(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191529
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】携帯用空気サンプリング装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/22 20060101AFI20221220BHJP
G01N 1/02 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G01N1/22 B
G01N1/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173512
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2020542318の分割
【原出願日】2019-01-03
(31)【優先権主張番号】62/627,502
(32)【優先日】2018-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/897,914
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516083298
【氏名又は名称】ベルテック アソシエイツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VELTEK ASSOCIATES, INC.
【住所又は居所原語表記】15 Lee Boulevard, Malvern, Pennsylvania 19355 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】コッハー ネイサン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルタート ジュニア. アーサー エル.
(72)【発明者】
【氏名】チャーチヴァラ ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス マーク エー.
(57)【要約】
【課題】空気サンプリング装置および空気をサンプリングする方法を提供する。
【解決手段】本装置は、ハウジング本体とサンプリングデバイスのための保持アセンブリを有する。空気溜めは開口の周りでハウジング本体の上部と結合された上端を有し、空気溜めが開口と連通された状態となっており、長く延びた部分にほぼ沿って、ほぼ上端から下端への空気の流れを受け入れる。流れ接続部は、空気溜めの下端に結合される。マスフローメーターは、流れ接続部と結合した入口を有し、流れ接続部を介して空気溜めと連通された状態となっている。ブロワーは、サンプリングデバイスを通過し、開口を通り、空気溜めを通り、その空気の測定部分が流れ接続部を通過し、測定部分の流量を測定するマスフローメーターを通過して流れるように空気を吸引するように構成されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気をサンプリングするための空気サンプリング装置であって、
上部と側部と前記上部に設けられた開口とを含むハウジング本体と、
、
サンプリングデバイスを保持するように構成された保持アセンブリであって、前記ハウジング本体の前記上部において前記開口の周りに位置する保持アセンブリと、
上端と下端とそれらの間で規定された長く延びた部分とを含む空気溜めであって、前記上端が前記ハウジング本体の前記開口の周りで前記開口と連通するように連結され、前記上端から前記下端へ前記長く延びた部分に概ね沿った空気の流れを受けるように構成された空気溜めと、
前記空気溜めの前記下端に連結された流れ接続部と、
入口と出口とを含むマスフローメーターであって、前記入口は前記流れ接続部と連結され、前記流れ接続部を介して前記空気溜めと連通したマスフローメーターと、
前記空気溜めと協働するブロワーであって、前記サンプリングデバイスを通過し、前記開口を通り、前記空気溜めを通るように吸い込み、前記空気溜め内の空気の測定部分、前記流れ接続部を通過し、前記マスフローメーターを通過して流れるように構成されたブロワーとを有し、
前記マスフローメーターが、前記流れ接続部を介して吸引された、前記空気の測定部分の流量を測定する様に構成された、空気サンプリング装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記空気の測定部分の流量は、前記空気溜めを通過して流れる空気に比例する、空気サンプリング装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記空気溜めを通る総流量は、前記流れ接続部の前記流量に対し、前記流れ接続部と前記空気溜め端部との断面積比に基づく比例関係にある、空気サンプリング装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記流れ接続部は、受入端と出口端とを有し、前記受入端は前記空気溜めの前記下端に結合され、前記出口端は前記マスフローメーターの前記入口に結合されている、空気サンプリング装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記ハウジング本体は、空気用の排気口を含み、前記流れ接続部の前記受入端および前記出口端の両方が前記排気スロットから離れている、空気サンプリング装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記受入端および前記出口端は、前記空気溜めの前記下端に、前記空気溜めの前記長く延びた部分に対し横軸方向に、ほぼ直線的に配置されている、空気サンプリング装置。
【請求項7】
請求項4において、
前記出口端は、前記空気溜めの前記下端に支持されている、空気サンプリング装置。
【請求項8】
請求項4において、
前記流れ接続部の一部は、前記空気溜めの前記長く延びた部分に対しほぼ平行な方向に、前記空気溜めの前記下端よりも下に延びている、空気サンプリング装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記マスフローメーターは前記空気溜めの近傍または近接している、空気サンプリング装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記流れ接続部は、ほぼU字型である、空気サンプリング装置。
【請求項11】
請求項1において、
前記空気溜めの前記長く延びた部分は、当該前記空気サンプリング装置の長手方向の軸に対してほぼ平行である、空気サンプリング装置。
【請求項12】
請求項1において、
前記ブロワーは前記空気溜めの内部に配置されている、空気サンプリング装置。
【請求項13】
請求項1において、さらに、
前記マスフローメーターおよび前記ブロワーの両方に接続された処理装置であって、検出された流量を前記マスフローメーターから受信し、前記検出された流量に応じて前記ブロワーの速度を制御するように適応された処理装置をさらに有する、空気サンプリング装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記処理装置は、前記検出された流量が所望の流量より低い場合には前記ブロワーの前記速度を上げ、前記検出された流量が所望の流量より高い場合には前記ブロワーの前記速度を下げる、空気サンプリング装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記処理装置は、遠隔ネットワークに接続されている、空気サンプリング装置。
【請求項16】
空気をサンプリングする方法であって、
ハウジング本体の外部に位置する培地プレートを横切り、前記ハウジング本体の内部の空気溜めを通過するように空気を吸引するステップと、
前記空気溜めの中の空気の測定部分であって、前記空気溜め内の空気に比例する空気をマスフローメーターに向けて供給するステップと、
前記マスフローメーターで、前記空気の前記測定部分の流量を、検出された流量として測定するステップと、を有する方法。
【請求項17】
請求項16において、さらに、
前記空気の前記測定部分の前記検出された流量と所望の流量とを比較するステップを有する、方法。
【請求項18】
請求項17において、さらに、
前記検出された流量と前記所望の流量との前記比較に基づき、前記空気溜めを通過する前記空気の流れの前記速度を制御するステップを有する、方法。
【請求項19】
請求項18において、さらに、
前記検出された流量が前記所望の流量より少ない場合には、前記流量の前記空気の流れの前記速度を上げ、前記検出された流量が前記所望の流量より多い場合には、前記流量の前記空気の流れの前記速度を下げるステップを有する、方法。
【請求項20】
請求項16において、
前記空気溜めに結合された流れ接続部が、前記測定部分の空気を前記マスフローメーターに向けて供給する、方法。
【請求項21】
請求項16において、さらに、
前記ハウジング本体内の、前記流れ接続部から離れた排気口から空気を排気するステップを有する、方法。
【請求項22】
請求項16において、
前記供給することは流れ接続部を経由することを含み、前記測定することは前記空気溜めの開口と前記流れ接続部との断面積比に基づく、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の説明)
本願は、2016年8月15日に出願された仮出願第62/375,274号の優先権を主張する、2016年8月15日に出願された米国意匠出願第29/574,405号の継続出願である、2016年8月22日に出願された米国出願第15/243,403号の一部継続出願である。また、本願は、2018年2月7日に出願された仮出願第62/627,502の優先権も主張する。これらの出願の全体が、本明細書において参照により組み込まれている。
【0002】
(発明分野)
