(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191386
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】抗SIRPアルファ抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221220BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221220BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221220BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221220BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221220BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221220BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221220BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20221220BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221220BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221220BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221220BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20221220BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20221220BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221220BHJP
A61K 31/7084 20060101ALI20221220BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20221220BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221220BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20221220BHJP
A61K 35/74 20150101ALI20221220BHJP
A61K 36/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
C12P21/08
A61P35/00
A61P31/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K38/17
A61K38/20
A61K48/00
A61K31/7084
A61K47/60
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K35/12
A61K35/74 A
A61K36/00
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164426
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2019556200の分割
【原出願日】2018-04-13
(31)【優先権主張番号】2018708
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2019166
(32)【優先日】2017-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522074947
【氏名又は名称】サイロパ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン イイネンナアム,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン エルサス,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ヴォエツ,エリク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンク,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ハルシク,デイヴィッド ルチェ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インビトロでの神経膠芽腫細胞の食作用増加およびインビボでの有意な抗腫瘍活性など、固形および造血系の両方の腫瘍細胞の食作用増進をもたらす、抗SIRPα抗体を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を含む重鎖配列と、別の特定のアミノ酸配列を含む軽鎖配列の組み合わせを含む、ヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
m.SEQ ID NO:69のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:1と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
n.SEQ ID NO:70のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:2と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
o.SEQ ID NO:71のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:3と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
p.SEQ ID NO:72のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:4と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
q.SEQ ID NO:73のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:5と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および
r.SEQ ID NO:74のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:6と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、
のうちの1つまたは複数、そして場合によりそれぞれを含むか、あるいは
s.SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:1と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
t.SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:2と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
u.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:3と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
v.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:4と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
w.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:5と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および
x.SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:6と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、
のうちの1つまたは複数、そして場合によりそれぞれを含む、
ヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年4月13日出願のオランダ特許出願第2018708号および2017年7月3日出願のオランダ特許出願第2019166号の利益を主張するものであり、それらの特許出願のそれぞれは、全ての表、図および特許請求の範囲を含む全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、抗SIRPα抗体、および疾患の処置におけるこれらの抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
シグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)は、SIRPファミリーの膜糖タンパク質である。SIRPファミリーのメンバーは、特定の共通構造モチーフを共有する。これらは、膜貫通セグメントと、3対のジスルフィド結合により連結された3つのIg様ループを含むN末端細胞外ドメインと、を含む。しかし、C末端細胞内ドメインは、SIRPファミリー膜の間で異なる。SIRPαは、2つの免疫受容体チロシン依存性抑制モチーフ(ITIM)を形成する4つのチロシン残基を含む伸長した細胞内ドメインを有するが、SIRPβ1は、膜貫通ドメイン内にリシン残基と、それに続いてDAP12の受容体として働くITIMが欠如した短い細胞内テールを含む。8つのSIRPα単一ヌクレオチド多形が同定されており、最も多く占めるのは、SIRPαV1およびSIRPαV2であった(Takenaka et al., Nat. Immunol. 2007, 8:1313-23)。
【0004】
「イートミー」シグナル(即ち、修飾自己)は、アポトーシス細胞により特異的に産生され、該細胞の表面で提示されるが、健常細胞ではそのように産生および提示されない細胞外プレイヤーであり、食細胞受容体を、そして次にシグナル伝達カスケードを活性化することにより、食作用の開始にとって重要となる。イートミーシグナルは、アポトーシス細胞上で提示されるために、細胞外トラフィッキングを必要とする。イートミーシグナルの特定のカテゴリーは、ホスファチジルセリン(PtdSer)およびカルレチキュリン(CRT)などの膜結合タンパク質により提供される。外在化PtdSerは、食細胞上の受容体と結合して、アポトーシス細胞のクリアランスを容易にする(エフェロサイトーシスとしても知られるプロセス)。同様にCRTは、アポトーシス細胞の表面で上方制御され、食細胞上のLDL受容体関連タンパク質1(LRP1)に結合し、それにより貪食を媒介する。
【0005】
SIRPαは、食細胞(例えば、マクロファージ、顆粒球、および樹状細胞)上で広範囲に発現され、膜貫通タンパク質CD47との相互作用を通して阻害性受容体として作用する。この相互作用は、「ドント・イートミー」シグナルと称される応答を媒介する。この相互作用は、宿主細胞の食作用などの自然免疫細胞のエフェクター機能を負に調節する。CD47は多くの場合、腫瘍細胞上に存在するため、この「ドント・イートミー」シグナルは、食細胞依存性クリアランスに対する腫瘍の抵抗性に寄与すると考えられる。SIRPαとSIRPβ1の細胞外ドメインの類似性にもかかわらず、SIRPファミリーのメンバーには、機能的な差が存在する。例えばSIRPβ1は、検出可能なレベルでCD47に結合せず、そのため「ドント・イートミー」シグナルを媒介しない。代わりに、SIRPβ1は、骨髄細胞の活性化に関与する。
【0006】
伝えられるところによれば、CD47-SIRPαシグナル伝達の破壊(例えば、CD47またはSIRPαのいずれかに結合する拮抗性モノクローナル抗体による)は、インビトロでの神経膠芽腫細胞の食作用増加およびインビボでの有意な抗腫瘍活性など、固形および造血系の両方の腫瘍細胞の食作用増進をもたらす。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
第一の態様において、本発明は、以下に指定された構造的および機能的特色を含む抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片を提供する。
【0008】
様々な実施形態において、本発明は、(i)、(ii)および(iii)、つまり(i)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:1と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;(ii)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:2と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および/あるいは(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:3と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、のうちの1つ、2つまたは3つ全てを含むヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0009】
様々な他の実施形態において、本発明は、(i)、(ii)および(iii)、つまり(i)SEQ ID NO:69のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:1と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;(ii)SEQ ID NO:70のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:2と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および/あるいは(iii)SEQ ID NO:71のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:3と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、のうちの1つ、2つまたは3つ全てを含むヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0010】
特定の実施形態において、該抗体またはその抗原結合断片は、
SEQ ID NO:75、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:78、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:80、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:82、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:84、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:86、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:88、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:102、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:7、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:10、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:12、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:14、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:16、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:18、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:30、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0011】
様々な実施形態において、本発明はまた、(i)、(ii)および(iii)、つまり(i)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:4と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(ii)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:5と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および/あるいは(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:6と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、のうちの1つ、2つまたは3つ全てを含むヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0012】
様々な他の実施形態において、本発明はまた、(i)、(ii)および(iii)、つまり(i)SEQ ID NO:72のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:4と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(ii)SEQ ID NO:73のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:5と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および/あるいは(iii)SEQ ID NO:74のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:6と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、のうちの1つ、2つまたは3つ全てを含むヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0013】
特定の実施形態において、該抗体またはその抗原結合断片は、
SEQ ID NO:76、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:90、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:92、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:94、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:96、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:98、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:100、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:104、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:8、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:20、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:22、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:24、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:26、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:28、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:32、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0014】
様々な実施形態において、本発明は、
(i)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:1と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;(ii)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:2と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および/あるいは(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:3と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに
(iv)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:4と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(v)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:5と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および/あるいは(vi)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:6と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、
を含むヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0015】
様々な他の実施形態において、本発明は、
(i)SEQ ID NO:69のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:1と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;(ii)SEQ ID NO:70のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:2と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および/あるいは(iii)SEQ ID NO:71のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:3と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに
(iv)SEQ ID NO:72のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:4と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(v)SEQ ID NO:73のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:5と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および/あるいは(vi)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、または1、2、3もしくはより多くの保存的置換によりSEQ ID NO:74と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、
を含むヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0016】
さらに別の実施形態において、本発明は、
SEQ ID NO:7、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:10、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:12、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:14、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:16、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:18、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:30、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:8、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:20、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:22、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:24、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:26、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:28、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:32、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、
を含む、ヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0017】
さらに別の実施形態において、本発明は、
SEQ ID NO:75、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:78、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:80、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:82、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:84、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:86、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:88、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:102、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:76、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:90、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:92、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:94、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:96、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:98、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:100、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:104、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、
を含む、ヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0018】
本明細書の文脈において、「配列類似性」は、保存的変換の程度に結びつけた同一性の程度に基づく。「配列類似性」のパーセンテージは、同一または保存的変換のいずれかであるアミノ酸またはヌクレオチドのパーセンテージ、即ち、「配列類似性」=配列同一性%+保存的変換%である。したがって、本発明の目的では、「保存的変換」および「同一性」は、より広範囲の用語「類似性」の種類であると見なされる。したがって、配列「類似性」という用語が用いられる場合には必ず、それは、配列「同一性」および「保存的変換」を包含する。特定の実施形態によれば、保存的変換は、軽視され、配列類似性%は、配列同一性%をさす。特定の実施形態において、参照される配列同一性%により許容される配列における変換は、全て、またはほぼ全ての保存的変換であり、即ち、配列が、90%同一であれば、残りの10%は、全てまたはほぼ全て保存的変換である。本明細書の文脈における用語「ほぼ全て」は、許容された配列変換の少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%が保存的変換であることを指す。抗体重鎖および/軽鎖の特定の実施形態において、許容された配列変換は、フレームワーク領域内であり、CDR内ではない。
【0019】
好ましくは該抗体は、SEQ ID NO:7に従った重鎖を有する。さらに好ましくは該抗体は、SEQ ID NO:8に従った軽鎖を有する。より好ましくは該重鎖は、SEQ ID NO:10、12、14、16、18または30のいずれかから選択される。より好ましくは該軽鎖は、SEQ ID NO:20、22、24、26、28または32のいずれかから選択される。
【0020】
あるいは該抗体は、SEQ ID NO:75に従った重鎖を有する。さらに好ましくは該抗体は、SEQ ID NO:76に従った軽鎖を有する。より好ましくは該重鎖は、SEQ ID NO:78、80、82、84、86、88または102のいずれかから選択される。より好ましくは該軽鎖は、SEQ ID NO:90、92、94、96、98、100または104のいずれかから選択される。
【0021】
上記実施形態のいずれかにおいて、該抗体またはその抗原結合断片は、その用語が本明細書で定義される通り、単離されていてもよい。
【0022】
上記実施形態のいずれかにおいて、該抗体またはその抗原結合断片は、その用語が本明細書で定義される通り、組換え抗体である。
【0023】
上記実施形態のいずれかにおいて、該抗体またはその抗原結合断片は、その用語が本明細書で定義される通り、全長抗体である。
【0024】
本発明の抗体または抗原結合断片は、多様な種から得られてもよい。例えば本発明の抗体は、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ニワトリ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ヒト、ラマもしくはラクダの配列、またはそれらの配列の組み合わせ(いわゆるキメラ抗体)である免疫グロブリン配列を含んでいてもよい。最も好ましくは該抗体または抗原結合断片は、ヒトの、またはヒト化された抗体または抗原結合断片である。
【0025】
抗体という用語は、抗原結合部分、即ち(i)VL、VH、CLおよびCHlドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によってつながった2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VHおよびCHlドメインからなるFd断片;(iv)抗体の1つのアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、をはじめとする抗原に結合する能力を保持する「抗原結合部位」(例えば、断片、部分配列、相補性決定領域(CDR))を包含する。一本鎖抗体もまた、用語「抗体」の参照により包含される。好ましい治療性抗体は、インタクトIgG抗体である。本明細書で用いられる用語「インタクトIgG」は、認識された免疫グロブリンガンマ遺伝子により実質的にコードされた抗体のクラスに属するポリペプチドを意味する。ヒトでは、このクラスは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む。マウスではこのクラスは、IgG1、IgG2a、IgG2b、およびIgG3を含む。抗体のIgGクラスにおける公知のIgドメインは、VH、Cγ1、Cγ2、Cγ3、VL、およびCLである。
【0026】
上記実施形態のいずれかにおいて、該抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒトまたはヒト化抗体である。一実施形態において、該抗体は、IgGである。好ましい実施形態において、抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4、好ましくはヒトIgG1、IgG2、またはIgG4である。
【0027】
上記実施形態のいずれかにおいて、本発明の該抗体またはその抗原結合断片は、上記の軽鎖可変領域、ヒトカッパまたはラムダ軽鎖定常ドメイン、およびIgG1、IgG2、またはIgG4重鎖定常ドメインのいずれかを含み得る。本発明により用いられ得る模範的な軽鎖(カッパ)および重鎖(IgG2およびIgG4)定常領域配列は、SEQ ID NO:63、65、67(それぞれヌクレオチド配列)、64、66、および68(それぞれポリペプチド配列)に列挙される。
【0028】
例に過ぎないが、様々な実施形態においてそのような抗体またはその抗原結合断片は、以下の重鎖配列/軽鎖可変領域配列の組み合わせ:
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:20(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L1と称される)
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:22(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L2と称される)
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:24(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L3と称される)
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:26(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L4と称される)
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:28(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L5と称される)
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:20(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L1と称される)
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:22(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L2と称される)
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:24(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L3と称される)
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:26(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L4と称される)
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:28(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L5と称される)
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:20(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L1と称される)
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:22(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L2と称される)
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:24(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L3と称される)
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:26(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L4と称される)
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:28(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L5と称される)
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:20(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L1と称される)
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:22(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L2と称される)
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:24(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L3と称される)
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:26(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L4と称される)
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:28(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L5と称される)
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:20(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L1と称される)
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:22(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L2と称される)
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:24(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L3と称される)
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:26(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L4と称される)
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:28(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L5と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L1と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L2と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L3と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L4と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L5と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L6と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L1と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L2と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L3と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L4と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L5と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L6と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L1と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L2と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L3と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L4と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L5と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L6と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L1と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L2と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L3と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L4と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L5と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L6と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L1と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L2と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L3と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L4と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L5と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L6と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L1と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L2と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L3と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L4と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L5と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L6と称される)
または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のもののうちの1つを含む。
【0029】
幾つかの好ましい実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖はSEQ ID NO:10を含み、各軽鎖はSEQ ID NO:20を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のものを含み、最も好ましくは各軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメインを含み、各重鎖は、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4定常領域を含む。
【0030】
他の好ましい実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖はSEQ ID NO:16を含み、各軽鎖はSEQ ID NO:28を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のものを含み、最も好ましくは各軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメインを含み、各重鎖は、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4定常領域を含む。
【0031】
さらに他の好ましい実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖はSEQ ID NO:18を含み、各軽鎖はSEQ ID NO:20を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のものを含み、最も好ましくは各軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメインを含み、各重鎖は、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4定常領域を含む。
【0032】
幾つかの好ましい実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖はSEQ ID NO:80を含み、各軽鎖はSEQ ID NO:90を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のものを含み、最も好ましくは各軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメインを含み、各重鎖は、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4定常領域を含む。
【0033】
幾つかの好ましい実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖はSEQ ID NO:80を含み、各軽鎖はSEQ ID NO:92を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のものを含み、最も好ましくは各軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメインを含み、各重鎖は、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4定常領域を含む。
【0034】
幾つかの好ましい実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖はSEQ ID NO:80を含み、各軽鎖はSEQ ID NO:96を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のものを含み、最も好ましくは各軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメインを含み、各重鎖は、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4定常領域を含む。
【0035】
一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体は、先に列挙された2つの軽鎖および2つの重鎖を有する全長抗体構造を含み、各軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメインを含み、各重鎖は、ヒトIgG1定常領域を含む。
【0036】
一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体は、先に列挙された2つの軽鎖および2つの重鎖を有する全長抗体構造を含み、各軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメインを含み、各重鎖は、ヒトIgG2定常領域を含む。
【0037】
一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体は、先に列挙された2つの軽鎖および2つの重鎖を有する全長抗体構造を含み、各軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメインを含み、各重鎖は、ヒトIgG4定常領域を含む。
【0038】
特定の実施形態において、本発明の抗体または抗原結合断片は、以下の機能的特徴の1つ、2つ、3つ、4つまたはより多くを有し、好ましくはそれぞれを有する:
EC50<1nMでSEQ ID NO:34の配列を有するヒトSIRPαV1タンパク質に結合し;SEQ ID NO:62の配列を有するSIRPαV1(P74A)について少なくとも100倍高いEC50を示し;場合によりSEQ ID NO:38の配列を有するヒトSIRPβ1タンパク質についても少なくとも100倍高いEC50を示す(各例において、低下したEC50は、SEQ ID NO:34の配列を有するヒトSIRPαV1タンパク質についてのEC50に対してであり、そして各例において好ましくは、本明細書の以後に記載される細胞ELISA(CELISA)により測定された場合である);
<10nM、好ましくは<5nM、より好ましくは<1.5nM、さらに好ましくは<1.0nM、さらにより好ましくは<0.5nM、最も好ましくは約0.3nM以下のEC50でヒトSIRPαV1タンパク質を発現する細胞に結合する;
<10nM、好ましくは<5nM、より好ましくは<1.5nM、さらに好ましくは<1.0nM、さらにより好ましくは<0.5nM、最も好ましくは約0.3nM以下のEC50でヒトSIRPαV2タンパク質を発現する細胞に結合する;
50nM、好ましくは67nM、より好ましくは100nMの抗体濃度で、あるいはSIRPαV1またはSIRPαV2の抗体EC50よりも10倍大きい、好ましくは50倍大きい、より好ましくは100倍大きい、さらにより好ましくは200倍大きい濃度で、SIRPβ1タンパク質に感知できるほど結合しない;
<10.0nM、より好ましくは<5.0nM、さらにより好ましくは<2.5nM、最も好ましくは約1.0nM以下のIC50で、ヒトSIRPαとCD47との結合を阻害する;そして
少なくとも79、より好ましくは85のT20「ヒト性(humanness)」スコアを示す。
【0039】
好ましくは本発明の抗SIRPα抗体または抗原結合断片は、EC50<10nMでヒトSIRPαV1タンパク質を発現する細胞に結合しながら、100nMの抗体濃度で、あるいはSIRPαV1またはSIRPαV2の抗体EC50よりも200倍大きい抗体濃度で、SIRPαV1(P74A)およびSIRPβ1タンパク質の一方または両方に感知できるほど結合しない。最も好ましくは各軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメインを含み、各重鎖は、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4定常領域を含む。
【0040】
特定の実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも1種の治療薬にコンジュゲートさせることができる。一実施形態において、該治療薬は、第二の抗体もしくはその断片、免疫調整剤、ホルモン、細胞傷害剤、酵素、放射性核種、または少なくとも1種の免疫調整剤、酵素、放射性標識、ホルモン、アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくは細胞傷害剤にコンジュゲートされた第二の抗体、あるいはそれらの組み合わせである。
【0041】
本発明はまた、SEQ ID NO:75、78、80、82、84、86、88、76、90、92、94、96、98、100、102、104、7、10、12、14、16、18、30、8、20、22、24、26、28、および32、もしくは任意の該配列の断片のうちの任意の1つのアミノ酸配列、またはそれらと少なくとも90%、95%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを提供する。
【0042】
本発明はまた、本発明の抗SIRPα抗体または抗原結合断片の任意の1つをコードする単離された核酸を提供する。
【0043】
一実施形態において、本発明は、
SEQ ID NO:75、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:78、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:80、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:82、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:84、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:86、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:88、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:102、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:10、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:12、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:14、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:16、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:18、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:30、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする単離された核酸を提供する。
【0044】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:10のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:9の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0045】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:12のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:11の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0046】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:13の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0047】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:15の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0048】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:17の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0049】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:29の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0050】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:78のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:77の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0051】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:80のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:79の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0052】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:82のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:81の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0053】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:84のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:83の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0054】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:86のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:85の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0055】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:88のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:87の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0056】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:102のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:101の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0057】
一実施形態において、本発明は、
SEQ ID NO:76、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:90、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:92、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:94、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:96、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:98、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:100、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:104、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:8、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:20、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:22、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:24、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:26、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
SEQ ID NO:28、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:32、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする単離された核酸を提供する。
【0058】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:20のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:19の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0059】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:21の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0060】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:24のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:23の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0061】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:25の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0062】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:28のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:27の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0063】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:31の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0064】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:90のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:89の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0065】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:92のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:91の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0066】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:94のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:93の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0067】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:96のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:95の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0068】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:98のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:97の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0069】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:100のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:99の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0070】
特定の実施形態において、SEQ ID NO:104のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:103の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列によりコードされる。
【0071】
特定の実施形態において、本発明の単離された核酸は、場合によりリーダー配列を含み得る。
【0072】
そのような核酸は、以下の核酸配列のうちの1つまたは複数を含み得る:
SEQ ID NO:77の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:79の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:81の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:83の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:85の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:87の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:101の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:89の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:91の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:93の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:95の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:97の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:99の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:101の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:103の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:9の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:11の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:13の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:15の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:17の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:29の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:19の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:21の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:23の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:25の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:27の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、および/あるいは
SEQ ID NO:31の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列。
【0073】
特定の実施形態において、該核酸は、ヒトまたはヒト化抗体をコードすることができ、重鎖および軽鎖の両方の核酸配列を含む。一実施形態において、該抗体は、IgGである。好ましい実施形態において、抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4であり、好ましくはヒトIgG1、IgG2、またはIgG4である。特定の実施形態において、該軽鎖配列は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメイン配列を含み、各重鎖配列は、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4定常領域配列を含む。
【0074】
好ましくはそのような核酸は、以下の重鎖および軽鎖の可変領域核酸配列の組み合わせ:
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:19(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L1と称される)
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:21(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L2と称される)
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:23(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L3と称される)
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:25(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L4と称される)
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:27(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L5と称される)
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:19(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L1と称される)
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:21(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L2と称される)
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:23(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L3と称される)
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:25(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L4と称される)
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:27(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L5と称される)
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:19(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L1と称される)
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:21(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L2と称される)
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:23(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L3と称される)
