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特開2022-191574光電変換装置及び光電変換装置の駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191574
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】光電変換装置及び光電変換装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/369 20110101AFI20221221BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20221221BHJP
   H04N 5/376 20110101ALI20221221BHJP
【FI】
H04N5/369
H04N5/374
H04N5/376
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099868
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】岩根 正晃
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024GY31
5C024HX18
5C024HX21
5C024HX23
5C024HX29
5C024HX50
(57)【要約】
【課題】回路の占有面積を低減し得る光電変換装置を提供する。
【解決手段】基板と、複数の列をなすように配された複数の画素を含み、前記基板に配された画素アレイと、対応する列の画素から出力される信号を各々が伝送する複数の第1信号線と、前記基板に配され、前記複数の画素からの信号を処理するアナログ回路と、前記複数の画素からの信号を列ごとに前記アナログ回路に伝送する複数の第2信号線と、前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するスイッチと、前記基板に配され、前記スイッチを制御するシフトレジスタと、を有し、前記基板に対する平面視において、前記シフトレジスタは、前記画素アレイと前記アナログ回路の間に配されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
複数の列をなすように配された複数の画素を含み、前記基板に配された画素アレイと、
対応する列の画素から出力される信号を各々が伝送する複数の第1信号線と、
前記基板に配され、前記複数の画素からの信号を処理するアナログ回路と、
前記複数の画素からの信号を列ごとに前記アナログ回路に伝送する複数の第2信号線と、
前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するスイッチと、
前記基板に配され、前記スイッチを制御するシフトレジスタと、
を有し、
前記基板に対する平面視において、前記シフトレジスタは、前記画素アレイと前記アナログ回路の間に配されている
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記スイッチは前記基板に配されており、
前記基板に対する平面視において、前記スイッチは、前記画素アレイと前記アナログ回路の間に配されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記シフトレジスタは、フリップフロップを含み、
前記基板に対する平面視において、前記スイッチと前記フリップフロップは、前記複数の第1信号線が延在する方向とは異なる方向に並ぶように配されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記アナログ回路は、前記複数の画素からの信号を参照信号と比較する比較器を含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記シフトレジスタと前記アナログ回路は、同じ耐圧の半導体素子を含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記シフトレジスタは、フリップフロップを含み、
1つのフリップフロップの出力信号が複数の前記第1信号線にそれぞれ対応する複数の前記スイッチに入力される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
1つのフリップフロップに対応する複数の前記スイッチの各々に接続された第2信号線の電位が平均化可能である
ことを特徴とする請求項6に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記複数の第1信号線の数は、前記複数の第2信号線の数よりも多い
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記複数の第1信号線の1つに接続される外部端子を更に有し、
前記シフトレジスタからの出力に基づいて前記外部端子に接続される第1信号線が選択される
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記複数の第1信号線のうちの2つを伝送する信号は、互いに異なるゲインにより増幅され、
前記2つの第1信号線のうちのゲインが小さい方の第1信号線と出力信号に不良を生じさせる第2信号線とが接続するよう前記スイッチが制御される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記スイッチは、前記画素アレイの1行が走査される1水平走査期間ごとに前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせが変更されるように制御される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせは、擬似ランダム信号に基づいて制御される
ことを特徴とする請求項11に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記基板とは別の基板に前記アナログ回路から出力される信号を処理する回路が設けられ、
前記基板と前記別の基板が積層されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項14】
複数の列をなすように配された複数の画素を含む画素アレイと、
対応する列の画素から出力される信号を各々が伝送する複数の第1信号線と、
前記複数の画素からの信号を処理するアナログ回路と、
前記複数の画素からの信号を列ごとに前記アナログ回路に伝送する複数の第2信号線と、
前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するスイッチと、
を有し、
前記スイッチは、1フレームの読み出し期間内に前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するように制御される
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項15】
前記複数の第1信号線の数は、前記複数の第2信号線の数と同一である
ことを特徴とする請求項14に記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記スイッチは、前記画素アレイの1行が走査される1水平走査期間ごとに前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせが変更されるように制御される
