(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019141
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】モータ用コイル基板とモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/26 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
H02K3/26 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122785
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】森田 治彦
(72)【発明者】
【氏名】三輪 等
(72)【発明者】
【氏名】加藤 忍
(72)【発明者】
【氏名】横幕 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久始
(72)【発明者】
【氏名】平澤 貴久
(72)【発明者】
【氏名】村木 哲也
(72)【発明者】
【氏名】古野 貴之
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB01
5H603CC02
5H603CD25
(57)【要約】
【課題】 高効率なモータ用コイル基板の提供
【解決手段】 実施形態のモータ用コイル基板20は、一端22Lと他端22Rとを有するフレキシブル基板22とフレキシブル基板22上に形成されている複数のコイルCとを有するコイル基板201を巻くことで形成される。そして、モータ用コイル基板20はコイル基板201をN回巻くことによって形成されていて、前記Nは2以上であって、コイルCの数は3の倍数である。フレキシブル基板22は1周目の第1フレキシブル基板22-1と2周目の第2フレキシブル基板22-2を含む。第1フレキシブル基板22-1上に形成されているコイルCと第2フレキシブル基板22-2上に形成されているコイルCは部分的に重なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端と前記一端と反対側の他端とを有するフレキシブル基板と前記フレキシブル基板上に形成されている複数のコイルとを有するコイル基板を巻くことで形成されるモータ用コイル基板であって、
前記モータ用コイル基板は前記コイル基板をN回巻くことによって形成されていて、前記Nは2以上であって、前記コイルの数は3の倍数であって、前記フレキシブル基板は1周目のフレキシブル基板(第1フレキシブル基板)と前記第1フレキシブル基板から延びていて前記第1フレキシブル基板の周りに巻かれている2周目のフレキシブル基板(第2フレキシブル基板)を含み、前記第1フレキシブル基板は前記一端を含み、前記第2フレキシブル基板は前記第1フレキシブル基板の外側に位置し、前記第1フレキシブル基板上に形成されている前記コイルと前記第2フレキシブル基板上に形成されている前記コイルは部分的に重なる。
【請求項2】
請求項1のモータ用コイル基板であって、前記コイルはU相コイルとV相コイルとW相コイルを含み、前記コイルは前記一端から前記他端に向かって配置されていて、前記U相コイルと前記V相コイルと前記W相コイルは、前記U相コイル、前記V相コイル、前記W相コイルの順で配置されている。
【請求項3】
請求項2のモータ用コイル基板であって、前記第1フレキシブル基板上に形成されている前記コイルの数と前記第2フレキシブル基板上に形成されている前記コイルの数との和は3である。
【請求項4】
請求項2のモータ用コイル基板であって、前記一端に最も近い前記コイルは前記U相コイルであって、前記コイルは、中央スペースと前記中央スペースを囲む配線で形成されていて、前記配線は渦巻き状に形成されていて、前記U相コイルの前記中央スペース上に前記V相コイルを形成する前記配線と前記W相コイルを形成する前記配線が位置する。
【請求項5】
