(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191570
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】運転支援プログラム及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221221BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01C21/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099860
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】521264545
【氏名又は名称】株式会社イノビオット
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】福田 紘也
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129EE78
2F129EE95
2F129FF11
2F129HH12
5H181AA01
5H181CC12
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】本発明は、より安全性を重視した運転支援プログラム及び運転支援方法を提供する。
【解決手段】本発明の一観点に係る運転支援方法は、コンピュータに、現在位置を記録するステップ、ハザード情報を記録するステップ、記録した現在位置がハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップ、を実行させるためのものである。また、ハザード情報を含む地図情報を記録するステップ、目的地を設定するステップ、出発地を設定するステップ、現在地から前記目的地までの経路候補を複数入手し、複数の前記経路候補のそれぞれに対してハザード情報及びユーザーの運転特性情報の少なくともいずれかに基づき安全性予測値の算出を行うステップ、を実行するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
現在位置を記録するステップ、
ハザード情報を記録するステップ、
記録した前記現在位置が前記ハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップ、を実行させるための運転支援プログラム。
【請求項2】
前記ハザード情報は自転車関連又はパーソナルモビリティのハザード情報である請求項1記載の運転支援プログラム。
【請求項3】
前記ハザード情報は、事故発生現場位置情報及びヒヤリハット発生現場位置情報の少なくともいずれかを含む請求項1記載の運転支援プログラム。
【請求項4】
コンピュータに、更に、
ユーザー属性を特定するステップを実行させるものであり、
前記警告情報を出力させるステップは、前記ユーザー属性に応じて、前記警告情報を出力させるか否かを判定する請求項1記載の運転支援プログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
ハザード情報を含む地図情報を記録するステップ、
目的地を設定するステップ、
出発地を設定するステップ、
現在地から前記目的地までの経路候補を複数入手し、複数の前記経路候補のそれぞれに対して前記ハザード情報及びユーザーの運転特性情報の少なくともいずれかに基づき安全性予測値の算出を行うステップ、を実行させるための運転支援プログラム。
【請求項6】
コンピュータに、更に、
実際の運転情報を記録するステップ、
前記運転情報に基づき運転安全性評価値の算出を行うステップ、を実行させるための請求項5記載の運転支援プログラム。
【請求項7】
コンピュータに、更に、
ユーザーを特定するステップ、
前記ユーザーの過去の運転安全性評価値を記録し、ユーザーの安全運転レベルを評価する請求項5記載の運転支援プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、更に、
現在位置が前記ハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップ、を実行させるための請求項5記載の運転支援プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、更に、
運転中における表示モードを複数備え、運転中においてユーザーにいずれかを選択して表示させるステップ、を実行させるための請求項5記載の運転支援プログラム。
【請求項10】
現在位置を記録するステップ、
ハザード情報を記録するステップ、
記録した前記現在位置が前記ハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップ、を実行する運転支援方法。
【請求項11】
ハザード情報を含む地図情報を記録するステップ、
目的地を設定するステップ、
