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特開2022-191227有機薄膜を形成するための組成物および技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191227
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】有機薄膜を形成するための組成物および技術
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20221220BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221220BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H05B33/04
H05B33/14 A
H05B33/10
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022144122
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2019545807の分割
【原出願日】2018-04-17
(31)【優先権主張番号】62/488,401
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/653,035
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513317345
【氏名又は名称】カティーバ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140833
【弁理士】
【氏名又は名称】岡東 保
(72)【発明者】
【氏名】エレナ ロゴジナ
(72)【発明者】
【氏名】テレサ エイ ラモス
(72)【発明者】
【氏名】シトラ ユウォノ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンザ モロ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基材上に有機層を形成するために、基材上に堆積させ、および硬化させることができる組成物。
【解決手段】電子デバイスの上に配置されたポリマーフィルムと、を備え、前記ポリマーフィルムのポリマーは、そのバルク形態において少なくとも85℃のガラス転移温度を有し、さらに、前記ポリマーフィルムは、硬化性インク組成物の重合生成物を含み、前記硬化性インク組成物の重合生成物は、57mol%から97mol%の1,12ドデカンジオールジメタクリラートと、1mol%から20mol%のジウレタンジメタクリラートまたは1mol%から13mol%のペンタエリスリトールテトラアクリラートと、1mol.%から13mol.%のトリメチロールプロパントリメタアクリラートと、1mol.%から10mol.%のエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィナートと、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化された電子デバイスであって、前記カプセル化された電子デバイスは、
電子デバイスと、
前記電子デバイスの上に配置されたポリマーフィルムと、を備え、前記ポリマーフィルムのポリマーは、そのバルク形態において少なくとも85℃のガラス転移温度を有し、さらに、前記ポリマーフィルムは、硬化性インク組成物の重合生成物を含み、前記硬化性インク組成物の重合生成物は、
57mol%から97mol%の1,12ドデカンジオールジメタクリラートと、
1mol%から20mol%のジウレタンジメタクリラートまたは1mol%から13mol%のペンタエリスリトールテトラアクリラートと、
1mol.%から13mol.%のトリメチロールプロパントリメタアクリラートと、
1mol.%から10mol.%のエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィナートと、を含む。
【請求項2】
前記電子デバイスは、有機発光ダイオードである、請求項1に記載のカプセル化された電子デバイス。
【請求項3】
前記ポリマーフィルムの前記ポリマーは、前記バルク形態において少なくとも80℃のガラス転移温度を有する、請求項1に記載のカプセル化された電子デバイス。
【請求項4】
前記硬化性インク組成物は、25℃で10cPから28cPの間の粘度を有する、請求項1に記載のカプセル化された電子デバイス。
【請求項5】
前記ポリマーフィルムは、2μmから10μmの厚さを有する、請求項1に記載のカプセル化された電子デバイス。
【請求項6】
前記硬化性インク組成物は、
67mol%から97mol%の1,12ドデカンジオールジメタクリラートと、
1mol%から13mol%のペンタエリスリトールテトラアクリラートと、を含む、請求項1記載のカプセル化された電子デバイス。
【請求項7】
前記硬化性インク組成物は、100ppm未満の水分量を含む、請求項1に記載のカプセル化された電子機器。
【請求項8】
方法であって、前記方法は、
硬化性インク組成物を基材上にインクジェット印刷することを含み、
前記硬化性インク組成物は、
57mol%から97mol%の1,12ドデカンジオールジメタクリラートと、
1mol%から20mol%のジウレタンジメタクリラート、または1mol%から13mol%のペンタエリスリトールテトラアクリラートと、
1mol.%から13mol.%のトリメチロールプロパントリアクリラートと、
1mol%から10mol%のエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナートと、を含み、
前記方法は、さらに
前記硬化性インク組成物を重合し基材上に膜を形成することと、を含む方法。
【請求項9】
前記基板がオプトエレクトロニクスデバイス基板である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記オプトエレクトロニクスデバイス基板は有機発光ダイオードを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フィルムの材料は、そのバルク形態で少なくとも80℃のガラス転移温度を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記硬化性インク組成物は25℃で10cPから28cPの間の粘度を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルムは2μmから10μmの厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記硬化性インク組成物は、
67mol%から97mol%の1,12ドデカンジオールジメタクリラートと、
1mol.パーセントから13mol.パーセントのペンタエリスリトールテトラアクリラートと、を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記硬化性インク組成物は100ppm未満の水分量を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記硬化性インク組成物が、25℃で15cPから26cPの間の粘度、および28ダイン/cmから45ダイン/cmの間の表面張力を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
方法であって、前記方法は、
硬化性インク組成物を22℃から40℃の間の温度で基板上にインクジェット印刷することを含み、前記硬化性インク組成物は、
57mol%から97mol%の1,12ドデカンジオールジメタクリラートと、
1mol%から20mol%のジウレタンジメタクリラート、または1mol%から13mol%のペンタエリスリトールテトラアクリラートと、
1mol.%から13mol.%のトリメチロールプロパントリアクリラートと、
1mol%から10mol%のエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートと、を含み、
前記方法は、さらに、
前記硬化性インク組成物を重合し、2μmから10μmの厚さ、および0.10%未満のヘイズを有するフィルムを基板上に形成することを含む方法。
【請求項18】
