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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191345
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】アダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/70 20160101AFI20221220BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20221220BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A61B90/70
A61M39/10 120
B08B3/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161593
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2019208336の分割
【原出願日】2019-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中神 裕之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 辰也
(57)【要約】
【課題】本願は、より容易またはより確実に、医療用のオスコネクタを洗浄可能とする技術を提供することを課題とする。
【解決手段】流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う略円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄装置であって、前記オスコネクタ本体と前記カプラとが連結される部分である連結部と、前記オスコネクタ本体の側面と、前記カプラの内面とによって囲まれる前記オスコネクタの内部空間に、前記オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出部と、洗浄液を貯留する貯留タンクと洗浄液噴出部とを連通させる可撓性チューブと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う略円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄装置であって、
前記オスコネクタ本体と前記カプラとが連結される部分である連結部と、前記オスコネクタ本体の側面と、前記カプラの内面とによって囲まれる前記オスコネクタの内部空間に、前記オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出部と、
洗浄液を貯留する貯留タンクと洗浄液噴出部とを連通させる可撓性チューブと、
を備えることを特徴とする、コネクタ洗浄装置。
【請求項2】
前記オスコネクタを収容する収容部と、
前記収容部に連通され、前記オスコネクタが前記収容部に収容された状態で、前記オスコネクタの内部空間に噴出された洗浄液を前記オスコネクタの外部に排出する排出部をさらに備える請求項1に記載のコネクタ洗浄装置。
【請求項3】
前記収容部に取り付けられる蓋部材を更に備え、蓋部材はオスコネクタを挿通する挿通口を有する請求項1または2に記載のコネクタ洗浄装置。
【請求項4】
コネクタ洗浄装置に取り付けられるアダプタであって、
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体に相対回転可能であると共に該オスコネクタ本体の周囲を囲う円筒状のカプラとを有する医療用オスコネクタのカプラが挿入される収容部と、洗浄液を排出する排出部を備え、
前記収容部は前記オスコネクタ本体と前記カプラとの間を通過した洗浄液を回収するための回収空間を有し、
当該回収空間と前記排出部は連通していることを特徴とする、アダプタ。
【請求項5】
コネクタ洗浄装置に取り付けられるアダプタであって、
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う円筒状のカプラとを有する医療用オスコネクタが挿入される収容部と、洗浄液を排出する排出部を備え、
前記収容部は、前記カプラとの間に流路を形成する間隙を有すると共に前記カプラと相対回転可能な寸法とされていることを特徴とする、アダプタ。
【請求項6】
コネクタ洗浄装置に取り付けられるアダプタであって、
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体に相対回転可能であると共に該オスコネクタ本体の周囲を囲う円筒状のカプラとを有する医療用オスコネクタが挿入される収容部と、オスコネクタに対向する洗浄液流出口とオスコネクタ本体内流路を洗浄液流路から隔離する隔離部と、洗浄液を排出する排出部を備え、
収容部は、前記カプラとの間に間隙を有するような寸法とされ、当該間隙に形成された流路が排出部に連通していることを特徴とする、アダプタ。
【請求項7】
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体に相対回転可能であると共に該オスコネクタ本体の周囲を囲う円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄装置組立体であって、
