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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191561
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/175 113
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099846
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大屋 瞬
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA15
2C056FA10
2C056KC02
2C056KC04
2C056KC05
2C056KC09
2C056KC16
2C056KC18
(57)【要約】
【課題】気液交換を円滑に行うことができるカートリッジを提供すること。
【解決手段】液体を収容するための液体収容部と、液体収容部と連通する供給部流路を有する液体供給部であって、中心軸を有する液体供給部と、供給部流路内に配置される弁機構と、を備え、弁機構は、液体導入部が挿入される挿入口を有する弁座と、弁座と当接することで挿入口を塞ぐ閉塞面を有する弁体であって、液体を供給する際の供給部流路の液体の流通方向において弁座よりも上流側に位置する弁体と、弁体を弁座に向かって付勢する付勢部材と、を有し、弁機構は、液体導入部に押されて弁体が弁座から離れることで開弁し、閉塞面は、平面部と、平面部の周囲に形成された斜面部であって、閉塞面の縁に近づくほど、流通方向における上流側に位置するように傾斜する傾斜部を有し、装着状態において、斜面部の少なくとも一部は、導入部流路と対向する、カートリッジ。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入部流路を有する液体導入部を備える液体噴射装置に着脱可能に装着されるカートリッジであって、
液体を収容するための液体収容部と、
前記液体収容部と連通する供給部流路を有する液体供給部であって、中心軸を有する液体供給部と、
前記供給部流路内に配置され、前記液体噴射装置に装着されていない非装着状態では閉弁することで前記供給部流路を非連通状態とし、前記液体噴射装置に装着された装着状態では開弁することで前記供給部流路を連通状態とする弁機構と、を備え、
前記弁機構は、
前記液体導入部が挿入される挿入口を有する弁座と、
前記弁座と当接することで前記挿入口を塞ぐ閉塞面を有する弁体であって、前記液体を供給する際の前記供給部流路の前記液体の流通方向において前記弁座よりも上流側に位置する弁体と、
前記弁体を前記弁座に向かって付勢する付勢部材と、を有し、
前記弁機構は、前記液体導入部に押されて前記弁体が前記弁座から離れることで開弁し、
前記閉塞面は、平面部と、前記平面部の周囲に形成された斜面部であって、前記閉塞面の縁に近づくほど、前記流通方向における上流側に位置するように傾斜する傾斜部を有し、前記装着状態において、前記斜面部の少なくとも一部は、前記導入部流路と対向する、カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のカートリッジであって、
前記液体供給部は、
前記供給部流路を形成する内壁と、前記内壁よりも内方側に位置し、前記中心軸に沿った軸方向に延びるガイド部であって、前記弁体の移動を案内するガイド部を有し、
前記弁体は、
前記軸方向に延び、前記ガイド部によって前記軸方向と直交する方向の動きが規制される調心部を有する、カートリッジ。
【請求項3】
請求項2に記載のカートリッジであって、
前記供給部流路は、前記内壁と前記ガイド部との間に位置し、前記液体供給部の周方向に亘って形成されている、カートリッジ。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のカートリッジであって、
前記弁体は、
前記中心軸に沿った軸方向と直交する直交方向において、最外にあり、前記軸方向に延びる最外壁を有し、
前記液体供給部は、
前記供給部流路を形成する内壁から内方側に突出し、前記軸方向に延びるリブを有し、
前記直交方向から視た側面視で、前記非装着状態では、前記最外壁の少なくとも一部と前記リブとが重なり、前記装着状態において、前記最外壁と前記リブとが重ならない、カートリッジ。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載のカートリッジであって、
前記斜面部の内径は、前記導入部流路の外径よりも小さい、カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体射出装置に装着されるカートリッジにおいて、液体収容室と連通する液体供給口を開閉する供給弁を備える構成が知られている(例えば、特許文献1)。液体射出装置が備える液体導入部に供給弁が押されることにより、供給弁が開弁し、液体収容室に収容されている液体が、液体導入部を介して液体射出装置に供給される。特許文献1に記載のカートリッジは、さらに、大気弁を備え、液体射出装置に液体を供給する際には大気弁から空気を取り込むことにより、液体収容室における気液交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-62377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のカートリッジでは、液体収容室からの液体供給は、液体供給口を通じて行われ、液体収容室への気液交換のための空気流入は、大気弁を通じて行われる。これとは別に、液体供給と、空気流入との両方が、液体供給口を通じて行われる構成が考えられる。