(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191284
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】トリテルペンサポニン類似物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7024 20060101AFI20221220BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20221220BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221220BHJP
A61K 31/704 20060101ALN20221220BHJP
【FI】
A61K31/7024
A61K39/39
A61P37/04
A61K31/704
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022154385
(22)【出願日】2022-09-28
(62)【分割の表示】P 2019557802の分割
【原出願日】2018-04-25
(31)【優先権主張番号】62/489,556
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】518153542
【氏名又は名称】アジュバンス・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】リヴィングストン・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ラグパティ・ゴヴィンド
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー・ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ジェイ・タイラー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】強力なアジュバント活性及び低い毒性を持つ新規のキラヤサポニン及び構造的に類似したサポニングリコシドを提供する。
【解決手段】本出願は、トリテルペングリコシドサポニン誘導アジュバント、それの合成法、及びそれの中間体を提供する。本出願は、本発明の化合物を含む医薬調合物、並びに感染症の治療及び感染症のための免疫化に上記化合物または組成物を使用する方法も提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む医薬調合物:
式Iの化合物またはそれの薬学的に許容可能な塩を含むアジュバント系
【化1】
[式中、
【化2】
Wは、-CHOであり;
Vは、水素またはOR
Xであり;
Yは、CH
2、-O-、-NR-または-NH-であり;
Zは、水素;アシル、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、アリール、アリールアルキル、ヘテロアシル及びヘテロアリールからなる群から選択される環式もしくは非環式で任意選択的に置換された部分;または次の構造を持つ炭水化物ドメインであり;
【化3】
ここで、R
1の各々の出現は、R
Xまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり、
【化4】
(式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なっていてよく; 但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素; アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、 窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基である。)
R
2は、水素、ハロゲン、OH、OR、OC(O)R
4、OC(O)OR
4、OC(O)NHR
4、OC(O)NRR
4、OC(O)SR
4、NHC(O)R
4、NRC(O)R
4、NHC(O)OR
4、NHC(O)NHR
4、NHC(O)NRR
4、NHR
4、N(R
4)
2、NHR
4、NRR
4、N
3であるか、またはC
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
3は、水素、ハロゲン、CH
2OR
1であるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、
R
4は、-T-R
Z、-C(O)-T-R
Z、-NH-T-R
Z、-O-T-R
Z、-S-T-R
Z、-C(O)NH-T-R
Z、C(O)O-T-R
Z、C(O)S-T-R
Z、C(O)NH-T-O-T-R
Z、-O-T-R
Z、-T-O-T-R
Z、-T-S-T-R
Z、または
【化5】
であり、ここで、Xは、-O-、-NR-またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり; そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基であり;
Rの各々の出現は、独立して、水素;アシル、アリールアルキル、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基からなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、または;
同じ窒素原子上の二つのRが、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロ環式環を形成する。]。
【請求項2】
キャリアをさらに含む、請求項1に記載の医薬調合物。
【請求項3】
前記キャリアが、金属塩粒子、エマルション、ポリマー、リポソームまたは免疫刺激複合体(ISCOM)からなる群から選択される、請求項2に記載の医薬調合物。
【請求項4】
前記キャリアがスクアレンエマルションである、請求項3に記載の医薬調合物。
【請求項5】
前記キャリアがリポソームである、請求項3に記載の医薬調合物。
【請求項6】
GLA、MPL、3D-MPL、LPS、コレステロール、CpG、PolyIC:LC、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、トコフェロール、アシル化モノサッカライド、可溶性トリテルペングリコシド、Toll様受容体4(TLR4)アゴニスト、Toll様受容体3(TLR3)アゴニスト、モンタニド類(ISA51、ISA720)、免疫刺激オリゴヌクレオチドおよびイミダゾキノリン類からなる群から選択される化合物をさらに含む、請求項1に記載の医薬調合物。
【請求項7】
MPLおよびCpG7909もしくは1018をさらに含む、請求項1に記載の医薬調合物。
【請求項8】
追加的な免疫賦活剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬調合物。
【請求項9】
前記免疫賦活剤が、アラム、フロイントアジュバント(マイコバクテリア死菌を含む水中油型エマルション)、MDPを含むフロイントアジュバント(ムラミールジペプチド、MDP、マイコバクテリアの構成成分を含む水中油型エマルション)、アラムとボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis)(B.パーツシス死菌を含む水酸化アルミニウムゲル)、腸内細菌、FUグリコシド、合成または誘導アウターメンブランベシクル、キトサン微粒子およびマイクロキャリア粒子からなる群から選択される、請求項8に記載の医薬調合物。
【請求項10】
以下の化合物を含むアジュバント系を含む医薬調合物:
【化6】
【請求項11】
キャリアをさらに含む、請求項10に記載の医薬調合物。
【請求項12】
前記キャリアが、金属塩粒子、エマルション、ポリマー、リポソームまたは免疫刺激複合体(ISCOMs)からなる群から選択される、請求項11に記載の医薬調合物。
【請求項13】
前記キャリアがスクアレンエマルションである、請求項12に記載の医薬調合物。
【請求項14】
前記キャリアがリポソームである、請求項12に記載の医薬調合物。
【請求項15】
GLA、MPL、3D-MPL、LPS、コレステロール、CpG、PolyIC:LC、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、トコフェロール、アシル化モノサッカライド、可溶性トリテルペングリコシド、Toll様受容体4(TLR4)アゴニスト、Toll様受容体3(TLR3)アゴニスト、モンタニド類(ISA51、ISA720)、免疫刺激オリゴヌクレオチドおよびイミダゾキノリン類からなる群から選択される化合物をさらに含む、請求項10に記載の医薬調合物。
【請求項16】
MPLおよびCpG7909もしくは1018をさらに含む、請求項10に記載の医薬調合物。
【請求項17】
追加的な免疫賦活剤をさらに含む、請求項10に記載の医薬調合物。
【請求項18】
前記免疫賦活剤が、アラム、フロイントアジュバント(マイコバクテリア死菌を含む水中油型エマルション)、MDPを含むフロイントアジュバント(ムラミールジペプチド、MDP、マイコバクテリアの構成成分を含む水中油型エマルション)、アラムとボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis)(B.パーツシス死菌を含む水酸化アルミニウムゲル)、腸内細菌、FUグリコシド、合成または誘導アウターメンブランベシクル、キトサン微粒子およびマイクロキャリア粒子からなる群から選択される、請求項17に記載の医薬調合物。
【請求項19】
MPLをさらに含む、請求項10に記載の医薬調合物。
【請求項20】
スクアレンエマルションをさらに含む、請求項19に記載の医薬調合物。
【請求項21】
CpG7909または1018をさらに含む、請求項19に記載の医薬調合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、トリテルペングリコシドサポニン誘導アジュバント、それの合成法、及びそれの中間物に関する。本出願は、また、本発明の化合物を含む医薬組成物、及び感染症の治療に上記化合物または組成物を使用する方法も提供する。
【0002】
[関連特許出願の参照による組み入れ]
本願は、2017年4月25日に出願された米国仮出願シリアル番号62/489,556に基づき、米国特許法第119(e)条の下でこれらの仮出願の優先権を主張するものである。これらの出願明細書の内容は全て、本願明細書中に掲載されたものとする。
【0003】
[政府支援]
本出願に記載の発明の幾つかの態様は、国立衛生研究所によって授与された補助金R43 AI 114030-01およびR44 AI 114030-02の下に米国政府の支援で開発された。米国政府は、本出願の発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
感染症に対するワクチンは、世界中の公衆衛生を改善し続けている。病因性病原体及び必要な免疫反応の知識が高まることで、定義または標的化されたワクチンが続々と登場している。B型肝炎、DTaP、HPV、肺炎球菌及び他の広く使用されているワクチンは、免疫学的アジュバントであるミョウバンの使用を必要とする。しかし、80年前以上も前に導入されたミョウバンは、これらのワクチンの一部の効力を制限し、そして他のものより多量の投与量を必要とする貧弱なアジュバントである。ミョウバンよりも遙かに強力なアジュバントとしての有力な候補の一つは、天然サポニンアジュバントQS-21であり、これは、三つの主な欠点、すなわち投与量を制限する毒性、不十分な安定性及び高品質製品の制限された入手可能性にもかかわらず広く使用されている。
【0005】
サポニンは、ステロイド及びトリテルペンの2次代謝産物として製造されるグリコシド系化合物である。これらは、植物種中に及び幾つかの海洋無脊椎動物中に広く分布している。サポニンの化学的構造は、何らかの強力で有効な免疫学的活性を初めとした広い範囲の薬理学的及び生物学的活性を与える。南米産キラヤ・サポナリア・モリナ・ツリー(Quillaja saponaria Molina tree)(キラヤサポニン)の樹皮からの半精製されたサポニン抽出物は、顕著な免疫アジュバント活性を示す。キラヤサポニンは、少なくとも100種の構造的に類似したサポニングリコシドの混合物として見出されるため、これらの分離及び単離は、ひどく高額でなければ、しばしば困難である。QS-21と称されるこれらの抽出物の最も活性の高い画分は、二つの主要な異性体トリテルペングリコシドサポニンの混合物を含むことことが分かった。これらのサポニンは、それぞれ、複合オリゴ糖及び立体化学的にリッチなグリコシル化脂肪アシル鎖が両側に配置されているキラ酸トリテルペンコアを組み入れている。
【0006】
何十例もの最近の及び進行中のワクチン臨床試験(メラノーマ、乳癌、小細胞肺癌、前立腺癌、HIV-1、マラリア)におけるQS-21の効力及びそれの好ましい毒性プロファイルの故に、QS-21は、免疫応答増強及び投与量の節約のための有望な新たなアジュバントとして確立している。しかし、癌患者におけるQS-21の耐性用量は100~150μgを超えず、それを超えると、かなりの局所的及び全身性副作用が起こる。健康な(非癌の)成人及び小児レシピエントでの最大の実際の耐性用量は、25~50mcgであり、免疫学的に最適量以下の投与量である。その結果、非癌ワクチンの臨床的成功は、より耐容性の高い新規の強力なアジュバントの同定及び入手になおも決定的に依存している。
【0007】
他の強力なキラヤサポニンの入手は、キラヤサポニン抽出物から純粋な種を得るのが困難なことから妨げられてきた。更に、多くのキラヤサポニンの構造の同定は、未だに仮定されたものに過ぎない。強力なアジュバント活性及び低い毒性を持つ新規のキラヤサポニン及び関連する類似物の発見は、化学合成及び医薬品の分野での課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19
【非特許文献2】Soltysik,S.;Wu,J.Y.;Recchia,J.;Wheeler,D.A.;Newman,M.J.;Coughlin,R.T.;Kensil,C.R.Vaccine 1995,13,1403-1410
【非特許文献3】Kensil,C.R.Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.1996,13,1-55
【非特許文献4】Kensil,C.R.;Patel,U.;Lennick,M.;Marciani,D.J.Immunol.1991,146,431-437
【非特許文献5】Livingston,P.O.;Ragupathi,G.Hum.Vaccines 2006,2,137-143
【非特許文献6】Kim,S.K.;Ragupathi,G.;Musselli,C.;Choi,S.J.;Park,Y.S.;Livingston,P.O.Vaccine2000,18,597-603
【非特許文献7】Sasaki,S.;Sumino,K.;Hamajima,K.;Fukushima,J.;Ishii,N.;Kawamoto,S.;Mohri,H.;Kensil,C.R.;Okuda,K.J.Virol.1998,72,4931-4939
【非特許文献8】Evans,T.G.,et al.Vaccine 2001,19,2080-2091
【非特許文献9】Kashala,O.,et al.Vaccine 2002,20,2263-2277
【非特許文献10】Carcaboso,A.M.;Hernandez,R.M.;Igartua,M.;Rosas,J.E.; Patarroyo,M.E.;Pedraz,J.L.Vaccine 2004,22,1423-1432
【非特許文献11】Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999
【非特許文献12】March’s Advanced Organic Chemistry,5th Ed.,Ed.:Smith,M.B. and March,J.,John Wiley & Sons,New York: 2001
【非特許文献13】van Setten,D.C.;Vandewerken,G.;Zomer,G.;Kersten,G.F.A.Rapid Commun.Mass Spectrom.1995,9,660-666
【発明の概要】
【0010】
本発明は、アジュバントとしてのQS-21の臨床的使用は、高投与量での毒性の故に制限され、及び関連するキラヤサポニンであるQS-7は、純粋な形で単離するのが困難であるという認識を含むものである。更に、QS-21、QS-7及び他のトリテルペングリコシドサポニンの合成的入手は、それらの構造的な複雑さによって妨げられる。本発明は、QS-21及びQS-7の類似物である化合物を提供する。
【0011】
一つの観点では、本発明は、式I:
【0012】
【化1】
の化合物またはそれの薬学的に許容可能な塩を提供する。
式中、
【0013】
【化2】
Wは、-CHOであり;
Vは、水素またはOR
Xであり;
Yは、CH
2、-O-、-NR-または-NH-であり;
Zは、水素;アシル、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、アリール、アリールアルキル、ヘテロアシル及びヘテロアリールからなる群から選択される環式もしくは非環式の任意選択的に置換された部分;または次の構造を持つ炭水化物ドメインであり;
【0014】
【化3】
ここで、R
1の各々の出現は、R
Xまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり、
【0015】
【化4】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なっていてよく;但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;アシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
2は、水素、ハロゲン、OH、OR、OC(O)R
4、OC(O)OR
4、OC(O)NHR
4、OC(O)NRR
4、OC(O)SR
4、NHC(O)R
4、NRC(O)R
4、NHC(O)OR
4、NHC(O)NHR
4、NHC(O)NRR
4、NHR
4、N(R
4)
2、NHR
4、NRR
4、N
3であるか、またはC
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
3は、水素、ハロゲン、CH
2OR
1であるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0016】
【化5】
であり、
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基であり;
Rの各々の出現は、独立して、水素;アシル、アリールアルキル、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基からなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、または;
同じ窒素原子上の二つのRは、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロ環式環を形成する。
【0017】
一つの観点では、本出願は、次式II
【0018】
【化6】
の化合物またはそれの薬学的に許容可能な塩を提供する。
式中、
【0019】
【0020】
【化8】
であり;
Vは、水素またはOR
Xであり;
Yは、CH
2、-O-、-NR-または-NH-であり;
Zは、水素;アシル、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、アリール、アリールアルキル、ヘテロアシル及びヘテロアリールからなる群から選択される環式もしくは非環式で任意選択的に置換された部分;または次の構造を持つ炭水化物ドメインであり;
【0021】
【化9】
ここで、R
1の各々の出現は、R
Xまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり、
【0022】
【化10】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なってよく;但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
2は、水素、ハロゲン、OH、OR、OC(O)R
4、OC(O)OR
4、OC(O)NHR
4、OC(O)NRR
4、OC(O)SR
4、NHC(O)R
4、NRC(O)R
4、NHC(O)OR
4、NHC(O)NHR
4、NHC(O)NRR
4、NHR
4、N(R
4)
2、NHR
4、NRR
4、N
3であるか、またはC
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
3は、水素、ハロゲン、CH
2OR
1であるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0023】
【化11】
であり;
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基であり;
R
yは、-OH、-ORであるか、またはエステル、アミド及びヒドラジドからなる群から選択されるカルボキシル保護基であり、
R
Sは、
【0024】
【化12】
であり;
R
X’の各々の出現は、独立して、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり、または:
二つのR
X’は一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~7員のヘテロ環式環を形成し;
Rの各々の出現は、独立して、水素;アシル、アリールアルキル、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり、または;
同じ窒素原子上の二つのRは、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロ環式環を形成する。
【0025】
本発明の化合物には、必ずしも限定されるものではないが、ここに記載の部類に含まれる化合物も包含されることは当業者には明らかである。本願に包含される化合物に、各々の部類内の全ての個々の種を包含する、明細書全体中に開示される全ての化合物を少なくとも含む。
【0026】
他の観点では、本発明は、QS-7、QS-21及び関連する類似物を合成するための新規の半合成方法であって、トリテルペン化合物を、サッカライドを含む化合物とカップリングして式IIの化合物を形成することを含む方法を提供する。一部の態様では、該方法は、次のステップ(a)~(c)を含む:
【0027】
(a)次式IIIの化合物を提供するステップ:
【0028】
【0029】
【化14】
Y’は、水素、ハロゲン、アルキル、アリール、OR、OR
y、OH、NR
2、NR
3
+、NHR、NH
2、SR、またはNRORであり;
Wは、Me、-CHO、-CH
2OR
x、-C(O)R
y、または
【0030】
【化15】
であり;
Vは、水素または-OR
Xであり;
R
yは、-OHであるか、またはエステル、アミド及びヒドラジドからなる群から選択されるカルボキシル保護基であり;
R
X’の各々の出現は、独立して、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり、または:
二つのR
X’は一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~7員のヘテロ環式環を形成し;
Rの各々の出現は、独立して、水素;アシル、アリールアルキル、6~10員のアリール、C
1~12脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~12ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基である;
【0031】
(b)式IIIの上記化合物を、適当な条件下に次式Vの化合物で処理するステップ:
LG-Z
(V)
式中、
Zは、水素;アシル、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、アリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択される環式もしくは非環式で任意選択的に置換された部分;または次の構造を持つ炭水化物ドメインであり;
【0032】
【化16】
式中、
R
1の各々の出現は、Rxまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり、
【0033】
【化17】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なってよく;但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;アシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
2は、水素、ハロゲン、OH、OR、OC(O)R
4、OC(O)OR
4、OC(O)NHR
4、OC(O)NRR
4、OC(O)SR
4、NHC(O)R
4、NRC(O)R
4、NHC(O)OR
4、NHC(O)NHR
4、NHC(O)NRR
4、NHR
4、N(R
4)
2、NHR
4、NRR
4、N
3であるか、またはC
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
3は、水素、ハロゲン、CH
2OR
1であるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0034】
【化18】
であり;
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1’、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
1’は、R
Xまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり:
【0035】
【化19】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なっていてよく;但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;アシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、式IIIの化合物について定義した通りであり;及び
LGは、ハロゲン、イミデート、アルコキシ、スルホニルオキシ、任意選択的に置換されたアルキルスルホニル、任意選択的に置換されたアルケニルスルホニル、任意選択的に置換されたアリールスルホニル、及びジアゾニウム部分からなる群から選択される適当な脱離基である;
【0036】
(c)そうして、本明細書に記載の式Iの化合物を与えるステップ。
【0037】
一部の態様では、該方法は、次のステップ(a)~(c)を含む:
【0038】
(a)次式IVの化合物を提供するステップ:
【0039】
【0040】
【化21】
Y’は、水素、ハロゲン、アルキル、アリール、OR、OR
y、OH、NR
2、NR
3
+、NHR、NH
