(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191331
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】炎症及び疼痛の治療のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07D 233/50 20060101AFI20221220BHJP
A61K 31/4168 20060101ALI20221220BHJP
A61K 31/201 20060101ALI20221220BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221220BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221220BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221220BHJP
C07C 237/04 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C07D233/50 CSP
A61K31/4168
A61K31/201
A61K9/08
A61K9/20
A61P29/00
C07C237/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022160443
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2020002379の分割
【原出願日】2015-05-07
(31)【優先権主張番号】89/CHE/2015
(32)【優先日】2015-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】517111044
【氏名又は名称】セリックス バイオ プライヴェート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CELLIX BIO PRIVATE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マヘッシュ カンドゥラ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】炎症及び疼痛の治療のための医薬組成物を提供する。
【解決手段】下式のいずれかの化合物を含む医薬組成物、並びに該医薬組成物は、経口投与、遅延放出若しくは徐放、経粘膜投与、シロップ、粘膜付着剤、口腔用製剤、粘膜付着性錠剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、経口溶液、経直腸投与、頬内投与、又は経皮投与により治療を必要とする患者に有効な投与量で治療するために配合される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(式中、
RHは、独立して、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す)の化合物並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、鏡像異性体及び立体異性体。
【請求項2】
式II:
【化2】
(式中、
RHは、独立して、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、n-アセチルシステイン(nac)、フロエート、メチルフロエート、エチルフロエート、アミノカプロン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す)の化合物並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体及び立体異性体。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項4】
請求項2に記載の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項5】
経口投与、遅延放出若しくは徐放、経粘膜投与、シロップ、粘膜付着剤、口腔用製剤、粘膜付着性錠剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、経口溶液、経直腸投与、頬内投与、又は経皮投与により治療を必要とする患者に有効な投与量で基礎にある病因を治療するために配合される、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
経口投与、遅延放出若しくは徐放、経粘膜投与、シロップ、粘膜付着剤、口腔用製剤、粘膜付着性錠剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、経口溶液、経直腸投与、頬内投与、又は経皮投与により治療を必要とする患者に有効な投与量で基礎にある病因を治療するために配合される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
炎症媒介性の疼痛の治療用に配合されている、請求項5に記載の化合物及び組成物。
【請求項8】
炎症媒介性の疼痛の治療用に配合されている、請求項6に記載の化合物及び組成物。
【請求項9】
式I:
【化3】
からなる、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式II:
【化4】
又は
【化5】
からなる、請求項2に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2015年1月6日出願のインド仮特許出願第89/CHE/2015号の利益を主張するものであり、その開示全体があらゆる目的に依拠し、引用することにより本出願の一部をなす。
【0002】
本開示は概ね、炎症及び疼痛の治療のための化合物及び組成物に関する。より詳細には、本発明は、薬学的に許容される用量の化合物、結晶、溶媒和物、鏡像異性体、立体異性体、エステル、水和物又はそれらの混合物を用いた被験体の治療に関する。
【背景技術】
【0003】
口腔炎症とも呼ばれる口内炎及び口腔痛は、患者の約40%に起こる癌化学療法及び放射線療法によく見られる衰弱性合併症である。この合併症は、細胞毒性型化学療法剤の全身的作用及び口腔粘膜への放射線の局所性効果に起因するものである。口内炎及び口腔痛は、発赤から重度の潰瘍までの範囲に及ぶ口腔粘膜の炎症である。
【0004】
炎症及び疼痛の症状は、疼痛及び不快感から食物又は流動物への耐容不能にまで及ぶ。また炎症及び疼痛は、患者の化学療法又は放射線療法のいずれかへの耐性能力を制限することもある。炎症及び疼痛は、治療を遅らせ、こうして癌療法の有効性を制限するほど重症なことがある。口腔粘膜が損傷され、化学療法及び放射線療法の結果として免疫が低下した患者は、また口腔内の日和見感染にかかりやすい。炎症及び疼痛は、患者の歯茎及び歯の状態に影響を及ぼすことがあり、話し方及び自尊感情が低下し、更には患者の治療及び/又は緩和ケアへの応答を損なうことがある。したがって、炎症及び疼痛を抑えることは極めて重要である。
【0005】
疼痛、口腔機能不全及び胃腸障害は、等級又は重症度とは関係なく、粘膜炎を伴う患者がよく経験することである。粘膜組織における急速な有糸分裂の速度により、化学療法及び放射線の両方による損傷を極めて受けやすくなる。粘膜炎は、栄養状態、話し方、快適さ及び治療コンプライアンスに影響を及ぼすことがある。口腔粘膜炎による疼痛は、頭頸部癌の治療及び化学療法を受けている患者が最も苦しめられる症状として報告されている。
【0006】
またいくつかの研究により、硬口蓋及び舌の上表面のような角質化された表面でのこれらの病変の分布も報告されている。これらの領域内で潰瘍が形成されている場合は、ウイルス感染又はその他の原因を排除するために、病変から培養組織及び/又は生検材料を採取する必要がある。数ミリメートルから数センチメートルまでの範囲の長さに及ぶ発赤及び/又は潰瘍が見られることがある。潰瘍からの出血はよく見られるが、出血は、しばしば患者の血小板数の激しい低下、つまり血小板減少症と呼ばれる状態を招く。
【0007】
新規の療法が効果的であることが示されるまで、急性口腔痛及び粘膜炎によって引き起こされる感情的かつ肉体的な苦しみを減らすために、多様な、エビデンスに基づく介入的アプローチが必要とされている。
【0008】
急性の発症の管理は、多くの場合、疾患の基礎病因及び症状の対処に依存する。現在、炎症及び疼痛の治療、又はその発症及びそれらの関連の合併症の進行を遅延させるための新たな組成物を当該技術分野において必要としている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、炎症及び疼痛等の病態を治療し、予防し、及び/又はその作用を改善するための化合物、これらの化合物を含有する組成物、及びこれらを使用する方法を提供する。
【0010】
