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特開2022-191196ディフューザー要素を有するライトガイドを有する照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191196
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ディフューザー要素を有するライトガイドを有する照明システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20221220BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20221220BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N5/067
A61B18/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022095741
(22)【出願日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】10 2021 115 485.5
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント シュルトハイス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ヘン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス クリンク
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー カイパー
(72)【発明者】
【氏名】フーベアトゥス ルッサート
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
【Fターム(参考)】
4C026AA04
4C026BB08
4C026FF34
4C026FF37
4C026HH05
4C082PA01
4C082PA02
4C082PA03
4C082PC10
4C082PG13
4C082PG20
4C082RA02
4C082RC09
4C082RE17
4C082RE35
4C082RE38
4C082RL05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】健康な組織を保護し、望ましくない損傷を回避する照射システムを提供する。
【解決手段】医療技術的治療および/または診断システムのための照明システムであって、少なくとも1つの光源と、光源の近位端に接続可能または割り当て可能であるライトガイド30と、ディフューザー要素40として構成され且つライトガイドの遠位端に配置される光学要素とを有し、ライトガイドからの光を光学要素に結合可能である、システムである。光学要素は有利にはミラー層を有する反射体層43で少なくとも区間的に覆われている外側面を有し、光学要素は反射体層で覆われている光反射領域を有することと、反射体層がない光透過領域を有することとにより、光学要素に結合された光が少なくとも部分的に光反射領域で反射可能であり、且つ光は光透過領域で放射可能であり、反射体層の反射率は少なくとも1つの波長範囲について90%を上回る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明システム(1)、殊に医療技術的治療および/または診断システムのための照明システム(1)であって、少なくとも1つの光源(10)と、前記光源(10)の近位端に接続可能またはこれに割り当て可能であるライドガイド(30)と、好ましくはディフューザー要素(40)として構成されており且つ前記ライトガイド(30)の遠位端に配置されている光学要素とを有し、前記ライトガイド(30)からの光を前記光学要素に結合可能であり、前記光学要素は少なくとも区間的に少なくとも1つの反射体層(43)で覆われている外側面を有し、前記反射体層(43)は有利にはミラー層(43.2)を有し、前記光学要素(40)は、前記反射体層(43)で覆われている光反射領域を有することと、有利には前記反射体層(43)がない光透過領域を有することとにより、前記光学要素に結合された光が少なくとも部分的に前記光反射領域で反射可能であり、且つ光は前記光透過領域で放射可能であり、前記反射体層(43)の反射率(101)は少なくとも1つの波長範囲に対して90%を上回る、前記照明システム(1)。
【請求項2】
光が前記光学要素の長軸(L)に対して横切る方向に、且つ前記光学要素の有効長にわたって側方に放射可能であることを特徴とする、請求項1に記載の照明システム(1)。
【請求項3】
殊に前記反射体層(43)へ垂直に光が入射する場合、最大反射率(101)が95%を上回り、且つ特に好ましくは99%を上回り、且つ反射率(101)が、使用される光の定義された波長(103)に、または光の主波長(103)の周りの予め定められた範囲内で、目標通りに調節可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の照明システム(1)。
【請求項4】
前記反射体層(43)の垂線に対して45°を上回る、好ましくは60°を上回る、特に好ましくは80°を上回る光の入射角の場合の前記反射体層(43)の反射率(101)が、垂直な光の入射の場合の反射率の50%を上回り、好ましくは70%を上回り、最も好ましくは90%を上回ることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項5】
前記反射体層(43)で覆われていない、前記ディフューザー要素(40)の少なくとも1つの領域が、前記ディフューザー要素(40)の長軸方向にわたって延伸しており、且つこの覆われていない領域が光透過性であることにより、前記ディフューザー要素(40)を通じてみちびかれる光を帯状に放出可能であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項6】
前記ミラー層(43.2)が金属層を有するか、または金属層から構成され、有利には前記金属層は貴金属の群からの1つ以上の金属またはMg、Al、Cuからの群の1つの金属を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項7】
前記反射体層(43)が、前記ミラー層(43.2)に追加して、前記ミラー層(43.2)の下方にある下部層(43.1)および/または前記ミラー層(43.2)の上方にある上部層(43.3)を有し、前記下部層(43.1)は殊に1つ以上の層からなり、且つ前記上部層(43.3)は殊に1つ以上の層からなり、且つ
前記ミラー層(43.2)の下方にある下部層(43.1)は、有利には、付着層または付着促進剤層として構成されており、且つ/または
前記ミラー層(43.2)の下方にある下部層(43.1)は、有利には、ディフューザー基体(41)上で化学的および/または物理的に変性された表面特性を有する層領域として構成されており、且つ/または
前記ミラー層(43.2)の下方にある下部層(43.1)は、有利には、単独の層または一連の層からなるベース層領域として構成されており、
前記ミラー層(43.2)の下方にあるベース層領域は、有利には、前記光学要素に施与された1つ以上の層を含み、且つ/または殊に前記光学要素の少なくとも1つの表面特性を変性するための化学的プロセスおよび/または物理的プロセスを用いて製造されたかまたは製造可能である変性された表面特性を有する前記光学要素の表面層を含む
ことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項8】
前記照明システム(1)が、以下の特徴の少なくとも1つ:
・ 前記下部層(43.1)、殊に付着層または付着促進剤層(43.1)またはベース層領域は、誘電体層として構成され、前記誘電体層は、有利には、Si、Al、Ti、Zr、Hf、Y、Znからの群の少なくとも1つの元素からの酸化物、窒化物または酸窒化物を有する、
・ 前記上部層(43.2)、殊に不動態化層(43.3)は、誘電体層として構成され、前記誘電体層は、有利には、Si、Al、Ti、Zr、Hf、Y、Znからの群の少なくとも1つの元素からの酸化物、窒化物または酸窒化物を有する、
を有することを特徴とする、請求項7に記載の照明システム(1)。
【請求項9】
前記ミラー層(43.2)または前記反射体層(43)が、殊に一連の低屈折率および高屈折率の金属酸化物および/または金属窒化物を有する誘電体の多層系として構成されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項10】
前記ミラー層(43.2)または前記反射体層(43)が散乱中心を含むか、または散乱中心を有する層を含み、前記散乱中心で光が拡散性反射可能であり、且つ
前記ミラー層(43.2)または前記反射体層(43)が、有利にはさらに、金属または金属を有する化合物を有する少なくとも1つの層を含み、例えば誘電体層を含み、前記金属または金属を有する化合物を有する少なくとも1つの層で光が指向性反射可能であり、且つ
前記金属または金属を有する化合物を有する少なくとも1つの層は、有利には、散乱中心を有する層の上方に、殊に前記散乱中心を有する層が外部で少なくとも部分的に取り囲まれるように配置されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項11】
前記層(43.1、43.2、43.3)の層厚が、以下の特徴の少なくとも1つ:
・ 付着層(43.1)の厚さが、5nmを上回り、好ましくは30nmを上回り、且つ/または3000nm未満、好ましくは300nm未満、好ましくは150nm未満である、
・ ミラー層(43.2)の厚さが、10nmを上回り、好ましくは20nmを上回り、好ましくは50nmを上回り、且つ/または5000nm未満、好ましくは200nm未満、好ましくは100nm未満である、
・ 不動態化層(43.3)の厚さが、5nmを上回り、好ましくは100nmを上回り、好ましくは150nmを上回り、且つ/または5000nm未満、好ましくは500nm未満、好ましくは250nm未満である
に従って定義されることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項12】
前記反射体層(43)が前記ディフューザー要素(40)の遠位端(44)に配置され、且つ/または前記ディフューザー要素(40)を少なくとも部分的に被覆することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項13】
前記ディフューザー要素(40)は、前記ディフューザー要素(40)のマトリックス中に埋め込まれている散乱要素を有し、且つ/または前記ディフューザー要素(40)のマトリックスが散乱要素を有する材料で被覆されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項14】
前記ディフューザー要素(40)がホウケイ酸ガラス、リン酸クラウンガラス、ケイ酸鉛ガラス、ケイ酸亜鉛ガラス、またはアルカリ亜鉛ガラスを含有するか、且つ/または前記散乱要素が、有利にはホウケイ酸ガラス製の殊にスリーブ管で取り囲まれているフリントガラスロッドを含有することを特徴とする、請求項13に記載の照明システム(1)。
【請求項15】
前記ディフューザー要素(40)が少なくとも部分的または区間的に、そのバルクにおいて、且つ/またはその表面上で構造化されているか、または前記ディフューザー要素(40)が有色または無色、殊に透明な外被、有利には有色ガラスまたは有色プラスチック製の外被を有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項16】
前記ミラー層(43.2)または反射体層(43)が、有利にはΔλ=|λ1-λ2|<200nm、特に好ましくはΔλ=|λ1-λ2|<100nmの差を有する2つの異なる波長λ1およびλ2について、有利には少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも30%相違する反射率および/または透過率を有し、且つ
前記照明システムの光源(10)が、有利には、異なる波長λ1およびλ2の放出を調節可能であるように設定されて、前記照明システム(1)がその放射特性において切り替え可能に構成されることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の照明システム(1)。
【請求項17】