本発明は、制御された室内環境において空気サンプルを収集し分析するための方法および装置に関するものである。特に、本発明は、クリーンルームにおける空気サンプルの収集、処理そして分析の装置と方法、およびサンプリング機器の遠隔監視、記録、および制御に関するものである。
【背景技術】
【0003】
製造、研究やその他の施設において見受けられるフードされた領域 (hooded areas)やクリーンルーム(それらを合わせて「クリーンルーム」と呼ぶ)のような制御された環境は、大気圧に対する領域内部の静圧、および/またはクリーンルームに隣接した空間の空気圧に基づき、典型的に大きく2つに分類される。正圧の領域は、絶対圧が、大気圧より高く、またはクリーンルームに隣接する空間の空気圧より高く、または両方より高く維持される。これらの領域において、正圧は、濾過および/または空調された空気をポンプにより領域内へ供給し、領域から排出される空気の流れを制御することにより得られる。隣接した空間、例えば、工場施設やオフィスは、暖房、換気、そして空調システム(HVAC)により、典型的には大気圧またはその近傍に維持され、または、周囲の環境に対する開口を設けることにより隣接した空間が大気圧になるようにしている。このように、正圧のクリーンルームからの空気の流れは、気圧の低い隣接区域または大気へと流れる。
【0004】
クリーンルームの正圧が壊れる場合、クリーンルームに存在する空気伝達される汚染物質が隣接空間の人々に対し健康被害を生じさせる可能性がない限り、隣接空間または大気への空気の流れは一般的に問題ではない。電機機器、航空宇宙関連機材、光学システム、軍用機器そして防衛関連の研究が行われ、またはそれらの機器が製造されているクリーンルーム内の空気は、人間や環境への安全や健康懸念を示すほどの濃度の浮遊する気体、蒸気および微粒子を一般的に含まない。しかしながら、常にそうではないし、同様の業務内でも他の処理により、上記の受容可能な水準を超えた汚染物を発生させる可能性があり、それらが処置されずにクリーンルームから漏れることを防がなくてはならない。
【0005】
負圧の領域は、絶対圧が大気圧より低いか、またはクリーンルームに隣接する空間の空気圧より低く、あるいは両方より低く維持される。負圧は、濾過された、または空調された空気が区域内へ流入する量よりも速く領域の外へ排気することにより維持される。負圧の領域は、隣接する空間の人間や環境に対し、領域内の空気中の汚染物質が潜在的な健康への脅威となりうる懸念がある場合にしばしば用いられる。
【0006】
人間の健康や環境への影響の有無にかかわらず、法的規制により、および産業界で採用された製造および研究品質基準を満たすために、ある種の製造や研究活動は、正圧のクリーンルームで行われなくてはならない。例えば、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)により公布されたものを含む連邦および州規制は、正圧または負圧のクリーンルームの利用を必要とするものがある。
【0007】
特に、米国食品医薬品局(FDA)は、医薬品製造を、医薬品のバッチ生産が衛生的な環境で行われているという確認と証明とが得られるクリーンルーム内に限ることを要求している。
【0008】
様々なFDAの規制および基準は、特定の医薬品製造活動の間の清浄度を実証または確認するためにクリーンルーム内において使われる空気サンプリング(空気採取)および/または空気モニタリング(空気監視)装置に対する要求を規定している。規制は、さらに、クリーンルーム内の空気品質の電子データの記録、正確性、精密性そして記録保持についても規定している。類似の要求が、バイオテクノロジー業界等に対しても課されている。
【0009】
いくつかの特許や公開公報が、クリーンルーム内の空気サンプリングやモニタリング、および中心地からの1またはそれ以上の空気サンプリング装置のモニタリングおよび制御のためのシステムについて開示しており、例えば、米国特許第9285,792、9063040、9046453および米国公開公報第2016/0061796などを挙げることができる。
【0010】
さらに、譲受人ベルテック・アソシエイツ・インコーポレイテッドは、
図8に示される携帯用サンプリング装置を提示する。示されているように、空気は気門室(アトリウム)50を通して吸い込まれ、寒天培地プレート(agar media plate)52を(横切り)通過し、そしてアトリウム置き台の最下部の開口54を通過する。開口54を通過後、空気は大型ファン56を通して吸引され、ユニットの本体を通過し、電子機器を通り、底面58から排出される。この装置は、望ましい流量レートに比例する一定のファン速度で作動するように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
空気サンプリング装置および空気をサンプリングする方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
空気サンプリング装置は、制御された環境において空気をサンプリング(採取)する。本装置は、上部と側部とを有するハウジング本体(筐体)を含む。開口はハウジング本体の上部に配置されている。保持アセンブリ(保持組立体、保持部材)は、サンプリングデバイス(採取装置)と気門室(アトリウム、atrium)とを保持する。保持アセンブリは、ハウジング本体の上部の、開口の周りに配置されている。空気溜め(プレナム、plenum)は上端と下端とを有し、上端は開口の周りでハウジング本体の上部と結合され、空気溜めが開口と連通(流体接続)された状態となっている。マスフローメーターは入口(入力、インプット)と出口(出力、アウトプット)とを備え、入口は空気溜めの下端に結合され、空気溜めの下端と連通(流体接続)された状態となっている。ブロワー(送風機)は空気溜め内部に配置され、空気を吸引し、サンプリングデバイスを通過し、開口を通り、空気溜めを通り、さらに、マスフローメーター(質量流量計)を通るように構成されている。マスフローメーターは、マスフローメーターを通過する空気流量を検出(測定)する。さらに、コントローラーは、検出された流量をマスフローメーターから受け取り、検出された流量に反応してブロワーの速度(スピード)を制御する。コントローラーは、検出された流量が所望の流量より低い場合はブロワーの速度を上げ、検出された流量が所望の流量より高い場合はブロワーの速度を下げる。
【0013】
空気をサンプリングするための空気サンプリング装置は、上部と、側部と、上部に設けられた開口とを備えるハウジング本体と、サンプリングデバイスを保持する様に構成された保持アセンブリとを有し、保持アセンブリは、ハウジング本体の上部の開口の周りに配置されてもよく、さらに、上端、下端、およびそれらの間に規定された長く延びた部分(長手方向の長さ、縦長の部分)を含む空気溜めを有し、空気溜めの上端は、ハウジング本体の開口と流体的に接続(連通、流体接続)されるようにハウジング本体と開口の周りに接続(連結)されていてもよく、さらに、空気溜めは、ほぼ上端から下端へ向かい、ほぼ長く延びた部分に沿う空気の流れを受けるように構成されてもよく、さらに、空気溜めの下端に結合されてもよい流れ接続部(フロー接続)と、入口と出口とを備えるマスフローメーター(質量流量計)とを有し、その入口は流れ接続部と接続されてもよく、マスフローメーターは流れ接続部を経由して空気溜めと連通(流体接続)されていてもよく、さらに、空気溜めに関連した(協働する、合併した)ブロワーを有する。ブロワーは、空気を、サンプリングデバイスを通過し、開口を通過し、空気溜めを通過して吸引するように構成され、空気溜め内の空気の測定部分が流れ接続部を通り、マスフローメーターを通って流れるように構成されてもよく、マスフローメーターは、流れ接続部を経由して引き込まれた空気の測定部分の流量を測定するように構成される。
【0014】
空気をサンプリングするための方法は、ハウジング本体の外側に配置された培地プレートを横切り、ハウジング本体内の空気溜めを通過するように空気を吸引するステップと、空気溜め内の空気の測定部分をマスフローメーターに向けて供給するステップとを有し、空気の測定部分は、空気溜め内の空気に比例するものであり、さらに、空気の測定部分の流量を検出された流量(検出流量)としてマスフローメーターで測定するステップとを有する。さらに本方法は、空気の測定部分の検出された流量を所望の流量と比較するステップと、検出された流量と所望の流量との比較に基づいて、空気溜めを通る空気の流量を制御するステップと、所望の流量よりも低い場合には検出された流量の空気の流れの速度を上げ、所望の流量よりも高い場合には検出された流量の空気の流れの速度を下げるステップとを含んでもよい。特定の実施形態では、空気溜めに接続された流れ接続部が、空気の測定部分をマスフローメーターに向けて供給してもよく、および/または、本方法は、さらに、ハウジング本体内の、流れ接続部から離れた排気口を通して空気を排気するステップを有していてもよい。
【0015】
本発明のこれらおよび他の目的、ならびに本発明の意図する利点の多くは、図面とともに以下の説明によって、より容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明のより完全な理解および本発明に付随する多くの利点は、以下の詳細な説明を、以下の図面と合わせて検討すれば、より理解される。
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の下側(底面側)から見た外観の斜視図である。
【0018】
【
図2】
図2は、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の内部断面を示す。
【0019】
【
図3A】
図3Aは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部チャンバーの内部断面を示し、当装置への空気の流入を示す。
【0020】
【
図3B】
図3Bは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部チャンバーの内部断面を示し、培地プレートへ作用(侵入)する空気を示す。
