上させたり、その他の用途に適した特性を持たせるために、PVCに可塑剤を添加したりすることがある。その有利な特性から、PVC及び塩化ビニル含有コポリマー用の最も重要な可塑剤には、フタル酸エステル類、特にフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)及びフタル酸ジイソデシル(DIDP)類の化合物が含まれてきた。フタル酸系可塑剤は、その毒性に関する議論から、長年にわたり代替品が求められてきた。
【0005】
例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸エステル又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸エステルは、先行技術において既に記載されており、これらはフタル酸塩又はテレフタル酸塩の環水素化によって製造することができる。その他の可塑剤も知られており、関連文献に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、フタル酸系可塑剤の代替となる可塑剤を提供することであった。これらの可塑剤は、ポリマー、特にPVC及び塩化ビニル含有コポリマーとの加工性が、少なくともDINPのレベルであり、好ましくはさらに良好であることが必要である。特に、これらの新規可塑剤は、可塑化されたPVC又は可塑化された塩化ビニル含有コポリマーから他の材料への移行傾向が低いことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に示す可塑剤によって、根本的な問題が解決された。好ましい実施形態は、従属クレームに示す。
【0008】
本発明は、以下の式(I)
【0009】
【化2】
(式中、基R、R及びRは、各々独立して、n-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルからなる群から選択される)
で表される、化合物を少なくとも1つ含む、可塑剤組成物を提供する。したがって、基R、R及びRは、独立して、3つの可能な異性体C5-アルキル基のうちの1つである。
【0010】
本発明の特に好ましい実施形態では、基R、R及びRは同一である。これは、基R、R及びRはすべて同じアルキル基に対応すること、すなわち、R=R=R=n-ペンチル又はR=R=R=2-メチルブチル又はR=R=R=3-メチルブチルのいずれかに対応することを意味する。その結果得られた化合物を下記化合物(II)、(III)及び(IV)に示す。化合物(II)は、R=R=R=n-ペンチルである化合物を意味し、化合物(III)は、R=R=R= 2-メチルブチルである化合物を意味し、化合物(IV)は、R=R=R=3-メチルブチルである化合物を意味する。本発明の好ましい実施形態では、可塑剤組成物は、化合物(II)、(III)又は(IV)の少なくとも1つを含む。
【0011】
【化3】
驚くべきことに、本発明の可塑剤組成物は、例えばゲル化特性、粘度及びショア硬度に関して改良された特性を有することが見出された。プラスチゾル及びドライブレンド中で可塑剤組成物を用いる場合、意外にも非環水素化トリメリット酸塩と比較して加工性が改善されることが見いだされた。
【0012】
また、本発明の可塑剤組成物は、特に、上記式(I)で表される化合物の混合物に関する。基R、R及びRが異なる異性体のアルキル基を有し得る、及び/又は特定のアルキル基が異なる位置R、R及びRの1つにも存在することができる異なる化合物の混合物の場合、式(I)で表される複数の異なる化合物が混合物中に存在することができる。その結果、混合物は、混合物中に存在する式(I)で表される全ての化合物に対する、各アルキル基の比率によって以下に記載される。各アルキル基の比率は、1 H-NMRによって決定することができる。本発明の文脈では、基R、R及びRの定義は常に同じであってよく、すなわち各々が独立してn-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルからなる群から選択されることが理解される。
【0013】
従って、本発明による可塑剤組成物は、好ましくは、以下の式(I):
【0014】
【化4】
(式中、n-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルからなる群からの1つの基は、30~95モル%の比率で存在し、他の1つの基、又は他の2つの基は、式(I)で表される化合物の全ての基R、R及びRに対して、各々5~70モル%の比率で混合物中に存在する)