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:25(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L4と称される)
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:27(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L5と称される)
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:19(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L1と称される)
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:21(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L2と称される)
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:23(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L3と称される)
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:25(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L4と称される)
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:27(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L5と称される)
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:19(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L1と称される)
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:21(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L2と称される)
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:23(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L3と称される)
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:25(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L4と称される)
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:27(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L5と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L1と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L2と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L3と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L4と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L5と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L6と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L1と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L2と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L3と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L4と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L5と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L6と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L1と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L2と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L3と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L4と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L5と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L6と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L1と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L2と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L3と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L4と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L5と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L6と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L1と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L2と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L3と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L4と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L5と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L6と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L1と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L2と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L3と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L4と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L5と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L6と称される)
または各例において、各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含む。
【0075】
幾つかの好ましい実施形態において、該核酸は、SEQ ID NO:9およびSEQ ID NO:19を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含む。
【0076】
幾つかの好ましい実施形態において、該核酸は、SEQ ID NO:15およびSEQ ID NO:27を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含む。
【0077】
幾つかの好ましい実施形態において、該核酸は、SEQ ID NO:17およびSEQ ID NO:19を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含む。
【0078】
幾つかの好ましい実施形態において、該核酸は、SEQ ID NO:79およびSEQ ID NO:89を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含む。
【0079】
幾つかの好ましい実施形態において、該核酸は、SEQ ID NO:79およびSEQ ID NO:91を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含む。
【0080】
幾つかの好ましい実施形態において、該核酸は、SEQ ID NO:79およびSEQ ID NO:95を含むか、または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含む。
【0081】
本発明はまた、本発明の1つまたは複数の核酸を含む発現ベクターを提供する。発現ベクターは、宿主細胞内での標的核酸の転写に必要となる調節エレメントを含むDNA分子である。典型的には該標的核酸は、構成型または誘導型プロモーター、組織特異的調節エレメント、およびエンハンサーエレメントを含む特定の調節エレメントの制御下で配置される。そのような標的核酸は、該調節エレメントが遺伝子の発現を制御する場合、調節エレメント「に動作可能に連結」されていると言われる。
【0082】
これらの単離された核酸およびそれらを含む発現ベクターは、組換え宿主細胞内で本発明の抗体またはその抗原結合断片を発現するために用いられてもよい。したがって本発明はまた、本発明の発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0083】
そのような発現ベクターは、調節エレメントに動作可能に連結された以下の核酸配列のうちの1つまたは複数を含み得る:
SEQ ID NO:77の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:79の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:81の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:83の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:85の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:87の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:101の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:89の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:91の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:93の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:95の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:97の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:99の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:103の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:11の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:13の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:15の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:17の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:29の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:19の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:21の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:23の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:25の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:27の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、および/あるいは
SEQ ID NO:31の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列。
【0084】
特定の実施形態において、該発現ベクターは、本発明の抗SIRPα抗体の重鎖配列および軽鎖配列の両方をコードする核酸配列を含む。好ましくはそのような発現ベクターは、以下の重鎖および軽鎖可変領域核酸配列の組み合わせ:
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:19(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L1と称される)
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:21(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L2と称される)
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:23(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L3と称される)
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:25(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L4と称される)
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:27(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L5と称される)
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:19(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L1と称される)
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:21(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L2と称される)
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:23(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L3と称される)
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:25(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L4と称される)
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:27(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L5と称される)
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:19(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L1と称される)
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:21(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L2と称される)
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:23(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L3と称される)
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:25(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L4と称される)
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:27(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L5と称される)
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:19(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L1と称される)
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:21(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L2と称される)
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:23(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L3と称される)
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:25(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L4と称される)
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:27(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L5と称される)
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:19(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L1と称される)
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:21(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L2と称される)
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:23(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L3と称される)
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:25(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L4と称される)
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:27(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L5と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L1と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L2と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L3と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L4と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L5と称される)
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L6と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L1と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L2と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L3と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L4と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L5と称される)
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L6と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L1と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L2と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L3と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L4と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L5と称される)
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L6と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L1と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L2と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L3と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L4と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L5と称される)
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L6と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L1と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L2と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L3と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L4と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L5と称される)
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L6と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:89(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L1と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:91(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L2と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:93(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L3と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:95(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L4と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:97(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L5と称される)
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:99(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L6と称される)
または各例において、各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含む。
【0085】
上記実施形態のいずれかにおいて、該発現ベクターは、発現のためにヒトまたはヒト化抗体をコードすることができ、重鎖および軽鎖の両方の核酸配列を含む。一実施形態において、該抗体は、IgGである。好ましい実施形態において、抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4であり、好ましくはヒトIgG1、IgG2、またはIgG4である。特定の実施形態において、該軽鎖配列は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖定常ドメイン配列を含み、各重鎖配列は、ヒトIgG4定常領域配列を含む。
【0086】
幾つかの好ましい実施形態において、該発現ベクターは、発現のためにヒトまたはヒト化抗体をコードし、該重鎖核酸配列は、SEQ ID NO:9を含み、該軽鎖核酸配列は、SEQ ID NO:19を含むか、または各例において、各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含み、最も好ましくはIgG1、IgG2またはIgG4アイソタイプである。
【0087】
幾つかの好ましい実施形態において、該発現ベクターは、発現のためにヒトまたはヒト化抗体をコードし、該重鎖核酸配列は、SEQ ID NO:15を含み、該軽鎖核酸配列は、SEQ ID NO:27を含むか、または各例において、各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含み、最も好ましくはIgG1、IgG2またはIgG4アイソタイプである。
【0088】
幾つかの好ましい実施形態において、該発現ベクターは、発現のためにヒトまたはヒト化抗体をコードし、該重鎖核酸配列は、SEQ ID NO:17を含み、該軽鎖核酸配列は、SEQ ID NO:19を含むか、または各例において、各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含み、最も好ましくはIgG1、IgG2またはIgG4アイソタイプである。
【0089】
幾つかの好ましい実施形態において、該発現ベクターは、発現のためにヒトまたはヒト化抗体をコードし、該重鎖核酸配列は、SEQ ID NO:79を含み、該軽鎖核酸配列は、SEQ ID NO:89を含むか、または各例において、各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含み、最も好ましくはIgG1、IgG2またはIgG4アイソタイプである。
【0090】
幾つかの好ましい実施形態において、該発現ベクターは、発現のためにヒトまたはヒト化抗体をコードし、該重鎖核酸配列は、SEQ ID NO:79を含み、該軽鎖核酸配列は、SEQ ID NO:91を含むか、または各例において、各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含み、最も好ましくはIgG1、IgG2またはIgG4アイソタイプである。
【0091】
幾つかの好ましい実施形態において、該発現ベクターは、発現のためにヒトまたはヒト化抗体をコードし、該重鎖核酸配列は、SEQ ID NO:79を含み、該軽鎖核酸配列は、SEQ ID NO:95を含むか、または各例において、各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のものを含み、最も好ましくはIgG1、IgG2またはIgG4アイソタイプである。
【0092】
一実施形態において、該宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。一実施形態において、該宿主細胞は、哺乳動物細胞(例えば、HEK293細胞などのヒト細胞、CHO細胞などのハムスター細胞など)、細菌細胞(例えば、大腸菌細胞)、酵母細胞(例えば、ピチア・パストリス細胞など)、植物細胞(例えば、ニコチアナ・ベンサミアナ細胞)などである。哺乳動物細胞は、最も好適であるグリコシル化パターンにより好ましい。
【0093】
本発明はまた、本発明の抗体または抗原結合断片と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0094】
一実施形態において、該組成物は、1種または複数のさらなる治療薬を含む。一実施形態において、該さらなる治療薬は、抗CD27抗体またはその抗原結合断片;抗LAG3抗体またはその抗原結合断片;抗APRIL抗体またはその抗原結合断片;抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片;抗VISTA抗体またはその抗原結合断片;抗BTLA抗体またはその抗原結合断片;抗TIM3抗体またはその抗原結合断片;抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片;抗HVEM抗体またはその抗原結合断片;抗CD70抗体またはその抗原結合断片;抗CD137抗体またはその抗原結合断片;抗OX40抗体またはその抗原結合断片;抗CD28抗体またはその抗原結合断片;抗PD1抗体またはその抗原結合断片;抗PDL1抗体またはその抗原結合断片;抗PDL2抗体またはその抗原結合断片;抗GITR抗体またはその抗原結合断片;抗ICOS抗体またはその抗原結合断片;抗ILT2抗体またはその抗原結合断片;抗ILT3抗体またはその抗原結合断片;抗ILT4抗体またはその抗原結合断片;抗ILT5抗体またはその抗原結合断片;抗4-1BB抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2A抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2C抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2E抗体またはその抗原結合断片;抗TSLP抗体またはその抗原結合断片;抗IL-10抗体またはその抗原結合断片;IL-10またはPEG化IL-10;TNF受容体タンパク質のアゴニスト(例えば、作動性抗体もしくはその抗原結合断片、または可溶性融合体);免疫グロブリン様タンパク質;サイトカイン受容体;インテグリン;シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質);活性化NK細胞受容体;Toll様受容体;OX40;CD2;CD7;CD27;CD28;CD30;CD40;ICAM-1;LFA-1(CD11a/CD18);4-1BB(CD137);B7-H3;ICOS(CD278);GITR;BAFFR;LIGHT;HVEM(LIGHTR);KIRDS2;SLAMF7;NKp80(KLRF1);NKp44;NKp30;NKp46;CD19;CD4;CD8アルファ;CD8ベータ;IL2Rベータ;IL2Rガンマ;IL7Rアルファ;ITGA4;VLA1;CD49a;ITGA4;IA4;CD49D;ITGA6;VLA-6;CD49f;ITGAD;CD11d;ITGAE;CD103;ITGAL;ITGAM;CD11b;ITGAX;CD11c;ITGB1;CD29;ITGB2;CD18;ITGB7;NKG2D;NKG2C;TNFR2;TRANCE/RANKL;DNAM1(CD226);SLAMF4(CD244;2B4);CD84;CD96(Tactile);CEACAMl;CRTAM;Ly9(CD229);CD160(BY55);PSGL1;CD100(SEMA4D);CD69;SLAMF6(NTB-A;Lyl08);SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3);SLAM7;BLAME(SLAMF8);SELPLG(CD162);LTBR;LAT;GADS;PAG/Cbp;CD19a;CD83と特異的に結合するリガンド;CD47、PD-1、PD-L1の阻害剤;PD-L2;CTLA4;TIM3;LAG3;CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5);VISTA;BTLA;TIGIT; LAIRl;IDO;TDO;CD160;TGFRベータ;および環状ジヌクレオチドまたは他のSTING経路アゴニストからなる群から選択される。
【0095】
本発明はまた、本発明の抗体または抗原結合断片と、ADCCを誘導する第二の抗体と、を含む組み合わせを含み、本発明の該抗体または抗原結合断片は、該第二の抗体により細胞の抗体介在性破壊を増進する。抗体依存性細胞介在細胞傷害(ADCC)は、膜表面抗原が特異的抗体により結合された標的細胞を免疫系のエフェクター細胞が能動的に溶解する、細胞介在免疫防御のメカニズムである。ADCCは多くの場合、ナチュラルキラー(NK)細胞により媒介されると考えられるが、樹状細胞、マクロファージ、単球および顆粒球もまた、ADCCを媒介することができる。
【0096】
本発明はまた、本発明の抗体または抗原結合断片と、ADCPを誘導する第二の抗体と、を含む組み合わせを含み、本発明の該抗体または抗原結合断片は、該第二の抗体により細胞の抗体介在食作用を増進する。抗体依存性細胞介在食作用(ADCP)は、顆粒球、単球、樹状細胞、またはマクロファージ介在食作用を介して標的細胞を殺傷する、細胞介在免疫防御のメカニズムである。
【0097】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、モノクローナル抗体(mAb)による腫瘍抗原標的化を含む癌免疫療法において主要な役割を担う。細胞を標的化する状況において、NK細胞は、細胞表面で発現される特定のFc受容体を通して「特異的に活性化」され得る。NK細胞は、免疫グロブリンのFc部分に結合してNK細胞内で活性化シグナルを伝達することが可能なFcγRIIIAおよび/またはFcγRIICを発現し得る。NK細胞は、標的細胞に結合された抗体によりFc受容体を通して活性化されたら、プライミングせずに標的細胞を溶解し、インターフェロンガンマのようなサイトカインを分泌して適応免疫細胞を動員することができる。同様に腫瘍関連マクロファージ(TAM)は、抗体のFc断片に結合する表面受容体を発現して、該抗体をAb依存性細胞傷害/食作用(ADCC/ADCP)に従事させる。SIRPα/CD47シグナル伝達は、ADCC/ADCPを低減する「ドント・イートミー」応答を誘導するため、本発明の抗SIRPα抗体または抗原結合断片によるこのシグナル伝達の遮断は、治療性抗体が向けられる抗原決定基を含む腫瘍細胞のADCCを増進し得る。
【0098】
作用機序としてのこのADCC/ADCPは、様々な癌および感染性疾患の処置に用いられてもよい。本発明の抗体または抗原結合断片と組み合わせられ得るADCC/ADCP誘導性抗体および抗体コンジュゲートの模範的リストとしては、リツキシマブ、ウブリツキシマブ、マルゲツキシマブ、IMGN-529、SCT400、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、ADCT-502、Hul4.18K322A、Hu3F8、ジヌツキシマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ-RLI、c.60C3-RLI、Hul4.18-IL2、KM2812、AFM13、(CD20)2xCD16、エルロチニブ(Tarceva)、ダラツムマブ、アレムツズマブ、ペルツズマブ、ブレンツキシマブ、エロツズマブ、イブリツモマブ、イファボツズマブ、ファルレツズマブ、オトレルツズマブ(otlertuzumab)、カロツキシマブ、エプラツズマブ、イネビリズマブ、ルムレツズマブ、4G7SDIE、AFM21、AFM22、LY-3022855、SNDX-6352、AFM-13、BI-836826、BMS-986012、BVX-20、モガムリズマブ、ChiLob-7/4、ロイコツキシマブ、イサツキシマブ、DS-8895、FPA144、GM102、GSK-2857916、IGN523、IT1208、ADC-1013、CAN-04、XOMA-213、PankoMab-GEX、chKM-4927、IGN003、IGN004、IGN005、MDX-1097、MOR202、MOR-208、オポルツズマブ、エンシツキシマブ、ベドチン(Adcetris)、イブリツモマブ・チウキセタン、ABBV-838、HuMax-AXL-ADC、およびアドトラスツズマブ・エムタンシン(Kadcyla)が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなADCC/ADCP誘導性抗体のための標的抗原の模範的リストとしては、AMHR2、AXL、BCMA、CA IX、CD4、CD16、CD19、CD20、CD22、CD30、CD37、CD38、CD40、CD52、CD98、CSF1R、GD2、CCR4、CS1、EpCam、EGFR、EGFRvIII、エンドグリン、EPHA2、EphA3、FGFR2b、葉酸受容体アルファ、フコシル-GM1、HER2、HER3、IL1RAP、カッパ骨髄腫抗原、MS4A1、プロラクチン受容体、TA-MUC1、およびPSMAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
特定の実施形態において、第二の抗体またはその抗原結合断片は、ADCPを誘導する。例に過ぎないが、そのような抗体は、リツキシマブ、ウブリツキシマブ、マルゲツキシマブ、IMGN-529、SCT400、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、アレムツズマブ、イブリツモマブ、ファルレツズマブ、イネビリズマブ、ルムレツズマブ、4G7SDIE、BMS-986012、BVX-20、モガムリズマブ、ChiLob-7/4、GM102、GSK-2857916、PankoMab-GEX、chKM-4927、MDX-1097、MOR202、およびMOR-208からなる群から選択されてもよい。
【0100】
本発明の抗体または抗原結合断片が1種または複数のADCC/ADCP誘導性抗体および抗体コンジュゲートと組み合わされる実施形態において、そのような組み合わせは、場合によりさらなる治療薬または治療手順と連携して、用いられてもよい。一実施形態において、該さらなる治療薬は、抗LAG3抗体またはその抗原結合断片;抗APRIL抗体またはその抗原結合断片;抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片;抗VISTA抗体またはその抗原結合断片;抗BTLA抗体またはその抗原結合断片;抗TIM3抗体またはその抗原結合断片;抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片;抗HVEM抗体またはその抗原結合断片;抗CD70抗体またはその抗原結合断片;抗CD137抗体またはその抗原結合断片;抗OX40抗体またはその抗原結合断片;抗CD28抗体またはその抗原結合断片;抗PD1抗体またはその抗原結合断片;抗PDL1抗体またはその抗原結合断片;抗PDL2抗体またはその抗原結合断片;抗GITR抗体またはその抗原結合断片;抗ICOS抗体またはその抗原結合断片;抗ILT2抗体またはその抗原結合断片;抗ILT3抗体またはその抗原結合断片;抗ILT4抗体またはその抗原結合断片;抗ILT5抗体またはその抗原結合断片;抗4-1BB抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2A抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2C抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2E抗体またはその抗原結合断片;抗TSLP抗体またはその抗原結合断片;抗IL-10抗体またはその抗原結合断片;およびIL-10またはPEG化IL-10からなる群から選択される。
【0101】
本発明はまた、本発明の抗SIRPα抗体または抗原結合断片の任意の1つを含む容器または注射デバイスを提供する。
【0102】
本発明はまた、本発明の抗体(またはその抗原結合断片)の重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、該ポリヌクレオチドの発現に好適な条件下で培養すること;ならびに場合により該宿主細胞および/または培地から該抗体または抗原結合断片を回収すること、を含む、本発明の抗SIRPα抗体または抗原結合断片を生成する方法を提供する。一実施形態において、該重鎖をコードするポリヌクレオチドおよび該軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、1つのベクター内にある。別の実施形態において、該重鎖をコードするポリヌクレオチドおよび該軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、異なるベクター内にある。
【0103】
本発明はまた、必要とする対象における癌を処置する方法であって、場合によりさらなる治療薬または治療手順に関連する、本発明の抗SIRPα抗体または抗原結合断片の有効量を該対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0104】
一実施形態において、処置される対象は、ヒト対象である。一実施形態において、該さらなる治療薬は、抗LAG3抗体またはその抗原結合断片;抗APRIL抗体またはその抗原結合断片;抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片;抗VISTA抗体またはその抗原結合断片;抗BTLA抗体またはその抗原結合断片;抗TIM3抗体またはその抗原結合断片;抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片;抗HVEM抗体またはその抗原結合断片;抗CD70抗体またはその抗原結合断片;抗CD137抗体またはその抗原結合断片;抗OX40抗体またはその抗原結合断片;抗CD28抗体またはその抗原結合断片;抗PD1抗体またはその抗原結合断片;抗PDL1抗体またはその抗原結合断片;抗PDL2抗体またはその抗原結合断片;抗GITR抗体またはその抗原結合断片;抗ICOS抗体またはその抗原結合断片;抗ILT2抗体またはその抗原結合断片;抗ILT3抗体またはその抗原結合断片;抗ILT4抗体またはその抗原結合断片;抗ILT5抗体またはその抗原結合断片;抗4-1BB抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2A抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2C抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2E抗体またはその抗原結合断片;抗TSLP抗体またはその抗原結合断片;抗IL-10抗体またはその抗原結合断片;およびIL-10またはPEG化IL-10からなる群から選択される。
【0105】
本発明はまた、対象における感染または感染性疾患を処置する方法であって、場合によりさらなる治療薬または治療手順に関連する、本発明の抗体または抗原結合断片の有効量を、該対象に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態において、処置される対象は、ヒト対象である。
【0106】
一実施形態において、該さらなる治療薬は、抗LAG3抗体またはその抗原結合断片;抗APRIL抗体またはその抗原結合断片;抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片;抗VISTA抗体またはその抗原結合断片;抗BTLA抗体またはその抗原結合断片;抗TIM3抗体またはその抗原結合断片;抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片;抗HVEM抗体またはその抗原結合断片;抗CD70抗体またはその抗原結合断片;抗CD137抗体またはその抗原結合断片;抗OX40抗体またはその抗原結合断片;抗CD28抗体またはその抗原結合断片;抗PD1抗体またはその抗原結合断片;抗PDL1抗体またはその抗原結合断片;抗PDL2抗体またはその抗原結合断片;抗GITR抗体またはその抗原結合断片;抗ICOS抗体またはその抗原結合断片;抗ILT2抗体またはその抗原結合断片;抗ILT3抗体またはその抗原結合断片;抗ILT4抗体またはその抗原結合断片;抗ILT5抗体またはその抗原結合断片;抗4-1BB抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2A抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2C抗体またはその抗原結合断片;抗NKG2E抗体またはその抗原結合断片;抗TSLP抗体またはその抗原結合断片;抗IL-10抗体またはその抗原結合断片;およびIL-10またはPEG化IL-10からなる群から選択される。
【0107】
本発明はまた、試料中のSIRPαペプチドまたはその断片の存在を検出するための方法であって、該試料を本発明の抗体またはその抗原結合断片と接触させること、および該抗体または断片と該ペプチドとの複合体の存在を検出し、該複合体の検出が該SIRPαペプチドの存在を示すこと、を含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1】市販の抗hSIRPα抗体の、hSIRPβ1との交差反応、ならびにhSIRPαV1およびhSIRPαV2への対立遺伝子特異性結合を表す。
【
図2】KWAR23抗体の、hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、およびhSIRPγとの反応性を表す。
【
図3】様々なhSIRPα対立遺伝子についての抗体クローンhSIRPα.50Aの反応性を表す。
【
図4】細胞表面で発現されるhSIRPαへの組換えhCD47/Fcタンパク質結合を遮断するhSIRPα.50A抗体の能力を表す。
【
図5A】初代ヒトCD14+濃縮単球へのhSIRPα.50A抗体の結合を表す。
【
図5B】初代ヒトCD14+濃縮単球へのhSIRPα.50A抗体の結合を表す。
【
図5C】初代ヒトCD14+濃縮単球へのhCD47の結合を遮断するhSIRPα.50A抗体の能力を表す。
【
図5D】初代ヒトCD14+濃縮単球へのhCD47の結合を遮断するhSIRPα.50A抗体の能力を表す。
【
図6A】初代ヒト顆粒球へのhSIRPα.50A抗体の結合を表す。
【
図6B】リツキシマブ+または-hSIRPα.50A抗体の存在下での初代ヒト顆粒球による腫瘍細胞の食作用を表す。
【
図6C】ダラツムマブ+または-hSIRPα.50A抗体の存在下での初代ヒト顆粒球による腫瘍細胞の食作用を表す。
【
図6D】アレムツズマブ+または-hSIRPα.50A抗体の存在下での初代ヒト顆粒球による腫瘍細胞の食作用を表す。
【
図6E】セツキシマブ+または-hSIRPα.50A抗体の存在下での初代ヒト顆粒球による腫瘍細胞の食作用を表す。
【
図7】示された抗体(リツキシマブまたはダラツムマブ)+または-hSIRPα.50A抗体の存在下でのヒトマクロファージによる腫瘍細胞の食作用を表す。
【
図8】hSIRPαへのマウスhSIRPα.50Aおよびヒト化hSIRPα.50A抗体によるhSIRPα/hCD47相互作用の遮断を表す。
【
図9】hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、hSIRPα-VβC1αC2α、hSIRPα-VαC1βC2α、およびhSIRPα-VαC1αC2βへのhSIRPα.50A抗体結合を表す。
【
図10A】hSIRPαおよびhSIRPβ1 IgVドメインアミノ酸配列のアライメントを表す。
【
図10B】hSIRPαV1(P74A)へのhSIRPα.50A抗体結合の損失を表す。
【
図11】hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、hSIRPβL、およびhSIRPγへのhSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体の結合を表す。
【
図12】hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPαV3、hSIRPαV4、hSIRPαV5、hSIRPαV6、hSIRPαV8、およびhSIRPαV9へのhSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体の結合を表す。
【
図13】細胞表面で発現されるhSIRPαへの組換えhCD47/Fcタンパク質結合を遮断するhSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体の能力を表す。
【
図14A】初代ヒトCD14+濃縮単球へのhSIRPα.40A抗体の結合を表す。
【
図14B】初代ヒトCD14+濃縮単球へのhSIRPα.40A抗体の結合を表す。
【
図14C】初代ヒトCD14+濃縮単球へのhCD47の結合を遮断するhSIRPα.40A抗体の能力を表す。
【
図14D】初代ヒトCD14+濃縮単球へのhCD47の結合を遮断するhSIRPα.40A抗体の能力を表す。
【
図15A】初代ヒト顆粒球へのhSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体の結合を表す。
【
図15B】リツキシマブ+または-hSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体の存在下での初代ヒト顆粒球によるラモス細胞の食作用を表す。
【
図16】hSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体によるリツキシマブ誘導性ラージ細胞食作用の増進を表す。
【
図17】hSIRPαへのマウスhSIRPα.40Aおよびヒト化hSIRPα.40A抗体の結合を表す。
【
図18】ヒト化hSIRPα.40A抗体変異体の存在下でのhSIRPαへのhCD47結合の遮断を表す。
【
図19】hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、hSIRP-VγC1βC2β、hSIRP-VβC1γC2β、およびhSIRP-VβC1βC2γへのhSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体の結合を表す。
【
図20】hSIRPαV1(P74A)へのhSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体結合の損失を表す。
【
図21】リツキシマブ介在性食作用に影響を及ぼすキメラhSIRPα.40A抗体変異体の能力を表す。
【
図22】リツキシマブ介在性食作用に影響を及ぼすヒト化hSIRPα.40A抗体変異体の能力を表す。
【
図23A】リツキシマブ介在性食作用に影響を及ぼすマウスhSIRPα.50AおよびキメラhSIRPα.50A hIgG2およびhIgG4抗体変異体の能力を表す。
【
図23B】リツキシマブ介在性食作用に影響を及ぼすキメラhSIRPα.50A hIgG2およびhIgG4抗体変異体の能力を表す。
【
図23C】ダラツムマブ介在性食作用に影響を及ぼすキメラhSIRPα.50A hIgG2およびhIgG4抗体変異体の能力を表す。
【
図23D】顆粒球におけるリツキシマブ介在性食作用に影響を及ぼすマウスhSIRPα.50AおよびキメラhSIRPα.50A hIgG2抗体変異体の能力を表す。
【
図24A】リツキシマブ介在性食作用に影響を及ぼすマウスhSIRPα.50AおよびキメラhSIRPα.50A.hIgG1.N297Q、hSIRPα.50A.hIgG4.N297QまたはhSIRPα.50A.hIgG2抗体変異体の能力を表す。
【
図24B】ダラツムマブ介在性食作用に影響を及ぼすマウスhSIRPα.50AおよびキメラhSIRPα.50A.hIgG1.N297Q、hSIRPα.50A.hIgG4.N297QまたはhSIRPα.50A.hIgG2抗体変異体の能力を表す。
【
図25】リツキシマブ介在性食作用に影響を及ぼすキメラhSIRPα.50A.hIgG1.N297Q、hSIRPα.50A hIgG1.L234A.L235A.P329G、およびhSIRPα.50A hIgG2またはhIgG4抗体変異体の能力を表す。
【発明を実施するための形態】
【0109】
詳細な記載
略語
本発明の詳細な記載および実施例全体で、以下の略語が用いられる:
ADCC 抗体依存性細胞傷害
ADCP 抗体依存性細胞食作用
CDC 補体依存性細胞傷害
CDR Kabatナンバリングシステムを用いて定義された免疫グロブリン可変領域内の相補性決定領域
CHO チャイニーズハムスター卵巣
EC50 全結合シグナルの50%が観察された濃度
ELISA 酵素免疫測定法
FR 抗体フレームワーク領域:CDR領域を除く免疫グロブリン可変領域
HRP 西洋ワサビペルオキシダーゼ
IFN インターフェロン
IC50 50%阻害をもたらす濃度
IgG 免疫グロブリンG
Kabat Elvin A.Kabat((1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)により開発された免疫グロブリンアライメントおよびナンバリングシステム
mAbまたはMabまたはMAb モノクローナル抗体
SEB スタフィロコッカスエンテロトキシンB
TT 破傷風トキソイド
V領域 異なる抗体の間で配列が可変的であるIg鎖のセグメント。軽鎖のKabat残基109および重鎖の113に及ぶ。
VH 免疫グロブリン重鎖可変領域
VK 免疫グロブリンカッパ軽鎖可変領域
VL 免疫グロブリン軽鎖可変領域
【0110】
定義
本発明が、より即座に理解され得るように、特定の技術的および科学的用語を以下に具体的に定義する。本文書内の他の箇所に具体的に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての他の技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により共通して理解される意味を有する。
【0111】
添付の特許請求の範囲をはじめとする本明細書で用いられる通り、「a」、「an」および「the」などの言語の単数形は、文脈上他に明確に示されない限り、対応する複数の対象を包含する。
【0112】
動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、臓器、または生体液に適用される「投与」および「処置」は、該動物、ヒト、対象、細胞、組織、臓器、または生体液への外因性医薬、治療薬、診断薬または組成物の接触を指す。細胞の処置は、細胞への試薬の接触、および細胞と接触した流体への試薬の接触を包含する。「投与」および「処置」はまた、例えば、試薬、診断薬、結合化合物、または別の細胞による細胞の、インビトロおよびエクスビボ処置を意味する。
【0113】
「処置する」または「処置すること」は、本発明の抗体または抗原結合断片のいずれかを含有する組成物などの治療薬を、該治療薬が治療活性を有する1つまたは複数の疾患症状を有する対象もしくは患者に、または疾患を有する疑いがある対象もしくは患者に、体内または体外から投与することを意味する。典型的には該薬剤は、任意の臨床的に測定可能な程度により、そのような症状(複数可)の回復を誘導すること、または進行を阻害すること、のいずれに関わらず、処置対象または集団における1つまたは複数の疾患症状を改善するのに効果的な量で投与される。任意の特定の疾患症状を改善するのに効果的である治療薬の量は、疾患の状況、患者の年齢および体重、対象における所望の応答を誘起する薬物の能力などの因子に応じて変動してもよい。疾患症状が改善された否かは、典型的にはその症状の重症度または進行状況を評定する医師または他の熟練のヘルスケア提供者により用いられる任意の臨床尺度により評定することができる。
【0114】
タンパク質の「組換え発現」は、本明細書で「組換えタンパク質」と称されるタンパク質を作製するための宿主生物体内での外来遺伝子の転写および翻訳を意味する。
【0115】
SIRPαおよび関連タンパク質
SIRPαは、類似の細胞外領域と、逆のシグナル伝達能力(活性化または阻害)を有する異なる膜貫通および/または細胞質領域と、を有するタンパク質(例えば、SIRPα、SIRPβ1、およびSIRPγ)をコードする複数の遺伝子を含む「ペア型受容体」として知られる膜タンパク質のクラスに属する。SIRPαと同様に、SIRPおよびCD200受容体ファミリーをはじめとするNK細胞上に数例のペア型受容体が、そして一部は骨髄細胞上に存在する(Hatherley et al., Mol Cell. 2008; 31:266-277)。
【0116】
SIRPαは、Ig様(免疫グロブリン様)V型(IgV)、Ig様C1型(IgC1)、およびIg様C2型(IgC2)ドメインという3種の別のドメインに細分され得る細胞外領域を含む。IgVドメインは、SIRPαのリガンド結合N末端ドメインとしても知られる。SIRPαと同様に、関連タンパク質SIRPβ1およびSIRPγは、IgV、IgC1およびIgC2ドメインに細分され得る細胞外領域を含む。しかしSIRPα、SIRPβ1およびSIRPγは、異なる細胞質領域を有する。SIRPβ1は、アミノ酸が6のみの非常に短い細胞質領域を有し、ホスファターゼとの会合のためのシグナル伝達モチーフが欠如する。代わりに、このタンパク質は、SIRPβ1の膜貫通領域内でアミノ酸を塩基性側鎖と結合させる二量体アダプタータンパク質であるDNAX活性化タンパク質12(DAP12)と会合し、免疫受容チロシン活性化モチーフ(ITAM)を通して活性化シグナルを伝達することができる。SIRPγもまた、アミノ酸4つの短い細胞質領域を有するが、膜貫通領域内に荷電アミノ酸側鎖が欠如し、それゆえDAP12と会合しない。このためSIRPγは、非シグナル伝達タンパク質という注釈が付く(Barclay, A.N. and Brown, M.H., Nat Rev Immunol. 2006; 6: 457-464)。
【0117】
SIRPαの主要なリガンドは、CD47であり、それは1つの細胞外IgVドメインと、5倍の膜貫通ドメインと、短い細胞質テールと、からなる。CD47は、SIRPαのNH2末端IgVドメインを介した結合を有する細胞リガンドとして機能する。CD47が自己の認識に寄与するとする証拠は、CD47発現マウス由来の脾臓マクロファージがCD47-/-マウスから輸注された血液細胞を取り除くという観察から得られる(Oldenborg et al., Science. 2000; 288: 2051-2054)。
【0118】
CD47に加えて、界面活性プロテインAおよびD(Sp-AおよびSp-D)としても知られる2つの他のSIRPαリガンドが報告されており、それらは両者とも、コレクチンファミリーに属する。Sp-Dは、カルシウム依存的および糖依存的にSIRPαの膜近位IgC2ドメインに結合することが報告されている。Sp-AおよびSp-Dは、肺胞マクロファージ上のSIRPαを刺激することにより肺内の抗炎症性環境を維持すると考えられている(Gardai et al., Cell. 2003; 115: 13-23)。
【0119】
8種のヒトSIRPα変異体のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:34、36、44、46、48、50、52、および54に列挙され;これらの変異体をコードする模範的な核酸配列が、それぞれSEQ ID NO:33、35、43、45、47、49、51、および53に列挙される。
【0120】
比較のために、ヒトSIRPβ1およびSIRPγのアミノ酸配列が、それぞれSEQ ID NO:38および40に列挙され、模範的な核酸配列が、それぞれSEQ ID NO:37および39に列挙される。
【0121】
ヒトCD47のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:42に列挙され、模範的な核酸配列が、SEQ ID NO:41に列挙される。
【0122】
本明細書の以後に議論される修飾SIRPαポリペプチドhSIRPα-VβC1αC2α、hSIRPα-VαC1βC2α、hSIRPα-VαC1αC2β、およびhSIRPαV1(P74A)が、SEQ ID NO:56、58、60、および62に列挙され;これらの変異体をコードする模範的な核酸配列が、それぞれSEQ ID NO:55、57、59、および61に列挙される。
【0123】
抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片
本発明は、ヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片、およびそのような抗体または断片の使用を提供する。幾つかの実施形態において、該抗SIRPα抗体が、単離される。
【0124】
抗体がポリペプチド配列(例えば、ヒトSIRPα、hSIRPβ1など)に特異的に結合するか否かは、当該技術分野で知られる任意のアッセイを利用して決定され得る。結合親和性を計測するための当該技術分野で知られるアッセイの例としては、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似の技術(例えば、KinExaまたはOCTET)が挙げられる。
【0125】
本明細書で用いられる用語「抗体」は、所望の生物活性を示す抗体の任意の形態を指す。抗体という用語は、抗原結合部分、即ち、(i)VL、VH、CLおよびCHlドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によってつながった2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VHおよびCHlドメインからなるFd断片;(iv)抗体の1つのアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al., (1989)Nature 341:544-546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、をはじめとする抗原に結合する能力を保持する「抗原結合部位」(例えば、断片、部分配列、相補性決定領域(CDR))を包含する。一本鎖抗体もまた、用語「抗体」の参照により包含される。好ましい治療性抗体は、インタクトIgG抗体である。本明細書で用いられる用語「インタクトIgG」は、認識された免疫グロブリンガンマ遺伝子により実質的にコードされた抗体のクラスに属するポリペプチドを意味する。ヒトでは、このクラスは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む。マウスではこのクラスは、IgG1、IgG2a、IgG2b、およびIgG3を含む。抗体のIgGクラスにおける公知のIgドメインは、VH、Cγ1、Cγ2、Cγ3、VL、およびCLである。
【0126】
本発明は、抗SIRPα抗原結合断片、およびそれの使用方法を包含する。
【0127】
本明細書で用いられる「全長抗体」は、IgGの例では、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む二価分子である。各重鎖は、VHドメインと、それに続く定常ドメイン(CH1)、ヒンジ領域、およびさらに2つの定常(CH2およびCH3)ドメインを含むが;各軽鎖は、1つのVLドメインおよび1つの定常(CL)ドメインを含む。IgMの場合の全長抗体は、5または6個つながった免疫グロブリンを含む10価または12価分子であり、その免疫グロブリンでは、各モノマーが重鎖および軽鎖を形成する2つの抗原結合部位を有する。
【0128】
本明細書で用いられる通り、他に示されない限り「抗体断片」または「抗原結合断片」は、抗体の抗原結合断片、即ち、全長抗体により結合された抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体断片、例えば、1つまたは複数のCDR領域を保持する断片を指す。抗原結合断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子、例えばsc-Fv;ナノボディ;抗体断片から形成されたナノボディおよび多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
本発明は、抗SIRPα Fab断片、およびそれの使用方法を包含する。「Fab断片」は、1つの軽鎖と、1つの重鎖のCH1および可変領域と、で構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。「Fab断片」は、抗体のパパイン切断の産物であり得る。
【0130】
本発明は、Fc領域を含む抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片、ならびにその使用方法を包含する。「Fc」領域は、抗体のCH3およびCH2ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。該2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合により、そしてCH3ドメインの疎水性相互作用によりまとめられている。
【0131】
本発明は、抗SIRPα Fab’断片、およびその使用方法を包含する。「Fab’断片」は、1つの軽鎖と、VHドメインおよびCH1ドメインを含む1つの重鎖の部分または断片と、CH1とCH2ドメインの間の領域と、を含むため、鎖間ジスルフィド結合が、2つのFab’断片の2つの重鎖の間に形成されて、F(ab’)2分子を形成し得る。
【0132】
本発明は、抗SIRPα F(ab’)2断片、およびその使用方法を包含する。「F(ab’)2断片」は、2つの軽鎖と、CH1ドメインとCH2ドメインの間に定常領域の一部を含む2つの重鎖と、を含むため、鎖間ジスルフィド結合が、2つの重鎖の間に形成される。こうしてF(ab’)2断片は、2つの重鎖の間のジスルフィド結合によりまとめられた2つのFab’断片で構成される。「F(ab’)2断片」は、抗体のペプシン切断の産物であり得る。
【0133】
本発明は、抗SIRPα Fv断片、およびその使用方法を包含する。「Fv領域」は、重鎖および軽鎖の両方からの可変領域を含むが、定常領域が欠如する。
【0134】
本発明は、抗SIRPα scFv断片、およびその使用方法を包含する。用語「一本鎖Fv」または「scFv」抗体は、抗体のVHおよびVLドメインを含む抗体断片を指し、これらのドメインは、一本のポリペプチド鎖の中に存在する。一般にFvポリペプチドは、抗原結合に望ましい構造をscFvに形成させるVHドメインとVLドメインの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの評論については、Pluckthun (1994) THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODIES, vol. 113, Rosenburg and Moore eds. Springer-Verlag, New York, pp. 269-315を参照されたい。同じく、国際特許出願公告第WO88/01649号、ならびに米国特許第4,946,778号および同第5,260,203号を参照されたい。
【0135】
本発明は、抗SIRPαドメイン抗体、およびその使用方法を包含する。「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含む免疫学的機能性の免疫グロブリン断片である。幾つかの例において、2つ以上のVH領域が、ペプチドリンカーにより共有結合で接合されて、2価ドメイン抗体を生成する。2価ドメイン抗体の2つのVH領域は、同一または異なる抗原を標的化してもよい。
【0136】
本発明は、抗SIRPα2価抗体およびその使用方法を包含する。「2価抗体」は、2つの抗原結合部位を含む。幾つかの例において、該2つの結合部位は、同じ抗原特異性を有する。しかし2価抗体は、二重特異性であってもよい(以下参照)。
【0137】
本発明は、抗SIRPαダイアボディおよびその使用方法を包含する。本明細書で用いられる用語「ダイアボディ」は、同じポリペプチド鎖(VH-VLまたはVL-VH)内の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指す。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには過度に短いリンカーを使用することにより、ドメインは別の鎖の相補性ドメインとの対合および2つの抗原結合部位の作製が促される。ダイアボディは、例えばEP404,097;WO93/11161;およびHolliger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448の中により完全に記載される。デュオボディは、Labrijn et al., 2013, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 110 (13):5145-5150に記載されている。操作された抗体変異体の評論については、一般にHolliger and Hudson (2005) Nat. Biotechnol. 23:1126-1136を参照されたい。
【0138】
典型的には、幾つかの方法で修飾された本発明の抗体または抗原結合断片は、結合活性がモルベースで発現された場合に、該活性の少なくとも10%(親抗体に比較して)を保持する。好ましくは、本発明の抗体または抗原結合断片は、親抗体としてのSIRPα結合親和性の少なくとも20%、50%、70%、80%、90%、95%もしくは100%、またはより多くを保持する。本発明の抗体または抗原結合断片は、生物活性を実質的に改変しない保存的または非保存的アミノ酸置換(抗体の「保存的変異体」または「機能保存性変異体」)を含み得ることも意図される。
【0139】
本発明は、単離された抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片、ならびにそれらの使用方法を包含する。本明細書において用語「単離された」は、そのような生体分子の完全な非存在、または水、緩衝液もしくは塩の非存在、または該抗体もしくは断片を含む医薬配合物の成分を指さないものとする。「単離された」抗体、抗原結合断片、核酸などは、同定されていて、自然環境の1つまたは複数の成分から分離および/または回収されたものである。好ましい実施形態において、該抗体、抗原結合断片、核酸などは、75重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらにより好ましくは95重量%以上、さらにより好ましくは98重量%以上に精製される。したがって「単離された」生体分子は、生成される細胞または細胞培養物からの他の生体分子を少なくとも部分的に含まない。そのような生体分子としては、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、または細胞片および生育培地などの他の材料が挙げられる。単離された抗体または抗原結合断片は、さらに、宿主細胞からの、またはそれの生育培地中の生体分子などの発現系の成分を少なくとも部分的に含まなくてもよい。
【0140】
本発明は、抗SIRPαキメラ抗体(例えば、ヒト定常ドメイン/マウス可変ドメイン)およびその使用方法を包含する。本明細書で用いられる「キメラ抗体」は、第一の抗体からの可変ドメインと、第二の抗体からの定常ドメインと、を有し、該第一および第二の抗体が異なる種のものである、抗体である(米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-6855)。典型的には該可変ドメインは、げっ歯類などの実験動物の抗体(「親抗体」)から得られ、該定常ドメイン配列は、ヒト抗体から得られるため、得られたキメラ抗体は、親(例えば、マウス)抗体以外のヒト対象において有害な免疫応答を誘発する可能性が低いであろう。
【0141】
本発明は、抗SIRPαヒト化抗体およびその抗原結合断片(例えば、ヒト化されたラットまたはマウス抗体)、ならびにそれらの使用方法を包含する。本明細書で用いられる用語「ヒト化抗体」は、ヒトおよび非ヒト(例えば、マウスまたはラット)抗体の両方からの配列を含む抗体の形態を指す。一般に該ヒト化抗体は、実質的には少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインで構成され、超可変ループの全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク(FR)領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のものである。該ヒト化抗体は、場合によりヒト免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含んでいてもよい。ヒト化抗体についてのさらなる詳細は、例えばJones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Reichmann et al., Nature, 332:323-329 (1988); Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992);およびClark, Immunol. Today 21: 397-402 (2000)を参照されたい。
【0142】
一般には塩基性抗体の構造単位は、テトラマーを含む。各テトラマーは、ポリペプチド鎖の2つの同一の対を含み、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担う約100~110またはより多くのアミノ酸の可変領域を含む。重鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を画定し得る。典型的にはヒト軽鎖は、カッパおよびラムダ軽鎖として分類される。さらにヒト重鎖は、典型的にはミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンとして分類され、それぞれ抗体のアイソタイプをIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEと定義する。軽鎖および重鎖内では、可変領域と定常領域が、約12アミノ酸以上の「J」領域により接合され、重鎖はまた約10アミノ酸以上の「D」領域を含む。一般に、Fundamental Immunology Ch. 7 (Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989)を参照されたい。
