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特開2022-191303FOXP3結合ペプチド及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191303
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】FOXP3結合ペプチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20221220BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20221220BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C07K7/08 ZNA
C12N15/63 Z
A61P35/00
A61P1/00
A61P1/16
A61K38/12
A61K45/00
A61P37/02
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022155872
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2019521703の分割
【原出願日】2017-10-19
(31)【優先権主張番号】16195686.7
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516373926
【氏名又は名称】ファンダシオン パラ ラ インベスティガシオン メディカ アプリカダ
【氏名又は名称原語表記】FUNDACION PARA LA INVESTIGASION MEDICA APLICADA
【住所又は居所原語表記】Avda.Pio XII,55,E-31008 Pamplona(ES)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カサレス,ラガール,イネス ノエリア
(72)【発明者】
【氏名】ラサルテ サガスチベルザ,フアン ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ロサノ モレダ,テレサ
(72)【発明者】
【氏名】オヤルサバル サンタマリナ,フレン
(72)【発明者】
【氏名】ラバル グラシア,マリア オブデュリア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Treg細胞の制御又は阻止の効率が向上した化合物を提供する。
【解決手段】下式のペプチド:R及びRがビルラジカルリンカーを形成し、R2’が水素であるか、又はその代わりにRが水素、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル、及び-C(=O)-(C~C20)アルキルからなる群から選択されるモノラジカルであり、R及びR2’の一方が水素ラジカルであり、他方が-C(=O)OH等である。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)のペプチド:
【化1】

式中、
及びRが一緒になってビルラジカルリンカーを形成し;
2’が水素であり;
前記R及びRにより形成されるリンカービルラジカルが、1位のアミノ酸残基のアミノ末端基及び15位のアミノ酸残基のアルファ炭素に結合されており、C(=O)、(C~C10)アルキル-NR-C(=O)、(C~C10)アルケニル-NR-C(=O)、(C~C10)アルキニル-NR-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR-C(=O)-(C~C10)アルキル-NRC(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-(C~C10)アルキル-NR10-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-NR11-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-NR12-(C~C10)アルキル-NR13C(=O)、(C~C10)アルキル-NR1415-(C~C10)アルキル-NR16-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-O-(C~C10)アルキル-NR17-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-C(=O)-(C~C10)アルキル-NR18-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルケニル-C(=O)、(C~C10)アルキニル-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-C(=O)-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-O-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR1920-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR21-C(=O)-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-NR22-(C~C10)アルキル-C(=O)からなる群から選択され;
又はその代わりに、
が、水素、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル、及び-C(=O)-(C~C20)アルキルからなる群から選択されるモノラジカルであり;
及びR2’の一方が水素ラジカルであり、他方が、-C(=O)NR及び-C(=O)OHからなる群から選択されるモノラジカルであり;
及びRが、同じ又は異なるモノラジカルであり、水素及び(C1~C10)アルキルからなる群から選択され;並びに

~R22が、水素、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されるモノラジカルであり、

前記(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルが、非置換であるか又は置換されており、
「置換(C~C10)アルキル」は、前記(C~C10)アルキルが、ハロゲン、-OR23、-NO、-NR2425、-SR26、-SO27、-CO28、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルキル-O-、及び(C~C)シクロアキルからなる群から選択される1又は複数のラジカルにより置換されており、ここで、R23~R28モノラジカルが、同じか又は異なり、-H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されることを意味し;
「置換(C~C10)アルケニル」は、前記(C~C10)アルケニルが、ハロゲン、-OR29、-NO、-NR3031、-SR32、-SO33、-CO34、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルキル-O-、及び(C~C)シクロアキルからなる群から選択される1又は複数のラジカルにより置換されており、R29~R34モノラジカルが、同じか又は異なり、-H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されることを意味し;
「置換(C~C10)アルキニル」は、前記(C~C10)アルキニルが、ハロゲン、-OR35、-NO、-NR3637、-SR38、-SO39、-CO40、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルキル-O-、及び(C~C)シクロアキルからなる群から選択される1又は複数のラジカルにより置換されており、R35~R40モノラジカルが、同じか又は異なり、-H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されることを意味し;

但し:
(i)R及びRが、上記で規定されているビルラジカルリンカーを形成する場合、又はその代わりに、Rが-C(=O)-(C~C20)アルキル若しくは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルである場合、又はその代わりに、R2’が-C(=O)NRである場合、又はその代わりに、Rが-C(=O)-(C~C20)アルキル若しくは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R2’が-C(=O)NRである場合、X~Xは、同じ又は異なるアミノ酸残基を表わし、
(ii)Rが水素であり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHである場合、X~Xは、同じ又は異なるアミノ酸残基を表わし、X~Xの少なくとも1つが、
がL-Asp以外のアミノ酸であること;
がL-Phe以外のアミノ酸であること;
がL-Ser以外のアミノ酸であること;
がL-Lys以外のアミノ酸であること;及び
がL-Pro以外のアミノ酸であることから選択される;

(b)in vitro及び/又はin vivoでFoxP3と結合し、FoxP3活性を阻害する能力を維持する、式(I)のペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有するペプチド;並びに、

(c)前記(a)又は(b)で定義されたペプチドの少なくとも11個の連続アミノ酸
の部分を含み、in vitro及び/又はin vivoでFoxP3と結合し、FoxP3活性を阻害する能力を維持し、
N末端として-NHラジカルを、C末端として-COOHラジカルを有する場合、前記断片が、式(I)のペプチドで特定されている前記アミノ酸残基X~Xの少なくとも1つを含み、前記少なくとも1つが、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、及びXがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択される、前記(a)又は(b)で規定されたペプチドの断片;
からなる群から選択される、ペプチド又はその薬学的な塩。
【請求項2】
及びRが、請求項1記載のリンカービルラジカルを形成するか、
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル、又は-C(=O)-(C1~C20)アルキルであり;
が水素であり;及び
2’が-COOHである;
又はその代わりに、
が水素であり、
及びRの一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり;及び
及びRが、請求項1に定義された通りである;
又はその代わりに
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル、又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びRの一方が-C(=O)NRであり;及び
及びRが、請求項1で定義された通りである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記アミノ酸X~Xの少なくとも1つが、
がL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であること;
がL-Pheを基準にして非保存的なアミノ酸であること;
がL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であること;
がL-Lysを基準にして非保存的なアミノ酸であること;及び
がL-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であることからなる群から選択される、請求項1又は2に記載のペプチド。
【請求項4】
(i)XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、X~Xが任意のアミノ酸を表す;
又はその代わりに、
(ii)XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、XがL-Serを基準にして非保存的アミノ酸であり、X、X、及びXが任意のアミノ酸を表す;又はその代わりに、
(iii)XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、XがL-Serを基準にして非保存的アミノ酸であり、Xが無極性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X及びXが任意のアミノ酸を表わす、請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項5】
~Xの少なくとも1つがD-アミノ酸である、請求項1~4のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項6】
前記リンカービルラジカルが、C(=O)、(C~C10)アルキル-NH-C(=
O)、(C~C10)アルケニル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキニル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキル-NH-C(=O)-(C~C10)アルキル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-NH-C(=O)、(C~C)アルキル-NH-C(=O)、(C~C)アルケニル-NH-C(=O)、(C~C)アルキニル-NH-C(=O)、(C~C)アルキル-NH-C(=O)-(C~C)アルキル-NH-C(=O)、(C~C)アルキル-O-(C~C)アルキル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルケニル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルキニル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)-(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルケニル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルキニル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)-(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)、及び(C~C)アルキル-O-(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のペプチド。
【請求項7】
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルである、請求項1~5のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項8】
及びRが水素であるか、又はその代わりにR及びRの一方が水素であり、他方がメチルであるか、又はその代わりにR及びRが両方ともメチルである、請求項1~5及び7のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項9】
N(t)のアミノ酸残基及び/又はC(t)のアミノ酸残基がD-配置を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項10】
配列番号2~配列番号54からなる群から選択される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項11】
(i)請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチド;及び
(ii)ペプチドを細胞に内部移行させる能力を有する細胞透過剤
を含む、構築体。
【請求項12】
(a)請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチド若しくは請求項11記載の構築体、又は請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチド及び請求項11記載の構築体の両方;並びに
(b)1又は複数の免疫調節化合物
を含む、組合せ。
【請求項13】
治療有効量の請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチド、請求項11記載の構築体、又は請求項12記載の組合せを、少なくとも1つの獣医学的に又は薬学的に許容される賦形剤と共に含む、獣医学的組成物又は医薬組成物。
【請求項14】
薬剤として使用するための、請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチド、請求項11記載の構築体、請求項12記載の組合せ、又は請求項13記載の獣医学的組成物若しくは医薬組成物。
【請求項15】
新生物疾患の治療又は予防に使用するための、請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチド、請求項11記載の構築体、請求項12記載の組合せ、又は請求項13記載の獣
医学的組成物若しくは医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月26日に出願された欧州特許出願EP16195686.7号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、FoxP3と結合可能なペプチド及びその薬学的な塩に関する。これらのペプチドは、Treg細胞を制御/阻止することができ、感染性疾患又は新生物疾患等、Treg細胞活性の制御が必要とされる疾患の治療に応用が見出される。
【背景技術】
【0003】
免疫療法は、がんを有する患者の治療に非常に有望である。サイトカインに基づく療法、エフェクターT細胞の注入、又はワクチン接種プロトコールを使用した多数の臨床プロトコールの実施は、がん免疫療法が一般的に安全であることを実証している。しかしながら、こうした臨床プロトコールでは、治療後に免疫応答の誘導が観察されるものの、患者のほとんどは、有効な抗腫瘍応答を発生させることができない。黒色腫、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、及び乳がんを有する患者並びに肝臓がん腫を有する患者の腫瘍組織又はリンパ節にTregリンパ球が存在することが示されていること(非特許文献1)、及び腫瘍組織が、この部分集団を腫瘍組織に向けて特異的に誘引するケモカインを分泌するという記載は、腫瘍に対するTregリンパ球の接近が動的プロセスであり、それが疾患進行を促進する免疫抑制性効果を発揮することを示す。
【0004】
制御性T細胞(Treg細胞又はTreg)は、以前はサプレッサーT細胞として知られており、免疫系を調節するT細胞の部分集団であり、自己抗原に対する寛容性を維持し、自己免疫疾患を予防する。Treg細胞は、免疫抑制性であり、一般的には、エフェクターT細胞の誘導及び増殖を抑制又は下方制御する。Treg細胞は、バイオマーカーCD4、FOXP3、及びCD25を発現し、未感作CD4細胞と同じ系統に由来すると考えられている。
【0005】
腫瘍及び末梢節にTregが存在することは、免疫療法プロトコールの効力が低いことを説明することができるだろう。同じように、感染性疾患では、Tregリンパ球が及ぼす制御は、エフェクターT応答の大きさを制限し、感染制御の失敗を引き起こす場合がある。従って、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、及びHIV等の幾つかのウイルス(非特許文献2)は、Tregリンパ球を使用して、抗ウイルス免疫応答を阻止することができ、従って、持続的な慢性感染の確立を可能にすることが記載されている。こうしたことの全てにより、Tregリンパ球の作用の調節は、がん又は感染性疾患に対する免疫療法の開発に不可欠であり得ると考えられている。
【0006】
この点で、免疫系に対する負の効果を制御しようとする試みにおいて、従来技術では、Tregリンパ球の活性を阻害するための方法が開示されている。こうした方法の幾つかは、枯渇抗体の使用により、又はそれらが産生し、それらの活性に関与し得るサイトカイン(TGF-β、IL-10)を阻止することにより、Treg細胞を除去することを含む。制御性T細胞の枯渇に基づく方法は、細胞を除去し、自己免疫疾患を引き起こすリスクがあるという欠点を有する。
【0007】
代替的免疫療法を見出す試みでは、scurfinとしても知られているFOXP3(フォークヘッドボックスP3)が、科学者の関心を引き付けた。このタンパク質は、FOXタンパク質ファミリーのメンバーであり、制御性T細胞の発生及び機能における制御経
路の主要な制御因子として機能すると考えられる。更に、胸腺で生成される天然Tregに加えて、FoxP3発現は、TCR架橋によりCD4+CD25-T細胞の周辺部で誘導され、刺激された細胞におけるエフェクター機能の減衰に結び付く場合がある(増殖及びサイトカイン産生)(非特許文献3に概説されている)。免疫抑制性腫瘍微小環境は、腫瘍特異的T細胞に対する抗原提示に影響を及ぼし、最適未満のT細胞活性化及びT細胞寛容をもたらす場合がある。この点に関して、免疫抑制性サイトカインTGF-β、IL-6、又はIL-10、及び他の代謝産物の存在下でCD4+を最適未満でTCR刺激した後のFoxP3の発現は、T細胞耐容を促進する転移リンパ球の機能性を支配する重要な役割を有する場合がある。活性化ヒト又はマウスCD4+T細胞中でFoxp3を一過性に発現させ、Treg細胞の一部の特徴を獲得することができることが明らかになっている(非特許文献3、上記)。しかし、そのようなFoxP3発現の誘導は、CD4 T細胞に限定されない場合がある。実際、がん及び慢性感染症におけるCD8+FoxP3+T細胞の存在/誘導に関する報告が増えている(非特許文献4)。こうした知見は、FoxP3が、T細胞活性化を遮断する役目を果たし、免疫応答の幅広い制御因子として作用する場合があり、従って、FoxP3は、潜在的な療法標的であるとみなすことができることを示唆している。
【0008】
FOXP3機能の分子的基盤はよく理解されていない。転写因子scurfin(FOXP3、foxp3遺伝子の発現産物)(非特許文献5)は、Tregリンパ球の活性に不可欠であり、その存在がこうした細胞の抑制活性を決定することが記載されている。マウス及びヒトscurfinをコードするcDNAは、特許文献1の目的であり、この文献には、scurfinの発現調節が、各種疾患に療法効果を示し得ることが更に記載されている。また、上記特許には、foxp3遺伝子の発現を制御するための、他の分子の中でも合成ペプチドの使用が言及されているが、既に発現されたscurfinの活性を阻害する可能性については何ら言及されていない。
【0009】
DNAと結合するFOXP3の能力がその機能性に重要であり、FOXP3-DNA相互作用は、他のコファクターにより及び多量体化により支援されることが公知である。FOXP3と相互作用することが特定されている転写因子の数は益々増加しており、一部は、Treg細胞特異的遺伝子発現プログラムに関与することが示唆されている(非特許文献3、上記)。FOXP3は、種々の区別可能な機能性ドメインを有する:(i)N-末端ドメイン(aa1から193まで、2つのプロリンリッチ領域を有する)、(ii)タンパク質の中央に位置するジンクフィンガー(aa200~223)及びロイシンジッパー様モチーフ(aa240~261)(ZLドメイン)、並びに(iii)DNAとの結合に関与する高度に保存されたカルボキシ末端フォークヘッドドメイン(FKH;aa338から421まで)。転写制御因子としての機能に必要とされるFOXP3二量体化には、中間領域の関与が示唆されることが記載されている(非特許文献3、上記に概説されている)。また、この領域と転写因子AML1(急性骨髄性白血病1)/Runx1(Runt関連転写因子1)との物理的な相互作用は、IL-2及びIFN-γ産生を抑制し、Treg関連分子を上方制御し、細胞のアネルギーを制御し、Treg抑制性活性を発揮する(非特許文献3、上記に概説されている)。従って、FOXP3二量体化、AML1との相互作用を阻害することができるか、又はFOXP3インタラクトームを修飾することができる戦略は、Treg活性に対して重要な帰結を示す可能性があり、従って、がんの療法剤として活用することができる可能性がある。
【0010】
以前の研究では、配列番号1の15量体合成ペプチド(以降「p60」とも呼ばれる)が特定され、このペプチドは、in vitro及びin vivoで、細胞に進入し、FOXP3と結合し、マウス及びヒト由来Tregを阻害し、エフェクターT細胞刺激を向上させた(非特許文献6)。
【0011】
ArgAspPheGlnSerPheArgLysMetTrpProPhePheAlaMet(配列番号1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,414,129号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Nishikawa Hら、「Regulatory T cells in tumor immunity」、Int.J.Cancer、2010年、127巻、759~767頁
【非特許文献2】Joosten S.A.ら、「Human CD4 and CD8 regulatory T cells in infectious diseases and vaccination」、Hum.Immunol.、2008年、69巻(11号)、760~70頁
【非特許文献3】Lozano T.ら、「Searching for the Achilles Heel of FOXP3」、Front.Oncol.、2013年、3巻、294頁
【非特許文献4】Frassanito M.A.ら、「Myeloma cells act as tolerogenic antigen-presenting cells and induce regulatory T cells in vitro」、Eur J Haematol.、2015年、95巻(1号)、65~74頁
【非特許文献5】Williams L.M.及びRudensky A.Y.、「Maintenance of the Foxp3-dependent developmental program in mature regulatory T cells requires continued expression of Foxp3」、Nat.Immunol.、2007年、8巻、277~84頁
【非特許文献6】Casares N.ら、「A peptide inhibitor of FOXP3 impairs regulatory T cell activity and improves vaccine efficacy in mice」、J.Immunol.、2010年、185巻(9号)、5150~5159頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
免疫療法の分野でなされた努力にも関わらず、Treg細胞の制御又は阻止の効率が向上された化合物を提供する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、p60配列ペプチド(配列番号1)の遊離アミノ及びカルボキシ基の1又は両方を化学的に修飾することにより、FoxP3との結合の驚くべき向上が達成されることを見出した。
【0016】
ArgAspPheGlnSerPheArgLysMetTrpProPhePheAlaMet(配列番号1)
【0017】
下記に示されているように、配列番号1のペプチドの遊離アミノ及びカルボキシ基を修飾して、ステープル(staple)、特に頭尾(head-to-tail)ステープルを形成すると、FoxP3との結合が、未修飾p60を基準にして約500%増加し、
配列番号1のペプチドの遊離アミノ及びカルボキシ基を、それぞれアセチル化及びアミド化により誘導体化すると、未修飾p60を基準にしてFoxP3との結合の約200%増加が達成された。
【0018】
また、本発明者らは、FoxP3との結合及びTregリンパ球の免疫抑制活性の制御/阻止の両方の制御並びに実質的な向上に重要な、p60ペプチド配列のアミノ酸位置を特定した。
【0019】
p60の2、3、5、8、及び11位(付番は、配列番号1のN(t)残基から開始)に見出されるアミノ酸の1又は複数を別のものに置換すると、FOXP3との結合が顕著に増加し、最大460%に到達した。
【0020】
また、本発明者らは、本発明のペプチドが、p60と比較して、最大約50%のFoxP3阻害の増加を提供することを見出した。
【0021】
いかなる理論にも束縛されることは意図されていないが、本発明のペプチドは、サイズが小さいため、細胞に導入されて、FoxP3の作用を阻止することができると考えられる。
【0022】
本発明のペプチドにより、FoxP3との結合及び阻害の両方において顕著な向上が示されたことは、本発明のペプチドがTreg活性を阻害することができたことを示すものであった。これは、本発明者らにより更に実験的に確認された。下記に示されているように、阻害Tregアッセイで試験した本発明のペプチドは、Treg活性を阻害し、この阻害は、p60で達成された阻害よりも最大3倍高かった。従って、本発明のペプチドが、一過性又は一時的のいずれかで、Tregリンパ球の免疫抑制活性を効率的に阻止し、Treg細胞に対するp60効果を実質的に向上させることを確認することができる。
【0023】
上記に照らして、本発明のペプチドにより提供される向上は非常に顕著であるため、投与の観点で、所望の療法効果を得るために必要とされるペプチドの量が、p60と比較して実質的により少量であり得ることは明らかである。
【0024】
上記に照らして、本発明者らにより報告されたペプチドは、免疫療法一般及び特にがん療法又は感染性疾患療法の分野における大きな進歩を意味する。
【0025】
従って、本発明の第1態様は、FoxP3に結合可能であり、FoxP3を阻害可能なペプチド又はその薬学的な塩であって、以下のものからなる群から選択されるペプチドを提供する。
【0026】
(a)式(I)のペプチド:
【化1】

式中、
及びRが一緒になってビルラジカルリンカーを形成し;
2’が水素であり;
前記R及びRにより形成されるリンカービルラジカルが、1位のアミノ酸残基のアミノ末端基及び15位のアミノ酸残基のアルファ炭素に結合されており、C(=O)、(C~C10)アルキル-NR-C(=O)、(C~C10)アルケニル-NR-C(=O)、(C~C10)アルキニル-NR-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR-C(=O)-(C~C10)アルキル-NRC(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-(C~C10)アルキル-NR10-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-NR11-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-NR12-(C~C10)アルキル-NR13C(=O)、(C~C10)アルキル-NR1415-(C~C10)アルキル-NR16-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-O-(C~C10)アルキル-NR17-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-C(=O)-(C~C10)アルキル-NR18-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルケニル-C(=O)、(C~C10)アルキニル-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-C(=O)-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-O-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR1920-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR21-C(=O)-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-NR22-(C~C10)アルキル-C(=O)からなる群から選択され;
又はその代わりに、
が、水素、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル、及び-C(=O)-(C~C20)アルキルからなる群から選択されるモノラジカルであり;
及びR2’の一方が水素ラジカルであり、他方が、-C(=O)NR及び-C(=O)OHからなる群から選択されるモノラジカルであり;
及びRが、同じ又は異なるモノラジカルであり、水素及び(C1~C10)アルキルからなる群から選択され;並びに

