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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191245
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】顔認証システムおよび顔認証方法
(51)【国際特許分類】
   G07C 9/37 20200101AFI20221220BHJP
   G07C 9/38 20200101ALI20221220BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221220BHJP
   G06V 40/16 20220101ALI20221220BHJP
   G06V 40/50 20220101ALI20221220BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G07C9/37
G07C9/38
G06T7/00 510F
G06V40/16 A
G06V40/50
E05B49/00 R
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149111
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2021016817の分割
【原出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 健
(72)【発明者】
【氏名】大園 正司
(57)【要約】
【課題】利用者に対して、体温監視の条件などを告知、同意を得たうえで、顔認証を運用する。
【解決手段】登録機2が、顔認証時における体温情報の取得および体温情報が異常判定された場合にゲート通過を拒否することに関する利用者の同意を得る処理を行うと共に、利用者の登録用の顔画像を取得し、顔管理サーバ5が、登録用の顔画像を蓄積し、顔認証機1が、認証時に利用者の認証用の顔画像および体温情報を取得すると共に、認証時に利用者の体温情報を取得する体温測定を行い、顔照合サーバ6が、登録用の顔画像および認証用の顔画像を照合する顔照合を行うと共に、体温情報が異常であるか否かを判定する体温判定を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設のゲート通過を制御する利用者の顔画像に基づく顔認証と利用者の体温情報を取得する体温測定とを行う顔認証システムであって、
顔認証時における体温情報の取得および前記体温情報が異常判定された場合に前記ゲート通過を拒否することに関する利用者の同意を得る処理を行うと共に、利用者の登録用の顔画像を取得する登録部と、
前記登録用の顔画像を蓄積する顔管理部と、
認証時に利用者の認証用の顔画像および体温情報を取得する1以上の顔認証部と、
前記登録用の顔画像および前記認証用の顔画像を照合する顔照合部と、
認証時に利用者の体温情報を取得する体温測定部と、
前記体温情報が異常であるか否かを判定する体温判定部と、を備えたことを特徴とする顔認証システム。
【請求項2】
さらに、管理者または利用者の操作に応じて、前記体温測定部および前記体温判定部の処理条件に関する設定を管理する設定管理部を備え、
前記設定管理部は、
管理者または利用者の操作に応じて、前記体温測定部および前記体温判定部の処理条件として、前記体温測定部および前記体温判定部の各処理の実施の有無に関する設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の顔認証システム。
【請求項3】
前記設定管理部は、
管理者または利用者の操作に応じて、前記体温判定部の処理条件として、前記体温判定部において体温の異常を判定する際の異常範囲に関する設定を行うことを特徴とする請求項2に記載の顔認証システム。
【請求項4】
前記設定管理部は、
管理者または利用者の操作に応じて、前記体温測定部および前記体温判定部の処理条件として、前記体温測定部および前記体温判定部の各処理の実施期間に関する設定を行うことを特徴とする請求項2に記載の顔認証システム。
【請求項5】
施設のゲート通過を制御する利用者の顔画像に基づく顔認証と利用者の体温情報を取得する体温測定との処理をプロセッサにより実行する顔認証方法であって、
顔認証時における体温情報の取得および前記体温情報が異常判定された場合に前記ゲート通過を拒否することに関する利用者の同意を得る処理を行うと共に、利用者の登録用の顔画像を取得し、
前記登録用の顔画像を蓄積し、
認証時に利用者の認証用の顔画像および体温情報を取得し、
前記登録用の顔画像および前記認証用の顔画像を照合する顔照合を行い、
認証時に利用者の体温情報を取得する体温測定を行うと共に、前記体温情報が異常であるか否かを判定する体温判定を行うことを特徴とする顔認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設の利用者の顔画像に基づく顔認証を行うと共に、利用者の体温情報を取得する体温測定を行う顔認証システムおよび顔認証方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、安全確保や機密保持などの目的で、特定のエリアへ入場しようとする人物に対して個人認証を行い、予め登録された人物以外の人物の入場を規制するシステムが普及している。一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等の感染症の拡大防止の観点から、特定エリアへ入場しようとする人物の健康チェックとして体温を監視し、体温に異常がある場合には、その旨を人物に通知し、場合によっては人物の入場を拒否することが望まれる。
【0003】
このような個人認証と体温監視とを行うシステムに関する技術として、従来、オフィスビルの入口などに設置されるセキュリティゲートにおいて、進入した利用者に対してICカードによる認証を行うと共に、赤外線センサを用いて利用者の体温を測定して、利用者の体温が正常である場合には、セキュリティゲートの扉を開放し、利用者の体温が異常である場合には、セキュリティゲートの扉を閉鎖した状態を維持して利用者が通過できないようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、食品工場などの入場口において、人物の顔を撮影した顔画像に基づいて顔認証を行うと共に、サーマルカメラなどのセンサを用いて人物の体温を測定して、利用者の体温が正常である場合には、ドアを解錠し、利用者の体温が異常である場合には、ドアを施錠した状態を維持して利用者が入場できないようにした技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-085004号公報
【特許文献2】国際公開第2020/050397号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の技術では、個人認証(カード認証や顔認証)と体温監視との両方の結果に基づいて、利用者の通過や入場の可否を判定する。一方、システムによっては、個人認証や体温監視の結果に応じて利用者の通過や入場の可否を判定する条件を、状況に応じて適宜に変更したいといった要望がある。特に、体温監視に関して、例えば、体温の異常を判定する条件を個人ごとに定めたり、あるいは、同じ建物を複数の会社で共有するマルチテナントの建物の玄関に設置されたセキュリティゲートの場合に、会社に応じて体温監視を実施するか否かを定めたり、あるいは、季節などの特定の期間に限って体温監視を実施したりするといった運用が考えられるが、従来の技術では、利用者に対して、体温監視の条件などを告知、同意を得たうえで、顔認証を運用する仕組みについては、何ら配慮されていない。