前記基板は有機発光ダイオードを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記硬化性インク組成物は100ppm未満の水分量を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記硬化性インク組成物が、25℃で15cPから26cPの間の粘度、および28ダイン/cmから45ダイン/cmの間の表面張力を有する、請求項17に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2017年4月21日付けで出願された米国仮特許出願番号第62/488,401号および2018年4月5日付けで出願された米国仮特許出願番号第62/653,035号に対する優先権を主張し、それらの全体の内容は参照によってここに組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)光電子デバイス技術、例えば、OLEDディスプレイおよびOLED照明デバイスなどのようなものの可能性への関心は、高度に飽和した色を持ち、および高コントラスト(硬調とも言う)を提供し、および極薄で、応答が速く、およびエネルギー効率に優れるデバイスの実証を含むOLED技術の属性によって誘導された。
【0003】
無機および有機物質から様々なOLED光電子デバイスが製造され、様々な有機薄膜エミッシブ物質が含まれる。そのような物質は、環境において水、酸素、および他の化学種による劣化を受け易いことがある。これに対処すべく、劣化に対する保護を提供するために、OLEDデバイスがカプセル化された。例えば、無機バリア層および有機平坦化層を交互に含むカプセル化スタックは、OLEDsにおいて水分-および/または酸素-感受性物質を分離するために使用された。
【0004】
カプセル化スタックにおいて平坦化層の堆積のために、様々な製造方法を使用することができるが、インクジェット印刷はいくつかの利益を提供することができる。第一に、インクジェットベースの製造は大気圧にて実行することができるため、一連の真空処理操作を排除することができる。さらに、インクジェット印刷プロセス中、活性領域の上および近位のOLED基材の部分を覆い、活性領域の横方向の縁部を含めて、活性領域を効果的に包み込むために、有機平坦化層を局所化することができる。インクジェット印刷を用いる標的化パターニング(targeted patterning)は、材料浪費の排除、ならびにマスクについての必要性、および従ってそのアライメント(整列とも言う)およびファウリング(付着物とも言う)が提示する課題の排除、ならびに利用に際し、有機層のパターニングを達成するために典型的に要求される追加の処理、例えば、様々な蒸着プロセスの排除をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本教示の様々な組成物は、基材上に有機層を形成するために、基材上に堆積させ、および硬化させることができる。本教示の様々な方法において、基材上に有機の薄いフィルム組成物を堆積するためにインクジェット堆積を使用することができ、次いで、基材上に有機層を形成するために、硬化プロセスが続く。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の特長および利益のより一層良好な理解は添付の図面を参照することによって得られるであろうが、それらは本教示を例示することを意図し、制限するものではない。
【0007】
図1】光電子デバイスの概略断面図であり、製造の様々な態様が例示される。
図2】本教示の第一の有機モノマー組成物の様々な実施形態についての粘性対温度のグラフである。
図3】本教示の第二の有機モノマー組成物の様々な実施形態についての温度の関数としての粘性のグラフである。
図4】ガラス基準材料の透過率と比較した、本教示の模範的組成物のそれぞれから形成された薄いフィルム(薄膜とも言う)の波長の関数としての透過率のグラフである。
図5】概して、ガスエンクロージャシステムの例を例示し、ガスソース、例えば、制御されたプロセス環境を確立するために使用することができるようなもの、を統合および制御し、ならびに浮遊テーブルと共に使用するための加圧ガスおよび少なくとも部分真空を提供するためのものである。
図6】概して、システムの少なくとも一部の等角投影図を例示し、エンクローズド(封入)印刷システムおよびエンクローズド硬化システムを含むなどのようなものである。
図7】様々なデバイス基材上の有機薄膜の製造のためのプロセスを概して例示するフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の詳細な記載
本教示は、硬化性のインク組成物の様々な実施形態に関し、それらは、一旦堆積および硬化されると、電子デバイスにおいて基材の少なくとも一部分上にポリマーのフィルムを提供する。
【0009】
ポリマーのフィルムが形成され得る電子デバイスには、水分-および/または酸素-感受性の一またはそれよりも多く(一以上とも言う)の成分、すなわち、大気において水および/または酸素との反応によってその性能が悪影響を受ける一以上の成分を有する電子デバイスが含まれる。そのようなデバイスにおいて、ポリマーのフィルムは、以下により一層詳細に説明するように、多層カプセル化スタックにおいて平坦化層として含まれ得る。ポリマーのフィルムはまた、発光光電子デバイスの光抽出を改善するため、発熱デバイスに熱放散を提供するため、および/またはガラス素子(glass components)、例えば、ガラススクリーンなどのようなものを有する電子デバイスを含め、破損し易い電子デバイスの機械的損傷からの保護を提供するためにも使用し得る。ポリマーのフィルムをその上に形成することができる電子デバイスには、光電子デバイス、例えば、OLEDsなどのようなもの、ならびに、リチウム電池、キャパシター(コンデンサーとも言う)、およびタッチスクリーンデバイスが含まれる。ポリマーのフィルムは可撓性であるため、それらは可撓性電子デバイスと共に使用するのに適する。
【0010】
カプセル化されたデバイスのいくらかの実施形態において、ポリマーのフィルムは、OLEDデバイス基材の発光活性領域にわたって配置される。OLEDデバイスの発光活性領域には、様々な反応種、例えば、以下によって制限されないが、水蒸気、酸素、およびデバイス処理からの様々な溶媒蒸気などのようなものの存在下で劣化する様々な材料が含まれることができる。そのような劣化は、OLEDデバイスの安定性および信頼性に影響を与えることがある。そのような劣化を防ぐために、多層カプセル化スタックを、OLEDを保護するために用いることができ、そこでは、そのカプセル化スタックには、ポリマーの平坦化層に隣接する無機バリア層のフィルムが含まれる。カプセル化スタックには、少なくとも一のそのような無機バリア層/ポリマーの平坦化層のペア(「ダイアド(dyad)」)が含まれるであろうが、複数のスタックされたダイア
ドを含むことができる。さらに、カプセル化スタックの最下層は、それが電子デバイスの少なくとも一の基材と接触しており、無機バリア層またはポリマーの平坦化層のいずれかであることができる。したがって、発光活性領域にわたり配置されるポリマーのフィルムは、発光活性領域上に直接形成される必要はない。例えば、そのポリマーのフィルムは、発光活性領域がそれらの間に配置される電極の一つの上、カプセル化スタックの一部分を形成する無機バリア層の上、および/またはOLEDサポート基材の表面の上に形成することができる。
【0011】
様々な堆積技術に関して、それらは硬化性のインク組成物を適用するために使用することができる。例えば、堆積システムで、産業上のインクジェット印刷システムなどのようなもので、それらが制御されたプロセス環境を提供するように構成されたエンクロージャ(筐体などとも言う)において収容することができるものを、使用することができる。ここに説明する硬化性のインク組成物の堆積のためのインクジェット印刷は、いくつかの利益を有することができる。第一に、一連の真空処理操作を省くことができ、それはインクジェットベースの製造を大気圧にて実行することができるからである。さらに、インクジェット印刷プロセス中に、電子デバイス基材の部分を、活性領域にわたり、および近位にある部分を含めてカバーするため、活性領域を、活性領域の横方向の縁部を含めて効果的にカプセル化するため、インク組成物を局在化することができる。インクジェット印刷を用いるターゲット化したパターニングは、材料の無駄をなくし、ならびに、必要に応じて、例えば、様々なマスキング技術によって有機層のパターニングを達成するために典型的に要求される追加処理の排除をもたらす。
【0012】