~R22が、水素、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されるモノラジカルであり、

前記(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルが、非置換であるか又は置換されており、
「置換(C~C10)アルキル」は、前記(C~C10)アルキルが、ハロゲン、-OR23、-NO、-NR2425、-SR26、-SO27、-CO28、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルキル-O-、及び(C~C)シクロアキルからなる群から選択される1又は複数のラジカルにより置換されており、ここで、R23~R28モノラジカルが、同じか又は異なり、-H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されることを意味し;
「置換(C~C10)アルケニル」は、前記(C~C10)アルケニルが、ハロゲン、-OR29、-NO、-NR3031、-SR32、-SO33、-CO34、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルキル-O-、及び(C~C)シクロアキルからなる群から選択される1又は複数のラジカルにより置換されており、R29~R34モノラジカルが、同じか又は異なり、-H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されることを意味し;
「置換(C~C10)アルキニル」は、前記(C~C10)アルキニルが、ハロゲン、-OR35、-NO、-NR3637、-SR38、-SO39、-CO40、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルキル-O-、及び(C~C)シクロアキルからなる群から選択される1又は複数のラジカルにより置換されており、R35~R40モノラジカルが、同じか又は異なり、-H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されることを意味し;

但し:
(i)R及びRが、上記で規定されているビルラジカルリンカーを形成する場合、又はその代わりに、Rが-C(=O)-(C~C20)アルキル若しくは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルである場合、又はその代わりに、R2’が-C(=O)NRである場合、又はその代わりに、Rが-C(=O)-(C~C20)アルキル若しくは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R2’が-C(=O)NRである場合、X~Xは、同じ又は異なるアミノ酸残基を表わし、
(ii)Rが水素であり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHである場合、X~Xは、同じ又は異なるアミノ酸残基を表わし、X~Xの少なくとも1つが、
がL-Asp以外のアミノ酸であること;
がL-Phe以外のアミノ酸であること;
がL-Ser以外のアミノ酸であること;
がL-Lys以外のアミノ酸であること;及び
がL-Pro以外のアミノ酸であることから選択される;

(b)in vitro及び/又はin vivoでFoxP3と結合し、FoxP3活性を阻害する能力を維持する、式(I)のペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有するペプチド;並びに、