【0007】
そこで、本発明は、利用者に対して、体温監視の条件などを告知、同意を得たうえで、顔認証を運用することができる顔認証システムおよび顔認証方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の顔認証システムは、施設のゲート通過を制御する利用者の顔画像に基づく顔認証と利用者の体温情報を取得する体温測定とを行う顔認証システムであって、顔認証時における体温情報の取得および前記体温情報が異常判定された場合に前記ゲート通過を拒否することに関する利用者の同意を得る処理を行うと共に、利用者の登録用の顔画像を取得する登録部と、前記登録用の顔画像を蓄積する顔管理部と、認証時に利用者の認証用の顔画像および体温情報を取得する1以上の顔認証部と、前記登録用の顔画像および前記認証用の顔画像を照合する顔照合部と、認証時に利用者の体温情報を取得する体温測定部と、前記体温情報が異常であるか否かを判定する体温判定部と、を備えた構成とする。
【0009】
また、本発明の顔認証方法は、施設のゲート通過を制御する利用者の顔画像に基づく顔認証と利用者の体温情報を取得する体温測定との処理をプロセッサにより実行する顔認証方法であって、顔認証時における体温情報の取得および前記体温情報が異常判定された場合に前記ゲート通過を拒否することに関する利用者の同意を得る処理を行うと共に、利用者の登録用の顔画像を取得し、前記登録用の顔画像を蓄積し、認証時に利用者の認証用の顔画像および体温情報を取得し、前記登録用の顔画像および前記認証用の顔画像を照合する顔照合を行い、認証時に利用者の体温情報を取得する体温測定を行うと共に、前記体温情報が異常であるか否かを判定する体温判定を行う構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者に対して、体温監視の条件などを告知、同意を得たうえで、顔認証を運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る顔認証システムの全体構成図
図2】顔認証機1の外観を示す正面図
図3】顔認証機1の概略構成を示すブロック図
図4】顔認証機1および顔照合サーバ6で行われる処理の概要を示す説明図
図5】登録機2の概略構成を示すブロック図
図6】顔管理サーバ5の概略構成を示すブロック図
図7】顔照合サーバ6の概略構成を示すブロック図
図8】利用者登録時の登録機、顔管理サーバ5および顔照合サーバ6の動作手順を示すシーケンス図
図9】利用者登録時に登録機2のディスプレイ42に表示される画面を示す説明図
図10】顔認証時の顔認証機1および顔照合サーバ6の動作手順を示すシーケンス図
図11】顔認証時の顔認証機1および顔照合サーバ6の動作手順を示すシーケンス図
図12】顔認証機1のディスプレイ14に表示される画面を示す説明図
図13】管理端末4に表示される設定画面を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、施設のゲート通過を制御する利用者の顔画像に基づく顔認証と利用者の体温情報を取得する体温測定とを行う顔認証システムであって、顔認証時における体温情報の取得および前記体温情報が異常判定された場合に前記ゲート通過を拒否することに関する利用者の同意を得る処理を行うと共に、利用者の登録用の顔画像を取得する登録部と、前記登録用の顔画像を蓄積する顔管理部と、認証時に利用者の認証用の顔画像および体温情報を取得する1以上の顔認証部と、前記登録用の顔画像および前記認証用の顔画像を照合する顔照合部と、認証時に利用者の体温情報を取得する体温測定部と、前記体温情報が異常であるか否かを判定する体温判定部と、を備えた構成とする。
【0013】
これによると、利用者に対して、体温監視の条件などを告知、同意を得たうえで、顔認証を運用することができる。
【0014】
また、第2の発明は、さらに、管理者または利用者の操作に応じて、前記体温測定部および前記体温判定部の処理条件に関する設定を管理する設定管理部を備え、前記設定管理部は、管理者または利用者の操作に応じて、前記体温測定部および前記体温判定部の処理条件として、前記体温測定部および前記体温判定部の各処理の実施の有無に関する設定を行う構成とする。
【0015】
これによると、管理者が、顔認証の他に体温監視(体温測定および体温判定)の条件を適宜にカスタマイズでき、管理者または利用者が、体温測定および体温判定を実施するか否かを設定することができる。これにより、例えば、体温測定を実施しない設定や、体温測定は実施するが体温判定は実施しない設定などが可能になる。
【0016】
また、第3の発明は、前記設定管理部は、管理者または利用者の操作に応じて、前記体温判定部の処理条件として、前記体温判定部において体温の異常を判定する際の異常範囲に関する設定を行う構成とする。
【0017】
これによると、管理者または利用者が、体温の異常を判定する際の異常範囲を設定することができる。これにより、例えば、体温の異常範囲を利用者ごと設定することで、体温判定において個人差による誤判定が発生することを抑制することができる。
【0018】
また、第4の発明は、前記設定管理部は、管理者または利用者の操作に応じて、前記体温測定部および前記体温判定部の処理条件として、前記体温測定部および前記体温判定部の各処理の実施期間に関する設定を行う構成とする。
【0019】
これによると、体温による健康チェックが必要な期間、例えば感染症の流行期間に限定して、体温測定および体温判定を実施することができる。
【0020】
また、第5の発明は、施設のゲート通過を制御する利用者の顔画像に基づく顔認証と利用者の体温情報を取得する体温測定との処理をプロセッサにより実行する顔認証方法であって、顔認証時における体温情報の取得および前記体温情報が異常判定された場合に前記ゲート通過を拒否することに関する利用者の同意を得る処理を行うと共に、利用者の登録用の顔画像を取得し、前記登録用の顔画像を蓄積し、認証時に利用者の認証用の顔画像および体温情報を取得し、前記登録用の顔画像および前記認証用の顔画像を照合する顔照合を行い、認証時に利用者の体温情報を取得する体温測定を行うと共に、前記体温情報が異常であるか否かを判定する体温判定を行う構成とする。
【0021】
これによると、第1の発明と同様に、利用者に対して、体温監視の条件などを告知、同意を得たうえで、顔認証を運用することができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る顔認証システムの全体構成図である。
【0024】
この顔認証システムは、顔認証機1(顔認証装置、顔認証部)と、登録機2(顔認証登録装置、登録部)と、顔認証サーバ3(サーバ装置)と、管理端末4と、を備えている。顔認証サーバ3は、顔管理サーバ5(サーバ装置、顔管理部)と、顔照合サーバ6(サーバ装置)を備えている。
【0025】
顔認証機1と登録機2と管理端末4と顔管理サーバ5と顔照合サーバ6とは、インターネットなどのネットワークを介して接続されている。顔認証システムは、顔認証サービスの提供者(事業者)ごとに構築される。顔認証機1は、建物の出入口や部屋の出入口など、顔認証が必要とされる場所ごとに複数設置される。登録機2は、施設の来訪者等の受付を行う受付カウンタなどに配置される。顔照合サーバ6は、顔認証機1の台数などに応じて所要の数が設けられる。
【0026】
顔認証機1は、利用者(被認証者)を撮影して認証用の顔画像を取得し、その顔画像を顔照合サーバ6に送信して顔照合を行わせ、顔照合サーバ6から顔照合結果を取得して、その顔照合結果を利用者に提示する。
【0027】
