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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191535
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】スタッカクレーン
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
B65G1/04 527
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019212415
(22)【出願日】2019-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲イン▼
(72)【発明者】
【氏名】石川 和広
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022BB09
3F022EE05
3F022FF01
3F022JJ09
3F022MM57
(57)【要約】
【課題】一対の側面部を有するマストを備えるスタッカクレーンにおいて、側面部に一体的に取り付けられるカバー部材の昇降部に対する相対位置を容易に調整することができるスタッカクレーンを提供する。
【解決手段】スタッカクレーン7は、昇降部74の昇降領域80Eを覆うカバーユニット83がマスト80の側面部80Cに一体的に取り付け可能に設けられている。スタッカクレーン7のマスト80は、Y方向における一対の側面部80C,80Cの間に配置され、昇降面形成部80Aにおける昇降面80Bとは反対側に向かって延在すると共に側面部80Cよりも剛性が高い補強部80Dと、Z方向及びY方向に直交するX方向に昇降面形成部80Aと間隔をあけて配置され、両端が補強部80Dと側面部80Cとに接触するように設けられるY方向に伸縮可能な調整部材90と、を有している。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降部が昇降する第一方向と前記第一方向に直交する第二方向に延在する昇降面を有する昇降面形成部と、前記昇降面形成部の前記第二方向における両端部から前記昇降部が配置される側とは反対側に向かって延在する一対の側面部と、を有するマストを備え、
前記昇降部の昇降領域を覆うカバー部材が前記側面部に一体的に取り付け可能なスタッカクレーンであって、
前記マストは、
前記第二方向における前記一対の側面部の間に配置され、前記昇降面形成部における前記昇降面とは反対側に向かって延在すると共に前記側面部よりも剛性が高い補強部と、
前記第一方向及び前記第二方向に直交する第三方向に前記昇降面形成部と間隔をあけて配置され、両端が前記補強部と前記側面部とに接触するように設けられる前記第二方向に伸縮可能な調整部材と、を有している、スタッカクレーン。
【請求項2】
前記マストにおいて前記昇降面形成部と前記一対の側面部と前記補強部とによって構成される部分は、前記第一方向から見た平面視においてE型状に形成されている、請求項1記載のスタッカクレーン。
【請求項3】
前記マストは、ウェブ部と前記ウェブ部の両端から立設する一対のフランジ部とを有する二つのチャンネル部材の前記フランジ部同士を接合することにより形成されている、請求項1又は2記載のスタッカクレーン。
【請求項4】
前記昇降部の昇降領域を覆うように設けられると共に、前記側面部に一体的に取り付けられるカバー部材を更に備えている、請求項1~3の何れか一項記載のスタッカクレーン。
【請求項5】
前記第一方向から見た平面視において、前記昇降面形成部と前記側面部と前記補強部とから形成される凹部空間に、ファンフィルターユニットが配置されている、請求項1~4の何れか一項記載のスタッカクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッカクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているような、物品を移載する昇降部(昇降台)が一方向に延在するマストに沿って昇降するスタッカクレーンが知られている。このようなスタッカクレーンを、例えばクリーンルーム等で用いる場合、昇降部がマストに沿って昇降する際に発生する粉塵等が撒き散らないようにすることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-91157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような課題を解決する手段として、ウェブ部を昇降面とし、一対のフランジ部を側面とするC型チャンネル部材からなるマストにおいて、昇降面に沿って昇降する昇降部の昇降領域を覆うカバー部材を、フランジ部に一体的に取り付けることが考えられる。