本明細書において、本発明は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される水和物又は溶媒和物を含む組成物を提供する。本発明はまた、1つ以上の式Iの化合物又はその中間体と薬学的に許容される担体、ビヒクル、又は希釈剤の1つ以上とを含む医薬組成物を提供する。これらの組成物を、炎症及び疼痛、並びにそれらの関連の合併症の治療に使用することができる。
【化1】
並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、鏡像異性体及び立体異性体。
【0011】
上記式中、
RHは、独立して、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す。
【0012】
上記組成物は、一般的に、クロニジンがプロトン化されており、かつ薬学的に許容される塩の酸部分[RH]が少なくとも部分的にイオン型である、クロニジン及び[RH]から選択される酸部分[RH]含有化合物の水和物又は溶媒和物の形態の化合物である。しかしながら、ある場合には、例えば環境のpHに応じて、該組成物は、クロニジンと酸成分[RH]との混合物の形態であってよい。また本発明は、式Iの組成物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0013】
別の態様において、式II:
【化2】
の化合物並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体及び立体異性体が記載される。
【0014】
上記式中、
RHは、独立して、
【化3】
、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、n-アセチルシステイン(nac)、フロエート、メチルフロエート、エチルフロエート、アミノカプロン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す。
【0015】
上記組成物は、典型的に、リドカインがプロトン化された形態であり、かつ酸部分RHが少なくとも部分的にイオン型である、リドカイン及び選択された酸部分RH含有化合物の塩の形態の化合物である。しかしながら、ある場合には、例えば環境のpHに応じて、該組成物は、リドカインとRHによって表される酸部分との混合物の形態であってよい。また本発明は、式IIの組成物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0016】
特定の実施形態において、式III:
【化4】
の化合物並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体及
び立体異性体が記載される。
【0017】
上記式中、
RHは、独立して、
【化5】
、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、n-アセチルシステイン(nac)、フロエート、メチルフロエート、エチルフロエート、アミノカプロン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す。
【0018】
上記組成物は、一般的に、ベンゾカインがプロトン化された形態であり、かつ酸部分RHが少なくとも部分的にイオン型である、ベンゾカイン及びRHから選択された酸部分含有化合物の塩の形態の化合物である。しかしながら、ある場合には、例えば環境のpHに応じて、該組成物は、ベンゾカインとRHによって表される酸部分との混合物の形態であってよい。また本発明は、式IIIの組成物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0019】
更なる態様において、式IV:
【化6】
の化合物並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体及び立体異性体が記載される。
【0020】
上記式中、
RHは、独立して、
【化7】
、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、n-アセチルシステイン(nac)、フロエート、メチルフロエート、エチルフロエート、アミノカプロン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す。
【0021】
上記組成物は、一般的に、プリロカインがプロトン化された形態であり、かつ酸部分RHが少なくとも部分的にイオン型である、プリロカイン及びRHから選択された酸部分含
有化合物の塩の形の化合物である。しかしながら、ある場合には、例えば環境のpHに応じて、該組成物は、プリロカインと酸部分RHとの混合物の形態であってよい。また本発明は、式IVの組成物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0022】
更なる態様において、式V:
【化8】
の化合物並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体及び立体異性体が記載される。
【0023】
上記式中、
RHは、独立して、
【化9】
、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、n-アセチルシステイン(nac)、フロエート、メチルフロエート、エチルフロエート、アミノカプロン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す。
【0024】
上記組成物は、一般的に、ブピバカインがプロトン化された形態であり、かつ酸部分RHが少なくとも部分的にイオン型である、ブピバカイン及びRHから選択された酸部分含有化合物の塩の形態の化合物である。しかしながら、ある場合には、例えば環境のpHに応じて、該組成物は、ブピバカインと酸部分RHとの混合物の形態であってよい。また本発明は、式Vの組成物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0025】
本明細書において、本出願はまた、本明細書に開示の医薬組成物のいずれかを含むキットを提供する。キットは、炎症及び疼痛又はその関連の合併症の治療に使用するための説明書を含むことができる。
【0026】
本出願はまた、薬学的に許容される担体と本明細書の組成物のいずれかとを含む医薬組成物を開示する。いくつかの態様において、医薬組成物を、経口溶液、洗口液、口内消毒液、全身投与、経口投与、徐放、非経口投与、注射、皮下投与、又は経皮投与用に配合する。
【0027】
本明細書において、本出願は、本明細書に記載の医薬組成物を含むキットを更に提供する。キットは、炎症及び疼痛又はその関連の合併症の治療に使用するための説明書を更に含むことができる。
【0028】
本明細書に記載の組成物にはいくつかの使用方法がある。本出願は、例えば、炎症及び疼痛又は、代謝の若しくは遺伝的な病態若しくは障害、代謝性疾患、慢性疾患若しくは障害;神経変性障害、代謝の病態、肝臓病系、癌、呼吸器系、血液系、整形外科系、心血管系、腎臓、皮膚、血管系、若しくは眼系合併症により明らかとなるその関連の合併症に罹患した患者の治療方法を提供する。
【0029】
例示的な実施形態において、式I、式III、式VIの化合物の例を、以下に示す:
【化10】
【化11】
【0030】
実施形態の例を限定ではなく例示として添付の図面の図に示し、同様の参照符号は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】式Iの13C-NMRの結果を示す図である。
【
図4】式IIの13C-NMRの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
本明細書において使用される以下の用語及び語句は、以下に記載の意味を有するものとする。他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0033】
同じ分子式を有するが、原子の結合の性質若しくは配列又は空間における原子の配置が異なる化合物を「異性体」と呼ぶ。空間における原子の配置が異なる異性体を「立体異性体」と呼ぶ。ジアステレオマーは鏡像異性体ではない、1つ以上のキラル中心で向かい合う立体配置を有する立体異性体である。互いに重ね合わせることができない鏡像の、1つ以上の不斉中心を担持する立体異性体は、「鏡像異性体」と呼ぶ。化合物が不斉中心を含むとき、例えば炭素原子が4つの異なる基と結合するのであれば、1対の鏡像異性体が可能となる。鏡像異性体は、その不斉中心(単数又は複数)の絶対配置によって特徴づけら、またカーン・インゴルド・プレローグのR及びS配位則により、又は分子が偏光面で回転し、右旋性又は左旋性と(すなわち、それぞれ(+)又は(-)の異性体として)表されることにより説明される。キラル化合物は、個々の鏡像異性体又はそれらの混合物としてのいずれかとして存在することができる。等しい量の鏡像異性体を含有する混合物は「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0034】
本明細書において使用される場合「代謝の病態」という用語は、代謝の先天異常(又は遺伝的な代謝の病態)を指し、代謝の病態は1つ以上の代謝経路の欠失、特に酵素の機能が影響を受け、かつ欠損しているか、又は完全に欠損しているかにより生じる遺伝的障害である。
【0035】