この構成の場合、液体供給口と液体収容室とを連通する流路に流入空気である気泡が留まると、液体の供給が滞るおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1形態によれば、導入部流路を有する液体導入部を備える液体噴射装置に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカートリッジは、液体を収容するための液体収容部と、前記液体収容部と連通する供給部流路を有する液体供給部であって、中心軸を有する液体供給部と、前記供給部流路内に配置され、前記液体噴射装置に装着されていない非装着状態では閉弁することで前記供給部流路を非連通状態とし、前記液体噴射装置に装着された装着状態では開弁することで前記供給部流路を連通状態とする弁機構と、を備える。前記弁機構は、前記液体導入部が挿入される挿入口を有する弁座と、前記弁座と当接することで前記挿入口を塞ぐ閉塞面を有する弁体であって、前記液体を供給する際の前記供給部流路の前記液体の流通方向において前記弁座よりも上流側に位置する弁体と、前記弁体を前記弁座に向かって付勢する付勢部材と、を有する。前記弁機構は、前記液体導入部に押されて前記弁体が前記弁座から離れることで開弁し、前記閉塞面は、平面部と、前記平面部の周囲に形成された斜面部であって、前記閉塞面の縁に近づくほど、前記流通方向における上流側に位置するように傾斜する傾斜部を有し、前記装着状態において、前記斜面部の少なくとも一部は、前記導入部流路と対向する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】印刷システムの構成を示す斜視図。
図2】装着状態におけるカートリッジの断面図。
図3】カートリッジの斜視図。
図4】カートリッジの装着過程を説明する図。
図5】非装着状態における液体供給部および液体導入部の斜視図。
図6】非装着状態における液体供給部の拡大断面図。
図7】装着状態における液体供給部の拡大断面図。
図8図6のVIII-VIII断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.実施形態:
A-1.印刷システムの構成:
図1は、本開示の実施形態としての印刷システム1の構成を示す斜視図である。図1には、互いに直交する3つの空間軸であるXYZ軸が描かれている。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向は、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を示している。X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向と逆の方向が、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向である。X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向を、それぞれ-X方向,-Y方向,-Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸に沿った方向で正負を問わないものを、それぞれX方向,Y方向,Z方向とよぶ。これ以降に示す図及び説明についても同様である。
【0008】
印刷システム1は、液体噴射装置としての印刷装置10と、印刷装置10に液体であるインクを供給する複数のカートリッジ4とを備える。本実施形態の印刷装置10は、液体としてのインクを吐出ヘッド22から吐出するインクジェットプリンターである。この印刷装置10は、ポスター等の大判の用紙に印刷を行う大型のプリンターである。印刷装置10は、カートリッジ装着部6と、キャリッジ20と、吐出ヘッド22と、駆動機構30とを備える。カートリッジ装着部6には、収納しているインクの色が互いに異なる複数のカートリッジ4がそれぞれ着脱可能に装着される。
【0009】
印刷装置10は、+Y方向側の前面に交換用カバー13を有する。交換用カバー13の+Z方向側を+Y方向側である手前側に倒すと、カートリッジ装着部6の開口が現れて、カートリッジ4の着脱が可能となる。カートリッジ装着部6にカートリッジ4が装着されると、液体流通管としてのチューブ24を介してキャリッジ20に設けられた吐出ヘッド22にインクが供給可能となる。本実施形態では、水頭差を利用してカートリッジ4から吐出ヘッド22にインクが供給される。具体的には、液体貯留部699内のインクの液面と吐出ヘッド22との水頭差によってインクが吐出ヘッド22に供給される。なお、他の実施形態では、印刷装置10の図示しないポンプ機構によって、カートリッジ4内のインクを吸引することで、インクが吐出ヘッド22に供給されてもよい。なお、チューブ24は、インクの種類毎に設けられている。なお、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着されて、液体としてのインクが印刷装置10に供給できる状態を装着状態とも呼ぶ。
【0010】
吐出ヘッド22には、インクの種類毎にノズルが設けられている。吐出ヘッド22は、ノズルから印刷用紙2に向かってインクを吐出して文字や画像等のデータを印刷する。吐出ヘッド22はキャリッジ20に取り付けられている。なお、本実施形態では、印刷装置10は、カートリッジ装着部6がキャリッジ20の動きとは連動しない、いわゆる「オフキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターである。キャリッジ20にカートリッジ装着部6が設けられ、キャリッジ20と共にカートリッジ装着部6が移動する、いわゆる「オンキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターにも本開示は適用できる。