請求項1のモータ用コイル基板であって、前記フレキシブル基板は前記第2フレキシブル基板から延びていて前記第2フレキシブル基板の周りに巻かれている3周目のフレキシブル基板(第3フレキシブル基板)と前記第3フレキシブル基板から延びていて前記第3フレキシブル基板の周りに巻かれている4周目のフレキシブル基板(第4フレキシブル基板)を含み、前記第3フレキシブル基板は前記第2フレキシブル基板の外側に位置し、前記第4フレキシブル基板は前記第3フレキシブル基板の外側に位置し、前記第3フレキシブル基板上に形成されている前記コイルと前記第4フレキシブル基板上に形成されている前記コイルは部分的に重なる。
【請求項6】
請求項5のモータ用コイル基板であって、前記コイルはU相コイルとV相コイルとW相コイルを含み、前記コイルは前記一端から前記他端に向かって配置されていて、前記U相コイルと前記V相コイルと前記W相コイルは、前記U相コイル、前記V相コイル、前記W相コイルの順で配置されている。
【請求項7】
請求項6のモータ用コイル基板であって、前記第1フレキシブル基板上に形成されている前記コイルの数と前記第2フレキシブル基板上に形成されている前記コイルの数との和は3であって、前記第3フレキシブル基板上に形成されている前記コイルの数と前記第4フレキシブル基板上に形成されている前記コイルの数との和は3である。
【請求項8】
請求項6のモータ用コイル基板であって、前記一端に最も近い前記コイルは前記U相コイルであって、前記コイルは、中央スペースと前記中央スペースを囲む配線で形成されていて、前記配線は渦巻き状に形成されていて、前記第1フレキシブル基板上の前記U相コイルの前記中央スペース上に前記第2フレキシブル基板上の前記V相コイルを形成する前記配線と前記第2フレキシブル基板上の前記W相コイルを形成する前記配線が位置し、前記第3フレキシブル基板上の前記U相コイルの前記中央スペース上に前記第4フレキシブル基板上の前記V相コイルを形成する前記配線と前記第4フレキシブル基板上の前記W相コイルを形成する前記配線が位置する。
【請求項9】
請求項8のモータ用コイル基板であって、前記第1フレキシブル基板上の前記U相コイルを形成する前記配線上に前記第3フレキシブル基板上の前記U相コイルを形成する前記配線が位置する。
【請求項10】
請求項4のモータ用コイル基板であって、前記配線は前記中央スペースを介して向かい合っている複数の第1配線と複数の第2配線を含み、前記第1配線のそれぞれは概ね平行に形成されていて、前記第2配線のそれぞれは概ね平行に形成されていて、前記第1配線と前記第2配線は概ね平行に形成されていて、前記モータ用コイル基板内に磁石が配置されると、前記モータ用コイル基板と前記磁石でモータが形成され、前記第1配線と前記モータの回転方向との間の角度は略90度である。
【請求項11】
請求項8のモータ用コイル基板であって、前記配線は前記中央スペースを介して向かい合っている複数の第1配線と複数の第2配線を含み、前記第1配線のそれぞれは概ね平行に形成されていて、前記第2配線のそれぞれは概ね平行に形成されていて、前記第1配線と前記第2配線は概ね平行に形成されていて、前記モータ用コイル基板内に磁石が配置されると、前記モータ用コイル基板と前記磁石でモータが形成され、前記第1配線と前記モータの回転方向との間の角度は略90度である。
【請求項12】
請求項10のモータ用コイル基板であって、前記第1フレキシブル基板上の前記コイルは幅(第1幅)を有し、前記第2フレキシブル基板上の前記コイルは幅(第2幅)を有し、前記第2幅は前記第1幅より大きく、前記複数の第1配線の内、最も外側の第1配線は外側の第1配線であり、前記複数の第2配線の内、最も外側の第2配線は外側の第2配線であり、前記外側の第1配線は前記中央スペースに向いている第1側壁と前記第1側壁と反対側の第2側壁とを有し、前記外側の第2配線は前記中央スペースに向いている第3側壁と前記第3側壁と反対側の第4側壁とを有し、前記第1幅と前記第2幅は前記第2側壁と前記第4側壁との間の距離である。
【請求項13】
請求項12のモータ用コイル基板であって、前記第1フレキシブル基板上に形成されている前記コイル間にギャップ(第1ギャップ)が存在し、前記第2フレキシブル基板上に形成されている前記コイル間にギャップ(第2ギャップ)が存在し、前記第1ギャップと前記第2ギャップは略等しい。
【請求項14】
請求項1のモータ用コイル基板と、
前記モータ用コイル基板内に配置される磁石、とからなるモータ。
【請求項15】