医療技術的治療および/または診断システムのための、殊に生体組織における用途のための照明システム(1)であって、少なくとも1つの光源(10)と、前記光源(10)の近位端に接続可能またはこれに割り当て可能であるライドガイド(30)と、好ましくはディフューザー要素(40)として構成されており且つ前記ライトガイド(30)の遠位端に配置されている光学要素とを有し、且つ前記ライトガイド(30)からの光を前記光学要素に結合可能である、前記照明システム(1)の製造方法において、以下の段階:
・ 外側面を有するディフューザー要素(40)を準備する段階、
・ 有利にはミラー層(43.2)を有する、光を反射する反射体層(43)で前記外側面を少なくとも区間的に覆う段階であって、光学要素(40)が反射体層(43)で覆われている光反射領域を有することと、前記反射体層(43)がない光透過領域を有することとにより、前記光学要素から放射される光が少なくとも部分的に反射可能であり、且つ光は光透過領域で目標通りに放射可能であり、前記反射体層(43)の反射率(101)は少なくとも1つの波長範囲に対して90%を上回る、前記段階
を有する、前記方法。
【請求項18】
殊に前記外側面の表面特性を変性するための化学的プロセスまたは物理的プロセスを用いて、少なくとも1つの変性された表面特性を有するベース層領域を作製することによって前記外側面を前処理することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
殊に蒸着、陰極スパッタ、高周波スパッタ、反応性スパッタおよび/またはマグネトロンスパッタを用いて、反射体層(43)を前記外側面上に施与することを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
有利には蒸着、陰極スパッタ、高周波スパッタ、反応性スパッタおよび/またはマグネトロンスパッタを用いて、付着層(43.1)または付着促進剤層を前記外側面上に施与し、且つ/または不動態化層(43)を前記反射体層(43)上に施与することを特徴とする、請求項17から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
第1の接続段階において第1のライトガイドの部分片を前記光学要素と接続し、その後、第2の接続段階において第2の、殊により長いライトガイドの部分片を前記第1のライトガイドの部分片と接続することによって、前記光学要素をライトガイド(30)の遠位端と接続することを含み、ここで有利には、前記第1の接続段階と前記第2の接続段階との間で、光を反射する反射体層で前記外側面を少なくとも区間的に覆うことが行われる、請求項17から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
医学的治療方法のための、殊に腫瘍を治療するための光線力学的療法(PDT)もしくは光免疫療法(PIT)のための、静脈瘤を治療するための静脈内レーザー療法(EVLT)のための、レーザー誘導間質温熱療法(LITT)のための、または歯科医学、眼科並びに皮膚科の分野における用途のための装置の要素としての、請求項1から21までのいずれか1項に記載の照明システム(1)の使用。
【請求項23】
腫瘍を治療するための光線力学的療法(PDT)のための装置の要素としての、請求項1から22までのいずれか1項に記載の照明システム(1)の使用であって、前記ディフューザー要素(40)を有する少なくとも1つのライトガイド(30)が、他のディフューザー要素(40)から放射された光を取り込み、前記ライトガイド(30)を介して分光分析のための、および/または線量測定のための検出器へと転送する、前記使用。
【請求項24】
中空空間を目標通りに照らすための工業用用途のための、またはin-vitro診断学の範囲において試料を照射するための装置の要素としての、請求項1から23までのいずれか1項に記載の照明システム(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの光源と、ライトガイドと、光学要素とを有し、前記光学要素は好ましくはディフューザー要素として構成され且つ前記ライトガイドの遠位端に配置されて、前記ライトガイドからの光を前記光学要素に結合可能である、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような照明システムは、医療環境においてますます使用されている。現在、以下の主要な用途が分類され得る:
・ 腫瘍を治療するための光線力学的療法(PDT)もしくは光免疫療法(PIT)、
・ 静脈瘤を治療するための静脈内レーザー療法(EVLT)、
・ レーザー誘導間質温熱療法(LITT)、並びに
・ とりわけ、歯科医学、眼科並びに皮膚科の分野における、またはてんかんの治療のための他の用途。
【0003】
光線力学的療法(PDT)は、種々の癌疾患の際の最小侵襲治療の選択肢である。PDTとは、光と、光で活性化可能な物質とを組み合わせた、腫瘍および他の組織の変化(例えば血管新生)の治療方法と理解される。治療の開始時に、光感受性物質、いわゆる光増感剤を血管に、静脈内投与で患者に注入し、それが癌細胞内または癌細胞上に蓄積する。これらの天然の光物質は腫瘍細胞に集中し、そこで強い感光性を引き起こす。このために、PDT治療の間、腫瘍組織に複数のカニューレ(典型的には8つまで)が挿入され、そこでは、それぞれ1つの光源が腫瘍組織にわたってできるだけ空間的に分散させて配置されなければならない。通常は可視スペクトル範囲の波長を有するレーザー光、例えば波長532nmを有する緑色光、または波長690nmを有する赤色光が、腫瘍組織をできるだけ均一に内側から照射する。その際、これらの細胞において、攻撃的な酸素ラジカルが形成され、それが腫瘍細胞を選択的に破壊する。病変細胞とは対照的に、健康な細胞はこの化学反応の影響を受けないままであるべきである。正確な作用機序は、とりわけ「Photodynamic Therapy of Cancer」、Cancer Medicine、2003に記載されている。これに対し、光免疫療法(PIT)の場合は、相応に修飾された光増感剤が癌細胞上もしくは癌細胞内で免疫反応を引き起こし、光の照射に際して癌細胞の死滅をみちびく。
【0004】
光源については通常、前方に向けられた円錐状の照明をもたらすシリンダディフューザーと、放射状の光の放出を有するスポットの放射体をもたらすスポットディフューザーとが区別される。シリンダディフューザーの場合、その長さにわたって、動作状態において殊にできるだけ均一な側方の放射が重要である。軸方向、つまり長軸方向において近位端から遠位端への各々のラインに沿った全ての点で放射強度は均一性の要件の範囲で同一であり、また、半径方向、つまり長軸に沿った各々の周囲のラインの全ての点でも放射強度は均一性の要件の範囲でほぼ同一であり、これによってシリンダディフューザーはほぼランベルト放射体として作用する。
【0005】
同時に、組織中へのできるだけ低い熱入力を確実にするために、高い散乱効率が達成され得る場合も有利である。その際、殊に遠位端から、前方に向かう放射は回避されるべきである。PDT用途の場合、典型的なレーザー出力は5W未満の連続出力であるので、ディフューザーの長さ1cmあたり最大100mW~1000mW、典型的には200mW~500mWが放射される。
【0006】
既存の例は、散乱粒子が埋め込まれている薄いシリコンシリンダ製のディフューザー要素である。独国特許出願公開第10129029号明細書(DE10129029 A1)の文献は、レーザー光線を用いた生体組織の熱硬化療法のためのフレキシブルな装置であって、レーザー光線を導くライトガイドを備え、その遠位端がレーザー光線に対して透明または不透明なスリーブ管で囲まれており、それがファイバー端から突出している、前記装置を記載している。ただし、これは充分な放射の均一性を有して製造するには非常に煩雑でコストがかかり、なぜなら、散乱粒子の集合体は、強度が明らかに平均を上回る放射点をもたらすことが多いからである。
【0007】
ディフューザー要素を有するライトガイドは、いくつかの用途においては1回しか使用されず、各々の治療後に処分される。従って、製造コストに関する一定のコスト圧力もある。従って、再使用可能な解決策もますます検討されている。その際、そのような解決策は、関連する既知の基準に相応して処理可能、例えば消毒可能および/または滅菌可能でなければならない。処理方法として、ここでは特に、強塩基性溶液での洗浄/消毒法、および135℃までの温度且つ約3barの典型的な蒸気圧でのオートクレーブを用いた滅菌が挙げられる。その際、典型的には、このような処理サイクルは数十から数百になる。これは耐熱性、耐化学薬品性およびさらに耐加水分解性における高い要件を必要とする。
【0008】
EVLTの場合、治療する医師は小さな穿刺位置を介して、静脈レーザーのためのガイドレールとしてはたらくカテーテルを患部の静脈に挿入する。引き続き、ディフューザーを用いたレーザーエネルギーの側方の放射により、血管内壁が強く加熱され、それによって静脈が崩壊されて閉じられる。従って、静脈血の病的な逆流が阻止される。その結果、静脈は硬化し、退化して、身体から取り除かれることができる。通常、いわゆるリングまたはダブルリングファイアシステムが光源として使用される。その際、放射要素は、均一な治療のためにできるだけ一定の速度で、治療される静脈区間を通じて手動で引っ張られることが多く、そのことがその用途を困難にし、なぜなら、不注意もしくは一箇所での滞在時間が長すぎる場合にさらなる細胞損傷が生じかねないからである。
【0009】
LITTは局所的な腫瘍破壊のために使用される最小侵襲手法である。その際、画像化制御下(例えば音波検査/MRI)で腫瘍を穿刺し、1つ(または複数)のレーザーファイバーを腫瘍の病巣に入れ、熱エネルギーによってこれを硬化させる。ここでは殊にNd:YAGレーザー(1064nm)並びにディフューザーチップアプリケータが使用される。レーザー出力は約5~8Wである(とりわけ、「Laserinduzierte Interstitielle Thermotherapie(LITT) bei malignen Tumoren」、BAEKおよびKBV 01/2002を参照)。
【0010】
さらなる、殊に体積散乱ディフューザーが、例えば欧州特許出願公開第3184885号明細書(EP 3184885A1)に記載されている。これは、石英ガラス製のライトガイドファイバー端部のディフューザーを記載しており、ここで、該ディフューザーを製造するために、ライトガイドファイバーの遠位のファイバー端部に散乱材料を施与し、これを硬化させてディフューザーにすることが意図されている。このようなアプローチの欠点は、この体積散乱のアプローチが非常に指数関数的な強度低下を引き起こすことである。多孔質材料も、医療技術用途における処理性の観点からは好ましくない。
【0011】
米国特許第6810184号明細書(US6810184 B2)の文献においては、ナノ孔質二酸化ケイ素被覆された光ファイバーを使用して、他の繊維と融合され得る一体形成された拡散チップを有するファイバーを製造するアプローチが記載されている。欧州特許出願公開第2062077号明細書(EP2062077 A4)、米国特許出願公開第2009/0204111号明細書(US2009/0204111 A1)および独国特許出願公開第102015119875号明細書(DE102015119875 A1)は、製造のためにレーザーを用いてファイバー内もしくはファイバー上に構造が組み込まれるかもしくは施与されるディフューザーを記載している。
【0012】
国際公開第2008/024397号(WO 2008/024397 A2)は、とりわけ、少なくとも1つの光ファイバーが遠位端の治療部位に高出力密度の光エネルギーを投じるためのディフューザーを提示している。その際、散乱中心はファイバーコアの所定の長さで、またはファイバーコアとクラッドとの間の界面内または該界面付近で所定の長さで配置されることが意図されている。
【0013】
ただし、先述のアプローチの場合、殊に、散乱中心の充分に均一な構成の場合、側方放出の指数関数的な低下または不均一な分布に基づき、側方放射が医療環境において必要とされる均一性では達成されないという欠点が見込まれる。
【0014】
米国特許出願公開第2009/0204111号明細書は、コア、およびそのコアの少なくとも一部を覆い、前記コアよりも低い屈折率を有するクラッド層、および特徴的ではない区間と特徴的な区間とを有し、前記特徴的な区間は光をその特徴的な区間から放射状に取り出させて、所望の放射状の光の出力パターンを作り出すという特徴を有する、光ファイバーを用いたレーザー送達システムを記載している。その際、前記特徴は、らせん型の構造、放射状の断面、軸方向の断面、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されることが意図されている。