【0011】
駆動機構30は、制御部からの制御信号に基づいてキャリッジ20を往復動させる。駆動機構30は、タイミングベルト32と、駆動モーター34とを備える。タイミングベルト32を介して駆動モーター34の動力をキャリッジ20に伝達することによって、キャリッジ20がX方向に沿った方向である主走査方向に往復移動する。また、印刷装置10は、印刷用紙2を+Y方向である副走査方向に移動させるための搬送機構を備える。印刷が行なわれる際には、搬送機構によって印刷用紙2が副走査方向に移動し、前面カバー11上に印刷完了後の印刷用紙2が出力される。
【0012】
カートリッジ4は、印刷装置10に着脱可能に装着される。カートリッジ4は、カートリッジ装着部6の挿抜開口部674から-Y方向に向かって挿入され、カートリッジ装着部6に収納される。
【0013】
本実施形態では、印刷システム1の使用状態において、印刷用紙2を搬送する副走査方向に沿った軸をY軸とし、重力方向に沿った軸をZ軸とし、キャリッジ20の移動方向に沿った軸をX軸とする。ここで、「印刷システム1の使用状態」とは、水平な面に印刷システム1が設置された状態をいう。また、本実施形態では、副走査方向を+Y方向、その逆方向を-Y方向とし、重力方向を-Z方向、反重力方向を+Z方向とする。X方向とY方向は水平方向に沿った方向である。また、印刷システム1を前面側から見たときに、右側から左側に向かう方向を+X方向とし、その逆方向を-X方向とする。また本実施形態では、装着のためにカートリッジ装着部6にカートリッジ4が挿入される挿入方向が-Y方向であり、カートリッジ4がカートリッジ装着部6から取り外される方向が+Y方向である。よって、カートリッジ装着部6のうち、-Y方向側を奥側とも呼び、+Y方向側を手前側とも呼ぶ。また、本実施形態では、複数のカートリッジ4の配列方向がX方向となる。
【0014】
A-2.装着状態におけるカートリッジ装着部とカートリッジとの説明:
図2は、装着状態における、液体導入部642の中心軸を通るYZ面を切断面とするカートリッジ4とカートリッジ装着部6との断面図である。図2に示すように、装着状態において、カートリッジ4は、カートリッジ装着部6の上方に配置された収容室61に収容される。
【0015】
カートリッジ装着部6は、収容室61の下方に配置された液体貯留部699と、液体導入部642とを有する。収容室61の収容室底壁を形成する支持部材610は、カートリッジ4を下側から支持する。カートリッジ4の装着状態では、支持部材610の底部を形成する主壁613は、Y方向に対して傾斜する。具体的には、支持部材610の主壁613は、+Y軸方向に向かうに従って下側である-Z方向側に位置するように傾斜する。この主壁613は、カートリッジ4が装着されていないカートリッジ装着部6の初期配置状態では、Y方向に平行である。
【0016】
液体貯留部699は、図1に示すチューブ24を介して吐出ヘッド22と連通すると共に、液体導入部642と連通する。液体貯留部699には、大気を取り込むための、図示しない大気導入口が形成されている。液体導入部642は、筒状の部材であり、内部に液体を流通させる導入部流路682を有する。カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に装着された装着状態では、カートリッジ4の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続される。
【0017】
カートリッジ装着部6は、上記構成の他に、カートリッジ4の位置決めに用いられる装置側供給部位置決め部644を有する。装置側供給部位置決め部644は、略直方体形状である。カートリッジ4が有する凹形状の供給部位置決め部448に、カートリッジ装着部6が有する突起である装置側供給部位置決め部644が入り込むことで、液体供給部442による液体供給部442の中心軸CA2と交差する動きが規制される。これにより、液体供給部442の液体導入部642に対する位置決めが行われる。
【0018】
カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着された装着状態では、カートリッジ4の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続される。これにより、カートリッジ4の液体収容部450に収容されたインクが、液体供給部442を介して液体導入部642に供給される。また、本実施形態では、液体供給部442から液体導入部642にインクが供給される一方で、液体貯留部699に収容された空気が気泡となって液体導入部642、液体供給部442を流通して液体収容部450に流通する。これにより、液体収容部450の気液交換が行われる。
【0019】
液体導入部642の中心軸CA1は、装着状態における液体供給部442の中心軸CA2と平行であり、Z方向に対して傾斜している。また、液体供給部442の中心軸CA2とは、液体供給部442が延びる方向に沿った方向である。
【0020】
A-3.カートリッジの説明:
図3は、カートリッジ4の斜視図である。カートリッジ4の外形は、略直方体形状である。カートリッジ4について、Y方向は奥行方向、Z方向が高さ方向、X方向が幅方向である。カートリッジ4の外形について、Y方向の寸法が最も大きく、Z方向の寸法、X方向の寸法の順に小さい。カートリッジ4は、液体収容体401と、アダプター402とを備える。アダプター402は、液体収容体401に嵌合によって取り付けられる。
【0021】