【0143】
各軽/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。したがって一般に、インタクト抗体は、2つの結合部位を有する。二機能性または二重特異性抗体以外では、該2つの結合部位は、一般に同一である。
【0144】
典型的には重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインは、相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)内に位置する相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる3つの超可変領域を含む。該CDRは通常、フレームワーク領域によりアライメントされて、特異的エピトープへの結合を可能にする。一般に、N末端からC末端までに、軽鎖および重鎖の両方の可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り付けは、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest, Kabat, et al.; National Institutes of Health, Bethesda, MD; 5th ed.; NIH Publ. No. 91-3242 (1991); Kabat (1978) Adv. Prot. Chem. 32:1-75; Kabat, et al., (1977) J. Biol. Chem. 252:6609-6616; Chothia, et al., (1987) J Mol. Biol. 196:901-917、またはChothia, et al., (1989) Nature 342:878-883の定義に従う。
【0145】
本明細書で用いられる用語「超可変領域」は、抗原結合を担う抗体またはその抗原結合断片のアミノ酸残基を指す。該超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」(即ち、軽鎖可変ドメインのCDRL1、CDRL2およびCDRL3、ならびに重鎖可変ドメインのCDRH1、CDRH2およびCDRH3)からのアミノ酸残基を含む。Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (配列により抗体のCDR領域を定義)を参照されたい;同じくChothia and Lesk (1987) J. Mol. Biol. 196: 901-917(構造により抗体のCDR領域を定義)を参照されたい。本明細書で用いられる用語「フレームワーク」または「FR」残基は、CDR残基として本明細書で定義される超可変領域残基以外のそれらの可変ドメインを指す。
【0146】
「単離された核酸分子」または「単離されたポリヌクレオチド」は、ポリヌクレオチドの全てまたは一部と会合していないゲノムDNAもしくはRNA、mRNA、cDNA、またはそれらの合成起源もしくは幾つかの組み合わせを意味し、該単離されたポリヌクレオチドは、天然に見出されるか、または天然ではつながっていないポリヌクレオチドにつながっている。本開示の目的では、特別なヌクレオチド配列を「含む核酸分子」は、インタクト染色体を包含しないことを理解されたい。指定された核酸配列を「含む」単離された核酸分子は、指定された配列に加えて、最大10または最大20またはより多くの他のタンパク質、またはその一部もしくは断片のコード配列を含んでいてもよく、あるいは列挙された核酸配列のコード領域の発現を制御する動作可能に連結された調節配列を含んでいてもよく、そして/あるいはベクター配列を含んでいてもよい。
【0147】
語句「制御配列」は、特別な宿主生物体内で動作可能に連結されたコード配列の発現に必要となるDNA配列を指す。例えば原核生物に適した制御配列としては、プロモーター、場合によりオペレータ配列、およびリボソーム結合部位が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが知られている。
【0148】
核酸またはポリヌクレオチドは、別の核酸配列との機能的関連性を考慮すると、「動作可能に連結されている」。例えば前駆配列または分泌性リーダーのためのDNAは、ポリペプチドの分泌に参画する前駆タンパク質として発現される場合には該ポリペプチドのためのDNAに動作可能に連結され;プロモーターまたはエンハンサーは、コード配列の転写に影響を及ぼす場合には該配列に動作可能に連結され、またはリボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置される場合にはコード配列に動作可能に連結される。必ずではないが一般に、「動作可能に連結された」は、連結されたDNA配列が隣接しており、分泌性リーダーの場合には、隣接していてリーディング相(reading phase)内にあることを意味する。しかし、エンハンサーは、隣接している必要はない。連結は、簡便な制御部位でのライゲーションにより完遂される。そのような部位が、存在しない場合、合成のオリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来の実践に従って用いられる。
【0149】
本明細書で用いられる発現「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は、互換的に用いられ、そのような呼称は全て、子孫を含む。したがって言語「トランスフォーマント」および「形質転換細胞」は、導入数にかかわらず、初代対象細胞およびそれに由来する培養物を包含する。同じく、子孫の全てが計画的な、または意図しない突然変異のために正確に同一のDNA量を有するわけでないことが、理解されよう。元々に形質転換されている細胞でスクリーニングされたものと同じ機能および生物活性を有する突然変異体子孫が、含まれる。異なる呼称が意図される場合には、文脈から明白になろう。
【0150】
本明細書で用いられる「生殖系配列」は、再配置されていない免疫グロブリンDNA配列のうちの一配列を指す。再配置されてない免疫グロブリン配列の任意の適切な供給源が、用いられてもよい。ヒト生殖系配列が、例えば米国国立衛生研究所の国立関節炎・骨格筋・皮膚病研究所のウェブサイトにあるJOINSOLVER生殖系データベースから得ることができる。マウス生殖系配列は、例えばGiudicelli et al. (2005) Nucleic Acids Res. 33: D256-D261に記載された通り得ることができる。
【0151】
模範的抗SIRPα抗体の物理的および機能的特性
本発明は、指定された構造的および機能的特色を有する抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片、ならびに疾患(例えば、癌または感染性疾患)の処置または予防における該抗体またはその抗原結合断片の使用方法を提供する。
【0152】
先に述べられた通り、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片のいずれかと同じエピトープに結合する抗体および断片もまた、本発明の一部を形成する。一実施形態において、本発明は、以下の重鎖配列/軽鎖配列の組み合わせ(またはアミノ酸配列の場合には、それと少なくとも90%、95%、97%、98%、または99%同一のもの)のうちの1つを含む抗体と同じヒトSIRPαエピトープに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する:
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:20(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L1と称される)
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:22(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L2と称される)
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:24(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L3と称される)
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:26(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L4と称される)
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:28(本明細書ではhSIRPα.50A.H1L5と称される)
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:20(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L1と称される)
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:22(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L2と称される)
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:24(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L3と称される)
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:26(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L4と称される)
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:28(本明細書ではhSIRPα.50A.H2L5と称される)
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:20(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L1と称される)
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:22(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L2と称される)
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:24(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L3と称される)
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:26(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L4と称される)
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:28(本明細書ではhSIRPα.50A.H3L5と称される)
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:20(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L1と称される)
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:22(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L2と称される)
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:24(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L3と称される)
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:26(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L4と称される)
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:28(本明細書ではhSIRPα.50A.H4L5と称される)
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:20(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L1と称される)
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:22(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L2と称される)
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:24(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L3と称される)
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:26(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L4と称される)
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:28(本明細書ではhSIRPα.50A.H5L5と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L1と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L2と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L3と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L4と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L5と称される)
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H1L6と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L1と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L2と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L3と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L4と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L5と称される)
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H2L6と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L1と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L2と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L3と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L4と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L5と称される)
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H3L6と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L1と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L2と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L3と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L4と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L5と称される)
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H4L6と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L1と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L2と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L3と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L4と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L5と称される)
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H5L6と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:90(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L1と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:92(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L2と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:94(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L3と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:96(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L4と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:98(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L5と称される)
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:100(本明細書ではhSIRPα.40A.H6L6と称される)。
【0153】
H/D-Ex質量分析法、架橋と連結させた質量分析、X線結晶学、Pepscan分析および部位特異的突然変異誘発をはじめとする、標的抗原上の抗原エピトープをマッピングするのに利用可能な複数の方法が存在する。例えば、タンパク質分解および質量分析と連結させたHDX(水素・重水素交換)を利用して、特異的抗原Y上の抗体のエピトープを決定することができる。HDX-MSは、様々な時間間隔で単独で、そして抗体の存在下で、D2O中でインキュベートした場合の抗原による重水素取り込みの度合いの正確な測定および比較に依存する。重水素は、暴露されたエリア内のタンパク質のアミドバックボーン上の水素と交換されるが、抗体に結合された抗原の領域は保護されて、タンパク質分解断片のLC-MS/MSによる分析の後には交換をほとんどまたは全く示さないであろう。架橋に連結された質量分析は、該抗体および抗原を質量標識された(mass labeled)化学的架橋剤と結合させることにより開始する。次に、複合体の存在が、高質量(high mass)MALDI検出を利用して確認される。架橋の化学作用の後はAb/Ag複合体が極めて安定しているため、多くの様々な酵素および消化条件を該複合体に適用して、多くの異なるオーバーラッピングペプチドを提供することができる。これらのペプチドの同定は、高分解能質量分析およびMS/MS技術を利用して実施される。架橋ペプチドの同定は、架橋試薬につなげられた質量タグを利用して決定される。MS/MS断片化およびデータ解析の後、エピトープおよびパラトープの両方が、同じ実験で決定される。
【0154】
本発明の範囲はまた、本明細書に示された免疫グロブリン鎖の変異体を含む単離された抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片(例えば、ヒト化抗体)を包含し、該変異体は、以下の特性の1つまたは複数を示す:
EC50<1nMでSEQ ID NO:34の配列を有するヒトSIRPαV1タンパク質に結合し;SEQ ID NO:62の配列を有するSIRPαV1(P74A)について少なくとも100倍高いEC50を示し;場合によりSEQ ID NO:38の配列を有するヒトSIRPβ1タンパク質についても少なくとも100倍高いEC50を示す(各例において、低下したEC50は、SEQ ID NO:34の配列を有するヒトSIRPαV1タンパク質についてのEC50に対してであり、そして各例において好ましくは、本明細書の以後に記載される細胞ELISA(CELISA)により測定された場合である);
<10nM、好ましくは<5nM、より好ましくは<1.5nM、さらに好ましくは<1.0nM、さらにより好ましくは<0.5nM、最も好ましくは約0.3nM以下のEC50でヒトSIRPαV1タンパク質を発現する細胞に結合する;
<10nM、好ましくは<5nM、より好ましくは<1.5nM、さらに好ましくは<1.0nM、さらにより好ましくは<0.5nM、最も好ましくは約0.3nM以下のEC50でヒトSIRPαV2タンパク質を発現する細胞に結合する;
50nM、好ましくは67nM、より好ましくは100nMの抗体濃度で、あるいはSIRPαV1またはSIRPαV2の抗体EC50よりも10倍大きい、好ましくは50倍大きい、より好ましくは100倍大きい、さらにより好ましくは200倍大きい濃度で、SIRPβ1タンパク質に感知できるほど結合しない;
<10.0nM、より好ましくは<5.0nM、さらにより好ましくは<2.5nM、最も好ましくは約1.0nM以下のIC50で、ヒトSIRPαとCD47との結合を阻害する;そして
少なくとも79、より好ましくは85%のT20「ヒト性」を示す。
【0155】
他の実施形態において、本発明は、ヒトSIRPα(例えば、ヒト化抗体)に結合し、SEQ ID NO:75、78、80、82、84、86、88、102、7、10、12、14、16、18、および30;ならびに76、90、92、94、96、98、100、104、8、20、22、24、26、28、および32と少なくとも90%の配列同一性を有するVHドメインおよびVLドメインを有する、抗体またはその抗原結合断片を提供する。他の実施形態において、本発明は、ヒトSIRPα(例えば、ヒト化抗体)に結合し、SEQ ID NO:75、78、80、82、84、86、88、102、7、10、12、14、16、18、および30;ならびに76、90、92、94、96、98、100、104、8、20、22、24、26、28、および32と少なくとも95%の配列同一性を有するVHドメインおよびVLドメインを有する、抗体またはその抗原結合断片を提供する。他の実施形態において、本発明は、ヒトSIRPα(例えば、ヒト化抗体)に結合し、SEQ ID NO:75、78、80、82、84、86、88、102、7、10、12、14、16、18、および30;ならびに76、90、92、94、96、98、100、104、8、20、22、24、26、28、および32と少なくとも97%の配列同一性を有するVHドメインおよびVLドメインを有する、抗体またはその抗原結合断片を提供する。他の実施形態において、本発明は、ヒトSIRPα(例えば、ヒト化抗体)に結合し、SEQ ID NO:75、78、80、82、84、86、88、102、7、10、12、14、16、18、および30;ならびに76、90、92、94、96、98、100、104、8、20、22、24、26、28、および32と少なくとも98%の配列同一性を有するVHドメインおよびVLドメインを有する、抗体またはその抗原結合断片を提供する。他の実施形態において、本発明は、ヒトSIRPα(例えば、ヒト化抗体)に結合し、SEQ ID NO:75、78、80、82、84、86、88、102、7、10、12、14、16、18、および30;ならびに76、90、92、94、96、98、100、104、8、20、22、24、26、28、および32と少なくとも99%の配列同一性を有するVHドメインおよびVLドメインを有する、抗体またはその抗原結合断片を提供する。好ましくは各例において、SEQ ID NO:75、78、80、82、84、86、88、102、7、10、12、14、16、18、および30;ならびに76、90、92、94、96、98、100、104、8、20、22、24、26、28、および32と該変異体との配列差は、保存的置換からなり、最も好ましくはフレームワーク残基内の置換に限定される。
【0156】
以下の参照は、配列解析に用いられることの多いBLASTアルゴリズムに関する:BLAST ALGORITHMS:Camacho, C. et al. (2009): BMC Bioinformatics 10:421; Altschul et al. (2005) FEBS J. 272(20): 5101-5109; Altschul, S.F., et al., (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410; Gish, W., et al., (1993) Nature Genet. 3:266-272; Madden, T.L., et al., (1996) Meth. Enzymol. 266:131-141; Altschul, S.F., et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402; Zhang, J., et al., (1997) Genome Res. 7:649-656; Wootton, J.C., et al., (1993) Comput. Chem. 17:149-163; Hancock, J.M. et al., (1994) Comput. Appl. Biosci. 10:67-70;ALIGNMENT SCORING SYSTEMS: Atlas of Protein Sequence and Structure, (1978) vol. 5, suppl. 3. M.O. Dayhoff (ed.), pp. 345-352, Natl. Biomed. Res. Found., Washington, DC内のDayhoff, M.O., et al., “A model of evolutionary change in proteins.”; Atlas of Protein Sequence and Structure, (1978) vol. 5, suppl. 3. M.O. Dayhoff (ed.), pp. 353-358, Natl. Biomed. Res. Found., Washington, DC内のSchwartz, R.M., et al., “Matrices for detecting distant relationships.”; Altschul, S.F., (1991) J. Mol. Biol. 219:555-565; States, D.J., et al., (1991) Methods 3:66-70; Henikoff, S., et al., (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-10919; Altschul, S.F., et al., (1993) J. Mol. Evol. 36:290-300;ALIGNMENT STATISTICS:Karlin, S., et al., (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268; Karlin, S., et al., (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877; Dembo, A., et al., (1994) Ann. Prob. 22:2022-2039;およびTheoretical and Computational Methods in Genome Research (S. Suhai, ed.), (1997) pp. 1-14, Plenum, New York内のAltschul, S.F. “Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.”。本出願において、%同一性比較は、好ましくはBLASTアルゴリズムにより実施され、アルゴリズムのパラメータは、各参照配列の全長にわたり各配列間の最大マッチを与えるように選択される(例えば、予測閾値:10;言語サイズ:6;クエリ範囲内の最大マッチ:0;BLOSUM 62マトリックス;ギャップコスト:エクステンス11、エクステンション1; コンディショナル・コンポジショナル・スコア・マトリックス・アジャストメント(conditional compositional score matrix adjustment))。
【0157】
「保存的に修飾された変異体」または「保存的置換」は、類似の特徴(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、バックボーンのコンフォメーションおよび剛性など)を有する他のアミノ酸による、タンパク質内のアミノ酸の置換を指し、それにより該変換は多くの場合、タンパク質の生物活性を改変せずに行われ得る。当業者は、一般にポリペプチドの非本質的領域内の単一アミノ酸置換が生物活性を実質的に改変しないことを認識している(例えば、Watson et al. (1987) Molecular Biology of the Gene, The Benjamin/Cummings Pub. Co., p. 224 (4th Ed.)参照)。加えて、構造的または機能的に類似したアミノ酸の置換は、生物活性を破壊する可能性が低い。模範的な保存的置換を、以下の表1に示す。
【表1】
【0158】
本発明の抗体の機能保存性変異体もまた、本発明により企図される。本明細書で用いられる「機能保存性変異体」は、抗原親和性および/または特異性などの所望の特性を改変せずに1つまたは複数のアミノ酸残基が変換された抗体または断片を指す。そのような変異体としては、表1の保存的アミノ酸置換など、あるアミノ酸と類似の特性を有するアミノ酸との交換が挙げられるが、これに限定されない。同じく提供されるのは、最大0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはより多くのアミノ酸置換、好ましくは保存的置換を有する本発明の抗SIRPα抗体のVLドメイン(例えば、SEQ ID NO:76、90、92、94、96、98、100、8、20、22、24、26、28、および32)を含む単離されたポリペプチド、および本発明の抗SIRPα抗体のVHドメイン(例えば、SEQ ID NO:75、78、80、82、84、86、88、7、10、12、14、16、18、および30)を含む単離されたポリペプチドである。
【0159】
本発明は、本発明の抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片のポリペプチドまたは免疫グロブリン鎖のいずれかをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。例えば本発明は、SEQ ID NO:75、78、80、82、84、86、88、102、7、10、12、14、16、18、および30;ならびにSEQ ID NO:76、90、92、94、96、98、100、104、8、20、22、24、26、28、および32の任意の1つに記載されたアミノ酸をコードするポリヌクレオチドを包含する。
【0160】
一実施形態において、本明細書に示された単離された抗体または抗原結合断片のポリペプチド鎖をコードする単離されたポリヌクレオチド、例えばDNAが、提供される。一実施形態において、該単離されたポリヌクレオチドは、本発明による少なくとも1種の成熟免疫グロブリン軽鎖可変(VL)ドメインおよび/または本発明による少なくとも1種の成熟免疫グロブリン重鎖可変(VH)ドメインを含む抗体またはその抗原結合断片をコードする。幾つかの実施形態において、該単離されたポリペプチドは、単一ポリヌクレオチド分子上で軽鎖および重鎖の両方をコードし、他の実施形態において、該軽鎖および重鎖は、別個のポリヌクレオチド分子上でコードされる。別の実施形態において、該ポリヌクレオチドは、シグナル配列をさらにコードする。
【0161】
本発明はまた、宿主細胞がベクターでトランスフェクトされると、宿主細胞により認識される制御配列に動作可能に連結された、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含むプラスミドなどのベクター、例えば発現ベクターを提供する。同じく提供されるのは、本発明のベクターを含む宿主細胞、ならびに本明細書に開示された抗体またはその抗原結合断片またはポリペプチドを生成するための方法であって、該抗体またはその抗原結合断片の免疫グロブリン鎖をコードする発現ベクターまたは核酸を宿す宿主細胞を培地中で培養すること、および該宿主細胞または培地から該抗原またはその抗原結合断片を単離すること、を含む、方法である。
【0162】
結合親和性
限定ではなく例として、本明細書に開示された抗体および抗原結合断片は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似の技術(例えば、KinExaまたはバイオレイヤー干渉計(OCTET))による計測で、ヒトSIRPαに10×10-9M以下のKD値で二価的に結合し得る。一実施形態において、本明細書に開示された抗体および抗原結合断片は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似の技術(例えば、KinExaまたはOCTET)による計測で約5~10×10-9MのKD値でヒトSIRPαに、または二価的に結合し得る。親和性は、KD=Koff/kon(koffは、解離速度常数であり、Konは、結合速度定数であり、KDは、平衡定数である)として計算される。親和性は、様々な濃度(c)の標識されたリガンドの結合の割合(r)を測定することにより平衡で計測され得る。該データは、スキャッチャード式:r/c=K(n-r)(式中、r=平衡での結合リガンドモル数/受容体モル数;c=平衡での遊離リガンド濃度;K=平衡結合定数;n=受容体分子あたりのリガンド結合部位数)を用いてグラフ化される。グラフの解析により、X軸上のrに対してr/cをY軸上にプロットし、それによりスキャッチャードプロットを作成する。スキャッチャード解析による抗体親和性測定は、当該技術分野で周知である。例えば、van Erp et al., J. Immunoassay 12: 425-43, 1991; Nelson and Griswold, Comput. Methods Programs Biomed. 27: 65-8, 1988を参照されたい。
【0163】
ヒト性
本文書の目的では、「ヒト性」は、T20スコアアナライザーを用いて測定され、Gao SH, Huang K, Tu H, Adler AS. Monoclonal antibody humanness score and its applications. BMC Biotechnology. 2013: 13:55. doi:10.1186/1472-6750-13-55)に記載される通りモノクローナル抗体の可変領域のヒト性を定量する。
【0164】
ウェブに基づくツールを提供して、T20 Cutoff Human Databases: http://abAnalyzer.lakepharma.comを用いて抗体配列のT20スコアを計算する。T20スコアを算出する際に、入力されたVH、VKまたはVL可変領域のタンパク質配列が最初に、Kabatナンバリングを割り付けられ、CDR残基が、同定される。全長配列またはフレームワークのみの配列(CDR残基が除去された)が、blastp protein-protein BLASTアルゴリズムを用いて各抗体データベース内のそれぞれの配列と比較される。各ペアワイズ比較の間の配列同一性が、単離され、データベース内の各配列が解析された後、該配列が、入力配列への配列同一性に基づいて高から低に分類される。上位20のマッチする配列の%同一性を平均して、T20スコアを得る。
【0165】
「全てのヒトデータベース」内の各鎖の型(VH、VK、VL)および配列長(全長またはフレームワークのみ)について、各抗体配列を、T20スコアアナライザーを用いて各データベースでスコア付けした。入力配列そのものを除外した後、T20スコアを、上位20のマッチされた配列について得た(配列1は常に入力抗体そのものであったため、配列2~21の%同一性を平均した)。各群のT20スコアを、高から低に分類した。スコアの低下は、配列のほとんどでおおむね直線性があったが、抗体の下から約15%のT20スコアが、急に低下し始めた。それゆえ、配列の下から15%を除去して、残りの配列でT20 Cutoff Human Databasesを形成させた(ここで、T20スコアのカットオフは、新しいデータベース内の配列の最低T20スコアを示す)。
【0166】
本明細書で用いられる「ヒト」抗体は、少なくとも79%、より好ましくは少なくとも85%のT20ヒト性スコアを有するものである。
【0167】
CD47への結合を遮断する抗hSIRPα抗体の能力
幾つかの実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、ヒトCD47へのヒトSIRPαの結合を遮断することができる。ヒトCD47へのヒトSIRPαの結合を遮断する能力は、当該技術分野で知られる任意の方法を利用して計測することができる。一実施形態において、ヒトCD47へのヒトSIRPαの結合を遮断する抗体の能力は、ELISAアッセイを用いて計測される。
【0168】
抗体およびその抗原結合断片を作製する方法
したがって本発明は、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片を作製するための方法であって、そのような発現に好適な条件下で該抗体または断片を発現するハイブリドーマ細胞を培養すること、および場合により該ハイブリドーマおよび/または生育培地(例えば、細胞培地)から該抗体または断片を単離すること、を含む、方法を包含する。
【0169】
本明細書に開示された抗SIRPα抗体はまた、組換えにより生成されてもよい(例えば、大腸菌/T7発現系、哺乳動物細胞発現系、または下等真核生物発現系において)。この実施形態において、本発明の抗体免疫グロブリン分子をコードする核酸(例えば、VHまたはVL)を、pETに基づくプラスミドに挿入して、大腸菌/T7系において発現させてもよい。例えば本発明は、T7プロモーターに動作可能に連結された免疫グロブリン鎖をコードするポリヌクレオチドも含む細胞においてT7 RNAポリメラーゼを発現させること、を含む宿主細胞(例えば、BL21またはBL21DE3などの大腸菌などの細菌宿主細胞)において抗体またはその抗原結合断片またはその免疫グロブリン鎖を発現させるための方法を包含する。例えば、本発明の一実施形態において、大腸菌などの細菌宿主細胞は、lacプロモーターに動作可能に連結されたT7 RNAポリメラーゼ遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含み、該ポリメラーゼおよび該鎖の発現は、宿主細胞をIPTG(イソプロピル-ベータ-D-チオガラクトピラノシド)とのインキュベーションにより誘導される。
【0170】
当該技術分野で知られる組換え抗体を作製する複数の方法が存在する。抗体の組換え生成のための方法の一例が、米国特許第4,816,567号に開示される。
【0171】
形質転換は、ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための任意の公知方法によるものであり得る。異種性ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に導入するための方法は、当該技術分野で周知であり、デキストランを介したトランスフェクション、リン酸カルシウム沈降法、ポリブレンを介したトランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソーム内のポリヌクレオチド(複数可)のカプセル化、核内へのDNAのバイオリスティック注射および直接マイクロインジェクションが挙げられる。加えて、核酸分子は、ウイルスベクターにより哺乳動物細胞に導入され得る。細胞を形質転換する方法は、当該技術分野で周知である。例えば米国特許第4,399,216号;同第4,912,040号;同第4,740,461号および同第4,959,455号を参照されたい。
【0172】
したがって本発明は、本発明の抗SIRPα抗体もしくはその抗原結合断片、またはその免疫グロブリン鎖を作製するための組換え法であって、該抗体または断片の1つまたは複数の免疫グロブリン鎖(例えば、重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン鎖)をコードするポリヌクレオチドを導入すること;そのような発現に好適な条件下で宿主細胞(例えば、CHOまたはピチアまたはピチア・パストリス)を培養すること、ならびに場合により宿主細胞および/または該宿主細胞を生育させた培地から抗体または断片または鎖を単離すること、を含む、組換え法を包含する。
【0173】
抗SIRPα抗体はまた、米国特許第6,331,415号に示された方法のいずれかにより合成することもできる。
【0174】
本明細書に開示された抗体または断片または免疫グロブリン鎖の発現のための宿主としての哺乳動物細胞をはじめとする真核および原核宿主細胞は、当該技術分野で周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株を包含する。これらには、特に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、SP2細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HepG2)、A549細胞、3T3細胞、HEK-293細胞および複数の他の細胞株がある。哺乳動物宿主細胞としては、ヒト、マウス、ラット、イヌ、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマおよびハムスター細胞が挙げられる。特に好ましい細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有するかを決定することにより選択される。用いられ得る他の細胞株は、Sf9細胞などの昆虫細胞株、両生類細胞、細菌細胞、植物細胞および真菌細胞である。真菌細胞としては、例えば、ピチア・パストリス、ピチア・フィンランディカ、ピチア・トレハロフィラ、ピチア・コクラメ、ピチア・メンブラネファシエンス、ピチア・ミヌタ(オガタエア・ミヌタ、ピチア・リンドネリ)、ピチア・オプンチエ、ピチア・サーモトレランス、ピチア・サリクタリア、ピチア・グエルクウム、ピチア・ピエペリ、ピチア・スチピチス、ピチア・メタノリカ、ピチアsp.、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセスsp.、ハンゼヌラ・ポリモルファ、クルイベロミセスsp.、クルイベロミセス・ラクチス、カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・ニジュランス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリゼ、トリコデルマ・レーゼイ、クリソスポリウム・ルクノウェンス、フザリウムsp.、フザリウム・グラミネウム、フザリウム・ベネナツム、フィスコミトレラ・パテンスおよびニューロスポラ・クラッサ、ピチアsp.、任意のサッカロミセスsp.、ハンゼヌラ・ポリモルファ、任意のクライベロミセスsp.、カンジダ・アルビカンス、任意のアスペルギルスsp.、トリコデルマ・レーゼイ、クリソスポリウム・ルクノウェンス、任意のフザリウムsp.ヤロウィア・リポリティカ、およびニューロスポラ・クラッサをはじめとする酵母および糸状真菌細胞が挙げられる。重鎖またはその抗原結合部分もしくは断片、および/あるいは軽鎖またはその抗原結合断片をコードする組換え発現ベクターが、哺乳動物宿主細胞に導入されると、該抗体が、宿主細胞中の該抗体もしくは断片もしくは鎖の発現、または該宿主細胞が生育された培地への分泌を可能にするのに充分な時間、宿主細胞を培養することにより生成される。
【0175】
抗体およびその抗原結合断片および免疫グロブリン鎖は、標準のタンパク質精製法を利用して培地から回収することができる。さらに、生成細胞株からの本発明の抗体およびその抗原結合断片および免疫グロブリン鎖(またはそれの他の部分)の発現は、複数の公知技術を利用して増進することができる。たとえばグルタミンシンセターゼ遺伝子発現系(GS系)は、特定の条件下で発現を増進するための一般的アプローチである。該GS系は、全体または一部が欧州特許第0216846号、同第0256055号、および同第0323997、および同第0338841号に関連して議論されている。したがって本発明の一実施形態において、該哺乳動物宿主細胞(例えば、CHO)は、グルタミンシンセターゼ遺伝子が欠如し、培地中でグルタミンの非存在下で生育されるが、免疫グロブリン鎖をコードするポリヌクレオチドは、宿主細胞中の遺伝子の欠如を補足するグルタミンシンセターゼ遺伝子を含む。
【0176】
本発明は、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片を精製するための方法であって、該抗体または断片を含む試料を精製培地(例えば、カチオン交換培地、アニオン交換培地、疎水性交換培地、アフィニティー精製培地(例えば、プロテイン-A、プロテイン-G、プロテイン-A/G、プロテイン-L))に導入すること、および培地に結合しない該試料のフロースルー画分から精製された抗体または断片を回収すること、または該フロースルー画分を廃棄して、該培地から結合した抗体または断片を溶出し、該溶離液を回収すること、のいずれかを含む、方法を包含する。本発明の一実施形態において、該培地は、試料がアプライされるカラムの中に存在する。本発明の一実施形態において、該精製法は、宿主細胞中の抗体または断片の組換え発現に続いて実施され、例えば該宿主細胞は、最初に溶解され、場合により該溶解物は、培地での精製の前に不溶性材料から精製される。
【0177】
一般に、個々の細胞株またはトランスジェニック動物中で生成される糖タンパク質は、細胞株またはトランスジェニック動物中で生成される糖タンパク質に特徴的なグリコシル化パターンを有する。それゆえ、抗体の特別なグリコシル化パターンは、抗体を生成するのに用いられる個々の細胞株またはトランスジェニック動物に依存するであろう。しかし本明細書で提供される核酸分子によりコードされた抗体、または本明細書に提供されたアミノ酸配列を含む抗体は全て、該抗体が有し得るグリコシル化パターンと独立して、本発明を含む。同様に特別な実施形態において、非フコシル化N-グリカンのみを含むグリコシル化パターンの抗体は、典型的にはインビトロおよびインビボの両方でフコシル化同等物よりも強力な効能を呈することが示されているため、これらの抗体は有利になり得る(例えば、Shinkawa et al., J. Biol. Chem. 278: 3466-3473 (2003);米国特許第6,946,292号および同第7,214,775号参照)。非フコシル化N-グリカンを有するこれらの抗体は、それらの炭水化物構造がヒト血清IgG中に存在する集団の通常の成分であるため、免疫原性の可能性は低い。
【0178】
本発明は、SIRPαおよび別の抗原、例えばCD19、CD20、CD22、CD24、CD25、CD30、CD33、CD38、CD44、CD52、CD56、CD70、CD96、CD97、CD99、CD117、CD123、c-Met、CEA、EGFR、EpCAM、HER2、HER3、PSMA、PTHR2、メソテリン、PD-1、PD-L1、TIM3への結合特異性を有する二重特異性および二機能性抗体および抗原結合断片、ならびにそれらの使用方法を包含する。二重特異性または二機能性抗体は、2種の異なる重/軽鎖対と、2種の異なる結合部位と、を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結をはじめとする種々の方法により生成され得る。例えば、Songsivilai, et al., (1990) Clin. Exp. Immunol. 79: 315-321、Kostelny, et al., (1992) J Immunol. 148:1547- 1553を参照されたい。加えて、二重特異性抗体は、「ダイアボディ」として(Holliger, et al., (1993) PNAS USA 90:6444-6448)または「ヤヌシン(Janusins)」(Traunecker, et al., (1991) EMBO J. 10:3655-3659 and Traunecker, et al., (1992) Int. J. Cancer Suppl. 7:51-52)として形成され得てもよい。正常なIgG構造を有する二重特異性抗体である「Duobody」が含まれる(Labrijn et al., 2013, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 110 (13): 5145-5150)。
【0179】
本発明は、本明細書に開示された抗SIRPα抗体の抗SIRPα抗原結合断片をさらに包含する。該抗体断片は、例えばペプシンによる、IgGの酵素分解により生成され得るF(ab)2断片を包含する。Fab断片は、例えばジチオトレイトールまたはメルカプトエチルアミンでのF(ab)2の還元により、生成されてもよい。
【0180】
免疫グロブリンは、重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて異なるクラスに割り付けられ得る。幾つかの実施形態において、異なる定常ドメインは、本明細書で提供されたCDRに由来するヒト化VLおよびVH領域に付加されてもよい。免疫グロブリンの少なくとも5種の主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらの幾つかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4;IgA1およびIgA2にさらに分別され得る。本発明は、抗体のこれらのクラスまたはサブクラスのいずれかの抗体および抗原結合断片を含む。
【0181】
一実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、γ1、γ2、γ3もしくはγ4ヒト重鎖定常領域またはそれらの変異体などの重鎖定常領域、例えばヒト定常領域を含む。別の実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、ラムダもしくはカッパヒト軽鎖領域またはそれらの変異体などの軽鎖定常領域、例えばヒト軽鎖定常領域を含む。限定ではなく例として、該ヒト重鎖定常領域は、γ4であり得、ヒト軽鎖定常領域は、カッパであり得る。代わりの実施形態において、該抗体のFc領域は、Ser228Pro突然変異を有するγ4である(Schuurman, J et. al., Mol. Immunol. 38: 1-8, 2001)。
【0182】
一実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、IgG1サブタイプの重鎖定常領域を含む。一実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、IgG2サブタイプの重鎖定常領域を含む。一実施形態において、該抗体または抗原結合断片は、IgG4サブタイプの重鎖定常領域を含む。
【0183】
抗体の操作
さらに含まれるのが、抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片が、例えば抗体または断片の特性を改善するための、抗体の可変ドメイン内のフレームワーク領域への修飾を含む操作された抗体である実施形態である。典型的にはそのようなフレームワーク修飾は、該抗体または断片の免疫原性を低下させるためになされる。これは通常、親(例えば、げっ歯類)抗体または断片の可変ドメイン(即ち、フレームワーク残基)内の非CDR残基を、抗体が用いられるべき種の免疫レパートリーにある類似の残基、例えばヒトの治療薬の場合にはヒト残基と交換することにより遂行される。そのような抗体または断片は、「ヒト化」抗体または断片と称される。幾つかの例において、操作された(例えば、ヒト化された)抗体の親和性を増大すること、または特異性を改変することが望ましい。一アプローチは、1つまたは複数のフレームワーク残基を突然変異させて対応する生殖系配列にすることである。より具体的には、体細胞突然変異を受けた抗体または断片は、抗体が得られた生殖系配列と異なるフレームワーク残基を含み得る。そのような残基は、該抗体または断片のフレームワーク配列を該抗体または断片が得られた生殖系配列に比較することにより、同定することができる。別のアプローチは、操作された(例えば、ヒト化)抗体の1つまたは複数の位置にある元の親(例えば、げっ歯類)残基に戻すこと、例えばフレームワーク残基を交換する工程で損失され得る結合親和性を回復させることである(例えば、米国特許第5,693,762号、同第5,585,089号および同第5,530,101号参照)。
【0184】
特定の実施形態において、該抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片を、特性を改善するようなフレームワークおよび/またはCDR内の修飾を含むように操作(例えば、ヒト化)する。そのような操作された変化は、分子モデリングに基づく得る。親(非ヒト)抗体配列の可変領域のための分子モデルを、抗体の構造的特色を理解するために構築することができ、抗原と相互作用し得る抗体上の潜在的領域を同定するために用いることができる。従来のCDRは、免疫グロブリン配列のアライメントおよび可変領域の同定に基づく。Kabat et al., (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Kabat, et al.; National Institutes of Health, Bethesda, MD; 5th ed.; NIH Publ. No. 91-3242; Kabat (1978) Adv. Prot. Chem. 32:1-75; Kabat, et al., (1977) J. Biol. Chem. 252:6609-6616。Chothiaおよび共同研究者は、抗体の結晶構造におけるループのコンフォメーションを注意深く検査して、超可変ループを提案した。Chothia, et al., (1987) J Mol. Biol. 196:901-917またはChothia, et al., (1989) Nature 342:878-883。「CDR」および「超可変ループ」として分類された領域の間には変動がある。後の試験(Raghunathan et al, (2012) J. Mol Recog. 25, 3, 103-113)で、複数の抗体-抗原結晶複合体が分析され、抗体内の抗原結合領域が必ずしも「CDR」残基または「超可変」ループに厳密に従わないことが観察された。非ヒト抗体の可変領域のための分子モデルを用いて、抗原に潜在的に結合し得る領域の選択を案内することができる。実際に、該モデルに基づく潜在的な抗原結合領域は、従来の「CDR」または「超可変」ループと異なる。Discovery Studio(BIOVIA, Dassault Systems))などの商業的な科学的ソフトウエアを、分子モデリングに用いることができる。ヒトフレームワークは、フレームワークおよびCDRの両方の中の非ヒト配列とのベストマッチに基づいて選択され得る。VHにおけるFR4(フレームワーク4)の場合、ヒト生殖系のVJ領域を、対応する非ヒト領域と比較する。VLにおけるFR4(フレームワーク4)の場合、ヒト生殖系配列のJ-カッパおよびJ-ラムダ領域を、対応する非ヒト領域と比較する。適切なヒトフレームワークが同定されたら、CDRを選択されたヒトフレームワークに移植する。幾つかの例において、VL-VH境界内の特定の残基が、非ヒト(親)配列と同様に保持され得る。CDRコンフォメーションを潜在的に改変し得る残基を同定し、それにより抗原に結合させるために、分子モデルを利用することもできる。幾つかの例において、これらの残基は、非ヒト(親)配列と同様に保持される。分子モデルを利用して、グリコシル化、脱アミド化、および酸化などの望まない影響をもたらし得る溶媒暴露のアミノ酸を同定することもできる。開発性のフィルターを設計段階の早期に導入して、これらの潜在的問題を排除する/最小限にすることができる。
【0185】
別のタイプのフレームワーク改変は、フレームワーク領域内の、または1つもしくは複数のCDR領域内の、1つもしくは複数の残基を突然変異させて、T細胞エピトープを除去し、それにより抗体の潜在的免疫原性を低減することを含む。このアプローチは、「脱免疫化」とも称され、米国特許第7,125,689号にさらに詳細に記載されている。
【0186】
特別な実施形態において、脱アミド化または異性化を回避するために、最終的な抗体の、より高い化学的安定性を提供するために、露出側鎖を含有する特定のアミノ酸を別のアミノ酸残基に交換することが望ましいであろう。アスパラギンの脱アミド化は、NG、DG、NG、NS、NA、NT、QGまたはQS配列上で生じて、イソアスパラギン酸残基の生成をもたらす可能性があり、該残基はポリペプチド鎖内にキンクを導入し、その安定性を低下させる(イソアスパラギン酸効果)。DG、DS、DAまたはDT配列において異性化が生じ得る。特定の実施形態において、本開示の抗体は、脱アミド化またはアスパラギン異性部位を含有しない。
【0187】
例えば、特にCDR内で、アスパラギン(Asn)残基をGlnまたはAlaに変換して、任意のAsn-Gly配列におけるイソアスパルタートの形成の可能性を低減してもよい。類似の問題が、Asp-Gly配列においても生じ得る。ReissnerおよびAswad(2003)Cell.Mol.Life Sci.60:1281。イソアスパルタート形成により、標的抗原への抗体の結合を減弱しても、または完全に阻止してもよい。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731,p.734を参照されたい。一実施形態において、該アスパラギンは、グルタミン(Gln)に変換される。小さなアミノ酸が、アスパラギンまたはグルタミンに隣接して存在する場合には、より高い割合で生じる脱アミド化の可能性を低減するために、アスパラギン(Asn)またはグルタミン(Gln)残基に隣接したアミノ酸を改変することが望ましい場合もある。Bischoff & Kolbe(1994)J.Chromatog.662:261を参照されたい。加えて、抗原結合親和性を低減して、最終抗体調製物における分子不均一性にも寄与することが可能なメチオニン硫黄の酸化の可能性を低減するために、CDR内の任意のメチオニン残基(典型的には溶媒暴露のMet)が、Lys、Leu、AlaもしくはPheまたは他のアミノ酸に変換されてもよい(同誌)。加えて、Asn-Proペプチド結合の潜在的な切断を防止または最小化するために、CDRにおいて見出される任意のAsn-Proの組合せをGln-Pro、Ala-ProまたはAsn-Alaに改変することが望ましい場合がある。次に、そのような置換を有する抗体をスクリーニングして、該置換がSIRPαに対する抗体の親和性もしくは特異性または他の所望の生物活性を、許容し得ないレベルまで低減しないことを確認する。
【表2】
【0188】
別のタイプのフレームワーク修飾は、フレームワーク領域内の1つまたは複数の残基を突然変異させて、凝集を予防することを含む。抗体が凝集するリスクを、空間的凝集傾向を利用して評定することができる。Chennamsetty, N et al (2010) J. Phys. Chem.114, 6614-6624を参照されたい。該方法は、各原子の溶媒露出面積(SAA)の計算を必要とする。該分子凝集スコアをその後、全ての原子スコアの合計として計算する。分子の所与の半径およびサイズの場合、これは、全体的凝集傾向の近似的指標である。高い凝集スコアを有する残基は、低いスコアの残基(例えば、より親水性のアミノ酸)により交換される。
【0189】
Fc領域の抗体操作
本明細書に開示された抗体(例えば、ヒト化抗体)およびその抗原結合断片はまた、Fc領域内に修飾を含むように、典型的には該抗体の1つまたは複数の特性、例えば血清半減期、補体固定、Fc受容体結合および/またはエフェクター機能(例えば、抗原依存性細胞傷害)を改変するように操作され得る。さらに、本明細書に開示された抗体およびその抗原結合断片は、化学修飾することができ(例えば、1つまたは複数の化学的部分を抗体に結合可能である)、または再び該抗体もしくは断片の1つまたは複数の特性を改変するために、そのグリコシル化を改変するように修飾することができる。これらの実施形態のそれぞれは、以下にさらに詳細に記載される。Fc領域内の残基のナンバリングは、KabatのEUインデックスのものである。
【0190】
本明細書に開示された抗体およびその抗原結合断片はまた、改変されたエフェクター機能を提供するための、修飾(または遮断)されたFc領域を有する抗体および断片を含む。例えば、米国特許第5,624,821号;WO2003/086310;WO2005/120571;WO2006/0057702を参照されたい。そのような修飾を用いて、診断および治療における可能な有益効果を伴って、免疫系の様々な反応を増強または抑制することができる。Fc領域の改変としては、アミノ酸の変換(置換、欠失および挿入)、グリコシル化または脱グリコシル化、および複数のFc領域の付加が挙げられる。Fcに対する変換はまた、治療性抗体における抗体の半減期を改変することが可能であり、あまり頻回でない投与、そしてそれによる利便性の向上および材料使用の減少を可能にする。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731,p.734-35を参照されたい。
【0191】
一実施形態において、本発明の抗体または抗原結合断片は、重鎖定常領域のヒンジ領域内の228位に対応する位置におけるセリンからプロリンへの突然変異(S228P;EUインデックス;SEQ ID NO:66)を含むIgG4アイソタイプ抗体または断片である。この突然変異は、ヒンジ領域内の重鎖間ジスルフィド架橋の不均一性を排除することが報告されている(Angal et al (1993). Mol. Immunol. 30:105-108;241位はKabatナンバリングシステムに基づく)。
【0192】
本発明の一実施形態において、CH1のヒンジ領域は、該ヒンジ領域内のシステイン残基の数が増加または減少するように修飾される。このアプローチは、米国特許第5,677,425号にさらに詳細に記載されている。CH1のヒンジ領域内のシステイン残基の数は、例えば軽鎖および重鎖の組立てを容易にするように、または抗体の安定性を増強もしくは低減するように、改変される。
【0193】
別の実施形態において、本発明の抗体または抗原結合断片のFcヒンジ領域は、該抗体または断片の生物学的半減期を減少させるように突然変異される。より詳細には、該抗体または断片が、ネイティブFcヒンジドメインSpA結合と比べて低減したスタフィロコッカスプロテインA(SpA)結合を有するように、1つまたは複数のアミノ酸突然変異が、Fc-ヒンジ断片のCH2-CH3ドメイン境界領域内に導入される。このアプローチは、米国特許第6,165,745号にさらに詳細に記載されている。
【0194】
別の実施形態において、本発明の抗体または抗原結合断片は、その生物学的半減期を増加させるように修飾される。様々なアプローチが、可能である。例えば、米国特許6,277,375号に記載される通り、以下の突然変異の1つまたは複数が、導入され得る:T252L、T254S、T256F。あるいは、米国特許第5,869,046号および同第6,121,022号に記載される通り、生物学的半減期を増加させるために、該抗体は、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取られたサルベージ受容体結合エピトープを含有するようにCH1またはCL領域内で改変され得る。
【0195】
さらに別の実施形態において、該抗体または抗原結合断片のエフェクター機能(複数可)を改変するように、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基と交換することにより、Fc領域を改変する。例えば、該抗体がエフェクターリガンドへの改変された親和性を有し、親抗体の抗原結合能を保有するように、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320および322から選択される1つまたは複数のアミノ酸が、異なるアミノ酸残基と交換され得る。親和性が改変されるエフェクターリガンドは、例えばFc受容体または補体のC1成分であり得る。このアプローチは、米国特許第5,624,821号および同第5,648,260号にさらに詳細に記載されている。
【0196】
別の例において、該抗体がC1q結合の変化および/または補体依存性細胞傷害(CDC)の低減もしくは消失を有するように、アミノ酸残基329、331および322から選択される1つまたは複数のアミノ酸が、別のアミノ酸残基と交換され得る。このアプローチは、米国特許第6,194,551号にさらに詳細に記載されている。
【0197】
別の例において、アミノ酸231位および239位における1つまたは複数のアミノ酸残基を改変し、それにより補体を固定する抗体の能力を改変する。このアプローチは、さらにPCT公開WO94/29351に記載されている。
【0198】
好ましくは抗体、最も好ましくはIgG抗体またはその断片である本発明のタンパク質が、改変された(例えば、未修飾の抗体に比べて)FcγR結合特性を有していてもよく(結合特性の例としては、結合特異性、平衡解離定数(KD)、解離および結合速度(それぞれkoffおよびkon)、結合親和性および/またはアビディティが挙げられるが、これらに限定されない)、特定の改変が、多少にかかわらず望ましい。平衡解離定数(KD)がkoff/konとして定義され、KaがKDの逆数であることは、当該技術分野で知られている。
【0199】
リガンドのためのFc領域の親和性および結合特性は、Fc-FcγR相互作用、即ち、非限定的に平衡法(例えば、酵素免疫測定法(ELISA)または放射免疫測定法(RIA))、または速度論(例えば、BIACORE(登録商標)、Octet(登録商標)、またはKinExa(登録商標)分析)をはじめとするFcγRへのFc領域の特異的結合、ならびに間接的な結合アッセイ、拮抗阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過)などの他の方法を計測するために当該技術分野で知られる種々のインビトロアッセイ法(生化学または免疫学に基づくアッセイ)により計測され得る。これらおよび他の方法は、検査される成分の1つもしくは複数への標識を利用してもよく、そして/または非限定的に発色、蛍光、発光、もしくは同位体標識をはじめとする種々の検出法を利用してもよい。
【0200】
特定の実施形態において、本発明のタンパク質は、野生型ヒトIgG1重鎖定常ドメイン(SEQ ID NO:119)Fc領域または野生型ヒトIgG4重鎖定常ドメイン(SEQ ID NO:66)Fc領域を有する同等のタンパク質よりも少なくとも10倍、好ましくは少なくとも30倍、より好ましくは少なくとも100倍低い親和性で、FcγRI、FcγRIIB、FcγRIIC、FcγRIIIA-F158、およびFcγRIIIA-V158からなる群から選択される1つまたは複数のヒトFcγRに結合する。
【0201】
様々な実施形態において、本発明のタンパク質は、免疫グロブリンC2領域と、免疫グロブリンC3領域と、免疫グロブリンヒンジ領域と、を含む免疫グロブリンFc領域を含む。例として、該免疫グロブリンFc領域は、IgG Fc領域、IgE Fc領域、またはIgA Fc領域であってもよい。特定の好ましい実施形態において、該タンパク質は、2つの免疫グロブリンFc領域を含み、各免疫グロブリンFc領域は、免疫グロブリンC2領域と、免疫グロブリンC3領域と、免疫グロブリンヒンジ領域と、を含み、該免疫グロブリンFc領域の1つの該ヒンジ領域は、他の免疫グロブリンFc領域のヒンジ領域に結合されていて、二量体Fc構造を形成している。最も好ましくはそのようなタンパク質は、ヒトまたはヒト化IgGタンパク質である。
【0202】
特定の実施形態において、本発明のタンパク質は、突然変異体IgG4 Fc領域を含み、好ましくは該タンパク質は、2つの突然変異体IgG4 Fc領域を含んで二量体Fc構造を形成しているIgGである。例として、突然変異体IgG4 Fc領域は、表3に列挙された、該突然変異の1つまたは突然変異の組み合わせを含んでいてもよい。この表で参照される定常領域のナンバリングシステムは、Kabatらに示されたEUインデックスのものである(1991, NIH Publication 91-3242, National Technical Information Service, Springfield, VA)。この表では、最初の文字および数字が、未修飾のアミノ酸およびその位置を表し、2番目の文字が、該位置の置換されたアミノ酸を表す。1つより多くの突然変異の組み合わせを含むそれらの記入の場合、該組合せの各突然変異が、「/」で分けられている。
【表3】
【0203】
特定の実施形態において、本発明のタンパク質は、突然変異体IgG1 Fc領域を含み、好ましくは該タンパク質は、2つの突然変異体IgG1 Fc領域を含んで二量体Fc構造を形成しているIgGである。例として、突然変異体IgG1 Fc領域は、表4に列挙された、該突然変異の1つを含んでいてもよい。この表で参照される定常領域のナンバリングシステムは、Kabatらに示されたEUインデックスのものである(1991, NIH Publication 91-3242, National Technical Information Service, Springfield, VA)。この表では、最初の文字および数字が、未修飾のアミノ酸およびその位置を表し、2番目の文字が、該位置の置換されたアミノ酸を表す。
【表4】
【0204】
特定の実施形態において、突然変異体IgG1 Fc領域は、表5に列挙された、該突然変異の組み合わせの1つを含んでいてもよい。この表で参照される定常領域のナンバリングシステムは、Kabatらに示されたEUインデックスのものである(1991, NIH Publication 91-3242, National Technical Information Service, Springfield, VA)。この表では、最初の文字および数字が、未修飾のアミノ酸およびその位置を表し、2番目の文字が、該位置の置換されたアミノ酸を表す。1つより多くの突然変異の組み合わせのそれぞれでは、該組合せの各突然変異が、「/」によって分離され、欠失は、「△」により示されている。
【表5】
【0205】
特定の実施形態において、本発明のタンパク質は、野生型または突然変異体IgG2 Fc領域を含み、好ましくは該タンパク質は、2つの野生型または突然変異体IgG2 Fc領域を含んで二量体Fc構造を形成しているIgGである。突然変異体IgG2 Fc領域は、表6に列挙された、該突然変異の1つまたは突然変異の組み合わせを含んでいてもよい。この表で参照される定常領域のナンバリングシステムは、Kabatらに示されたEUインデックスのものである(1991, NIH Publication 91-3242, National Technical Information Service, Springfield, VA)。この表では、最初の文字および数字が、未修飾のアミノ酸およびその位置を表し、2番目の文字が、該位置の置換されたアミノ酸を表す。1つより多くの突然変異の組み合わせを含むそれらの記入の場合、該組合せの各突然変異が、「/」で分けられている。
【表6】
【0206】
修飾されたグリコシル化を有する抗体の生成
さらに別の実施形態において、本発明の抗体または抗原結合断片は、特別なグリコシル化パターンを含む。例えば、アフコシル化またはアグリコシル化抗体または断片を作製することができる(即ち、該抗体は、それぞれフコースまたはグリコシル化が欠如する)。抗体または断片のグリコシル化パターンは、例えばSIRPα抗原に対する抗体または断片の親和性またはアビディティを増強するように、改変され得る。そのような修飾は、例えば、該抗体または断片配列内のグリコシル化部位の1つまたは複数を改変することにより、遂行され得る。例えば、可変領域フレームワークグリコシル化部位の1つまたは複数の除去をもたらし、それによりその部位におけるグリコシル化を排除する1つまたは複数のアミノ酸置換が施され得る。そのような脱グリコシル化は、抗原に対する該抗体または断片の親和性またはアビディティを増強し得る。例えば、米国特許第5,714,350号および同第6,350,861号を参照されたい。
【0207】
本明細書に開示される抗体および抗原結合性断片は、哺乳動物様またはヒト様グリコシル化パターンを有する糖タンパク質を産生するように遺伝子操作された下等真核宿主細胞、特に真菌宿主細胞、例えば酵母および糸状真菌において産生されるものをさらに含む(例えば、Choi et al,(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.100:5022-5027;Hamilton et al,(2003)Science 301:1244-1246;Hamilton et al,(2006)Science 313:1441-1443;Nett et al,Yeast 28(3):237-52(2011);Hamilton et al,Curr Opin Biotechnol.18(5):387-92(2007)参照)。現在使用されている哺乳動物細胞株を超えるこれらの遺伝子修飾宿主細胞の特別な利点は、該細胞内で産生される糖タンパク質のグリコシル化プロファイルを制御するその能力であり、それにより特別なN-グリカン構造が優勢な糖タンパク質の組成物が生成され得る(例えば、米国特許第7,029,872号および同第7,449,308号参照)。これらの遺伝子修飾宿主細胞は、特別なN-グリカン構造を主に有する抗体を製造するために使用されてきた(例えば、Li et al.,(2006)Nat.Biotechnol.24:210-215参照)。
【0208】
