(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191478
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】電力管理装置及び電力管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20221220BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20221220BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20221220BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20221220BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/00 130
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170395
(22)【出願日】2022-10-25
(62)【分割の表示】P 2020001621の分割
【原出願日】2020-01-08
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 聡史
(72)【発明者】
【氏名】岩田 啓
(57)【要約】
【課題】 電力系統の電力需給バランスを適切に調整することを可能とする電力管理装置及び電力管理方法を提供する。
【解決手段】 電力管理装置は、発電装置の出力電力によって生じる余剰電力を用いて蓄電装置を充電する充電制御を実行する制御部を備える。前記制御部は、前記充電制御において、前記発電装置の余剰電力よりも小さい第1閾値以下に前記余剰電力を用いた前記蓄電装置の充電電力を制限する第1制御を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置の出力電力によって生じる余剰電力を用いて蓄電装置を充電する充電制御を実行する制御部を備え、
前記制御部は、前記充電制御において、前記発電装置の余剰電力よりも小さい第1閾値以下に前記余剰電力を用いた前記蓄電装置の充電電力を制限する第1制御を実行し、
前記制御部は、前記第1制御が適用される対象時間において前記余剰電力の売電価格が電力系統から供給される電力の買電価格以下であっても前記第1制御を実行し、
前記制御部は、前記発電装置及び前記蓄電装置を有する施設の需要電力の削減要請に応じて、前記余剰電力を用いた前記蓄電装置の充電電力を減少する、電力管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記対象時間を含む第1所定期間において前記余剰電力を用いて前記蓄電装置に充電される充電電力総量を特定し、特定された前記充電電力総量が確保されるように前記第1閾値を設定する、請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記対象時間を含む第1所定期間において、前記発電装置の予測出力電力量及び前記蓄電装置が設けられる施設の予測消費電力総量に基づいて予測余剰電力総量を特定し、特定された前記予測余剰電力総量及び前記蓄電装置の蓄電可能量に基づいて充電電力総量を特定し、特定された前記充電電力総量が確保されるように第1閾値を設定する、請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項4】
前記蓄電装置の定格容量は、前記発電装置から出力されると想定される時間を含む所定想定期間において前記発電装置から出力されると想定される想定出力電力総量よりも小さい、請求項2又は請求項3に記載の電力管理装置。
【請求項5】
前記蓄電装置の定格容量は、前記余剰電力が生じると想定される時間を含む所定想定期間において生じると想定される想定余剰電力総量よりも小さい、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1所定期間において生じると予測される予測余剰電力総量が前記蓄電装置の定格容量よりも大きい場合に前記第1制御を実行する、請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記電力系統から供給される電力を用いずに前記充電制御を実行する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記発電装置から電力が出力されない第2所定期間において前記蓄電装置の放電制御を実行し、
前記制御部は、前記放電制御において、前記蓄電装置の放電電力を第2閾値以下に制限する第2制御を実行する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2所定期間の開始時点における前記蓄電装置の蓄電残量に基づいて、前記第2所定期間において前記蓄電装置から放電される放電電力総量を特定し、特定された放電電力総量が確保されるように前記第2閾値を設定する、請求項8に記載の電力管理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第2所定期間において、前記発電装置及び前記蓄電装置が設けられる施設で消費されると予測される予測消費電力総量に基づいて前記放電電力総量を特定する、請求項9に記載の電力管理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記充電電力総量が確保される旨及び前記第1制御の効果の少なくともいずれか1つを示す情報をユーザに通知する通知制御を実行する、請求項2、請求項3、請求項2又は請求項3を引用する請求項4乃至請求項10のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記余剰電力を用いた前記蓄電装置の充電が行われており、前記余剰電力の逆潮流が行われている旨を示す情報をユーザに通知する通知制御を実行する、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第1制御が行われているが、前記発電装置及び前記蓄電装置が設けられる施設としてコストが最適化されている旨を示す情報をユーザに通知する通知制御を実行する、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項14】
発電装置の出力電力によって生じる余剰電力を用いて蓄電装置を充電する充電制御を実行するステップAと、
前記充電制御において、前記発電装置の余剰電力よりも小さい第1閾値以下に前記余剰電力を用いた前記蓄電装置の充電電力を制限する第1制御を実行するステップBと、
前記発電装置及び前記蓄電装置を有する施設の需要電力の削減要請に応じて、前記余剰電力を用いた前記蓄電装置の充電電力を減少するステップCと、を備え、