本明細書において使用される場合「多形体」という用語は、当該技術分野において認められており、所与の化合物の結晶構造の1つを指す。
【0036】
本明細書において使用される場合「非経口投与」及び「非経口により投与する」という語句は、注射等の腸溶投与及び局所投与以外の投与方法を指し、静脈内、筋肉内、胸膜内、血管内、心膜内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、及び胸骨内注射及び注入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本方法によって治療が行われる「患者」、「被験体」、又は「宿主」は、ヒト又は非ヒト動物、例えば霊長類、哺乳動物、及び脊椎動物のいずれかを意味する。
【0038】
「薬学的に許容される」という語句は、当該技術分野において認められている。特定の実施形態において、この用語は、組成物、ポリマー、及び他の物質及び/又は剤形を含み、これらは、正当な医学的判断の範囲において、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症を伴うことなく、哺乳動物、ヒト、及び動物の組織に接触させての使用に適している。
【0039】
「薬学的に許容される担体」という語句は、当該技術分野において認められており、体内の一器官又は一部分から体内の別の器官又は一部分に任意の対象の組成物を運搬又は輸送することに関与する、例えば薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクル、例えば液体若しくは固体の充填剤、希釈剤、溶媒又は封入材を含む。各担体は、対象の組成物の他の成分と相溶性があり、患者に有害でないという意味で、「許容されるもの」でなければならない。特定の実施形態において、薬学的に許容される担体は非発熱性である。薬学的に許容される担体として機能する材料のいくつかの例として、(1)糖、例えばラクトース、グルコース、及びスクロース;(2)デンプン、例えばコーンスターチ及びジャガイモデンプン;(3)セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;(4)トラガント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバター及び坐剤ワックス;(9)油、例えばピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱性物質除去水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;及び(21)製剤処方に使用される他の非毒性相溶性物質が挙げられる。
【0040】
「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下において、本発明の治療効果のある物質に変換される化合物を包含することを意図する。プロドラッグを作製する一般的な方法は、生理学的条件下において、加水分解して、所望の分子が現れるよう選択された部分を含むものである。他の実施形態において、プロドラッグは宿主動物の酵素活性により変換される。
【0041】
「予防の又は治療の」処置という用語は、当該技術分野において認められており、宿主
に対象の組成物の1つ以上を投与することを含む。望まない病態(例えば、宿主動物の疾患又は他の望まない状態)が臨床的に表れる前に投与する場合、この処置は予防であり、すなわち望まない病態の発症から宿主を保護し、一方、望まない病態が現れた後に投与する場合、この処置は治療である(すなわち、既存の望まない病態又はその副作用を減少、改善、又は安定化させることを目的とする)。
【0042】
本明細書において使用される場合、「予測する」という用語は、関連する疾患の患者が、今後定義された時間ウィンドウ(予測ウィンドウ)内で異常又は合併症及び/又は末期血小板凝集又は血小板不良及び/又は死亡(すなわち死亡率)となる確率を評価することを指す。死亡率は中枢神経系又は合併症が原因となり得る。予測ウィンドウは、被験体が予測確率により上記合併症の1つ以上を発症するであろう間隔である。予測ウィンドウは、本発明の方法により分析したときの被験体の残りの全生存期間である。
【0043】
「治療すること」という用語は、当該技術分野において認められており、疾患、障害、及び/又は病態の素因があるが、まだそのように診断はされていない動物の疾患、障害、又は病態の発症を予防することと、疾患、障害、又は病態を阻害、例えばその進行を妨げることと、疾患、障害、又は病態を緩和、例えば疾患、障害、及び/又は病態の退行を生じることとを含む。疾患又は病態の治療には、基礎にある病態生理に影響を及ぼさないとしても、特定の疾患又は病態の少なくとも一症状の改善が含まれ、例えば炎症及び疼痛、痛みを伴う炎症及び消化管内側の粘膜の潰瘍、唾液腺機能不全、紅斑、粘膜、歯列/歯根及び歯根膜を含む口腔組織の炎症状態、口腔組織の感染症並びに炎症及び疼痛及びその他の関連疾患又は任意のその他の医学的状態の治療を含み、上記治療は、当該技術分野において十分に理解されており、かつ上記治療には、該組成物が投与されていない被験者と比較して、被験者における医学的状態の症状の頻度を減らすか、又は該症状の発症を遅延させる組成物の投与が含まれる。
【0044】
「治療有効量」という語句は、当該技術分野において認められている用語である。特定の実施形態において、この用語は、任意の医学的処置に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比にて或る程度の所望の効果が得られる、本明細書に開示の溶媒和物又は水和物又は組成物の量を指す。特定の実施形態において、この用語は、一定期間における医学的症状を排除又は低減させるために必要な又は十分な量を指す。有効量は、治療対象の疾患又は病態、投与する特定の標的構築物、被験体の大きさ、又は疾患若しくは病態の重症度等の因子に応じて変化する。当業者であれば、過度の実験を必要とせずに特定の組成物の有効量を経験的に決定することができる。
【0045】
特定の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物を、上記組成物が予防の又は治療の処置の一部として治療有効量にて患者に送達されるように配合する。患者に投与する組成物の所望の量は、薬物の吸収、不活性化、及び排泄率並びに対象の組成物からの水和物又は溶媒和物及び組成物の送達率に左右される。投与量の値も、軽減させる病態の重症度に伴い変化することに留意されたい。任意の特定の被験体において、特定の投与量の投薬計画は、個人の必要量及び組成物を投与する者又は投与を監督する者の専門的な判断により経時的に調整されるべきであることが更に理解される。通例、投薬は当業者に公知の技術を用いて決定される。
【0046】
さらに、任意の特定の溶媒和物又は水和物又は組成物の最適な濃度及び/又は数量すなわち量を、治療のパラメータの変動に適応するよう調整することができる。このような治療のパラメータには、製剤の臨床用途、例えば治療部位、患者の種類、例えばヒト又は非ヒト、成人又は小児、及び疾患又は病態の性質が挙げられる。
【0047】
特定の実施形態において、本明細書に挙げられた対象の組成物の投与量を、治療用組成
物又は他の封入材の血漿濃度を参照して決定することができる。例えば、最大血漿濃度(Cmax)及び0時間から無限時間までの血漿濃度時間曲線下面積を使用することができる。
【0048】
医薬組成物又は他の物質に対して使用するとき、「徐放」という用語は、当該技術分野において認められている。例えば、経時的に物質を放出する対象の組成物は、物質の全量を生物学的に一度に利用することができるボーラス型の投与とは対照的に、徐放特性を示すことができる。例えば、特定の実施形態において、血液、髄液、粘液分泌物、リンパ液等を含む体液と接触させると、薬学的に許容される賦形剤の1つ以上は、その中に組み込まれる任意の物質、例えば治療の及び/又は生物学的に活性な溶媒和物又は水和物及び/又は組成物を同時に放出しながら、(ボーラスによる放出に比べ)持続して又は長時間かけて徐々に又はゆっくりと分解(例えば、加水分解により)することができる。この放出により、治療有効量の本明細書に開示の治療剤のいずれかを長時間送達することができる。
【0049】
「全身投与」、「全身に投与」、「末梢投与」、及び「末梢に投与」という語句は当該技術分野において認められており、対象の組成物、治療用物質又は他の物質を治療対象の疾患部位から離れた部位に投与することを含む。治療対象の疾患に薬剤を投与することは、薬剤が投与後全身に広がる場合であっても、中枢神経系へ直接ではなく、例えば患者の系に入り、代謝等のプロセスが行われるような皮下投与により「局部」又は「局所」又は「局所的」投与と呼ぶことができる。
【0050】
「治療有効量」という語句は、当該技術分野において認められている用語である。特定の実施形態において、この用語は、任意の医学的処置に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比にて或る程度の所期の効果を得る、本明細書に開示の溶媒和物又は水和物又は組成物の量を指す。特定の実施形態において、この用語は、医学的症状を一定期間にわたり排除又は低減させるために必要な又は十分な量を指す。有効量は、治療対象の疾患又は病態、投与する特定のターゲティングコンストラクト、被験体の大きさ、又は疾患若しくは病態の重症度等の因子に応じて変化する。当業者であれば、過度の実験を必要とせずに、特定の組成物の有効量を経験的に決定することができる。
