(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191238
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ミトコンドリアおよび代謝疾患を処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20221220BHJP
A61K 31/436 20060101ALI20221220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20221220BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20221220BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20221220BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20221220BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20221220BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20221220BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20221220BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221220BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20221220BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20221220BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/436
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P25/02
A61P13/12
A61P1/16
A61P3/00
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/18
A61P29/00
A61P3/10
A61P3/06
A61P9/00
A61P17/00
A61K9/08
A61K9/12
A61K47/42
A61K9/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022148199
(22)【出願日】2022-09-16
(62)【分割の表示】P 2019516447の分割
【原出願日】2017-09-28
(31)【優先権主張番号】62/401,092
(32)【優先日】2016-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508061974
【氏名又は名称】アブラクシス バイオサイエンス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】デサイ, ニール ピー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ミトコンドリア関連障害、例えばリー、MELASおよびNARP症候群、ならびに代謝障害などの疾患を処置するための方法および組成物を提供する。
【解決手段】アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物などのアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法および組成物に関する。本明細書に記載の方法に有用な医薬およびキットも提供される。一部の実施形態では、本出願は、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、前記個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、以下のもの:運動失調症、腎臓障害、肝臓障害、代謝障害、ミオパチー、神経症、脊髄症、脳症もしくは酸化的リン酸化障害のうちの1つまたは複数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ミトコンドリア関連障害を有する前記個体がリー症候群を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
リー症候群が、母系遺伝リー症候群である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
リー症候群が、幼児発症型リー症候群、若年発症型リー症候群または成人発症型リー症候群である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
ミトコンドリア関連障害を有する前記個体がMELAS症候群を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
ミトコンドリア関連障害を有する前記個体がNARP症候群を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、以下のもの:加齢障害、自閉症スペクトラム障害、慢性炎症性障害、糖尿病または脂肪酸酸化障害のうちの1つまたは複数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、ミトコンドリアDNA変異関連障害を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、核DNA変異関連障害を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、X染色体変異関連障害を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記個体が、約1ヵ月齢~約30歳である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記個体において1つまたは複数のミトコンドリア関連障害の症状を発症する年齢が、約3ヵ月齢~約2歳の間である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記個体が男性である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記個体が、以下の遺伝子:LRPPRC、MT-ATP6、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MT-TL1、MT-TH、MT-TV、NDUFS1、NDUFS2、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8またはSURF1のうちの1つまたは複数に変異を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記個体が、前記個体の血液、血漿、脳脊髄液または尿中のピルベートに対するラクテートの比に基づいた処置について選択される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ピルベートに対するラクテートの前記比が、少なくとも10:1である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ピルベートに対するラクテートの前記比が、少なくとも20:1である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
個体における細胞のグルコース消費を阻害する方法であって、前記個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【請求項20】
代謝障害を有する個体を処置する方法であって、前記個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【請求項21】
疾患を有する個体を処置する方法であって、前記個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含み、前記疾患が、胎児拡張型心筋症、結節性硬化症複合(TSC)および関連障害、小児期発症心筋症、ヌーナン症候群、多発性嚢胞腎、加齢性および遺伝誘発性肥大性心筋症およびリウマチ性疾患からなる群から選択される、方法。
【請求項22】
前記アロステリックmTOR阻害剤が、前記アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記アロステリックmTOR阻害剤がリムス薬物である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記リムス薬物がシロリムスである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が、約1mg/m2~約150mg/m2である、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が毎週投与される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が2週間毎に1回投与される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が毎日投与される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が3日毎に1回投与される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が、静脈内、動脈内、腹腔内、膀胱内、皮下、髄腔内、肺内、筋肉内、気管内、眼内、経皮、皮内、経口、門脈内、肝内、肝動脈への注入により、または吸入により投与される、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が、静脈内投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物中の前記ナノ粒子が、約150nm以下の平均直径を有する、請求項22から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物中の前記ナノ粒子が、約120nm以下の平均直径を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ナノ粒子中の前記アロステリックmTOR阻害剤が、前記アルブミンと会合している、請求項22から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比が、約1:1~約9:1である、請求項22から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比が、約8:1、約8.5:1または約9:1である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記アルブミンがヒトアルブミンである、請求項22から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項22から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記個体がヒトである、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記個体が、アロステリックmTOR阻害剤により以前に処置されていない、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年9月28日に出願された米国仮出願第62/401,092号に対する優先権を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ミトコンドリア関連障害、例えばリー、MELASおよびNARP症候群、ならびに代謝障害などの疾患を処置するための方法および組成物であって、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物などのアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ミトコンドリアは、ほとんどの真核細胞に存在する細胞小器官である。ミトコンドリアは、細胞ATPの産生に加えて、細胞のホメオスタシス、シグナル伝達経路およびステロイド合成などの他の細胞機能にも関与している。
【0004】
適切なミトコンドリア活性の機能障害が、多数のミトコンドリア関連障害にリンクしている。米国において出生した4,000名の小児のうち約1名が、毎年、10歳までにミトコンドリア関連障害を発症する。成人では、多数の加齢障害が、ミトコンドリア機能の欠損にリンクしている。一般に、ミトコンドリア関連障害は、例えば、常染色体遺伝、ミトコンドリアDNA遺伝およびそれらの組合せから起きる遺伝性の障害である。ミトコンドリア関連障害はまた、例えば、体細胞変異、およびミトコンドリア毒素への曝露によって引き起こされる恐れがある。
【0005】
一般に、ミトコンドリア関連障害の処置は、対症的なものであり、ミトコンドリア関連障害の症状の処置およびクオリティオブライフの改善を目指すものである。対症処置には、例えば、ビタミンの投与、エネルギー保存、食事摂取の管理および身体へのストレスの低減が含まれる。
【0006】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、特許出願、および特許出願公開の開示は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一部の実施形態では、本出願は、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、以下のもの:運動失調症、腎臓障害、肝臓障害、代謝障害、ミオパチー、神経症、脊髄症、脳症もしくは酸化的リン酸化障害のうちの1つまたは複数を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体はリー症候群を有する。一部の実施形態では、リー症候群は、母系遺伝リー症候群である。一部の実施形態では、リー症候群は、幼児発症型リー症候群、若年発症型リー症候群または成人発症型リー症候群である。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体はMELAS症候群を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体はNARP症候群を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、以下のもの:加齢障害、自閉症スペクトラム障害、慢性炎症性障害、糖尿病または脂肪酸酸化障害のうちの1つまたは複数を有する。
【0008】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、ミトコンドリアDNA変異関連障害を有する。
【0009】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、核DNA変異関連障害を有する。
【0010】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、X染色体変異関連障害を有する。
【0011】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体は、約1ヵ月齢~約30歳である。
【0012】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体は、発症した年齢が、約3ヵ月齢~約2歳の間の年齢である。
【0013】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体において1つまたは複数のミトコンドリア関連障害の症状を発症する年齢は、約3ヵ月齢~約2歳の間である。
【0014】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体は男性である。
【0015】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体は、以下の遺伝子:LRPPRC、MT-ATP6、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MT-TL1、MT-TH、MT-TV、NDUFS1、NDUFS2、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8またはSURF1のうちの1つまたは複数に変異を有する。
【0016】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体は、血液、血漿、脳脊髄液または尿中のピルベートに対するラクテートの比に基づいた処置について選択される。一部の実施形態では、ピルベートに対するラクテートの比は、少なくとも10である。一部の実施形態では、ピルベートに対するラクテートの比は、少なくとも20である。
【0017】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体は、個体の血液、血漿、脳脊髄液または尿中のピルベートに対するラクテートの比に基づいた処置について選択される。一部の実施形態では、ピルベートに対するラクテートの比は、少なくとも10:1である。一部の実施形態では、ピルベートに対するラクテートの比は、少なくとも20:1である。
【0018】
一部の実施形態では、本出願は、個体における細胞のグルコース消費を阻害する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法をさらに提供する。
【0019】
一部の実施形態では、本出願は、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、個体における細胞のグルコース消費を低減する方法をさらに提供する。一部の実施形態では、個体は、1つまたは複数の組織において、細胞の異常な程に高いグルコース消費を特徴とする。
【0020】
一部の実施形態では、本出願は、代謝障害を有する個体を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法をさらに提供する。
【0021】
一部の実施形態では、本出願は、疾患を有する個体を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含み、疾患が、胎児拡張型心筋症、結節性硬化症複合(TSC)および関連障害、小児期発症心筋症、ヌーナン症候群、多発性嚢胞腎、加齢性および遺伝誘発性肥大性心筋症およびリウマチ性疾患からなる群から選択される、方法をさらに提供する。
【0022】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物である。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、組成物中のナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有する。一部の実施形態では、組成物中のナノ粒子は、約120nm以下の平均直径を有する。一部の実施形態では、ナノ粒子中のアロステリックmTOR阻害剤は、アルブミンと会合する。一部の実施形態では、ナノ粒子中のアロステリックmTOR阻害剤は、アルブミンによりコーティングされている。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒトアルブミンである。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒト血清アルブミンである。
【0023】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物である。一部の実施形態では、リムス薬物は、シロリムスである。
【0024】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、有効量のアロステリックmTOR阻害剤は、約1mg/m2~約150mg/m2である。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、有効量のアロステリックmTOR阻害剤は、約0.1mg/m2~約150mg/m2(例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2)である。一部の実施形態では、有効量のアロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、有効量のアロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、有効量のアロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、有効量のアロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、有効量のアロステリックmTOR阻害剤は毎日投与される。一部の実施形態では、有効量のアロステリックmTOR阻害剤は3日毎に1回投与される。
【0025】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、有効量のアロステリックmTOR阻害剤は、静脈内、動脈内、腹腔内、膀胱内、皮下、髄腔内、肺内、筋肉内、気管内、眼内、経皮、皮内、経口、門脈内、肝内、肝動脈への注入により、または吸入により投与される。一部の実施形態では、有効量のアロステリックmTOR阻害剤は、静脈内投与される。
【0026】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体はヒトである。
【0027】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体は、アロステリックmTOR阻害剤により以前に処置されていない。
【0028】
本発明のこれらのおよび他の態様、ならびに利点は、後続の詳細説明および添付の特許請求の範囲から明白となろう。本明細書に記載されている様々な実施形態の特性の1つ、一部またはすべてが組み合わされて、本発明の他の実施形態を形成することができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、nab-シロリムス(ABI-009とも呼ぶ)、ラパマイシンまたはtorin1のいずれかを投与した後の、IMR90線維芽細胞の用量応答曲線を示すグラフである。
【0030】
【
図2】
図2は、様々な用量のnab-シロリムス(ABI-009とも呼ぶ)およびラパマイシンの投与後の、IMR90線維芽細胞におけるpS6、総S6およびビメンチンが存在している(またはそれが欠乏している)ことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、ミトコンドリア関連障害、例えばリー症候群、MELAS症候群またはNARP症候群、および代謝障害などの疾患を有する個体を処置するための方法および組成物であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物(本明細書のこれ以降、「mTORナノ粒子組成物」とも呼ぶ)などの、有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法および組成物を提供する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物である。一部の実施形態では、リムス薬物は、リムス薬物およびアルブミンを含む組成物(本明細書のこれ以降、「リムスナノ粒子組成物」とも呼ぶ)中に存在する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、シロリムスである。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、アルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)シロリムスを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるナノ粒子の平均粒子サイズは、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスのアルブミン安定化ナノ粒子処方物を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。
【0032】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、リムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、コーティングされた)、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、ナノ粒子組成物中のナノ粒子の平均粒子サイズが、約150nm以下(例えば、約120nm未満)である、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、リムス薬物がアルブミンによりコーティングされており、ナノ粒子組成物中のナノ粒子の平均粒子サイズが、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である、方法が提供される。
【0033】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、シロリムスがアルブミンと会合する(例えば、コーティングされた)、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、ナノ粒子組成物中のナノ粒子の平均粒子サイズが、約150nm以下(例えば、約120nm未満)である、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、シロリムスがアルブミンによりコーティングされており、ナノ粒子組成物中のナノ粒子の平均粒子サイズが、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である、方法が提供される。
【0034】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、nab-シロリムスを含む有効量の組成物を投与するステップを含む、方法が提供される。
【0035】
一部の実施形態では、代謝障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、リムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、コーティングされた)、方法が提供される。一部の実施形態では、代謝障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、ナノ粒子組成物中のナノ粒子の平均粒子サイズが、約150nm以下(例えば、約120nm未満)である、方法が提供される。一部の実施形態では、代謝障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、リムス薬物がアルブミンによりコーティングされており、ナノ粒子組成物中のナノ粒子の平均粒子サイズが、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である、方法が提供される。
【0036】
一部の実施形態では、代謝障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、シロリムスがアルブミンと会合する(例えば、コーティングされた)、方法が提供される。一部の実施形態では、代謝障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、ナノ粒子組成物中のナノ粒子の平均粒子サイズが、約150nm以下(例えば、約120nm未満)である、方法が提供される。一部の実施形態では、代謝障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、シロリムスがアルブミンによりコーティングされており、ナノ粒子組成物中のナノ粒子の平均粒子サイズが、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である、方法が提供される。
【0037】
一部の実施形態では、代謝障害を有する個体を処置する方法であって、該個体に、nab-シロリムスを含む有効量の組成物を投与するステップを含む、方法が提供される。
【0038】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤を、静脈内投与する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤を、門脈内投与する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤を、動脈内投与する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤を、腹腔内投与する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、肝臓内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、肝動脈注入によって投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、膀胱内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、皮下に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、髄腔内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、肺内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、筋肉内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、気管内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、眼内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、経皮的に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、皮内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、経口投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、吸入により投与される。