で表される化合物の混合物を含む。これは、例えば、式(I)で表される化合物の全ての基R、R及びRに対して、n-ペンチル30~95モル%の比率で混合物中に存在し、2-メチルブチル及び/又は3-メチルブチルは、各々5~70モル%の比率で混合物中に存在することを意味する。
【0015】
上記の3つの特定のアルキル基のうちのの1つの基は、式(I)で表される化合物の全ての基R、R及びRに対して、30~95モル%の比率で混合物中に存在し、他の1つの基、又は他の2つの基は、各々5~70モル%の比率で混合物中に存在することができる:
【0016】
【表1】
本発明によれば、特に好ましいのは、上記式(I)による化合物の混合物を含む可塑剤組成物であって、ここで、式(I)で表される化合物の全ての基R、R及びRに対して、n-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルからなる群から1つの基が40~95モル%の比率で前記混合物中に存在し、他の1つの基又は他の2つの基は、5~60モル%の比率で前記混合物中に存在する、可塑剤組成物がもたらされる。
【0017】
本発明によれば、2-メチルブチル基の比率が制限されるとさらに好ましい。従って好ましい可塑剤組成物は、前記式(I)で表される化合物の混合物を含む可塑剤組成物であり、ここで、2-メチルブチル基は、式(I)で表される化合物の全ての基R、R及びRに対して、各々、最大で60モル%、好ましくは最大で40モル%の比率で混合物に存在する。
【0018】
前記式(I)の発明による化合物は、様々な方法により調製することができる。原則として、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸と対応するアルコールであるn-ペンタノール、2-メチルブタノール及び3-メチルブタノールをエステル化して式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物を与えることができるであろう。上記式(I)で表される化合物の混合物を調製する場合、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸を対応するアルコールであるn-ペンタノール、2-メチルブタノール及び3-メチルブタノール混合物でエステル化することにより実現することができる。シクロヘキサンポリカルボン酸誘導体のエステル化のための方法条件は、原則として当業者に公知である。
【0019】
上記式(I)の化合物を製造するためのさらなる可能な方法は、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸のトリエステルのエステル交換反応である。好ましくは、アルキル基の炭素原子数が各々、存在するC5-アルキル基であるn-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルよりも少ないトリエステルが用いられる。例えば、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸のトリメチルエステルがあげられる。上記式(II)、(III)及び(IV)による化合物を調製するには、次に、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸のトリメチルエステルを、各アルコールであるn-ペンタノール、2-メチルブタノール又は3-メチルブタノールでエステル交換する。上記式(I)による化合物の混合物を調製するには、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸のトリメチルエステルを、対応するアルコールであるn-ペンタノール、2-メチルブタノール及び/又は3-メチルブタノールからなる適当なアルコール混合物でエステル交換することができる。シクロヘキサンポリカルボン酸エステル誘導体のエステル交換のための方法条件は、原則として当業者に公知である。
【0020】