前記ステップBは、前記第1制御が適用される対象時間において前記余剰電力の売電価格が電力系統から供給される電力の買電価格以下であっても前記第1制御を実行するステップを含む、電力管理方法。
【請求項15】
前記余剰電力を用いた前記蓄電装置の充電が行われており、前記余剰電力の逆潮流が行われている旨を示す情報をユーザに通知する通知制御を実行するステップを備える、請求項14に記載の電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理装置及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光、風力、水力、地熱などの自然エネルギーを利用する発電装置が注目を集めている。さらに、施設に設けられる発電装置の出力電力を施設(例えば、負荷機器)で消費する仕組み(いわゆる自家消費)が知られている。自家消費電力は、施設に設けられる蓄電装置への充電電力を含む(例えば、特許文献1)。
【0003】
さらに、発電装置の出力電力の予測値、負荷機器の消費電力の予測値、買電価格の予測値に基づいて、蓄電装置の充放電スケジュールを決定する技術も知られている(例えば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-191523号公報
【特許文献2】特許第5672186号公報
【特許文献3】特許第6386744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、固定買取価格(FIT(Feed-in Tariff))の終了に伴って自家消費の促進が注目を集めている。自家消費においては、発電装置の出力電力と負荷機器の消費電力との差異である余剰電力がある場合には、このような余剰電力によって蓄電装置の充電を優先的に行うことが好ましい。
【0006】
一方で、電力系統の電力が逼迫する場合において、電力系統の需給バランスを調整するケース(例えば、ネガワット取引など)が考えられる。
【0007】
しかしながら、このようなケースにおいて、蓄電装置が既に満充電となっていると、蓄電装置の充電電力の減少によって電力系統の電力需給バランスを適切に調整することができない事態が想定される。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、電力系統の電力需給バランスを適切に調整することを可能とする電力管理装置及び電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴は、電力管理装置であって、発電装置の出力電力によって生じる余剰電力を用いて蓄電装置を充電する充電制御を実行する制御部を備え、前記制御部は、前記充電制御において、前記発電装置の余剰電力よりも小さい第1閾値以下に前記余剰電力を用いた前記蓄電装置の充電電力を制限する第1制御を実行する、ことを要旨とする。
【0010】
第2の特徴は、電力管理方法であって、発電装置の出力電力によって生じる余剰電力を用いて蓄電装置を充電する充電制御を実行するステップと、前記充電制御において、前記発電装置の余剰電力よりも小さい第1閾値以下に前記余剰電力を用いた前記蓄電装置の充電電力を制限する第1制御を実行するステップと、を備える、ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電力系統の電力需給バランスを適切に調整することを可能とする電力管理装置及び電力管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力管理システム100を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る施設300を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電力管理サーバ200を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るローカル制御装置360を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る充電制御を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る充電制御を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る充電制御を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る放電制御を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る放電制御を説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る表示制御を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る表示制御を説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る電力管理方法を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る電力管理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0014】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0015】
[実施形態]
(電力管理システム)
以下において、実施形態に係る電力管理システムについて説明する。
【0016】
図1に示すように、電力管理システム100は、電力管理サーバ200と、施設300と、電力会社400と、を有する。
図1では、施設300として、施設300A~施設300Cが例示されている。
【0017】
各施設300は、電力系統110に接続される。以下において、電力系統110から施設300への電力の流れを潮流と称し、施設300から電力系統110への電力の流れを逆潮流と称する。
【0018】
電力管理サーバ200、施設300及び電力会社400は、ネットワーク120に接続されている。ネットワーク120は、これらのエンティティ間の回線を提供すればよい。例えば、ネットワーク120は、インターネットである。ネットワーク120は、VPN(Virtual Private Network)などの専用回線を含んでもよい。
【0019】
電力管理サーバ200は、発電事業者、送配電事業者或いは小売事業者、リソースアグリゲータなどの事業者によって管理されるサーバである。リソースアグリゲータは、VPP(Virtual Power Plant)において、電力系統110の電力需給バランスを調整する電力事業者であってもよい。電力需給バランスの調整は、電力系統110から施設300に供給される潮流電力(施設300の需要電力とも称する)の削減電力を価値と交換する取引(以下、ネガワット取引)を含んでもよい。電力需給バランスの調整は、施設300から電力系統110に供給される逆潮流電力の増大電力を価値と交換する取引を含んでもよい。以下において、電力需給バランスの調整要請は節電要請と称されてもよい。リソースアグリゲータは、VPPにおいて、発電事業者、送配電事業者及び小売事業者などに逆潮流電力を提供する電力事業者であってもよい。