【0039】
以下に限定されないが、運動失調症、腎臓障害、肝臓障害、代謝障害、ミオパチー、神経症、脊髄症、脳症、酸化的リン酸化障害、加齢障害、自閉症スペクトラム障害、慢性炎症性障害、糖尿病および脂肪酸酸化障害を有する個体を含む、ミトコンドリア関連障害を有する個体が、本明細書に記載されている方法により処置され得る。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、ミトコンドリアDNA変異関連障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、X染色体変異関連障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、核DNA変異関連障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、母系遺伝性リー症候群などのリー症候群を有する。一部の実施形態では、リー症候群は、幼児発症型リー症候群、若年発症型リー症候群または成人発症型リー症候群である。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、MELAS症候群を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、NARP症候群を有する。
【0040】
以下に限定されないが、細胞のグルコース消費に関連する障害(例えば、1つまたは複数の組織中の細胞の異常な程に高いグルコース消費)、インスリン抵抗性、低血糖、高インスリン性低血糖症、1型糖尿病、2型糖尿病およびメタボリックシンドロームに関連する障害を含めた代謝障害を有する個体は、本明細書に記載されている方法により処置され得る。
【0041】
本明細書に記載されている方法は、以下の目的:ミトコンドリア関連障害を有する個体における1つまたは複数の症状の緩和、ミトコンドリア関連障害を有する個体における1つまたは複数の症状の軽減、ミトコンドリア関連障害を有する個体における1つまたは複数の症状の予防、ミトコンドリア関連障害を有する個体における1つまたは複数の症状の処置、ミトコンドリア関連障害を有する個体における1つまたは複数の症状の改善、およびミトコンドリア関連障害を有する個体における1つまたは複数の症状の発症の遅延のいずれか1つまたは複数のために使用することができる。
【0042】
本明細書に記載されている方法は、以下の目的:代謝障害を有する個体における1つまたは複数の症状の緩和、代謝障害を有する個体における1つまたは複数の症状の軽減、代謝障害を有する個体における1つまたは複数の症状の予防、代謝障害を有する個体における1つまたは複数の症状の処置、代謝障害を有する個体における1つまたは複数の症状の改善、および代謝障害を有する個体における1つまたは複数の症状の発症の遅延のいずれか1つまたは複数のために使用することができる。
【0043】
同様に、本明細書に記載される方法に有用な、組成物(例えば、医薬組成物)、医薬、キットおよび単位投与量も提供される。
【0044】
上記の方法のいずれか1つに従ってミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、処置が、個体における、補酵素Q10活性、シトクロムオキシダーゼ活性、NADHデヒドロゲナーゼ活性、コハク酸デヒドロゲナーゼ活性、複合体I活性、複合体II活性、複合体III活性、複合体IV活性、複合体V活性、複合体IおよびIII活性、複合体IIおよびIII活性、クエン酸シンターゼ活性、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体活性、トリカルボン酸サイクル酵素活性およびベータ酸化酵素活性を含むがこれらに限定されないバイオマーカーの活性レベルに基づく方法がさらに提供される。一部の実施形態では、方法は、個体における、補酵素Q10活性、シトクロムオキシダーゼ活性、NADHデヒドロゲナーゼ活性、コハク酸デヒドロゲナーゼ活性、複合体I活性、複合体II活性、複合体III活性、複合体IV活性、複合体V活性、複合体IおよびIII活性、複合体IIおよびIII活性、クエン酸シンターゼ活性、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体活性、トリカルボン酸サイクル酵素活性およびベータ酸化酵素活性を含むがこれらに限定されないバイオマーカーの活性レベルを決定することをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、個体における、補酵素Q10活性、シトクロムオキシダーゼ活性、NADHデヒドロゲナーゼ活性、コハク酸デヒドロゲナーゼ活性、複合体I活性、複合体II活性、複合体III活性、複合体IV活性、複合体V活性、複合体IおよびIII活性、複合体IIおよびIII活性、クエン酸シンターゼ活性、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体活性、トリカルボン酸サイクル酵素活性およびベータ酸化酵素活性を含むがこれらに限定されないバイオマーカーの活性レベルに基づいて処置のための個体を選択することをさらに含む。
【0045】
上記の方法のいずれか1つに従ってミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、処置が、個体における、3-メチルグルタコネート、アシルカルニチン、アミノ酸、アンモニア、カルニチン、クエン酸サイクル中間体、補酵素Q10、銅、クレアチン、クレアチニン、クレアチニンキナーゼ、二カルボン酸、電解質、エチルマロネート、遊離脂肪酸、超長鎖脂肪酸、グルコース、ケトン、ラクテート、ミオグロビン、神経伝達物質、有機酸、ピルベート、尿酸、赤血球および白血球を含むがこれらに限定されないバイオマーカーの存在(例えば、レベル、例えば、低レベル)に基づく方法がさらに提供される。一部の実施形態では、方法は、個体における、3-メチルグルタコネート、アシルカルニチン、アミノ酸、アンモニア、カルニチン、クエン酸サイクル中間体、補酵素Q10、銅、クレアチン、クレアチニン、クレアチニンキナーゼ、二カルボン酸、電解質、エチルマロネート、遊離脂肪酸、超長鎖脂肪酸、グルコース、ケトン、ラクテート、ミオグロビン、神経伝達物質、有機酸、ピルベート、尿酸、赤血球および白血球を含むがこれらに限定されないバイオマーカーの存在(例えば、レベル、例えば、低レベル)を決定することをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、個体における、3-メチルグルタコネート、アシルカルニチン、アミノ酸、アンモニア、カルニチン、クエン酸サイクル中間体、補酵素Q10、銅、クレアチン、クレアチニン、クレアチニンキナーゼ、二カルボン酸、電解質、エチルマロネート、遊離脂肪酸、超長鎖脂肪酸、グルコース、ケトン、ラクテート、ミオグロビン、神経伝達物質、有機酸、ピルベート、尿酸、赤血球および白血球を含むがこれらに限定されないバイオマーカーの存在(例えば、レベル、例えば、低レベル)に基づいて処置のための個体を選択することをさらに含む。一部の実施形態では、バイオマーカーの存在は、血液試料から評価される。一部の実施形態では、バイオマーカーの存在は、尿試料から評価される。
【0046】
上記の方法のいずれか1つに従ってミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、処置が、個体における、MT-ATP6、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MT-TL1、MT-TH、MT-TV、NDUFS1、NDUFS2、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8、またはSURF1を含むがこれらに限定されないバイオマーカーの変異状態に基づく方法がさらに提供される。一部の実施形態では、方法は、個体における、MT-ATP6、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MT-TL1、MT-TH、MT-TV、NDUFS1、NDUFS2、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8、またはSURF1を含むがこれらに限定されないバイオマーカーの変異状態を決定することをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、個体における、MT-ATP6、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MT-TL1、MT-TH、MT-TV、NDUFS1、NDUFS2、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8、またはSURF1を含むがこれらに限定されないバイオマーカーの変異状態に基づいて処置のための個体を選択することをさらに含む。
【0047】
本発明のこれらのおよび他の態様ならびに利点は、後続の詳細説明および添付の特許請求の範囲から明白となろう。本明細書に記載されている様々な実施形態の特性の1つ、一部またはすべてが組み合わされて、本発明の他の実施形態を形成することができることを理解されたい。
定義
【0048】
本明細書で用いられる「MELAS症候群」とは、ミトコンドリア脳筋症、ラクテートアシドーシスおよび脳卒中様エピソード症候群を指す。
【0049】
本明細書で用いられる「NARP症候群」とは、神経症、運動失調症および網膜色素変性症候群を指す。
【0050】
本明細書で用いられる「処置」または「処置すること」は、臨床的結果を含めた、有益または所望の結果を得るための手法である。本発明の目的で、有益なまたは所望の臨床結果には、以下に限定されないが、ミトコンドリア関連障害などの疾患の1つまたは複数の症状の緩和、ミトコンドリア関連障害などの疾患の1つまたは複数の症状の軽減、ミトコンドリア関連障害などの疾患の1つまたは複数の症状の予防、ミトコンドリア関連障害などの疾患の1つまたは複数の症状の処置、ミトコンドリア関連障害などの疾患の1つまたは複数の症状の改善、ミトコンドリア関連障害などの疾患を有することに関連する1つまたは複数の症状の発症の遅延、ミトコンドリア関連障害などの疾患の1つまたは複数の症状の程度の低下、ミトコンドリア関連障害などの疾患の安定化(例えば、疾患の悪化の予防または遅延)、ミトコンドリア関連障害などの疾患の進行の遅延または減速、ミトコンドリア関連障害などの疾患の1つまたは複数の症状の改善、ミトコンドリア関連障害などの疾患を処置するために必要な1つもしくは複数の他の医薬および/または処置剤の用量の減量、個体のクオリティオブライフの増大、および/または個体の生存の延長が含まれる。同様に、「処置」とは、ミトコンドリア関連障害の病理学的結果の低減も包含される。本発明の方法は、処置のこれらの態様のうちのいずれか1つまたは複数を企図する。
【0051】
用語「個体」とは哺乳動物を指し、以下に限定されないが、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、げっ歯類または霊長類を含む。一部の実施形態では、個体はヒトである。
【0052】
本明細書で用いられる「危険性がある」個体とは、ミトコンドリア関連障害などの疾患を発症する危険性がある個体である。「危険性がある」個体は、検出可能なミトコンドリア関連障害などの疾患を有する場合もあり、有さない場合もあり、本明細書に記載される処置法の前に、ミトコンドリア関連障害などの疾患の検出可能な症状または適応症を示している場合もあり、示していない場合もある。「危険性がある」とは、個体が1またはそれより多くのいわゆる危険因子を有することを意味し、これらは、本明細書に記載のミトコンドリア関連障害などの疾患の発症と相関する測定可能なパラメーターである。これらの危険因子のうちの1または複数を有する個体は、これらの危険因子(複数可)を伴わない個体よりも高い、ミトコンドリア関連障害などの疾患を発症する可能性がある。
【0053】
本明細書で用いられる、癌の発症を「遅延させること」とは、ミトコンドリア関連障害などの疾患の発症を延期するか、阻害するか、緩徐化するか、遅滞させるか、安定化させるか、かつ/または遅らせることを意味する。この遅延は、ミトコンドリア関連障害などの疾患の既往歴および/または処置される個体に応じて、様々な長さの時間でありうる。当業者に明らかである通り、十分な遅延または顕著な遅延は、事実上、個体がミトコンドリア関連障害などの疾患を発症しないまたはさらに発症しないという点で、予防を包含しうる。ミトコンドリア関連障害などの疾患の発症を「遅延させる」方法とは、所与の時間枠における疾患発症の可能性を低減し、かつ/またはこの方法を用いない場合と比較して、所与の時間枠内で疾患の程度を軽減する方法である。このような比較は、統計学的に有意な数の被験体を用いる臨床試験に基づくことが典型的である。ミトコンドリア関連障害の発症などの疾患の発症は、以下に限定されないが、聴力図、磁気共鳴画イメージング、コンピュータ断層撮影法、磁気共鳴分光法、脳波検査、心電図検査、心エコー検査、網膜電図、免疫組織化学、およびバイオマーカーの評価を含めた、標準法を使用して検出可能である。発症は、初期には検出することができない、ミトコンドリア関連障害の進行などの疾患進行もやはり含むことができ、発生、再発および発症を含む。
【0054】
本明細書で用いられる「有効量」という用語は、その症状のうちの1または複数を改善するか、緩和するか、軽減するか、かつ/または遅延させるなど、指定された障害、状態、または疾患を処置するのに十分な量の化合物または組成物を指す。例えば、ミトコンドリア関連障害に関連すると、有効量は、ミトコンドリア関連障害の発症を遅延させるのに十分な量を含む。一部の実施形態では、有効量は、再発を予防または遅延させるのに十分な量である。有効量は、単回または多回投与で投与することができる。例えば、ミトコンドリア関連障害の場合、薬物または組成物の有効量は、(i)筋肉の機能障害をある程度、阻害する、遅延させる、減速させる、好ましくは停止させる、(ii)神経学的機能障害をある程度、阻害する、遅延させる、減速させる、好ましくは停止させる、(iii)呼吸器機能障害をある程度、阻害する、遅延させる、減速させる、(iv)罹患率をある程度、阻害する、遅延させる、減速させる、(vi)ミトコンドリア関連障害の発生および/もしくは再発を予防または遅延させる、ならびに/あるいは(vii)ミトコンドリア関連障害を有することに関連する1つまたは複数の症状をある程度、緩和することができる。
【0055】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される」または「薬理学的に適合性の」とは、生物学的でも他の点でも望ましい材料を意味し、例えば、材料は、あらゆる顕著に望ましくない生物学的作用を引き起こさず、またはそれが含有される医薬組成物の他の成分のうちのいずれかとも有害な様式で相互作用もせずに、患者に投与される医薬組成物へと組み込むことができる。薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤は、好ましくは、毒性試験および製造試験の要求基準を満たし、かつ/または米国食品医薬品局により作成された「不活性成分についての指針」に含まれるものである。
【0056】
本明細書で用いられる用語「nab」は、ナノ粒子アルブミンに結合していることを表す。例えば、nab-シロリムスは、シロリムスのナノ粒子アルブミンに結合している処方物である。nab-シロリムスは、例えば、WO2008109163、WO2014151853、WO2008137148およびWO2012149451において既に開示されている、nab-ラパマイシンとしても公知である。
【0057】
本明細書で用いられる用語「変異状態」とは、野生型または参照遺伝子配列に対する、遺伝子配列の状態(例えば、変異を含有する)を指す。
【0058】
本明細書に記載される本発明の態様および実施形態は、態様および実施形態「からなる」こと、および/または実施形態「から本質的になる」ことを包含することを理解されたい。
【0059】
本明細書における「おおよその」値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体を対象とするばらつきを包含(および記載)する。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を包含する。
【0060】
本明細書および付属の特許請求の範囲で用いられる単数形の「ある」、「または」、および「その」は、文脈が別段に決定することが明らかでない限り、複数の指示を包含する。
ミトコンドリア関連障害
【0061】
本明細書で用いられる用語「ミトコンドリア関連障害」とは、ミトコンドリアの機能障害によって引き起こされる任意の疾患または障害を指す。ミトコンドリア関連障害は、複雑な様々な症状を引き起こし得る。ミトコンドリア関連障害の症状には、例えば、筋力低下、筋肉痙攣、発作、食物の逆流、学習障害、難聴、低身長、眼筋の麻痺、糖尿病、心臓問題および脳卒中様エピソードが含まれる。ミトコンドリア関連障害の症状は、重症度が、生命を脅かすものからほとんど認識不能なものまでの範囲であり得る。
【0062】
ミトコンドリア関連障害を有する個体は、遺伝子型、表現型提示、および/または1つもしくは複数の症状に基づく、ミトコンドリア関連障害の1つまたは複数の部分群に分類することができる。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、運動失調症、腎臓障害、肝臓障害、代謝障害、ミオパチー、神経症、脊髄症、脳症、酸化的リン酸化障害、加齢障害、自閉症スペクトラム障害、慢性炎症性障害もしくは脂肪酸酸化障害のうちの1つまたは複数を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、運動失調症、腎臓障害、肝臓障害、代謝障害、ミオパチー、神経症、脊髄症、脳症もしくは酸化的リン酸化障害のうちの1つまたは複数を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、以下のもの:加齢障害、自閉症スペクトラム障害、慢性炎症性障害、糖尿病または脂肪酸酸化障害のうちの1つまたは複数を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、少なくとも運動失調症を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、少なくとも脊髄症および脳症を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、少なくとも神経症、脊髄症および脳症を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、少なくともミオパチーおよび神経症を有する。
【0063】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、ミトコンドリアDNA変異関連障害を有する。ミトコンドリアDNA変異関連障害を有する個体は、ミトコンドリア遺伝子における変異を有するものを含む。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、核DNA変異関連障害を有する。核DNA変異関連障害を有する個体は、核遺伝子に変異を有するそのような個体を含む。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、X染色体変異関連障害を有する。X染色体変異関連障害を有する個体は、X染色体に変異を有するそのような個体を含む。
【0064】
ミトコンドリア関連障害の例には、以下に限定されないが、リー症候群、MELAS症候群、NARP症候群、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERFF)、慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)、カーンズセイヤー症候群(KSS)、ミトコンドリア神経胃腸脳症(MNGIE)、フリードライッヒ運動失調症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、パーキンソン病、黄斑変性、てんかん、アルツハイマー、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、進行性外眼筋麻痺(PEO)、糖尿病、糖尿病難聴(DAD)、ピアソン症候群、アルパーズ病(進行性幼児ポリオジストロフィー)、運動失調性ニューロパチースペクトラム、自閉症スペクトラム障害、バース症候群(致死性幼児心筋症)、カルニチン-アシル-カルニチントランスロカーゼ欠損症、カルニチン欠乏症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII、脳クレアチン欠乏症候群、補酵素Q10欠乏症、複合体I欠損症、複合体II欠損症、複合体III欠損症、複合体IV/COX欠損症、複合体V欠損症、幼児ミオパチーおよびラクテートアシドーシス、脳幹および脊髄とラクテート上昇を伴う白質脳症(LBSL)、長鎖3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCHAD)、長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCAD)、ルフト病、中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD)、mtDNA枯渇症候群(MDS)、マルチプルアシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MADD)、ミオクローヌスてんかんミオパチー感覚性運動失調(MEMSA)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体欠損症(PDCD)、短鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCAD)、および超長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(VLCAD)が含まれる。
リー症候群
【0065】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、リー症候群を有する。亜急性壊死性脳脊髄症とも呼ぶリー症候群は、主に幼児および小児に罹患する、ミトコンドリア関連神経変性障害である。一般に、リー症候群は、大脳基底核、視床および脳幹における病変を特徴とする。リー症候群の症状には、以下に限定されないが、精神運動遅滞、発作、眼震、眼麻痺、視神経萎縮、運動失調症、ジストニア、呼吸不全、多発ニューロパシーまたは筋神経病、糖尿病、低身長、多毛症、心筋症、貧血、腎不全、嘔吐および下痢が含まれる。
【0066】
リー症候群は、75種を超える異なる遺伝子のうちの1つにおける変異により引き起こされ得る。大部分の遺伝子は、核DNA中に見出される一方、一部は、細胞内のミトコンドリア(ミトコンドリアDNA、mtDNA)に見出される。リー症候群を有する大部分の個体は、核DNAにおいて変異を有しており、約20%がmtDNAに変異を有する。NADH:ユビキノン(ミトコンドリアタンパク質複合体1に見出される)の破壊が、リー症候群の最も一般的な原因であり、原因の約30%を占める。ミトコンドリア複合体1タンパク質の形成に見出される少なくとも25種の遺伝子が、核DNAまたはmtDNAのどちらかに見出され、リー症候群に関連している。シトクロムcオキシダーゼまたはCOXとも呼ばれるミトコンドリアタンパク質複合体IVの破壊もまた、リー症候群の一般的な原因であり、約15%パーセントの症例の基礎をなす。核DNAに見出される、最も頻度の高い変異遺伝子の1つであるSURF1は、ATPを産生する過程において使用されることになるエネルギーを供給する、COXタンパク質複合体(複合体IV)を組み立てる一助になるタンパク質を作製するよう指令する。SURF1遺伝子における変異は、機能性SURFタンパク質が存在しない場合に、正常なCOX複合体の形成が低下し、最終的に、ミトコンドリアエネルギー生成が損なわれることをもたらす。リー症候群における最も一般的なmtDNA変異は、ATPを産生するATPシンターゼタンパク質複合体としても公知である、1つの複合体Vを作製する指示をする、MT-ATP6遺伝子に影響を及ぼす。この変異は、リー症候群を有する患者の約10%に見られる。この症候群に関連する他のmtDNA変異は、他の酸化的リン酸化タンパク質複合体の活性を低下させるか、またはミトコンドリアタンパク質の形成の低下をもたらし、これらはすべて、ミトコンドリアのエネルギー生成を損なう。
【0067】
この疾患に関連する他の遺伝子変異は、1種または複数の酸化的リン酸化タンパク質複合体の活性を撹乱するか、またはエネルギー生成に関連するさらなる工程に影響を及ぼす。mtDNAの複製またはミトコンドリアタンパク質の生成を指令する遺伝子の変異により、ミトコンドリアのエネルギー生成もまた撹乱され得る。
【0068】
リー症候群の発症に関連する遺伝子変異には、以下に限定されないが、SURF1、MT-ATP6、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6およびLRPPRCが含まれる。一部の実施形態では、遺伝子変異は、ミトコンドリア遺伝子の変異である。一部の実施形態では、遺伝子変異は、核遺伝子の変異である。一部の実施形態では、遺伝子変異は、MT-ATP6の核酸8993におけるチミンからグアニンへの変異である。
【0069】
一部の実施形態では、リー症候群を有する個体は、幼児発症型リー症候群を有する。一部の実施形態では、幼児発症型リー症候群を有する個体は、3ヵ月齢~2歳の間に症状の発症を示す。一部の実施形態では、リー症候群を有する個体は、若年発症型リー症候群を有する。一部の実施形態では、若年発症型リー症候群を有する個体は、2歳を過ぎた後に、症状の発症を示す。一部の実施形態では、幼児発症型リー症候群を有する個体は、3ヵ月齢~2歳の間に症状の発症を示す。一部の実施形態では、リー症候群を有する個体は、成人発症型リー症候群を有する。一部の実施形態では、成人発症型リー症候群を有する個体は、10歳を過ぎた後に、症状の発症を示す。
【0070】
一部の実施形態では、リー症候群を有する個体は、2歳未満または2歳時などの、幼児または小児の時に症状を示す。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、発症時に、または発症時の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月超後のいずれかに投与することができる。
MELAS症候群
【0071】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、MELAS症候群を有する。MELAS症候群は、神経系および筋肉に影響を及ぼすミトコンドリア関連障害である。MELAS症候群の症状は、小児において、正常な発達期間の後に、典型的に、現れる。MELAS症候群の初期症状には、以下に限定されないが、筋力低下、筋肉疼痛、再発性頭痛、食欲喪失、嘔吐および発作が含まれる。MELAS症候群の症状には、以下に限定されないが、正常な早期発達、発作、脳卒中様エピソード、成長遅延/低身長、聴力喪失、手足脱力感、失語症、皮質盲、運動失調症、振戦、運動不耐性、偏頭痛、嘔吐、糖尿病、大脳の病変および説明できない神経学的/神経医学的障害が含まれる。一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、脳卒中様エピソードを受ける。これらの脳卒中様エピソードは、身体の体側の一方における一時的な筋力低下(片側不全麻痺)、意識変容、視力異常、発作および重症な頭痛に似た偏頭痛を含むことができる。繰り返される脳卒中様エピソードは、次第に、脳を損傷し、視力喪失、運動の問題、および知的機能の喪失(認知症)に至る恐れがある。
【0072】
一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、ラクテートアシドーシスと呼ばれる状態である、乳酸の蓄積を示す。血液中の酸性度の向上により、嘔吐、腹部の疼痛、極端な疲労感(倦怠感)、筋力低下および呼吸困難に至る恐れがある。MELAS症候群を有する個体はまた、不随意筋発作(ミオクローヌス)、筋肉協調の障害(運動失調症)、聴力喪失、心臓および腎臓の問題、糖尿病およびホルモン平衡異常を経験することがある。
【0073】
MELAS症候群の発症に関連する遺伝子変異には、以下に限定されないが、MT-ND1、MT-ND5、MT-TH、MT-TL1およびMT-TVが含まれる。一部の実施形態では、遺伝子変異は、ミトコンドリア遺伝子の変異である。
【0074】
一般に、MELAS症候群は、母系遺伝されている。しかし、MELAS症候群を引き起こす体細胞変異が、個体に発生し得る。したがって、どちらも本出願に企図されている。
【0075】
MELAS症候群の診断は、個体における乳酸およびピルベートのレベルの分析を含むことができる。一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、高レベルの動脈のラクテートおよびピルベートを示す。一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、高レベルの脳脊髄液(CSF)のラクテートを示す。一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、ラクテートとピルベートとの比の向上を示す。
【0076】
MELAS症候群の診断は、筋組織の分析を含むことができる。一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、赤色ぼろ線維を示す。
【0077】
MELAS症候群の診断は、筋組織の組織学的分析を含むことができる。一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、赤色ぼろ線維を示す。一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、構造異常のミトコンドリアの数の増加を示す。一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、細動脈および小動脈の内皮細胞および平滑筋細胞における、構造異常のミトコンドリアの数の増加を示す。