請求項1のモータ用コイル基板であって、さらに、中央スペースを含み、前記中央スペース内に前記フレキシブル基板を貫通する開口が形成されていて、前記コイルは前記中央ペースの周りに形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用コイル基板とモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電気モータに関し、その電気モータはワイヤからなる複数のシングルコイルを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献の課題]
特許文献1の電気モータはワイヤからなる複数のシングルコイルを含んでいる。コイルがワイヤで形成されている。ワイヤが細いと、ワイヤを巻くことが難しいと考えられる。例えば、ワイヤが切れると考えられる。高い位置精度でワイヤを巻くことは難しいと考えられる。その場合、占積率が低下すると推察される。例えば、特許文献1のワイヤを細くすることで、小さな電気モータを製造することができると考えられる。しかしながら、ワイヤが細いと、コイルに大きな電流を流すことが難しいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るモータ用コイル基板は、一端と前記一端と反対側の他端とを有するフレキシブル基板と前記フレキシブル基板上に形成されている複数のコイルとを有するコイル基板を巻くことで形成される。そして、前記モータ用コイル基板は前記コイル基板をN回巻くことによって形成されていて、前記Nは2以上であって、前記コイルの数は3の倍数であって、前記フレキシブル基板は1周目のフレキシブル基板(第1フレキシブル基板)と前記第1フレキシブル基板から延びていて前記第1フレキシブル基板の周りに巻かれている2周目のフレキシブル基板(第2フレキシブル基板)を含み、前記第1フレキシブル基板は前記一端を含み、前記第2フレキシブル基板は前記第1フレキシブル基板の外側に位置し、前記第1フレキシブル基板上に形成されている前記コイルと前記第2フレキシブル基板上に形成されている前記コイルは部分的に重なる。
【0006】
[実施形態の効果]
本発明の実施形態によれば、コイルが配線で形成されている。例えば、プリント配線板の技術でコイルを形成することができる。そのため、コイルを形成する配線の断面を略矩形にすることができる。コイルの占積率を高くすることができる。第1フレキシブル基板上に形成されているコイルと第2フレキシブル基板上に形成されているコイルは部分的に重なる。このため、コイルの占積率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(A)は第1実施形態のモータの模式図であり、
図1(B)は第1実施形態のモータ用コイル基板の模式図であり、
図1(C)は配線の平面図であり、
図1(D)はコイルの平面図であり、
図1(E)はコイルの断面図である。
【
図2】
図2(A)は第1実施形態のモータ用コイル基板の断面の模式図であり、
図2(B)は第1実施形態のコイルの重なりを示す模式図であり、
図2(C)は開口の周りに形成されているコイルを示す。
【
図5】
図5(A)は第1実施形態の改変例のモータ用コイル基板の断面の模式図であり、
図5(B)はコイルの重なりを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
図3に示されるコイル基板201が準備される。コイル基板201は第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sとを有するフレキシブル基板22とフレキシブル基板22の第1面F上のコイルC(C11、C12、C13)で形成されている。コイル基板201を巻くことで、
図1(B)に示されるモータ用コイル基板20が得られる。例えば、コイル基板201は筒状に巻かれる。モータ用コイル基板20は空洞AHの周りに巻かれる。例えば、モータ用コイル基板20の形状は円筒である。巻く回数Nは、2以上、5以下である。
図1(B)は模式図である。
【0009】
図1(A)に示されるように、モータ用コイル基板20内に磁石48を配置することで、モータ10が得られる。
図1(A)は模式図である。モータ用コイル基板20は、空洞AHを介し磁石48の周りに配置されている。モータ10の例は、ブラシレスモータである。第1実施形態では、磁石48が回転するが、モータ用コイル基板20が回転してもよい。
【0010】