【0021】
【
図3C】
図3Cは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部チャンバーの内部断面を示し、ファン、マスフローメーターを通過し、排気スリット(排気溝)を通り装置から排出される空気の動きを示す。
【0022】
【
図3D】
図3Dは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部チャンバーの内部断面を示し、ファン、マスフローメーターを通過し、排気ポート(排気口)を取って装置から排出される空気の動きを示す。
【0023】
【
図4A】
図4Aは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部外観を示す斜視図である。
【0024】
【
図4B】
図4Bは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部外観の分解斜視図である。
【0025】
【0026】
【
図6A】
図6Aは、装置を上部から見た図であり、アトリウムおよび培地プレートの保持アセンブリが内側にある状態を示す。
【0027】
【
図6B】
図6Bは、装置を上部から見た図であり、アトリウムおよび培地プレートの保持アセンブリが外側にある状態を示す。
【0028】
【
図7A】
図7Aは、装置が直立し、三脚に取り付けられている状態を示す。
【0029】
【
図7B】
図7Bは、装置が水平になり、三脚に取り付けられている状態を示す。
【0030】
【0031】
【
図9】
図9は、本発明の異なる実施形態であり、空気サンプリング装置の内部断面図を示す。
【0032】
【
図10】
図10は、
図9に示された空気サンプリング装置の上部チャンバーの内部断面図であり、空気が装置に入り、培地プレートに衝突し、空気溜めを介してファンを通過し、流れ接続部を経由してマスフローメーターに移動し、排気口を通して装置から排気される様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面に示す本発明の好ましい実施形態を説明するにあたり、明確化のために特定の用語を使用する。しかしながら、本発明は、それらの選択された特定の用語に限定されるものではなく、それぞれの特定の用語は、同様の目的を達成するために、同様の方法で動作するすべての技術的に等価な意味を含む。本発明のいくつかの好ましい実施形態が例示目的のために記載されているが、本発明は、具体的に図面に示されていない他の形態で具体化されてもよいことが理解されるべきである。
【0034】
図1および2は、本発明の空気サンプリング装置100の実施形態の一例を示している。装置100は携帯可能であり、制御された環境内の様々な場所に持ち運んで設置できる。本明細書において「空気」は広い意味で用いられ、全ての気体、蒸気、および微粒子状物質を示し、発明を特定の種類のものに限定するものではない。空気サンプリング装置100は、クリーンルーム内の微細粒子を検査するのに特に役立つ。空気サンプリング装置100は、一般的に、サンプラー収納ユニット(サンプラーハウジングユニット、採取装置ハウジングユニット)と、本体またはハウジング102とを含む。サンプラー収納ユニット110は、カバー等の好適な装置であればよい。実施例として示されているものは、除菌可能な微生物用のアトリウム(SMA Sterilizable Microbial Atrium)110であり、空気の流れ(気流、エアーフロー)中の微粒子をサンプリング(採取)する培地プレート114を覆い、オートクレーブ(加圧滅菌)などの方法により除菌(滅菌)可能である。アトリウム(気門室、中央が開いた空洞、開放されたホール、Atrium)110は、培地プレート114を保護するとともに、空気がアトリウム110を通過して流れて培地プレート114に接触するようにするものである。アトリウム110は、熱または蒸気により殺菌可能であり、オートクレーブされるものであってもよい。サンプリング装置100は、クリーンルームなどの清潔な環境下において使用されるように構成されている。
【0035】
ハウジング102は、ほぼ円筒状であり、上半部120と下半部130とを有する。
図2に最もよく表されているように、上半部120は、ブロワーアセンブリ(ブロワー組立体)500を収納する上部の内部空間または上部チャンバー210を規定し、下半部130は、いくつかの電子部品300を収納する下部の内部空間または下部チャンバー250を規定する。壁または仕切り125は、上部チャンバー210と下部チャンバー250とを隔てる。主たるハウジング102の全体が、単一の一体化された部材である。携帯用装置100を持ち歩くために持ち手(ハンドル)80(
図2)を設けることができる。図示されているように、ハンドル80は、上部ハウジング本体120の底部(下側)から下部ハウジング本体130の底部(下側)に繋がるものであってもよい。
上部および下部チャンバー210、250
【0036】
上部チャンバー210は、上部(上面)212(
図4A、4B)、前部(前面)(
図4A、4B)、後部(後面)(
図1)を有し、さらに、前部と後部とを結合する反対側の側部(側面)を有する。
図4A、4Bに最もよく表されているように、上部チャンバー210の上部212は、アトリウム110と取外し可能な状態で結合している。
図1および2に戻ると、細長い換気用のスロット(溝)121および支持用のスタンド122が、上部チャンバー210の後部に配置されている。支持用のスタンド(サポートスタンド)122は細長の部材であり、スタンド122を上部チャンバー210に結合するネジが収納されている。スタンド122は、横に延びて、装置100が実質的に水平なポジションで設置されるときに水平になるように、また装置100が不注意に横揺れしたり、一方向に傾いたりすることを防ぐように構成される。さらに、開口のような固定機構を装置100の後部に設けてもよく、三脚(
図7A)と連結するように構成され、空気サンプリング装置100が水平な状態で設置されるようにすることができる。固定機構は、ネジ付き開口部であってもよく、三脚のネジとネジ留めされる。
【0037】
下部チャンバー250は、コントローラーへのアクセスパネル131、複数の垂直方向の支え132、そして垂直方向の三脚受け133(
図7A)を含む。アクセスパネル131は、コントローラーへのアクセスを可能にし、USBスロット、および/またはバッテリーへのアクセスポイントを提供してもよい。複数の垂直方向の支え(垂直支持部)132は、空気サンプリング装置100の底部に沿って(広がって)配置されており、支柱なしでも安定するようになっている。垂直支持部132は、空気サンプリング装置100が表面に沿って滑らないように、ゴムや類似の複合ポリマーなどの摩擦抵抗の高い素材でコーティングされていてもよい。垂直方向の三脚受け133は、空気サンプリング装置100が垂直状態で立つように、三脚(不図示)が取り付けられるように構成されている。いくつかの実施例では、垂直方向の三脚受け133はねじ状であり、三脚がねじで取り付けられる。このように、装置100は、支え132で垂直に自立してもよく、受け133により三脚に結合されてもよい。装置100は、サポートスタンド122で水平に設置されてもよく、またネジ状の受けにより三脚と結合されてもよい。
保持アセンブリ400
【0038】
図4Bを参照すると、受け用の、または保持用のアセンブリ(組立体)400が、上部チャンバー212の上部(それは空気サンプリング装置100の上部でもある)に設けられている。保持アセンブリ400は、上部212の窪んだ部分にはまり、側壁218と底を有する。1またはそれ以上の突起部113が側壁218に形成されている。
図5に最もよく示されているように、保持アセンブリ400は、中央の固定部材430と、上部ディスクまたはプレート420と、底部または底プレート402と、1またはそれ以上の留め具を有する。
【0039】
底プレート(下部プレート)402は、1またはそれ以上の湾曲するように延びた溝または下部チャネル(底溝)406を含み、それらは下部プレート402にスロットとして形成されている。下部プレート402は、ハウジング102の上部212に固定される。上部プレート420は、1またはそれ以上の湾曲するように延びた溝または上部チャネル(上部溝)422を含み、それらは上部プレート420にスロットとして形成されている。上部プレート420は、下部プレート402に対して、下部プレート402がハウジング102に固定された状態で、回転できる。1またはそれ以上のハンドル(ツマミ)426を上部プレート420の上部表面に設けてもよい。ハンドル426は、上部プレートの上部表面から上方に延びており、使用者は、1またはそれ以上のハンドル426(
図5の実施例では2つ)を、掴んだり押すことによって、上部プレート420を回転させることができる。複数の上部チャネル422のそれぞれは、対応する下部チャネル406とオーバーラップするように位置決めされ、しかしながら上部チャネル422は、下部チャネル406に対し、動かすと中に入る向きになっており、
図6Aに最もよく表されているように、ロングワースチャック(Longworth chuck)構造が形成されている。チャネル406および422は、それぞれ湾曲した弧であり、ともに渦巻きのような形を形成している。プレート114がクリップ410の間で圧迫されるように、培地プレート114を掴む小さなプラスチックまたはシリコンのバンパーを、クリップ(止め金)410にオプションで設けてもよい。圧迫することにより、培地プレート114は、装置100が水平であろうとひっくり返ろうと、適正な位置に保持される。
【0040】