カートリッジ4は、前壁42と、後壁47と、上壁43と、底壁44と、第1側壁45と、第2側壁46と、コーナー部89とを有する。前壁42と後壁47とは、Y方向において対向する。上壁43と底壁44とは、Z方向において対向する。Z方向は、液体供給部442の延びる方向に沿った中心軸CA2と平行である。第1側壁45と第2側壁46とはX方向において対向する。上壁43は、+Z方向側に位置し、前壁42と後壁47とに交差する。底壁44は、装着状態において重力方向側である-Z方向側に位置する。底壁44は、前壁42と後壁47とに交差する。コーナー部89は、前壁42と底壁44とが交差するコーナー部分に設けられている。
【0022】
液体収容体401は、液体収容部450と、液体供給部442とを有する。液体収容部450は、液体収容体401の内部空間であり、液体を収容するために設けられている。液体収容部450と連通する液体供給部442は、液体収容体401の底壁44からアダプター402側に突出する筒状部材である。
【0023】
アダプター402は、供給部位置決め部448と、開口部446とを有する。供給部位置決め部448は、第2側壁46から上壁43へ向かって延びる穴である。開口部446は、液体供給部442を挿通するために底壁44に形成された開口である。底壁44側からカートリッジ4を視た場合に、開口部446と液体供給部442とは重なる位置関係にある。本実施形態では、液体供給部442の中心軸CA2が、開口部446を通るように液体供給部442は配置される。
【0024】
A-4.カートリッジの装着方法の説明:
図4は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への装着過程を説明する図である。カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される際には、まずカートリッジ4は、カートリッジ装着部6の挿抜開口部674から収容室61内に挿入される。これにより、図4に示すように、カートリッジ4の前壁42が位置決めされる。次に、カートリッジ4の後壁47側が、回転支点698を支点として矢印に示す接続方向CD2に回転移動される。これにより、カートリッジ4の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続される。回転支点698は、カートリッジ装着部6の第2装置壁62側に設けられている。なお、カートリッジ4が、カートリッジ装着部6から取り外れる場合には、上記の手順が逆行して行われる。すなわち、カートリッジ4は、回転支点698を支点として矢印に示す接続方向CD3に回転移動された後、収容室61から引き出される。図2に示す状態のように、カートリッジ4の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続される状態を装着状態とも呼ぶ。対して、図4に示す状態や、単体でのカートリッジ4のように、カートリッジ4の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続されていない状態を非装着状態とも呼ぶ。図4に示す状態のように、カートリッジ4が収容室61内に挿入された状態を挿入状態とも呼ぶ。
【0025】
A-5.カートリッジ装着部とカートリッジとの詳細説明:
図5は、非装着状態における液体供給部442および液体導入部642の一部断面で示す斜視図である。図6は、カートリッジ4が収容室61に挿入された後、回転移動される前の、非装着状態における液体供給部442および液体導入部642の拡大断面図である。図7は、装着状態における、液体供給部442および液体導入部642の拡大断面図である。図6および図7は、中心軸CA1および中心軸CA2を通るYZ平面を切断面とする断面図である。図8は、図6のVIII-VIII断面図である。
【0026】
図6に示すように、液体供給部442は、液体収容部450と連通する供給部流路482を有する。図5に示すように、液体供給部442は、液体収容部450の底壁である収容体底壁431に形成された流入開口部432に挿通されている。液体供給部442の形状は、中心軸CA2を有する概ね円筒形状である。液体供給部442は、ハウジング480と、ガイド部481と、リブ483とを有する。ハウジング480は、円筒形状を有する。ハウジング480の液体収容部450内に収納される部分には、中心軸CA2に沿った軸方向に延びるスリット441が、周方向に間隔をあけて複数本、形成されている。このスリット441を介して液体収容部450の液体が供給部流路482に流入する。
【0027】
供給部流路482を形成する内壁480aには、内壁480aから内方側に突出し、中心軸CA2に沿った軸方向に延びるリブ483が形成されている。リブ483は、内壁480aの中心軸CA2に沿った軸方向における端部に形成されている。図8に示すように、本実施形態では、リブ483は、周方向に間隔をあけて8個、形成されている。図6に示すように、非装着状態では、中心軸CA2と直交する直交方向から視た側面視で、後述するカートリッジ側弁体486の最外壁492とリブ483とが重なる。つまり、中心軸CA2に沿った軸方向において、リブ483と最外壁492とは同じ位置範囲に配置されている。これにより、後に詳述するように、衝撃によるカートリッジ側弁体486の揺動を抑制し、液体の漏れを抑制することができる。一方、図7に示すように、装着状態において、側面視で、カートリッジ側弁体486の最外壁492とリブ483とは重ならない。つまり、中心軸CA2に沿った軸方向において、リブ483と最外壁492とは異なる位置範囲に配置されている。これにより、供給部流路482の流路断面積を確保することができる。
【0028】
図5に示すように、ガイド部481は、内壁480aよりも内方側に位置し、中心軸CA2に沿った軸方向に延びる。ガイド部481は、カートリッジ側弁体486の軸方向における移動を案内する。ガイド部481と、ハウジング480とは、軸方向の液体収容部450側の端部で互いに連結されている。