本教示の硬化性のインク組成物の様々な実施形態は、広範な複数のOLEDデバイス、例えば、OLEDディスプレイデバイスおよびOLED照明デバイスなどのようなものにわたって、均一な平坦化層を形成するために、印刷によって堆積することができる。そのようなインク組成物は、熱処理(例えば、ベイク)を使用し、光エネルギーへの曝露、(例えば、UV硬
化)、または電子ビーム硬化によって硬化することができる。インク組成物のいくらかの実施形態は、UV放射、約365nmないし約420nmの間の波長範囲におけるUV放射を含めたものによって硬化させることができる。
【0013】
図1の概略断面図において描かれるように、電子デバイスの活性領域にわたって製造されるカプセル化スタックに関して、電子デバイス50は基材52上に製造することができる。基材の様々な実施形態には、薄いシリカベースのガラス、ならびに任意の複数の可撓性ポリマーの物質が含まれることができる。例えば、基材52は、例えば、底面発光型の(bottom-emitting)光電子デバイス(例えば、OLED)構成において使用するなどのようなもののため、透明であることができる。電子デバイススタックで、例えば、様々な有機または他の物質などのようなものに関連する一以上の層は、活性領域54、例えば、OLEDにおいてエレクトロルミネセンス領域などのようなものを提供するために、基材上に堆積、インクジェット印刷、または別なふうに形成することができる。図1において活性領域54は、単一のブロックとして概略的に例示するが、詳細には、複数の別個のデバイスおよびフィルム層を有する複雑なトポロジーまたは構造を有する領域をさらに含むことができることに注目される。一例では、電子デバイス50がOLEDデバイスである場合、それはアノード電極およびカソード電極に接合された放出層、または他の層を含むことができる(in can include・・・)。アノード電極またはカソード電極は、活性領域54から基材52に沿って横方向にオフセットされる電極部分56に接合することができるか、またはそれを含むことができる。
【0014】
図1の例示的な実施形態において描くように、無機バリア層60Aは電子デバイス50にて活性領域54にわたって設けることができる。例えば、無機バリア層は、基材52の表面全体、または表面の実質全体にわたって被覆された(例えば、堆積された)ブランケットで、非制限的な例として、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)を使用した、活性領域54を含めたものであることができる。無機バリア層60Aを製造するのに有用な無機材料の例には、種々の無機酸化物、例えば、Al2O3、TiO2、HfO2、SiOXNY、無機窒化物で、例えば、窒化ケイ素などのようなもの、または一以上の他の物質の一以上などのようなものが含まれることができる。無機バリア層60Aに隣接するのは、ポリマーのフィルム62Aである。ここで前述したように、ポリマーのフィルム62Aは、例えば、硬化性のインク組成物のインクジェット印刷を使用して堆積させることができ、および次いでそのインク組成物はポリマーのフィルムを形成するために硬化される。ポリマーのフィルム62Aは、活性領域54への水分またはガスの浸透を抑え、または抑制するためにまとめて機能するカプセル化スタックの一部として、活性領域54を平坦化し、および機械的に保護するために、平坦化層として機能することができる。図1は、多層のカプセル化スタック構成を概略的に例示し、無機バリア層60Aのポリマーのフィルム62A、第二の無機バリア層60B、および第二のポリマーのフィルム62Bを有する。理論または説明に拘束されることなく、カプセル化スタックでの平坦化層は、ある無機バリア層から隣接する無機バリア層への欠陥の伝播を防ぐのに役立つことができる。それゆえ、カプセル化スタックの様々な実施形態は、電子デバイスにとって望ましい機械的およびシーリング特性を提供するために作り出すことができる。図1に描くカプセル化スタックにおいて層の製造の順序は、逆にすることができ、その結果、ポリマーの平坦化層が最初に製造され、その後に無機バリア層の製造が続く。さらに、より一層多く、または少ない数のダイアドが存在することができる。例えば、示すような無機バリア層60Aおよび60B、および単一のポリマーの平坦化層62Aを有するスタックを製造することができる。
【0015】
ここにより一層詳細に議論するように、本発明者らは、電子デバイス製造プロセス全体にわたって安定性を維持し、ならびに様々な電子デバイスの保護層の一部分として長期の安定性および機能が提供されるポリマーフィルムを形成するために使用することができる硬化性のインク組成物の必要性を認識した。
【0016】
薄いフィルム形成用の硬化性のインク組成物
【0017】
本教示の硬化性のインク組成物は、基材上に液状物質として難なく堆積させることができ、および次いでその基材上にポリマーの薄いフィルムを形成させるために硬化される。そのような硬化性のインク組成物の様々な実施形態は、ベースモノマーとして、ジアクリラートモノマー、ジメタクリラートモノマー、モノアクリラートモノマー、モノメタクリラートモノマーおよびそれらの組合せ、ならびに様々な多官能性架橋剤を含むことができる。ここに使用するように、語句「(メタ)アクリラート」は、列挙された成分がアクリラート、メタクリラート、またはそれらの組合せであってもよいことを指し示す。例えば、「(メタ)アクリラートモノマー」という用語は、メタクリラートモノマーおよびアクリラートモノマーの双方に言及する。硬化性のインク組成物の様々な実施形態には、硬化開始剤(cure initiators)、例えば、光開始剤などのようなものがさらに含まれる。
【0018】
ここに説明する組成物は、「インク組成物」と称され、それは、組成物の様々な実施形態が、慣習的なインクを基材に適用した印刷技術を含めて、それらの技術を使用して適用することができるからである。そのような印刷技術には、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、熱転写印刷、フレキソ印刷による印刷、および/またはオフセット印刷が含まれる。しかしながら、インク組成物の様々な実施形態はまた、他のコーティング技術、例えば、スプレーコーティング、スピンコーティング、およびその他同種類のものなどのようなものを用いて適用することもできる。さらに、インク組成物は、着色剤で、例えば、染料および顔料などのようなもので、いくらかの慣習的なインク組成物において存在するものを含む必要はない。
【0019】
堆積技術のいくらかは、それによってインク組成物を適用することができ、それらには精密堆積技術(precision deposition techniques)が含まれる。精密堆積技術は、印刷されたインク組成物およびそれから形成される硬化されたポリマーのフィルムの量、位置、形状、および/または寸法に関して、高度な精密さおよび精度によりインク組成物を基材に適用する技術である。精密堆積技術は、インク組成物のブランケットコーティング(blanket coatings)またはインク組成物のパターン化コーティング(patterned coatings)を形成することが可能であり、それは一旦硬化すると、非常に均一な厚さおよび明りょうなエッジを有する薄いポリマーのフィルムを形成する。結果として、精密堆積コーティング技術は、多種多様な有機電子および有機光電子デバイス用途の要件を満たす薄いポリマーのフィルムを提供することが可能である。与えられる精密堆積インク組成物およびそれから形成される硬化したフィルムのために必要な量、位置、形状、および寸法は、意図するデバイスの用途に依存するであろう。例示として、精密堆積技術の様々な実施形態は、フィルムを横切って厚さ変動が5%を超えず厚さが10μmより厚くないブランケットまたはパターン化フィルムを形成することが可能である。精密堆積技術の一例においてインクジェット印刷である。
【0020】
インク組成物から作られる硬化したポリマーのフィルムは安定であり、および可撓性である。加えて、インク組成物は、それらが様々な後処理技術に供されることを可能にするガラス転移温度(Tg)を有する硬化したポリマーのフィルムを提供するように調剤することができる。十分に高いTgをもつことは、一定の用途、例えば、ポリマーのフィルムが高温条件に曝される用途などのようなものにとって望ましい。例示として、いくらかの電子デバイスで、OLEDsを含めたものについては、ポリマーのフィルムが高められた温度下で高湿度に曝される加速信頼性試験にデバイスを供することにより、デバイスの安定性をテストすることが標準的な慣行である。たとえば、デバイスは60℃および90%の相対湿度(RH)または85℃および85%RHにて試験される場合がある。さらに、ポリマーのフィルムのTgは、それらが組み込まれる電子デバイスを製造するために使用される高温後処理ステッ