クリップ410は、上部および下部チャネル422、406の対応するそれぞれに配置される。クリップ410は、底部と、底部に対し垂直な側部を含み、ほぼL字型である。ペグ(杭)または支持412が、クリップ410の底部から外に延びている。支持部材412にはネック(首)とヘッド(頭)があり、逆T字形を形成し、ネックはクリップ410の底部からほぼ垂直に伸び、ヘッドは、ネックに対してほぼ垂直でクリップ410の底部と並行になっている。支持部材412のネックは、上部チャネル422を貫通し下部チャネル406を貫通している。支持部材412のヘッドは幅広であり、下部チャネル406の下側(底面側)に位置する。これにより、上部プレート420は下部プレート402に組付けられ、それともにそれぞれのクリップ410がハウジング102と、対応するペアの上部チャネルおよび下部チャネル406および422とに組付けられる。しかしながら、支持部材412のヘッドは下部プレート402の反対側に座している必要はなく、プレート402および420をロックしておく必要はないことを記載しておく。むしろ、支持部材412のヘッドは、下部チャネル406を通過して伸びていなくても下部チャネル406に入っていればよく、ヘッドは下部チャネル406中でスライドできればよい。
【0041】
図示されているように、下部チャネルおよび上部チャネル406および422は、中心よりわずかに外側に広がっており、クリップ410がチャネル406および422内を左右にスライドすると、クリップ410は中心に向かって、または中心から離れるように動く。それぞれのチャネル406および422は、最も中心によった(中心開口119に最も接近する)のポジションと、最も外側によった(中心開口119と最も離れる)のポジションがある。クリップ410はチャネル406および422内を動くので、クリップ410の向きは変わらない。すなわち、クリップ410の側部は中心を向き、実質的に中心開口119と同心(または平行)に動く。上部プレート420が回転すると、全てのクリップ410は、それぞれのチャネルの中で一緒に同時に動き、中心開口119に対し同距離となる。これにより、クリップ410による、所望の最小および最大の直径が決まる。
図6Aには、クリップ410が内側のポジションに示されており、クリップ410は、チャネル406および422の各々の最も内側のポジションに位置する。
図6Bには、クリップ410が外側のポジションに示されており、クリップ410は溝406および422の各々の最も外側に位置する。上部プレート420を下部プレート402に対し回転することにより、クリップ410は、内側と外側のポジション間を移動する。1つの実施例では、内側のポジションは直径85mm、外側のポジションは直径約100mmであり、これらのサイズは培地プレートのサイズと共通である。
【0042】
保持部材(固定部材、セキュアリングメンバー)430は、ネック(首)432および、幅広のヘッド(頭)434を有し、輪状であり、中央開口436を形成する。下部プレート402と上部プレート420は、それぞれ中央開口404および424を有する。プレート402および420は円形で、中央開口404および424を有するドーナッツ型である。下部の中央開口404は、内部にねじが設けられていてもよい。保持部材430のネック432は、外側にねじが設けられてもよく、ネジ付きの下部中央の開口404に接続することができる。
【0043】
ネック432は、上部プレートの中央開口424を通過して伸び、下部プレートの中央開口404に螺合し、上部プレート420を下部プレート402に結合するが、上部プレート420は下部プレート402に対して回転可能である。しかしながら、保持部材430は、上部プレート420と下部プレート402の間に位置する支持部品412のヘッドに十分な圧力を加えて、十分な摩擦力を発生させるので、クリップ410はユーザーが設定したポジションに留まり、チャネル溝406、422内を不注意に滑ること無しに位置がロックされ、培地プレート114を保持できる。保持部材430は、人間工学的な湾曲と内側にテーパー(傾き)を設けることで、保持部材の中央開口436、上部プレートの中央開口424、そして下部プレートの中央開口404を貫いて伸びた中央開口119に空気が容易に取り入れるようにできる。
【0044】
図4Bにさらに示されているように、試験またはサンプリングデバイス、例えば、ペトリ皿または寒天培地プレート114などが、試験培地が中に含まれた状態で設置される。培地プレート114は、クリップ410の底部の上に置かれる。クリップ410は、培地プレート114を所定の場所に保持する。クリップ410は、溝406および422を内外に滑り、皿114がクリップ410同士の間にぴったりと収まり、装置100が水平に横になっても、クリップ410から不意に外れることはない。培地プレート114は、例えば、装置100に入ってくる微粒子を捕捉するように設計された寒天培地を含んでいる。補足された微粒子は、その後、分析できる。
【0045】
このように、調整可能なクリップ410は、様々な直径の培地プレート114に適応できるように、アトリウム110の基部の径方向に沿って内側方向および外側方向に滑るように構成されている。いったん直径が培地プレート114の直径と適合するように調整されれば、調整可能なクリップ410のペグ414は、ロックされていないポジションからロックされたポジションに移動可能であり、寒天培地プレート114を固定(保持)する。ペグ414は、寒天培地プレート114の外縁をつかむことができる位置に置かれる。ペグ(杭、支持棒)414はそれぞれ若干傾いており、ペグ414がプレートの大略の直径に配置されると、培地プレート114の側壁に対し内側の力が引き起こされ、培地プレートを確実に保持する。このように、培地プレート114は、複数のクリップの中に圧入され、ペグ414により保持される。
アトリウム(気門室)110
【0046】
図2、
図4A、
図4Bを参照すると、アトリウム(気門室、開けた空洞)110は、サンプリング装置100の上部212に取外し可能な状態で連結され、上部チャンバー210と直に空気が連通する(直にエアーフローが接続される)ようになっている。アトリウム110は、カバープレート112を有し、カバープレートの上部は平坦で、側部はクリップ410より幅広で下向きに延びている。複数の開口112が、カバープレート111の上部に形成されている。
図4Bを参照すると、1またはそれ以上の固定用のスロットまたは溝112が、カバープレート111の側部に形成されている。それぞれの固定用の溝112は、受け部216の側部218上のそれぞれの突起113と合うようになっている。固定用の溝112は、垂直部分と水平部分とを含む。
【0047】
アトリウム110をハウジング102に取り付けるために、突起113が固定用の溝112の垂直部分に入るように、ユーザーはアトリウム110を培地プレート114の上部に設置する。いったん突起が固定用の溝112の垂直部分に完全に入れば、ユーザーはアトリウム110を回転することができ、突起113は固定用の溝112の水平部分に入り、その結果、アトリウム110を主ハウジング102に取外し可能な状態で固定できる(
図4A)。装置100全体を水平に設置されることが可能であるが、アトリウム110は主ハウジング102の上部212にそのまま固定される。ユーザーは、アトリウム110を捩じって外側に引っ張ることにより、突起は水平部分に沿って滑り、次に固定溝112の垂直部分から引っ張り出され、アトリウム110を外すことができる。
ブロワーアセンブリ500
【0048】
図2を参照すると、ブロワーアセンブリ(ブロワ―組立体)500は、空気サンプリング装置100の上部チャンバー200内に設けられている。ブロワーアセンブリ500は、ブロワーハウジング502と、ファン504とを有する。ブロワーハウジング502は、空気を送るプレナム(空気が充満した空間、空気溜め)である。プレナム(空気溜め)502は、少なくとも一つの壁を有し、
図2の実施例においては、両端が開いたチューブ形状の円筒形である。ブロワーハウジング502は、単一の一体型された部品であってもよく、複数の分割された異なるハウジングであってもよく、複数の異なるハウジングはそれぞれのハウジングの端で外側に広がったリップ(縁、端)503および505により接続されてもよい。この場合、図示されているように、最初のハウジングの上の縁503は、ハウジング102の上部112に結合され最初のハウジングの底(下側)の縁503は、2番目のハウジングの上側の縁505に結合されてもよい。2番目のハウジングの底(下側)の縁505は、マスフロー検出装置または検出装置のアダプターに結合されてもよい。ガスケットを縁503および505とそれぞれの接続相手との間に設けてもよく、それらの間に気密性のシールを施し、プレナム502からの空気漏れが起きないようにしてもよい。このように、プレナム(空気溜め)502は、上端と、上端の反対側の下端(底端)とを含む。プレナム502の上端は、中央開口119の周りでハウジング102の上部と結合され、プレナム502は、保持部材400とアトリウム110と空気が流通するように結合する(連通する)状態となる。プレナム502は、中央開口119と実質的に同じ大きさであり、僅かに大きくてもよい。これにより、ファン504は、中央開口119を経由し、アトリウム110と保持部材400を通して空気を直接引き込む。
【0049】
ファン504は、プレナム502内に配置される。ファン504は、センターサポートロッドと、ファンブレード506とを有する。センターロッドは、サンプリング装置100の縦軸(長手方向の軸)と概ね平行な向きに延びた縦軸(長手方向の軸)を有する。ファンブレード(羽)506は、センターロッドから外に向かって延び、プレナム502を通して空気を下向きに吸引するように構成されている(
図2の実施例のように、サンプリング装置100が垂直または真っすぐに立っているとき)。上部チャンバー210は、寒天培地プレート114の標準的な大きさと形とに適合するようなサイズおよび形状であり、下部(底部)チャンバー250内の電子部品についても同様である。
【0050】
このように、ブロワー組立体500は長くなっており(縦長であり)、サンプリング装置100の長手方向の軸と平行な長手方向の軸を有する。したがって、ブロワーアセンブリ500(ファン504およびプレナム502を含む)の長手方向の軸は、サンプリング装置100が垂直の時は垂直であり(