【0029】
図6に示すように、液体供給部442は、供給部流路482内に、弁機構としてのカートリッジ側弁機構484を備える。カートリッジ側弁機構484は、非装着状態では閉弁することで供給部流路482を非連通状態とし、装着状態では開弁することで供給部流路482を連通状態とする。カートリッジ側弁機構484は、弁座としてのカートリッジ側弁座485と、弁体としてのカートリッジ側弁体486と、付勢部材としてのカートリッジ側付勢部材487とを有する。
【0030】
カートリッジ側弁座485は、供給開口442e1近傍に配置されている。カートリッジ側弁座485は、円環状の部材である。カートリッジ側弁座485は、例えば、合成ゴムやエラストマーなどの弾性部材によって形成されている。カートリッジ側弁座485の外周面は、液体供給部442の内周面に対して気密に取り付けられている。カートリッジ側弁座485には、中心軸CA2に沿った方向に貫通する挿入口485aが形成されている。装着時には、挿入口485aに液体導入部642が挿入される。
【0031】
カートリッジ側弁体486は、液体供給部442に中心軸CA2に沿った軸方向に摺動可能に取り付けられている。図5に示すように、カートリッジ側弁体486は、中心軸CA2に沿った方向に延びる棒状の部材である。カートリッジ側弁体486は、液体を供給する際の供給流路の液体の流通方向においてカートリッジ側弁座485よりも上流側に位置する。図6に示すように、カートリッジ側弁体486は、閉塞面488と、凸部489と、調心部490と、円筒部491と、最外壁492とを有する。
【0032】
閉塞面488は、カートリッジ側弁体486の先端に位置する。閉塞面488の中心軸CA2に沿った軸方向から視た形状は、円形である。閉塞面488は、カートリッジ側弁座485と当接することで挿入口485aを塞ぐ。カートリッジ側弁体486は、平面部495と、平面部495の周囲に形成された斜面部496を有する。平面部495の中心軸CA2に沿った軸方向から視た形状は、円形である。斜面部496の中心軸CA2に沿った軸方向から視た形状は、円環形状である。斜面部496は、閉塞面488の縁に近づくほど、液体の流通方向における上流側に位置するように傾斜する。本実施形態では、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に挿入された挿入状態や装着状態では、液体供給部442において、上流側に向かうほど反重力方向側に位置する。つまり、挿入状態や装着状態において、斜面部496は、閉塞面488の縁に近づくほど上側に位置するように傾斜する。図7に示すように、装着状態において、斜面部496の少なくとも一部は、中心軸CA2に沿った軸方向において、導入部流路682と対向する。これにより、後に詳述するように、液体供給時における気液交換を円滑に行うことができる。
【0033】
図6に示すように、閉塞面488の中心には、供給開口442e1側に向かって突出する凸部489が形成されている。凸部489は円柱形状である。凸部489は、中心軸CA2を通る位置に配置される。凸部489は、カートリッジ側弁機構484が閉状態の場合には、カートリッジ側弁座485の挿入口485a内に位置する。図7に示すように、カートリッジ側弁体486の凸部489は、装着状態において、液体導入部642内に配置された装置側弁体685を押して開弁させる。円筒部491は、円筒形状を有し、調心部490の周囲に形成されている。装着状態において、調心部490と円筒部491との間に、ガイド部481の先端が入る。最外壁492は、閉塞面488の縁から中心軸CA2に沿った軸方向に延びる部分である。最外壁492は、中心軸CA2に沿った軸方向と直交する直交方向において、最外にある。調心部490は、中心軸CA2に沿った軸方向に沿って延びる円筒形状を有する。調心部490は、ガイド部481の内側に配置される。調心部490とガイド部481とが係合することによって、カートリッジ側弁体486は、中心軸CA2に沿った軸方向と直交する方向の動きが規制される。
【0034】
カートリッジ側付勢部材487は、カートリッジ側弁体486をカートリッジ側弁座485に向かう方向に付勢する。カートリッジ側付勢部材487は、例えば、圧縮コイルばねである。カートリッジ側付勢部材487において、一端はカートリッジ側弁体486に当接し、他端は液体供給部442に当接する。
【0035】
内壁480aおよびカートリッジ側弁座485と、ガイド部481およびカートリッジ側弁体486との間の空間が、供給部流路482である。
【0036】
液体導入部642は、カートリッジ4の装着状態において、液体供給部442に接続されて液体供給部442からの液体を受け入れる。液体導入部642は、液体供給部442から供給された液体が流通する導入部流路682を有する。図6に示すように、液体導入部642は中心軸CA1を有する。中心軸CA1は、重力方向に対して傾斜している。
【0037】
液体導入部642は、導入部本体680と、装置側弁機構681とを備える。導入部本体680は、中空であり、先端部分は円筒形状である。導入部本体680の内部に導入部流路682が形成されている。
【0038】
装置側弁機構681は、導入部流路682内に配置され、導入部流路682を開閉する。装置側弁機構681は、導入部本体680によって形成された装置側弁座687と、装置側弁体685と、装置側付勢部材683とを有する。装置側弁座687は、導入部本体680のうちで中心軸CA1に対して直交する方向に延びる部分である。装置側弁座687は、導入部流路682の一部である装置側弁孔689を有する。
【0039】