【0078】
一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、再発および寛解の期間に中断された、全体的な進行性神経学的欠陥を示す。一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体は、40歳未満の寿命を有する。
NARP症候群
【0079】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、NARP症候群を有する。NARP症候群は、神経系に影響を及ぼすミトコンドリア関連障害である。一部の実施形態では、NARP症候群を有する個体は、小児および成人早期に症状を示す。NARP症候群の症状には、以下に限定されないが、感覚性ニューロパシー(腕および脚における無感覚、刺痛および疼痛)、筋力低下、運動不耐性、運動失調症、視力喪失、学習障害、発達遅延、発作、聴力喪失および心伝導系欠陥が含まれる。一部の実施形態では、NARP症候群を有する個体は、認知症を有する。一部の実施形態では、NARP症候群を有する個体は、NARP症候群の症状を示さない。一部の実施形態では、NARP症候群を有する個体はNARP症候群に関連する、軽度の症状を示す。一部の実施形態では、NARP症候群を有する個体はNARP症候群に関連する、重度の症状を示す。
【0080】
NARP症候群の発症に関連する遺伝子変異には、以下に限定されないが、MT-ATP6が含まれる。一部の実施形態では、NARP症候群を有する個体は、ミトコンドリアの90%未満に、MT-ATP6変異を示す。一部の実施形態では、NARP症候群を有する個体は、ミトコンドリアの70~90%においてMT-ATP6変異を示す。
【0081】
NARP症候群の診断は、筋電図検査、神経伝導検査、磁気共鳴イメージング(MRI)試験または磁気共鳴(MR)分光法試験などの神経学的検査を含むことができる。
【0082】
NARP症候群の診断は、筋組織の組織学的分析を含むことができる。一部の実施形態では、NARP症候群を有する個体は、赤色ぼろ線維を示す。
【0083】
NARP症候群の診断は、遺伝子検査を含むことができる。
ミトコンドリア関連障害を処置する方法
【0084】
本発明は、ミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、ミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、ミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。
一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含み、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびリムス薬物の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびリムス薬物の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびリムス薬物の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびリムス薬物の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびリムス薬物の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。
【0085】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、運動失調症を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、腎臓障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、肝臓障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、代謝障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、ミオパチーを有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、神経症を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、脊髄症を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、脳症を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、酸化的リン酸化障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、加齢障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、自閉症スペクトラム障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、慢性炎症性障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、糖尿病を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、脂肪酸酸化障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、ミトコンドリアDNA変異関連障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、X染色体変異関連障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、核DNA変異関連障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、母系遺伝性リー症候群などのリー症候群を有する。一部の実施形態では、リー症候群は、幼児発症型リー症候群、若年発症型リー症候群または成人発症型リー症候群である。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、MELAS症候群を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、NARP症候群を有する。
【0086】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、運動失調症、腎臓障害、肝臓障害、代謝障害、ミオパチー、神経症、脊髄症、脳症、酸化的リン酸化障害、加齢障害、自閉症スペクトラム障害、慢性炎症性障害、糖尿病、脂肪酸酸化障害、ミトコンドリアDNA変異関連障害、X染色体変異関連障害、核DNA変異関連障害のうちの1つまたは複数を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、少なくとも運動失調症を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、少なくとも脊髄症および脳症を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、少なくとも神経症、脊髄症および脳症を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、少なくともミオパチーおよび神経症を有する。
【0087】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、赤色ぼろ線維または構造異常のミトコンドリアの存在などの免疫組織化学的に特定されるマーカーを有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、動脈のラクテートおよびピルベートのレベルが高いなどの、乳酸などのラクテートおよびピルベートを高いレベルで有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、少なくとも10:1となるラクテートのピルベートに対する比などの、ラクテートのピルベートに対する高い比を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、以下の遺伝子:LRPPRC、MT-ATP6、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MT-TL1、MT-TH、MT-TVまたはSURF1のうちの1つまたは複数において変異状態を有する。
【0088】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、早期ミトコンドリア関連障害、進行性ミトコンドリア関連障害、再発性ミトコンドリア関連障害または寛解中のミトコンドリア関連障害を有する。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、事前の治療に不応性である。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体は、治療剤(例えば、リムス薬物などのアロステリックmTOR阻害剤の非ナノ粒子処方物)の非ナノ粒子処方物による処置に対して抵抗性である。
【0089】
本明細書において提供される方法は、ミトコンドリア関連障害を有すると診断された、またはミトコンドリア関連障害を有することが疑われる個体(例えば、ヒト)を処置するために使用することができる。一部の実施形態では、個体は、ヒトである。一部の実施形態では、個体は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月齢のいずれかである。一部の実施形態では、個体は、約50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1歳未満である。一部の実施形態では、個体は、1つまたは複数のミトコンドリア関連障害の症状を発症する年齢が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月齢のいずれかである。一部の実施形態では、個体において、1つまたは複数のミトコンドリア関連障害の症状を発症する年齢は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月齢のいずれかである。一部の実施形態では、個体は男性である。一部の実施形態では、個体は女性である。
【0090】
一部の実施形態では、運動失調症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、運動失調症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、運動失調症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0091】
一部の実施形態では、脊髄症および脳症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、脊髄症および脳症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、脊髄症および脳症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0092】
一部の実施形態では、神経症、脊髄症および脳症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、神経症、脊髄症および脳症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、神経症、脊髄症および脳症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0093】
一部の実施形態では、脊髄症および神経症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、脊髄症および神経症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、脊髄症および神経症を有するミトコンドリア関連障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0094】
一部の実施形態では、リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の
重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0095】
一部の実施形態では、母系遺伝性リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、母系遺伝性リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、母系遺伝性リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0096】
一部の実施形態では、幼児発症型リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、幼児発症型リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、幼児発症型リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0097】
一部の実施形態では、若年発症型リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、若年発症型リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、若年発症型リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約5mg/m2~約100mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約1mg/m2~約100mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0098】
一部の実施形態では、成人発症型リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、成人発症型リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、成人発症型リー症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0099】
一部の実施形態では、MELAS症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、MELAS症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、MELAS症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0100】
一部の実施形態では、NARP症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、NARP症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、NARP症候群を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、約1mg/m2~約40mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)の投与量で毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0101】
本明細書において提供されている方法は、付加療法の状況で実施され得る。一部の実施形態では、本方法は、新補助療法の状況で実施される。すなわち、本方法は、一次治療/根治的治療前に行うことができる。一部の実施形態では、本方法は、以前に処置を受けた個体を処置するために使用される。一部の実施形態では、個体は、以前に処置を受けていない。一部の実施形態では、本方法は、ファーストライン治療として使用される。一部の実施形態では、本方法は、セカンドライン治療として使用される。一部の実施形態では、個体は、アロステリックmTOR阻害剤により以前に処置されていない。一部の実施形態では、個体は、リムス薬物により以前に処置されていない。一部の実施形態では、個体は、シロリムスにより以前に処置されていない。一部の実施形態では、個体は、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物により以前に処置されていない。一部の実施形態では、個体は、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物により以前に処置されていない。一部の実施形態では、個体は、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物により以前に処置されていない。一部の実施形態では、個体は、nab-シロリムスにより以前に処置されていない。
【0102】
一部の実施形態では、個体におけるミトコンドリア関連障害が進行するまでの時間を延長する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、個体におけるミトコンドリア関連障害が進行するまでの時間を延長する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間の少なくともいずれか、ミトコンドリア関連障害が進行するまでの時間を延長する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物である。一部の実施形態では、リムス薬物は、シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。
【0103】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体の生存を延長する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体の生存を延長する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18または24カ月の少なくともいずれか、個体の生存を延長する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物である。一部の実施形態では、リムス薬物は、シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。
【0104】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体における1つまたは複数の症状を緩和する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体における1つまたは複数の症状を緩和する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物である。一部の実施形態では、リムス薬物は、シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。
【0105】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体における生活の質を改善する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体における生活の質を改善する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物である。一部の実施形態では、リムス薬物は、シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。
【0106】
一部の実施形態では、個体は、ミトコンドリア関連障害について以前に処置を受けている(「事前の治療」とも呼ぶ)。一部の実施形態では、個体は、他の薬剤(例えば、アロステリックmTOR阻害剤の非ナノ粒子処方物)によるミトコンドリア関連障害の処置に抵抗性である。一部の実施形態では、個体は、他の薬剤によりミトコンドリア関連障害の処置に対して最初は応答性であるが、処置後に進行している。
【0107】
一部の実施形態では、個体は、事前の治療に抵抗性である。
【0108】
一部の実施形態では、個体は、例えば、応答できないことに起因しておよび/または毒性に起因して、事前の治療を継続するのに適していない。
【0109】
一部の実施形態では、個体は、事前の治療に対して非応答性である。
【0110】
一部の実施形態では、個体は、事前の治療に対して部分的に応答性である、またはあまり望ましくない程度の応答性を示す。
【0111】
同様に、本明細書に記載されているミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法のいずれかにおいて使用するための、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含む医薬組成物が提供される。
【0112】
同様に、本明細書に記載されているミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法のいずれかにおいて使用するための、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含む医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物は、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)およびアルブミン(例えば、ヒトアルブミン)を含むナノ粒子を含む。
ミトコンドリア関連障害を処置するためのバイオマーカーの使用
【0113】
本発明は、一態様では、遺伝子の変異状態、酵素もしくは補酵素の活性レベル、またはバイオマーカーの存在(例えば、レベル)などの、1つまたは複数のバイオマーカーを有する個体に基づいた、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法を提供する。
【0114】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、遺伝子に変異状態を有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、遺伝子に変異状態を有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、遺伝子は、LRPPRC、MT-ATP6、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MT-TL1、MT-TH、MT-TV、NDUFS1、NDUFS2、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8、またはSURF1から選択される。一部の実施形態では、変異状態は、個体に由来する試料において、エキソーム配列決定により特定される。一部の実施形態では、変異状態は、個体に由来する試料において、ミトコンドリア遺伝子の配列決定により特定される。一部の実施形態では、変異状態は、個体に由来する試料において、核遺伝子の配列決定により特定される。一部の実施形態では、遺伝子の変異状態は、次世代配列決定を使用して評価される。一部の実施形態では、血液試料から単離された遺伝子の変異状態は、次世代配列決定を使用して評価される。一部の実施形態では、変異状態は、個体に由来する試料において、組織生検変異解析により特定される。一部の実施形態では、変異状態は、個体に由来する試料において、蛍光in-situハイブリダイゼーションにより特定される。一部の実施形態では、試料は血液試料である。一部の実施形態では、試料は脳脊髄液試料である。一部の実施形態では、試料は本明細書に記載されている処置法の開始前に得る。一部の実施形態では、試料は、本明細書に記載されている処置法の開始後に得る。
【0115】
一部の実施形態では、遺伝子は、LRPPRC、MT-ATP6、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MT-TL1、MT-TH、MT-TV、SURF1、ACAD9、ACADM、ACADVL、ANT1、APOPT1、APTX、ATP5A1、ATP5E、ATPAF2、B17.2L、BCS1L、C10ORF2、C12ORF62、C20ORF7、CABC1、COA3、COA5、COA6、COQ2、COQ4、COQ6、COQ7、COQ8、COQ9、COZ6B1、COX8A、COX10、COX14、COX15、COX20、CPT1A、CPT2、DARS2、DGUOK、DLAT、ETFA、ETFB、ETFDH、FASTKD2、FOXRED1、FXN、GAMT、GATM、GFM1、HADH、HADHA、HRPAP20、LCAD、MPV17、MT-ATP8、MT-CO1、MT-CO2、MT-CO3、MT-CYB、MT-FMT、MT-ND4、MT-TE、MT-TK、MT-TS1、MT-TS2、NDUFA1、NDUFA2、NDUFA9、NDUFA10、NDUFA11、NDUFA12、NDUFAF1、NDUFAF2、NDUFAF3、NDUFAF4、NDUFAF5、NDUFAF6、NDUFB3、NDUFB9、NDUFS1、NDUFS2、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS6、NDUFS7、NDUFS8、NDUFV1、NDUFV2、NUBPL、PARK2、PC、PDH、PDHA1、PDHB、PDHX、PDP1、PDSS1、PDSS2、PEO1、PET100、POLG、RRM2B、SCO1、SCO2、SDHA、SDHAF1、SDHD、SLC6A8、SLC25A4、SLC25A20、SLC22A5、SUCLA2、TACO1、TK2、TMEM70、TP、TAZ、TWINKLE、またはTYMPから選択される。
【0116】
一部の実施形態では、遺伝子における変異状態は、評価されるミトコンドリア全体の約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%または5%未満で存在する。一部の実施形態では、遺伝子における変異状態は、評価されるミトコンドリア全体の約70%~約90%に存在している。
【0117】
一部の実施形態では、個体におけるリー症候群を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、SURF1に変異状態を有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、個体におけるリー症候群を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、MT-ATP6に変異状態を有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、個体におけるリー症候群を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、SURF1に変異状態を有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、個体におけるリー症候群を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、MT-ATP6に変異状態を有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、MT-ATP6における変異状態は、核酸の8993位におけるチミンからグアニンへの変異である。
【0118】
一部の実施形態では、個体におけるMELAS症候群を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、MT-TL1に変異状態を有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、個体におけるMELAS症候群を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、MT-TL1に変異状態を有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。
【0119】
一部の実施形態では、個体におけるNARP症候群を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、MT-ATP6に変異状態を有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、個体におけるNARP症候群を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、MT-ATP6に変異状態を有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、個体は、ミトコンドリアの約90%未満で、MT-ATP6において変異状態を有することに基づいて選択される。一部の実施形態では、個体は、ミトコンドリアの約70%~約90%で、MT-ATP6において変異状態を有することに基づいて選択される。一部の実施形態では、個体は、ミトコンドリアの約70%未満で、MT-ATP6において変異状態を有することに基づいて選択される。
【0120】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、組織バイオマーカーを有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、組織バイオマーカーを有する個体に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、組織バイオマーカーは、赤色ぼろ線維または構造異常のミトコンドリアの存在である。一部の実施形態では、組織マーカーは、免疫組織化学を使用して特定される。一部の実施形態では、組織マーカーは、顕微鏡法を使用して特定される。