図3に示されるように、フレキシブル基板22は、短辺20Sと長辺20Lとを有することが好ましい。フレキシブル基板22は一端22Lと一端22Lと反対側の他端22Rを有する。短辺20Sは一端22Lを兼ねる。コイルC(C11、C12、C13)は、フレキシブル基板22の長辺20Lに沿って並んでいる。フレキシブル基板22の一端22Lから他端22Rに向かって、コイルCは一列に並んでいる。一番目のコイルC11(U11)がU相コイルである。二番目のコイルC12(V11)がV相コイルである。三番目のコイルC13(W11)がW相コイルである。U相コイルとV相コイルとW相コイルは、U相コイルU11、V相コイルV11、W相コイルW11の順で配置されていて、一端22Lに最も近いコイルCはU相コイルU11である。コイルCの数は3の倍数M(数M)である。
図3の例では、コイルの数は3である。
【0011】
コイル基板201は1つのフレキシブル基板22で形成されている。コイル基板201を形成するフレキシブル基板22は複数の部分Pに分けられる。従って、コイル基板201も複数の部分Pに分けられる。コイル基板201は複数の部分Pで形成され、部分Pの数はNである。コイル基板201を形成する部分Pは一端22Lから他端22Rに向かって並んでいる。1番目の部分P1はフレキシブル基板22の一端22Lを含む。2番目の部分P2は1番目の部分P1の隣である。例えば、Nはフレキシブル基板22を巻く回数である。N番目の部分PNはフレキシブル基板22の他端22Rを含む。
【0012】
図3の例では、部分Pの数は2である。
図3のコイル基板201は、一番目の部分P1と二番目の部分P2で形成されている。
コイル基板201内に一番目のコイルC11と二番目のコイルC12と三番目のコイルC13が並んでいる。
【0013】
フレキシブル基板22上に形成されている複数のコイルCは同時に形成される。例えば、共通のアライメントマークを用いることで、複数のコイルCはフレキシブル基板22上に形成される。そのため、各コイルCの位置は関連している。
【0014】
図1(C)にコイルCの例が示される。コイルCは中央スペースSCと中央スペースSCを囲む配線wで形成される。そして、配線wは外端OEと内端IEを有する。配線wは外端OEと内端IEとの間に形成されている。コイルCを形成する配線wは渦巻き状に形成されている。コイルCを形成する配線wの内、最も内側の配線で中央スペースSCは囲まれる。複数の配線wの内、最も内側の配線wは、内側の配線Iwである。最も外側の配線wは、外側の配線Owである。コイルCは中央スペースSCの周りに形成されている。
【0015】
図1(C)に示されるように、配線wは、中央スペースSCを介して向かい合っている複数の第1配線51と複数の第2配線52とを含む。1つのコイルC内で、第1配線51は一端22Lに近く、第2配線52は他端22Rに近い。第1配線51のそれぞれは概ね平行に形成されている。第2配線52のそれぞれは概ね平行に形成されている。第1配線51と第2配線52は概ね平行に形成されている。第1実施形態のコイル基板201を用いてモータ10が製造される時、
図1(B)に示されるモータの回転方向MRと第1配線51との間の角度が略90度である。第1配線51を流れる電流の向きとモータの回転方向MRとの間の角度は略90度である。
【0016】
配線wは、さらに第1配線51と第2配線52とをつなぐ第3配線53を有する。
【0017】
複数の第1配線51の内、最も外に位置する第1配線は外側の第1配線51Owである。
複数の第1配線51の内、最も内側の配線は内側の第1配線51Iwである。内側の第1配線51Iwは中央スペースSCに面している。
複数の第2配線52の内、最も外に位置する配線は外側の第2配線52Owである。
複数の第2配線52の内、最も内側の配線は内側の第2配線52Iwである。内側の第2配線52Iwは中央スペースSCに面している。
【0018】
図1(D)では、配線wが纏められている。第1配線51を纏めることで第1配線群51gが形成される。第2配線52を纏めることで第2配線群52gが形成される。
図1(E)は、1つのコイルCの断面図である。
図1(E)は、第1配線51と第2配線52の断面を示す。
【0019】
各コイルCは、
図1(D)と
図1(E)に示される距離(幅)Wを有する。