(c)前記(a)又は(b)で定義されたペプチドの少なくとも11個の連続アミノ酸の部分を含み、in vitro及び/又はin vivoでFoxP3と結合し、FoxP3活性を阻害する能力を維持し、
N末端として-NHラジカルを、C末端として-COOHラジカルを有する場合、前
記断片が、式(I)のペプチドで特定されている前記アミノ酸残基X~Xの少なくとも1つを含み、前記少なくとも1つが、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、及びXがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択される、前記(a)又は(b)で規定されたペプチドの断片。
【0027】
第2の態様では、本発明は、(i)本発明の第1の態様で規定されたペプチド及び(ii)ペプチドを細胞に内部移行させる能力を有する細胞透過剤を含む構築体を提供する。
【0028】
第3の態様では、本発明は、(a)本発明の第1の態様で規定されたペプチド、又はその代わりに本発明の第2の態様で規定された構築体、又はその代わりに本発明の第1の態様で規定されたペプチド及び本発明の第2の態様で規定された構築体の両方;並びに(b)1又は複数の免疫調節化合物を含む組合せを提供する。
【0029】
第4の態様では、本発明は、少なくとも1つの獣医学的又は薬学的に許容される賦形剤と共に、治療有効量の本発明の第1の態様で規定されたペプチド、又は本発明の第2の態様で規定された構築体、又は本発明の第3の態様で規定された組合せを含む獣医学的組成物若しくは医薬組成物を提供する。
【0030】
上記で述べられているように、本発明者らは、Treg細胞に対する本発明のペプチドの阻害効果を支持するデータを提供する。
【0031】
Tregリンパ球が幾つかの生物学的プロセスで役割を果たすため、及びFoxP3が免疫抑制活性に不可欠であるという事実のため、本発明のペプチドの使用は、新生物疾患及び感染性疾患の治療に潜在的に有用である新しいファミリーの薬物を開発する可能性の道を切り開くものである。
【0032】
上記で言及したように、FoxP3の生物学的活性の阻害は、本発明のペプチドが、一過性に又は一時的にTregリンパ球の免疫抑制活性を制御又は阻止することを可能にする。従って、新生物疾患又は感染性疾患を治療するための療法であって、上記Tregリンパ球の作用が、更に選択的に及び一過性に制御され、それらの除去の結果として自己免疫が誘発されるリスクが低減される療法を開発することができる。
【0033】
従って、本発明のペプチド、並びに本発明の構築体、組合せ、及び組成物は、Tregリンパ球が免疫抑制的な役割を示し、有効な免疫応答の正しい活性化を防止する場合がある新生物疾患又は感染性疾患の場合に生じるような、Tregリンパ球の免疫抑制活性を一過性に又は一時的に制御又は阻止することが好適であるか又は必要である病理の治療に使用することができる。
【0034】
従って、第5の態様では、本発明は、薬剤として使用するための、本発明の第1の態様で規定されたペプチド、又は本発明の第2の態様で規定された構築体、又は本発明の第3の態様に規定された組合せ、又は本発明の第4の態様で規定された獣医学的組成物若しくは医薬組成物を提供する。
【0035】
下記に示されているように、本発明のペプチドは、腫瘍細胞の増殖を効率的に予防する(図1~3を参照)。
【0036】
従って、第6の態様では、本発明は、新生物疾患の治療若しくは予防に使用するための、本発明の第1の態様で規定されたペプチド、又はその代わりに本発明の第2の態様で規
定された構築体、又はその代わりに本発明の第3の態様に規定された組合せ、又はその代わりに本発明の第4の態様で規定された医薬組成物若しくは獣医学的組成物を提供する。その代わりに、この態様は、新生物疾患を治療若しくは予防するための薬剤の製造に使用するための、本発明の第1の態様で規定されたペプチド、又はその代わりに本発明の第2の態様で規定された構築体、又はその代わりに本発明の第3の態様に規定された組合せ、又はその代わりに本発明の第4の態様で規定された医薬組成物若しくは獣医学的組成物の使用として考案することもできる。その代わりに、本発明の第6の態様は、新生物疾患を治療又は予防するための方法であって、治療有効量の本発明の第1の態様で規定されたペプチド、又はその代わりに本発明の第2の態様で規定された構築体、又はその代わりに本発明の第3の態様に規定された組合せ、又はその代わりに本発明の第4の態様で規定された医薬組成物若しくは獣医学的組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法として考案することもできる。
【0037】
第7の態様では、本発明は、1又は複数の免疫調節化合物を投与することを更に含むがんの治療又は予防に使用するための、本発明の第1の態様で規定されたペプチド又は本発明の第2の態様で規定された構築体を提供する。
【0038】
第8の態様では、本発明は、本発明の第1の態様で規定されたペプチド又は細胞透過剤が細胞透過性ペプチドである場合の本発明の第2の態様で規定された構築体をコードする核酸を提供する。第9の態様では、本発明は、本発明の第8の態様の核酸を含むベクターを提供する。第10の態様では、本発明は、本発明の第1の態様で規定されたペプチド又は細胞透過剤が細胞透過性ペプチドである場合の本発明の第2の態様で規定された構築体を産生するためのin vitro方法であって、本発明の第8の態様で規定された核酸を含む宿主細胞を、上記ペプチド又は構築体の産生を可能にする条件下で増殖させること、及び必要に応じて上記ペプチド又は上記構築体を回収することを含む方法を提供する。第11の態様では、本発明は、新生物疾患を治療するためのベクター及び細胞のin vitro調製における、本発明の第8の態様の核酸の使用を提供する。
【0039】
第12の態様では、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、XがD-アミノ酸を表わすか、又はその代わりにXがL-Aspを基準にして非保存的アミノ酸であり、非保存的アミノ酸が、無極性、中性極性、及び塩基性極性アミノ酸残基から選択されるペプチドも、本発明の一部である。
【0040】
第13の態様では、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、XがD-アミノ酸を表わすか、又はその代わりにXがL-Pheを基準にして非保存的アミノ酸を表し、非保存的アミノ酸が、中性極性アミノ酸、酸性極性アミノ酸、及び塩基性極性アミノ酸から選択されるペプチドも、本発明の一部である。
【0041】
第14の態様では、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、XがD-アミノ酸を表わすか、又はその代わりにXがL-Serを基準にして非保存的アミノ酸を表し、非保存的アミノ酸が、無極性、酸性極性、及び塩基性極性アミノ酸残基から選択されるペプチドも、本発明の一部である。
【0042】
第15の態様では、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、XがD-アミノ酸を表わすか、又はその代わりにXが、L-塩基性極性アミノ酸を表わすペプチドも、本発明の一部である。
【0043】
第16の態様では、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、XがD-アミノ酸を表わすか、又はその代わりにXがL-Proを基準にして非保存的アミノ酸を表し、非保存的アミノ酸が、中性極性アミノ酸及び塩基性極性アミノ酸
から選択されるペプチドも、本発明の一部である。
【0044】
第17の態様では、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、X及びXが、同じか又は異なり、D-又はL-無極性アミノ酸を表わすペプチドも、本発明の一部である。
【0045】
第18の態様では、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、Xが、L-Aspを基準にして非保存的アミノ酸を表し、Xが、無極性アミノ酸残基を表わすペプチドも、本発明の一部である。
【0046】
第19の態様では、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、X、X、及びXの2又はそれよりも多くが、それぞれL-Asp、L-Ser、及びL-Proを基準にして非保存的アミノ酸であるペプチドも、本発明の一部である。
【0047】
第20の態様では、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、X及びXが、それぞれL-Asp及びL-Serを基準にして非保存的アミノ酸を表し、Xが、無極性アミノ酸残基を表わすペプチドも、本発明の一部である。
【0048】
最後に、上記態様12~20で規定されたペプチドに関連する以下の態様も、本発明の一部である:(a)態様12~20のいずれか1つで規定されたペプチド及び細胞透過性ペプチドを含む構築体;(b)態様12~20のいずれか1つで規定されたペプチドのいずれか1つ又はその代わりに(a)で規定された構築体及び1及び複数の免疫調節化合物を含む組合せ;(c)少なくとも1つの獣医学的に又は薬学的に許容される賦形剤と共に、態様12~20のいずれか1つで規定されたペプチドのいずれか1つ、(a)で規定された構築体のいずれか1つ、又は(b)で規定された組合せを含む医薬組成物若しくは獣医学的組成物;(d)態様12~20のいずれか1つで規定されたペプチドのいずれか1つ、(a)で規定された構築体のいずれか1つ、又は(b)で規定された任意の組合せ、又は(c)で規定された任意の医薬組成物若しくは獣医学的組成物の、薬剤としての又は新生物疾患の治療若しくは予防のいずれかのための療法的使用;(e)1又は複数の免疫調節化合物を投与することをさらに含むがんの治療又は予防に使用するための、態様12~20のいずれか1つで規定されたペプチド又は(a)で規定された構築体;(f)態様12~20のいずれか1つで定義されたペプチドのいずれか1つ又は(a)で規定された構築体をコードする核酸であって、細胞透過剤が細胞透過性ペプチドである核酸;(g)(f)の核酸を含むベクター;態様12~20のいずれか1つで定義されたペプチド又は(a)で規定された構築体を産生するためのin vitro方法であって、(f)で規定された核酸を含む宿主細胞を、上記ペプチド又は構築体の産生を可能にする条件下で増殖させること、及び必要に応じて上記ペプチド又は上記構築体を回収することを含む方法;並びに(h)新生物疾患を治療するためのベクター及び細胞のin vitro調製における(f)の核酸の使用。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】各曲線は、抗体抗PD1若しくは抗体抗PD1+配列番号50のペプチドを受容しているHepa129細胞又は何も受容していないHepa129細胞を注入した個々のマウスの腫瘍平均直径を表わす。
図2】肝臓がんマウス生存のカプラン-マイヤープロット。抗PD+配列番号50で処置したマウスの群を、ログランク検定により、群の残りと比較した。*、P<0.05。
図3】IFAで乳化したAH1ペプチドで処置し、10日間中、結腸がん細胞に対する負荷の10日前の、生理食塩水又はp60(配列番号1)又はペプチド配列番号51で処置した群の平均腫瘍容積を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本出願の明細書で使用される用語は全て、当技術分野で知られている通常の意味に理解されるものとする。本出願で使用されるある用語の他のより特殊な定義は、下記に示されている通りであり、別様に明示的に示されている定義がより幅広い定義を提供しない限り、本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって一様に該当することが意図されている。
【0051】
第1の態様では、本発明は、式(I)のペプチド又はその薬学的又は獣医学的な塩を提供する。
【0052】
本発明では、「アミノ酸」という用語は、アミノ基及びカルボキシル基の両方を含む分子を指す。アミノ酸は、側鎖基により分類することができる。異なる側鎖により決定される基本的に4つの異なるクラスのアミノ酸が存在する:(1)無極性、(2)極性及び中性、(3)酸性及び極性、(4)塩基性及び極性。
【0053】
無極性アミノ酸は、炭化水素アルキル基(アルカン分岐)又は芳香薬(ベンゼン環)又はヘテロ芳香族化合物(例えば、インドール環)である側鎖を有する。一般的な無極性アミノ酸の例示的で非制限的な例は、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、Gly、Phe、及びMetである。
【0054】
極性-中性アミノ酸は、側鎖に、極性であるが中性pHでは荷電されていない基(ヒドロキシル、アミド、及びチオール基など)を有する。極性中性アミノ酸の例示的で非制限的な例は、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、及びGlnである。
【0055】
酸アミノ酸(acid amino acid)(以降「酸及び極性アミノ酸」とも呼ばれる)は、中性pHで酸性の側鎖を有する。これらは、中でも、アスパラギン酸又はアスパラテート(Asp)及びグルタミン酸又はグルタメート(Glu)である。それらの側鎖は、そのpKaがプロトンを失う程度に十分に低く、プロセスでは負に荷電されるカルボン酸基を有する。
【0056】
塩基性アミノ酸(以降「塩基性及び極性アミノ酸」とも呼ばれる)は、窒素を含む側鎖を有し、塩基であるアンモニアに類似している(アミン、グアニジン、又はイミダゾールなど)。それらのpKaは十分に高く、プロトンと結合する傾向があり、プロセスでは正荷電を獲得する。塩基性アミノ酸の例示的で非制限的な例は、Lys、Arg、及びHisである。
【0057】
一部の実施形態では、本発明は、極性アミノ酸を指す場合、一般的には、電荷を指定しない(つまり、中性、酸、又は塩基性の極性アミノ酸の指定をしない)。そうした実施形態では、「極性アミノ酸」という表現は、極性中性、酸、及び塩基性アミノ酸の範疇に入る任意のアミノ酸を包含する。
【0058】
好適なアミノ酸としては、限定ではないが、以下のものが挙げられる:20個の一般的な天然アルファ-アミノ酸であるアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンのアルファ-アミノ酸のL-異性体等のアルファアミノ酸;天然ベータ-アミノ酸(例えば、ベータ-アラニン);並びに非天然アミノ酸。
【0059】
「非天然アミノ酸」という用語は、20個の一般的な天然アルファ-アミノ酸又は式(
A)のアミノ酸のD-異性体を含み、式中、R及びR’は、下記の表1に提供されている意味を有する。非天然アミノ酸の更なる例示的で非制限的な例は、表2に要約されている。
【0060】
【化2】
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
本発明のペプチドを形成するアミノ酸の各々1つは、他のものと独立して、L-又はD-配置を有していてもよい。本発明の第1の態様の1つの実施形態では、任意選択で、下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、アミン末端N(t)のアミノ酸残基及び/又はカルボキシル末端C(t)のアミノ酸残基は、D-配置を有する。
【0064】
本発明のペプチドの調製に使用されるアミノ酸は、有機合成により調製することができ、又は例えば、自然源の分解若しくは単離等、他の経路により得ることができる。
【0065】
「式中、X1~X5の少なくとも1つは、以下のリスト:X1がL-Asp以外のアミノ酸であること;X2がL-Phe以外のアミノ酸であること;X3がL-Ser以外のアミノ酸であること;X4がL-Lys以外のアミノ酸であること;X5がL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択される」という表現は、アミノ酸X1~X5の1つが上記リストから選択される場合、他の4つのXラジカルは、本明細書の上記で規定されている任意のアミノ酸を意味すること;アミノ酸X1~X5の2つが上記リストから選択される場合、他の3つのXラジカルは、本明細書の上記で規定されている任意のアミノ酸を意味すること;アミノ酸X1~X5の3つが上記リストから選択される場合、他の2つのXラジカルは、本明細書の上記で規定されている任意のアミノ酸を意味すること;及びアミノ酸X1~X5の4つが上記リストから選択される場合、残りのXラジカルは、本明細書の上記で規定されている任意のアミノ酸を意味することを包含する。
【0066】
本発明では、「~以外のアミノ酸」という表現は、対応するD-アミノ酸又は同じ若しくは異なる極性性質の異なるアミノ酸のいずれかを指す。例えば、「L-Asp以外のアミノ酸」が参照される場合、アミノ酸は、D-Asp又は同じ若しくは異なる極性の範疇に入るアミノ酸であってもよい。
【0067】
本発明では、特定のアミノ酸を基準にして「非保存的」アミノ酸が参照される場合、参照アミノ酸を基準にして異なる極性性質の範疇に入るアミノ酸が参照される。即ち、特定のL-アミノ酸をD-配置を有する同じアミノ酸に置換することは、非保存的変更ではない。非保存的アミノ酸変更の例示的で非制限的な例は、中でも、(a)非極性アミノ酸(Ala、Val、Leu、Ile、及びPro等)による極性アミノ酸(中性又は荷電極性アミノ酸のいずれか);(b)無極性又は極性中性アミノ酸による荷電極性アミノ酸(塩基性又は酸のいずれか);(c)無極性、極性中性、又は塩基性荷電アミノ酸による酸極性アミノ酸;及び(d)無極性、極性中性、又は酸性荷電アミノ酸による塩基性極性アミノ酸である。
【0068】
本発明の第1の態様では、in vitro及び/又はin vivoで、FoxP3と結合し、FoxP3活性を阻害する能力を維持する、式(I)のペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有するペプチドが包含される。
【0069】
本発明では、「同一性」という用語は、配列が最適にアラインされている場合、2つの配列で同一である残基のパーセンテージを指す。最適なアラインメントでは、第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基により占められている場合、配列は、その位置に関して同一性を示す。2つの配列間の同一性レベル(又は「配列同一性パーセント」)は、配列により共有されている同一位置の数の、配列のサイズに対する比として測定される(つまり、配列同一性パーセント=(同一位置の数/位置の総数)×100)。
【0070】
最適なアラインメントを迅速に得て、2又はそれよりも多くの配列間の同一性を算出するための幾つかの数学的アルゴリズムが公知であり、幾つかの入手可能なソフトウェアプログラムに組み込まれている。そのようなプログラムの例としては、中でも、アミノ酸配列分析用のMATCH-BOX、MULTAIN、GCG、FASTA、及びROBUSTプログラムが挙げられる。好ましいソフトウェア分析プログラムとしては、ALIGN、CLUSTAL W、及びBLASTプログラム(例えば、BLAST2.1、BL2SEQ、及びそれらの最近のバージョン)が挙げられる。
【0071】
アミノ酸配列分析の場合、BLOSUMマトリックス(例えば、BLOSUM45、BLOSUM50、BLOSUM62、及びBLOSUM80マトリックス)、Gonnetマトリックス、又はPAMマトリックス(例えば、PAM30、PAM70、PAM120、PAM160、PAM250、及びPAM350マトリックス)等のウエイトマトリックス(weightmatrix)が、同一性の決定に使用される。
【0072】
BLASTプログラムは、選択された配列をデータベース(例えば、GenSeq)の複数配列に対してアラインするか、又はBL2SEQを用いて2つの選択された配列間をアラインするかのいずれかにより、少なくとも2つのアミノ酸配列の分析を提供する。好ましくは、BLASTプログラムは、好ましくはBLASTプログラム作動に統合されているDUST又はSEGプログラムなどの低複雑性フィルタリングプログラムにより改変されている。ギャップ存在コスト(又はギャップスコア)が使用される場合、ギャップ存在コストは、好ましくは、約-5~-15の間に設定される。適切な場合、同様のギャップパラメータを他のプログラムで使用してもよい。BLASTプログラム及びそれらの根底にある原理は、例えば、Altschulら、「Basic local align
ment search tool」、1990年、J.Mol.Biol、215巻、403~410頁に更に記載されている。
【0073】
複数配列分析の場合、CLUSTAL Wプログラムを使用することができる。CLUSTAL Wプログラムは、望ましくは、「dynamic」(「fast」に対して)設定を使用して実行される。アミノ酸配列は、配列間の同一性レベルに応じて、BLOSUMマトリックスの変数セットを使用して評価される。CLUSTAL Wプログラム及び根本的動作原理は、例えば、Higginsら、「CLUSTAL V:improved software for multiple sequence alignment」、1992年、CABIOS、8巻(2号)、189~191頁に更に記載されている。
【0074】
1つの実施形態では、本発明の第1の態様の配列は、式(I)の配列に対して、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、又は95%の同一性を有し、in vitro及び/又はin vivoでFoxP3と結合し、FoxP3活性を阻害する能力を維持する。
【0075】
本発明の第1の態様では、(a)又は(b)で規定されたペプチドの断片であって、(a)又は(b)で規定されたペプチドの少なくとも11個の連続アミノ酸の部分を含む断片も包含される。
【0076】
「断片」という用語は、本明細書で使用される場合、セクションa)で規定された一般式(I)のペプチド又はセクションb)で規定された変異体の少なくとも11個の連続アミノ酸の部分、つまり上記セクションa)で言及された一般式(I)のアミノ酸配列内に、又はセクションb)で規定されており、in vitro及び/若しくはin vivoでscurfinと結合し、FoxP3活性を阻害する能力を維持する変異体に含まれる少なくとも11個の連続アミノ酸の配列を含むペプチドに関する。特定の実施形態では、本発明のペプチドは、C(t)の1又は複数の連続アミノ酸が欠失している点で、a)で規定された一般式(I)のペプチド又はb)で規定された変異体とは異なる断片である。別の実施形態では、任意選択で、下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本発明のペプチドは、セクションa)で言及された一般式(I)のアミノ酸配列又はセクションb)で規定された変異体の13個又は14個の連続アミノ酸を含む、(c)で規定された断片である。別の実施形態では、任意選択で、下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本発明のペプチドは、セクションa)で言及された一般式(I)のアミノ酸配列又はセクションb)で規定された変異体の13個又は14個の連続アミノ酸を含み、式(I)の配列全体の1又は2つのアミノ酸が、カルボキシル末端から欠失されている断片である。こうした実施形態のいずれかでは、11個、12個、13個、又は14個アミノ酸の断片は、上記で説明されているように、頭尾リンカーの介在、又はアルキル化によるN末端の化学誘導体化、及び/又はアミド化によるC末端の化学誘導体化のいずれかによる修飾N-及び/又はC-末端を含んでいてもよい。その代わりに、断片は、遊離N-及び/又はC-末端(つまり、-NH及び-COOHの形態)を有していてもよい。従って、この最後の実施形態では、断片は、式(I)のペプチドにて「X」~「X」として特定されている残基の少なくとも1つを含むことになり、上記少なくとも1つの残基は、XがL-Asp以外にアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、及びXがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択される。
【0077】
本発明のペプチドは、FoxP3に結合する能力により、及び有利にはFoxP3の生
物学的活性を阻害する能力により特徴付けられる。FoxP3と結合するペプチドの能力は、2分子間結合の決定を可能にする任意の好適な方法により(例えば、親和性アッセイにより)決定することができ、上記方法は、FoxP3を、アッセイしようとするペプチドと、上記ペプチドとFoxP3との結合を可能にする条件下で接触させること、及びペプチドとFoxP3との結合を評価することを含む。特定の実施形態では、上記親和性アッセイは、表面プラズモン共鳴(SPR)技法、又は放射性標識FoxP3若しくはその代わりにアッセイしようとするペプチドの放射性標識を使用した類似の技法により実施することができる。このタイプの親和性アッセイは、一般的には、例えばプレートのウェルに固定化されたFoxP3を、FoxP3と結合する能力を調査しようとしているペプチドと接触させること、及び好適な期間にわたってインキュベートした後で、ペプチドとFoxP3との結合を分析することを含む。FoxP3に対する親和性が低いペプチドは、洗液により除去されるが、より高い親和性を有するペプチドは、FoxP3と結合したままであり、両分子間の分子相互作用を破壊ことにより放出することができ、破壊は、例えば、pHを低下させることにより実施することができる。
【0078】
本発明のペプチドは、有利には、FoxP3と結合する能力だけではなく、FoxP3の生物学的活性を阻害し、その結果として間接的にTregリンパ球の免疫抑制活性を一過性に又は一時的に制御又は阻止する能力によっても特徴付けられる。本発明者らは、本ペプチドが、FOXP3の中間領域と結合し、FOXP3ホモ二量体化及びFOXP3-AML1ヘテロ二量体化を阻害することを見出した。FoxP3の生物学的活性を阻害するペプチドの能力は、そのような効果を示す任意の好適な方法により、in vitroで分析することができる。本発明で使用される特定のアッセイは、FoxP3/RunX1ヘテロ二量体化(Ono M.ら、「Foxp3 controls regulatory T-cell function by interacting with AML1/Runx1」、Nature、446巻(7136号)、685~689頁に開示されているように)ならびにFoxP3/FoxP3ホモ二量体化(Son X.ら、「Structural and biological features of FOXP3 dimerization relevant to regulatory T cell function」、Cell Rep.、1巻(6号)、665~75頁に開示されているように)を決定することに基づき、これらは、FoxP3に対する本発明のペプチドの阻害効果を決定するための有効な試験であると認識される。両開示では、標的相互作用(FoxP3-RunX1又はFoxP3-FoxP3のいずれか)を妨害すると、Treg活性が、負の影響を受けて、低減されるか又は更に抑制されたことが報告された。従って、ペプチドのTreg阻害活性は、FoxP3に対する試験ペプチドの結合能力を決定することにより予測することができる。こうしたプロトコールに従って、本発明者らは、Treg活性を阻害するペプチド能力と、FOXP3に結合する能力(SPRアッセイで)(p<0.001)又はFOXP3ホモ二量体化(p=0.0062)又はFOXP3-AML1ヘテロ二量体化(p<0.05)を阻害する能力との間には、有意な相関性が存在することを見出した。
【0079】
同様に、本発明のペプチドの薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内にある。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び下等動物の組織と接触させての使用に好適であり、過度の毒性、炎症、及びアレルギー応答などを示さず、合理的なベネフィット/リスク比に見合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。薬学的に許容される無毒性酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸等の無機酸と、又は酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、若しくはマロン酸等の有機酸と、又はイオン交換等の当技術分野で使用される他の方法を使用することにより形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、以下のものが挙げられる:アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベ
ンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホネート、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホネート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオネート、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホネート、ウンデカン酸塩、及び吉草酸塩など。適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びアンモニウムが挙げられる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムなどが挙げられる。更なる薬学的に許容される塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩等の対イオンを使用して形成される無毒性アンモニウム、四級アンモニウム、並びにアミン陽イオンが挙げられる。同様に、用語「獣医学的に許容される塩」という用語は、非ヒト動物での使用に好適であることを意味する。
【0080】
本発明では、「アルキル」、「アルケニル」、及び「アルキニル」という用語は、線状(lineal)及び分岐炭化水素鎖を両方とも包含する。
【0081】
「アルキル」の例示的で非制限的な例は、中でも、メチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、イソプロピル(C3)、イソブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、ペンチル(C5)、ヘキシル(C6)、ヘプチル(C7)、オクチル(C9)、ノニル(C9)、及びデシル(C10)である。
【0082】
「アルケニル」の例示的で非制限的な例は、中でも、エテニル(C2)、プロペン-1-イル(C3)、プロペン-2-イル(C3)、ブテン-1-イル(C4)、及びヘキセン-1-イル(C6)である。
【0083】
「アルキニル」の例示的で非制限的な例は、中でも、エチニル(C2)、1-プロピニル(C3)、2-プロピニル(C3)、及び1-ヘキシニル(C6)である。
【0084】
「ハロゲン」という用語は、5つの化学的に関連する元素:フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、及びアスタチン(At)からなる周期表中の群を指す。
【0085】
式(I)のペプチドが、頭尾タイプのステープルを含む場合、ステープルを有していないペプチドと比較して、ペプチド安定性の実質的な向上が達成される。
【0086】
従って、本発明の第1の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、R及びRは、上記で規定されているリンカービルラジカルを形成する。
【0087】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、
が-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり、並びにR及びR2’の一方が水素であり、他方が-COOHであるか;又はその代わりに
が水素であり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、並びにR及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであるか;又はその代わりに、
が-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、並びにR及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであるペプチドである。
【0088】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、
が-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、並びにR及びR2’の一方が水素であり、他方が-COOHであるか;又はその代わりに
が水素であり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、並びにR及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであるか;又はその代わりに、
が-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、並びにR及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであるペプチドである。
【0089】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、R及びRが、本発明の第1の態様で規定されているリンカービルラジカルを形成し、
(i)XがL-Aspであり、XがL-Pheであり、XがL-Serであり、XがL-Lysであり、及びX5がL-Proであるか;又はその代わりに、
(ii)X~Xの少なくとも1つが、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、及びXがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、残りのXのアミノ酸が、任意のアミノ酸を表わすペプチドである。
【0090】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり;
及びRが、本発明の第1の態様の通りであり;並びに:
(i)XがL-Aspであり、XがL-Pheであり、XがL-Serであり、XがL-Lysであり、及びXがL-Proであるか;又はその代わりに、
(ii)X1~X5の少なくとも1つが、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、及びXがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、残りのXのアミノ酸が、任意のアミノ酸を表わすペプチドである。
【0091】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X~Xの1つは、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、XがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、他のXラジカルが任意のアミノ酸を表わす。別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のい
ずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Asp以外のアミノ酸であり、X~Xは、任意のアミノ酸を意味する。別の実施形態では、Xは、L-Ser以外のアミノ酸であり、X、X、X、及びXは、任意のアミノ酸を表わす。別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Pro以外のアミノ酸を表し、X~Xは、任意のアミノ酸を表わす。
【0092】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X~Xの2つは、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、XがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、他のXラジカルは、任意のアミノ酸を表わす。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Asp以外のアミノ酸であり、Xは、L-ser以外のアミノ酸であり、X、X、及びXは、任意のアミノ酸を表わす。別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Asp以外のアミノ酸であり、Xは、L-Pro以外のアミノ酸であり、X、X、及びXは、任意のアミノ酸を表わす。
【0093】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、X~Xの3つは、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、XがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、他のXラジカルは、任意のアミノ酸を表わす。1つの実施形態では、XはL-Asp以外のアミノ酸であり、XはL-Ser以外のアミノ酸であり、XはL-Pro以外のアミノ酸であり、X及びXは、任意のアミノ酸を表わす。
【0094】
本発明者らは、本発明のペプチドが、リンカービルラジカル及びX~X位の少なくとも1つにおける少なくとも1つの突然変異(つまり、X~Xの少なくとも1つが、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、XがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択される)を両方とも含む場合、FoxP3との結合において相乗効果が達成されることを見出した。下記に示されているように、例えば、天然p60配列の2位及び5位を突然変異させることにより(例えば、配列番号42)、配列番号1を基準として、FoxP3との結合の約400%の増加が達成された。天然p60配列を、アミノ末端基及びカルボキシ末端基が頭尾リンカーを形成するように環化させた場合(つまり、配列番号49)、FoxP3との結合が、配列番号1を基準にして約500%増加した。しかしながら、p60ペプチドは、2つの突然変異(2位及び5位における)、並びにアミノ末端基及びカルボキシ末端基が頭尾リンカーを形成する等の環化を両方とも含むように修飾した場合(つまり、配列番号50)、FoxP3との結合は、p60配列を基準として2100%よりも大きく増加した。即ち、ステープルと、X~X位のいずれか1つにおける1又は複数の突然変異(アミノ酸置換)との組合せは、FoxP3との結合の顕著な向上を付与する。こうしたデータは、p60ペプチドの効率向上に頭尾ステープルが重大な役割を果たすことをさらに支持する。
【0095】
従って、本発明の第1の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されたビルラジカルリンカーを形成し、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること
、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、XがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、残りのXのラジカルは任意のアミノ酸を表わす。
【0096】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、R1は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-COOHであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、及びXがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、残りのXラジカルは任意のアミノ酸を表わす。
【0097】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、Rは、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-COOHであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、及びXがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、残りのXラジカルは任意のアミノ酸を表わす。
【0098】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、Rは水素であり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されている通りであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、及びXがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、残りのXラジカルは任意のアミノ酸を表わす。
【0099】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されている通りであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、及びXがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、残りのXラジカルは任意のアミノ酸を表わす。
【0100】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されている通りであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Asp以外のアミノ酸であること、XがL-Phe以外のアミノ酸であること、XがL-Ser以外のアミノ酸であること、XがL-Lys以外のアミノ酸であること、及びXがL-Pro以外のアミノ酸であることからなる群から選択され、残りのXラジカルは任意のアミノ酸を表わす。
【0101】
本発明者らは、驚くべきことに、X~Xの少なくとも1つがD-アミノ酸である場合、FoxP3結合の実質的な向上が生じることを見出した。特に、本発明のペプチドにおいて、Xが、D-Asp残基だった場合(p60配列の2位の残基であるL-Asp残基の代わりに)、FoxP3結合が2倍増加したことが見出された。
【0102】
従って、本発明の第1の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X~Xの少なくとも1つは、D-アミノ酸である。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X~Xの1つ、2つ、又は3つは、D-アミノ酸である。
【0103】
また、本発明者らは、驚くべきことに、2、3、5、8、及び11位のアミノ酸の置換が、非保存的アミノ酸である場合、FoxP3と結合する能力の向上が、他の保存的置換と比較して更に高いことを見出した。
【0104】
従って、本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、アミノ酸X~Xの少なくとも1つは、XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Pheを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Lysを基準にして非保存的なアミノ酸であること、及びXがL-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であることからなる群から選択される。