図7A)、サンプリング装置100が水平の時は水平である(
図7B)。プレナム502およびファン504は、培地プレート114より小さくしてもよく、培地プレート114により信頼できるテスト結果が得られるアトリウム111を通過する空気の流れを作ることができる。図示されているように、プレナム502とファン504は、培地プレート114の約半分の大きさであり、培地プレート114の中央になるように配置されている。
【0051】
図9および10に、本発明の他の例示的な実施形態に従った異なるブロワーアセンブリ500’が示されている。流れ接続部(流路接続部、フロー接続)900が追加され、ブロワーアセンブリ500’がマスフローメーター600’に接続され、マスフローメーター600’が流れ接続部900を介してブロワーアセンブリ500’と連通(流体が流れるように接続)されていることを除けば、本実施形態のブロワーアセンブリ500’は、上記実施形態のブロワーアセンブリ500と共通である。ブロワーアセンブリ500’は、空気溜め(プレナム)502’と、空気溜め502’に合併した(関連した、合体した、協働する)ブロワーまたはファン504’を有する。上記実施形態の空気溜め(プレナム)502と同様に、本実施形態の空気溜め502'は、単一の一体型装置であってもよいし、複数の分割された異なるハウジングが相互に結合されたものであってもよい。空気溜め502’は、上端503’、下端505’、およびそれらの間に規定された長手方向の側面または長さ(長く延びた部分、縦長の部分)507’を有してもよい。長く延びた部分507’は、サンプリング装置100の長手方向の軸とほぼ平行であってもよい。したがって、空気溜め502’の長く延びた部分507’は、サンプリング装置100が垂直の場合には垂直であってもよく、サンプリング装置100が水平の場合には水平であってもよい。上端503’はリップ(縁)を備えていてもよく、ハウジング102の上面112に結合可能であり、下端505'もリップを備えていてもよく、流れ接続部900を介してマスフローメーターに結合可能である。空気溜め502’は、その上端503’を通り、長く延びた部分507’に沿って、保持アセンブリ400およびアトリウム110から空気を受け入れるように構成される。ファン504’は、空気溜め502’の内部で作動して、中央の開口119を介してアトリウム110および保持アセンブリ400を直に通して空気を吸引してもよい。
【0052】
流れ接続部900は、空気溜め502’とマスフローメーター600’との間に配置された導管であることが好ましい。流れ接続部900は、中央の開口を備え、気密性を有し、例えば、柔軟なプラスチックチューブまたは空気溜め(プレナム)であってもよい。流れ接続部900は、円または四角形などの任意の形状であってもよいが、円形の断面と円形の中央の開口を備えていることが好ましい。流れ接続部900は、ブロワーアセンブリ500’を通過する空気の所定の一部または所定の割合、すなわち、通過する空気の測定部分を、マスフローメーター600’によって測定されるように向かわせる(方向を変える、迂回させる)ように構成されている。空気(ブロワーアッセンブリを通過する空気)の測定部分は、ブロワーアセンブリ500’を流れる空気に比例する。空気溜めを通過する総流量は、流れ接続部900の断面積と空気溜めの端部505の断面積との比、すなわち、流れ接続部900の端部、または流れ接続部900が空気溜め502に対して接続されているかまたは配置されている任意の位置における空気溜め502の断面積との比に比例する。マスフローメーターからの出力は、流量計を通過する流れに比例する電圧であり、その電圧は、電子的にデジタル値に変換され、表示に適した単位に変換される。
【0053】
流れ接続部900は、空気溜め502’の下端505’と結合するように適合された受入端902と、マスフローメーター600’と結合するように適合された反対側の出口端(排出端)904と、その間に設けられた導管体906とを備えていてもよい。受入端902は、空気溜めの下端505’の開口の周り、または開口を通り抜けて取り付けられてもよく、例えば、流れ接続部900を連結して、空気溜め502’が導管体906と流体的に(すなわち、流れが)通じるように接続(連通)されていればよい。導管体906は、例えば、ほぼU字形であってもよく、受入端902および出口端904がハウジング本体内で概ね同じ高さ、すなわち、それらの端部が、空気溜め502’の長く延びた部分507’に対する横方向の(垂直な)軸に対してほぼ整列しているように(直線になるように)配置されていてもよい。また、出口端904は、空気溜め502'の下端505'に搭載されていてもよく、それにより、空気溜め502’に隣接し、ハウジング内の排気口121から離れて、すなわち、ハウジング内の排気口121に近接または隣接しないようになっていてもよい。1つの好ましい実施形態では、導管体906の少なくとも一部908が、空気溜め502’の長く延びた部分507’とほぼ平行な方向に、空気溜めの下端505’の下に延びている。あるいは、出口端904は、排気スロット121の近傍に配置されてもよい。
【0054】
流れ接続部(流路接続部、フロー接続)900は長い形状であり、長手方向の軸を有する。本発明の非限定的な1つの実施形態では、受入端902における長手方向の軸は、空気溜め502’の長手方向の軸と実質的に平行であってもよい。そして
図10に最もよく示されているように、下端505’で空気溜め502’を出る空気流の少なくとも一部は、何の障害も無く流れ接続部900の中央の開口にまっすぐ進み、空気溜め502’を出る残りの空気流は、そのまま出て同様に、排気121またはポートを介して外に排気される。このようにすることで、流れ接続部900により、空気溜め502’を通過する流量の厳密で信頼性の高い読み取りが可能になる。流れ接続部900は、上部チャンバー210の内部空間にあるマスフローメーター600’に接続するために、必要であれば、折り曲げることができる。U字形の流れ接続部900が示されているが、本体906はいかなる曲がりもなく真っ直ぐであってもよく、他の任意の適切な形状であってもよい。さらに、1つの実施形態では、流れ接続部900は、空気溜め502’の下端505’の下端の空気溜め502’の外周部(例えば、空気溜め502’の側壁のすぐ内側)に配置してもよい。しかしながら、流れ接続部900は、空気溜め502’の開口の任意の適切な位置に配置することができ、例えば、空気溜め502’の内側、あるいは空気溜め502’の中心に向かってより近い位置に設定されてもよい。さらに、1つの流れ接続部900およびマスフローメーター600’のみが示されているが、複数の流れ接続部900および/またはマスフローメーター600’を設けてもよい。
マスフローメーター600
【0055】
マスフローメーター(質量流量計)600も上部チャンバー210内に置かれ、ブロワーアセンブリ500の直下に配置されている。マスフローメーターは、上端に入口(入力、インプット)602と、下端(底端)に出口(出力、アウトプット)604とを有する。入口602はプレナム502の下側の開放端に連結され、プレナム502と空気が障害なく流通するようになっている。このように、マスフローメーター600は、プレナム502を通過するエアーフローを直に受け入れる。プレナム502の下端がマスフローメーター600の入口602より大きい場合は、図示されているように、アダプター603を挿入することにより、プレナム502の下端とマスフローメーター600の入口602との間の機密性を維持することができる。
【0056】
マスフローメーター600は、アトリウム110を通り、培地プレート114にぶつかり、プレナム502を通過し、入口602に入る、サンプリング装置100に流入する空気流量(エアーフローレート)を測定する。マスフローメーター600の出口604から空気が排出されると、その空気は上部チャンバー210に入り、ハウジング102のベント121を経由して排出される。
【0057】
図示されているように、上部チャンバー210はオペレーター用のディスプレイおよび/またはコントロールパネル302、ブロワーアセンブリ500、およびマスフローメーター600を収納する。コントロールパネル302は、電子タッチ式ディスプレイでオペレーターがサンプリング装置100を操作することを可能にする。コントロールパネル302は、ハウジング102に収まるようになっているが、例えば、上部チャンバー210内に張り出すようにしてもよい。しかしながら、空気が上部チャンバー210から漏れ出さないように、コントロールパネル302は、ハウジング102に対し空気および/または液体の密封性を有している。
【0058】
図9および10には、本発明の異なる例示的な実施形態における異なるマスフローメーター600’が示されている。マスフローメーター600’は、流れ接続部900の出口端904に結合され、上部チャンバー210内の任意の場所に配置されてもよい。ある好ましい実施形態では、マスフローメーター600’は、空気溜め502’の近傍または隣接して配置され、装置の排気口121から離れて、すなわち、装置の排気口121の近傍ではなく、または隣接しないように配置される。異なる例では、マスフローメーター600’は、排気口121の近傍に配置されてもよい。マスフローメーター600'は、入口602’および出口604’を有する。入口602’は、流れ接続部900の排出(出口)端904に結合するように構成され、それによって空気溜め502’と連通(流体接続)される。したがって、空気は、空気溜め502’を通過し、次に流れ接続部900を通過し、そしてマスフローメーター600’の入口602’に流れる。
【0059】