装置側弁体685は、中心軸CA1に沿った方向に延びる棒状の部材である。装置側弁体685は、導入部流路682内に位置し、導入部流路682を開閉する。装置側弁体685には、配置部686が形成されている。配置部686は、装置側弁体685の本体のうちで中心軸CA1と直交する方向の大きさが他の部分よりも大きい部分である。配置部686は、装置側弁座687と向かい合う。配置部686には、円環状の弾性部材であるシール部材688が取り付けられている。シール部材688は、エラストマーやゴムによって形成されている。液体導入部642と液体供給部442とが接続されていない状態では、シール部材688が装置側弁座687に気密に当接することで、装置側弁体685によって装置側弁座687の装置側弁孔689を塞ぐ。これにより、装置側弁体685は閉弁状態となる。
【0040】
装置側付勢部材683は、装置側弁体685を装置側弁座687に向かう方向に付勢する。装置側付勢部材683は、例えば、圧縮コイルばねである。装置側付勢部材683において、一端は配置部686に当接し、他端は台座684に当接する。台座684は、液体導入部642の基端642aを形成する部材であり、導入部本体680に取り付けられている。
【0041】
図7に示すように、カートリッジ4が装着されると、カートリッジ側弁機構484は、液体導入部642に押されてカートリッジ側弁体486がカートリッジ側弁座485から離れることで開弁する。一方で、カートリッジ4が装着されると、装置側弁体685が、導入部本体680の装置側弁座687から離れることで開弁状態となる。そして、供給部流路482と導入部流路682とが接続される。装着状態において、液体収容部450に収容されている液体は、スリット441を通じて、供給部流路482へ流入する。そして、液体は、供給部流路482から、導入部流路682へ流れ、液体貯留部699へ供給される。
【0042】
上記のように、本実施形態では、供給部流路482と導入部流路682とを通じて、液体供給部442から液体導入部642にインクが供給される。一方で、液体貯留部699に収容された空気が気泡となって、導入部流路682と供給部流路482とを通じて、液体収容部450に流入する。これにより、液体収容部450の気液交換が行われる。カートリッジ4は、液体の流通方向が略重力方向となる向きで、かつ、カートリッジ4の供給部流路482が導入部流路682の上になる装着姿勢で印刷装置10に装着される。本実施形態におけるカートリッジ4には、以下に記載のように、気液交換を円滑に行うための工夫が施されている。
【0043】
図7に示すように、装着状態において、斜面部496の少なくとも一部は、中心軸CA2に沿った軸方向において、導入部流路682と対向する。これにより、気液交換を円滑に行うことができる。発明者らは、供給部流路482を形成する供給部流路形成面の導入部流路682と対向する部分が水平方向に延びていると、水平方向に延びている部分に気泡が留まり、気液交換が円滑に行われないという課題を見出した。さらに、発明者らは、導入部流路682を形成する供給部流路形成面の導入部流路682と対向する部分の少なくとも一部を水平方向に対して傾斜させることで、気泡は傾斜面に沿って、浮力により上方へ移動することができるため、上記課題が解決できることを見出した。そこで、本実施形態では、装着状態において、カートリッジ側弁体486は、斜面部496の少なくとも一部が導入部流路682と対向する構成を有する。具体的には、斜面部496の内径D1は、導入部流路682の外径D2よりも小さい。ここで、斜面部496の内径D1とは、平面部495と斜面部496との境界の円の直径である。装着状態において、液体導入部642の中心軸CA1と液体供給部442の中心軸CA2は略同一直線上にある。よって、内径D1が外径D2よりも小さい構成とすることで、閉塞面488のうち、導入部流路682と対向する部分から、閉塞面488の縁に至るまで斜面部496が形成される構成が実現されている。装着状態において、導入部流路682と対向する閉塞面488に斜面部496が設けられていることにより、上がってくる気泡は、斜面部496に沿って閉塞面488の縁まで円滑に移動する。閉塞面488の縁まで到達した気泡は、供給部流路482を上昇して液体収容部450に流入する。このように、気液交換を円滑に行うことができるため、液体の供給速度を安定させることができる。なお、閉塞面488に平面部495および凸部489が設けられていることにより、液体供給部442と液体導入部642との接続時に、カートリッジ側弁体486は、装置側弁体685による押力を中心軸CA2方向に沿って均等に受けることができる。
【0044】
調心部490は、供給部流路482を形成する内壁480aとは離れた位置に形成されている。これにより、図8に示すように、供給部流路482を、液体供給部442の周方向に亘って形成することができる。よって、供給部流路482の流路断面積を広く確保することができ、気液交換をさらに円滑に行うことができる。一般に、一つの流路における流路断面積が小さい場合、円滑な気液交換が行われにくく、一つの流路における流路断面積を大きくすると、円滑な気液交換が行われ易い。流路断面積が大きいと、気泡の流路を十分に確保でき、気泡の流通と液体の流通とが行われ易くなるためである。なお、例えば、流路が隔壁により複数に分割されている場合には、合計の流路断面積が大きくても、個別の流路断面積が小さいため、円滑な気液交換が行われにくい。また、本実施形態とは異なる調心部の構成として、ハウジング480をガイド部として機能させ、ハウジング480の内壁480aと係合する調心部をカートリッジ側弁体486に設ける構成が考えられる。しかし、この構成の場合、カートリッジ側弁体486の軸方向と直交する方向の動きを規制するために、ハウジング480の内壁480aと、調心部の外周面との係合面積を大きくしようとするほど、ハウジング480の内壁480aを外周とする供給部流路482の流路断面積は小さくなってしまう。そこで、本実施形態では、調心部490は、供給部流路482を形成する内壁480aとは離れた位置に形成され、調心部490と係合するガイド部481はハウジング480の内側に設けられている。これにより、ハウジング480の内壁480aと、ガイド部481の外壁との間に、供給部流路482を形成することができる。よって、供給部流路482を液体供給部442の周方向に亘って形成することができる。供給部流路482の流路断面積を広く確保することができ、気液交換をさらに円滑に行うことができる。