【0020】
電力管理サーバ200は、施設300に設けられるローカル制御装置360に対して、施設300に設けられる分散電源(例えば、太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)に対する制御を指示する制御メッセージを送信する。例えば、電力管理サーバ200は、潮流電力の制御を要求する潮流制御メッセージ(例えば、DR;Demand Response)を送信してもよく、逆潮流電力の制御を要求する逆潮流制御メッセージを送信してもよい。さらに、電力管理サーバ200は、分散電源の動作状態を制御する電源制御メッセージを送信してもよい。潮流電力又は逆潮流電力の制御度合いは、絶対値(例えば、○○kW)で表されてもよく、相対値(例えば、○○%)で表されてもよい。或いは、潮流電力又は逆潮流電力の制御度合いは、2以上のレベルで表されてもよい。潮流電力又は逆潮流電力の制御度合いは、現在の電力需給バランスによって定められる電力料金(RTP;Real Time Pricing)によって表されてもよく、過去の電力需給バランスによって定められる電力料金(TOU;Time Of Use)によって表されてもよい。
【0021】
施設300は、
図2に示すように、太陽電池装置310と、蓄電装置320と、燃料電池装置330と、負荷機器340と、ローカル制御装置360と、電力計380と、電力計390と、を有する。
【0022】
太陽電池装置310は、太陽光などの光に応じて発電を行う分散電源である。太陽電池装置310は、逆潮流が許容される分散電源の一例であってもよい。太陽電池装置310は、固定買取価格(FIT(Feed-in Tariff))が適用され得る分散電源の一例であってもよい。太陽電池装置310は、固定買取価格の適用期間が満了した分散電源であってもよい。例えば、太陽電池装置310は、PCS(Power Conditioning System)及び太陽光パネルによって構成される。
【0023】
ここで、太陽電池装置310から出力される電力は、太陽光などの光の受光量によって変動し得る。従って、太陽電池装置310の発電効率を考慮した場合には、太陽電池装置310から出力される電力は、太陽光パネルの受光量によって変動し得る可変電力である。
【0024】
蓄電装置320は、電力の充電及び電力の放電を行う分散電源である。蓄電装置320は、逆潮流が許容されない分散電源の一例であってもよい。蓄電装置320は、固定買取価格が適用され得ない分散電源の一例であってもよい。例えば、蓄電装置320は、PCS及び蓄電セルによって構成される。
【0025】
燃料電池装置330は、燃料を用いて発電を行う分散電源である。燃料電池装置330は、逆潮流が許容されない分散電源の一例であってもよい。燃料電池装置330は、固定買取価格が適用されない分散電源の一例であってもよい。例えば、燃料電池装置330は、PCS及び燃料電池セルによって構成される。
【0026】
例えば、燃料電池装置330は、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)であってもよく、固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)であってもよく、リン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)であってもよく、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
【0027】
実施形態において、太陽電池装置310、蓄電装置320及び燃料電池装置330は、VPPに用いられる調整電源であってもよい。調整電源は、施設300に設けられる分散電源の中でVPPに寄与する電源である。
【0028】
負荷機器340は、電力を消費する機器である。例えば、負荷機器340は、空調機器、照明機器、AV(Audio Visual)機器などである。
【0029】
ローカル制御装置360は、施設300の電力を管理する装置(EMS;Energy Management System)である。ローカル制御装置360は、太陽電池装置310の動作状態を制御してもよく、施設300に設けられる蓄電装置320の動作状態を制御してもよく、施設300に設けられる燃料電池装置330の動作状態を制御してもよい。ローカル制御装置360の詳細については後述する(
図4を参照)。
【0030】
実施形態において、電力管理サーバ200とローカル制御装置360との間の通信は、第1プロトコルに従って行われる。一方で、ローカル制御装置360と分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)との間の通信は、第1プロトコルとは異なる第2プロトコルに従って行われる。例えば、第1プロトコルとしては、Open ADR(Automated Demand Response)に準拠するプロトコル、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。例えば、第2プロトコルは、ECHONET Lite(登録商標)に準拠するプロトコル、SEP(Smart Energy Profile)2.0、KNX、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。なお、第1プロトコルと第2プロトコルは異なっていればよく、例えば、両方が独自の専用プロトコルであっても異なる規則で作られたプロトコルであればよい。但し、第1プロトコル及び第2プロトコルは同一の規則で作られたプロトコルであってもよい。
【0031】
電力計380は、電力系統110から施設300への潮流電力及び施設300から電力系統110への逆潮流電力を測定する基幹電力計の一例である。例えば、電力計380は、電力会社400に帰属するスマートメータである。
【0032】
ここで、電力計380は、単位時間(例えば、30分)毎に、単位時間における潮流電力又は逆潮流電力の積算値を示す情報要素を含むメッセージをローカル制御装置360に送信する。電力計380は、自律的にメッセージを送信してもよく、ローカル制御装置360の要求に応じてメッセージを送信してもよい。電力計380は、単位時間毎に、単位時間における潮流電力又は逆潮流電力を示す情報要素を含むメッセージを電力管理サーバ200に送信してもよい。
【0033】
電力計390は、各分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320及び燃料電池装置330)の電力を測定する個別電力計の一例である。電力計390は、分散電源のPCSの出力端に設けられてもよく、分散電源の一部であると考えてもよい。