洗浄液圧送部を備えるコネクタ洗浄装置と、
コネクタ洗浄装置に着脱可能に取り付けられ、オスコネクタを収容する収容部を有するアダプタとを備え、
前記コネクタ洗浄装置又は前記アダプタは、前記オスコネクタ本体と前記カプラとの間の内部空間に、前記オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出孔とを有し、前記洗浄液噴出孔の開口幅は前記オスコネクタ本体と前記カプラの間の隙間の最大幅に比して小さいことを特徴とする、コネクタ洗浄装置組立体。
【請求項8】
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の周囲を囲う円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄装置組立体であって、
洗浄液圧送部を備えるコネクタ洗浄装置と、
コネクタ洗浄装置に着脱可能に取り付ける取付部と、オスコネクタを収容する収容部を有するアダプタとを備え、
前記コネクタ洗浄装置又は前記アダプタは、前記オスコネクタ本体と前記カプラとが連結される部分である連結部と、前記オスコネクタ本体の側面と、前記
カプラの内面とによって囲まれる前記オスコネクタの内部空間に、前記オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出孔とを有し、
前記洗浄液噴出孔は、前記オスコネクタが前記収容部に収容された状態において、前記オスコネクタ本体の先端から先端側に4mm離れた位置から前記連結部との間に位置することを特徴とする、コネクタ洗浄装置組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブを接続するためのコネクタを洗浄するコネクタ洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療用チューブを接続するためのコネクタについては、誤接続防止のための取り組みがなされている。このような取り組みの一環として、医療事故防止の推進、国際的な整合による安定供給のための規格の導入が進められている。この中の経腸栄養用途においては、患者に接続される側のコネクタがオス側、患者と逆側のコネクタがメス側となる規格がある。このような規格においては構造上、例えば経腸栄養に係る栄養剤が患者側のオスコネクタの内部空間に残留してしまう場合があった。その結果、患者に接続された状態で留置されたオスコネクタにおいて細菌が発生するなどの衛生上の不都合が生じる危険性があった。このような危険性を排除すべく、栄養剤を吸収する部材で拭き取る技術が開示されているが、栄養剤を完全に拭いきれず、固化してしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-099738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みて発明されたもので、より容易またはより確実に、経腸栄養用のオスコネクタを洗浄可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う略円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄装置であって、
前記オスコネクタ本体と前記カプラとが連結される部分である連結部と、前記オスコネクタ本体の側面と、前記カプラの内面とによって囲まれる前記オスコネクタの内部空間に、前記オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出部と、洗浄液を貯留する貯留タンクと洗浄液噴出部とを連通させる可撓性チューブと、
を備えることを特徴とする、コネクタ洗浄装置である。
【0006】
これによれば、洗浄液噴出部からオスコネクタにおける内部空間にオスコネクタの前方から洗浄液を噴出し、オスコネクタ本体の側面、カプラの内面及び連結部を洗浄することができる。また、洗浄液噴出部が可撓性チューブを介して自由に動くため、タンクを据え置いた状態で洗浄液噴出部をオスコネクタに近づけることができる。このようであれば、例えば、患者に近接状態にあるオスコネクタを容易に洗浄することできる。なお、タンクは専用の容器に限ることなく、使用者が用意したボトル等の容器であってもよい。
【0007】
また、本発明においては、 前記オスコネクタを収容する収容部と、
前記収容部に連通され、前記オスコネクタが前記収容部に収容された状態で前記オスコネクタの内部空間に噴出された洗浄液を外部に排出する排出部と、
をさらに備えてもよい。
【0008】
これによれば、オスコネクタを収容部により収容し、安定した状態でオスコネクタ本体の側面、カプラの内面及び連結部を洗浄することができる。そして、洗浄後の洗浄液を排出部からオスコネクタの外部に排出することが可能である。その結果、洗浄効率を向上させると共に洗浄後の洗浄液は排出部から排出され、外部に排液が飛び散るといった事態が低減される。
【0009】
また、本発明においては、前記収容部に取り付けられる蓋部材を更に備え、蓋部材はオスコネクタを挿通する挿通口を有してもよい。
【0010】
オスコネクタ本体とカプラとが相対回転できるような連結部の場合、噴出された洗浄液がオスコネクタ本体とカプラの間を通過してしまう事態が生じる。このような場合に、蓋部材を設けることで連結部を通過した洗浄液が外部に飛び散ることを低減できる。