上記の実施形態のマスフローメーター600と同様に、マスフローメーター600’は、空気の流量を測定する。この実施形態では、マスフローメーター600’は、流れ接続部900を通って入る、空気溜めの空気の測定部分の空気流量を測定する。空気溜めを通過する空気の測定部分(測定対象部分)は、装置に入る空気、すなわち、アトリウム110内に入って、培地プレート114にぶつかり、空気溜め502’を通過する空気に比例するので、マスフローメーター600’による、その空気の測定部分の検出流量(検出された流量)は、サンプリング装置100に流入する空気流量を表している。本発明の非限定的な1つの実施形態では、マスフローメーターからの出力は、メーターを通過する流量に比例する電圧である。その電圧は、電子的にデジタル値に変換され、表示のために適した単位に変換される。空気の測定部分がマスフローメーター600’の出口604’から排出されると、上部チャンバー210に入り、ハウジング102の排気口121を経由して排出される。
電子部品アセンブリ(電子部品組立体)300
【0060】
その他の全ての電子部品300(コントロールパネル302、ブロワーアセンブリ500、およびマスフローメーター600を除く)は、下部チャンバー250に収納されている。この構成により、サンプリング装置100は安定し、サンプリング装置100の幅/直径を縮めることができる。電子部品アセンブリ300は、例えば、コントローラー304、パワーサプライ(バッテリー)、そしてモーター306を含むことが可能である。いくつかの実施例では、コントローラーはコンピュータ、またはプロセッサーやASICといったプロセッシング装置(処理装置)であってもよい。コントローラー304は、ファン504、マスフローメーター600およびコントロールパネル302を動かす。コントローラー304は、オペレーターからのコントロールシグナル、例えば、試験(検査、テスト)のスタート・ストップや、試験のパラメーター(時間、流量など)を受け取る。コントローラー304は、流量、テスト時間、残りテスト時間といったサンプリング装置100のオペレーションに関する情報もコントロールパネル302上に表示する。コントローラー304は、他のサンプリング装置のコントローラー304、またはパーソナルコンピュータ、ネットワークやスマートフォンといった遠隔装置と有線または無線でやり取りすることもできる。
【0061】
このように、コントローラー304は、空気サンプリング装置100のファン504とマスフローメーター600とを稼働させる。サンプリングプロセスが始まると、システムは所望の流量を生成しようとする。マスフローメーター600は、システムを通過する流量を遅滞なくコントローラー304に継続的に報告する。コントローラー304は、測定された(検出された)流量が所望の流量(通常は、1立方フィート毎分(cfm))と等しいかどうか評価する。所望の流量と測定された流量との差はエラーとなる。所望の流量が、測定された流量より大きい場合は、コントローラー304は、ファン504の回転数を増やして、流量を増加させる。所望の流量が、測定された流量より小さい場合は、コントローラー304はファン504の回転数を下げて、流量を低減する。このプロセスは継続して繰り返されてもよく(1秒あたり何回も、ノンストップで)、定期的な間隔で繰り返されてもよい。システムの出力の評価と入力の修正とを行う処理は、クロースドループ制御である。比例・積分・微分制御(PID制御)のアルゴリズムは、システムエラーを低い状態に保つためにコントローラー304で使用される。空気サンプリング装置100は、遅滞のない流量に基づき、この制御方法をファン速度の調整のために使用することが望ましい。したがって、コントローラー304は、マスフローメーター600から提供されるリアルタイムのフィードバックに基づき、遅れやマニュアルのやり取り無しに、ファン504のスピードをリアルタイムで制御できる。
【0062】
実施例の1つでは、コントローラー304はネットワーク化されていてもよく、IEEE802.3(有線)、IEEE802.11(無線)、およびIEEE802.15.4(Bluetooth(登録商標)用の無線)などの物理的なおよびデータ接続規格を用いたTCP/IPネットワークを介してインターネットに接続することが可能である。異なる実施例では、コントローラー304はネットワークを通して遠隔的にコマンドを送受信してもよい。プロセッシング機器(スマートフォン、コンピュータ等)などのネットワークに繋がった機器やアプリケーションを使用し、空気サンプリング装置100は、ネットワークを介して、遠隔的にモニターされ、コントロールされてもよい。空気サンプリング装置100は、取外し可能なUSBフラッシュドライブにイベント履歴をエクスポート(出力)することも可能である。フラッシュドライブとUSB接続端子には、平らで空気サンプリング装置100を水平なポジションに保持した状態で、コントローラー・アクセス・パネル131(
図1)からアクセス可能である。イベント履歴には、サンプリングイベント(事象)、キャリブレーション(校正)イベント、および管理イベントが含まれる。実施例の1つでは、空気サンプリング装置100はネットワークおよび中央制御装置と一体化され、中央からモニタリングと制御をおこなってもよく、それらについては、米国特許第9285,792号、第9063040号、第9046453号、および米国特許公開第2016/0061796号に示されている。それらの特許と出願の内容は、参照によりここに組み込まれている。
換気スロット121およびポートアダプター650
【0063】
図1を参照すると、細長い換気スロット121が上部ハウジング120の背面の下側に配置されている。換気(排気)スロット121は、複数の垂直な部材を備えていてもよく、それらがハウジング120と一体になり、複数のスロットを形成するとともに、安全性を担保する。排気用のポートアダプター650が設けられてもよく、それは排気スロット121と合う(結合する)ようになっている。アダプター650は、ベース652とノズル654とを有する。ベース652は、換気スロット121と同じ形をしている。ベース652は、ノズル654を覆うとともに密閉されるように結合し、ノズル654を通じて排出される以外に空気がハウジング102から漏れ出すことを防止する。ノズル654は、ベース652から外側に突き出しており、中心に開口があり、ノズル654およびベース652を通じて延びている。
【0064】
清潔な環境の外の離れた場所に排気を移動させるために、チューブをノズル654に取り付け可能である。したがって、上部チャンバー210からの空気は、ノズル654を通りチューブ内へと排気される。
【0065】
排気ポートアダプター650は、排気接続機構656を介して、換気スロット121と、着脱可能に連結される。排気接続機構656は、雄部材(例えば、ばねでバイアスされたアームなど)であってもよく、雌となる換気スロット121に入れるときにスライドさせて結合し、垂直の支持部を把持するようにしてもよい。排気ノズル654は、ほぼ円筒形のアウトプットノズルとして典型的に示されるが、チューブが取り付けられる形状であればいずれの形状であってもよい。いくつかの実施例では、排気ノズル654は、クランプ(締め金)を用いてチューブを確実に接続するとともに気密になるようにしてもよい。その他の実施例では、排気ノズル654の外側にリブが設けられるとともにテーパー状となり、チューブを接続できるとともに、それらに対してチューブを押し込むことで気密になるようにしてもよい。
【0066】
本発明のさらに別の実施例では、換気スロット121は、ハウジング102に設けられた単一の開口であってもよく、それとは別のグリル(格子)を用意してスロット121に組付け(固定する機構や擦り合わせ構造などにより)可能とし、排気アダプター650とともに取り外したり交換したりできるものであってもよい。
【0067】
このように、換気口または換気スロット121および/または排気ポートアダプター650は、空気サンプリング装置100を通った空気が外部環境へ排出されるようにしている。空気は、上部本体120の上部にあるアトリウム110の開口を通って中に入り、そして上部本体120の後部(後側)にある排気スロットを通って排出される。換気スロット121は、上部ハウジング120の背面下側に配置されており、これによりサンプリング装置100を通して、直に入り、連続した空気の流れが形成される。
オペレーション-空気の流れ
【0068】
図2、3A-3Dおよび10を参照して、空気サンプリング装置100のオペレーション(動作)を説明する。オペレーションは、オペレーターがサンプリングテストのパラメーターをセットし、スタートを押すことにより開始されるか、または以前にセットされたテストが開始されるようプログラムされていることにより(例えば4時間毎に)開始される。まず、コントローラー304はファン504または504’を稼働する。空気の流れを示す矢印10(
図3Aおよび10)に示されているように、ファン504または504’は、アトリウムの開口112を介してサンプリング装置100の中に空気を引き込み、吸引された空気は、空気の流れを示す矢印12(
図3Bおよび10)に示すように、寒天培地プレート114を横切る(交差する、越える)。空気は培地プレート114にぶつかり、培地プレート114を回り、培地プレート114の真下に至り(
図2に示されているように、培地プレート114の底と底部(下部)402との間には空間があり、そして、培地プレート114の底と保持部材430との間にも空間がある)、空気の流れの矢印14(
図3Cおよび10)に示されているように、空気は保持部材400の中央の開口119を通って排出される。
【0069】
なお、各開口112を通過してシステムに流入する空気のスピードは、ファン504または504’のスピードおよびアトリウム110の開口112の直径および数の関数である。開口112の下の領域に空気が入ると(
図3Bおよび10の空気の矢印12)、空気は最も近い負圧源である中央の開口119の方向に偏向される。最初の空気流入の方向10(
図3Aおよび10)と新たな空気の流れの方向12(