【0105】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されているビルラジカルリンカーを形成し、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Pheを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Lysを基準にして非保存的なアミノ酸であること、及びXがL-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であることからなる群から選択される。
【0106】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、Rは、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-COOHであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Pheを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Lysを基準にして非保存的なアミノ酸であること、及びXがL-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であることからなる群から選択される。
【0107】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-COOHであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Pheを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Lysを基準にして非保存的なアミノ酸であること、及び
がL-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であることからなる群から選択される。
【0108】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、Rは水素であり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されている通りであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Pheを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Lysを基準にして非保存的なアミノ酸であること、及びXがL-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であることからなる群から選択される。
【0109】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されている通りであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Pheを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Lysを基準にして非保存的なアミノ酸であること、及びXがL-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であることからなる群から選択される。
【0110】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されている通りであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Pheを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Lysを基準にして非保存的なアミノ酸であること、及びXがL-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であることからなる群から選択される。
【0111】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、Rは水素であり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり、X~Xの少なくとも1つは、XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Pheを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であること、XがL-Lysを基準にして非保存的なアミノ酸であること、及びXがL-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であることからなる群から選択される。
【0112】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、X~Xの1つが、上記で規定された非保存的アミノ酸残基であるペプチドである。
【0113】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、R及びRが、上記で規定されたリンカービルラジカルを形成し、X~Xの1つが、上記で規定された非保存的ア
ミノ酸残基であるペプチドである。
【0114】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり;
及びRは、本発明の第1の態様の通りであり;
~Xの1つは、上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり;及び
残りのXラジカルは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
~Xの1つは、上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり;及び
残りのXラジカルは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
~Xの1つは、上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり;及び
残りのXラジカルは、任意のアミノ酸を表わす。
【0115】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、Rが、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり、X~Xの1つが、上記で規定された非保存的アミノ酸残基であるペプチドである。
【0116】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、Rが、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり、X~Xの1つが、非保存的アミノ酸残基であるペプチドである。
【0117】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、X~Xの1つのみが非保存的アミノ酸残基であり、他のXの残基が保存的アミノ酸残基であるペプチドである。
【0118】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、X~Xは、任意のアミノ酸を表わす。
【0119】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、XがL-Pheを表わし、XがL-Serを表わし、XがL-Lysを表わし、XがL-Proを表わし、Xが無極性アミノ酸を表わす場合、X1は、Gly、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Trp、Met(D-配置又はL-配置のいずれか)から選択される。
【0120】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、Xが、L-又はD-のいずれかの立体配置であるAla、Ser、Tyr、Trp、Asn、及びLysから選択される唯一の非保存的アミノ酸残基であり、X~Xが、それぞれL-Phe、L-Ser、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的アミノ酸を表わすペプチドである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、Xが、唯一の非保存的アミノ酸残基であり、D-Ala、L-又はD-Ser、L-又はD-Tyr、L-又はD-Trp、L-又はD-Asn、及びL-又はD-Lysから選択され、X~Xが、それぞれL-Phe、L-Ser、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的アミノ酸を表わすペプチドである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、Xが、唯一の非保存的アミノ酸残基であり、L-又はD-Ser、L-又はD-Tyr、L-又はD-Trp、L-又はD-Asn、及びL-又はD-Lysから選択され、X~Xが、それぞれL-Phe、L-Ser、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的アミノ酸を表わすペプチドである。
【0121】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり、X、X、X、及びXは任意のアミノ酸を表わす。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、唯一の非保存的なアミノ酸であり、X、X、X、及びXは、それぞれL-Asp、L-Phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的アミノ酸を表わす。
【0122】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり、X~Xは任意のアミノ酸を表わす。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、唯一の非保存的なアミノ酸であり、X~Xは、それぞれL-Asp、L-Phe、L-Ser、及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表わす。
【0123】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、R及びRが、本発明の第1の態様で規定されたリンカービルラジカルを形成し、XがL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、X~Xが任意のアミノ酸を表わすペプチドである。
【0124】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、R及びRが、本発明の第1の態様で規定されたリンカービルラジカルを形成し、Xが、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり、X、X、X、及びXが、任意のアミノ酸を表わすペプチドである。
【0125】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、R及びRが、本発明の第1の態様で規定されたリンカービルラジカルを形成し、Xが、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり、X~Xが、任意のアミノ酸を表わすペプチドであ
る。
【0126】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり;
及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
~Xは、それぞれ任意のアミノ酸を表わし;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり、
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり、
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
~Xは、それぞれ任意のアミノ酸を表わし;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
~Xは、それぞれ任意のアミノ酸を表わし;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり;
及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
X2~X5は、それぞれ任意のアミノ酸を表わし;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり;
及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
~Xは、任意のアミノ酸を表わす。
【0127】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
、X、及びX~Xは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
、X、及びX~Xは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
、X、及びX~Xは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
、X、及びX~Xは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
、X、X、及びXは、任意のアミノ酸を表わす。
【0128】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、式(I)の1つであり、式中、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
~Xは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
~Xは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
~Xは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
~Xは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
~Xは、任意のアミノ酸を表わす。
【0129】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、X~Xの2つが、上記で規
定された非保存的アミノ酸残基であるペプチドである。
【0130】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、R及びRが、本発明の第1の態様で規定されたビルラジカルリンカーを形成し、X~Xの2つが、上記で規定された非保存的アミノ酸残基であるペプチドである。
【0131】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、
が水素であり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
~Xの2つが上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり、他のXのラジカルが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり;
~Xの2つが上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり、他のXのラジカルが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が水素であり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり;
~Xの2つが上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり、他のXのラジカルが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
~Xの2つが上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり、他のXのラジカルが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが上記で規定された通りであり;並びに
~Xの2つは、上記で規定された非保存的アミノ酸残基であるペプチドである。
【0132】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、XはL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり、残りのX、X、及びX5は、任意のアミノ酸を表わす。
【0133】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、Xは、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり、残りのX、X、及びX5は、それぞれL-Phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的アミノ酸を表わす。
【0134】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている
実施形態のいずれか1つと組み合わせて、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、XがL-Pheを表わし、XがL-Lysを表わし、XがL-Proを表わし、X及びXが両方とも、同じ立体配置の同じ無極性アミノ酸を表わす場合、X及びXは、D-又はL-Gly、D-又はL-Val、D-又はL-Leu、D-又はL-Ile、D-又はL-Phe、D-又はL-Pro、D-又はL-Trp、D-及びL-Metからなる群から選択される。
【0135】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、Xが、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、Xが、D-又はL-Gly、D-又はL-Val、D-又はL-Leu、D-又はL-Ile、D-又はL-Phe、D-又はL-Pro、D-又はL-Trp、D-又はL-Met、酸性アミノ酸、及び塩基性アミノ酸から選択され、残りのX、X、及びX5が、それぞれL-Phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的アミノ酸を表わすペプチドである。
【0136】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、Xが、D-又はL-Gly、D-又はL-Val、D-又はL-Leu、D-又はL-Ile、D-又はL-Phe、D-又はL-Pro、D-又はL-Trp、D-又はL-Met、極性中性アミノ酸、及び塩基性アミノ酸から選択され、Xが、L-serを基準にして非保存的なアミノ酸であり、残りのX、X、及びX5が、任意のアミノ酸を表わすペプチドである。
【0137】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、Xが、D-又はL-Gly、D-又はL-Val、D-又はL-Leu、D-又はL-Ile、D-又はL-Phe、D-又はL-Pro、D-又はL-Trp、D-又はL-Met、極性中性アミノ酸、及び塩基性アミノ酸から選択され、Xが、L-serを基準にして非保存的なアミノ酸であり、残りのX2、X、及びXが、それぞれL-phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的アミノ酸を表わすペプチドである。
【0138】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、Xが、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、Xが、D-又はL-Gly、D-又はL-Val、D-又はL-Leu、D-又はL-Ile、D-又はL-Phe、D-又はL-Pro、D-又はL-Trp、D-又はL-Met、酸性及び塩基性アミノ酸から選択され、残りのX、X、及びXが、任意のアミノ酸を表わすペプチドである。
【0139】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、Xが、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、Xが、D-又はL-Gly、D-又はL-Val、D-又はL-Leu、D-又はL-Ile、D-又はL-Phe、D-又はL-Pro、D-又はL-Trp、D-又はL-Met、酸性及び塩基性アミノ酸から選択され、残りのX、X、及びXが、それぞれL-Phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的アミノ酸を表わすペプチドである。
【0140】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、
及びRが、上記で規定されたビルラジカルリンカーを形成し;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が水素であり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が水素であり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又はC(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH2-NH-C(=O)-(C1~C5)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが上記で規定された通りであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、任意のアミノ酸を表わすペプチドである。
【0141】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、
及びRが、上記で規定されたビルラジカルリンカーを形成し;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、それぞれL-Phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的変更を表わす;
又はその代わりに、
が水素であり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、それぞれL-Phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的変更を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり;
X1が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
X3が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、それぞれL-Phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的変更を表わす;
又はその代わりに、
が水素であり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、それぞれL-Phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的変更を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、それぞれL-Phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的変更を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが上記で規定された通りであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
残りのX、X、及びXが、それぞれL-Phe、L-Lys、及びL-Proを基準にして保存的変更を表わすペプチドである。
【0142】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、XはL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり、Xは無極性アミノ酸又は塩基性極性アミノ酸を表わす。
【0143】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、
及びRが、上記で規定されたビルラジカルリンカーを形成し;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、無極性アミノ酸又は塩基性極性アミノ酸であり;並びに
及びXが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が水素であり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、無極性アミノ酸又は塩基性極性アミノ酸であり;並びに
及びXが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、無極性アミノ酸又は塩基性極性アミノ酸であり;並びに
及びXが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が水素であり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、無極性アミノ酸又は塩基性極性アミノ酸であり;並びに
及びXが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、無極性アミノ酸又は塩基性極性アミノ酸であり;並びに
及びXが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが上記で規定された通りであり、
が、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
が、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
が、無極性アミノ酸又は塩基性極性又は酸性極性アミノ酸であるペプチドである
【0144】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、R及びRが、-C(=O)-リンカーを形成し、R2’が水素であり、X、X、及びXが、同じ立体配置の同じ無極性アミノ酸を表し、XがL-Pheであり、XがL-Lysである場合、X、X、及びXは、Gly、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Trp、及びMet(L-配置又はD-配置のいずれか)からなる群から選択される。
【0145】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、X~Xの3つが、上記で規定された非保存的アミノ酸残基であるペプチドである。
【0146】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、
及びRが、上記で規定されたビルラジカルリンカーを形成し;
~Xの3つが上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり、残りのXのラジカルが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が水素であり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
~Xの3つが上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり、残りのXのラジカルが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり;
X1~X5の3つが上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり、残りのXのラジカルが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が水素であり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり;
~Xの3つが上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり、残りのXのラジカルが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
~Xの3つが上記で規定された非保存的アミノ酸残基であり、残りのXのラジカルが、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり;
及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり、R及びRが上記で規定された通りであり;並びに
~Xの3つが、上記で規定された非保存的アミノ酸残基であるペプチドである。
【0147】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、XはL-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり、XはL-Proを基準にして非保存的なアミノ酸である。
【0148】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、
及びRは、上記で規定されたビルラジカルリンカーを形成し;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は水素であり、
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり、
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH2-NH-C(=O)-(C1~C5)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、上記で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす。
【0149】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、
及びRは、上記で規定されたビルラジカルリンカーを形成し;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表し;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表し;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表し;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表し;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり;
及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表し;
又はその代わりに、
は-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり;
及びRは、上記で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Proを基準にして非保存的なアミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表わす。
【0150】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり、Xは、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり、Xは無極性アミノ酸である。
【0151】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、
及びRは、上記で規定されたビルラジカルリンカーを形成し;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり、
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり;
及びR2’の一方は、-C(=O)NRであり、R及びRは、上記で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、任意のアミノ酸を表わす。
【0152】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている
実施形態のいずれか1つと組み合わせて、
及びRは、上記で規定されたビルラジカルリンカーを形成し;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は水素であり、
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH2-NH-C(=O)-(C~C)アルキル又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表わす;
又はその代わりに、
は、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり;
及びR2’の一方は、-C(=O)NRであり、R及びRは、上記で規定された通りであり;
は、L-Aspを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、L-Serを基準にして非保存的なアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表わす。
【0153】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、無極性アミノ酸、極性中性アミノ酸、及び塩基性アミノ酸から選択され;
は、酸性及び塩基性アミノ酸から選択されるアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表し;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、極性中性アミノ酸及び塩基性アミノ酸から選択され;
は、無極性、酸性、及び塩基性アミノ酸から選択されるアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表し;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Pro、Trp、Met(L-配置又はD-配置のいずれか)、極性中性アミノ酸、及び塩基性アミノ酸から選択され;
は、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Pro、Trp、Met(L-配置又はD-配置のいずれか)、酸性、及び塩基性アミノ酸から選択されるアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表し;
又はその代わりに、
は水素であり;
及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHであり;
は、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Pro、Trp、Met(L-配置又はD-配置のいずれか)、極性中性アミノ酸、及び塩基性アミノ酸から選択され;
は、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Pro、Trp、Met(L-配置又はD-配置のいずれか)、酸性、及び塩基性アミノ酸から選択されるアミノ酸であり;
は、無極性アミノ酸であり;並びに
及びXは、それぞれL-Phe及びL-Lysを基準にして保存的アミノ酸を表わす。
【0154】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X~Xの少なくとも1つは、D-アミノ酸残基である。
【0155】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、リンカービルラジカルは、C(=O)、(C~C10)アルキル-NR-C(=O)、(C~C10)アルケニル-NR-C(
=O)、(C~C10)アルキニル-NR-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR-C(=O)-(C~C10)アルキル-NR-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-(C~C10)アルキルNR10-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-NR12-(C~C10)アルキル-NR13-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-NR11-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR1415-(C~C10)アルキル-NR16-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-O-(C~C10)アルキル-NR17-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-C(=O)-(C~C10)アルキル-NR18-C(=O)からなる群から選択され、R~R18は、上記で規定されている通りである。
【0156】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、リンカービルラジカルは、C(=O)、(C~C)アルキル-NR-C(=O)、(C~C)アルケニル-NR-C(=O)、(C~C)アルキニル-NR-C(=O)、(C~C)アルキル-NR-C(=O)-(C~C)アルキル-NR-C(=O)、(C~C)アルキル-C(=O)-(C~C)アルキルNR10-C(=O)、(C~C)アルキル-C(=O)-NR12-(C~C)アルキル-NR13-C(=O)、(C~C)アルキル-O-(C~C)アルキル-NR11-C(=O)、(C~C)アルキル-NR1415-(C~C)アルキル-NR16-C(=O)、(C~C)アルキル-C(=O)-O-(C~C)アルキル-NR17-C(=O)、(C~C)アルキル-O-C(=O)-(C~C)アルキル-NR18-C(=O)からなる群から選択され、R~R18は、上記で規定されている通りである。
【0157】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、R~R22は水素を表わす。
【0158】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、リンカービルラジカルは、C(=O)、(C~C10)アルキル-NH-C(=O)、(C~C10)アルケニル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキニル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキル-NH-C(=O)-(C~C10)アルキル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-NH-C(=O)、(C~C)アルキル-NH-C(=O)、(C~C)アルケニル-NH-C(=O)、(C~C)アルキニル-NH-C(=O)、(C~C)アルキル-NH-C(=O)-(C~C)アルキル-NH-C(=O)、(C~C)アルキル-O-(C~C)アルキル-NH-C(=O)、(C~C)アルキル-NH-C(=O)-(C~C)アルキル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルケニル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルキニル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)-(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルケニル-N(CH3)-C(=O)、(C~C)アルキニル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)-(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)、及び(C~C)アルキル-O-(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)からなる群から選択される。
【0159】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、リンカービルラジカルは、-C(=O)-、-(CH-NH-CO-、-(CH-NH-C(=O)-(CH)-NH-
C(=O)-、及び(CH-O-(CH-NH-C(=O)からなる群から選択される。
【0160】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-CHである。
【0161】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、R及びRの一方は水素であり、他方は、(C~C10)アルキルである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、R及びRは、同じか又は異なり、水素を表わす。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、R及びRは、同じか又は異なり、(C~C10)アルキルを表わす。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは水素であり、Rは(C~C)アルキルである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、R及びRは、同じ(C~C10)アルキルである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、R及びRは、同じ(C~C)アルキルである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは水素であり、Rは-CHである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、R及びRは同じであり、-CHを表わす。
【0162】
本発明の第1の態様のペプチドの一実施形態では、「置換(C~C10)アルキル」は、(C~C10)アルキルが、ハロゲン、(C~C)アルキル、及び(C~C)シクロアキルラジカルから選択される同じ又は異なる1又は2つのラジカルにより置換されていることを意味する。
【0163】
本発明の第1の態様のペプチドの別の実施形態では、「置換(C~C10)アルケニル」は、(C~C10)アルケニルが、ハロゲン、(C~C)アルキル、及び(C~C)シクロアキルから選択される1又は2つのラジカルにより置換されていることを意味する。
【0164】
本発明の第1の態様のペプチドの最後の実施形態では、「置換(C~C10)アルキニル」は、(C~C10)アルキニルが、ハロゲン、(C~C)アルキル、及び(C~C)シクロアキルから選択される1又は2つのラジカルにより置換されていることを意味する。
【0165】
本発明の第1の態様の一実施形態では、本ペプチドは、配列番号2~配列番号54からなる群から選択される。
【0166】