2、SR、またはNRORであり;
Wは、Me、-CHO、-CH
2OR
x、-C(O)R
y、または
【0041】
【化22】
であり;
Vは、水素または-OR
Xであり;
R
yは、-OHであるか、またはエステル、アミド及びヒドラジドからなる群から選択されるカルボキシル保護基であり;
R
Sは、
【0042】
【化23】
であり;
R
X’の各々の出現は、独立して、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり、または:
二つのR
X’は一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~7員のヘテロ環式環を形成し;
Rの各々の出現は、独立して、水素;アシル、アリールアルキル、6~10員のアリール、C
1~12脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~12ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基である;
【0043】
(b)式IVの上記化合物を、適当な条件下に次式Vの化合物で処理するステップ:
LG-Z
(V)
式中、
Zは、水素;アシル、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、アリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択される環式もしくは非環式で任意選択的に置換された部分;または次の構造を持つ炭水化物ドメインであり;
【0044】
【化24】
式中、
R1の各々の出現は、Rxまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり:
【0045】
【化25】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なっていてよく;但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;アシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
2は、水素、ハロゲン、OH、OR、OC(O)R
4、OC(O)OR
4、OC(O)NHR
4、OC(O)NRR
4、OC(O)SR
4、NHC(O)R
4、NRC(O)R
4、NHC(O)OR
4、NHC(O)NHR
4、NHC(O)NRR
4、NHR
4、N(R
4)
2、NHR
4、NRR
4、N
3であるか、またはC
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
3は、水素、ハロゲン、CH
2OR
1であるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0046】
【化26】
であり;
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1’、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
1’は、R
Xまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり:
【0047】
【化27】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なっていてよく;但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、式IVの化合物について定義した通りであり;及び
LGは、ハロゲン、イミデート、アルコキシ、スルホニルオキシ、任意選択的に置換されたアルキルスルホニル、任意選択的に置換されたアルケニルスルホニル、任意選択的に置換されたアリールスルホニル、及びジアゾニウム部分からなる群から選択される適当な脱離基である;
【0048】
(c)そうして、本明細書に記載の式IIの化合物を与えるステップ。
【0049】
本発明の他の観点の一つによれば、本願に開示される化合物は、アジュバントとして有用であることが判明した。他の観点の一つでは、本願は、本願の該態様による化合物を製造する方法を提供する。他の態様の一つでは、本発明は、抗原に対する免疫応答を増強する方法であって、上記抗原に対し対象の免疫応答を増強するための有効量で、提供されたワクチンを上記対象に投与することを含む方法を提供する。
【0050】
他の観点の一つでは、本発明は、対象にワクチン接種する方法であって、提供されたワクチンを上記対象に投与することを含む方法を提供する。一部の態様では、上記対象はヒトである。一部の態様では、上記ワクチンは、注射物質として投与される。
【0051】
他の観点の一つでは、本発明は、本発明の化合物及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。或る態様では、該医薬組成物は、抗原と本発明によるアジュバントとを含むワクチンである。
【0052】
他の観点の一つでは、本発明は、本発明による化合物の医薬組成物を含むキットを提供する。一部の態様では、該キットは、処方情報を含む。一部の態様では、このようなキットは、本発明によるアジュバント化合物と、他の免疫治療薬との組み合わせを含む。これらの剤は、別々にまたは一緒に包装してよい。該キットは、任意選択的に、薬剤の処方のための指示を含む。一部の態様では、該キットは、各々の剤の複数回の投与量を含む。該キットは、一週間、二週間、三週間、四週間または数ヶ月間、対象を治療するために十分な量の各成分を含んでいてよい。或る態様では、該キットは、免疫治療の一サイクル分を含む。或る態様では、該キットは、抗原に対して対象に長期間免疫性を与えるのに十分な量の医薬組成物を含む。
別の態様では、本願は、アジュバント系において、本発明に従う組成物の製剤・調合物を提供する。一部の実施態様では、前記アジュバント系はキャリアを利用する。一部の実施態様では、前記キャリアは粒子状キャリア、例えば金属塩粒子、エマルション、ポリマー、リポソームまたは免疫刺激複合体(ISCOMs)である。一部の実施態様では、前記アジュバント系には、GLA、MPL、3D-MPL、LPS、コレステロール、CpG(例えば、CpG7907またはCpG1018)、PolyIC:LC、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、トコフェロール、アシル化モノサッカライド、他のサポニン誘導体(例えば、Quil-A、ISCOM、QS-21、AS02およびAS01)、可溶性トリテルペングリコシド、Toll様受容体4(TLR4)アゴニスト、Toll様受容体3(TLR3)アゴニスト、モンタニド類(ISA51、ISA720)、免疫刺激オリゴヌクレオチドおよびイミダゾキノリン類が含まれる。一部の実施態様では、前記アジュバント系には公知の免疫賦活剤が含まれる。一部の実施態様では、前記アジュバント系は、一般的なアジュバント、例えばアラム、フロイントアジュバント(マイコバクテリア死菌を含む水中油型エマルション)、MDPを含むフロイントアジュバント(ムラミールジペプチド、MDP、マイコバクテリアの構成成分を含む水中油型エマルション)、アラム+ボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis)(B.パーツシス死菌を含む水酸化アルミニウムゲル)、腸内細菌、FUグリコシド、合成または誘導アウターメンブランベシクル(oter membrane vesicles)、キトサン微粒子およびマイクロキャリア粒子(microcarrier parties)、あるいは他の公知のアジュバントを利用する。
【0053】
ここで使用する場合、他に記載がなければ以下の定義が適用される。
ここで使用する場合、「リポソーム」は、捕捉された水性容積を含む閉鎖型の二層膜を表す。リポソームはまた、単一の膜二重層を有する一枚膜小胞、または各々が水性層によって次の膜から隔てられている複数の膜二重層を有する多枚膜小胞であってもよい。得られる膜二重層の構造は、脂質の疎水性(非極性)の尾部が二重層の中心に向かって配向し、一方で親水性(極性)の頭部が水性相に向かって配向するような構造である。リポソームは、それらが通常使用されるように、スメクチックメソフェーズからなり、リン脂質もしくは非リン脂質スメクチックメソフェーズのいずれかからなることができる。スメクチックメソフェーズは、Small, HANDBOOK OF LIPID RESEARCH, Vol. 4, Plenum, NY, 1986, pp. 49-50によって最も的確に説明されている。Smallによると、「特定の分子が加熱された場合、等方性液体に直接溶解する代わりに、当該分子はメソフェーズまたは液晶と呼ばれ、一部の方向では秩序が残っているが、他の方向では秩序を欠くことを特徴とする中間状態を代わりに通過し得・・・一般に、液晶の分子は、それらの幅よりも幾分長く、そして分子の長さ方向に沿って極性または芳香族部分を有する。その分子形状および極性-極性もしくは芳香族相互作用により、分子が部分的に秩序配列で並ぶことが可能となり・・・
これらの構造は一方の端に極性基を有する分子において特徴的に生じる。分子の長軸方向に長い範囲の秩序を有する液晶は、スメクチック、層状もしくはラメラ液晶と呼ばれ・・・スメクチック状態において、分子は、単一または二重層であってもよく、層の面に対して垂直であってもまたは傾いていてもよく、そして固定された(frozen)もしくは柔軟な(melted)脂肪族鎖を有していてもよい。」
【0054】
本明細書で使用する場合、「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、それぞれ分子残部に対し一つの結合点を有する、完全に飽和しているかもしくは一つ以上の不飽和単位を含む、直鎖状(すなわち非分岐状)もしくは分岐状で、置換されたもしくは置換されていない炭化水素鎖、または完全に飽和しているかもしくは一つ以上の不飽和単位を含むが、芳香族ではない単環式炭化水素もしくは二環式炭化水素(本明細書では「カルボサイクル」、「環状脂肪族」もしくは「シクロアルキル」とも称する)を意味する。他に記載がなければ、脂肪族基は1~12個の脂肪族炭素原子を含む。一部の態様では、脂肪族基は、1~6個の脂肪族炭素原子を含む。一部の態様では、脂肪族基は、1~5個の脂肪族炭素原子を含む。他の態様では、脂肪族基は、1~4個の脂肪族炭素原子を含む。更に別の態様では、脂肪族基は1~3個の脂肪族炭素原子を含み、そして更に別の態様では、脂肪族基は1~2個の脂肪族炭素原子を含む。一部の態様では、「環状脂肪族」(または「カルボサイクル」または「シクロアルキル」)とは、分子残部に一つの結合点を有し、及び完全に飽和しているかもしくは一つ以上の不飽和単位を含むが、芳香族ではない、単環式C3~C6炭化水素を指す。適当な脂肪族基には、限定はされないが、線状もしくは分岐状で、置換されたもしくは置換されていないアルキル、アルケニル、アルキニル基及びこれらのハイブリッド、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルなどが包含される。
【0055】
「低級アルキル」という用語は、C1~4線状または分岐状アルキル基を指す。例示的な低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルである。
【0056】
「低級ハロアルキル」という用語は、一つ以上のハロゲン原子で置換されたC1~4線状または分岐状アルキル基を指す。
【0057】
「ヘテロ原子」という用語は、酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素の一つ以上(窒素、硫黄、リンまたはケイ素の任意の酸化された形;任意の塩基性窒素の四級化された形、または;ヘテロ環式環の置換可能な窒素、例えば(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるような)N、(ピロリジニルにおけるような)NHまたは(N-置換ピロリジニルにおけるような)NR+)を包含する)を意味する。
【0058】
本明細書で使用する「不飽和」という用語は、部分が、一つ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0059】
本明細書で使用する場合、「二価のC1~12(またはC1~26、C1~16、C1~8)または飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の炭化水素鎖」という用語は、ここで定義するように線状または分岐状の、二価のアルキレン、アルケニレン及びアルキニレンを指す。
【0060】
「アルキレン」という用語は、二価のアルキル基を指す。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち-(CH2)n-であり、ここでnは整数、好ましくは1~30、1~28、1~26、1~24、1~22、1~20、1~18、1~16、1~14、1~12、1~10、1~8、1~6、1~4、1~3、1~2、または2~3の整数である。置換されたアルキレン鎖は、一つ以上のメチレン水素原子が置換基で置き換えられたポリメチレン基である。適当な置換基には、置換された脂肪族基について以下に記載するものなどが挙げられる。
【0061】
「アルケニレン」という用語は、二価のアルケニル基を指す。置換されたアルケニレン鎖は、一つ以上の水素原子が置換基で置き換えられた、少なくとも一つの二重結合を含むポリメチレン基である。適当な置換基には、置換された脂肪族基について以下に記載するものなどが挙げられる。
【0062】
「アルキニレン」という用語は、二価のアルキニル基を指す。置換されたアルキニレン鎖は、一つ以上の水素原子が置換基で置き換えられた、少なくとも一つの二重結合を含むポリメチレン基である。適当な置換基には、置換された脂肪族基について以下に記載するものなどが挙げられる。
【0063】
単独でまたはより大きな部分の一部として使用される「アシル」という用語は、カルボン酸からヒドロキシル基を除くことによって形成される基を指す。
【0064】
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0065】
「アラルキル」及び「アリールアルキル」という用語は相互互換的に使用され、そして一つの水素原子が一つのアリール基で置き換えられたアルキル基を指す。このような基には、限定はされないが、ベンジル、シンナミル及びジヒドロシンナミルなどが挙げられる。
【0066】
単独で使用されるかまたは「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」のようにより大きな部分の一部として使用される「アリール」という用語は、合計で5員乃至14員の環員を有する単環式または二環式環系を指し、ここで該系中の少なくとも一つの環は芳香族であり、及び該系中の各々の環は3~7の環員を含む。「アリール」という用語は、「アリール環」と相互互換的に使用し得る。
【0067】
本発明の或る態様では、「アリール」とは、芳香族環系を指し、限定はされないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシル及び類似物などが挙げられ、一つ以上の置換基を有していてもよい。本明細書に使用される場合、芳香族環が、一つ以上の非芳香族環に縮合している基も「アリール」という用語の範囲に包含され、例えばインダニル、フタルイミジル、ナフチミジル、フェナントリジニルまたはテトラヒドロナフチル、及び類似物などが挙げられる。
【0068】
単独でまたはより大きな部分の一部として使用される「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ(heteroar)-」という用語、例えば「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアラルコキシ」は、5~10個の環原子、好ましくは5、6もしくは9個の環原子を有し;環状の配列において共有された6、10もしくは14個のπ電子を有し;及び炭素原子の他に、1個乃至5個のヘテロ原子を有する、基を指す。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素または硫黄を指し、そして窒素または硫黄の任意の酸化された形、及び塩基性窒素の任意の四級化された形を包含する。ヘテロアリール基には、限定はされないが、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル及びプテリジニルなどが挙げられる。本明細書に使用される「ヘテロアリール」または「ヘテロアラ-」という用語には、ヘテロ芳香族環が、一つ以上のアリール、環状脂肪族またはヘテロサイクリル環に縮合しており、ラジカルまたは結合点がヘテロ芳香族環上にある基も包含される。非限定的な例には、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンなどが挙げられる。ヘテロアリール基は単環式もしくは二環式であることができる。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」または「ヘテロ芳香族」と相互互換的に使用し得、これらの用語のいずれも、任意選択的に置換された環も包含する。「ヘテロアラルキル」及び「ヘテロアリールアルキル」という用語は、ヘテロアリール部分によって置換されたアルキル基を指し、この場合、アルキル及びヘテロアリール部分は、独立して、任意選択的に置換されている。
【0069】
ここで使用する場合、「ヘテロ脂肪族」という用語は、一つまたは二つの炭素原子が、独立して、一つまたは複数の酸素、硫黄、窒素またはリンによって置き換えられている脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換されていてももしくは置換されていなくともよく、分岐状でも非分岐状でもよく、環式または非環式でもよく、そして「ヘテロサイクル」、「ヘテロサイクリル」、「ヘテロ環式脂肪族」または「ヘテロ環式」基を包含する。
【0070】
ここで使用する場合、「ヘテロサイクル」、「ヘテロサイクリル」、「ヘテロ環式基」及び「ヘテロ環式環」という用語は相互互換的に使用され、そして先に定義したように、安定した5~7員の単環式もしくは7~10員の二環式のヘテロ環式部分を指し、これは、飽和または部分的に不飽和のいずれかであり、そして炭素原子の他に、1個以上、好ましくは1個乃至4個のヘテロ原子を有する。ヘテロサイクルの環原子に関連して使用する場合、「窒素」という用語には、置換された窒素も含まれる。一例として、酸素、硫黄または窒素から選択される0~3個のヘテロ原子を有する飽和または部分的に不飽和の環において、その窒素は、(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるような)N、(ピロリジニルにおけるような)NHまたは(N-置換ピロリジニルにおけるような)+NRであることができる。
【0071】
ヘテロ環式環は、安定した構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子のところでその側基に結合することができ、そして前記の環原子の任意の原子が任意選択的に置換されていることができる。このような飽和または部分的に不飽和のヘテロ環式残基の例には、限定はされないが、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル及びキヌクリジニルなどが挙げられる。「ヘテロサイクル」、「ヘテロサイクリル」、「ヘテロサイクリル環」、「ヘテロ環式基」、「ヘテロ環式部分」及び「ヘテロ環式残基」は、ここでは相互互換的に使用され、そしてヘテロサイクリル環が、一つまたは複数のアリール、ヘテロアリールまたは環状脂肪族環に縮合している基、例えばインドリニル、3H-インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロキノリニルも包含し、ここでそのラジカルまたは結合点は、上記ヘテロサイクリル環上にある。ヘテロサイクリル基は単環式もしくは二環式であることができる。「ヘテロサイクリルアルキル」という用語は、ヘテロサイクリルによって置換されたアルキル基を指し、ここで前記アルキル及びヘテロサイクリル部分は独立してい任意選択的に置換されている。
【0072】
ここで使用する場合、「部分的に不飽和」という用語は、少なくとも一つの二重結合または三重結合を含む環部分を指す。「部分的に不飽和」という用語は、複数の不飽和部位を有する環を包含することが意図されるが、ここで定義されるようにアリールまたはヘテロアリール部分を含むことは意図されていない。
【0073】
他の観点の一つでは、本発明は、一種または複数の薬学的に許容可能なキャリア(添加剤)及び/または希釈剤と一緒に調合された、本明細書に記載の化合物の一種または複数の治療有効量で含む、「薬学的に許容可能な」組成物を提供する。詳細に記載されるように、本発明の医薬組成物は、注射による投与のために特異的に調合することができる。
【0074】
「薬学的に許容可能な」とのフレーズは、本明細書では、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症無く、妥当なリスク・ベネフィット比と釣り合って、健全な医学的判断の範囲内でヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適した化合物、材料、組成物及び/または投与形態を指すために使用される。
【0075】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容可能なキャリア」というフレーズは、対象化合物を一つの器官または身体の部分から他の器官または身体の部分に運ぶまたは輸送することに関与する、薬学的に許容可能な材料、組成物またはビヒクル、例えば液状または固体状フィラー、希釈剤、賦形剤、または溶剤封入材料を意味する。各々のキャリアは、調合物の他の成分と相溶性であることかつ患者に対して有害でないという意味で「許容可能」である必要がある。薬学的に許容可能なキャリアとして働き得る材料の一部の例には:糖類、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;デンプン、例えばコーンスターチ及びポテトスターチ;セルロース及びそれの誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセテート;粉末化したトラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバター及び座薬用ワックス;油、例えばピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びダイズ油;グリコール類、例えばプロピレングリコール;ポリオール類、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;エステル類、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;アガー;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;脱パイロジェン水;等張食塩水;リンガー液;エチルアルコール;pH緩衝した溶液;ポリエステル、ポリカーボネート及び/またはポリ無水物;及び医薬調合物中に使用される他の非毒性相溶性物質などが挙げられる。
【0076】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応など無くヒト及び下等動物の組織と接触させるのに適しており、かつ妥当なリスク・ベネフィット比に相応した塩のことを指す。薬学的に許容可能な塩は当技術分野において周知である。例えば、S.M.Berge et al.は、薬学的に許容可能な塩を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19(非特許文献1)に詳しく記載している。この文献の内容は本明細書中に掲載されたものとする。本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩には、適当な無機及び有機酸及び塩基から誘導されるものなどが挙げられる。薬学的に許容可能な非毒性の酸付加塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸とまたは有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸と形成されたアミノ基の塩、あるいはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法で形成されたアミノ基の塩である。他の薬学的に許容可能な塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、及び類似物などが挙げられる。
【0077】
他のケースでは、本発明の化合物は、一つまたは複数の酸性官能性基を含んでいてよく、それ故、薬学的に許容可能な塩基と薬学的に許容可能な塩を形成することができる。これらの場合において「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機及び有機塩基付加塩を指す。これらの塩も同様に、投与ビヒクル中でまたは投与形態製造プロセス中でインサイチュー(in situ)で、あるいは別途、遊離の酸の形の精製された化合物を適当な塩基、例えば薬学的に許容可能な金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩と、アンモニアと、または薬学的に許容可能な有機系の第一級、第二級、第三級または第四級アミンと反応させることによって製造できる。適当な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN+(C1~4アルキル)4塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。更に別の薬学的に許容可能な塩には、適当であれば、対イオン、例えばハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオン及びアリールスルホン酸イオンを用いて形成された非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム及びアミンカチオンなどが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる。(例えば、Berge et al,上記参照)。
【0078】
他に記載がなければ、ここに記載の構造は、その構造の全ての異性体(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー及びジオメトリー(または立体配座))形態を包含することも意図されており;例えば、各々の立体中心についてR及びS配置、Z及びE二重結合異性体、並びにZ及びE立体配座異性体などが意図される。それ故、本発明の化合物の単一の立体学的異性体、並びにエナンチオマー、ジアステレオマー及びジオメトリー(または立体配座)混合物は、本発明の範囲内である。他に記載がなければ、本発明の化合物の全ての互変異性型も、本発明の範囲内である。
【0079】
提供された化合物は、一つまたは複数のサッカライド部分を含んでよい。他に記載がなければ、D-配置及びL-配置の両方、並びにこれらの混合物も、本発明の範囲内である。他に記載がなければ、α-及びβ-結合態様の両方、並びにこれらの混合物も、本発明によって意図されている。