【0011】
本発明は、コネクタ洗浄装置に取り付けられるアダプタであって、
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に相対回転可能に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う円筒状のカプラとを有する医療用オスコネクタのカプラが挿入される収容部と、洗浄液を排出する排出部を備え、
収容部はオスコネクタのカプラとの間の間隙を通過した洗浄液を回収するための回収空間を有し、
当該回収空間と排出部は連通していることを特徴とする、アダプタである。
【0012】
これによれば、コネクタ本体とカプラの間に経腸栄養剤が残留し、細菌を発生させる危険を低減することができる。
【0013】
本発明は、コネクタ洗浄装置に取り付けられるアダプタであって、
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う円筒状のカプラとを有する医療用オスコネクタのカプラが挿入される収容部と、洗浄液を排出する排出部を備え、
前記収容部は、前記カプラとの間に流路を形成する間隙を有すると共に前記カプラと相対回転可能な寸法とされていることを特徴とする、アダプタ。
【0014】
これによれば、前記カプラを収容部内で相対回転させることで、収容部とカプラとに流れる洗浄液をカプラ外面に流すことができ、カプラ外周面を洗浄することができる。このため、消毒布等を使用せずともカプラ外面を洗浄することができ、細菌を発生させる危険を低減することができる。
【0015】
本発明は、コネクタ洗浄装置に取り付けられるアダプタであって、
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に相対回転可能に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う円筒状のカプラとを有する医療用オスコネクタのカプラが挿入される収容部と、オスコネクタに対向する洗浄液流出口とオスコネクタ本体内流路を洗浄液流路から隔離する隔離部と、洗浄液を排出する排出部を備え、
収容部とオスコネクタのカプラとの間に間隙を有し、当該間隙における流路は排出部に連通していることを特徴とする、アダプタである。
【0016】
これによれば、コネクタ本体とカプラの間に経腸栄養剤が残留し、細菌を発生させる危険を低減することができる。オスコネクタにおける内部空間及びカプラとオスコネクタ本
体の間に付着した栄養剤を洗浄液により洗浄できる。また、カプラとオスコネクタ本体の間を通過した洗浄液が収容部とカプラとの間の流路から排出部に流れこむため、排液部を複数設ける必要をなくすことができる。
【0017】
本発明は、流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に相対回転に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う略円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄装置組立体であって、
洗浄液圧送部を備えるコネクタ洗浄装置と、
コネクタ洗浄装置に着脱可能に取り付けられ、オスコネクタを収容する収容部を有するアダプタとを備え、
前記コネクタ洗浄装置又は前記アダプタは、前記オスコネクタ本体と前記カプラとが連結される部分である連結部と、前記オスコネクタ本体の側面と、前記カプラの内面とによって囲まれる前記オスコネクタの内部空間に、前記オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出孔とを有し、洗浄液噴出孔の開口幅は前記オスコネクタ本体と前記カプラの間の隙間の最大幅に比して小さいことを特徴とする、コネクタ洗浄装置組立体である。
【0018】
これによれば、洗浄液噴出孔により洗浄液が勢いよくオスコネクタにおける内部空間に噴出され、内部空間を効率よく洗浄できる。また、アダプタを変えるだけで、患者ごとの衛生的な洗浄が可能となる。その結果、患者由来の菌が別の患者のコネクタに付着する事態を低減することができる。
【0019】
本発明は、流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の周囲を囲う円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄装置組立体であって、
洗浄液圧送部を備えるコネクタ洗浄装置と、
コネクタ洗浄装置に着脱可能に取り付けられ、オスコネクタを収容する収容部を有するアダプタとを備え、
前記コネクタ洗浄装置又は前記アダプタは、前記オスコネクタ本体と前記カプラとが連結される部分である連結部と、前記オスコネクタ本体の側面と、前記カプラの内面とによって囲まれる前記オスコネクタの内部空間に、前記オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出孔とを有し、洗浄液噴出孔は前記オスコネクタ本体の先端から先端側に4mm離れた位置から前記連結部との間に位置することを特徴とする、コネクタ洗浄装置組立体。
【0020】
これによれば、噴出孔と洗浄対象が近くなるため、洗浄液噴出孔により洗浄液が勢いよくオスコネクタにおける内部空間に噴出され、内部空間を効率よく洗浄できる。
【0021】