上記式(I)の化合物を調製するためのさらなる可能な方法としては、トリメリット酸の対応するエステルの環水素化(コア水素化)であってよい。この場合、トリメリット酸のトリペンチルエステルが反応物として用いられ、各ペンチル基は、独立してn-ペンチル、2-メチルブチル及び3-メチルブチルであってよく、これらは、調製されるべき上記式(I)の化合物に対応する。上記式(I)による化合物の混合物の調製には、次に、各アルキル基の比率に対してトリメリット酸トリペンチルエステルの適当な混合物を用いる。環水素化の方法条件は、原則として、当業者には公知であり、例えば、欧州特許出願第1 511 562 A1号明細書に記載されている。トリメリット酸エステルは、トリメリット酸もしくは無水トリメリット酸又はトリメリット酸のトリアルキルエステルのエステル化又はエステル交換により予め製造することができる(例えば、欧州特許第3 147 318 A1号を参照のこと)。
【0021】
本発明による可塑剤組成物は、上記式(I)の少なくとも1つの化合物又は式(I)の化合物の混合物に加えて、さらなる可塑剤を含んでよい。使用目的に応じて、得られる可塑剤組成物の特性を具体的に調整するため、特に上記式(I)で表される化合物とは異なる1つ以上のさらなる可塑剤が可塑剤組成物中に存在することができる。しかしながら、特に好ましい実施形態では、可塑剤組成物は、5質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満のフタル酸エステルを含む。
【0022】
さらなる可塑剤としては、アジピン酸塩、安息香酸塩、例えば、モノ安息香酸塩又は二安息香酸グリコール、塩素化炭化水素(いわゆるクロロパラフィン)、クエン酸塩、シクロヘキサンジカルボン酸塩、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化植物油、エポキシ化アシル化グリセリド、フランジカルボン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、スルホンアミド、テレフタル酸塩、トリメリット酸塩、及び、アジピン酸、コハク酸又はセバシン酸系のオリゴマー又はポリマーエステルからなる群から選択されてよい。本発明の好ましい実施形態では、可塑剤組成物としては、安息香酸アルキル、フェノールのアルキルスルホン酸エステル、アジピン酸塩ジアルキル、グリセロールエステル、ポリオールのC4~C6酸、クエン酸トリアルキル、アセチル化クエン酸トリアルキル、二安息香酸グリコール、トリメリット酸のトリアルキルエステル、テレフタル酸ジアルキル、フタル酸ジアルキル、フランジカルボン酸エステル、ジアンヒドロヘキシトールのジアカノイルエステル(例えば、イソソルビド)、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル、ポリマー用可塑剤、例えば、ポリアジピン酸塩、及び1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルからなる群から選択される、さらなる可塑剤があげられる。
【0023】
さらなる好ましい実施形態では、可塑剤組成物中に存在するさらなる可塑剤は、C8~C13安息香酸アルキル、C4~C10アジピン酸ジアルキル、テトラ吉草酸ペンタエリスリトール、C4~C9アルキル基を備えるアセチル化クエン酸トリアルキル、C4~C10トリメリット酸トリアルキル、C4~C9テレフタル酸ジアルキル、C4~C13-フタル酸ジアルキル、特にC9~C13フタル酸ジアルキル、及び1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のC4~C10-ジアルキルエステルからなる群から選択される。
【0024】
本発明は、好ましくは、前記式(I)の少なくとも1つの化合物又は前記式(I)の化合物とテレフタル酸ジエチルヘキシル(DEHT又はDOTP)との混合物を含む可塑剤組成物である。対応する可塑剤組成物は、低揮発性であることが特徴である。これらの可塑剤組成物は、対応する可塑剤組成物を含む製品の排出値が低いため、屋内用途に特に有利である。
【0025】
本発明の他の好ましい目的は、前記式(I)の少なくとも1つの化合物、又は前記式(I)の化合物と1,2-シクロヘキサンジカルボン酸エステル又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸エステル、特に対応するジイソノニル又はジ-2-エチルヘキシルエステルとの混合物を含む可塑剤組成物である。これらの可塑剤組成物を含む製品は、揮発性が低いことに加えて、低温柔軟性が向上されていることが特に特徴である。さらに、対応する可塑剤組成物を含むプラスチゾルは、粘度が低下するため、加工が容易になる。同時に、それらは紫外線に対する安定性も高いため、屋内外での使用にも有利に用いることができる。