この場合、昇降部に干渉することがないように、また昇降部との隙間が極力狭くなるようにカバー部材を取り付ける必要がある。しかしながら、マスト自体の歪み又は組立時に生じる誤差等によりカバー部材が昇降部に干渉したり、カバー部材と昇降部との隙間が広い取り付け状態となったりすることがあった。このため、昇降部に対するカバー部材の位置を容易に調整することができるマストが求められている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、一対の側面部を有するマストを備えるスタッカクレーンにおいて、側面部に一体的に取り付けられるカバー部材の昇降部に対する相対位置を容易に調整できるスタッカクレーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスタッカクレーンは、昇降部が昇降する第一方向と第一方向に直交する第二方向に延在する昇降面を有する昇降面形成部と、昇降面形成部の第二方向における両端部から昇降部が配置される側とは反対側に向かって延在する一対の側面部と、を有するマストを備え、昇降部の昇降領域を覆うカバー部材が側面部に一体的に取り付け可能なスタッカクレーンであって、マストは、第二方向における一対の側面部の間に配置され、昇降面形成部における昇降面とは反対側に向かって延在すると共に側面部よりも剛性が高い補強部と、第一方向及び第二方向に直交する第三方向に昇降面形成部と間隔をあけて配置され、両端が補強部と側面部とに接触するように設けられる第二方向に伸縮可能な調整部材と、を有している。
【0007】
この構成のスタッカクレーンでは、側面部と側面部よりも剛性の高い補強部との間に、伸縮部材である調整部材が設けられるので、調整部材を伸ばすことによりマストの側面部が押し出され、調整部材を縮めることによりマストの側面部が引っ張られる。このようなマストでは、側面部の押し出し又は引っ張りにより、昇降面形成部に対する側面部の交差角度が調整される。このため、側面部に一体的に取り付けられるカバー部材の状態(位置及び姿勢)も、上記の交差角度に応じて変動(移動)する。この結果、一対の側面部を有するマストを備えるスタッカクレーンにおいて、側面部に一体的に取り付けられるカバー部材の昇降部に対する相対位置を容易に調整できる。
【0008】
本発明のスタッカクレーンでは、マストにおいて昇降面形成部と一対の側面部と補強部とによって構成される部分は、第一方向から見た平面視においてE型状に形成されていてもよい。
【0009】
本発明のスタッカクレーンでは、マストは、ウェブ部とウェブ部の両端から立設する一対のフランジ部とを有する二つのチャンネル部材のフランジ部同士を接合することにより形成されていてもよい。これにより、昇降面形成部と一対の側面部と補強部からなるマストを容易に形成することができる。
【0010】
本発明のスタッカクレーンは、昇降部の昇降領域を覆うように設けられると共に、側面部に一体的に取り付けられるカバー部材を更に備えていてもよい。この構成では、カバー部材が昇降部の昇降領域を覆うので、昇降部が昇降する際に発生する粉塵が撒き散ることを抑制できる。
【0011】
本発明のスタッカクレーンでは、第一方向から見た平面視において、昇降面形成部と側面部と補強部とから形成される凹部空間に、ファンフィルターユニットが配置されていてもよい。この構成では、マストを構成する部材の合間にファンフィルターユニットを配置することができるので、マスト全体のサイズをコンパクトにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一対の側面部を有するマストを備えるスタッカクレーンにおいて、側面部に一体的に取り付けられるカバー部材の昇降部に対する相対位置を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係るスタッカクレーンを備えたストッカを示す断面図である。
図2図2は、図1のスタッカクレーンのマスト及びカバーユニットを示す断面図である。
図3図3は、図2のマストの調整部材を示す斜視図である。
図4図4(A)~図4(C)は、調整部材の調整による側面及びカバーユニットの状態の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。「上」及び「下」の語は、鉛直方向の上方向及び下方向にそれぞれ対応する。
【0015】