図2では、電力計390として、電力計391と、電力計392と、電力計393と、が設けられる。電力計391は、太陽電池装置310の出力電力を測定する。電力計392は、蓄電装置320の放電電力を測定する。電力計392は、蓄電装置320の充電電力を測定してもよい。電力計393は、燃料電池装置330の個別出力電力を測定する。
【0034】
ここで、電力計390は、単位時間よりも短い間隔(例えば、1分)で、分散電源の電力を示す情報要素を含むメッセージをローカル制御装置360に送信してもよい。調整電源の個別出力電力は、瞬時値によって表されてもよく、積算値によって表されてもよい。電力計390は、自律的にメッセージを送信してもよく、ローカル制御装置360の要求に応じてメッセージを送信してもよい。
【0035】
図1に戻って、電力会社400は、電力系統110などのインフラストラクチャーを提供するエンティティであり、例えば、発電事業者又は送配電事業者である。電力会社400は、電力管理サーバ200を管理するエンティティに対して、各種の業務を委託してもよい。
【0036】
(電力管理サーバ)
以下において、実施形態に係る電力管理サーバについて説明する。
図3に示すように、電力管理サーバ200は、管理部210と、通信部220と、制御部230と、を有する。電力管理サーバ200は、VTN(Virtual Top Node)の一例であってもよい。
【0037】
管理部210は、不揮発性メモリ又は/及びHDDなどの記憶媒体によって構成されており、施設300に関する情報を管理する。例えば、施設300に関する情報は、施設300に設けられる分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)の種別、施設300に設けられる分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)のスペックなどである。スペックは、太陽電池装置310の定格発電電力、蓄電装置320の定格充電電力、蓄電装置320の定格充電電力、燃料電池装置330の定格出力電力を含んでもよい。スペックは、蓄電装置320の定格容量を含んでもよい。
【0038】
通信部220は、通信モジュールによって構成されており、ネットワーク120を介してローカル制御装置360と通信を行う。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0039】
上述したように、通信部220は、第1プロトコルに従って通信を行う。例えば、通信部220は、第1プロトコルに従って第1メッセージをローカル制御装置360に送信する。通信部220は、第1プロトコルに従って第1メッセージ応答をローカル制御装置360から受信する。
【0040】
制御部230は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuits)など)によって構成されてもよい。
【0041】
制御部230は、電力管理サーバ200に設けられる各構成を制御する。例えば、制御部230は、制御メッセージの送信によって、施設300に設けられるローカル制御装置360に対して、施設300に設けられる分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)に対する制御を指示する。制御メッセージは、上述したように、潮流制御メッセージであってもよく、逆潮流制御メッセージであってもよく、電源制御メッセージであってもよい。
【0042】
(ローカル制御装置)
以下において、実施形態に係るローカル制御装置について説明する。
図4に示すように、ローカル制御装置360は、第1通信部361と、第2通信部362と、制御部363とを有する。ローカル制御装置360は、VEN(Virtual End Node)の一例であってもよい。実施形態では、ローカル制御装置360は、電力管理装置の一例である。
【0043】
第1通信部361は、通信モジュールによって構成されており、ネットワーク120を介して電力管理サーバ200と通信を行う。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0044】
上述したように、第1通信部361は、第1プロトコルに従って通信を行う。例えば、第1通信部361は、第1プロトコルに従って第1メッセージを電力管理サーバ200から受信する。第1通信部361は、第1プロトコルに従って第1メッセージ応答を電力管理サーバ200に送信する。
【0045】
第2通信部362は、通信モジュールによって構成されており、分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)と通信を行う。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3又は独自の専用プロトコルなどの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0046】
上述したように、第2通信部362は、第2プロトコルに従って通信を行う。例えば、第2通信部362は、第2プロトコルに従って第2メッセージを分散電源に送信する。第2通信部362は、第2プロトコルに従って第2メッセージ応答を分散電源から受信する。
【0047】
例えば、第2通信部362は、潮流電力又は逆潮流電力を特定する情報要素を含むメッセージを電力計380から受信してもよい。第2通信部362は、各分散電源の電力を特定する情報要素を含むメッセージを電力計390から受信してもよい。
【0048】
制御部363は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuits)など)によって構成されてもよい。
【0049】
制御部363は、ローカル制御装置360に設けられる各構成を制御する。具体的には、制御部363は、施設300の電力を制御するために、第2メッセージの送信及び第2メッセージ応答の受信によって、分散電源の動作状態の設定を機器に指示する。制御部363は、施設300の電力を管理するために、第2メッセージの送信及び第2メッセージ応答の受信によって分散電源の情報の報告を分散電源に指示してもよい。
【0050】
実施形態では、制御部363は、発電装置の出力電力によって生じる余剰電力を用いて蓄電装置を充電する充電制御を実行する制御部を構成する。制御部363は、蓄電装置の放電制御を実行してもよい。
【0051】
例えば、発電装置は、逆潮流が許容される太陽電池装置310であってもよい。蓄電装置は、余剰電力を用いて充電される蓄電装置320であってもよい。余剰電力は、太陽電池装置310の発電電力と施設300の消費電力との差異であってもよい。施設300の消費電力は、負荷機器340の消費電力であってもよい。燃料電池装置330が電力を出力している場合に、施設300の消費電力は、負荷機器340の消費電力から燃料電池装置330の出力電力を除いた電力であってもよい。施設300の消費電力は、施設300に設けられる装置(例えば、太陽電池装置310、蓄電装置320、燃料電池装置330、負荷機器340、ローカル制御装置360、電力計380、電力計390)の消費電力の合計であってもよい。実施形態では、施設300の消費電力は、蓄電装置320の充電電力を含まない。