【0026】
前記式(I)の少なくとも1つの化合物、又は前記式(I)の化合物と、炭素原子が6個以上、好ましくは7、8、9、10又は11個以上であるアルキル基を備える、トリメリット酸のトリアルキルエステルとの混合物を含む可塑剤組成物が好ましい。対応する可塑剤組成物又はそれから製造される製品は、特に揮発性が低い。
【0027】
本発明の他の好ましい目的は、前記式(I)の少なくとも1つの化合物、又は前記式(I)の化合物の混合物と、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジ(イソ)ペンチル、安息香酸イソデシル、安息香酸イソノニル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチル、ジプロピレン二安息香酸グリコール、ジエチレン二安息香酸グリコール、トリエチレン二安息香酸グリコール、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される高速ゲル化可塑剤を含む可塑剤組成物を提供することが好ましい。これらの高速ゲル化可塑剤は、床材、人工皮革、壁紙等のプラスチゾル用途において確実に加工性が改良される。
【0028】
前記式(I)の少なくとも1つの化合物、又は前記式(I)の化合物の混合物を含む本発明の可塑剤組成物は、さらなる可塑剤の有無にかかわらず、プラスチック又はポリマーの可塑剤として用いることができる。ポリマーの可塑剤としての使用は、本発明の主題のさらなる部分である。
【0029】
適当なポリマーは、好ましくは、以下の:
ポリ塩化ビニル(PVC)、炭素原子が1~10個である分枝アルコール又は非分枝アルコールのアルコキシ基を備える、エチレン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、又はメタクリル酸ブチル系のホモ又はコポリマー、アクリロニトリル又は環状オレフィン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリル酸塩、特にポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸アルキル(PAMA)、ポリ尿素、シリル化ポリマー、フッ素系ポリマー、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセタール、特にポリビニルブチラール(PVB)ポリスチレンポリマー、特にポリスチレン(PS)、膨張性ポリスチレン(EPS)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレン無水マレイン酸共重合体(SMA)、スチレンメタクリル酸共重合体、ポリオレフィン、特にポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)、熱可塑性プラスチックポリオレフィン(TPO)、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリカーボネート、テレフタル酸ポリエチレン(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリスルフィド(PSu)、バイオポリマー、特にポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエステル、デンプン、セルロース及びセルロース誘導体、特にニトロセルロース(NC)、エチルセルロース(EC)、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテート/ブチレート(CAB)、ゴム及びシリコーン等によって形成されるグループから選択される。
【0030】
本発明の可塑剤組成物は、好ましくは、PVC又は塩化ビニル含有ポリマーの可塑剤として用いられる。
【0031】
本発明の他の目的は、以下の:
ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニルと酢酸ビニル又はアクリル酸ブチルとのコポリマー、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン、ポリスルフィド、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)及びニトロセルロースからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含み、ならびに上記式(I)で表される化合物又は上記式(I)で表される化合物の混合物を含み、かつ、さらなる可塑剤を含むか又は含まない、本発明による可塑剤組成物である。可塑剤組成物における好ましいポリマーはPVCである。好ましくは、PVCは懸濁液、バルク、マイクロサスペンション又はエマルションのPVCである。本発明によれば、可塑剤組成物は、個々の成分の質量による比率に関して、ポリマー100質量部当たり、本発明による可塑剤組成物の5~200質量部、好ましくは10~150質量部を含むことが好ましい。
【0032】
本発明による可塑剤組成物は、本発明による1つ以上のポリマー及び可塑剤組成物だけでなく、熱安定剤、充填剤、顔料、発泡剤、殺生物剤、紫外線安定剤、光安定剤、共安定剤、酸化防止剤、粘度調整剤、脱気剤、接着促進剤、潤滑剤及び着色剤からなる群より選択される1つ以上の添加剤を含むと有利な場合がある。本発明による可塑剤組成物は、好ましくは、熱安定剤、場合によっては、充填剤及び顔料を含む。
【0033】
本発明による可塑剤組成物は、接着剤、シーリング化合物、コーティング材料、塗料、インク、プラスチゾル、発泡体、合成皮革、床材(例えば、上層又は発泡体層)、屋根材の膜、床下保護材、布被覆、ケーブル、電線絶縁物、ホース、押出物品、フィルム、自動車内装、壁紙、インク、接触フィルム、玩具、食品包装又は医療品、例えば、チューブ又は血液バッグに用いることができる。
本発明は、以下、実施例を参照して説明される。これらの実施例は例示的なものであり、限定的なものとして理解されない。
【発明を実施するための形態】
【実施例0034】
本発明による可塑剤の調製
1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸432g(2.0mol;蘇州諾日新外国貿易有限公司、純度(NMR)>99.9%)とC5アルコール又はC5アルコール混合物3.75molを撹拌機付き撹拌フラスコ、サンプリングノズル、滴下ロート及び集中冷却器と温度計を備えた水分離装置からなるガラス装置に注いだ。装置を窒素(6l/時間)で少なくとも1時間サンプリングポートを介して洗浄した。次いで、0.51gのテトラ-n-ブチルチタン酸塩(0.0015モル)を添加した。
【0035】
反応混合物を撹拌しながらゆっくりと沸騰温度まで加熱し、窒素を連続的に流した(6l/時間)。で沸騰温度までゆっくり加熱した。この時点から水が発生し、水分離装置を介して反応から連続的に除去された。反応温度が240℃に達した後、さらにC5アルコール又はC5アルコール混合物3.75mol及び0.51gのテトラ-n-ブチルチタン酸塩(0.0015モル)を反応温度が240℃以下にならないように滴下漏斗及びサンプリングポートを介してから添加し、減水器を介して反応中の水を連続的に除去した。エステル化の過程で、約108mlの水(6molの反応水)が生成された。この水量に達した後、反応後の試料を用いて酸価を適宜測定した。酸価が試料1gあたり0.1mgKOH以下となったところで反応を停止し、得られた粗生成物を以下に示すように処理した。
【0036】
粗生成物を撹拌機、温度計、浸漬管、クライゼンブリッジ及びレシーバーフラスコを備えた撹拌フラスコに移した。浸漬管から窒素を流し(6l/時間)、1時間以上装置を運転した。粗生成物に、触媒1モル当たり10モルの水及び2質量%の活性炭(生成物全量基準)を添加し、混合物を窒素下で80℃、15分間撹拌した。その後、最大真空度(5mbar未満)でゆっくりと加熱し、蒸留速度に応じて温度を160℃まで上昇させた。過剰なアルコールを完全に蒸留した後、粗生成物を真空下で窒素導入(20mbar)しながら3時間かけてストリップし、アルコール含量をさらに低下させた。その後、混合物を80℃まで冷却して、2質量%の塩基性酸化アルミニウム(生成物全量基準)と混合し、1時間撹拌した。次いで、この温度で、生成物を、フィルターペーパーとフィルターエイド(パーライトタイプD14)からなるプレプレスされたフィルターケーキを備えたビュヒナー漏斗を介して、吸引フラスコに真空手段でろ過を行った。濾液は目的生成物であった(表1参照)。
使用原材料:
表1:用いるアルコール及びこれから得られる生成物
【0037】