【0051】
本開示はまた、本明細書に開示の組成物のプロドラッグ及び該プロドラッグの薬学的に許容される水和物又は溶媒和物を検討する。
【0052】
本出願はまた、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を開示し、式I、式II、式III又は式IVの化合物の組成物を全身又は局所又は経口投与用に配合することができる。医薬組成物を経口投与、経口溶液、注射、皮下投与、又は経皮投与用に配合することもできる。医薬組成物は、薬学的に許容される安定剤、希釈剤、界面活性剤、充填剤、結合剤、及び滑沢剤の少なくとも1つを更に含むことができる。
【0053】
多くの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物に開示の化合物及び組成物(式I、式II、式III、式IV又は式V)を組み込み、予防の又は治療の処置の一部として治療有効量の式I、式II、式III、式IV若しくは式Vの化合物又は組成物を患者に送達させるために十分な量にて送達する。式I、式II、式III、式IV若しくは式V又はその薬学的に許容される水和物又は溶媒和物の所望の濃度は、薬物の吸収、不活性化、及び排泄率並びに対象の組成物からの水和物又は溶媒和物及び組成物の送達率に左右される。投与量の値も、軽減させる病態の重症度に伴い変化することに留意されたい。任意の特定の被験体において、特定の投与量の投薬計画は、個人の必要量及び組成物を投与する者又は投与を監督する者の専門的な判断により経時的に調節すべきであることが更に理解される。典型的には、投薬は当業者に公知の技術を用いて決定される。
【0054】
さらに、式I、式II、式III、式IV又は式Vの任意の特定の化合物の最適な濃度及び/又は数量すなわち量を、治療のパラメータの変動に適応するように調整してもよい。このような治療のパラメータには、製剤の臨床用途、例えば治療部位、患者の種類、例えばヒト又は非ヒト、成人又は小児、及び疾患又は病態の性質が挙げられる。
【0055】
式I、式II、式III、式IV又は式Vの任意の化合物の濃度及び/又は量を、動物、例えばラットにおける日常的なスクリーニングにより、適切なアッセイを用いて目的の物質の濃度及び/又は量の範囲をスクリーニングすることにより容易に同定することができる。既知の方法も、本明細書に開示の治療用製剤の投与前及び投与後の局部組織濃度、水和物又は溶媒和物又は組成物の拡散率、及び局部血流量をアッセイするために利用可能である。このような方法の1つにT. E. Robinson et al., 1991, microdialysis in the neurosciences, Techniques, volume 7, Chapter 1にレビューされている微小透析がある。Robinsonによりレビューされている方法を、以下のように簡単に適用することができる。試験動物内にin situで微小透析ループを入れる。透析液は、ループを通してポンプによって送られる。本明細書に開示のような式I、式II、式III、式IV又は式Vの化合物をループに近接して注射すると、放出された薬物はそれらの局部組織濃度に比例して透析液に回収される。水和物又は溶媒和物又は組成物の拡散の進み具合を水和物又は溶媒和物又は組成物の既知の濃度を用いて適切な較正方法により決定することができる。
【0056】
特定の実施形態において、本明細書に挙げられる式I、式II、式III、式IV又は式Vの対象の化合物の投与量は、治療組成物又は他の封入材の血漿濃度を参照して決定することができる。例えば、最大血漿濃度(Cmax)及び0時間から無限時間までの血漿濃度時間曲線下面積を使用することができる。
【0057】
概して、本出願に詳述された方法を実行する際の、式I、式II、式III又は式IVの化合物の有効な投与量は、単回用量又は分割用量において約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日、例えば単回用量又は分割用量において0.01mg/kg/日~約50mg/kg/日の範囲である。式Iの化合物を、例えば0.2mg/kg/日、0.5mg/kg/日、1.0mg/kg/日、5mg/kg/日、10mg/kg/日、20mg/kg/日、30mg/kg/日、又は40mg/kg/日未満の用量にて投与することができる。式I、式II、式III、式IV又は式Vの化合物を、例えば1日当たり0.1mg~1000mg、5mg~80mg、又は1.0mg、9.0mg、12.0mg、20.0mg、50.0mg、75.0mg、100mg、300mg、400mg、500mg、800mg、1000mg、2000mg、5000mg未満の用量にてヒト患者に投与することもできる。或る特定の実施形態において、本明細書に記載の組成物を、同じ治療効果に必要な式I、式II、式III、式IV又は式Vの化合物の95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%未満の量にて投与する。
【0058】
本明細書に記載の式I、式II、式III、式IV又は式Vの化合物の有効量は、疾患を阻害又は予防することができる上記水和物又は溶媒和物又は組成物の一量を指す。
【0059】
有効量は、合併症の危険のある患者における、神経損傷若しくは脱髄及び/又は反応性酸化-ニトロ化種の増加及び/又は神経伝達物質恒常性における異常により生じる合併症を阻害、治療、軽減、改善、中断、抑制、その進行を遅延若しくは好転させ、又はその重症度を低下させるために十分となり得る。それゆえ、これらの方法は、適宜、医学的な治療の(急性)及び/又は予防の(未然の)投与の両方を含む。投与される組成物の量及び時点は、当然ながら、治療が行われる被験体、罹患の重症度、投与方法、及び処方医の判
断に左右される。したがって、患者間のばらつきがあるため、上記の投与量はガイドラインであり、医師は、医師自身が患者に適切と考える治療を実現するために薬物の用量を決めることができる。所望の治療の程度を考慮すると、医師は患者の年齢、既存の疾患の有無、及び他の疾患の有無等の種々の因子の均衡を保つようにしなければならない。
【0060】
本出願により提供される組成物を、経口、局所、非経口、例えば静脈内、皮下、又は髄内を含む種々の従来の投与経路により治療を必要とする被験体に投与することができる。さらに、組成物を、経鼻により、直腸の坐剤として、又は「フラッシュ(flash:口中崩
壊)」製剤を用いて、すなわち、医薬を水なしで口中にて溶解させて投与することができる。さらに、組成物を、制御放出の剤形、部位特異的薬物送達、経皮薬物送達、パッチ(能動的/受動的)介在性薬物送達により、定位的注入により、又はナノ粒子において、治療を必要とする被験体に投与することができる。
【0061】
組成物を、単独又は薬学的に許容される担体、ビヒクル、又は希釈剤と組み合わせて、単回用量又は複数回用量において投与することができる。適切な医薬担体、ビヒクル、及び希釈剤には、不活性の固形希釈剤又は充填剤、滅菌水溶液及び種々の有機溶媒が挙げられる。組成物と薬学的に許容される担体、ビヒクル又は希釈剤とを組み合わせることによって形成された医薬組成物は、ひいては錠剤、粉末、トローチ、シロップ、注射液等の種々の剤形においての投与が容易である。これらの医薬組成物は、所望の場合、風味料、結合剤、賦形剤等の追加の成分を含有することができる。したがって、経口投与において、L-アルギニン、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及びリン酸カルシウム等の種々の賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸、及び特定の複合ケイ酸塩等の種々の崩壊物と、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン、及びアラビアゴム等の結合剤とを合わせて使用することができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルク等の潤沢剤は多くの場合、打錠用に有用である。類似の種類の固形組成物を軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。これに適した物質には、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。懸濁水溶液又はエリキシル剤が経口投与において望ましいとき、その中の必須有効成分有効成分を、種々の甘味料又は風味剤、着色物質又は染料と組み合わせることができ、所望の場合、乳化剤又は懸濁剤を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等の希釈剤、及びそれらの組合せと組み合わせることができる。式I、式II、式III、式IV又は式Vの化合物はまた、製薬分野においてよく知られている経腸的にコーティングされた種々の賦形剤を構成することができる。