【0080】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望ましい場合には、これは、不斉合成、キラルクロマトグラフィによって、または不斉補助剤を用いた誘導体化によって製造でき、この際、生じるジアステレオマー混合物は分離され、そして補助基は解裂されて、純粋な所望のエナンチオマーを与える。その代わりに、分子が、塩基性官能基、例えばアミノを、または酸性官能基、例えばカルボキシルを含む場合には、ジアステレオマー塩を、適当な光活性酸または塩基を用いて形成し、その後、こうして生じたジアステレオマーを、当技術分野には周知の分別結晶化またはクロマトグラフィ手段によって分解し、次いで純粋なエナンチオマーを回収する。
【0081】
追加的に、他に記載がなければ、ここに記載の構造は、一つまたは複数の同位体が富化された原子の存在のみが異なる化合物も意図される。例えば、重水素または三重水素による水素の置換を、または13C-もしくは14C-富化炭素による炭素の置換を含む本構造を有する化合物も、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的検定法におけるプローブとして、または本発明に従う治療薬として有用である。
【0082】
当技術分野の通常の知識を有する者にとっては、ここに記載のような合成法は、様々な保護基を利用することは明らかである。本発明で使用する場合、「保護基」という用語によっては、特定の官能性部分、例えばO、SまたはNがマスクまたはブロックされて、そして望ましい場合には、反応を多官能性化合物中の他の反応性部位で選択的に反応を行うことを可能にすることが意味される。好ましい態様の一つでは、保護基は良好な収率で選択的に反応して、計画された反応に対して安定した保護された基質を与え;該保護基は、好ましくは、容易に入手可能な、好ましくは非毒性の、他の官能基を攻撃しない試薬によって選択的に除去することができ;該保護基は、(より好ましくは、新しい立体中心の生成なしに)分離可能な誘導体を形成し;及び該保護基は、好ましくは、更なる反応部位を避けるために最小の追加的な官能性を有する。本明細書で詳述するように、酸素、硫黄、窒素及び炭素保護基を利用し得る。非限定的な例として、ヒドロキシ保護基には、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t-ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p-メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4-メトキシフェノキシ)メチル(p-AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t-ブトキシメチル、4-ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2-メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3-ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1-メトキシシクロヘキシル、4-メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S-ジオキシド、1-[(2-クロロ-4-メチル)フェニル]-4-メトキシピぺリジン-4-イル(CTMP)、1,4-ジオキサン-2-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a-オクタヒドロ-7,8,8-トリメチル-4,7-メタノベンゾフラン-2-イル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、1-メチル-1-メトキシエチル、1-メチル-1-ベンジルオキシエチル、1-メチル-1-ベンジルオキシ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、2-(フェニルセレニル)エチル、t-ブチル、アリル、p-クロロフェニル、p-メトキシフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、o-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、p-フェニルベンジル、2-ピコリル、4-ピコリル、3-メチル-2-ピコリルN-オキシド、ジフェニルメチル、p,p’-ジニトロベンズヒドリル、5-ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α-ナフチルジフェニルメチル、p-メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p-メトキシフェニル)メチル、4-(4’-ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4’’-トリス(4,5-ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4’’-トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4’’-トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3-(イミダゾール-1-イル)ビス(4’,4’’-ジメトキシフェニル)メチル、1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1’-ピレニルメチル、9-アントリル、9-(9-フェニル)キサンテニル、9-(9-フェニル-10-オキソ)アントリル、1,3-ベンゾジチオラン-2-イル、ベンズイソチアゾリルS,S-ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ-p-キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t-ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p-クロロフェノキシアセテート、3-フェニルプロピオネート、4-オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4-メトキシクロトネート、ベンゾエート、p-フェニルベンゾエート、2,4,6-トリメチルベンゾエート(メシトエート)、アルキルメチルカーボネート、9-フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、アルキルエチルカーボネート、アルキル2,2,2-トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2-(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2-(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2-(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、アルキルイソブチルカーボネート、アルキルビニルカーボネートアルキルアリルカーボネート、アルキルp-ニトロフェニルカーボネート、アルキルベンジルカーボネート、アルキルp-メトキシベンジルカーボネート、アルキル3,4-ジメトキシベンジルカーボネート、アルキルo-ニトロベンジルカーボネート、アルキルp-ニトロベンジルカーボネート、アルキルS-ベンジルチオカーボネート、4-エトキシ-1-ナフチルカーボネート、メチルジチオカーボネート、2-ヨードベンゾエート、4-アジドブチレート、4-ニトロ-4-メチルペンタノエート、o-(ジブロモメチル)ベンゾエート、2-ホルミルベンゼンスルホネート、2-(メチルチオメトキシ)エチル、4-(メチルチオメトキシ)ブチレート、2-(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6-ジクロロ-4-メチルフェノキシアセテート、2,6-ジクロロ-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)-2-メチル-2-ブテノエート、o-(メトキシカルボニル)ベンゾエート、α-ナフトエート、ニトレート、アルキルN,N,N’,N’-テトラメチルホスホロジアミデート、アルキルN-フェニルカルバメート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4-ジニトロフェニルスルフェネート、スルフェート、メタンスルホネート(メシラート)、ベンジルスルホネート、及びトシラート(Ts)などが挙げられる。1,2-または1,3ージオールを保護するためには、保護基には、メチレンアセタール、メチリデンアセタール、1-t-ブチルエチリデンケタール、1-フェニルエチリデンケタール、(4-メトキシフェニル)エチリデンアセタール、2,2,2-トリクロロエチリデンアセタール、アセトニド、シクロペンチリデンケタール、シクロヘキシリデンケタール、シクロヘプチリデンケタール、ベンジリデンアセタール、p-メトキシベンジリデンアセタール、2,4-ジメトキシベンジリデンケタール、3,4-ジメトキシベンジリデンアセタール、2-ニトロベンジリデンアセタール、メトキシメチレンアセタール、エトキシメチレンアセタール、ジメトキシメチレンオルトエステル、1-メトキシエチリデンオルトエステル、1-エトキシエチリジンオルトエステル、1,2-ジメトキシエチリデンオルトエステル、α-メトキシベンジリデンオルトエステル、1-(N,N-ジメチルアミノ)エチリデン誘導体、α-(N,N’-ジメチルアミノ)ベンジリデン誘導体、2-オキサシクロペンチリデンオルトエステル、ジ-t-ブチルシリレン基(DTBS)、1,3-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサニリデン)誘導体(TIPDS)、テトラ-t-ブトキシジシロキサン-1,3-ジイリデン誘導体(TBDS)、環状カーボネート、環状ボロネート、エチルボロネート、及びフェニルボロネートなどが挙げられる。
【0083】
アミノ保護基には、メチルカルバメート、エチルカルバメート、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9-(2-スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9-(2,7-ジブロモ)フルオレニルメチルカルバメート、2,7-ジ-t-ブチル-[9-(10,10-ジオキソ-10,10,10,10-テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD-Tmoc)、4-メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2-フェニルエチルカルバメート(hZ)、1-(1-アダマンチル)-1-メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1-ジメチル-2-ハロエチルカルバメート、1,1-ジメチル-2,2-ジブロモエチルカルバメート(DB-t-BOC)、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1-メチル-1-(4-ビフェニルリル)エチルカルバメート(Bpoc)、1-(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-1-メチルエチルカルバメート(t-Bumeoc)、2-(2’-及び4’-ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2-(N,N-ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t-ブチルカルバメート(BOC)、1-アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1-イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4-ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8-キノリルカルバメート、N-ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p-メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p-ニトロベンジルカルバメート、p-ブロモベンジルカルバメート、p-クロロベンジルカルバメート、2,4-ジクロロベンジルカルバメート、4-メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9-アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2-メチルチオエチルカルバメート、2-メチルスルホニルエチルカルバメート、2-(p-トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2-(1,3-ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4-メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4-ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2-ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2-トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1-ジメチル-2-シアノエチルカルバメート、m-クロロ-p-アシルオキシベンジルカルバメート、p-(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5-ベンズイソキサゾリルメチルカルバメート、2-(トリフルオロメチル)-6-クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m-ニトロフェニルカルバメート、3,5-ジメトキシベンジルカルバメート、o-ニトロベンジルカルバメート、3,4-ジメトキシ-6-ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o-ニトロフェニル)メチルカルバメート、フェノチアジニル-(10)-カルボニル誘導体、N’-p-トルエンスルホニルアミノカルボニル誘導体、N’-フェニルアミノチオカルボニル誘導体、t-アミルカルバメート、S-ベンジルチオカルバメート、p-シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p-デシルオキシベンジルカルバメート、2,2-ジメトキシカルボニルビニルカルバメート、o-(N,N-ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1-ジメチル-3-(N,N-ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1-ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2-ピリジル)メチルカルバメート、2-フラニルメチルカルバメート、2-ヨードエチルカルバメート、イソボリニルカルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p-(p’-メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1-メチルシクロブチルカルバメート、1-メチルシクロヘキシルカルバメート、1-メチル-1-シクロプロピルメチルカルバメート、1-メチル-1-(3,5-ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1-メチル-1-(p-フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1-メチル-1-フェニルエチルカルバメート、1-メチル-1-(4-ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p-(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6-トリ-t-ブチルフェニルカルバメート、4-(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、2,4,6-トリメチルベンジルカルバメート、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3-フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3-ピリジルカルボキサミド、N-ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p-フェニルベンズアミド、o-ニトフェニルアセトアミド、o-ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセタミド,(N’-ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセタミド、3-(p-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3-(o-ニトロフェニル)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4-クロロブタンアミド、3-メチル-3-ニトロブタンアミド、o-ニトロシンナミド、N-アセチルメチオニン誘導体、o-ニトロベンズアミド、o-(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミド、4,5-ジフェニル-3-オキサゾリン-2-オン、N-フタルイミド、N-ジチアスクシンイミド(Dts)、N-2,3-ジフェニルマレイミド、N-2,5-ジメチルピロール、N-1,1,4,4-テトラメチルジシルアザシクロペンタン付加物(STABASE)、5-置換1,3-ジメチル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、5-置換1,3-ジベンジル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、1-置換3,5-ジニトロ-4-ピリドン、N-メチルアミン、N-アリルアミン、N-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N-3-アセトキシプロピルアミン、N-(1-イソプロピル-4-ニトロ-2-オキソ-3-ピロオリン-3-イル)-アミン、第四級アンモニウム塩、N-ベンジルアミン、N-ジ(4-メトキシフェニル)メチルアミン、N-5-ジベンゾスベリルアミン、N-トリフェニルメチルアミン(Tr)、N-[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N-9-フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N-2,7-ジクロロ-9-フルオレニルメチレンアミン、N-フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N-2-ピコリルアミノN’-オキシド、N-1,1-ジメチルチオメチレンアミン、N-ベンジリデンアミン、N-p-メトキシベンジリデンアミン、N-ジフェニルメチレンアミン、N-[(2-ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N-(N’,N’-ジメチルアミノメチレン)アミン、N’,N’-イソプロピリデンジアミン、N-p-ニトロベンジリデンアミン、N-サリチリデンアミン、N-5-クロロサリチリデンアミン、N-(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N-シクロヘキシリデンアミン、N-(5,5-ジメチル-3-オキソ-1-シクロヘキセニル)アミン、N-ボラン誘導体、N-ジフェニルボリン酸誘導体、N-[フェニル(ペンタカルボニルクロム-もしくはタングステン)カルボニル]アミン、N-銅キレート、N-亜鉛キレート、N-ニトロアミン、N-ニトロソアミン、アミン N-オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホルアミデート、ジベンジルホスホルアミデート、ジフェニルホスホルアミデート、ベンゼンスルフェンアミド、o-ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4-ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2-ニトロ-4-メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、3-ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)、p-トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,-トリメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6-トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6-ジメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6-テトラメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6-ジメトキシ-4-メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β-トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9-アントラセンスルホンアミド、4-(4’,8’-ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、及びフェナシルスルホンアミドなどが挙げられる。例示的な保護基をここに詳述したが、本発明は、これらの保護基に限定されることを意図するものではなく;むしろ、様々な追加的な等価の保護基を上記の基準を用いて簡単に確認でき、そして本発明の方法に利用し得ることは明らかである。加えて、様々な保護基がGreene及びWuts(上記参照)によって記載されている。
【0084】
本明細書に記載のように、本発明の化合物は、「任意選択的に置換された」部分を含んでよい。一般的に、「置換された」という用語は、「任意選択的に」という用語が先に付こうとも付かずとも、指定の部分の一つまたは複数の水素が、適当な置換基で置き換えられていることを意味する。他に記載がなければ、「任意選択的に置換された」基は、基の置換可能な位置で適当な置換を有してよく、そして所定の構造中の1超の位置が特定の基から選択される1超の置換基で置換されてよい場合は、その置換基は、全ての位置で同一または異なっていてよい。本発明によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定なまたは化学的に可能な化合物の形成をもたらすものである。本発明で使用する場合、「安定した」という用語は、それらの製造、検出及び或る態様ではそれらの回収、精製、及び本明細書に開示される目的の一つまたは複数のための使用を可能にする条件に付された時に、実質的に変化しない化合物を指す。
【0085】
「任意選択的に置換された」基の置換可能な炭素原子上の適当な一価置換基は、独立して、ハロゲン;-(CH2)0-4R○;-(CH2)0-4OR○;-O(CH2)0-4R○、-O-(CH2)0-4C(O)OR○;-(CH2)0-4CH(OR○)2;-(CH2)0-4SR○;R○で置換されていてよい-(CH2)0-4Ph;R○で置換されていてよい-(CH2)0-4O(CH2)0-1Ph;R○で置換されていてよい-CH=CHPh;R○で置換されていてよい-(CH2)0-4O(CH2)0-1-ピリジル;-NO2;-CN;-N3;-(CH2)0-4N(R○)2;-(CH2)0-4N(R○)C(O)R○;-N(R○)C(S)R○;-(CH2)0-4N(R○)C(O)NR○
2;-N(R○)C(S)NR○
2;-(CH2)0-4N(R○)C(O)OR○;-N(R○)N(R○)C(O)R○;-N(R○)N(R○)C(O)NR○
2;-N(R○)N(R○)C(O)OR○;-(CH2)0-4C(O)R○;-C(S)R○;-(CH2)0-4C(O)OR○;-(CH2)0-4C(O)SR○;-(CH2)0-4C(O)OSiR○
3;-(CH2)0-4OC(O)R○;-OC(O)(CH2)0-4SR、-SC(S)SR○;-(CH2)0-4SC(O)R○;-(CH2)0-4C(O)NR○
2;-C(S)NR○
2;-C(S)SR○;-SC(S)SR○、-(CH2)0-4OC(O)NR○
2;-C(O)N(OR○)R○;-C(O)C(O)R○;-C(O)CH2C(O)R○;-C(NOR○)R○;-(CH2)0-4SSR○;-(CH2)0-4S(O)2R○;-(CH2)0-4S(O)2OR○;-(CH2)0-4OS(O)2R○;-S(O)2NR○
2;-(CH2)0-4S(O)R○;-N(R○)S(O)2NR○
2;-N(R○)S(O)2R○;-N(OR○)R○;-C(NH)NR○
2;-P(O)2R○;-P(O)R○
2;-OP(O)R○
2;-OP(O)(OR○)2;SiR○
3;-(C1-4直鎖もしくは分岐状)アルキレン)O-N(R○)2;または-(C1-4直鎖もしくは分岐状)アルキレン)C(O)O-N(R○)2であり、各R○は以下に定義するように置換されていてよく、そして独立して水素、C1~6脂肪族基、-CH2Ph、-O(CH2)0-1Ph、-CH2-(5~6員のヘテロアリール環)、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環、または上記の定義に妨げられることなく、Roの二つの独立した出現は、それらの介在する原子(複数可)と一緒に、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する3~12員の飽和、部分不飽和またはアリール単環式もしくは二環式環を形成し、これらは以下に定義するように置換されていてよい。
【0086】
R○(またはR○の二つの独立した出現が、それらの介在する原子ともに形成する環)上の適当な一価置換基は、独立してハロゲン、-(CH2)0-2R△、-(ハロR△)、-(CH2)0-2OH、-(CH2)0-2OR△、-(CH2)0-2CH(OR△)2;-O(ハロR△)、-CN、-N3、-(CH2)0-2C(O)R△、-(CH2)0-2C(O)OH、-(CH2)0-2C(O)OR△、-(CH2)0-2SR△、-(CH2)0-2SH、-(CH2)0-2NH2、-(CH2)0-2NHR△、-(CH2)0-2NR△
2、-NO2、-SiR△
3、-OSiR△