なお、本発明においては、可能な限り、上記の課題を解決するための手段を組み合わせて使用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、より容易またはより確実に、医療用のオスコネクタを洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例における、オスコネクタの構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施例における、洗浄部本体の概略構成を示す図である。
図3】本発明の実施例における、蓋部材の概略構成を示す図である。
図4】本発明の実施例における、洗浄部本体にオスコネクタを挿入し、蓋部材を取り付けてロックした状態を示す図である。
図5】本発明の実施例における、洗浄液の流れについて説明するための図である。
図6】本発明の実施例における、コネクタ洗浄装置の概略構成を示す図である。
図7】本発明の実施例における、コネクタ洗浄部を分割した場合の例を示す図である。
図8】本発明の実施例における、洗浄液噴出部からの洗浄液の噴出の態様のバリエーションについて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0025】
<実施例1>
図1には、本実施例に係るコネクタ洗浄装置による洗浄の対象の一例である経腸栄養用途のオスコネクタ100の縦断面図を示す。図1において下側がオスコネクタ100の先端側、上側が後端側に相当する。本実施例におけるオスコネクタ100には、チューブ102と連通する流路101aを内部に有するオスコネクタ本体としてのコネクタ本体101が備えられる。コネクタ本体101は、先端側にいくほど外径が小さくなるテーパ状(円錐台状ともいえる)の側面101bを有する。
【0026】
そして、コネクタ本体101の周囲には、コネクタ本体101の外周を囲うような概略円筒状のカプラ103が備えられる。このカプラ103の内面の後端側に設けられたカプラ結合部103bは、コネクタ本体101の側面101bの後端側に設けられた本体結合部101cとともに、連結部としてのコネクタ結合部100aを形成する。コネクタ結合部100aにおいては、カプラ103がコネクタ本体101に対して、軸周りに回転可能に、且つ先端側に抜けないように、結合されている。そして、コネクタ本体101の側面101bと、カプラ103の内面と、コネクタ結合部100aによって囲まれた空間を、以下、オスコネクタ100の内部空間と呼ぶ。なお、連結部がカプラ103がコネクタ本体101に対して軸周りに回転不可能に固定されていてもよい。即ち、本実施形態ではフリーロックのコネクタを例として示したが、固定ロックのコネクタであってもよい。
【0027】
また、コネクタ本体101の本体結合部101cのさらに後ろ側には、コネクタ本体101の側面の全体に亘って外周側に突出した円板状のリブ部101dが形成されており、カプラ103がコネクタ本体101に対して、過度に後端側に移動しないようにストッパとして機能する。さらに、コネクタ本体101に設けられた流路101aの後端側は内径が拡径され大径部101eを形成し、ここにチューブ102が圧入可能とされている。カプラ103の内面にはメネジ部103aが形成され、オネジ部が形成されたメスコネクタ(不図示)とネジ結合可能となっている。なお、円板状のリブ部101dは必須ではなく、カプラ103がコネクタ本体101に対して、自由に後端側に移動するようであってもよい。即ち、カプラ103はスライドカプラーであってもよい。
【0028】
本実施例では、図1に示したチューブ102が生体に結合され、オスコネクタ100がメスコネクタ(不図示)とネジ結合することで、メスコネクタ側から栄養液等の流体がオスコネクタ100、チューブ102を経由して生体に供給される。
【0029】
図2には、本実施例においてオスコネクタ100を固定し、洗浄するための洗浄ユニットとしての洗浄部本体1の概略図を示す。図2(a)は洗浄部本体1の平面図、図2(b)は洗浄部本体1のA-A断面図である。洗浄部本体1は、平面視において、大径の円柱状の本体部21と、本体部21の上側に設けられた小径の部分でありオスコネクタ100を取り付けるコネクタ取付部20と、オスコネクタ100を洗浄した後の洗浄液を排出す
る排液筒部22からなる。ここで、コネクタ取付部20の円筒状の側壁は側壁部に相当する。側壁部は洗浄液噴出孔からカプラの基端側の先端面迄の長さの2倍以上の長さを有し、側壁部上方はオスコネクタ本体とカプラとの間を通過した洗浄液が外部に漏れにくいようにされている。側壁部上方はオスコネクタ本体とカプラとの間を通過した洗浄液を回収するための回収空間を形成し、回収空間に流入した洗浄液は第二洗浄液排出孔17を介して排出される。
【0030】
図2(b)のA-A断面図からも分かるように、コネクタ取付部20には、オスコネクタ100を挿入するコネクタ挿入孔10を内部に有する筒状の収容部が設けられている。このコネクタ挿入孔10は円柱状の空間であり、内径はオスコネクタ100のカプラ103の外径より若干大きい径とされている。オスコネクタ100が取付けられた際には収容部とカプラとの間に間隙が形成され、流路を形成する。コネクタ挿入孔10の底面11には、オスコネクタ100が取付けられた際に、コネクタ本体101の先端が当接可能な、平面視が円環状の溝である当接溝12が設けられている。なお、コネクタ挿入孔10は重力方向に延びているが、水平方向として、オスコネクタが水平に挿入されるようであってもよい。