第1配線51は中央スペースSCに向いている第1側壁sw1と第1側壁sw1と反対側の第2側壁sw2とを有する。第2配線52は中央スペースSCに向いている第3側壁sw3と第3側壁sw3と反対側の第4側壁sw4とを有する。距離Wは、m番目のコイルを形成する外側の第1配線51Owの第2側壁sw2とm番目のコイルを形成する外側の第2配線52Owの第4側壁sw4との間の距離である。
距離Wは、第1配線51に垂直な直線に沿って測定されている。
【0020】
特許文献1のシングルコイルはワイヤで形成されている。それに対し、第1実施形態のコイルCはプリント配線板の技術で形成されている。コイルCを形成する配線wはめっきにより形成されている。あるいは、コイルCを形成する配線wは銅箔をエッチングすることで形成される。コイルCを形成する配線wは、セミアディティブ法やM-Sap法やサブトラクティブ法で形成される。
【0021】
コイルCを形成する配線wはプリント配線板の技術で形成されている。そのため、配線wの断面形状は略矩形である。第1実施形態によれば、コイルCの占積率を高くすることができる。
【0022】
コイル基板201を巻くことで、第1実施形態のモータ用コイル基板20が得られる。この時、各部分Pが概ね1周を作るように、コイル基板201は巻かれる。
コイル基板201の巻き方の例が
図1(B)を用いて説明される。
図3に示されるコイル基板201は一番目の部分P1と二番目の部分P2で形成される。そして、
図3のコイル基板201が巻かれると、
図1(B)に示されるように、一番目の部分P1が概ね1周を形成する。さらに、一番目の部分P1に繋がっている二番目の部分P2が概ね1周を形成する。この時、
図1(B)と
図2(A)に示されるように、一番目の部分P1は内側に巻かれる。一番目の部分P1を形成するフレキシブル基板22は第1フレキシブル基板22-1である。そして、二番目の部分P2は一番目の部分P1の外に巻かれる。第1フレキシブル基板22-1から延びていて二番目の部分P2を形成するフレキシブル基板22は第2フレキシブル基板22-2である。
【0023】
図2(A)はモータ用コイル基板20の断面を模式的に示している。
図2(A)では、モータ10の回転方向MRに平行な面でモータ用コイル基板20が切断されている。
図2(A)に示されるように、モータ用コイル基板20を均等なエリアに分割することができる。各エリア内に1つの配線群が位置する。各エリアに1つの第1配線群51g、または、1つの第2配線群52gが配置される。
図2(A)では、モータ用コイル基板20は、6つのエリアに分割されている。各エリアの中心角はほぼ60度である。0度と60度との間のエリアは第1エリアE1である。60度と120度との間のエリアは第2エリアE2である。第2エリアE2の隣は第3エリアE3である。第3エリアE3の隣は第4エリアE4である。第4エリアE4の隣は第5エリアE5である。第5エリアE5の隣は第6エリアE6である。各エリアに第1配線51、または、第2配線52が配置されている。
【0024】
図3に示されるように、コイル基板201は、フレキシブル基板22を形成する1つの部分P内に形成されているコイルCを有する。さらに、コイル基板201は、2つの部分Pに跨って形成されているコイルCを有する。前者は1つの部分内のコイルであって、後者は2つの部分内のコイルである。
図3の例では、一番目のコイルC11と三番目のコイルC13が1つの部分内のコイルであって、二番目のコイルC12が2つの部分内のコイルである。一番目のコイルC11は、第1フレキシブル基板22-1上に形成されている。三番目のコイルC13は、第2フレキシブル基板22-2上に形成されている。二番目のコイルC12の第1配線51は第1フレキシブル基板22-1上に形成されていて、二番目のコイルC12の第2配線52は第2フレキシブル基板22-2上に形成されている。
1つの部分内のコイルの数(数1)と2つの部分内のコイルの数(数2)は次の関係を満足する。
関係:数1/数2=2
【0025】
第1実施形態では、一番目のコイルC11(U11)の第1配線群C111が第1エリアE1内に配置されている。一番目のコイルC11(U11)の第1配線51が第1エリアE1内に配置されている。
二番目のコイルC12(V11)の第2配線群C122が第2エリアE2内に配置されている。二番目のコイルC12(V11)の第2配線52が第2エリアE2内に配置されている。