出発地を設定するステップ、
現在地から前記目的地までの経路候補を複数入手し、複数の前記経路候補のそれぞれに対して前記ハザード情報及びユーザーの運転特性情報の少なくともいずれかに基づき安全性予測値の算出を行うステップ、を実行する運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援プログラム及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車等の移動体は、日常の生活において欠かすことのできない重要なものとなっている。特に自転車は、自動車等の運転免許を有していない未成年者にとって極めて重要な移動手段である。
【0003】
一方で、移動体の運転においては、他の移動体を含めた移動体同士、移動体と歩行者との間の接触・衝突事故が少なからず発生する。特に近年では、たとえ自転車であっても、歩行者との接触により当該歩行者に損害を与えた場合、高額の慰謝料等を請求されてしまうといった事例が発生している。
【0004】
一方で、移動体の運転を支援する技術としては、例えば下記特許文献1で示されるようないわゆるナビゲーションシステムが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記一般的なナビゲーションシステムでは、複数の経路選択を行うものの、距離や高速道路の使用の有無等の評価に基づくものであって、安全性に関する評価は十分でないといった課題がある。特に、この課題は自転車の場合非常に顕著となる。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、より安全性を重視した運転支援プログラム及び運転支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る運転支援プログラムは、コンピュータに、現在位置を記録するステップ、ハザード情報を記録するステップ、記録した現在位置がハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップ、を実行させるためのものである。
【0009】
また、本観点において、限定されるわけではないが、ハザード情報は自転車関連のハザード情報であることが好ましい。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけではないが、ハザード情報は、事故発生現場位置情報及びヒヤリハット発生現場位置情報の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけではないが、更に、コンピュータに、ユーザー属性を特定するステップを実行させるものであり、警告情報を出力させるステップは、ユーザー属性に応じて、警告情報を出力させるか否かを判定するものであることが好ましい。
【0012】
また、本発明の他の一観点に係る運転支援プログラムは、コンピュータに、ハザード情報を含む地図情報を記録するステップ、目的地を設定するステップ、出発地を設定するステップ、出発地から目的地までの経路候補を複数入手し、複数の経路候補のそれぞれに対してハザード情報及びユーザーの運転特性情報の少なくともいずれかに基づき安全性予測値の算出を行うステップ、を実行させるためのものである。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけではないが、コンピュータに、更に、実際の運転情報を記録するステップ、運転情報に基づき運転安全性評価値の算出を行うステップ、を実行させるためのものであることが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけではないが、コンピュータに、更に、ユーザーを特定するステップ、ユーザーの過去の運転安全性評価値を記録し、ユーザーの安全運転レベルを評価するものであることも好ましい。
【0015】
また、本観点において、限定されるわけではないが、コンピュータに、更に、現在位置がハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップ、を実行させるためのものであることが好ましい。
【0016】
また、本観点において、限定されるわけではないが、コンピュータに、更に、運転中における表示モードを複数備え、運転中においてユーザーにいずれかを選択して表示させるステップを、実行させるためのものであることも好ましい。
【0017】
また、本発明の他の一観点に係る運転支援方法は、コンピュータに、現在位置を記録するステップ、ハザード情報を記録するステップ、記録した現在位置がハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップ、を実行させるためのものである。
【0018】