【0121】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、酵素または補酵素の活性レベルに基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、酵素または補酵素の活性レベルに基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、酵素または補酵素の活性レベルは、補酵素Q10活性、シトクロムオキシダーゼ活性、NADHデヒドロゲナーゼ活性、コハク酸デヒドロゲナーゼ活性、複合体I活性、複合体II活性、複合体III活性、複合体IV活性、複合体V活性、複合体IおよびIII活性、複合体IIおよびIII活性、クエン酸シンターゼ活性、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体活性、トリカルボン酸サイクル酵素活性またはベータ酸化酵素活性に基づく。一部の実施形態では、酵素または補酵素の活性レベルは、分光光度アッセイ、蛍光アッセイ、熱量アッセイ、化学発光アッセイ、光散乱アッセイ、マイクロスケール熱泳動アッセイ、放射アッセイまたはクロマトグラフィーアッセイを使用して測定される。
【0122】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、タンパク質、酵素または補酵素の存在(例えば、レベル、例えば、低レベル)に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、タンパク質、酵素または補酵素の存在(例えば、レベル、例えば、低レベル)に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、酵素または補酵素は、補酵素Q10、シトクロムオキシダーゼ、NADHデヒドロゲナーゼおよびコハク酸デヒドロゲナーゼから選択される。一部の実施形態では、タンパク質、酵素または補酵素の存在は、筋組織で測定される。一部の実施形態では、タンパク質、酵素または補酵素の存在は、免疫組織化学によって測定される。一部の実施形態では、タンパク質、酵素または補酵素の存在は、in-situハイブリダイゼーションによって決定される。一部の実施形態では、タンパク質、酵素または補酵素の存在は、質量分析法によって決定される。
【0123】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、1つまたは複数のバイオマーカーの存在(例えば、レベル、例えば、低レベル)に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、1つまたは複数のバイオマーカーの存在(例えば、レベル、例えば、低レベル)に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、バイオマーカー(単数または複数)は、3-メチルグルタコネート、アシルカルニチン、アミノ酸、アンモニア、カルニチン、クエン酸サイクル中間体、補酵素Q10、銅、クレアチン、クレアチニン、クレアチニンキナーゼ、二カルボン酸、電解質、エチルマロネート、遊離脂肪酸、超長鎖脂肪酸、グルコース、ケトン、ラクテート(乳酸など)、ミオグロビン、神経伝達物質、有機酸、ピルベート、尿酸、ウレア、窒素レベル、赤血球および白血球のうちの1つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、個体は、その血液、血漿、脳脊髄液および/または尿(例えば、個体に由来する血液、血漿、脳脊髄液および/または尿の試料)中のピルベートに対するラクテートの比の向上に基づいて、処置について選択される。一部の実施形態では、個体は、少なくとも10:1(例えば、少なくとも、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、約20:1、約25:1、約30:1、約35:1、約40:1、約45:1、約50:1またはこれより大きないずれか)のピルベートに対するラクテートの比に基づいた処置について選択される。一部の実施形態では、個体は、少なくとも20:1となるピルベートに対するラクテートの比に基づいて、処置について選択される。一部の実施形態では、バイオマーカーの存在(例えば、レベル)は、質量分析法を使用して検出される。一部の実施形態では、バイオマーカーの存在(例えば、レベル)は、核磁気共鳴を使用して検出される。
【0124】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、1つまたは複数の症状を有することに基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、1つまたは複数の症状を有することに基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、1つまたは複数の症状は、自閉症、学習障害、神経学的問題、筋力低下、筋肉協調の喪失、運動不耐性、糖尿病、グルコース不耐性、低血糖、副腎機能障害、記憶喪失、貧弱な成長、発育不全、感覚問題、発達遅延、眼瞼下垂、顔面筋の麻痺、発作、低身長、認知症、脳卒中または脳卒中様エピソード、聴力喪失、偏頭痛、心筋力低下、肝不全、腎不全、嘔吐、胃腸管の逆流、胃排出遅延、慢性の下痢および慢性の便秘から選択される。一部の実施形態では、1つまたは複数の症状は、聴力図、磁気共鳴イメージング、コンピュータ断層撮影法、磁気共鳴分光法、脳波検査、心電図検査、心エコー検査および網膜電図から選択される診断機器により評価される。
【0125】
一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含み、個体が、診断試験からの結果に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物を投与するステップを含み、個体が、診断試験からの結果に基づいた処置について選択される、方法が提供される。一部の実施形態では、結果は、大脳基底核のシグナル異常、大脳基底核カルシウム沈着、脳萎縮、小脳萎縮、両側性線条体壊死、小脳形成不全、梗塞および白質脳症から選択される。
【0126】
一部の実施形態では、試料は血液である。一部の実施形態では、試料は、脳脊髄液(CSF)である。一部の実施形態では、試料は血漿である。一部の実施形態では、試料は尿である。
【0127】
存在(例えば、レベル例えば、高いまたは低い)の分類または順位付けは、対照レベルの統計的分布に対して決定することができる。一部の実施形態では、分類または順位付けは、個体から得られた、対照試料に対するものである。一部の実施形態では、その存在は、対照試料の統計的分布に対して、分類または順位付けされる。一部の実施形態では、その存在は、個体から得られる対照試料に由来する存在に比較して、分類または順位付けされる。一部の実施形態では、その存在は、その存在を測定するためのアッセイの検出または定量の下限値に比較して、分類または順位付けされる。一部の実施形態では、その存在の欠如は、その存在を測定するためのアッセイの検出または定量の下限値未満に分類される。
【0128】
対照試料は、非対照試料と同じ供給源および方法を使用して得ることができる。一部の実施形態では、対照試料は、様々な個体(例えば、ミトコンドリア関連障害を有する個体、および/または類似した民族性、年齢および性同一性を共有する個体)から得られる。一部の実施形態では、複数の対照試料(例えば、異なる個体に由来)を使用して、特定の組織、器官または細胞集団におけるバイオマーカーのレベルの範囲を決定する。一部の実施形態では、対照試料は、適切な対照であると決定された培養組織または細胞である。一部の実施形態では、対照は、バイオマーカーを発現しない細胞である。一部の実施形態では、標準化された試験における臨床的に許容された正常レベルが、バイオマーカーレベルを決定するための対照レベルとして使用される。一部の実施形態では、個体におけるバイオマーカーの参照レベルは、免疫組織化学に基づいたスコアリング系などの、スコアリング系に従い、高い、中間または低いに分類される。一部の実施形態では、対象におけるバイオマーカーの参照レベルは、このスコアが総合的なメジアンスコア未満またはこれに等しい場合、低い試料として分類される。
【0129】
一部の実施形態では、バイオマーカーの存在(例えば、レベル)は、個体におけるバイオマーカーのレベルを測定し、対照または参照と比較することによって決定される(例えば、所与の患者集団の中央値レベル、または第2の個体のレベル)。例えば、単一個体のバイオマーカーのレベルが、患者集団の平均レベルより上にあることが決定された場合、その個体は、高いレベルのバイオマーカーを有すると決定される。あるいは、単一個体のバイオマーカーのレベルが、患者集団の中央値レベルより下にあることが決定された場合、その個体は、低いレベルのバイオマーカーを有すると決定される。一部の実施形態では、個体を、処置に応答する第2の個体および/または患者集団と比較する。一部の実施形態では、個体を、処置に応答しない第2の個体および/または患者集団と比較する。本明細書の任意の実施形態では、存在(例えば、レベル)は、バイオマーカーをコードする核酸のレベルを測定することによって決定することができる。例えば、単一個体について、バイオマーカーをコードするmRNAのレベルが、患者集団の中央値レベルより上にあることが決定された場合、その個体は、バイオマーカーをコードする高いレベルのmRNAを有すると決定される。あるいは、単一個体について、バイオマーカーをコードするmRNAのレベルが、患者集団の中央値レベルより下にあることが決定された場合、その個体は、バイオマーカーをコードする低いレベルのmRNAを有すると決定される。
【0130】
一部の実施形態では、バイオマーカーの参照レベルは、バイオマーカーレベルの統計的分布を得ることによって決定される。
【0131】
一部の実施形態では、バイオインフォーマティクス方法は、バイオマーカーのレベルを決定および分類するために使用される。遺伝子発現プロファイリングデータを使用して遺伝子セット発現プロファイルを評価するために、多数の代替的なバイオインフォーマティクス手法が開発された。方法としては、Segal, E.ら、Nat. Genet. 34:66-176 (2003年);Segal, E.ら、Nat. Genet. 36:1090-1098頁(2004年);Barry, W. T.ら、Bioinformatics 21:1943-1949頁(2005年);Tian, L.ら、Proc Nat’l Acad Sci USA 102:13544-13549頁(2005年);Novak B AおよびJain A N. Bioinformatics 22:233-41頁(2006年);Maglietta Rら、Bioinformatics 23:2063-72頁(2007年);Bussemaker H J, BMC Bioinformatics 8 Suppl 6:S6頁(2007年)に記載されるものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0132】
一部の実施形態では、タンパク質発現の存在(例えば、レベル)は、例えば、免疫組織化学によって決定される。例えば、低いレベルまたは高いレベルについての基準は、例えばバイオマーカータンパク質を特異的に認識する抗体を使用することによる、陽性染色細胞の数および/または染色の強度に基づいて作成され得る。一部の実施形態では、このバイオマ-カーレベルは、約1%未満、約5%未満、約10%未満、約15%未満、約20%未満、約25%未満、約30%未満、約35%未満、約40%未満、約45%未満または約50%未満の細胞が陽性染色を有する場合、低い。一部の実施形態では、このバイオマ-カーレベルは、染色が、陽性対照染色よりも、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%低い強度である場合、低い。
【0133】
一部の実施形態では、このバイオマ-カーレベルは、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超または約90%超の細胞が陽性染色を有する場合、高い。一部の実施形態では、このバイオマ-カーレベルは、染色が陽性対照染色と同等の強度である場合、高い。一部の実施形態では、このバイオマ-カーレベルは、染色が陽性対照染色の強度の80%、85%または90%である場合、高い。
【0134】
一部の実施形態では、強い染色、中程度の染色および弱い染色は、範囲が確立され、染色の強度がその範囲内にビニングされる(binned)、較正されたレベルの染色である。一部の実施形態では、強い染色は、75パーセンタイルを上回る強度範囲の染色であり、中程度の染色は、25パーセンタイル~75パーセンタイルの強度範囲の染色であり、低い染色は、25パーセンタイルを下回る強度範囲の染色である。一部の態様では、特定の染色技術に精通している当業者は、ビンのサイズを調整し、染色カテゴリーを定義する。
【0135】
一部の実施形態では、バイオマーカーは、血液試料から評価される。一部の実施形態では、バイオマーカーは、細胞不含DNA試料から評価される。一部の実施形態では、バイオマーカーは、次世代配列決定を使用して評価される。一部の実施形態では、バイオマーカーは、免疫組織化学を使用して評価される。
【0136】
バイオマーカーレベルを決定するために、診断用研究室に試料を送達することによるミトコンドリア関連障害の処置を指示する;バイオマーカーのレベルが既知の対照試料を提供する方法が、本明細書においてさらに提供され、試料のレベルを使用して、本明細書に記載される方法のいずれか1つによる処置を患者は受けるべきであるという結論を提示する。
【0137】
疾患の処置を指示する方法であって、試料におけるバイオマーカーの存在(例えば、レベル)と関連するデータを検討または分析するステップ、医療提供者または医療管理者などの個体に、処置に応答する個体の可能性または適性に関して、データの検討または分析に基づいた結論を提示するステップをさらに含む方法も、本明細書で提供される。本発明の一態様では、結論は、ネットワーク上でのデータの送信である。
代謝障害の処置方法および細胞のグルコース消費の阻害方法
【0138】
本発明は、代謝障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、代謝障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、代謝障害を有する個体(例えば、ヒト)を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。
【0139】
一部の実施形態では、代謝障害を有する個体は、細胞のグルコース消費(例えば、1つまたは複数の組織中の細胞の異常な程に高いグルコース消費)に関連する障害を有する。一部の実施形態では、代謝障害を有する個体は、インスリン抵抗性に関連する障害を有する。一部の実施形態では、代謝障害を有する個体は、低血糖を有する。一部の実施形態では、代謝障害を有する個体は、高インスリン性低血糖症を有する。一部の実施形態では、代謝障害を有する個体は、1型糖尿病を有する。一部の実施形態では、代謝障害を有する個体は、2型糖尿病を有する。一部の実施形態では、代謝障害を有する個体は、メタボリックシンドロームを有する。
【0140】
一部の実施形態では、個体(例えば、ヒト)における細胞のグルコース消費(例えば、1つまたは複数の組織中の細胞の異常な程に高いグルコース消費)に関連する障害を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における細胞のグルコース消費に関連する障害を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における細胞のグルコース消費に関連する障害を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0141】
一部の実施形態では、個体(例えば、ヒト)におけるインスリン抵抗性に関連する障害を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)におけるインスリン抵抗性に関連する障害を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)におけるインスリン抵抗性に関連する障害を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0142】
一部の実施形態では、個体(例えば、ヒト)における低血糖を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における低血糖を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における低血糖を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0143】
一部の実施形態では、個体(例えば、ヒト)における高インスリン性低血糖症を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における高インスリン性低血糖症を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における高インスリン性低血糖症を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0144】
一部の実施形態では、個体(例えば、ヒト)における1型糖尿病を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における1型糖尿病を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における1型糖尿病を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0145】
一部の実施形態では、個体(例えば、ヒト)における2型糖尿病を処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における2型糖尿病を処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における2型糖尿病を処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0146】
一部の実施形態では、個体(例えば、ヒト)におけるメタボリックシンドロームを処置する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)におけるメタボリックシンドロームを処置する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)におけるメタボリックシンドロームを処置する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0147】
本発明は、個体における細胞のグルコース消費(例えば、1つまたは複数の組織中の細胞の異常な程に高いグルコース消費)を阻害する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法をさらに提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における細胞のグルコース消費を阻害する方法であって、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体(例えば、ヒト)における細胞のグルコース消費を阻害する方法であって、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。
【0148】
一部の実施形態では、個体における細胞のグルコース消費(例えば、1つまたは複数の組織中の細胞の異常な程に高いグルコース消費)を低減する方法であって、個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体にアロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体にリムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子中のリムス薬物がアルブミンと会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均(average)直径または平均(mean)直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む、有効量の組成物であって、ナノ粒子が、アルブミンと会合している(例えば、アルブミンでコーティングされた)リムス薬物を含み、ナノ粒子が、約150nm以下(例えば、約120nm以下)の平均粒子サイズを有する、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、本方法は、個体に、リムス薬物およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子組成物中のアルブミンとリムス薬物との重量比が、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に、シロリムスおよびヒトアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物であって、ナノ粒子がヒトアルブミンと会合している(例えば、ヒトアルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含み、ナノ粒子が約150nm以下(例えば、約120nm以下、例えば約100nm)の平均粒子サイズを有し、ナノ粒子組成物中のヒトアルブミンとシロリムスとの重量比が約1:1~約9:1(例えば、約8:1、約8.5:1または約9:1)である、組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、個体は、組織において細胞の異常な程に高いグルコース消費を有しており、組織における細胞のグルコース消費が低減される。
さらなる疾患を処置する方法
【0149】
さらに、胎児拡張型心筋症などの疾患を有する個体を処置する方法が提供される。一部の実施形態では、個体における胎児拡張型心筋症を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物などの有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物およびアルブミンを含む組成物などのリムス薬物である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、シロリムスである。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、アルブミンと会合する(例えば、アルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるナノ粒子の平均粒子サイズは、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスのアルブミン安定化ナノ粒子処方物を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。
【0150】
さらに、結節性硬化症複合(TSC)および関連障害(TSCにおける拡張型心筋症を含む)などの疾患を有する個体を処置する方法が提供される。一部の実施形態では、個体における結節性硬化症(TSCにおける拡張型心筋症を含む)を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物などの有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物およびアルブミンを含む組成物などのリムス薬物である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、シロリムスである。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、アルブミンと会合する(例えば、アルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるナノ粒子の平均粒子サイズは、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスのアルブミン安定化ナノ粒子処方物を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0151】
さらに、小児期発症心筋症などの疾患を有する個体を処置する方法が提供される。一部の実施形態では、個体における小児期発症心筋症を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物などの有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物およびアルブミンを含む組成物などのリムス薬物である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、シロリムスである。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、アルブミンと会合する(例えば、アルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるナノ粒子の平均粒子サイズは、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスのアルブミン安定化ナノ粒子処方物を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0152】
さらに、ヌーナン症候群などの疾患を有する個体を処置する方法が提供される。一部の実施形態では、個体におけるヌーナン症候群を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物などの有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物およびアルブミンを含む組成物などのリムス薬物である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、シロリムスである。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、アルブミンと会合する(例えば、アルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含む。
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるナノ粒子の平均粒子サイズは、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスのアルブミン安定化ナノ粒子処方物を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0153】
さらに、多発性嚢胞腎などの疾患を有する個体を処置する方法が提供される。一部の実施形態では、個体における多発性嚢胞腎を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物などの有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物およびアルブミンを含む組成物などのリムス薬物である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、シロリムスである。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、アルブミンと会合する(例えば、アルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるナノ粒子の平均粒子サイズは、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスのアルブミン安定化ナノ粒子処方物を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0154】
さらに、加齢性および遺伝誘発性肥大性心筋症などの疾患を有する個体を処置する方法が提供される。一部の実施形態では、個体における加齢性および遺伝誘発性肥大性心筋症を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物などの有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物およびアルブミンを含む組成物などのリムス薬物である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、シロリムスである。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、アルブミンと会合する(例えば、アルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるナノ粒子の平均粒子サイズは、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスのアルブミン安定化ナノ粒子処方物を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
【0155】
さらに、リウマチ性疾患などの疾患を有する個体を処置する方法が提供される。一部の実施形態では、個体におけるリウマチ性疾患を処置する方法であって、個体に、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む有効量の組成物などの有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、リムス薬物およびアルブミンを含む組成物などのリムス薬物である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、シロリムスである。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスおよびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、アルブミンと会合する(例えば、アルブミンによりコーティングされた)シロリムスを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるナノ粒子の平均粒子サイズは、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約1:1~約11:1(例えば、約1:1~約9:1)である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約10:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約11:1である。一部の実施形態では、シロリムスは、シロリムスのアルブミン安定化ナノ粒子処方物を含む組成物中に存在する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、nab-シロリムスである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の用量で投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎週投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、毎日投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、3日毎に1回投与される。