一実施形態に係るスタッカクレーン7を備えたストッカ1について説明する。図1に示されるように、ストッカ1は、半導体ウエハ及びガラス基板等の被格納物が格納されたFOUP(Front Opening Unified Pod)等の格納容器Fを保管する保管庫としての機能を有している。ストッカ1は、例えば、クリーンルームに設けられる。ストッカ1は、ストッカ本体3、ラック4、スタッカクレーン7、及び、コントローラ(図示せず)を主に備えている。
【0016】
ストッカ本体3は、ストッカ1の内部空間Aを画成する部分であり、複数のパーティションにより形成されている。ラック4は、格納容器Fを保管する部分であり、通常、1~2列(ここでは、2列)設けられている。各ラック4は、X方向(幅方向)に延在しており、隣り合う2つのラック4,4が対向するように略平行に配置されている。各ラック4は、格納容器Fを載置して保管する複数の収納棚50を有している。収納棚50は、X方向及びZ方向(鉛直方向)に沿って配列されている。
【0017】
スタッカクレーン7は、格納容器Fを収納棚50に対して出し入れすると共に、格納容器Fを図示しない入庫ポート及び出庫ポートと収納棚50との間、あるいは収納棚50間にて移動させる機構である。スタッカクレーン7は、対向するラック4,4に挟まれた領域に配置されている。スタッカクレーン7は、ラック4の延在方向(X方向)に沿って床面に配置された軌道(図示せず)を走行して、ラック4に沿ってX方向に移動することができる。
【0018】
スタッカクレーン7は、走行部71と、マスト80と、昇降部74と、旋回部75と、ハンド79と、カバーユニット(カバー部材)83と、FFU(ファンフィルターユニット)96と、を備える。走行部71は、モータ等の走行駆動部によって軌道に沿ってX方向に走行可能に設けられている。昇降部74は、マスト80の昇降面80Bに沿って昇降する。マスト80は、走行部71に設けられ、Z方向(第一方向)に延在する部材である。昇降部74は、モータ等の昇降駆動部によって、マスト80に沿って昇降可能に設けられている。旋回部75は、当該旋回部75上に搭載されたハンド79等を、Z方向に沿う軸回り回転方向に回転させる。
【0019】
ハンド79は、格納容器Fを載置する。ハンド79は、昇降部74に設けられている。ハンド79は、移載装置(不図示)によって進退(平面視において昇降部74の外に進出及び昇降部74上に退入)して、格納容器Fを移載する。なお、走行部71、昇降部74、旋回部75及びハンド79の構成、機構ないし配置については、特に限定されない。走行部71、昇降部74、旋回部75及びハンド79としては、公知の種々の機構ないし装置を採用することができる。
【0020】
コントローラは、スタッカクレーン7における各部を制御する。コントローラは、例えば、ストッカ本体3の内部に配置される。コントローラは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。コントローラでは、CPU、RAM及びROM等のハードウェアとプログラム等のソフトウェアとが協働することによって、各種制御を実行する。
【0021】
図2に示されるように、マスト80は、二つのチャンネル部材81,82と、スライドレール87と、背面カバー88と、二つの調整部材90,90と、を備えている。マスト80は、二つのチャンネル部材81,82によって、昇降面形成部80Aと、一対の側面部80C,80Cと、補強部80Dとが形成されている。
【0022】
昇降面形成部80Aは、昇降部74が昇降するZ方向及びY方向(第二方向)に延在する昇降面80Bを有している。言い換えれば、昇降面80Bは、X方向に直交する。一対の側面部80C,80Cは、昇降面形成部80AのY方向における両端部から昇降部74が配置される側とは反対側に向かってX方向に延在している。補強部80Dは、Y方向における一対の側面部80C,80Cの間に配置され、昇降面形成部80Aにおける昇降面80Bとは反対側に向かってX方向に延在する。補強部80Dは、側面部80C,80Cのそれぞれよりも剛性が高くなるように形成されている。
【0023】
昇降面形成部80A、一対の側面部80C,80C及び補強部80Dは、二つのチャンネル部材81,82によって形成されている。チャンネル部材81は、ウェブ部81Aとウェブ部81AのY方向における両端からX方向に延在(立設)する一対のフランジ部81Bとを有している。チャンネル部材82は、ウェブ部82Aとウェブ部82AのY方向における両端からX方向に延在(立設)する一対のフランジ部82Bとを有している。チャンネル部材81とチャンネル部材81とは、同じ寸法及び同じ形状である。すなわち、ウェブ部81A及びウェブ部82Aの厚みは同じであり、フランジ部81B及びフランジ部82Bの厚みは同じである。
【0024】