3、-C(O)SR△、-(C1-4直鎖状もしくは分岐状アルキレン)C(O)OR△、または-SSRであり、ここで各R△は置換されていないか、または「ハロ」が先行する場合には、一つまたは複数のハロゲンのみで置換されており、そして独立して、C1~4脂肪族基、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環から独立して選択される。R○の飽和炭素原子上の適当な二価の置換基には=O及び=Sなどが挙げられる。
【0087】
「任意選択的に置換された」基の飽和炭素原子上の適当な二価の置換基には以下のものなどが挙げられる:=O、=S、=NNR*
2、=NNHC(O)R*、=NNHC(O)OR*、=NNHS(O)2R*、=NR*、=NOR*、-O(C(R*
2))2-3O-、または-S(C(R*
2))2-3S-、ここで、R*の各々の独立した出現は、水素、以下に定義するように置換されていてよいC1~6脂肪族基、または置換されておらず、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環から選択される。「任意選択的に置換された」基の近接した置換可能な炭素に結合した適当な二価の置換基には次ものなどが挙げられる:-O(CR*
2)2-3O-、ここでR*の各々の独立した出現は、水素、以下に定義するように置換されていてよいC1~6脂肪族基、または置換されておらず、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環から選択される。
【0088】
R*の脂肪族基上の適当な置換基には、ハロゲン、-R△、-(ハロR△)、-OH、-OR△、-O(ハロR△)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR△、-NH2、-NHR△、-NR△
2、または-NO2などが挙げられ、ここで各R△は置換されていないか、または「ハロ」が先行している場合には、一つまたは複数のハロゲンのみで置換されており、そして独立してC1~4脂肪族基、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環である。
【0089】
「任意選択的に置換された」基の置換可能な窒素上の適当な置換基には、-R†、-NR†
2、-C(O)R†、-C(O)OR†、-C(O)C(O)R†、-C(O)CH2C(O)R†、-S(O)2R†、-S(O)2NR†
2、-C(S)NR†
2、-C(NH)NR†
2、または-N(R†)S(O)2R†などが挙げられ;ここで各々のR†は、独立して、水素、以下に定義するように置換されていてもよいC1~6脂肪族、置換されていない-OPh、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、置換されていない5~6員の飽和、部分不飽和もしくはアリール環であるか、あるいは上記の定義にかかわらず、R†の二つの独立した出現は、それらの介在する原子(複数可)と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する、置換されていない3~12員の飽和、部分不飽和またはアリール単環式もしくは二環式環を形成する。R†の前記脂肪族基上の適当な置換基は、独立して、ハロゲン、-R△、-(ハロR△)、-OH、-OR△、-O(ハロR△)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR△、-NH2、-NHR△、-NR△
2、または-NO2であり、ここで、各々のR△は、置換されていないか、または「ハロ」が先行している場合には、一つまたは複数のハロゲンのみによって置換されており、そして独立して、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環である。
【0090】
本明細書で使用する場合、「非経口投与」及び「非経口的投与」というフレーズは、腸内及び局所投与以外の、通常は注射による投与方式を意味し、そして限定はされないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内及び胸骨内注射及び点滴などが挙げられる。
【0091】
本明細書で使用する場合、「全身投与」、「全身的に投与」、「抹消投与」及び「抹消的に投与」というフレーズは、中枢神経系中に直接投与する以外で、化合物、薬または他の材料が患者の身体に入り、そうして代謝及び他の類似のプロセスに付される投与、例えば皮下投与を意味する。
【0092】
本明細書で使用する場合、「富化」という用語は、一つまたは複数の種の高められた割合を有する混合物を指す。一部の態様では、この混合物は、混合物中の一つまたは複数の望ましい種の割合を高めるプロセスの後に「富化」される。一部の態様では、望ましい種(複数可)は、この混合物の10%超を占める。一部の態様では、望ましい種(複数可)は、この混合物の25%超を占める。一部の態様では、望ましい種(複数可)は、この混合物の40%超を占める。一部の態様では、望ましい種(複数可)は、この混合物の60%超を占める。一部の態様では、望ましい種(複数可)は、この混合物の75%超を占める。一部の態様では、望ましい種(複数可)は、この混合物の85%超を占める。一部の態様では、望ましい種(複数可)は、この混合物の90%超を占める。一部の態様では、望ましい種(複数可)は、この混合物の95%超を占める。このような割合は、あらゆる方法により、例えばモル比、体積:体積、または重量:重量で測定できる。
【0093】
「純粋」という用語は、関連する目的外の構造の化合物または化学前駆体(化学合成する場合)を実質的に含まない化合物を指す。この品質は、「純度」として測定または表記できる。一部の態様では、目的の化合物は、目的外の構造または化学前駆体を、約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、及び0.1%未満の割合で有する。一部の態様では、本発明の純粋な化合物は、ただ一種のプロサポゲニン化合物である(すなわち、他のプロサポゲニン類からの目的のプロサポゲニンの分離)。
【0094】
「炭水化物」という用語は、糖類または糖類のポリマーを指す。「サッカライド」、「ポリサッカライド」、「炭水化物」及び「オリゴサッカライド」という用語は、相互互換的に使用し得る。殆どの炭水化物は、沢山のヒドロキシル基、通常は分子の各々の炭素原子上に一つのヒドロキシル基を有するアルデヒドまたはケトンである。炭水化物は、一般的に分子式CnH2nOnを有する。炭水化物は、モノサッカライド、ジサッカライド、トリサッカライド、オリゴサッカライドまたはポリサッカライドであってよい。最も基本的な炭水化物は、グルコース、スクロース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース及びフルクトースなどのモノサッカライドである。ジサッカライドは、二つの結合したモノサッカライドである。例示的なジサッカライドには、スクロース、マルトース、セロビオース及びラクトースなどが挙げられる。典型的には、オリゴサッカライドは、3個と6個の間のモノサッカライド単位を含み(例えば、ラフィノース、スタキオース)、そしてポリサッカライドは、6個以上のモノサッカライド単位を含む。例示的なポリサッカライドには、デンプン、グリコゲン及びセルロースなどが挙げられる。炭化水素は、変性サッカライド単位、例えば一つのヒドロキシル基が除去された2’-デオキシリボース、一つのヒドロキシル基がフッ素で置き換えられている2’-フルオロリボース、またはグルコースの窒素含有形態であるN-アセチルグルコサミンを含んでよい。(例えば、2’-フルオロリボース、デオキシリボース、及びヘキソース)。炭水化物は、多くの様々な形で存在し得、例えば配座異性体、環状形態、非環状形態、立体異性体、互変異体、アノマー及び異性体の形で存在し得る。
【0095】
本発明の更なる課題、特徴及び利点は、以下に記載の説明を添付の図面と共に考慮した場合に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図1】
図1は、QS-21-Api及びQS-21-Xylの化学構造を示す。百分率は、QS-21の単離された抽出物中の各々の異性体の天然存在度に相当する。
【
図2】
図2は、高用量もしくは低用量プレベナー-13の、または合成QS-21(SQS-21)または化合物I-4(TiterQuil-1-0-5-5/TQL-1055)と組み合わせたLym2-CRM197結合体の抗原性を示すデータを表す。
【
図3】
図3は、Adacel単独の、または化合物I-4(TiterQuil-1-5-5/TQL-1055)もしくはQS-21(Pharm/tox study)と組み合わせたAdacelの抗原性を示すデータを表す。
【
図4】
図4は、Engerix-B単独の、または10、30、100もしくは300mcgの化合物I-4(TiterQuil-1-0-5-5/TQL-1055)と組み合わせたEngerix-Bの抗原性を示すデータを表す。
【
図5】
図5は、2uM、5uM及び20uMのQS-21、及び20uM、100uM、及び200uMの化合物I-4(TiterQuil-1-0-5-5/TQL-1055)の溶血活性を示すデータを表す。溶血活性度%は、Triton-X100/SDS溶解コントロールの百分率として報告する。
【
図6】
図6は、化合物I-4(TiterQuil-1-0-5-5/TQL-1055)の全合成に使用する中間物を得るための一つの合成経路を示す。
【
図7】
図7は、化合物I-4(TiterQuil-1-0-5-5/TQL-1055)の全合成に使用する中間物を得るための一つの合成経路を示す。
【
図8】
図8は、化合物I-4(TiterQuil-1-0-5-5/TQL-1055)を得るための全合成を示す。この図において、「半精製樹皮抽出物」は、キラヤサポナリアからの半精製抽出物(Quil-A(ニューヨーク、ウェストベリー在のAccurate Chemical and Scientific Corporation)として商業的に入手可能)である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
制癌性、抗ウイルス性及び抗菌性ワクチンの臨床的成功は、弱化された毒性の新規の強力なアジュバントの同定及び入手に決定的に依存する。これに関連して、キラヤサポナリア(QS)の樹皮の抽出物からの特定の画分は、免疫治療法に極めてパワフルなアジュバントであることが判明した。従前は、複合トリテルペングリコシドサポニンの異性体形態(Soltysik,S.;Wu,J.Y.;Recchia,J.;Wheeler,D.A.;Newman,M.J.;Coughlin,R.T.;Kensil,C.R.Vaccine 1995,13,1403-1410(非特許文献2);Kensil,C.R.Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.1996,13,1-55(非特許文献3))を含むQS-21画分(Kensil,C.R.;Patel,U.;Lennick,M.;Marciani,D.J.Immunol.1991,146,431-437(非特許文献4))が、いくつかの腫瘍性(黒色腫、前胸部、小細胞肺がん、前立腺)(Livingston,P.O.;Ragupathi,G.Hum.Vaccines 2006,2,137-143(非特許文献5))及び感染症(HIV、マラリア)ワクチン治療において最も有望な免疫強化物質(Kim,S.K.;Ragupathi,G.;Musselli,C.;Choi,S.J.;Park,Y.S.;Livingston,P.O.Vaccine2000,18,597-603(非特許文献6))として考えられていた(Sasaki,S.;Sumino,K.;Hamajima,K.;Fukushima,J.;Ishii,N.;Kawamoto,S.;Mohri,H.;Kensil,C.R.;Okuda,K.J.Virol.1998,72,4931-4939(非特許文献7); Evans,T.G.,et al.Vaccine 2001,19,2080-2091(非特許文献8);Kashala,O.,et al.Vaccine 2002,20,2263-2277(非特許文献9); Carcaboso,A.M.;Hernandez,R.M.;Igartua,M.;Rosas,J.E.; Patarroyo,M.E.;Pedraz,J.L.Vaccine 2004,22,1423-1432(非特許文献10))。
【0098】
しかし、癌患者のQS-21の耐性用量は典型的には100~150μgを超えず、この値を超えると、顕著な局所紅斑及び全身性インフルエンザ様症状が生じる。QS-21の固有の不安定性は、それの破壊に伴う毒性を招く虞がある。また、QS-21が溶血性であることも知られており、そしてこの溶血活性は、従前は、QS-21のアジュバント活性の少なくとも一部が、それの溶血特性に関連するものと仮定されていた。QS-21の様々な欠点の一部は、部分的に、エマルション(GlaxoSmithKline(GSK)によるAS02またはリポゾーム(AS01、GSK))を用いた調合物によって対処されてきたが、これらの解決策は次善の策であり、そして高い程度の耐用性及び/または低められた副作用を維持しつつ、良好なアジュバント特性を示す改善されたアジュバントへの強い要望がなおもある。
【0099】
驚くべきことに、本発明の発明者は、一部の態様ではQS-21の合成類似物及びQS-7などの他のQS抽出画分である本願の化合物が、有意なスタンドアローンのアジュバント活性、並びに高程度の耐用性及び/または低められた副作用を有することをここに見出した。これらの新規のアジュバント化合物は、天然のQS-21と比べるとその製造の費用効果が高く、予防的及び治療的ワクチン接種プログラムでの使用でより安定しており、より効能が高くかつより毒性が低い。幾つかの態様は、予測される1000mcgヒト用投与量に近似する投与量でのマウスにおける薬理学及び毒学的研究において検出可能な毒性を持たない。幾つかの態様では、驚くべきことに、それらのアジュバント特性をなおも維持しながら完全に非溶血性である。これは一部は驚くべきことである。なぜならば、最初は、QS-21毒性及び効力は、溶血現象とQS-21に伴う他の細胞毒性とに関連すると考えられていたからである。本願の幾つかの態様は、QS-21中のアシル鎖の不安定なエステル結合を非常に安定したアミド結合に置き換えて、その結果、QS-21のアジュバント活性類似物となることによって、より大きな安定性及び小さな溶血活性を発揮する。幾つかの態様は、また、QS-21と比べて簡素化された構造を有することで、合成QS-21と比べてより高い合成収率及び大きく減少した合成ステップ及び製造コストを為しつつも、アジュバント活性も保持する。
【0100】
また、本願は、本願の化合物を合成するための効率が良く、この強力な部類のアジュバントを得るために必要な合成ステップの数を大きく減らす半合成方法も提供する。
【0101】
本願は、本願の化合物を、細菌もしくはウイルスに関連する抗原の免疫学的有効量と一緒に含む医薬組成物も包含する。本願発明に含まれる細菌またはウイルスは、B型肝炎、肺炎球菌、ジフテリア、破傷風、百日咳、またはライム病に関連する細菌またはウイルス、例えばボレリア属の密接に関連するスピロヘータ、例えばB.ブルグドルフェリ、B.ガリニ、B.アフゼリ、及びB.ジャポニカからなる。
【0102】
本願は、本願の医薬組成物または化合物の免疫学的有効量を投与することを含む、ヒトの患者にワクチン摂取する方法も含む。本願は、本願の医薬組成物または化合物の免疫学的有効量を投与することを含む、ワクチンに対する免疫応答を高めるための方法も含む。
【0103】
化合物
本発明の化合物は、先に一般的に記載したものを包含し、そしてここに開示する部類、下位部類及び種によって更に例示される。幾つかの態様では、提供される化合物は、天然に発生するトリテルペングリコシドサポニンの類似物及びそれの中間体である。本発明の目的においては、化学元素は、原子周期律表、CASバージョン、ハンドブック・オブ・ケミストリー・アンド・フィジクス、75版に従って特定される。加えて、有機化学品の一般原則は、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999(非特許文献11)、及びMarch’s Advanced Organic Chemistry,5th Ed.,Ed.:Smith,M.B. and March,J.,John Wiley & Sons,New York: 2001(非特許文献12)に記載されている。これらの文献の内容は全て本明細書中に掲載されたものとする。
【0104】
例示化合物の説明
幾つかの態様では、提供される化合物は、キラヤサポニンの類似物である。幾つかの態様では、提供される化合物は、プロサポゲニン類である。或る態様では、提供される化合物は、QS-7及びQS-21の類似物であり、強力なアジュバント活性を有する。
【0105】
一つの観点では、本発明は、式I:
【0106】
【化28】
の化合物またはそれの薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0107】
【化29】
Wは、-CHOであり;
Vは、水素またはOR
Xであり;
Yは、CH
2、-O-、-NR-または-NH-であり;
Zは、水素;アシル、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、アリール、アリールアルキル、ヘテロアシル及びヘテロアリールからなる群から選択される環式もしくは非環式の任意選択的に置換された部分;または次の構造を持つ炭水化物ドメインであり;
【0108】
【化30】
ここで、R
1の各々の出現は、R
Xまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり、
【0109】
【化31】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なっていてよく;但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;アシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
2は、水素、ハロゲン、OH、OR、OC(O)R
4、OC(O)OR
4、OC(O)NHR
4、OC(O)NRR
4、OC(O)SR
4、NHC(O)R
4、NRC(O)R
4、NHC(O)OR
4、NHC(O)NHR
4、NHC(O)NRR
4、
NHR
4、N(R
4)
2、NHR
4、NRR
4、N
3であるか、またはC
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
3は、水素、ハロゲン、CH
2OR
1であるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0110】
【化32】
であり、
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基であり;
Rの各々の出現は、独立して、水素;アシル、アリールアルキル、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり、または;
同じ窒素原子上の二つのRは、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロ環式環を形成する。
【0111】
一つの観点では、本出願は、次式II
【0112】
【化33】
の化合物またはそれの薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0113】
【0114】
【化35】
であり;
Vは、水素またはOR
Xであり;
Yは、CH
2、-O-、-NR-または-NH-であり;
Zは、水素;アシル、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、アリール、アリールアルキル、ヘテロアシル及びヘテロアリールからなる群から選択される環式もしくは非環式の任意選択的に置換された部分;または次の構造を持つ炭水化物ドメインであり;
【0115】
【化36】
ここで、R
1の各々の出現は、R
Xまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり、
【0116】
【化37】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なっていてよく;但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;アシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
2は、水素、ハロゲン、OH、OR、OC(O)R
4、OC(O)OR
4、OC(O)NHR
4、OC(O)NRR
4、OC(O)SR
4、NHC(O)R
4、NRC(O)R
4、NHC(O)OR
4、NHC(O)NHR
4、NHC(O)NRR
4、NHR
4、N(R
4)
2、NHR
4、NRR
4、N
3であるか、またはC
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
3は、水素、ハロゲン、CH
2OR
1であるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0117】
【化38】
であり、
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基であり;
R
yは、-OH、-ORであるか、またはエステル、アミド及びヒドラジドからなる群から選択されるカルボキシル保護基であり、
R
Sは、
【0118】
【化39】
であり;
R
X’の各々の出現は、独立して、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり、または:
二つのR
X’は一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~7員のヘテロ環式環を形成し;
Rの各々の出現は、独立して、水素;アシル、アリールアルキル、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり、または;
同じ窒素原子上の二つのRは、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロ環式環を形成する。
【0119】
一つの観点では、本願は、式I:
【0120】
【化40】
の化合物またはそれの薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0121】
【化41】
Wは、-CHOであり;
Vは、-OHであり;
Yは、-O-であり;
ここで、Zは、次の構造を有する炭水化物ドメインであり;
【0122】
【0123】
【化43】
であり;
R
2は、NHR
4であり;
R
3は、CH
2OHであり;そして
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0124】
【化44】
であり、
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基である。
【0125】
本願の化合物が、必ずしも限定はされないが、本セクションの一部として記載した一般的な定義に含まれる化合物を包含することは当技術分野において通常の知識を有する者によって当然に理解されることである。本願に包含される化合物は、各々の部類内の全ての個々の種を包含する、明細書全体中に開示される全ての化合物を少なくとも含む。
【0126】
或る態様では、VはORXである。或る態様では、VはOHである。或る態様では、VはHである。
【0127】
或る態様では、Yは-O-である。或る態様では、Yは-NH-である。或る態様では、Yは-NR-である。或る態様では、YはCH2である。
【0128】
或る態様では、Zは水素である。或る態様では、Zは環状もしくは非環式の場合によっては置換された部分である。或る態様では、Zはアシルである。或る態様では、Zは脂肪族である。或る態様では、Zはヘテロ脂肪族基である。或る態様では、Zはアリールである。或る態様では、Zはアリールアルキルである。或る態様では、Zはヘテロアシルである。或る態様では、Zはヘテロアリールである。或る態様では、Zは、次の構造を有する炭水化物ドメインである:
【0129】
【0130】
幾つかの態様では、Zは、次の構造を有する炭水化物ドメインであり:
【0131】
【0132】
【化47】
であり、
R
2は、NHR
4であり;
R
3は、CH
2OHであり;そして
R
4は、次から選択される:
【0133】
【0134】
幾つかの態様では、R1はRXである。他の態様では、R1は、次の構造を有する炭水化物ドメインである:
【0135】
【0136】
幾つかの態様では、a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2である。幾つかの態様では、dは1~5の整数である。幾つかの態様では、各々のd括弧付き構造は同じであってよい。幾つかの態様では、各々のd括弧付き構造は異なっていてよい。幾つかの態様では、d括弧付き構造は、フラノースまたはピラノース部分を表す。幾つかの態様では、b及びcの合計は1または2である。
【0137】
幾つかの態様では、R0は水素である。幾つかの態様では、R0は、該群から選択された酸素保護基である。幾つかの態様では、R0はアルキルエーテルである。幾つかの態様では、R0はベンジルエーテルである。幾つかの態様では、R0はシリルエーテルである。幾つかの態様では、R0はアセタールである。幾つかの態様では、R0はケタールである。幾つかの態様では、R0はエステルである。幾つかの態様では、R0はカルバメートである。幾つかの態様では、R0はカーボネートである。幾つかの態様では、R0は任意選択的に置換された部分である。幾つかの態様では、R0はアシルである。幾つかの態様では、R0はC1~10脂肪族基である。幾つかの態様では、R0はC1~6ヘテロ脂肪族基である。幾つかの態様では、R0は6~10員のアリールである。幾つかの態様では、R0はアリールアルキルである。幾つかの態様では、R0は、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールである。幾つかの態様では、R0は、窒素、酸素または硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルである。
【0138】
幾つかの態様では、Raは水素である。幾つかの態様では、Raはハロゲンである。幾つかの態様では、RaはOHである。幾つかの態様では、RaはORである。幾つかの態様では、RaはORXである。幾つかの態様では、RaはNR2である。幾つかの態様では、RaはNHCORである。幾つかの態様では、Raはアシルである。幾つかの態様では、RaはC1~10脂肪族基である。幾つかの態様では、RaはC1~6ヘテロ脂肪族基である。幾つかの態様では、Raは6~10員のアリールである。幾つかの態様では、Raはアリールアルキルである。幾つかの態様では、Raは、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールである。幾つかの態様では、Raは、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルである。
【0139】