【0062】
非経口投与において、組成物の溶液を、(例えば)ゴマ油又はピーナッツ油、水性プロピレングリコール中で調製することができ、又は滅菌水溶液中で使用することができる。必要な場合は、このような水溶液を好適に緩衝液で処理されるべきであり、十分な生理食塩水又はグルコースを用いて最初に希釈液を等張の状態とする。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内の投与に特に適している。これに関連して、使用する滅菌水性媒体は全て、当業者に公知の標準的な技術により容易に利用可能である。
【0063】
製剤、例えば錠剤は、例えば10mg~100mg、50mg~250mg、150mg~500mg、又は350mg~800mg、例えば10mg、50mg、100mg、300mg、500mg、700mg、800mgの本明細書に開示の式I、式II、式III、式IV又は式Vの化合物、例えば式I、式II、式III、式IV若しくは式Vの化合物又は式Iの化合物の薬学的に許容される水和物若しくは溶媒和物を含有することができる。
【0064】
概して、本明細書に記載の組成物を経口又は非経口的に(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、又は髄内)投与することができる。例えば、患者が、経口投与が阻まれる胃腸障害に
罹患している場合、又は担当医が決定した通りの組織若しくは器官の表面に医薬を最も良好に塗布する場合に局所投与を提示することもできる。例えば、標的組織又は器官に高用量を必要とするときに局部(Localized)投与を提示することもできる。頬内投与におい
て、活性組成物は、従来の方法で配合された錠剤又はトローチ剤の形態をとることができる。
【0065】
投与量は、神経疾患の特性;年齢、健康状態、及び体重を含む宿主に関する特徴(type);併用して治療中のものがあればその種類;治療頻度及び治療可能比に左右される。
【0066】
例として、投与される有効成分の投与量のレベルは、宿主体重の、静脈内では0.1mg/kg~約200mg/kg、筋肉内では1mg/kg~約500mg/kg、経口では5mg/kg~約1000mg/kg、経鼻滴下では5mg/kg~約1000mg/kg、及びエアロゾルでは5mg/kg~約1000mg/kgである。
【0067】
濃度で表す場合、有効成分は本発明の組成物に、真皮、経鼻、経咽頭、経気管支、膣内、経直腸、又は眼内に対する局部使用において、組成物の約0.01% w/w~約50% w/wの濃度、好ましくは組成物の約1% w/w~約20% w/w、及び非経口使用において、組成物の約0.05% w/v~約50% w/vの濃度及び好ましくは約5% w/v~約20% w/vの濃度で存在することができる。
【0068】
本発明の組成物を、ヒト及び動物への投与用として、適切な量の有効成分を含有する、単位剤形、例えば錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、坐剤、滅菌非経口溶液又は懸濁液、懸濁液の滅菌非腸管外溶液、及び経口溶液又は懸濁液等で与えることが好ましい。経口投与において、固形又は流体単位剤形のいずれかを調製することができる。
【0069】
上述したように、素錠(tablet core)は、1つ以上の親水性ポリマーを含有する。適
切な親水性ポリマーには、水膨潤性セルロース誘導体、ポリアルキレングリコール、熱可塑性ポリアルキレンオキシド、アクリルポリマー、親水コロイド、クレイ、ゲル化デンプン、膨潤性架橋ポリマー、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な水膨潤性セルロース誘導体の例として、カルボキシメチルナトリウムセルロース、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシイソプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシフェニルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシペンチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、及びヒドロキシプロピルエチルセルロース、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切なポリアルキレングリコールの例として、ポリエチレングリコールが挙げられるが、これに限定されない。適切な熱可塑性ポリアルキレンオキシドの例として、ポリ(エチレンオキシド)が挙げられるが、これに限定されない。適切なアクリルポリマーの例として、メタクリレートジビニルベンゼンカリウムコポリマー、ポリメチルメタクリレート、高分子量架橋アクリル酸ホモポリマー及びコポリマー、例えばNoveon Chemicalsの商品名CARBOPOL(商標)で市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。適切な親水コロイドの例として、アルギン酸塩、寒天、グアーガム、ローカストビーンガム、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、タラ、アラビアゴム、トラガカント、ペクチン、キサンタンガム、ゲランガム、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、プスツラン、ラミナリン、スクレログルカン、アラビアゴム、イヌリン、ペクチン、ゼラチン、ウェラン、ラムザン、ズーグラン、メチラン、キチン、シクロデキストリン、キトサン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切なクレイの例として、ベントナイト、カオリン、及びラポナイト等のスメクタイト;三ケイ酸マグネシウム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切なゲル化デンプンの
例として、酸加水分解性デンプン、膨潤性デンプン、例えばデンプングリコール酸ナトリウム、及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な膨潤性架橋ポリマーの例として、架橋ポリビニルピロリドン、架橋寒天、及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
担体は、錠剤の配合物に適切な1つ以上の賦形剤を含有することができる。適切な賦形剤の例として、充填剤、吸着剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、滑剤、放出調節賦形剤、スーパー崩壊剤、抗酸化剤、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
適切な結合剤には、乾燥結合剤、例えばポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルメチルセルロース;湿潤結合剤、例えばアラビアゴム、アルギン酸塩、寒天、グアーガム、ローカストビーン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、タラ、アラビアゴム、トラガカントゴム、ペクチン、キサンタン、ゲラン、ゼラチン、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、プスツラン、ラミナリン、スクレログルカン、イヌリン、ウェラン、ラムザン、ズーグラン、メチラン、キチン、シクロデキストリン、キトサン、ポリビニルピロリドン、セルロース系、スクロース、及びデンプン等の親水コロイドを含む水溶性ポリマー;並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な崩壊剤には、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプン、微結晶セルロース、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
適切な滑沢剤には、長鎖脂肪酸及びそれらの水和物又は溶媒和物、例えばステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸、タルク、グリセリド、蝋、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な滑剤には、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられるが、これに限定されない。適切な放出調節賦形剤には、不溶性食用物質、pH依存性ポリマー、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