【0015】
独国特許出願公開第102015119875号明細書は、光波をみちびくコア、光導波路内の1つの領域を含む光導波路であって、光導波路内の該領域において微細修飾が配置されており、且つその微細修飾の配置が規則正しい、前記光導波路を記載している。
【0016】
国際公開第2019/063799号(WO2019/063799 A1)は、殊に医療技術的な治療システムおよび/または診断システムのための照明システムであって、少なくとも1つのレーザー光源、ライトガイドを含み、前記ライトガイドは近位端で前記少なくとも1つのレーザー光源に接続可能であり且つ/またはこれに割り当て可能であり、且つ前記ライトガイドの遠位端で、縦軸を有するディフューザー要素を有し、前記縦軸はディフューザー要素内へと、またはディフューザー要素内で、前記ライトガイドの結合面に対して垂直に延在する、前記システムを記載している。この場合、ディフューザー要素は光をその有効長にわたって長軸に対して側方に放射し、その際、前記ディフューザー要素は少なくとも1つのディフューザー基体を有し、且つ前記ディフューザー基体は少なくとも1つの散乱要素を包含する。その際、前記照明システムは、ディフューザー基体の長軸に沿った放射強度を均一にするための装置を有し、前記照明システムは動作状態で、平均の側方放射強度から最高±50%、好ましくは最高±30%、および最も好ましくは最高±5%だけ逸脱する側方の放射強度分布を有する。従って、長さにわたって殊に非常に均一に放射し、さらには高い効率および少ない自己加熱を有するシリンダディフューザーを実現でき、そのことは殊にPITおよびPDTの用途にとって有利である。
【0017】
先述のとおり、医療技術の環境における多くの用途の場合、大抵は照射されるべき組織に直接的に隣接している健康な組織も照射され、ひいては損傷されることがある。従って、将来的にはこれらの組織を望ましくない照射から保護しようという努力がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】独国特許出願公開第10129029号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3184885号明細書
【特許文献3】米国特許第6810184号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第2062077号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0204111号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102015119875号明細書
【特許文献7】国際公開第2008/024397号
【特許文献8】国際公開第2019/063799号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】「Photodynamic Therapy of Cancer」、Cancer Medicine、2003
【非特許文献2】「Laserinduzierte Interstitielle Thermotherapie(LITT) bei malignen Tumoren」、BAEKおよびKBV 01/2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、本発明の課題は、健康ではない組織の改善された照射であって、医療技術の環境における特別な要件を満たし、且つ殊に健康な組織は保護することにより、人間の身体の望ましくない損傷を回避する照射を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の課題は、独立請求項の対象によって解決される。有利なさらなる構成は、それぞれ従属請求項に記載される。
【0022】
従って、本発明は、殊に生体組織で使用するための、医療技術的な治療および/または診断システムのための照明システムであって、
少なくとも1つの光源と、
前記光源の近位端に接続可能または割り当て可能であるライトガイドと、
好ましくはディフューザー要素として構成され且つ前記ライトガイドの遠位端に配置される光学要素と
を有し、前記ライトガイドからの光を前記光学要素に結合可能である、前記システムに関する。ディフューザー要素とは、本発明の意味においては、光散乱体、殊に光をみちびき且つ有利には種々の方向に放射することができる物体と理解される。その際、光は拡散性または指向性を有して、殊に光が光学要素に結合される方向に対して横切る、斜め、垂直または平行に延在する方向に放射されることができる。
【0023】
前記光学要素は、一方では光反射領域を有し、且つ他方では光透過領域を有し、前記光反射領域は少なくとも部分的な反射性を有し、且つ前記光透過領域は少なくとも部分的な透過性、殊に、有利には約2.5μmの波長までの高いスペクトル透過性を有する。前記光学要素内で結合される光は、前記光反射領域で少なくとも部分的に反射可能である。その際、反射は拡散性または指向性を有して放射され得る。前記光透過領域で、光、殊に先述の反射光は、少なくとも部分的に前記光学要素から取り出し可能である。殊に前記光反射領域は、前記光透過領域よりも高い反射率を有する。特に好ましくは、前記光反射領域の反射率は前記光透過領域の反射率よりも少なくとも30、殊に少なくとも50、殊に少なくとも70パーセントポイント高い。有利には、このために前記光学要素は少なくとも区間的に少なくとも1つの反射体層で覆われており、殊に前記光反射領域の領域において反射体層で覆われることにより、前記光反射領域に少なくとも部分的な反射性が付与される。有利には、前記光学要素は少なくとも区間的に反射体層がない、殊に前記光透過領域の領域において反射体層がないことにより、前記光透過領域に少なくとも部分的な透過性が付与される。反射体層は、前記光学要素の表面および/または外側面を覆うことができる。さらに、反射体層がミラー層を含むか、またはミラー層として構成されることが意図され得る。
【0024】
従って、前記光学要素は、有利にはミラー層を有する、光を反射する反射体層で少なくとも区間的に覆われている外側面を有することができ、ここで前記光学要素は、反射体層で覆われている光反射領域を有することと、有利には反射体層がない光透過領域を有することとにより、光学要素から放射される光が少なくとも部分的に反射可能であり、且つ光透過領域で光が放射可能である。これによって殊に、光は光透過領域で目標通りに放射可能であることができる。外側面との用語は、殊に前記光学要素の1つの表面と理解される。
【0025】
特に好ましくは、前記反射体層の反射率は少なくとも1つの波長範囲について90%を上回る。前記反射体層はミラー層として構成されることもできる。
【0026】
前記反射体層について設計されている波長範囲は、有利には可視スペクトル範囲(VIS)の約400nm~約700nm、例えば殊に例えば400nm~450nmまたは600nm~700nm、さらには赤外線範囲(IR)の約700nm~約2.5μm、殊に近赤外線範囲(NIR)の約700nm~約1200nm、例えば980nmまたは1064nmを含み得る。近紫外線範囲における波長の約350nm~約400nmも考えられる。
【0027】
ただし、前記光透過領域または光反射領域を、予め定められる波長範囲または予め定められる主波長が透過もしくは反射されるように設計することもできる。有利には、この予め定められる範囲は20nmを超えず、好ましくは10nmを超えず、好ましくは5nmを超えない。そのような予め定められる範囲は、例えば特定の色、殊に緑色または赤色の波長を含み得る。
【0028】
前記光学要素が一方では少なくとも部分的な光反射領域を有し、且つ他方では少なくとも部分的な光透過領域を有し、前記光反射領域が前記光透過領域よりも高い反射率を有することにより、光の流出は光反射領域で減少または回避される一方で、光の流出は光透過領域では高められるか、またはそこに限定されることが有利に達成され得る。これによって、殊に病変組織を照射すると共に隣接する健康な組織は保護するための、より目標通りの光の放出を有利に可能にすることができる。
【0029】
殊に、ディフューザー要素上に反射体層が区間的にのみ施与されることによって、覆われていない領域で光が目標通りに放出され、それによって医学的治療の間、例えば病変または照射される組織のみが目標通りに照射されることができ、例えばLITT用途の範囲において、例えば組織はエネルギーの投入により目標通りに硬化される。近接する健康な組織はこのようにして照射から保護され、理想的には損傷されない。
【0030】
1つの実施態様において、光は前記光学要素の長軸を横切って且つ前記光学要素の有効長にわたって側方に放射可能もしくは取り出し可能である。前記光学要素が光導波路として構成されている場合、それは有利には光を予め定められた方向に、例えば長軸に沿って有利にみちびくことができる。本開示の範囲では、ディフューザー要素の長軸から出発して半径方向に延在する方向成分を有する放射が、側方の放射として理解される。この照射の強度が、側方の放射強度として理解される。
【0031】
その際、放射の幾何学的形状は、反射体層の相応の幾何学的適合によって、例えば帯状またはレンズ状のパターンが治療される組織表面上に投射され得るように適合されることができる。従って、反射体層で覆われていない、ディフューザー要素の少なくとも1つの領域、例えば反射体層の中断部が前記ディフューザー要素の長軸方向にわたって延伸し、この覆われていない領域が光透過性であり、前記ディフューザー要素によって導かれる光が帯状、殊に線状に放出可能である場合が有利である。その際、光透過領域は、線形または非線形に延在し得る。線形の放射領域は、区域的な放射を可能にするので、照射される組織は点状ではなく、より大きな範囲で照射されることができ、且つ同時にこの領域は定義された境界内に保持されて、周囲の組織を保護することができる。
【0032】
反射体層の相応の幾何学的適合によって、場合により光学要素の幾何学的形状とも組み合わせて、複雑な放射の幾何学的形状を達成できる。例えば漸進的な領域も可能であり、前記反射体層はこの場合、定義された領域においては、強く反射される領域よりも殊に低い反射能力を有して弱くなり得る。ただし、例えば光透過性の、殊に帯状の領域が1つの方向、例えば長軸方向に広くなるかまたは狭くなる幾何学的形状も考えられる。その際、長軸方向の例えば帯状、レンズ状、または楕円形の領域が、前記光学要素の長軸に沿って、横切って、および/または斜めに延伸できる。
【0033】
理想的には、ディフューザー要素は縦長もしくは棒状に構成されるので、例えばカテーテルに挿入することができる。ディフューザー要素はさらに、本質的に円、楕円、または多角形、例えば六角形、長方形または正方形の断面を有することができ、星形の形状も実現できる。この場合、光は有利にはファセットもしくは半径方向の面を介して側方に放射される。従って、区間的またはファセットでのみディフューザー要素上に施与される反射体層は、特定の方向もしくは定義された区域においてのみ側方に光を放射することを可能にする。少なくとも1つまたは複数のファセットがレンズ状の形状、有利にはフレネルレンズの形状を有して、光を束ねることができ、殊により強い照射、もしくはより高エネルギーの照射が可能になる場合が特に有利である。
【0034】
上述のように、前記ディフューザー要素および/または光学要素は、有利には縦長、棒状またはシリンダー形態を有するので、前記ディフューザー要素および/または光学要素は、長軸を定義する。従って、外側面は有利には長軸の周りに延在する外側面である。従って、殊に外側面の法線ベクトルは長軸に対して垂直である。
【0035】
上述のように反射体層で覆われている、前記光学要素および/またはディフューザー要素の光反射領域は、長軸に対して接線方向に少なくとも特定の角度範囲にわたって(例えば少なくとも90°または180°または270°にわたって)延伸しており、上述のように有利には反射体層がない光透過領域も同様に、長軸に対して接線方向に少なくとも特定の角度範囲にわたって(例えば少なくとも1°または10°または20°にわたって)延伸していることが意図され得る。従って、光透過領域は、例えば外側面のくさび形の部分として構成されることができるが、当然、既に記載されたように、より複雑な幾何学的形状も有し得る。
【0036】