特定の実施形態において、本明細書で開示される抗体およびその抗原結合性断片は、下等真核宿主細胞において産生されるものをさらに含み、非限定的にGlcNAc(1-4)Man3GlcNAc2;Gal(1-4)GlcNAc(1-4)Man3GlcNAc2;NANA(1-4)Gal(1-4)GlcNAc(1-4)Man3GlcNAc2などのN-グリカンをはじめとする二分岐および多アンテナ(multiantennary)種を含むフコシル化および非フコシル化ハイブリッドおよび複合N-グリカンを含む。
【0209】
特別な実施形態において、本明細書で提供される抗体およびその抗原結合断片は、GlcNAcMan5GlcNAc2; GalGlcNAcMan5GlcNAc2;およびNANAGalGlcNAcMan5GlcNAc2からなる群から選択される少なくとも1つのハイブリッドN-グリカンを有する抗体または断片を含んでいてもよい。特別な態様において、該ハイブリッドN-グリカンは、該組成物中の優勢なN-グリカン種である。
【0210】
特別な実施形態において、本明細書で提供される抗体およびその抗原結合断片は、GlcNAcMan3GlcNAc2;GalGlcNAcMan3GlcNAc2;NANAGalGlcNAcMan3GlcNAc2;GlcNAc2Man3GlcNAc2;GalGlcNAc2Man3GlcNAc2;Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2;NANAGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2;およびNANA2Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2からなる群から選択される少なくとも1つの複合N-グリカンを有する抗体および断片を含む。特別な態様において、該複合N-グリカンは、該組成物中の優勢なN-グリカン種である。さらなる態様において、該複合N-グリカンは、該組成物中の該複合N-グリカンの約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%を構成する特別なN-グリカン種である。一実施形態において、本明細書で提供される抗体およびその抗原結合断片は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%が構造NANA2Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2を含み、そのような構造がアフコシル化されている、複合N-グリカンを含む。そのような構造は、例えば操作されたピチア・パストリス宿主細胞内で、産生され得る。
【0211】
特別な実施形態において、該N-グリカンは、フコシル化されている。一般に該フコースは、N-グリカンの還元末端のGlcNAcとのα1,3-結合、N-グリカンの還元末端のGlcNAcとのα1,6-結合、N-グリカンの非還元末端のGalとのα1,2-結合、N-グリカンの非還元末端のGlcNAcとのα1,3-結合、またはN-グリカンの非還元末端のGlcNAcとのα1,4-結合の中にある。
【0212】
それゆえ上記糖たんぱく質組成物の特別な態様において、該グリコフォームは、Man5GlcNAc2(Fuc)、GlcNAcMan5GlcNAc2(Fuc)、Man3GlcNAc2(Fuc)、GlcNAcMan3GlcNAc2(Fuc)、GlcNAc2Man3GlcNAc2(Fuc)、GalGlcNAc2Man3GlcNAc2(Fuc)、Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2(Fuc)、NANAGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2(Fuc)、およびNANA2Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2(Fuc)からなる群から選択されるグリコフォームを生成するα1,3-結合もしくはα1,6-結合の中;GlcNAc(Fuc)Man5GlcNAc2、GlcNAc(Fuc)Man3GlcNAc2、GlcNAc2(Fuc1-2)Man3GlcNAc2、GalGlcNAc2(Fuc1-2)Man3GlcNAc2、Gal2GlcNAc2(Fuc1-2)Man3GlcNAc2、NANAGal2GlcNAc2(Fuc1-2)Man3GlcNAc2、およびNANA2Gal2GlcNAc2(Fuc1-2)Man3GlcNAc2からなる群から選択されるグリコフォームを生成するα1,3-結合もしくはα1,4-結合の中;またはGal(Fuc)GlcNAc2Man3GlcNAc2、Gal2(Fuc1-2)GlcNAc2Man3GlcNAc2、NANAGal2(Fuc1-2)GlcNAc2Man3GlcNAc2、およびNANA2Gal2(Fuc1-2)GlcNAc2Man3GlcNAc2からなる群から選択されるグリコフォームを生成するα1,2-結合フコースの中にある。
【0213】
さらなる態様において、該抗体(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合断片は、非限定的にMan8GlcNAc2、Man7GlcNAc2、Man6GlcNAc2、Man5GlcNAc2、Man4GlcNAc2、またはMan3GlcNAc2 N-グリカン構造からなるN-グリカンをはじめとする高マンノース型N-グリカンを含む。
【0214】
上記のさらなる態様において、該複合N-グリカンは、フコシル化および非フコシル化された二分岐および多アンテナ種をさらに含む。
【0215】
本明細書で用いられる用語「N-グリカン」および「グリコフォーム」は、互換的に用いられ、N-結合オリゴ糖、例えば、アスパラギン-N-アセチルグルコサミン結合によりポリペプチドのアスパラギン残基に結合しているN-結合オリゴ糖を指す。N-結合糖タンパク質は、タンパク質中のアスパラギン残基のアミド窒素に結合したN-アセチルグルコサミン残基を含有する。糖タンパク質上で見出される主な糖は、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)およびシアル酸(例えば、N-アセチル-ノイラミン酸(NANA))である。糖基のプロセシングは、翻訳と同時にERの内腔において行われ、続いて翻訳後にN-結合糖タンパク質のためにゴルジ装置において行われる。
【0216】
N-グリカンは、Man3GlcNAc2の共通する五糖コアを有する(「Man」はマンノースを指し、「Glc」はグルコースを指し、「NAc」はN-アセチルを指し、GlcNAcはN-アセチルグルコサミンを指す)。通常、N-グリカン構造は、非還元末端を左側に、そして還元末端を右側にして表される。N-グリカンの還元末端は、該タンパク質上のグリコシル化部位を含むAsn残基に結合された末端である。N-グリカンは、「トリマンノースコア」、「五糖コア」または「パウチマンノースコア」とも称されるMan3GlcNAc2(「Man3」)コア構造に付加される周辺糖(peripheral sugars)(例えば、GlcNAc、ガラクトース、フコースおよびシアル酸)を含む分岐(アンテナ)の数に関して異なる。N-グリカンは、その分枝の構成成分(例えば、高マンノース、複合またはハイブリッド)に従い分類される。「高マンノース」型N-グリカンは、5個以上のマンノース残基を有する。「複合」型N-グリカンは、典型的には「トリマンノース」コアの1,3マンノースアームに結合した少なくとも1つのGlcNAcと、1,6マンノースアームに結合した少なくとも1つのGlcNAcとを有する。複合N-グリカンは、シアル酸または誘導体(例えば、「NANA」または「NeuAc」であり、ここで「Neu」はノイラミン酸を指し、「Ac」はアセチルを指す)で場合により修飾されたガラクトース(「Gal」)またはN-アセチルガラクトサミン(「GalNAc」)残基も有していてもよい。複合N-グリカンはまた、「二分岐」GlcNAcおよびコアフコース(「Fuc」)を含む鎖内置換を有していてもよい。複合N-グリカンはまた、「トリマンノースコア」上に複数のアンテナを有していてもよく、それは「多アンテナ型グリカン」と称されることが多い。「ハイブリッド」型N-グリカンは、トリマンノースコアの1,3マンノースアームの末端における少なくとも1つのGlcNAcと、トリマンノースコアの1,6マンノースアーム上の0個またはより多くのマンノースとを有する。該様々なN-グリカンは、「グリコフォーム」とも称される。
【0217】
複合N-グリカンに関して、用語「G-2」、「G-1」、「G0」、「G1」、「G2」、「A1」、および「A2」は、以下の事柄を意味する。「G-2」は、Man3GlcNAc2と特徴づけられ得るN-グリカン構造を指し;用語「G-1」は、GlcNAcMan3GlcNAc2として特徴づけられ得るN-グリカン構造を指し;用語「G0」は、GlcNAc2Man3GlcNAc2として特徴づけられ得るN-グリカン構造を指し;用語「G1」は、GalGlcNAc2Man3GlcNAc2として特徴づけられ得るN-グリカン構造を指し;用語「G2」は、Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2として特徴づけられ得るN-グリカン構造を指し;用語「A1」は、NANAGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2として特徴づけられ得るN-グリカン構造を指し;用語「A2」は、NANA2Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2として特徴づけられ得るN-グリカン構造を指す。他に示されない限り、用語「G-2」、「G-1」、「G0」、「G1」、「G2」、「A1」、および「A2」は、N-グリカンの還元末端のGlcNAc残基に結合されたフコースが欠如するN-グリカン種を指す。該用語が、「F」を含む場合、「F」は、N-グリカン種がN-グリカンの還元末端のGlcNAc残基上のフコース残基を含有することを示す。例えば、G0F、G1F、G2F、A1F、およびA2Fは全て、N-グリカンがN-グリカンの還元末端のGlcNAc残基に結合されたフコースをさらに含むことを示す。酵母および糸状真菌などの下等真核生物は、通常、フコースを生成するN-グリカンを産生しない。
【0218】
多アンテナ型N-グリカンに関して、用語「多アンテナ型N-グリカン」は、N-グリカンの1,6アームもしくは1,3アームの非還元末端を含むマンノース残基のGlcNAc残基、またはN-グリカンの1,6アームおよび1,3アームの非還元末端を含むマンノース残基のそれぞれのGlcNAc残基をさらに含むN-グリカンを指す。したがって多アンテナ型N-グリカンは、式GlcNAc(2-4)Man3GlcNAc2、Gal(1-4)GlcNAc(2-4)Man3GlcNAc2、またはNANA(1-4)Gal(1-4)GlcNAc(2-4)Man3GlcNAc2を特徴とし得る。用語「1~4」は、1、2、3、または4個の残基を指す。
【0219】
二分岐型N-グリカンに関して、用語「二分岐型N-グリカン」は、GlcNAc残基がN-グリカンの還元末端のマンノース残基に結合されたN-グリカンを指す。二分岐型N-グリカンは、各マンノース残基がGlcNAc残基の非還元末端に結合された式GlcNAc3Man3GlcNAc2を特徴とし得る。対照的に、多アンテナ型N-グリカンが、GlcNAc3Man3GlcNAc2を特徴とする場合、該式は、2つのGlcNAc残基がN-グリカンの2つのアームの一方の非還元末端のマンノース残基に結合されており、1つのGlcNAc残基がN-グリカンの他のアームの非還元末端のマンノース残基に結合されていることを示す。
【0220】
特定の実施形態において、本発明のタンパク質は、アグリコシル化Fc領域を含む。例として、IgG1 Fc領域は、残基N297を欠失または置換することによりアグリコシル化されてもよい。
【0221】
抗体の物理的特性
本明細書に開示された抗体およびその抗原結合断片は、軽鎖または重鎖のいずれかの免疫グロブリン可変領域内に1つまたは複数のグリコシル化部位をさらに含んでいてもよい。そのようなグリコシル化部位は、該抗体もしくは断片の免疫原性の増強、または抗原結合の改変による該抗体のpKの変化をもたらし得る(Marshall et al(1972)Annu Rev Biochem 41:673-702;GalaおよびMorrison(2004)J Immunol 172:5489-94;Wallick et al(1988)J Exp Med 168:1099-109;Spiro(2002)Glycobiology 12:43R-56R;Parekh et al(1985)Nature 316:452-7;Mimura et al(2000)Mol Immunol 37:697-706)。グリコシル化は、N-X-S/T配列を含有するモチーフで起こることが公知である。
【0222】
各抗体または抗原結合断片は、一般には6~9.5の間のpH範囲内である特有の等電点(pI)を有するであろう。IgG1抗体のpIは、典型的には7~9.5のpH範囲内であり、IgG4抗体のpIは、典型的には6~8のpH範囲内である。
【0223】
各抗体または抗原結合断片は、特徴的な融解温度を有し、より高い融解温度は、より大きな全体的インビボ安定性を示す(Krishnamurthy R and Manning MC(2002)Curr Pharm Biotechnol 3:361-71)。一般に、TM1(初期アンフォールディングの温度)は、60℃より高く、65℃より高く、または70℃より高くなり得る。抗体または断片の融点は、示差走査熱量測定(Chen et al(2003)Pharm Res 20:1952-60;Ghirlando et al(1999)Immunol Lett 68:47-52)または円偏光二色性(Murray et al(2002)J.Chromatogr Sci 40:343-9)を用いて測定され得る。
【0224】
さらなる実施形態において、急速には分解しない抗体およびその抗原結合断片が、選択される。抗体または断片の分解は、キャピラリー電気泳動(CE)およびMALDI-MS(Alexander AJ and Hughes DE(1995)Anal Chem 67:3626-32)を用いて測定され得る。
【0225】
さらなる実施形態において、望まない免疫応答の惹起および/または改変されたもしくは非好適の薬物動態特性を招き得る凝集作用が最小限である抗体およびその抗原結合断片が、選択される。一般に、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下の凝集を示す抗体および断片が、許容される。凝集は、サイズ排除カラム(SEC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および光散乱をはじめとする複数の技術により測定され得る。
【0226】
抗体コンジュゲート
本明細書に開示された抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片は、化学的部分にコンジュゲートされてもよい。該化学的部分は、とりわけ、ポリマー、放射性核種、細胞傷害性因子であってもよい。特別な実施形態において、該化学的部分は、対象の体内の該抗体または断片の半減期を増加させるポリマーである。適切なポリマーとしては、非限定的にポリエチレングリコール(PEG)(例えば、2kDa、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDaまたは40kDaの分子量を有するPEG)、デキストランおよびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)をはじめとする親水性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されい。Lee et al(1999)(Bioconj.Chem.10:973-981)は、PEGコンジュゲート化一本鎖抗体を開示している。Wen et al(2001)(Bioconj.Chem.12:545-553)は、放射性金属キレート剤(ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA))に結合されたPEGに対して抗体をコンジュゲートすることを開示している。
【0227】
本明細書に開示された抗体およびその抗原結合断片はまた、例えば99Tc、90Y、111In、32P、14C、125I、3H、131I、11C、15O、13N、18F、35S、51Cr、57To、226Ra、60Co、59Fe、57Se、152Eu、67CU、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd、234Thおよび40K、157Gd、55Mn、52Trおよび56Feなどの標識にコンジュゲートされていてもよい。
【0228】
本明細書に開示された抗体および抗原結合断片はまた、例えば、その生物学的(例えば、血清)半減期を増加させるために、PEG化されていてもよい。抗体または断片をPEG化するためには、典型的には該抗体または断片を、1つまたは複数のPEG基が該抗体または抗体断片に結合する条件下、ポリエチレングリコール(PEG)の反応性形態、例えば、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体と反応させる。特別な実施形態において、PEG化は、反応性PEG分子(または類似の反応性水溶性ポリマー)でのアシル化反応またはアルキル化反応を介して実施される。本明細書で用いられる用語「ポリエチレングリコール」は、他のタンパク質を誘導体化するために使用されてきたPEGの形態のいずれか、例えばモノ(C1-C10)アルコキシ-またはアリールオキシ-ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール-マレイミドを包含するものとする。特定の実施形態において、PEG化される抗体または断片は、アグリコシル化抗体または断片である。タンパク質をPEG化するための方法は、当該技術分野で公知であり、本発明の抗体に適用され得る。例えば、EP0154316およびEP0401384を参照されたい。
【0229】
本明細書に開示された抗体および抗原結合断片はまた、希土類キレート、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、イソチオシアナート、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、フルオレスカミン、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリン、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジミウム塩標識、シュウ酸エステル標識、エクオリン標識、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン/アビジン、スピン標識および安定フリーラジカルなどのフルオロフォアをはじめとする蛍光または化学発光標識でコンジュゲートされていてもよい。
【0230】
本発明の抗体およびその抗原結合断片はまた、ジフテリア毒素、シュードモナス・エルギノーサ外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォルディタンパク質および化合物(例えば、脂肪酸)、ジアンチンタンパク質、フィトイアッカ・アメリカナタンパク質PAPI、PAPIIおよびPAP-S、モモルディカ・カランチアインヒビター、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィシナリスインヒビター、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシンおよびエノマイシンなどの細胞傷害性因子にコンジュゲートされていてもよい。
【0231】
Hunter et al.,(1962)Nature 144:945;David et al.,(1974)Biochemistry 13:1014;Pain et al.,(1981)J.Immunol.Meth.40:219;およびNygren,J.(1982)Histochem.and Cytochem.30:407に記載された方法をはじめとする、本発明の抗体およびその抗原結合断片を様々な部分にコンジュゲートするための当該技術分野で知られる任意の方法を、利用してもよい。抗体および断片をコンジュゲートするための方法は、従来通りであり、当該技術分野において非常に周知である。
【0232】
抗SIRPα抗体の治療的使用
さらに提供されるのは、本明細書に開示された単離された抗体またはその抗原結合断片での処置を必要とするヒト対象などの対象を処置するための方法である。本発明の一実施形態において、そのような対象は、感染または感染性疾患に罹患している。
【0233】
本発明の別の実施形態において、そのような対象は、癌に罹患している。一実施形態において、該癌は、例えば、骨肉腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、腎臓癌、白血病、腎移行上皮癌、膀胱癌、ウィルムス癌、卵巣癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、胃癌、大腸癌、子宮頸癌、滑膜肉腫、頭頸部癌、扁平上皮癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、肝芽腫、肝細胞癌、メラノーマ、腎臓のラブドイド腫瘍、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原始神経外胚葉性腫瘍、髄芽腫、星細胞腫、退形成性星細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、脈絡叢乳頭腫、真性多血症、血小板血症、特発性筋線維症、軟部組織肉腫、甲状腺癌、子宮内膜癌、カルチノイド癌または肝臓癌、乳癌または胃癌である。本発明の一実施形態において、該癌は、例えば先に記載された種々のものの、転移癌である。
【0234】
本発明の抗体または抗原結合断片、組成物および方法により処置され得る癌としては、心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、胞巣状(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋腫)、膵臓(管状腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛状腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸直腸;泌尿生殖器:腎臓(腺癌、ウィルム腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胎児性癌、悪性奇形腫、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:ヘパトーマ(肝細胞癌)、肝内胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫、脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、キサントーマ、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星細胞腫、髄芽腫、グリオーマ、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性グリア芽腫、希突起グリオーマ、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、グリオーマ、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性腺癌、粘液性腺癌、未分類癌]、顆粒膜-髄膜細胞腫、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋腫)、ファロピウス管(癌)、乳房;血液学:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;ならびに副腎:神経芽細胞腫が挙げられるが、これらに限定されない。したがって本明細書で提供される用語「癌細胞」は、先に同定された状態の任意の1つに見舞われた細胞を包含する。
【0235】
一実施形態において、本明細書に開示された抗体またはその抗原結合断片、本発明の組成物および方法により処置され得る癌としては、乳癌、胃癌、食道癌、胃食道接合部癌、大腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、骨肉腫、神経芽細胞腫、膀胱癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、肺癌、扁平上皮癌、メラノーマ、膵臓癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓癌、腎細胞癌、甲状腺癌、多形膠芽腫、卵管癌、腹膜癌、血管肉腫、肝細胞癌、絨毛癌、軟組織肉腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、非ホジキンリンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄球性白血病、T細胞リンパ腫、ナチュラルキラー細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、急性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0236】
一実施形態において、本明細書に開示された抗体またはその抗原結合断片が、感染および感染性疾患の処置に用いられてもよい。本明細書で用いられる用語「感染」は、感染性物質に感染された生物体(例えば、対象)の少なくとも1つの細胞における任意の状態を指す(例えば、対象は、細胞内病原感染、例えば慢性細胞内病原感染を有する)。本明細書で用いられる用語「感染性物質」は、感染された生物体の少なくとも1つの細胞においてCD47発現(例えば、CD47発現の増加)を誘導する外来生物体(即ち、病原体)を指す。例えば感染性物質としては、細菌、ウイルス、原生動物、および真菌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0237】
細胞内病原は、特に該当する。感染性疾患は、感染性物質により誘発される障害である。幾つかの感染性物質は、特定の条件下で認識し得ない症候群または疾患を誘発し、条件の変化で症候群または疾患を誘発する可能性を有する。本発明の方法は、非限定的にウイルス感染、例えばレトロウイルス、レンチウイルス、ヘパドナウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、ヒトパピローマウイルスなど;細胞内細菌感染、例えばマイコバクテリウム、クラミドフィラ、エルリチア、リケッチア、ブルセラ、レジオネラ、フランシセラ、リステリア、コキシエラ、ネイセリア、サルモネラ、エルシニアsp、ヘルコバクター・ピロリなど;および細胞内原生生物病原、例えばプラスモジウムsp、トリパノソマsp、ギアルジアsp、トキソプラズマsp、リーシュマニアspなどをはじめとする慢性病原感染の処置に用いられ得る。
【0238】
一実施形態において、本発明は、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合性断片を用いて対象を処置するための方法であって、該対象がウイルス感染に罹患している、方法を提供する。一実施形態において、該ウイルス感染は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、肝炎ウイルス(A、BまたはC)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-IIおよびCMV、エプスタイン・バーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルスまたはアルボウイルス性脳炎ウイルスからなる群から選択されるウイルスによる感染である。
【0239】
一実施形態において、本発明は、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合性断片を用いて対象を処置するための方法であって、該対象が細菌感染に罹患している、方法を提供する。一実施形態において、該細菌感染は、クラミジア、リケッチア細菌、マイコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌および淋菌、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、レジオネラ、コリネバクテリウム・ジフテリエ、サルモネラ、桿菌、ビブリオ・コレレ、クロストリジウム・テタン、クロストリジウム・ボツリヌム、バシラス・アンスリシス、エルシニア・ペスチス、マイコバクテリウム・レプレ、マイコバクテリウム・レプロマトシスおよびボリエラからなる群から選択される細菌による感染である。
【0240】
一実施形態において、本発明は、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合性断片を用いて対象を処置するための方法であって、該対象が真菌感染に罹患している、方法を提供する。一実施形態において、該真菌感染は、カンジダ(アルビカンス、クルセイ、グラブラタ、トロピカリスなど)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、アスペルギルス(フミガタス、ニガーなど)、ムコラーレス属(ムコール、アブシジア、リゾプス)、スポロスリクス・シェンキイ、ブラストマイセス・デルマチチディス、パラコクシジオイデス・ブラシリエンシス、コクシジオイデス・イミティスおよびヒストプラスマ・カプスラツムからなる群から選択される真菌による感染である。
【0241】
一実施形態において、本発明は、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合性断片を用いて対象を処置するための方法であって、該対象が寄生虫感染に罹患している、方法を提供する。一実施形態において、該寄生虫感染は、エンタモエバ・ヒストリティカ、バランチジウム・コリ、ネグレリア・フォウレリ、アカンタモエバ、ジアルジア・ランビア、クリプトスポリジウム、ニューモシスチス・カリニ、プラスモジウム・ビバックス、バベシア・ミクロッティ、トリパノソーマ・ブルセイ、トリパノソーマ・クルジ、リーシュマニア・ドノバニ、トキソプラスマ・ゴンディおよびニッポストロンジルス・ブラシリエンシスからなる群から選択される寄生虫による感染である。
【0242】
「対象」は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、サル(例えば、カニクイザル、例えば、マカカ・ファシクラリス)またはウサギなどの哺乳動物であってもよい。本発明の好ましい実施形態において、該対象は、ヒト対象である。
【0243】
用語「と連携して」は、本発明の方法において投与される成分(例えば、抗癌剤を伴う抗SIRPα抗体(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合性断片)が、同時送達のために単一組成物に配合され得ること、また2つ以上の組成物(例えば、キット)に別々に配合され得ることを示す。各成分は、他の成分が投与される時点と異なる時点で対象に投与され得、例えば各投与は、所与の期間にわたり、複数の間隔をあけて非同時(例えば、別々または連続的)に行われてもよい。さらに該別の成分は、同じ経路または異なる経路により対象に投与されてもよい。
【0244】
特別な実施形態において、本明細書に開示された抗体またはその抗原結合断片は、そのような処置または予防を必要とする対象において、例えば本明細書に議論された、癌などの任意の疾患を処置または予防するために、単独で、または他のさらなる治療薬および/もしくは治療手順と連携して用いられてもよい。さらなる治療薬に関連してそのような抗体および断片を含む組成物、例えば医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物もまた、本発明の一部である。
【0245】
それゆえ本発明は、ヒト対象における癌を処置する方法であって、場合によりさらなる治療薬または治療手順と連携して、本明細書に開示された抗体または抗原結合断片の有効量を該対象に投与することを含む、方法を提供する。本発明はまた、ヒト対象における感染または感染性疾患を処置する方法であって、場合によりさらなる治療薬または治療手順と連携して、本明細書に開示された抗体または抗原結合断片の有効量を該対象に投与することを含む、方法を提供する。本発明はまた、免疫細胞の活性を上昇させる方法であって、本明細書に開示された抗体または抗原結合断片の有効量を必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態において、該方法は、癌の処置、感染もしくは感染性疾患の処置に、またはワクチンアジュバントとして用いられる。
【0246】
特別な実施形態において、本明細書に開示された抗体またはその抗原結合断片は、単独で、または腫瘍ワクチンと連携して用いられてもよい。腫瘍ワクチンの例としては、Gardasil(登録商標)、Gardisil9(登録商標)、およびCervarix(登録商標)などのヒトパピローマウイルス(HPV)感染のためのワクチン;Engerix-B(登録商標)およびRecombivax HB(登録商標)などのB型肝炎ウイルスが誘発した肝臓癌を予防するワクチン;Imlygic(登録商標)などの免疫応答を惹起する腫瘍溶解性ウイルス療法;Synchotrope MA2MプラスミドDNAワクチンおよびZYC101などのDNAワクチン;マンマグロビン-a DNAワクチン(Clinical Cancer Res. 2014 20(23):5964-75参照);PSA-TRICOM(prostvac)、PANVAC-VFなどのベクターを基にしたワクチン;リステリア・モノサイトゲネスを基にしたワクチン(例えば、Therapeutic Advances in Vaccines,2014, 2(5)137-148参照)、リステリアを基にしたワクチン(リステリア・メソテリン(例えば、CRS-207)、ADXS-HPV、アクサリモジーン・フィロリスバック、リステリア-HER2/Neu、リステリア-EGFRvIIIなどの1種または複数の癌ワクチンを発現するリステリア);アデノ-CEA;GVAX、BLP-25(抗アンカラムチン1)、ベラゲンプマツセル-L、TG4010、CIMAvax上皮成長因子ワクチン、NY-ESO、GM.CD40L-CCL21などの同種異系のワクチン;Adeno-CD40L、BCG、INGN-225などの自家ワクチン;Provenge(登録商標)(シプロイセル-T)、rF-CEA-MUC1-TRICOM(Panvac-DC)などの樹状細胞ワクチン;MUC-1(Stimuvax)、NY-ESO-1、GP-100、MAGE-A3(メラノーマ抗原をコードする遺伝子A3)、INGN-225(Pharmacology & Therapeutics 153(2015)1-9参照)などの抗原ワクチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
イートミーシグナルは、非限定的に、アントラサイクリン系(ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン)、オキサリプラチン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、ブレオマイシン、ボリノスタット、パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シタラビン、プレドニゾロン、ドセタキセル、マイトマイシンC、トポテカン/カンプトテシン、エトポシド、ゾレドロン酸、メトトレキサート、イブルチニブ、アフリベルセプト、ベバシズマブ、トレミフェン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、イデラリシブ、メルカプトプリン、サチドマイド、ソラフェニブをはじめとする放射線療法および化学療法剤のような細胞傷害性療法により上昇され得る。したがって特定の実施形態において、本明細書に開示された抗体またはその抗原結合断片は、化学療法剤と連携する、放射線療法と連携するなどで用いられてもよい。特別な実施形態において、本明細書に開示された抗体またはその抗原結合断片は、単独で、または標的化療法と連携して用いられてもよい。標的化療法の例としては、ホルモン療法、シグナル伝達阻害剤(例えば、セツキシマブ(Erbitux)およびエルロチニブ(Tarceva)などのEGFR阻害剤);CD20阻害剤(例えば、リツキシマブ(Rituxan)およびアファツムマブ(Arzerra));CD38阻害剤(例えば、ダラツムマブ(DARZALEX)); CD52阻害剤(例えば、アレムツズマブ(Campath));HER2阻害剤(例えば、トラスツズマブ(Herceptin)およびペルツズマブ(Perjeta));BCR-ABL阻害剤(イマチニブ(Gleevec)およびダサチニブ(Sprycel)など);ALK阻害剤(クリゾチニブ(Xalkori)およびセリチニブ(Zykadia)など);BRAF阻害剤(ベムラフェニブ(Zelboraf)およびダブラフェニブ(Tafinlar)など)、遺伝子発現調整物質(例えば、デシタビン(Dacogen)およびボリノスタット(Zolinza))、アポトーシス誘導剤(例えば、ボルテゾミブ(Velcade)およびカルフィルゾミブ(Kyprolis))、血管新生阻害剤(例えば、ベバシズマブ(Avastin)およびラムシルマブ(Cyramza))、免疫調整イミド剤(例えば、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、およびアプレミラスト)、毒素に結合させたモノクローナル抗体(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン(Adcetris)およびアドトラスツズマブ・エムタンシン(Kadcyla))が挙げられる。
【0248】
本明細書に開示された抗体またはその抗原結合断片は、好ましくは抗体を利用してADCC/ADCPを媒介する標的化療法に関連した用途を見出してもよい。機能的バイオアッセイは、抗体薬の作用機序を分析するため、そして作用機序としてのADCPをADCCと識別するために利用可能である。例として、抗体依存性細胞介在細胞傷害(ADCC)アッセイは、典型的には正常なヒト末梢血単核細胞(PBMC)またはそれから単離されたエフェクター細胞を利用する。アッセイの変動性は、定義されたFcγ受容体IIa(FcγRIIa/CD32a)、IIIa(FcγRIIIa/CD16a)もしくはIIIb(FcγRIIIb/CD16b)遺伝子コピー数多型(CNV)、またはV/FもしくはF/Fに対するFcγRIIIa-158 V/V、H/RもしくはR/Rに対するFcγRIIIa-131 H/H、ならびにFcγRIIIb-NA1および-NA2多型変異(polymorphic variants)などの遺伝子型を含む選択的ドナープールを利用することにより低減され得る。あるいはPBMC、PBMC由来ナチュラルキラー(NK)細胞、顆粒球、単球、単球由来マクロファージ、または樹状細胞(DC)などのエフェクター細胞は、FcγRIIIa発現細胞株(例えば、操作されたNK92)と交換され得る。標的細胞の殺傷は、51クロム(Cr51)または蛍光色素、例えばカルセイン-アセトキシメチル(カルセイン-AM)、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)、2’,7’-ビス-(2-カルボキシエチル)-5-(および-6)-カルボキシフルオレセイン(BCECF)、ユーロピウム(Eu)もしくはヨウ化プロピジウム(PI)を用いて予備標識標的細胞からの特異的プローブの遊離を測定することにより、または乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)などのサイトゾル酵素の遊離もしくはヌクレオシド三リン酸(ATP)の遊離を測定することにより、評定され得る。
【0249】
対照的に、抗体依存性細胞食作用(ADCP)は、顆粒球、単球、樹状細胞またはマクロファージ介在性食作用を介して標的細胞の破壊を測定することにより評定されてもよい。ADCPアッセイは、マクロファージまたは顆粒球に分化されるHL-60、THP-1、およびU937細胞などのPBMC由来細胞または骨髄細胞株を利用する。単球細胞株においてマクロファージ分化を誘導するのに一般に用いられる刺激としては、フォルボール-12-ミリスタート-13-アセタート(PMA)、1,25-ジヒドロキシビタミンD3(VD3)、およびレチノイン酸(RA)が挙げられる。RAはまた、例えばHL-60細胞の終末顆粒球分化を誘導することが知られている。標的細胞の食作用は、細胞増殖色素eFluor450、CFSEなどの蛍光色素、ならびにpHrodoおよびCypHer5EをはじめとするpH感受性色素で予備標識された標的細胞からの特異的プローブの内在化についてエフェクター細胞をモニタリングすることにより評定され得る。食作用は、フローサイトメトリーまたは蛍光顕微鏡測定を利用して蛍光標識されたエフェクター細胞の増加により測定される。「レポーター遺伝子」アッセイもまた、ADCPを評定するために利用可能である。レポーター遺伝子アッセイにおいてADCP機能を測定するために、標的細胞を、最初、一定力価の該当する抗体と共にインキュベートする。抗体が標的細胞表面にある同族の標的に結合したら、操作されたJurkatエフェクター細胞を添加する。ADCP経路の活性化が結果的に生じたら、Jurkat細胞が、レポーター遺伝子NFAT-RE-luc2の発現によりルシフェラーゼ産物を生成する。その後、ルシフェラーゼアッセイ試薬の添加後に、ルシフェラーゼ活性を、4~24時間の誘導期間に続いて測定する。マイクロタイタープレートに基づくアッセイにおける用量依存的応答を利用し、治療性抗体の相対的生物活性を適切な参照物質の用量依存的曲線に比較して定量することができる。
【0250】
特別な実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片が、抗癌治療薬または免疫調整受容体阻害剤などの免疫調整薬、例えば受容体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片と組み合わせて用いられてもよい。
【0251】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合は、
TNF受容体タンパク質のアゴニスト(例えば、作動性抗体もしくはその抗原結合断片、または可溶性融合体)、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、Toll様受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAMl、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、SLAM7、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83と特異的に結合するリガンド;または
CD47、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、LAG3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIRl、IDO、TDO、CD160および/もしくはTGFRベータの阻害剤、
のうちの1つまたは複数と連携される。
【0252】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、1種もしくは複数の環状ジヌクレオチド(dinculeotides)または他のSTING経路アゴニストと連携される。STING(TMEM173、MITA、ERIS、およびMPYSとしても知られるインターフェロン遺伝子の刺激物質)は、環状ジヌクレオチド(CDN)の直接の結合に応答してコンフォメーション変化を受けてTBK1活性化、IRF-3リン酸化、ならびにIFN-βおよび他のサイトカインの産生を含む下流のシグナル伝達カスケードをもたらす、ERに局在化された膜貫通タンパク質である。腫瘍常在型宿主抗原提示c3ellssにおけるSTING経路は、腫瘍由来抗原に対する自然なCD8+ T細胞応答の誘導に関与する。この経路の活性化と、続くIFN-βの産生はまた、伝えられるところによれば、放射能の抗腫瘍効果に寄与する。STINGアゴニストおよびその使用は、例えばUS20060040887、US20080286296、US20120041057、US20140205653、WO2014179335、WO2014179760、US20150056224、WO2015185565、WO2016096174、WO2016145102、WO2017011444、WO2017027645、WO2017027646、WO2017123657、WO2017123669、WO2017175147、WO2017175156、WO2018045204、WO2018009648、WO2018006652、WO2018013887、WO2018013908、US20180002369、US20180092937、およびUS20180093964に記載されている。
【0253】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CD47抗体、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、抗PDL1抗体、抗TIGIT抗体、抗APRIL抗体、抗CTLA4抗体、抗CS1抗体(例えば、エロツズマブ)、抗KIR2DL1/2/3抗体(例えば、リリルマブ)、抗CD137抗体(例えば、ウレルマブ)、抗GITR抗体(例えば、TRX518)、抗PD-L1抗体(例えば、BMS-936559、MSB0010718CまたはMPDL3280A)、抗PD-L2抗体、抗ILT1抗体、抗ILT2抗体、抗ILT3抗体、抗ILT4抗体、抗ILT5抗体、抗ILT6抗体、抗ILT7抗体、抗ILT8抗体、抗CD40抗体、抗OX40抗体、抗ICOS、抗KIR2DL1抗体、抗KIR2DL2/3抗体、抗KIR2DL4抗体、抗KIR2DL5A抗体、抗KIR2DL5B抗体、抗KIR3DL1抗体、抗KIR3DL2抗体、抗KIR3DL3抗体、抗NKG2A抗体、抗NKG2C抗体、抗NKG2E抗体、抗4-1BB抗体(例えば、PF-05082566)、抗TSLP抗体、抗IL-10抗体、IL-10もしくはPEG化IL-10、またはそのような標的の任意の小さな有機分子阻害剤のうちの1つまたは複数と連携される。
【0254】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、ウブリツキシマブ、ベルツズマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、トシツモマブ、BVX-20、SCT-400またはPRO131921)と連携される。
【0255】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ、イサツキシマブまたはMOR202)と連携される。
【0256】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブ、CetuGEX、パニツムマブ、ニモツズマブ、デパツキシズマブまたはAFM-21)と連携される。
【0257】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ、TrasGEX、ペルツズマブ、マルゲツキシマブまたはADCT-502)と連携される。
【0258】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗HER3抗体(例えば、ルムレツズマブ、パトリツマブまたはLJM716)と連携される。
【0259】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CD19抗体(例えば、イネビリズマブ、ブリナツモマブ、DI-B4、MDX-1342、MEDI-551、MOR208または4-G7SDIE)と連携される。
【0260】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CD52抗体(例えば、アレムウツズマブ)と連携される。
【0261】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗EpCAM抗体(例えば、アデカツムマブ、カツマクソマブ、エドレコロマブまたはING-1)と連携される。
【0262】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗SLAMF7抗体(例えば、エロツズマブまたはABBV-838)と連携される。
【0263】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブまたはペムブロリズマブ)と連携される。
【0264】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗PD-L1抗体(例えば、BMS-936559、MSB0010718CまたはMPDL3280A)と連携される。
【0265】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CTLA4抗体(例えば、イピリムマブまたはトレメリムマブ)と連携される。
【0266】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CD137抗体(例えば、ウレルマブ)と連携される。
【0267】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗GITR抗体(例えば、TRX518またはFPA154)と連携される。
【0268】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗OX40抗体(例えば、MEDI6469、MOXR0916またはINCAGN1949)と連携される。
【0269】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CD40抗体(例えば、ルカツムマブ、ダセツズマブ、APX005M、ChiLob7/4、CP-870,893またはJNJ-64457107)と連携される。本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CS1抗体と連携される。
【0270】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗KIR2DL1/2/3抗体と連携される。
【0271】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CD137(例えば、ウレルマブ)抗体と連携される。
【0272】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗GITR(例えば、TRX518)抗体と連携される。
【0273】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗PD-L2抗体と連携される。
【0274】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗ITL1抗体と連携される。
【0275】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗ITL2抗体と連携される。
【0276】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗ITL3抗体と連携される。
【0277】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗ITL4抗体と連携される。
【0278】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗ITL5抗体と連携される。
【0279】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗ITL6抗体と連携される。
【0280】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗ITL7抗体と連携される。
【0281】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗ITL8抗体と連携される。
【0282】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗CD40抗体と連携される。
【0283】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗OX40抗体と連携される。
【0284】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗KIR2DL1抗体と連携される。
【0285】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗KIR2DL2/3抗体と連携される。
【0286】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗KIR2DL4抗体と連携される。
【0287】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗KIR2DL5A抗体と連携される。
【0288】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗KIR2DL5B抗体と連携される。
【0289】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗KIR3DL1抗体と連携される。
【0290】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗KIR3DL2抗体と連携される。
【0291】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗KIR3DL3抗体と連携される。
【0292】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗NKG2A抗体と連携される。
【0293】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗NKG2C抗体と連携される。
【0294】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗ICOS抗体と連携される。
【0295】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗4-1BB抗体と連携される。
【0296】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗IL-10抗体と連携される。
【0297】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗TSLP抗体と連携される。
【0298】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗IL-10またはPEG化IL-10抗体と連携される。
【0299】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、MTOR(ラパマイシンの哺乳動物ターゲット)阻害剤、細胞傷害剤、白金剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、微小管安定化剤、タキサン、CD20阻害剤、CD52阻害剤、CD30阻害剤、RANK(核内因子カッパ-Bの受容体活性化剤)阻害剤、RANKL(核内因子カッパ-Bリガンドの受容体活性化剤)阻害剤、ERK阻害剤、MAPキナーゼ阻害剤、AKT阻害剤、MEK阻害剤、PI3K阻害剤、HER1阻害剤、HER2阻害剤、HER3阻害剤、HER4阻害剤、Bcl2阻害剤、CD22阻害剤、CD79b阻害剤、ErbB2阻害剤、またはファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤などの阻害剤(例えば、有機小分子もしくは抗体またはそれらの抗原結合断片)のうちの1つまたは複数と連携される。
【0300】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、13-シス-レチノイン酸、3-[5-(メチルスルホニルピペラジンメチル)-インドリル]-キノロン、4-ヒドロキシタモキシフェン、5-デオオキシウリジン、5’-デオキシ-5-フルオロウリジン、5-フルオロウラシル、6-メカプトプリン(mecaptopurine)、7-ヒドロキシスタウロスポリン、A-443654、酢酸アビラテロン、Abraxane、ABT-578、アコルビフェン、ADS-100380、ALT-110、アルトレタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンジオスタチン、AP-23573、ARQ-197、アルゾキシフェン、AS-252424、AS-605240、アスパラギナーゼ、AT-9263、アトラセンタン、アキシチニブ、AZD1152、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)ワクチン、バタブリン、BC-210、ベソドトクス(besodutox)、ベバシズマブ、ビカルタミド、Bio111、BIO140、ブレオマイシン、BMS-214662、BMS-247550、BMS-275291、BMS-310705、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カルシトリオール、カンプトテシン、カネルチニブ、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、CC8490、セジラニブ、CG-1521、CG-781、クラミドシン、クロラムブシル、クロロトキシン、シレンジタイド、シミチジン(cimitidine)、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、COL-3、CP-724714、シクロホスファミド、シプロテロン、酢酸シプロテロン、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダカルバジン、ダシノスタット、ダクチノマイシン、ダロツズマブ、ダヌセルチブ、ダサタニブ(dasatanib)、ダウノルビシン、デカタニブ(decatanib)、デグエリン、デニロイキン、デオキシコホルマイシン、デプシペプチド、ジアリルプロピオニトリル、ジエチルスチルベストロール、ジフチトクス、ドセタキセル、ドビチニブ、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、エドテカリン、イットリウム-90標識エドトレオチド、エドトレオチド、EKB-569、EMD121974、エンドスタチン、エンザルタミド、エンザスタウリン、エピルビシン、エピチロンB(epithilone B)、ERA-923、Erbitux、エルロチニブ、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フィクラツズマブ、フィナステリド、フラボピリドール、フロクスウリジン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、FOLFOXレジメン、フルベストラント、ガレテロン、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ジャイマテカン、ゴセレリン、酢酸ゴセレリン、ゴシポール、GSK461364、GSK690693、HMR-3339、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシウレア、IC87114、イダルビシン、イドキシフェン、イホスファミド、IM862、イマチニブ、IMC-1C11、INCB24360、INO1001、インターフェロン、インターロイキン-12、イピリムマブ、イリノテカン、JNJ-16241199、ケトコナゾール、KRX-0402、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、アプレミラスト、ラパチニブ、ラソフォキシフェン、レトロゾール、ロイコボリン、リュープロリド、酢酸リュープロリド、レバミソール、リポソーム内包パクリタキセル、ロムスチン、ロナファルニブ、ルカントン、LY292223、LY292696、LY293646、LY293684、LY294002、LY317615、マリマスタット、メクロレタミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、トザセルチブ、MLN8054、ネオバスタット、ネラチニブ、ニューラジアブ(neuradiab)、ニロチニブ、ニルチミド(nilutimide)、ノラトレキセド、NVP-BEZ235、オブリメルセン、オクトレオチド、オファツムマブ、オレゴボマブ、オルテロネル、オキサリプラチン、パクリタキセル、パルボシクリブ、パミドロネート、パニツムマブ、パゾパニブ、PD0325901、PD184352、PEG-インターフェロン、ペメトレキセド、ペントスタチン、ペリホシン、フェニルアラニンマスタード、PI-103、ピクチリシブ、PIK-75、ピペンドキシフェン、PKI-166、プリカマイシン、ポルフィマー、プレドニゾン、プロカルバジン、プロゲスチン類、PX-866、R-763、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラゾキシン(razoxin)、リダフォロリムス、リツキシマブ、ロミデプシン、RTA744、ルビテカン、スクリプタイド(scriptaid)、Sdx102、セリシクリブ、セルメチニブ、セマクサニブ、SF1126、シロリムス、SN36093、ソラフェニブ、スピロノラクトン、スクワラミン、SR13668、ストレプトゾシン、SU6668、スベロイルアナリドヒドロキサム酸、スニチニブ、合成エストロゲン、タランパネル、タリモジーン・ラハーパレプベック、タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テスミリフェン、テストステロン、テトランドリン、TGX-221、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレメリムマブ、チピファルニブ、チボザニブ、TKI-258、TLK286、トポテカン、クエン酸トレミフェン、トラベクテジン、トラスツズマブ、トレチノイン、トリコスタチンA、リン酸トリシリビン一水和物、パモ酸トリプトレリン、TSE-424、ウラシルマスタード、バルプロ酸、バルルビシン、バンデタニブ、バタラニブ、VEGFトラップ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビタキシン、ビテスパン(vitespan)、ボリノスタット、VX-745、ワートマニン、Xr311、ザノリムマブ、ZK186619、ZK-304709、ZM336372、ZSTK474のうちの1つまたは複数と連携される。
【0301】
本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片と組み合わせて用いられる適切な抗癌剤の非限定的例としては、癌および腫瘍疾患に対する細胞分裂阻害剤、免疫調整イミド薬、細胞傷害剤、標的治療薬(小分子、生物製剤、siRNAおよびマイクロRNA)、
1)代謝拮抗薬(メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、フルダラビン、カペシタビンなど)、
2)アルキル化剤、例えばテモゾロミド、シクロホスファミド、
3)DNA相互作用およびDNA損傷剤、例えばシスプラチン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、
4)電離放射線、例えば放射線療法、
5)トポイソメラーゼII阻害剤、例えばエトポシド、ドキソルビシン、
6)トポイソメラーゼI阻害剤、例えばイリノテカン、トポテカン、
7)チューブリン相互作用剤、例えばパクリタキセル、ドセタキセル、Abraxane、エポチロン、
8)キネシン紡錘体タンパク質阻害剤、
9)紡錘体チェックポイント阻害剤、
10)ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、例えばオラパリブ、MK-4827およびベリパリブ、
11)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤、
12)プロテアーゼ阻害剤、例えばカテプシンDおよびカテプシンK阻害剤、
13)プロテオソームまたはユビキチン化阻害剤、例えばボルテゾミブ、
14)野生型p53活性を回復させる突然変異体p53の活性化因子、
15)アデノビラル-p53、
16)Bcl-2阻害剤、例えばABT-263、
17)ヒートショックプロテイン(HSP)調整物質、例えばゲルダナマイシンおよび17-AAG、
18)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、例えばボリノスタット(SAHA)、
19)性ホルモン調整剤、
a.抗エストロゲン、例えば、タモキシフェン、フルベストラント、
b.選択的エストロゲン受容体調整物質(SERM)、例えばラロキシフェン、
c.抗アンドロゲン、例えばビカルタミド、フルタミド、
d.LHRHアゴニスト、例えばロイプロリド、
e.5α-リダクターゼ阻害剤、例えばフィナステリド、
f.チトクロムP450 C17リアーゼ(CYP450c17、17αCとも呼ばれる)、
g.アロマターゼ阻害剤、例えばレトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン、
20)EGFRキナーゼ阻害剤、例えばゲフチニブ、エルロチニブ、ラプチニブ、
21)デュアルerbB1およびerbB2阻害剤、例えばラパチニブ、
22)マルチターゲット型キナーゼ(セリン/トレオニンおよび/またはチロシンキナーゼ)阻害剤、
a.ABLキナーゼ阻害剤、イマチニブおよびニロチニブ、ダサチニブ、
b.VEGFR-1、VEGFR-2、PDGFR、KDR、FLT、c-Kit、Tie2、Raf、MEKおよびERK阻害剤、例えばスニチニブ、ソラフェニブ、バンデタニブ、パゾパニブ、PLX-4032、アキシチニブ、PTK787、GSK-1120212、
c.Polo様キナーゼ阻害剤、
d.オーロラキナーゼ阻害剤、
e.JAK阻害剤、
f.c-METキナーゼ阻害剤、
g.サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、例えばCDK1およびCDK2阻害剤ジナシクリブSCH727965(Parry et al, Molecular Cancer Therapeutics 9(8):2344-53(2010)参照)およびCDK4/6阻害剤、例えばリボシクリブ、パルボシクリブ、アベマシクリブおよびトリラシクリブ、
h.PI3KおよびmTOR阻害剤、例えばGDC-0941、BEZ-235、BKM-120およびAZD-8055、
i.ラパマイシンおよびその類似体、例えばテムシロリムス、エベロリムスおよびデフォロリムス、
23)ならびに他の抗癌剤(抗腫瘍薬としても知られる)、例えば非限定的に、アラ-C、アドリアマイシン、サイトキサン、カルボプラチン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスフォラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ナベルビン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、テニポシド、シタラビン、ペメトレキセド、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、テニポシド、エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、フルタミド、酢酸メドロキシプロゲステロン、トレミフェン、ゴセレリン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミソール、ドロロキサフィン(Drolloxafine)、ヘキサメチルメラミン、Bexxar、Zevalin、Trisenox、プロフィマー(Profimer)、チオテパ、アルトレタミン、Doxil、Ontak、Depocyt、Aranesp、Neupogen、Neulasta、Kepivance、
24)ファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤、例えばSARASAR(商標)(4-(2-(4-((11R)-3,10-ジブロモ-8-クロロ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-イル-]-1-ピペリジニル]-2-オキソエチル]-ピペリジンカルボキサミド)、チピファルニブ、
25)インターフェロン、例えばIntron A、Peg-Intron、
26)抗erbB1抗体、例えばセツキシマブ、パニツムマブ、
27)抗erbB2抗体、例えばトラスツズマブ、
28)抗CD52抗体、例えばアレムツズマブ、
29)抗CD20抗体、例えばリツキシマブ、
30)抗CD33抗体、例えばゲムツズマブ・オゾガマイシン、
31)抗VEGF抗体、例えばAvastin、
32)TRIALリガンド、例えばレクサツムマブ、マパツムマブ、およびAMG-655、
33)抗CTLA-4抗体、例えばイピリムマブ、
34)CTA1、CEA、CD5、CD19、CD22、CD30、CD44、CD44V6、CD55、CD56、EpCAM、FAP、MHCII、HGF、IL-6、MUC1、PSMA、TAL6、TAG-72、TRAILR、VEGFR、IGF-2、FGFに対する抗体、
35)抗IGF-1R抗体、例えばダロツズマブ(MK-0646)およびロバツムマブ(SCH717454)、
が挙げられる。
【0302】
「エストロゲン受容体調整物質」は、メカニズムに関係なく、受容体へのエストロゲン結合と相互作用する、またはそれを阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体調整物質の例としては、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4-[7-(2,2-ジメチル-1-オキソプロポキシ-4-メチル-2-[4-[2-(1-ピペリジニル)エトキシ]フェニル]-2H-1-ベンゾピラン-3-イル]-フェニル-2,2-ジメチルプロパノアート、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニル-ヒドラゾンおよびSH646が挙げられるが、これらに限定されない。
【0303】
「アンドロゲン受容体調整物質」は、メカニズムに関係なく、受容体へのアンドロゲン結合と相互作用する、またはそれを阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体調整物質の例としては、フィナステリドおよびその他の5α-レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよび酢酸アビラテロンが挙げられる。
【0304】
「レチノイド受容体調整物質」は、メカニズムに関係なく、受容体へのレチノイド結合と相互作用する、またはそれを阻害する化合物を指す。そのようなレチノイド状態調整物質の例としては、ベキサロテン、トレチノイン、13-シス-レチノイン酸、9-シス-レチノイン酸、α-ジフルオロメチルオルニチン、ILX23-7553、トランス-N-(4’-ヒドロキシフェニル)レチンアミドおよびN-4-カルボキシフェニルレチンアミドが挙げられる。
【0305】
「細胞傷害/細胞分裂阻害剤」は、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素活性化化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤、増殖因子およびサイトカインシグナル伝達経路に関与するキナーゼの阻害剤、代謝拮抗薬、生物応答調節剤、ホルモン/抗ホルモン治療薬、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療薬、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、およびオーロラキナーゼ阻害剤をはじめとする、主として細胞の機能化を直接妨害すること、または細胞有糸分裂を阻害もしくは妨害することにより、細胞死を誘発する、または細胞増殖を阻害する化合物を指す。
【0306】
細胞傷害性/細胞分裂阻害剤の例としては、白金配位化合物、セルテネフ、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロフォスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシフォスファミド、シス-アミンジクロロ(2-メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、四塩化(トランス,トランス,トランス)ビス-ミュー-(ヘキサン-1,6-ジアミン)-ミュー-[ジアミン白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]、ジアリジジニルスペルミン、三酸化ヒ素、1-(11-ドデシルアミノ-10-ヒドロキシウンデシル)-3,7-ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’-デアミノ-3’-モルホリノ-13-デオキソ-10-ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、4-デメトキシ-3-デアミノ-3-アジリジニル-4-メチルスルホニル-ダウノルビシン(WO00/50032参照)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0307】
低酸素活性化化合物の例は、チラパザミンである。
【0308】
プロテオソーム阻害剤の例としては、ラクタシスチンおよびMLN-341(Velcade)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0309】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の例としては、一般にタキサン系が挙げられる。具体的化合物としては、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、硫酸ビンデシン、3’,4’-ジデヒドロ-4’-デオキシ-8’-ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール(Taxotere(登録商標))、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ-N-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、無水ビンブラスチン、N,N-ジメチル-L-バリル-L-バリル-N-メチル-L-バリル-L-プロリル-L-プロリン-t-ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば、米国特許第6,284,781号および同第6,288,237号参照)およびBMS188797が挙げられる。