【表3】

【0167】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、本ペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号13、配列番号14、配列番号38、配列番号41、配列番号43~配列番号45、及び配列番号49~配列番号54からなる群から選択される。
【0168】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、本ペプチドは、配列番号6~12、配列番号15~37、配列番号46、及び配列番号47からなる群から選択される。
【0169】
第12の態様では、本発明は、上記で規定された式(I)のペプチドであって、式中、Xが、D-アミノ酸を表わすか、又はその代わりにXが、L-Aspを基準にして非保存的アミノ酸であり、上記非保存的アミノ酸が、無極性、中性極性、及び塩基性極性アミノ酸残基から選択されるペプチドを提供する。上記で提供されている実施形態は全て、本発明の第1の態様下のR~R40及びX~Xの意味に関して、本発明の第12の態様のペプチドの実施形態でもある。
【0170】
本発明の第12の態様の実施形態では、Xは、L-Aspを基準にして非保存的アミノ酸を表わし、X~Xは、同じ又は異なるアミノ酸残基を表わす。
【0171】
本発明の第12の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、Ala、Ser、Tyr、Trp、Asn、及びLysからなる群から選択される、L-又はD-配置のいずれかのアミノ酸
残基である。
【0172】
本発明の第12の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、同じ又は異なる無極性アミノ酸残基を表わし、Xは中性極性アミノ酸残基を表わし、Xは塩基性アミノ酸残基を表わす。本発明の第12の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysであり、XはL-又はD-Proである。本発明の第12の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-Lysであり、XはL-Proである。
【0173】
本発明の第12の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、Ala、Ser、Tyr、Trp、Asn、及びLysからなる群から選択される、L-又はD-配置のいずれかのアミノ酸残基であり、X及びXは、同じ又は異なる無極性アミノ酸残基を表わし、Xは中性極性アミノ酸残基を表わし、Xは塩基性アミノ酸残基を表わす。本発明の第12の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、Ala、Ser、Tyr、Trp、Asn、及びLysからなる群から選択される、L-又はD-配置のいずれかのアミノ酸残基であり、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysであり、XはL-又はD-Proである。本発明の第12の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、Ala、Ser、Tyr、Trp、Asn、及びLysからなる群から選択される、L-又はD-配置のいずれかのアミノ酸残基であり、XはL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-Lysであり、XはL-Proである。
【0174】
本発明の第12の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは水素であり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHである。本発明の第12の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、XがL-Pheを表わし、XがL-Serを表わし、XがL-Lysを表わし、XがL-Proを表わし、Xが無極性アミノ酸を表わす場合、Xは、Gly、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Trp、及びMet(D-又はL-配置のいずれか)から選択される。
【0175】
本発明の第12の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様又は本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つで規定された通りである。
【0176】
本発明の第12の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つとの組合せで、N(t)のアミノ酸残基及び/又はC(t)のアミノ酸残基は、D-配置を有する。
【0177】
本発明の第12の態様の最後の実施形態では、式(I)のペプチドは、配列番号5~9、11~14、及び46~48からなる群から選択される。
【0178】
第13の態様では、本発明は、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、XがD-アミノ酸を表わすか、又はその代わりにXがL-Pheを基準にして非保存的アミノ酸を表し、上記非保存的アミノ酸が、中性極性アミノ酸、酸性極性アミノ酸、及び塩基性極性アミノ酸から選択されるペプチドを提供する。上記で提供されている実施形態は全て、本発明の第1の態様下のR~R40、X、及びX~Xの意味に関して、本発明の第13の態様のペプチドの実施形態でもある。
【0179】
本発明の第13の態様の一実施形態では、Xは、L-Pheを基準にして非保存的アミノ酸を表わし、X及びX~Xは、同じ又は異なるアミノ酸残基を表わす。
【0180】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは中性極性アミノ酸を表わす。本発明の第13の態様の別の実施形態では、XはL-又はD-Tyrである。
【0181】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表わす。
【0182】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表わす。
【0183】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性アミノ酸残基を表し、XはL-又はD-Tyrを表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表わす。
【0184】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Aspであり、Xは中性極性アミノ酸を表わし、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysであり、XはL-又はD-Proである。
【0185】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Aspであり、XはL-又はD-Tyrを表わし、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysであり、XはL-又はD-Proである。
【0186】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspであり、XはL-Serであり、XはL-Lysであり、XはL-Proである。
【0187】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspであり、Xは中性極性アミノ酸を表わし、XはL-Serであり、XはL-Lysであり、XはL-Proである。
【0188】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspであり、XはL-又はD
-Tyrを表わし、XはL-Serであり、XはL-Lysであり、XはL-Proである。
【0189】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは水素であり、R及びR’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHである。
【0190】
本発明の第13の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つとの組合せで、N(t)のアミノ酸残基及び/又はC(t)のアミノ酸残基は、D-配置を有する。
【0191】
本発明の第13の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、式(I)のペプチドは配列番号17である。
【0192】
第14の態様では、本発明は、XがD-アミノ酸を表わすか、又はその代わりにXが、無極性、酸性極性、及び塩基性極性アミノ酸残基から選択されるL-Serを基準にして非保存的アミノ酸を表わすペプチドを提供する。上記で提供されている実施形態は全て、本発明の第1の態様下のR~R40、X、X、X、及びXの意味に関して、本発明の第14の態様のペプチドの実施形態でもある。
【0193】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Serを基準にして非保存的アミノ酸であり、X、X、X、及びXは、同じ又は異なるアミノ酸残基を表わす。
【0194】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、無極性アミノ酸及び塩基性極性アミノ酸から選択される、L-Serを基準にして非保存的アミノ酸を表わす。
【0195】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、Ala、Arg、Trp、Glu、及びLysからなる群から選択される、L-又はD-配置のいずれかのアミノ酸残基である。
【0196】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表わす。
【0197】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは、Ala、Arg、Trp、Glu、及びLysからなる群から選択され、Xは塩基性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表わす。
【0198】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Aspであり、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Lysであり、XはL-又はD-Proである。
【0199】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Aspであり、XはL-
又はD-Pheであり、Xは、Ala、Arg、Trp、Glu、及びLysからなる群から選択され、XはL-又はD-Lysであり、XはL-又はD-Proである。
【0200】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X1はL-Aspであり、XはL-Pheであり、Xは、Ala、Arg、Trp、Glu、及びLysからなる群から選択され、XはL-Lysであり、XはL-Proである。
【0201】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは水素であり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)OHである。
【0202】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、上記で規定されている通りである。本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-CHである。
【0203】
本発明の第14の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つとの組合せで、N(t)のアミノ酸残基及び/又はC(t)のアミノ酸残基はD-配置を有する。
【0204】
本発明の第14の態様の最後の実施形態では、本ペプチドは、配列番号19~20、22~23、25、又は39の1つである。
【0205】
第15の態様では、本発明は、式(I)のペプチドであって、式中、XがD-アミノ酸を表わすか、又はその代わりにXがL-塩基性極性アミノ酸を表わすペプチドを提供する。上記で提供されている実施形態は全て、本発明の第1の態様下のR~R40、X~X、及びX5の意味に関して、本発明の第15の態様のペプチドの実施形態でもある。
【0206】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-配置のいずれかのHis及びArgから選択される。
【0207】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-His又はL-Argである。
【0208】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表わす。
【0209】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、XはL-又はD-配置のいずれかのHis及びArgから選択され、Xは無極性アミノ酸残基を表わす。
【0210】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、XはL-His又はL-Argであり、Xは無極性アミノ酸残基を表わす。
【0211】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Aspであり、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Proである。
【0212】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Aspであり、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-配置のいずれかのHis及びArgから選択され、XはL-又はD-Proである。
【0213】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Aspであり、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-His又はL-Argであり、XはL-又はD-Proである。
【0214】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspであり、XはL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-Proである。
【0215】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspであり、XはL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-又はD-配置のいずれかのHis及びArgから選択され、XはL-Proである。
【0216】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspであり、XはL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-His又はL-Argであり、XはL-Proである。
【0217】
本発明の第15の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは水素であり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は、-C(=O)OHである。
【0218】
本発明の第15の態様の最後の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本ペプチドは、配列番号28又は29の一方である。
【0219】
第16の態様では、本発明は、式(I)のペプチドであって、式中、XがD-アミノ酸を表わすか、又はその代わりにXが、中性極性アミノ酸及び塩基性極性アミノ酸から選択されるL-Proを基準にして非保存的アミノ酸を表わすペプチドを提供する。上記で提供されている実施形態は全て、本発明の第1の態様下のR~R40及びX~Xの意味に関して、本発明の第16の態様のペプチドの実施形態でもある。
【0220】
本発明の第16の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、L-Proを基準にして非保存的
アミノ酸を表し、X~Xは、同じ又は異なるアミノ酸残基を表わす。
【0221】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-塩基性アミノ酸である。
【0222】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは、Arg、Asn、Tyr、及びLysからなる群から選択される、L-又はD-配置のいずれかのアミノ酸残基である。
【0223】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性極性アミノ酸を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表わす。
【0224】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性極性アミノ酸を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表し、XはL-又はD-塩基性アミノ酸である。
【0225】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは酸性極性アミノ酸を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表し、Xは、Arg、Asn、Tyr、及びLysからなる群から選択されるL-又はD-配置のいずれかのアミノ酸残基である。
【0226】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Aspであり、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysである。
【0227】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Aspであり、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysであり、XはL-又はD-塩基性アミノ酸である。
【0228】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Aspであり、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysであり、Xは、Arg、Asn、Tyr、及びLysからなる群から選択されるL-又はD-配置のいずれかのアミノ酸残基である。
【0229】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspであり、XはL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-Lysである。
【0230】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspであり、XはL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-Lysであり、XはL-又はD-塩基性アミノ酸である。
【0231】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Aspであり、XはL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-Lysであり、Xは、Arg、Asn、Tyr、及びLysからなる群から選択される、L-又はD-配置のいずれかのアミノ酸残基である。
【0232】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、R及びRは水素であり、R2’は-C(=O)OHである。
【0233】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、上記で規定されている通りである。
【0234】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-CHであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、上記で規定されている通りである。
【0235】
本発明の第16の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つとの組合せで、N(t)のアミノ酸残基及び/又はC(t)のアミノ酸残基は、D-配置を有する。
【0236】
本発明の第16の態様の最後の実施形態では、本ペプチドは、配列番号31、32、34、35、37、及び38からなる群から選択される。
【0237】
第17の態様では、本発明は、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、X及びXが、同じか又は異なり、D-又はL-無極性アミノ酸を表わすペプチドを提供する。上記で提供されている実施形態はすべて、本発明の第1の態様下のR~R40、X、及びX~Xの意味に関して、本発明の第17の態様のペプチドの実施形態でもある。
【0238】
本発明の第17の態様の1つの実施形態では、X及びXは、L-Ala又はD-Alaである。
【0239】
本発明の第17の態様の別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、RがHであり、R及びR2’の一方が水素であり、他方が-C(=O)OHであり、XがL-Pheを表わし、XがL-Lysを表わし、XがL-Proを表わし、X及びXが両方とも、同じ立体配置を有する同じ無極性アミノ酸を表わす場合、X及びXは、D-又はL-Gly、D-又はL-Val、D-又はL-Leu、D-又はL-Ile、D-又はL-Phe、D-又はL-Pro、D-又はL-Trp、D-及びL-Metからなる群から選択される。
【0240】
本発明の第17の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、R及びRは、上記で規定されているリンカービルラジカルを形成する。
【0241】
本発明の第17の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは水素であり、R及びR2’の一方
は水素であり、他方は-COOHである。
【0242】
本発明の第17の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されている通りである。
【0243】
本発明の第17の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、非保存的アミノ酸の1又は複数はD-アミノ酸である。
【0244】
本発明の第17の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表わす。
【0245】
本発明の第17の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXはL-又はD-Alaであり、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表わす。
【0246】
本発明の第17の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Lysであり、XはL-又はD-Proである。
【0247】
本発明の第17の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、L-又はD-Alaであり、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Lysであり、XはL-又はD-Proである。
【0248】
本発明の第17の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Pheであり、XはL-Lysであり、XはL-Proである。
【0249】
本発明の第17の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXはL-又はD-Alaであり、XはL-Pheであり、XはL-Lysであり、XはL-Proである。
【0250】
第18の態様では、本発明は、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、Xが、L-Aspを基準にして非保存的アミノ酸を表し、Xが、無極性アミノ酸残基を表わすペプチドを提供する。上記で提供されている実施形態は全て、本発明の第1の態様下のR~R40及びX~Xの意味に関して、本発明の第18の態様のペプチドの実施形態でもある。
【0251】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、同じか又は異なり、D-又はL-無極性アミノ酸を表わす。
【0252】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、D-又はL-Alaを表わす
【0253】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、D-Alaを表わす。
【0254】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表わす。
【0255】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、同じか又は異なり、D-又はL-無極性アミノ酸を表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表わす。
【0256】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXはD-又はL-Alaを表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表わす。
【0257】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXはD-Alaを表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは中性極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表わす。
【0258】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysである。
【0259】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、同じか又は異なり、D-又はL-無極性アミノ酸を表し、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysである。
【0260】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、D-又はL-Alaを表し、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysである。
【0261】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXはD-Alaを表し、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Serであり、XはL-又はD-Lysである。
【0262】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、同じか又は異なり、D-又はL-無極性アミノ酸を表し、XはL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-Lysである。
【0263】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、D-又はL-Alaを表し、
はL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-Lysである。
【0264】
本発明の第18の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、D-Alaを表し、XはL-Pheであり、XはL-Serであり、XはL-Lysである。
【0265】
本発明の第18の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは水素であり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-COOHである。
【0266】
本発明の第18の態様の1つの実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Rは-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されている通りである。
【0267】
第19の態様では、本発明は、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、X、X、及びXの2又はそれよりも多くが、それぞれL-Asp、L-Ser、及びL-Proを基準にして非保存的アミノ酸であるペプチドを提供する。上記で提供されている実施形態は全て、本発明の第1の態様下のR~R40、X、及びXの意味に関して、本発明の第19の態様のペプチドの実施形態でもある。
【0268】
第20の態様では、本発明は、本発明の第1の態様で規定された式(I)のペプチドであって、式中、X及びXが、それぞれL-Asp及びL-Serを基準にして非保存的アミノ酸を表し、Xが、無極性アミノ酸残基を表わすペプチドを提供する。上記で提供されている実施形態はすべて、本発明の第1の態様下のR~R40、X、及びXの意味に関して、本発明の第20の態様のペプチドの実施形態でもある。
【0269】
本発明の第20の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X及びXは、同じか又は異なり、D-又はL-無極性アミノ酸を表わす。
【0270】
本発明の第20の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X、X、及びXは、D-Alaである。
【0271】
本発明の第20の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表わす。
【0272】
本発明の第20の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X、X、及びXはD-Alaを表し、Xは無極性アミノ酸残基を表し、Xは塩基性アミノ酸残基を表わす。
【0273】
本発明の第20の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Lysである。
【0274】
本発明の第20の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X、X、及びXはD-Alaを表し、XはL-又はD-Pheであり、XはL-又はD-Lysである。
【0275】
本発明の第20の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、XはL-Pheであり、XはL-Lysである。
【0276】
本発明の第20の態様の一実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、X、X、及びXはD-Alaであり、XはL-Pheであり、XはL-Lysである。
【0277】
態様17~20のいずれか1つで規定されている式(I)のペプチドの別の実施形態では、R及びRは、本発明の第1の態様で規定されているリンカービルラジカルを形成する。
【0278】
態様17~20のいずれか1つで規定されている式(I)のペプチドの別の実施形態では、Rは、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであり、R及びR2’の一方は水素であり、他方は-C(=O)NRであり、R及びRは、上記で規定された通りである。
【0279】
態様17~20のいずれか1つで規定されている式(I)のペプチドは、配列番号41~45及び50~54からなる群から選択される。
【0280】
本発明のペプチドは、(a)結合させようとするアミノ酸の脱保護及び(b)保護アミノ酸カップリングサイクルの連続ステップが実施される固相合成等の日常的なプロトコールに従って調製することができる。
【0281】
保護基は、N-保護基、C-保護基、又は側鎖保護基であってもよい。3つ全ての範疇に属する保護基は市販されている。
【0282】
アミノ酸保護基の例示的で非制限的な例は、N-保護基であるt-Boc(又はBoc)及びFmocである。t-Boc又はFmocがペプチドの合成で使用される場合、4つの主ステップは、以下の通りである:(a)脱保護反応にて保護基を尾部のアミノ酸(商業的に入手可能)から除去すること、(b)脱保護試薬を洗い流して、クリーンなカップリング環境を提供すること、(c)カップリング試薬と組み合わせて、ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒に溶解した保護アミノ酸を、合成カラムに送液すること、及び(d)カップリング試薬を洗い流して、クリーンな脱保護環境を提供すること。特定のN-保護基に応じて、脱保護試薬及びカップリング試薬は、いずれでもよい。当業者であれば、当業者の一般的知識に基づき、日常的な方法により、必要に応じて特定の条件を最適化することができる。
【0283】
式(I)のペプチドが式(Ia)の1つである特定の場合では、方法は、第1の段階では、例えば固相合成によるペプチド配列の合成、及び第2の段階では、上記合成に起因するペプチドの遊離アミノ及びカルボキシ末端基間の環化反応を含む。環化工程で使用される条件及び試薬は、日常的に決定することができる。
【化3】
【0284】
別の特定の場合では、式(I)のペプチドが、R及びRが、アミド、エステル、ケトン、又はエーテルを含むビルラジカルを形成するペプチドである場合、ペプチドを調製するための方法は、アミンをカルボキシル基と反応される工程(アミドの場合)、カルボン酸をアルコールと反応させる工程(エステルの場合)、第二級アルコールの酸化による工程(ケトンの場合)、又はアルコールの脱水による工程(エーテルの場合)を含む。この種の反応は、技術水準で周知であり、当業者であれば、日常的な方法を使用して、こうしたリンカーを有するペプチドを調製することができる。
【0285】
本発明のペプチドの合成の例示的で非制限的な例は、下記のスキームI、II、及びIIIに提供されている。当業者であれば、この情報から開始して、末端アミド基((C~C10)アルキル-NR-C(=O)、(C~C10)アルケニル-NR-C(=O)、(C~C10)アルキニル-NR-C(=O)等)、分子間アミド基((C~C10)アルキル-NR-C(=O)-(C~C10)アルキル-NRC(=O)又は(C~C10)アルキル-C(=O)-NR12-(C~C10)アルキル-NR13C(=O)等)、分子間アミン((C~C10)アルキル-NR1415-(C~C10)アルキル-NR16-C(=O))、エステル((C~C10)アルキル-C(=O)-O-(C~C10)アルキル-NR17-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-C(=O)-(C~C10)アルキル-NR18-C(=O)等)、ケトン((C~C10)アルキル-C(=O)-(C~C10)アルキル-NR10-C(=O)等)、又はエーテル((C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-NR11-C(=O)等)のいずれかを含む他のリンカーを調製することができる。
【0286】
【化4】
【0287】
条件:a)Fmoc-Met-OH(0.8当量)、DIEA(4当量)、DCM(5mL)、2時間;その後MeOH、30分間;他のFmoc保護アミノ酸は、HBTU(2.85当量)及びDIEA(6当量)でカップリング、1時間;及び20%ピペリジン/DMFでデブロッキング、30分間;b)Fmoc-アミノ-(CH-アルデヒド(R-01)(1.5当量)、トリメトキシメタン(6当量)、CHCOOH(6当量)、10分間、及びNaBHCN(4.5当量)、1時間;c)1%TFA/DCM、5分間;d)DCM中HATU(1.5当量)及びDIEAでpH>7;e)90%TFA/5%EDT/2.5%TIS/2.5%HO、2時間。
【0288】
【化5】
【0289】
条件:a)Fmoc-アミノ-(CH-COOH(R-02)(3当量)、HBTU(2.85当量)、DIEA(6当量);b)1%TFA/DCM、5分間;c)DCM中HATU(1.5当量)及びDIEAでpH>7;d)90%TFA/5%EDT/2.5%TIS/2.5%HO、2時間。
【0290】
【化6】
【0291】
条件:a)Fmoc-Met-OH(0.8当量)、DIEA(4当量)、DCM(5mL)、2時間;その後MeOH、30分間;他のFmoc保護アミノ酸は、HBTU(2.85当量)及びDIEA(6当量)でカップリング、1時間;及び20%ピペリジン/DMFでデブロッキング、30分間;b)Fmoc-アミノ-リンカー-Fmoc-アミノ酸(R-03)(1.5当量)、HATU(1.9当量)、DIEA(3当量)、2時間;c)1%TFA/DCM、5分間;d)DCM中HATU(1.5当量)及びDIEAでpH>7。e)90%TFA/5%EDT/2.5%TIS/2.5%HO、2時間。
【0292】
第2の態様では、本発明は、構築体を提供する。
【0293】
本発明では、「細胞透過剤」という用語は、本発明のペプチドを、ペプチドがFoxP3と結合し阻害する能力に負の影響を及ぼさずに、細胞膜を横切って送達することを促進する任意の作用剤を含む。
【0294】
本発明の第2の態様の1つの実施形態では、細胞透過剤は細胞透過性ペプチドである。この実施形態では、構築体は融合タンパク質に相当する。
【0295】