アロステリックmTOR阻害剤
【0156】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、アロステリックmTOR阻害剤の投与を含む。アロステリックmTOR阻害剤は、mTORのATP触媒部位への結合により、mTORを阻害しない。mTORは、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)/Akt(タンパク質キナーゼB)経路の下流における、セリン/トレオニン特異的タンパク質キナーゼであり、細胞生存、増殖、ストレスおよび代謝の重要な調節因子である。
【0157】
ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)(ラパマイシンの機構的標的またはFK506結合タンパク質12-ラパマイシン関連タンパク質1(FRAP1)としても公知)は、2つの別個の複合体、mTOR複合体1(mTORC1)およびmTOR複合体2(mTORC2)中に存在する非定型セリン/スレオニンタンパク質キナーゼである。mTORC1は、mTOR、mTORの調節関連タンパク質(Raptor)、哺乳動物致死性SEC13タンパク質8(mammalian lethal with SEC13 protein 8)(MLST8)、PRAS40およびDEPTORから構成される(Kimら(2002年).Cell 110巻:163~75頁;Fangら(2001年).Science 294巻(5548号):1942~5頁)。mTORC1は、4つの主要なシグナルインプットを統合する:栄養素(例えば、アミノ酸およびホスファチジン酸)、増殖因子(インスリン)、エネルギーおよびストレス(例えば、低酸素およびDNA損傷)。アミノ酸の入手可能性は、RagおよびRagulator(LAMTOR1~3)が関与する経路を介してmTORC1にシグナル伝達され、増殖因子およびホルモン(例えば、インスリン)は、TSC2を不活性化してmTORC1の阻害を防止するAktを介してmTORC1へとシグナル伝達する。あるいは、低いATPレベルは、TSC2のAMPK依存的活性化およびraptorのリン酸化をもたらして、mTORC1シグナル伝達タンパク質を低減させる。
【0158】
活性mTORC1は、下流の標的(4E-BP1およびp70 S6キナーゼ)のリン酸化を介したmRNAの翻訳、オートファジーの抑制(Atg13、ULK1)、リボソーム新生、およびミトコンドリア代謝または脂肪生成をもたらす転写の活性化を含む、いくつかの下流の生物学的効果を有する。したがって、mTORC1活性は、条件が好ましい場合には細胞増殖を促進し、またはストレスの間もしくは条件が好ましくない場合には、異化プロセスを促進する。
【0159】
mTORC2は、mTOR、mTORのラパマイシン非感受性コンパニオン(rapamycin-insensitive companion of mTOR)(RICTOR)、GβLおよび哺乳動物ストレス活性化タンパク質キナーゼ相互作用タンパク質1(mSIN1)から構成される。多くの上流シグナルおよび細胞機能が定義された(上を参照のこと)mTORC1とは対照的に、mTORC2の生物学について知られていることは比較的少ない。mTORC2は、F-アクチン張線維、パキシリン、RhoA、Rac1、Cdc42およびタンパク質キナーゼCα(PKCα)のその刺激を介して細胞骨格組織化を調節する。mTORC2成分をノックダウンすることは、アクチン重合に影響を与え、細胞の形態を乱すことが観察されている(Jacintoら(2004年). Nat. Cell Biol. 6巻、1122~1128頁;Sarbassovら(2004年). Curr. Biol. 14巻、1296~1302頁)。これは、タンパク質キナーゼCα(PKCα)のリン酸化、パキシリンのリン酸化および接着斑へのその再局在化、ならびにRhoAおよびRac1のGTP負荷を促進することによって、mTORC2がアクチン細胞骨格を制御することを示唆している。mTORC2がこれらのプロセスを調節する分子機構は、決定されていない。
【0160】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、mTORC1の阻害剤である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、mTORC2の阻害剤である。
【0161】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、シロリムスおよびそのアナログが含まれるリムス薬物である。リムス薬物の例には、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、リダフォロリムス(AP-23573)、デフォロリムス(MK-8669)、ゾタロリムス(ABT-578)、ピメクロリムスおよびタクロリムス(FK-506)が含まれるがこれらに限定されない。
【0162】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤はシロリムスである。シロリムスは、FKBP-12と複合体化し、mTORC1を結合することによってmTOR経路を阻害するマクロライド系抗生物質である。
【0163】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス(RAD001、Zortress、CerticanおよびAfinitorとしても公知)、テムシロリムス(CCI-779およびToriselとしても公知)、Ku-0063794、Palomid 529およびデフォロリムス(リダフォロリムスとしても公知)からなる群より選択される。
【0164】
エベロリムスは、ラパマイシンの40-O-(2-ヒドロキシエチル)誘導体であり、シクロフィリンFKBP-12を結合し、これは、mTORC1とも複合体化する。テムシロリムスは、FK506結合タンパク質と複合体を形成し、それがmTORC1複合体中にある場合にはmTORの活性化を阻害するラパマイシンのプロドラッグである。KU-0063794は、用量依存的および時間依存的様式で、Ser2448におけるmTORC1のリン酸化を阻害する小分子である。Palomid 529は、ABCB1/ABCG2に対する親和性を欠き、良好な脳透過性を有するmTORC1の小分子阻害剤である(Linら(2013年)Int J Cancer DOI: 10.1002/ijc.28126(印刷前の電子公開))。デフォロリムス(リダフォロリムス、AP23573、MK-8669)は、選択的mTOR阻害剤である。
ナノ粒子組成物
【0165】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、アロステリックmTOR阻害剤の投与を含み、アロステリックmTOR阻害剤は、アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物を含む。
【0166】
水溶性に乏しい薬物のナノ粒子は、例えば、米国特許第5,916,596号、同第6,506,405号、同第6,749,868号、同第6,537,579号、同第7,820,788号において、さらには、米国特許出願公開第20060263434号および同第2007/0082838号、ならびにPCT特許出願WO08/137148に開示されており、その各々の全体が参照により組み込まれている。
【0167】
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物は、約1000ナノメートル(nm)以下、例えば、約900、約800、約700、約600、約500、約400、約300、約200、約150、約120および約100nm以下(または未満)のいずれかの平均(average)または平均(mean)直径を有するナノ粒子を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約150nm以下(例えば、約120nm以下)である。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約120nm以下である。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約10nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均直径または平均直径は、約40nm~約120nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子は、滅菌ろ過可能である。
【0168】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物におけるナノ粒子の平均直径が、例えば、約140、130、120、110、100、90、80、70、または60nmのうちのいずれか以下を含む、約150nm以下である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるナノ粒子のうちの少なくとも約50%(例えば、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、または99%のうちのいずれか1つ)の直径が、例えば、約140、130、120、110、100、90、80、70、または60nmのうちのいずれか以下を含む、約150nm以下である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるナノ粒子のうちの少なくとも約50%(例えば、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、または99%のうちのいずれか1つ)が、例えば、約40nm~約120nmを含む、約20nm~約150nmの範囲内に収まる。
【0169】
一部の実施形態では、アルブミンが、ジスルフィド結合を形成しうるスルフヒドリル基を有する。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物のナノ粒子部分におけるアルブミンのうちの少なくとも約5%(例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%のうちのいずれか1つを含む)が、架橋されている(例えば、1またはそれより多くのジスルフィド結合を介して架橋されている)。
【0170】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子が、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)と会合される(例えば、これでコーティングされる)。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物が、ナノ粒子形態および非ナノ粒子形態の両方でのアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含み(例えば、溶液の形態、または可溶性質アルブミン/ナノ粒子複合体の形態での)、ナノ粒子組成物におけるアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)(のうちの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%のうちのいずれかがナノ粒子形態である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)が、ナノ粒子の重量で約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%のうちのいずれかを構成する。一部の実施形態では、ナノ粒子が、非ポリマーマトリックスを有する。一部の実施形態では、ナノ粒子が、ポリマー材料(ポリマーマトリックスなど)を実質的に含まないアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)のコアを含む。
【0171】
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物が、ナノ粒子組成物のナノ粒子部分および非ナノ粒子部分の両方においてアルブミンを含み、ナノ粒子組成物におけるアルブミンのうちの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%のうちのいずれかが、ナノ粒子組成物の非ナノ粒子部分にある。
【0172】
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるアルブミン(ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミンなど)とアロステリックmTOR阻害剤の重量比が、約15:1以下、例えば、約10:1以下など、約18:1以下である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるアルブミン(ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミンなど)とアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)の重量比が、約1:1~約18:1、約2:1~約15:1、約3:1~約13:1、約4:1~約12:1、または約5:1~約10:1のうちのいずれかの範囲内に収まる。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物のナノ粒子部分におけるアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)の重量比が、約1:2、1:3、1:4、1:5、1:9、1:10、1:15以下のうちのいずれかである。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるアルブミン(ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミンなど)とアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)の重量比が、以下:約1:1~約18:1、約1:1~約15:1、約1:1~約12:1、約1:1~約10:1、約1:1~約9:1、約1:1~約8:1、約1:1~約7:1、約1:1~約6:1、約1:1~約5:1、約1:1~約4:1、約1:1~約3:1、約1:1~約2:1、または約1:1~約1:1のうちのいずれかである。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約8:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約8.5:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物中のアルブミンおよびアロステリックmTOR阻害剤の重量比は、約9:1である。
【0173】
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物が、上記の特徴のうちの1または複数を含む。
【0174】
本明細書に記載されるナノ粒子は、乾燥処方物(凍結乾燥組成物など)で存在させる場合もあり、生体適合性媒体中に懸濁させる場合もある。適切な生体適合性媒体には、水、水性緩衝媒体、生理食塩液、緩衝生理食塩液、アミノ酸の必要に応じて緩衝化させた溶液、タンパク質の必要に応じて緩衝化させた溶液、糖の必要に応じて緩衝化させた溶液、ビタミンの必要に応じて緩衝化させた溶液、合成ポリマーの必要に応じて緩衝化させた溶液、脂質含有エマルジョンなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0175】
ヒト血清アルブミン(HSA)とは、Mr65Kの高度に可溶性の球状タンパク質であり、585アミノ酸からなる。HSAは、血漿中で最も豊富なタンパク質であり、ヒト血漿のコロイド浸透圧のうちの70~80%を占める。HSAのアミノ酸配列は、合計17個のジスルフィド架橋、1個の遊離チオール(Cys34)、および単一のトリプトファン(Trp214)を含有する。HSA溶液の静脈内使用は、血液量減少性ショック(hypovolumic shock)の予防および処置に適用があり(例えば、Tullis、JAMA、237巻、355~360頁、460~463頁(1977年)、およびHouserら、Surgery、Gynecology and Obstetrics、150巻、811~816頁(1980年)を参照されたい)、新生児高ビリルビン血症の処置における交換輸血と共に行われる(例えば、Finlayson、Seminars in Thrombosis and Hemostasis、6巻、85~120頁(1980年)を参照されたい)。ウシ血清アルブミンなど、他のアルブミンも意図される。このような非ヒトアルブミンの使用は、例えば、獣医学(家庭用ペットおよび農業上の状況を含む)など、非ヒト哺乳動物においてこれらの組成物を使用する状況で適切でありうる。ヒト血清アルブミン(HSA)は、複数の疎水性結合部位(HSAの内因性リガンドである脂肪酸について、合計8つ)を有し、薬物の多様なセット、特に、中性の疎水性化合物および負に荷電した疎水性化合物に結合する(Goodmanら、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、9版、McGraw-Hill New York(1996年))。極性リガンド特徴に対する結合点として機能する表面近傍の荷電リシン残基および荷電アルギニン残基を伴う、極めて細長い疎水性ポケットである、HSAのIIAサブドメインおよびIIIAサブドメインでは、2つの高アフィニティーの結合部位が提起されている(例えば、Fehskeら、Biochem. Pharmcol.、30巻、687~92頁(198a)、Vorum、Dan. Med. Bull.、46巻、379~99頁(1999年)、Kragh-Hansen、Dan. Med. Bull.、1441巻、131~40頁(1990年)、Curryら、Nat. Struct. Biol.、5巻、827~35頁(1998年)、Sugioら、Protein. Eng.、12巻、439~46頁(1999年)、Heら、Nature、358巻、209~15頁(199b)、およびCarterら、Adv. Protein. Chem.、45巻、153~203頁(1994年)を参照されたい)。シロリムスおよびプロポフォールは、HSAに結合することが示されている(例えば、Paalら、Eur. J. Biochem.、268巻(7号)、2187~91頁(200a)、Purcellら、Biochim. Biophys. Acta、1478(a)、61~8頁(2000年)、Altmayerら、Arzneimittelforschung、45巻、1053~6頁(1995年)、およびGarridoら、Rev. Esp. Anestestiol. Reanim、41巻、308~12頁(1994年)を参照されたい)。さらに、ドセタキセルは、ヒト血漿タンパク質に結合することが示されている(例えば、Urienら、Invest. New Drugs、14(b)、147~51頁(1996年)を参照)。
【0176】
ナノ粒子組成物におけるアルブミンは、部分的に、アルブミンを含まない組成物と比較してアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を、水性媒体中でより容易に懸濁可能とするか、またはこの懸濁物を維持する一助となる。これは、アロステリックmTOR阻害剤を可溶化するための毒性溶媒(または界面活性剤)の使用を回避することが可能であり、これにより、個体(ヒトなど)にアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を投与することによる1またはそれより多くの副作用を軽減しうる。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物が、Cremophor(またはポリオキシエチル化ヒマシ油、Cremophor EL(登録商標)(BASF)を含む)などの界面活性剤を実質的に含まない(界面活性剤を含まないなど)。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物が、界面活性剤を実質的に含まない(界面活性剤を含まないなど)。ナノ粒子組成物を個体に投与するとき、ナノ粒子組成物におけるCremophorまたは界面活性剤の量が、その個体において1またはそれより多くの副作用を引き起こすのに十分でない場合は、その組成物は、「Cremophorを実質的に含まない」か、または「界面活性剤を実質的に含まない」。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物が、約20%、15%、10%、7.5%、5%、2.5%、または1%のうちのいずれか未満の有機溶媒または界面活性剤を含有する。一部の実施形態では、アルブミンはヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミンである。一部の実施形態では、アルブミンは組換えアルブミンである。
【0177】
本明細書に記載されるナノ粒子組成物におけるアルブミンの量は、ナノ粒子組成物における他の成分に応じて変化する。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物が、水性懸濁物、例えば、安定的なコロイド状懸濁物(ナノ粒子の安定的な懸濁物など)の形態でアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を安定化させるのに十分な量でアルブミンを含む。一部の実施形態では、アルブミンが、水性媒体におけるアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)の沈降速度を低減する量である。粒子含有組成物の場合、アルブミンの量はまた、アロステリックmTOR阻害剤のナノ粒子のサイズおよび密度にも依存する。
【0178】
アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)は、少なくとも約0.1時間、0.2時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、または72時間のうちのいずれかにわたるなど、長時間にわたり水性媒体において懸濁されたままである(目視可能な沈殿も沈降もないなど)場合、タキサンは、水性懸濁物中で「安定化」されている。懸濁物は一般に、個体(ヒトなど)への投与に適するが、必ずしもそうではない。懸濁物の安定性は一般に、保存温度(室温(20~25℃など)または冷蔵条件(4℃など)など)で評価する(しかし、必ずしもそうではない)。例えば、懸濁物の調製後約15分で、懸濁物が、肉眼で目視可能なフロキュレーションも粒子凝集も、または1000倍の光学顕微鏡下で観察したときにフロキュレーションも粒子凝集も示さない場合、その懸濁物は、保存温度で安定的である。安定性はまた、約40℃より高温の温度など、加速試験条件下でも評価することができる。
【0179】
一部の実施形態では、アルブミンが、特定の濃度の水性懸濁物においてアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を安定化させるのに十分な量で存在する。例えば、ナノ粒子組成物中のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)の濃度は、例えば、約0.1~約50mg/ml、約0.1~約20mg/ml、約1~約10mg/ml、約2~約8mg/ml、約4~約6mg/mlまたは約5mg/mlのうちのおよそいずれかを含む、約0.1~約100mg/mlである。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムスまたはその誘導体)の濃度が、約1.3mg/ml、1.5mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、および50mg/mlのうちのいずれかである。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物が、界面活性剤(Cremophorなど)を含まないか、または実質的に含まないように、アルブミンが、界面活性剤(Cremophorなど)の使用を回避する量で存在する。
【0180】
一部の実施形態では、液体形態にあるナノ粒子組成物が、約0.1%~約50%(w/v)(例えば、約0.5%(w/v)、約5%(w/v)、約10%(w/v)、約15%(w/v)、約20%(w/v)、約30%(w/v)、約40%(w/v)、または約50%(w/v))のアルブミンを含む。一部の実施形態では、液体形態にあるナノ粒子組成物が、約0.5%~約5%(w/v)のアルブミンを含む。
【0181】
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるアルブミン対アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)の重量比が、十分な量のアロステリックmTOR阻害剤が、細胞に結合するか、または細胞に輸送されるような重量比である。アルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との異なる組合せに対して、アルブミン対アロステリックmTOR阻害剤の重量比を最適化しなければならないが、一般に、アルブミン対アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)の重量比(w/w)は、約0.01:1~約100:1、約0.02:1~約50:1、約0.05:1~約20:1、約0.1:1~約20:1、約1:1~約18:1、約2:1~約15:1、約3:1~約12:1、約4:1~約10:1、約5:1~約9:1、または約9:1である。一部の実施形態では、アルブミン対アロステリックmTOR阻害剤の重量比が、約18:1以下、15:1以下、14:1以下、13:1以下、12:1以下、11:1以下、10:1以下、9:1以下、8:1以下、7:1以下、6:1以下、5:1以下、4:1以下、および3:1以下のうちのいずれかである。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるアルブミン(ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミンなど)とアロステリックmTOR阻害剤の重量比が、以下:約1:1~約18:1、約1:1~約15:1、約1:1~約12:1、約1:1~約10:1、約1:1~約9:1、約1:1~約8:1、約1:1~約7:1、約1:1~約6:1、約1:1~約5:1、約1:1~約4:1、約1:1~約3:1、約1:1~約2:1、または約1:1~約1:1のうちのいずれか1つである。
【0182】
一部の実施形態では、アルブミンにより、ナノ粒子組成物を、個体(ヒトなど)に、重大な副作用なしに投与することが可能となる。一部の実施形態では、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミンまたはヒトアルブミン)が、ヒトへのアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)投与の1またはそれより多くの副作用を軽減するのに有効な量である。アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)投与の「1またはそれより多くの副作用を軽減すること」という用語は、アロステリックmTOR阻害剤により引き起こされる1またはそれより多くの望ましくない作用、ならびにアロステリックmTOR阻害剤を送達するのに用いられる送達ビヒクル(リムス薬物を注射に適するものとする溶媒など)により引き起こされる副作用の軽減、緩和、除去、または回避をいう。このような副作用には、例えば、骨髄抑制、神経毒性、過敏症、炎症、静脈刺激、静脈炎、疼痛、皮膚刺激、末梢性神経障害、好中球減少性発熱(neutropenic fever)、アナフィラキシー反応、静脈血栓症(venous thrombosis)、管外遊出、およびこれらの組合せが含まれる。しかし、これらの副作用は、例示的なものであるに過ぎず、リムス薬物(例えば、シロリムス)と関連する他の副作用または副作用の組合せも軽減することができる。
【0183】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)およびアルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)およびアルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)およびアルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下(例えば、約100nm)の平均直径を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、シロリムスおよびヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下(例えば、約100nm)の平均直径を有する。