【表2】
【実施例0038】
プラスチゾル及びそれを用いた試験片の作製と試験
実施例1により合成された可塑剤を、床材用のトップコートフィルム(フィラーフリー層)の製造に用いられるようなPVCプラスチゾルを製造するために用いた。プラスチゾルの配合量を、各々質量分率(phr)で示した。処方を表2に示す。
表2:製造したプラスチゾルの混合比
【0039】
【表3】
まず、液体成分及び次に粉末成分を混合ビーカーに計量し、へらで撹拌し、未湿潤の粉末が残らないように混ぜ合わせた。その後、混合ビーカーを溶解器撹拌機にクランプした。撹拌機のスイッチを入れた後、速度を約2000rpm(回転数/分)までゆっくりと上昇させた。その間、プラスチゾルを慎重に脱気した。プラスチゾルが約30℃の温度に達すると同時に回転数を約350rpmに下げた。その後、プラスチゾルをその速度で9分間脱気し、圧力を20mbar以下にした。これにより、プラスチゾルのホモジナイズ中に早期のゲル化が起こらないようにした。
こうして製造されたプラスチゾルは、さまざまな特性を持つことが確認された。その結果を表3に示す。
【0040】
プラスチゾル粘度の測定
このようにして調製したプラスチゾルの粘度の測定を、回転モード及びCC27測定システムを用いた、関連ソフトウェアを用いてPhysica MCR 101レオメータ(Anton Paar Germany GmbH製)で行った。測定は、プラスチゾルが生成してから24時間、25℃で平衡化された後に実施した。
測定中、以下の点を制御した:
-100s-160秒間の予備せん断行い、その間は測定値を記録しない。
-せん断速度を200s-1から0.1s-1まで下降させ、30点の測定点を各10秒間の測定時間で記録した。
測定は室温で行った。それぞれの場合、せん断速度100s-1で得られた粘度を測定した。各可塑剤又は可塑剤混合物を用いたプラスチゾルの粘度測定の結果を表3に示す。
【0041】
ゲル化特性
プラスチゾルのゲル化特性を、Physica MCR 101(Anton Paar)を用いた、せん断応力制御下で作動する平行プレート解析システム(PP25)を用いて振動モードで検討した。さらに温度調節用ボンネットを接続し、最適な熱分布を実現した。以下の測定パラメータを設定した:
モード:温度勾配(直線温度傾斜)
開始温度: 25℃
終了温度: 180℃
加熱・冷却速度5K/分
発振周波数:4~0.1Hz ランプ(対数系)
サイクル周波数ω:
測定点数: 63点
測定点時間:0.5分
自動ギャップトラッキング
一定測定点間隔
ギャップ幅 0.5mm
分析手順:
測定するプラスチゾルを数滴、スパチュラで下部の測定系プレートに塗布した。測定システムを閉じた後、プラスチゾルが測定システムから均一ににじみ出るように注意した(全周で約6mm以下)。その後、温度調節用ボンネットを試料にかぶせ、測定を開始した。プラスチゾルのいわゆる複合粘度を温度の関数として測定した。ゲル化過程の開始は、複合粘度の急激な上昇によって認識することができる。この粘度上昇の開始時期が早いほど、システムのゲル化能は向上する。得られた測定曲線から、各プラスチゾルについて、1000Pa*sの複合粘度が測定される温度を内挿法で求めた。その結果を表3に示す。
【0042】
膜のショアA硬度の決定
ショアA硬度を測定するため、実施例2で製造したプラスチゾルを直径42mm の円形ステンレス製の型に流し込み(初期質量:20g)、ショアA硬度を測定した。その後、ペーストを型に入れて200℃の循環式空気乾燥炉で25分間ゲル化し,冷却後に取り出して,測定前に少なくとも16時間,気候制御室(25℃)でコンディショニングを行った。得られた試験片の厚さは約12mmであった。
硬度測定はDIN 53 505に準拠し,Zwick-Roell社製のショアA測定器を用いて行い,測定値はいずれも3秒後に読み取った。各試験片上の3つの異なる場所で測定を行い、平均値を算出した。その結果を表3に示す。
表3:実施した実験結果
【0043】
【表4】
本結果から、上記式(I)による請求項の化合物又はその混合物をプラスチゾルに用いた場合、粘度に関して、ほとんどの場合、DINPと同等の結果を示すことが示された。ゲル化温度とショア硬度に関しては、部分的にでも有意に良好な結果が得られた。同じアルコール組成の対応するトリメリット酸塩と比較して、プラスチゾル中の粘度が著しく低いため、プラスチゾルの加工が容易になる。
【実施例0044】
ドライブレンドの製造