登録機2は、利用者の操作に応じて、利用者の顔を撮影して登録用の顔画像を取得する。この登録機2で取得した登録用の顔画像は、顔管理サーバ5に登録される。また、登録用の顔画像から抽出された顔特徴量が顔照合サーバ6に登録される。
【0028】
管理端末4は、管理者が操作するものであり、PCで構成され、顔認証機1、登録機2、顔管理サーバ5および顔照合サーバ6の動作を管理する管理アプリケーションがインストールされている。この管理アプリケーションにより、管理者が種々の管理業務を行うことができる。
【0029】
顔管理サーバ5は、登録された利用者に関する情報、具体的には、利用者の姓名や顔画像などの情報を管理する。また、顔管理サーバ5は、顔認証機1に関する情報、具体的には、顔認証機1の機器IDや設置場所、および顔認証機1の処理条件などの情報を管理する。また、顔管理サーバ5は、顔照合サーバ6に関する情報、具体的には、顔認証機1と顔照合サーバ6との対応付け、および顔照合サーバ6の処理条件などの情報を管理する。
【0030】
顔照合サーバ6は、顔認証時に、利用者(被認証者)の顔画像を顔認証機1から取得して、その顔画像から利用者の顔特徴量を生成して、その利用者の顔特徴量と、自装置に保管された登録者(登録済みの人物)の顔特徴量とを比較することによる顔照合を行って利用者を特定する。
【0031】
また、顔照合サーバ6は、顔認証に先だって、利用者の登録時に、利用者の顔画像を管理端末4から取得して、その顔画像から顔特徴量を生成して自装置に保管する。なお、利用者の撮影画像を管理端末4から取得して、顔照合サーバ6において撮影画像から顔画像を取得することもできる。
【0032】
外部装置7は、建物の玄関に設置されたゲート装置(セキュリティゲート)や、執務室や会議室の入口のドアに設けられたドアロック装置である。外部装置7としてのゲート装置は、そのゲート装置に併設された顔認証機1(入室チェッカー)により扉の開閉が制御される。外部装置7としてのドアロック装置は、執務室や会議室の入口に設けられた顔認証機1(ゲートチェッカー)により解錠および施錠が制御される。
【0033】
なお、本実施形態では、顔管理サーバ5と顔照合サーバ6とを、それぞれ物理的に異なる情報処理装置により構成されるものとしたが、顔管理サーバ5および顔照合サーバ6の機能が、単一の情報処理装置により実現されるものとしてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、管理端末4と顔管理サーバ5とを設けるようにしたが、管理端末4と顔管理サーバ5とを単一の情報処理装置で構成することができる。例えば顔管理サーバ5に管理アプリケーションをインストールすることで、顔管理サーバ5が管理端末4を兼用することができる。
【0035】
また、本実施形態では、顔照合として顔特徴量の照合を行うようにしたが、顔照合は、顔特徴量の照合に限定されず、機械学習などを利用した照合方法を採用してもよい。さらに、本実施形態は、顔認証以外の生体認証にも適用することができる。
【0036】
次に、顔認証機1の外観について説明する。図2は、顔認証機1の外観を示す正面図である。図2(A)は、執務室や会議室の入口に設けられた顔認証機1(入室チェッカー)の例であり、図2(B)は、建物の玄関に設置されたゲート装置(セキュリティゲート)に設けられた顔認証機1(ゲートチェッカー)の例である。
【0037】
図2(A)に示す顔認証機1(入室チェッカー)は、執務室や会議室の入口近傍の壁面に設置される壁掛け式のものであり、執務室や会議室の入室時に顔認証を行う。この顔認証機1は、顔認証用カメラ11(顔認証用のセンサ)と、サーマルカメラ12(温度検出用のセンサ)と、距離カメラ13(距離測定用のセンサ)と、ディスプレイ14(表示部)と、を備えている。
【0038】
顔認証用カメラ11は、被写体としての利用者(被認証者)を撮影する。この顔認証用カメラ11は、可視光撮像素子を備えたRGBカメラ(可視光カメラ)であり、RGB画像(カラー画像)を顔認証用画像として出力する。
【0039】
サーマルカメラ12は、顔認証用カメラ11と同様に、被写体としての利用者(被認証者)を撮影する。このサーマルカメラ12は、遠赤外線撮像素子を備えており、遠赤外線の強弱を検知することで被写体の温度を計測し、被写体の温度に関する情報が画素単位で格納された温度画像(温度検出用画像)を出力する。
【0040】
距離カメラ13は、被写体としての利用者までの距離を測定する。この距離カメラ13は、上下に2つの可視光カメラ13a,13bを備えたステレオカメラ(3Dカメラ)であり、内部のプロセッサ(図示せず)が、左右の可視光カメラ13a,13bから出力される左右の可視画像に基づいて、両者の視差によるステレオ測距を行い、3次元情報(被写体の3次元位置情報)、具体的には、被写体までの距離に関する情報が画素単位で格納された距離画像(距離情報)を生成する。また、距離カメラ13は、キャリブレーションのための近赤外線を投射する投射器13cを備えている。なお、可視光カメラは近赤外線領域も検出可能である。
【0041】
ディスプレイ14は、顔認証の進行状況や顔認証結果などを表示し、利用者(被認証者)がそれらを確認することができる。なお、利用者の認証結果を出力する出力部としてスピーカーを設けて、顔認証結果などを音声で利用者に通知するようにしてもよい。
【0042】
図2(B)に示す顔認証機1(ゲートチェッカー)は、建物の玄関に設置された外部装置7としてのゲート装置(セキュリティゲート)に設けられる。この場合、顔認証機1は、図2(A)に示す顔認証機1と同様に、顔認証用カメラ11、サーマルカメラ12、および距離カメラ13を備えるが、ディスプレイ14は省略される。
【0043】
なお、適宜な場所への入場時に顔認証を行うために、フロア上に載置されるスタンド式の顔認証機1も可能であり、この場合、顔認証用カメラ11、サーマルカメラ12、および距離カメラ13、およびディスプレイ14を備えた構成とすることもできる。
【0044】
また、本実施形態では、顔認証用カメラ11が、可視光撮像素子により顔認証用画像(可視画像)を撮影するものとしたが、暗い状態でも顔認証が可能なように、赤外線を検出可能な撮像素子を備えた構成としてもよい。この場合、顔認証用カメラ11は、サーマルカメラ12を兼用することができる。このとき、撮像素子の出力に対する信号処理方法に応じて、顔認証(画像認識)に適した赤外画像を顔認証用画像として生成すると共に、温度検出に適した赤外画像を温度画像として生成することができる。
【0045】
また、本実施形態では、ステレオカメラ方式の距離カメラ13を用いるが、測定対象とする人物の顔までの距離を測定できるものであればその方式は特に限定されず、例えばTOF(Time Of Flight)方式のセンサでもよい。
【0046】
次に、顔認証機1の概略構成について説明する。図3は、顔認証機1の概略構成を示すブロック図である。図4は、顔認証機1および顔照合サーバ6で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0047】
顔認証機1は、顔認証用カメラ11、サーマルカメラ12、距離カメラ13、およびディスプレイ14の他に、通信部15と、制御信号送信部16と、記憶部17と、制御部18と、を備えている。
【0048】
通信部15は、ネットワークを介して顔管理サーバ5と通信を行う。また、通信部15は、ネットワークを介して顔照合サーバ6と通信を行う。
【0049】
制御信号送信部16は、外部装置7、具体的には、執務室や会議室の入口のドアに設けられたドアロック装置や、建物の玄関に設置されたゲート装置(セキュリティゲート)に対し、その動作を制御するための制御信号を送信する。
【0050】