【0045】
図6に示すように、非装着状態において、中心軸CA2に沿った軸方向と直交する直交方向から視た側面視で、カートリッジ側弁体486の最外壁492とリブ483とが重なる。これにより、衝撃によるカートリッジ側弁体486の揺動を抑制し、液体の漏れを抑制することができる。印刷装置10に装着されていない、単体のカートリッジ4は、落下などにより衝撃を受ける場合がある。この場合、カートリッジ側弁体486とハウジング480との隙間が大きいと、カートリッジ側弁体486が揺動し、カートリッジ側弁座485との気密状態が一時的に解除され、液体供給部442内の液体が外部へ漏れる場合がある。そこで、本実施形態では、カートリッジ側弁体486とハウジング480との隙間を埋めるようにリブ483が形成されている。これにより、カートリッジ側弁体486の最外壁492とリブ483との隙間は小さいため、カートリッジ側弁体486の軸方向と直交する方向の動きが制限される。よって、衝撃によるカートリッジ側弁体486の揺動が抑制され、液体の漏れを抑制することができる。一方、図7に示すように、装着状態において、側面視で、カートリッジ側弁体486の最外壁492とリブ483とは重ならない。具体的には、装着状態において、リブ483は、最外壁492よりも流通方向における下流側に位置する。このため、装着状態においては、リブ483と最外壁492との間に十分な空間を確保することができ、供給部流路482の流路断面積を確保することができる。
【0046】
上記実施形態によれば、カートリッジ側弁体486が有する閉塞面488は、平面部495と、斜面部496を有する。斜面部496は、閉塞面488の縁に近づくほど、流通方向における上流側に位置するように傾斜する。そして、装着状態において、斜面部496の少なくとも一部は、導入部流路682と対向する。これにより、液体供給において、気泡は斜面部496に沿って、上方へ移動することができるため、気液交換を円滑に行うことができる。また上記形態によれば、斜面部496の内径D1は、導入部流路682の外径D2よりも小さい。これにより、装着状態において、斜面部496の少なくとも一部が導入部流路682と対向する構成を実現することができる。
【0047】
また上記形態によれば、液体供給部442は、内壁480aよりも内方側に位置し、中心軸CA2に沿った軸方向に延びるガイド部481を有する。そして、カートリッジ側弁体486は、軸方向に延び、ガイド部481によって軸方向と直交する方向の動きが規制される調心部490を有する。これにより、供給部流路482を、内壁480aとガイド部481との間に形成することができる。よって、供給部流路482の流路断面積を広く確保することができ、気液交換をさらに円滑に行うことができる。
【0048】
また上記形態によれば、供給部流路482は、内壁480aとガイド部481との間に位置し、液体供給部442の周方向に亘って形成されている。これにより、供給部流路482の流路断面積を広く確保することができ、気液交換をさらに円滑に行うことができる。
【0049】
また上記形態によれば、中心軸CA2と直交する直交方向から視た側面視で、非装着状態では、カートリッジ側弁体486の最外壁492の少なくとも一部とリブ483とが重なり、装着状態において、最外壁492とリブ483とが重ならない。これにより、非装着状態では、衝撃によるカートリッジ側弁体486の揺動を抑制し、液体の漏れを抑制することができる。一方、装着状態においては、リブ483と最外壁492との間に十分な空間を確保することができ、供給部流路482の流路断面積を確保することができる。
【0050】
B.他の実施形態:
B-1.他の実施形態1:
上記実施形態では、非装着状態において、側面視で、カートリッジ側弁体486の最外壁492の全域とリブ483とが重なる。他の実施形態として、最外壁492の一部とリブ483とが、側面視で重なる形態としてもよい。最外壁492の少なくとも一部が、リブ483と重なることで、カートリッジ側弁体486の揺動を抑制することができる。
【0051】
B-2.他の実施形態2:
本開示は、インクジェットプリンター及びそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の印刷装置及びそのカートリッジにも適用することができる。例えば、以下のような各種の印刷装置及びそのカートリッジに適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材を噴射する印刷装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材を噴射する印刷装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する印刷装置
(5)精密ピペットとしての試料印刷装置
(6)潤滑油の印刷装置
(7)樹脂液の印刷装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する印刷装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する印刷装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する印刷装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッドを備える印刷装置