【0052】
以下においては、余剰電力は、施設300から電力系統110への逆潮流電力として用いられてもよく、蓄電装置320の充電電力として用いられてもよい。
【0053】
なお、施設300の需要電力は、電力系統110から施設300への潮流電力と同義であってもよい。蓄電装置320の充電が行われている場合に、施設300の需要電力は、施設300の消費電力と蓄電装置320の充電電力との合計であってもよい。蓄電装置320の放電が行われている場合に、施設300の需要電力は、施設300の消費電力から蓄電装置320の放電電力を除いた電力であってもよい。
【0054】
以下においては、太陽電池装置310から電力が出力される第1所定期間(例えば、日の出から日の入りまで)において充電制御が実行され、太陽電池装置310から電力が出力されない第2所定期間(例えば、日の入りから日の出まで)において放電制御が実行されるケースについて例示する。さらに、太陽電池装置310に対する固定買取価格の適用期間が満了しており、太陽電池装置310の出力電力を施設300で積極的に消費する利用シーン(自家消費)について主として説明する。
(充電制御)
【0055】
以下において、蓄電装置320の充電制御について説明する。
図5~
図7では、第1所定期間の電力が例示されている。
図5~
図7では、単位時間(例えば、30分)毎の電力が例示されている。
図5~
図7に示す単位時間毎の電力は予測値であってもよい。電力の予測値は、過去の電力と属性との相関関係の機械学習によって算出されてもよい。属性は、時間帯、曜日、季節、天候(日射量、気温、湿度など)を含んでもよい。機械学習に代えて、AI(Artificial Intelligence)を用いた深層学習が用いられてもよい。
【0056】
図5に示すように、余剰電力(下段を参照)は、太陽電池装置310の出力電力(上段を参照)と施設300の消費電力(中段を参照)との差異である。施設300の消費電力が太陽電池装置310の出力電力よりも大きい場合には、余剰電力はゼロであり、電力系統110から電力が供給される。
【0057】
このようなケースにおいて、太陽電池装置310の出力電力は変動し得るため、自家消費を促進する場合には、余剰電力の全てを蓄電装置320の充電に用いることが考えられる。具体的には、
図6に示すように、余剰電力を用いた蓄電装置320の充電電力を制限せずに、蓄電装置320の充電制御が実行されると考えられる。このような充電制御によれば、できるだけ早い時刻(
図6では、時刻T1)において蓄電装置320の充電が完了する。言い換えると、太陽電池装置310の出力電力が自家消費に用いられない可能性を低減することができる。蓄電装置320の充電完了は、蓄電装置320の蓄電残量が上限閾値まで増大することであってもよい。上限閾値は、蓄電装置320が満充電であると判定される閾値であってもよい。
【0058】
しかしながら、
図6に示す充電制御を実行すると、時刻T1以降において蓄電装置320の充電が行われないため、蓄電装置320の充電電力の減少によって節電要請に応じることができない。
【0059】
従って、実施形態では、
図7に示すように、ローカル制御装置360(制御部363)は、充電制御において、余剰電力よりも小さい第1閾値以下に余剰電力を用いた蓄電装置320の充電電力を制限する第1制御を実行する。余剰電力から蓄電装置320の充電電力を除いた電力は電力系統110に対する逆潮流電力である。ここで、第1制御では、蓄電装置320の充電が行われるため、蓄電装置320の充電電力はゼロよりも大きいことに留意すべきである。
【0060】
このような構成によれば、蓄電装置320の充電が完了する時刻が
図6に示す時刻T1よりも後の時刻T2となる。すなわち、余剰電力を用いた蓄電装置320の充電電力の削減によって節電要請に応じることが可能な期間を延長することができる。上述したように、電力需給バランスの調整は、施設300の需要電力の削減要請(例えば、ネガワット取引)を含んでもよく、施設300の逆潮流電力の増大要請を含んでもよい。
【0061】
ローカル制御装置360は、第1制御が適用される対象時間を含む第1所定期間において余剰電力を用いて蓄電装置320に充電される充電電力総量を特定し、特定された充電電力総量が確保されるように第1閾値を設定してもよい。
【0062】
具体的には、ローカル制御装置360は、予測出力電力総量(
図5の上段に示す出力電力の積算値)及び予測消費電力総量(
図5の中段に示す消費電力の積算値)に基づいて予測余剰電力総量(
図5の下段に示す余剰電力の積算値)を特定する。ローカル制御装置360は、予測余剰電力総量及び蓄電装置320の蓄電可能容量に基づいて、充電電力総量(
図6の下段又は
図7の下段に示す充電電力の積算値)を特定する。蓄電装置320の蓄電可能容量は、蓄電装置320の定格容量と第1所定期間の開始時点における蓄電装置320の蓄電残量との差異である。予測余剰電力総量が蓄電装置320の蓄電可能容量よりも大きい場合には、ローカル制御装置360は、蓄電装置320の蓄電可能容量を充電電力総量として用いる。一方で、予測余剰電力総量が蓄電装置320の蓄電可能容量よりも小さい場合には、ローカル制御装置360は、予測余剰電力総量を充電電力総量として用いる。
【0063】
このような前提下において、ローカル制御装置360は、
図7の下段に示す充電電力総量が
図6の下段に示す充電電力総量と等しくなるように第1閾値を設定する。
【0064】
このような構成によれば、第1所定期間の全体として、自家消費に用いられる太陽電池装置310の出力電力(すなわち、充電電力総量)が変わらないため、ユーザに不利益を与えることなく、自家消費を促進することができる。
【0065】
ここで、第1制御が適用される対象時間は、1以上の単位時間を含んでもよい。第1制御が適用される対象時間は、単位時間とは無関係に定められてもよい。すなわち、第1制御が適用される対象時間は、任意の時間長を有していてもよい。
【0066】
ローカル制御装置360は、第1制御が適用される対象時間において余剰電力の売電価格が所定価格よりも低くても第1制御を実行してもよい。所定価格は、電力系統110から供給される電力の買電価格に基づいて定められてもよい。例えば、所定価格は、買電価格と同じであってもよく、買電価格よりもオフセットだけ高い価格であってもよく、買電価格よりもオフセットだけ低い価格であってもよい。
【0067】
すなわち、余剰電力の売電価格が所定価格よりも低い対象時間、すなわち、本来であれば自家消費を優先させるべきである対象時間において、第1制御の実行によって節電要請に応じることが可能な期間を延長してもよい。
【0068】