記憶部17は、制御部18を構成するプロセッサで実行される制御プログラムなどを記憶する。また、記憶部17は、顔認証用カメラ11で撮影された顔認証用画像や、その顔認証用画像から抽出された顔画像を記憶する。
【0051】
制御部18は、顔画像抽出部21と、顔照合要求部22と、結果通知部23と、外部連携部24と、測定対象部位情報取得部25と、体温測定部26と、を備えている。この制御部18は、プロセッサで構成され、制御部18の各部は、記憶部17に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0052】
顔画像抽出部21は、顔認証用カメラ11により利用者を撮影した顔認証用画像を取得して、その顔認証用画像から人物の顔を検出して顔領域を切り出すことにより、利用者の顔画像を取得する。
【0053】
顔照合要求部22は、顔照合サーバ6に顔照合のリクエストを通信部15によって送信する。
【0054】
結果通知部23は、通信部15によって顔照合サーバ6から取得した顔照合結果および体温判定結果をディスプレイ14に表示することにより、顔照合結果および体温判定結果を利用者に通知する。
【0055】
外部連携部24は、顔照合サーバ6から取得した利用者の顔照合結果に基づき外部装置7(ドアロック装置やゲート装置)と連携した制御を行う。具体的には、外部装置7に所要の動作を行わせる制御信号を送信するように制御信号送信部16を制御する。
【0056】
測定対象部位情報取得部25は、対応付け処理部31と、位置取得部32と、距離測定部33と、を備えている。
【0057】
対応付け処理部31は、距離カメラ13で取得した距離画像と、予め取得したキャリブレーション情報、具体的には、顔認証用カメラ11とサーマルカメラ12との位置関係に関する情報などに基づいて、温度画像上の位置と顔認証用画像上の位置とを対応付ける対応付け情報を生成する。この対応付け情報により、顔認証用カメラ11とサーマルカメラ12との間隔に応じた顔認証用画像と温度画像との間の視差に基づく画像上の位置のずれを補正することができる。
【0058】
位置取得部32は、顔画像抽出部21で行われる顔検出により取得した顔認証用画像上の顔領域の位置に基づいて、顔認証用画像上の測定対象部位の位置を取得し、その顔認証用画像上の測定対象部位の位置と、対応付け処理部31で取得した対応付け情報とに基づいて、温度画像上の測定対象部位の位置を取得する。
【0059】
ここで、本実施形態では、顔領域の一部、例えば額部分や眼の周辺部分を測定対象部位とする。このとき、顔画像から眼を検出して、顔画像における眼より上側の部分を額部分とすればよい。また、眼を中心にした所定範囲を眼の周辺部分とすればよい。
【0060】
また、利用者が眼鏡を着用している場合、眼の周辺部分の温度を正確に検出できない。また、利用者の頭髪などで額部分が隠れている場合、額部分の温度を正確に検出できない。そこで、測定対象部位に優先順位を設定すると共に、測定対象部位が温度を正確に検出できる状態であるか否かを判定し、優先順位の高い測定対象部位が温度を正確に検出できる状態でない場合には次の順位の測定対象部位の温度を取得するものとしてもよい。
【0061】
例えば、眼の周辺部分を第1の順位とし、額部分を第2の順位とし、頬部分を第3の順位とする。そして、利用者が眼鏡を着用しているか否かを判定し、眼鏡を着用していない場合には、第1の順位の眼の周辺部分を測定対象部位とする。一方、眼鏡を着用している場合には、頭髪などで額部分が隠れているか否かを判定し、頭髪などで額部分が隠れていない場合には、第2の順位の額部分を測定対象部位とする。一方、頭髪などで額部分が隠れている場合には、第3の順位の頬部分を測定対象部位とする。この場合、測定対象部位の違いによる影響を抑えるため、額部分と眼の周辺部分と頬部分との標準的な温度差に基づいて、測定値を補正してもよい。
【0062】
また、眼鏡を着用しているか否かの判定や、頭髪などで額部分が隠れているか否かの判定では、画像認識により眼鏡や頭髪などの物体を検出するようにしてもよいが、眼鏡を着用している場合には眼の周辺部分の温度が異常に低い値となり、また、頭髪などで額部分が隠れている場合には額部分の温度が異常に低い値となるため、検出された温度に基づいて、眼鏡を着用しているか否かの判定や、頭髪などで額部分が隠れているか否かの判定を行うものとしてもよい。
【0063】
また、利用者の頭髪または利用者の着用物(眼鏡、マスクなど)で覆われていない体表部分を測定対象部位として、その測定対象部位の温度を検出するものとしてもよい。この場合、頭髪や着用物で覆われた部分は温度が異常に低くなることから、検出された温度が異常に低い場合は体表温度ではないと判断して、その部分を除外した部分を測定対象部位として温度を検出する。
【0064】
また、顔領域の全部を測定対象部位としてもよい。この場合、顔領域内で最も高い温度を取得するものとしてもよい。また、顔領域の温度を統計処理するようにしてもよい。例えば顔領域の温度の最頻値を取得するようにしてもよい。
【0065】
距離測定部33は、距離カメラ13で取得した距離画像に基づいて、測定対象部位までの距離を取得する。
【0066】
体温測定部26は、温度検出部35と、温度補正部36と、を備えている。
【0067】
温度検出部35は、測定対象部位情報取得部25の位置取得部27により取得した温度画像上の測定対象部位の位置に基づいて、温度画像上の測定対象部位の温度を検出することにより、測定対象部位の温度を取得する。
【0068】
温度補正部36は、距離測定部33で取得したサーマルカメラ12から測定対象部位までの距離に基づいて、温度検出部35で取得した測定対象部位の温度の測定値を補正する。具体的には、距離が長くなるのに応じて温度の補正幅が大きくなる特性を示す数式やテーブルなどを用いて、距離に応じた補正幅により温度の測定値を補正する。この体温補正部92で取得した測定対象部位の補正済みの温度は、体温情報として顔照合サーバ6に送信される。
【0069】
なお、本実施形態では、顔認証機1の測定対象部位情報取得部25により、顔認証用画像および距離画像に基づいて、温度画像上の測定対象部位の位置を取得するが、この測定対象部位情報取得部25の処理が、顔照合サーバ6で行われてもよい。また、本実施形態では、顔認証機1の体温測定部26により、温度画像上の測定対象部位の位置に基づいて、測定対象部位の温度を取得するが、この体温測定部26の処理が、顔照合サーバ6で行われてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、顔認証機1のサーマルカメラ12により取得した温度画像に基づいて、非接触で人物の体温を測定するが、この温度画像から検出される温度は体表温度であり、正確な体温としての体内深部温度とは異なるため、温度画像から検出された体表温度を体内深部温度に補正する処理を行うようにしてもよい。
【0071】
次に、登録機2の概略構成について説明する。図5は、登録機2の概略構成を示すブロック図である。
【0072】
登録機2は、顔撮影用カメラ41と、ディスプレイ42(表示部)と、通信部43と、記憶部44と、制御部45と、を備えている。なお、この登録機2は、タブレット端末に顔認証登録用のアプリケーションをインストールすることで構成することができる。
【0073】
顔撮影用カメラ41は、利用者(登録対象者)の顔を撮影することにより、利用者の撮影画像を取得することができる。
【0074】
ディスプレイ42は、利用者に登録手順を案内する画面(図9参照)を表示する。また、ディスプレイ42をタッチパネルが一体化された構成とすることで、利用者がタッチ操作により画面操作を行うことができる。なお、登録機2にスピーカーを設けて、登録手順等を利用者に音声で案内するようにしてもよい。
【0075】