前記反射体層は殊に同心円状に、外側面の少なくとも一部の上、または少なくとも1つのファセット上に施与される。その際、前記反射体層は有利には、ディフューザー要素からの光がディフューザー要素のマトリックスに再度戻るように反射可能であり、且つ/または外部から来た光が再度外部へと反射されて戻るように構成される。これは、前記反射体層が片側だけでのみ反射可能であることができることにより、外部から来た光をディフューザー要素へ導入でき、つまり前記反射体層は外からの光に対して透過性であることも意味する。従って、前記反射体層および/またはミラー層はダイクロイックミラーとして、例えばショートパスミラー、ロングパスミラー、狭帯域ミラーまたは広帯域ミラーとして構成されることができる。
【0037】
有利には、殊に反射体層へ垂直に光が入射し、反射率が使用される光の定義された波長に、または光の主波長の周りの予め定められた範囲内で、目標通りに調節可能である場合、最大反射率は、95%を上回り、且つ特に好ましくは99%を上回る。
【0038】
有利な実施態様において、反射体層の反射率は、反射体層に対する垂線に対して光の入射角が45°を上回り、好ましくは60°を上回り、特に好ましくは80°を上回る場合、垂直入射の場合の反射率の50%を上回り、好ましくは70%を上回り、最も好ましくは90%を上回り、殊に垂直に光が入射する場合の反射率の最大値付近の範囲である。換言すれば、反射率は、ある範囲、殊に光が垂直に入射する場合の最大反射率の周りの角度範囲、有利には予め定められた角度範囲において、50%を上回り、好ましくは70%を上回り、好ましくは90%を上回ることができる。
【0039】
有利には、光は予め定められた波長範囲でディフューザー要素を通じて導かれる。しかしながら、異なる波長は異なる反射率を有する。従って、有利には、種々の波長に対して且つ/または広い波長範囲に対して特に高い反射率を有する反射体層が使用され、使用される光で複数の極大もしくは波長に依存する幅の反射極大の平坦域が生じ、且つ相応の波長は斜めに光が入射する場合でも、殊に90%を上回る高い反射率を有する。
【0040】
従って、反射率は使用される波長および角度に合わせて調節され得る。このようにして、特に多量の光を反射することができる。これは特に重要であり、なぜなら、光の吸収は回避されるべきであるからである。前記照明システムは30ワットまでの出力、典型的には10W~20Wの出力で動作され得るので、吸収によってディフューザー要素および/または反射体層の強い加熱が起きることがある。そのような高い吸収は、例えば過熱によって、照明システムの損傷、またはより悪いケースでは人の傷害すらもたらしかねない。従って、照明システムは動作に際し高い反射によってそれ自体が損傷しないように冷たく保持されるべきである。換言すれば、光学要素もしくはディフューザー要素の自己加熱は、有利には最大量の光が反射されることによって回避されるべきである。
【0041】
ミラー層、殊に反射体層が金属層を有するか、または金属層から構成されることも考えられ、有利には前記金属層は貴金属の群からの1つ以上の金属またはMg、Al、Cuからの群の1つの金属を含む。これらの材料の合金も考えられる。広い波長範囲における高い反射率に基づき、好ましくは貴金属、例えばAu、Pt、PdまたはAgが使用される。反射体層の製造に関するその作業性も比較的単純である。Auの酸化性が低いことに基づき、それは例えば体液に対して不活性であり、さらに自己タンパク質との相互作用が少ないので、Auの生体適合性は特に良好であり、従って好ましい。全体として、反射体層は要件、殊に例えば医学において必要とされる生体適合性および細胞毒性の標準化された要件に適合すべきである。
【0042】
上述のとおり、ディフューザー要素もしくは光学要素の外側面は少なくとも区間的に、有利にはミラー層を含む反射体層で覆われている。さらなる構成において、反射体層は多層および/または層系として構成され得る。この場合、例えば反射体層のミラー層は複数の層からなることができる。しかし、多層の反射体層は、ミラー層に追加して存在し殊に前記ミラー層の下方および/または上方に配置される1つ以上のさらなる層を含むこともできる。他の箇所でより詳細に定義された反射体層の好ましい反射率は、多層もしくは層系として構成される反射体層の場合、反射体層全体、つまり1つ以上の層からなるミラー層並びに1つ以上の層からなるさらなる層を含む反射体層全体に関する。
【0043】
しかし、代替的または追加的に、反射体層の下方および/または上方に、反射体層には属さない、なおもさらなる層が備えられることも可能であることは自明である。
【0044】
反射体層は少なくとも1つのミラー層を備えて層系として構成され、且つ/または以下の特徴の少なくとも1つを有することが意図され得る:
・ 反射体層の下方に、単独の層または一連の層からなるベース層領域が備えられている、
・ ディフューザーの基体とミラー層との間に少なくとも1つの付着層または付着促進剤層が備えられている、
・ ディフューザー基体とミラー層との間に、化学的および/または物理的に変性された付着特性を有するディフューザー基体上の層領域が備えられている、
・ 反射体層は、外向きの領域において、反射体層を少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの不動態化層を有する。
【0045】
換言すれば、少なくとも1つの反射体層を有する照明システムの外被の反射体は、層系として構成されることができ、且つ/またはディフューザー要素としても称されるディフューザー基体と、反射体層との間に少なくとも1つの付着層または付着促進剤層、および/または化学的および/または物理的に変性された付着特性を有するディフューザー基体上の層領域が存在し得る。
【0046】
上述のとおり、さらなる構成において、反射体層は多層もしくは層系として構成されることができ、ここで、殊に反射体層はミラー層に追加して少なくとも1つのさらなる層を含むことが意図され得る。
【0047】
従って、反射体層は、ミラー層に追加して、そのミラー層の下方にある下部層、および/またはそのミラー層の上方にある上部層を有することができ、ここで、前記下部層は殊に1つ以上の層からなり、且つ前記上部層は殊に1つ以上の層からなる。
【0048】
ミラー層の下方にある下部層は、有利には付着層または付着促進剤層として構成される。
【0049】
ミラー層の下方にある下部層は、有利には、化学的および/または物理的に変性された表面特性を有するディフューザー基体上の層領域として構成される。
【0050】
ミラー層の下方にある下部層は、有利には、単独の層または一連の層からなるベース層領域として構成される。従って、ベース層領域、例えば、殊に反射体層の一部である、ミラー層の下方にあるベース層領域、および/または反射体層の下方に備えられるベース層領域は、光学要素上に施与される1つ以上の層を含み得る。代替的または追加的に、ベース層領域は、変性された表面特性を有する、殊に表面エネルギーが高められた、且つ/または酸素ラジカルの数が増加された光学要素の表面層であって、殊に光学要素の少なくとも1つの表面特性を変性するための化学的および/または物理的なプロセスを用いて製造されたかまたは製造可能である前記表面層を含むことが意図され得る。ベース層領域、例えば、殊に反射体層の一部であるミラー層の下方にあるベース層領域、および/または反射体層の下方に備えられるベース層領域は、殊に付着層または付着促進層を形成することができる。
【0051】
従って、反射体層またはミラー層は、直接的に、つまり殊に付着層を用いずにディフューザー要素上に配置されていることが可能である。その際、反射体層および/またはミラー層上に不動態化層が配置され得るが、必須ではない。従って、ディフューザー要素もしくは反射体層は、付着層および/または不動態化層を有しても有さないでも構成されることが意図され得る。付着層、もしくは変性された付着特性を有する層領域は、光学要素もしくはディフューザー要素もしくはディフューザー基体上での、反射体層の付着性の改善をもたらす。これは殊に、照明システムが例えば多数回使用され、且つ反射体層が腐食性の酸および/または塩基が用いられる煩雑な洗浄プロセスおよび滅菌プロセスに耐えなければならない場合に、反射体層の耐食性の観点から有利である。耐摩耗性の観点からも、改善された付着性は有利であり、なぜなら、例えば照明システムをカテーテル内部で動かす間、摩擦が生じることがあり、且つ反射体層がディフューザー基体に確実に付着したままであるからである。しかし、付着層が反射に積極的に寄与するように構成されることも考えられる。換言すれば、付着層の材料、表面および/または結晶配向性が、光学要素またはディフューザー要素の特性に対して、光の少なくとも一部または予め定められた波長を反射するように選択されることが意図される。
【0052】
従って、ミラー層に追加してなおも1つ以上のさらなる層を含む、つまり例えばベース層領域および/または不動態化層を含む反射体層の好ましい反射率は、反射体層全体に関することは言及するに値する。殊に、ミラー層の下方で光学要素上に施与される層、および/またはミラー層の上方で施与される層は、反射体層の反射率に寄与することができる。これは殊に、ミラー層の下方にある光学要素の表面層であって、例えば化学的および/または物理的プロセスを用いて製造可能である前記層についても該当する。なぜなら、このプロセスによって光学要素の表面層内で光学要素の材料における変性が起こり、従ってその際、それが反射層の一部を形成し得るからである。
【0053】
層系が外部の領域において追加的に少なくとも1つの不動態化層を有し、それが反射体層を完全に覆うことも意図され得る。不動態化層は、例えば酸または他の可能性のある腐食性媒体、例えばガスまたは液体に対する追加的な保護を提供する。さらに、不動態化層は、照明システムが使用される生体もしくは材料の物質に対する反射体層の生体適合性を改善できるので、治療される患者も保護され得る。
【0054】
前記照明システムが以下の特徴の少なくとも1つを有することも意図される:
・ 下部層(43.1)、殊に付着層または付着促進剤層またはベース層領域は、誘電体層として構成され、ここで、前記誘電体層は有利には、Si、Al、Ti、Zr、Hf、Y、Znからの群の少なくとも1つの元素からの酸化物、窒化物または酸窒化物を有する、
・ 上部層(43.2)、殊に不動態化層(43.3)は、誘電体層として構成され、ここで、前記誘電体層は有利には、Si、Al、Ti、Zr、Hf、Y、Znからの群の少なくとも1つの元素からの酸化物、窒化物または酸窒化物を有する。
【0055】
そのような材料は、殊に純粋な金属製の層の、例えばガラス上への付着促進剤層として特に適している。さらに、金属酸化物および金属窒化物は、化学的および/または機械的な負荷、例えば摩耗に対して非常に耐食性がある。殊に、TiおよびZrの酸化物は体液に対する相互作用が少なく、そのことにより高い生体適合性がもたらされる。従って、そのような物質は不動態化層としても特に適している。
【0056】
有利な実施態様において、ミラー層または反射体層は、一連の低屈折率および高屈折率の金属酸化物および/または金属窒化物を有する誘電体の多層系として構成される。そのような層系は、特に反射特性に関して、最適且つ大いに調節可能もしくは適合可能であるので、設計もしくは層系、有利には反射体層を有する照明システムを特別な用途に合わせることが可能であり、且つ殊に反射される波長範囲が正確に調節可能である。
【0057】
さらなる実施態様において、ミラー層または反射体層が、散乱中心を有する層として構成され、且つ金属製の反射体層および/または誘電体層と組み合わせて仕上げられ得ることも意図されることができ、ここで、任意の追加的な金属製の反射体層および/または誘電体層は、前記散乱中心を有する層を外部で少なくとも部分的に取り囲む。殊に、散乱要素は特定の濃度、もしくは特定の層厚において、有利な方向への反射作用をもたらすことができる。この場合、原則的に、反射作用は散乱中心濃度の増加に伴って、および散乱中心を有する層の厚さに伴って増加することが該当する。これについての例は、白色顔料を有するか、もしくは入射光が散乱される欠陥が埋め込まれている層である。この任意の追加的な金属および/または誘電体の反射体層は、外部への光の透過を完全に回避できる。
【0058】
反射体層が3つ、4つ、またはそれより多くの層からの層系として構成される場合も有利である。このようにして、個々の層をより良好に互いに合わせ、且つ殊に反射する波長を非常に正確に調節できる。このようにして反射率の程度も有利に調節できるので、使用される光の特に高い反射率を達成できる。反射率を高めるために、ミラー層を多層系、殊に誘電体の層系に埋め込むことも意図され得る。
【0059】
前記層の層厚が、以下の特徴の少なくとも1つによって定義されることも考えられる:
・ 付着層の厚さが、5nmを上回り、好ましくは30nmを上回り、且つ/または3000nm未満、好ましくは300nm未満、好ましくは150nm未満である、
・ ミラー層の厚さが、10nmを上回り、好ましくは20nmを上回り、好ましくは50nmを上回り、且つ/または5000nm未満、好ましくは200nm未満、好ましくは100nm未満である、
・ 不動態化層の厚さが、5nmを上回り、好ましくは100nmを上回り、好ましくは150nmを上回り、且つ/または5000nm未満、好ましくは500nm未満、好ましくは250nm未満である。
【0060】
付着層は薄い層厚によって、反射体層の反射率にできるだけ少なく、殊に最小限に影響を及ぼすように構成される。それに応じて、ミラー層の厚さは、所定の値によって、光の透過が最小限に減らされると共に、全体的にできるだけ少ない材料を使用する必要があるように構成される。ミラー層および/または反射体層の層厚は、例えば0.35μmを上回る、有利には0.4μmを上回る、好ましくは0.8μmを上回る、および/または2.5μmを下回る、有利には1.6μmを下回る、有利には1.2μmを下回る波長が反射可能であるように合わせられる。ミラー層および/または反射体層の層厚はさらに殊に使用波長に合わせられる。従って、使用波長に応じて反射率を調節できる。
【0061】
使用波長が例えば2μmである場合、反射率は、例えば670nm~710nmの間の690nmで例えば1.9μm~2.1μmまたはそれより狭い波長範囲に最適化される。換言すれば、ミラー層および/または反射体層の反射率は、最高100nm、好ましくは50nm、好ましくは20nm、使用波長から逸脱する波長に調節される。不動態化層の厚さは、耐食性を確実にするように選択される。
【0062】
様々な変形態様において先述したとおり、反射体層の耐摩耗性もしくは付着性は、少なくとも、通常の、または標準化された摩耗試験および付着性試験に対して耐性があることが合理的である。このような試験によって、機械的もしくは物理的な耐食性を非常に良く検証できる。さらに、医療分野においては厳しい規制があるので、照明システムをそのために意図される環境において使用してよいことが確実にされ得る。
【0063】
機械的な影響に対する良好な付着性もしくは物理的な耐性は、例えばいわゆるテープ試験によって調べることができる。その際、コーティングされた光学要素もしくは反射体層に接着テープが施与され、定義された角度で引きはがされる。引きはがした後にその接着テープにコーティングがなく、コーティングが剥離を示さなければ、その試験に合格とみなされる。殊に、場合により存在する不動態化層も上記の機械的負荷に対して耐性があることに注意すべきである。
【0064】
機械的な耐摩耗性試験はいわゆる消しゴムまたはゴム試験である。その際、消しゴムが特定の力を及ぼして、試験される層上を複数回、前後に動かされる。この試験サイクル後に、試験される層上で損傷が確認できない場合、その層は耐摩耗性としてみなされる。
【0065】
反射体層の不動態化層はバリア層として構成されてもよい。従って、不動態化層が、ポリマー成分、例えば酸および/または酸素の、および殊に酸性またはアルカリ性溶液のイオンが反射体層に、殊にミラー層上またはミラー層内に拡散して入ることを阻止するかまたは遮断することが意図され得る。従って、不動態化層は、例えば酸、酸素、または空気の他の成分が反射体層に浸透することを遅らせるかまたは防ぐことができる。
【0066】
殊に医療製品を処理する場合、アルカリ性の洗浄剤もしくは消毒剤(例えば約11のpH値を有するNEODISHER)が使用され得る。さらに、エチレンオキシドを用いた滅菌法が知られており、これは殊に使い捨て物品(ディスポーザブル)の場合に使用される。ここでもまた、このガスに対して化学耐性であることが確実にされるべきである。オートクレーブ法(典型的には135℃/3bar)に関しては、さらになおも良好な耐加水分解性でなければならない。
【0067】
さらに、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、漂白剤またはさらに消毒剤を有する濯ぎ溶液が使用されることがあり、ここで、殊に不動態化層はそのような物質に対して少なくとも化学的に耐性でなければならない。これは殊に、歯科医学分野における用途に該当する。
【0068】
有利には、不動態化層または反射体層は、層の硬度を特定するための通常の、または標準化された試験方法に従って、例えば少なくとも800HV(ビッカース硬度)、有利には少なくとも1200HV、特に好ましくは少なくとも2000HVの硬度も有する。従って、不動態化層は、ミラー層または反射体層にとっての、殊に金属ミラー層にとっての機械的な保護層としても構成され得る。殊に、例えば炭化物または窒化物製の硬質材料は、その高い硬度、例えばAlN: HV約2000まで、Si34: HV約2500までに基づき保護する。
【0069】
さらに、反射体層がディフューザー要素の遠位端に配置され、且つ/またはディフューザー要素を少なくとも部分的に被覆することが意図される。ディフューザー要素の遠位端に施与される反射体層も、付着層および/または不動態化層を有し得ることは自明である。反射体層は反射体面として理解されることもでき、ここで、前記反射対面は、ディフューザー基体の遠位端上にスパッタされたかまたは蒸着された誘電体の反射層として構成され、該層は複数の層からなり、且つ反射率に関して使用される光の波長に合わせられており、ここで、有利にはこの波長で反射率の極大が存在する。理想的には、反射体面は、指向性反射面、例えば、殊にAl、Ag、Auを含む金属コーティングを有する金属ミラー面の形態で、または例えば白色層を含む拡散性反射面を有し、これがディフューザー基体を通過した光を反射して戻す。これによって、ディフューザー基体に沿って側方放射される光の強度の通常の指数関数的な低下が、少なくとも部分的に補償もしくは補正され得る。これによって、一定の散乱率で提供可能な光の量が少なくとも区間的に変えられるかもしくは適合可能であるので、側方放射を均一化できる。
【0070】
さらに、ディフューザー基体の遠位端上にスパッタされたかまたは蒸着された誘電体の反射層が特に有利であることが判明しており、該層は複数の層からなることができ、且つ反射率に関して使用される光の波長に合わせられることができ、これは合わせられる波長で極大を有することができることを意味する。これによって、一方では動作状態で結合された光もしくはその波長の理想的な後方反射が、および他方ではホットスポットの回避が達成され得る。代替的に、広帯域で良好に反射し、背面の不動態化を有する銀層から反射体が作られることも意図され得る。これは特に丈夫であり、且つ局所的な強度の過剰な高まり、ひいてはホットスポットをもたらしかねない邪魔な反射を抑制できる。これによって殊に、可視スペクトル範囲(VIS)においても、IR/MIR範囲、例えば1μm~2.5μmの波長においても非常に良好な反射特性を有する、非常に広い帯域の反射体を実現できる。背面の不動態化は銀層の酸化を防ぐ。
【0071】
反射体面が凹状または凸状に構成される場合、反射される光線が少なくとも部分的に、長軸に対してほぼ平行な経路で、および/または長軸に対して急峻な角度で反射して返され、それによって散乱要素でより頻繁に散乱されるので、側方放射のディフューザー要素の遠位端への取り出し効率が高められることを達成でき、それは放射強度の均一な経過を伴う。
【0072】
有利な実施態様において、ディフューザー要素は、該ディフューザー要素のマトリックス中に埋め込まれている散乱要素を有するか、または該ディフューザー要素のマトリックスが散乱要素を有する材料で被覆されている。散乱要素は、ディフューザー要素に結合された光が、ディフューザー要素から側方に放射され得るように散乱もしくは偏向されることを確実にする。少なくとも1つの散乱要素が、均一な断面を有するディフューザー要素の長軸全体に沿って本質的にこれに対して平行に、または先細りのディフューザー基体の場合は長軸に対して1つの角度で配置される。散乱要素を有利には、管状および殊に長軸に対して同軸状に配置してもよい。複数の散乱要素を、特定の予め定められた幾何学的配置でディフューザー基体の長軸の周りで、好ましくはこの周りで規則的な構造で、殊に好ましくは環状に配置することができる。従って、1つの角度で配置された複数の散乱要素は、好ましくはディフューザー基体の外部の1つの消失点で交わる。
【0073】
好ましい変形態様において、散乱要素はディフューザー基体において、ディフューザー基体の長軸周りに放射状に一様に分布して配置されており、その際、長軸周りのコア領域は、コア領域の外部での単位面積当たりの散乱要素の数に対して、単位面積あたりの散乱要素がないかまたは顕著に低減された数であり、従って散乱要素は主に、マトリックス中でこのコア領域の外部に配置されていることが意図される。これによって、通常は低いNA(<0.3、典型的には約0.2)で結合される、結合された光が、散乱要素ですぐに拡散されないことを達成できる。他方では、ほぼ散乱要素のないコア領域によって、充分な光が、散乱することなくディフューザー基体の遠位端まで導かれ得る。これによって、一方では結合位置付近(ディフューザー基体の近位端)での強度は低減され、且つ他方ではディフューザー基体の遠位端付近での強度は高められることができる。
【0074】
ディフューザー要素が少なくとも部分的または区間的に、そのバルク(Volumen)において、且つ/またはその表面上で構造化されているか、またはディフューザー要素が有色または無色、殊に透明な外被、有利には有色ガラスまたは有色プラスチック製の外被を有することも考えられる。ディフューザー要素の表面上の構造は、反射体層の付着性の改善および散乱特性の改善を可能にする。追加的にランベルト放射特性を補助し、且つその際殊に光の結合方向において前方に向けられた放射を低減するコーティングまたは外被についての例は、窒化ホウ素を有するコーティングである。この種のさらなるコーティングは、例えば酸化チタン、炭酸カルシウムまたは酸化ジルコニウムからなることができる。追加的な外被は、例えばガラスマトリックス内に散乱要素を含有するフリントガラス管として仕上げられることができる。ただし、無色または有色の外被も考えられる。
【0075】
従って、1つの実施形態は、反射体層を有するディフューザー要素が少なくとも部分的または区間的に透明または半透明の、無色または有色のスリーブで取り囲まれていることが意図される。その際、前記スリーブは典型的にはディフューザー要素の直径の1.1~1.5倍に相応する直径を有する。好ましくは、前記スリーブはガラスまたは金属製の硬質の管部材から、および/またはフレキシブルチューブから構成されており、その際、前記管部材および/またはチューブは好ましくはさらに散乱中心を含有することができ、且つ前記スリーブは少なくとも区間的に1つ以上の薄壁の収縮チューブから仕上げられる。
【0076】
ディフューザー要素についての特に好ましい変形態様は、遠位で上述の反射体面を有するディフューザー基体が、少なくとも部分的または区間的にこれを取り囲む透明および/または半透明の、有色または無色のスリーブを備えることを提案する。これによって、一方では、機械的または化学的な保護を達成できる。他方では、材料の適した選択によって、殊にこれが散乱中心を包含する場合、放射特性も側方放射の強度の均一性に関してさらに最適化され得る。これによって、例えばランベルト発光を補助することができる。
【0077】
好ましい変形態様において、前記スリーブは少なくとも区間的に1つ以上の薄壁の収縮チューブを備えて仕上げられる。これは一方では、追加的な拡散性の散乱作用も達成し、ひいてはランベルト放射を補助することができる。他方では、これによって機械的な保護を達成でき、例えばディフューザーが破損された場合に生じ得る欠けを防ぐ。スリーブとして、例えば、約5~15ミクロンの壁厚を有する白色のPET製の薄壁の収縮チューブがこのために証明されている。反射を抑制するために、さらに、薄壁の、黒または色付けされた有色の収縮チューブが部分的に備えられ得る。使用波長が特に良好に吸収されるように色付けを選択できる。そのような収縮チューブはさらに生体適合性に仕上げられる。このようにして、照明システムの付近または直接接触における人の傷害を回避できる。しかし、スリーブが、有利にはポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)またはワックス、ワックス類似成分、またはアルキルシランを有する層(Schlichte)として構成され得る、またはこれらの材料の少なくとも1つから作製され得ることも可能である。
【0078】
ディフューザー基体は、透明なプラスチック、殊に作業性の改善のためにはガラス、石英ガラスまたは透明なガラスセラミック製のマトリックスを含むことができるか、またはこれらからなることができ、ここで、散乱要素は、