プに耐えるように十分高くなければならない。例えば、材料の層、例えば、無機バリア層などのようなものがポリマーのフィルムにわたって堆積される場合、ポリマーのフィルムは無機材料のための最大堆積温度に耐えるのに足りるように安定でなければならない。例示として、無機バリア層は、80℃またはそれよりも高い堆積温度を必要とすることがあるプラズマ化学気相堆積法(PECVD)を使用して、ポリマーの平坦化層にわたって堆積することができる。テストに合格するか、または後処理に耐えるためには、ポリマーのフィルムがテスト温度または処理温度より高いTgを有する必要がある。これらのような高温用途のためには、硬化性のインク組成物を、80℃またはそれよりも高いTgを有する硬化ポリマーを提供するために調剤することができる。これには、85℃またはそれよりも高いTgを有する硬化ポリマーを提供するように調剤されるインク組成物の実施形態が含まれ、およびさらに90℃またはそれよりも高いTgを有する硬化ポリマーを提供するように調剤されるインク組成物の実施形態が含まれる。ポリマーの物質のTgは、バルクの硬化ポリマーから、またはポリマーのフィルムのポリマー、インク組成物の様々な実施形態から測定することができるため、先行するTg値はバルク硬化ポリマーまたは硬化ポリマーのフィルムに適用され得る。この開示の目的のために、バルク硬化ポリマーについてTg測定は、例において一層詳細に説明するように、熱機械分析(Thermomechanical Analysis)[TMA]を介して実行することができる。
【0021】
硬化性のインク組成物のいくらかの実施形態には、ジ(メタ)アクリラートモノマー、例えば、アルキルジ(メタ)アクリラートモノマーなどのようなものが含まれ、そこで、アルキルジ(メタ)アクリラートの一般化された構造は、以下:
【化1】
によって与えられ、
式中、nは3ないし21であり、およびRはHまたはCH3である。
【0022】
本教示の硬化性のインク組成物の様々な実施形態については、アルキルジ(メタ)アクリラートモノマーのアルキル鎖は3ないし21個の間の炭素原子を有し、および様々な組成において、さらに3ないし14個の間の炭素原子を有することができる。本教示の硬化性のインク組成物の様々な実施形態は、6ないし12個の間の炭素原子を有するアルキル鎖をもつことができるアルキルジ(メタ)アクリラートモノマーを利用することができる。次いでより一層詳細にここで議論するように、アルキルジ(メタ)アクリラートモノマーの選定を導くことができる要因は、選定される堆積温度での調剤物の結果として得られる粘性、ならびに標的表面張力の範囲内に入ることを含むことができる。
【0023】
本教示に従う模範的なアルキルジ(メタ)アクリラートモノマーは、1,12ドデカンジオールジメタクリラートで、以下:
【化2】
に示す構造を有するものである。
【0024】
本教示の硬化性インク組成物の様々な実施形態には、約57モル%ないし約97モル%の間のアルキルジ(メタ)アクリラートモノマー、例えば、1,12ドデカンジオールジメタクリラート(DDMA)モノマーなどのようなものを含むことができ、さらに、約71モル%ないし93モル%のアルキルジ(メタ)アクリラートモノマーが含まれる硬化性のインク組成物を含むことができ、およびまたさらに約75モル%ないし89モル%のアルキルジ(メタ)アクリラートモノマーが含まれる硬化性のインク組成物を含むことができる。アルキルジ(メタ)アクリラートモノマーに加え、本教示の硬化性のインク組成物は、調剤物において(in the in the formulation)ジウレタンジ(メタ)アクリラートモノマー成分を有することができる。一般化されたジウレタンジ(メタ)アクリラートモノマー構造は以下:
【化3】
によって与えられ、式中、RはHおよびCH3から無関係に選ばれる。
【0025】
本教示に従う模範的なウレタンジ(メタ)アクリラートモノマーには、ジウレタンジメタクリラート(DUDMA)およびウレタンジメタクリラートが含まれ、以下に示す一般化した構造を有する:
【化4】
ジウレタンジメタクリラート:DUDMA 1:
【化5】
ジウレタンジメタクリラート:DUDMA 2:
【化6】
ウレタンジメタクリラート:UDMA 1:
式中、DUDMAは、Rが本質的に等しい割合において水素(H)またはメチル(CH3)であることができる異性体の混合物であってよい。本教示の硬化性のインク組成物の様々な実施形態については、DUDMAの濃度は約1モル%ないし約20モル%の間であることができる。これには、10モル%から14モル%までの範囲においてDUDMA濃度を有する硬化性のインク組成物の実施形態が含まれる。
【0026】
硬化性のインク組成物の様々な実施形態には、単官能性(メタ)アクリラート、例えば、アルキルモノアクリラートおよび/またはアルキルモノメタクリラートなどのようなものが含まれる。インク組成物において単官能性(メタ)アクリラートの使用は、インク組成物の粘性を低下させることができ、およびまた、インク組成物から形成される硬化ポリマーのフィルムに、より一層低い弾性率、および従ってより一層高い可撓性を提供し得る。モノ(メタ)アクリラートの例には、長鎖アルキル(C8-C12)(メタ)アクリラート、例えば、ラウリル(メタ)アクリラート(C12)、デシル(メタ)アクリラート(C10)およびオクチル(メタ)アクリラート(C8)などのようなもの、およびより一層短いアルキル鎖(C4-C6)(メタ)アクリラートが含まれる。しかしながら、より一層長い鎖の(メタ)アクリラート、例えば、ステアリル(メタ)アクリラートなどのようなものも含まれることができる。他の例には、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリラート(DEGME(M)A)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリラート、およびエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリラート(EGME(M)A)が含まれる。さらに他の適切な(メタ)アクリラートモノマーには、以下に制限されないが:アルキル(メタ)アクリラート、例えば、メチル(メタ)アクリラートおよびエチル(メタ)アクリラートなどのようなもの;環状(メタ)アクリラート、例えば、テトラヒドロフルフリルメタクリラート、アルコキシル化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリラートなどのようなもの;および芳香族(メタ)アクリラート、例えば、ベンジル(メタ)アクリラートおよびフェノキシアルキル(メタ)アクリラートなどのようなもので、2-フェノキシエチル(メタ)アクリラートおよびフェノキシメチル(メタ)アクリラートを含めたものが含まれる。
【0027】
ここに前述したようなジ(メタ)アクリラートモノマーおよびモノ(メタ)アクリラートモノマーに加えて、様々な多官能性架橋剤を、本教示の硬化性のインク組成物に含めることができる。ここに用いるように、多官能性架橋剤という用語は、少なくとも三つの反応性架橋性基を有する架橋剤に言及する。したがって、多官能性(メタ)アクリラート架橋剤は、例えば、トリ(メタ)アクリラート、テトラ(メタ)アクリラート、ならびにより一層高い官能性の(メタ)アクリラートであることができる。例えば、本教示の硬化性のインク組成物には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラート、ならびにそれらの組合せが含まれることができる。四官能性および一層高い官能性の(メタ)アクリラートの使用は、四官能性および一層高い官能性の(メタ)アクリラートが、四-および一層高い官能性の(メタ)アクリラートを含まないインク組成物から作成されるポリマーフィルムと比較してポリマーフィルムのTgを増加させるため、高Tgポリマーフィルムが望ましい用途にとって有益である。
【0028】