通信部43は、ネットワークを介して顔管理サーバ5と通信を行う。
【0076】
記憶部44は、制御部45を構成するプロセッサで実行される制御プログラムなどを記憶する。
【0077】
制御部45は、顔画像抽出部46と、登録要求部47と、GUI制御部48と、を備えている。この制御部45は、プロセッサで構成され、制御部45の各部は、記憶部44に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0078】
顔画像抽出部46は、顔撮影用カメラ41から利用者の撮影画像を取得して、その撮影画像から人物の顔を検出して、撮影画像から顔領域を切り出すことにより、利用者の顔画像を取得する。
【0079】
登録要求部47は、顔管理サーバ5に対し、利用者登録のリクエストを通信部43によって送信する。
【0080】
GUI制御部48は、顔管理サーバ5から配信される利用者に対する各種の案内画面をディスプレイ42に表示する。また、ディスプレイ42(ここでは、タッチパネル)の入力機能を用いた利用者の入力操作に応じて、入力情報を取得するとともに画面制御を行う。
【0081】
なお、登録機2が、利用者が提示した名刺や社員証なとのカードを撮影するカード撮影用カメラを備え、このカード撮影用カメラの撮影画像に含まれる利用者の特定情報(氏名など)や顔画像などを取得するものとしてもよい。また、非接触リーダを用いて、利用者のICカードやRFタグに書き込まれた特定情報や顔画像を取得するものとしてもよい。
【0082】
次に、顔管理サーバ5の概略構成について説明する。図6は、顔管理サーバ5の概略構成を示すブロック図である。
【0083】
顔管理サーバ5は、通信部51と、記憶部52と、制御部53と、を備えている。
【0084】
通信部51は、ネットワークを介して顔認証機1と通信を行う。また、通信部51は、登録機2と通信を行う。また、ネットワークを介して管理端末4と通信を行う。また、通信部51は、顔照合サーバ6と通信を行う。
【0085】
記憶部52は、制御部53を構成するプロセッサで実行される制御プログラムなどを記憶する。また、記憶部52は、顔情報データベースの登録情報を記憶する。顔情報データベースには、登録された利用者に関する情報として、利用者の姓名、顔画像などが登録される。なお、利用者の顔画像はプライバシー保護のために暗号化された状態で記憶されるものとしてもよい。
【0086】
制御部53は、利用者管理部61と、顔情報管理部62と、設定管理部63と、を備えている。この制御部53は、プロセッサで構成され、制御部53の各部は、記憶部52に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0087】
利用者管理部61は、利用者の登録用の顔画像および特定情報(氏名など)などの利用者に関する情報を管理する。
【0088】
設定管理部63は、顔認証機管理部64と、顔照合サーバ管理部65と、を備えている。
【0089】
顔認証機管理部64は、管理端末4での管理者の操作、および顔認証機1での利用者の操作に応じて、顔認証機1の処理条件などに関する設定を管理する。本実施形態では、顔認証機1の体温測定部26(図3図4参照)の処理条件として、体温測定の実施の有無に関する条件や、体温測定の実施期間に関する条件などが設定される。
【0090】
顔照合サーバ管理部65は、管理端末4での管理者の操作、および顔認証機1での利用者の操作に応じて、顔照合サーバ6の処理条件などに関する設定を管理する。本実施形態では、顔照合サーバ6の体温判定部76(図4図7参照)の処理条件として、体温判定の処理内容に関する条件(異常範囲など)や、体温判定の実施期間に関する条件などが設定される。
【0091】
次に、顔照合サーバ6の概略構成について説明する。図7は、顔照合サーバ6の概略構成を示すブロック図である。
【0092】
顔照合サーバ6は、通信部71と、記憶部72と、制御部73と、を備えている。
【0093】
通信部71は、ネットワークを介して顔認証機1と通信を行う。また、通信部71は、ネットワークを介して顔管理サーバ5と通信を行う。
【0094】
記憶部72は、制御部73を構成するプロセッサで実行される制御プログラムなどを記憶する。また、記憶部72は、顔照合データベースの登録情報を記憶する。顔照合データベースには、利用者(登録済みの人物)に関する情報として、顔照合時に被認証者の顔特徴量の比較対象となる登録済みの人物の顔特徴量などが登録される。
【0095】
制御部73は、顔照合部75と、体温判定部76と、認証ログ管理部77と、を備えている。この制御部73は、プロセッサで構成され、制御部73の各部は、記憶部72に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0096】
顔照合部75は、顔特徴量生成部81と、顔特徴量管理部82と、顔特徴量照合部83と、を備えている。
【0097】
顔特徴量生成部81は、利用者登録時および顔認証時に、登録用の顔画像および認証用の顔画像から顔特徴点を検出して顔特徴量をそれぞれ生成する。
【0098】
顔特徴量管理部82は、利用者登録時に、顔特徴量生成部91で生成した利用者の顔特徴量を顔照合データベースに登録する。
【0099】
顔特徴量照合部83は、顔認証時に、顔認証機1から取得した認証用の顔画像から生成した利用者(被認証者)の顔特徴量と、自装置に保管された利用者(登録済みの人物)の顔特徴量とを比較して、利用者(被認証者)を特定する。
【0100】
体温判定部76は、顔認証機1から取得した体温情報(測定対象部位の温度)に基づいて、利用者の体温が異常であるか否か、すなわち発熱の可能性があるか否かを判定する。具体的には、測定対象部位の温度が異常範囲(発熱範囲)に含まれるか否かに応じて体温の異常を判定する。本実施形態では、顔照合処理で特定された利用者により予め入力された平熱(平常時の体温)を基準にして、体温の異常範囲が設定される。具体的には、平熱に所定値(例えば0.5度や1.0度)を加算した値を、異常範囲の下限となるしきい値に設定する。そして、測定対象部位の温度が異常範囲に含まれる、すなわち、測定対象部位の温度がしきい値以上となる場合は体温が異常であると判定する。
【0101】
認証ログ管理部77は、顔認証機1から自装置に顔認証の要求が行われると、そのときの情報、すなわち、顔認証の要求元の顔認証機1の機器ID、顔照合結果などの情報を、認証ログとして記憶部72に蓄積する。また、顔管理サーバ5からの要求に応じて、認証ログを顔管理サーバ5に提供する。
【0102】
なお、本実施形態では、顔照合サーバ6の体温判定部76により、利用者の体温が異常であるか否かを判定するものとしたが、この体温判定部76の処理が、顔認証機1で行われるものとしてもよい。
【0103】
ところで、本実施形態では、顔認証用画像上の測定対象部位の位置と、対応付け情報とに基づいて、温度画像上の測定対象部位の位置を取得し、その温度画像上の測定対象部位の位置に基づいて、温度画像上の測定対象部位の温度を検出することにより、測定対象部位の温度を取得するものとしたが、このような方法に限定されない。
【0104】
例えば、顔認証用画像に対する温度画像の全体的なずれを補正する画像処理を行った上で、温度画像上の測定対象部位の温度を検出することにより、測定対象部位の温度を取得するものとしてもよい。すなわち、対応付け情報に基づいて、温度画像を顔認証用画像と同一の視点から見た状態に変換する画像処理を行い、顔認証用画像上の測定対象部位の位置に基づいて、画像処理された温度画像上の測定対象部位の温度を検出することにより、測定対象部位の温度を取得する。
【0105】
次に、利用者登録時の登録機2、顔管理サーバ5および顔照合サーバ6の動作手順について説明する。図8は、利用者登録時の登録機2、顔管理サーバ5および顔照合サーバ6の動作手順を示すシーケンス図である。