【0184】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)およびアルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)およびアルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)およびアルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nmの平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、シロリムスおよびヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下(例えば、約100nm)の平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとシロリムス阻害剤との重量比は、約9:1または約8:1である。
【0185】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)と会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)と会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)と会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)と会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下(例えば、約100nm)の平均直径を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)と会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)シロリムスを含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下(例えば、約100nm)の平均直径を有する。
【0186】
一部の実施形態では、本明細書に記載されているナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)と会合する(例えば、コーティングされた)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)と会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)と会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)と会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nmの平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)と会合する(例えば、アルブミンでコーティングされた)シロリムスを含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下(例えば、約100nm)の平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとシロリムスとの重量比は、約9:1または約8:1である。
【0187】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)によって安定化されたアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)によって安定化されたアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)によって安定化されたアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)によって安定化されたアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下(例えば、約100nm)の平均直径を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)によって安定化されたシロリムスを含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下(例えば、約100nm)の平均直径を有する。
【0188】
一部の実施形態では、本明細書に記載されているナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)によって安定化されたアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)によって安定化されたアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)によって安定化されたアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下の平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、アルブミン(例えば、ヒトアルブミンまたはヒト血清アルブミン)によって安定化されたアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)を含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nmの平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比は、約9:1以下(例えば、約9:1、約8.5:1または約8:1)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、ヒトアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)によって安定化されたシロリムスを含むナノ粒子を含み、このナノ粒子は、約150nm以下(例えば、約100nm)の平均直径を有しており、ナノ粒子組成物中のアルブミンとシロリムスとの重量比は、約9:1または約8:1である。
【0189】
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物は、nab-シロリムスを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物は、nab-シロリムスである。nab-シロリムスとは、ヒトアルブミンUSPにより安定化させたシロリムスの処方物であり、直接注射可能な生理学的溶液中で分散させることができる。ヒトアルブミンとシロリムスとの重量比は約8:1~約9:1である。0.9%塩化ナトリウム注射液または5%デキストロース注射液など、適切な水性媒体中で分散させると、nab-シロリムスは、シロリムスの安定的なコロイド状懸濁物を形成する。コロイド状懸濁物におけるナノ粒子の平均粒子サイズは、約100ナノメートルである。HSAは、水中で際限なく(freely)可溶性であるので、例えば、約2mg/ml~約8mg/ml、または約5mg/mlを含む、希釈(約0.1mg/mlのシロリムス)~濃縮(約20mg/mlのシロリムス)の範囲にわたる広範な濃度で、nab-シロリムスを再構成することができる。
【0190】
当技術分野では、ナノ粒子組成物を作製する方法が公知である。例えば、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、limus薬物、例えばシロリムス)およびアルブミン(ヒト血清アルブミンまたはヒトアルブミンなど)を含有するナノ粒子は、高せん断力条件(例えば、超音波処理、高圧ホモジナイゼーションなど)下で調製することができる。これらの方法は、例えば、米国特許第5,916,596号;同第6,506,405号;同第6,749,868号;同第6,537,579号におよび同第7,820,788号において開示され、また、米国特許出願公開第2007/0082838号、同第2006/0263434号、ならびにPCT出願第WO08/137148号においても開示されている。
【0191】
手短に言えば、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えばシロリムス)は、有機溶媒に溶解し、この溶液をアルブミン溶液に加えることができる。この混合物を、高圧ホモジナイゼーションに供する。次いで、蒸発により有機溶媒を除去することができる。得られた分散物を、さらに凍結乾燥させることができる。適切な有機溶媒には、例えば、ケトン、エステル、エーテル、塩素化溶媒、および当技術分野で公知の他の溶媒が含まれる。例えば、有機溶媒は、塩化メチレンまたはクロロホルム/エタノール(例えば、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1の比による)でありうる。
ナノ粒子組成物中の他の成分
【0192】
本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、他の薬剤、賦形剤、または安定化剤を含むナノ粒子組成物中に存在させることができる。例えば、ナノ粒子の負のゼータ電位を増大させることにより安定性を増大させるために、ある特定の負に荷電した成分を添加することができる。負に荷電したこのような成分には、グリココール酸、コール酸、ケノデオキシコール酸、タウロコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸などからなる胆汁酸による胆汁酸塩、以下のホスファチジルコリン:パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、パルミトイルリノレオイルホスファチジルコリン、ステアロイルリノレオイルホスファチジルコリン、ステアロイルオレオイルホスファチジルコリン、ステアロイルアラキドイルホスファチジルコリン、およびジパルミトイルホスファチジルコリンが含まれるレシチン(卵黄)ベースのリン脂質を含めたリン脂質が含まれるがこれらに限定されない。他のリン脂質は、L-α-ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(distearyolphosphatidylcholine)(DSPC)、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、および他の関連化合物を含む。例えば、硫酸コレステリルナトリウムなど、負に荷電した界面活性剤または乳化剤もまた、添加剤として適する。
【0193】
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物が、ヒトへの投与に適する。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物が、獣医学の状況において、家庭用ペットおよび農業用動物などの哺乳動物への投与に適する。多種多様なナノ粒子組成物の適切な処方物が存在する(例えば、米国特許第5,916,596号および同第6,096,331号を参照されたい)。以下の処方物および方法は、例示的なものであるに過ぎず、全く限定的なものではない。経口投与に適する処方物は、(a)水、生理食塩液、またはオレンジジュースなどの希釈剤中に溶解させた有効量の化合物などの液体溶液、(b)各々が、固体または顆粒として、所定量の有効成分を含有する、カプセル、小袋(sachet)、または錠剤、(c)適切な液体中の懸濁物、および(d)適切なエマルジョンからなる場合がある。錠剤形態は、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、微晶質セルロース、アカシアガム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ならびに他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、保湿剤(moistening agent)、防腐剤、矯味矯臭剤、および薬理学的に適合性の賦形剤のうちの1または複数を包含しうる。ロゼンジ形態は、矯味矯臭薬(通常はスクロースおよびアカシアガムまたはトラガカントガム)中の有効成分、ならびに、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアガムなどの不活性基剤中に有効成分を含む香錠、有効成分に加えて当技術分野で公知の賦形剤などの賦形剤を含有するエマルジョン、ゲルなどを含み得る。
【0194】
適するキャリア、賦形剤、および希釈剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカントガム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、生理食塩溶液、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシ安息香酸塩およびプロピルヒドロキシ安息香酸塩、滑石、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油が含まれるがこれらに限定されない。処方物は、さらに、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、防腐剤、甘味剤、または矯味矯臭剤も含み得る。
【0195】
非経口投与に適する処方物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および処方物を、意図されるレシピエントの血液と適合性にする溶質を含有しうる水性および非水性で等張性の滅菌注射液と、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤(thickening agent)、安定化剤、および防腐剤を包含しうる水性および非水性の滅菌懸濁物とが含まれる。処方物は、アンプルおよびバイアルなど、単位用量または複数回用量の密封容器内に存在させることが可能であり、使用の直前に、注射用の滅菌液体賦形剤、例えば、水の添加だけを必要とする凍結乾燥(freeze-dried (lyophilized))条件下で保存することが可能である。既に説明した種類の滅菌粉末、滅菌顆粒、および滅菌錠剤から、即席の注射液および懸濁物を調製することができる。注射用処方物が好ましい。
【0196】
一部の実施形態では、例えば、約5.0~約8.0、約6.5~約7.5、および約6.5~約7.0のうちのいずれかのpH範囲を含む、pH範囲が約4.5~約9.0となるようにナノ粒子組成物を処方する。一部の実施形態では、例えば、約6.5、7、または8(約8など)のうちのいずれか以上を含む、ナノ粒子組成物のpHを約6以上となるように処方する。また、グリセロールなど、適切な張度修飾剤(tonicity modifier)を添加することにより、ナノ粒子組成物を血液と等張性とすることもできる。
アロステリックmTOR阻害剤の投薬および投与方法
【0197】
個体(例えば、ヒト)に投与されるアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムスナノ粒子組成物)の用量は、具体的なアロステリックmTOR阻害剤、投与形式、処置される疾患および症状の重症度により変わり得る。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の量は、ミトコンドリア関連障害などの疾患を有する個体によって示された1つまたは複数の症状を軽減するのに有効である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の量は、ミトコンドリア関連障害などの疾患を有することに関連する1つまたは複数の症状を予防するのに有効である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の量は、ミトコンドリア関連障害などの疾患を有することに関連する1つまたは複数の症状を処置するのに有効である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の量は、ミトコンドリア関連障害などの疾患を有することに関連する1つまたは複数の症状を改善するのに有効である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の量は、ミトコンドリア関連障害などの疾患を有することに関連する1つまたは複数の症状を緩和するのに有効である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の量は、ミトコンドリア関連障害などの疾患を有することに関連する1つまたは複数の症状の発症を遅延させるのに有効である。
【0198】
個体の応答および本明細書に記載されている処置法の臨床的利益は、例えば、聴力図、磁気共鳴イメージング、コンピュータ断層撮影法、磁気共鳴分光法、脳波検査、心電図検査、心エコー検査、網膜電図、免疫組織化学およびバイオマーカーの評価に基づいて決定され得る。
【0199】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の量は、個体の生存を延長するのに十分である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の量(例えば、単独で投与した場合)は、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムスナノ粒子組成物)により処置された個体の集団のうち、約50%、約60%、約70%または約77%のいずれかより高い臨床的利益を生じるのに十分である。
【0200】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムスナノ粒子組成物)の量は、アロステリックmTOR阻害剤が個体に投与される場合、毒性学的作用(すなわち、臨床的に許容されるレベルの毒性を超える作用)を誘発するレベル未満であるか、または潜在的な副作用が制御され得る、もしくは許容され得るレベルである。
【0201】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物中)の量は、同じ投与レジメンに従って、最大耐量(MTD)のアロステリックmTOR阻害剤に近い。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の量は、MTDの約80%、約90%、約95%または約98%のいずれかより多い。
【0202】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の有効量(例えば、ナノ粒子組成物中)として、0.1mg/m2、0.5mg/m2、1mg/m2、2mg/m2、3mg/m2、4mg/m2、5mg/m2、10mg/m2、15mg/m2、20mg/m2、25mg/m2、30mg/m2、35mg/m2、40mg/m2、45mg/m2、50mg/m2、55mg/m2、60mg/m2、65mg/m2、70mg/m2、75mg/m2、80mg/m2、85mg/m2、90mg/m2、95mg/m2、100mg/m2、105mg/m2、110mg/m2、115mg/m2、120mg/m2、125mg/m2、130mg/m2、135mg/m2、140mg/m2、145mg/m2、または150mg/m2のおよそ少なくともいずれかのアロステリックmTOR阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。種々の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物中)として、150mg/m2、125mg/m2、100mg/m2、75mg/m2、50mg/m2、25mg/m2、20mg/m2、15mg/m2、10mg/m2、5mg/m2、4mg/m2、3mg/m2、または2mg/m2のおよそいずれか未満のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、シロリムス)が挙げられる。一部の実施形態では、投与ごとのアロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物中)の量は、25mg/m2、22mg/m2、20mg/m2、18mg/m2、15mg/m2、14mg/m2、13mg/m2、12mg/m2、11mg/m2、10mg/m2、9mg/m2、8mg/m2、7mg/m2、6mg/m2、5mg/m2、4mg/m2、3mg/m2、または2mg/m2のおよそいずれか未満である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の有効量(例えば、ナノ粒子組成物中)には、以下の範囲のいずれか:約1~約5mg/m2、約5~約10mg/m2、約10~約25mg/m2、約25~約50mg/m2、約50~約75mg/m2、または約75~約100mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)が含まれる。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の有効量(例えば、ナノ粒子組成物中)は、約5~約200mg/m2、例えば、約25~約75mg/m2、約80mg/m2、約85mg/m2、約90mg/m2、約95mg/m2、約100mg/m2、約110mg/m2、約120mg/m2、約130mg/m2、約140mg/m2、約150mg/m2、約160mg/m2、約170mg/m2、約180mg/m2、約190mg/m2、または約200mg/m2のアロステリックmTOR阻害剤である。
【0203】
上記の局面の一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の有効量(例えば、ナノ粒子組成物中)として、1mg/kg、2.5mg/kg、3.5mg/kg、5mg/kg、6.5mg/kg、7.5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、または60mg/kgのおよそ少なくともいずれかのアロステリックmTOR阻害剤が挙げられる。種々の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の有効量(例えば、ナノ粒子組成物中)として、350mg/kg、300mg/kg、250mg/kg、200mg/kg、150mg/kg、100mg/kg、50mg/kg、25mg/kg、20mg/kg、10mg/kg、7.5mg/kg、6.5mg/kg、5mg/kg、3.5mg/kg、2.5mg/kg、または1mg/kgのおよそいずれか未満のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、シロリムス)が挙げられる。
【0204】
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物を投与するための投与頻度には、毎日、隔日、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、休みなく毎週、4週間のうちの3回、4週間毎に1回、3週間毎に1回、2週間毎に1回、または3週間のうちの2週間が含まれるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤を、2週間毎に約1回、3週間毎に約1回、4週間毎に約1回、6週間毎に約1回、または8週間毎に約1回投与する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤を、一週間に少なくとも約1回、2回、3回、4回、5回、6回、または7回(すなわち、毎日)のうちのいずれかで投与する。一部の実施形態では、各投与間の間隔が、約6カ月間、3カ月間、1カ月間、20日間、15日間、14日間、13日間、12日間、11日間、10日間、9日間、8日間、7日間、6日間、5日間、4日間、3日間、2日間、または1日間のうちのいずれか未満である。一部の実施形態では、各投与間の間隔が、約1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、8カ月間、または12カ月間のうちのいずれかより長い。一部の実施形態では、投与スケジュールに休みがない。一部の実施形態では、各投与間の間隔が、約1週間以下である。
【0205】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目および8日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で28日サイクルの1日目および15日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で21日サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で1週間に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で3週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子リムス薬物)は、例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2、または約30mg/m2のいずれか)を含めた、約0.1mg/m2~約150mg/m2の投与量で4週間毎に1回投与される。
【0206】
一部の実施形態では、投与頻度は、2日毎に1回で、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回および11回である。一部の実施形態では、投与頻度は、2日毎に1回で、5回である。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物中)は、少なくとも10日間の期間にわたって投与され、各投与間の間隔は、約2日間以内であり、各投与時のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物中)の用量は、アロステリックmTOR阻害剤が約0.1mg/m2~約150mg/m2(例えば、約0.5mg/m2~約100mg/m2、約5mg/m2~約100mg/m2、または約1mg/m2~約30mg/m2(例えば、約10mg/m2、約20mg/m2または約30mg/m2のいずれか)を含む)となる。
【0207】
アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物における)の投与は、約1カ月間~約7年間など、長期間にわたり延長することができる。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物における)を、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、30、36、48、60、72、または84カ月間のうちのいずれかの期間にわたり投与する。
【0208】
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物におけるアロステリックmTOR阻害剤(例えば、シロリムス)の投与量が、3週間のスケジュールで与える場合、1~100mg/m2の範囲にあり得るか、毎週のスケジュールで与える場合、1~100mg/m2(例えば、5~100mg/m2など)の範囲にあり得る。
【0209】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物中)の投与のための例示的な投与スケジュールは、休止しないで毎週150mg/m2、3週間のうち2週間にわたって毎週150mg/m2、4週間のうち3週間にわたって毎週150mg/m2、休止しないで毎週100mg/m2、3週間のうち2週間にわたって毎週100mg/m2、4週間のうち3週間にわたって毎週100mg/m2、休止しないで毎週75mg/m2、3週間のうち2週間にわたって毎週75mg/m2、4週間のうち3週間にわたって毎週75mg/m2、休止しないで毎週50mg/m2、3週間のうち2週間にわたって毎週50mg/m2、4週間のうち3週間にわたって毎週50mg/m2が含まれるがこれらに限定されない。アロステリックmTOR阻害剤の投与頻度は、投与する医師の判断に基づいて、処置の経過中に調整することができる。
【0210】
一部の実施形態では、個体を、少なくとも約1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10の処置サイクルのうちのいずれかにわたり処置する。
【0211】
本明細書に記載されるアロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物における)は、約24時間より短い注入時間にわたり、個体にアロステリックmTOR阻害剤を注入することを可能とする。例えば、一部の実施形態では、mTOR阻害剤(inhibibor)(例えば、ナノ粒子組成物中)は、約24時間、約12時間、約8時間、約5時間、約3時間、約2時間、約1時間、約30分間、約20分間または約10分間のいずれか未満の注入期間にわたって投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物中)は、約30分間の注入期間にわたり投与される。
【0212】
アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物における)は、例えば、静脈内経路、動脈内経路、腹腔内経路、肺内経路、経口経路、吸入経路、膀胱内(intravesicular)経路、筋肉内経路、気管内経路、皮下経路、眼内経路、髄腔内経路、経粘膜(transmucosal)経路、および経皮経路を含めた各種の経路を介して、個体(ヒトなど)に投与することができる。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤の持続放出処方物を用いることができる。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤を、静脈内投与する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤を、門脈内投与する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤を、動脈内投与する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤を、腹腔内投与する。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、肝臓内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、肝動脈注入によって投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、膀胱内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、皮下に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、髄腔内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、肺内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、筋肉内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、気管内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、眼内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、経皮的に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、皮内に投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、経口投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤は、吸入により投与される。