チャンネル部材81及びチャンネル部材82は、例えば剛性が高く且つ低コストな金属材料であるステンレス鋼で形成されている。チャンネル部材81及びチャンネル部材82は、チャンネル部材81のウェブ部81Aとチャンネル部材82のウェブ部82Aとが面一となるように、フランジ部81B,82B同士が接合されている。面一に形成されるチャンネル部材81のウェブ部81A及びチャンネル部材82のウェブ部82Aは、マスト80の昇降面80Bを形成する。チャンネル部材81の一方のフランジ部81Bはマスト80の一方の側面部80Cを形成し、チャンネル部材82の一方のフランジ部82Bはマスト80の他方の側面部80Cを形成する。チャンネル部材81の他方のフランジ部81Bとチャンネル部材82の他方のフランジ部81Bとの接合部分はマスト80の補強部80Dを形成する。
【0025】
マスト80において昇降面形成部80Aと一対の側面部80C,80Cと補強部80Dとによって構成される部分は、Z方向から見た平面視においてE型状に形成されている。
【0026】
昇降面形成部80Aの昇降面80Bには、Z方向に延在する、昇降部74用のスライドレール87が固定されている。
【0027】
カバーユニット83は、昇降部74の昇降領域80Eを覆う部材である。カバーユニット83は、二つのアングル部材84,85と、カバー86,86と、を有している。カバーユニット83は、図示しない連結部材により一対の側面部80C,80Cのそれぞれに一体的に取り付けられる。より詳細には、アングル部材84はチャンネル部材81に一体的に取り付けられ、アングル部材85はチャンネル部材82に一体的に取り付けられる。
【0028】
アングル部材84及びアングル部材85は、例えば剛性が高く且つ低コストな金属材料であるステンレス鋼で形成されている。アングル部材84は、第一面84Aと第一面84Aに直交する第二面84Bとを有している。第一面84Aは、チャンネル部材81のフランジ部81Bに一体的に取り付けられている。カバー86は、第二面84Bの先端に取り付けられている。アングル部材85は、第一面85Aと第一面85Aに直交する第二面85Bとを有している。第一面85Aは、チャンネル部材82のフランジ部82Bに一体的に取り付けられている。カバー86は、第二面85Bの先端に取り付けられている。カバー86は、例えばアルミニウム板等の材料により形成されている。
【0029】
Y方向において、アングル部材84に取り付けられるカバー86の先端86Aとアングル部材85に取り付けられるカバー86との先端86Aとの間には隙間Gが設けられている。旋回部75及びハンド79は、昇降領域80Eの昇降部74から当該隙間Gを介して外部空間に突出している。本実施形態では、カバー86の先端86Aが昇降部74、旋回部75及びハンド79に接触しないように設けられている。
【0030】
マスト80の背面には、背面カバー88が設けられている。背面カバー88は、チャンネル部材81における一対のフランジ部81Bの先端及びチャンネル部材82における一対のフランジ部82Bの先端に取り付けられている。ウェブ部81A、一対のフランジ部81B及び背面カバー88によって、凹部空間80Fが形成されている。同様に、ウェブ部82A、一対のフランジ部82B及び背面カバー88によって、凹部空間80Fが形成されている。
【0031】
調整部材90,90は、Y方向に伸縮可能なターンバックル部材である。調整部材90,90は、凹部空間80Fに配置されている。より詳細には、調整部材90,90は、X方向(第三方向)に昇降面形成部80Aと間隔をあけて配置されている。調整部材90,90の両端は、補強部80Dと側面部80Cとに接触するように設けられている。調整部材90は、X方向におけるチャンネル部材81(82)の全長をD、背面カバー88からの距離をD1としたとき、D1≦1/2Dとなるように配置されている。なお、背面カバー88が設けられない場合には、一対のフランジ部81B,81B(82B,82B)の先端同士が接触するように設けられてもよい。
【0032】
調整部材90は、図3に示されるように、本体部91A,91Bと、本体部91Aの孔部に形成されたネジ溝に螺合する第一ネジボルト92Aと、本体部91Bの孔部に形成されたネジ溝に螺合する第二ネジボルト92Bと、第一ネジボルト92Aの先端に設けられたアンカー93と、第二ネジボルト92Bの先端に設けられたアンカー94と、を有している。アンカー93(94)には、フランジ部81Bに固定するためのボルト93B(94B)が設けられている。
【0033】
調整部材90,90は、本体部91A,91Bのそれぞれに螺合されている第一ネジボルト92A及び第二ネジボルト92Bを回動させることにより、昇降面形成部80Aに対する一対の側面部80C,80Cの交差角度α(図2参照)を調整することができる。以下、図3及び図4(A)~図4(C)を用いて、昇降面形成部80Aに対する一対の側面部80C,80Cの交差角度αを調整する方法について詳細に説明する。