三番目のコイルC13(W11)の第1配線群C131が第3エリアE3内に配置されている。三番目のコイルC13(W11)の第1配線51が第3エリアE3内に配置されている。
一番目のコイルC11(U11)の第2配線群C112が第4エリアE4内に配置されている。一番目のコイルC11(U11)の第2配線52が第4エリアE4内に配置されている。
二番目のコイルC12(V11)の第1配線群C121が第5エリアE5内に配置されている。二番目のコイルC12(V11)の第1配線51が第5エリアE5内に配置されている。
三番目のコイルC13(W11)の第2配線群C132が第6エリアE6内に配置されている。三番目のコイルC13(W11)の第2配線52が第6エリアE6内に配置されている。
図2(A)に示されるように、U相コイルの配線群とV相コイルの配線群とW相コイルの配線群は、U相コイルの配線群、V相コイルの配線群、W相コイルの配線群の順で並んでいる。また、第1配線群51gと第2配線群52gは、第1配線群51g、第2配線群52gの順で並んでいる。第1配線群51gと第2配線群52gは、交互に配置されている。
図2(A)に示されるように、磁石48が配線群で囲まれる。そのため、コイルの占積率を高くすることができる。また、第1フレキシブル基板22-1上に形成されているコイルと第2フレキシブル基板22-2上に形成されているコイルは部分的に重なる。このため、モータ用コイル基板20を小さくすることができる。モータ10の回転方向MRの磁束密度を均一にすることができる。モータ10の回転を滑らかにすることができる。
【0026】
図2(A)と
図2(B)に示されるように、U相コイルU11の中央スペースSC上に、V相コイルV11を形成する第2配線群52gとW相コイルW11を形成する第1配線群51gが位置する。
V相コイルV11の中央スペースSC上に、W相コイルW11を形成する第2配線群52gとU相コイルU11を形成する第1配線群51gが位置する。
W相コイルW11の中央スペースSC上に、U相コイルU11を形成する第2配線群52gとV相コイルV11を形成する第1配線群51gが位置する。
このように、U相コイルの中央スペースSC上にV相コイルの配線とW相コイルの配線が位置する。V相コイルの中央スペースSC上にU相コイルの配線とW相コイルの配線が位置する。W相コイルの中央スペースSC上にU相コイルの配線とV相コイルの配線が位置する。中央スペースSC上に異相のコイルの配線が位置する。そのため、モータ用コイル基板20内で、配線を均等に配置することができる。例えば、モータ用コイル基板20の重さがモータ用コイル基板20内で大きく異ならない。モータ用コイル基板20の回転をスムーズにすることができる。
【0027】
図3に示されるように、第1フレキシブル基板22-1上に形成されているコイルC11は第1幅W1を有する。第2フレキシブル基板22-2上に形成されているコイルC13は第2幅W2を有する。第1幅W1を有するコイルCと第2幅W2を有するコイルCは、1つの部分内のコイルである。第1幅W1は、第2幅W2より小さい。
【0028】
第1実施形態のモータ用コイル基板20では、第2幅W2が第1幅W1より大きい。そのため、第2フレキシブル基板22-2上のコイルの配線wの幅を大きくすることができる。第2フレキシブル基板22-2上のコイルの配線wの抵抗値を小さくすることができる。高い効率を有するモータ10を提供することができる。
【0029】
図3に示されるように、隣接するコイル間にギャップD1、D2が存在する。ギャップD1は第1フレキシブル基板22-1上に形成されていて、ギャップD2は第2フレキシブル基板22-2上に形成されている。ギャップD1の大きさとギャップD2の大きさは略等しい。必要な絶縁間隔が保たれる。ギャップD1、D2はm番目のコイルの第4側壁sw4と(m+1)番目のコイルの第2側壁sw2との間の距離である。mは1以上の整数である。
【0030】
第1実施形態のモータ用コイル基板20は複数のコイルCを有するコイル基板201を巻くことで形成される。モータ用コイル基板201は第1フレキシブル基板22-1と第1フレキシブル基板22-1から延びていて第1フレキシブル基板22-1の周りに巻かれている第2フレキシブル基板22-2とを含む。第1フレキシブル基板22-1は、一端22Lを含まなくてもよい。その場合、第1フレキシブル基板22-1は一端22Lを含むフレキシブル基板の周りに巻かれる。