【0052】
なお、「液滴」とは、印刷装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、印刷装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
【0053】
C.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0054】
(1)本開示の第1形態によれば、導入部流路を有する液体導入部を備える液体噴射装置に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカーリッジは、液体を収容するための液体収容部と、前記液体収容部と連通する供給部流路を有する液体供給部であって、中心軸を有する液体供給部と、前記供給部流路内に配置され、前記液体噴射装置に装着されていない非装着状態では閉弁することで前記供給部流路を非連通状態とし、前記液体噴射装置に装着された装着状態では開弁することで前記供給部流路を連通状態とする弁機構と、を備える。前記弁機構は、前記液体導入部が挿入される挿入口を有する弁座と、前記弁座と当接することで前記挿入口を塞ぐ閉塞面を有する弁体であって、前記液体を供給する際の前記供給部流路の前記液体の流通方向において前記弁座よりも上流側に位置する弁体と、前記弁体を前記弁座に向かって付勢する付勢部材と、を有する。前記弁機構は、前記液体導入部に押されて前記弁体が前記弁座から離れることで開弁する。前記閉塞面は、平面部と、前記平面部の周囲に形成された斜面部であって、前記閉塞面の縁に近づくほど、前記流通方向における上流側に位置するように傾斜する傾斜部を有し、前記装着状態において、前記斜面部の少なくとも一部は、前記導入部流路と対向する。この形態によれば、液体噴射装置への液体供給において、気泡は斜面部に沿って、上方へ移動することができるため、気液交換を円滑に行うことができる。
【0055】
(2)上記形態において、前記液体供給部は、前記供給部流路を形成する内壁と、前記内壁よりも内方側に位置し、前記中心軸に沿った軸方向に延びるガイド部であって、前記弁体の移動を案内するガイド部を有し、前記弁体は、前記軸方向に延び、前記ガイド部によって前記軸方向と直交する方向の動きが規制される調心部を有してもよい。この形態によれば、供給部流路を、内壁とガイド部との間に形成することができる。よって、供給部流路の流路断面積を広く確保することができ、気液交換をさらに円滑に行うことができる。
【0056】
(3)上記形態において、前記供給部流路は、前記内壁と前記ガイド部との間に位置し、前記液体供給部の周方向に亘って形成されていてもよい。この形態によれば、供給部流路の流路断面積を広く確保することができ、気液交換をさらに円滑に行うことができる。
【0057】
(4)上記形態において、前記弁体は、前記中心軸に沿った軸方向と直交する直交方向において、最外にあり、前記軸方向に延びる最外壁を有し、前記液体供給部は、前記供給部流路を形成する内壁から内方側に突出し、前記軸方向に延びるリブを有し、前記直交方向から視た側面視で、前記非装着状態では、前記最外壁の少なくとも一部と前記リブとが重なり、前記装着状態において、前記最外壁と前記リブとが重ならなくてもよい。この形態によれば、非装着状態では、衝撃による弁体の揺動を抑制し、液体の漏れを抑制することができる。一方、装着状態においては、リブと最外壁との間に十分な空間を確保することができ、供給部流路の流路断面積を確保することができる。
【0058】
(5)上記形態において、前記斜面部の内径は、前記導入部流路の外径よりも小さくてもよい。この形態によれば、装着状態において、斜面部の少なくとも一部が導入部流路と対向する構成を実現することができる。
【0059】
本開示は、上記形態の他に、カートリッジの製造方法、カートリッジの弁機構などの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…印刷システム、2…印刷用紙、4…カートリッジ、6…カートリッジ装着部、10…印刷装置、13…交換用カバー、20…キャリッジ、22…吐出ヘッド、24…チューブ、30…駆動機構、32…タイミングベルト、34…駆動モーター、42…前壁、43…上壁、44…底壁、45…第1側壁、46…第2側壁、47…後壁、61…収容室、62…第2装置壁、89…コーナー部、401…液体収容体、402…アダプター、431…収容体底壁、432…流入開口部、441…スリット、442…液体供給部、446…開口部、448…供給部位置決め部、450…液体収容部、480…ハウジング、480a…内壁、481…ガイド部、482…供給部流路、483…リブ、484…カートリッジ側弁機構、485…カートリッジ側弁座、485a…挿入口、486…カートリッジ側弁体、487…カートリッジ側付勢部材、488…閉塞面、489…凸部、490…調心部、491…円筒部、492…最外壁、495…平面部、496…斜面部、610…支持部材、613…主壁、642…液体導入部、642a…基端、644…装置側供給部位置決め部、674…挿抜開口部、680…導入部本体、681…装置側弁機構、682…導入部流路、683…装置側付勢部材、684…台座、685…装置側弁体、686…配置部、687…装置側弁座、688…シール部材、689…装置側弁孔、698…回転支点、699…液体貯留部、CA1,CA2…中心軸、CD2,CD3…接続方向、D1…内径、D2…外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8