【0031】
そして、円環状の溝である当接溝12の内周の中心側には、コネクタ本体101の流路101aに挿入される突起部13が形成されている。突起部13はコネクタ本体の流路と洗浄液の流路とを隔離する隔離部を形成している。さらに底面11の外周部には、オスコネクタ100のカプラ103の先端が当接する弾性リング14が設けられている。この弾性リング14は、オスコネクタ100のカプラ103に当接することで、オスコネクタ100を弾性的に上下動可能に支持する。
【0032】
コネクタ挿入孔10の底面11には、洗浄液噴出部としての洗浄液噴出孔15が設けられている。この洗浄液噴出孔15は、洗浄部本体1の本体部21の底面に開口する洗浄液流入孔18に接続されており、洗浄液流入孔18より小径に形成されている。この洗浄液流入孔18に洗浄液が外部から圧送されることで、洗浄液噴出孔15から洗浄液が噴出される。また、コネクタ挿入孔10の底面11における、洗浄液噴出孔15と中心を挟んで反対側(オスコネクタ100が固定されている場合には、コネクタ本体101を挟んで洗浄液噴出孔15の反対側とも言える)には、洗浄液排出孔16が開口している。洗浄液排出孔16が洗浄液噴出孔15と中心を挟んで反対側に設けられていることで、噴出された洗浄液がオスコネクタの内部空間を回動した後に排出孔に流れるようにすることができる。洗浄液噴出孔の開口幅はオスコネクタ本体とカプラの間の隙間の最大幅に比して小さくして、噴出孔から噴射された洗浄液がオスコネクタ本体とカプラの間に勢いよく当たりやすいようにしてもよい。洗浄液噴出孔はオスコネクタ本体の先端より基端側か同等かオスコネクタ本体の先端から先端側に4mm離れた位置であってもよい。洗浄液噴出孔は洗浄対象に対して近い方が勢いよく洗浄対象に洗浄液を当てることができて好ましい。特に、洗浄液噴出孔はオスコネクタ本体の先端から先端側に3mm離れた位置から連結部までの間の位置に形成されるのが好ましい。ここで、本実施例における洗浄液噴出部は、洗浄液噴出孔15及び洗浄液流入孔18を含んで構成される。また、洗浄液噴出孔15は噴出孔に相当する。また、コネクタ挿入孔10の底面11は対抗面に相当する。なお、図においてオスコネクタ本体とカプラの間の間隙は極めて小さいが、オスコネクタ本体とカプラの間の間隙を大きく設計してもよく、例えば、間隙の最大幅を2mm程度に設計してもよい。
【0033】
また、コネクタ挿入孔10の内壁10aにおける、洗浄液噴出孔15と中心を挟んで反対側には、第二洗浄液排出孔17が開口している。この洗浄液排出孔16と第二洗浄液排出孔17とは、ともに排液筒部22の内部を貫通する管路である洗浄液排出路19に繋がっている。なお、本実施例では、洗浄液排出孔16と第二洗浄液排出孔17とは、弾性リ
ング14で仕切られているのみで、実際には洗浄液排出路19を形成する際に同時に形成されてもよい。なお、本実施例における排出部は、洗浄液排出孔16、第二洗浄液排出孔17及び、洗浄液排出路19を含んで構成される。また、洗浄液排出孔16は排出孔に、第二洗浄液排出孔17は第二排出孔に相当する。なお、排出孔はコネクタ挿入孔10内の空間における重力方向下方に設けられるのが好ましい。例えば、下方コネクタ挿入孔10が水平方向に延びている場合、底面ではなく、側壁部の重力方向下方側に形成されるのが好ましい。この場合、側壁部は排出孔に排液が流れ込みやすいように傾斜を設けてもよく、蓋部材のスリットは排出孔とは反対側に向かって延びるようであるとよい。このようにすることで洗浄後の排液が外部に漏れ出にくくすることができる。また、洗浄液排出孔16と第二洗浄液排出孔17は各孔を有する大きな一つの孔で形成されているが、別個に構成されて後に連通するようであってもよいまた、洗浄液排出孔16と第二洗浄液排出孔17は連通していなくともよい。カプラと収容部との間を液密にしてもよく、第二洗浄液排出孔17は洗浄液排出孔16と反対側に設けてもよい。また、洗浄液排出路19は水平方向に延びているが、洗浄液流入孔18と平行になるように延びていてもよい。
【0034】
図3には、洗浄部本体1のコネクタ取付部20に上側から取り付け可能な蓋部材2の概略構成を示す。図3(a)は蓋部材2の平面図、図3(b)はB-B断面に係る断面図である。蓋部材2は、片側の端面が閉塞された円筒状の部材における閉塞された端面と側面にスリット2aが形成された形状を有する。このスリット2aの幅は、チューブ102の外径より若干大きな寸法とされている。スリットを介してチューブを蓋部材中央の挿通孔に位置させることができるため、オスコネクタを挿入した後の収容部に容易に蓋部材を取り付けることができる。
【0035】
また、蓋部材2の側面の内面には、蓋部材2をコネクタ取付部20に固定するロック機構2bが設けられている。図3に示す例では、ロック機構2bは、蓋部材2の側面の内面に設けられた突起である。本実施例では、蓋部材2をコネクタ取付部20に上側から被せ、この突起をコネクタ取付部20の側面に設けられた鍵状の溝(不図示)に侵入させた上で、蓋部材2を回転させることで、蓋部材2をコネクタ取付部20に固定する。このことで、オスコネクタ100をコネクタ挿入孔10内に固定することが可能である。
【0036】