【0031】
[第1実施形態の改変例]
第1実施形態と第1実施形態の改変例では、コイルCの数と部分Pの数が異なる。それら以外、第1実施形態と第1実施形態の改変例はほぼ同様である。
第1実施形態の改変例のコイル基板201が
図4に示される。
図4に示されるように、改変例のコイル基板201は4つの部分P1、P2、P3、P4で形成されている。一端22Lを含む部分(一番目の部分)P1は第1フレキシブル基板22-1で形成されている。第1フレキシブル基板22-1から延びている部分(二番目の部分)P2は第2フレキシブル基板22-2で形成されている。第2フレキシブル基板22-2から延びている部分(三番目の部分)P3は第3フレキシブル基板22-3で形成されている。第3フレキシブル基板22-3から延びている部分(四番目の部分)P4は第4フレキシブル基板22-4で形成されている。第4フレキシブル基板22-4は他端22Rを含む。
【0032】
図4に示されるように、改変例のコイル基板201は、6個のコイルC(C11、C12、C13、C21、C22、C23)を有する。一端22Lに最も近いコイルCは一番目のコイルC11である。一番目のコイルC11の隣のコイルCは二番目のコイルC12である。二番目のコイルC12の隣のコイルCは三番目のコイルC13である。三番目のコイルC13の隣のコイルCは四番目のコイルC21である。四番目のコイルC21の隣のコイルCは五番目のコイルC22である。五番目のコイルC22の隣のコイルCは六番目のコイルC23である。六番目のコイルC23は他端22に最も近い。一番目のコイルC11と四番目のコイルC21はU相コイルである。二番目のコイルC12と五番目のコイルC22はV相コイルである。三番目のコイルC13と六番目のコイルC23はW相コイルである。
一番目のコイルC11と三番目のコイルC13と四番目のコイルC21と六番目のコイルC23は1つの部分内のコイルである。一番目のコイルC11は第1フレキシブル基板22-1上に形成されている。三番目のコイルC13は第2フレキシブル基板22-2上に形成されている。四番目のコイルC21は第3フレキシブル基板22-3上に形成されている。六番目のコイルC23は第4フレキシブル基板22-4上に形成されている。各部分Pに形成されている1つの部分内のコイルの数は1である。
二番目のコイルC12と五番目のコイルC22は2つの部分内のコイルである。二番目のコイルC12は第1フレキシブル基板22-1と第2フレキシブル基板22-2上に形成されている。五番目のコイルC22は第3フレキシブル基板22-3と第4フレキシブル基板22-4上に形成されている。
【0033】
コイル基板201を巻くことで、第1実施形態と同様に、モータ用コイル基板20が得られる。この時、各部分Pが概ね1周を作るように、コイル基板201は巻かれる。(j-1)番目の部分の外にj番目の部分が巻かれる。jは2以上の整数である。
コイル基板201の巻き方の例が
図5(A)を用いて説明される。
図4に示されるコイル基板201は一番目の部分P1と二番目の部分P2と三番目の部分P3と四番目の部分P4で形成される。そして、
図4のコイル基板201が巻かれると、
図5(B)に示されるように、一番目の部分P1が概ね1周を形成する。一番目の部分P1に繋がっている二番目の部分P2が概ね1周を形成する。二番目の部分P2に繋がっている三番目の部分P3が概ね1周を形成する。そして、三番目の部分P3に繋がっている四番目の部分P4が概ね1周を形成する。この時、
図5(A)に示されるように、一番目の部分P1は最も内側に巻かれる。
【0034】
改変例のモータ用コイル基板20が
図2(A)と同様に6つのエリアに分割される。各エリアの中心角はほぼ60度である。改変例では、各エリアに2つの配線群が位置する。
一番目のコイルC11(U11)の第1配線群51gと四番目のコイルC21(U21)の第1配線群51gが第1エリアE1内に配置されている。一番目のコイルC11(U11)の第1配線群51g上に四番目のコイルC21(U21)の第1配線群51gが位置する。一番目のコイルC11(U11)の第1配線51上に四番目のコイルC21(U21)の第1配線51が位置する。コイルCに電流が流れるとき、同じ方向に流れる電流が重なる。