放出調節賦形剤として使用される適切な不溶性食用物質には、水不溶性ポリマー及び低温融解疎水性物質、それらのコポリマー、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な水不溶性ポリマーの例として、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリカプロラクトン、酢酸セルロース、及びそれらの誘導体、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリル酸コポリマー、それらのコポリマー、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な低温融解疎水性物質には、脂肪、脂肪酸エステル、リン脂質、蝋、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な脂肪の例として、水添植物油、例えばココアバター、水添パーム核油、水添綿実油、水添ヒマワリ油、及び水添大豆油、遊離脂肪酸、及びそれらの水和物又は溶媒和物、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な脂肪酸エステルの例として、スクロース、脂肪酸エステル、モノ、ジ、及びトリグリセリド、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、GlycoWax-932、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド、ステアロイルマクロゴール-32グリセリド、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切なリン脂質の例として、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセレン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、及びそれらの混合物が挙げられる。適切な蝋の例として、カルナバ蝋、鯨蝋、蜜蝋、カンデリラ蝋、シェラック蝋、微結晶蝋、及びパラフィン蝋;脂肪含有混合物、例えばチョコレート及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。スーパー崩壊剤の例として、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、及び架橋ポビドン(クロスポビドン)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、素錠は、最大約5重量%のこのようなスーパ
ー崩壊剤を含有する。
【0074】
抗酸化剤の例として、トコフェロール、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、エデト酸、及びエデト酸の水和物又は溶媒和物、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。防腐剤の例として、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、安息香酸、及びソルビン酸、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
一実施形態において、即時放出コーティングは、少なくとも50ミクロン、例えば約50ミクロン~約2500ミクロン;例えば、約250ミクロン~約1000ミクロンの平均厚を有する。実施形態において、即時放出コーティングは通常、特定の層の重量及び容量で測定するとして約0.9g/cc超の密度で圧縮される。
【0076】
一実施形態において、即時放出コーティングは、第1の部分及び第2の部分を含有し、それらの部分の少なくとも一方は、第2の薬学的に活性な薬剤を含有する。一実施形態において、それらの部分は錠剤の中心軸で互いに接触する。一実施形態において、第1の部分は第1の薬学的に活性な薬剤を含み、第2の部分は第2の薬学的に活性な薬剤を含む。
【0077】
一実施形態において、第1の部分は第1の薬学的に活性な薬剤を含有し、第2の部分は第2の薬学的に活性な薬剤を含有する。一実施形態において、それらの部分の一方は、第3の薬学的に活性な薬剤を含有する。一実施形態において、それらの部分の一方は素錠に含有するものと同じ薬学的に活性な薬剤の第2の即時放出部分を含有する。
【0078】
一実施形態において、外側のコーティング部分を物質の乾燥混和物として調製した後にコーティング済の素錠に添加する。別の実施形態において、外側のコーティング部分は、薬学的に活性な薬剤を含む乾燥顆粒物から構成される。
【0079】
上記の様々な薬物放出機序を有する製剤を、単一の単位又は複数の単位を含有する最終剤形に組み合わせることができる。複数の単位の例として、多層錠剤、錠剤含有カプセル、ビーズ、又は固形若しくは液体の形態の顆粒が挙げられる。通例の即時放出製剤として、圧縮錠剤、ゲル、薄膜、コーティング剤、液体、及び例えばゼラチンカプセルで封入することができる粒子が挙げられる。コーティング処理、被覆処理、又は組込み処理した薬物を調製する多くの方法が当該分野において知られている。
【0080】
即時放出の投与量である剤形の単位、すなわち錠剤、複数の薬物含有ビーズ、顆粒、若しくは粒子、又はコーティングされた素錠剤形の外層は、治療有効量の活性剤を従来の医薬賦形剤とともに含有する。即時放出投与の単位はコーティングしてもしなくてもよく、また遅延放出投与の単位(単数又は複数)と混合してもしなくてもよい(即時放出薬物含有顆粒、粒子、又はビーズ及び遅延放出薬物含有顆粒又はビーズの封入混合物の場合)。
【0081】
持続放出製剤は一般に、例えば、「Remington-The Science and Practice of Pharmacy」(20th. Ed., Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, Md., 2000)に記載のように、拡散系又は浸透圧系として調製される。拡散系は通例、当該技術分野において公知であり、報告されている2種類のデバイス、リザーバー及びマトリックスの1つからなる。マトリックスデバイスは一般に、ポリマー担体を錠剤形態にゆっくり溶解させながら薬物を圧縮することにより調製される。
【0082】
持続放出コアの表層にコーティング若しくは圧縮方法を用いて即時放出層を塗布するか、又は持続放出ビーズ及び即時放出ビーズを含有するカプセル等の複数の単位系において、即時放出部分を持続放出系に添加することができる。
【0083】
遅延放出投与用の製剤を、胃部の酸環境においては不溶性であるが、小腸部の中性環境においては可溶性であるポリマーの薄膜で固形剤形をコーティングすることによって作製する。遅延放出投与の単位を、例えば選択したコーティング物質で薬物又は薬物含有組成物をコーティングすることにより調製することができる。薬物含有組成物は、カプセルに組み込む錠剤、「コーティングされたコア」剤形の内部コアとして使用される錠剤、又は錠剤若しくはカプセルのいずれかに組み込むための複数の薬物含有ビーズ、粒子、若しくは顆粒であってよい。
【0084】
パルス放出型剤形は、複数回投与プロファイルを模倣しているが反復投与せず、また通例、従来の剤形として(例えば溶液又は即時型の薬物を放出する従来の固形剤形として)存在する薬物に比べ少なくとも投与頻度を1/2に減少させることが可能な剤形である。パルス放出プロファイルは、放出なし(時間差)又は低量を放出した後に迅速に薬物を放出する時間周期を特徴とする。
【0085】
それぞれの剤形は治療有効量の活性剤を含有する。1日2回の投与プロファイルを模倣する剤形の一実施形態において、剤形中の活性剤の総量のおよそ30wt.%~70wt.%、好ましくは40wt.%~60wt.%を第1のパルスで放出し、それに対応して、剤形中の活性剤の総量のおよそ70wt.%~3.0wt.%、好ましくは60wt.%~40wt.%を第2のパルスで放出する。1日2回の投与プロファイルを模倣する剤形において、第2のパルスは投与のおよそ3時間~14時間未満、より好ましくはおよそ5時間~12時間後に放出されることが好ましい。
【0086】
別の剤形は、薬物を含有する即時放出投与の単位、遅延放出投与の単位、及び任意の第2の遅延放出投与の単位を有する圧縮錠剤又はカプセルを含有する。この剤形では、即時放出投与の単位は、第1の投薬となる、実質的に経口投与直後に薬物を放出する複数のビーズ、顆粒、粒子を含有する。遅延放出投与の単位は複数のコーティングしたビーズ又は顆粒を含有し、第2の投薬となる、経口投与のおよそ3時間~14時間後に薬物を放出する。
【0087】
経皮(例えば局所)投与において、希釈された滅菌の水溶液又は部分的に水溶液(通常約0.1%~5%の濃度)、又は上記非経口溶液に類似のものを調製することができる。
【0088】
特定の量の、1つ以上の式I、式II、式III、式IV、若しくは式Vの化合物又は他の活性剤を含む種々の医薬組成物を調製する方法が当業者に知られており、又は本開示に照らして明らかとなる。医薬組成物を調製する方法の例として、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 19th Edition (1995)を参照されたい。
【0089】
さらに、特定の実施形態において、本発明の組成物を凍結乾燥させ、又は該組成物に噴霧乾燥等の別の適当な乾燥法を行うことができる。対象の組成物を1回投与することができ、又は複数の少量の用量に分け、組成物の放出の割合及び所望の投与量に一部応じて種々の時間間隔にて投与することができる。