幾つかの態様では、Rbは水素である。幾つかの態様では、Rbはハロゲンである。幾つかの態様では、RbはOHである。幾つかの態様では、RbはORである。幾つかの態様では、RbはORXである。幾つかの態様では、RbはNR2である。幾つかの態様では、RbはNHCORである。幾つかの態様では、Rbはアシルである。幾つかの態様では、RbはC1~10脂肪族基である。幾つかの態様では、RbはC1~6ヘテロ脂肪族基である。幾つかの態様では、Rbは6~10員のアリールである。幾つかの態様では、Rbはアリールアルキルである。幾つかの態様では、Rbは、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールである。幾つかの態様では、Rbは、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルである。
【0140】
幾つかの態様では、Rbは水素である。幾つかの態様では、Rbはハロゲンである。幾つかの態様では、RbはOHである。幾つかの態様では、RbはORである。幾つかの態様では、RbはORXである。幾つかの態様では、RbはNR2である。幾つかの態様では、RbはNHCORである。幾つかの態様では、Rbはアシルである。幾つかの態様では、RbはC1~10脂肪族基である。幾つかの態様では、RbはC1~6ヘテロ脂肪族基である。幾つかの態様では、Rbは6~10員のアリールである。幾つかの態様では、Rbはアリールアルキルである。幾つかの態様では、Rbは、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールである。幾つかの態様では、Rbは、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルである。
【0141】
幾つかの態様では、Rcは水素である。幾つかの態様では、Rcはハロゲンである。幾つかの態様では、RcはOHである。幾つかの態様では、RcはORである。幾つかの態様では、RcはORXである。幾つかの態様では、RcはNR2である。幾つかの態様では、RcはNHCORである。幾つかの態様では、Rcはアシルである。幾つかの態様では、RcはC1~10脂肪族基である。幾つかの態様では、RcはC1~6ヘテロ脂肪族基である。幾つかの態様では、Rcは6~10員のアリールである。幾つかの態様では、Rcはアリールアルキルである。幾つかの態様では、Rcは、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールである。幾つかの態様では、Rcは、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルである。
【0142】
幾つかの態様では、Rdは水素である。幾つかの態様では、Rdはハロゲンである。幾つかの態様では、RdはOHである。幾つかの態様では、RdはORである。幾つかの態様では、RdはORXである。幾つかの態様では、RdはNR2である。幾つかの態様では、RdはNHCORである。幾つかの態様では、Rdはアシルである。幾つかの態様では、RdはC1~10脂肪族基である。幾つかの態様では、RdはC1~6ヘテロ脂肪族基である。幾つかの態様では、Rdは6~10員のアリールである。幾つかの態様では、Rdはアリールアルキルである。幾つかの態様では、Rdは、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールである。幾つかの態様では、Rdは、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルである。
【0143】
幾つかの態様では、R2は水素である。幾つかの態様では、R2はハロゲンである。幾つかの態様では、R2はOHである。幾つかの態様では、R2はORである。幾つかの態様では、R2はOC(O)R4である。幾つかの態様では、R2はOC(O)OR4である。幾つかの態様では、R2はOC(O)NHR4である。幾つかの態様では、R2はOC(O)NRR4である。幾つかの態様では、R2はOC(O)SR4である。幾つかの態様では、R2はNHC(O)R4である。幾つかの態様では、R2はNRC(O)R4である。幾つかの態様では、R2はNHC(O)OR4である。幾つかの態様では、R2はNHC(O)NHR4である。幾つかの態様では、R2はNHC(O)NRR4である。幾つかの態様では、R2はNHR4である。幾つかの態様では、R2はN(R4)2である。幾つかの態様では、R2はNHR4である。幾つかの態様では、R2はNRR4である。幾つかの態様では、R2はN3である。幾つかの態様では、R2はC1~10脂肪族基である。幾つかの態様では、R2はC1~6ヘテロ脂肪族基である。幾つかの態様では、R2は6~10員のアリールである。幾つかの態様では、R2はアリールアルキルである。幾つかの態様では、R2は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールである。幾つかの態様では、R2は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルである。
【0144】
幾つかの態様では、R3は水素である。幾つかの態様では、R3はハロゲンである。幾つかの態様では、R3はCH2OR1である。幾つかの態様では、R3はアシルである。幾つかの態様では、R3はC1~10脂肪族基である。幾つかの態様では、R3はC1~6ヘテロ脂肪族基である。幾つかの態様では、R3は6~10員のアリールである。幾つかの態様では、R3はアリールアルキルである。幾つかの態様では、R3は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールである。幾つかの態様では、R3は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルである。
【0145】
幾つかの態様では、R4は-T-RZである。幾つかの態様では、R4は-C(O)-T-RZである。幾つかの態様では、R4は-NH-T-RZである。幾つかの態様では、R4は-O-T-RZである。幾つかの態様では、R4は-S-T-RZである。幾つかの態様では、R4は-C(O)NH-T-RZである。幾つかの態様では、R4はC(O)O-T-RZである。幾つかの態様では、R4はC(O)S-T-RZである。幾つかの態様では、R4はC(O)NH-T-O-T-RZである。幾つかの態様では、R4は-O-T-RZである。幾つかの態様では、R4は-T-O-T-RZである。幾つかの態様では、R4は-T-S-T-RZである。幾つかの態様では、R4は、
【0146】
【0147】
或る態様では、Xは-O-である。或る態様では、Xは-NR-である。幾つかの態様では、XはT-RZである。
【0148】
幾つかの態様では、Tは、共有結合、または二価のC1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖である。
【0149】
幾つかの態様では、RZは水素である。幾つかの態様では、RZはハロゲンである。幾つかの態様では、RZは-ORである。幾つかの態様では、RZは-ORXである。幾つかの態様では、RZは-OR1である。幾つかの態様では、RZは-OR1’である。幾つかの態様では、RZは-SRである。幾つかの態様では、RZはNR2である。幾つかの態様では、RZは-C(O)ORである。幾つかの態様では、RZは-C(O)Rである。幾つかの態様では、RZは-NHC(O)Rである。幾つかの態様では、RZは-NHC(O)ORである。幾つかの態様では、RZはNC(O)ORである。幾つかの態様では、RZはアシルである。幾つかの態様では、RZはアリールアルキルである。幾つかの態様では、RZはヘテロアリールアルキルである。幾つかの態様では、RZはC1~6脂肪族基である。幾つかの態様では、RZは6~10員のアリールである。幾つかの態様では、RZは、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールである。幾つかの態様では、RZは、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルである。
【0150】
幾つかの態様では、RXは水素である。幾つかの態様では、RXは酸素保護基である。幾つかの態様では、RXはアルキルエーテルである。幾つかの態様では、RXはベンジルエーテルである。幾つかの態様では、RXはシリルエーテルである。幾つかの態様では、RXはアセタールである。幾つかの態様では、RXはケタールである。幾つかの態様では、RXはエステルである。幾つかの態様では、RXはカルバメートである。幾つかの態様では、RXはカーボネートである。
【0151】
幾つかの態様では、Ryは-OHである。幾つかの態様では、Ryは-ORである。幾つかの態様では、Ryはカルボキシル保護基である。幾つかの態様では、Ryはエステルである。幾つかの態様では、Ryはアミドである。幾つかの態様では、Ryはヒドラジドである。
【0152】
幾つかの態様では、RSは、
【0153】
【0154】
幾つかの態様では、RX’は、任意選択的に置換された6~10員のアリールである。幾つかの態様では、RX’は、任意選択的に置換されたC1~6脂肪族基である。幾つかの態様では、RX’は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、任意選択的に置換されたまたはC1~6ヘテロ脂肪族基である。幾つかの態様では、二つのRX’は一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~7員のヘテロ環式環を形成する。
【0155】
幾つかの態様では、Rは水素である。幾つかの態様では、Rはアシルである。幾つかの態様では、Rはアリールアルキルである。幾つかの態様では、Rは6~10員のアリールである。幾つかの態様では、RはC1~6脂肪族基である。幾つかの態様では、Rは、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC1~6ヘテロ脂肪族基である。幾つかの態様では、同じ窒素原子上の二つのRは、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロ環式環を形成する。
【0156】
幾つかの態様では、R1’は、R1と同じ態様を有する。
【0157】
式Iの例示的な化合物を以下の表1に記載する:
【0158】
【0159】
天然に生じるプロサポゲニンまたはサポニンについての単離または分解研究の結果である従来技術に開示される化合物を特許請求することは本発明の課題ではないことは当然に理解されることである。
【0160】
化合物の合成
米国特許第8,283,456号(特許文献1)(及びそれの親/子米国出願及び公開明細書)として発行された米国シリアル番号12/420,803号に記載されるように、QS-21、並びにそれの類似物の少なくとも一部の合成は、少なくとも50の別個のサポニン種の混合物を含む(van Setten,D.C.;Vandewerken,G.;Zomer,G.;Kersten,G.F.A.Rapid Commun.Mass Spectrom.1995,9,660-666(非特許文献13))、キラヤサポナリア(Quil-A(Accurate Chemical and Scientific Corporation,Westbury,NY)から商業的に入手可能)から半精製抽出物を得ることによってその一部を行うことができる。上記のサポニン種の多くは、QS-21及びQS-7などの免疫学的活性キラヤサポニン中に見出されるようなトリテルペン-トリサッカライド副構造を含む。これらのサポニン種を塩基性加水分解に曝すと、プロサポゲニンA、B及びCで富化された混合物を与える(下記参照)。
【0161】
【化53】
米国特許第8,283,456号(特許文献1)(及びそれの親/子米国出願及び公開明細書)として発行された米国シリアル番号12/420,803号は、シリカゲルクロマトグラフィを介した、誘導体化したプロサポゲニンA、B及びCの簡単な分離を可能とする方策を提供している。本願の一部の態様は、米国特許第8,283,456号(特許文献1)(及びそれの親/子米国出願及び公開明細書)として発行された米国シリアル番号12/420,803号に記載される方法、特に誘導体化プロサポゲニンA、B及びCの簡単な分離に関する方法を用いて、一部合成し得ることは当然に理解されることである。一つの観点では、分離された誘導体化プロサポゲニンA、B及び/Cは、次いで、本明細書に記載の方法を用いてQS-21またはそれの類似物を合成するために使用し得る。
【0162】
一つの態様では、本願は、QS-7、QS-21及び関連の類似物を製造するための半合成方法であって、トリテルペン化合物を、サッカライドを含む化合物とカップリングさせて、式Iまたは式IIの化合物を形成することを含む前記方法を提供する。一部の態様では、該方法は、次のステップ(a)~(c)を含む:
【0163】
(a)式IIIの化合物を提供するステップ:
【0164】
【0165】
【化55】
Y’は、水素、ハロゲン、アルキル、アリール、OR、OR
y、OH、NR
2、NR
3
+、NHR、NH
2、SR、またはNRORであり;
Wは、Me、-CHO、-CH
2OR
x、-C(O)R
y、または
【0166】
【化56】
であり;
Vは、水素または-OR
Xであり;
R
yは、-OHであるか、またはエステル、アミド及びヒドラジドからなる群から選択されるカルボキシル保護基であり;
R
X’の各々の出現は、独立して、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり、または:
二つのR
X’は一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~7員のヘテロ環式環を形成し;
Rの各々の出現は、独立して、水素;アシル、アリールアルキル、6~10員のアリール、C
1~12脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~12ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基である;
【0167】
(b)式IIIの上記化合物を、適切な条件下に式Vの化合物で処理するステップ:
LG-Z
(V)
式中、
Zは、水素;アシル、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、アリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択される環式もしくは非環式の任意選択的に置換された部分;または次の構造を持つ炭水化物ドメインであり:
【0168】
【化57】
式中、
R1の各々の出現は、Rxまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり:
【0169】
【化58】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なっていてよく;但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;アシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
2は、水素、ハロゲン、OH、OR、OC(O)R
4、OC(O)OR
4、OC(O)NHR
4、OC(O)NRR
4、OC(O)SR
4、NHC(O)R
4、NRC(O)R
4、NHC(O)OR
4、NHC(O)NHR
4、NHC(O)NRR
4、NHR
4、N(R
4)
2、NHR
4、NRR
4、N
3であるか、またはC
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
3は、水素、ハロゲン、CH
2OR
1であるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0170】
【化59】
であり;
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各出現は、式IIIの化合物について定義した通りであり;及び
LGは、ハロゲン、イミデート、アルコキシ、スルホニルオキシ、任意選択的に置換されたアルキルスルホニル、任意選択的に置換されたアルケニルスルホニル、任意選択的に置換されたアリールスルホニル、及びジアゾニウム部分からなる群から選択される適当な脱離基である;
【0171】
(b)そうして、本明細書に記載の式Iの化合物を得るステップ。
【0172】
一部の態様では、該方法は、次のステップ(a)~(c)を含む:
【0173】
(a)式IVの化合物を提供するステップ:
【0174】
【0175】
【化61】
Y’は、水素、ハロゲン、アルキル、アリール、OR、OR
y、OH、NR
2、NR
3
+、NHR、NH
2、SR、またはNRORであり;
Wは、Me、-CHO、-CH
2OR
x、-C(O)R
y、または
【0176】
【化62】
であり;
Vは、水素または-OR
Xであり;
R
yは、-OHであるか、またはエステル、アミド及びヒドラジドからなる群から選択されるカルボキシル保護基であり;
R
Sは、
【0177】
【化63】
であり;
R
X’の各々の出現は、独立して、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり、または:
二つのR
X’は一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~7員のヘテロ環式環を形成し;
Rの各々の出現は、独立して、水素;アシル、アリールアルキル、6~10員のアリール、C
1~12脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~12ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基である;
【0178】
(b)式IVの上記化合物を、適切な条件下に式Vの化合物で処理するステップ:
LG-Z
(V)
式中、
Zは、水素;アシル、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、アリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択される環式もしくは非環式で任意選択的に置換された部分;または次の構造を持つ炭水化物ドメインであり;
【0179】
【化64】
式中、
R1の各々の出現は、Rxまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり:
【0180】
【化65】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なっていてよく;該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
2は、水素、ハロゲン、OH、OR、OC(O)R
4、OC(O)OR
4、OC(O)NHR
4、OC(O)NRR
4、OC(O)SR
4、NHC(O)R
4、NRC(O)R
4、NHC(O)OR
4、NHC(O)NHR
4、NHC(O)NRR
4、NHR
4、N(R
4)
2、NHR
4、NRR
4、N
3であるか、またはC
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
3は、水素、ハロゲン、CH
2OR
1であるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換されている基であり、
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0181】
【化66】
であり;
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xの各々の出現は、式IVの化合物について定義した通りであり;及び
LGは、ハロゲン、イミデート、アルコキシ、スルホニルオキシ、任意選択的に置換されたアルキルスルホニル、任意選択的に置換されたアルケニルスルホニル、任意選択的に置換されたアリールスルホニル、及びジアゾニウム部分からなる群から選択される適当な脱離基である;
【0182】
(c)そうして、本明細書に記載の式IIの化合物を得るステップ。
【0183】
一つの観点では、本出願は、
【0184】
(a)次式IIIの化合物を提供し:
【0185】
【0186】
【化68】
Y’は、水素、ハロゲン、アルキル、アリール、OR、OR
y、OH、NR
2、NR
3
+、NHR、NH
2、SR、またはNRORであり;
Wは、-CHOであり;
Vは、-OR
Xであり;
R
Xは、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基である;
【0187】
(b)式IIIの上記化合物を、適切な条件下に式Vの化合物で処理し:
LG-Z
(V)
式中、
Zは、次の構造を有する炭水化物ドメインであり:
【0188】
【0189】
【化70】
であり;
R
2は、NHR
4であり;
R
3は、CH
2OHであり;そして
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0190】
【化71】
であり、
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;そして
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基である;
【0191】
(c)そうして、本明細書に記載の式Iの化合物を得る、
ことを含む合成方法を提供する。
【0192】
他の観点では、本願は、式Iの化合物またはそれの中間体を合成するための方法であって、次の(a)~(c)のステップを含む前記方法を提供する:
【0193】
(a)次式IIIの化合物を提供するステップ:
【0194】
【0195】
【化73】
Y’は、水素、ハロゲン、アルキル、アリール、OR、OR
y、OH、NR
2、NR
3
+、NHR、NH
2、SR、またはNRORであり;
Wは、-CHOであり;
Vは、-OHであり;
ここで式IIIの化合物の一つまたは複数の置換基は任意選択的に保護されている;
【0196】
(b)式IIIの化合物を式Xの化合物と反応させるステップ:
【0197】
【化74】
式中、
R
Hはハロゲンであり;
R
2は、水素、N
3、NH
2、ハロゲン、OH、OR、OC(O)R
4、OC(O)OR
4、OC(O)NHR
4、OC(O)NRR
4、OC(O)SR
4、NHC(O)R
4、NRC(O)R
4、NHC(O)OR
4、NHC(O)NHR
4、NHC(O)NRR
4、NHR
4、N(R
4)
2、NHR
4、NRR
4、N
3であるか、またはC
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
4は、-T-R
z、-C(O)-T-R
z、-NH-T-R
z、-O-T-R
z、-S-T-R
z、-C(O)NH-T-R
z、C(O)O-T-R
z、C(O)S-T-R
z、C(O)NH-T-O-T-R
z、-O-T-R
z、-T-O-T-R
z、-T-S-T-R
z、または
【0198】
【化75】
であり、
式中、
Xは、-O-、-NR-、またはT-R
Zであり;
Tは、共有結合、または二価のC
1~26飽和もしくは不飽和で線状もしくは分岐状の脂肪族もしくはヘテロ脂肪族鎖であり;
R
Zは、水素、ハロゲン、-OR、-OR
x、-OR
1’、-SR、NR
2、-C(O)OR、-C(O)R、-NHC(O)R、-NHC(O)OR、NC(O)ORであるか、またはアシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、C
1~6脂肪族基、6~10員のアリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基であり;
R
Xは、独立して、水素であるか、またはアルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基であり;及び
Rは、独立して、水素であるか、またはアシル、アリールアルキル、6~10員のアリール、C
1~6脂肪族基、または窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC
1~6ヘテロ脂肪族基から選択される任意選択的に置換された基であり、または;
同じ窒素原子上の二つのRは、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロ環式環を形成し;
R
1’は、R
Xまたは次の構造を持つ炭水化物ドメインであり:
【0199】
【化76】
式中、
a、b及びcの各々の出現は、独立して0、1または2であり;
dは、1~5の整数であり、ここで各々のd括弧付き構造は同一かもしくは異なっていてよく;但し、該d括弧付き構造はフラノースまたはピラノース部分を表し、そしてbとcの合計は1または2であり;
R
0は、水素;アルキルエーテル、ベンジルエーテル、シリルエーテル、アセタール、ケタール、エステル、カルバメート及びカーボネートからなる群から選択される酸素保護基;アシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルからなる群から選択される任意選択的に置換された部分であり;
R
a、R
b、R
c及びR
dの各々の出現は、独立して、水素、ハロゲン、OH、OR、OR
X、NR
2、NHCORであるか、またはアシル、C
1~10脂肪族基、C
1~6ヘテロ脂肪族基、6~10員のアリール、アリールアルキル、窒素、酸素、硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロサイクリルから選択される任意選択的に置換された基である。
【0200】
一つの態様では、式Xの化合物は、
【0201】
【0202】
一つの態様では、該方法は、ステップ(b)の生成物または更に下流の生成物をR4-OHと反応させることを含む。一つの態様では、該方法は、ステップ(b)の生成物をまたはステップ(b)の生成物を変性した後に得られた化合物をR4-OHと反応させることを含む。一つの態様では、該方法は、ステップ(b)の生成物をまたはステップ(b)の生成物を変性した後に得られた化合物をR4-OHと反応させることを含む。一つの態様では、該方法は、ステップ(b)の生成物または中間体をR4-OHと反応させることを含む。一つの態様では、R4-OHはHO-C(O)-(CH2)10-C(O)-ORxである。一つの態様では、RXはHである。一つの態様では、RXはBnである。
【0203】
他の観点では、本願は、式Iの化合物またはそれの中間体を合成するための方法であって、次のステップの少なくとも一つを含む方法を提供する:
【0204】
【0205】
他の観点では、本願は、例えば
図6~8に示すように、化合物I-4(TQL-1055/TiterQuil-1-0-5-5)のための合成経路を開示する。これらの図面に記載の化合物I-4及びそれの中間体の合成は、他の分子を得るために、当技術分野の通常の知識を有する者の知識に従って改変または適合し得ることは、当技術分野の通常の知識を有する者によって理解される。これらの図面に記載の化合物I-4及びそれの中間体の合成は、化合物I-4(TQL-1055/TiterQuil-1-0-5-5)への経路を変えるために、当技術分野の通常の知識を有する者の知識に従って改変または適合し得ることは、当技術分野の通常の知識を有する者によって理解される。
【0206】
本発明の他の観点では、QS-21、QS-7の合成及び/またはこれらの化合物の類似物の合成は、本願に記載の、例1~10を含む実施例に開示の方法の一つまたは複数を用いて行うことができる。幾つかの化合物の合成をこれらの例に開示したが、当技術分野の通常の知識を有する者は、これらの方法を、他の分子を得るために、当技術分野の通常の知識を有する者の知識に従って改変または適合し得ることは理解するものである。