【0310】
トポイソメラーゼ阻害剤の幾つかの例は、トポテカン、ヒカプタミン、イリノテカン、ルビテカン、6-エトキシプロピオニル-3’,4’-O-エキソベンジリデン-カルトロイシン、9-メトキシ-N,N-ジメチル-5-ニトロピラゾロ[3,4,5-kl]アクリジン-2-(6H)プロパンアミン、1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]-インドリジノ[1,2b]キノリン-10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン、7-[2-(N-イソプロピルアミノ)エチル]-(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’-ジメチルアミノ-2’-デオキシエトポシド、GL331、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-9-ヒドロキシ-5,6-ジメチル-6H-ピリド[4,3-b]カルバゾール-1-カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)-9-[2-[N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-N-メチルアミノ]エチル]-5-[4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル]-5,5a,6,8,8a,9-ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3-d)-1,3-ジオキソール-6-オン、2,3-(メチレンジオキシ)-5-メチル-7-ヒドロキシ-8-メトキシベンゾ[c]-フェナントリジニウム、6,9-ビス[(2-アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン-5,10-ジオン、5-(3-アミノプロピルアミノ)-7,10-ジヒドロキシ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-6H-ピラゾロ[4,5,1-de]アクリジン-6-オン、N-[1-[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]-7-メトキシ-9-オキソ-9H-チオキサンテン-4-イルメチル]ホルムアミド、N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン-4-カルボキサミド、6-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]-3-ヒドロキシ-7H-インデノ[2,1-c]キノリン-7-オンおよびジメスナである。
【0311】
有糸分裂キネシンの阻害剤、詳細にはヒト有糸分裂キネシンKSPの阻害剤の例は、公告WO03/039460、WO03/050064、WO03/050122、WO03/049527、WO03/049679、WO03/049678、WO04/039774、WO03/079973、WO03/099211、WO03/105855、WO03/106417、WO04/037171、WO04/058148、WO04/058700、WO04/126699、WO05/018638、WO05/019206、WO05/019205、WO05/018547、WO05/017190、US2005/0176776に記載される。一実施形態において、有糸分裂キネシンの阻害剤としては、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP-Eの阻害剤、MCAKの阻害剤、およびRab6-KIFLの阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0312】
「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」の例としては、SAHA、TSA、オキサムフラチン、PXD101、MG98およびスクリプタイドが挙げられるが、これらに限定されない。他のヒストンデアセチラーゼ阻害剤のさらなる参照は、以下の原稿に見出され得る: Miller, T.A. et al. J. Med. Chem. 46(24):5097-5116 (2003)。
【0313】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤」としては、オーロラキナーゼの阻害剤、Polo様キナーゼ(PLK)の阻害剤、詳細にはPLK-1の阻害剤、bub-1の阻害剤およびbub-R1の阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。「オーロラキナーゼ阻害剤」の例は、VX-680である。
【0314】
「抗増殖剤」としては、アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001など、ならびに代謝拮抗薬、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビン・オクホスファート、ホステアビンナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’-デオキシ-2’-メチリデンシチジン、2’-フルオロメチレン-2’-デオキシシチジン、N-[5-(2,3-ジヒドロベンゾフリル)スルホニル]-N’-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、N6-[4-デオキシ-4-[N2-[2(E),4(E)-テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]-L-グリセロ-B-L-マンノヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシジン、トロキサシタビン、4-[2-アミノ-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-3H-ピリミジノ[5,4-b][1,4]-チアジン-6-イル-(S)-エチル]-2,5-チエノイル-L-グルタミン酸、アミノプテリン、5-フルオロウラシル、アラノシン、11-アセチル-8-(カルバモイルオキシメチル)-4-ホルミル-6-メトキシ-14-オキサ-1,11-ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)-テトラデカ-2,4,6-トリエン-9-イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’-シアノ-2’-デオキシ-N4-パルミトイル-1-B-D-アラビノフラノシルシトシン、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンおよびトラスツズマブが挙げられる。
【0315】
モノクローナル抗体を標的とする治療薬の例としては、癌細胞に特異的な、または標的細胞に特異的なモノクローナル抗体に結合された細胞傷害剤または放射性同位体を有するそれらの治療薬が挙げられる。例としては、Bexxarが挙げられる。
【0316】
「プレニルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤」は、ファルネシルプロテイントランスフェラーゼ(FPTase)、ゲラニルゲラニルプロテイントランスフェラーゼI型(GGPTase-I)、およびゲラニルゲラニルプロテイントランスフェラーゼII型(GGPTase-II;Rab GGPTaseとも呼ばれる)をはじめとするプレニルプロテイントランスフェラーゼ酵素の任意の1つ、または任意の組み合わせを阻害する化合物を指す。
【0317】
プレニルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤の例は、以下の公告および特許に見出され得る:WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、米国特許第5,420,245号、同第5,523,430号、同第5,532,359号、同第5,510,510号、同第5,589,485号、同第5,602,098号、欧州特許公開第0618221号、同第0675112号、同第0604181号、同第0696593、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、米国特許第5,661,152号、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、米国特許第5,571,792号、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436、および米国特許第5,532,359号。血管新生におけるプレニルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤の役割の例については、European J. of Cancer, Vol. 35, No. 9, pp.1394-1401(1999)を参照されたい。
【0318】
「血管新生阻害剤」は、メカニズムにかかわらず、新たな血管の形成を阻害する化合物を指す。血管新生阻害剤の例としては、チロシンキナーゼ阻害剤、例えばチロシンキナーゼ受容体Flt-1(VEGFR1)およびFlk-1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、上皮由来、線維芽細胞由来、または血小板由来の成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断薬、インターフェロン-α、インターロイキン-12、ペントサン多硫酸塩、アスピリンおよびイブプロフェンのような非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、ならびにセレコキシブおよびロフェコキシブのような選択的シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤をはじめとするシクロオキシゲナーゼ阻害剤、(PNAS, Vol. 89, p. 7384 (1992);JNCI, Vol. 69, p. 475 (1982);Arch. Opthalmol., Vol. 108, p.573 (1990);Anat. Rec., Vol. 238, p. 68 (1994);FEBS Letters, Vol. 372, p. 83 (1995);Clin, Orthop. Vol. 313, p. 76 (1995);J. Mol. Endocrinol., Vol. 16, p.107 (1996);Jpn. J. Pharmacol., Vol. 75, p. 105 (1997);Cancer Res., Vol. 57, p. 1625 (1997);Cell, Vol. 93, p. 705 (1998);Intl. J. Mol. Med., Vol. 2, p. 715 (1998);J. Biol. Chem., Vol. 274, p. 9116 (1999))、ステロイド系抗炎症剤(コルチコステロイド、ミネラルコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレド、ベタメタゾンなど)、カルボキサミドトリアゾール、コンブレタスタチンA-4、スクアラミン、6-O-クロロアセチル-カルボニル)-フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン-1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(Fernandez et al., J. Lab. Clin. Med.105: 141-145(1985)参照)、およびVEGFに対する抗体(Nature Biotechnology, Vol. 17, pp.963-968 (October 1999); Kim et al., Nature, 362, 841-844 (1993);WO00/44777;およびWO00/61186参照)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0319】
血管新生阻害剤の他の例としては、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5-メトキシ-4-[2-メチル-3-(3-メチル-2-ブテニル)オキシラニル]-1-オキサスピロ[2,5]オクト-6-イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5-アミノ-1-[[3,5-ジクロロ-4-(4-クロロベンゾイル)フェニル]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド、CM101、スクワラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースホスファート、7,7-(カルボニル-ビス[イミノ-N-メチル-4,2-ピロロカルボニルイミノ[N-メチル-4,2-ピロール]-カルボニルイミノ]-ビス-(1,3-ナフタレンジスルホナート)、および3-[(2,4-ジメチルピロール-5-イル)メチレン]-2-インドリノン(SU5416)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0320】
血管新生を調整または阻害し、本発明の化合物と組み合わせて用いられ得る他の治療剤としては、凝固および線溶系を調整または阻害する薬剤が挙げられる(Clin. Chem. La. Med. 38:679-692 (2000)の評論を参照)。凝固および線溶経路を調整または阻害するそのような薬剤の例としては、ヘパリン(Thromb. Haemost. 80:10-23(1998))、低分子量ヘパリン、およびカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性型のトロンビン活性化線溶抑制因子[TAFIa]の阻害剤としても公知)(Thrombosis Res. 101:329-354(2001)参照)が挙げられるが、これらに限定されない。TAFIa阻害剤は、米国特許出願第60/310,927号(2001年8月8日出願)、および同第60/349,925号(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0321】
「細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤」は、細胞周期チェックポイントシグナルを伝達するプロテインキナーゼを阻害し、それにより癌細胞をDNA損傷剤に感知させる化合物を指す。そのような薬剤は、ATR、ATM、CHK11およびCHK12キナーゼの阻害剤、ならびにcdkおよびcdcキナーゼ阻害剤を包含し、具体的には7-ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(Cyclacel)、およびBMS-387032によって例示される。
【0322】
「受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤」は、RTKを阻害し、それにより発癌性および腫瘍進行に関与するメカニズムを阻害する化合物を指す。そのような薬剤としては、c-Kit、Eph、PDGF、Flt3およびc-Metの阻害剤が挙げられる。さらなる薬剤としては、Bume-Jensen and Hunter, Nature, 411:355-365, 2001により記載されたRTKの阻害剤が挙げられる。
【0323】
「細胞増殖および生存シグナル伝達経路の阻害剤」は、細胞表面受容体の下流のシグナル伝達カスケードを阻害する薬剤を指す。そのような薬剤としては、セリン/トレオニンキナーゼ(非限定的に、Aktの阻害剤、例えばWO02/083064、WO02/083139、WO02/083140、US2004-0116432、WO02/083138、US 2004-0102360、WO03/086404、WO03/086279、WO03/086394、WO03/084473、WO03/086403、WO2004/041162、WO2004/096131、WO2004/096129、WO2004/096135、WO2004/096130、WO2005/100356、WO2005/100344、US2005/029941、US2005/44294、US2005/43361、60/734188、60/652737、60/670469に開示されたものなど)、Rafキナーゼの阻害剤(例えばPLX-4032)、MEKの阻害剤(例えば、Arry-162、RO-4987655およびGSK-1120212)、mTORの阻害剤(例えばAZD-8055、BEZ-235、およびエベロリムス)およびPI3Kの阻害剤(例えば、GDC-0941、BKM-120)が挙げられる。
【0324】
先に使用された「インテグリン遮断薬」は、αvβ3インテグリンへの生理学的リガンドの結合を選択的に拮抗、阻害または妨害する化合物、αvβ5インテグリンへの生理学的リガンドの結合を選択的に拮抗、阻害または妨害する化合物、αvβ3インテグリンおよびαvβ5インテグリンの両方への生理学的リガンドの結合を選択的に拮抗、阻害または妨害する化合物、ならびに毛細管内皮細胞上で発現される特別なインテグリン(複数可)の活性を選択的に拮抗、阻害または妨害する化合物を指す。該用語はまた、αvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1、およびα6β4インテグリンのアンタゴニストを指す。該用語はまた、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1、およびα6β4インテグリンの任意の組み合わせのアンタゴニストを指す。
【0325】
チロシンキナーゼ阻害剤の幾つかの具体的例としては、N-(トリフルオロメチルフェニル)-5-メチルイソオキサゾール-4-カルボキサミド、3-[(2,4-ジメチルピロール-5-イル)メチリデニル]インドリン-2-オン、17-(アリルアミノ)-17-デメトキシゲルダナマイシン、4-(3-クロロ-4-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシ-6-[3-(4-モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)-4-キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12-ヘキサヒドロ-10-(ヒドロキシメチル)-10-ヒドロキシ-9-メチル-9,12-エポキシ-1H-ジインドロ[1,2,3-fg:3’,2’,1’-kl]ピロロ[3,4-i][1,6]ベンゾジアゾシン-1-オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4-(3-クロロフェニルアミノ)-5,6-ジメチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンメタンスルホナート、4-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン、4-(4’-ヒドロキシフェニル)アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N-4-クロロフェニル-4-(4-ピリジルメチル)-1-フタラジンアミン、およびEMD121974が挙げられる。
【0326】
本明細書で請求された抗体または抗原結合断片と、PPAR-γ(即ち、PPAR-ガンマ)アゴニストおよびPPAR-δ(即ち、PPAR-デルタ)アゴニストとの組み合わせは、特定の悪性疾患の処置において有用になり得る。PPAR-γおよびPPAR-δは、核のペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体γおよびδである。内皮細胞上でのPPAR-γの発現、およびその血管新生における関与は、文献に報告されている(J. Cardiovasc. Pharmacol. 1998; 31: 909-913; J. Biol. Chem. 1999; 274: 9116-9121; Invest. Ophthalmol Vis. Sci. 2000; 41: 2309-2317参照)。より近年になり、PPAR-γアゴニストが、VEGFに対する血管新生応答をインビトロで阻害することが示されており;トログリタゾンおよびマレイン酸ロシグリタゾンの両方は、マウスにおいて網膜血管新生の発生を阻害する(Arch. Ophthamol. 2001; 119: 709-717)。PPAR-γアゴニストおよびPPAR-γ/αアゴニストの例としては、Lynparza(登録商標)、Rucaparib(登録商標)、Talazoparib(登録商標)、ニラパリブ、Veliparib(登録商標)、チアゾリジンジオン(DRF2725、CS-011、トログリタゾン、ロシグリタゾン、およびピオグリタゾンなど)、フェノフィブラート、ゲンフィブロジル、クロフィブラート、GW2570、SB219994、AR-H039242、JTT-501、MCC-555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2-[(5,7-ジプロピル-3-トリフルオロメチル-1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル)オキシ]-2-メチルプロピオン酸、および2(R)-7-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)-2-エチルクロマン-2-カルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0327】
本発明の抗体または抗原結合断片はまた、アロマターゼ阻害剤と組み合わせて乳癌を処置または予防するのに有用になり得る。アロマターゼ阻害剤の例としては、アナストロゾール、レトロゾールおよびエキセメスタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0328】
本発明の抗体または抗原結合断片はまた、癌を以下の化学療法薬と組み合わせて癌を処置するのに有用になり得る:アバレリックス(Plenaxis depot(登録商標));アルデスロイキン(Prokine(登録商標));アルデスロイキン(Proleukin(登録商標));アレムツズマブ(Campath(登録商標));アリトレチノイン(Panretin(登録商標));アロプリノール(Zyloprim(登録商標));アルトレタミン(Hexalen(登録商標));アミホスチン(Ethyol(登録商標));アナストロゾール(Arimidex(登録商標));三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標));アスパラギナーゼ(Elspar(登録商標));アザシチジン(Vidaza(登録商標));ベンダムスチン塩酸塩(Treanda(登録商標));ベバシズマブ(Avastin(登録商標));ベキサロテン・カプセル(Targretin(登録商標));ベキサロテン・ゲル(Targretin(登録商標));ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標));ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));ブレフェルジンA;ブスルファン静注用(Busulfex(登録商標));ブスルファン経口用(Myleran(登録商標));カルステロン(Methosarb(登録商標));カペシタビン(Xeloda(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(Gliadel(登録商標));インプラント型ポリフェプロサン20カルムスチン(Gliadel Wafer(登録商標));セレコキシブ(Celebrex(登録商標));セツキシマブ(Erbitux(登録商標));クロラムブシル(Leukeran(登録商標));シスプラチン(Platinol(登録商標));クラドリビン(Leustatin(登録商標)、2-CdA(登録商標));クロファラビン(Clolar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Injection(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Tablet(登録商標));シタラビン(Cytosar-U(登録商標));リポソーム化シタラビン(DepoCyt(登録商標));ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(Cosmegen(登録商標));ダルテパリンナトリウム注射(Fragmin(登録商標));ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標));ダルベポエチンアルファ(Aranesp(登録商標));ダサチニブ(Sprycel(登録商標));リポソーム化ダウノルビシン(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Daunorubicin(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Cerbidine(登録商標));デガレリクス(Firmagon(登録商標));デニロイキン・ディフィトックス(Ontak(登録商標));デクスラゾキサン(Zinecard(登録商標));塩酸デクスラゾキサン(Totect(登録商標));ジデムニンB;17-DMAG;ドセタキセル(Taxotere(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin PFS(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS注射薬(Adriamycin PFS Injection)(登録商標));リポソーム化ドキソルビシン(Doxil(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(Dromostanolone(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(Masterone Injection(登録商標));エクリズマブ注射(Soliris(登録商標))エリオットのB溶液(Elliott’s B Solution(登録商標));エルトロンボパグ(Promacta(登録商標));エピルビシン(Ellence(登録商標));エポエチンアルファ(epogen(登録商標));エルロチニブ(Tarceva(登録商標));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));エチニルエストラジオール;エトポシドリン酸塩(Etopophos(登録商標));エトポシド、VP-16(Vepesid(登録商標));エベロリムス錠剤(Afinitor(登録商標));エキセメスタン(Aromasin(登録商標));フェルモキシトール(Feraheme Injection(登録商標));フィルグラスチム(Neupogen(登録商標));フロクスウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(Fludara(登録商標));フルオロウラシル、5-FU(Adrucil(登録商標));フルベストラント(Faslodex(登録商標));ゲフィチニブ(Iressa(登録商標));ゲルダナマイシン;ゲムシタビン(Gemzar(登録商標));ゲムツズマブ・オゾガマイシン(Mylotarg(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(Zoladex Implant(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(Zoladex(登録商標));ヒストレリン酢酸塩(Histrelin implant(登録商標));ヒドロキシウレア(Hydrea(登録商標));イブリツモマブ・チウキセタン(Zevalin(登録商標));イダルビシン(Idamycin(登録商標));イホスファミド(IFEX(登録商標));イマチニブメシル酸塩(Gleevec(登録商標));インターフェロンアルファ2a(Roferon A(登録商標));インターフェロンアルファ-2b(Intron A(登録商標));イオベングアンI 123注射(AdreView(登録商標));イリノテカン(Camptosar(登録商標));イキサベピロン(Ixempra(登録商標));ラパチニブ錠剤(Tykerb(登録商標));レナリドマイド(Revlimid(登録商標));レトロゾール(Femara(登録商標));ロイコボリン(Wellcovorin(登録商標)、Leucovorin(登録商標));酢酸ロイプロリド(Eligard(登録商標));レバミソール(Ergamisol(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン、ナイトロジェンマスタード(Mustargen(登録商標));酢酸メゲストロール(Megace(登録商標));メルファラン、L-PAM(Alkeran(登録商標));メルカプトプリン、6-MP(Purinethol(登録商標));メスナ(Mesnex(登録商標));メスナ(Mesnex tabs(登録商標));メトトレキサート(Methotrexate(登録商標));メトキサレン(Uvadex(登録商標));8-メトキシプソラレン;マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ミトタン(Lysodren(登録商標));ミトキサントロン(Novantrone(登録商標));ミトラマイシン;フェンプロピオン酸ナンドロロン(Durabolin-50(登録商標));ネララビン(Arranon(登録商標));ニロチニブ(Tasigna(登録商標));ノフェツモマブ(Verluma(登録商標));オファツムマブ(Arzerra(登録商標));オプレルベキン(Neumega(登録商標));オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));パクリタキセル(Paxene(登録商標));パクリタキセル(Taxol(登録商標));パクリタキセル・タンパク質結合粒子(Abraxane(登録商標));パリフェルミン(Kepivance(登録商標));パミドロネート(Aredia(登録商標));パニツムマブ(Vectibix(登録商標));パゾパニブ錠剤(Votrienttm(登録商標));ペグアデマーゼ(Adagen(ウシ・ペグアデマーゼ)(登録商標));ペグアスパラガーゼ(Oncaspar(登録商標));ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));ペメトレキセド二ナトリウム(Alimta(登録商標));ペントスタチン(Nipent(登録商標));ピポブロマン(Vercyte(登録商標));プレリキサフォル(Mozobil(登録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(Mithracin(登録商標));ポルフィマー・ナトリウム(Photofrin(登録商標));プララトレキサート注射(Folotyn(登録商標));プロカルバジン(Matulane(登録商標));キナクリン(Atabrine(登録商標));ラパマイシン;ラスブリカーゼ(Elitek(登録商標));ラロキシフェン塩酸塩(Evista(登録商標));リツキシマブ(Rituxan(登録商標));ロミデプシン(Istodax(登録商標));ロミプロスチム(Nplate(登録商標));サルグラモスチン(Leukine(登録商標));サルグラモスチン(Prokine(登録商標));ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));スニチニブ・マレイン酸塩(Sutent(登録商標));タルク(Sclerosol(登録商標));タモキシフェン(Nolvadex(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標));テムシロリムス(Torisel(登録商標));テニポシド、VM-26(Vumon(登録商標));テストラクトン(Teslac(登録商標));チオグアニン、6-TG(Thioguanine(登録商標));チオプリン;チオテパ(Thioplex(登録商標));トポテカン(Hycamtin(登録商標));トレミフェン(Fareston(登録商標));トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トシツモマブ/I-131 トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トランス型レチノイン酸;トラツズマブ(Herceptin(登録商標));トレチノイン、ATRA(Vesanoid(登録商標));トリエチレンメラミン;ウラシルマスタード(Uracil Mustard Capsules(登録商標));バルルビシン(Valstar(登録商標));ビンブラスチン(Velban(登録商標));ビンクリスチン(Oncovin(登録商標));ビノレルビン(Navelbine(登録商標));ボリノスタット(Zolinza(登録商標));ウォルトマンニン;およびゾレドロネート(Zometa(登録商標))。
【0329】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、非限定的に、カソピタント(GlaxoSmithKline)、ネツピタント(MGI-Helsinn)および他のNK-1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン(AloxiとしてMGI Pharmaによって販売)、アプレピタント(EmendとしてMerck and Co.;Rahway,NJによって販売)、ジフェンヒドラミン(Benadryl(登録商標)としてPfizer;New York,NYによって販売)、ヒドロキシジン(Atarax(登録商標)としてPfizer;New York,NYによって販売)、メトクロプラミド(Reglan(登録商標)としてAH Robins Co,;Richmond,VAによって販売)、ロラゼパム(Ativan(登録商標)としてWyeth;Madison,NJによって販売)、アルプラゾラム(Xanax(登録商標)としてPfizer;New York,NYによって販売)、ハロペリドール(Haldol(登録商標)としてOrtho-McNeil;Raritan,NJによって販売)、ドロペリドール(Inapsine(登録商標))、ドロナビノール(Marinol(登録商標)としてSolvay Pharmaceuticals,Inc.;Marietta,GAによって販売)、デキサメタゾン(Decadron(登録商標)としてMerck and Co.;Rahway,NJによって販売)、メチルプレドニゾロン(Medrol(登録商標)としてPfizer;New York,NYによって販売)、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標)としてGlaxosmithkline;Research Triangle Park,NCによって販売)、グラニセトロン(Kytril(登録商標)としてHoffmann-La Roche Inc.;Nutley,NJによって販売)、オンダンセトロン(Zofran(登録商標)としてGlaxosmithkline;Research Triangle Park,NCによって販売)、ドラセトロン(Anzemet(登録商標)としてSanofi-Aventis;New York,NYによって販売)、トロピセトロン(Navoban(登録商標)としてNovartis;East Hanover,NJによって販売)をはじめとする1種または複数の制吐剤と連携される。
【0330】
癌処置の他の副作用としては、赤血球および白血球細胞の欠損が挙げられる。したがって本発明の一実施形態において、抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、例えばフィルグラスム、ペグフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンアルファまたはダルベポエチンアルファなど、そのような欠損を処置または予防する薬剤と連携される。
【0331】
本発明の一実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、抗癌放射線療法と連携して投与される。例えば本発明の一実施形態において、該放射線療法は、体外照射療法(EBT)という高エネルギーX線の光線を腫瘍の場所に送達するための方法である。該光線は、患者の体外で発生し(例えば、線形加速器による)、腫瘍部位を標的とする。これらのX線は、癌細胞を破壊することができ、注意深い処置計画により、周辺の正常な組織の破壊を免れることができる。放射線源は、患者の体内に配置されない。本発明の一実施形態において、該放射線療法は、陽子線療法という、X線の代わりに陽子を疾患組織に浴びせる原体照射のタイプである。本発明の一実施形態において、該放射線療法は、原体体外照射療法(conformal external beam radiation therapy)という、放射線療法を個々の身体構造向けにあつらえる先進の技術を利用した手順である。本発明の一実施形態において、該放射線療法は、近接照射療法という、通常はあるエリアに過剰線量または多量の放射線を与えるために用いられる、体内での放射線材料の一時的配置である。
【0332】
本発明の一実施形態において、外科的腫瘍摘出である外科的手順が、抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片に連携して施される。
【0333】
実験的および診断的使用
本明細書に開示された抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片は、アフィニティー精製剤として用いられてもよい。この工程では、該抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片は、当該技術分野で周知の方法を利用して、Sephadex、ガラスまたはアガロース樹脂または濾紙などの固相に固定される。固定された抗体または断片を、精製される該SIRPαタンパク質を含有する試料と接触され、その後、担体を適切な溶媒で洗浄して、固定された抗体または断片に結合されたSIRPαタンパク質以外の試料中の材料の実質的に全てを除去する。最後に、該担体は、結合されたSIRPα(例えば、プロテインA)を溶出する溶媒で洗浄される。そのような固定された抗体および断片は、本発明の一部を形成する。
【0334】
さらに提供されるのは、例えば、ウェスタンブロットおよび本明細書で議論される他のイムノアッセイを実施するために、有用である二次抗体を作製するための抗原である。
【0335】
抗SIRPα抗体(例えば、ヒト化抗体)およびその抗原結合断片は、SIRPαタンパク質のための診断アッセイ、例えば特異的細胞、組織または血清、例えば単球、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球および樹状細胞などの骨髄細胞における発現の検出にも有用になり得る。そのような診断法は、様々な疾患診断において有用になり得る。
【0336】
本発明は、本明細書に開示された抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片の使用を組み入れたELISAアッセイ(酵素免疫測定法)を包含する。
【0337】
例えば、そのような方法は、以下のステップを含む:
(a)基板(例えば、マイクロタイタープレートのウェル、例えばプラスチックプレート、の表面)を抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片でコーティングするステップ;
(b)SIRPαの存在についてテストされる試料を該基板に塗布するステップ;
(c)プレートを洗浄して、該試料中の未結合材料を除去するステップ;
(d)同じく該SIRPα抗原に特異的な、検出可能に標識された抗体(例えば、酵素に結合する抗体)を塗布するステップ;
(e)該基板を洗浄して、該未結合の標識抗体を除去するステップ;
(f)該標識抗体が、酵素に結合されたら、化学薬品を塗布して、それを酵素により蛍光シグナルに変換するステップ;ならびに
(g)該標識抗体の存在を検出するステップ。
【0338】
基板と会合した標識の検出は、該SIRPαタンパク質存在を示す。
【0339】
さらなる実施形態において、該標識抗体またはその抗原結合断片をペルオキシダーゼで標識し、ABTS(例えば、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸))または3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンと反応させて、検出可能な色の変化を生成する。あるいは該標識抗体または断片を、検出可能な放射性同位体(例えば、3H)で標識すると、シンチラントの存在下でシンチレーションカウンターにより検出可能である。
【0340】
本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、ウェスタンブロットまたは免疫-タンパク質ブロット手順で用いられてもよい。そのような手順は、本発明の一部を形成し、例えば、
(1)場合により、当該技術分野で知られる方法(例えば、セミドライブロッティングまたはタンクブロッティング)を利用して、SIRPαの存在についてテストされる試料からの(例えば、試料中のタンパク質のPAGEまたはSDS-PAGE電気泳動分離からの)タンパク質を、膜または他の固体担体に移動させ;結合されたSIRPαまたはその断片の存在についてテストされる膜または他の固体基板を、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片と接触させること、
(2)該膜を1回または複数回洗浄して、未結合の抗SIRPα抗体または断片および他の未結合の物質を除去すること、ならびに
(3)結合された抗SIRPα抗体または断片を検出すること、
を含む。
【0341】
そのような膜は、非変性PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)ゲルまたはSDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)ゲル中のSIRPαの存在についてテストされるたんぱく質が移動された(例えば、ゲル中の電気泳動分離の後に)ニトロセルロースまたはビニルを基にした(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF))膜の形態であってもよい。該膜を抗SIRPα抗体または断片と接触させる前に、例えば膜上の非特異的タンパク質結合部位に結合する脱脂粉乳などにより、該膜が場合により遮断される。
【0342】
該結合抗体または断片の検出は、該SIRPαタンパク質が膜または基板上および試料中に存在することを示す。該結合抗体または断片の検出は、該抗体または断片を検出可能に標識された二次抗体(抗免疫グロブリン抗体)と結合させ、その後、該二次抗体の存在を検出することによってもよい。
【0343】
本明細書で開示された抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片は、免疫組織化学的測定に用いられてもよい。そのような方法は、本発明の一部を形成し、例えば
(1)SIRPαタンパク質の存在についてテストされる細胞(例えば、単球、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球および樹状細胞などの骨髄細胞を含有する試料)を本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片と接触させること、および
(2)該細胞上または該細胞中の該抗体または断片を検出すること、
を含む。
【0344】
該抗体またはその断片が、検出可能に標識されていれば、それは、直接検出することができる。あるいは、該抗体または断片は、検出される検出可能に標識された二次抗体により結合されてもよい。
【0345】
本明細書で開示された特定の抗SIRPα抗体およびその抗原結合断片は、インビボ腫瘍造影に用いられてもよい。そのような方法は、放射線標識された抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片を、SIRPα発現に関連する(例えば、SIRPαを、例えば腫瘍細胞表面で、発現する)腫瘍の存在についてテストされる患者の体内に注射し、その後、患者の身体の核造影を行い、例えば腫瘍に結合する該抗体または断片を高濃度で含む場所の、該標識抗体または断片の存在を検出することを含んでいてもよい。その場所の検出は、SIRPα+腫瘍および腫瘍細胞の存在を示す。
【0346】
造影技術としては、SPECT造影(単一光子放射断層撮影)またはPET造影(陽電子放出断層撮影)が挙げられる。標識としては、例えばSPECT造影と合わせた、例えばヨウ素-123(123I)およびテクネチウム-99m(99mTc)、または例えばPET造影もしくはインジウム-111と合わせた11C、13N、15Oもしくは18Fが挙げられる(例えば、Gordon et al., (2005) International Rev. Neurobiol. 67:385-440参照)。
【0347】
医薬組成物および投与
本発明の抗SIRPα抗体および抗原結合断片の医薬または滅菌組成物を調製するために、該抗体またはその抗原結合断片が、医薬的に許容できる担体または賦形剤と混和される。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences and U.S. Pharmacopeia:National Formulary, Mack Publishing Company, Easton, PA (1984)を参照されたい。
【0348】
治療および診断薬の配合物は、許容できる担体、賦形剤、または安定化剤を例えば凍結乾燥粉末、スラリー、水性溶液または懸濁液の形態で混合することにより調製されてもよい(例えば、Hardman, et al. (2001) Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, McGraw-Hill, New York, NY; Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott, Williams, and Wilkins, New York, NY; Avis, et al. (eds.) (1993) Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Marcel Dekker, NY; Lieberman, et al. (eds.) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Marcel Dekker, NY; Lieberman, et al. (eds.) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, Marcel Dekker, NY; Weiner and Kotkoskie (2000) Excipient Toxicity and Safety, Marcel Dekker, Inc., New York, NY参照)。
【0349】
単独で、または別の治療薬と組み合わせて投与される本発明の抗体の毒性および治療有効性は、例えばLD50(集団の50%が致死的になる用量)およびED50(集団の50%が治療有効性になる用量)を計測するために、細胞培養物または実験動物において標準的医薬手順により決定され得る。毒性作用と治療効果の間の用量比が、治療指数(LD50/ED50)である。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒトにおける使用のための投与量の範囲を配合するために用いられてもよい。そのような化合物の投与量は、好ましくはED50を含む循環濃度の範囲内に含まれ、ほとんどまたは全く毒性を有さない。該投与量は、用いられる投与剤形および投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。
【0350】
さらなる実施形態において、さらなる治療薬が、Physicians’ Desk Reference 2003 (Thomson Healthcare; 57th edition (November 1, 2002))に従って、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片と連携して対象に投与される。
【0351】
投与様式は、様々であり得る。投与経路としては、経口、直腸、経粘膜、腸内、非経口、筋肉内、皮下、皮内、髄内、髄腔内、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻内、眼内、吸入、吹送法、外用、皮膚、経皮、または動脈内が挙げられる。
【0352】
特別な実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、注射などの侵襲経路により投与され得る。本発明のさらなる実施形態において、抗SIRPα抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの医薬組成物が、静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、腫瘍内に、または吸入、エアロゾル送達により投与される。非侵襲経路(例えば、経口、例えば丸薬、カプセルまたは錠剤中で)による投与もまた、本発明の範囲内である。
【0353】
本発明は、本発明の抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの医薬組成物のいずれかを含む容器(例えば、プラスチックもしくはガラスバイアル、例えばキャップ付き、またはクロマトグラフィーカラム、中空の針もしくは円筒シリンジを含む)を提供する。本発明はまた、本発明の抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの医薬組成物のいずれかを含む注射デバイスを提供する。注射デバイスは、非経口経路を介して、例えば筋肉内、皮下、または静脈内経路で、患者の体内に物質を導入するデバイスである。例えば注射デバイスは、例えば注射される流体(例えば、抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの医薬組成物)を保持するための注射筒またはバレルと、該流体の注射のための皮膚および/または血管を穿刺する針と、注射筒から針の穴を通して流体を押し出すためのプランジャーと、を含む、シリンジ(例えば、オートインジェクターなどの医薬組成物が予め充填された)であってもよい。本発明の一実施形態において、本発明の抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの医薬組成物を含む注射デバイスは、静脈内(IV)注射デバイスである。そのようなデバイスは、管に付着され得るカニューレまたは外套針/針の中に該抗体もしくは断片、またはそれらの医薬組成物を含み、該管が、該カニューレまたは外套針/針を通して患者の体内に導入される流体(例えば、生理食塩水、またはNaCl、乳酸ナトリウム、KCl、CaCl2を含み、場合によりグルコースを含む乳酸化リンゲル液)を保持するためのバッグまたはリザーバーに付着され得る。該抗体もしくは断片、またはそれらの医薬組成物は、本発明の一実施形態において、該外套針およびカニューレが対象の静脈に挿入されると、該デバイスに導入されて、該外套針が挿入されたカニューレから除去されてもよい。該IVデバイスは、例えば末梢静脈内に(例えば、手または腕の中の);上大静脈もしくは下大静脈、または右心房内に(例えば、中心静脈内);または鎖骨下、内頸静脈、もしくは大腿静脈の中に挿入されて、上大静脈または右心房(例えば、中心静脈線)に達するまで心臓に向かって進めてもよい。本発明の一実施形態において、注射デバイスは、オートインジェクター、ジェットインジェクターまたは体外輸液ポンプである。ジェットインジェクターは、液体の高圧狭小噴射(high-pressure narrow jet)を利用し、表皮を透過して該抗体もしくは断片、またはそれらの医薬組成物を患者の身体に導入する。体外輸液ポンプは、該抗体もしくは断片、またはそれらの医薬組成物を患者の身体に制御された量で送達する医療デバイスである。体外輸液ポンプは、電気的または機械的な作動してもよい。異なるポンプは、異なる方法で動作し、例えばシリンジポンプが、シリンジのリザーバーに流体を保持し、移動可能なピストンが、流体送達を制御し、エラストマーポンプが、伸縮性バルーンリザーバーに流体を保持し、バルーンの弾性壁からの圧力が、流体送達を駆動する。蠕動ポンプでは、一組のローラーが、可撓性管構造の長さに沿って締め付けて、流体を前方に押し出す。マルチチャンネルポンプでは、流体が、複数のリザーバーから複数の速度で送達され得る。
【0354】
本明細書に開示された医薬組成物はまた、米国特許第6,620,135号;同第6,096,002号;同第5,399,163号;同第5,383,851号;同第5,312,335号;同第5,064,413号;同第4,941,880号;同第4,790,824号または同第4,596,556号に開示されたデバイスなどの無針式皮下注射デバイスで投与されてもよい。該医薬組成物を含むそのような無針式デバイスもまた、本発明の一部である。本明細書に開示された医薬組成物はまた、輸液により投与されてもよい。該医薬組成物を投与するための周知インプラントおよびモジュールの例としては、薬剤を制御された速度で分配するための埋込み式マイクロインヒュージョンポンプを開示する米国特許第4,487,603号;薬剤を精密な輸液速度で送達するための薬剤輸液ポンプを開示する米国特許第4,447,233号;連続薬物送達のための可変流量の埋込み式輸液装置を開示する米国特許第4,447,224号;マルチチャンバーコンパートメントを有する浸透圧薬物送達システムを開示する4,439,196号に開示されたものが挙げられる。多くの他のそのようなインプラント、送達システム、およびモジュールは、当業者に周知であり、本発明の医薬組成物を含むものは、本発明の範囲内である。
【0355】
あるいは、本発明の抗SIRPα抗体または抗原結合断片を、例えば該抗体または断片を腫瘍に直接注射することにより、全身的手法ではなくむしろ局所に投与してもよい。さらに、標的化された薬物送達システム中で、例えば組織特異性抗体でコーティングされていて、例えば腫瘍を標的とする、リポソーム中で、該抗体または断片を投与してもよい。該リポソームは、選択的に罹患した組織を標的とし、かつそこに取り込まれるであろう。そのような方法およびリポソームは、本発明の一部である。
【0356】
投与レジメンは、該治療抗体または抗原結合断片の血清または組織ターンオーバー速度、症状のレベル、該治療抗体の免疫原性、および生体マトリック中の標的組織のアクセシビリティをはじめとする複数の因子に依存する。好ましくは投与レジメンは、標的疾患状態の改善を実行するのに充分な治療抗体または断片を送達し同時に望ましくない副作用を最小限に抑える。したがって、送達される生物学的薬剤の量は、個々の治療抗体および処置される病気の重症度に部分的に依存する。治療抗体または断片の適当な用量を選択する上でのガイドラインは、入手可能である(例えば、Wawrzynczak (1996) Antibody Therapy, Bios Scientific Pub. Ltd, Oxfordshire, UK; Kresina (ed.) (1991) Monoclonal Antibodies, Cytokines and Arthritis, Marcel Dekker, New York, NY;Bach (ed.)(1993) Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases, Marcel Dekker, New York, NY;Baert, et al. (2003) New Engl. J. Med. 348:601-608; Milgrom et al. (1999) New Engl. J. Med. 341:1966-1973; Slamon et al. (2001) New Engl. J. Med. 344:783-792;Beniaminovitz et al. (2000) New Engl. J. Med. 342:613-619;Ghosh et al. (2003) New Engl. J. Med. 348:24-32; Lipsky et al. (2000) New Engl. J. Med. 343:1594-1602参照)。
【0357】
該適当な用量の決定は、例えば処置に影響を及ぼすことが当該技術分野で知られる、または考えられるパラメータまたは因子を利用して、医師により行われる。一般に用量は、最適用量よりも若干少ない量で開始して、それ以後、任意の負の副作用に比べて所望の、または最適な作用が実現されるまで、少量ずつ増加される。重要な診断尺度としては、例えば炎症の、症状の尺度、または生じた炎症性サイトカインのレベルが挙げられる。一般に、用いられる生物学的薬剤が処置の標的となる動物と同じ種に由来し、それにより試薬への免疫応答を最小限に抑えることが、望ましい。ヒト対象の場合、ヒト化抗体および完全にヒトの抗体が、望ましくなり得る。
【0358】
本明細書に開示された抗体またはその抗原結合断片は、連続輸液により、または投与された用量により、例えば1日1回、週1~7回、週1回、週2回、月1回、月2回、年4回、半年ごと、年1回など、で提供されてもよい。用量は、例えば静脈内、皮下に、外用で、経口、鼻内、直腸、筋肉内、脳内、脊髄内に、または吸入により、提供されてもよい。週あたりの総用量は、一般に少なくとも0.05μg/kg体重、より一般には少なくとも0.2μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、10μg/kg、100μg/kg、0.25mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、5.0mg/kg、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kg、またはより多い(例えば、Yang, et al. (2003) New Engl. J. Med. 349:427-434; Herold, et al. (2002) New Engl. J. Med. 346:1692-1698; Liu, et al. (1999) J. Neurol. Neurosurg. Psych. 67: 451-456; Portielji, et al. (20003) Cancer Immunol. Immunother. 52: 151-144参照)。用量は、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300μg/mLまたはより多いなど、対象の血清中の抗SIRPα抗体の所定の標的濃度を実現するように提供されてもよい。他の実施形態において、本発明の抗SIRPα抗体が、10、20、50、80、100、200、500、1000または2500mg/対象で、例えば皮下または静脈内に、週1回、週2回、「4週ごとに」、月1回、月2回、または年4回ベースで投与される。
【0359】
本明細書で用いられる用語「有効量」は、単独で、または追加の治療薬と組み合わせて、細胞、組織もしくは対象に投与された場合に、疾患の1つもしくは複数の症状、例えば癌または癌の進行において、測定可能な改善を誘発するのに効果的である、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片の量を指す。有効用量は、さらに、症状の少なくとも部分的改善、例えば腫瘍の退縮または排除、腫瘍成長の欠如、生存時間の増加をもたらすのに充分な抗体または断片の量を指す。単独で投与された個々の有効成分に適用される場合、有効用量は、単独でのその成分を指す。組み合わせて適用される場合、有効用量は。組み合わせ、連続または同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす有効成分の組み合わせでの量を指す。治療薬の有効量は、少なくとも10%、通常は少なくとも20%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%の、診断尺度またはパラメータの改善をもたらすであろう。有効量はまた、主観的尺度を用いて疾患重症度を評定した場合に主観的尺度の改善をもたらし得る。
【0360】
キット
さらに提供されるのは、非限定的に本明細書で議論される医薬的に許容できる担体および/または治療薬をはじめとする1種または複数の追加の成分と連携して、非限定的に本明細書に議論される抗SIRPα抗体または抗原結合断片をはじめとする1種または複数の成分を含むキットである。該抗体もしくは断片、および/または該治療薬を、純粋な組成物として、または医薬組成物中で医薬的に許容できる担体と組み合わせて、配合し得る。
【0361】
一実施形態において、該キットは、1つのコンテナ(例えば、滅菌ガラスまたはプラスチックバイアル)内の本発明の抗SIRPα抗体もしくはその抗原結合断片、または医薬組成物、ならびに/あるいは別のコンテナ(例えば、滅菌ガラスまたはプラスチックバイアル)内の治療薬およびその医薬組成物を含む。
【0362】
別の実施形態において、該キットは、場合により1つの共通のコンテナ内の医薬組成物中に、場合により一緒に配合された1種または複数の治療薬と組み合わせて、医薬的に許容できる担体と共に本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片を含む、本発明の組み合わせを含む。
【0363】
該キットが、対象への非経口投与用の医薬組成物を含む場合、該キットは、そのような投与を実施するためのデバイスを含み得る。例えば該キットは、先に議論された1種または複数の皮下無針式または他の注射デバイスを含み得る。
【0364】
該キットは、キット内に医薬組成物および投与剤形に関する情報を含む添付文書を含み得る。一般にそのような情報は、封入された医薬組成物および投与剤形を効果的かつ安全に使用することにおいて患者および医師を支援する。例えば、本発明の組み合わせに関する以下の情報が、添付文書内で提供されてもよい:薬物動態性、薬力学的性質、臨床試験、有効性パラメータ、効能および使用法、禁忌、警告、用法注意、有害反応、過量投与、適切な投与量および投与、提供方法、適切な貯蔵条件、参照、製造業者/販売業者の情報および特許情報。
【0365】
該キットはまた、第二の治療薬、例えば、抗CD47抗体、抗APRIL抗体、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ)、抗PDL1抗体、抗TIGIT抗体、抗CTLA4抗体、抗CS1抗体(例えば、エロツズマブ)、抗KIR2DL1/2/3抗体(例えば、リリルマブ)、抗CD137抗体(例えば、ウレルマブ)、抗GITR抗体(例えば、TRX518)、抗PD-L1抗体(例えば、BMS-936559、MSB0010718CまたはMPDL3280A)、抗PD-L2抗体、抗ILT1抗体、抗ILT2抗体、抗ILT3抗体、抗ILT4抗体、抗ILT5抗体、抗ILT6抗体、抗ILT7抗体、抗ILT8抗体、抗CD40抗体、抗OX40抗体、抗ICOS、抗KIR2DL1抗体、抗KIR2DL2/3抗体、抗KIR2DL4抗体、抗KIR2DL5A抗体、抗KIR2DL5B抗体、抗KIR3DL1抗体、抗KIR3DL2抗体、抗KIR3DL3抗体、抗NKG2A抗体、抗NKG2C抗体、抗NKG2E抗体、抗4-1BB抗体(例えば、PF-05082566)、抗TSLP抗体、抗IL-10抗体、IL-10もしくはPEG化IL-10、またはそのようなターゲットの任意の有機小分子阻害剤のうちの1つまたは複数を含むことができ;抗体またはその抗原結合断片は、AMHR2、AXL、BCMA、CA IX、CD4、CD16、CD19、CD20、CD22、CD30、CD37、CD38、CD40、CD52、CD98、CSF1R、GD2、CCR4、CS1、EpCam、EGFR、EGFRvIII、エンドグリン、EPHA2、EphA3、FGFR2b、葉酸受容体アルファ、フコシル-GM1、HER2、HER3、IL1RAP、カッパ骨髄腫抗原、MS4A1、プロラクチン受容体、TA-MUC1、およびPSMAからなる群から選択される抗原;リツキシマブ、ウブリツキシマブ、マルゲツキシマブ、IMGN-529、SCT400、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、ADCT-502、Hul4.18K322A、Hu3F8、ジニツキシマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ-RLI、c.60C3-RLI、Hul4.18-IL2、KM2812、AFM13、および(CD20)2xCD16、エルロチニブ(Tarceva)、ダラツムマブ、アレツズマブ、ペルツズマブ、ブレンツキシマブ、エロツズマブ、イブリツムマブ、イファボツズマブ、ファルレツズマブ、ファルレツズマブ、オトレルツズマブ、カロツキシマブ、エプラツズマブ、イネビリズマブ、ルムレツズマブ、4G7SDIE、AFM21、AFM22、LY-3022855、SNDX-6352、AFM-13、BI-836826、BMS-986012、BVX-20、モガムリズマブ、ChiLob-7/4、ロイコツキシマブ、イサツキシマブ、DS-8895、FPA144、GM102、GSK-2857916、IGN523、IT1208、ADC-1013、CAN-04、XOMA-213、PankoMab-GEX、chKM-4927、IGN003、IGN004、IGN005、MDX-1097、MOR202、MOR-208、オポツズマブ、エンシツキシマブ、ベドチン(Adcetris)、イブリツモマブ・チウキセタン、ABBV-838、HuMax-AXL-ADC、およびアドトラスツズマブ・エムタンシン(Kadcyla);非限定的にアントラサイクリン系(ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン)、オキサリプラチン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、ブレオマイシン、ボリノスタット、パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シタラビン、プレドニゾロン、ドセタキセル、マイトマイシンC、トポテカン/カンプトテシン、エトポシド、ゾレドロン酸、メトトレキサート、イブルチニブ、アフリベルセプト、ベバシズマブ、トレミフェン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、イデラリシブ、メルカプトプリン、サリドマイド、ソラフェニブをはじめとする放射線療法または化学療法薬;環状ジヌクレオチドまたは他のSTING経路アゴニストなどに結合する。
【0366】
検出キットおよび治療キット
便宜上、本発明の抗SIRPα抗体またはその抗原結合断片は、キット内で、即ち所定量の試薬の包装された組み合わせを、診断または検出アッセイを実施するための使用説明書と共に提供され得る。該抗体または断片が、酵素で標識される場合、該キットは、酵素により必要とされる基質および補因子(例えば、検出可能なクロモフォまたはフルオロフォアを提供する基質前駆体)を含むであろう。加えて、安定化剤、緩衝剤(例えば、遮断緩衝剤または溶解緩衝剤)などの他の添加剤が、含まれてもよい。様々な試薬の相対的量は、アッセイの感受性を実質的に最適化する試薬の溶液中濃度を提供するために広く変動してもよい。特に該試薬は、溶解されると適当な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤をはじめとする、通常は凍結乾燥された、乾燥粉末として提供されてもよい。
【0367】
同じく提供されるのは、例えばELISA(サンドイッチ型または拮抗型)などの免疫アッセイなど、種々の検出アッセイにおける使用のための診断または検出試薬、および1種または複数のそのような試薬を含むキットである。該キットの成分は、固体担体に予め付着されてもよく、またはキットが用いられる時に固体担体の表面に塗布されてもよい。本発明の幾つかの実施形態において、該シグナル発生手段は、使用前に、本発明の抗体もしくは断片と予め会合されるようになっていてもよく、または1種もしくは複数の成分、例えば緩衝剤、抗体-酵素コンジュゲート、酵素基質などとの組み合わせを必要としてもよい。キットはまた、追加の試薬、例えば固相表面への非特異的結合を低減するための遮断試薬、洗浄試薬、酵素基質などを含んでいてもよい。該固相表面は、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを固定するのに適した管、ビーズ、マイクロタイタープレート、マイクロスフェア、または他の材料の形態であってもよい。特別な態様において、化学発光もしくは発色生成物の形成、または化学発光もしくは発色基質の還元を触媒する酵素が、シグナル発生手段の成分である。そのような酵素は、当該技術分野で周知である。キットは、本明細書に記載された捕捉剤および検出試薬のいずれかを含んでいてもよい。場合により該キットはまた、本発明の方法を実行するための使用説明書を含んでいてもよい。
【0368】
同じく提供されるのは、バイアルまたは瓶などのコンテナに包装された抗SIRPα抗体(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合断片を含み、さらに該コンテナに付着または包装されたラベルを含むキットであり、該ラベルは、該コンテナの内容物を記載しており、本明細書に記載された1つまたは複数の疾患状態を処置するための該コンテナの内容物の使用に関する指示および/または使用説明を提供する。
【0369】
一態様において、該キットは、癌を処置するためのものであり、抗SIRPα抗体(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合断片と、さらなる治療薬またはワクチンと、を含む。該キットは、場合により、非経口、例えば静脈内投与のためのシリンジをさらに含んでいてもよい。別の態様において、該キットは、抗SIRPα抗体(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合断片と、コンテナに付着またはコンテナと共に包装されていて、該抗体または断片とワクチンまたはさらなる治療薬との使用を記載したラベルと、を含む。さらに別の態様において、該キットは、ワクチンまたはさらなる治療薬と、該コンテナに付着または包装されていて、該ワクチンまたはさらなる治療薬と抗SIRPα抗体または断片との使用を記載したラベルと、を含む。特定の実施形態において、抗SIRPα抗体およびワクチンまたはさらなる治療薬は、別のバイアル中に存在するか、または同じ医薬組成物中に一緒に混和されている。
【0370】
併用療法の節で先に議論された通り、2種の治療薬の同時投与では、薬剤が治療効果を発揮する期間に重複が存在する限り、薬剤を同じ時間にまたは同じ経路で投与する必要はない。異なる日または週での投与と同様に、同時または連続投与が企図される。
【0371】
本明細書に開示された抗体、ペプチド、抗原結合断片またはポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つと、該組成物を検出試薬または治療薬として使用するための使用説明書と、を含む、本明細書に開示された治療および検出キットもまた調製されてよい。そのようなキットにおける使用のためのコンテナは、典型的には少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、瓶、シリンジまたは他の適切なコンテナを含んでいてもよく、その内部に検出および/または治療組成物(複数可)のうちの1つまたは複数が配置され、好ましくは適宜分配されてもよい。第二の治療薬もまた、提供される場合、該キットはまた、該第二の検出および/または治療組成物が配置され得る第二の分離したコンテナを含んでいてもよい。あるいは複数の化合物が、単一医薬組成物中で調製されてもよく、またはバイアル、フラスコ、シリンジ、瓶または他の適切な単一コンテナなどの単一コンテナ手段の中に包装されていてもよい。本明細書に開示されたキットはまた、典型的には、市販のために密閉されたバイアル(複数可)を含むための手段、例えば所望のバイアル(複数可)が保持される射出またはブロー成形されたプラスチックコンテナなどを含む。放射性標識、発色、蛍光発色、または他のタイプの検出可能な標識もしくは検出手段が、該キットに含まれる場合、該標識剤が、単独の検出もしくは治療組成物と同じコンテナ内で提供されても、あるいは第二の組成物が配置されて、適宜分配され得る第二の分離したコンテナ手段に配置されていてもよい。あるいは該検出試薬および標識は、単一コンテナ手段中で調製されてもよく、ほとんどの例では、該キットはまた、典型的には市販のため、ならびに/または簡便な包装および送達のための密閉されたバイアル(複数可)を含有する手段を含むであろう。
【0372】
本明細書に記載された検出またはモニタリング方法を実行するためのデバイスまたは装置もまた、提供される。そのような装置は、試料が投入され得るチャンバーまたは管と、該デバイスを通して試料の流れを方向付ける弁またはポンプを場合により含む流体取り扱いシステムと、場合により血液から血漿または血清を分離するフィルターと、捕捉剤または検出試薬の添加のための混合チャンバーと、場合により該捕捉剤の免疫複合体に結合された検出可能な標識の量を検出するための検出デバイスと、を含んでいてもよい。試料の流れは、受動的(例えば、試料が適用されたら該デバイスのさらなる操作を必要としない毛細管、静水圧、または他の力により)、または能動的(例えば、機械的ポンプ、電気浸透性ポンプ、遠心力、または高い空気圧を通して発生した力の適用により)、または能動的な力と受動的な力の組み合わせによるものでもよい。
【0373】
さらなる実施形態において、同じく提供されるのは、本明細書に記載された方法のいずれかを実施するための、プロセッサと、コンピュータ可読メモリーと、該コンピュータ可読メモリーに保存されて該プロセッサで実行されるように適合された機械操作と、である。適切なコンピュータシステム、環境、および/または形態の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバーコンピュータ、ハンドヘルドもしくはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサに基づくシステム、セットトップボックス、プログラム可能な家庭用電気製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記システムもしくはデバイスのいずれかを含む分配されたコンピューティング環境、または当該技術分野で知られる任意の他のシステムが挙げられる。
【0374】
好ましい実施形態
実施形態1.