・ プラスチックマトリックスの場合、多孔質または着色または有色のプラスチックを含むか、またはこれらからなり、
・ ガラスマトリックスの場合、孔、粒子、多孔質または着色または有色の、または不均一性を有するガラスまたはガラスセラミック、またはガラスセラミック成分とそこに含まれる微結晶を含むか、またはこれらからなり、
・ 石英マトリックスの場合、孔、多孔質の石英ガラス、またはセラミックまたは多結晶粒子を含むか、またはこれらからなり、
・ 透明なガラスセラミックマトリックスの場合、孔、粒子、多孔質または着色または有色の、または不均一性を有するガラスまたはガラスセラミック、またはガラスセラミック成分とそこに含まれる微結晶を含むか、またはこれらからなり、または
・ それらの散乱要素の組み合わせ
を含む。
【0079】
ガラスまたはガラスセラミックのマトリックス策の場合に散乱要素を形成するガラスまたはガラスセラミックの不均一性は、相分離、偏析および/または粒子状の包含物、核および/または微結晶を含み、且つ散乱作用は温度・時間プロセスによって目標通りに調節可能である。ここで、散乱領域における散乱要素の濃度は10ppm~1000ppm、および好ましくは20ppm~100ppmであるべきである。ここで、ppmでの濃度の記載は、その散乱粒子が埋め込まれているそれぞれの材料、殊にプラスチック、ガラスマトリックスまたは石英マトリックスの成分の質量割合に比した散乱粒子の割合に関する。ここで、それぞれ形成された散乱要素(これは例えば孔、粒子、多孔質または着色または例えば白色の、または不均一性を有するガラスまたはガラスセラミック成分とそこに含まれる微結晶を意味する)は、好ましくは直径10nm~1000nmを有し、特に好ましくは100nm~800nmを有する。
【0080】
ディフューザー要素がホウケイ酸ガラス、リン酸クラウンガラス、ケイ酸鉛ガラス、ケイ酸亜鉛ガラス、またはアルカリ亜鉛ガラスを含有し、且つ/または散乱要素がフリントガラスロッドを含有し、殊にそれが有利にはホウケイ酸ガラス製のスリーブ管で取り囲まれている場合も有利である。これは、ディフューザー基体が全体としてレントゲン写真で少なくとも部分的または区間的に検出可能であり、それによって患者の体内でディフューザーの位置が特定可能であるという利点を有する。例えば冒頭部で言及したEVLT用途のための0.8μm~約2.2μmの使用波長に関しては、特別なIR透過性ガラス、例えばリン酸クラウンガラスまたはケイ酸鉛ガラスも使用できる。
【0081】
石英ガラスに基づくアプローチに際し、その石英ガラスが特に少ないOH基を有する場合、殊にUVおよび/または約2.5μmまでのIR範囲の波長における用途が扱われ得る。ここで、さらなる利点として、石英の極めて高い耐熱性および非常に低い基礎吸収が挙げられ、それは前記用途において殊に50Wまでのより大きなレーザー出力を可能にする。多孔質石英ガラス製の散乱要素の他に、セラミック顔料、例えば二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化アルミニウム製の、またはそれらを有する散乱要素も使用できる。石英ガラスに基づくディフューザー基体は、石英ファイバーから構成されるライトガイドに特に良好にスプライス接合されることができ、ここで前記石英ファイバーは、屈折率がわずかに異なるコアと外被(またはクラッドとも称される)とからなる。前記クラッドは有機材料、例えばフッ素プラスチック、PMMAまたはポリイミドからなることもできる。
【0082】
ディフューザー基体および/または散乱要素についてのガラスセラミックに基づくアプローチは、透明なアルミノケイ酸塩・高温型石英混晶のガラスセラミックから構成され得る。これは極めて熱衝撃耐性であり、且つ約2.5μmまでの高いスペクトル透過率を有する。例えば、適した焼戻しプロセスによって高温型石英混晶ガラスセラミックから製造され得るキータイトガラスセラミックが散乱要素として適している。さらに、コージエライトガラスセラミック、またはケイ酸マグネシウムアルミニウムガラスセラミックがディフューザー基体および/または散乱要素として適している。製造プロセスに関して特に好ましいディフューザー基体は、そのディフューザー基体が、ホウケイ酸ガラスロッド、ケイ酸亜鉛ガラスロッド、またはケイ酸アルカリ亜鉛ガラスロッド製のライトガイドロッドから構成されるか、且つ/または散乱要素がフリントガラスロッドから構成され、有利にはそれがホウケイ酸ガラス、ケイ酸亜鉛ガラスまたはケイ酸アルカリ亜鉛ガラス製のスリーブ管で取り囲まれ且つプリフォームを形成する場合にもたらされる。
【0083】
本発明のさらなる態様において、ディフューザー基体もスリーブ管も同種のガラスからなることができる。その際、スリーブ管の屈折値は、好ましくはマトリックスのガラスの屈折値以下であり、特に好ましくは両方の屈折値は同じ大きさである。これは、ディフューザーにおいて散乱された光の取り出しを促進する。これによって、ディフューザーの製造のために費用面で有利なプロセスが可能になり、これはほぼ任意の長さで均一な放射強度を有するディフューザーを得ることを可能にする。
【0084】
本発明は、殊に生体組織で使用するための、医療技術的な治療および/または診断システムのための照明システムであって、
少なくとも1つの光源と、
前記光源の近位端に接続可能または割り当て可能であるライトガイドと、
好ましくはディフューザー要素として構成され且つ前記ライトガイドの遠位端に配置されている光学要素と
を有する、前記システムの製造方法にも関する。前記ライドガイドからの光は、前記光学要素に結合可能であり、且つ前記方法は以下の段階:
・ 外側面を有するディフューザー要素を準備する段階、
・ 有利にはミラー層を有する、光を反射する反射体層で前記外側面を少なくとも区間的に覆う段階であって、前記光学要素が反射体層で覆われている光反射領域を有することと、反射体層がない光透過領域を有することとにより、前記光学要素から放射される光が少なくとも部分的に反射可能であり、且つ光透過領域で光を目標通りに放射可能である、前記段階
を有する。前記反射体層の反射率は少なくとも1つの波長範囲について90%を上回る。
【0085】
理想的には、反射体層で覆われた照明システムは、相応の利点をもたらすために、少なくとも1つ、好ましくは複数の先述の特性または特徴を有する。反射体層は好ましくは光学要素の軸方向、殊に長軸方向に延伸している。前記外側面は、外被層またはベース層領域として理解されることもでき、その壁厚は有利には1~100μmの範囲である。
【0086】
前記外側面が、殊に前記外側面の表面特性を変性するための化学的または物理的プロセスによって、少なくとも1つの変性された表面特性を有するベース層領域をもたらすことによって、前処理されるかまたは活性化され、従って前記外側面が外被層またはベース層領域として理解されることもでき、その壁厚が有利には1~100μmの範囲である場合も有利である。従って、反射体層は、殊に前処理されていない外側面上に直接的に施与されてもよいし、外被層もしくはベース層領域上に施与されてもよい。
【0087】
ベース層領域は、少なくとも1つの変性された表面特性を有する、殊に表面エネルギーが高められた、および/または酸素ラジカルの数が増加された外側面の表面層を含むことができ、それは続くコーティング、例えば付着層および/または反射体層の良好な付着を確実にする。外被層のそのような表面部分層は、例えば、外側面または外被層の表面特性を変えるための化学的または物理的プロセス、殊にプラズマ処理(例えば低圧プラズマまたは大気圧プラズマ)、UV処理、アーク放電(コロナ)によって、および/または化学的処理、例えば超音波槽におけるアルカリ洗浄剤を用いて、またはそれらの方法の組み合わせによって製造可能であるかまたは製造される。プラズマによって、さらに脂肪、オイルまたは類似の残留物が除去され、追加的に酸素ラジカルが活性化され得る。換言すれば、ベース層領域、またはベース層領域の最下層は、前記外側面の外部表面を含む半径方向の部分によって形成され得る。つまり、ベース層領域は例えば単独の層からなることもでき、ここで、この単独の層は、表面特性に関して光学要素の外側面に基づく化学的または物理的プロセスによって形成される。
【0088】
しかし、ベース層領域は一連の層からなることもでき、ここで例えば、ベース層領域の最下層は、表面特性に関して光学要素の外側面に基づく化学的または物理的プロセスによって形成され、且つこの最下層上にさらなる層が施与されている。
【0089】
反射体層が外側面上に、殊に陰極スパッタ、高周波スパッタ、反応性スパッタ、マグネトロンスパッタ、蒸着、殊にイオンビーム蒸着および/または熱蒸着によって施与されることも考えられる。反射体層の少なくとも1つの層、好ましくは複数の層の作製は、上記の方法以外に、殊に他のコーティング法、例えば真空法(例えばイオンビームまたは熱蒸着)、化学気相堆積(CVD、例えばPECVD、殊にPICVD)にも関し得る。反射体層の1つまたは複数の層をもたらすためのさらなるコーティング法として、さらには、液相からの方法、例えば浸漬コーティングまたは噴霧コーティングも可能である。この際、さらなる機能、例えば摩擦係数の低減の機能付与ができる。
【0090】
その際、コーティングのために提供される物質、殊にSi、Al、Ti、Zr、Hf、Y、Znの酸化物、窒化物または酸窒化物が、例えばスパッタプロセスを用いていわゆるスパッタターゲットから施与され得る。これらの材料が金属ターゲットとして、または部分セラミックターゲットとして存在し得ることが可能である。ターゲットの純度は典型的には99%以上でもたらされる。しかし、より低い純度も可能である。この際、場合によってはより厚い層厚が必要とされる。
【0091】
付着層または付着促進剤層が外側面上に、且つ/または不動態化層が反射体層上に、有利には陰極スパッタ、高周波スパッタ、反応性スパッタ、マグネトロンスパッタ、蒸着、殊にイオンビーム蒸着および/または熱蒸着によって施与されることが意図され得る。その際、ベース層領域を、付着促進剤層として構成することができる。従って、ベース層領域とその上に施与された反射体層との間には、処理されたかまたは未処理の外側面と、この上に施与された反射体層との間に存在する付着性よりも大きな付着性が存在することが意図され得る。換言すれば、高められた付着性は、反射体層と、殊にその下にあるベース層領域の最上層であって、表面エネルギーが高められた、および/または酸素ラジカルの数が増加された層として、または外側面上にコーティングによって施与された付着層として構成され得る前記層との間に存在し得る。
【0092】
ベース層領域が複数の付着層からなることも可能であり、ここで、最下の付着層の上部に施与された付着層の少なくとも1つまたは全ては、その下にある付着層への付着が、その下にある付着層の下にある付着層がある場合にその付着層への付着よりも、高い付着性を有する。換言すれば、外側面または光学要素は、ベース層領域を形成する単独または複数の付着層でコーティングされることができる。少なくとも1つの付着層について、有利には酸化物、窒化物または酸窒化物としての、Si、Al、Ti、Zr、Hf、YまたはZnの群からの少なくとも1つの材料の使用が意図される。しかし、他の物質、例えばホウ化物、炭化物または炭窒化物も使用できる。好ましい層系は例えばTiO2を含む。
【0093】
ベース層領域もしくは付着層および/または不動態化層は、殊にこれがコーティングによって施与された(単数または複数の)層を有する場合、アモルファス構造も、結晶性または多結晶性の構造も有し得る。アモルファスコーティングの典型的な例としてはSiO2、Si34、Al23、AlSiOxまたはBNが挙げられ、結晶コーティングについての典型的な例としてはアナターゼまたはルチルのTiO2、γ-Al23または結晶性AlNが挙げられる。しかし殊にアモルファスと結晶との混合相も構成され得る。
【0094】