蓄電装置320の定格容量は、太陽電池装置310から出力されると想定される時間を含む所定想定期間において太陽電池装置310から出力されると想定される想定出力電力総量よりも小さくてもよい。実施形態において、所定想定期間は第1所定期間と同じであってもよい。想定出力電力総量は、太陽電池装置310の導入後において変化し得る動的な値ではなく、太陽電池装置310の導入段階で定められる静的な値であってもよい。想定出力電力総量は、太陽電池装置310の定格出力電力に基づいて定められてもよい。想定出力電力総量は、太陽電池装置310の出力電力に影響を与える属性に基づいて定められてもよい。属性は、太陽電池装置310の設置場所、設置場所の想定日射量などを含んでもよい。このような条件下において、ローカル制御装置360は、充電制御において上述した第1制御を実行してもよい。
【0069】
蓄電装置320の定格容量は、余剰電力が生じると想定される時間を含む所定想定期間において生じると想定される想定余剰電力総量よりも小さくてもよい。実施形態において、所定想定期間は第1所定期間と同じであってもよい。想定余剰電力総量は、太陽電池装置310の導入後において変化し得る動的な値ではなく、太陽電池装置310の導入段階で定められる静的な値であってもよい。想定余剰電力総量は、上述した想定出力電力総量及び施設300の属性に基づいて定められてもよい。施設300の属性は、施設300のタイプ(例えば、商用施設、店舗、集合住宅、戸建住宅など)、第1所定期間における施設300の想定消費電力などを含んでもよい。このような条件下において、ローカル制御装置360は、充電制御において上述した第1制御を実行してもよい。
【0070】
ローカル制御装置360は、第1所定期間において生じると予測される予測余剰電力総量が蓄電装置320の定格容量よりも大きい場合に第1制御を実行してもよい。予測余剰電力総量は、太陽電池装置310の導入段階で定められる静的な値ではなく、太陽電池装置310の導入後において変化し得る動的な値であってもよい。予測余剰電力総量は、予測出力電力総量(
図5の上段に示す出力電力の積算値)と予測消費電力総量(
図5の中段に示す消費電力の積算値)との差異(
図5の下段に示す余剰電力の積算値)であってもよい。言い換えると、第1所定期間において余剰電力の全てを蓄電装置320の充電に用いることができない場合に、ローカル制御装置360は、充電制御において上述した第1制御を実行してもよい。
【0071】
ローカル制御装置360は、電力系統110から供給される電力を用いずに充電制御を実行してもよい。但し、第1所定期間において余剰電力の全てを蓄電装置320の充電に用いても、蓄電装置320の充電が完了しない場合には、ローカル制御装置360は、電力系統110から供給される電力を用いて充電制御を実行してもよい。
【0072】
(放電制御)
以下において、蓄電装置320の放電制御について説明する。
図8~
図9では、第2所定期間の電力が例示されている。
図8~
図9では、単位時間(例えば、30分)毎の電力が例示されている。
図8~
図9に示す単位時間毎の電力は予測値であってもよい。電力の予測値は、過去の電力と属性との相関関係の機械学習によって算出されてもよい。属性は、時間帯、曜日、季節を含んでもよい。機械学習に代えて、AIを用いた深層学習が用いられてもよい。
【0073】
このようなケースにおいて、自家消費を促進する場合には、上述した第1所定期間が開始するまでに、蓄電装置320の放電を完了することが好ましい。従って、施設300の消費電力の全てを蓄電装置320の放電電力で賄うことが考えられる。具体的には、
図8に示すように、蓄電装置320の放電電力を制限せずに、蓄電装置320の放電制御が実行されると考えられる。このような放電制御によれば、できるだけ早い時刻(
図8では、時刻T3)において蓄電装置320の放電が完了する。言い換えると、第2所定期間において蓄電装置320の放電が完了しない可能性を低減することができる。蓄電装置320の放電完了は、蓄電装置320の蓄電残量が下限閾値まで減少することであってもよい。下限閾値は、蓄電装置320が残量切れと判定される閾値であってもよい。下限閾値は、BCP(Business continuity plan)で用いる蓄電残量が確保された閾値であってもよい。
【0074】
しかしながら、
図8に示す放電制御を実行すると、時刻T3以降において蓄電装置320の放電を行うことができないため、蓄電装置320の放電電力の増大によって節電要請に応じることができない。
【0075】
従って、実施形態では、
図9に示すように、ローカル制御装置360(制御部363)は、放電制御において、蓄電装置320の放電電力を第2閾値以下に制限する第2制御を実行する。ここで、第2制御では、蓄電装置320の放電が行われるため、蓄電装置320の放電電力はゼロよりも大きいことに留意すべきである。
【0076】
このような構成によれば、蓄電装置320の放電が完了する時刻が
図8に示す時刻T3よりも後の時刻T4となる。すなわち、蓄電装置320の放電電力の増大によって節電要請に応じることが可能な期間を延長することができる。
【0077】
ローカル制御装置360は、第2所定期間の開始時点における蓄電装置320の蓄電残量に基づいて、第2所定期間において蓄電装置320から放電される放電電力総量を特定し、特定された放電電力総量が確保されるように第2閾値を設定してもよい。
【0078】
例えば、ローカル制御装置360は、放電電力総量として蓄電装置320の蓄電残量を用いてもよい。このようなケースにおいて、第2所定期間において施設300で消費される消費電力総量よりも蓄電装置320の蓄電残量が大きく、蓄電装置320の放電電力の逆潮流が許容されている場合には、ローカル制御装置360は、蓄電装置320の蓄電残量と消費電力総量との差異に相当する電力の逆潮流を実行してもよい。
【0079】
ローカル制御装置360は、第2所定期間において施設300で消費されると予測される予測消費電力総量に基づいて放電電力総量を特定してもよい。予測消費電力総量は、施設300に設けられる装置(例えば、負荷機器340)の導入段階で定められる静的な値ではなく、施設300に設けられる装置(例えば、負荷機器340)の導入後において変化し得る動的な値であってもよい。例えば、予測消費電力総量は、
図8の上段又は
図9の上段に示す消費電力の積算値である。例えば、蓄電装置320の蓄電残量が予測消費電力総量よりも小さい場合には、ローカル制御装置360は、放電電力総量として蓄電装置320の蓄電残量を用いてもよい。一方で、蓄電装置320の蓄電残量が予測消費電力総量よりも大きい場合には、ローカル制御装置360は、放電電力総量として予測消費電力総量を用いてもよい。
【0080】
(表示制御)
以下において、第1制御を含む充電制御及び第2制御を含む放電制御において、ローカル制御装置360の表示制御の一例について説明する。ここで、表示制御とは、所定情報をディスプレイに表示する制御である。ディスプレイは、特に限定されるものではないが、ローカル制御装置360に設けられてもよく、ローカル制御装置360と通信可能なユーザ端末に設けられてもよい。ユーザ端末は、スマートフォンであってもよく、タブレット端末であってもよく、パーソナルコンピュータであってもよい。