なお、このロック機構2bにはその他の様々な機構を採用することが可能である。例えば、ロック機構2bは、蓋部材2の側面の内面に設けられたメネジ部としてもよい。この場合には、蓋部材2をコネクタ取付部20に上側から被せて回転させることで、蓋部材2のメネジ部を、コネクタ取付部20の側面に設けられたオネジ部にネジ固定することで、蓋部材2をコネクタ取付部20に固定してもよい。ここで、実施例における蓋部材2、コネクタ取付部20、底面11は、固定部を構成する。
【0037】
図4には、洗浄部本体1のコネクタ挿入孔10からオスコネクタ100を挿入し、さらに、コネクタ取付部20に蓋部材2を取り付けて固定した状態を示す。図4に示すように、オスコネクタ100は、その先端部を下側にして、コネクタ挿入孔10から挿入され、その後、蓋部材2がコネクタ取付部20に取り付けられる。その際、コネクタ本体101の先端が当接溝12に侵入し、且つ突起部13がコネクタ本体101の流路101aに挿入され流路101aを塞ぐ形で固定される。なお、当接溝12の内側には外縁がアール形状の突起部13が形成され、外側には内縁がアール形状の壁部が形成されており、オスコネクタ100はこれらの部材にガイドされて当接溝12に侵入する。また、カプラ103の先端は弾性リング14に当接される。
【0038】
オスコネクタ100が、この状態で、洗浄部本体1のコネクタ挿入孔10内で固定されることで、カプラ103の内周側と外周側を、洗浄液排出孔16と第二洗浄液排出孔17が設けられた部分を除いてシールすることができる。また、コネクタ本体101の流路1
01aの先端をシールすることができる。
【0039】
なお、オスコネクタ100がコネクタ挿入孔10から挿入され、蓋部材2がコネクタ取付部20に取り付けられる際に、チューブ102が長い場合には、蓋部材2に長いチューブ102を通す必要が生じることが考えられる。しかしながら、本実施例における蓋部材2にはスリット2aが設けられている。よって、チューブ102をスリット2a内に側方から導入するように、蓋部材2をコネクタ取付部20に被せて固定することができる。これにより、より容易に蓋部材2をコネクタ取付部20に固定し、オスコネクタ100をコネクタ挿入孔10内に固定することが可能となる。なお、蓋部材2はコネクタ取付部20に対して相対回転するように構成してもよい。このようにすることで、蓋部材2をコネクタ取付部20に取り付けた後にスリット2aの位置を調整することができる。また、蓋部材2は複数部材で構成してもよい。例えば、スリット2aを有する部材とスリット2aを閉鎖する部材の2部材で蓋部材を構成し、一方の部材と他方の部材とを相対回転させることでスリット2aが塞がるようにしてもよい。
【0040】
本実施例においては、オスコネクタ100が洗浄部本体1に固定された状態で、洗浄液流入孔18から洗浄液を流入させ、洗浄液噴出孔15から噴出させることで、オスコネクタ100における、コネクタ本体101の側面と、カプラ103の内面と、コネクタ結合部100aで囲まれた空間である内部空間100bを洗浄する。図5には、その場合の洗浄液の流れについて示す。
【0041】
図5に矢印で示すように、洗浄液流入孔18から洗浄液を流入させ、洗浄液噴出孔15から噴出された洗浄液はオスコネクタ100の内部空間100bに流入する。オスコネクタ100の内部空間100bに流入した洗浄液は、内部空間100b内を流通して、コネクタ本体101の側面、カプラ103の内面及び、コネクタ結合部100aを洗浄し、その後、洗浄液排出孔16から洗浄液排出路19に導入され、排液筒部22から排出される。
【0042】
また、オスコネクタ100におけるコネクタ結合部100aにおいては、本体結合部101cとカプラ結合部103bの間の隙間から、洗浄液が図5の上側に漏れ出る可能性があるが、漏れ出た洗浄液は、コネクタ挿入孔10の内壁とカプラ103の外周面との間から落下し、第二洗浄液排出孔17より洗浄液排出路19に導入され、排液筒部22から排出される。
【0043】
なお、この状態においてコネクタ本体101の流路101aは突起部13によってシールされているので、内部空間100bを洗浄した後の洗浄液が流路101aに侵入し残留することを防止できる。本実施例における突起部13はシール部に相当する。また、カプラ103の内周側(内部空間100bに相当する)とカプラ103の外周側との間は、弾性リング14によって洗浄液排出孔16と第二洗浄液排出孔17が設けられた部分を除いてシールされているので、内部空間100bを流通する洗浄液がカプラ103の外部に漏れ出ることを抑制できる。本実施例における弾性リング14は、第二シール部に相当する。なお、本実施例においてシール部は、上記のように突起部13がコネクタ本体101の流路101aに侵入してシールする形態であるが、シール部はこの形態のものに限られない。例えば、コネクタ本体101の先端が当接する当接溝12における液密性を向上させたものでもよいし、突起部13を、コネクタ本体101の流路101aに侵入するものでなく、平坦な形状を有しコネクタ本体101の先端に密着するものとすることで、流路101aをシールしてもよい。コネクタ本体101の先端に当接する可撓性のOリングを設
け、幅広い寸法のコネクタにもシールできるようにしてもよい。
【0044】
図6には、洗浄部本体1、圧送ポンプ、洗浄液タンク41及び排液タンク45を簡易的