図3Bおよび10)は、ほぼ垂直である。空気の向きが変わるとき、空気中で速く動く粒子の多くは、その慣性により急激に方向を変えることができない。これらの粒子は、ほぼ最初の方向を維持し、寒天培地プレート114に衝突し、寒天培地に個々の粒子が保持される。このプロセスの重要なことは、これらの粒子が寒天培地内に蓄積されることであり、それにより粒子を後で分析することが可能となる。方向の変わった空気は、外側横方向に向かって吸引され、寒天培地プレート114の培地側を横切り、その端を超えて、外側の壁の外側を下がり、プレート114の底側を横方向内側に横切り、中央の開口119を通って吸引される。
【0070】
空気の流れがアトリウム110を通過し(空気の流れ10)、保持部材400を通過すると、中央開口119を通って(空気の流れ14)、空気の流れの矢印16(
図3Cおよび10)に示されているように、空気サンプリング装置100の上部チャンバー210にあるプレナム(空気溜め)502または502’に空気が入る。空気は、中央開口119より、上部が解放されているプレナム502または502’に直接入る(空気の流れ14)。ファン504または504’は、プレナム502または502’を通して空気を押圧し(空気の流れ16)、空気をプレナム502または502’の下部開放端から排出させる(空気の流れ18)。空気は、続いて、アダプター603(もし使われていれば)からマスフローメーター600の入口(入力)602を通過する。あるいは、その空気の測定部分が、流れ接続部900を通して、マスフローメーター600’の入口602’に供給される(迂回される)。マスフローメーター600または600’は、空気の流れ18を絶えず計測し、計測された空気流量のシグナルを検出された空気流量とともに、コントローラー304に提供する。コントローラー304は、連続して計測シグナルを読み、計測された空気流量と所望の空気流量との差を埋めるようにファン504または504’のスピードを調節する。
【0071】
空気の流れの矢印20に示されているように、空気の流れは、マスフローメーター600または600’を継続して通過し、出口604または604’より排出される。
図3Cおよび10に示されているように、空気の流れ20はマスフローメーター600または600’を出ると上部チャンバー200に入る。上部チャンバー210が加圧されると(大気圧と比較し)、空気は、排気口、例えば換気スロット121を通じて装置100の外へ排気される。隔壁125が設けられていてもよく、空気が下部チャンバー250に入ることを防ぎ、下部チャンバー250と電子機器300は、空気の流れとは干渉しない。モーター306はファンアセンブリ504の一部であることから、冷却される必要はない。排気は、空気が入った方向に対しほぼ平行となるように空気サンプリング装置100から放出され、境界内では層流が維持されるようにする。上部チャンバー210の背面にある換気用のスロット121を通して、空気サンプリング装置100とハウジング本体102の外部に排気される。他の実施例では、プレナムまたはチューブによりマスフローメーター600または600’の出口604または604’を排気スロット121に接続してもよい。
【0072】
図3Dに示す実施例の他の例においては、排気プラグを換気スロット121に替えて設けてもよく、換気スロット121に取り付けてもよく、それにより空気の流れ20はポートアダプター650を通って排気される。チューブをポートアダプター650のノズル654に接続して、クリーンな環境の外部の離れた場所に空気を運んでもよく、そこを最終的に処分または排気場所としてもよい。このように、空気は排気スロット121および/またはポートアダプター650を通過し、取り付けられたチューブに再び導かれる。
【0073】
なお、サンプリング装置100およびその様々な部品は、示されているように、大体が円筒状である。例えば、アトリウム110、保持アセンブリ400、上部プレート420、下部プレート(底プレート)402、培地プレート114、保持部材(固定部材)430、およびブロワーアセンブリ212は全て円筒状である。本発明においては、円筒状または円状で設計される必要はなく、本発明の精神とその範囲内において、その他の形で提供されてもよい。
【0074】
本明細書には、円形、丸、先細、平行、垂直、同心円、弧、および平ら、といったようないくつかの幾何学用語または関係用語が用いられている。さらに、上部、底(下部)、左、右、上、下、内側、および外側といったような方向や位置に関する用語が記述には使われている。それらの用語は、図に示されている実施例に基づき、単に記述を容易にする目的のためである。それらの用語は、本発明を制限するものではない。従って、本発明はそれらの幾何学用語、関係用語、方向や位置を示す用語無しに記述されることが可能であることが認識されるべきである。さらに、幾何学用語や関係用語はその通りでなくてもよい。例えば、壁は互いに厳密に垂直や平行でなくてもよく、例えば、表面のでこぼこや、製造の際に許容される誤差などを考慮して、実質的に垂直や平行と考えられるものであってもよい。さらに、本発明の精神やその範囲から逸脱すること無しに、その他の適切な幾何学性および関係性を備えていてもよい。
【0075】
さらに、サンプリング装置100は、コントローラー304などの、1または複数のプロセッシング装置(処理装置)によるオペレーション(操作)を含む。プロセッシング装置は、プロセッサー、マイクロプロセッサー、PC、タブレット、スマートフォンなどの適切な装置のいずれであってもよい。プロセッシング装置は、ディスプレイ装置(モニター、LEDスクリーン、デジタルスクリーンなど)、メモリーまたは記憶装置、入力装置(タッチスクリーン、キーボード、マウスなどのポインティング装置など)、ワイヤレス・モジュール(RF、Bluetooth(登録商標)、赤外線、WiFi、Zigbee(登録商標)など)といった適切なコンポーネントと組み合わせて使用することが可能である。プロセッシング装置により処理されたり出力された情報は、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、CD-ROMディスク、またはその他の適切な情報記憶装置であって、プロセッシング装置に設けられたり、接続されている装置に格納されてもよい。全てのプロセスは、プロセッシング装置により自動的に処理され、マニュアル操作が介入することはない。このため、記載されていない限り、プロセスは実質的にリアルタイムで、遅れやマニュアル操作無しに行われる。
【0076】
本明細書において、「実質的に」、「約」という用語は、プラスマイナス20%を意味し、より好ましくはプラスマイナス10%、さらに好ましくはプラスマイナス5%、最も好ましくはプラスマイナス2%を意味する。
【0077】
本明細書において、実施例は明確で簡潔な記述を可能とするように記述されているが本発明の精神とその範囲を逸脱すること無しに、実施例は様々に組み合わされたり分離されたりすることが意図され、そして認識される。例えば、ここで記述されている全ての好ましい特徴は、ここで記述されている本発明の全ての形態に適応可能である。
【0078】
空気サンプリング装置100は、制御された環境において特に有用である。制御された環境での使用に適する素材から作られることも可能である。しかしながら、空気サンプリング装置100はその他の環境での使用も可能である。
【0079】
これらの記述と図面とは、本発明の原理のみを説明していると考えられるべきである。本発明は、様々な形や大きさで構成されてもよく、好ましい実施例のみに限られることは意図していない。当業者においては、本発明の多数の適応例は自明である。それゆえ、本発明は、開示された特定の事例、または記述され、示された通りの構成およびオペレーションに限定されるものではない。むしろ、全ての適切な変更および等価なものは、本発明に相当し、本発明の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
空気サンプリング装置100は、制御された環境において特に有用である。制御された環境での使用に適する素材から作られることも可能である。しかしながら、空気サンプリング装置100はその他の環境での使用も可能である。
上記には、空気をサンプリングするための空気サンプリング装置が開示されている。空気サンプリング装置は、上部と側部と前記上部に設けられた開口とを含むハウジング本体と、サンプリングデバイスを保持するように構成された保持アセンブリであって、前記ハウジング本体の前記上部において前記開口の周りに位置する保持アセンブリと、上端と下端とそれらの間で規定された長く延びた部分とを含む空気溜めであって、前記上端が前記ハウジング本体の前記開口の周りで前記開口と連通するように連結され、前記上端から前記下端へ前記長く延びた部分に概ね沿った空気の流れを受けるように構成された空気溜めと、前記空気溜めの前記下端に連結された流れ接続部と、入口と出口とを含むマスフローメーターであって、前記入口は前記流れ接続部と連結され、前記流れ接続部を介して前記空気溜めと連通したマスフローメーターと、前記空気溜めと協働するブロワーであって、前記サンプリングデバイスを通過し、前記開口を通り、前記空気溜めを通るように吸い込み、前記空気溜め内の空気の測定部分、前記流れ接続部を通過し、前記マスフローメーターを通過して流れるように構成されたブロワーとを有し、前記マスフローメーターが、前記流れ接続部を介して吸引された、前記空気の測定部分の流量を測定する様に構成されている。前記空気の測定部分の流量は、前記空気溜めを通過して流れる空気に比例してもよい。前記空気溜めを通る総流量は、前記流れ接続部の前記流量に対し、前記流れ接続部と前記空気溜め端部との断面積比に基づく比例関係にあってもよい。前記流れ接続部は、受入端と出口端とを有し、前記受入端は前記空気溜めの前記下端に結合され、前記出口端は前記マスフローメーターの前記入口に結合されていてもよい。前記ハウジング本体は、空気用の排気口を含み、前記流れ接続部の前記受入端および前記出口端の両方が前記排気スロットから離れていてもよい。前記受入端および前記出口端は、前記空気溜めの前記下端に、前記空気溜めの前記長く延びた部分に対し横軸方向に、ほぼ直線的に配置されてもよい。前記出口端は、前記空気溜めの前記下端に支持されていてもよい。前記流れ接続部の一部は、前記空気溜めの前記長く延びた部分に対しほぼ平行な方向に、前記空気溜めの前記下端よりも下に延びていてもよい。