【0034】
調整部材90は、第一ネジボルト92Aの先端(アンカー93)を本体部91Aから離れる方向に回動させると共に、第二ネジボルト92Bの先端(アンカー94)を本体部91Bから離れる方向に回動させることで、一方のフランジ部81B及びフランジ部82B(側面部80Cに相当)を他方のフランジ部81B及びフランジ部82B(補強部80Dに相当)から離れる方向に押し出すように作用する。アングル部材84の第一面84Aは、一方のフランジ部81Bと面一となるように位置と姿勢とが変化し、アングル部材85の第一面85Aは、一方のフランジ部82Bと面一となるように位置と姿勢とが変化する。これにより、一対の側面部80C,80Cは、図4(A)に示される状態から図4(B)に示される状態に変化する。すなわち、一対の側面部80C,80Cは、マスト80の背面側が開くように変形する。このようなマスト80の変形により、カバーユニット83の位置と姿勢とが変化する。すなわち、第一ネジボルト92A及び第二ネジボルト92Bを調整すれば、一方のフランジ部81B及びフランジ部82B、アングル部材84の第一面84A及び第二面84B、並びにアングル部材85の第一面85A及び第二面85Bの位置と姿勢とが変化し、その結果、カバー86の先端同士の隙間Gが、元の状態と比べて狭くなる。
【0035】
また、調整部材90は、第一ネジボルト92Aの先端(アンカー93)を本体部91Aに近づく方向に回動させると共に、第二ネジボルト92Bの先端(アンカー94)を本体部91Bに近づく方向に回動させることで、一方のフランジ部81B及びフランジ部82B(側面部80Cに相当)を他方のフランジ部81B及びフランジ部82B(補強部80Dに相当)に近づく方向に引っ張るように作用する。アングル部材84の第一面84Aは、一方のフランジ部81Bと面一となるように位置と姿勢とが変化し、アングル部材85の第一面85Aは、一方のフランジ部82Bと面一となるように位置と姿勢とが変化する。これにより、一対の側面部80C,80Cは、図4(A)に示される状態から図4(C)に示されるような状態に変化する。すなわち、一対の側面部80C,80Cは、マスト80の昇降面80B側が閉まるように変形する。このようなマスト80の変形により、カバーユニット83の位置と姿勢とが変化する。すなわち、第一ネジボルト92A及び第二ネジボルト92Bを調整すれば、一方のフランジ部81B及びフランジ部82B、アングル部材84の第一面84A及び第二面84B、並びにアングル部材85の第一面85A及び第二面85Bの位置と姿勢とが変化し、その結果、カバー86の先端同士の隙間Gが、元の状態と比べて広くなる。
【0036】
なお、本実施形態では、第一ネジボルト92Aの先端(アンカー93)を本体部91Aから離れる方向に回動させると共に、第二ネジボルト92Bの先端(アンカー94)を本体部91Bから離れる方向に回動させることで、カバー86の先端同士の隙間Gが、元の状態と比べて狭くなり、第一ネジボルト92Aの先端(アンカー93)を本体部91Aに近づく方向に回動させると共に、第二ネジボルト92Bの先端(アンカー94)を本体部91Bに近づく方向に回動させることで、カバー86の先端同士の隙間Gが、元の状態と比べて広くなる例を挙げて説明したが、アングル部材84の第二面84B及びアングル部材85の第二面85Bに取り付けられるカバー86の形状によって、カバー86の先端同士の隙間Gが元の状態から狭くなるか広くなるかの関係は変わる場合がある。
【0037】
また、図4(B)及び図4(C)では、第一ネジボルト92Aの先端及び第二ネジボルト92Bの先端の両方が、本体部91A,91Bのそれぞれから遠ざける方向又は本体部91A,91Bのそれぞれに近づける方向に移動させる例を挙げて説明したが、第一ネジボルト92Aの先端及び第二ネジボルト92Bの先端の一方のみを、本体部91A又は本体部91Bから遠ざけたり、本体部91A又は本体部91Bに近づける方向に移動させたりしてもよい。また、第一ネジボルト92Aの先端及び第二ネジボルト92Bの先端の一方を、本体部91A又は本体部91Bから遠ざけたり、第一ネジボルト92Aの先端及び第二ネジボルト92Bの先端の他方を、本体部91A又は本体部91Bに近づける方向に移動させたりしてもよい。このような、調整部材90の調整により、昇降部74に対するカバー86の相対位置を調整することができる。
【0038】
このように、調整部材90,90は、昇降面形成部80Aに対する一対の側面部80C,80Cの交差角度αを調整する調整機能を有している。調整部材90,90は、更に、マスト80全体の剛性を高める補強機能も有している。調整部材90,90は、マスト80の延在方向に所定間隔で配置されている。調整部材90,90の配置数は、マスト80を構成する部材の一対の側面部80C,80Cの変形のし易さに応じて適宜設定される。