a.SEQ ID NO:69のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:1と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
b.SEQ ID NO:70のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:2と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
c.SEQ ID NO:71のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:3と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
d.SEQ ID NO:72のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:4と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
e.SEQ ID NO:73のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:5と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および
f.SEQ ID NO:74のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:6と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、
のうちの1つまたは複数、そして場合によりそれぞれを含むか、あるいは
g.SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:1と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
h.SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:2と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
i.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:3と異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
j.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:4と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
k.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:5と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および
l.SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:6と異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、
のうちの1つまたは複数、そして場合によりそれぞれを含む、
ヒトSIRPαに結合する抗体またはその抗原結合断片。
【0375】
実施形態2.
SEQ ID NO:69のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:69と異なるアミノ酸配列と、SEQ ID NO:70のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:70と異なるアミノ酸配列と、SEQ ID NO:71のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:71と異なるアミノ酸配列と、
を含む重鎖配列のそれぞれ;および/または
SEQ ID NO:72のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:72と異なるアミノ酸配列と、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:73と異なるアミノ酸配列と、SEQ ID NO:74のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:74と異なるアミノ酸配列と、
を含む軽鎖配列のそれぞれを含むか、あるいは
SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:1と異なるアミノ酸配列と、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:2と異なるアミノ酸配列と、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:3と異なるアミノ酸配列と、
を含む重鎖配列のそれぞれ、および/または
SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:4と異なるアミノ酸配列と、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:5と異なるアミノ酸配列と、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、または1、2、もしくは3個の保存的置換によりSEQ ID NO:6と異なるアミノ酸配列と、
を含む軽鎖配列のそれぞれを含む、実施形態1の抗体または抗原結合断片。
【0376】
実施形態3.
SEQ ID NO:75、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:78、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:80、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:82、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:84、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:86、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:88、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:102、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:76、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:90、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:92、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:94、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:96、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:98、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:100、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:104、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、
の一方または両方を含むか、あるいは
SEQ ID NO:7、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:10、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:12、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:14、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:16、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:18、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:30、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:8、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:20、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:22、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:24、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:26、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
SEQ ID NO:28、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、および
SEQ ID NO:32、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、
の一方または両方を含む、
実施形態2の抗体または抗原結合断片。
【0377】
実施形態4.以下の特徴:
10nM未満、好ましくは5nM未満、より好ましくは1.5nM未満、より好ましくは1.0nM未満、より好ましくは0.5nM未満、最も好ましくは約0.3nM以下のEC50で、ヒトSIRPαV1タンパク質を発現する細胞に結合すること;
10nM未満、好ましくは5nM未満、より好ましくは1.5nM未満、より好ましくは1.0nM未満、より好ましくは0.5nM未満、最も好ましくは約0.3nM以下のEC50で、ヒトSIRPαV2タンパク質を発現する細胞に結合すること;
50nM、好ましくは67nM、より好ましくは100nMの抗体濃度で、あるいはSIRPαV1またはSIRPαV2への該抗体のEC50よりも10倍大きい、好ましくは50倍大きい、より好ましくは100倍大きい、より好ましくは200倍大きい濃度で、SIRPβ1タンパク質に感知できるほど結合しないこと;
10.0nM未満、より好ましくは5.0nM未満、より好ましくは2.5nM未満、最も好ましくは約1.0nM以下のIC50で、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害すること;および
少なくとも79、より好ましくは85のT20「ヒト性」スコアを示すこと、
を有する、実施形態3の抗体または抗原結合断片。
【0378】
実施形態5.以下の重鎖配列/軽鎖配列の組み合わせ:
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:90
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:92
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:94
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:96
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:98
SEQ ID NO:78/SEQ ID NO:100
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:90
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:92
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:94
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:96
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:98
SEQ ID NO:80/SEQ ID NO:100
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:90
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:92
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:94
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:96
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:98
SEQ ID NO:82/SEQ ID NO:100
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:90
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:92
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:94
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:96
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:98
SEQ ID NO:84/SEQ ID NO:100
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:90
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:92
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:94
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:96
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:98
SEQ ID NO:86/SEQ ID NO:100
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:90
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:92
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:94
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:96
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:98
SEQ ID NO:88/SEQ ID NO:100
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:20
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:22
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:24
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:26
SEQ ID NO:10/SEQ ID NO:28
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:20
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:22
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:24
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:26
SEQ ID NO:12/SEQ ID NO:28
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:20
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:22
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:24
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:26
SEQ ID NO:14/SEQ ID NO:28
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:20
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:22
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:24
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:26
SEQ ID NO:16/SEQ ID NO:28
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:20
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:22
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:24
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:26
SEQ ID NO:18/SEQ ID NO:28
または各例において各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のもの、
のうちの1つを含む、実施形態1の抗体または抗原結合断片。
【0379】
実施形態6.該抗体が、インタクトIgGである、実施形態1~5の1つの抗体または抗原結合断片。
【0380】
実施形態7.該抗体が、野生型または突然変異型IgG2 Fc領域を含む、実施形態1~6の1つの抗体または抗原結合断片。
【0381】
実施形態8.該抗体が、突然変異型IgG1 Fc領域を含む、実施形態1~6の1つの抗体または抗原結合断片。
【0382】
実施形態9.該抗体が、野生型または突然変異型IgG4 Fc領域を含む、実施形態1~6の1つの抗体または抗原結合断片。
【0383】
実施形態10.実施形態5の抗体と同じヒトSIRPαのエピトープに、抗体として結合する抗体またはその抗原結合断片。
【0384】
実施形態11.ヒト化されている、実施形態1~10のいずれかの抗体または抗原結合断片。
【0385】
実施形態12.2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖がSEQ ID NO:10を含み、各軽鎖がSEQ ID NO:20を含む、実施形態1~11のいずれかの抗体または抗原結合断片。
【0386】
実施形態13.2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖がSEQ ID NO:16を含み、各軽鎖がSEQ ID NO:28を含む、実施形態1~11のいずれかの抗体または抗原結合断片。
【0387】
実施形態14.2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖がSEQ ID NO:18を含み、各軽鎖がSEQ ID NO:20を含む、実施形態1~11のいずれかの抗体または抗原結合断片。
【0388】
実施形態15.2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖がSEQ ID NO:80を含み、各軽鎖がSEQ ID NO:90を含む、実施形態1~11のいずれかの抗体または抗原結合断片。
【0389】
実施形態16.2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖がSEQ ID NO:80を含み、各軽鎖がSEQ ID NO:92を含む、実施形態1~11のいずれかの抗体または抗原結合断片。
【0390】
実施形態17.2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヒト化抗体であり、各重鎖がSEQ ID NO:80を含み、各軽鎖がSEQ ID NO:95を含む、実施形態1~11のいずれかの抗体または抗原結合断片。
【0391】
実施形態18.哺乳動物細胞による発現に特徴的なグリコシル化パターンを含み、場合によりCHO細胞からの発現によりグリコシル化される、実施形態1~17の任意の1つの抗体または抗原結合断片。
【0392】
実施形態19.SEQ ID NO:75、78、80、82、84、86、88、76、90、92、94、96、98、100、102、104、7、10、12、14、16、18、30、8、20、22、24、26、28、および32の任意の1つのアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のアミノ酸配列、を含む単離されたポリペプチド。
【0393】
実施形態20.実施形態1~18の抗体もしくは抗原結合断片の任意の1つ、または実施形態19のポリペプチドの任意の1つをコードする単離された核酸。
【0394】
実施形態21.
SEQ ID NO:77の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:79の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:81の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:83の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:85の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:87の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:101の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:89の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:91の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:93の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:95の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:97の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:99の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:103の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:9の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:11の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:13の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:15の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:17の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:29の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:19の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:21の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:23の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:25の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
SEQ ID NO:27の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、および/あるいは
SEQ ID NO:31の核酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の核酸配列、
を含む、実施形態20の単離された核酸。
【0395】
実施形態22.実施形態20または21の単離された核酸を含む発現ベクター。
【0396】
実施形態23.抗SIRPα抗体の重鎖配列および軽鎖配列の両方をコードし、以下の
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:89、
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:91、
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:93、
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:95、
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:97、
SEQ ID NO:77/SEQ ID NO:99、
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:89、
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:91、
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:93、
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:95、
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:97、
SEQ ID NO:79/SEQ ID NO:99、
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:89、
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:91、
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:93、
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:95、
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:97、
SEQ ID NO:81/SEQ ID NO:99、
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:89、
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:91、
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:93、
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:95、
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:97、
SEQ ID NO:83/SEQ ID NO:99、
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:89、
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:91、
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:93、
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:95、
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:97、
SEQ ID NO:85/SEQ ID NO:99、
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:89、
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:91、
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:93、
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:95、
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:97、
SEQ ID NO:87/SEQ ID NO:99、
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:19、
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:21、
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:23、
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:25、
SEQ ID NO:9/SEQ ID NO:27、
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:19、
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:21、
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:23、
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:25、
SEQ ID NO:11/SEQ ID NO:27、
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:19、
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:21、
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:23、
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:25、
SEQ ID NO:13/SEQ ID NO:27、
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:19、
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:21、
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:23、
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:25、
SEQ ID NO:15/SEQ ID NO:27、
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:19、
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:21、
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:23、
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:25、および
SEQ ID NO:17/SEQ ID NO:27、
または各例において、各SEQ ID NOと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一のもの、
からなる群から選択される第一の核酸配列/第二の核酸配列を含む、実施形態22の発現ベクター。
【0397】
実施形態24.実施形態22または23の発現ベクターを含む宿主細胞。
【0398】
実施形態25.全長抗SIRPα抗体を産生する、実施形態24の宿主細胞。
【0399】
実施形態26.細菌細胞、ヒト細胞、哺乳動物細胞、ピチア細胞、植物細胞、HEK293細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣細胞である、実施形態24または25の1つの宿主細胞。
【0400】
実施形態27.実施形態1~18の任意の1つの抗体または抗原結合断片と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【0401】
実施形態28.ADCCおよび/またはADCPを誘導する第二の抗体またはその抗原結合断片をさらに含み、本発明の該抗体または抗原結合断片が、該第二の抗体により該抗体を介した細胞破壊を増進する、実施形態27の組成物。
【0402】
実施形態29.該第二の抗体またはその抗原結合断片が、AMHR2、AXL、BCMA、CA IX、CD4、CD16、CD19、CD20、CD22、CD30、CD37、CD38、CD40、CD52、CD98、CSF1R、GD2、CCR4、CS1、EpCam、EGFR、EGFRvIII、エンドグリン、EPHA2、EphA3、FGFR2b、葉酸受容体アルファ、フコシル-GM1、 HER2、HER3、IL1RAP、カッパ骨髄腫抗原、MS4A1、プロラクチン受容体、TA-MUC1、およびPSMAからなる群から選択される抗原に結合する、実施形態28による組成物。
【0403】
実施形態30.該第二の抗体またはその抗原結合断片が、リツキシマブ、ウブリツキシマブ、マルゲツキシマブ、IMGN-529、SCT400、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、ADCT-502、Hul4.18K322A、Hu3F8、ジヌツキシマブ(Dinituximab)、トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ-RLI、c.60C3-RLI、Hul4.18-IL2、KM2812、AFM13、(CD20)2xCD16、エルロチニブ(Tarceva)、ダラツムマブ、アレムツズマブ、ペルツズマブ、ブレンツキシマブ、エロツズマブ、イブリツモマブ、イファボツズマブ、ファルレツズマブ、オトレルツズマブ(otlertuzumab)、カロツキシマブ、エプラツズマブ、イネビリズマブ、ルムレツズマブ、4G7SDIE、AFM21、AFM22、LY-3022855、SNDX-6352、AFM-13、BI-836826、BMS-986012、BVX-20、モガムリズマブ、ChiLob-7/4、ロイコツキシマブ、イサツキシマブ、DS-8895、FPA144、GM102、GSK-2857916、IGN523、IT1208、ADC-1013、CAN-04、XOMA-213、Pankomab-GEX、chKM-4927、IGN003、IGN004、IGN005、MDX-1097、MOR202、MOR-208、オポルツズマブ、エンシツキシマブ、ベドチン(Adcetris)、イブリツモマブ・チウキセタン、ABBV-838、HuMax-AXL-ADC、およびアドトラスツズマブ・エムタンシン(Kadcyla)からなる群から選択される、実施形態29による組成物。
【0404】
実施形態31.該第二の抗体またはその抗原結合断片が、ADCPを誘導する、実施形態28による組成物。
【0405】
実施形態32.該第二の抗体またはその抗原結合断片が、リツキシマブ、ウブリツキシマブ、マルゲツキシマブ、IMGN-529、SCT400、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、アレムツズマブ、イブリツモマブ、ファルレツズマブ、イネビリズマブ、ルムレツズマブ、4G7SDIE、BMS-986012、BVX-20、モガムリズマブ、ChiLob-7/4、GM102、GSK-2857916、PankoMab-GEX、chKM-4927、MDX-1097、MOR202、およびMOR-208からなる群から選択される、実施形態31による組成物。
【0406】
実施形態33.抗CD27抗体、抗CD47抗体、抗APRIL抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIGIT抗体、抗CTLA4抗体、抗CS1抗体、抗KIR2DL1/2/3抗体、抗CD137抗体、抗GITR抗体、抗PD-L2抗体、抗ILT1抗体、抗ILT2抗体、抗ILT3抗体、抗ILT4抗体、抗ILT5抗体、抗ILT6抗体、抗ILT7抗体、抗ILT8抗体、抗CD40抗体、抗OX40抗体、抗ICOS、抗KIR2DL1抗体、抗KIR2DL2/3抗体、抗KIR2DL4抗体、抗KIR2DL5A抗体、抗KIR2DL5B抗体、抗KIR3DL1抗体、抗KIR3DL2抗体、抗KIR3DL3抗体、抗NKG2A抗体、抗NKG2C抗体、抗NKG2E抗体、抗4-1BB抗体、抗TSLP抗体、抗IL-10抗体、IL-10 PEG化IL-10、TNF受容体タンパク質のアゴニスト(例えば、作動性抗体もしくはその抗原結合断片、または可溶性融合物)、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM タンパク質)、活性化NK細胞受容体、Toll様受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAMl、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、SLAM7、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、PAG/Cbp、CD19a、CD83と特異的に結合するリガンド、CD47の阻害剤、PD-1の阻害剤、PD-L1の阻害剤、PD-L2の阻害剤、CTLA4の阻害剤、TIM3の阻害剤、LAG3の阻害剤、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)の阻害剤、VISTAの阻害剤、BTLAの阻害剤、TIGITの阻害剤、LAIR1の阻害剤、IDOの阻害剤、TDOの阻害剤、CD160の阻害剤、TGFRベータの阻害剤および環状ジヌクレオチドまたは他のSTING経路アゴニストからなる群から選択される1つまたは複数の薬剤をさらに含む、実施形態27の組成物。
【0407】
実施形態34.実施形態1~18の抗体または抗原結合断片の任意の1つの重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、該ポリヌクレオチドの発現に好適な条件下で培養すること;ならびに場合により該宿主細胞および/または培地から該抗体または抗原結合断片を回収すること、
を含む、抗体または抗原結合断片を生成する方法。
【0408】
実施形態35.試料中のSIRPαペプチドまたはその断片の存在を検出するための方法であって、該試料を、実施形態1~18のいずれかの抗体または断片と接触させること、および該抗体または断片と該ペプチドとの複合体の存在を検出し、該複合体の検出が該SIRPαペプチドの存在を示すこと、を含む、方法。
【0409】
実施形態36.癌または感染性疾患の処置のための、実施形態1~18の任意の1つによる抗体もしくは抗原結合断片、または実施形態21~25の任意の1つによる組成物。
【0410】
実施形態37.ヒト対象におけるSIRPα/CD47シグナル伝達を低減するための、実施形態1~18の抗体もしくは抗原結合断片、または実施形態27~33の任意の1つによる組成物。
【0411】
実施形態38.ヒト対象における癌を処置する方法であって、場合によりさらなる治療薬または治療手順と連携して、実施形態1~18の任意の1つの抗体もしくは抗原結合断片、または実施形態22もしくは23の一方による発現ベクター、または実施形態24~26のうちの1つによる宿主細胞、または実施形態27~33のうちの1つによる組成物の有効量を、該対象に投与することを含む、方法。
【0412】
実施形態39.ヒト対象における癌を処置する方法であって、
(i)ADCCおよび/またはADCPを誘導する抗体または抗原結合断片と、
(ii)場合によりさらなる治療薬または治療手順と連携した、実施形態1~18の任意の1つの抗体もしくは抗原結合断片、または実施形態22もしくは23の一方による発現ベクター、または実施形態24~26のうちの1つによる宿主細胞、または実施形態27~33のうちの1つによる組成物と、
の有効量を該対象に投与することを含み、
(ii)の投与が、ADCCおよび/またはADCPを誘導する該抗体またはその抗原結合断片により細胞の抗体を介した破壊を増進する、方法。
【0413】
実施形態40.ADCCおよび/またはADCPを誘導する該抗体またはその抗原結合断片が、AMHR2、AXL、BCMA、CA IX、CD4、CD16、CD19、CD20、CD22、CD30、CD37、CD38、CD40、CD52、CD98、CSF1R、GD2、CCR4、CS1、EpCam、EGFR、EGFRvIII、エンドグリン、EPHA2、EphA3、FGFR2b、葉酸受容体アルファ、フコシル-GM1、 HER2、HER3、IL1RAP、カッパ骨髄腫抗原、MS4A1、プロラクチン受容体、TA-MUC1、およびPSMAからなる群から選択される抗原に結合する、実施形態39による方法。
【0414】
実施形態41.ADCCおよび/またはADCPを誘導する該抗体またはその抗原結合断片が、リツキシマブ、ウブリツキシマブ、マルゲツキシマブ、IMGN-529、SCT400、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、ADCT-502、Hul4.18K322A、Hu3F8、ジヌツキシマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ-RLI、c.60C3-RLI、Hul4.18-IL2、KM2812、AFM13、(CD20)2xCD16、エルロチニブ(Tarceva)、ダラツムマブ、アレムツズマブ、ペルツズマブ、ブレンツキシマブ、エロツズマブ、イブリツモマブ、イファボツズマブ、ファルレツズマブ、オトレルツズマブ、カロツキシマブ、エプラツズマブ、イネビリズマブ、ルムレツズマブ、4G7SDIE、AFM21、AFM22、LY-3022855、SNDX-6352、AFM-13、BI-836826、BMS-986012、BVX-20、モガムリズマブ、ChiLob-7/4、ロイコツキシマブ、イサツキシマブ、DS-8895、FPA144、GM102、GSK-2857916、IGN523、IT1208、ADC-1013、CAN-04、XOMA-213、PankoMab-GEX、chKM-4927、IGN003、IGN004、IGN005、MDX-1097、MOR202、MOR-208、オポルツズマブ、エンシツキシマブ、ベドチン(Adcetris)、イブリツモマブ・チウキセタン、ABBV-838、HuMax-AXL-ADC、およびアドトラスツズマブ・エムタンシン(Kadcyla)からなる群から選択される、実施形態40による方法。
【0415】
実施形態42.該第二の抗体またはその抗原結合断片が、ADCPを誘導する、実施形態39または40による方法。
【0416】
実施形態43.該第二の抗体またはその抗原結合断片が、リツキシマブ、ウブリツキシマブ、マルゲツキシマブ、IMGN-529、SCT400、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、アレムツズマブ、イブリツモマブ、ファルレツズマブ、イネビリズマブ、ルムレツズマブ、4G7SDIE、BMS-986012、BVX-20、モガムリズマブ、ChiLob-7/4、GM102、GSK-2857916、PankoMab-GEX、chKM-4927、MDX-1097、MOR202、およびMOR-208からなる群から選択される、実施形態42による方法。
【0417】
実施形態44.ヒト対象における感染または感染性疾患を処置する方法であって、場合によりさらなる治療薬または治療手順と連携して、実施形態1~18の任意の1つの抗体もしくは抗原結合断片、または実施形態22もしくは23の一方による発現ベクター、または実施形態24~26のうちの1つによる宿主細胞、または実施形態27~33のうちの1つによる組成物の有効量を、該対象に投与することを含む、方法。
【0418】
実施形態45.以下の特徴:
1nM未満のEC50でSEQ ID NO:34の配列を有するヒトSIRPαV1タンパク質に結合し;SEQ ID NO:62の配列を有するSIRPαV1(P74A)について少なくとも100倍高いEC50を示し、好ましくは細胞ELISAにより測定された場合に、SEQ ID NO:38の配列を有するヒトSIRPβ1タンパク質について少なくとも100倍高いEC50を示すこと;
10nM未満、好ましくは5nM未満、より好ましくは1.5nM未満、より好ましくは1.0nM未満、より好ましくは0.5nM未満、最も好ましくは約0.3nM以下のEC50で、ヒトSIRPαV1タンパク質を発現する細胞に結合すること;
10nM未満、好ましくは5nM未満、より好ましくは1.5nM未満、より好ましくは1.0nM未満、より好ましくは0.5nM未満、最も好ましくは約0.3nM以下のEC50で、ヒトSIRPαV2タンパク質を発現する細胞に結合すること;
50nM、好ましくは67nM、より好ましくは100nMの抗体濃度で、あるいはSIRPαV1またはSIRPαV2への該抗体のEC50よりも10倍大きい、好ましくは50倍大きい、より好ましくは100倍大きい、より好ましくは200倍大きい濃度で、SIRPβ1タンパク質に感知できるほど結合しないこと;
10.0nM未満、より好ましくは5.0nM未満、より好ましくは2.5nM未満、最も好ましくは約1.0nM以下のIC50で、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害すること;および
少なくとも79、より好ましくは85のT20「ヒト性」スコアを示すこと、
のうちの1つまたは複数を有する抗体。
【0419】
実施形態46.EC50<1nMでSEQ ID NO:34の配列を有するヒトSIRPαV1タンパク質に結合し;SEQ ID NO:62の配列を有するSIRPαV1(P74A)について少なくとも100倍高いEC50を示し;SEQ ID NO:38の配列を有するヒトSIRPβ1タンパク質についても少なくとも100倍高いEC50を示す、実施形態45の抗体またはその抗原結合断片。
【0420】
実施形態47.SEQ ID NO:20、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの軽鎖と、SEQ ID NO:10、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの重鎖と、を含む、実施形態45または46の抗体または抗原結合断片。
【0421】
実施形態48.SEQ ID NO:28、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの軽鎖と、SEQ ID NO:16、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの重鎖と、を含む、実施形態45または46の抗体または抗原結合断片。
【0422】
実施形態49.SEQ ID NO:20、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの軽鎖と、SEQ ID NO:18、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの重鎖と、を含む、実施形態45または46の抗体または抗原結合断片。
【0423】
実施形態50.SEQ ID NO:90、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの軽鎖と、SEQ ID NO:80、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの重鎖と、を含む、実施形態45または46の抗体または抗原結合断片。
【0424】
実施形態51.SEQ ID NO:92、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの軽鎖と、SEQ ID NO:80、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの重鎖と、を含む、実施形態45または46の抗体または抗原結合断片。
【0425】
実施形態52.SEQ ID NO:96、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの軽鎖と、SEQ ID NO:80、またはそれと少なくとも90%、95%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む1つまたは2つの重鎖と、を含む、実施形態45または46の抗体または抗原結合断片。
【0426】
実施形態53.該抗体が、インタクトIgGである、実施形態45~52の1つの抗体または抗原結合断片。
【0427】
実施形態54.該抗体が、野生型または突然変異型IgG2 Fc領域を含む、実施形態45~52の1つの抗体または抗原結合断片。
【0428】
実施形態55.該抗体が、突然変異型IgG1 Fc領域を含む、実施形態45~52の1つの抗体または抗原結合断片。
【0429】
実施形態56.該抗体が、突然変異型IgG4 Fc領域を含む、実施形態45~52の1つの抗体または抗原結合断片。
【0430】
実施形態57.実施形態45~52の1つによる抗体と同じヒトSIRPαのエピトープに、抗体として結合する抗体またはその抗原結合断片。
【0431】
実施形態58.ヒト化されている、実施形態45~52のいずれかの抗体または抗原結合断片。
【0432】
実施形態59.実施形態45~52の任意の1つの抗体または抗原結合断片と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【0433】
実施形態60.癌または感染性疾患の処置のための、実施形態45~52の任意の1つによる抗体もしくは抗原結合断片、または実施形態59による組成物。
【0434】
実施形態61.ヒト対象におけるSIRPα/CD47シグナル伝達を低減するための、実施形態45~52の任意の1つによる抗体もしくは抗原結合断片、または実施形態59による組成物。
【0435】
実施形態62.ヒト対象における癌を処置する方法であって、場合によりさらなる治療薬または治療手順と連携して、実施形態45~52の任意の1つによる抗体もしくは抗原結合断片、または実施形態59による組成物の有効量を該対象に投与することを含む、方法。
【0436】
実施形態63.ヒト対象における感染または感染性疾患を処置する方法であって、場合によりさらなる治療薬または治療手順と連携して、実施形態45~52の任意の1つによる抗体もしくは抗原結合断片、または実施形態59による組成物の有効量を該対象に投与することを含む、方法。
【0437】
一般的方法
分子生物の標準法は、Sambrook, Fritsch and Maniatis (1982 & 1989 2nd Edition, 2001 3rd Edition) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Sambrook and Russell(2001) Molecular Cloning, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Wu (1993) Recombinant DNA, Vol. 217, Academic Press, San Diego, CA)に記載されている。標準法はまた、細菌細胞におけるクローニングおよびDNA突然変異誘発(Vol. 1)、哺乳動物細胞および酵母におけるクローニング(Vol. 2)、グリココンジュゲートおよびタンパク質発現(Vol. 3)、ならびにバイオインフォマティクス(Vol. 4)を記載しているAusbel, et al. (2001) Current Protocols in Molecular Biology, Vols.1-4, John Wiley and Sons, Inc. New York, NYに見出される。
【0438】
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、および結晶化をはじめとするタンパク質精製のための方法は、記載されている(Coligan, et al. (2000) Current Protocols in Protein Science, Vol. 1, John Wiley and Sons, Inc., New York)。化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の生成、タンパク質のグリコシル化は、記載されている(例えば、Coligan, et al. (2000) Current Protocols in Protein Science, Vol. 2, John Wiley and Sons, Inc., New York; Ausubel, et al. (2001) Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 3, John Wiley and Sons, Inc., NY, NY, pp. 16.0.5-16.22.17; Sigma-Aldrich, Co. (2001) Products for Life Science Research, St. Louis, MO; pp. 45-89; Amersham Pharmacia Biotech (2001) BioDirectory, Piscataway, N.J., pp. 384-391参照)。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の生成、精製および断片化は、記載されている(Coligan, et al. (2001) Current Protcols in Immunology, Vol. 1, John Wiley and Sons, Inc., New York; Harlow and Lane (1999) Using Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Harlow and Lane、上掲)。リガンド/受容体相互作用を特徴づけるための標準的技術は、入手可能である(例えば、Coligan, et al. (2001) Current Protocols in Immunology, Vol. 4, John Wiley, Inc., New York参照)。
【0439】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体およびヒト化抗体は、調製することができる(例えば、Sheperd and Dean (eds.)(2000) Monoclonal Antibodies, Oxford Univ. Press, New York, NY; Kontermann and Dubel (eds.) (2001) Antibody Engineering, Springer-Verlag, New York; Harlow and Lane (1988) Antibodies A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, pp. 139-243; Carpenter, et al. (2000) J. Immunol. 165:6205; He, et al. (1998) J. Immunol. 160:1029; Tang et al. (1999) J. Biol. Chem. 274:27371-27378; Baca et al. (1997) J. Biol. Chem. 272:10678-10684; Chothia et al. (1989) Nature 342:877-883; Foote and Winter (1992) J. Mol. Biol. 224:487-499;米国特許第6,329,511号参照)。
【0440】