【0213】
一部の実施形態では、本リムスナノ粒子組成物が膀胱内に投与される場合、ナノ粒子組成物中のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えば、シロリムス)の投与量は、約20~約150mlの体積中で約30mg~約400mgの範囲とすることができ、例えば、約30分間~約4時間、膀胱に留まることができる。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物は、例えば約30分間~約1時間、約1時間~約2時間、約2時間~約3時間、または約3時間~約4時間を含めた、約30分間~約4時間、膀胱に留まる。
【0214】
一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物中)の投与量は、約100~約400mg、例えば約100mg、約200mg、約300mgまたは約400mgである。一部の実施形態では、リムス薬物(例えば、リムスナノ粒子組成物中)は、毎週約100mg、毎週約200mg、毎週約300mg、1週間に2回、約100mg、または1週間に2回、約200mgで投与される。一部の実施形態では、この投与は、1ヵ月あたりの維持用量がさらに続く(この維持用量は、毎週の用量と同じまたは異なることができる)。
【0215】
一部の実施形態では、本リムスナノ粒子組成物が静脈内投与される場合、ナノ粒子組成物中のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えば、シロリムス)の投与量は、約30mg~約400mgの範囲とすることができる。本明細書に記載されるアロステリックmTOR阻害剤は、約24時間より短い注入時間にわたり、個体にアロステリックmTOR阻害剤を注入することを可能とする。例えば、一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物中)は、約24時間、約12時間、約8時間、約5時間、約3時間、約2時間、約1時間、約30分間、約20分間または約10分間のいずれか未満の注入期間にわたって投与される。一部の実施形態では、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物中)は、約30分間~約40分間の注入期間にわたり投与される。
キット、医薬、組成物および単位投与量
【0216】
本発明はまた、本明細書に記載されている方法のいずれかにおいて使用するための、キット、医薬、組成物および単位剤形を提供する。
【0217】
本発明のキットは、アロステリックmTOR阻害剤(または単位剤形および/または製造物品)を含む1または複数の容器を含み、本明細書に記載される方法のいずれかによる使用のための指示をさらに含む。キットは、処置に好適な個体を選択する説明をさらに含むことがある。本発明のキット中に供給される指示は、通常、ラベルまたは添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)上の書面による指示であるが、機械による読み取り可能な指示(例えば、磁気または光記憶ディスクに保持された指示)も許容される。
【0218】
例えば、一部の実施形態では、キットは、a)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)、およびb)ミトコンドリア関連障害などの疾患を処置するためのアロステリックmTOR阻害剤を投与するための指示書を含む。一部の実施形態では、キットは、a)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)、b)別の治療剤、およびc)ミトコンドリア関連障害などの疾患を処置するためのアロステリックmTOR阻害剤および他の薬剤を投与(例えば、皮下または静脈内投与)するための指示書を含む。アロステリックmTOR阻害剤および他の薬剤は、個別の容器中または単一容器中で提供することができる。例えば、キットは、1つの別個の組成物、または2つもしくはそれより多い組成物を含むことができ、1つの組成物は、ナノ粒子を含み、1つの組成物は別の薬剤を含む。
【0219】
例えば、一部の実施形態では、キットは、a)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)を含むナノ粒子を含む組成物、およびb)ミトコンドリア関連障害などの疾患を処置するためのナノ粒子組成物を投与するための指示書を含む。一部の実施形態では、キットは、a)アロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)およびアルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)を含むナノ粒子を含む組成物、b)別の治療剤、およびc)ミトコンドリア関連障害などの疾患を処置するためのナノ粒子組成物および他の薬剤を投与(例えば、皮下または静脈内投与)するための指示書を含む。ナノ粒子および他の薬剤は、個別の容器中または単一容器中で提供することができる。例えば、キットは、1つの別個の組成物、または2つもしくはそれより多い組成物を含むことができ、1つの組成物は、ナノ粒子を含み、1つの組成物は別の薬剤を含む。
【0220】
本発明のキットは、適切なパッケージ(packaging)中に存在する。適切なパッケージには、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性のパッケージ(例えば、密封されたM
ylarバッグまたはプラスティック製のバッグ)などが含まれるがこれらに限定されない。キットは場合によって、緩衝剤および解釈情報など、さらなる構成要素も提供しうる。したがって、本出願はまた、バイアル(密封バイアルなど)、ボトル、ジャー、可撓性パッケージなどを含む製品も提供する。
【0221】
アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物)および第2の治療剤の使用と関連する指示は、一般に、意図される処置のための投与量、投薬スケジュールおよび投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数回用量パッケージ)、または部分単位用量(sub-unit dose)であってもよい。長期間、例えば、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3ヵ月間、4ヵ月間、5ヵ月間、7ヵ月間、8ヵ月間、9ヵ月間、またはそれよりも長いもののいずれかの間、個体の有効な処置を提供するために、十分な投与量の、本明細書において開示されているアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物、例えば、シロリムス)および第2の治療剤を含有するキットが提供され得る。キットはまた、複数の単位用量のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、リムス薬物)および医薬組成物、ならびに使用のための指示を含んでいてもよく、薬局、例えば病院薬局および調剤薬局において保管および使用するのに十分な量で包装されてもよい。
【0222】
また、本明細書に記載されている方法に有用な医薬、組成物および単位剤形が提供される。一部の実施形態では、ミトコンドリア関連障害などの疾患を有する個体の処置に使用するための医薬(または組成物)であって、アロステリックmTOR阻害剤(例えば、ナノ粒子組成物)を含む、医薬が提供される。
例示的な実施形態
【0223】
実施形態1. ミトコンドリア関連障害を有する個体を処置する方法であって、前記個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0224】
実施形態2. ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、以下のもの:運動失調症、腎臓障害、肝臓障害、代謝障害、ミオパチー、神経症、脊髄症、脳症もしくは酸化的リン酸化障害のうちの1つまたは複数を有する、実施形態1に記載の方法。
【0225】
実施形態3. ミトコンドリア関連障害を有する前記個体がリー症候群を有する、実施形態1または2に記載の方法。
【0226】
実施形態4. リー症候群が、母系遺伝リー症候群である、実施形態3に記載の方法。
【0227】
実施形態5. リー症候群が、幼児発症型リー症候群、若年発症型リー症候群または成人発症型リー症候群である、実施形態3または4に記載の方法。
【0228】
実施形態6. ミトコンドリア関連障害を有する前記個体がMELAS症候群を有する、実施形態1または2に記載の方法。
【0229】
実施形態7. ミトコンドリア関連障害を有する前記個体がNARP症候群を有する、実施形態1または2に記載の方法。
【0230】
実施形態8. ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、以下のもの:加齢障害、自閉症スペクトラム障害、慢性炎症性障害、糖尿病または脂肪酸酸化障害のうちの1つまたは複数を有する、実施形態1に記載の方法。
【0231】
実施形態9. ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、ミトコンドリアDNA変異関連障害を有する、実施形態1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0232】
実施形態10. ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、核DNA変異関連障害を有する、実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0233】
実施形態11. ミトコンドリア関連障害を有する前記個体が、X染色体変異関連障害を有する、実施形態1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0234】
実施形態12. 前記個体が、約1ヵ月齢~約30歳である、実施形態1から11のいずれか一項に記載の方法。
【0235】
実施形態13. 前記個体において1つまたは複数のミトコンドリア関連障害の症状を発症する年齢が、約3ヵ月齢~約2歳の間である、実施形態1から12のいずれか一項に記載の方法。
【0236】
実施形態14. 前記個体が男性である、実施形態1から13のいずれか一項に記載の方法。
【0237】
実施形態15. 前記個体が、以下の遺伝子:LRPPRC、MT-ATP6、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MT-TL1、MT-TH、MT-TV、NDUFS1、NDUFS2、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8またはSURF1のうちの1つまたは複数に変異を有する、実施形態1から14のいずれか一項に記載の方法。
【0238】
実施形態16. 前記個体が、前記個体の血液、血漿、脳脊髄液または尿中のピルベートに対するラクテートの比に基づいた処置について選択される、実施形態1から15のいずれか一項に記載の方法。
【0239】
実施形態17. ピルベートに対するラクテートの前記比が、少なくとも10:1である、実施形態16に記載の方法。
【0240】
実施形態18. ピルベートに対するラクテートの前記比が、少なくとも20:1である、実施形態16または17に記載の方法。
【0241】
実施形態19. 個体における細胞のグルコース消費を阻害する方法であって、前記個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0242】
実施形態20. 代謝障害を有する個体を処置する方法であって、前記個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0243】
実施形態21. 疾患を有する個体を処置する方法であって、前記個体に有効量のアロステリックmTOR阻害剤を投与するステップを含み、前記疾患が、胎児拡張型心筋症、結節性硬化症複合(TSC)および関連障害、小児期発症心筋症、ヌーナン症候群、多発性嚢胞腎、加齢性および遺伝誘発性肥大性心筋症およびリウマチ性疾患からなる群から選択される、方法。
【0244】
実施形態22. 前記アロステリックmTOR阻害剤が、前記アロステリックmTOR阻害剤およびアルブミンを含むナノ粒子を含む組成物中に存在する、実施形態1から21のいずれか一項に記載の方法。
【0245】
実施形態23. 前記アロステリックmTOR阻害剤がリムス薬物である、実施形態1から22のいずれか一項に記載の方法。
【0246】
実施形態24. 前記リムス薬物がシロリムスである、実施形態23に記載の方法。
【0247】
実施形態25. 前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が、約1mg/m2~約150mg/m2である、実施形態1から24のいずれか一項に記載の方法。
【0248】
実施形態26. 前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が毎週投与される、実施形態1から25のいずれか一項に記載の方法。
【0249】
実施形態27. 前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が2週間毎に1回投与される、実施形態1から25のいずれか一項に記載の方法。
【0250】
実施形態28. 前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が毎日投与される、実施形態1から25のいずれか一項に記載の方法。
【0251】
実施形態29. 前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が3日毎に1回投与される、実施形態1から25のいずれか一項に記載の方法。
【0252】
実施形態30. 前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が、静脈内、動脈内、腹腔内、膀胱内、皮下、髄腔内、肺内、筋肉内、気管内、眼内、経皮、皮内、経口、門脈内、肝内、肝動脈への注入により、または吸入により投与される、実施形態1から29のいずれか一項に記載の方法。
【0253】
実施形態31. 前記有効量のアロステリックmTOR阻害剤が、静脈内投与される、実施形態30に記載の方法。
【0254】
実施形態32. 前記組成物中の前記ナノ粒子が、約150nm以下の平均直径を有する、実施形態22から31のいずれか一項に記載の方法。
【0255】
実施形態33. 前記組成物中の前記ナノ粒子が、約120nm以下の平均直径を有する、実施形態32に記載の方法。
【0256】
実施形態34. 前記ナノ粒子中の前記アロステリックmTOR阻害剤が、前記アルブミンと会合している、実施形態22から33のいずれか一項に記載の方法。
【0257】
実施形態35. 前記ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比が、約1:1~約9:1である、実施形態22から34のいずれか一項に記載の方法。
【0258】
実施形態36. 前記ナノ粒子組成物中のアルブミンとアロステリックmTOR阻害剤との重量比が、約8:1、約8.5:1または約9:1である、実施形態35に記載の方法。
【0259】
実施形態37. 前記アルブミンがヒトアルブミンである、実施形態22から36のいずれか一項に記載の方法。
【0260】
実施形態38. 前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、実施形態22から36
のいずれか一項に記載の方法。
【0261】
実施形態39. 前記個体がヒトである、実施形態1から38のいずれか一項に記載の方法。
【0262】
実施形態40. 前記個体が、アロステリックmTOR阻害剤により以前に処置されていない、実施形態1から39のいずれか一項に記載の方法。
【0263】
当業者は、本発明の範囲および精神の範囲内では、複数の実施形態が可能であることを認識する。ここで、本発明を、以下の非限定的な例に言及することにより、より詳細に記載する。以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然ながら、いかなる形でもその範囲を限定するものとしてみなすべきではない。
【実施例0264】
(実施例1)
S6のリン酸化に及ぼすnab-シロリムスの作用の検討
この検討は、S6リン酸化に及ぼすnab-シロリムスの作用を評価するよう設計されている。ヒトミトコンドリア疾患系線維芽細胞を、48時間、様々な用量でnab-シロリムスにより処理する。リボソームタンパク質S6(S6)リン酸化(pS6)のレベルを、様々な処理用量の間で比較する。S6のリン酸化(総S6に対するpS6の強度比として測定される)は、正常細胞とミトコンドリア疾患の状況の両方において、十分に確立されたmTOR活性の読み出し値である(Johnsonら、Science、342頁、2013年を参照のこと)。100ng/mLのラパマイシンは、S6リン酸化を強固に阻害することが以前に確立されている(Johnsonら、Science、342頁、2013年)。nab-シロリムスによるS6リン酸化の阻害が試験されることになり、ラパマイシンおよび他のアロステリックmTOR阻害剤(例えば、torin1)と比較する。膜電位に対する用量応答および形態の比較も行う。
(実施例2)
リー症候群のNDUSF4ノックアウトマウスモデルにおけるnab-シロリムスの検討
【0265】
この検討は、リー症候群のNdufs4ノックアウト(Ndufs4 KO)マウスモデルにおいて、nab-シロリムス(ABI-009とも呼ばれる)の有効性および安全性を評価するために設計されている。Ndufs4 KOマウスは、運動失調症の症状を発症した約5週齢まで、正常に発育しているように見える。死亡は、約7週齢までに起こる。マウスは、酸化的リン酸化に対する能力を低下しており、発育速度の遅延、嗜眠、運動能力の喪失、失明および血清中ラクテートの向上を含めた、ヒトにおけるリー症候群の多数の症状を示す。
【0266】
Ndufs4 KOマウスに、様々な用量のnab-シロリムスを投与する。対照であるNdufs4 KOマウスと比較した、臨床的利益を測定する。
(実施例3)
MELAS症候群のPOLGノックアウトマウスモデルにおけるnab-シロリムスの検討
【0267】
この検討は、MELAS症候群のポリメラーゼガンマ(POLG)ノックアウト(POLG KO)マウスモデルにおいて、nab-シロリムス(ABI-009とも呼ばれる)の有効性および安全性を評価するために設計されている。ポリメラーゼガンマは、ミトコンドリアDNAポリメラーゼであり、MELASおよび他のヒトミトコンドリア疾患における、疾患遺伝子の原因である。
【0268】
POLG KOマウスに、様々な用量のnab-シロリムスを投与する。対照であるPOLG KOマウスと比較した、臨床的利益を測定する。
(実施例4A)
リー症候群を有する患者を処置するためのnab-シロリムスの単回用量および多回用量の安全性および臨床活性の、複数の施設での第I相非盲検検討
【0269】
この実施例は、リー症候群を有する患者を処置するためのnab-シロリムスの単回用量および多回用量の安全性および臨床活性の、複数の施設での第I相非盲検検討を記載する。
【0270】
この検討は、単回用量および多回用量の静脈投与されたnab-シロリムス(sirolumus)(ABI-009またはnab-ラパマイシンとしても公知である)の安全性および有効性の2パート試験として設計されている。パート1では、登録患者を3つの群に分け、各患者は、単回用量のnab-シロリムスの投与を受ける(群Aの用量:10mg/m2、群Bの用量:20mg/m2、および群Cの用量:30mg/m2)。nab-シロリムスの投与後、最低限7日間、患者の安全性をモニタリングする。パート1の間に、許容できない毒性を経験した患者は、多回用量期(パート2)へと継続しない。パート2では、本検討のパート1において特定された最大耐量(MTD)によって、患者を処置する。患者は、nab-シロリムスを、最大6ヵ月間、30分間にわたる注入で1週間あたり1回の投与を受け、安全性および臨床活性について追跡する。許容できない毒性が観察される場合、用量減量が許容される。臨床活性の証拠および許容可能な毒性を示す患者は、延長プロトコルにおいて、nab-シロリムスの投与を継続して受けることを許可される。パート2では、患者は、許容できない毒性、疾患進行まで、治験責任医師の裁量で、治験責任者の意見で、患者が治療からもはや利益を受けなくなるまで、スポンサーの要求時、同意の撤回または死亡するまで、nab-シロリムスの投与を受ける。
【0271】
初期検査評価は、各患者について行う。初期検査評価は、(1)血糖;(2)血中電解質;(3)血球数;(4)血中ラクテート;(5)血中アンモニア;(6)血中および尿中の代謝物のスクリーニング、および(7)血中および尿中ケトンの評価を含む。
【0272】
追加の二次検査評価を各患者について行う。二次検査評価は、(1)血液および脳脊髄液(CSF)中のラクテート、(2)血中ピルベート、(3)血中ラクテートのピルベートに対する比;(4)血中、尿中およびCSF中のアミノ酸、(5)尿中およびCSF中の有機酸、(6)血中および尿中のカルニチン;(7)血中および尿中のケトン、(8)血中遊離脂肪酸、(9)ミトコンドリアDNAの点変異および(10)遺伝子点変異の評価を含む。
【0273】
患者の適格性は、以下のすべての合致に基づく:(1)リー症候群(例えば、MRIおよび/または遺伝的に確認されたリー症候群を含む)などのミトコンドリア関連障害と診断される、(2)MRIにより壊死性脳症が確認される、(3)項目I~III(これを含む)に関して、>15のNPMDSスコアに基づくと、適度に重症な疾患である、(4)男性または女性患者、(5)登録時に≧1および≦17歳である、(6)体重≧5kg(11ポンド)である、治験責任医師により判定すると、余命が少なくとも6ヵ月である、(7)以下の通りのスクリーニング評価において得られる検査値である:(a)絶対好中球数>1.5×109個の細胞/L、(b)血清クレアチニン<1.5mg/dL(<132.6μmol/L)またはCockcroft-Gault糸球体ろ過率(GFR)>60mL/分、(c)肝機能試験:ASTおよび/またはALT<1.5x正常上限値(ULN)、および/または総ビリルビン<ULN、(d)絶食時血清トリグリセリド<300mg/dL(<3.39mmol/L)、(e)絶食時血清コレステロール<350mg/dL(<9.07mmol/L)、(8)発作を予防または処置するために処方医薬の投与を受けている場合、患者は、スクリーニング訪問前の少なくとも30日間、安定用量を服用していなければならない、(9)妊娠しておらず、かつ妊娠可能な授乳していない女性(WOCBP)、(10)検討薬物の開始の28日前から、および処置期間全体を通じて、および検討薬物の最後の投与の後の6ヵ月、中断なく、有効な避妊を使用することに同意しなければならない、(11)女性が卵管結紮を有している場合でさえも、第2の形態の避妊の使用に同意しなければならない、(12)スクリーニング時に、尿または血清での妊娠検査(β-hCG)に陰性でなければならない、(13)検討の過程中、および検討処置の終了後に、継続的な妊娠検査に合意しなければならない、(14)男性は、検討に参加している間、および検討薬物の最後の投与後の6ヵ月間、禁欲の実施、またはいかなる妊婦もしくはいかなる妊娠可能な女性(WOCBP)とも、性的接触の間、コンドーム(殺精子剤の併用)の使用に同意しなければならない。男性患者が精管切除術の成功を受けた場合でさえも、避妊の第2の形態が要求される、(15)治験審査委員会(IRB)/倫理委員会(EC)に承認を受けたインフォームドコンセント書類および同意書(適用される場合)への署名を含めた、インフォームドコンセントプロセスの完了、および(16)同意年齢未満の患者の場合、臨床試験指示書および要件に遵守することができ、かつ本検討の期間に経過観察訪問をすべて果たす患者の親または保護人。
【0274】
患者除外は、以下のいずれかの合致に基づく:(1)代謝の先天異常の診断が確認されるまたは疑われる、(2)以前の気管形成術、人工呼吸器に依存している、または登録の1ヵ月前以内に非侵襲性の人工呼吸器の補助の使用、(3)治験責任者の意見で、処置期間および経過観察期間の間に透析を必要とする、または必要となる可能性がある腎不全(処置過程の間に腎不全を発症する患者は、検討薬物を中断する)、(4)ラクテートアシドーシスをもたらす、重症な末端臓器低潅流症候群(end-organ hypo-perfusion syndrome)(心不全に続発する)、(5)nab-シロリムス、シロリムス、エベロリムスもしくは任意の他の公知のラパマイシン誘導体/ラパログへの曝露前、または任意の公知のmTOR阻害剤による事前の処置、(6)授乳中である、または妊娠が確認された、もしくは妊娠が疑われる患者、(7)検討薬物の第1の用量の投与を受ける前の30日以内の、検討薬物(適応症の承認を受けていない薬物)のいずれかによる処置、(8)補酵素Q10、ビタミンC、ビタミンEおよび/またはイデバノン(idebanone)を含む超強化食物および/または飲料を含めた、補助食品を現在使用中である(これらすべての補助食品は、登録前に中止しなければならない)、(9)nab-シロリムス、その添加剤のいずれか、または任意のラパマイシン誘導体に既知の過敏性がある、(10)頭蓋内圧、偽脳腫瘍(PTC)および/または乳頭浮腫が確認された、または疑われる患者、(11)スクリーニング時に臨床的に有意なECG所見がある、(12)任意の制御されない深刻な疾病もしくは精神学的状態、医療状態、または他の医療歴がある(治験責任医師の意見で、本検討への患者の参加または本検討結果の解釈を妨害する可能性が高い、異常な検査試験結果を含む)、(13)現在、活動中の悪性腫瘍(適切に処置された非黒色腫皮膚がん、すなわち扁平上皮細胞癌および/または基底細胞癌、子宮頸部の上皮内癌または他の適切に処置された上皮内癌以外)がある、および/または悪性腫瘍に対する継続中の処置が不適格である(患者が治療を完了して、1年間以上疾患がない場合、患者は、現在、活動中の悪性腫瘍を有すると見なされない)、(14)登録前の≦14日に完了した全身性抗感染処置を必要とした最近に罹患した感染症(非合併型尿路感染症または上気道感染症を除外する)がある、(15)適切な治療を受けているのもかかわらず、HbA1c>8%によって定義される、制御されない糖尿病がある、(16)登録の6ヵ月前の間に心筋梗塞があった、(17)症候性うっ血性心不全(CHF)、不安定狭心症、不整脈、制御されない高血圧症または不安定な冠動脈疾患がある、(18)間質性肺疾患および/もしくは肺臓炎、または肺高血圧症の病歴がある、(19)最初の用量分のnab-シロリムスの投与を受ける前の14日以内に、強力な阻害剤、ならびに/またはシトクロムP450(CYP)3A4(CYP3A4)および/もしくはp-グリコタンパク質(p-GP)の誘発剤を使用している(さらに、最初の用量分の検討薬物の投与を受ける前の14日以内に、フェンタニル、アルフェンタニル、アステミゾール、シサプリド、ジヒドロエラゴタミン、ピモジド、キニジン、テルフェナジンなどの狭い治療可能時間を有する任意の公知のCYP3A4基質を使用している)、(20)nab-シロリムスによる処置の間、およびnab-シロリムスの最後の投与の服用後の4週間、生ワクチンによる計画的なワクチン接種を受けた(生ワクチンは、以下に限定されないが、はしか、おたふく風邪、風疹、経口ポリオ、BCG(カルメット-ゲラン桿菌)、黄熱、水痘およびT21a腸チフスを含むことができる)、(21)既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)、活動性B型肝炎またはC型肝炎の感染、(22)登録前の30日以内に、ミトコンドリア疾患に対する検討薬物試験(または、検討中のバイオロジクスによる試験の場合、90日以内)に参加中である、または登録前の30日以内に、疾患に関連する手術介入がある、または(23)治験責任医師の意見で、本検討のすべての要件に完全に遵守する患者の能力に影響を及ぼす恐れがある任意の状態(例えば、服薬遵守に乏しいことが分かっている、またはそれが疑われる、生理学的に不安定である、および地理的な位置)がある。
【0275】
検討の終了(EOS)は、(1)検討を完了した最後の患者の最後の訪問日時、または(2)このプロトコルに事前に指定されている通り、一次解析、二次解析および/または探索的解析に必要な、最後の患者からの最後のデータ点の収集日時のどちらかとして定義する。
【0276】
患者の処置の終了(EOT)は、nab-シロリムスの最後の投与の日時として定義する。患者のEOTは、最後の処置後に安全性評価および手順が行われるときであり、最後の処置は、nab-シロリムスを最後に投与した後、少なくとも4週間(±7日間)行わなければならない。
【0277】
経過観察期間は、EOT訪問後の、検討時の期間である。検討薬物を中止し、かつ検討への参加への全面的な同意を撤回しなかった患者はすべて、生存データおよびnab-シロリムスの臨床活性の収集のために、経過観察期を継続する。経過観察は、死亡、同意の撤回または検討の終了のいずれか最短まで、約12週間毎(+/-3週間)に、継続する。この評価は、記録の精査および/または電話による接触によって行うことができる。