【0039】
図2に示されるように、FFU96は、凹部空間80Fに配置されている。より詳細には、FFU96は、Z方向から見た平面視において、昇降面形成部80Aと側面部80Cと補強部80Dとから形成される凹部空間80Fに配置されている。FFU96は、ファンとフィルターとを備えた空気清浄機能装置であり、周囲の空気を吸い込んで清浄な空気を排出する。
【0040】
上記実施形態のスタッカクレーン7における作用効果について説明する。上記実施形態のスタッカクレーン7では、側面部80Cと側面部80Cよりも剛性の高い補強部80Dとの間に、伸縮部材である調整部材90が設けられるので、調整部材90を伸ばすことによりマスト80の側面部80Cが補強部80Dから離れる方向に押し出され、また、調整部材90を縮めることによりマスト80の側面部80Cが補強部80Dに近づく方向に引っ張られる。このようなマスト80では、側面部80Cの押し出し又は引っ張りにより、昇降面形成部80Aに対する側面部80Cの交差角度αが調整される。このため、側面部に一体的に取り付けられるカバーユニット83の状態(位置及び姿勢)も、上記の交差角度αに応じて変動(移動)する。この結果、一対の側面部80C,80Cを有するマスト80を備えるスタッカクレーン7において、側面部80Cに一体的に取り付けられるカバーユニット83の昇降部74に対する相対位置を容易に調整できる。
【0041】
また、上記実施形態のスタッカクレーン7では、昇降部74に対するカバーユニット83の相対位置を容易に調整できるので、昇降運動をする昇降部74に干渉しないようなぎりぎりの位置にカバー86を配置することができる。これにより、昇降部74とカバー86との接触により生ずる粉塵の発生を抑制できる共に、昇降領域80Eで発生した粉塵がストッカ1の内部空間Aに流出することを抑制できる。
【0042】
また、上記実施形態のスタッカクレーン7では、調整部材90を設けることにより、マスト全体80の剛性が高められている。また、調整部材90を設けることにより剛性を高めることができるので、同じ性能のマスト80を形成する場合には、マスト80全体のサイズを小さくすることが可能となる。
【0043】
上記実施形態のスタッカクレーン7では、マスト80は、ウェブ部81A(82A)とウェブ部81A(82A)の両端から立設する一対のフランジ部81B(82B)とを有する二つのチャンネル部材81,82のフランジ部81B,82B同士を接合することにより形成されている。これにより、昇降面形成部80Aと一対の側面部80C,80Cと補強部80Dからなるマスト80を容易に形成することができる。
【0044】
上記実施形態のスタッカクレーン7では、昇降部74の昇降領域80Eを覆うカバーユニット83が設けられているので、昇降部74が昇降する際に発生する粉塵がストッカ1の内部空間Aに撒き散ることを抑制できる。
【0045】
上記実施形態のスタッカクレーン7では、Z方向から見た平面視において、昇降面形成部80Aと側面部80Cと補強部80Dとから形成される凹部空間80Fに、FFU96が配置されている。これにより、マスト80を構成する部材の合間にFFU96を配置することができるので、マスト80全体のサイズをコンパクトにすることができる。
【0046】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0047】
上記実施形態のスタッカクレーン7では、二つのチャンネル部材81及びチャンネル部材82を接続することにより、Z方向から見た平面視においてE型状に形成されているマスト80を形成する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、一の部材により形成された断面E型形状の部材を用いてもよいし、断面C型状に形成された部材に、補強部80Dとなる部材を溶接等により一体化してE型形状としてもよい。
【0048】
上記実施形態では、表面が平板状に形成されたチャンネル部材81,82、アングル部材84,85を例に挙げて説明したが、それぞれ部材の表面には溝等が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…ストッカ、7…スタッカクレーン、74…昇降部、80…マスト、80A…昇降面形成部、80B…昇降面、80C…側面部、80D…補強部、80E…昇降領域、80F…凹部空間、81…チャンネル部材、81A…ウェブ部、81B…フランジ部、82…チャンネル部材、82A…ウェブ部、82B…フランジ部、83…カバーユニット(カバー部材)、84…アングル部材、85…アングル部材、90…調整部材、96…FFU(ファンフィルターユニット)。
図1
図2
図3
図4