【0081】
第1に、第1制御を含む充電制御における表示制御の一例について説明する。ローカル制御装置360は、
図10に示す画像を表示する表示制御を実行する。
【0082】
図10に示すように、ローカル制御装置360は、充電電力総量が確保される旨及び第1制御の効果の少なくともいずれか1つを示す情報をユーザに通知する表示制御を実行してもよい。例えば、「充電完了時刻は××の予定です」の文字列は、充電電力総量が確保される旨を示す情報の一例である。「節電要請があった場合に、電気代が××円安くなります」の文字列は、第1制御の効果を示す情報の一例である。
【0083】
ローカル制御装置360は、余剰電力を用いた蓄電装置320の充電が行われており、余剰電力の逆潮流が行われている旨を示す情報をユーザに通知する表示制御を実行してもよい。例えば、「充電電力=××kW」は、余剰電力を用いた蓄電装置320の充電が行われている旨を示す情報の一例である。「売電電力=××kW」は、余剰電力の逆潮流が行われている旨を示す情報の一例である。
【0084】
ローカル制御装置360は、第1制御が行われているが、施設300としてコストが最適化されている旨を示す情報をユーザに通知する表示制御を実行してもよい。例えば、「充電完了時刻は××の予定です」及び「節電要請があった場合に、電気代が××円安くなります」の文字列は、施設300としてコストが最適化されている旨を示す情報の一例である。施設300としてコストが最適化されている旨を示す情報は、これに限定されるものではなく、「電気代が最適化されています」といった文字列であってもよい。
【0085】
第2に、第2制御を含む放電制御における表示制御の一例について説明する。ローカル制御装置360は、
図11に示す画像を表示する表示制御を実行する。
【0086】
図11に示すように、ローカル制御装置360は、放電電力総量が確保される旨及び第2制御の効果の少なくともいずれか1つを示す情報をユーザに通知する表示制御を実行してもよい。例えば、「放電完了時刻は××の予定です」の文字列は、放電電力総量が確保される旨を示す情報の一例である。「節電要請があった場合に、電気代が××円安くなります」の文字列は、第2制御の効果を示す情報の一例である。
【0087】
ローカル制御装置360は、蓄電装置320の放電が行われている旨を示す情報をユーザに通知する表示制御を実行してもよい。例えば、「放電電力=××kW」は、蓄電装置320の放電が行われている旨を示す情報の一例である。ローカル制御装置360は、電力系統110から電力が供給されている旨を示す情報をユーザに通知する表示制御を実行してもよい。例えば、「買電電力=××kW」は、電力系統110から電力が供給されている旨を示す情報の一例である。
【0088】
ローカル制御装置360は、第2制御が行われているが、施設300としてコストが最適化されている旨を示す情報をユーザに通知する表示制御を実行してもよい。例えば、「放電完了時刻は××の予定です」及び「節電要請があった場合に、電気代が××円安くなります」の文字列は、施設300としてコストが最適化されている旨を示す情報の一例である。施設300としてコストが最適化されている旨を示す情報は、これに限定されるものではなく、「電気代が最適化されています」といった文字列であってもよい。
【0089】
(電力管理方法)
以下において、実施形態に係る電力管理方法について説明する。
【0090】
第1に、上述した第1制御を含む充電制御について説明する。
【0091】
図12に示すように、ステップS11において、ローカル制御装置360は、充電電力総量を特定する。上述したように、充電電力総量は、予測余剰電力総量及び第1所定期間の開始時点における蓄電装置320の蓄電可能容量に基づいて特定される(
図5及び
図6を参照)。
【0092】
ステップS12において、ローカル制御装置360は、第1所定期間において充電電力総量が確保されるように第1閾値を設定する(
図7の下段を参照)。
【0093】
ステップS13において、ローカル制御装置360は、上述した第1制御を含む充電計画を設定する(
図7の下段を参照)。
【0094】
ステップS14において、ローカル制御装置360は、ステップS13で設定された充電計画に基づいて、上述した第1制御を含む充電制御を実行する。
【0095】
ステップS15において、ローカル制御装置360は、上述した表示制御を実行する(
図10を参照)。
【0096】
第2に、上述した第2制御を含む放電制御について説明する。
【0097】
図13に示すように、ステップS21において、ローカル制御装置360は、放電電力総量を特定する。上述したように、放電電力総量は、予測消費電力総量及び第2所定期間の開始時点における蓄電装置320の蓄電残量に基づいて特定される(
図8を参照)。
【0098】
ステップS22において、ローカル制御装置360は、第2所定期間において放電電力総量が確保されるように第2閾値を設定する(
図9の下段を参照)。
【0099】
ステップS23において、ローカル制御装置360は、上述した第2制御を含む放電計画を設定する(
図9の下段を参照)。
【0100】
ステップS24において、ローカル制御装置360は、ステップS23で設定された放電計画に基づいて、上述した第1制御を含む放電制御を実行する。
【0101】
ステップS25において、ローカル制御装置360は、上述した表示制御を実行する(
図11を参照)。
【0102】
(作用及び効果)
実施形態では、ローカル制御装置360は、充電制御において、余剰電力よりも小さい第1閾値以下に余剰電力を用いた蓄電装置320の充電電力を制限する第1制御を実行する。このような構成によれば、節電要請に応じることが可能な期間を延長することができる。ひいては、電力系統110の電力需給バランスを適切に調整することができる。
【0103】
実施形態では、ローカル制御装置360は、第1制御が適用される対象時間を含む第1所定期間において余剰電力を用いて蓄電装置320に充電される充電電力総量を特定し、特定された充電電力総量が確保されるように第1閾値を設定してもよい。このような構成によれば、第1所定期間の全体として充電電力総量が変わらないため、ユーザに不利益を与えることなく、自家消費を適切に実行することができる。
【0104】
実施形態では、ローカル制御装置360は、放電制御において、蓄電装置320の放電電力を第2閾値以下に制限する第2制御を実行してもよい。このような構成によれば、節電要請に応じることが可能な期間を延長することができる。ひいては、電力系統110の電力需給バランスを適切に調整することができる。
【0105】