に示した洗浄装置40について示す。この例では、洗浄部本体1と洗浄液タンク41は、洗浄液タンク41内に貯留した洗浄液を洗浄液流入孔18に導く可撓性の洗浄液チューブ43で連通されている。洗浄液チューブ43が洗浄液タンク41から露出し、洗浄部本体1を自由に動かすことができる。洗浄液チューブ43は300mm~2000mm程度の長さが好ましく、800~1800mm程度の長さがより好ましい。また、洗浄液チューブ43が長い場合にはポンプを有する洗浄装置に洗浄部本体を組み付ける保持部を設けてもよい。また、洗浄液タンク41には、洗浄液タンク41内に貯留した洗浄液を洗浄液流入孔18に圧送するポンプ42が設けられている。洗浄液タンク41と圧送するポンプ42とは分離可能であっても分離不可能であってもよい。
【0045】
また、洗浄液排出路19と排液タンク45とを連通し、洗浄液排出路19から排出された洗浄後の洗浄液を排液タンク45に導く可撓性の排出チューブ44が設けられている。排出チューブ44は排液タンク45から外部に露出しており、洗浄部本体1の操作に支障が出る事態が低減されている。この例では、ポンプ42を作動させることで、洗浄液噴出孔15からオスコネクタ100の内部空間100bに洗浄液を噴出させ、内部空間100bを洗浄し、洗浄後の洗浄液を排液タンク45内に排出し、一時的に貯留することが可能となる。
【0046】
これにより、洗浄液タンク41と排液タンク45とを据え置きとし、これらに対して洗浄部本体1を自由に移動可能な洗浄装置40を構成することが可能である。その結果、洗浄部本体1のみを洗浄作業を行い易い場所に移動させてオスコネクタ100の洗浄を行うことができ、より容易にまたは、より効率的に洗浄作業を行うことが可能になる。なお、圧送ポンプ又は洗浄液タンクのいずれかを洗浄部本体1に設けることも可能である。図6においては洗浄液タンク41と排液タンク45とがばらばらに構成されているが、洗浄液タンク41と排液タンク45を置くことができる載置台を設け、当該載置台に洗浄液タンク41と排液タンク45を置くこともできるし、圧送ポンプと洗浄液タンクと洗浄液タンクを一体とすることもできる。また、排液タンク45は省略し、排出チューブ44から直接、下水口等に洗浄後の洗浄液を排出して廃棄しても構わない。また、洗浄液タンクは持ち運びができると共に開口部を有する容器が好ましいが、水道の蛇口やシリンジであってもよい。また、全てを一体としてもよい。
【0047】
なお、上記の実施例においては、柔軟な樹脂材料で形成される可撓性のチューブを用いているが、可撓性のチューブの材料は特に限定されず、曲げることができる金属部材であってもよい。また、上記の実施例においては、洗浄部本体1については、可撓性のチューブを介して、洗浄液を圧送するポンプを有する洗浄装置又は洗浄液タンクに対してコネクタ取付部が分離不可能につながっているが、コネクタ取付部と洗浄装置とは分離可能であってもよい。即ち、ポンプ又は洗浄液タンクを有する洗浄装置に取付可能な洗浄装置取付部と、収容部とを有するアダプタを設け、収容部と洗浄装置とを脱着可能にしてもよい。また、アダプタと洗浄装置との間に可撓性のチューブが存在せずともよく、アダプタが取り付けられる洗浄装置が可撓性のチューブを有してなくともよい。アダプタは樹脂等の比較的廉価な材料により形成し、オスコネクタ100の洗浄毎あるいは所定洗浄数毎、または患者毎等の所定タイミングにおいて交換することとしてもよい。使い捨てのアダプタを設ければ、特に、患者毎に収容部を交換することで、患者由来の菌が別の患者のコネクタに付着してしまう事態が低減される。特にオスコネクタと当接する側壁部や隔離部を含む部分をアダプタとすると、菌の付着をより低減することができて好ましい。また、アダプタは洗浄液チューブや排液チューブと着脱可能に接続できるコネクタ部を有していてもよい。当該コネクタ部は螺合、嵌合等のロック機構を有するとよい。洗浄後の排液は収容部から排出されやすいように設計するのが好ましく、水切れをよくすることでアダプタの交換による汚染を低減することができる。例えば、図6の洗浄液排出口19は水平方向に延びているが、重力方向又は傾斜方向に延びていてもよい。アダプタにおけるチューブの挿
入方向は図6のように重力方向でもよいが、水平方向としてもよく、水平方向の場合は側壁部が排出口に向かって洗浄液を導くように傾斜や溝を有してもよい。
【0048】
アダプタは洗浄液チューブや排液チューブと直接接続できるようであってもよいが、図7に破線に示すように、洗浄部本体1を分割可能に構成し、洗浄部本体1の一部分を交換可能な形態としてもよい。図7(a)は、洗浄装置部1を、オスコネクタ100に接触する部分1aと、それ以外の部分1bに分割した例である。この例では、オスコネクタ100に接触する部分1aのみを頻繁に交換することで、より確実に、洗浄部本体1自体の清浄性が低下することを抑制できる。
【0049】
また、交換部分を限定することができ、洗浄部本体1の交換に係るコスト上昇を抑制することが可能である。なお、この場合には、オスコネクタ100に接触する部分1aを樹脂製、それ以外の部分1bを金属製にする等、交換部分と非交換部分の材質を変えることで、交換部分のコストを低減しつつ、非交換部分の長寿命化を図ることが可能となる。また、非交換部分に抗菌性の材料を用いたりや抗菌材を塗布したりすることもできる。なお、非交換部分は樹脂であってもよい。交換部分を設けることは必須ではない。
【0050】