前記マスフローメーターは前記空気溜めに近傍または近接していてもよい。前記流れ接続部は、ほぼU字型であってもよい。前記空気溜めの前記長く延びた部分は、当該前記空気サンプリング装置の長手方向の軸に対してほぼ平行であってもよい。前記ブロワーは前記空気溜めの内部に配置されていてもよい。前記マスフローメーターおよび前記ブロワーの両方に接続された処理装置であって、空気サンプリング装置は、検出された流量を前記マスフローメーターから受信し、前記検出された流量に応じて前記ブロワーの速度を制御するように適応された処理装置をさらに有していてもよい。前記処理装置は、前記検出された流量が所望の流量より低い場合には前記ブロワーの前記速度を上げ、前記検出された流量が所望の流量より高い場合には前記ブロワーの前記速度を下げてもよい。前記処理装置は、遠隔ネットワークに接続されていてもよい。
上記には、さらに、空気をサンプリングする方法が開示されている。この方法は、ハウジング本体の外部に位置する培地プレートを横切り、前記ハウジング本体の内部の空気溜めを通過するように空気を吸引するステップと、前記空気溜めの中の空気の測定部分であって、前記空気溜め内の空気に比例する空気をマスフローメーターに向けて供給するステップと、前記マスフローメーターで、前記空気の前記測定部分の流量を、検出された流量として測定するステップと、を有する。この方法は、さらに、前記空気の前記測定部分の前記検出された流量と所望の流量とを比較するステップを有していてもよい。この方法は、さらに、前記検出された流量と前記所望の流量との前記比較に基づき、前記空気溜めを通過する前記空気の流れの前記速度を制御するステップを有していてもよい。この方法は、さらに、前記検出された流量が前記所望の流量より少ない場合には、前記流量の前記空気の流れの前記速度を上げ、前記検出された流量が前記所望の流量より多い場合には、前記流量の前記空気の流れの前記速度を下げるステップを有していてもよい。前記空気溜めに結合された流れ接続部が、前記測定部分の空気を前記マスフローメーターに向けて供給してもよい。前記ハウジング本体内の、前記流れ接続部から離れた排気口から空気を排気するステップを有していてもよい。前記供給することは流れ接続部を経由することを含み、前記測定することは前記空気溜めの開口と前記流れ接続部との断面積比に基づいてもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気をサンプリングするための空気サンプリング装置であって、
上部と側部と前記上部に設けられた開口とを含むハウジング本体と、
サンプリングデバイスを保持するように構成された保持アセンブリであって、前記ハウジング本体の前記上部において前記開口の周りに位置する保持アセンブリと、
上端と下端とを含む空気溜めであって、前記上端が前記ハウジング本体の前記開口の周りで前記開口と連通するように連結された空気溜めと、
前記空気溜めに連通するように連結された流れ接続部と、
前記流れ接続部と連結され、前記流れ接続部を介して前記空気溜めと連通したマスフローメーターと、
前記空気溜めと協働するブロワーであって、前記サンプリングデバイスを通過し、前記開口を通り、前記空気溜めを通るように吸い込み、さらに、前記マスフローメーターを通過して流れるように構成されたブロワーとを有し、前記マスフローメーターが、前記流れ接続部を介して吸引された前記空気の流量を測定する様に構成された、空気サンプリング装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記流れ接続部は、前記空気溜めの前記下端に結合された受入端と、その反対側の出口端であって前記マスフローメーターの入口に結合されている出口端とを含む導管である、空気サンプリング装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記導管は、柔軟なチューブである、空気サンプリング装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記空気溜めは、前記上端から前記下端に、前記空気溜めの長く延びた部分にほぼ沿って空気が流入するように構成されている、空気サンプリング装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記空気溜めの前記長く延びた部分は、当該空気サンプリング装置の長手方向の軸に対してほぼ平行である、空気サンプリング装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記マスフローメーターは、前記流れ接続部を通して流れる測定部分の流量を測定するように構成されている、空気サンプリング装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記空気の測定部分の流量は、前記空気溜めを通過して流れる空気に比例し、前記空気溜めを通る総流量は、前記流れ接続部の前記流量に対し、前記流れ接続部と前記空気溜め端部との断面積比に基づく比例関係にある、空気サンプリング装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記ハウジング本体は、排気口を含む、空気サンプリング装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記流れ接続部の受入端および反対側の出口端を含み、前記流れ接続部の前記受入端および前記出口端の両方が前記ハウジング本体の前記排気口から離れている、空気サンプリング装置。
【請求項10】
請求項2において、
前記受入端および前記出口端は、前記空気溜めの前記下端に、前記空気溜めの前記長く延びた部分に対し横軸方向に、ほぼ直線的に配置されている、空気サンプリング装置。
【請求項11】
請求項2において、
前記出口端は、前記空気溜めの前記下端に支持されている、空気サンプリング装置。
【請求項12】
請求項1において、
前記流れ接続部の一部は、前記空気溜めの前記長く延びた部分に対しほぼ平行な方向に、前記空気溜めの前記下端よりも下に延びている、空気サンプリング装置。
【請求項13】
請求項1において、
前記流れ接続部は、ほぼU字型である、空気サンプリング装置。
【請求項14】
請求項1において、
前記ブロワーは前記空気溜めの内部に配置されている、空気サンプリング装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記ブロワーはファンである、空気サンプリング装置。
【請求項16】
請求項1において、さらに、
前記マスフローメーターおよび前記ブロワーの両方に接続された処理装置であって、検出された流量を前記マスフローメーターから受信し、前記検出された流量に応じて前記ブロワーの速度を制御するように適応された処理装置をさらに有する、空気サンプリング装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記処理装置は、前記検出された流量が所望の流量より低い場合には前記ブロワーの前記速度を上げ、前記検出された流量が所望の流量より高い場合には前記ブロワーの前記速度を下げる、空気サンプリング装置。
【請求項18】
請求項16において、
前記処理装置は、遠隔ネットワークに接続されている、空気サンプリング装置。
【請求項19】
空気をサンプリングするための空気サンプリング装置であって、
上部と側部と前記上部に設けられた開口とを含むハウジング本体と、
サンプリングデバイスを保持するように構成された保持アセンブリであって、前記ハウジング本体の前記上部において前記開口の周りに位置する保持アセンブリと、
上端と下端とを含む空気溜めであって、前記上端が前記ハウジング本体の前記開口の周りで前記開口と連通するように連結された空気溜めと、
前記空気溜めに連通するように連結された流れ接続部と、
前記流れ接続部と連結され、前記流れ接続部を介して前記空気溜めと連通したマスフローメーターと、
前記空気溜めと協働するブロワーであって、前記サンプリングデバイスを通過し、前記開口を通り、前記空気溜めを通るように吸い込み、さらに、前記マスフローメーターを通過して流れるように構成されたブロワーとを有し、前記マスフローメーターは、前記流れ接続部を介して吸引された前記空気の流量を測定する様に構成されており、さらに、
前記ブロワーは、モーターおよびファン組立体が前記空気溜めの中に配置されている、空気サンプリング装置。
【請求項20】
空気をサンプリングするための空気サンプリング装置であって、
上部と側部と前記上部に設けられた開口とを含むハウジング本体であって、さらに、当該ハウジング本体内を上部チャンバーと下部チャンバーとに分ける仕切り壁を含むハウジング本体を有し、
前記上部チャンバーは、
サンプリングデバイスを保持するように構成された保持アセンブリであって、前記ハウジング本体の前記上部において前記開口の周りに位置する保持アセンブリと、
上端と下端とを含む空気溜めであって、前記上端が前記ハウジング本体の前記開口の周りで前記開口と連通するように連結された空気溜めと、
前記空気溜めに連通するように連結された流れ接続部と、
前記流れ接続部と連結され、前記流れ接続部を介して前記空気溜めと連通したマスフローメーターと、
前記空気溜めと協働するブロワーであって、前記サンプリングデバイスを通過し、前記開口を通り、前記空気溜めを通るように吸い込み、さらに、前記マスフローメーターを通過して流れるように構成されたブロワーとを有し、前記マスフローメーターは、前記流れ接続部を介して吸引された前記空気の流量を測定する様に構成されている、空気サンプリング装置。
【請求項21】
請求項20において、
前記下部チャンバーは、
前記マスフローメーターおよび前記ブロワーの両方に接続された処理装置であって、検出された流量を前記マスフローメーターから受信し、前記検出された流量に応じて前記ブロワーの速度を制御するように適応された処理装置を有する、空気サンプリング装置。