また、本発明の他の一観点に係る運転支援方法は、ハザード情報を含む地図情報を記録するステップ、目的地を設定するステップ、出発地を設定するステップ、現在地から前記目的地までの経路候補を複数入手し、複数の前記経路候補のそれぞれに対してハザード情報及びユーザーの運転特性情報の少なくともいずれかに基づき安全性予測値の算出を行うステップ、を実行するものである。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によって、より安全性を重視した運転支援プログラム及び運転支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る運転支援プログラムによって実行される方法のフローの概略を示す図である。
【
図2】実施形態に係る運転支援方法を実現するための運転支援システムの全体の概略を示す図である。
【
図3】実施形態に係る運転支援プログラムによって実行される方法のフローの概略を示す図である。
【
図4】実施形態に係る運転支援方法において、警告情報を表示する場合の画面のイメージの例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態の具体的な例示にのみ限定されるものではない。
【0022】
(運転支援プログラム1)
本実施形態に係る運転支援プログラムは、コンピュータに、(S11)現在位置を記録するステップ、(S12)ハザード情報を記録するステップ、(S13)記録した現在位置がハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップ、を実行させるためのものである。
図1に、本プログラムによって実行される方法のフローの概略について示しておく。
【0023】
(運転支援方法1)
本プログラムは、情報処理装置すなわちコンピュータによって実行されるものであり、具体的にはコンピュータのハードディスク等の記録媒体に格納され、必要に応じてメモリ等の揮発性記録媒体に読み込まれ、実行されることになる。すなわち、本プログラムは、コンピュータにおいて実行されることにより、上記図で示す(S11)現在位置を記録するステップ、(S12)ハザード情報を記録するステップ、(S13)記録した現在位置がハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップ、を実行する運転支援方法(以下「本方法」という。)を実現することができる。
【0024】
なお本プログラムを実行するために用いられるコンピュータは、上記の機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、例えば一般的なコンピュータの構成要素である中央演算装置(CPU)、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性の記録媒体、メモリ等の揮発性の記録媒体、これらを接続するバス、キーボードやマウス等の入力装置、モニタ等の表示装置等を含むことが好ましいがこれに限定されない。また、本プログラムを実行するために用いられるコンピュータは、後述のように現在位置を記録するためにいわゆるGPS受信機を備えていることが好ましい。
【0025】
上記コンピュータは、いわゆるノートパソコンやデスクトップパソコンであっても可能であるが、近年普及が進んでいる携帯情報端末、具体的にはいわゆるスマートフォンやタブレット端末であることが自転車等の移動手段において用いることが容易となるため好ましい。一般的な情報携帯端末は、一つのカバーの中に上記CPUや表示装置等の部品を収納して一体化させたものとなっており、しかも表示装置上にセンサを配置しいわゆるタッチパネルとしておくことで、非常に取り扱いやすいものとなっており好ましい。また携帯情報端末の場合、当該携帯情報端末において本方法を実行するプログラムをいわゆるアプリとして記録、表示させておき、このアプリを起動することで容易に本方法を実行することができる。
【0026】
また、本プログラムを実行するためのコンピュータの構成は、上記独立してCPU等を備えた端末であるとしてもよいが、複数のコンピュータをインターネット等の電気通信回線Nを介して接続することでこれら接続されたコンピュータ全体が一つのコンピュータとして機能するようにしてもよい。このようにすることで、複雑な処理を遠隔のコンピュータ端末によって処理(いわゆるクラウド)させることで高速処理が可能となる等の利点がある。
【0027】
次に、本プログラムによって実行される本方法の各ステップについて詳細に説明する。本方法は、限定されるわけではないが、例えば、自転車等の移動手段により移動している者(使用者)が、その移動運転中にその地点における安全性を確認しつつ運転するために有効に用いることができる。より具体的には、使用者はいわゆるスマートフォンなどの携帯情報端末に本プログラムを格納し、実行させながら運転する。そして、使用者が危険区域に侵入した場合、使用者に危険区域に侵入したことを知らせることで運転を支援するものとなる。
【0028】