さらに好ましい照明システムは、異なる波長について、殊に互いに近接している波長λ1およびλ2について異なる反射挙動もしくは透過挙動を有するミラー層または反射体層を備え、ここで、前記波長の差Δλ=|λ1-λ2|<200nm、好ましくは<100nmであることができる。これによって、放射特性において切り替え可能な照明システムを実現でき、ここで光源を介してこれらの異なる波長λ1およびλ2を調節可能である。その際、根本的な思想は、第1の波長λ1の場合には、外被上で施与される側方の反射体層が充分に透明であり、光線が透過され得るように反射体層もしくはミラー層が設計されることである。それによって、ランダムに放射するディフューザーの放射挙動が達成され得る。2番目の波長λ2に切り替えると、今度は側方の反射体層がミラーとして作用し、区画内で方向付けられた放射の側方の集束が生じる。これらの2つの異なる波長λ1およびλ2について、ミラー層または反射体層は殊に、有利には少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも30%相違する反射率および/または透過率を有する。これによって、波長の切り替えの際に、主なランダム放射と1つの区域に集束する放射との間の放射の顕著な変化が可能になることを、殊に有利に達成できる。従って、側方の反射体層は波長に関して殊にむしろ狭い帯域に設計されている。その際、遠位の反射体がλ1についてもλ2についても高い反射を有する場合が有利である。殊に、これは照明システムの医療技術用途の場合に有利である。例えば、そのように近く互いに近接する波長λ1およびλ2は、医療技術用途の場合によく使用される波長980nmおよび1064nmである。そのような挙動は、殊に先述の誘電体層系によって実現できる。ここで、当然、λ1とλ2とはさらに(>200nm)互いに離れていてもよいことに留意すべきであるが、これは、医療用途の場合は、このように異なる波長の際に組織の吸収特性が非常に異なり得ることをもたらしかねない。従って、前記波長は任意および/または任意に広く離れていることはできない。
【0095】
これに関連して、殊に切り替え可能であり得る異なる波長を用いて、光線の異なる浸透の幅が達成され得るさらなる用途が挙げられ、それは殊に組織への侵入挙動に関して外科的観点から利点をもたらすことができる。
【0096】
光学要素を反射体層でコーティングすることは、まず、単独の付着層からなるベース層領域、および/または外側面の活性化、または一連の付着層をもたらし、その後、単独の層、または一連の、殊に交互の高屈折率層と低屈折率層、もしくは高屈折率層と低屈折率層とからの層系からなるミラー層を(前記ベース層領域上に)施与することを含む。外側面の活性化は、残留物を除去し、且つ/または変性された、殊に表面エネルギーが高められた、且つ/または酸素ラジカルの数が増加された表面特性をもたらすこととして理解できる。
【0097】
コーティングまたは活性化は、有利には50℃未満の温度で行われる。この比較的低い温度は殊に、光学要素をスリーブとしてのポリマー層によってコーティングできるという利点を有する。真空中で、および殊に真空を破らないで加工することも好ましい。従って、例えば真空中で最初にベース層領域をもたらし、その後、同じ真空中でミラー層を施与することができる。さらにその後、同じ真空中でさらに不動態化層を施与することができる。
【0098】
様々な変形態様において先述されたような照明システムの好ましい用途は、冒頭部で記載されたように、例えば腫瘍を治療するための光線力学的療法(PDT)もしくは光免疫療法(PIT)のための、例えば静脈瘤を治療するための静脈内レーザー療法(EVLT)のための、レーザー誘導間質温熱療法(LITT)のための、または歯科医学、眼科並びに皮膚科の分野における用途のための使用が意図される。歯科医学分野においては、ここで殊に、傷の治療または歯周病の治療への適用が挙げられる。さらに、脳の研究においては、光を用いて個々の脳領域を刺激し、それによって病気の症状を治療できるという用途がある。
【0099】
様々な変形態様において先述されたような照明システムのさらなる用途は、腫瘍を治療するための光線力学的療法(PDT)もしくは光免疫療法(PIT)のための使用が意図され、ここで、ディフューザー要素を有する少なくとも1つのライトガイドが、他のディフューザー要素から放射された光を取り込み、そのライトガイドを介して分光分析用の検出器へと転送する。その際、種々の光を発するディフューザー・ライトガイドの他に、光を受け取るディフューザー・ライトガイドも患者に適用され、ここで、結合された光と受け取る光との間のスペクトル差によってPDT治療の応答を推量できる(これについて、Finlay et al., Proc. SPIE Int. Soc. Opt. Eng. 2014年6月14日; 5315: 132-142ページ参照)。さらに、そのようなシステムは、例えばPDTまたはPIT治療の際の線量測定のためにも使用できる。
【0100】
さらに、工業分野における用途、例えば、中空空間を目標通りに照らすための工業用途のための装置の要素として、例えば機械上または機械内のアクセスしにくい位置の検査であって、殊に均一に照らすことが重要な場合のため、小さな開口部を有する加工物の光の透過、またはさらには分光学的用途、または光によって生化学的in-vitro反応が刺激される生化学において、つまり、in-vitro診断学の範囲における試料の照射のためにも有利である。樹脂または接着剤、またはこれらを含む材料の目標通りの硬化において、均一に照らすことが必須であるか、または接合位置にアクセスしにくい場合においても用途が見られる。
【0101】
本発明を以下で添付の図面を用いてより詳細に説明する。図面において、同じ符号はそれぞれ同じかまたは相応する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1図1は、PDTまたはPIT用途における、ライトガイドと、一方向に区域的に放射するディフューザー要素とを有する照明システムの模式図である。
図2図2は、ディフューザー要素の模式図である。
図3図3は、異なるコーティングをされた表面の摩耗試験後の比較である。
図4図4は、反射体層の実施例の模式図である。
図5図5は、反射体層、付着層および不動態化層を有する実施例の模式図である。
図6図6は、誘電体の反射体層、付着層および不動態化層を有する実施例の模式図である。
図7図7は、反射率の波長依存性の経過のグラフである。
図8図8は、種々の光入射角についての反射率の波長依存性の経過のグラフである。
図9図9は、干渉反射体についての反射率の波長および入射角依存性の経過のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0103】
以下の詳細な実施態様の記載に際し、添付の図面における同じ符号はそれぞれ同じか、または同じ作用をする要素を示す。より良い理解のために、以下の定義を行う。本開示の意味において、照明システムとの用語は照明装置、および殊に医療技術目的のために使用するために適しており、且つ殊にこれが生体組織と接触すべき限り、少なくとも区間的に消毒可能および/または滅菌可能である照明装置を含む。「医療技術的治療および/または診断システム」との表記は、殊に本願に開示される照明システム自体の医療的治療および/または診断システムとしての適性、使用または用途を含むが、これに限定されない。
【0104】
図1は、本発明による照明システム1の構成を模式的に示す。例示的に医療技術的なPDT用途が示される。示される例において、照明システム1は、動作状態において特定のスペクトル範囲における光を発するLEDまたはレーザー光源10を含む。PDTもしくはPIT用途のために、冒頭部で記載されたように、予め投与された生化学的に修飾された色素(光増感剤)に合わせた波長、通常は可視範囲、例えば532nmの緑色のスペクトル範囲、または例えば690nmの赤色のスペクトル範囲における波長を発するレーザーが使用される。
【0105】
ライトガイド30は、プラグ20または他の接続要素、もしくは結合要素によってその近位端30.1で、レーザー光源10に接続されている。この場合、光が結合されるライトガイド30の端部が近位端30.1として示される。遠位端30.2で、ライトガイド30はディフューザー要素40の形態での光学要素を有し、それが、健康な組織50の内部に形成されており従ってこれに隣接する腫瘍組織60内またはその付近に導入される。この場合、通常はライトガイド30の近位端30.1に対して離れて配置されており且つ殊に光を発するライトガイド30の他の端部が遠位端30.2として示される。
【0106】
その際、レーザー光線は、ディフューザー要素40へのライトガイド30を介した光結合31を介してディフューザー要素40に到達し、前記ディフューザー要素は例えばディフューザー基体41から構成されている。その光は、長軸Lによって示されるディフューザー要素の長さLにわたって側方に放射されるか、もしくは光取り出し42として光透過領域において取り出される。その際、ディフューザー要素40の長さにわたるできるだけ均一な放射が重要である。殊に、強度ピークは回避されるべきである。示される例において、ディフューザー要素40は一方向のみ、つまり区域的に腫瘍組織60に射し込む。冒頭部で記載されたような光誘導生化学反応によって、治療後に理想的には腫瘍組織60の死滅が生じる。
【0107】
ここで示される例に限定されることはないが、通常、ライトガイド30として石英ファイバーが使用され、ここでプラグ20は通常、同軸のプラグコネクタ、いわゆるSMAプラグとして構成され、前記ファイバーは有利にはプラグ20に接着されている。洋白スリーブを有するプラグ20も熱負荷性に関して有利であることができ、その際、ライトガイド30は形状接合により、殊に塑性変形によって前記洋白スリーブに導入/圧着されている。さらに、より大きなレーザー出力の場合、ライトガイド30のファイバー端が円錐型プリズムによって保護されているプラグ20も使用でき、これは誤り調節の際に有利であることができる。
【0108】
図2は、ディフューザー要素40の構成を模式的且つ例示的に示す。ディフューザー要素40は、好ましくはライトガイド30にスプライス接続または付着されているディフューザー基体41からなる。ライトガイド30は先述の用途の場合、大抵は、コアを有する石英ファイバーからなる。その際、コアは屈折率n1および通常100μm~1000μm、好ましくは200μm~600μmのコア直径を有し、並びに外被または外側面は、屈折率n2を有し、ここでn1>n2が該当する。これによって通常達成可能な開口数NAは、約0.22以下、例えば0.1である。特別なドーピングによって、0.4または0.6までのより高いNA値も達成できる。ライトガイド30からの光結合31は、ディフューザー基体41の相応の結合面上で生じる。
【0109】
さらに、スプライス接続の場合、ディフューザー基体41とライトガイド30との間の結合が2段階で行われる場合が有利であることができる。最初にライトガイド30の短い片(典型的には数10mmの長さ、例えば約10~20mm)のみをディフューザー基体41にスプライス接続し、これを次にコーティングし、その後、ライトガイド30およびプラグ20からなる本来のピグテールを、ライトガイド30の短い片にスプライス接続する。これは、レーザーおよび/またはコロナ放電によって局所的に高いエネルギー密度が誘導されるスプライスプロセスによって、反射体コーティングが熱破壊されず、もしくは反射体の特性が許容されないほど変化されないという点で殊に有利である。さらに、短い区間のみのライトガイド30を有するディフューザー基体41のコーティングプロセスの場合、コーティングチャンバにより容易に入れることができる。従って、完全なピグテールを用いた取り扱いに対して、取り扱いの煩雑さが顕著に低減され得る。
【0110】
ディフューザー基体41または光学要素は、例えば埋め込まれた散乱要素を有するマトリックス要素製のマトリックス、および/またはスリーブ管を含む。しかし、ディフューザー基体41は、定義された温度・時間制御を用いた熱処理によって散乱特性が目標通りに調節され得るガラスからなることもできる。ディフューザー基体41について、同様に目標通りの温度・時間の処理によって微結晶密度および/または微結晶の大きさを目標通りに調節可能であり、ひいては散乱特性にも影響を及ぼし得る、ガラスセラミック製のマトリックスも考えられる。ライトガイド30としてポリマー光ファイバー(POF)も装着されているプラスチックに基づく光学要素も考えられる。
【0111】
ライトガイド30とディフューザー基体41との間の接続領域からの迷光を回避するために、また、この接続領域の機械的な安定化のためにも、プラスチック、ガラス、金属またはセラミック材料製のスリーブが備えられ得る。
【0112】
ディフューザー要素40は、反射体層43、並びに任意に反射体もしくはさらなる反射体層も遠位端44で有する。これによって、光の取り出し42として本質的に3つの寄与: 予め定めることができる放射角度42.1における側方の光の取り出し42.2、反射体層を通じた後方の光の取り出し42.3、および遠位の光の取り出し42.4がもたらされる。
【0113】