本教示の硬化性のインク組成物のいくらかには、例えば、1モル%から、15モル%までの範囲における濃度にて多官能性架橋剤が含まれてよい。これには、5モル%から12モル%までの範囲における多官能性架橋剤濃度を有するインク組成物の実施形態が含まれ、およびさらに7モル%から10モル%までの範囲における多官能性架橋剤濃度を有するインク組成物がさらに含まれる。しかしながら、これらの範囲の外の濃度も使用することができる。例えば、一よりも多くの多官能性架橋剤を含む硬化性のインク組成物では、各多官能性架橋剤は、上記の範囲内に入る濃度を有することができる。例示として、インク組成物には、約1-15モル%の間の範囲における濃度にてトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラートが含まれてよい。本教示の様々な硬化性のインク組成物において、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラートモノマーは、約1-15モル%の間の組成の範囲における濃度にて含まれてよい。
【0029】
三官能性トリ(メタ)アクリラートモノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラートの一般化された構造を以下に示す:
【化7】
式中、RはHおよびCH3から無関係に選ばれる。
【0030】
本教示の硬化性のインク組成物の様々な実施形態のための模範的なトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラートは、トリメチロールプロパントリアクリラートであり、その構造を以下に与える:
【化8】
【0031】
四官能性テトラ(メタ)アクリラートモノマー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラートの一般化された構造を以下に示す:
【化9】
式中、RはHおよびCH3から無関係に選ばれる。
【0032】
本教示の模範的なペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラート、ペンタエリスリトールテトラアクリラートを以下に示す:
【化10】
【0033】
硬化プロセスの開始に関して、本教示の硬化性のインク組成物の様々な実施形態は、重合を開始させるために非常に多くのタイプの硬化開始剤を利用することができる。適切な硬化開始剤には、光開始剤(PIs)、熱開始剤(thermal initiators)、および他のタイプのエネルギーを使用して重合を誘発する開始剤、例えば、電子ビーム開始剤などのようなものが含まれる。インク組成物のいくつかの実施形態では、光開始剤を用いる。これら
の実施形態では、開始剤は約1モル%から約10モル%までの範囲における量で存在し得る。これには、開始剤が約2モル%から約6モル%までの範囲における量で存在する実施形態が含まれる。しかし、これらの範囲外の量も使用することができる。光開始剤は、タイプIまたはタイプIIの光開始剤であり得る。タイプIの光開始剤は、二つのフリーラジカルを生成するために、放射線誘起開裂を受け、その一つは反応性であり、および重合を引き起こさせる。タイプIの光開始剤を用いるとき、インク組成物から作成される硬化ポリマーのフィルムには、光開始剤フラグメント(光開始剤断片)が存在し得る。タイプIIの光開始剤は放射線による励起三重項状態への変換を受ける。励起された三重項状態における分子は次いで、重合開始ラジカルを生成するために、基底状態の分子と反応する。タイプIIの光開始剤を用いるとき、光開始剤は、インク組成物から作成される硬化ポリマーのフィルムにおいて存在し得る。
【0034】
与えられる硬化性インク組成物のために使用される特定の光開始剤は、OLED物質に損傷を与えない波長にて活性化されるように選ばれることが望ましい。この理由から、硬化性インク組成物の様々な実施形態には、約365nmから約420nmまでの範囲においてピークを有する一次吸光度(primary absorbance)を有する光開始剤が含まれる。光開始剤を活性化し、および硬化性インク組成物の硬化を誘導するために使用される光源は、光開始剤の吸収範囲が光源の出力と一致または重複するように選定されるのが望ましく、それによって光の吸収は、重合を開始させるフリーラジカルを作り出す。適切な光源には、水銀アークランプおよび発光ダイオードが含まれ得る。
【0035】
アシルホスフィンオキシド光開始剤を使用することができるが、多種多様な光開始剤を使用することができると理解されるべきである。たとえば、以下によって制限されないが、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシラートからの光開始剤、およびα-アミノケトンのクラスの光開始剤も検討することができる。フリーラジカルベースの重合を開始するために、光開始剤の様々なクラスは、約200nmないし約400nmの間の吸収プロファイルをもつことができる。ここに開示する硬化性のインク組成物および印刷の方法の様々な実施形態について、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド(TPO)および2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィナートは望ましい特性を有する。本教示の硬化性のインク組成物および印刷方法の様々な実施形態について、アシルホスフィンオキシド光開始剤は約0.1-5モル%の調剤物であることができる。アシルホスフィン光開始剤の例には、Omnirad(オムニラッド)(R)((商標))TPO(また以前は商品名Lucirin(ルシリン)(R)TPOの下で入手可能)開始剤で、商品名のOmnirad(R)TPO、a type I hemolytic initiator which(I型溶血開始剤)の下で販売される約365nmないし約420nmの波長範囲において光エネルギーにより硬化するためのもの;吸光度@380nmを有し;Omnirad(R)TPO-L、380nmにて吸収するタイプI光開始剤;および370nmにて吸光度を有するOmnirad(R)819が含まれる。非制限的な例として、最大2.0J/cm2までの放射エネルギー密度にて350nmから395nmまでの範囲において公称波長で放射する光源を、TPO光開始剤が含まれる硬化性のインク組成物を硬化させるために使用することができる。適切なエネルギー源を使用して、高レベルの硬化を達成することができる。例えば、硬化フィルムのいくらかの実施形態は、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法により測定されるように、90%またはそれよりも高い硬化度を有する。
【0036】
以下に示す表1および表2は、本教示の二つの非制限的な模範的有機ポリマー組成物について、様々な成分、ならびに成分についての範囲を要約する。
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
本教示の硬化性インク組成物のいくらかの実施形態は、OLEDデバイス上に製造される十分なカプセル化スタックの形成の処理中に安定性を、ならびにデバイスのその有用な寿命にわたる効果的な封止のための長期安定性を提供するために調剤される。さらに、本教示の硬化性のインク組成物は、機能、例えば、可撓性などのようなもの、および光学特性、例えば、OLEDデバイスの使い方を向上させるためなどのようなものを提供するように調剤される。例えば、調剤物I、および調剤物IIのアルキルジ(メタ)アクリラートモノマー、例えば、DDMAなどのようなものでは、架橋剤、例えば、PETおよびTMPTAなどのようなものの選定と組み合わせて、疎水性の特性および高い架橋密度を有機平坦化層に提供することができる。しかしながら、他のポリマーフィルムの特性はまた、カプセル化スタックまたは別の電子デバイスにとって重要であり得、例えば、OLEDsについておよび繰り返し曲げたり、丸めたり、または別なふうに曲げることができる他のデバイスについて可撓性を与えるなどのようなことである。成分のタイプおよび量の選定は、機械的に耐久性で、および同時に可撓性であるフィルムを提供するために、本教示に従って行うことができる。非制限的な例として、調剤物Iでは、ストレスが軽減され、およびターゲットのポリマーフィルムの可撓性を提供する有機カプセル化スタックを提供するために、表1に与えるような範囲において、ジウレタンジ(メタ)アクリラートモノマー、DUDMAを、アルキルジ(メタ)アクリラートモノマーと組み合わせて使用することができる。別の非制限的な例では、調剤物IIにおいて、三官能性および四官能性架橋剤の混合物を、機械的な強度およびポリマー架橋の望ましい程度を提供し、および同時にポリマーネットワーク内で十分なセグメント移動性を与えてターゲットを絞ったポリマーフィルムの可撓性を提供するために使用することができる。
【0039】
与えられるデバイス用途の要件を満たすように調整することができる液状硬化性インク組成物の特性には、粘性、表面張力および含水量が含まれる。調剤物Iおよび調剤物IIについての粘性、表面張力および含水量の測定の概要を以下の表3に与える:
【0040】
【表3】
【0041】
本教示の硬化性インク組成物の特性に関して大抵は、インクジェット印刷の用途について使用するために、硬化性インク組成物の表面張力、粘性、および湿潤特性は、インクジェット印刷ノズルを介して、組成物を、印刷に使用する温度(例は、室温;ca.(約とも言う)25℃)にてノズル上で乾燥させたり、またはそれに詰まらせたりしないで、分配できるように調整すべきである。一旦調剤されると、硬化性インク組成物の様々な実施形態は、25℃で約10cPおよび約28cPの間(例えば、約15cPおよび約26cPの間を含む)の粘性および25℃で約28ダイン/cmおよび約45ダイン/cmの間の表面張力を有することができる。ここに一層詳細に議論するように、カールフィッシャー滴定法によって定められるような含水量を100ppm未満に保つことが望ましく、それは、表3に示すように、調剤物Iおよび調剤物IIの分析においてたやすく満たされた。
【0042】
図2は概して、調剤物Iについて温度の関数としての粘性のグラフを例示し、その一方図3は概して、調剤物IIについて温度の関数としての粘性のグラフを例示する。噴射温度(Jetting temperatures)は、22℃ないし約40℃の間の温度を含め、約20℃ないし約50℃の間であることができる。図2および図3に示されるグラフを調べることによって見ることができるように、そのような温度範囲にわたって、有機ポリマー調剤物の様々な実施形態は、約7-25cPの間;例えば、約9cPおよび約19cPの間を含めて、その粘度を有することができる。
【0043】
硬化性インク組成物の調製、乾燥および貯蔵。
【0044】
重合の開始を光によって誘発することができることを考慮すると、硬化性インク組成物を、光への曝露を防ぐために調製することができる。本教示の硬化性インク組成物の調製に関して、様々な組成物の安定性を確実にするために、組成物は暗所または非常に薄暗い部屋、または照明が重合を誘発する波長を除外するように制御される設備において調製することができる。そのような波長には大抵、約500nmよりも短い波長が含まれる。例えば、有機ポリマー調剤物の実施形態の調製のために、光への直接曝露を保護する様式において、きれいな琥珀色のバイアルの蓋(例えば、Falcons(ファルコンズ)、VWR trace clean(VWRトレース・クリーン))を取り外し、および次いで天秤に置き;風袋を計ることができる。まず、望ましい量の光開始剤をそのバイアル中に量ることができる。次いで、ジ(メタ)アクリラートをそのバイアル中に量ることができる。次に、モノ(メタ)アクリラートモノマーをそのバイアル中に量ることができる。最後に、架橋剤をそのバイアル中に量ることができる。(前述の説明は、さまざまな成分を硬化性インク組成物に連続的に組み込むための一つのプロトコルをレイアウトする。他のプロトコルを使用することもできる。)成分の濃度を均一にするための混合については、Teflon(R)コーティングされた磁気撹拌棒をバイアル中に挿入することができ、およびバイアルのキャップを固定する。次に、溶液は、例えば、室温から50℃までの範囲での温度および600-1000rpmにて30分間撹拌することができる。
【0045】
一旦硬化性インク組成物が調製されると、それらは、10重量%の3Aモレキュラーシーブビーズの存在下で数時間またはそれよりも長く混合することによって脱水し、<100ppmの水分を生じさせ、および次いで乾燥雰囲気下、例えば、圧縮乾燥空気雰囲気などのようなもので貯蔵することができる。しかる後、硬化性インク組成物は、例えば、0.1μmまたは0.45μmのPTFEシリンジフィルターまたは真空もしくは圧力フィルターを通してろ過することができ、続いて環境温度にて30分間超音波処理して残留ガスを除去る。次いで、硬化性インク組成物は使用準備が整い、および暗冷環境において蓄える必要がある。説明するような有機薄膜有機ポリマー調製物の様々な実施形態は、25℃で約10cpsおよび約30cPの間の粘度、および25℃で約30ダイン/cmおよび約40ダイン/cmの間の表面張力を有することができる。
【0046】
硬化性インク組成物、特にそれらは室温(22℃)にて乾燥した不活性雰囲気下で貯蔵され、外観検査下での沈殿またはゲル化の欠如およびそれらの室温での粘性および表面張力における安定性によって決定されるように、長期間安定であることができる。調剤物IおよびIIの硬化性インク組成物の粘性および表面張力において著しい変化は記録されず;何等かの変化は、暗所において圧縮された乾燥空気雰囲気下に室温で少なくとも160日間についての測定誤差の範囲内であると認められる。
【0047】
模範的な調剤物を使用するバルクポリマーのTg特性
熱機械分析(TMA)測定技術:インクの滴を7mm×1.5mmの型中に堆積させ、および硬化させ、およそそのサイズのバルクポリマーディスクを形成する。ポリマーは、型から取り出し、および温度の関数として熱膨張係数が測定されるTMAにて測定する。Tgは、熱膨張係数曲線(thermal coefficient of expansion curve)の変曲点から定め、それは、自由体積により鎖運動性(chain mobility)が向上し始める膨張曲線での点を表す。以下は調剤物IおよびIIについての平均Tg値である。
【0048】
【0049】
硬化の後、約2μmないし約10μmの間の厚さを有する連続したポリマーのフィルムを、調剤物Iおよび調剤物IIを用いて様々な基材上に好首尾に製造した。調剤物Iおよび調剤物IIを使用して形成されたフィルムについて、フィルム特性を、体積収縮率、硬化度、オプティカルヘイズ(optical haze)、光透過および色を含めて評価した。調剤物Iおよび調剤物IIについてのそのような特性の評価の結果を、以下に示す表4および表5、ならびに図5に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
表4では、サンプルの照射開始から十分に硬化した状態までの硬化の進行を追跡するように設計されたUVレオメーターを使用してフィルム収縮を評価し、およびFTIR分析を使用して硬化の程度を定める。本教示の硬化性インク組成物からのポリマーの平坦化フィルムについて、約12%未満の収縮および約85%-90%の間の硬化度がこれらの特性の目標値である。
【0053】
本教示の硬化性インク組成物から形成されたフィルムの様々なOLEDデバイス用の光学特性には、ヘイズ、望ましい波長範囲を通した光透過率、および色が含まれる。ヘイズはフィルムを透過するソースからの透過広角散乱光のフラクションの尺度であるため、ポリマーの平坦化層には低いパーセントのヘイズが望ましい。それゆえ、ヘイズが0.10%を超えないという目標は調剤物Iおよび調剤物IIから形成されるフィルムによって明らかに満たされる。図4に示されるグラフにおいて見ることができるように、調剤物Iおよび調剤物IIから形成されるフィルムについて約350nmないし約750nmの間の波長範囲において光の透過率は、ガラス基準のものに匹敵する。最後に、色に関し、調剤物Iおよび調剤物IIから形成されるフィルムについてカラーフィルターとして機能しないことが望ましい。CIELABによって規定される色空間は、測定されるオブジェクトの明るさとしてL*=100の値を規定し、その一方a*は赤および緑の色度の尺度であり、およびbは黄色および青の色度の尺度である。その関連で、調剤物Iおよび調剤物IIから形成されるフィルムについて、L*は95より大きいことが望ましく、その一方a*およびb*は0.5未満であることが望ましい。その関連で、表5の検査によって見ることができるように、調剤物Iおよび調剤物IIを用いて形成される代表的なフィルムの分析はこれらの値を超えず、それは図4に示す光透過グラフと一致する。
【0054】
基材上の有機薄膜形成のためのシステムおよび方法
【0055】
本教示の調剤物の様々な実施形態は、産業上のインクジェット印刷システムを使用して
印刷することができ、それは制御されたプロセス環境を有する内部を画定するエンクロージャにおいて収容することができる。例えば、本教示の制御されたプロセス環境には、例えば、様々なOLEDデバイスの製造において使用される物質に対して非反応性であるプロセス環境、ならびに実質低粒子のプロセス環境(substantially low-particle process environment)が含まれてよい。そのような制御された環境においてOLEDデバイス基材上で有機薄膜をパターン印刷することにより、多種多様なOLEDデバイス、例えば、OLEDディスプレイおよび照明デバイスなどのようなものにとって高容量、高収量のプロセスを提供することができる。