【0278】
本検討のパート2において、最大2回の用量減量が許容される。例えば、患者が、30mg/m2を投与される場合、2段階用量減量は、20mg/m2までの初期用量減量、次に、許容できない毒性が持続する場合、10mg/m2までの第2の用量減量となる。患者が、例えば、20mg/m2を投与される場合、2段階用量減量は、10mg/m2までの初期用量減量、次に、許容できない毒性が持続する場合、5mg/m2までの第2の用量減量となる。患者が、例えば、10mg/m2を投与される場合、2段階用量減量は、5mg/m2までの初期用量減量、次に、許容できない毒性が持続する場合、2.5mg/m2までの第2の用量減量となる。
【0279】
初期用量減量後、毒性が、2週間以内に改善される場合、この患者は、さらなる毒性が現れるまで、初期減量用量の投与を受け続ける。毒性が第1の用量減量の2週間以内に改善されない場合、患者は、あるとしても、第2の用量減量に基づいて投与される。第2の用量減量後、毒性が1週間以内に改善される、または許容可能なレベルまで解決される場合(治験責任医師により判定される)、nab-シロリムスの投与を終了する。用量減量後、毒性が、許容可能なレベルまで改善された場合(治験責任医師によって判定されて文書化される)、患者は、疾患進行、新規のまたは再発性の許容できない毒性があるまで、治験責任医師の意見で、患者が、治療からもはや利益を受けなくなるまで、スポンサーの要求時、または患者の裁量で、治療を受け続ける。
【0280】
パート1に関する一次エンドポイントは、安全性および耐容性、ならびに最大耐容(単回)用量(MTD)の決定を含む。安全性評価は、例えば、重症な有害事象(SAE)/有害事象(AE)、検査パラメータ評価、身体検査、バイタルサインおよびECGの決定を含む。パート2に関する一次エンドポイントは、安全性および耐容性を含む。
【0281】
本検討の二次エンドポイントには、以下に限定されないが、6ヵ月時における、ニューキャッスル小児ミトコンドリア疾患スケール(NPMDS)、粗大運動能力尺度(GMFM)およびクオリティオブライフ(PedsQL)でのベースラインからの変化を検査することにより判定される臨床活性;バリーオルブライトジストニアスケールにより判定される神経筋機能の変化;酸素(O2)飽和度により判定される呼吸器機能の変化および気管形成術の必要性;心機能の変化;脳のMRIにより判定される疾患進行;罹患率(全患者生存数);死亡率(入院数)が含まれ、一次臨床活性エンドポイントに関する、ならびに選択した二次エンドポイントおよび/または探索的および安全性エンドポイントに関する薬物動態/薬理学の関係も検査することができる。
【0282】
本検討に関する探索的目的には、以下に限定されないが、ラクテート、ケトン(例えば、アセト酢酸およびβ-ヒドロキシ酪酸)、解糖経路の代謝産物(例えば、ホスホフルクトキナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、糖トランスポーターGLUT1~GLUT5)、リンパ球、全体還元型および酸化型のグルタチオンペルオキシダーゼ酵素活性、白血球、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ酵素活性、小筋肉の生検から単離した精製ミトコンドリア、シトクロムCオキシダーゼ活性、および呼吸鎖酵素活性などの、血液(例えば、血漿)および他の患者試料(例えば、CSF)中のバイオマーカーの変化が含まれる。
【0283】
有害事象は、米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語基準により等級付けする。身体検査、バイタルサイン、ECG、検査評価(例えば、血清化学、血液)をモニタリングする。
【0284】
疾患進行が実証された後に、患者は、死亡、同意の撤回または検討の終了のいずれか最短まで、12週間毎または必要に応じてそれより高い頻度で、生存しているか追跡される。
【0285】
ラパマイシン濃度を決定するため、全血液試料を採集する。分析用に出荷されるまで、採集した試料をスポンサーにより指定されている中央検査室において、-20℃~-80℃の間の温度で凍結保存する。全血液試料は、高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(HPLC-MS-MS)を使用して、全(遊離+結合)ラパマイシンを分析する。
【0286】
検討のパート1では、試料は、処置1日目(時間0:nab-シロリムスの注入前)の投与直前、注入中(時間:15分時および30分時(注入の終了直前))、および注入後(時間:注入の完了後、1.0、2、4、8、24、48、72、96および168時間)に採集する。検討のパート2では、試料は、処置1日目の投与直前、および任意の後続する処置投与の投与直前、注入中(時間:15分時および30分時(注入の終了直前))、および注入後(時間:注入の完了後、1.0、1.5、2、4、6、8、24、48、72、96および168時間)に採集する。全血液中のラパマイシンに関する濃度対時間データを、非区画解析技法およびWinNonlinソフトウェアを使用して解析する。算出したパラメータには、ピーク濃度(Cmax)、半減期(t1/2)、濃度-時間曲線下面積(AUC)、クリアランス(CL)および定常分布容積(Vss)を含む。単純な回帰モデルを適用して、薬物動態パラメータと用量との関係を評価する。一次臨床活性エンドポイントに関する、ならびに選択した二次エンドポイントおよび/または探索的および安全性エンドポイントに関する薬物動態/薬理学の関係も評価する。
【0287】
さらに、個体の遺伝子変異状態を評価する。遺伝子変異状態は、臨床検討における、個体からの次世代配列決定実験により特定する。さらに、相関的研究を行い、遺伝子変異状態の割合の評価を行い、遺伝子変異状態を有する個体の場合の遺伝子変異状態と臨床的転帰との間の関連性を評価する。
【0288】
登録前に、個体は、例えば、BCS1L、COX15、FOXRED1、GFM1、LRPPRC、MT-ATP6、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MT-TL1、MT-TH、MT-TV、NDUFS1、NDUFA2、NDUFA9、NDUFA10、NDUFA12、NDUFAF2、NDUFAF6、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8、NDUFV1、PDSS2、SDHAおよびSURF1から選択される少なくとも1つの遺伝子などの遺伝子変異に関して、CLIAにより認定を受けている検査室で評価する。
【0289】
保管用パラフィン埋包(PPFE)組織試料を、場合により各個体から得ることができる。
【0290】
バイオマーカー(例えば、代謝産物レベル、酵素および/または補酵素活性レベル)は、サイクル1の1日目、サイクル2の1日目(±3日)、およびサイクル3の1日目(±3日)、次に、その後、2サイクル毎に、各個体について評価する。処置の全過程前および後に、循環(例えば、細胞不含)DNAを解析するため、血液試料を各個体から採集する。
【0291】
様々な生物学試料は、検討過程(例えば、処置前、処置中および処置後)の間に各個体から採集し、この生物学試料を使用して、変異状態および関連バイオマーカーのレベルを評価する。処置中では、例えば、サイクル1の1日目、サイクル2の1日目(±3日)、およびサイクル3の1日目(±3日)、次に、その後、2サイクル毎に、生物学試料を各個体から採集してもよい。血液試料およびまたは組織試料は、処置前および処置後に、各個体から採集する。DNA試料は、次世代配列決定法を使用して解析し、処置に対する応答の尺度として、経時的なミトコンドリアDNAまたは核DNAにおいて特定される遺伝子変異の発生率を評価する。さらに、新しいまたは保管した(例えば、PPFE)筋肉生検、および/もしくは皮膚生検試料を、処置前に、および場合により、処置の過程中(すなわち、処置中)に、各個体から採集する。処置中の筋肉生検試料および/または皮膚生検試料を使用して、個体におけるnab-ラパマイシンの薬力学的作用を評価する。処置への応答後の疾患進行時に、処置後筋肉生検試料および/または皮膚生検試料を各個体から採集して、二次変異、ゲノム増幅または遺伝子の欠失事象を含めた、抵抗性機構を評価する。
【0292】
相関研究を行い、患者のすべての群について、処置と、臨床的利益および/またはクオリティオブライフならびに個々の遺伝子変異状態との関連性を決定する。クオリティオブライフは、最後の処置評価以降の、処置応答の精査および患者の一般的健康の考察の前に評価する。クオリティオブライフは、患者の機能能力、ミトコンドリア関連障害に関連する症状およびその処置、総合的な健康およびクオリティオブライフ、ならびに症候群およびその処置の認識された経済的影響に関する、30項目の患者報告質問票である、EORTC QLQ-C30を使用して測定する。経時的なクオリティオブライフのスケールスコアの軌跡を、流れプロット(stream plot)および標準偏差のエラーバーを含む平均プロットを使用して検討する。各サイクルにおけるベースラインからの変化は、対応のあるt検定を使用して統計学的に試験し、Cohen(1988年)のカットオフ:<0.20=わずか;0.20~<0.50=低度;0.5~<0.8=中度;および≧0.8=高度を使用するMiddel(2002年)の調整を適用した後に、標準応答平均値を解釈する。個々のmTORの活性化異常の割合を記載し、確認された応答との関連性を、フィッシャーの正確確率検定を使用して検討する。進行までの時間および全生存率との関連性を、ログランク検定を使用して検討する。片側p値≦0.10が、全体にわたり統計学的に有意であると見なす。
(実施例4B)
遺伝子的に確認されたリー症候群を有する患者におけるnab-シロリムスの安全性および臨床活性の、複数の施設での第I相非盲検検討
【0293】
この実施例は、リー症候群を有する患者を処置するためのnab-シロリムスの安全性および臨床活性の、複数の施設での第I相非盲検検討を記載する。
【0294】
この検討は、静脈内投与されたnab-シロリムス(ABI-009またはnab-ラパマイシンとしても公知である)の安全性および有効性の用量漸増検討として設計されている。登録された患者を3つの群に分割する:群1(n=4)、10mg/m2、nab-シロリムスを、最大26週間、1週あたり1回または2週間毎に1回、IV投与する;群2(n=4)、20mg/m2、nab-シロリムスを、最大26週間、1週あたり1回または2週間毎に1回、IV投与する;群3(n=4)、30mg/m2、nab-シロリムスを、最大26週間、1週あたり1回または2週間毎に1回、IV投与する。各用量レベルの継続的な安全性は、患者が後続する次に高い用量レベルで登録される前に、評価する。群1において、最低で2名の患者を処置し、群2での登録を開始する前の少なくとも4週間、安全性を追跡する。群2において、最低で2名の患者を処置し、群3での登録を開始する前の少なくとも4週間、安全性を追跡する。スポンサーの裁量において、追加の患者を任意の用量レベルで登録し、追加の安全性データを採集する、または起こり得るいかなる毒性もさらに評価してもよい。許容できない毒性が、いかなる用量レベルでも観察される場合、用量減量が許容される(以下に提示されている、毒性に関する用量減量のガイドラインによる)。患者は、(1)許容できない毒性または疾患進行があるまで、(2)治験責任者の意見で、患者が治療からもはや利益を受けなくなるまで、(3)スポンサーの要求時、(4)同意の撤回、または(5)死亡するまで、治験責任医師の裁量でnab-シロリムスの投与を受ける。処置の6ヵ月後、疾患進行の証拠を、nab-シロリムス中止に関する理由に付け加えてもよい。26週時に臨床活性の証拠を示す患者には、延長プロトコルにおいて、nab-シロリムスの投与を継続して受けることを許可する。
【0295】
患者の適格性は、以下の基準のすべての合致に基づく:(1)遺伝的に確認されたリー症候群(意義不明の変異なし)と診断される、(2)MRIにより壊死性脳症が確認される、(3)項目I~III(これを含む)に関して、>15のNPMDSスコアに基づくと、適度に重症な疾患である、(4)男性または女性患者、(5)登録時に≧1および≦17歳である、(6)体重≧5kg(11ポンド)である、治験責任医師により判定すると、余命が少なくとも12ヵ月である、(7)以下の通りのスクリーニング評価において得られる検査値である:(a)絶対好中球数>1.5×109個の細胞/L、(b)血清クレアチニン<1.5mg/dL(<132.6μmol/L)またはCockcroft-Gault糸球体ろ過率(GFR)>60mL/分、(c)肝機能試験:ASTおよび/またはALT<1.5x正常上限値(ULN)、および/または総ビリルビン<ULN、(d)絶食時血清トリグリセリド<300mg/dL(<3.39mmol/L)、(e)絶食時血清コレステロール<350mg/dL(<9.07mmol/L)、(8)発作を予防または処置するために処方医薬の投与を受けている場合、患者は、スクリーニング訪問前の少なくとも30日間、安定用量を服用していなければならない、(9)妊娠しておらず、かつ妊娠可能な授乳していない女性(WOCBP)、(a)nab-シロリムスの開始の28日前から、および処置期間全体を通じて、およびnab-シロリムスの最後の投与の後の6ヵ月、中断なく、有効な避妊を使用することに同意しなければならない、(b)女性が卵管結紮を有している場合でさえも、第2の形態の避妊の使用に同意しなければならない、(c)スクリーニング時に、尿または血清での妊娠検査(β-hCG)に陰性でなければならない、および(d)検討の過程中、および検討処置の終了後に、継続的な妊娠検査に合意しなければならない、(10)男性は、検討に参加している間、およびnab-シロリムスの最後の投与後の6ヵ月間、禁欲の実施、またはいかなる妊婦もしくはいかなる妊娠可能な女性(WOCBP)とも、性的接触の間、コンドーム(殺精子剤の併用)の使用に同意しなければならず、男性患者が精管切除術の成功を受けた場合でさえも、避妊の第2の形態が要求される、(11)治験審査委員会(IRB)/倫理委員会(EC)に承認を受けたインフォームドコンセント書類および同意書(適用される場合)への署名を含めた、インフォームドコンセントプロセスの完了、および(12)同意年齢未満の患者の場合、臨床試験指示書および要件に遵守することができ、かつ本検討の期間に経過観察訪問をすべて果たす患者の親または保護人。
【0296】
患者除外は、以下の基準のいずれかの合致に基づく:(1)代謝の先天異常の診断が確認されるまたは疑われる、(2)以前の気管形成術、人工呼吸器に依存している、または登録の1ヵ月前以内に非侵襲性の人工呼吸器の補助の使用、(3)治験責任者の意見で、処置期間および経過観察期間の間に透析を必要とする、または必要となる可能性がある腎不全、(4)ラクテートアシドーシスをもたらす、重症な末端臓器低潅流症候群(end-organ hypo-perfusion syndrome)(心不全に続発する)、(5)nab-シロリムス、シロリムス、エベロリムスもしくは任意の他の公知のラパマイシン誘導体/ラパログへの曝露前、または任意の公知のmTOR阻害剤による事前の処置、(6)授乳中である、または妊娠が確認された、もしくは妊娠が疑われる患者、(7)nab-シロリムスの第1の用量の投与を受ける前の30日以内の、検討薬物(適応症の承認を受けていない薬物)のいずれかによる処置、(8)補酵素Q10、ビタミンC、ビタミンEおよび/またはイデバノン(idebanone)を含む超強化食物および/または飲料を含めた、補助食品を現在使用中である(これらすべての補助食品は、登録前に中止しなければならない)、(9)nab-シロリムス、その添加剤のいずれか、または任意のラパマイシン誘導体に既知の過敏性がある、(10)頭蓋内圧、偽脳腫瘍(PTC)、特発性頭蓋内圧亢進症および/または乳頭浮腫が確認された、または疑われる患者、(11)スクリーニング時に臨床的に有意なECG所見がある、(12)任意の制御されない深刻な疾病もしくは精神学的状態、医療状態、または他の医療歴がある(治験責任医師の意見で、本検討への患者の参加または本検討結果の解釈を妨害する可能性が高い、異常な検査試験結果を含む)、(13)現在、活動中の悪性腫瘍(適切に処置された非黒色腫皮膚がん、すなわち扁平上皮細胞癌および/または基底細胞癌、子宮頸部の上皮内癌または他の適切に処置された上皮内癌以外)がある、および/または悪性腫瘍に対する継続中の処置が不適格である(患者が治療を完了して、1年間以上疾患がない場合、患者は、現在、活動中の悪性腫瘍を有すると見なされない)、(14)登録前の≦14日に完了した全身性抗感染処置を必要とした最近に罹患した感染症(非合併型尿路感染症または上気道感染症を除外する)がある、(15)適切な治療を受けているのもかかわらず、HbA1c>8%によって定義される、制御されない糖尿病がある、(16)登録の6ヵ月前の間に心筋梗塞があった、(17)症候性うっ血性心不全(CHF)、不安定狭心症、不整脈、制御されない高血圧症または不安定な冠動脈疾患がある、(18)間質性肺疾患および/もしくは肺臓炎、または肺高血圧症の病歴がある、(19)最初の用量分のnab-シロリムスの投与を受ける前の14日以内に、強力な阻害剤、ならびに/またはシトクロムP450(CYP)3A4(CYP3A4)および/もしくはp-グリコタンパク質(p-GP)の誘発剤を使用している(さらに、最初の用量分のnab-シロリムスの投与を受ける前の14日以内に、フェンタニル、アルフェンタニル、アステミゾール、シサプリド、ジヒドロエラゴタミン、ピモジド、キニジン、テルフェナジンなどの狭い治療可能時間を有する任意の公知のCYP3A4基質を使用している)、(20)nab-シロリムスによる処置の間、およびnab-シロリムスの最後の投与の服用後の4週間、生ワクチンによる計画的なワクチン接種を受けた(生ワクチンは、以下に限定されないが、はしか、おたふく風邪、風疹、経口ポリオ、BCG(カルメット-ゲラン桿菌)、黄熱、水痘およびT21a腸チフスを含むことができる)、(21)既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)、活動性B型肝炎またはC型肝炎の感染、(22)登録前の30日以内に、ミトコンドリア疾患に対する検討薬物試験(または、検討中のバイオロジクスによる試験の場合、90日以内)に参加中である、または登録前の30日以内に、疾患に関連する手術介入がある、または(23)治験責任医師の意見で、本検討のすべての要件に完全に遵守する患者の能力に影響を及ぼす恐れがある任意の状態(例えば、服薬遵守に乏しいことが分かっている、またはそれが疑われる、生理学的に不安定である、および地理的な位置)がある。
【0297】
検討の終了(EOS)は、(1)検討を完了した最後の患者の最後の訪問日時、または(2)このプロトコルに事前に指定されている通り、一次解析、二次解析および/または探索的解析に必要な、最後の患者からの最後のデータ点の収集日時のどちらかとして定義する。
【0298】
患者の処置の終了(EOT)は、nab-シロリムスの最後の投与の日時として定義する。患者のEOTアセスメントは、最後の処置後に安全性評価および手順が行われるときであり、最後の処置は、nab-シロリムスを最後に投与した後、少なくとも4週間(±7日間)行わなければならない。
【0299】
経過観察期間は、EOT訪問後の、検討時の期間である。nab-シロリムスを中止し、かつ検討への参加への全面的な同意を撤回しなかった患者はすべて、生存データおよびnab-シロリムスの臨床活性の収集のために、経過観察期を継続する。経過観察は、死亡、同意の撤回または検討の終了のいずれか最短まで、約12週間毎(+/-3週間)に、継続する。この評価は、記録の精査および/または電話による接触によって行うことができる。
【0300】
2回の用量減量レベルが許容される。第1の用量減量レベルは、開始用量の合計の25%であり、第2の用量減量レベルは、開始用量の合計の50%である。例えば、患者が、30mg/m2を投与される場合、2段階用量減量は、22.5mg/m2までの初期用量減量、次に、許容できない毒性が持続する場合、15mg/m2までの第2の用量減量となる。
【0301】
許容できない毒性(CTCAE診断基準によって≧グレード3である)が起こる場合、開始用量の合計を25%、減量する。初期用量減量後、毒性が、初期用量減量の2週間以内に<グレード3まで改善される場合、この患者は、さらなる毒性が現れるまで、この減量用量の投与を受け続ける。第1の用量減量の2週間以内に、毒性が<グレード3まで改善されない場合、開始用量の合計を50%、減量する。第1の用量減量の1週間以内に、毒性が>グレード3まで悪化した場合、開始用量の合計を50%、減量する。第2の用量減量後、毒性が1週間以内に改善される、または許容可能なレベルまで解決される場合(治験責任医師により判定および文書化される)、nab-シロリムスの投与を終了する。用量減量後、毒性が、許容可能なレベルまで改善された場合(治験責任医師によって判定されて文書化される)、患者は、(1)新規のまたは再発性の許容できない毒性または疾患進行があるまで、(2)治験責任医師の意見で、患者が、治療からもはや利益を受けなくなるまで、(3)スポンサーの要求時まで、または(4)患者の裁量まで、処置を受け続ける。
【0302】
この検討に関する一次エンドポイントは、安全性および耐容性を含む。安全性評価は、例えば、重症な有害事象(SAE)/有害事象(AE)、検査パラメータ評価、身体検査、バイタルサインおよびECGの決定を含む。
【0303】
検討に関する二次エンドポイントは、以下に限定されないが、(1)(a)ニューキャッスル小児ミトコンドリア疾患スケール(NPMDS)、(b)粗大運動能力尺度(GMFM)、(c)クオリティオブライフ(PedsQL)、(d)神経筋機能(バリーオルブライトジストニアスケール)、および(e)リー症候群を有する患者における非承認親/直接看護人観察者報告転帰尺度(non-validated Parent/Direct Caregiver Observer-Reported Outcome Measure in Patients with Leigh syndrome)(Obs-RO-Ls)によって判定される臨床活性の探索評価における、26週時におけるベースラインの変化によって判定される臨床活性、(2)酸素(O2)飽和度により判定される呼吸器機能の変化および気管形成術の必要性、(3)心機能の変化、(4)脳のMRIにより判定される疾患進行、(5)精神的疲労および肉体的疲労(例えば、運動耐容能)、(6)罹患率(全患者生存数)、(7)死亡率(入院数)を含み、(8)選択した安全性および/または臨床的エンドポイントの薬物動態/薬理学の関係も評価してもよい。他の可能な二次エンドポイントには、発達指数(最低、2年間の経過観察)および経時的な頭囲(最低、2年間の経過観察)が含まれる。
【0304】
検討に関する探索目的には、以下に限定されないが:(1)全血液(例えば、血漿)中の、(a)ラクテート、(b)ケトン(例えば、アセト酢酸およびβ-ヒドロキシ酪酸)および/または(c)解糖経路の代謝産物(例えば、ホスホフルクトキナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、および糖トランスポーターGLUT1~GLUT5)の決定、(2)全血液から単離したリンパ球中の、合計、還元型および酸化型のグルタチオンペルオキシダーゼ酵素活性の決定、(3)全血液から単離した白血球中の、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ酵素活性の決定、(4)脳脊髄液(CSF)中のラクテートの決定、(5)小筋肉の生検(実現可能な場合)から単離した精製ミトコンドリア中のシトクロムCオキシダーゼ活性の決定、(6)呼吸鎖酵素活性、および(7)nab-シロリムスによる処置から利益を受け得る将来の臨床検討患者の特定を支援し得る、皮膚生検/線維芽細胞における、潜在的遺伝子マーカーの特徴付けが含まれる。他の探検的目的には、患者試料における、選択したバイオマーカーに関する、追加的な分析対象物および薬物動態/薬力学(PK/PD)の決定が含まれる。
【0305】
nab-シロリムスの少なくとも1つの用量を服用する患者はすべて、安全性に関して評価する。安全性転帰には、重症な有害事象(SAE)、有害事象(AE)、検査試験(例えば、生化学および血液学)、バイタルサイン(例えば、血圧、心拍、呼吸数および体温)、ECG、および用量修正を受ける患者の発生率、投与遅延/投与しない用量、投与妨害、および/またはAEによる検討薬物の早期中止が含まれる。AEはすべて、患者がインフォームドコンセントに署名したときからnab-シロリムスの最後の投与後の28日目まで、治験責任医師によって記録される。有害事象は、米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語基準(CTCAE)により等級付けし、国際医薬用語集(Medical Dictionary for Medical Activities)(MedDRA)を使用してコード化し、その器官別大分類および基本語によりグループ分けする。SAEをすべて(IPとの関係にかかわらず)、解決するまで追跡する。AE、重症なAE、致死的なAEおよび特に注目すべき他のAEを有する患者の数および割合を含めた要約表を作成する。独立データモニタリング委員会(DMC)は、最初の4名の患者が登録されて、少なくとも2回用量分の治療により処置された後、約6ヵ月毎に、安全性データ(例えば、SAE、AEおよび選択した検査パラメータ)を評価する。DMCはまた、すべての患者に関する一次有効性データを精査するが、処置の過程および/または期間に関する助言は行わない。
【0306】
疾患進行が実証された後に、患者は、死亡、同意の撤回または検討の終了のいずれか最短まで、12週間毎または必要に応じてそれより高い頻度で、生存しているか追跡される。
【0307】
ラパマイシン濃度を決定するための全血液試料(最低で2mL)を、EDTAカリウムを含有するVacutainer(登録商標)という管に採集する。分析用に出荷されるまで、試料をスポンサーにより指定されている中央検査室において、-20℃~-80℃の間の温度で凍結保存する。全血液試料は、高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(HPLC-MS-MS)を使用して、全(遊離+結合)ラパマイシンを分析する。
【0308】
試料は、処置1日目、および8日目および15日目の投与直前(時間0:ABI-009の注入前)、注入中(時間:15分時および30分時(注入の終了直前))、および注入後(時間:注入の完了後、1.0、1.5、2、4、6、8、24、48、72、96および168時間)に採集する。全血液中のラパマイシンに関する濃度対時間データを、非区画解析技法およびWinNonlinソフトウェアを使用して解析する。算出したパラメータには、ピーク濃度(Cmax)、半減期(t1/2)、濃度-時間曲線下面積(AUC)、クリアランス(CL)および定常分布容積(Vss)を含む。単純な回帰モデルを適用して、薬物動態パラメータと用量との関係を評価する。安全性および臨床活性エンドポイントに関する、ならびに選択した二次エンドポイントおよび/または探索的エンドポイントに関する薬物動態/薬理学の関係も評価し得る。
【0309】
本検討において登録されたすべての患者から採集したデータに関する記述統計学を行う。転帰尺度の変化を各患者について個々に算出し、ベースラインからの総合的な平均変化をウイルコクソンの符号付き検定を使用して解析する。NPMDSの年齢指定バージョン(登録時の年齢が0~24ヵ月、2~11歳、12~17歳)をこの検討に使用するので、ウイルコクソン検定を使用して、全患者のコホートにわたる処置効果の総合的な有意性を決定する。処置効果の平均変化も、各年齢群に関して個別に算出する。統計的有意性は、p<0.05として定義する。NPMDS、GMFM、PEDsQLおよびリー症候群を有する患者における親/直接看護人観察者報告転帰尺度(Obs-RO-Ls)の個々の一次臨床活性エンドポイントに基づいて、各患者の総合的な転帰を、改善した、安定している、進行中である、または死亡として分類する。
【0310】
妥当な臨床活性(例えば、応答)評価のない患者は、検討不能(NE)であるという最良の総合的応答に割り当てる。NE患者は、応答率の算出に含め、非応答者と見なす。経過観察を受けなかった患者、または時間対事象解析のいずれかにおけるエンドポイントに到達する前に不明な情報を有する患者に由来するデータは、打ち切り日を特定する指定の規則により、打ち切りとして処理する。
(実施例5)
IMR90線維芽細胞中のグルコース消費の阻害
【0311】
この実施例により、nab-シロリムス(ABI-009とも呼ばれる)、ラパマイシンおよびtorin1の投与後に、IMR90におけるmTORが阻害されることを実証する。
【0312】
ヒトIMR90線維芽細胞(ATCC(登録商標)CCL-186(商標);生物:ヒト;細胞タイプ:線維芽細胞;組織:肺;疾患:正常)に、様々な用量のアロステリックmTOR阻害剤であるnab-シロリムス、ラパマイシンおよびtorinを投与した。グルコース使用の阻害の最大応答率を投与後に測定した。
【0313】
図1は、用量-応答実験からの結果を示している。mTOR阻害、すなわちグルコース利用の阻害のこの表現型マーカーに関すると、nab-シロリムスは、ラパマイシンの用量の10分の1、torin1の100分の1の用量で最大の効果があった。したがって、nab-シロリムスは、ラパマイシンおよびtorinのいずれよりも強力であった。極度に高い用量のnab-シロリムスでさえも、毒性は観察されなかった。
【0314】
nab-シロリムスは、EC50に関すると、ラパマイシンまたはtorin1のいずれよりも強力であり、これは、通常のラパマイシンの約5分の1、torin1の約100分の1であった。
【0315】
このグルコース利用の表現型は、完全にmTOR依存性であり、したがって、一次線維芽細胞と不死化線維芽細胞の両方において、mTOR阻害の直接的な読み取り値として使用することができる。
(実施例6)
nab-シロリムスおよびラパマイシンの投与後の、IMR90におけるpS6および総S6に対する応答
【0316】
この実施例により、nab-シロリムス(ABI-009とも呼ばれる)およびラパマイシンの投与後に、IMR90線維芽細胞においてS6リン酸化が阻害されることを実証する。
【0317】
IMR90線維芽細胞に、様々な用量のnab-シロリムスまたはラパマイシンを投与した。S6リン酸化の阻害を決定するため、細胞溶解物を使用した。ビメンチン、S6およびリン酸化S6(pS6)の存在を測定した。
【0318】
nab-シロリムスおよびラパマイシンのどちらも、1ng/mLの用量で、pS6を100%阻害した(
図2)。総S6におけるわずかな応答曲線が観察された(
図2)。