従って、目標通りに組織が照射されるべき医療技術的な用途のためには、後方の光の取り出し42.3の割合はできるだけ小さくしなければならず、このことによって反射体層43のできるだけ高い反射率が必要となる。さらに、遠位端44で、遠位の光の取り出し42.4を大幅に防ぐことも必要であることがあり、これはまた、ここでも遠位端44での反射体層のできるだけ高い反射率に付随する。さらに、できるだけ高い反射率によって、遠位端44での後方反射および/または側方の光の取り出し42.2の効率を高めることができる。両方の場合において、90%を上回る、好ましくは95%を上回る、および特に好ましくは99%を上回る反射率値が必要とされる。さらに、強すぎる加熱を防ぐために、反射体層は大きな吸収も有するべきではない。
【0114】
殊に煩雑な洗浄プロセス、および例えばディフューザー要素40が多数回、カテーテル中で動かされる場合、その摩擦に基づいて生じる機械的負荷に関して、耐食性も重要である。従って、反射体層の施与された層は、(例えばエタノールを用いた)洗浄プロセスに供され、または摩耗試験、例えば消しゴム試験またはさらには「Tesa試験」またはテープ試験にさえも合格できる。
【0115】
従って、図3は消しゴム試験後の比較を示し、誘電体多層系45として4層の設計で作り上げられた反射体層43が画像の上部に示される。画像の下部は、比較用の金属Cr+Auの反射体コーティング46の場合の表面である。純粋な金属の反射体コーティングは負荷に充分に耐えられず、誘電体多層系45は機械的負荷に関してより良好に合わせられ得ることがわかる。
【0116】
図4~6は、模式的に、縮尺通りではなく示される反射体層43の典型的な実施例を示す。図4は、ディフューザー基体41上に金属ミラー層43.2が堆積された、外被の反射体43についての単純な層構造を示す。その際、反射される光は、垂線47に対して種々の入射角102でミラー層43.2、付着促進剤層43.1または反射体層43に当てられることができる。
【0117】
有利には、反射体面に対して斜めに入射する光の場合の最大反射率は50%を上回り、好ましくは70%を上回り、および特に好ましくは90%を上回る。本開示の範囲において、斜めに入射する光は、その光が反射体層43の垂線47に対して絶対0°~90°までの角度で、または有利には50°を上回る、好ましくは70°を上回る角度で反射体層43に当てられると理解される。光は本質的にディフューザー要素41に沿ってみちびかれて散乱されるので、所定の割合の光が斜めに反射体層43に当てられる。従って、この部分の光も反射される場合が有利である。
【0118】
金属ミラー層43.2は有利には貴金属、例えばAu、Ag、PdまたはPtからなることができ、それらは光の可視範囲における高い反射率を有する。複数の金属製の合金、または多層構造の金属層も考えられる。しかしながら場合によっては、図4に示されるような、そのような単純な構造の層は、機械的摩耗、付着性、または化学的な攻撃に関して実用的ではないことがある。
【0119】
従って、図5は、ディフューザー基体41の直上で付着層43.1もしくは付着促進剤層、本来のミラー層43.2および追加的な不動態化層43.3を有するより複雑な多層構造を示す。この場合、貴金属のための従来の付着促進剤、例えばCrまたはNiは、ファイバーもしくは光学要素を介した光の誘導によって反射の低減をみちびくことに留意すべきである。例えば10nmの非常に薄い層厚の付着層43.1の場合ですら、これは該当する。反射を著しく低減させないために、代替的な付着層43.1として誘電体層を使用できる。この場合、Si、Al、Si、Al、Ti、Zr、Hf、および場合によりさらにYおよびZnの酸化物、窒化物、または酸窒化物が使用され得る。ミラー層43.2として仕上げられる貴金属層の層厚は、10nm~5000nm、有利には10nm~300nmの範囲であってよい。付着層43.1または付着促進剤層の厚さは、典型的には最大数10nm、好ましくは5nm~50nmの範囲である。
【0120】
可能なミラー層43.2についてのさらなる例は、反射が高められるように光学設計に埋め込まれた、高い反射を有する卑金属層、例えばMg、AlまたはCuである。最も単純な形態において、TiO2(Mg)、SiO2およびMgからの3層の設計が製造され、ここで、反射は、高屈折率の第1の層、低屈性率の第2の層、および高反射性の金属層の使用によって、金属層の反射の増加をみちびき得る。さらなる層、殊に前記金属層に続く不動態化層43.3によって、腐食に対する追加的な保護が確実になる。この追加的なバリア層/不動態化層は、Si、AlSi、Al、Ti、Zr、Hf、および場合によりYおよびZnの酸化物、窒化物または酸窒化物を含有し得る。この位置では層の光学的なデータは関係しないので、機能性金属層の代わりに腐食する犠牲金属層も使用され得る。これは例えばAl、Cu、CrまたはNiであることができる。しかし、他の金属も考えられる。
【0121】
例示的且つ提示される値に限定されることなく、以下の例1において、以下の範囲である反射体層43の機能性の3層の層厚が示される:
I. TiO2(付着層43.1として): 範囲: 30nm~5000nm、好ましくは30nm~300nm、典型的には100~200nm。
II. SiO2: 範囲: 40nm~5000nm、好ましくは40nm~380nm、典型的には150~250nm。
III. Mg: 範囲: 20nm~2000nm、好ましくは20nm~200nm、典型的には50~150nm。
IV. SiO2: 範囲: 5nm~5000nm、好ましくは5nm~500nm、典型的には100~250nm。
【0122】
示された設計によって、1000nmより上の波長範囲における反射は、殊に反射体層43に対して垂直な光の入射の場合、90%より上、好ましくは92%より上、または有利には95%より上に高められ得る。さらに、前記の層系は、反射体層43の垂線に対して測定して0~±80°の角度範囲における高い反射が保持されたままであることによって特徴付けられ、そのことは、医療分野において照準とされる用途の場合、殊に組織の照射の場合に必須である。本発明の意味において、高い反射は、垂直の光入射の場合の最大反射率について先述の角度範囲において50%を上回り、好ましくは70%を上回り、好ましくは90%を上回る反射として理解される。
【0123】
例1のMgに基づく層の本質的な利点は、CuまたはAlの場合と類似して、非金属コーティングとしての高い反射率である。この変形形態の大きな利点は、製造が容易なことである。少ない層しか必要とされないので、大規模な設備/インラインの設備における製造も可能である。さらに、この場合、均質性においての大きな要件が生じない。さらに、TiO2およびSiO2層は標準的なプロセスとして良好に制御可能である。同様に、Mg層は金属層として容易に製造される。より柔らかい貴金属層に対するさらなる利点は良好な付着性および機械的耐性である。図3に示されたとおり、施与された層は(例えばエタノールを用いた)洗浄プロセスに供され、または摩耗試験にさえも合格できる。
【0124】
図6において、図4および5に類似して例示的に、干渉光学誘電体系の形態におけるさらなる例を示す。この場合、ミラー層43.2は、交互の高屈折率層および低屈折率層から構成されるので、フレネルの関係に従って透明な誘電体層から高い反射が達成され得る。これは、参照波長についての1/4波長の層厚を調節することにより達成される。このアプローチのための材料として、高屈折率層としてTiO2、Ta25、Nb25またはZrO2、または一般に2.2を上回る屈折率を有する層が考慮に入れられる。上記の材料は、例えばAl、Si、Y、Znによるドーピングによってさらに安定化されることができる。低屈折率層としては、殊にSiO2またはドープされたSiO2の変形形態が考慮に入れられる。他の金属の酸化物、窒化物、フッ化物(例えばMgF2)または酸窒化物も可能である。低いN2ドーピングを有するSiO2も考えられ、且つ有利には1.5未満の低い屈折率の要件を非常に良好に満たす。例えば11層からの高・低屈折率の層系のこのような設計を用いて、広帯域且つ高反射の反射体層43またはミラー層43.2を達成でき、ここで、殊に波長範囲1000nm~1100nmについて、層厚はTiO2については例えば120nm~130nmであり、SiO2については例えば210nm~220nmである。広帯域であることによって、定義された参照波長の場合(ここでは例えば1064nm)、広い範囲における種々の入射角も反射可能である。
【0125】
図7は経過のグラフ100において、例1について記載されたTiO2/SiO2/Mg/SiO2からの多層系について、反射率101、もしくは反射度の、波長103依存性を示す。そのような系の場合、反射度は、600nm付近の波長で、並びに約900nm~約1100nmの波長範囲において特に高く、例えば90%を上回る。
【0126】
図8はさらなる経過のグラフ100において、図7において示された層系について、および種々の入射角102についての反射率101、もしくは反射度の波長103依存性を示す。第1の経過100.1は、垂線に対して0°の入射角についての経過を示す。第2の経過100.2は、垂線に対して60°の入射角について、および第3の経過100.3は、垂線に対して80°の入射角について測定された。ここで、例えば1000nm~1100nmの範囲において、ほぼ角度に依存しない95%の反射値が達成され得ることがわかる。示された例において、そのような層系は使用波長1064nmについて最適化されていた。ミラー層34.2の層の個々の層厚を変化させることによって、そのような高い、ほぼ角度に依存しないコーティングを広い波長範囲について調節できる。
【0127】
図9は、さらなる経過のグラフ100において、殊にTiO2/SiO2製の11層の高・低屈折率層の設計について、異なる入射角102についての反射率101(ここでは最大値について100%に正規化)を種々の経過100.1、100.2、100.3において示す。ミラー層43.2に対する垂線に対して、第1の経過100.1は0°の入射角102を示し、第2の経過100.2は60°の入射角102を示し、且つ第3の経過100.3は80°の入射角102を示す。ここで、中心波長は1040nm~1060nmである。
【0128】
そのような層の変化形態を用いて、使用される層の吸収もしくは曇りに依存して、非常に高反射の設計が達成される。吸収は使用される材料および製造プロセスに依存し、曇りは基材の清浄性、コーティングプロセスにおける欠陥、プラズマ重合、クラック形成またはその種のものにおける原因を有することがある。コーティングプロセスは非常に再現性があり且つ安定でなければならないので、PVDに基づくプロセス、例えば蒸着またはスパッタ、例えばマグネトロンスパッタまたはイオンビームスパッタが、反射体層43、付着層43.1および/または不動態化層43.3を製造するために好ましく用いられる。
【0129】
コーティングプロセスは例えば、マグネトロンスパッタプロセスによって表され得る。この場合、前記プロセスは3または4層の系の場合、以下の段階を含む:
・ 基材表面、もしくは光学用要素の外側面または表面を、超音波洗浄プロセスによって洗浄する段階、
・ 光学要素の外側面または表面を真空中で熱処理して、表面の脱水によって付着性を改善する段階、
・ TiO2およびSiO2層の金属ターゲットの反応性マグネトロンスパッタ、またはTiO2の場合のセラミックターゲットのスパッタ、もしくはMgの金属スパッタ段階
・ 例えば垂直型の設備および基材配置、もしくは光学要素の配置による無欠陥スパッタ段階。
【0130】
さらなる段階、殊に追加的なプロセス段階において、真空中で酸素プラズマ前処理を行うことができる。これは、表面を予めコンディショニングすることによって付着性を改善するために役立つ。しかし、殊に大気圧下でのプラズマ前処理も有利である。
【0131】
反射層としての金属層の場合、これがまずディフューザーの素材のプリフォーム上に施与され、次いでディフューザーのドロープロセスにおいて引き伸ばされることも考えられる。
【符号の説明】
【0132】
1 照明システム
10 レーザー光源
20 プラグ
30 ライトガイド
30.1 ライトガイドの近位端
30.2 ライトガイドの遠位端
31 光結合
40 ディフューザー要素
41 ディフューザー基体
42 光透過領域における光の取り出し
42.1 放射角
42.2 側方の光の取り出し
42.3 後方の光の取り出し
42.4 遠位の光の取り出し
43 反射体層(光反射領域)
43.1 付着層
43.2 ミラー層
43.3 不動態化層
44 反射体遠位端
45 誘電体多層系
46 金属反射体コーティング
47 垂線
50 組織
60 腫瘍組織
100 経過のグラフ
100.1 第1の経過
100.2 第2の経過
100.3 第3の経過
101 反射率
102 入射角
103 波長
L 長軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】