ヒト化の代替法は、ファージ上に提示されたヒト抗体ライブラリーまたはトランスジェニックマウスにおけるヒト抗体ライブラリーを使用することである(Vaughan et al. (1996) Nature Biotechnol. 14:309-314; Barbas (1995) Nature Medicine 1:837-839; Mendez et al. (1997) Nature Genetics 15:146-156; Hoogenboom and Chames (2000) Immunol. Today 21:371-377; Barbas et al. (2001) Phage Display: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York; Kay et al. (1996) Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual, Academic Press, San Diego, CA; de Bruin et al. (1999) Nature Biotechnol. 17:397-399)。
【0441】
一本鎖抗体およびダイアボディは、記載されている(例えば、Malecki et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:213-218; Conrath et al. (2001) J. Biol. Chem. 276:7346-7350; Desmyter et al. (2001) J. Biol. Chem. 276:26285-26290; Hudson and Kortt (1999) J. Immunol. Methods 231:177-189;および米国特許第4,946,778参照)。二機能性抗体は、提供される(例えば、Mack, et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7021-7025; Carter (2001) J. Immunol. Methods 248:7-15; Volkel, et al. (2001) Protein Engineering 14:815-823; Segal, et al. (2001) J. Immunol. Methods 248:1-6; Brennan, et al. (1985) Science 229:81-83; Raso, et al. (1997) J. Biol. Chem. 272:27623; Morrison (1985) Science 229:1202-1207; Traunecker, et al. (1991) EMBO J. 10:3655-3659;ならびに米国特許第5,932,448号、同第5,532,210号、同第6,129,914号参照)。
【0442】
二重特異性抗体もまた、提供される(例えば、Azzoni et al. (1998) J. Immunol. 161:3493; Kita et al. (1999) J. Immunol. 162:6901; Merchant et al. (2000) J. Biol. Chem. 74:9115; Pandey et al. (2000) J. Biol. Chem. 275:38633; Zheng et al. (2001) J. Biol Chem. 276:12999; Propst et al. (2000) J. Immunol. 165:2214; Long (1999) Ann. Rev. Immunol. 17:875参照)。抗原の精製は、抗体の作製に必須ではない。動物を、該当する抗原を担う細胞で免疫化することができる。その後、脾臓細胞を該免疫化動物から単離することができ、該脾臓細胞を骨髄腫細胞株と誘導してハイブリドーマを生成することができる(例えば、Meyaard et al. (1997) Immunity 7:283-290; Wright et al. (2000) Immunity 13:233-242; Preston et al., 上掲;Kaithamana et al. (1999) J. Immunol. 163:5157-5164参照)。
【0443】
抗体は、例えば薬物小分子、酵素、リポソーム、ポリエチレングリコール(PEG)に、コンジュゲートすることができる。抗体は、治療、診断、キット、または他の目的に有用であり、色素、放射性同位体、酵素、または金属、例えば金コロイドに、カップリングされた抗体を包含する(例えば、Le Doussal et al. (1991) J. Immunol. 146:169-175; Gibellini et al. (1998) J. Immunol. 160:3891-3898; Hsing and Bishop (1999) J. Immunol. 162:2804-2811; Everts et al. (2002) J. Immunol. 168:883-889参照)。
【0444】
蛍光活性化セルソーティング(FACS)をはじめとするフローサイトメトリーのための方法は、入手可能である(例えば、Owens, et al. (1994) Flow Cytometry Principles for Clinical Laboratory Practice, John Wiley and Sons, Hoboken, NJ; Givan (2001) Flow Cytometry, 2nd ed.; Wiley-Liss, Hoboken, NJ; Shapiro (2003) Practical Flow Cytometry, John Wiley and Sons, Hoboken, NJ参照)。例えば診断試薬としての、使用のための、核酸プライマーおよびプローブ、ポリペプチド、ならびに抗体をはじめとする核酸を修飾するのに適した蛍光試薬は、入手可能である(Molecular Probes (2003) Catalogue, Molecular Probes, Inc., Eugene, OR; Sigma-Aldrich (2003) Catalogue, St. Louis, MO)。
【0445】
免疫系の組織学的検査の標準法は、記載されている(例えば、Muller-Harmelink(ed.)(1986) Human Thymus: Histopathology and Pathology, Springer Verlag, New York, NY; Hiatt, et al. (2000) Color Atlas of Histology, Lippincott, Williams, and Wilkins, Phila, PA; Louis, et al. (2002) Basic Histology: Text and Atlas, McGraw-Hill, New York, NY参照)。
【0446】
例えば、抗原断片、リーダー配列、タンパク質フォールディング、機能性ドメイン、グリコシル化部位、および配列アライメントを決定するためのソフトウエアパッケージおよびデータベースは、入手可能である(例えば、GenBank, Vector NTI(登録商標) Suite (Informax, Inc, Bethesda, MD); GCG Wisconsin Package (Accelrys, Inc., San Diego, CA); DeCypher(登録商標)(TimeLogic Corp., Crystal Bay, Nevada); Menne, et al. (2000) Bioinformatics 16: 741-742; Menne, et al. (2000) Bioinformatics Applications Note 16:741-742; Wren, et al. (2002) Comput. Methods Programs Biomed. 68:177-181; von Heijne (1983) Eur. J. Biochem. 133:17-21; von Heijne (1986) Nucleic Acids Res. 14:4683-4690参照)。
【0447】
実施例
以下の実施例は、本発明を例示するためのものである。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0448】
実施例1:市販のhSIRPα抗体の特異性
hSIRPα変異体1(hSIRPαV1;GenBankアクセション:NM_001040022.1)(SEQ ID NO:34)、hSIRPα変異体2(hSIRPαV2;GenBankアクセション:D86043.1)(SEQ ID NO:36)、hSIRPβ1(GenBankアクセション:NM_006065.4)(SEQ ID NO:38)、hSIRPβ1転写産物変異体3/hSIRPβL(NCBIアクセション:NM_001135844.3)(SEQ ID NO:117)、およびhSIRPγ(NCBIアクセション:NM_018556.3)(SEQ ID NO:40)に結合するための様々な市販のモノクローナル抗hSIRPα抗体(表7)の特異性を、細胞ELISA(CELISA)により評価した。pCI-neoベクター(Promega、ウィスコンシン州マディソン所在)にサブクローニングされたhSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、hSIRPβL、およびhSIRPγの全長オープンリーディングフレームをコードするcDNAと共にLipofectamine2000を用いて一過性にトランスフェクトされたCHO-K1細胞(ATCC CCL-61)を用いて、反応性を確認した。CHO-K1.hSIRPαV1、CHO-K1.hSIRPαV2、CHO-K1.hSIRPβ1、CHO-K1.hSIRPβL、およびCHO-K1.hSIRPγ細胞を、96ウェル平底組織培養プレート内の培地(5%新生仔ウシ血清(BioWest)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたDMEM-F12(Gibco))に播種し、37℃、5%CO
2および湿度95%で24時間インキュベートした。次に、培地を除去して、細胞を精製hSIRPα抗体(10μg/mLおよびその希釈物を使用)と共に37℃、5%CO
2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで洗浄して、ヤギ抗マウスIgG-HRP(Southern Biotech)と共に37℃、5%CO
2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで3回洗浄し、hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、hSIRPβL、およびhSIRPγに対する免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を、0.5M H
2SO
4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。全結合シグナルの50%が観察された濃度であるEC50値を、GraphPad Prism 6(GraphPad Software, Inc.)を用いて計算した。
【表7】
【0449】
図1および以下の表8に示される通り、市販のhSIRPα抗体は、少なくともhSIRPβ1、hSIRPβL、もしくはhSIRPγと交差反応するか、またはhSIRPαV2に対立遺伝子特異性の結合を示す。KWAR23抗体は、テストされたSIRP受容体ファミリーの全てのメンバーと交差反応し、hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、hSIRPβL、およびhSIRPγに結合する。
【表8】
【0450】
実施例2:抗hSIRPα抗体の免疫化および選択
公知のSIRPα対立遺伝子の全てに結合するがSIRPβ1には結合しないSIRPα抗体を作製するために、マウスを、hSIRPα V1およびhSIRPα V2をコードするpCI-neo発現構築物で免疫化した。マウスを、Helios遺伝子銃(BioRad、カリフォルニア州ハーキュリーズ所在)およびDNAがコーティングされたゴールドバレット(BioRad)を用い、製造業者の使用説明書に従って遺伝子銃免疫化により免疫化した。手短に述べると、1μm金粒子に、pCI-neo-hSIRPαV1またはpCI-neo-hSIRPαV2 cDNA、ならびにマウスFlt3LおよびマウスGM-CSFのための市販の発現ベクター(両者ともAldevron、ノースダコタ州ファーゴ所在)を、2:1:1比でコーティングした。総量1μgのプラスミドDNAを用いて、金粒子500μgをコーティングした。具体的には、7~8週齢雌BALB/Cマウス(Harlan)が、遺伝子銃で免疫化され、両耳に3回の投与サイクルを受けた。
【0451】
陽性および陰性B細胞選択ならびにCELISA目的のために、CHO-K1細胞を、それぞれhSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、およびhCD47(NCBIアクセション:NM_001777.3)(SEQ ID NO:42)の全長オープンリーディングフレームをコードしたpCI-neoベクターでトランスフェクトすることにより、CHO-K1.hSIRPαV1、CHO-K1.hSIRPαV2、CHO-K1.hSIRPβ1、および CHO-K1.hCD47安定細胞株を作製した。安定したクローンが、希釈を限定することにより得られた。
【0452】
抗体力価を、CHO-K1.hSIRPαV1およびCHO-K1.hSIRPαV2安定細胞株を用いて、CELISAにより評定した。これらのhSIRPα発現CHO-K1細胞株を、10%ウシ胎児血清(Hyclone)および80U Pen/Strep(Gibco)を補充されたDMEM-F12(Gibco)で維持した。細胞を96ウェル平底組織培養プレートに8×104細胞/ウェルで播種し、細胞層がコンフルエントになるまで、37℃、5%CO2および湿度95%で培養した。細胞を、希釈されたマウス血清の各試料と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)/0.05%Tween-20(PBS-T)で洗浄し、ヤギ抗マウスIgG-HRP(Southern Biotech)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで3回洗浄し、抗hSIRPα免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を、0.5M H2SO4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。抗hSIRPα力価は、2回のDNA免疫化の後に検出では個々のマウス血清試料中で1:2,500よりも高かった。hSIRPαV1およびhSIRPαV2に対する反応性を実証したマウスは全て、最後の三回目に免疫化されて、14日後に殺処分された。赤血球枯渇脾臓およびリンパ節細胞集団を、過去に記載された通り調製し(Steenbakkers et al., 1992, J. Immunol. Meth. 152: 69-77;Steenbakkers et al., 1994, Mol. Biol. Rep. 19: 125-134)、-180℃で凍結した。
【0453】
抗hSIRPα抗体産生B細胞を選択するために、hSIRPαV1およびhSIRPαV2に結合する抗体を発現するB細胞に優先的に結合する選択方策を、設計および開発した。脾臓細胞およびリンパ節を、hSIRPαV1/V2免疫化マウスから採取して、単離された細胞をCHO-K1.hSIRPβ1と共にインキュベートして、T25培養フラスコに播種し、30Grayで照射した。1時間後に、未結合の細胞を、フラスコを前後に動かすことにより穏やかに剥離させた。未結合の細胞を含有する培地を、その後、照射されたCHO-K1.hSIRPβ1細胞を含む新しいT25フラスコに移し替えた。この手順を、hSIRPβ1反応性B細胞を負に選択するために、氷上で合計3回行った。次に、未結合のB細胞を含む培地を、CHO-K1.hSIRPαV1およびCHO-K1.hSIRPαV2細胞と共にインキュベートして、3,000Grayで照射した。氷上で1.5時間インキュベートした後、未結合の細胞を、培地を用いた複数回の洗浄ステップで除去した。次に、T25フラスコに含まれるCHO-K1.hSIRPαV1およびCHO-K1.hSIRPαV2細胞と結合したリンパ球を、トリプシンEDTA(Sigma)で採取した。結合したB細胞を、Steenbakkers et al., 1994, Mol. Biol. Rep. 19: 125-134に記載された通り培養した。手短に述べると、選択されたB細胞を、96ウェル平底組織培養プレート内の最終容量200μlの培地中の10%(v/v)T細胞上清および50,000個の照射(25Gray)されたEL-4 B5フィーダー細胞と混合した。8日目に、上清を、以下に記載される通りCELISAによりhSIRPαV1およびhSIRPαV2反応性についてスクリーニングした。
【0454】
CHO-K1.hSIRPαV1、CHO-K1.hSIRPαV2およびCHO-K1.hSIRPβ1を、培地(10%ウシ胎児血清(Hyclone)および80U Pen/Strep(Gibco)を補充されたDMEM-F12(Gibco))に播種し、細胞層がコンフルエントになるまで、37℃、5%CO2および湿度95%で培養した。次に、培地を除去して、細胞を、B細胞培養からの上清と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで洗浄して、ヤギ抗マウスIgG-HRPコンジュゲート(Southern Biotech)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。続いて、細胞をPBS-Tで3回洗浄し、抗hSIRPαV1、抗hSIRPαV2および抗hSIRPβ1の免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を0.5M H2SO4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。
【0455】
ヒトSIRPγへの免疫反応性を、組換えhSIRPγ/Fcタンパク質(R&D Systems Cat.# 4486-SB-050;SEQ ID NO:108)をコーティングされた96ウェルMaxiSorp平底プレートを用いてELISAにより評定した。タンパク質をコーティングされた96ウェルプレートを、PBS/1%ウシ血清アルブミン(BSA)中、室温(RT)で1時間遮断した。PBS/1%BSAを除去して、プレートを、B細胞培養からの上清と共にRTで1時間インキュベートした。次に、プレートをPBS-Tで洗浄して、ヤギ抗マウスIgG-HRPコンジュゲート(Southern Biotech)と共にRTで1時間インキュベートした。続いて、ウェルをPBS-Tで3回洗浄し、抗hSIRPγの免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を0.5M H2SO4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。
【0456】
hSIRPβ1に対して反応性がない、または最小限に反応性がある、hSIRPα反応性の上清からのB細胞クローンを、幾つかのわずかな変動を含みながら(例えば、プロナーゼ反応を省略して)公開された手順(Steenbakkers et al., 1992, J. Immunol. Meth. 152: 69-77; Steenbakkers et al., 1994, Mol. Biol. Rep. 19:125-34)に従ってミニ電気融合(mini-electrofusion)により不死化した。手短に述べると、B細胞を、Electrofusion Isomolar Buffer(Eppendorf)中の106 Sp2/0-Ag14ネズミ骨髄腫細胞(ATCC CRL-1581)と混合した。電気融合は、50μL融合チャンバーで、15s、1MHz、23Vrms ACの交流電場、続いて10μs、180ボルトDCの方形波高電界DCパルス、そして再度、15s、1MHz、23Vrms ACの交流電場により実施した。チャンバーの内容物を、ハイブリドーマ選択培地に移して、限定希釈条件の下、96ウェルプレートで培養した。10日目の電気融合に続いて、先に記載された通り、ハイブリドーマの上清をCELISAおよびELISAによりhSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、およびhSIRPγ結合活性についてスクリーニングした。hSIRPαV1およびhSIRPαV2に特異的に結合した上清中の抗体を分泌したハイブリドーマを、両者とも-180℃で凍結し(-1バッチ)、限定希釈によりサブクローニングして、それらの完全性および安定性を保護した。安定したハイブリドーマを、細胞層がコンフルエントになるまで-180℃で凍結した(-LD1バッチ)。
【0457】
hSIRPαV1/hCD47相互作用の遮断能力をCELISA形式で評定することにより、ハイブリドーマのさらなる選択を実施した。hCD47の遮断を評定するために、CHO-K1.hCD47細胞を384ウェル平底組織培養プレートに播種し、培地中、37℃、5%CO2および湿度95%でインキュベートした。組換えhSIRPα/Fcタンパク質(R&D Systems、Cat.# 4546-SA-050;SEQ ID NO:107)を、hSIRPα反応性抗体および対照抗体を含有するハイブリドーマ上清の希釈系列(10μg/mLおよびその希釈物)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で30分間プレインキュベートした。コンフルエントのCHO-K1.hCD47細胞をPBS-Tで洗浄して、hSIRPα反応性抗体および組換えhSIRPα/Fcタンパク質を含有する混合物と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで洗浄した後、ヤギ抗ヒトIgG-HRPコンジュゲート(Jackson Immuno Research)を細胞に添加して、37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。続いて、細胞をPBS-Tで3回洗浄し、hSIRPα/Fcタンパク質の結合を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を0.5M H2SO4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。
【0458】
選択された安定したハイブリドーマを、無血清培地中で7日間培養し;上清を採取して、抗体を、MabSelect Sure Protein A樹脂を用い、製造業者の使用説明書(GE Healthcare)に従って精製した。抗体濃度を、分光光度法を利用して定量した。ハイブリドーマ培養物の上清を用いて、ハイブリドーマをアイソタイプに分別した。簡単に述べると、アイソタイプ分別は、一般的なマウスアイソタイプおよび軽鎖のそれぞれに対する固定されたヤギ抗マウス抗体バンドを含むディップスティックに基づくマウスモノクローナル抗体アイソタイピングキット(Biorad)を使用して実施した。回収された抗体は全て、マウスIgG1として同定された。抗体配列は、以下の方法を利用して、LakePharmaで実施されたマウスIgG1ハイブリドーマ材料の可変領域の配列決定により明確にした:ハイブリドーマ細胞の総RNAを抽出して、cDNA合成を可能にした。cDNA末端の迅速増幅(RACE)を実施して、TOPO(Thermo Fisher Scientific)ベクター中の陽性断片のクローニングを可能にした。TOPOクローンを配列決定して、VBASE2を用いてアノテートした(Retter et al., VBASE2, an integrative V gene database. Nucleic Acids Res. 2005 Jan 1;33(Database issue):D671-4)。
【0459】
実施例3:hSIRPα抗体の特徴づけ
hSIRPαへのhSIRPα.50A抗体の結合特異性を、CELISA形式でKWAR23抗体(カナダ特許第2939293 A1号)と比較した。CHO-K1細胞を、
hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、およびhSIRPγ(GenBankアクセション:NM_018556.3)(SEQ ID NO:39)cDNAで一過性にトランスフェクトした。次にhSIRPαの結合を、CHO-K1.hSIRPαV1、CHO-K1.hSIRPαV2、CHO-K1.hSIRPβ1、およびCHO-K1.hSIRPγ細胞を用い、CELISAにより評定した。結合した抗体の検出は、hSIRPα.50Aを含むマウス抗体および対照抗体についてはヤギ抗マウスIgG-HRP(Southern Biotech)を用い、あるいはKWAR23抗体についてはヤギ抗ヒトIgG-HRPコンジュゲート(Jackson Immuno Research)を用いて実施した。KWAR23(SEQ ID NO: 130;SEQ ID NO:131)は、CHO細胞中のキメラヒトIgG4カッパ抗体として発現された。
図2および以下の表9に示される通り、KWAR23抗体は、テストされたSIRP受容体ファミリーの全てのメンバーと交差反応し、hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、およびhSIRPγに結合する。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す(平均およびSDは、2回の独立した実験の値から計算した)。
【表9】
【0460】
加えて、hSIRPα対立遺伝子(Takenaka et al., 2007, Nat Immunol. 8:1313-1323により記載された対立遺伝子変異体)について知られた全てのhSIRPα.50Aの特異性を、上記と同じ方策を利用してCELISAによりさらに検討した。この目的のために、hSIRPα.50A結合を、全長hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPαV3(NA07056_V3)(SEQ ID NO:43)、hSIRPαV4(NA11832_V4)(SEQ ID NO:45)、hSIRPαV5(NA18502_V5)(SEQ ID NO:47)、hSIRPαV6(NA18507_V6)(SEQ ID NO:49)、hSIRPαV8(NA18570_V8)(SEQ ID NO:51)、およびhSIRPαV9(NA18943_V9)(SEQ ID NO:53)をコードするcDNAで一過性にトランスフェクトされたCHO-K1細胞を用いて評定した。
図3および以下の表10は、これらのhSIRPα対立遺伝子それぞれについての抗体クローンhSIRPα.50Aの反応性を実証している。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す(平均およびSDは、2回の独立した実験の値から計算した)。
【表10】
【0461】
実施例4:hSIRPα.50AのhCD47遮断能力
hSIRPα.50A抗体を、細胞表面で発現されたhSIRPαに結合する組換えhCD47/Fcタンパク質(R&D Systems、Cat.# 4670-CD-050;SEQ ID NO:109)を遮断する能力についてフローサイトメトリーにより分析した。この目的のために、THP-1(ATCC TIB-202)およびU-937(ATCC CRL-1593.2)単球細胞株を、アッセイのhSIRPα供給源として用いた。THP-1およびU-937細胞を、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のFcR遮断試薬(Miltenyi Biotec)およびhSIRPα.50A抗体(200μg/mLおよびその希釈物)と共に45分間インキュベートした。次に、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、DyLight488標識組換えhCD47/Fcタンパク質と共に4℃で30分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、0.1μg/mL DAPI(BioLegend)を含有するPBS/1%BSAに再懸濁させ、FACSCanto II(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
【0462】
図4および以下の表11に示される通り、ヒトIgG1のFcドメインに融合された組換えhCD47の結合を、増加量のhSIRPα.50A抗体の存在下でモニタリングした。抗体hSIRPα.50Aは、先に記載されたフローサイトメトリーに基づく方法を利用して、hSIRPα/hCD47相互作用を遮断した。hCD47の遮断についてのIC50値を、このデータから計算した。IC50値は、阻害の半分が観察された濃度を表す。
【表11】
【0463】
次に、初代ヒトCD14+単球で発現されたhSIRPαへのhSIRPα.50Aの結合を検討した。加えて、hSIRPαと組換えhCD47/Fcタンパク質との相互作用を遮断するhSIRPα.50Aの能力を評定した。この目的で、CD14+単球を、RosetteSepヒト単球濃縮カクテル(Stemcell)を用いて、Ficoll精製されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)から単離した。濃縮後に存在する単球のパーセンテージを、APC-Cy7コンジュゲート化マウス抗ヒトCD14検出抗体(BD Biosciences)を用いたCD14染色に基づき、FACSVerse(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより計測した。次に、CD14+濃縮PBMCを、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のhSIRPα.50A抗体(25μg/mLおよびその希釈物)含有FcR遮断試薬(Miltenyi Biotec)と共に40分間インキュベートした。次に、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、PBS/1%BSA中のFITC標識ヤギ抗マウスIg(BD Biosciences)検出抗体と共に4℃で40分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、0.1μg/mL DAPI(BioLegend)を含有するPBS/1%BSAに再懸濁させ、FACSVerse(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
【0464】
図5AおよびB、ならびに以下の表12は、hSIRPα.50Aが、初代ヒトCD14+濃縮単球に結合することを示している。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す。hSIRPα.50Aの遮断能力を評定するために、CD14+濃縮単球細胞を、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のFcR遮断試薬(Miltenyi Biotec)およびhSIRPα.50A抗体(200μg/mLおよびその希釈物)と共に45分間インキュベートした。その後、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、10μg/mL DyLight488標識組換えhCD47/Fcタンパク質と共に4℃で45分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、0.1μg/mL DAPI(BioLegend)を含有するPBS/1%BSAに再懸濁させ、FACSVerse(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
図5CおよびD、ならびに以下の表12は、hSIRPα/hCD47相互作用を遮断するhSIRPα.50A抗体の能力を実証している。hCD47の遮断についてのIC50値を、このデータから計算した。IC50値は、阻害の半分が観察された濃度を表す。
【表12】
【0465】
実施例5:ヒト顆粒球食作用アッセイにおけるhSIRPα.50A mAbの機能性
初代免疫細胞におけるhSIRPα.50Aの機能性を確認するために、顆粒球(例えば、エフェクター細胞)を、健常なヒトドナーEDTA血から単離した。最初に、各ドナーのEDTA血をプールして、300gおよび20℃で6分間遠心分離した。次に、血漿をアスピレーションにより除去して、残留する血液細胞を穏やかに再懸濁させた。細胞を、赤血球細胞(RBC)溶解緩衝液(155mM NH4Cl;10mM KHCO3)中に回収して、氷上で10分間インキュベートした。次に、細胞を300gで7分間遠心分離した。溶解されたRBCを含有する上清をアスピレーションにより除去して、残留する血液細胞をRBC溶解緩衝液に穏やかに再懸濁させて、氷上で1分間保持した。アッセイ培地(10%ウシ胎児血清(Gibco)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたIMDM(Gibco))を添加することにより、RBC溶解物を中和した。血液細胞を300gで6分間遠心分離し、上清をアスピレーションにより除去して、残留するRBCを可能な限り除去した。次に、赤血球溶解血液細胞を、10ng/mL IFNγを含有するアッセイ培地に再懸濁させて、細胞を37℃、5%CO
2および湿度95%で1時間インキュベートした。組織培養プレートをアッセイ培地で軽く洗浄することにより、ヒト顆粒球を含有する非接着細胞を回収した(プラスチック表面への接着により、単球が枯渇する)。細胞懸濁液中に存在する顆粒球のパーセンテージを、高い前方散乱(FSC)および側方散乱(SSC)を基にしたFACSCanto II(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより計測した。該細胞を、10%自家血清を含有するPBS/1%BSA(PBS/1%BSA/10%血清)中のhSIRPα.50A抗体(25μg/mLおよびその希釈物)と共に4℃で30分間インキュベートすることにより、ヒト顆粒球へのhSIRPα.50Aの結合を評定した。次に、細胞をPBS/1%BSA/10%血清で3回洗浄し、FITC標識ヤギ抗マウスIg(BD Biosciences)検出抗体と共に4℃で30分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、PBS/1%BSA/10%血清に再懸濁させ、FACSCanto II (BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
図6Aは、hSIRPα.50Aが初代ヒト顆粒球に結合することを示している。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す。
【0466】
次に標的細胞を、Raji(ECACC 85011429)、Daudi(ECACC 85011437)、Ramos(ECACC 85030802)、およびBJAB(DSMZ ACC-757)リンパ腫細胞の場合には細胞増殖色素eFluor450(eBioscience)で、あるいはFaDu細胞の場合にはVybrant DiD細胞標識溶液(Thermo Fisher Scientific)のいずれかで蛍光標識した。標識は、製造業者の使用説明書に従って実施した。標識された標的細胞を、0.1μg/mLリツキシマブ(抗hCD20)の存在下、1:1比の単離された初代ヒト顆粒球(96ウェル丸底組織培養プレートのウェルあたり各標的およびエフェクターを7.5×104個)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で2~3時間共培養した。加えて、細胞を、10μg/mL hSIRPα.50Aの存在下で0.1μg/mLリツキシマブと共培養した。FACSCanto II (BD Biosciences)でのフローサイトメトリーを用いてeFluor450(またはDID)に陽性の顆粒球のパーセンテージを計測することにより、食作用をアッセイした。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
【0467】
マウスIgG1アイソタイプ対照に比較して、hSIRPα.50Aは、リツキシマブで誘導された腫瘍細胞食作用を強力に増進する(
図6B)。同じ手順を、他の既存の治療抗体、例えば0.05μg/mLダラツムマブ(抗hCD38)、0.1μg/mLアレムツズマブ(抗hCD52)、および0.1μg/mLセツキシマブ(抗hEGFR)で実施した(
図6C~E)。これらのデータから、hSIRPα.50Aがヒト顆粒球による抗体介在性腫瘍細胞食作用を増進することが実証される。
【0468】
実施例6:ヒトマクロファージ食作用アッセイにおけるhSIRPα.50A mAbの機能性
hSIRPα.50AによるCD47の遮断は、ヒトマクロファージによるヒトリンパ腫細胞の腫瘍細胞の食作用を増進する。最初に、RosetteSepヒト単球濃縮カクテル(Stemcell)を用いて、Ficoll精製されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)からCD14+単球を濃縮することにより、ヒトマクロファージを作製した。単球を、CellCarrier 96ウェル平底マイクロプレート(Perkin Elmer)に播種し、50ng/mLヒト単球コロニー刺激因子(M-CSF)を含有するマクロファージ培地(8.5%ウシ胎児血清(Gibco)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたIMDM(Gibco))中、37℃、5%CO2および湿度95%で7日間培養して、マクロファージへの分化を促進した。これらの単球由来マクロファージ(MDM)は、接着するようになり、他の細胞を洗い流すことができた。ヒトRaji、Daudi、Ramos、およびBJABリンパ腫細胞をカウントして、細胞増殖色素eFluor450(eBioscience)で、製造業者の使用説明書に従って標識した。標識した後、リンパ腫細胞を、10μg/mL抗hSIRPα抗体、各アイソタイプ対照および0.1μg/mLリツキシマブ(抗hCD20)または0.05μg/mLダラツムマブ(抗hCD38)のいずれかを含有するアッセイ培地(10%ウシ胎児血清(Gibco)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたRPMI(Gibco))と混合した。その後、該リンパ腫細胞を、食細胞あたり腫瘍細胞2.5:1比のMDMを含有する個々のウェルに添加し、混合して、37℃、5%CO2および湿度95%で2時間インキュベートした。インキュベーションの後、ウェルをPBSで洗浄し、非貪食腫瘍細胞のほとんどを除去し、細胞を2%ホルムアルデヒドによりRTで10分間固定した。その後、ウェルを洗浄して、暗所内で4℃のPBS/3%BSA中に一晩保持した。ウェル中に存在するリンパ腫細胞を、ビオチンコンジュゲート化抗ヒトCD19クローンHIB19(eBioscience)によりRTで1時間染色し、次にAlexa Fluor488コンジュゲート化ストレプトアビジン(Thermo Fisher Scientific)によりRTで1時間対比染色した。次に核を、DRAQ5(Thermo Fisher Scientific)によりRTで10分間染色し、混合物を除去して、PBSを各ウェルに添加した。細胞を、Operetta自動蛍光顕微鏡(Perkin Elmer)で分析した。データは、Columbus V2.6ソフトウエアで処理および解析した。
【0469】
図7に示される通り、hSIRPα.50Aは、リツキシマブおよびダラツムマブ介在性食作用を増進する。試料あたり少なくとも200個のマクロファージをカウントして、ヒトリンパ腫細胞の食作用を、以下の通り食作用指数を利用して定量した(マクロファージ中の腫瘍細胞数/マクロファージの数)×100。
【0470】
実施例7:ヒト化抗体の設計およびCDRグラフティング
マウスhSIRPα.50A抗体を、CDRグラフティング技術を利用してヒト化した(例えば、米国特許第5,225,539号およびWilliams,D.G. et al., 2010, Antibody Engineering, volume 1, Chapter 21参照)。
【0471】
最初に、ヒト生殖系配列を、IgBLAST(Ye J. et al., 2013, Nucleic Acids Res. 41:W34-40)を用いて同定した。hSIRPα.50A VHヒト生殖系配列については、V-遺伝子IGHV1/OR15-2*02を同定し(75.2%同一性)、VLヒト生殖系配列については、IGKV1-27*01を同定した(74.0%同一性)。これらの2種の生殖系配列を用いて、マウスCDRを直接グラフトして、以下の2種のcDNA構築物を得た:SEQ ID NO:17(VH)およびSEQ ID NO:25(VL)。
【0472】
次に、IMGTデータベース中で利用可能なヒト配列の全てを含むデータベースを構築して(Lefranc, M.-P. et al., 1999, Nucleic Acid Res. 27:209-212)、85,848の各配列を同定した。これらの配列を、TBLASTN(2.2.31+) を利用してクエリにして、hSIRPα.50A VHおよびVL配列のフレームワークへの最大同一性を実証するテンプレート配列を同定した。75%以上の類似性スコアを実証し、それぞれhSIRPα.50A VH CDR1、CDR2、CDR3、およびVL CDR1、CDR2、CDR3と類似の、好ましくは同一のCDR長を示す、3種のVHおよびVL配列を同定した。
【0473】
重鎖については、GenBank(Benson,D.A. et al., 2013, Nucleic Acids Res. 41(D1): D36-42)アクセション番号AB066948、AB067235、およびU84168によりコードされたフレームワークを、hSIRPα.50A VH CDRのストレートグラフティングのためのテンプレートとして選択して、それぞれ以下のcDNA構築物:SEQ ID NO:9、11および13を得た。軽鎖については、GenBankアクセション番号JF894288、AB363321、およびL12101によりコードされたフレームワークを、hSIRPα.50A VL CDRのストレートグラフティングのためのテンプレートとして選択して、以下のcDNA構築物:SEQ ID NO:19、21および23を得た。フレームワークおよびCDRの定義は、Kabatら(“Sequences of Proteins of Immunological Interest”, Kabat,E., et al., US Department of Health and Human Services,(1983))により記載されたものであった。
【0474】
Fvの構造に及ぼすヒト化フレームワーク残基の影響を理解するために、マウスhSIRPα.50A Fvの相同性モデルを、Discovery Studio 4.5内の「Antibody Modeling Cascade」(デフォルトパラメータ)を利用して作製した。該相同性モデルは、軽鎖およびFvではPDB ID 1CICに、そして重鎖ではPDB ID 4Q0Xに基づいて構築した。CDRをコンピュータでグラフトして、バーニヤ残基と称される、CDRのいずれかに近くループコンフォメーションに影響及ぼし得る残基を試験した。ループコンフォメーションに影響を及ぼし得て、CDR表面まで5Å未満である残基を同定して、この位置でマウスアミノ酸と置換した。Discovery Studio 4.5を用いて、得られたテンプレートを翻訳後修飾(PTM)モチーフの存在について確認し、可能な限り(即ち、非CDR、非バーニヤ残基)変換して、PTMを予防した。重鎖の場合、予測された配列のPTMモチーフを除去し、hSIRPα.50A VH内の構造を考慮して(即ち、バックボーンの剛性)、1つの追加的構築物:SEQ ID NO:15を設計した。軽鎖の場合、PTMを除去して、以下の構築物:SEQ ID NO:27を得た。
【0475】
CDRを同定されたテンプレートそれぞれにグラフトして、pcDNA3.1(+)ベクター(Thermo Fisher Scientific)内に、そして一過性トランスフェクトではFreeStyle 293-Fヒト胚性腎細胞(HEK293T/17、ATCC CRL-11268)内にクローニングされたヒトIgG4(SEQ ID NO:65)、カッパ(SEQ ID NO:63)抗体として発現させた。各例では、セリン228がプロリンに変換された安定化Adair突然変異(Angal S. et al., 1993, Mol Immunol. 30: 105-108)を担うIgG4バージョンを用いた。
【0476】
実施例8:ヒト化構築物の合成、発現および精製
重鎖および軽鎖構築物をコードするプラスミドを、1:1比で混合し(総量30μg)、293fectinトランスフェクション試薬(Invitrogen)を用い、製造業者の使用説明書に従って、FreeStyle293-F細胞へのトランスフェクションにより一過性に発現させた。上清(30ml)を7日後に採取して、抗体をMabSelect SureプロテインA樹脂を用い、製造業者の使用説明書(GE Healthcare)に従って精製した。緩衝液を、Zeba脱塩カラム(Thermo Fisher Scientific)を用いて、10mMヒスチジン、100mM NaCl pH5.5緩衝液に交換した。精製された抗体の濃度を、OD280(Nanodrop ND-1000)に基づいて計測した。エンドトキシンレベルを、LALテストにより、製造業者の使用説明書(Lonza)に従って計測した。
【0477】
実施例9:ヒト化SIRPα抗体の結合
hSIRPαへのヒト化抗体の結合を、CELISA形式で試験した。ヒトSIRPαV1、SIRPαV2、hSIRPβ1、およびhSIRPγへのhSIRPα抗体の結合を、pCI-neoベクターにサブクローニングされたこれらの各ターゲットのそれぞれの全長オープンリーティングフレームをコードするcDNAを一過性にトランスフェクトされたCHO-K1細胞を用いて確認した。CHO-K1.hSIRPαV1、CHO-K1.hSIRPαV2、CHO-K1.hSIRPβ1、およびCHO-K1.hSIRPγ細胞を、96ウェル平底組織培養プレート内の培地(5%新生仔ウシ血清(BioWest)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたDMEM-F12)に播種して、細胞層がコンフルエントになるまで、37℃、5%CO2および湿度95%でインキュベートした。次に、培地を除去して、細胞を精製hSIRPα抗体(10μg/mLおよびその希釈物)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで洗浄して、ヤギ抗ヒトIgG-HRPコンジュゲート(Jackson Immuno Research)またはヤギ抗マウスIgG-HRP(Southern Biotech)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで3回洗浄し、抗hSIRPα免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を、0.5M H2SO4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。全結合シグナルの50%が観察された濃度であるEC50値を、GraphPad Prism 6(GraphPad Software, Inc.)を用いて計算した。表13において、ヒト化hSIRPα抗体のEC50値を示している。
【0478】
表13:CHO-K1.hSIRPαV1、CHO-K1.hSIRPαV2、CHO-K1.hSIRPβ1、およびCHO-K1.hSIRPγ細胞へのヒト化および親hSIRPα.50A抗体の結合。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す(平均およびSDは、2回の独立した実験の値から計算した)。
【表13】
【0479】
hSIRPγへの親およびヒト化hSIRPα抗体の結合を、NK92細胞株由来のインターロイキン-2(IL-2)非依存性ナチュラルキラー細胞株であるNK-92MI細胞(ATCC CRL-2408)を用いて評定した。NK-92MI細胞を96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のヒト化hSIRPα.50A抗体変異体(100μg/mLおよびその希釈物)と共に30分間インキュベートした。次に、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、PBS/1%BSA中でFITC標識マウス抗ヒトIgG4(Abcam)またはロバ抗マウスIgG(Jackson Immuno Research)検出抗体と共に4℃で30分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、PBS/1%BSAで再懸濁させて、FACSCanto II(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
【0480】
実施例10:ヒト化hSIRPα.50A抗体によるhSIRPαへのhCD47結合の遮断
hCD47遮断を、ヒト化hSIRPα.50A抗体の全パネルについてフローサイトメトリーにより評定した。この目的のために、HEK293細胞(ATCC CRL-1573)を、ヒトSIRPαV1の全長オープンリーディングフレームをコードするpCI-neoベクターと共にLipofectamine2000(Invitrogen)を用いて一過性にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、コンフルエントになるまで培地(10%ウシ胎児血清(Gibco)およびPen/Strep(Gibco)を含むDMEM-F12(Gibco))中、37℃、5%CO
2および湿度95%で培養した。次に、細胞を解離させて、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のヒト化hSIRPα.50A抗体変異体(100μg/mLおよびその希釈物)と共に30分間インキュベートした。次に、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、組換えhCD47/Fcタンパク質(ModiQuest;SEQ ID NO:42)と共に4℃で30分間インキュベートした。この後、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、マウス抗ヒトIgG1 Hinge-FITC(Southern Biotech)検出抗体と共に4℃で30分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、PBS/1%BSAで再懸濁させて、FACSCanto II(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析して、GraphPad Prism 6(GraphPad Software, Inc.)を用いてプロットした(
図8)。
【0481】
図8に示された通り、ヒトIgG1のFcドメインに融合された組換えhCD47の結合を、増加量のヒト化hSIRPα.50A抗体変異体の存在下でモニタリングした。抗体変異体は全て、hSIRPα/hCD47相互作用を遮断した。
【0482】
実施例11:hSIRPα.50Aの結合ドメイン
hSIRPα.50Aの結合領域を同定するために、複数のSIRPα交換突然変異体を、ヒトSIRPαV1およびhSIRPβ1アミノ酸配列に基づいて設計した。SIRPαのフォールディングに基づいて、細胞外領域を3つの別のドメイン:Ig様(免疫グロブリン様)V型(IgV)、Ig様C1型(IgC1)、およびIg様C2型(IgC2)ドメインに細分することができる。IgVドメインは、SIRPαのリガンド結合N末端ドメイン(CD47に結合する)としても公知である。ヒトSIRPαV1/β1突然変異体を、全長hSIRPαV1配列(SEQ ID NO:33)に基づいて設計し、個々のIg様ドメインをヒトSIRPβ1(SEQ ID NO:37)の同等のドメインで置換した。該構築物をコードするcDNAであるhSIRPα-VβC1αC2α(SEQ ID NO:55)、hSIRPα-VαC1βC2α(SEQ ID NO:57)、およびhSIRPα-VαC1αC2β(SEQ ID NO:59)を合成して(GeneArt)、pCI-neoベクターにサブクローニングした。交換突然変異体へのhSIRPα.50Aの結合を、CELISAを利用してテストした。この目的のために、CHO-K1細胞を、それぞれhSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、hSIRPα-VβC1αC2α、hSIRPα-VαC1βC2α、およびhSIRPα-VαC1αC2βをコードするpCI-neoベクターと共にLipofectamine2000を用いて一過性にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、コンフルエントになるまで培地(5%新生仔ウシ血清(Biowest)およびPen/Strep(Gibco)と含むDMEM-F12)中、37℃、5%CO2および湿度95%で培養した。次に、細胞をトリプシン処理して、96ウェル平底組織培養プレートに播種し、コンフルエントになるまで37℃、5%CO2および湿度95%で培養した。その後、培地を除去して、細胞をhSIRPα.50Aおよび抗hSIRPαクローンSE5A5抗体と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで洗浄して、ヤギ抗マウスIgG-HRPコンジュゲート(Southern Biotech)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。その後、細胞をPBS-Tで3回洗浄して、抗hSIRPα免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を、0.5M H2SO4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。
【0483】
本発明の抗体は、hSIRPα-VβC1αC2α突然変異体への結合の損失を実証し、hSIRPα.50AがhSIRPαのIgVドメインに結合することを示した(
図9、表14)。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す(平均およびSDは、2回の独立した実験の値から計算した)。
【表14】
【0484】
hSIRPα.50AとIgVドメインとの相互作用のためのアミノ酸を正確に定めるために、hSIRPαV1の複数の点突然変異体を、hSIRPαV1/V2とhSIRPβ1との単一アミノ酸の差に基づいて作製した。
図10Aは、hSIRPαとhSIRPβ1のIgVドメインのアライメントを示している。hSIRPβ1において改変されているhSIRPα IgVドメイン内のアミノ酸を、QuikChange II 部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)およびドナーcDNAとしての全長hSIRPαV1配列(SEQ ID NO:33)を用いて突然変異させた。hSIRPαV1点突然変異体へのhSIRPα.50Aの結合を、CELISAを用いてテストした。この目的のために、CHO-K1細胞を、pCI-neoベクターにサブクローニングされたhSIRPαV1およびその突然変異体ならびにhSIRPβ1の全長オープンリーディングフレームをコードするcDNAと共にLipofectamine2000を用いて一過性にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、96ウェル平底組織培養プレート内の培地(5%新生仔ウシ血清(BioWest)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたDMEM-F12(Gibco))に播種して、37℃、5%CO
2および湿度95%で24時間培養した。次に、培地を除去して、細胞を精製hSIRPα抗体(10μg/mLおよびその希釈物で使用)と共に37℃、5%CO
2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで洗浄して、ヤギ抗マウスIgG-HRP(Southern Biotech)と共に37℃、5%CO
2および湿度95%で1時間インキュベートした。その後、細胞をPBS-Tで3回洗浄して、hSIRPαV1、hSIRPαV1突然変異体およびhSIRPβ1に対する免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を、0.5M H
2SO
4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。全結合シグナルの50%が観察された濃度であるEC50値を、GraphPad Prism 6(GraphPad Software, Inc.)を用いて計算した(平均およびSDは、2回の独立した実験の値から計算した)。
図10Bおよび以下の表15に示される通り、74位のプロリン(P74)は、hSIRPαV1へのhSIRPα.50Aの特異的結合にとって不可欠なアミノ酸を構成している。CHO-K1細胞上のP74がアラニンに変換されたhSIRPαV1(P74A)(SEQ ID NO:61)の発現は、hSIRPα.50A抗体結合の損失をもたらす。このプロリンは、hSIRPβ1のIgVドメイン配列内に存在しない。