【0056】
本教示の硬化性インク組成物は、印刷システム、例えば、2016年5月17日に発行された米国特許第9,343,678号に記載されているようなものなどを使用して印刷することができ、それはその全体がここに組み込まれる。本有機ポリマー組成物の種々の実施形態は、連続的であり、およびガラス、プラスチック、シリコン、および窒化ケイ素などのようなものの基材上に明りょうなエッジを有する薄膜中にインクジェット印刷することができる。例えば、有機ポリマー組成物は、約2μmから約10μmまで、またはそれよりも厚い範囲における厚さを有する薄膜を、約2μmから約8μmまでの範囲において厚さを有する薄膜を含めて、印刷するために使用することができる。これらの薄いフィルムは、例えば、5%またはそれよりも薄い膜厚変動と共に達成することができる。
【0057】
図5のガスエンクロージャシステム500は、印刷システム2000を収容するためにガスエンクロージャ1000を含むことができる。印刷システム2000は、グラナイト(花崗岩)ステージであり得る、印刷システムベース2150によって支持されることができる。印刷システムベース2150は、基材サポート器械(substrate support apparatus)、例えば、チャックなどのようなもので、例えば、以下によって制限されないが、真空チャック、圧力ポートを有する基材浮遊チャック、および真空および圧力ポートを有する基材浮遊チャックなどのようなものを支持することができる。本教示の様々な例では、基材サポート器械は、基材浮遊テーブル、例えば、基材浮遊テーブル2250などのようなものであることができる。基材浮遊テーブル2250は、基材の無摩擦輸送中に基材を浮上させるために使用することができる。低粒子発生浮遊テーブルに加えて、基材の無摩擦Y軸搬送のために、印刷システム2000は、エアブッシングを利用したY軸モーションシステムを有することができる。
【0058】
図5は概して、ガスソース、例えば、CDAのソースおよび非反応性ガスのソースなどのようなもので、例えば、本教示の様々なエンクローズド製造システムのための制御されたプロセス環境を確立するのに使うことができるなどのようなものを統合および制御し、ならびに様々な空気圧制御デバイスを操作するためにガスのソースを提供する外部ガスループ3200と共に構成されるガスエンクロージャシステム500の製造システム3000Aの一例を例示する。本教示によれば、非反応性ガスは、OLEDデバイス、例えば、ディスプレイおよび照明デバイスなどのようなものの製造において、プロセス条件下で使用される物質と化学反応を起こさない任意のガスであることができる。様々な実施形態において、非反応性ガスは非酸化性ガスであってよい。使用することができる非反応性ガスのいくらかの非制限的な例には、窒素、希ガスのいずれか、およびそれらの任意の組合せが含まれる。ここでより一層詳細に議論するであろうように、ブローワー(送風機)ループ3280は、浮遊テーブル2250と共に使用するための加圧ガスおよび少なくとも部分的な真空を提供することができる。さらに、図5に描くように、ガスエンクロージャシステム500は大抵、ガスエンクロージャ1000内部のガスの圧力を望ましいか、または特定の範囲内に、例えば、圧力モニター、Pに接合されるバルブを使用するなどで、維持することができるように構成することができる。
【0059】
ガスエンクロージャシステム500はまた、非反応性プロセスガスからの様々な反応種を精製するために構成することができるガス精製システムの様々な実施形態により構成することもできる。本教示によるガス精製システムは、様々な反応種、例えば、水蒸気、酸素、オゾン、ならびに有機溶媒蒸気などのようなものの各種についてのレベルを、例えば、100ppmまたはそれよりも少ないもので、10ppmまたはそれよりも少ないもので、1.0ppmまたはそれよりも少ないもので、または0.1ppmまたはそれよりも少ないもので維持することができる。ガスエンクロージャシステム500はまた、実質粒子フリーの環境を維持するための循環およびろ過システムの様々な実施形態により構成することもできる。粒子ろ過システムの様々な実施形態は、国際標準化機構標準(ISO)14644-1:1999、「Cleanrooms and associated controlled environments-Part 1: Classification of air cleanliness(クリーンルームおよび関連する制御環境-パート1:空気清浄度の分類)」、クラス1からクラス5によって特定されるようなものの基準を満たすガスエンクロージャ内の低粒子環境を維持することができる。
【0060】
基材浮遊テーブルは、図5において、ブローワーループ3280とフロー連絡があるように描く。ブローワーループ3280は、ブローワーハウジング3282を含むことができ、それはガスの加圧ソースを、ライン3286を介して基材浮遊テーブル2250に供給するための第一のブローワー3284、および第二のブローワー3290を封入することができ、基材浮遊テーブル2250のための真空ソースとしてライン3292を介して作用し、少なくとも部分的な真空が基材浮遊テーブル2250に提供される。ブローワーループ3280の様々な実施態様は、ブローワーループ3280から基材浮遊テーブル2250へのガスを規定された温度にて維持するための熱交換器3288により構成することができる。
【0061】
図5に描くように、非反応性ガスソース3201は、非反応性ガスライン3210を介して低消費マニホルドライン(low consumption manifold line)3212とフロー連絡することができる。低消費マニホルドライン3212は低消費マニホルド3215とフロー連絡して示される。クロスライン3214は第一のフロー接合部3216から延び、それは非反応性ガスライン3210、低消費マニホルドライン3212、およびクロスライン3214の交差部分(intersection)に位置する。クロスライン3214は第二のフロー接合部3226まで延びる。CDAライン3222はCDAソース3203から延び、および高消費マニホルド3224として続き、それは高消費マニホルド3225と流体連絡する。ここにより一層詳細に議論するであろうように、CDAは、例えば、メンテナンス手順中に使用することができる。処理中、非反応性ガスソース3201は、低消費マニホルド3215および高消費マニホルド3225とフロー連絡することができる。それゆえ、処理中、非反応性ガスソースは、外部ガスループ3200を通して経路が定まり、非反応性ガスをガスエンクロージャ1000に提供し、ならびに印刷システム2000の操作中に用いる種々の空気圧操作器械およびデバイスを操作するために非反応性ガスが提供される。例えば、高消費マニホルド3225は、ガスエンクロージャ1000、例えば、以下によって制限されないが、空気圧ロボット、基材浮遊テーブル、エアベアリング、エアブッシング、圧縮ガスツール、空気圧アクチュエータ、およびそれらの組合せの一またはそれよりも多くのものなどのようなものにおいて収容される印刷システム2000についての様々な構成要素の操作のための処理中に、ガスソース3201から非反応性ガスを提供することができる。
【0062】
CDAの使用に関して、例えば、メンテナンス手順の間、第二のフロー接合部3226は、クロス-ライン3214、クリーンドライエア(清浄乾燥空気)ライン3222、および高消費マニホルドライン3224の交差部分に位置され、それは高消費マニホルド3225とフロー連絡状態にある。クロス-ライン3214は、第一のフロー接合部3216から延び、それは非反応性ガスライン3210とフロー連絡し、そのフロー連絡は、バルブ3208によって制御することができる。メンテナンス手順中、バルブ3208は、非反応性ガスソース3201および高消費マニホルド3225の間のフロー連絡を防ぐために閉じることができ、その一方でバルブ3206は開けることができ、それによって、CDAソース3203および高消費マニホルド3225の間のフロー連絡が可能にされる。そのような条件下、高消費である種々の構成要素には、メンテナンス中にCDAが提供されてよい。
【0063】