また、図7(b)は、構造的に分離し易く、蓋部材2の脱着等により破損リスクが高い部分1cと、清浄性が低下し易い部分1dとに分割した例である。この例では、蓋部材2の脱着等により破損リスクが高い部分1cを金属で形成して非交換とし、清浄性が低下し易い部分1dを樹脂で形成して交換対象としてもよい。これによっても、より確実に、洗浄部本体1自体の清浄性が低下することを抑制することができる。また、交換に係るコスト上昇を抑制することや、非交換部分の長寿命化を図ることが可能となる。交換部分と非交換部分とは、ねじ止め等の公知の様々な手法で結合させることが可能である。なお、非交換部分は樹脂であってもよい。交換部分を設けることは必須ではない。
【0051】
また、本実施例において、洗浄液流入孔18から洗浄液を流入させ、洗浄液噴出孔15から噴出させる洗浄液の水圧は、図8に示すように、様々に変化させることが可能である。例えば、図8(a)に示すように、一定水圧で噴出させてもよいし、図8(b)に示すように、間欠的に水圧を変化させ、結果として洗浄液を間欠的に噴出させるようにしてもよい。このようにすることで、内部空間を流れる洗浄液がぶつかり合い洗浄液の勢いを弱めてしまうことが低減される。さらには、図8(c)に示すように、洗浄液の噴出は継続させながら、水圧を周期的に変化させるようにしてもよい。洗浄液の水圧は、ポンプ32、42の回転数を制御することで変化させてもよい。これらの洗浄液の噴出法はボタンにより使用者が自由に選択できるようであってもよい。また、洗浄液噴出孔15の延在方向を斜めにしたり、洗浄液噴出孔15の流入側の径を流出側の径より小さくして噴出液の勢いを強めたり、逆に、洗浄液噴出孔15の流入側の径を流出側の径より大きくして広範囲に亘って洗浄液が噴出されるようにすることもできる。
【0052】
ポンプを有する洗浄装置はコードから電気が供給されるようでも、電池から供給されるようでもよく、電池は洗浄装置に内蔵してもよい。ポンプを有する洗浄装置は据え置きではない場合は使用者が持ち運びしやすい形状であるのが好ましい。ポンプを備える洗浄装置は10人程度の洗浄ができる水量を収容するタンクを有してもよく、タンクは洗浄装置から分離できるようであってもよい。また、排液タンクはポンプを備える洗浄装置に置けるようにしてもよく、別途用意したバッグやボトルといった容器を排液タンクとしてもよい。排液タンクは洗浄しやすい形状であるのが好ましい。洗浄装置は電動型に限らず、手動型であってもよく、ポンプは電動型ポンプが好ましいが、シリンジ等の手動型ポンプであってもよい。オスコネクタ本体と当接する隔離部はアダプタに一体に形成せず、別体に設けてもよい。蓋部材はヒンジを介してアダプタと連結していてもよく、アダプタに対してスライド自在に固定されていてもよい。また、洗浄装置は特に経腸栄養コネクタに有用
であるが、経腸栄養コネクタ以外の医療用コネクタに使用することもできる。洗浄液噴出孔15はアダプタに設けられてもよいが、洗浄装置側に設けられてもよく、洗浄液チューブの端部に洗浄液噴出孔が形成されてもよい。洗浄液噴出孔はオスコネクタ本体とカプラとの間と対向する位置に形成してもよい。収容部は、カプラとの間に流路を形成する間隙を有すると共にカプラと相対回転可能であってもよく、例えば、チューブ102を把持して周方向に回転させることでカプラが収容部内を回動するようにしてもよく、また、蓋部材にカプラとの係合部を設け、蓋部材を周方向に回転させることでカプラが収容部内を回動するようにしてもよい。蓋部材とコネクタ取付部とは液密に形成してもよい。例えば、蓋部材とコネクタ取付部との間に弾性部材等のシール材を設けてもよい。コネクタ取付部を有する収容部は一つの部材で構成されてもよいが、複数部材で構成されてもよい。例えば、収容部を半割れ状の二部材で構成し、収容部を分離可能にしてもよい。このようにすることで、蓋部材を削除することもできる。この場合、収容部の分離面にシール材を設け、分離した収容部を係合させた後に液密性が保たれるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1・・・洗浄部本体
2・・・蓋部材
10・・・コネクタ挿入孔
15・・・洗浄液噴出孔
19・・・洗浄液排出路
20・・・コネクタ取付部
21・・・本体部
22・・・排液筒部
40・・・洗浄装置
41・・・洗浄液タンク
43・・・洗浄液チューブ
45・・・排液タンク
100・・・オスコネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オスコネクタ本体及び該オスコネクタ本体の周囲を囲うと共にオスコネクタ本体との間で内部空間が形成されるカプラとを有する医療用オスコネクタを洗浄するためのアダプタであって、
前記医療用オスコネクタが収容されるコネクタ収容部と、
前記コネクタ収容部の前方側から洗浄液を流入させる流入部と、
前記コネクタ収容部から洗浄液を排出させる排出部とを備え、
前記コネクタ収容部に前記医療用オスコネクタが収容された状態において、前記コネクタ収容部は、前記カプラ全体を収容すると共にカプラとの間に流路を形成するカプラ収容壁と、前記カプラよりも後端側に設けられて洗浄液の外部への飛び散りを防止する飛散防止壁とを有し、飛散防止壁はカプラ後端との間で回収空間を形成し、前記回収空間は前記流路を介して前記排出部と連通していることを特徴とする、アダプタ。
【請求項2】
前記コネクタ収容部は前記飛散防止壁を含む分離可能部を有し、
当該分離可能部は分離後に係合することで前記コネクタ収容部の一部を形成することを特徴とする、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記飛散防止壁は前記コネクタ収容部に取り付けられた蓋部材であることを特徴とする、請求項1に記載のアダプタ。