ところで、本方法は、上記の通り使用者が自身のコンピュータを保持することでその移動とともに用いることで実現可能なものであるが、使用者のコンピュータに各種データを記録し、送受信する事業者サーバーを設けておくことが好ましい。すなわち、インターネット等の電気通信回線Nを介して、使用者が保有するスマートフォンなどのコンピュータC、統合的にこれらを管理する事業者サーバーSが接続されていることで本方法を実現するシステムを達成することができる。この場合のイメージを
図2に示しておく。
【0029】
そして、上記システムによって実行される本方法は、(S11)現在位置を記録するステップを有する。まず様々な処理を行うための前提として本ステップが必須である。
【0030】
また現在位置を記録する前提として、現在位置を把握することが必要となる。現在位置を把握する手段としては様々な方法が考えられるが、いわゆるGPS(Global Positioning System)を用いるものであることが好ましい。より具体的には、いわゆるスマートフォンなどの情報携帯端末にあらかじめ組み込まれたGPS信号受信機を用いて衛星からのGPS信号を受信し、CPU等によって所定の処理を行うことでそのGPS受信機の位置すなわち使用者の現在位置を精度高く求めることが可能となる。すなわち、この場合コンピュータにはGPS信号受信機が備えられていることが好ましい。
【0031】
そして、上記の通り、現在位置が把握できた後は、この現在位置をデータとしてコンピュータの記録媒体に記録することが可能となる。
【0032】
また次に、本方法は、(S12)ハザード情報を記録するステップを有する。ここで「ハザード情報」とは、移動手段を運転する際に生じる危険に関する情報をいい、例えば事故発生現場の位置情報や、ヒヤリハット(事故が発生したわけではないが、一歩まちがえば事故につながりかねない状況)発生現場の位置情報、事故が発生しやすい事故ハイリスク位置情報等をいう。すなわち、ハザード情報には、事故発生現場位置情報、ヒヤリハット発生現場位置情報、事故ハイリスク位置情報の少なくともいずれかを含む。本方法では、これらハザード情報を予め記録し、使用者の現在位置情報を照らし合わせることで、現在位置が事故の発生しうる危険性を含む場所であるか否かを判定することが可能となり、警告情報を使用者に対して発することができるようになる。
【0033】
また、本ステップにおいて、ハザード情報は、限定されるわけではないが、自転車関連のハザード情報、歩行時のハザード情報の少なくともいずれかを含むものであることが好ましい。自動車用のハザード情報を含ませることでより自転車においてより正確な危険性を判断することが可能となる。また、このハザード情報には上記自転車関連のハザード情報の他、自動二輪車、近年普及の進むいわゆるパーソナルモビリティに関するハザード情報を含むものであることも好ましい。なおパーソナルモビリティとは、1人用の簡便な構成の移動機器をいい、例えば小型自動車、移動型支援ロボット、パーソナルトランスポーター等を例示することができるがこれに限定されない。
【0034】
またこのハザード情報が事故発生現場の位置情報を含む場合には、事故発生の時刻情報、事故の類型情報、事故の当事者の年齢情報、事故発生現場の路面状態情報、事故発生時の天候情報、被害者及び加害者が使用していた移動手段に関する情報等を含ませることが好ましい。
【0035】
また、このハザード情報がヒヤリハットの位置情報を含む場合には、このヒヤリハットの位置情報のほか、ヒヤリハットの時刻情報、ヒヤリハットの当事者の年齢層情報、ヒヤリハット発生時の天候情報、ヒヤリハットを感じた使用者のそれまでの運転履歴情報、ヒヤリハットを感じた当事者の移動手段に関する情報等を含ませることも好ましい。
【0036】
また、事故ハイリスク位置情報には、実際に事故が起こった情報ではなく、事故が起こりうる要因に関する情報をいい、例えば高齢者が多く居住し、高齢者が近辺において移動している可能性の高い老人ホームや介護施設等の高齢者施設、幼児やその保護者が多く移動している可能性の高い保育園や幼稚園、更には小学生等が多く移動している可能性の高い小学校等の教育施設等、更には、商業施設や公園等人が多く集まる可能性の高い商業施設等の位置情報を含む。またこれらには、時期や時刻などによってそのリスクが異なる可能性があるため、そのリスク度合いを変化させることができるよう注意時刻情報等を含ませてもよい。
【0037】
ところで、ハザード情報の入力は、予めコンピュータのハードディスク等の記録媒体に記録しておくこととしてもよいが、使用者が適宜必要に応じて入力・更新するようにしてもよい。使用者が適宜必要に応じて入力できるようにすることで、より詳細なデータをリアルタイムに提供することができるといった利点がある。一方で、ハザード情報が使用者によって入力可能である状態にすると、不確定な情報や根拠のない情報として登録されてしまうおそれがある。特に、ハザード情報がヒヤリハットに関する情報である場合、その数は多数に上る可能性があり、必要な情報がどれであるか分かりにくくなるおそれもある。また、工事等により道路の状況が変わる場合もあり、古い道路状況におけるハザード情報がそのまま残っている場合は好ましくない。そのため、適宜情報が更新できるようにしておくことが好ましい。