以下の実施例に必要な試験片は、以下の製剤のドライミックス(ドライブレンド製造)、カレンダー(圧延)及びプレスによって製造される:
表4: 製造されたドライブレンドの混合比
【0045】
【表5】
ドライブレンドは、例えば、熱可塑性樹脂加工(カレンダー加工や押出加工など)の後に、ケーブルや電線の絶縁体、ホース、床材や屋根材の膜を製造するために用いることができる。ドライブレンドはブラベンダー社製プラネタリーミキサーで製造した。
ブラベンダー社製プラネタリーミキサーに、「Winmix」ソフトを介して以下のパラメータを設定した。
速度プログラム:アクティブ
プロファイル:
回転数50rpm、保持時間9分
立ち上がり時間(速度):1分
速度100rpm、保持時間20分
温度:88°C
測定範囲:2Nm
減衰量:3
サーモスタットを90℃の温度に設定し、ホース接続によりブラベンダー社製混合容器をテンパリングした。1時間のテンパリングで混合容器内の温度は88℃となった。プラネタリーミキサーが内部キャリブレーションを行った後、事前に質量を測定してPEビーカーに入れた固体成分(PVC、安定剤)を、固体漏斗及びブラベンダー社製混合容器に存在する充填スタブを介して供給した。プログラムを開始し、粉末混合物を混合容器内で9分間撹拌・テンパリングした後、液体成分を液体漏斗と既存のフィラーネックを介して1分以内に素早く添加した。混合物をプラネタリーミキサー中でさらに20分間撹拌した。プログラム終了後、完成した乾燥混合物(粉末)を除去した。伝達トルク‐時間図を、ブラベンダー社製ソフトウェアを用いて評価した。液体成分の添加後、明確な曲線の増加が確認できる。この曲線が再び大きく下がって初めて、可塑剤の取り込みが完了する。この2点間の時間差が可塑剤吸収時間(いわゆるドライブレンド時間)である。この値と最大トルクは、プログラムによって自動的に評価される(表5参照)。
これらのドライブレンドを用いて、圧延シートを製造した。圧延したシートを、自動サンプル移送装置を備えるコリンのW150 APカレンダーを用いて製造し、オイルサーモスタットを追加して温度制御した。カレンダーはCollinのソフトウェアで制御した。
5段階プログラムを用いて圧延シートを製造した:
【0046】
【表6】
ロール温度に達した後、ロールギャップの較正を行った。測定開始にあたり、ロールギャップを0.2mmに設定した、各ケースで160gのドライブレンドを秤量し、ロールを静止させた状態でニップに入れ、プログラムを開始した。
【0047】
プレスされたプラークをコリン・ラボラトリー・プレスで作製した。プレハブ圧延鋼板(上記参照)を用いて、プレスプラークを作製した。圧延されたシートの側縁を切断機で除去した後、圧延されたシートを約14.5×14.5cmのサイズの小片に切断した。厚さ1mmのプレスプラークを、各ケースで圧延した2枚のシート片を、サイズ15×15cmのステンレス鋼製プレスフレームの上に重ねて配置した。
【0048】
次の3段階のプログラムを用いて、加圧プラークを作製した:
【0049】
【表7】
このようにして得られた加圧プラークを様々な試験に供した。表5に結果を示す。
ショアA硬度は実施例2に記載したように測定したが、ここでは試験片として厚さ6mmのプレスプラークを作製した。この目的のために、各ケースで12枚の圧延シート片を、サイズ5×5cmのステンレス鋼製プレスフレーム内に配置した。
【0050】
プレスしたプラークのガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度は、アントンパール社のレオメータ、タイプMCR 302を用い、DIN 65583に従ったDMTA測定により決定した。一定の動的機械的条件下(1Hz,変形量0.3 %)で,フィルム(厚さ1mm)の粘弾性特性を温度の関数として記録し(-100から+50℃まで温度勾配),貯蔵弾性率,損失弾性率及び損失係数を測定した。損失弾性率の最大値をガラス転移温度として評価した。次の表は、それぞれの場合の二重判定による平均値である。
表5:実施した実験結果
【0051】
【表8】
製造されたドライブレンド及びそれから製造された試験片は、上記式(I)による化合物又はその混合物を用いたすべての試験において、より良い結果を達成し得ることを示している。特に,可塑剤吸収時間とショア硬度AはDINPに比べて明らかに向上し,ガラス転移温度は同じアルコール組成の対応するトリメリット酸塩に比べて明らかに低かった。
【外国語明細書】