本発明では、「細胞透過性ペプチド」(「CPP」)という用語は、種々の分子積荷(ナノサイズ粒子から小型化学分子及びDNAの大型断片まで)の細胞の取り込みを促進する短鎖ペプチドを指す。「積荷」は、共有結合による化学連結を介して、又は非共有結合相互作用を介して、ペプチドのC(t)又はN(t)に付随される。CPPの機能は、積荷を細胞内に送達することであり、これは、一般的には、研究及び医学に使用される送達ベクターで送達された積荷のエンドサイトーシスにより生じるプロセスである。現行の使用は、CPP媒介性積荷送達に細胞特異性が欠如していることにより、及びそれらの取り込みの機序が十分に理解されていないことにより、制限されている。CPPは、典型的には、リジン又はアルギニン等の正荷電アミノ酸を高相対存在量で含むか、又は極性/荷電アミノ酸及び無極性疎水性アミノ酸の交互パターンを含む配列を有するかのいずれかであるアミノ酸組成を有する。これら2つのタイプの構造は、それぞれ、ポリカチオン性又は両親媒性と呼ばれる。第3のクラスのCPPは、正味電荷が低い無極性残基のみを含む疎水性ペプチドであるか、又は細胞取り込みに重要な疎水性アミノ酸基を有する。本発明で提供されるペプチドのCPPとのコンジュゲーションは、固相合成又は溶液選択的キャッピング(solutionselectivecapping)等の周知の日常的プロトコールに従って実施することができる。(Copolovici D.M.ら「Cell-Penetrating Peptides:Design,Synthesis, and Applications」、2014年、ACS Nano、2014年、8巻(3号)、1972~1994頁を参照)。
【0296】
ペプチドを細胞に内部移行する能力を有する事実上あらゆる細胞透過性ペプチドを使用することができるものの、特定の実施形態では、上記キャリアペプチドは、「PTD」(「タンパク質形質導入ドメイン」)セグメントを含むペプチドである。タンパク質形質導入ドメイン(PTD)を含むタンパク質の例示的で非限定的な例としては、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)TAT(「トランス作用翻訳タンパク質(transactingtranslationalprotein)」)タンパク質、ドロソフィラ・アンテナペディア(Drosophila antennapedia)ホメオティック転写因子(Antp)、及び単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)VP22 DNA結合タンパク質が挙げられるが、インフルエンザウイルス赤血球凝集素、ラクトフェリン、線維芽細胞増殖因子-1、線維芽細胞増殖因子-2、ならびにHoxa-5、Hoxb-4、及びHoxc-8タンパク質等の他のタンパク質も、ペプチドを細胞に内部移行する特性を有することが示唆されている(Ford K.G.ら、Gene Therapy、2001年、8巻:1~4頁)。
【0297】
本発明のペプチドは、本発明のペプチドを細胞に内部移行させる能力を有するキャリアペプチドの(アミノ又はカルボキシル)末端のいずれか1つと結合させることができる。従って、特定の実施形態では、本発明のペプチドのカルボキシル末端が、上記キャリアペプチドのアミノ末端と結合されているが、別の特定の実施形態では、本発明のペプチドのアミノ末端が、上記キャリアペプチドのカルボキシル末端に結合されている。
【0298】
本発明のペプチドは、直接的に細胞透過性ペプチドと結合されてもよく、又は結合されていなくともよい。従って、特定の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本発明のペプチドは、細胞透過性ペプチドと直接的に結合されている。別の実施形態では、任意選択で、上記又は下記で提供されている実施形態のいずれか1つと組み合わせて、本発明の第2の態様の構築体は、本発明の第1の態様で規定されたペプチドと細胞透過性ペプチドとの間に位置するスペーサーペプチドを更に含む。上記スペーサーペプチドは、有利には、非構造化ドメインを生じさせ
るペプチド等、構造的可撓性を有するペプチドである。構造的可撓性を有する事実上あらゆるペプチドを、スペーサーペプチドとして使用することができるものの、上記スペーサーペプチドの例示的で非限定的な例としては、アミノ酸部分の、例えばGly及び/又はSerの反復、又はアミノ酸部分の任意の他の好適な反復を含むペプチドが挙げられる。
【0299】
本発明の第2の態様の別の実施形態では、細胞透過剤は生体適合性であり、活性成分を分解から保護することが知られているナノ粒子送達系である。
【0300】
「ナノ粒子」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも2つの寸法がナノスケールである、特に3つ全ての寸法がナノスケールである粒子を指し、この場合、ナノスケールは、約1nm~約300nmの範囲である。特に、ナノ粒子が、ナノワイヤー又はナノチューブ等、実質的に円形の断面を有する実質的に棒状形状を有する場合、「ナノ粒子」は、少なくとも2つの寸法がナノスケールであり、これら2つの寸法が、ナノ粒子の断面である粒子を指す。
【0301】
細胞内取り込みを増加させる生分解性ナノ粒子送達系、例えば、米国特許出願公開第2009/0136585号に記載されているポリマー性表面修飾ナノ粒子も使用することができる。例としては、例えば、中でも、ヘパリン、ドデシルメチルアンモニウムブロミド(DMAB)、DEAE-デキストラン、リポフェクチン、及びフィブリノーゲン等の公知の表面修飾剤で表面修飾されたポリDL-ラクチド-co-グリコリド(PLGA)ナノ粒子が挙げられる。
【0302】
「脂質ナノ粒子」という用語は、本明細書で使用される場合、その膜が全て脂質で作られているナノ粒子を指す。好適な脂質としては、限定ではないが、ホスファチジルコリン(「PC」)、ホスファチジルエタノールアミン(「PE」)、ホスファチジルセリン(「PS」)、ホスファチジルグリセロール(「PG」)、ホスファチジルイノシトール(「PI」)、及びホスファチジン酸(「PA」)等のリン脂質が挙げられる。そのようなリン脂質は、一般的には、2つのアシル鎖を有し、それらは、両方とも飽和されているか、両方とも不飽和であるか、又は一方が飽和で他方が不飽和であるかのいずれかであり、上記鎖としては、限定ではないが、ミリステート、パルミテート、ステアレート、オレエート、リノレエート、リノレエート、アラキデート、アラキドネート、ベヘネート、及びリグノセレート鎖が挙げられる。また、リン脂質は、好適な反応性基をそれらに付着させることにより誘導体化することができる。そのような基は、一般的にはアミノ基であり、従って、誘導体化リン脂質は、典型的には、ホスファチジルエタノールアミンである。PEとの付着に好適な異なる部分としては、限定ではないが、以下のものが挙げられる:生物学的膜に対するリポソームの融合性の増強に有用なアシル鎖;標的細胞近傍でのリポソームの不安定化に有用なペプチド;抗体等の標的指向性部分とリポソームとの架橋に有用なビオチン及びマレイミド部分;並びにガングリオシド、ポリアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、及び有機ジカルボン酸等の種々の分子。ナノ粒子の膜を構成することができる他の脂質としては、これらに限定されないが、コレステロール及びDOPCが挙げられる。
【0303】
1つの実施形態では、脂質ナノ粒子は、リポソーム及び固体脂質ナノ粒子からなる群から選択される。別の実施形態では、脂質ナノ粒子はリポソームである。
【0304】
「固体脂質ナノ粒子」という用語は、典型的に球状であり、10~1000ナノメートルの平均直径を有する粒子を指す。固体脂質ナノ粒子は、親油性分子を可溶化することができる固体脂質コアマトリクスを有する。脂質コアは、界面活性剤(乳化剤)により安定化される。脂質という用語は、本明細書ではより幅広い意味で使用され、トリグリセリド(例えば、トリステアリン)、ジグリセリド(例えば、バヘン酸グリセロール(glyc
erolbahenate))、モノグリセリド(例えば、モノステアリン酸グリセロール)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びワックス(例えば、パルミチン酸セチル)を含む。全てのクラスの乳化剤(電荷及び分子量に関して)が、脂質分散物の安定化に使用されている。
【0305】
本発明では、「リポソーム」という用語は、各々が、反対に配向されている両親媒性脂質分子を含む2つの単層を含む1又は複数の脂質二分子膜を含む自己集合構造と理解されるべきである。両親媒性脂質は、1又は2つの無極性(疎水性)アシル鎖に共有結合で連結されている極性(親水性)頭部基領域を含む。疎水性アシル鎖と周囲水性媒体との間の接触がエネルギー的に好ましくないため、両親媒性脂質分子は、それらの極性頭部基が二分子膜表面に向かって配向され、二分子膜が内部に向かって配向されるように配置されるように、アシル鎖が誘導される。従って、アシル鎖が水性環境との接触から効率的に遮断されるエネルギー的に安定した構造が形成される。
【0306】
リポソームは、単一の脂質二分子膜(単層リポソーム、「ULV」)、又は複数の脂質二分子膜(多重膜リポソーム、「MLV」又は「SPLV」)を有する場合がある。各二分子膜は、水性区画を取り囲むか又は封入する。脂質分子の保護障壁内に水性容積をこのように封入することを考慮すると、リポソームは、封入された分子、例えば核酸を、外部環境に存在する因子、例えばヌクレアーゼ酵素の分解効果から隔離することができる。
【0307】
リポソームは、様々なサイズ、例えば、25nmと小さいか又は10,000nm以上もの大きな平均直径を有することができる。リポソームのサイズは、当業者により決定及び説明される範囲内に十分に入る幾つかの要因、例えば脂質組成及び調製方法により影響を受け、これも当業者の知識内に入る準弾性光散乱等の幾つかの技法により決定される。
【0308】
超音波処理、即ちホモジナイゼーション及びミリングなど、これらも当業者に周知である種々の方法論を使用して、より大型のリポソームからより小さなサイズのリポソームを調製することができる。押出しを使用して、リポソームのサイズを低減することができる。つまり、圧力下で、リポソームを、画定され選択されたサイズのフィルター細孔に通すことにより、所定の平均サイズを有するリポソームを生成することができる。また、接線流ろ過を使用して、リポソームのサイズを正規化することができ、つまり、より低いサイズ非均質性及びより均質な画定サイズ分布を有するリポソームの集団を生成することができる。
【0309】
本発明のペプチドは、Tandrup Schmidt S.ら、「Liposome-Based Adjuvants for Subunit Vaccines:Formulation Strategies for Subunit Antigens and Immunostimulators」、Pharmaceutics、2016年3月10日;8巻(1号)に開示されているもの等、技術水準で周知の方法を使用して、粒子内に封入することができる。
【0310】
細胞透過剤は、Treg細胞表面の分子を認識及び結合する能力を有する分子をコンジュゲートすることにより更に機能化することができる。
【0311】
また、1つの実施形態では、細胞透過剤は、インプラント及びマイクロカプセル化送達系を含む放出制御製剤等、体内からの急速な排出から本発明のペプチドを保護する。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸等の、生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤は、標準的技法を使用して調製することができるか、又は商業的に取得することができる。
【0312】
必要に応じて、本発明の融合タンパク質は、任意選択で、本発明の融合タンパク質の単離又は精製に有用なアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記配列は、本発明のペプチドの機能性に悪影響を及ぼさない、本発明の融合タンパク質の領域に位置することになる。融合タンパク質を単離又は精製するために使用することができる事実上あらゆるアミノ酸配列(一般的にタグペプチドと呼ばれる)が、本発明の融合タンパク質に存在していてもよい。非限定的な例として、融合タンパク質の単離又は精製に有用な上記アミノ酸配列は、例えば、中でも、アルギニンタグ(Argタグ)、ヒスチジンタグ(Hisタグ)、FLAG-タグ、Strep-タグ、c-myc-タグ等、抗体により認識され得るエピトープ、SBP-タグ、S-タグ、カルモジュリン結合ペプチド、セルロース結合ドメイン、キチン結合ドメイン、グルタチオンS-トランスフェラーゼタグ、マルトース結合タンパク質、NusA、TrxA、DsbA、Aviタグ、又はβ-ガラクトシダーゼであってもよい。
【0313】
本発明の融合タンパク質は、本発明のペプチドと本発明のペプチドを細胞に内部移行させる能力を有する細胞透過性ペプチドとのカップリング反応により得ることができ、以前に言及されているもの(例えば、固相化学合成)等の従来の合成法により、又は組換え技法により得られていてもよい。
【0314】
第3の態様では、本発明は、(a)本発明のペプチド、又は本発明の第2の態様で規定された構築体、又は上記ペプチド及び上記構築体の両方、並びに(b)1又は複数の免疫調節化合物を含む組合せを提供する。
【0315】
本発明では、「免疫調節化合物」という用語は、免疫応答を誘導、増強、抑制する化合物を指す。
【0316】
1つの実施形態では、1又は複数の免疫調節化合物は、がん細胞に効果を示す。つまり上記化合物は、がん免疫調節化合物である。がん免疫療法は、能動的、受動的、又はハイブリッド(能動的及び受動的)に分類することができる。こうした手法は、がん細胞が、腫瘍関連抗原(TAA)として知られており、多くの場合、タンパク質又は他の巨大分子(例えば、炭水化物)である、免疫系により検出され得る分子を表面に有することが多いという事実を活用する。能動的免疫療法は、免疫系に指図して、TAAを標的とすることにより腫瘍細胞を攻撃させる。受動的免疫療法は、既存の抗腫瘍応答を増強し、モノクローナル抗体、リンパ球、及びサイトカインを使用することを含む。Merghoub T.及び同僚は、技術水準のがん免疫調節化合物に関する完全な概説を提供する(Khalil D.N.ら、「The New Era of Cancer Immunotherapy:Manipulating T-Cell Activity to Overcome Malignancy」、Advances in Cancer Research、2015年、128巻、1~68頁)。
【0317】
本発明の第3の態様の1つの実施形態では、免疫調節化合物は、様々なTregリンパ球の免疫抑制活性を阻害又は制御する。その作用機序(例えば、scurfinの阻害によるか又は他の機序によるか)に関わらず、本発明のペプチド及び構築体とは異なる、Tregリンパ球の免疫抑制活性を阻害又は制御する事実上あらゆる化合物が、必要に応じて、本発明の第3の態様の組合せに存在していてもよい。本発明のペプチド及び構築体とは異なり、本発明のペプチド及び構築体と共に使用することができる、Tregリンパ球の活性を阻害又は制御する代替的な化合物の例示的で非限定的な例としては、限定ではないが、中でも、抗CD25、抗CTLA4、抗GITR抗体、抗PD-1、抗PD-L1、抗LAG3、抗OX40、サイトカインTGF-ベータ、IL-10、又はIL-9を阻害する化合物、シクロホスファミド フルダラビン等の化学療法化合物、又はケモカイ
ンCCL17若しくはCCL22の阻害剤が挙げられる。
【0318】
第4の態様では、本発明は、少なくとも1つの獣医学的又は薬学的に許容される賦形剤と共に、治療有効量の本発明のペプチド、又は本発明の第2の態様の構築体、又は本発明の第3の態様の組合せを含む獣医学的組成物又は医薬組成物を提供する。
【0319】
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、投与すると、取り組んでいる疾患の発症を予防するか、又は症状の1若しくは複数をある程度まで緩和するのに十分な、ペプチド又は構築体又は組合せの量を指す。無論、本発明に従って投与される化合物の具体的な用量は、投与される化合物、投与経路、治療されている特定の条件、及び類似の考慮項目を含む、症例を取り巻く具体的な状況により決定されることになる。
【0320】
「薬学的に許容される賦形剤又は担体」という用語は、薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクルを指す。各成分は、医薬組成物の他の成分と適合性であるという意味で、薬学的に許容されなければならない。また、各成分は、ヒトの組織又は器官と接触させての使用に好適であり、過度の毒性、炎症、アレルギー応答、免疫原性、又は他の問題若しくは合併症を示さず、合理的なベネフィット/リスク比に見合うものでなければならない。同様に、「獣医学的に許容される塩」という用語は、非ヒト動物と接触させての使用に好適であることを意味する。
【0321】
好適な薬学的に許容される賦形剤の例は、溶媒、分散媒、希釈剤、又は他の液体ビヒクル、分散又は懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘又は乳化剤、保存剤、固体結合剤、及び潤滑剤等である。任意の従来の賦形剤媒体は、任意の望ましくない生物学的効果をもたらすか、そうでなければ医薬組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用することなどにより、物質又はその誘導体と非適合性である場合を除き、その使用は、本発明の範囲内であることが企図される。
【0322】
本発明の医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/又は任意の追加成分の相対量は、その種類、サイズ、及び/又は治療しようとする対象の状態に応じて、更に組成物が投与される経路に応じて様々である。
【0323】
医薬組成物の製造に使用される薬学的に又は獣医学的に許容される賦形剤としては、これらに限定されないが、不活性希釈剤、分散及び/若しくは顆粒化剤、界面活性剤及び/若しくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存剤、緩衝剤、潤滑剤、並びに/又は油が挙げられる。着色剤、コーティング剤、甘味剤、及び香味料等の賦形剤が、製剤専門家の判断に従って組成物中に存在していてもよい。
【0324】
本発明のペプチド又は構築体又は組合せを含む医薬組成物は、任意の剤形、例えば固体又は液体で存在していてもよく、任意の好適な経路、例えば、経口、非経口、直腸、又は局所経路により投与することができ、所望の剤形、例えば軟膏剤(リポゲル、ヒドロゲル等)、点眼剤、エアロゾル噴霧剤、注射剤、浸透圧ポンプ等の製剤化に必要な薬学的に許容される賦形剤を含むことになる。
【0325】
例示的な希釈剤としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉糖、及びそれらの組合せ。
【0326】
例示的な顆粒化及び/又は分散剤としては、これらに限定されないが、以下のものが挙
げられる:ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クレイ、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ、アガー、ベントナイト、セルロース及び木材製品、天然スポンジ、陽イオン交換レジン、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、ナトリウムカルボキシメチルデンプン(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファ化デンプン(デンプン1500)、微晶質デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(Veegum)、ラウリル硫酸ナトリウム、四級アンモニウム化合物、及びそれらの組合せ。
【0327】
例示的な結合剤としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:デンプン(例えば、コーンスターチ及びデンプンペースト);ゼラチン;糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール);天然及び合成ゴム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイルランドコケの抽出物、パンワールゴム(panwargum)、ガティゴム、イサポール穀皮(isapolhusk)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン)、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(Veegum)、及びカラマツアラビノガラクタン);アルギン酸塩;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリレート;ワックス;水;アルコール;並びにそれらの組合せ。
【0328】
例示的な保存剤としては、酸化防止剤、キレート剤、抗微生物保存剤、抗真菌保存剤、アルコール保存剤、酸性保存剤、及び他の保存剤を挙げることができる。例示的な酸化防止剤としては、これらに限定されないが、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アコルビルパルミテート(acorbylpalmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムが挙げられる。例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、エデト酸三ナトリウムが挙げられる。
【0329】
例示的な緩衝剤としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:クエン酸緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、リン酸水素カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱性物質除去水、等張性生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、及びそれらの組合せ。
【0330】
例示的な潤滑剤としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベハン酸グリセリル(glycerylbehanate)、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリ
ル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの組合せ。
【0331】
第5の態様では、本発明は、薬剤として使用するための、本発明の第1の態様のペプチド、又は本発明の第2の態様の構築体、又は本発明の第3の態様の組合せを提供する。
【0332】
本発明の第3の態様の組合せが、薬剤として投与される場合、成分(ペプチド及び/又は構築体並びに1又は複数の免疫調節化合物)の各々1つの投与は、連続して、別々に、又は同時に実施することができる。
【0333】
一般的には、Tregリンパ球が免疫抑制的役割を果たすあらゆる感染性プロセス又は新生物プロセスを、本発明のペプチドで治療することができる。
【0334】
同様に、本発明のペプチド及び構築体を使用して、抗ウイルス又は抗腫瘍ワクチンを増強することができる。それは、ワクチン接種後にそれらを投与し、その後それらの投与中に本発明のペプチドによりTregリンパ球が阻止されることにより、ワクチンの成分の応答の増強が可能になることになるからである。
【0335】
加えて、Tregリンパ球は、抗原に対する経口寛容に中心的な役割を果たし得るため(Huibregtse,I.L.ら、「Induction of ovalbumin-specific tolerance by oral administration of Lactococcus lactis secreting ovalbumin」、Gastroenterology、2007年、133巻、517~528頁)、経口投与された抗原に対するこの寛容が破壊されるべきである状況で本発明のペプチドを使用することができると考えられる。
【0336】
本発明のペプチド、構築体、及び組合せで潜在的に治療することができる病理の代表的な例としては、新生物疾患及び感染性疾患が挙げられる。本明細書で使用される場合、「新生物疾患」という用語は、腫瘍(つまり、良性か又は悪性かには関わりなく、腫瘍を形成する細胞数の増加により容積、特に固塊の増加を引き起こす組織障害)及びがん(隣接組織に侵入することが可能であり、遠隔器官に播種することが可能な異常細胞の制御されない増殖により特徴付けられる疾患)を両方とも含む。同様に、「感染性疾患」という用語は、一般的に、感染因子、例えばウイルス、細菌、真菌、寄生動物等により引き起こされる疾患に関する。このタイプの感染性又は新生物性(がん性)プロセスでは、Tregリンパ球は、治癒することが好ましいと考えられる感染性又は新生物性プロセスに対する免疫応答の活性化を阻害することが可能であるため、負の効果を発揮する。
【0337】
図1及び図2に示されているように、本発明のペプチドは、肝臓がん細胞に対する抗腫瘍活性を示し、図3には、本発明のペプチドが、結腸がん細胞増殖の予防に有効であることが示されている。
【0338】
従って、1つの実施形態では、本発明のペプチド、本発明の第2の態様の構築体、本発明の第3の態様の組合せ、及び/又は本発明の第4の態様の医薬組成物若しくは獣医学的組成物は、結腸がん又は肝臓がんの治療に使用される。
【0339】
本発明のペプチド及び構築体で治療することができるウイルス感染症の例示的で非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:ウイルス由来の事実上あらゆる感染症、例えば、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIV、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)、帯状疱疹ウイルス(VZV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウィルス6型(HHV-6)、ヒトヘルペスウィルス7型(HHV-7)、エ
プスタインバーウイルス(EBV)、カポジヘルペスウイルス(HHV-8)等のヒトヘルペスウィルス等により引き起こされる感染症。
【0340】
本発明のペプチド及び構築体で治療することができる細菌感染症の例示的で非限定的な例としては、これらに限定されないが、マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)により引き起こされる感染症、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)により引き起こされる感染症、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)により引き起こされる感染症、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)により引き起こされる胃感染症などが挙げられる。
【0341】
本発明のペプチド及び構築体で治療することができる真菌感染の例示的で非限定的な例としては、これらは限定されないが、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)により引き起こされる感染症、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)により引き起こされる感染症、アスペルギルス種(Aspergillus sp.)により引き起こされる感染症などが挙げられる。
【0342】
本発明のペプチド及び構築体で治療することができる寄生虫感染症の例示的で非限定的な例としては、これらに限定されないが、リーシュマニア症、例えば、内臓リーシュマニア症、プラスモジウム寄生動物により引き起こされるマラリア等の感染症、トキソプラズマ症等が挙げられる。
【0343】
本発明のペプチド及び構築体で治療することができる新生物疾患の例示的で非限定的な例としては、これらに限定されないが、乳頭腫、腺腫、脂肪腫、骨腫、筋腫、血管腫、母斑、成熟奇形腫、癌腫、肉腫、又は未熟型奇形腫、例えば、黒色腫、骨髄腫、白血病、ホジキンリンパ腫、基底細胞腫、有棘細胞腫、乳がん、卵巣がん、子宮がん、肺がん、気管支がん、前立腺がん、結腸がん、膵臓がん、腎臓がん、食道がん、肝臓がん腫、頭頸部がん等が挙げられる。
【0344】
その代わりに、本発明のペプチド及び本発明の第2の態様の構築体は、組換えDNA技術により得ることができる。従って、別の態様では、本発明は、本発明のペプチド又は構築体をコードするDNA配列を提供する。上記DNA配列は、本発明のペプチド又は構築体のアミノ酸配列から容易に推定することができる。
【0345】
上記DNA配列は、DNA構築物に含まれていてもよい。従って、別の態様では、本発明は、本発明のペプチド又は構築体をコードするDNA配列を含むDNA構築体を提供する。上記DNA構築物は、作用可能に結合された、本発明のペプチド又は構築体をコードするDNA配列の発現を制御する配列を含んでいてもよい。制御配列は、本発明のペプチド又は構築体の転写、必要に応じて翻訳を制御及び調節する配列であり、上記DNA配列又は構築体を含む形質転換宿主細胞において機能性のプロモータ配列、ターミネータ配列等を含む。特定の実施形態では、上記発現制御配列は、細菌において機能性である。上記DNA構築物は、有利には、上記DNA構築物を有する形質転換宿主細胞の選択を可能にするマーカー又はモチーフ若しくは表現型をコードする遺伝子を更に含む。本発明により提供されるDNA構築物は、技術水準で広く知られている技法の使用により得ることができる(Sambrookら、「Molecular cloning,a Laboratory Manual」、第4版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、N.Y.、2012年、1~3巻)第1巻:Cloning
and Transformation with Plasmid Vectorsの第3章)。
【0346】
本発明により提供されるDNA配列又はDNA構築物は、好適なベクターに挿入することができる。従って、別の態様では、本発明は、上記DNA配列又は構築体を含む、発現ベクター等のベクターに関する。ベクターの選択は、それがその後導入されることになる宿主細胞に依存することになる。例として、上記DNA配列が導入されるベクターは、上記DNA配列が宿主細胞に導入された場合に、上記細胞のゲノムに組み込まれるか又は組み込まれないプラスミド又はベクターであってもよい。上記ベクターは、当業者に知られている従来方法により得ることができる(Sambrookら、2012年、上記で言及)。
【0347】
別の態様では、本発明は、本発明により提供されるDNA配列若しくはDNA構築物又は以前に言及されているベクターを含む、形質転換宿主細胞などの宿主細胞に関する。上記細胞は、原核細胞であってもよく、又は真核細胞であってもよい。
【0348】
同様に、別の態様では、本発明は、本発明のペプチド又は本発明の構築体を産生するための方法であって、本発明により提供される配列、DNA構築体、又はベクターを含む宿主細胞を、本発明の上記ペプチド又は構築体の産生を可能にする条件下で増殖させること、及び必要に応じて、本発明の上記ペプチド又は構築体を回収することを含む方法に関する。上記宿主細胞の培養を最適化するための条件は、使用される宿主細胞に依存することになる。必要に応じて、本発明のペプチド又は構築体を産生するためのプロセスは、上記ペプチド又は構築体の単離及び精製を更に含む。
【0349】
加えて、本発明により提供される上記DNA配列及びDNA構築体は、Tregリンパ球の免疫抑制活性を一過性に制御又は阻止することが好適であるか又は必要である病理を治療するためのベクター及び細胞の調製に使用することができる。従って、別の態様では、本発明は、Tregリンパ球の免疫抑制活性を一過性に制御又は阻止することが好適であるか又は必要である病理、例えば、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症等、及び新生物疾患を治療するためのベクター及び細胞の調製における、上記DNA配列及びDNA構築体の使用に関する。本発明のこの態様によると、上記DNA配列又は構築体は、ウイルスベクター又は非ウイルスベクター等の遺伝子移入ベクターと接触させることができる。本発明のこの実施形態の実施に好適なウイルスベクターとしては、これらに限定されないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アルファウイルスベクター、ヘルスペスウイルス(herspesviral)ベクター、コロナウイルス由来ベクター等が挙げられる。本発明のこの実施形態の実施に好適な非ウイルス型ベクターとしては、これらに限定されないが、ネイキッドNDA、リポソーム、ポリアミン、デンドリマー、陽イオン性糖ポリマー、リポソーム-ポリカチオン複合体、タンパク質、受容体媒介性遺伝子移入系等が挙げられる。
【0350】
本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、「含む(comprise)」という単語及び上記単語の変化形は、他の技術的特徴、添加物、成分、又はステップを除外することが意図されていない。更に、「含む(comprise)」という単語は、「~からなる(consisting of)」の場合を包含する。本発明の追加の目的、利点、及び特徴は、当業者であれば本明細書を検討すると明白になるか、又は本発明の実施により知ることができる。以下の例及び図面は、例示のために提供されており、本発明を限定することは意図されていない。図面に関する、及び特許請求の範囲で括弧内に示されている参照符号は、もっぱら特許請求の範囲の明瞭性を増加させることを試みるためのものであり、特許請求の範囲の限定とは解釈されないものとする。更に、本発明は、本明細書に記載されている特定の及び好ましい実施形態のあらゆる考え得る組合せを包含する。
【実施例0351】
1.調製用HPLC精製方法の基本手順
HPLC測定は、233ポンプ(バイナリ)、オートサンプラー及びUV検出器(波長=214又は215&254nm)のGilson GX-281を使用して実施した。溶媒A:0.075%TFAを有する水;溶媒B:アセトニトリル。方法に応じて、異なるカラム及び室温での勾配を使用した(下記の表)。
【0352】
【数1】
【0353】
2.HPLC分析の基本手順
HPLC分析は、島津製作所LC-20AB又はLC-20AD又はAgilent 1100シリーズHPLC及びUV検出(210/220/254nm)を使用して実施した。溶媒A:0.1%TFAを有する水;溶媒B:0.1%TFAを有するアセトニトリル。方法に応じて、異なるカラム及び勾配を使用した(下記の表)。
【0354】
【数2】
【0355】
3.LCMS分析の基本手順
LCMS分析は、トリプル四重極質量分析計(6410)に接続されたHPLC Agilent 1200装置を使用して実施した。UV検出は220nm。溶媒A:0.1%TFAを有する水;溶媒B:0.1%TFAを有するアセトニトリル。Xbridge
C18カラム(2.1×30mm、3.5μm)は室温。勾配:1.0ml/分にて0.9分間で10%から80%B、その後1.0ml/分にて0.6分間で90%Bまで、その後1.0ml/分にて0.5分間10%Bを維持した。
【0356】
実施例では以下の略語を使用した。
【0357】
HPLC:高速液体クロマトグラフィー;TLC:薄層クロマトグラフィー;MW:マイクロ波;calc:理論値;rt:室温;Rt:滞留時間;min:分;Prep:調製用;eq:当量;rpm:毎分回転数;UV:紫外線;PG:保護基;TFA:トリフルオロ酢酸;CTC:クロロトリチルクロリド;Boc:tert-ブトキシカルボニル;DCM:ジクロロメタン;DIPEA又はDIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;MeOH:メタノール;DMF:ジメチルホルムアミド;HATU:1-[ビス(ジメチルアミノ基)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシドヘキサフルオロホスフェート;HBTU:N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート;EDT:エタンジチオール;TIS:チオアニソール;HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール;DIC:N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド;THF:テトラヒドロフラン;DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート;Pbf:2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン;PPh3:トリフェニルホスフィン;EtOAc又はEA:酢酸エチル;Ns:ニトロベンゼンスルホニル;NsCl:2-ニトロベンゼンスルホニルクロリド;Fmoc:フルオレニルメチルオキシカルボニル;Fmoc-Cl:9-フルオレニルメトキシカルボニルクロリド;Fmoc-OSu:9-フルオレニルメチルN-スクシンイミジルカルボネート;Trt:トリチル。
【0358】
下記で提供されているペプチド合成の実施例で使用された保護アミノ酸の表:
【数3】
【0359】
これらはすべて、Novabiochem、Merck Millipore又はSigma-Aldrichから購入した。
【0360】
線形ペプチドの合成
【0361】
配列番号3のペプチドの合成
CTCレジン(0.2mmol、0.17g、1.2mmol/g)及びFmoc-Met-OH(74.3mg、0.2mmol、1.0当量)を含む混合物に、DCM(2.00mL)を添加し、その後、DIEA(6.00当量)を添加し、2時間混合した。その後、キャッピングのために、MeOH(0.2mL)を添加し、30分間混合した。デブロッキングのために、DMF中20%ピペリジンを使用した。他のアミノ酸を、DMF(2mL)中の活性化因子試薬HATU(2.85当量)及びDIPEA(6.0当量)を使用して、3当量でカップリングした。ニンヒドリン呈色反応又はテトラクロロ-p-ベンゾキノン試験により、反応をモニターした。合成終了後、ペプチドレジンをDMF×3、MeOH×3で洗浄し、その後一晩N通気下で乾燥した。その後、ペプチドレジンを、2.5%EDT/2.5%HO/95%TFAで3時間にわたって2回処理した。ペプチド溶液を、冷却tert-ブチルメチルエーテル(8mL)で沈殿させ、遠心分離した(3000rpmで2分間)。上清をデカントし、沈殿物を、tert-ブチルメチルエーテル(100mL)で2回洗浄した。粗ペプチドを収集し、真空下で2時間乾燥し、その後調製用HPLC(基本手順、方法4)により精製し、その後凍結乾燥して、最終産物配列番号3(175mg、3.1%収率)を得た。ESI-MS(M+1):1993.9、C951322420の理論値:1992.9、m/z測定値997.5、[M/2+H]+ 665.4[M/3+H]+。HPLC分析方法4、Rt=9.78分。
【0362】
配列番号3について上記で提供されたものと同じプロトコールに従って、このセクションの残り線形ペプチドを同様に調製した。
【0363】
ペプチドのC(t)をアミド化する場合(R2’又はR-C(=O)NHのいずれか)、CTCレジンの代わりに、Rink Amide MBHAレジン(Novabi
ochem、カタログ番号431041-83-79)を使用して固相合成を実施した。ペプチドのN(t)をアセチル化する場合、アセチル化Gly残基(CH-C(=O)-NH-CH-C(=O)OH)を最後のアミノ酸として固相合成に組み込んだ。
【0364】