【0106】
登録機2では、まず、利用者が利用者登録の操作を行う画面(図9(A)~(E)参照)が順次表示される。これらの画面において利用者が必要な操作を行うと、登録機2は、利用者登録のリクエストを顔管理サーバ5に送信する。この利用者登録のリクエストには、利用者の顔画像、平熱に関する情報、および利用者が個人情報取扱い規定に同意したことを表す情報などが含まれる。
【0107】
顔管理サーバ5では、登録機2からの利用者登録のリクエストを受信すると、顔照合サーバ6に顔登録のリクエストを送信する。この顔登録のリクエストには利用者の顔画像が含まれる。
【0108】
顔照合サーバ6では、顔管理サーバ5からの顔登録のリクエストを受信すると、顔登録処理を行う。この顔登録処理では、利用者の顔画像から顔特徴量を生成して、その顔特徴量を顔照合データベースに登録する。そして、顔登録のレスポンスを顔管理サーバ5に送信する。
【0109】
顔管理サーバ5では、顔照合サーバ6からの顔登録のレスポンスを受信すると、顔照合サーバ6での処理が正常に終了している場合には、利用者に関する登録処理を行う。この登録処理では、登録機2から取得した利用者の情報を顔情報データベースに登録する。そして、利用者登録のレスポンス(完了報告)を登録機2に送信する。
【0110】
登録機2では、顔管理サーバ5からの利用者登録のレスポンスを受信すると、登録完了画面(図9(F)参照)を表示する。また、登録機2では、自装置に保持された利用者の顔画像および平熱に関する温度情報を削除する。
【0111】
次に、登録機2で行われる利用者登録操作について説明する。図9は、利用者登録時に登録機2のディスプレイ42に表示される画面を示す説明図である。なお、ここでは、利用者(利用者登録の対象者)自身が画面操作を行う場合について説明するが、利用者登録の係員が画面操作を行うことも可能である。
【0112】
登録機2のディスプレイ42には、まず、図9(A)に示す画面(初期画面)が表示される。この図9(A)に示す画面には、登録開始ボタン101が設けられている。この登録開始ボタン101を利用者が操作すると、図9(B)に示す画面に遷移する。
【0113】
図9(B)に示す画面は、利用者に個人情報取扱い規定を確認させるものである。この画面には、顔認証システムにおける個人情報取扱い規定を表す文字102が表示される。個人情報取扱い規定には、登録時および認証時において利用者の顔の撮影により顔画像を取得することと、認証時において利用者の体温の測定により体温情報を取得することが記載されている。また、この画面には、同意ボタン103と中止ボタン104とが設けられている。利用者は、個人情報取扱い規定に同意するか否かに応じて同意ボタン103または中止ボタン104を操作する。同意ボタン103を利用者が操作すると、図9(C)に示す画面に遷移する。中止ボタン104を利用者が操作すると、利用者登録が中止される。
【0114】
図9(C)に示す画面は、利用者に平熱(平常時の体温)を入力させるものである。この画面には、利用者に平熱を入力するように促す文字105と、入力された平熱を表示させる体温表示欄106と、平熱を入力するためのテンキー107と、登録ボタン108と、スキップボタン109とが設けられている。テンキー107を操作して数値を選択すると、選択された数値が体温表示欄106に表示される。利用者は、体温表示欄106に表示された数値を確認して、誤りがない場合には登録ボタン117を操作する。これにより平熱が入力した値で登録され、図9(D)に示す画面に遷移する。スキップボタン109は、平熱の入力を省略するものであり、このスキップボタン109を利用者が操作すると、平熱を入力することなく、次の図9(D)に示す画面に遷移する。
【0115】
なお、図9(C)に示す画面では、平熱を基準にして利用者ごとに体温の異常範囲を設定するため、各人の平熱(平常時の体温)を利用者に入力させるものとしたが、一律に所定値(例えば37.5度)以上を異常範囲に設定することも可能である。
【0116】
図9(D)に示す画面は、利用者に顔画像を撮影させるものである。この画面には、顔画像の撮影要領を説明する文字111と、撮影枠112と、撮影画像113と、が表示される。撮影画像113は、顔認証用カメラ11による撮影された画像であり、撮影枠112内に表示される。利用者は、撮影枠112内に表示された撮影画像113を見て、利用者の顔が適切に撮影されるように顔の位置や向きを調整する。また、この画面には、撮影ボタン114と中止ボタン115とが設けられている。利用者が撮影ボタン114を操作すると、登録機2の顔認証用カメラ11による利用者の撮影が実行される。中止ボタン115を利用者が操作すると、利用者登録が中止される。顔認証用カメラ11による顔画像の撮影が正常に終了すると、図9(E)に示す画面に遷移する。
【0117】
図9(E)に示す画面には、利用者に顔画像を確認させるものである。この画面には、顔画像が適切に撮影されているか否かの確認を促す文字116と、撮影画像(顔画像)113と、が表示される。また、この画面には、登録ボタン117と再撮影ボタン118と中止ボタン119とが設けられている。利用者の顔が適切に撮影される場合には、利用者は登録ボタン117を操作する。この場合、図9(F)に示す登録完了の画面に遷移する。利用者の顔が適切に撮影されていない場合には、利用者は再撮影ボタン118を操作する。この場合、利用者に顔画像を撮影させる画面(図9(D)参照)に戻る。中止ボタン119を利用者が操作すると、利用者登録が中止される。
【0118】
図9(F)に示す画面は、登録が完了したことを利用者に通知するものである。この画面には、終了ボタン120が設けられている。利用者が終了ボタン120を操作すると、登録機2における登録操作が終了する。
【0119】
なお、本実施形態では、利用者の手入力により利用者の平熱(平常時の体温)が登録されるものとしたが、登録機2にサーマルカメラを設けて、利用者登録時に利用者の体温を測定して、その体温が平熱として自動であるいは利用者の了承を経て登録されるものとしてもよい。
【0120】
次に、建物の玄関に設置されたゲート装置(セキュリティゲート)に設けられた顔認証機1(ゲートチェッカー)による顔認証時の顔認証機1および顔照合サーバ6の動作手順について説明する。図10は、顔認証時の顔認証機1および顔照合サーバ6の動作手順を示すシーケンス図である。
【0121】
顔認証機1では、まず、顔認証用カメラ11により撮影された顔認証用画像から人物を検知すると、その顔認証用画像から顔画像を取得する。また、顔認証機1では、サーマルカメラ12により撮影された温度画像を取得して、その温度画像に基づいて測定対象部位の温度を体温として測定する。そして、顔照合および体温判定のリクエストを顔照合サーバ6に送信する。このリクエストには、顔画像および体温情報が含まれる。
【0122】
顔照合サーバ6では、顔認証機1からの顔照合および体温判定のリクエストを受信すると、そのリクエストに含まれる顔画像から生成した利用者の顔特徴量と、自装置に保管された登録者(登録済みの人物)の顔特徴量とを比較して、利用者が登録者か否かを判定する(顔照合処理)。次に、顔照合サーバ6では、顔照合が成功すると、顔認証機1から取得した体温情報に基づいて、利用者の体温が異常であるか否かを判定する(体温判定処理)。そして、顔照合および体温判定のレスポンスを顔認証機1に送信する。このレスポンスには、顔照合結果および体温判定結果が含まれる。
【0123】
また、顔照合サーバ6では、顔照合結果(成功、失敗)や照合スコアなどの情報を認証ログ(顔認証の履歴情報)としてデータベースに保存する(認証ログ管理処理)。
【0124】