実施形態では、ローカル制御装置360は、第2所定期間において蓄電装置320から放電される放電電力総量を特定し、特定された放電電力総量が確保されるように第2閾値を設定してもよい。このような構成によれば、第1所定期間の開始時点において蓄電装置320の蓄電残量を適切に減少することができ、第1所定期間における蓄電装置320の蓄電可能容量を確保することができる。ひいては、第1所定期間において自家消費を適切に実行することができる。
【0106】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0107】
上述した実施形態では、予測余剰電力総量の特定、充電電力総量の特定、第1閾値の設定、第1制御を含む充電制御をローカル制御装置360が実行するケースを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。
【0108】
例えば、予測余剰電力総量の特定は、電力管理サーバ200によって実行されてもよい。このようなケースにおいて、予測余剰電力総量の特定に必要な情報は、ローカル制御装置360から電力管理サーバ200に送信されてもよい。充電電力総量の特定は、電力管理サーバ200によって実行されてもよい。このようなケースにおいて、充電電力総量の特定に必要な情報は、ローカル制御装置360から電力管理サーバ200に送信されてもよい。第1閾値の設定は、電力管理サーバ200によって実行されてもよい。このようなケースにおいて、第1閾値の設定に必要な情報は、ローカル制御装置360から電力管理サーバ200に送信されてもよい。第1制御を含む充電制御は、電力管理サーバ200によって実行されてもよい。すなわち、第1制御を含む充電制御は、VPP制御の一部として実行されてもよい。
【0109】
上述した実施形態では、放電電力総量の特定、第2閾値の設定、第2制御を含む放電制御をローカル制御装置360が実行するケースを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。
【0110】
例えば、放電電力総量の特定は、電力管理サーバ200によって実行されてもよい。このようなケースにおいて、放電電力総量の特定に必要な情報は、ローカル制御装置360から電力管理サーバ200に送信されてもよい。第2閾値の設定は、電力管理サーバ200によって実行されてもよい。このようなケースにおいて、第2閾値の設定に必要な情報は、ローカル制御装置360から電力管理サーバ200に送信されてもよい。第2制御を含む放電制御は、電力管理サーバ200によって実行されてもよい。すなわち、第2制御を含む放電制御は、VPP制御の一部として実行されてもよい。
【0111】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0112】
実施形態では、第1所定期間は、1日の中で太陽電池装置310から電力が出力される期間(例えば、日の出から日の入りまで)である。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1所定期間は、1日の中で太陽電池装置310から電力が出力される期間の少なくとも一部を含めばよい。第1所定期間は、1日の中で太陽電池装置310から電力が出力される期間に含まれる任意の期間であってもよい。或いは、第1所定期間は、6:00~18:00又は10:00~14:00などのように固定的に定められた期間であってもよい。なお、1日の区切りは、0:00~24:00に限られず、6:00~翌日6:00などのように任意の区切りであってもよい。
【0113】
実施形態では、第2所定期間は、1日の中で太陽電池装置310から電力が出力されない期間(例えば、日の入りから日の出まで)である。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第2所定期間は、1日の中で太陽電池装置310から電力が出力されない期間の少なくとも一部を含めばよい。第2所定期間は、1日の中で太陽電池装置310から電力が出力されない期間に含まれる任意の期間であってもよい。或いは、第2所定期間は、18:00~翌日6:00又は22:00~翌日2:00などのように固定的に定められた期間であってもよい。なお、1日の区切りは、0:00~24:00に限られず、6:00~翌日6:00などのように任意の区切りであってもよい。
【0114】
実施形態では、所定想定期間が第1所定期間と同じであるケースを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。所定想定期間は第1所定期間と異なっていてもよい。例えば、第1所定期間が太陽電池装置310から電力が出力される期間よりも短い場合には、所定想定期間は第1所定期間よりも長くてもよい。例えば、所定想定期間は、太陽電池装置310から電力が出力されると想定される期間(例えば、日の出から日の入りまでの期間)であってもよい。或いは、所定想定期間は、余剰電力が生じると想定される期間であってもよい。所定想定期間は、連続的な期間の合計であってもよく、非連続的な期間の合計であってもよい。所定想定期間は1日であると考えてもよい。
【0115】
実施形態では、逆潮流が許容される発電装置として太陽電池装置310を例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。逆潮流が許容される発電装置は、再生可能エネルギーを利用して電力を出力する分散電源を含んでもよい。このような分散電源は、風力発電装置、水力発電装置、地熱発電装置及びバイオマス発電装置の中から選択された1以上の分散電源を含んでもよい。なお、蓄電装置320の放電電力の逆潮流が許容されてもよく、燃料電池装置330の出力電力の逆潮流が許容されてもよい。
【0116】
実施形態では特に触れていないが、蓄電装置320は、定置型の蓄電装置を含んでもよく、電気自動車に搭載される蓄電装置を含んでもよい。
【0117】
実施形態では、ユーザに情報を通知する通知制御として表示制御を例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。通知制御は、音声によって情報を通知する音声出力制御を含んでもよい。
【0118】
実施形態では、ローカル制御装置360が施設300に設けられるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。ローカル制御装置360は、ネットワーク120上に設けられるサーバなどによって実現されるクラウドサービスによって提供されてもよい。
【0119】
実施形態では特に触れていないが、電力とは、瞬時値(kW)であってもよく、単位時間の積算値(kWh)であってもよい。
【符号の説明】
【0120】
100…電力管理システム、110…電力系統、120…ネットワーク、200…電力管理サーバ、210…管理部、220…通信部、230…制御部、300…施設、310…太陽電池装置、320…蓄電装置、330…燃料電池装置、340…負荷機器、360…ローカル制御装置、361…第1通信部、362…第2通信部、363…制御部、380…電力計、390…電力計、電力計、392…電力計、393…電力計、400…電力会社