【表4】

【0365】
「調製用HPLC精製法」の列にある空欄は、特定のHPLC精製法を実施しなかったことを意味する。
【0366】
頭尾環状ペプチドの合成
【0367】
配列番号51のペプチドの合成
このペプチドは、Fmoc-Met-CTCレジン(0.3mmol、0.5mmol/g)を使用して、固相合成により合成した。他のアミノ酸を、HBTU(0.324g、2.85当量)及びDIEA(0.32mL、6.0当量)を用いて1時間カップリングした。デブロッキングのために、DMF中20%ピペリジンを使用した。カップリング反応を、ニンヒドリン呈色反応によりモニターした。MeOH(3×)で洗浄した後、レジンを真空下で2時間乾燥した。レジンを1%TFA/DCM(10mL)で5分間処理し、ろ過した。TFA混合物をDIEAでpH7に調整し、TFA混合物を、300mLのDCMに添加し、それをDIC(2.0当量)及びHOBt(2.0当量)で16時間処理した。蒸発させて粗保護ペプチドを得、ペプチドを、95%TFA/2.5%TIS/2.5%HO(100mL)で2時間処理した。TFA混合物を、冷却メチルtert-ブチルエーテル(100mL)で沈殿させ、遠心分離した(5000rpm、2分間)。上清をデカントし、沈殿物をもう1度洗浄した(50mL)。粗ペプチドを、真空下で2時間乾燥し、その後調製用HPLC(基本手順、方法7)により精製し、その後凍結乾燥して、最終産物配列番号51(16.1mg、2.81%)を得た。ESI-MS(M+1):1915.9、C941302416の理論値:1914.9、m/z測定値958.4、[M/2+H]+ 639.3[M/3+H]+。HPLC分析方法2、Rt=12.65分。
【0368】
同様に、配列番号50のペプチドを得た。
【0369】
【表5】
【0370】
配列番号52のペプチドの合成
CTCレジン(0.2mmol、sub=1.0mmol/g、200mg)及びFmoc-Met-OH(59.36mg、0.16mmol、0.8当量)を含む混合物に、DCM(5mL)を添加し、DIEA(4.0当量)を滴加した。レジンを2時間混合した。MeOHを添加し(0.5mL)、30分間混合した。他のアミノ酸は、HBTU(2.85当量)及びDIEA(6.0当量)で1時間カップリングした。最後の工程では、Fmoc-3-アミノプロパナール(R-01a)(1.5当量)及びトリメトキシメタン(6当量)及びCHCOOH(6当量)を含む混合物に、10分後、NaBH
CN(4.5当量)を添加し、約1時間反応させた。デブロッキングのために、DMF中20%ピペリジンを使用した。カップリング反応を、ニンヒドリン呈色反応によりモニターした。MeOHで洗浄した後、レジンを、真空下で2時間乾燥した。レジンを1%TFA/DCM(10mL)で5分間処理し、蒸発させて粗ペプチドを得、凍結乾燥して粗産物を得、粗物質を100mLのDCMに添加し、DIEAでpH>7に調整し、その後HATU(1.5当量)を添加した。蒸発させて、粗環化ペプチドを得た。粗環化ペプチドを、90%TFA/5%EDT/2.5%Tis/2.5%HOで2時間処理した。TFA混合物を、冷却メチルtert-ブチルエーテル(100mL)で沈殿させ、遠心分離した(5000rpm、2分間)。上清をデカントし、沈殿物をもう1度洗浄した(50mL)。粗ペプチドを、真空下で2時間乾燥し、その後調製用HPLC(基本手順、方法1)により精製し、その後凍結乾燥して、最終産物配列番号52(16.4mg)を得た。ESI-MS(M+1):1973.02、C971372516の理論値:1972.01、m/z測定値986.9、[M/2+H]+ 658.3[M/3+H]+。HPLC分析方法1、Rt=9.48分。
【0371】
配列番号53のペプチドの合成
CTCレジン(0.2mmol、sub=1.0mmol/g、200mg)及びFmoc-Met-OH(59.36mg、0.16mmol、0.8当量)を含む混合物に、DCM(5mL)を添加し、DIEA(4.0当量)を滴加した。レジンを2時間混合した。MeOHを添加し(0.5mL)、30分間混合した。他のアミノ酸は、HBTU(2.85当量)及びDIEA(6.0当量)で1時間カップリングした。最後のステップでは、Fmoc-2-アミノアセトアルデヒド(R-01b)(1.5当量)及びトリメトキシメタン(6当量)及びCHCOOH(6当量)を含む混合物に、10分後、NaBHCN(4.5当量)を添加し、約1時間反応させた。デブロッキングのために、DMF中20%ピペリジンを使用した。Fmoc-Gly-OH(R-02)(3当量)を、HBTU(2.85当量)及びDIEA(6当量)を用いてカップリングした。カップリング反応を、ニンヒドリン呈色反応によりモニターした。MeOHで洗浄した後、レジンを真空下で2時間乾燥し、以降、配列番号52と同じサイクレーション(cyclation)、切断、及び精製の手順(調製用HPLC基本手順、方法1)に従って、最終産物配列番号53(16.8mg)を得た。ESI-MS(M+1):2016.02、C981382617の理論値:2015.01、m/z測定値1008.5、[M/2+H]+672.6[M/3+H]+。HPLC分析方法1、Rt=8.56分。
【0372】
配列番号54のペプチドの合成
CTCレジン(0.2mmol、sub=1.0mmol/g、200mg)及びFmoc-Met-OH(59.36mg、0.16mmol、0.8当量)を含む混合物に、DCM(5mL)を添加し、DIEA(4.0当量)を滴加した。レジンを2時間混合した。MeOHを添加し(0.5mL)、30分間混合した。他のアミノ酸は、HBTU(2.85当量)及びDIEA(6.0当量)で1時間カップリングした。反応物(S)-10-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-11-(3-(3-((2,2,4,6,7-ペンタメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)スルホニル)グアニジノ)プロピル)-2,7-ジオキサ-4,10-ジアザドデカン-12-酸(R-03a)(1.5当量)を、HATU(1.9当量)及びDIEA(3.0当量)で1時間カップリングした。デブロッキングのために、DMF中20%ピペリジンを使用した。カップリング反応を、ニンヒドリン呈色反応によりモニターした。MeOHで洗浄した後、レジンを、真空下で2時間乾燥した。レジンを1%TFA/DCM(10mL)で5分間処理し、蒸発させて粗ペプチドを得、凍結乾燥して粗産物を得、粗物質を100mLのDCMに添加し、DIEAでpH>7に調整し、その後HATU(1.5当量)を添加した。蒸発させて、
粗ペプチドを得た。粗物質を、90%TFA/5%EDT/2.5%Tis/2.5%HOで2時間処理した。TFA混合物を、冷却メチルtert-ブチルエーテル(100mL)で沈殿させ、遠心分離した(5000rpm、2分間)。上清をデカントし、沈殿物をもう1度洗浄した(50mL)。粗ペプチドを、真空下で2時間乾燥し、その後調製用HPLC(基本手順、方法2)により精製し、その後凍結乾燥して、最終産物配列番号54(15.1mg)を得た。ESI-MS(M+1):2003.03、C981392517の理論値:2002.03、m/z測定値1002.1、[M/2+H]+ 668.3[M/3+H]+。HPLC分析方法2、Rt=12.65分。
【0373】
中間体I-14a:(S)-11-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-2,2-ジメチル-4-オキソ-12-(3-(3-((2,2,4,6,7-ペンタメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)スルホニル)グアニジノ)プロピル)-3,8-ジオキサ-5,11-ジアザトリデカン-13-酸の調製
【0374】
CTCレジン(5mmol、sub=1.0mmol/g、5.0g)及びFmoc-Arg(Pbf)-OH(3.24g、5.0mmol、1.0当量)を含む混合物に、DCM(50mL)を添加し、DIEA(4.0当量)を滴加した。レジンを2時間混合した。MeOHを添加し(5mL)、30分間混合した。Fmoc保護ペプチドレジン(9,メチルN2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-Nw-((2,2,4,6,7-ペンタメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)スルホニル)-L-アルギニネート)CTCレジン)を、DMF中20%ピペリジンで30分間処理した。デブロッキング後、レジンをDMF(20mL)で5回洗浄した。レジンを、THF(50mL)中NsCl(2.0当量)及びDIEA(4.0当量)で1時間処理し、その後DMF(5×)で洗浄し、レジンを、tert-ブチル(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバメート(2.0当量)及びPPh3(2.0当量)で処理し、DEAD(2.0当量)をTHF(100mL)に滴加し、レジンを1時間通気し、レジンをDMF(5×)で洗浄し、レジンを、DMF(100mL)中ナトリウムベンゼンチオレート(2.0当量)で1時間処理し、レジンをDMF(5×)で洗浄し、レジンを、DMF(50mL)中Fmoc-Cl(2.0当量)及びDIEA(4.0当量)で30分間処理した。カップリング反応を、ニンヒドリン呈色反応によりモニターした。レジンを、DMF(3×)及びMeOH(3×)で洗浄し、真空下で2時間乾燥した。その後、レジンを、1%TFA/DCM(50mL)で5分間処理し、蒸発させて粗物質を得た。
【0375】
中間体I-15a:N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N2-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-Nw-((2,2,4,6,7-ペンタメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)スルホニル)-L-アルギニンの調製
【0376】
HCl/EtOAc(4M、20mL)中のI-14a(2.00g、2.39mmol、1.00当量)溶液を、15℃で1時間撹拌した。TLCは、反応が終了したことを示した。混合物をろ過し、ろ過液を減圧下で濃縮し、化合物I-15a(900mg、粗)を白色固形物として得た。
【0377】
反応物R-03a:(S)-10-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-11-(3-(3-((2,2,4,6,7-ペンタメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)スルホニル)グアニジノ)プロピル)-2,7-ジオキサ-4,10-ジアザドデカン-12-酸の調製
【0378】
化合物I-15a(900mg、1.22mmol、1.00当量)、Fmoc-OSu(452.70mg、1.34mmol、1.10当量)、アセトン(5mL)中のNaHCO(408mg、1.22mmol、4.00当量)、HO(5mL)の混合物を、15℃で3時間撹拌した。TLCは、反応が終了したことを示した。アセトンを減圧下で除去し、残渣をHO(10mL)で希釈し、1M HClでpH=3に酸性化し、EA(50mL)で抽出し、HO(20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラム(DCM:MeOH=20:1)により精製して、化合物R-03a(800mg、54.75%収率)を白色固形物として得た。ESI-MS(M+1):958.4 C535910Sの測定値:957.4。LCMS手順は上記で規定されている通りである。
【0379】
生物学的試験
【0380】
1.組換えタンパク質の調製
タンパク質のC末端が6つのヒスチジンでタグ付けされたヒトFOXP3を産生するために、プラスミドpET20b FOXP3-Hisを生成した。手短かに言えば、プラスミドpDEST15-FOXP3(Casal博士、マドリード、スペインにより提供)をテンプレートとして使用し、プライマーUpper FOXP3 NdeI catatgcccaaccccaggc(配列番号55)及びLower FOXP3 gcggccgcggggccaggtgtagggtt(配列番号56)を使用して、FOXP3をPCRにより増幅した。得られた断片を、pET20bのNdeI及びNotI部位にサブクローニングした。プライマーUpper Runx1 atgcgtatccccgtagatg(配列番号57)及びLower Runx1 gtagggcctccacacggcctc(配列番号58)を使用して、健常志願者から得た(インフォームドコンセントに署名した後)活性化CD4 T細胞をPCRすることにより、pET45b His-Runx1を得、断片をpcDNA3.1にクローニングした。その後、pET45b及びpcDNA3.1-Runx1を、BamHI及びNotIで消化し、ライゲーションして、pET45b-Runx1を得た。プラスミドを使用して、組換えタンパク質発現用のBL21細胞(DE3;Novagen、シュヴァルバッハ、ドイツ)を形質転換した。形質転換したBL21細胞を、37℃にてLB培地で増殖させた(1リットルの最終培養培地)(アンピシリン0.1mg/mlを有する)。培養のODが0.5~1.0になったら、IPTG(0.4mM、終濃度)を添加した。その後、細菌を撹拌しながら一晩(overningt)培養し、8000rpmで10分間遠心分離した。その後、細胞ペレットを、4mlのTris-HCl 0.1Mに再懸濁し、-80℃で凍結した。その後、細胞ペレットを、解凍し、リソザイム(lisozyme)(25KU)及びプロテアーゼ阻害剤カクテルと共に、30℃で15分間インキュベートしてから、フレンチプレスで細胞溶解を誘導した。その後、得られたプールを、11.000rpmで20分間遠心分離した)。組換えタンパク質を、製造業者の使用説明書に従って、FPLCプラットフォーム(AKTA、Pharmacia)を使用して、親和性クロマトグラフィー(Histrap、Pharmacia)により、フレンチプレス細胞抽出物の可溶性画分から精製した。融合タンパク質GST-FOXP3(ヒトFOXP3遺伝子に由来するアイソフォームAに融合されたGST)をコードするプラスミドpDEST15-FOXP3を、組換えタンパク質発現用のBL21細胞に形質転換した。GST-FOXP3タンパク質を、上記に記載されているように、製造業者の使用説明者に従って高速タンパク質液体クロマトグラフィープラットフォーム(AKTA;Amersham)を使用して、親和性クロマトグラフィー(GSTrap;Amersham、ピスカタウエイ、ニュージャージー州)により、細胞抽出物の可溶性画分から精製した。溶出タンパク質を、Hitrap脱塩カラム(Pharmacia)を使用して脱塩し、クマシーブルー(Bio-Safeクマシー試薬;Bio-Rad、ハーキュリーズ、カリフォルニア州)を使用したSDS-PAGE及びエスタンブロットにより分析した。
【0381】
2.表面プラズモン共鳴及びAlphascreen技術による生体分子相互作用分析
ProteOn XPR36(Bio-Rad、ハーキュリーズ、カリフォルニア州、米国)光学バイオセンサーを使用して、表面プラズモン共鳴(SPR)により、FOXP3と結合するペプチドのスクリーニングを実施した。組換えタンパク質FOXP3-6Hisを、以前のセクションで開示されているようにE-Coliから産生及び精製し、スルホ-NHS及びEDC(Bio-Rad)カップリング試薬及び製造業者の使用説明書を使用して、GLMセンサチップ(176-5012、Bio-Rad)に共有結合で固定した。タンパク質固定化後、チップ表面をエタノールアミンで処理して、過剰な反応性エステルを不活化した。
【0382】
試験しようとするペプチドの個々の溶液(1~20μM)を、30μl/分の流れのランニング緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水、0.005%(v/v)Tween20、pH7.4)で、三重重複によりインジェクトした。スポット間シグナル(タンパク質が固定されていないチップ表面で得られた)を基準として使用した。結果は、本発明のペプチド/p60比として、下記の表6に要約されている。
【0383】
転写制御因子としての機能には、FOXP3の二量体化が必要であることが判明している。更に、FOXP3と転写因子Runx1との相互作用は、胸腺T細胞発生を含む正常な血球新生だけでなく、Tregサプレッサー活性にも、極めて重要に必要とされる(Lozanoら、Front Oncol.2013年、3巻:294頁に概説されている)。両活性は、P60とFoxp3との相互作用の区域である、Foxp3の中間領域により媒介される。従って、本発明者らは、製造業者の使用説明書(Perkin Elmer、ベネルックス)に従ってAlphascreen技術により、FOXP3/Runx1ヘテロ二量体化及びFOXP3/FOXP3ホモ二量体化に対するP60及びそれらの突然変異体の効果を研究した。AlphaScreen(商標)は、目的の生体分子にコンジュゲートされたドナー及びアクセプタービーズの接近を測定するように設計された、ビーズに基づく技術である。
【0384】
FOXP3/FOXP3ホモ二量体化を測定するために、組換えFoxp3をヒスティン(Histine)タグと共に上記のセクション(1)に開示されているよう発現させ、製造業者の使用説明書に従って、ニッケルキレートアクセプタービーズ(カタログAL108 Perkin Elmer)で捕捉した。GSTタグを発現する他の型の組換えFOXP3(上記のセクション(1)に開示されているように調製した)を、製造業者の使用説明書に従って、グルタチオンドナービーズ(Perkin Elmer カタログ6765300)で捕捉した。2つのタンパク質が共に相互作用すると、ドナー及びアクセプタービーズが接近する。ドナービーズの励起は、アクセプタービーズからの光の放射をもたらす。発生したシグナルは、タンパク質の量に比例した。反応は、96ウェルOptiwellマイクロタイタープレート(Perkin Elmer カタログ6005560)中の40μl最終容積で実施した。反応緩衝液は、20mM HEPES、pH7.9、200mM KCl、1mM MgCl、及び0.05%BSAを含んでいた。
【0385】
Foxp3-Runx1相互作用を測定するために、Foxp3-GST及びNFAT-6Hisタンパク質を使用した。
【0386】
ヘキサ-ヒスチジンタグと共にE.Coliで発現させた組換えRunx1(上記のセクション(1)に開示されているように得られた)を、製造業者の使用説明書に従って、ニッケルキレートアクセプタービーズで捕捉し、GSTタグと共に発現させた組換えFOXP3を、製造業者の使用説明書に従ってグルタチオンドナービーズ(Perkin E
lmer)で捕捉した。Hisタグ付Runx1(46nM終濃度)を、100nM GST-FOXP3及び試験しようとするペプチド(1から100μMまでの異なる濃度で添加した)と共に、室温で1時間インキュベートした。
【0387】
続いて、ニッケルキレートコーディングアクセプタービーズ及びグルタチオンドナービーズを、各ビーズの終濃度が20μg/mlになるように添加した。タンパク質及びビーズを室温で1時間インキュベートし、付随が生じることを可能にした。
【0388】
GSTタグ付きFOXP3(40nM)及びHisタグ付FOXP3(400nM)を、表示のペプチド(20μM)の存在下又は非存在下で1時間共培養した。その後、ドナー及びアクセプタービーズを、上記に記載のように添加し、2時間インキュベートした。
【0389】
反応の直射光への曝露をできるだけ回避し、アクセプタービーズからの光の放射を、表示のインキュベーション期間後に、EnVisionプレートリーダで測定した(Perkin Elmer、ベネルックス)。下記の表に提供されているデータは、倍数変化、つまり試験したペプチドのp60(配列番号1)に対する結合単位の比を提供する。
【0390】
表6:FoxP3との結合(FOXP3/FOXP3ホモ二量体化)