【表15】
【0485】
実施例12:hSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体の特徴づけ
hSIRPαに対するhSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体の結合特異性を、CELISA形式で比較した。簡単に説明すると、CHO-K1細胞を、hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、hSIRPβL、およびhSIRPγ cDNAで一過性にトランスフェクトした。次に、CHO-K1.hSIRPαV1、CHO-K1.hSIRPαV2、CHO-K1.hSIRPβ1、CHO-K1.hSIRPβL、およびCHO-K1.hSIRPγ細胞を用いたCELISAにより、hSIRPα結合を評定した。結合抗体の検出を、ヤギ抗マウスIgG-HRP(Southern Biotech)で実施した。
図11および以下の表16に示される通り、hSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体は、hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβL、およびhSIRPγに結合するが、検出可能なhSIRPβ1結合を示さない。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す(平均およびSDは、2回の独立した実験の値から計算した)。
【表16】
【0486】
加えて、hSIRPα対立遺伝子(Takenaka et al., Nat Immunol. 8:1313-1323 (2007)により記載された対立遺伝子変異体)について知られた全てのhSIRPα.40Aの特異性を、上記と同じ方策を利用してCELISAによりさらに検討した。この目的のために、hSIRPα.40A結合を、全長hSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPαV3(NA07056_V3)(SEQ ID NO:44)、hSIRPαV4(NA11832_V4)(SEQ ID NO:46)、hSIRPαV5(NA18502_V5)(SEQ ID NO:48)、hSIRPαV6(NA18507_V6)(SEQ ID NO:50)、hSIRPαV8(NA18570_V8)(SEQ ID NO:52)、およびhSIRPαV9(NA18943_V9)(SEQ ID NO:54)をコードするcDNAで一過性にトランスフェクトされたCHO-K1を用いて評定した。
図12および以下の表17は、これらのhSIRPα対立遺伝子それぞれについての抗体クローンhSIRPα.40Aの反応性を実証している。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す(平均およびSDは、2回の独立した実験の値から計算した)。
【表17】
【0487】
実施例13:hSIRPα.40AのhCD47遮断能力
hSIRPα.40A抗体を、細胞表面で発現されたhSIRPαに結合する組換えhCD47/Fcタンパク質(R&D Systems、Cat.# 4670-CD-050;SEQ ID NO:109)を遮断する能力についてフローサイトメトリーにより分析した。この目的で、THP-1(ATCC TIB-202)およびU-937(ATCC CRL-1593.2)単球細胞株を、アッセイのhSIRPα供給源として用いた。THP-1およびU-937細胞を、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のFcR遮断試薬(Miltenyi Biotec)およびhSIRPα.40A抗体(100μg/mLおよびその希釈物)と共に45分間インキュベートした。次に、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、DyLight488標識組換えhCD47/Fcタンパク質と共に4℃で30分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、0.1μg/mL DAPI(BioLegend)を含有するPBS/1%BSAに再懸濁させ、FACSCanto II(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
【0488】
図13および以下の表18に示される通り、ヒトIgG1のFcドメインに融合された組換えhCD47の結合を、増加量のhSIRPα.40A抗体の存在下でモニタリングした。抗体hSIRPα.40Aは、先に記載されたフローサイトメトリーに基づく方法を利用して、hSIRPα/hCD47相互作用を遮断した。hCD47の遮断についてのIC50値を、このデータから計算した。IC50値は、阻害の半分が観察された濃度を表す。
【表18】
【0489】
次に、初代ヒトCD14+単球で発現されたhSIRPαへのhSIRPα.40Aの結合を検討した。加えて、hSIRPαと組換えhCD47/Fcタンパク質との相互作用を遮断するhSIRPα.40Aの能力を評定した。この目的で、CD14+単球を、RosetteSepヒト単球濃縮カクテル(Stemcell)を用いて、Ficoll精製されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)から単離した。濃縮後に存在する単球のパーセンテージを、APC-Cy7コンジュゲート化マウス抗ヒトCD14検出抗体(BD Biosciences)を用いてCD14染色に基づきFACSVerse(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより計測した。次に、CD14+濃縮PBMCを、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のhSIRPα.40A抗体(20μg/mLおよびその希釈物)含有FcR遮断試薬(Miltenyi Biotec)と共に40分間インキュベートした。次に、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、PBS/1%BSA中のAlexa Fluor647標識ヤギ抗マウスIgG(Invitrogen)検出抗体と共に4℃で40分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、0.1μg/mL DAPI(BioLegend)を含有するPBS/1%BSAに再懸濁させ、FACSVerse(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
【0490】
図14AおよびBは、hSIRPα.40Aが、初代ヒトCD14+濃縮単球に結合することを示している。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す。hSIRPα.40Aの遮断能力を評定するために、CD14+濃縮単球細胞を、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のFcR遮断試薬(Miltenyi Biotec)およびhSIRPα.40A抗体(20μg/mLおよびその希釈物)と共に45分間インキュベートした。その後、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、10μg/mL DyLight488標識組換えhCD47/Fcタンパク質と共に4℃で45分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、0.1μg/mL DAPI(BioLegend)を含有するPBS/1%BSAに再懸濁させ、FACSVerse(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
図14CおよびDは、hSIRPα/hCD47相互作用を遮断するhSIRPα.40A抗体の能力を実証している。hCD47の遮断についてのIC50値を、このデータから計算した。IC50値は、阻害の半分が観察された濃度を表す。
【0491】
実施例14:ヒト顆粒球食作用アッセイにおけるhSIRPα.40A mAbの機能性
初代免疫細胞におけるhSIRPα.40Aの機能性を確認するために、顆粒球(例えば、エフェクター細胞)を、健常なヒトドナーEDTA血から単離した。最初に、各ドナーのEDTA血をプールして、20℃で6分間、300gで遠心分離した。次に、血漿をアスピレーションにより除去して、残留する血液細胞を穏やかに再懸濁させた。細胞を、赤血球細胞(RBC)溶解緩衝液(155mM NH4Cl;10mM KHCO3)中に回収して、氷上で10分間インキュベートした。次に、細胞を300gで7分間遠心分離した。溶解されたRBCを含有する上清をアスピレーションにより除去して、残留する血液細胞をRBC溶解緩衝液に穏やかに再懸濁させて、氷上で1分間保持した。アッセイ培地(10%ウシ胎児血清(Gibco)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたIMDM(Gibco))を添加することにより、RBC溶解物を中和した。血液細胞を300gで6分間遠心分離し、上清をアスピレーションにより除去して、残留するRBCを可能な限り除去した。次に、赤血球溶解血液細胞を、10ng/mL IFNγを含有するアッセイ培地に再懸濁させて、細胞を37℃、5%CO
2および湿度95%で1時間インキュベートした。組織培養プレートをアッセイ培地で軽く洗浄することにより、ヒト顆粒球を含有する非接着細胞を回収した(プラスチック表面への接着により、単球が枯渇する)。細胞懸濁液中に存在する顆粒球のパーセンテージを、高い前方散乱(FSC)および側方散乱(SSC)を基にしたFACSCanto II(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより計測した。該細胞を、10%自家血清を含有するPBS/1%BSA(PBS/1%BSA/10%血清)中のhSIRPα.40A抗体(25μg/mLおよびその希釈物)と共に4℃で30分間インキュベートすることにより、ヒト顆粒球へのhSIRPα.40Aの結合を評定した。次に、細胞をPBS/1%BSA/10%血清で3回洗浄し、FITC標識ヤギ抗マウスIg(BD Biosciences)検出抗体と共に4℃で30分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、PBS/1%BSA/10%血清に再懸濁させ、FACSCanto II(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
図15Aおよび以下の表19は、hSIRPα.40Aが初代ヒト顆粒球に結合することを示している。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す。
【表19】
【0492】
次に、Ramos(ECACC 85030802)標的細胞を、細胞増殖色素eFluor450(eBioscience)で蛍光標識した。標識は、製造業者の使用説明書に従って実施した。標識された標的細胞を、0.1μg/mLリツキシマブ(抗hCD20)の存在下、1:1比の単離された初代ヒト顆粒球(96ウェル丸底組織培養プレートのウェルあたり各標的およびエフェクターを7.5×104個)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で2~3時間共培養した。加えて、細胞を、10μg/mL hSIRPα.40Aの存在下で0.1μg/mLリツキシマブと共培養した。FACSCanto II(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーを用いたeFluor450に陽性の顆粒球のパーセンテージを計測することにより、食作用をアッセイした。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。
【0493】
マウスIgG1アイソタイプ対照に比較して、hSIRPα.40Aは、リツキシマブで誘導された腫瘍細胞食作用を強力に増進する(
図15B)。
【0494】
実施例15:ヒトマクロファージ食作用アッセイにおけるhSIRPα.40A mAbの機能性
hSIRPα.40AによるCD47の遮断は、ヒトマクロファージによるヒトリンパ腫細胞の腫瘍細胞の食作用を増進する。最初に、RosetteSepヒト単球濃縮カクテル(Stemcell)を用いて、Ficoll精製されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)からCD14+単球を濃縮することにより、ヒトマクロファージを作製した。単球を、CellCarrier 96ウェル平底マイクロプレート(Perkin Elmer)に播種し、50ng/mLヒト単球コロニー刺激因子(M-CSF)を含有するマクロファージ培地(8.5%ウシ胎児血清(Gibco)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたIMDM(Gibco))中、37℃、5%CO2および湿度95%で7日間培養して、マクロファージへの分化を促進した。これらの単球由来マクロファージ(MDM)は、接着するようになり、他の細胞を洗い流すことができた。ヒトRajiリンパ腫細胞をカウントして、細胞増殖色素eFluor450(eBioscience)で、製造業者の使用説明書に従って標識した。標識した後、リンパ腫細胞を、100μg/mL抗hSIRPα抗体およびその希釈物、各アイソタイプ対照抗体および1μg/mLリツキシマブ(抗hCD20)を含有するアッセイ培地(10%ウシ胎児血清(Gibco)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたRPMI(Gibco))と混合した。その後、該リンパ腫細胞を、食細胞あたり腫瘍細胞2.5:1比のMDMを含有する個々のウェルに添加し、混合して、37℃、5%CO2および湿度95%で2時間インキュベートした。インキュベーションの後、ウェルをPBSで洗浄し、非貪食腫瘍細胞のほとんどを除去し、細胞を2%ホルムアルデヒドによりRTで10分間固定した。その後、ウェルを洗浄して、暗所内のPBS/3%BSA中に4℃で一晩保持した。ウェル中に存在するリンパ腫細胞を、ビオチンコンジュゲート化抗ヒトCD19クローンHIB19(eBioscience)によりRTで1時間染色し、次にAlexa Fluor488コンジュゲート化ストレプトアビジン(Thermo Fisher Scientific)によりRTで1時間対比染色した。次に核を、DRAQ5(Thermo Fisher Scientific)によりRTで10分間染色し、混合物を除去して、PBSを各ウェルに添加した。細胞を、Operetta自動蛍光顕微鏡(Perkin Elmer)で分析した。データは、Columbus V2.6ソフトウエアで処理および解析した。
【0495】
図16に示される通り、hSIRPα.40Aは、リツキシマブ介在性食作用を増進する。試料あたり少なくとも200個のマクロファージをカウントして、ヒトリンパ腫細胞の食作用を、以下の通り食作用指数を利用して定量した(マクロファージ中の腫瘍細胞数/マクロファージの数)×100。
【0496】
実施例16:ヒト化抗体の設計およびCDRグラフティング
マウスhSIRPα.40A抗体を、CDRグラフティング技術を利用してヒト化した(例えば、米国特許第5,225,539号およびWilliams,D.G. et al., 2010, Antibody Engineering, volume 1, Chapter 21参照)。最初に、ヒト生殖系配列を、IgBLAST(Ye J. et al.,Nucleic Acids Res. 41:W34-40(2013))を用いて同定した。hSIRPα.40A VHヒト生殖系配列については、V-遺伝子IGHV1-46*01を同定し(62.2%同一性)、VLヒト生殖系配列については、IGKV1-39*01を同定した(68.4%同一性)。これらの2種の生殖系配列をテンプレートとして用いて、マウスCDRをグラフトして、以下の2種のcDNA構築物を得た:SEQ ID NO:87(VH)およびSEQ ID NO:99(VL)。
【0497】
次に、IMGTデータベース中で利用可能なヒト配列の全てを含むデータベースを構築して(Lefranc, M.-P. et al., Nucleic Acid Res. 27:209-212(1999))、85,848の各配列を同定した。これらの配列を、TBLASTN(2.2.31+) を利用してクエリにして、hSIRPα.40A VHおよびVL配列のフレームワークへの最大同一性を実証するテンプレート配列を同定した。80%以上の類似性スコアを実証し、それぞれhSIRPα.40A VH CDR1、CDR2、CDR3、およびVL CDR1、CDR2、CDR3と類似の、好ましくは同一のCDR長を示す、4種のVHおよび4種のVL配列を同定した。
【0498】
重鎖については、GenBank(Benson,D.A. et al.,Nucleic Acids Res. 41(D1): D36-42(2013))アクセション番号L39130、DJ031925、DJ326840、およびEF177968によりコードされたフレームワークを、hSIRPα.40A VH CDRのグラフティングのためのテンプレートとして選択して、それぞれ以下のcDNA構築物:SEQ ID NO:77、79、81および83を得た。軽鎖については、GenBankアクセション番号AY731031、DQ840993、AY942002およびDQ535171によりコードされたフレームワークを、hSIRPα.40A VL CDRのストレートグラフティングのためのテンプレートとして選択して、以下のcDNA構築物:SEQ ID NO:89、91、93および95を得た。加えて、パブリックドメインで入手可能な全てのヒト化抗体配列を含むデータベースを構築して、300の配列を同定した。これらの配列を、BLASTP(2.2.31+)を用いてクエリにして、hSIRPα.40A VHおよびVL配列のフレームワークと最大同一性を実証するテンプレート配列を同定した。重鎖の場合、ゲムツズマブのフレームワークを、hSIRPα.40A VH CDRのグラフティング用のテンプレートとして選択して、以下のcDNA構築物:SEQ ID NO:85を得た。軽鎖の場合、アラシズマブのフレームワークを、hSIRPα.40A VL CDRのグラフティング用のテンプレートとして選択して、以下のcDNA構築物:SEQ ID NO:97を得た。
【0499】
フレームワークおよびCDRの定義は、Kabatら(“Sequences of Proteins of Immunological Interest”, Kabat,E., et al., US Department of Health and Human Services,(1983))により記載されたものであった。
【0500】
Fvの構造に及ぼすヒト化フレームワーク残基の影響を試験するために、マウスhSIRPα.40A Fvの相同性モデルを、Discovery Studio 4.5内の「Antibody Modeling Cascade」(デフォルトパラメータ)を利用して作製した。該相同性モデルは、軽鎖ではPDB ID 3UMTに、重鎖ではPDB ID 1EHLに、そしてFvではPDB ID 3BGFに基づいて構築した。CDRをコンピュータでグラフトして、バーニヤ残基と称される、CDRのいずれかに近くループコンフォメーションに影響及ぼし得る残基を試験した。ループコンフォメーションに影響を及ぼし得て、CDR表面まで5Å未満である残基を同定して、この位置でマウスアミノ酸と置換した。Discovery Studio 4.5を用いて、得られたテンプレートを翻訳後修飾(PTM)モチーフの存在について確認し、可能な限り(即ち、非CDR、非バーニヤ残基)変換して、PTMを予防した。VH CDR2は、アスパラギンからセリンへになることにより除去されたグリコシル化部位を含んでいた。
【0501】
CDRを同定されたテンプレートそれぞれにグラフトして、pcDNA3.1(+)ベクター(Thermo Fisher Scientific)内に、そして一過性トランスフェクトではFreeStyle 293-Fヒト胚性腎細胞(HEK293T/17、ATCC CRL-11268)内にクローニングされたヒトIgG2(SEQ ID NO:68)、カッパ(SEQ ID NO:64)抗体として発現させた。
【0502】
実施例17:キメラおよびヒト化構築物の合成、発現および精製
重鎖および軽鎖ヒト化構築物をコードするプラスミドを、1:1比で混合し(総量30μg)、293fectinトランスフェクション試薬(Invitrogen)を用い、製造業者の使用説明書に従ってFreeStyle293-F細胞へのトランスフェクションにより一過性に発現させた。上清(30ml)を7日後に採取して、0.22μmフィルターで濾過し、抗体をMabSelect SureプロテインA樹脂を用い、製造業者の使用説明書(GE Healthcare)に従って精製した。緩衝液を、Zeba脱塩カラム(Thermo Fisher Scientific)を用いて、10mMヒスチジン、100mM NaCl pH5.5緩衝液に交換した。精製された抗体の濃度を、OD280(Nanodrop ND-1000)に基づいて計測した。エンドトキシンレベルを、LALテストにより、製造業者の使用説明書(Lonza)に従って計測した。
【0503】
実施例18:ヒト化SIRPα抗体の結合
hSIRPαへの親およびヒト化抗体の結合を、CHO-K1.hSIRPαV1安定細胞株を用いてフローサイトメトリーにより評定した。CHO-K1.hSIRPαV1細胞を、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のヒト化hSIRPα.40A抗体変異体(20μg/mLおよびその希釈物)と共に40分間インキュベートした。次に、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、PBS/1%BSA中のAlexa Fluor647標識ヤギ抗マウスIgG(Invitrogen)またはAlexa Fluor647標識ロバ抗ヒトIgG(Jackson Immuno Research)検出抗体のいずれかと共に4℃で40分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、0.1μg/mL DAPI(BioLegend)を含有するPBS/1%BSAで再懸濁させて、FACSVerse(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。全結合シグナルの50%が観察された濃度であるEC50値を、GraphPad Prism 6(GraphPad Software, Inc.)を用いて計算した(
図17および表20)。
【表20】
【0504】
実施例19:ヒト化hSIRPα.40A抗体によるhSIRPαへのhCD47結合の遮断
hCD47遮断を、ヒト化hSIRPα.40A抗体の全パネルについてフローサイトメトリーにより評定した。この目的のために、U-937(ATCC CRL-1593.2)単球細胞株を、アッセイのhSIRPα供給源として用いた。U-937細胞を、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のFcR遮断試薬(Miltenyi Biotec)および親またはヒト化hSIRPα.40A抗体変異体(20μg/mLおよびその希釈物)と共に45分間インキュベートした。次に、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、10μg/mLDyLight488標識組換えhCD47/Fcタンパク質と共に4℃で30分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、0.1μg/mL DAPI(BioLegend)を含有するPBS/1%BSAに再懸濁させ、FACSVerse(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析して、GraphPad Prism 6(GraphPad Software,Inc)を用いてプロットした。
【0505】
図18および以下の表21に示される通り、ヒトIgG1のFcドメインに融合された組換えhCD47の結合を、増加量のヒト化hSIRPα.40A抗体変異体の存在下でモニタリングした。先に記載されたフローサイトメトリーに基づく方法を利用すると、ヒト化hSIRPα.40Aは、hSIRPα/hCD47相互作用を遮断した。hCD47の遮断についてのIC50値を、このデータから計算した。IC50値は、阻害の半分が観察された濃度を表す。
【表21】
【0506】
実施例20:hSIRPα.40Aの結合ドメイン
hSIRPα.40Aの結合領域を同定するために、複数のSIRPβ1交換突然変異体を、ヒトSIRPβ1およびhSIRPγアミノ酸配列に基づいて設計した。SIRPα/β1/γのフォールディングに基づいて、細胞外領域を3つの別のドメイン:Ig様(免疫グロブリン様)V型(IgV)、Ig様C1型(IgC1)、およびIg様C2型(IgC2)ドメインに細分することができる。IgVドメインは、SIRPαおよびSIRPγのリガンド結合N末端ドメイン(CD47に結合する)としても公知である。ヒトSIRPβ1/γ突然変異体を、全長hSIRPβ1配列(SEQ ID NO:38)に基づいて設計し、個々のIg様ドメインをヒトSIRPγ(SEQ ID NO:40)の同等のドメインで置換した。該構築物をコードするcDNAであるhSIRPα-VγC1βC2β(SEQ ID NO:110)、hSIRPα-VβC1γC2β(SEQ ID NO:112)、およびhSIRP-VβC1βC2γ(SEQ ID NO:114)を合成して(GeneArt)、pCI-neoベクターにサブクローニングした。交換突然変異体へのhSIRPα.40Aの結合を、CELISAを利用してテストした。この目的のために、CHO-K1細胞を、それぞれhSIRPαV1、hSIRPαV2、hSIRPβ1、hSIRP-VγC1βC2β、hSIRP-VβC1γC2β、およびhSIRP-VβC1βC2γをコードするpCI-neoベクターと共にLipofectamine2000を用いて一過性にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、コンフルエントになるまで培地(5%新生仔ウシ血清(Biowest)およびPen/Strep(Gibco)と含むDMEM-F12(Gibco))中、37℃、5%CO2および湿度95%で培養した。次に、細胞をトリプシン処理して、96ウェル平底組織培養プレートに播種し、コンフルエントになるまで37℃、5%CO2および湿度95%で培養した。その後、培地を除去して、細胞をhSIRPα.40A、hSIRPα.50Aおよび抗hSIRPαクローンSE5A5抗体と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで洗浄して、ヤギ抗マウスIgG-HRPコンジュゲート(Southern Biotech)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。その後、細胞をPBS-Tで3回洗浄して、抗hSIRPα免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を、0.5M H2SO4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。
【0507】
本発明の抗体は、hSIRP-VγC1βC2β突然変異体への結合増加を実証し、hSIRPα.40AがhSIRPαおよびhSIRPγのIgVドメインに結合することを示した(
図19および表22)。EC50値は、全結合シグナルの50%が観察された濃度を表す(平均およびSDは、2回の独立した実験の値から計算した)。
【表22】
【0508】
hSIRPα.40AとIgVドメインとの相互作用のためのアミノ酸を正確に定めるために、hSIRPαV1の複数の点突然変異体を、hSIRPαV1/V2とhSIRPβ1との単一アミノ酸の差に基づいて作製した。以下の配列アライメントは、hSIRPαおよびhSIRPβ1 IgVドメインのアライメントを示している。
【化1】
【0509】
hSIRPβ1において改変されているhSIRPα IgVドメイン内のアミノ酸を、QuikChange II部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)およびドナーcDNAとしての全長hSIRPαV1配列(SEQ ID NO:33)を用いて突然変異させた。hSIRPαV1点突然変異体へのhSIRPα.40Aの結合を、CELISAを用いてテストした。この目的のために、CHO-K1細胞を、pCI-neoベクターにサブクローニングされたhSIRPαV1およびその突然変異体ならびにhSIRPβ1の全長オープンリーディングフレームをコードするcDNAと共にLipofectamine2000を用いて一過性にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、96ウェル平底組織培養プレート内の培地(5%新生仔ウシ血清(BioWest)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたDMEM-F12(Gibco))に播種し、37℃、5%CO2および湿度95%で24時間培養した。次に、培地を除去して、細胞を精製hSIRPα抗体(10μg/mLおよびその希釈物で使用)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで洗浄して、ヤギ抗マウスIgG-HRP(Southern Biotech)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。その後、細胞をPBS-Tで3回洗浄して、hSIRPαV1、hSIRPαV1突然変異体およびhSIRPβ1に対する免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を、0.5M H2SO4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。全結合シグナルの50%が観察された濃度であるEC50値を、GraphPad Prism 6(GraphPad Software, Inc.)を用いて計算した(平均およびSDは、2回の独立した実験の値から計算した)。
【0510】
図20および以下の表23に示される通り、74位(P74)のプロリンは、hSIRPαV1へのhSIRPα.40Aの特異的結合にとって不可欠なアミノ酸を構成している。CHO-K1細胞上のP74がアラニンに変換されたhSIRPαV1(P74A)(SEQ ID NO:61)の発現は、hSIRPα.40A抗体結合の損失をもたらす。このプロリンは、hSIRPβ1のIgVドメイン配列内に存在せず、IgVドメインの正しいコンフォメーションにおいて役割を担う可能性がある。
【表23】
【0511】
実施例21:ヒトマクロファージ食作用アッセイにおけるキメラhSIRPα.40A mAb変異体の機能性
異なるFc定常ドメインにグラフトされたhSIRPα.40A可変ドメインの機能性を、ヒトマクロファージを用いたインビトロ食作用アッセイにより評定した。ヒトマクロファージの食作用アッセイのための実験条件は、先の実施例15での説明と類似したものであった。標識されたRajiリンパ腫細胞を、10μg/mLまたは1μg/mLのいずれかのキメラhSIRPα.40A抗体変異体および1μg/mLリツキシマブを含有するアッセイ培地と混合し、その後、食細胞あたり腫瘍細胞2.5:1比でMDMに添加した。細胞を、37℃、5%CO2および湿度95%で2時間インキュベートした。
【0512】
分析をOperetta自動蛍光顕微鏡(Perkin Elmer)により実施して、データをColumbus V2.6ソフトウエアで処理および解析した。試料あたり少なくとも200のマクロファージをカウントして、ヒトリンパ腫細胞の食作用を、以下の通り食作用指数を利用して定量した(マクロファージ中の腫瘍細胞数/マクロファージの数)×100。
【0513】
図21に示される通り、野生型(WT)キメラhSIRPα.40A.hIgG4抗体は、リツキシマブ介在性食作用を増進しないが、N297Q(SEQ ID NO: 126)、L234A.L235A(LALA)(SEQ ID NO: 123)、またはL234A.L235A.P329G(LALAPG)(SEQ ID NO: 125)突然変異を含有する不活性キメラhSIRPα.40A.hIgG1(SEQ ID NO:119)抗体変異体は、リツキシマブ介在性食作用活性を濃度依存的に増進する。同様に、hSIRPα.40A.hIgG2、およびV234A.G237A.P238S.H268A.V309L.A330S.P331S(Sigma)(SEQ ID NO:122)を含有する不活性キメラhSIRPα.40A.hIgG2抗体変異体は、リツキシマブ介在性食作用活性を濃度依存的に増進する。
【0514】
実施例22:ヒトマクロファージ食作用アッセイにおけるヒト化hSIRPα.40A mAb変異体の機能性
ヒト化hSIRPα.40A抗体変異体の選択されたセットの機能性を、ヒトマクロファージを用いたインビトロ食作用アッセイにより評定した。ヒトマクロファージ食作用アッセイの実験条件は、実施例6の説明と類似したものであった。
【0515】
図22に示された通り、ヒト化hSIRPα.40A抗体変異体は、リツキシマブ介在性食作用活性をhIgG2 FcにグラフトされたKWAR23抗体と類似の濃度依存的に増進する。
【0516】
実施例23:ヒトマクロファージ食作用アッセイにおけるキメラhSIRPα.50A mAb変異体の機能性
異なるFc定常ドメインにグラフトされたhSIRPα.50A可変ドメインの機能性を、ヒトマクロファージを用いたインビトロ食作用アッセイにより評定した。
図23Aに示された通り、キメラhSIRPα.50A.hIgG4抗体は、リツキシマブ介在性食作用をわずかだけ増進するが、キメラhSIRPα.50A.hIgG2抗体は、リツキシマブ介在性食作用活性をネズミhSIRPα.50A.mIgG1(SEQ ID NO:120)抗体と同様に増進する。
図23Bは、キメラhSIRPα.50A.hIgG2抗体がヒトIgG2アイソタイプ対照と比較してリツキシマブにより誘導された腫瘍細胞食作用を濃度依存的に強力に増進することを実証している。同様に、hSIRPα.50A.hIgG2は、ダラツムマブ介在性食作用を増進した(0.05μg/mLで使用された抗hCD38)(
図23C)。
【0517】
加えて、hSIRPα.50A.hIgG2はまた、ヒト顆粒球におけるリツキシマブ介在性食作用を増進した。
図23Dに示された通り、キメラhSIRPα.50A.hIgG2抗体は、リツキシマブにより誘導された食作用活性を、ネズミhSIRPα.50A.mIgG1抗体と同程度まで増進する。同様に、
図24Aに示された通り、キメラhSIRPα.50A.hIgG1.N297Q、hSIRPα.50A.hIgG4.N297Q(SEQ ID NO: 127)またはhSIRPα.50A.hIgG2抗体は、ヒトMDMによるリツキシマブ介在性食作用活性をネズミhSIRPα.50A.mIgG1抗体(1μg/mLで使用されたリツキシマブ)と同程度まで増進する。食作用がダラツムマブ(0.05μg/mL)により誘導された場合に、類似の観察が
図24Bで行われた。
図25に示された通り、キメラhSIRPα.50A.hIgG1.N297QおよびhSIRPα.50A hIgG1.L234A.L235A.P329G抗体もまた、ヒトMDMによるリツキシマブ介在性食作用活性をhSIRPα.50A.hIgG2抗体(1μg/mLで使用されたリツキシマブ)と同程度まで増進する。野生型hIgG1またはhIgG4 Fc領域を含有するhSIRPα.50A mAbのキメラ変異体は、腫瘍細胞食作用を増進しなかった。
【0518】
実施例24:KWAR23、クローン18D5、hSIRPα.50A、およびhSIRPα.40A抗体の比較
hSIRPαV1、hSIRPαV1(P74A)、hSIRPαV2、およびhSIRPβ1への結合についてのモノクローナル抗hSIRPα抗体KWAR23、WO2017/178653からのクローン18D5(SEQ ID NO:128;SEQ ID NO:129)、hSIRPα.50A、およびhSIRPα.40Aの特異性の直接比較を、CELISAにより評価した。pCI-neoベクター(Promega、ウィスコンシン州マディソン所在)にサブクローニングされたhSIRPαV1、hSIRPαV1(p74A)、hSIRPαV2、およびhSIRPβ1の全長オープンリーディングフレームをコードするcDNAを発現するCHO-K1細胞(ATCC CCL-61)を用いて、反応性を確認した。CHO-K1.hSIRPαV1、CHO-K1.hSIRPαV1(P74A)、CHO-K1.hSIRPαV2、およびCHO-K1.hSIRPβ1細胞を、 96ウェル平底組織培養プレート内の培地(5%新生仔ウシ血清(BioWest)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたDMEM-F12(Gibco))に播種し、37℃、5%CO2および湿度95%で24時間インキュベートした。次に、培地を除去して、細胞を精製hSIRPα抗体(10μg/mLおよびその希釈物を使用)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで洗浄して、ヤギ抗マウスIgG-HRP(Southern Biotech)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで3回洗浄し、hSIRPαV1、hSIRPαV1(P74A)、hSIRPαV2、およびhSIRPβ1に対する免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を、0.5M H2SO4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。全結合シグナルの50%が観察された濃度であるEC50値を、GraphPad Prism 6(GraphPad Software, Inc.)を用いて計算した。
【0519】
hSIRPγへの結合を、Jurkat E6.1 T細胞白血病細胞株(ECACC88042803)を用いたフローサイトメトリーにより評定した。Jurkat細胞を、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中の抗hSIRPα抗体(20μg/mLおよびその希釈物)と共に40分間インキュベートした。次に、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、PBS/1%BSA中のAlexa Fluor647標識ヤギ抗マウスIgG(Invitrogen)検出抗体と共に4℃で40分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、0.1μg/mL DAPI(BioLegend)を含有するPBS/1%BSAに再懸濁させ、FACSVerse(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析した。全結合シグナルの50%が観察された濃度であるEC50値を、GraphPad Prism 6(GraphPad Software, Inc.)を用いて計算した。
【0520】
表24に示された通り、KWAR23およびクローン18D5抗体は、少なくともhSIRPβ1およびhSIRPαV1のP74A変異体と交差反応する。本発明のhSIRPα.50AおよびhSIRPα.40A抗体は、テストされた条件下でhSIRPβ1またはhSIRPαV1のP74A変異体のいずれにも結合しない。これに関連して、本発明のhSIRPα.50AおよびhSIRPα.40A抗体は、WO2013/056352から抗体クローンSIRP29と同様に識別される。WO2017/178653の
図7AおよびBは、SIRPβ1(「sirp-b」と称される。antibodies-online.comからの製品番号ABIN3077231)へのクローンSIRP29およびKWAR23結合を比較しており、クローンSIRP29およびKWAR23のそれぞれがSIRPβ1に対してナノモル単位の親和性を有することが実証される。
【表24】
【0521】
KWAR23、クローン18D5、およびhSIRPα.40A抗体のためのhCD47遮断を、フローサイトメトリーにより評定した。この目的のために、THP-1(ATCC TIB-202)およびU-937(ATCC CRL-1593.2)単球細胞株を、アッセイのhSIRPα供給源として用いた。THP-1およびU-937細胞を、96ウェル丸底組織培養プレートに播種し、4℃のPBS/1%BSA中のFcR遮断試薬(Miltenyi Biotec)および示された抗hSIRPα抗体(20μg/mLおよびその希釈物)と共に45分間インキュベートした。次に、細胞をPBS/1%BSAで3回洗浄し、10μg/mLDyLight488標識組換えhCD47/Fcタンパク質と共に4℃で30分間インキュベートした。この標識手順の後、細胞を2回洗浄し、0.1μg/mL DAPI(BioLegend)を含有するPBS/1%BSAに再懸濁させ、FACSVerse(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより分析した。データは、FlowJo V10ソフトウェア(FlowJo、LLC)で処理および解析して、GraphPad Prism 6(GraphPad Software,Inc)を用いてプロットした。ヒトIgG1のFcドメインに融合された組換えhCD47の結合を、増加量の抗hSIRPα抗体の存在下でモニタリングした。hCD47の遮断についてのIC50値を、このデータから計算した。IC50値は、阻害の半量が観察された濃度を表す。
【0522】
表18および表25に示された通り、hSIRPα.40A、hSIRPα.50AおよびKWAR23抗体は、それぞれhSIRPαV2およびhSIRPαV1対立遺伝子を発現するTHP-1およびU-937単球細胞株の両方へのrhCD47/Fc結合を遮断する。抗体クローン18D5は、U-937単球細胞株へのrhCD47/Fc結合を遮断するが、THP-1単球細胞株へのrhCD47/Fc結合を遮断せず、18D5がhSIRPαV2に結合しないという観察と一致する(表24)。これに関連して、本発明のhSIRPα.50AおよびhSIRPα.40A抗体は、抗体クローン18D5と同様に識別される。
【表25】
【0523】
実施例25:hSIRPα-hSIRPα.40AとhSIRPα-hSIRPα.50Aとの相互作用界面のマッピング
hSIRPα.40AまたはhSIRPα.50Aにより結合されたhSIRPαへのアミノ酸を、重水素化された化学架橋と、その後の酵素消化および質量分析法を用いた検出を含む手順により明確化した。最初に、hSIRPα.40A抗体およびrhSIRPα-HIS抗原(SinoBiological 11612-H08H-100、SEQ ID NO:132)、またはhSIRPα.50A抗体およびrhSIRPα-HIS抗原をインキュベートして結合を促進し、完全性および凝集のレベルを、HM4相互作用モジュール(CovaIX)を具備したUltraflex III MALDI TOF質量分析計(Bruker)により検証した。これらの対照実験では、抗体または抗原の10μL試料の希釈系列(1mg/mLから出発して1~128倍希釈)を調製した。それぞれのうち、9μLは、K200MALDI MS分析キットを用い、製造業者の使用説明書に従って(CovaIX)架橋に供され、180分間インキュベートし、1μLは、質量分析法に直接用いた(High-Mass MALDI)。質量分析法により、該抗体および抗原が予測された分子量:hSIRPα.40A=151.68 kDa(架橋剤を含んで152.78kDa)、hSIRPα.50A=151.80 kD(架橋剤を含んで153.17 kDa)、およびrhSIRPα-HIS=46.05 kDa(架橋剤を含んで48.67 kDa)を有することが示された。抗原-抗体複合体の特徴づけのために、混合物を過剰の抗原で作製した(rhSIRPα-HIS:hSIRPα.40Aの抗原:抗体比10.8μM:8.5μM、およびrhSIRPα-HIS:hSIRPα.50Aの抗原:抗体比5.4μM:2.13μM)。抗原-抗体混合物の試料9μLは、K200 MALDI MS分析キットを用い、製造業者の使用説明書に従って架橋に供され、1μLは、質量分析法に直接用いた。抗体および抗原の検出量(hSIRPα.40A:151.18 kDa、rhSIRPα-HIS 45.93kDa、hSIRPα.50A:151.69kDa、rhSIRPα-HIS 46.18kDa)は、過去に検出された分子量に対応する。架橋後の抗原-抗体複合体を、rhSIRPα-HIS:hSIRPα.40Aでは1:1(195.24kDa)および2:1(240.48kDa)化学量論比の2種の非共有結合複合体として、そしてrhSIRPα-HIS:hSIRPα.50Aでは1:1(198.24kDa)化学量論比の1種の非共有結合複合体として検出した。抗体および抗原が結合された非共有結合凝集体、非共有結合凝集体、または非特異的マルチマーは、検出されなかった。
【0524】
次に、rhSIRPα-HISのペプチドマスフィンガープリンティングを実施した。試料は、製造業者の使用説明書に従ってASP-N、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼおよびテルモリシン(RocheDiagnostic)タンパク質分解に供され、その後、LTQ Orbitrap XL質量分析装置(Thermo Scientific)と直列につながれたUltimate 3000(Dionex)システムを用いたnLC-LTQ Orbitrap MS/MSによる分析に従った。このタンパク質分解アレイにより、配列の98%が同定されたペプチドに含まれていた。
【0525】
rhSIRPα-HIS抗原上のhSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体のアミノ酸と、高分解能との相互作用を計測するために、抗原-抗体複合体(rhSIRPα-HIS:hSIRPα.40A比 10.8μM:8.5μM、rhSIRPα-HIS:hSIRPα.50A比 5.4μM:2.13μM)を、重水素化架橋剤d0/d12(K200 MALDIキット)と共に180分間インキュベートし、酵素ASP-N、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼおよびテルモリシンでの多重酵素分解に供した。架橋ペプチドの濃縮後に、試料を高分解能質量分析法(nLC-Orbitrap MS)により分析し、作成されたデータをXQuest(Jin Lee, Mol. Biosyst. 4:816-823(2008))およびStavrox(Gotze et al., J. Am. Soc. Mass Spectrom. 23:76-87(2012))を用いて解析した。hSIRPα.40AおよびhSIRPα.50Aのアミノ酸をrhSIRPα-HISに相互作用させて、ヒトSIRPαV1(SEQ ID NO:34)上にマッピングした。hSIRPα.40Aでは架橋残基が、枠内の太字で表され、hSIRPα.50Aでは下線を付された太字で表されている:
【化2】
【0526】
P74残基と同定された架橋残基の間のC-アルファ距離を、SIRPαの結晶構造を利用してDiscovery Studioで測定した(PDB ID 4CMM)。hSIRPα.50Aについて同定された架橋残基は、P74残基から14.0~21.4オングストロームのC-アルファ原子距離であり;hSIRPα.40Aで同定された架橋残基は、P74残基から16.2~33.5オングストロームのC-アルファ原子距離である。C-アルファ距離は、700Å2というエピトープ-パラトープ表面積の予測範囲内にあてはまる(Rowley et al., Biotech. Ann. Rev. 10:151-188(2004))。同定された残基および表面積は、抗hSIRPα抗体KWAR23の結合エピトープと明確に異なる(Ring et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 114:E10578-E10585(2017))。
【0527】
実施例26:hSIRPαV1、hSIRPαV1(P74A)、およびhSIRPβ1への結合についてのhSIRPα抗体の比較
hSIRPαV1、hSIRPαV1(P74A)、およびhSIRPβ1への結合についてのモノクローナル抗hSIRPα抗体(例えば、当該技術分野で知られるhSIRPα抗体であるKWAR23(米国特許第CA2939293 A1号)、18D5(特許WO2017/178653 A2号)、および様々な市販のhSIRPα抗体)の特異性を、CELISAにより評価した。pCI-neoベクター(Promega、ウィスコンシン州マディソン所在)にサブクローニングされたhSIRPαV1、hSIRPαV1(p74A)、およびhSIRPβ1の全長オープンリーディングフレームをコードするcDNAを発現するCHO-K1細胞(ATCC CCL-61)を用いて、反応性を確認した。CHO-K1.hSIRPαV1、CHO-K1.hSIRPαV1(p74A)、およびCHO-K1.hSIRPβ1細胞を、 96ウェル平底組織培養プレート内の培地(5%新生仔ウシ血清(BioWest)およびPen/Strep(Gibco)を補充されたDMEM-F12(Gibco))に播種し、37℃、5%CO2および湿度95%で24時間インキュベートした。次に、培地を除去して、細胞を精製hSIRPα抗体(10μg/mLおよびその希釈物を使用)と共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで洗浄して、ヤギ抗マウスIgG-HRP(Southern Biotech)、ヤギ抗ヒトIgG-HRP(Jackson Immuno Research)、またはヤギ抗ウサギIgG-HRP(Southern Biotech)のいずれかと共に37℃、5%CO2および湿度95%で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBS-Tで3回洗浄し、hSIRPαV1、hSIRPαV1(p74A)、およびhSIRPβ1に対する免疫反応性を、TMB Stabilized Chromogen(Invitrogen)で視覚化した。反応を、0.5M H2SO4で停止させて、吸光度を450および610nmで読み取った。全結合シグナルの50%が観察された濃度であるEC50値を、GraphPad Prism 6(GraphPad Software, Inc.)を用いて計算した。
【0528】
表26に示される通り、KWAR23、クローン18D5、および全ての市販されるモノクローナル抗hSIRPα抗体は、hSIRPαV1のP74A変異体に結合することができるが、本発明のhSIRPα.40AおよびhSIRPα.50A抗体は、テストされた条件ではhSIRPαV1のP74A変異体に結合しない。
【表26】
【表27】
【0529】
各個別の発行物、データベースエントリー(例えば、Genbank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願、または特許が、具体的かつ個別に参照により組み入れられるのと同程度に、本明細書で引用された全ての参照が参照により組み入れられる。参照による組み入れの表明は、あらゆる個別の発行物、データベースエントリー(例えば、Genbank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願、または特許に関係することが37C.F.R.§1.57(b)(1)に準じて出願者により意図され、そのような引用が特定の目的のための参照による組み入れの表明に直接隣接しないとしても、該発行物、データベースエントリー、特許出願、または特許のそれぞれが、37C.F.R.§1.57(b)(2)に従って明確に識別される。本明細書内に特定の目的のための参照による組み入れの表明を含むことは、例えあるとしても、参照による組み入れの全般的表明を弱めるものではない。本明細書内の参考資料の引用は、参考資料が関連する先行技術であることの承認であると意図するのではなく、またこれらの発行物もしくは文書の内容もしくは日付に関する承認を構成するものではない。参考資料が、本出願で提供された定義と矛盾する請求された項目への定義を提供する限り、本出願に提供された定義が、請求された本発明を解釈するために用いられる。
【0530】
本発明は、本明細書に記載された具体的実施形態による範囲に限定されない。実際に、本明細書に記載されたものに加えて、本発明の様々な改変が、前述の説明および添付の図から当業者に明白となろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0531】
先に記載された詳細は、当業者に本発明を実践させるのに充分と思われる。本明細書に図示および記載されたものに加え、本発明の様々な改変が、前述の説明から当業者に明白になり、添付の特許明細書の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号34の配列を有するヒトSIRPαV1タンパク質に10nM未満のEC
50
で結合する可変領域を含む、単離された治療抗体であって、
前記可変領域は、配列番号34のPro
74
に対応する位置でSIRP IgVドメイン中にプロリンを含むヒトSIRPアイソフォームと配列番号34の残基74に対応するプロリンがアラニンに置き換えられているヒトSIRPアイソフォームを識別する、
単離された治療抗体。
【請求項2】
配列番号34の配列を有するヒトSIRPαとヒトCD47との結合を10nM未満のIC
50
で阻害する、請求項1に記載の単離された治療抗体。
【請求項3】
ヒトSIRPαV2タンパク質を発現する細胞に10nM未満のEC
50
で結合する、請求項1に記載の単離された治療抗体。
【請求項4】
配列番号34の配列を有するヒトSIRPαV1タンパク質を発現する細胞に1nM未満のEC
50
で結合し、ヒトSIRPαV2タンパク質を発現する細胞に1nM未満のEC
50
で結合する、請求項3に記載の単離された治療抗体。
【請求項5】
IgGである、請求項1に記載の単離された治療抗体。
【請求項6】
前記IgGの2つの可変領域の各々が、配列番号34の配列を有するヒトSIRPαV1タンパク質に10nM未満のEC
50
で結合し、配列番号34のPro
74
に対応する位置でSIRP IgVドメイン中にプロリンを含むヒトSIRPアイソフォームと配列番号34の残基74に対応するプロリンがアラニンに置き換えられているヒトSIRPアイソフォームを識別する、請求項5に記載の単離された治療抗体。
【請求項7】
少なくとも79のT20「ヒト性」スコアを示す、請求項5に記載の単離された治療抗体。
【請求項8】
少なくとも79のT20「ヒト性」スコアを示す、請求項6に記載の単離された治療抗体。
【請求項9】
IgGである、請求項4に記載の単離された治療抗体。
【請求項10】
前記IgGの2つの可変領域の各々が、配列番号34の配列を有するヒトSIRPαV1タンパク質に10nM未満のEC
50
で結合し、配列番号34のPro
74
に対応する位置でSIRP IgVドメイン中にプロリンを含むヒトSIRPアイソフォームと配列番号34の残基74に対応するプロリンがアラニンに置き換えられているヒトSIRPアイソフォームを識別する、請求項9に記載の単離された治療抗体。
【請求項11】
少なくとも79のT20「ヒト性」スコアを示す、請求項9に記載の単離された治療抗体。
【請求項12】
少なくとも79のT20「ヒト性」スコアを示す、請求項10に記載の単離された治療抗体。
【請求項13】
請求項1に記載の治療抗体と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【請求項14】
請求項4に記載の治療抗体と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【請求項15】
請求項5に記載の治療抗体と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【請求項16】
請求項6に記載の治療抗体と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【請求項17】
請求項7に記載の治療抗体と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【請求項18】
請求項8に記載の治療抗体と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【請求項19】
請求項9に記載の治療抗体と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【請求項20】
請求項10に記載の治療抗体と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【請求項21】
請求項11に記載の治療抗体と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。
【請求項22】
請求項12に記載の治療抗体と、医薬的に許容できる担体または希釈剤と、を含む組成物。