顔認証機1では、顔照合サーバ6からの顔照合および体温判定のレスポンスを受信すると、顔照合が成功した場合には、外部装置7としてのゲート装置に扉を開放する制御信号を送信する。これにより、ゲート装置の扉が開放され、利用者がゲート装置を通過することができる。一方、顔照合が失敗した場合には、ゲート装置の扉は閉鎖されたままで、利用者はゲート装置を通過することができない。
【0125】
次に、顔認証機1では、自装置に保持された利用者の顔画像および体温情報を削除する。このように認証が完了した利用者の認証情報を遂次削除することで、次の認証時に、取得済の利用者の認証情報と取り違えることがなく、利用者の個人情報を確実に保護することができる。
【0126】
次に、執務室や会議室の入口に設けられた顔認証機1(入室チェッカー)による顔認証時の顔認証機1および顔照合サーバ6の動作手順について説明する。図11は、顔認証時の顔認証機1および顔照合サーバ6の動作手順を示すシーケンス図である。
【0127】
顔認証機1では、まず、ディスプレイ14に待機画面(図12(A)参照)を表示する。次に、顔認証機1では、顔認証用カメラ11により撮影された顔認証用画像から人物を検出すると、その顔認証用画像から顔画像を取得する。また、顔認証機1では、サーマルカメラ12により撮影された温度画像を取得して、その温度画像に基づいて測定対象部位の温度を体温として測定する。そして、顔照合および体温判定のリクエストを顔照合サーバ6に送信する。このリクエストには、顔画像および体温情報が含まれる。また、顔認証機1では、ディスプレイ14に顔認証中画面(図12(B)参照)を表示する。
【0128】
顔照合サーバ6では、顔認証機1からの顔照合および体温判定のリクエストを受信すると、そのリクエストに含まれる顔画像から生成した利用者の顔特徴量と、自装置に保管された登録者(登録済みの人物)の顔特徴量とを比較して、利用者が登録者か否かを判定する(顔照合処理)。次に、顔照合サーバ6では、顔照合が成功すると、顔認証機1から取得した体温情報に基づいて、利用者の体温が異常であるか否かを判定する(体温判定処理)。そして、顔照合および体温判定のレスポンスを顔認証機1に送信する。このレスポンスには、顔照合結果および体温判定結果が含まれる。
【0129】
また、顔照合サーバ6では、顔照合結果(成功、失敗)や照合スコアなどの情報を認証ログ(顔認証の履歴情報)としてデータベースに保存する(認証ログ管理処理)。
【0130】
顔認証機1では、顔照合サーバ6からの顔照合および体温判定のレスポンスを受信すると、ディスプレイ14に、顔認証結果および体温判定結果に応じて、顔認証結果および体温判定結果の通知画面(図12(C),(D),(E)参照)を表示する。
【0131】
また、顔認証機1では、顔照合が成功した場合には、外部装置7としてのドアロック装置に解錠する制御信号を送信する。これにより、ドアロック装置が解錠され、利用者がドアを開いて入室することができる。一方、顔照合が失敗した場合には、ドアロック装置は施錠されたままで、利用者は入室することができない。
【0132】
次に、顔認証機1では、自装置に保持された利用者の顔画像および体温情報を削除する。
【0133】
次に、顔認証機1のディスプレイ14に表示される画面について説明する。図12は、顔認証機1のディスプレイ14に表示される画面を示す説明図である。
【0134】
顔認証機1のディスプレイ14には、図12(A)から図12(E)に示す画面が表示される。これらの画面には、撮影画像表示エリア121と情報表示エリア122とが設けられている。撮影画像表示エリア121には、顔認証用カメラ11で撮影された画像が表示される。情報表示エリア122には、各段階に応じた情報が表示される。なお、表示エリアを分割せずに、顔認証用カメラ11で撮影された画像上に、各段階に応じた情報が重畳表示されるものとしてもよい。
【0135】
顔認証機1のディスプレイ14には、まず、図12(A)に示す画面(待機画面)が表示される。ここで、顔認証機1の前に立つ利用者が顔認証用カメラ11で撮影されると、顔照合サーバ6では、利用者が登録済みの人物であるか否かを判定する処理(顔照合)が開始される。このとき、ディスプレイ14では、図12(B)に示す画面に遷移する。
【0136】
図12(B)に示す画面は、顔認証(顔照合)が進行中であることを利用者に案内するものである。この画面では、情報表示エリア122に、顔認証が進行中であることを示す文字131および図形132が表示される。このとき、顔照合サーバ6では、顔認証と共に体温判定が行われる。
【0137】
次に、顔照合サーバ6で行われる顔認証および体温判定が完了すると、顔認証機1のディスプレイ14では、顔認証結果および体温判定結果に応じて、図12(C),(D),(E)に示す画面のいずれかに遷移する。これらの画面は、顔認証結果に関する情報と体温測定結果および体温判定結果に関する情報とを利用者に提示するものである。
【0138】
図12(C)に示す画面は、顔認証が成功し、且つ、体温判定で体温が正常と判定された場合に表示される。この画面では、情報表示エリア122に、顔認証により特定された利用者の名前を示す文字133と、顔認証が成功したことを示す文字134および図形135とが表示される。また、この画面では、情報表示エリア122に、体温測定結果として体温を示す文字136と、体温判定結果として体温が正常であることを示す文字137とが表示される。この場合、ドアロック装置が解錠され、顔認証を受けた人物はドアを開けて入室することができる。
【0139】
図12(D)に示す画面は、顔認証が失敗した場合に表示される。この画面では、情報表示エリア122に、顔認証が失敗したことを示す文字134および図形135が表示される。この場合、ドアロック装置は解錠されず、施錠状態に維持され、人物はドアを開けて入室することができない。なお、顔認証が失敗した場合、顔認証を受けた人物が不明であり、その人物から体温測定の同意を得ているか否かが不明であるため、体温測定結果も表示されない。また、顔認証を受けた人物の平熱も不明であるため、体温判定結果も表示されない。
【0140】
図12(E)に示す画面は、顔認証が成功し、且つ、体温判定で体温が異常と判定された場合に表示される。この画面では、情報表示エリア122に、顔認証により特定された利用者の名前を示す文字133と、顔認証が成功したことを示す文字134および図形135とが表示される。また、この画面では、情報表示エリア122に、体温測定結果として体温を示す文字136と、体温判定結果として体温が異常であることを示す文字137とが表示される。
【0141】
また、本実施形態では、体温が異常か否かの体温判定結果に応じて、情報表示エリア122の背景色が変化する。すなわち、体温が正常である場合、すなわち、図12(C)に示す画面では、情報表示エリア122の背景色が緑色で表示され、体温が異常である場合、すなわち、図12(E)に示す画面では、情報表示エリア122の背景色が赤色で表示される。
【0142】
ところで、顔認証が成功した場合には、体温が正常と判定された場合(図12(C)参照)と、体温が異常と判定された場合(図12(E)参照)とがある。ここで、体温が正常と判定された場合には、ゲート装置の扉を開いて人物の通過を許可し、また、ドアロック装置を解錠して人物の入室を許可する制御を行えばよい。
【0143】
一方、体温が異常と判定された場合には、体温が正常と判定された場合と同様に、ゲート装置の扉を開いて人物の通過を許可し、また、ドアロック装置を解錠して人物の入室を許可する制御を行ってもよいが、逆に、ゲート装置の扉を閉じたままで人物の通過を拒否し、また、ドアロック装置を施錠したままで人物の入室を拒否する制御を行うようにしてもよい。この場合、いずれの制御を行うかを管理者が選択できるようにしてもよい。また、体温が異常と判定された場合にゲート装置の通過や入室を拒否することを、利用者登録時に利用者に告知するものとしてもよい。具体的には、例えば、利用者に個人情報取扱い規定を確認させる画面(図9(B)参照)に、個人情報取扱い規定と共に、体温が異常と判定された場合にゲート装置の通過や入室を拒否する旨を表示する。