【0207】
他の観点では、本願は、本願による化合物及び第二の物質を提供し、次いで、前記第二の物質の少なくとも一部を除去することによって、前記本願の化合物を精製することを含む、本願による化合物を得るための方法も含む。
【0208】
アジュバント
殆どのタンパク質及び糖タンパク質抗原は、単独で投与された場合には、免疫性が弱いかまたは非免疫性である。このような抗原に対する強い適応免疫応答は、しばしばアジュバントの使用を必要とする。免疫アジュバントとは、対象に投与された場合に、抗原に対する免疫応答を高めるかまたは免疫系からの細胞の或る種の活性を増強する物質である。アジュバントは、対象における有用な免疫応答を達成するために、より少ない抗原の投与量の使用も可能にし得る。
【0209】
通常のアジュバントには、ミョウバン、フロイントアジュバント(死抗酸菌を含む水中油型エマルション)、MPDを含むフロイントアジュバント(抗酸菌の一成分であるムラミルジペプチドMDPを含む水中油型エマルション)、ミョウバン・プラス・ボルデテラパーツシス(Bordetella Pertussis)(B.パーツシスを含む水酸化アルミニウムゲル)などが挙げられる。このようなアジュバントは、抗原の放出を遅らせ及びマクロファージによる取り込みを増強することによって作用すると考えられる。免疫刺激複合体(ISCOM)は、コレステロール、脂質、免疫原、及びQuil-A(キラヤサポニン抽出物)などのサポニンから構成されている、典型的には直径が約40nmの開放型のケージ様複合体である。ISCOMは、抗原を細胞質ゾルに送達し、そして、様々な実験用モデル動物において、抗体応答及びヘルパーT細胞の誘発並びに細胞毒性Tリンパ球応答を促進することが実証されている。
【0210】
天然のサポニンアジュバントQS-21は、ミョウバンなどの現在使用されているアジュバントよりもかなり強力である。前臨床モデルでの試験における20超の他のアジュバント及び臨床で使用されている7つの他のアジュバントに対するQS-21の優位性が実証されている。それ故、QS-21は、それの三つの主要な不利益(投与量を制限する毒性、低い安定性、及び高品質の製品の入手可能性が限られていること)にもかかわらず広く使用されてきた。
【0211】
アジュバントとしてのQS-21の使用には、顕著な不利な生物効果が伴ってきた。ヒトでは、QS-21は、局所的及び全身的毒性の両方を示した。癌患者のための最大投与量は100~150μgであり、健康な患者のための最大投与量は典型的には50μg(免疫学的最適量以下の投与量)である。その結果、非癌ワクチンの臨床的成功は、より耐用性の高い新規の強力なアジュバントの同定に依存している。
【0212】
本願は、QS-21及び関連するキラヤサポニンの合成入手経路及びそれらの構造的改変は、高いアジュバント効力及び低い毒性を持ち、並びにより高い安定性を有しかつより費用効果のより高い化合物を与え得るという知見を包含する。
【0213】
ワクチン
本願における組成物は、対象中の抗原に対する能動免疫を誘発するためのワクチンとして有用である。本願の組成物の有益な効果を受け得る任意の動物は、処理できる対象の範囲内である。幾つかの態様では、該対象は哺乳動物である。幾つかの態様では、該対象はヒトである。
【0214】
本出願のワクチンは、受動的免疫化または能動的免疫化のいずれかによって感染に対する耐性を与えるために使用してよい。本願のワクチンを、能動的免疫化を介して耐性を与えるために使用する場合には、本願のワクチンは、増殖性疾患または感染症を予防または弱化する防御免疫応答を引き出すために動物に投与される。本願のワクチンが、受動的免疫化を介して感染に対する耐性を与えるために使用される場合には、該ワクチンは、宿主動物(例えばヒト、イヌまたはマウス)に提供され、そしてこのワクチンによって引き出された抗血清が回収され、そして感染もしくは疾病が疑われるかまたは病原体に曝されたことが疑われるレシピエントに直接提供される。
【0215】
それ故、本願は、本願のワクチンに含まれる免疫原性抗原に対する応答で生成される抗血清によって認識及び結合される抗原を有する生物から生じる増殖性疾患を予防または弱化するための手段に関し、及びこのような手段を提供する。本明細書で使用する場合、ワクチンとは、動物へのそれの投与が、疾患の徴候もしくは状態の完全なもしくは部分的な弱化(すなわち抑制)または疾患に対する動物の完全なもしくは部分的な免疫性のいずれかの結果となる場合に、疾患を予防または弱化することを言う。
【0216】
該ワクチン(またはそれが引き出した抗血清)の投与は、「予防」目的または「治療」目的のいずれかのためであってよい。予防的に提供される場合には、該ワクチン(複数可)は、増殖性疾患の任意の徴候に先だって提供される。該ワクチン(複数可)の予防的な投与は、疾患のその後の如何なる発現を予防または弱化するために役立つ。治療的に提供される場合には、該ワクチン(複数可)は、動物が病原体で感染されたかもしれないことを示す徴候を検出した時または検出した後に提供される。該ワクチン(複数可)の治療的投与は、如何なる実際の疾患の発現を弱化するために役立つ。それ故、該ワクチンは、疾患増殖の開始の前(予期された感染を予防または弱化するため)、または実際の増殖の開始の後のいずれかに提供してよい。
【0217】
当技術分野における通常の知識を有する者には、該ワクチンが、任意選択的に、薬学的に許容可能な賦形剤またはキャリアを含んでよいことは理解することである。それ故、他の観点によれば、提供されるワクチンは、薬学的に許容可能な賦形剤またはキャリアに任意選択的に結合した一種または複数の抗原を含んでよい。幾つかの態様では、上記の一種または複数の抗原は、薬学的に許容可能な賦形剤に共有結合により結合される。他の態様では、上記の一種または複数の抗原は、薬学的に許容可能な賦形剤と非共有結合的に会合している。
【0218】
上述の通り、アジュバントは、抗原に対する免疫応答を高めるために使用し得る。本願によれば、提供されるワクチンは、対象に投与する時に免疫応答を起こすために使用し得る。或る態様では、抗原に対する免疫応答は、上記の抗原に対する上記対象の免疫応答を高めるための有効量で、提供されたワクチンを対象に投与することによって高め得る。
【0219】
調合物
本願の化合物は、医薬組成物を形成するために、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせてよい。或る態様では、本願の調合物には、注射可能な調合物が包含される。或る態様では、該医薬組成物は、薬学的に許容可能な量の本願の化合物を含む。或る態様では、本願の化合物と抗原が、有効な成分を形成する。或る態様では、本願の化合物が単独で、有効成分を形成する。単回投与形態を製造するためにキャリア材料と組み合わせることができる有効成分(複数可)の量は、治療されるホスト及び特定の投与方式に依存して変わる。単回投与形態を製造するためにキャリア材料と組み合わせることができる有効成分(複数可)の量は、一般的に、治療効果を生じさせる化合物の量である。一般的に、この量は、約1%~約99%の有効成分、好ましくは約5%~約70%、最も好ましくは約10%~約30%、または約1%~99%、好ましくは10%~90%、20%~80%、30%~70%、40%~60%、45%~55%の有効成分の範囲、または約50%の有効成分である。
【0220】
湿潤剤、乳化剤及び滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、風味剤及び芳香剤、防腐剤、及び酸化防止剤も該組成物中に存在し得る。
【0221】
従って、1つの態様において、本願は、MPLおよび化合物I-4のリポソーム調合物を含む調合物を提供する。別の態様において、本願は、MPL、化合物I-4およびスクアレンエマルションを含む調合物を提供する。別の態様において、本願は、MPL、化合物I-4およびCpG7909もしくはCpG1018を含む調合物を提供する。MPLは、TLR4のアゴニストおよびアンタゴニストの両方を含む生物学的起源からの分子の異種混合物である。CpG7909は、Toll様受容体9(TLR9)に特異的にアゴニスト作用を及ぼすように設計された免疫調節合成オリゴヌクレオチドである。
MPLおよび天然に存在するQS-21のリポソーム調合物は、例えば、メタノールとコレステロールを混合することによってリポソームを最初に製造することにより、調製することができる。リポソームは、捕捉された水性容積を含む閉鎖型の二重層膜である。リポソームはまた、単一の膜二重層を有する一枚膜小胞、または各々が水性層によって次の膜から隔てられている複数の膜二重層を有する多枚膜小胞であってもよい。得られる膜二重層の構造は、脂質の疎水性(非極性)の尾部が二重層の中心に向かって配向し、一方で親水性(極性)の頭部が水性相に向かって配向するような構造である。リポソームを囲むのに適した親水性ポリマーには、限定はされないが、米国特許第6,316,024号;6,126,966号;6,056,973号;および6,043,094号に記載されるような、PEG、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアスパルタミドおよび親水性ペプチド配列が含まれる。リポソームは、親水性ポリマーなしで製造することができる。従って、リポソーム調合物は、親水性ポリマーを含んでいても、または含んでいなくてもよい。
リポソームは、本技術分野で公知の任意の脂質または脂質の組み合わせを含んでいてもよい。例えば、小胞形成脂質は、米国特許6,056,973および5,874,104号に開示されるような、天然に存在する脂質であってもまたは合成脂質であってもよく、それらには、リン脂質、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸(phosphatide acid)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトールおよびスフィンゴミエリンが含まれる。
前記の小胞形成脂質また、糖脂質、セレブロシドまたはカチオン性脂質、例えばl,2-ジオレイルオキシ-3-(トリメチルアミノ)プロパン(DOTAP);N-[l-(2,3,-ジテトラデシルオキシ)プロピル]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);N-[l [(2,3,-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE);N-[l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);3 [N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DCChol)であることができ;または米国特許第6,056,973号に開示されるようなジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)であってもよい。米国特許5,916,588号および5,874,104号に開示されるように、コレステロールもまた、リポソームベシクルに安定性を付与するために適切な範囲で存在していてもよい。さらなるリポソーム技術は、米国特許第6,759,057号;第6,406,713号;第6,352,716号;第6,316,024号;第6,294,191号;第6,126,966号;第6,056,973号;第6,043,094号;第5,965,156号;第5,916,588号;第5,874,104号;第5,215,680号;および第4,684,479号に記載されている。これらは、ならびにリポソーム、脂質被覆マイクロバブルおよびそれらの製造方法を記載した。従って、当業者は、本願の開示およびこれらの他の特許の開示を参照することにより、本願の実施態様の目的のためのリポソームを製造することができるであろう。リポソームは、リン脂質または非リン脂質二重層を含むことができる。リン脂質二重層は、炭化水素鎖(任意選択的に少なくとも23℃の水中での融解温度を有する)を含むことができる。そのようなリン脂質は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、コレステロール(Chol)または類似の分子ならびにそれらの混合物を含むことができる。前記リポソームは、任意選択的に、室温で非晶質である中性脂質、例えばジオレオイルホスファチジルコリンまたは類似の化合物を含んでもよい。公開された米国特許出願No. 2011/0206758を参照。
例えばQS-21を含有するリポソーム調合物の製造の間に、小型単層リポソームベシクル(SUV)を最初に作製する。SUVを次いで、QS-21もしくは別のサポニンを有する水性環境に添加し、SUVが水性環境からQS-21もしくは前記サポニンを取り込む。当該リポソーム組成物は、特定の任意成分、例えばMPL、合成MPL、例えばMPLA、CpG 7909またはCpG 1018、あるいは類似の物質を有していてもよい。
しかしながら、他のサポニン誘導体、例えば化合物I-4を含有するリポソーム調合物の調製は、驚くべきことに、当技術分野で公知の手順を用いて達成することはできず、なぜならば、SUVまたはリポソーム調合物がそのようなサポニン誘導体を取り込まず、その結果当該サポニン誘導体分子なしのSUVまたはリポソームが得られるからである。従って、本発明の別の態様は、伝統的な方法を用いて調製できないサポニン誘導体のリポソーム調合物を製造する新規な方法を提供する。そのような方法において、SUVまたはリポソームを、最初に、サポニン誘導体、例えば化合物I-4の存在とともに調製する。例えば、SUVは、化合物I-4の存在下で脂質、例えばコレステロールとメタノールを組み合わせることにより調製してもよい。SUVはまた、上記のような伝統的な方法により調製してもよい;しかしながら、SUVは、サポニン誘導体、例えばQS-21の存在下で調製される。これらのSUVまたはリポソームは、そこに組み入れられた化合物I-4とともに形成する。そのようなSUVまたはリポソームを次いで、例えばMPLまたは上記のような他の組成物を有する水性環境に添加する。
【0222】
薬学的に許容可能な酸化防止剤の非限定的な例には、水溶性酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及び類似物;油溶性酸化防止剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール及び類似物;及び金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン、テトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸、及び類似物などが挙げられる。
【0223】
懸濁液は、活性化合物の他に、懸濁剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガカント、及びこれらの混合物を含んでよい。
【0224】
本願の医薬組成物中に使用してよい適当な水性及び非水性キャリアの非限定的な例には、水、アルコール(限定はされないがメタノール、エタノール、ブタノールなど)、ポリオール(限定はされないがグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの適当な混合物、植物油、例えばオリーブ油、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルなどが挙げられる。適切な流動性は、例えばコーティング材、例えばレシチンの使用によって、分散物の場合には要求される粒度を維持することによって、及び界面活性剤の使用によって維持できる。
【0225】
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などの添加剤も含んでよい。目的化合物に対する微生物の作用の阻止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸、及び類似物を含むことによって保証し得る。等張剤、例えば糖類、塩化ナトリウム及び類似物を該組成物に含ませることも望ましくあり得る。加えて、吸収を遅らせる剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによって、注射可能な薬学的形態の長められた吸収をもたらすことができる。
【0226】
幾つかの場合には、調合物の効果を長めるためには、皮下注射または筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅くすることが望ましい。これは、低水溶性の結晶性または非晶質材料の液状懸濁液の使用によって達成し得る。この際、薬剤の吸収速度は、それの溶解速度に依存し、この溶解速度は、結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。
【0227】
選択された投与経路に関係なく、適当な水和された形で使用し得る本願の化合物、及び/または本願の医薬組成物は、当業者には既知の慣用の方法によって、薬学的に許容可能な投与形態に調合される。
【0228】
本願の医薬組成物中の有効成分の実際の投与レベルは、患者に毒性でないように、特定の患者、組成、及び投与方式のための所望の治療応答を達成するのに有効な有効成分の量を得るように変えることができる。
【0229】
選択された投与レベルは、使用する本願の特定の化合物またはそれのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用している特定の化合物の排出または代謝速度、治療の期間、他の薬剤、使用する特定の化合物と組み合わせて使用される化合物及び/または材料、治療する患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康及び従前の医療歴、及び医術で周知の類似の要因などを含む様々な要因に依存する。
【0230】
当技術分野で通常の知識を有する医師または獣医師は、必要な医薬組成物の有効量を簡単に決定及び処方できる。例えば、医師または獣医師は、医薬組成物中に使用される本願の化合物の投与量を、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで開始し、次いで所望の効果が達成されるまで徐々に投与量を増やしていくことができる。
【0231】
幾つかの態様では、本願の化合物または医薬組成物は、対象に慢性的に提供される。慢性治療は、長期間の反復投与の任意の形態、例えば一ヶ月以上、一ヶ月から一年間の間、一年以上、またはそれより長い期間の反復投与を含む。多くの態様では、長期間治療には、本願の化合物または医薬組成物を、対象の寿命にわたって繰り返して投与することを含む。好ましい慢性治療は、例えば一日に一度以上、一週間に一度以上、または一ヶ月に一度以上の定期的な投与を含む。一般的に、適当な投与量、例えば本願の化合物の一日量は、治療効果を生むために有効な最小投与量である量の当該化合物である。このような有効投与量は、一般的に、上記の要因に依存する。
【0232】
一般的に、上記で示した効果のために使用された場合の、患者のための本願の化合物の投与量は、一日当たり体重1kg当たりで約0.0001~約100mgの範囲である。好ましくは、一日量は、体重1kg当たり0.001~50mgの化合物、より好ましくは体重1kg当たり0.01~10mgの化合物である。しかし、より少ないまたはより多い投与量を使用することができる。幾つかの態様では、対象に投与される投与量は、対象の生理機能が年齢、疾患進行、体重または他の要因の故に変化するために修正することができる。
【0233】
幾つかの態様では、本願の提供されたアジュバント化合物は、医薬組成物またはワクチンとして投与される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は1~2000μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は1~1000μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は1~500μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は1~250μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は100~1000μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は100~500μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は100~200μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は250~500μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は10~1000μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は500~1000μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は50~250μgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は50~500μgであることが意図される。
【0234】
幾つかの態様では、本願の提供されたアジュバント化合物は、医薬組成物またはワクチンとして投与される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は1~2000mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は1~1000mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は1~500mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は1~250mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は100~1000mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は100~500mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は100~200mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は250~500mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は10~1000mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は500~1000mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は50~250mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は50~500mgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量が0.01~215.4mgであることが意図される。
【0235】
或る態様では、投与されるアジュバントの量は1000~5000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は1000~4000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は1000~3000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は1000~2000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は2000~5000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は2000~4000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は2000~3000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は3000~5000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は3000~4000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は4000~5000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は1~500μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は500~1000μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は1000~1500μg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は1mg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は2mg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は3mg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は4mg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバントの量は5mg/kgであることが意図される。或る態様では、投与されるアジュバント化合物の量は0.0029~5mg/kgであることが意図される。或る態様では、女性(雌)におけるアジュバント投与量は、男性(雄)におけるアジュバント投与量よりも少ない。或る態様では、幼児(幼仔)へのアジュバント投与量は、成人(成体)へのアジュバント投与量よりも少ない。或る態様では、小児(小仔)レシピエントへのアジュバントの投与量は、成人(成体)へのアジュバントの投与量よりも少ない。或る態様では、免疫障害を持つレシピエントへのアジュバントの投与量は、健康なレシピエントへのアジュバントの投与量よりも多い。或る態様では、高齢のレシピエントへのアジュバントの投与量は、非高齢のレシピエントへのアジュバントの投与量よりも多い。
【0236】
望ましい場合には、活性化合物の有効投与量を、場合により単位剤形で、一日かけて適切な間隔を開けて別々に投与される二つ、三つ、四つ、五つ、六つまたはそれ以上の小分量として投与してよい。
【0237】
本願の化合物は単独で投与できる一方で、或る態様では、該化合物は、上述のように医薬調合物または組成物として投与される。
【0238】
本願による化合物は、人間医学または獣医学で使用するための任意の簡便な方法で、他の医薬品と同様にして、投与のために調合し得る。
【0239】
本願は、本願の化合物の医薬調合物または組成物を含むキットを提供する。或る態様では、このようなキットは、式I及び/またはIIの化合物と抗原との組み合わせを含む。これらの剤は、別々にまたは一緒に包装してよい。該キットは、任意選択的に、薬剤の処方のための指示を含む。或る態様では、該キットは、各々の剤の複数回の服用量を含む。該キットは、一週間、二週間、三週間、四週間または数ヶ月にわたって、一人(一体)または複数の対象を治療するために十分な量で各々の成分を含んでよい。該キットは、免疫治療の全サイクル分を含んでよい。幾つかの態様では、該キットは、一つまたは複数の細菌性またはウイルス関連抗原と一つまたは複数の提供化合物とを含むワクチンを含む。