二番目のコイルC12(V11)の第2配線群52gと五番目のコイルC22(V21)の第2配線群52gが第2エリアE2内に配置されている。二番目のコイルC12(V11)の第2配線群52g上に五番目のコイルC22(V21)の第2配線群52gが位置する。二番目のコイルC12(V11)の第2配線52上に五番目のコイルC22(V21)の第2配線52が位置する。コイルCに電流が流れるとき、同じ方向に流れる電流が重なる。
三番目のコイルC13(W11)の第1配線群51gと六番目のコイルC23(W21)の第1配線群51gが第3エリアE3内に配置されている。三番目のコイルC13(W11)の第1配線群51g上に六番目のコイルC23(W21)の第1配線群51gが位置する。三番目のコイルC13(W11)の第1配線51上に六番目のコイルC23(W21)の第1配線51が位置する。コイルCに電流が流れるとき、同じ方向に流れる電流が重なる。
一番目のコイルC11(U11)の第2配線群52gと四番目のコイルC21(U21)の第2配線群52gが第4エリアE4内に配置されている。一番目のコイルC11(U11)の第2配線群52g上に四番目のコイルC21(U21)の第2配線群52gが位置する。一番目のコイルC11(U11)の第2配線52上に四番目のコイルC21(U21)の第2配線52が位置する。コイルCに電流が流れるとき、同じ方向に流れる電流が重なる。
二番目のコイルC12(V11)の第1配線群51gと五番目のコイルC22(V21)の第1配線群51gが第5エリアE5内に配置されている。二番目のコイルC12(V11)の第1配線群51g上に五番目のコイルC22(V21)の第1配線群51gが位置する。二番目のコイルC12(V11)の第1配線51上に五番目のコイルC22(V21)の第1配線51が位置する。コイルCに電流が流れるとき、同じ方向に流れる電流が重なる。
三番目のコイルC13(W11)の第2配線群52gと六番目のコイルC23(W21)の第2配線群52gが第6エリアE6内に配置されている。三番目のコイルC13(W11)の第2配線群52g上に六番目のコイルC23(W21)の第2配線群52gが位置する。三番目のコイルC13(W11)の第2配線52上に六番目のコイルC23(W21)の第2配線52が位置する。コイルCに電流が流れるとき、同じ方向に流れる電流が重なる。
第1配線群51gと第2配線群52gが交互に配置される。同相のコイルCの同じ配線群が重なる。例えば、同相の第1配線群51gが重なる。同相のコイルCの同じ配線が重なる。例えば、同相の第1配線51が重なる。
【0035】
第1実施形態と第1実施形態の改変例では、第1配線群51gと第2配線群52gは、モータの回転方向MRに沿って、交互に並んでいる。第1配線51とモータの回転方向MRとの間の角度は略90度である。そのため、第1配線51を流れる電流の向きとモータの回転方向MRとの間の角度は略90度である。
【0036】
図5(B)に示されるように、第3フレキシブル基板22-3上のコイルCと第4フレキシブル基板22-4上のコイルCは部分的に重なる。第3フレキシブル基板22-3上のU相コイルU21の中央スペースSC上に、第4フレキシブル基板22-4上のV相コイルV21を形成する第2配線群52gと第4フレキシブル基板22-4上のW相コイルW21を形成する第1配線群51gが位置する。第3フレキシブル基板22-3上のU相コイルU21の中央スペースSC上に第4フレキシブル基板22-4上のV相コイルV21を形成する第2配線52と第4フレキシブル基板22-4上のW相コイルW21を形成する第1配線51が位置する。
【0037】
第1実施形態と改変例では、U相のコイルの中央スペースSC上にV相コイルの配線wとW相コイルの配線wが位置する。
【0038】
図2(C)は開口Oの周りに形成されているコイルCを示す。
図2(C)では、中央スペースSC内にフレキシブル基板22を貫通する開口Oが形成されている。コイルCは開口Oの周りに形成されている。コイルCは中央ペースSCの周りに形成されている。コイルCを形成する配線wは開口Oの周りに形成されている。第1実施形態のコイル基板201と第1実施形態の改変例のコイル基板201は開口Oを有することができる。
【符号の説明】
【0039】
20 モータ用コイル基板
22 フレキシブル基板
22-1 第1フレキシブル基板
22-2 第2フレキシブル基板
48 磁石
201 コイル基板
C コイル
U11 U相コイル
V11 V相コイル
W11 W相コイル