【0144】
なお、執務室や会議室の入口に設けられた顔認証機1(入室チェッカー)では、体温が異常と判定された場合には、図12(E)に示すように、体温が異常であることが画面表示により利用者に通知される。一方、建物の玄関に設置されたゲート装置(セキュリティゲート)に設けられた顔認証機1(ゲートチェッカー)では、ディスプレイがないため、体温が異常と判定された場合には、体温が異常であることが音声により利用者に通知されるものとしてもよい。
【0145】
次に、管理端末4で行われる体温監視に関する設定操作について説明する。図13は、管理端末4に表示される設定画面を示す説明図である。なお、本実施形態では、顔認証機1で行われる体温測定と顔照合サーバ6で行われる体温判定とをまとめて体温監視と呼称する。
【0146】
管理端末4では、顔管理サーバ5にアクセスして管理者モードでログインすることで、各種の管理画面が表示され、その管理画面において管理者が顔認証機1および顔照合サーバ6に関する各種の設定操作を行うことができる。図13に示す設定画面では、管理者が顔認証機1ごとの体温監視(体温測定および体温判定)に関する設定操作を行うことができる。
【0147】
この設定画面には、顔認証機選択部141と、体温監視選択部142とが設けられている。顔認証機選択部141では、管理者が、プルダウンメニューの選択操作により、対象となる顔認証機1(機器ID)を選択することができる。体温監視選択部142では、管理者が、ラジオボタンの操作により、体温監視(体温測定)を実施するか否かを選択することができる。なお、体温測定は実施するが体温判定は実施しない設定などができるようにしてもよい。
【0148】
また、この設定画面には、詳細設定事項として、体温表示選択部143と、異常範囲選択部144と、監視期間入力部145とが設けられている。
【0149】
体温表示選択部143では、管理者が、ラジオボタンの選択操作により、顔認証機1において体温測定結果を表示するか否かを選択することができる。具体的には、顔認証機1のディスプレイ14に表示される画面(図12(C),(E)参照)において、体温測定結果を示す文字136を表示するか否かを選択することができる。
【0150】
異常範囲選択部144では、管理者が、ラジオボタンの選択操作により、体温判定処理における異常範囲の設定方法を選択することができる。具体的には、入力された利用者の平熱を基準にして利用者別に設定された範囲と、全ての利用者で共通の所定値(例えば37.5度)以上とする範囲とのいずれかを、管理者が選択することができる。
【0151】
監視期間入力部145では、管理者が、入力ボックスへの入力操作により、体温監視を実施する期間(開始日および終了日)を入力することができる。これにより、期間を限定して体温監視を実施することができる。例えば、感染症が流行している期間だけ体温監視を実施することができる。なお、顔認証機1で行われる体温測定と、顔照合サーバ6で行われる体温判定とで別々に処理の実施の有無や期間を指定できるものとしてもよい。
【0152】
また、この設定画面には、登録ボタン146が設けられている。管理者は、設定画面内の各部で必要な選択および入力の操作を行った上で登録ボタン146を操作すると、選択および入力の内容で情報を登録する処理が顔管理サーバ5で行われる。
【0153】
なお、人物の体表温度は場所に応じて変化する。例えば、建物の入口に設置されたゲート装置に設けられた顔認証機1(ゲートチェッカー)では、周辺の気温が低いため、人物の体表温度は低めになる。一方、建物内の執務室や会議室の入口に設けられた顔認証機1(入室チェッカー)では、周辺の気温が高いため、人物の体表温度は高めになる。そこで、顔認証機1ごとに体温判定の異常範囲を設定できるものとしてもよい。例えば、ゲート装置に設けられた顔認証機1では、体温判定の異常範囲が低く設定され、執務室や会議室の入口に設けられた顔認証機1では、体温判定の異常範囲が高く設定される。
【0154】
ところで、本実施形態では、図13に示したように、体温監視に関する処理条件を顔認証機1ごとに設定するものとした。これにより、顔認証機1の設置場所などに応じて適切な設定を行うことができる。例えば、建物の玄関に設置されたゲート装置に設けられた顔認証機1では体温監視を行うが、執務室や会議室の入口に設置された顔認証機1では体温監視を行わないように設定することができる。
【0155】
一方、体温監視の必要性などが会社に応じて異なる。そこで、同じ建物を複数の会社で共有するマルチテナントの建物の玄関に設置されたゲート装置に設けられた顔認証機1では、会社単位の利用者のグループごとに体温監視に関する処理条件が設定されるものとしてもよい。また、同じ会社内でも部署などに応じて体温監視の必要性などが異なる。そこで、執務室や会議室の入口に設置された顔認証機1においても、部署など利用者のグループごとに体温監視に関する処理条件が設定されるものとしてもよい。
【0156】
また、本実施形態では、体温が異常か否かを判定する体温判定において、平熱を基準にして異常範囲が設定されるため、体温監視に関する処理条件として、平熱(平常時の体温)を利用者ごとに設定するものとした(図9(C)参照)。一方、平熱の他に体温の変動幅も個人によって異なる。そこで、体温監視に関する処理条件として、体温判定における異常範囲の下限値となるしきい値を設定する際に平熱に加算される所定値が、利用者ごとに設定されるものとしてもよい。この平熱に加算される所定値は、利用者が指定すればよいが、管理者が指定してもよい。
【0157】
また、図13に示した例では、顔認証機1ごとの体温監視に関する処理条件が設定されるものとしたが、利用者ごとの体温監視に関する処理条件が設定されるものとしてもよい。管理端末4では、利用者に関する各種の情報を管理する管理用画面が表示される。この管理用画面では、利用者の顔画像や名前などの情報に関して新規登録や変更が可能であり、この管理用画面において、利用者ごとの体温監視に関する処理条件を管理者が指定するものとしてもよい。
【0158】
なお、体温監視に関する処理条件に関する設定情報は、顔管理サーバ5で管理される。具体的には、体温監視に関する処理条件に関する利用者ごとの設定情報が、顔管理サーバ5の記憶部52に保存される顔情報データベースに格納される。また、体温監視に関する処理条件に関する顔認証機1ごとの設定情報や、体温監視に関する処理条件に関する利用者のグループごとの設定情報が、顔管理サーバ5の記憶部52に格納される。
【0159】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明に係る顔認証システムおよび顔認証方法は、管理者が、顔認証の他に体温監視の条件を適宜にカスタマイズできるようにして、システムの利便性を高めることができる効果を有し、施設の利用者の顔画像に基づく顔認証を行うと共に、利用者の体温情報を取得する体温測定を行う顔認証システムおよび顔認証方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0161】
1 顔認証機(顔認証部)
2 登録機(登録部)
3 顔認証サーバ
4 管理端末
5 顔管理サーバ(顔管理部)
6 顔照合サーバ(顔照合部)
26 体温測定部
63 設定管理部
76 体温判定部
図1
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