【表6】

【0391】
表7:FoxP3阻害(FOXP3/RunX1ヘテロ二量体化)
【表7】
【0392】
3.In Vitro Treg抑制アッセイ
【0393】
3.1.マウスTconv/Tregの精製
脾臓をBALB/cマウス(Harlan Laboratories)から摘出し、1ml注射器で100μm細胞ストレーナを通してホモジナイズして50mLコニカルチューブに入れ、PBS(無カルシウム)で2回すすいで、細胞をすべて回収した。細胞ホモジネートを、300×gで10分間遠心分離し、ホモジネートを、1脾臓当たり1mlのACK溶解緩衝液に再懸濁した。ゆっくりと2分間旋回させ、その後12mlのPBSを添加することにより反応を停止させた。
【0394】
細胞を300×gで10分間遠心分離し、CD25-及びCD25+細胞の精製を、製
造業者の使用説明者に従って磁気ビーズを使用して実施した(Miltenyi、CD25マイクロビーズキットMOUSE、Ref130-091-072)。細胞を標識した後、製造業者の使用説明書に従って、Automacs-Proデバイスを使用して、それらを精製した。陰性画分は、CD25-細胞に相当し、エフェクターTconv細胞として使用した。陽性画分は、CD25+T細胞に相当し、Treg細胞として使用した。抗CD25-APC標識及び抗CD4-FITC標識抗体を使用したフローサイトメトリーを使用して、単離細胞の純度を確認した。Foxp3発現を、製造業者(eBioscience)の使用説明者に従って、APCで標識された抗Foxp3染色抗体を使用して分析した。精製した細胞を洗浄し、培養培地に再懸濁し、アッセイのために、T細胞培養培地(10%ウシ胎仔血清及び抗生物質で補完されたRPMI1640)で2×10/ml(Tregsの場合)及び2×10/ml(Tconvの場合)の濃度に希釈した(以下を参照)。
【0395】
3.2.Tregサプレッサーアッセイ。
制御性T細胞(Treg)機能を測定するための最初のin vitroアッセイは、10年よりも以前に2つのグループにより記載された。CD25+T細胞集団が制御活性を有していたという観察は、マウス及びヒトに由来する天然Treg細胞の単離を可能にした。この知識により、CD4+CD25+T細胞は、集団をin vitroで共培養した際に、活性化CD4+CD25及びCD8+T細胞の増殖を強力に抑制することができることが示された。以下のプロトコールは、Treg機能が抗原提示細胞(APC)の非存在下で測定される基本的なタイプのin vitro Treg抑制アッセイである。このプロトコールでは、活性化は、抗CD3抗体により媒介され、2つの細胞タイプ、標的Tconv及びTregのみを含む。このプロトコールでは、実験は、96ウェル丸底プレートの総容積200μlにセットアップされる。試薬は全て、それらの所望の終濃度の4倍に調製し、総容積が200μlになり、従って活性成分の所望の終濃度が得られるように、50μlをアッセイに添加した。上記に記載されているように調製した精製Treg及びTconvを、T細胞培養培地で、それぞれ2×10/ml及び2×10/mlに希釈及び調整した。Treg及びTconvを、丸底96ウェルプレートの各50μl培養培地(10%ウシ胎仔血清及び抗生物質で補完されたRPMI1640)に添加した。50μlの抗CD3抗体を、刺激として添加して(終濃度は2.5μg/mlになる)、T細胞増殖を誘導した。50μLの試験しようとするペプチドの各々を、100μMの濃度で対応するウェルに添加し、最良の結果をもたらしたものを、より低い濃度で再び試験して、IC50値を決定した。最終容積は全てのウェルで200μlだった。Tconvのみ、Tconv+抗CD3、Tconv+抗CD3+Treg、又はTconv+抗CD3+Treg+ペプチドを、四重重複で試験した。Tregを有していないTconv+抗CD3を使用して、Tconvの最大増殖を決定し、Tconv+抗CD3+Tregを使用して、Treg阻害を決定した。プレートを、37℃、5%COで72時間インキュベートし、その後0.1μCi[H]チミジンでパルスした(1ウェル当たり25μlの培養培地中)インキュベーションの8時間後、細胞培養を、セルハーベスタ(Perkin Elmer)及びユニフィルタプレートを使用して回収した。その後、プレートを50℃で乾燥し、シンチレーション試薬(25μl)(Microscint、Perkin Elmer)を各ウェルに添加した。1分間当たりの計数(cpm)を、ダイレクトベータカウンタ(TopCount、Perkin Elmer)で決定した。
【0396】
in vitro Treg抑制アッセイの結果は、最も一般的には、[H]チミジンが増殖中の細胞内に組み込まれる際のcpmとして報告される。TregをTconv細胞と共に共培養すると、Tconv細胞の増殖能力が低減されるため、Tconv及びTregを両方とも含むウェルは、Tconv細胞のみを含むウェルよりも低いcpmを示すことになる。加えて、Tconv細胞のTregに対する比が増加すると共に、cp
m値は、比例的に増加する。Tregは、in vitroでの増殖が非常に不良であるため、cpm値に著しくは寄与しない。日毎又は試料毎のばらつきのため、実験の重複測定は、同一のcpm値をもたらさないことが多いだろう。そのため、わずかに(又は著しく)異なるcpm値を示す多数の実験を描写するために、抑制パーセント(%supp)算出アッセイを算出することができる。抑制パーセントは、下記式を使用して算出される:((Tconv細胞のみcpm-Tregで処理したTconv細胞のcpm)/Tconv細胞のみのcpm)*100。その代わりに、代表的な実験をcpmで描写してもよい。ペプチドが、Treg活性を阻害することができる場合、抗CD3刺激に応答したTconvのT細胞増殖の回復が予測されるべきであることが予測される。従って、下記式を使用したTreg活性の阻害%の計算を実施した:100*((Tconv細胞+抗CD3+Treg+ペプチドのcpm)-(Tconv細胞+抗CD3+Tregのcpm))/((Tconv細胞+抗CD3のcpm)-(Tconv細胞+抗CD3+Tregのcpm))。スクリーニング目的の場合、ペプチドのほとんどは、100μMで試験した。ある場合には、最適化ペプチドを、異なる濃度で試験して、Treg活性の50%を阻害することができるペプチド濃度(IC50)を算出した。
【0397】
結果は、下記の表8~10に要約されている。
【0398】
【表8】
【0399】
表8に提供されているデータから、Treg活性に対する阻害効果が達成され、50%Treg活性を阻害するために添加されるペプチドの量が顕著に低減される(p60の場合に使用される量と比較して)と結論付けることができる。
【0400】
表9:Treg阻害-阻害%(100μM)
【表9】
【0401】
表9に提供されているデータから、p60と比較して、Treg活性に対する阻害効果の増加が、本発明のペプチドにより達成されると結論付けることができる。
【0402】
表10:二量体化阻害結果
【表10】
【0403】
4.In vivo実験
【0404】
4.1 腫瘍拒絶実験
腫瘍拒絶実験では、Hepa129細胞(10細胞/マウス)を、C3H/HeNマウス(n=6)に皮下注射(sc)した。10日後に、腫瘍が直径5mmに達したら、マウスを異なる実験群に無作為に分割した。一群のマウスを、抗PD1抗体(BE0146、BioXcell)でi.p.処置した(50μg/マウス)。この初回投与の1週間後に、抗体投与を繰り返した。抗PD1で処置したマウスの群には、10日目から20日目まで環状ペプチド配列番号50も投与した(50μg/マウス/日)。2つの垂直な直径(ミリメートル)の平均として表される腫瘍サイズを、定期的な間隔で測定した。平均腫瘍直径が20mmよりも大きくなったら、マウスを犠牲にした。マウスは、実験期間中、適切な動物ケアセンターに収容され、動物実験に必要とされる国際的なガイドラインに従って取り扱われた。実験は、組織内倫理委員会による承認を受けた。
【0405】
結果は、図1及び図2に提供されている。抗PD1投与は、試験した用量では有意な抗腫瘍効果を示さなかった。しかし、重要なことには、抗PD1抗体投与を配列番号50のペプチドの投与と組み合わせると、顕著な抗腫瘍活性が検出された。
【0406】
抗腫瘍ワクチン接種実験では、不完全フロイントアジュバント(IFA)で乳化された50ナノモル/マウスのペプチドAH1で免疫されたBALB/c動物(Casaresら、2010年、上記)を、10ナノモル/マウスの、表示されている本発明のTreg阻害ペプチド配列番号51又は生理食塩水で、1日1回で10日間、腹腔内処置した。10日目に、106個のCT26腫瘍細胞をマウスにs.c.注射した。腫瘍サイズを、週2回カリパスでモニターし、式V=(長さ×幅2)/2により表した。腫瘍サイズが4cmよりも大きな容積に達したら、マウスを犠牲にした。
【0407】
結果は、図3に提供されている。本発明のペプチドは、結腸がん細胞の増殖の予防に顕著な効果を示す。実際、CT26腫瘍細胞注射後の30日目には、本発明のペプチドは、腫瘍の増殖を予防し、p60は効率的でなく、約2000mmの腫瘍容積をもたらした。
【0408】
5.統計分析
正規性をShapiro-Wilk W試験で評価した。統計分析は、パラメトリック検定(スチューデントt検定及び一元配置ANOVA)及びノンパラメトリック(クラスカル-ワリス及びマン-ウィットニーU)検定を使用して実施した。全ての試験で、p値<0.05を統計的に有意であるとみなした。連続変数の記述的データは、平均±SEMとして報告されている。Windows用のGraphPad Prismを統計分析に使用した。
【0409】
6.ヒト及びマウス肝臓ミクロソーム安定性
収集したデータを分析して、試験したペプチドの1μM終濃度での半減期(t1/2、分)を算出した。手短かに言えば、試験したペプチド(10mM)の5μLのストック溶液を、495μLの1:1メタノール/水で希釈した(終濃度は100μM、50%MeOH)。その後、50μLのこの中間溶液を、450μLの100mMリン酸カリウム緩衝液で希釈して、10μMの濃度にした(作業用溶液、5%MeOH)。NADPH再生系は、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(Sigma、カタログ#N0505)、イソクエン酸(Sigma、カタログ#I1252)、及びインキュベーション時には1単位/mLの終濃度のイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(Sigma、カタログ#I2002)を含む。
【0410】
ヒト肝臓ミクロソームを、BD Gentest(カタログ#452117)から取得し、マウス肝臓ミクロソームを、Xenotech(カタログ#M1000)から取得し、0.7mgタンパク質/mLの終濃度にした。10μLのペプチド溶液及び80μLのミクロソーム溶液の容積を、96ウェルプレートに添加し、37℃で10分間インキュベートした。10μLのNADPH再生系を添加することにより反応を開始させ、300μLの停止溶液(100ng/mLのトルブタミド及び100ng/mLのラベタロールを内部標準として含む、4℃のACN)を、様々なインキュベーション時間(0、5、10、20、30、及び60分間)で添加することにより停止させた。試験化合物の濃度を、分析物/内部標準のピーク面積比を使用してLC-MS/MS法(島津製作所LC20-AD/API4000)により定量化し、各時間地点下での親化合物の喪失パーセントを算出して、半減期を決定した。
【0411】
表11及び表12は、推定半減期(t1/2、分)、並びにヒト肝臓ミクロソーム(HLM)及びマウス肝臓ミクロソーム(MLM)と共に20分間及び60分間インキュベーションした後に残存するペプチドのパーセンテージ(%)を示す。
【0412】
【表11】
【0413】
【表12】
【0414】
本発明の環状ペプチドは、p60と比較して、顕著に増加した安定性を示す。
【0415】
参考文献リスト
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tool」1990年、J.Mol.Biol、215巻、403~410頁;
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図1
図2
図3
【配列表】
2022191303000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2022-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)のペプチド:
【化1】

式中、
及びRが一緒になってビルラジカルリンカーを形成し;
2’が水素であり;
前記R及びRにより形成されるリンカービルラジカルが、1位のアミノ酸残基のアミノ末端基及び15位のアミノ酸残基のアルファ炭素に結合されており、C(=O)、(C~C10)アルキル-NR-C(=O)、(C~C10)アルケニル-NR-C(=O)、(C~C10)アルキニル-NR-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR-C(=O)-(C~C10)アルキル-NRC(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-(C~C10)アルキル-NR10-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-NR11-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-NR12-(C~C10)アルキル-NR13C(=O)、(C~C10)アルキル-NR1415-(C~C10)アルキル-NR16-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-O-(C~C10)アルキル-NR17-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-C(=O)-(C~C10)アルキル-NR18-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルケニル-C(=O)、(C~C10)アルキニル-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-C(=O)-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-O-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR1920-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-NR21-C(=O)-(C~C10)アルキル-C(=O)、(C~C10)アルキル-C(=O)-NR22-(C~C10)アルキル-C(=O)からなる群から選択され;
又はその代わりに、
が、水素、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル、及び-C(=O)-(C~C20)アルキルからなる群から選択されるモノラジカルであり;
及びR2’の一方が水素ラジカルであり、他方が、-C(=O)NR及び-C(=O)OHからなる群から選択されるモノラジカルであり;

及びRが、同じ又は異なるモノラジカルであり、水素及び(C1~C10)アルキルからなる群から選択され;並びに

~R22が、水素、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されるモノラジカルであり、

前記(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルが、非置換であるか又は置換されており、
「置換(C~C10)アルキル」は、前記(C~C10)アルキルが、ハロゲン、-OR23、-NO、-NR2425、-SR26、-SO27、-CO28、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルキル-O-、及び(C~C)シクロアキルからなる群から選択される1又は複数のラジカルにより置換されており、ここで、R23~R28モノラジカルが、同じか又は異なり、-H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されることを意味し;
「置換(C~C10)アルケニル」は、前記(C~C10)アルケニルが、ハロゲン、-OR29、-NO、-NR3031、-SR32、-SO33、-CO34、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルキル-O-、及び(C~C)シクロアキルからなる群から選択される1又は複数のラジカルにより置換されており、R29~R34モノラジカルが、同じか又は異なり、-H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されることを意味し;
「置換(C~C10)アルキニル」は、前記(C~C10)アルキニルが、ハロゲン、-OR35、-NO、-NR3637、-SR38、-SO39、-CO40、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルキル-O-、及び(C~C)シクロアキルからなる群から選択される1又は複数のラジカルにより置換されており、R35~R40モノラジカルが、同じか又は異なり、-H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、及び(C~C10)アルキニルからなる群から選択されることを意味し;

及びX が同一の又は異なる、D-又はL-非極性アミノ酸を表わし;並びに、

、X 、及びX が同一の又は異なるアミノ酸残基を表わす;

(b)in vitro及び/又はin vivoでFoxP3と結合し、FoxP3活性を阻害する能力を維持する、式(I)のペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有するペプチド;並びに、

(c)前記(a)又は(b)で定義されたペプチドの少なくとも11個の連続アミノ酸の部分を含み、上記で定義されたX 及びX を含み、並びにin vitro及び/又はin vivoでFoxP3と結合し、FoxP3活性を阻害する能力を維持る、前記(a)又は(b)で規定されたペプチドの断片;
からなる群から選択される、ペプチド又はその薬学的な塩。
【請求項2】
及びRが、請求項1記載のリンカービルラジカルを形成するか、
又はその代わりに、
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル、又は-C(=O)-(C1~C20)アルキルであり;
が水素であり;及び
2’が-COOHである;
又はその代わりに、
が水素であり、
及びRの一方が水素であり、他方が-C(=O)NRであり;及び
及びRが、請求項1に定義された通りである;
又はその代わりに
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキル、又は-C(=O)-(C~C20)アルキルであり;
及びRの一方が-C(=O)NRであり;及び
及びRが、請求項1で定義された通りである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
(a)X 及びX がL-又はD-Alaを表わし;X が非極性アミノ酸残基を表わし;X が塩基性アミノ酸残基を表わし;X が非極性アミノ酸残基を表わし;
又は代わりに、
(b)X が非極性アミノ酸残基を表わし;X が塩基性アミノ酸残基を表わし;X が非極性アミノ酸残基を表わし;
又は代わりに、
(c)X がL-又はD-Pheを表わし;X がL-又はD-Lysを表わし;X がL-又はD-Proを表わし;
又は代わりに、
(d)X 及びX がL-又はD-Alaを表わし;X がL-又はD-Pheを表わし;X がL-又はD-Lysを表わし;X がL-又はD-Proを表わし;
又は代わりに、
(e)X がL-Pheを表わし;X がL-Lysを表わし;X がL-Proを表わし;
又は代わりに、
(f)X 及びX がL-又はD-Alaを表わし;X がL-Pheを表わし;X がL-Lysを表わし;X がL-Proを表わす、請求項1又は2に記載のペプチド。
【請求項4】
~Xの少なくとも1つがD-アミノ酸である、請求項1~のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項5】
前記リンカービルラジカルが、C(=O)、(C~C10)アルキル-NH-C(=O)、(C~C10)アルケニル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキニル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキル-NH-C(=O)-(C~C10)アルキル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-NH-C(=O)、(C~C)アルキル-NH-C(=O)、(C~C)アルケニル-NH-C(=O)、(C~C)アルキニル-NH-C(=O)、(C~C)アルキル-NH-C(=O)-(C~C)アルキル-NH-C(=O)、(C~C)アルキル-O-(C~C)アルキル-NH-C(=O)、(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルケニル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルキニル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)-(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C10)アルキル-O-(C~C10)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルケニル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルキニル-N(CH)-C(=O)、(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)-(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)、及び(C~C)アルキル-O-(C~C)アルキル-N(CH)-C(=O)からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項6】
が、-C(=O)-CH-NH-C(=O)-(C~C)アルキルであるか、又はその代わりにR が水素であり、且つR 及びR 2’ のうちの一方が-COOHであり、他方が水素である、請求項1~5のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項7】
及びRが水素であるか、又はその代わりにR及びRの一方が水素であり、他方がメチルであるか、又はその代わりにR及びRが両方ともメチルである、請求項1~及びのいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項8】
N(t)のアミノ酸残基及び/又はC(t)のアミノ酸残基がD-配置を有する、請求項1~のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項9】
配列番号41~43、45、及び50~54からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のペプチドをコードする、核酸。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載のペプチドをコードする核酸を含む、ベクター。
【請求項12】
(i)請求項1~のいずれか1項に記載のペプチド;及び
(ii)ペプチドを細胞に内部移行させる能力を有する細胞透過剤
を含む、構築体。
【請求項13】
(a)請求項1~のいずれか1項に記載のペプチド若しくは請求項12記載の構築体、又は請求項1~のいずれか1項に記載のペプチド及び請求項12記載の構築体の両方;並びに
(b)1又は複数の免疫調節化合物
を含む、組合せ。
【請求項14】
治療有効量の請求項1~のいずれか1項に記載のペプチド、請求項12記載の構築体、又は請求項13記載の組合せを、少なくとも1つの獣医学的に又は薬学的に許容される賦形剤と共に含む、獣医学的組成物又は医薬組成物。
【請求項15】
薬剤として使用するための、請求項1~のいずれか1項に記載のペプチド、請求項12記載の構築体、請求項13記載の組合せ、又は請求項14記載の獣医学的組成物若しくは医薬組成物。
【請求項16】
新生物疾患の治療又は予防に使用するための、請求項1~のいずれか1項に記載のペプチド、請求項12記載の構築体、請求項13記載の組合せ、又は請求項14記載の獣医学的組成物若しくは医薬組成物。
【請求項17】
前記新生物疾患が結腸がん又は肝臓がんである、請求項16に記載の獣医学的組成物若しくは医薬組成物。
【外国語明細書】