図5に描くように、ガスエンクロージャ1000内部のガスの圧力を制御することに関して、そのような調整は、ガスエンクロージャシステムのわずかな正の内部圧力を維持するのを助けることができ、それはガスエンクロージャ外部の環境での圧力より約2-12ミリバールの間で高いことができる。ガスエンクロージャの内部圧力を外部圧力に対して望ましいわずかに正圧に維持することは、加圧ガスも同時にガスエンクロージャシステムに導入されることを考慮すると必要である。様々なデバイスおよび器械の様々な要求により、本教示の様々なガスエンクロージャアセンブリおよびシステムについての不規則な圧力プロファイルを作り出すことができる。ガスエンクロージャの内圧は、圧力モニター、Pに接合されるバルブにより構成された制御システムを使用することによって、望ましい、または特定された範囲内に維持することができ、そこでは、バルブは、圧力モニターから取得した情報を使用して、ガスを別のエンクロージャ、システム、またはガスエンクロージャ1000の周囲の領域に排出させることを可能にする。ここで前述したように、排出されたガスは、ガス循環および精製システムを通して回収および再処理することができる。
【0064】
図6は概して、製造システム3000B、例えば、第一の印刷システム2000A、第二の印刷システム2000B、および第一の硬化システム1300Aと第二の硬化システム1300B、そのうえ、他のエンクローズドモジュールを含めたもののようなものなどの等角投影図を例示し、それは様々な光電子デバイス(例えば、有機発光ダイオード(OLED)デバイス)の製造において用いることができる。本教示の第一および第二の硬化システム1300Aおよび1300Bは、基材の保持(例は、堆積材料層の流動または分散を促進するため、例えば、より一層平坦または均一なフィルムを達成するためなどのようなものに)、ならびに物質の層、例えば、第一または第二の印刷システム2000Aおよび2000Bの一またはそれよりも多くによって堆積されるようなものなどの硬化(例えば、約365nmないし約420nmの波長範囲の波長において光学的照明を介して)の一またはそれよりも多くのために使用することができる。例えば、第一および第二の処理システム1300Aおよび1300Bを使用して流れ、または分散し、または硬化する物質の層は、カプセル化スタックの一部分(例えば、光エネルギーへの曝露を介して硬化または処理することができる有機薄膜物質が含まれる薄膜などのようなもの)を含むことができる。第一または第二の処理システム1300Aまたは1300Bは、保持基材、例えば、積層した構成においてのようなものなどのために構成することができる。第一および第二のプリンター2000Aおよび2000Bを使用し、例えば、基材上に同じ層を堆積することができ、またはプリンター2000Aおよび2000Bを使用して、基材上に異なる層を堆積することができる。
【0065】
製造システム3000Bは、入力または出力モジュール1101(例えば、「ローディングモジュール」)を含むことができ、例えば、ロードロックとして、または別なふうに基材が製造システム3000Bの一またはそれよりも多くのチャンバの内部中へ、またはそれから出る移動を、製造システム3000Bの一またはそれよりも多くのエンクロージャ内に維持させる制御された環境の混乱を実質回避する方法で可能にするマナーで使用することができるなどのようなものである。例えば、図6に関連して、「混乱を実質回避する」は、反応種の濃度を特定の量だけ上げることを避けることに言及することができ、例えば、そのような種を百万分の10、百万分の100、または百万分の1000を超えて上げることを、一またはそれよりも多くのエンクロージャ内で、一またはそれよりも多くのエンクロージャ中への、またはそれから出る移動操作中またはその後に、避けることなどのようなものである。移動モジュール、例えば、ハンドラーが含まれ得るようなものなどは、様々な操作の前、その間、またはその後に基材を巧みに処理するために使用することができる。
【0066】
ここに説明する様々な例には、環境的に制御することができるエンクローズド処理システムが含まれる。エンクロージャアセンブリおよび対応するサポート機器は「ガスエンクロージャシステム」と称することができ、およびそのようなエンクロージャアセンブリは
、ガスエンクロージャアセンブリの内部容量を減らし、または最小化する輪郭を描く様式において構築することができ、および同時に、本教示の製造システム、例えば、ここに記載の堆積(例えば、印刷)、保持、装填、硬化システムまたはモジュールなどのようなものの様々なフットプリントに対応するための可動範囲(working volume)を提供する。例えば、本教示により輪郭を描かれたガスエンクロージャアセンブリは、例えば、Gen 3.5からGen 10までの基材サイズをカバーする本教示のガスエンクロージャアセンブリの様々な例について、約6m3ないし約95m3の間のガスエンクロージャ容量を有することができる。本教示による輪郭を描かれたガスエンクロージャアセンブリの様々な例は、例えば、以下によって制限されないが、約15m3ないし約30m3の間のガスエンクロージャ容量を有することができ、それは、例えば、上記のGen 5.5ないしGen 8.5の基材サイズ、またはそれから難なく導き出すことができる他の基材サイズの印刷に有用であるかもしれない。
【0067】
図7は概して、様々なデバイス基材上の有機薄膜の製造のためのプロセスを例示するフローダイアグラム100を描く。図7は、それらの技術、例えば、方法などのようなものを例示し、それは基材上に形成される発光デバイス(例えば、OLED照明またはディスプレイデバイスの一つ)のアクティブエリアにわたって、ムラフリー(mura-free)の有機薄膜層を提供するなどのために、有機薄膜平坦化層を形成することを含むことができる。110にて、基材は、エンクローズド印刷システムの基材サポートシステム上に移すことができ、それはここで前述したように、制御されたプロセス環境を提供するように構成される。基材は、例えば、無機薄膜カプセル化システムから、エンクローズド印刷システムに移すことができる。ここで前述したように、基材サポートシステムは、少なくとも基材の一またはそれよりも多くの活性領域において基材の均一な支持を提供するように構成することができる。そのような基板サポートシステムは、浮遊テーブル構成を含むことができ、それは例えば、様々な浮遊制御ゾーンを有し、空気圧により供給されるガスクッションの一またはそれよりも多く、または空気圧および少なくとも部分的な真空供給領域の組合せが、基材を支持するガスクッションを提供するために含まれる。120にて、硬化性インク組成物は、基材の標的堆積領域にわたって印刷することができる。130にて、基材は、ここで前述したように、エンクローズド印刷システムからエンクローズド硬化システムで、制御されたプロセス環境を提供するために構成されるものにまで移すことができる。本教示によれば、例えば、硬化システムは、器械で、約365nmから約420nmまでの波長範囲において光エネルギーにより基材または一部分または基板を均一に照らすことができるものを提供することができる。140では、硬化システムは、空気圧により供給されるガスクッションを、または一またはそれよりも多くの保持操作または硬化操作中にムラの形成を抑え、または抑制することができるマナーにおいて基材を均一に支持するガスクッションを提供するために、空気圧および少なくとも部分的な真空供給領域の組合せを、提供することができる基材サポートシステム有することができる。例えば、印刷後および硬化前、例えば、光硬化プロセスが開始される前などのようなもので、基材を特定された期間の間保持することができる。150では、例えば、ムラフリーの有機薄膜カプセル化層を提供するなどのようなもののために、例えば、エンクローズド硬化システム内に提供される光学処理を使用して、液状有機ポリマー層を硬化することができる。
【0068】
本教示は、例示的であり、および制限的ではないことを意図する。それはそれがクレームの範囲または意味を解釈または制限するために使用されないであろうという理解と共に提出される。また、上記の詳細な記載では、本開示を合理化するために様々な特長をグループ化することができる。このことは、クレームされていない開示した特長が何等かのクレームに不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特長よりも少ないところにあり得る。したがって、次の請求の範囲はこれによって例または実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各クレームは別けられた実施形態としてそのもの自体に基づき、およびそのような実施形態は様々な組合せまたは順列において互いにより組み合わせることができると考えられる。本発明の範囲は、添付の請求の範囲を参照し、そのような請求の範囲が権利を与えられる等価なものの十分な範囲とともに定められるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】