【0038】
また、本方法は、(S13)記録した現在位置がハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップを有する。
【0039】
本ステップは、まず現在位置とハザード情報とを比較する。具体的には、現在位置がハザード情報に含まれる事故発生の位置、ヒヤリハットの位置、又は事故ハイリスク位置に近くなったか否かを判断する。そして、近い範囲にあると判断した場合、すなわち危険区域に侵入したと判断した場合、警告情報を出力させる。この「近い」と判断する範囲については適宜調整が可能であり、時刻や天候等によっても適宜調整可能である。
【0040】
ここで警告情報の出力方法としては、使用者に何らかの刺激を認識させることが好ましく、例えば、コンピュータに備えられるスピーカー等による音声出力、モニタの色を通常とは異なる色、例えば警告色である赤色を含ませて表示させる、又はいわゆるバイブレーション(振動装置)を振動させることで振動として使用者に伝達する方法などを考えることができるがこれに限定されない。
【0041】
また、本方法では、上記ステップに加え、(S14)ユーザー属性を特定するステップを有することが好ましい。このステップを含ませることで、上記(S13)において、ユーザー属性に応じて、警告情報を出力させるか否かをより詳細に判定することが可能となる。
【0042】
本ステップの「ユーザー属性」としては、例えば性別や年齢等の属性を挙げることができる。年齢の場合はその具体的な年齢値だけでなく、5歳以下、10歳以下、15歳以下、20歳以下等の範囲をもった年齢区分等でもよく、更には、小学生、中学生、高校生、大学・専門学校生、非学生等の学生区分を入力させてもよい。このようにしておくことで、その年齢区分等に対応してよりきめ細やかな警告情報を出力し、警告の効果の有効性を高めることが可能となる。
【0043】
以上、本プログラムによって、より安全性を重視した運転支援方法を提供することができる。
【0044】
(運転支援方法2)
また、本実施形態では、上記ステップにさらに改良を加えた他の観点としての運転支援方法を提供する。上記記載のステップにおける違いとしては、いわゆるナビゲーションシステムを導入し、更に安全性予測値の算出を行うことを特徴とする。
【0045】
より具体的に説明すると、本実施形態の他の一観点に係る運転支援プログラム(以下「本プログラム」という。)は、コンピュータに、(S21)ハザード情報を含む地図情報を記録するステップ、(S22)目的地を設定するステップ、(S23)出発地を設定するステップ、(S24)出発地から目的地までの経路候補を複数入手し、複数の経路候補のそれぞれに対してハザード情報に基づき安全性予測値の算出を行うステップ、を実行させるためのものである。
図3に、本プログラムによって実行される運転支援のフローの概略を示す。
【0046】
そして、上記の運転支援プログラムを実行することにより、上記ステップを実施する運転支援方法(以下「本方法」という。)を実現することができる。具体的に、本方法は、(S21)ハザード情報を含む地図情報を記録するステップ、(S22)目的地を設定するステップ、(S23)出発地を設定するステップ、(S24)出発地から目的地までの経路候補を複数入手し、複数の経路候補のそれぞれに対してハザード情報及びユーザーの運転特性情報の少なくともいずれかに基づき安全性予測値の算出を行うステップ、を実行するものである。
【0047】
まず本方法では(S21)ハザード情報を含む地図情報を記録するステップを有する。地図情報としては公知の地図情報を例示することができる。地図情報には、座標情報と、その座標に対応した建物情報、道路情報等を含む。
【0048】
また、本方法では(S22)目的地を設定するステップを有する。ここで目的地は、ユーザーが指定する目的地に関する位置情報であり、ユーザーが適宜設定可能である。
【0049】
また、本方法では、(S23)出発地を設定するステップを有する。ここで出発地は、ユーザーが指定する出発地に関する位置情報であり、ユーザーが適宜設定可能であるが、自動的にユーザーの現在位置を出発地と設定することとしてもよい。
【0050】
また、本方法では、上記ステップの後、(S24)出発地から目的地までの経路候補を複数入手し、複数の経路候補のそれぞれに対してハザード情報に基づき安全性予測値の算出を行うステップを有する。
【0051】
すなわち、本ステップではまず、(S24-1)出発地から目的地までの経路候補を複数入手する。この出発地から目的地までの経路候補の算出方法については公知の方法を採用することができる。この経路候補の選択基準としては、例えば距離等に基づき近い順に上記数件を選択する等の選択基準を設けることができるがこれに限定されない。
【0052】
そして次に、本ステップでは(S24-2)複数の経路候補のそれぞれに対してハザード情報に基づき安全性予測値の算出を行う。安全性予測値の算出を行うことで、ユーザーに対してどの程度の安全性を備えた経路であるか具体的に評価させることが可能となる。
【0053】