【実施例0240】
例1~9で化合物に添えた番号は、図面、請求項または例10を含む本願明細書の他の部分に記載の他の式の番号または化合物の番号に対応することを意図していない。
【0241】
例1:キラ酸トリテルペンの単離及び選択的保護
【0242】
【0243】
パートA:Quil-Aからのキラ酸トリテルペン9の単離
1. 還流冷却器を備えた250mL容積の丸底フラスコ中で、Quil A(5g)を蒸留水(25mL)中に懸濁し、そして濃塩酸HCl(17mL)を加える。
2. この混合物をゆっくりと加熱して7時間還流し(加熱は、還流に達した時の「フォームオーバー(foam-over)」を避けるためにゆっくりと行うべきである)、次いで熱を除去し、そして濾紙に通して濾過する。暗褐色の固形物を、熱い(約65℃)蒸留水(2×50mL)で洗浄し、集め、そして高真空下に一晩乾燥する。
3. この乾燥固形物を、ソックスレーシンブル中に入れ、そして24時間のジエチルエーテル(200mL)を用いた連続抽出に付す。
4. このエーテル溶液を濃縮し、そして残留物をMeOH(20mL)中に溶解し、そして活性炭(約5g)を加える。この混合物をセライトに通して濾過し、固形物をMeOH(50mL)で洗浄し、そして溶剤を回転蒸発によって除去する。
5. 生じた残留物を、シリカゲルクロマトグラフィ(CHCl3/MeOH、30:1~20:1~10:1)で精製して、キラ酸トリテルペン9を与える(約0.5g、約10質量%収率)(キラ酸トリテルペン生成物は約80%純度である。高純度は、アリル化反応の後に達成される)。
【0244】
パートB:キラ酸のC28カルボン酸のアリル化によるキラ酸アリルエステル10の合成
1. 50mL容積の丸底フラスコ中で、キラ酸トリテルペン9(100mg、0.20mmol、1.0当量)をDMF(5mL)中に溶解し、そしてこの溶液を0℃に冷却する。
2. 重炭酸カリウム(205mg、2.05mmol、10当量)及び臭化アリル(23μL、0.27mmol、1.3当量)を加え、そしてこの混合物を攪拌し、そして一晩放置して室温(rt)まで温度上昇させる。
3. この反応を水(25mL)で希釈し、そしてヘキサン類/EtOAc(1:1)(3×15mL)で抽出する。それらの有機抽出物を一緒にし、ブライン(15mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮する。
4. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、8:1~2:1)により精製して、キラ酸アリルエステル10(77mg、71%)を白色の固形物として与える。
【0245】
パートC:キラ酸アルキルエステル10のC3及びC16ヒドロキシル基のシリル化による保護化キラ酸トリテルペン11の合成
1. 25mL容積の改造シュレンクフラスコ中で、キラ酸アリルエステル10(77mg、0.15mmol、1.0当量)をDCM(5mL)中に溶解し、そしてこの溶液を0℃に冷却する。2,6-ルチジン(0.17mL、1.46mmol、10当量)を加え、その後、気密シリンジによりTESOTf(0.17mL、0.73mmol、5.0当量)を加え、そしてこの混合物を、氷浴を溶融させつつ攪拌する。
2. 反応の進行を溶離液としてCHCl3/MeOH(10:1)を用いてTLCにより監視する。3時間後にこの反応が完了していない場合は、更なるTESOTf(33μL、0.15mmol、1.0当量)を加え、そしてこの混合物を反応が完了するまで攪拌する。
3. この反応混合物を水(10mL)で希釈し、そしてその水性相をEtOAc(10mL×3)で抽出する。一緒にした有機相を乾燥し(無水Na2SO4)、濾過し、そして濃縮する。
4. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/アセトン、1:0~10:1)により精製して、TES保護化キラ酸アリルエステル11(93mg、84%)を白色の固形物として与える。
【0246】
パートD:保護されたキラ酸の脱アリル化によるTES保護化キラ酸トリテルペン12の合成
1. 10mL容積の丸底フラスコ中に、完全に保護されたキラ酸11(93mg、0.12mmol、1.0当量)をDCM(2mL)中に溶解し、ピロリジン(51μL、0.61mmol、5.0当量)を加え、その後、Pd(PPH3)4(7.0mg、0.006mmol、0.05当量)を加える。
2. この反応混合物を15分間攪拌し、次いでシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、2:1)による精製に直接付して、TES保護化キラ酸12(88mg、>99%)を白色の固形物として与える。
【0247】
例2:切断(Truncated)線形オリゴサッカライドドメインの合成
【0248】
パートA:D-キシロースからの選択的保護されたモノサッカライド前駆体2,3,4-トリ-O-ベンジル-D-キシロースの合成
【0249】
【化80】
1. ステップA:D-キシロースの選択的アリル化による1-O-アリル-D-キシロース13の合成。500mL容積の丸底フラスコ中に、アリルアルコール(50mL、0.74mol、9.0当量)及びAcCl(12.7mL、0.17mol、2.1当量)を含む溶液を-10℃に冷却し、次いで固形のD-キシロース(12.3g、0.08mol、1.0当量)を加える。
2. 全てのキシロースを加え終わったら、冷却浴を取り外し、そして反応混合物を室温で19時間攪拌する。
3. 固形のNaHCO
3(25g)を加え、この混合物をセライトバッドに通して濾過し、そして揮発性の材料を回転蒸発によって除去する。
4. その残留物を、DCM/MeOH(9:1)で溶離したシリカゲルのプラグに通し、そして溶離液を濃縮して、アノマー性アリルキシロース13(11.5g)を与え、これを、更に精製することなく次のステップに使用する。
5. ステップB:1-O-アリル-D-キシロース13のベンジル化による1-O-アリル-2,3,4-トリ-O-ベンジル-D-キシロース14の合成。500mL容積の丸底フラスコ中に、アリルキシロース13(11.5g、60.5mmol、1.0当量)をDMF(200mL)中に溶解し、次いでこの溶液を0℃に冷却する。水素化ナトリウム(油中60%分散液、15.7g、0.39mol、6.5当量)(注意:水素化ナトリウムは水と激しく反応する)を加え、そしてこの反応混合物を10分間加熱する。
6. 臭化ベンジル(47mL、0.39mol、6.5当量)を0℃で滴下し、そして生じた懸濁液を16時間室温で攪拌する。
7. この反応混合物を0℃に冷却し、そしてMeOH(150mL)をゆっくりと加え、その後に水(600mL)を加えることによってクエンチングする。この混合物を、ヘキサン類/EtOAc(1:1)(3×250mL)で抽出し、そして一緒にした有機相を水(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮する。
8. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、9:1)により精製して、完全に保護されたキシロース14(23g、83%)を与える。
9. ステップC:1-O-アリル-2,3,4-トリ-O-ベンジル-D-キシロース14の脱アリル化による選択的保護化2,3,4-トリ-O-ベンジル-D-キシロース15の合成。アルミニウム箔中に包んだ100mL容積の丸底フラスコ中で、PPh
3(3.4g、13mmol、1.2当量)及びPd(OAc)2(0.45g、2.2mmol、0.2当量)を、DCM/MeOH(1:1)(20mL)中に溶解し、次いでEt
2NH(15.8mL、0.15mol、14.0当量)を加える。
10. DCM(100mL)中の完全保護化キシロース14(5.0g、10.9mmol、1.0当量)の溶液を、カニューレ移送によって加え、そしてこの反応混合物を18時間30℃で攪拌する。
11. この溶液を、ヘキサン類/EtOAc(1:1)で溶離したシリカゲルのプラグに通し、そしてその溶離液を濃縮する。
12. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、8:2~7:3)により精製して、2,3,4-トリ-O-ベンジルキシロース15(4.1g、90%)をアノマーの混合物(α:β、2:1)として与える。
【0250】
パートB:L-ラムノースからの選択的保護化モノサッカライド前駆体1-O-アリル-2,3-O-イソプロピリデン-L-ラムノース16の合成
【0251】
【化81】
1. 250mL容積の丸底フラスコ中に、アリルアルコール(34mL、0.50mol、9.0当量)及びAcCl(8.1mL、0.12mol、2.1当量)を含む溶液を-10℃に冷却し、次いでL-ラムノース一水和物(10g、0.055mol、1.0当量)を加える。
2. この混合物を室温で20時間攪拌し、Et
3Nで中和し、そして濃縮する。
3. その残留物を、トルエン中に溶解し、そしてこの溶液を濃縮してアリルアルコールを除去し;このプロセスを更に二度繰り返す。
4. その残留したシロップを無水アセトン(75mL)中に溶解し、そしてDMP(27mL、0.22mol、4.0当量)及びpTsOH一水和物(95mg、0.5mmol、0.01当量)を加える。
5. この反応混合物を室温で16時間攪拌し、次いでEt
3Nを加える。
6. この反応混合物を濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、8:2)により精製して、1-O-アリル-2,3-O-イソプロピリデン-α-L-ラムノース(16)(8.9g、66%)を無色の油状物として与える。
【0252】
パートC:D-グルカールからの選択的保護化モノサッカライド前駆体4-アジド-4-デオキシ-3,6-ジ-O-ベンジル-1-Oトリイソプロピルシリル-D-ガラクトース21の合成
【0253】
【化82】
1. ステップA:D-グルカールの選択的保護による3,6-ジ-O-ベンゾイル-4-O-メシル-D-グルカール17の合成。500mL容積の丸底フラスコ中に、D-グルカール(10.0g、67.1mmol、1.0当量)をピリジン(165mL)中に溶解し、そしてこの溶液を0℃に冷却し、次いでBzCl(17mL、0.15mol、2.2当量)を滴下する。
2. この反応混合物を1.5時間0℃で攪拌し、次いでMsCl(10.3mL、0.13mol、2.0当量)を加える。この反応混合物を、氷浴を室温まで温度上昇させつつ0.5時間攪拌し、次いでMeOH(20mL)を0℃でゆっくりと添加することによってクエンチングする(注意:発熱反応)。
3. この混合物を濃縮し、そしてその残留物をEtOAc(200mL)と水(200mL)との間に分割する。有機相を水(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮する。
4. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、8:2)による精製は、3,6-ジ-O-ベンゾイル-4-O-メシル-D-グルカール(17)(19.4g、67%)をシロップとして与える。
5. ステップB:メシレート17のアジド置換による4-アジド-4-デオキシ-3,6-ジ-O-ベンゾイル-D-ガラクタール18の合成。250mL容積の丸底フラスコ中に、メシル-グルカール17(5.1g、11.8mmol、1.0当量)をトルエン(55mL)中に溶解し、次いでアジ化ナトリウム(2.8g、43.3mmol、2.2当量)を加え(注意:アジ化ナトリウムは、毒性で爆発性のアジ化水素酸(HN
3)を避けるために酸化するべきでない毒性の危険物質である。この反応は、アジ化ナトリウムがそれの分解温度(300℃)近くまで加熱された時のそれの爆発のリスクのためにブラストシールドの後ろで行うべきである。)、その後、Bu
4NCl(7.1g、25.6mmol、2.2当量)を加え、そしてフラスコに還流冷却器を装備する。
6. この反応混合物を加熱して20時間還流する(110℃)。生じた褐色の懸濁液を水(2×100mL)で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥し、濾過しそして濃縮して橙色の油状物を与える。
7. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、19:1~8:2)による精製は、4-アジド-4-デオキシ-3,6-ジ-O-ベンゾイル-D-ガラクタール(18)(2.9g、66%)を淡黄色の油状物として提供する。
8. ステップC:ジベンゾエート18のケン化及びベンジル化による4-アジド-4-デオキシ-3,6-ジ-O-ベンジル-D-ガラクタール19の合成。250mL容積の丸底フラスコ中で、ベンゾイル保護化アジドガラクトール18(2.9g、8.1mmol、1.0当量)をMeOH(40mL)中に溶解し、そしてこの溶液を0℃に冷却する。
9. 水酸化ナトリウム(0.12g、2.9mmol、0.36当量)を加え、そしてこの反応混合物を室温で14時間攪拌する。
10. この反応混合物を濃縮して粘着性のある黄褐色の固形物を与え、次いで再びトルエン(7mL)から蒸発させて痕跡量の溶剤を除去する。
11. DMF(40mL)を残留物に加え、そして生じた褐色の懸濁液を0℃に冷却する。水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液、0.98g、24.4mmol、3.0当量)(注意:水素化ナトリウムは水と激しく反応する)を加え、その後に臭素化ベンジル(4.8mL、40.3mmol、5.0当量)を加え、そしてこの混合物を3時間0℃で攪拌する。
12. 生じた橙色の懸濁液を室温で更に16時間攪拌し、そしてこの反応をMeOH(20mL)でクエンチングし、DCM(100mL)で希釈し、そして水(100mL)で洗浄する。
13. この水性層をDCM(80mL)で抽出し、そして一緒にした有機層を水(100mL)で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮する。
14. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、9:1~4:1)による精製は、4-アジド-4-デオキシ-3,6-ジ-O-ベンジル-D-ガラクタール(19)(2.2g、78%)を黄色の油状物として与える。
15. ステップD:ガラクタール19のジヒドロキシル化による4-アジド-4-デオキシ-3,6-ジ-O-ベンジル-D-ガラクトース20の合成。ベンジル保護化アジドガラクタール19(5.8g、16.5mmol、1.0当量)を、水/THF/tBuOHの混合物(1:3:7)(400mL)中に溶解し、次いでOsO
4(tBuOH中2.5重量%)(5.1ml、0.4mmol、0.025当量)を加える。NMO(水中50%)(10.2mL、44.5mmol、3.0当量)を8時間かけて三回にわけて(それぞれ1.0当量)加える。
16. この反応混合物を一晩、室温で攪拌し、次いで飽和Na
2SO
3水溶液(30mL)及びEtOAc(200mL)でクエンチングする。
17. 5分後、各相を分離し、そして水性相をEtOAc(2×75mL)及びDCM(2×50mL)で抽出する。一緒にした有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。
18. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、4:1~1:1)による精製は、4-アジド-4-デオキシ-3,6-ジ-O-ベンジル-D-ガラクトース(20)(5.5g、88%)を無色の油状物として与える。
19. ステップE:ジオール20の選択的シリル化による4-アジド-4-デオキシ-3,6-ジ-O-ベンジル-1-O-トリイソプロピルシリル-D-ガラクトース21の合成。10mL容積の改造シュレンクフラスコ中で、ガラクトースジオール20(0.96g、2.5mmol、1.0当量)をDMF(2.5ml)中に溶解し、次いでイミダゾール(0.41g、6.0mmol、2.4当量)及びDMAP(29mg、0.24mmol、0.1当量)を加える。
20. TIPSCl(0.63mL、3.0mmol、1.2当量)を加え、そして反応混合物を室温で19時間攪拌する。
21. その黄色の溶液を濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、19:1~9:1)により精製して、4-アジド-4-デオキシ-3,6-ジ-O-ベンジル-1-O-トリイソプロピルシリル-D-ガラクトース(21)(0.8g、59%)を無色の油状物として与える。
【0254】
パートD:保護化D-キシロース15及び保護化L-ラムノース16からの保護化キシロース-ラムノースジサッカライドヘミアセタール23([2,3,4-トリ-O-ベンジル-β-D-キシロピラノシル-(1→4)]2,3-ジ-O-イソプロピリデン-L-ラムノピラノース)の合成
【0255】
【化83】
1. ステップA:保護化キシロール15(22)を用いた保護化ラムノース16の脱水グリコシル化:25mL容積の改造シュレンクフラスコ中で、共沸蒸留して乾燥した2,3,4-トリ-O-ベンジルキシロース(15)(52mg、0.12mmol、1.7当量)、Ph
2SO(69mg、0.34mmol、4.9当量)、及びTBP(85mg、0.34mmol、4.9当量)を、DCM(2mL)中に溶解し、ガラスシリンジにより注入する。
2. この溶液を-78℃に冷却し、Tf
2O(29μL、0.17mmol、2.4当量)を気密シリンジにより加え、そしてこの反応混合物を-78℃で2時間攪拌する。
3. 次いで、トルエン(1mL)中の保護化ラムノース16(17mg、70μmol、1.0当量)の予め冷却した溶液を、火炎で乾燥した10mL容積の改造シュレンクフラスコからカニューレ移送し、次いで追加的なトルエン(1mL)を加えてソースフラスコをすすぎ、そして反応フラスコに移す。
4. この反応混合物を-60℃で12時間、-42℃で30分間、最後に0℃で2分間攪拌する。
5. この反応を、-42℃でEt3N(0.1mL)でクエンチングし、DCM(90mL)で希釈し、そして分液漏斗に移送する。その有機相を飽和NaHCO
3水溶液(30mL)で洗浄し、そして水性相はDCM(2×80mL)で抽出する。有機相を一緒にし、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粗製生成物を黄褐色の油状物(160mg)として与える。
6. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、50:1~25:1)による精製は、O-アリル[2,3,4-トリ-O-ベンジル-β-D-キシロピラノシル-(1→4)]-2,3-O-イソプロピリデン-L-ラムノピラノシド(22)を透明な油状物として与える(32.1mg、71%収率)。
7. ステップB:保護化キシロース-ラムノースジサッカライド(23)のアノマー脱アリル化:三角柱型スターラーバーを備えた5mL容積の梨型シュレンクフラスコ中に、PPh
3(13mg、51μmol、1.2当量)及びPd(OAc)
2(2.4mg、11μmol、0.25当量)を入れる。DCM/MeOH(1:1)(0.2mL)の溶液をシリンジにより加え、その後、Et
2NH(62μL、0.6mmol、14.0当量)を加えると、透明な黄橙色の溶液が明るい黄色の溶液に変化する。
8. DCM(0.4mL)中に溶解したアリル保護化ジサッカライド22(29mg、43μmol、1.0当量)を前記反応シュレンクフラスコにカニューレ移送し、そしてソースフラスコを追加のDCM(0.2mL)ですすぎ、そしてその洗浄液を反応フラスコに移送する。
9. 三回の凍結融解ポンプサイクルを行ってこの溶液を脱気し(この脱気技術は、液状窒素中での溶剤の凍結、4~5分間の上部空間の排気、及び静的真空下での溶剤の融解を含み、それにより溶剤中に捕らわれた全てのガスバブルをフラスコの上部空間に逃がす。最後のサイクルの後に、このフラスコにアルゴンを再充填する)、次いで30℃で18時間攪拌し、その時点で、濁った溶液が透明な暗黄色に変化する。
10. この反応混合物を、ヘキサン類/EtOAc(2:1、50mL)で溶離したシリカゲルのプラグに通し、そしてその溶離液を濃縮して、粗製生物を明るい黄色の油状物(29mg)として与える。
11. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、2:1)による精製は、ジサッカライドヘミアセタール(23)を、透明な油状物(25.9mg、>99%)の形でアノマーの分離不能な混合物(α:β、9:1)として与える。
【0256】
ステップE:保護化キシロース-ラムノース-アジドガラクトーストリサッカライドイミデート26(O-トリクロロアセトイミドイル{[2,3,4-トリ-O-ベンジル-β-D-キシロピラノシル-(1→4)]-2,3-Oイソプロピリデン-L-ラムノピラノシル-(1→2)}-4-アジド-4-デオキシ-3,6-O-ベンジル-β-D-ガラクトピラノシド)の合成
【0257】
【化84】
1. ステップA:保護化キシロース-ラムノースジサッカライド23を用いた保護化4-アジド-4-デオキシガラクトース21の脱水グリコシル化による保護化キシロース-ラムノース-アジドガラクトーストリサッカライド24の合成(24):25mL容積の改造シュレンクフラスコ中で、Ph
2SO(171mg、0.85mmol、3.2当量)をDCM(3.2mL)中に溶解する。この無色透明な溶液に、Tf
2O(76μL、0.45mmol、1.7当量)を気密シリンジを介して-78℃で注入する。10秒間後、この溶液はピンクに、次いで紫色に変化し、そして直ぐに分散して無色透明な溶液に戻る。
2. DCM(1mL)中の共沸蒸留して乾燥したジサッカライドヘミアセタール23(185mg、0.30mmol、1.1当量)の予め冷却した溶液を、火炎で乾燥した5mL容積の梨型シュレンクフラスコからカニューレを介して-42℃で前記反応混合物に加え;次いで追加のDCM(1mL)を加えてソースフラスコをすすぎ、そして反応フラスコに移送する。
3. この反応混合物を-42℃で15分間攪拌し、次いでTBP(190mg、0.77mmol、3.0当量)を加え、そしてこの混合物を、-42℃で1時間更に攪拌する。
4. DCM(1mL)中の保護化4-アジド-4-デオキシガラクトース21(141mg、0.26mmol、1.0当量)の予め冷却した溶液を、火炎で乾燥した5mL容積の梨型シュレンクフラスコからカニューレを介して前記反応混合物に加えると、この時点で白色の煙が発生する。追加のDCM(1mL)を加えてソースフラスコをすすぎ、そして反応フラスコに移送する。
5. この反応混合物を-42℃で16.5時間及び0℃で1時間攪拌し、次いで濃縮する。
6. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、99:1~50:1~6:1)による精製は、モノサッカライド原料(21)とトリサッカライド生成物(24)との混合物を黄色の油状物(460mg)として与える。シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、10:1~6:1)によるこの混合物の追加的な精製は、保護化トリサッカライド24(231mg、79%)を透明な油状物として提供する。
7. ステップB:保護化キシロース-ラムノース-アジドガラクトーストリサッカライド24のアノマー脱シリル化によるトリサッカライドヘミアセタール25の合成。250mL容積の改造シュレンクフラスコ中で、保護化トリサッカライド24(575mg、0.51mmol、1.0当量)をTHF(50mL)中に溶解し、そしてこの溶液を0℃に冷却する。
8. THF(50mL)中の商業的に入手可能なTBAF(THF中1M)(0.76mL、0.76mmol、1.5当量)及びAcOH(35μL、0.61mmol、1.2当量)の予め冷却した(0℃)溶液を、50分間かけて0℃で前記反応フラスコにカニューレを介して滴下する。
9. この反応混合物を更に5分間0℃で攪拌し、次いで飽和NaHCO
3水溶液(20mL)を添加してクエンチングする。
10. その内容物を分液漏斗に移送し、EtOAc(125mL)及びブライン(50mL)を加え、そしてその有機相を分離する。水性相は、EtOAc(2×200mL)で抽出し、そして一緒にした有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。
11. 生じた油状物を、EtOAcで溶離したシリカゲルのプラグに通し、そして溶離液を濃縮して、トリサッカライドヘミアセタール25(402mg、82%)を白色の発泡体として与え、これを、更に精製することなく次のステップに直接取る。
12. ステップC:保護化キシロース-ラムノース-アジドガラクトーストリサッカライド25の活性化による保護化キシロース-ラムノース-アジドガラクトーストリサッカライドトリクロロアセトイミデート26の合成。100mL容積の丸底フラスコ中で、ヘミアセタール25(200mg、0.21mmol、1.0当量)をDCM(32mL)中に溶解し、そしてこの溶液を0℃に冷却する。
13. Cl
3CCN(0.32mL、3.2mmol、1.6当量)を加え、その後、DBU(0.1mL、0.67mmol、3.3当量)を加え、そして反応を放置して室温まで温度上昇させる。
14. 13.5時間攪拌した後、この混合物を濃縮して油状物を与える。
15. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、6:1、Et
3N0.5体積%含)による精製(Et
3Nが存在しないと、グリコシルトリクロロアセトイミデートを精製する時のシリカゲル上での長められたクロマトグラフィが、生成物の進行性の加水分解を招く)は、線形トリサッカライドイミデート26(230mg、>99%)を黄色の発泡体として与える。
【0258】
例3:サポニンドメインフラグメントのモジュール式コンバージェントアセンブリ
【0259】
パートA:保護化アミノガラクトースサポニンの合成
【0260】
【化85】
1. ステップA:保護化キシロース-ラムノース-アジドガラクトース線形トリサッカライド26を用いた保護化キラ酸12のグリコシル化による保護化アジドガラクトースサポニン29の合成。25mL容積の改造シュレンクフラスコ中に、選択的保護化キラ酸トリテルペン12(38mg、49μmol、1.05当量)及びトリサッカライドイミデート26(52mg、47μmol、1.0当量)を、高真空下にトルエン(3×1mL)から共沸蒸留し、次いでDCM(7mL)中に溶解し、そして粉末化した4Å MS(80mg)を前記溶液に加える。
2. この混合物を30分間室温で攪拌し、次いで-42℃に冷却する。新たに蒸留したBF
3OEt
2(1.2μL、9.0μmol、0.2当量)を気密シリンジを介して注入し、そしてこの反応混合物を更に30分間、-42℃で攪拌する。
3. この反応を、Et
3N(0.2mL)を添加してクエンチングし、そしてこの混合物を回転蒸発によって濃縮する。
4. シリカゲルクロマトグラフィによる精製(0.5体積%Et
3N含ベンゼン乃至ベンゼン/EtOAc、97:3)は、トリテルペン-線形トリサッカライド結合体29(56mg、72%)を白色の固形物として与える。
5. ステップB:保護化アジドガラクトースサポニン29の還元による保護化アミノガラクトースサポニン30の合成。50mL容積の改造シュレンクフラスコ中で、PhSeSePh(187mg、0.6mmol、1.0当量)をTHF(6mL)中に溶解し、そしてH