【0090】
本明細書に挙げる方法に有用な製剤には、経口、経鼻、局所(頬内及び舌下を含む)、経直腸、膣内、エアロゾル、及び/又は非経口の投与に適したものが挙げられる。配合物は、便宜上単位剤形で与えられ、製薬分野において既知の任意の方法により調製することができる。担体物質と組み合わせて単回用量とすることができる対象の組成物の量は、治療を行う被験体及び特定の投与方法に応じて変化させることができる。
【0091】
これらの配合物又は組成物を調製する方法は、対象の組成物と担体及び場合により、1つ以上の補助成分とを会合させる工程を含む。一般に、配合物は、対象の組成物と液状担体とを均一かつ密接に会合させ、又は固体担体を微粉化し、又はその両方によって調製し、必要な場合は生成物を成形する。
【0092】
本明細書に記載の式I、式II、式III、式IV又は式Vの化合物は、吸入用又はエアロゾル用の配合物で投与することができる。吸入剤用又はエアロゾル用の配合物は、1つ以上の薬剤、例えば吸入療法に有用なアジュバント、診断薬、造影剤、又は治療剤を含むことができる。最終のエアロゾル用配合物は、例えば配合物の総重量に対して0.005% w/w~90% w/w、例えば0.005% w/w~50% w/w、0.005% w/w~5% w/w、又は0.01% w/w~1.0% w/wの医薬を含有することができる。
【0093】
経口投与のための固形剤形(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒等)において、対象の組成物を、1つ以上の薬学的に許容される担体及び/又は以下のいずれかと混合する:(1)充填剤又は増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/又はケイ酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/又はアラビアゴム等;(3)保湿剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば粉寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン、又はタピオカデンプン、アルギン酸、或る特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム;(5)難溶媒、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えばアセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール等;(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレイ;(9)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール固体、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物;並びに(10)着色剤。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合において、医薬組成物は、緩衝剤も含むことができる。同様の種類の固形組成物を、ラクトース又は乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコール等を用いた軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセルの充填剤としても使用することができる。
【0094】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容される乳濁液、微乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシル剤がある。対象の組成物に加えて、液体剤形は、当該技術分野において通常用いられる不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、コーン油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、大豆油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコール及び脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物等を含有することができる。
【0095】
対象の組成物に加えて、懸濁液は、懸濁剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、粉寒天、及びトラガカント、並びにそれらの混合物等を含有することができる。
【0096】
経直腸投与用又は膣内投与用の配合物を坐剤として与えることができ、対象の組成物を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス、又はサリチル酸を含む1つ以上の適切な非刺激性担体と混合することにより調製することができ、この坐剤は、室温では固体であるが体温では液体となるため、適切な体腔内で融解し、封入された化合物(複数の場合もある)及び組成物(複数の場合もある)を放出する。膣内投与に適した配合物にはまた、当該技術分野において適当であると知られているような担体を含有する
、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又は噴霧配合物がある。
【0097】
経皮投与用の剤形には、粉末、噴霧剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、及び吸入剤がある。対象の組成物を滅菌条件下において、薬学的に許容される担体と、また必要とされてもよい任意の防腐剤、緩衝液、又は噴射剤と混合することができる。経皮投与において、複合体は、所望の水溶性及び輸送特性を得るための親油性基及び親水性基を含むことができる。
【0098】
軟膏、ペースト、クリーム、及びゲルは、対象の組成物に加え、他の担体、例えば動物性脂肪及び植物性脂肪、油、蝋、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、及び亜鉛酸化物、又はそれらの混合物を含有することができる。粉末及び噴霧剤は、対象の組成物に加え、賦形剤、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこのような物質の混合物を含有することができる。噴霧剤は、常用の噴射剤、例えばクロロフルオロ炭化水素(chlorofluorohydrocarbons:フロン)及び揮発性非置換炭化水素、例えばブタン及びプロパンを更に含有することができる。
【0099】
経皮パッチを介して組成物(単数又は複数)を送達する方法は当該技術分野において知られている。パッチ及びパッチによる送達方法の例が、米国特許第6,974,588号、同第6,564,093号、同第6,312,716号、同第6,440,454号、同第6,267,983号、同第6,239,180号、及び同第6,103,275号に記載されている。
【0100】
別の実施形態において、経皮パッチは、樹脂組成物から形成される複合薄膜を含む基材シートを含むことができ、該樹脂組成物は100重量部のポリ塩化ビニル-ポリウレタン複合体及び2重量部~10重量部のスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンコポリマーを含み、該複合薄膜の片側における第1の粘着層及び該第1の粘着層により該複合薄膜の片側に粘着するポリアルキレンテレフタレート薄膜、飽和ポリエステル樹脂を含み、該ポリアルキレンテレフタレート薄膜の表面に形成されるプライマー層、及び該プライマー層に積層する、医薬剤を含有するスチレン-ジエン-スチレンブロックコポリマーを含む第2の粘着層を含む。上記の基材シートの製造方法は、上記樹脂組成物を調製することと、該樹脂組成物をカレンダー法により複合薄膜に成形することと、次に、粘着層により該複合薄膜の片側にポリアルキレンテレフタレート薄膜を粘着させることにより該基材シートを形成することと、該ポリアルキレンテレフタレート薄膜の外面に飽和ポリエステル樹脂を含むプライマー層を形成することとを含む。
【0101】
別の種類のパッチは、薬学的に許容される粘着剤にそのまま薬物を組み込むことと、適切な内張り部材、例えば、ポリエステル内張り膜に薬物含有粘着剤を積層することとを含む。薬物は、粘着特性に影響を与えず、同時に必要とする臨床用量を送達する濃度で含まれるものとする。
【0102】
経皮パッチは受動性又は能動性であってよい。例えば、ニコチンパッチ、エストロゲンパッチ、及びニトログリセリンパッチ等で現在利用可能な受動性経皮薬物送達系は、小分子薬物を送達する。新たに開発されたタンパク質及びペプチド薬の多くは、大きいために受動性経皮パッチを介して送達できず、大分子薬物用の電子アシスト(イオン導入)等の技術(technology)を用いて送達することができる。
【0103】
イオン導入は、電流を使用して、膜を通るイオン化物質の流束を強化するために使用す