この安全性予測値の算出としては、適宜調整可能であり限定されるわけではないが、例えば入手した経路候補上にあるハザード情報の個数をカウントすることが好ましく、更にハザード情報の種類によってその重みづけを行うことが好ましい。例えば事故発生現場位置情報、ヒヤリハット発生現場位置情報、事故ハイリスク位置情報の順にリスク点を大きくし、このリスク点の合計値を経路候補における安全性予測値とリンクさせる(リスク点の合計が大きければ大きいほど安全性が低く、リスク点の合計が小さければ小さいほど安全性が高い)と評価することができるようになる。また時刻等によってもそのリスク点を変動させることも好ましい。
【0054】
また、この安全性予測値の算出においては、ユーザーの運転特性情報に基づいて算出することとしてもよい。ユーザーの運転特性情報を用いることで、そのユーザーに合った安全性を確保することができるようになる。
【0055】
なお、上記において、「ユーザーの運転特性情報」とは、ユーザーがどのような運転特性を備えているのかといった情報であり、この情報を活用することで、そのユーザーに応じてより正確な安全性予測値を得ることができるようになる。この運転特性情報には、過去の運転安全性評価値やユーザーの安全運転レベル等を含ませることが可能である。
【0056】
ここで、運転安全性評価値の算出には、転倒、急ブレーキ、及び急旋回等の動きを含めることが好ましく、より好ましくはこれらの回数をカウントすることで、運転安全性評価値を客観的な数値として評価可能である。更にこれらについては、移動距離単位当たりの回数としてもよい。なおこの転倒、急ブレーキ及び急旋回については、本方法を実行するために用いる情報処理装置すなわちコンピュータの構成要件として、加速度計、ジャイロスコープ等を含ませ、これらの計測値から転倒、急ブレーキ及び急旋回を判断することとしてもよい。
【0057】
また、ユーザーの「安全運転レベル」とはそのユーザーがどの程度の安全運転を行うかといったことを段階(レベル)に分けて評価するために用いることができる指標をいい、例えばAランク、Bランク、Cランク及びDランク(Aランクが最も安全運転であり、Dランクに行くに従い安全運転ではないとの評価になる)などの複数の段階(レベル)を用いて評価することができる。もちろんこの段階の数は特に制限されるものではない。そして、この安全運転レベルの算出には、上記の運転安全性評価値を基に、一定期間における運転安全性評価値の平均値を算出し、その値が上記のAランクからDランクのどの範囲に含まれるのかを算出することで求めることができる。なお、この値は絶対値での評価ではなく、例えばユーザー属性等特定のセグメントにおける相対評価により安全運転レベルを決定してもよい。
【0058】
また、本方法では、更に、(S25)実際の運転情報を記録するステップ、運転情報に基づき運転安全性評価値の算出を行うステップを含ませることも好ましい。このようにすることで、ユーザーの運転安全性評価値そのものを評価することが可能となるだけでなく、予め作成した安全性予測値との比較を行うことで、その評価値に対するフィードバックをかけることが可能となるといった利点がある。この実際の運転情報には、安全性の他、時間の比較(予測時間と実際にかかった時間)を含ませてもよい。
【0059】
また、本方法では、(S26)ユーザーを特定するステップ、(S26)ユーザーの過去の運転安全性評価値を記録し、ユーザーの安全運転レベルを評価するものであることも好ましい。ユーザーを特定することで、そのユーザーの運転履歴を管理することが可能となり、また、ユーザーの過去の運転安全性評価値を記録しておくことで、運転に対する安全性意識の改善等を客観的に評価することができる。
【0060】
また、本方法では、上記の運転支援方法1のステップ(S13)と同様、(S27)現在位置がハザード情報における危険区域に侵入した場合に、警告情報を出力させるステップを含むことも好ましい。
【0061】
また、本方法では、限定されるわけではないが、更に、(S28)運転中における表示モードを複数備え、運転中においてユーザーにいずれかを選択して表示させるステップを備えていてもよい。
【0062】
具体的に本ステップとしては、例えば、ユーザーがよく知らない経路を移動する際は、表示装置に、一般的なナビゲーションシステムのように、道路地図及びこれに経路情報を表示させるモードを表示させる一方、ユーザーに表示装置を注視させないようにしたい場合は、運転状況に応じた表示を行わせることが好ましい。この運転状況に応じた表示としては、例えば水面を表示させ、急ブレーキや急加速等の加速度等の大きな変化があった場合にこの水面が大きく揺れる等、加速度に応じて水面を変動させる等のモードを例示することができる。この場合の画面イメージを
図4に示しておく。
【0063】
以上、本プログラムによって、より安全性を重視した運転支援方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、運転支援プログラム及び運転支援方法として産業上の利用可能性がある。