3PO
2(水中50%)(0.72mL、6.6mmol、11当量)をシリンジを介して加える。
6. この黄色の溶液を、それが無色に変わるまで40℃で1時間加熱する。
7. この反応混合物から熱を除去し、ベンゼン(6mL)及び蒸留水(6mL)で希釈し、そしてアルゴン下に5分間激しく攪拌する。生じた二相懸濁液の下の方の水性相をガラスピペットで取り除き、そして残った有機相を攪拌しながら無水硫酸ナトリウムで乾燥する。
8. この新たに調製したPhSeH(約1.1モル、30当量)の溶液を、次いでアルゴン下に、Et
3N(28mL)中の共沸蒸留して乾燥したサポニンアジド29(62mg、37μmol、1.0当量)の溶液を含む100mL容積反応シュレンクフラスコにカニューレ移送する。添加したら、白色の析出物が形成し、そしてこの溶液は明るい黄色となる。
9. この反応混合物を8時間、38℃で攪拌し、次いで濃縮して、黄白色の固形物を与える。
10. シリカゲルクロマトグラフィ(ベンゼン/EtOAc、90:10~85:15)による精製は、切断サポニンアミン30(49mg、80%)をガラス様固形物として与える。
【0261】
パートB:保護化アミノアシルサポニン32の合成
【0262】
【化86】
1. 10mL容積の梨型シュレンクフラスコ中で、6-(Boc-アミノ)ヘキサン酸(45.0mg、0.20mmol、11.5当量)をTHF(2.5mL)中に溶解し、次いでEt
3N(213μL、1.53mmol、90当量)を加える。0℃のこの無色透明な溶液に、EtOCOCl(16μL、0.17mmol、10当量)を気密シリンジを介して注入する。
2. 生じた白濁混合物を2.5時間、0℃で攪拌し、次いで、共沸蒸留して乾燥した(3×1mLトルエン)サポニンアミン30(28mg、17.0μmol、1.0当量)のニートフィルム(neat film)を含む10mL容積のシュレンクフラスコ中に0℃でカニューレ移送する。
3. この白濁反応混合物を1.5時間、0℃で攪拌し、次いで水(0.2mL)でクエンチングして、無色透明な溶液を与える。
4. この混合物を、飽和NaHCO
3水溶液(30mL)で希釈し、そして水性相はDCM(3×25mL)で抽出する。一緒にした有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮する(反応を水でクエンチングした後、この混合物を、上記の水性仕上げを行う必要なく回転蒸発によって直接濃縮することもできる)。
5. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、2:1、0.5体積%Et
3N含)による精製(9:1~5:1ベンゼン/EtOAc(0.5体積%Et
3N)を用いた溶離も、シリカゲルクロマトグラフィ精製のために使用できる)は、切断完全保護化アミノアシルサポニン32(28mg、88%)を白色のガラス様固形物として与える。
【0263】
例4:保護化アミノアシル化サポニンの包括的(global)脱保護化
【0264】
パートA:保護化アミノアシルサポニン32の水素化分解及び酸加水分解によるアミノアシルサポニン34(化合物I-6)の合成
【0265】
【化87】
1. 50mL容積の丸底フラスコ中に、完全に保護した切断サポニン32(68mg、36.6μmol、1.0当量)を、THF/EtOH(1:1)(20mL)中に溶解し、次いで10%(乾燥ベース)のPdC、ウェットデグサタイプE101NE/W(390mg、0.18mmol、5.0当量)を加える。
2. この反応混合物を、H
2(50psi)の雰囲気下に24時間、室温で、高圧ボンブ反応器を用いて攪拌する(分岐状トリサッカライドドメインが欠けた類似のサポニントリテルペン変体では、対応する脱ベンジル化生成物を提供するのには、12時間のバルーン圧下の水素雰囲気下での水素化分解で十分である)。
3. この懸濁液を、0.45μmナイロンシリンジフィルタに通し、MeOH(3×30mL)で洗浄し、そして濃縮する。成功裏の脱ベンジル化は、メタノール-d
4中での
1HNMRによる芳香族共鳴の消失によって評価される。
4. 25mL容積の丸底フラスコ中に、生じた粗製混合物を、TFA/水(3:1)(8mL)の予め冷却(0℃)した溶液中に溶解する。
5. この反応混合物を2時間、0℃で攪拌し、次いで高真空下に0℃で濃縮して、白色の固形残留物を与える。
6. この粗製生成物を水/MeCN(4:1)(20mL)中に溶解し、そして水中30→70%MeCN(0.05体積%TFA)の線形勾配を用いて15分間かけてRP-HPLCによって精製する。この完全に脱保護化された切断サポニン34は、メインのシングルピークとして溶離し、そして凍結乾燥後に綿毛状の白色の固形物(28mg、74%)として得られる。
【0266】
例5:完全体サポニン4(化合物I-8)を形成するアシル鎖ドメインアミンの後期アシル化
【0267】
ステップA:アミノアシルサポニン34中の遊離アミンの選択的4-ヨウ素ベンゾイル化による、分岐状トリサッカライドドメインが欠けた完全体サポニン4(化合物I-8)の合成
【0268】
【化88】
1. アルゴンインレットニードルを備えたゴム隔壁を装備した5mL容積の梨型フラスコ中で、アミン末端切断サポニン34(2.1mg、2.0μmol、1.0当量)をDMF(0.4mL)中に溶解する。Et
3N(11μL、0.08mmol、40当量)を注入し、その後、DMF(0.2mL)中のN-スクシンイミジル4-ヨードベンゾエート(4.0mg、10μmol、5.8当量)の溶液を気密シリンジを介してアルゴン下に滴下する。
2. この反応混合物を、2時間、室温で攪拌し、次いで30%MeCN/水(2.3mL)で希釈し、そして水(0.05体積%TFA)中で30→70%MeCNの線形勾配を用いて、15分間かけてRPHPLCにより直接精製する。
3. 完全体切断サポニン4(化合物I-8)(1.7mg、67%)が、凍結乾燥後に白色の粉末として得られる。
【0269】
例6:分岐状トリサッカライド-トリテルペンプロサポゲニンの単離及び選択的保護
【0270】
【0271】
パートA:Quil-Aからの分岐状トリサッカライド-トリテルペンプロサポゲニン類の単離
1. 還流冷却器を備えた250mL容積の丸底フラスコ中で、Quil A(1.15g)及び水酸化カリウム(0.97g、17mmol)を、EtOH/水(1:1)(50mL)中に懸濁し、次いでこの混合物を80℃に7時間加熱する。
2. この反応を0℃に冷却し、1.0N HClで中和し、そしておおよそ半分の体積まで濃縮する(過剰の発泡及び突沸を避けるように注意をする必要がある;水浴は35℃に維持すべきであり、圧力はゆっくりと低下する)。
3. この混合物を凍結及び真空乾燥し、そして生じた乾燥固形物を、シリカゲルクロマトグラフィ(CHCl3/MeOH/水/AcOH、15:9:2:1)によって精製する。TLCによって観察されたメインスポットに対応する主たる生成物は、目的の画分を濃縮することによって単離する。
4. 生じた固形物を、トルエン(2×20mL)を用いた溶剤の共沸蒸留除去によって乾燥し、そしてMeCN/水(1:1)(3×15mL)中で凍結乾燥して、プロサポゲニン類の混合物(5:6,2.5:1)を淡黄褐色の発泡体(約0.55g、50質量%収率)を供する。これらのキシロース-及びラムノース-含有プロサポゲニン類5及び6はそれぞれ、QSサポニン類に見つかる二つの最も豊富なトリサッカライド-トリテルペンフラグメントに相当し、そして更に精製することなく、次の保護ステップに送られる。
【0272】
パートB:プロサポゲニンヒドロキシル基の選択的保護によるトリエチルシリル(TES)保護化プロサポゲニンの合成
1. 25mL容積の改造シュレンクフラスコ中で、プロサポゲニン類5及び6の固形混合物(約0.55g)を、ピリジン(5mL)から共沸蒸留し、次いで追加のピリジン(8mL)を加え、その後、TESOTf(2.0mL、8.8mmol)を加える。
2. この反応混合物を2.75日間攪拌し、次いでTESOTf(0.3mL、1.3mmol)を加え、次いでそれからそれぞれ24時間後と48時間後に、更に二回(それぞれ0.1mL、それぞれ0.44mmol)加える(TESOTfの最後の追加の添加は状況に依存し、そして最初の4日間後でも反応が未だ完了していない場合にのみ必要である)。
3. 合計で5日間後に、前記混合物を濃縮し、そしてヘキサン類/EtOAc(4:1~2:1)で溶離したシリカゲルのショートプラグに通す。その溶離液を濃縮し、生じた黄色の油状物をMeOH/THF(1:1)(20mL)中に溶解し、そしてこの溶液を3.5日間攪拌して、加溶媒分解によってシリルエステルを除去する。
4. この反応混合物を濃縮し、そしてキシロース-及びラムノース-含有(TES)9保護化プロサポゲニン二酸の生じた混合物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、4:1~2:1)により分離して、精製されたキシロース含有保護化プロサポゲニン7(約0.25g、約22%収率)を白色の固形物として与える。
【0273】
パートC:保護化プロサポゲニン7中のグルクロン酸カルボン酸の選択的エステル化による保護化キラヤプロサポゲニン8の合成
1. 10mL容積の改造シュレンクフラスコ中で、プロサポゲニン二酸7(81mg、41μmol、1.0当量)をDCM(0.7mL)中に溶解し、そしてピリジン(30μL、0.37mmol、9.0当量)及びTBP(102mg、0.41mmol、10当量)を加え、その後、ベンジルクロロホルメート(15μL、0.11mmol、2.6当量)を加える。
2. この反応を6時間攪拌し、追加的なベンジルクロロホルメート(3.0μL、21μmol、0.51当量)を加え(最初の6時間後のCbzClの追加的な添加は、各々の特定のケースにおける反応の進行に依存し;シリカゲルクロマトグラフィによって精製する場合には、ベンゼン/EtOAc(100:0~24:1)での溶離も考慮し得る)、そして反応を更に20時間攪拌する。
3. この混合物を濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、20:1~7:1)によって精製して、選択的にグルクロナネート保護化されたプロサポゲニン8(58mg、68%)を白色の固形物として与える。
【0274】
例7:サポニンドメインフラグメントのモジュール式コンバージェントアセンブリ
【0275】
パートA:保護化アミノガラクトースサポニン28の合成
【0276】
【化90】
1. ステップA:保護化キシロース-ラムノース-アジドガラクトース線形トリサッカライド26を用いた分岐状トリサッカライド-トリテルペンプロサポゲニン8のグリコシル化による保護化アジドガラクトースサポニン27の合成。50mL容積の改造シュレンクフラスコ中に、選択的保護化プロサポゲニン8(653mg、0.32mmol、1.5当量)及びトリサッカライドイミデート26(230mg、0.21mmol、1.0当量)をトルエン(3×3mL)から高真空下に共沸蒸留して乾燥し、次いでDCM(10mL)中に溶解する。
2. 粉末化した4Å MS(1g)を加え、そしてこの懸濁液を2時間、室温で攪拌する。次いで、この不透明な白色混合物を-78℃に冷却し、そして新たに蒸留したBF
3・OEt
2(15μL、0.23mmol、1.1当量)を気密シリンジを介して注入する。
3. この反応混合物を-78℃で、6時間攪拌し、シリカゲルのプラグに通し、そして濾液を濃縮する。
4. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、9:1~4:1)による精製は、プロサポゲニン-線形トリサッカライド結合体27(322mg、73%)をガラス様固形物として与える。
5. ステップB:保護化アジドガラクトースサポニン27の還元による保護化アミノガラクトースサポニン28の合成。50mL改造シュレンクフラスコ中で、PhSeSePh(313mg、1.0mmol、1.0当量)(注意:セレン化合物は毒性が高く、不快な臭いを持つ。フェニルセレノール自体が極めて有毒である。ジフェニルジセレニドの還元によるフェニルセレノール溶液のインサイチュー(in situ)の調製は、フェニルセレノールを直接扱うことを回避するが、反応フラスコに添加されるセレン化物含有溶液を扱う必要がある。セレン試薬を扱う際は注意が必要であり、ジフェニルジセレニド原料の秤量も含めて全ての取り扱いは、保護グローブ及び安全めがねを装着してドラフトチャンバ中で行うのがよい。残留する痕跡量のセレン化物を酸化するために、予め漂白溶液を調製して全ての使用したガラス機器を及び場合により初期塔画分をも処理するのがよい。漂白溶液は、回転式蒸発器の溶剤トラップ中にも入れるべきであり、これは使用後に徹底的に洗浄しそして理想的にはドラフトチャンバ内に収容しておくのがよい)をTHF(8mL)中に溶解し、次いでH
3PO
2(水中50%)(1.2mL、11.0mmol、11当量)をシリンジを介して添加する。
6. この黄色の溶液を、それが無色に変わるまで40℃で1時間加熱する。
7. この反応混合物から熱を除去し、ベンゼン(8mL)及び蒸留水(8mL)で希釈し、そしてアルゴン下に5分間激しく攪拌する。生じた二相系懸濁液の下の方の水性相を、アルゴンの正圧下にシリンジ(またはガラスピペット)により除去し、そして無水硫酸ナトリウムを攪拌しながら当該シュレンクフラスコに加えて、残った有機層を乾燥する。8. 次いで、この新たに調製したPhSeH(約1.9mmol)の溶液を、Et
3N(50mL)中の共沸蒸留して乾燥したサポニンアジド27(322mg、0.11mmol、1.0当量)の溶液を含む250mL容積の反応シュレンクフラスコに、アルゴン下にカニューレ移送により加える。添加したら、白色の析出物が形成し、そしてこの溶液は明るい黄色となる。
9. この反応混合物を3時間、40℃で攪拌し、次いで濃縮して、黄白色の固形物を与える。
10. シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、4:1乃至0.5体積%Et
3N含EtOAc)による精製は、サポニンアミン28(256mg、87%)をガラス様固形物として与える(対応するサポニンアミンを与えるこのアジド還元ステップを行うための他の代替的な実験手順は、次の通りの、硫化水素(ガス)を用いたEt
3N中での原料の処理である:スチール製シリンダから過剰の硫化水素を、カニューレ(長いスチールニードル)を介して、ピリジン/Et
3N(3.5:1)(4.5mL)中のサポニンアジド(約45mg、約0.015mmol、1.0当量)の氷冷した溶液に通して2分間バブリングする。ベントニードル及びカニューレを、テフロンテープ及びパラフィルムでシールした隔壁から取り除き、そしてこの反応混合物を室温で一晩攪拌する。次いで、この暗緑色の溶液から、窒素流を用いて過剰の硫化水素を除き、そして生じた淡橙色の溶液を回転蒸発によって濃縮する。シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類/EtOAc、1.0体積%Et
3N)による残留物の精製は、目的のサポニンアミン生成物(約40mg、80~90%収率)を生じる。
【0277】
パートB:保護アミノアシルサポニン31の合成
【0278】
【化91】
1. 5mL容積の梨型シュレンクフラスコ中で、商業的に入手可能な6-(Boc-アミノ)ヘキサン酸(HO
2C(CH
2)
5NHBoc)(19.9mg、86μmol、10当量)をTHF(0.9mL)中に溶解し、次いでEt
3N(0.11mL、0.77mmol、90当量)を加える。0℃のこの無色透明な溶液に、EtOCOCl(7.3μL、77μmol、9.0当量)を気密シリンジを介して注入する。
2. この白濁混合物を3時間、0℃で攪拌する。次いで、プロサポゲニン-線形トリサッカライドサポニンアミン28(26mg、8.6μmol、1.0当量)を加え、そしてこの反応を1.5時間、室温で攪拌する。
3. 水(0.1mL)を加えて反応をクエンチングし、この時点で、この溶液は、白濁から透明な黄色へと変わる。更なる水(0.1mL)を加えた後、生じた不混和性混合物を濃縮する。
4. シリカゲルクロマトグラフィ(トルエン/EtOAc、20:1~11:1)による精製は、アミノアシル分岐状トリサッカライド含有サポニン31(22mg、81%)を白色のガラス状固形物として与える。
【0279】
例8:保護化アミノアシル化サポニンの包括的脱保護化
【0280】
パートA:保護化アミノアシルサポニン31の水素化分解及び酸加水分解によるアミノアシルサポニン33の合成
【0281】
【化92】
1. 100mL容積の丸底フラスコ中で、完全保護化分岐状トリサッカライド含有サポニン31(240mg、75μmol、1.0当量)をTHF/EtOH(1:1)(20mL)中に溶解し、次いで10%(乾燥ベース)Pd/C、ウェット、デグサタイプE101 NE/W(140mg、66μmol、0.9当量)を加える(注意:水素化分解反応は、かなりの火災危険を持つ。可燃性の炭素上パラジウム並びに(爆発の危険を高める)水素ガスを扱う際には注意が必要である。)。
2. この反応混合物を、高圧ボンブ反応器を用いて、H
2雰囲気(50psi)下に24時間、室温で攪拌し、そしてこの懸濁液を0.45μmナイロンシリンジフィルタに通して濾過する。
3. パラジウムは、MeOH(3×100mL)で徹底的に洗浄し、そして透明な濾液を濃縮する。首尾のよい脱ベンジル化は、メタノール-d
4中での
1HNMRによる芳香族共鳴の消失によって評価される。
4. 50mL容積の丸底フラスコ中で、部分的に脱シリル化された生成物の生じた粗製混合物を、TFA/水(4:1)(10mL)の予め冷却(0℃)した溶液中に溶解する。
5. この反応混合物を3時間、0℃で攪拌し、次いで高真空下に0℃で濃縮して、白色の固形の残留物(140mg)を与える。
6. この粗製生成物を、水/MeCN(4:1)の溶液中に溶解し、そして水(0.05体積%TFA)中の20→35%MeCNの線形勾配を用いて10分間かけてRP-HPCLによって精製する。主要なシングルピークを含む画分を集めそして凍結乾固して、完全に保護化された遊離アミン含有サポニン33(88mg、78%)を綿毛状の白色固形物として与える。
【0282】
例9:完全体サポニン3を形成するアシル鎖ドメインアミンの後期アシル化
【0283】
パートA:アミノアシルサポニン33における遊離アミンの選択的4-ヨウ素ベンゾイル化による完全体サポニン3の合成
【0284】
【化93】
1. アルゴンインレットニードルを備えたゴム隔壁を装備した10mL容積の丸底フラスコ中で、アミン末端サポニン33(9.0mg、6.0μmol、1.0当量)をDMF(2.0mL)中に溶解し、そしてEt
3N(50μL、0.36mmol、60当量)を気密シリンジを介して注入する。
2. この混合物を50分間、室温で攪拌し、次いでアルゴン下にDMF(0.6mL)溶解した商業的に入手可能なN-スクシンイミジル4-ヨードベンゾエート(20mg、60μmol、10当量)を、ゴム隔壁を装備した5mL容積の梨型フラスコからシリンジを介して滴下する。
3. この反応混合物を1時間、室温で攪拌し、水/MeCN(4:1)(10mL)で希釈し、そして水中で20→70%MeCNの線形勾配を用いて30分間かけてRP-HPLCにより直接精製する。
4. 質量分析法により評価して目的の生成物を含むピークに対応する画分を集め、そして凍結乾固して、完全体サポニン3(5.4mg、52%)を白色粉末として与える。
【0285】
例10:化合物I-4(TQL-1055)の全合成
化合物I-4(TiterQuil-1-0-5-5/TQL-1055)の全合成を、本願の
図6~8に示す。この例において化合物に添えた番号は、他の図面、請求項または例1~9を含む本願明細書の他の部分に記載の他の式の番号または化合物の番号に対応することを意図していない。
【0286】
例11:合成サポニンで補助(アジュバント)したプレベナー-13-CMR197結合ワクチン
FDAにより承認されたヒト肺炎球菌-CMR197結合ワクチンによって誘発した抗体力価に対する合成QS-21及びTQL-1055(化合物I-4)の影響を試験した。二つの異なるプレベナー投与レベル(0.04mcg及び0.2mcg)で、合成サポニンアジュバントの存在下または不在下にマウスをプレベナー-13で免疫付与した。マウスを、0日で一度免疫付与し、そして血清分析のために21日で血液採取した。本願の
図2は、高用量もしくは低用量プレベナー-13の、または合成QS-21(SQS-21)またはTQL-1055(化合物I-4)と組み合わせたLym2-CRM197結合体の抗原性を示す、この検証で得られたデータを報告するものである。
【0287】
例11:TdapワクチンであるAdacel免疫原性に対するTQL-1055(化合物I-4)及びQS-21の影響
マウス一匹当たり1、0.3及び0.1mcgの百日咳毒素を含むAdacel投与量を、4週間開けて2度のワクチン接種を用いて、皮下投与し(SC、免疫学的アジュバント無し)、その結果、二度目のワクチン接種から2週間後に抜いた血清1ml当たりで抗百日咳抗体が平均でそれぞれ1,618mcg、898mcg及び107mcgとなった。0.1mcg投与量は、未ワクチン接種コントロール(96mcg/ml)から区別できなかった。0.5mcgのAdacel投与量は、薬理学的/毒学的(pharm/tox)検証のために選択した。この検証のための血清学的結果を、本願の
図3に纏める。二度目の皮下免疫付与から2週間後の5匹のマウスのグループにおける抗体レベルは、Adacel単体での免疫付与の場合と比べて、TiterQuil-1055(TQL-1055/化合物I-4)で70倍に増強され(726から52,344)(2週間後には更に向上)及びQS-21で10倍に増強された。50mcgのTiterQuil-1055を受けたマウスでは体重の減少は検出されず、20mcgQS-21を注射したマウスは、それらの体重の8~9%を失った。
【0288】
例12:B型肝炎ワクチンEngerix-B免疫原性に対するTiterQuil-1-0-5-5及びQS-21の影響
10匹のマウスのグループにEngerix-B(HBV成人用ワクチン)を用いて実験を行った。先ず、マウス当たり3mcg、1mcg、0.3mcg、0.1mcg及び0.03mcgのEngerix-B投与量を試験した。平均して生じた抗HBsAg抗体レベルは、それぞれ92,512mcg/ml、64,255mcg/ml、24,847mcg/ml、3,682mcg/ml及び910mcg/mlであり、この際、0.03投与量はコントロール(821mcg/ml)と区別できなかった。Engerix-Bの0.3mcg投与量は更なる検証のために選択され、そしてこの投与量は、様々な投与量のTiterQuil-1055(TQL-1055/化合物I-4)と混合して使用した。生じた幾何平均抗体濃度を、本願の
図4に纏める。10mcgのTiterQuil-1055は、血清学的効果を持たないようである一方で、30及び100mcgのTiterQuil-1055とEngerix-Bとの混合物は、Engerix-B単体と比べた場合に、それぞれ>6倍及び5倍の抗体レベルの上昇をもたらした。マウス一匹当たり50mcg超のTiterQuil-1055投与量での抗体上昇または減少応答の欠如は、一貫した知見であった。30mcgのTiterQuil-1055投与量では体重の減少は認められず、100及び300mcg投与量では僅か4%及び5%であった。
【0289】
例13:Adacel QS-21及びTiterQuil-1055を用いたパイロット薬理学的/毒学的結果
pharm/tox検証を5匹のマウスの7つのグループで行った:1)PBS単独、2)50mcgTiterQuil-1055、3)20mcgQS-21、4)Adacel 2.5mcg百日咳毒素(ヒト用当量の1/5)、5)Adacel+QS-21(20mcgQS-21)、6)Adacel+TiterQuil-1055(50mcg)、7)Adacel+TiterQuil-1055(50mcg)。マウスを、1日目及び15日目に皮下ワクチン接種し、毎日体重を計量し、そして(29日目に屠殺したグループ7は除いて)22日目に採血及び屠殺した。血液の化学的または血液学的結果にはどのグループにも変化は確認されなかった。グループ3及び5の全てのマウスで7~9%の体重減少が観察され(QS-21の従前の結果に一致する)、他のマウスには確認されなかった。33つの異なる組織の組織病理学試験を全てのマウスで行った。検出された異常は肝臓に限られた。多少のまたは厳しい肝細胞性細胞質空胞変性が、グループ4~6の全てのマウスに観察され(この投与量では完全に百日咳ワクチンに起因し、グループ5及び6は、グループ4と同じ程度でしかない)、しかし、グループ1または2のマウスには無かった。この異常は短命であり、グループ1~6の一週間後に屠殺されたグループ7では検出されなかった。マイルドな空胞変化がグループ3(QS-21単独)の全てのマウスで観察された。グループ1及び2(PBS及びTiterQuil-1055)では変化は全く観察されなかった。
【0290】
例14:化合物I-4(TQL-1055/TiterQuil-1-0-5-5)の安定性及び溶血活性
天然及び合成QS-21(SQS-21またはSAPONEX(登録商標))及び様々な類似物を溶血活性について試験した。このデータは、QS-21は溶血活性が高く、他方、幾つかの構造的類似物、特に化合物I-4(TiterQuil-1-0-5-5/TQL-1055)は、向上した安定性の他にかなりより低いまたは検出不能な溶血活性を示したことを明確に表している。
図5は、TiterQuil-1055を用いて行った溶血分析の結果を示す。免疫付与から三日後の伴毒性検証では、20mcgのQS-21を接種した動物は、それらの体重を平均して8~10%失い、他方でPBS、TiterQuil-101及びTiterQuil-1055レシピエントは、平均して5%増える(若年マウスで通常の重量増加)。次の説明に拘束されるものではないが、溶血活性は、生理学的条件下でのQS-21の分解の直接の結果であり得、そしてTiterQuil-1055において溶血活性が欠如していることは、向上した安定性の結果であり得る。37℃で二週間後、QS-21の20%が分解し、他方で、TiterQuil-1055は、検出可能な分解無くなおも完全な状態であった。
GLA、MPL、3D-MPL、LPS、コレステロール、CpG、PolyIC:LC、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、トコフェロール、アシル化モノサッカライド、可溶性トリテルペングリコシド、Toll様受容体4(TLR4)アゴニスト、Toll様受容体3(TLR3)アゴニスト、モンタニド類(ISA51、ISA720)、免疫刺激オリゴヌクレオチドおよびイミダゾキノリン類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含む、請求項1に記載の医薬調合物。
前記免疫賦活剤が、アラム、フロイントアジュバント(マイコバクテリア死菌を含む水中油型エマルション)、MDPを含むフロイントアジュバント(ムラミールジペプチド、MDP、マイコバクテリアの構成成分を含む水中油型エマルション)、アラムとボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis)(B.パーツシス死菌を含む水酸化アルミニウムゲル)、腸内細菌、FUグリコシド、合成または誘導アウターメンブランベシクル、キトサン微粒子およびマイクロキャリア粒子からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の医薬調合物。