る技術である。イオン導入膜の一例として、Theeuwesの米国特許第5,080,646号が挙げられる。イオン導入が皮膚を通して分子輸送を高める主な機序は、(a)荷電したイオンは同じ電荷の電極に反発すること、(b)電場が加えられると、対イオンが優先的に流れることで荷電した孔を通して生じる溶媒の対流の動きである電気浸透、又は(c)電流を印加することによる皮膚透過性の増大である。
【0104】
キットの形態で投与することが望ましい可能性があるいくつかの場合では、キットは別個の組成物を含有する容器、例えば分割されたボトル又は分割された箔分包を含むことができる。通例、キットは、別個の成分を投与するための指示書を含む。キット形態は、別個の成分を異なる剤形(例えば経口及び非経口)で投与することが好ましいとき、異なる投与間隔にて投与されるとき、又は組み合わせた個々の成分の滴定が処方医により必要とされるときに有利となる。
【0105】
このようなキットの例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装業界ではよく知られており、医薬単位剤形(錠剤、カプセル等)の包装に広く用いられている。ブリスターパックは一般に、透明の場合もあるプラスチック材料製の箔で覆われた比較的剛性の材質のシートからなる。
【0106】
炎症及び疼痛の治療のための方法及び組成物。特に、本明細書において、治療を必要とする患者に治療有効量の式I:
【化12】
の化合物、並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、鏡像異性体及び立体異性体を投与することを含む、炎症及び疼痛を治療する方法を提供する。
【0107】
上記式中、
RHは、独立して、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す。
【0108】
上記組成物は、一般的に、クロニジンがプロトン化されており、かつ薬学的に許容される塩の酸部分[RH]が少なくとも部分的にイオン型である、クロニジン及び[RH]から選択される酸部分[RH]含有化合物の水和物又は溶媒和物の形態の化合物である。しかしながら、ある場合には、例えば、環境のpHに応じて、該組成物は、クロニジンと酸成分[RH]との混合物の形態であってよい。また本発明は、式Iの組成物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0109】
別の態様において、式II:
【化13】
の化合物並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体及び立体異性体が記載される。
【0110】
式中、
RHは、独立して、
【化14】
、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、n-アセチルシステイン(nac)、フロエート、メチルフロエート、エチルフロエート、アミノカプロン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す。
【0111】
上記組成物は、一般的に、リドカインがプロトン化された形態であり、かつ酸部分RHが少なくとも部分的にイオン型である、リドカイン及び選択された酸部分RH含有化合物の塩の形態の化合物である。しかしながら、ある場合には、例えば環境のpHに応じて、該組成物は、リドカインとRHによって表される酸部分との混合物の形態であってよい。また本発明は、式IIの組成物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0112】
特定の実施の形態において、式III:
【化15】
の化合物並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体及び立体異性体が記載される。
【0113】
上記式中、
RHは、独立して、
【化16】
、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、n-アセチルシステイン(nac)、フロエート、メチルフロエート、エチルフロエート、アミノカプロン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す。
【0114】
上記組成物は、一般的に、ベンゾカインがプロトン化された形態であり、かつ酸部分RHが少なくとも部分的にイオン型である、ベンゾカイン及びRHから選択された酸部分含有化合物の塩の形態の化合物である。しかしながら、ある場合には、例えば環境のpHに
応じて、該組成物は、ベンゾカインとRHによって表される酸部分との混合物の形であってよい。また本発明は、式IIIの組成物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0115】
更なる態様において、式IV:
【化17】
の化合物並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体及び立体異性体が記載される。
【0116】
上記式中、
RHは、独立して、
【化18】
、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、n-アセチルシステイン(nac)、フロエート、メチルフロエート、エチルフロエート、アミノカプロン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、
パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す。
【0117】
上記組成物は、一般的に、プリロカインがプロトン化された形態であり、かつ酸部分RHが少なくとも部分的にイオン型である、プリロカイン及びRHから選択された酸部分含有化合物の塩の形態の化合物である。しかしながら、ある場合には、例えば環境のpHに応じて、該組成物は、プリロカインと酸部分RHとの混合物の形態であってよい。また本発明は、式IVの組成物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0118】
更なる態様において、式V:
【化19】
の化合物並びにその薬学的に許容される水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体及び立体異性体が記載される。
【0119】
上記式中、
RHは、独立して、
【化20】
、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、n-アセチルシステイン(nac)、
フロエート、メチルフロエート、エチルフロエート、アミノカプロン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノールエライジン酸又はアラキドン酸を表す。
【0120】
製造方法
式I及び式IIの化合物を製造するために有用な合成経路の例を以下の実施例に記載し、スキーム1及びスキーム2に一般化する。
スキーム1:
【0121】
【0122】
リドカイン(遊離塩基、4.0g)とカプリル酸(2.46g)のTHF(100mL)溶液を、40℃~50℃で5時間にわたって撹拌した。その溶液を室温に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させ、ヘキサン類と同時蒸発乾固させ、CLX-SYN-G177C-B-1Aを定量的収率で得た。
【0123】
【0124】
リドカイン(遊離塩基、市販品、4.0g)とリノール酸(4.78g)のTHF(100mL)溶液を、40℃~50℃で5時間にわたって撹拌した。その溶液を室温に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させ、ヘキサン類と同時蒸発乾固させ、CLX-SYN-G177C-B-1を定量的収率で得た。
【0125】
【0126】
クロニジン(クロニジンHClからNaOH水溶液で中和することによって調製した、4.0g)とリノール酸(4.87g)のTHF(100mL)溶液を、40℃~50℃
で5時間にわたって撹拌した。その溶液を室温に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させ、ヘキサンと同時蒸発乾固させ、ヘキサン類中に溶解させ、24時間にわたって静置して沈殿した固体を濾過し、乾燥してCLX-SYN-G177C-5-1A(6.1g、69%)を得た。
【0127】
等価物
本開示は、特に神経疾患及びその合併症を治療するための組成物及び方法を提供する。本開示の特定の実施形態について詳述したが、上記の明細書は例示的なものであり、制限するものではない。本明細書の系及び方法の多くの変形例について、本明細書を検討すれば当業者には明らかとなるであろう。特許請求した系及び方法の全範囲は、特許請求の範囲とその等価物の全範囲、及び明細書とそのような変形例を参照して決定するものとする。
【0128】
参照による引用
上記に挙げたものを含む本明細書で言及した全ての刊行物及び特許は、各々の刊行物又は特許が詳細にかつ個々に参照により引用されると示されているかのように、その内容全体を引用することにより本明細書の一部をなす。矛盾する場合、本明細書における任意の定義を含む本出願に従うものとする。
【外国語明細書】