ことを特徴とする請求項14又は15に記載の光電変換装置。
【請求項17】
前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせは、擬似ランダム信号に基づいて制御される
ことを特徴とする請求項16に記載の光電変換装置。
【請求項18】
前記スイッチは、前記画素アレイの不良箇所と前記アナログ回路の不良箇所とが接続されるように制御される
ことを特徴とする請求項14又は15に記載の光電変換装置。
【請求項19】
前記画素アレイは第1基板に配されており、
前記アナログ回路は、前記第1基板に積層された第2基板に配されている
ことを特徴とする請求項14乃至18のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項20】
前記複数の画素は、複数の行をなすように配されており
前記複数の第1信号線は、複数の行の画素から同時に信号を読み出すことができるように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置に対応した光学装置、
前記光電変換装置を制御する制御装置、
前記光電変換装置から出力された信号を処理する処理装置、
前記光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置、
前記光電変換装置で得られた情報を記憶する記憶装置、及び
前記光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置、の少なくともいずれかと、を備えることを特徴とする機器。
【請求項22】
前記処理装置は、複数の光電変換部にて生成された画像信号をそれぞれ処理し、前記光電変換装置から被写体までの距離情報を取得することを特徴とする請求項21に記載の機器。
【請求項23】
基板と、
複数の列をなすように配された複数の画素を含み、前記基板に配された画素アレイと、
対応する列の画素から出力される信号を各々が伝送する複数の第1信号線と、
前記基板に配され、前記複数の画素からの信号を処理するアナログ回路と、
前記複数の画素からの信号を列ごとに前記アナログ回路に伝送する複数の第2信号線と、
前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するスイッチと、
前記基板に配されたシフトレジスタと、
を有し、前記基板に対する平面視において、前記シフトレジスタは、前記画素アレイと前記アナログ回路の間に配されている光電変換装置の駆動方法であって、
前記シフトレジスタが前記スイッチを制御することにより、前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するステップを有する
ことを特徴とする光電変換装置の駆動方法。
【請求項24】
複数の列をなすように配された複数の画素を含む画素アレイと、
対応する列の画素から出力される信号を各々が伝送する複数の第1信号線と、
前記複数の画素からの信号を処理するアナログ回路と、
前記複数の画素からの信号を列ごとに前記アナログ回路に伝送する複数の第2信号線と、
前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するスイッチと、
を有する光電変換装置の駆動方法であって、
1フレームの読み出し期間内に前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するように前記スイッチを制御するステップを有する
ことを特徴とする光電変換装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光電変換装置及び光電変換装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画素アレイ部からのアナログ信号を処理するアナログ回路が冗長構成とされている固体撮像装置を開示している。これにより、特許文献1の固体撮像装置においては、歩留まりが改善される旨、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-213012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような光電変換装置の回路構成においては、半導体基板上における回路の占有面積が増大し得る。
【0005】
そこで、本発明は、回路の占有面積を低減し得る光電変換装置及び光電変換装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、基板と、複数の列をなすように配された複数の画素を含み、前記基板に配された画素アレイと、対応する列の画素から出力される信号を各々が伝送する複数の第1信号線と、前記基板に配され、前記複数の画素からの信号を処理するアナログ回路と、前記複数の画素からの信号を列ごとに前記アナログ回路に伝送する複数の第2信号線と、前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するスイッチと、前記基板に配され、前記スイッチを制御するシフトレジスタと、を有し、前記基板に対する平面視において、前記シフトレジスタは、前記画素アレイと前記アナログ回路の間に配されていることを特徴とする光電変換装置が提供される。
【0007】
本発明の他の一観点によれば、複数の列をなすように配された複数の画素を含む画素アレイと、対応する列の画素から出力される信号を各々が伝送する複数の第1信号線と、前記複数の画素からの信号を処理するアナログ回路と、前記複数の画素からの信号を列ごとに前記アナログ回路に伝送する複数の第2信号線と、前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するスイッチと、を有し、前記スイッチは、1フレームの読み出し期間内に前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するように制御されることを特徴とする光電変換装置が提供される。
【0008】
本発明の他の一観点によれば、基板と、複数の列をなすように配された複数の画素を含み、前記基板に配された画素アレイと、対応する列の画素から出力される信号を各々が伝送する複数の第1信号線と、前記基板に配され、前記複数の画素からの信号を処理するアナログ回路と、前記複数の画素からの信号を列ごとに前記アナログ回路に伝送する複数の第2信号線と、前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するスイッチと、前記基板に配されたシフトレジスタと、を有する光電変換装置の駆動方法であって、前記シフトレジスタが前記スイッチを制御することにより、前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するステップを有し、前記基板に対する平面視において、前記シフトレジスタは、前記画素アレイと前記アナログ回路の間に配されていることを特徴とする光電変換装置の駆動方法が提供される。
【0009】
本発明の他の一観点によれば、複数の列をなすように配された複数の画素を含む画素アレイと、対応する列の画素から出力される信号を各々が伝送する複数の第1信号線と、前記複数の画素からの信号を処理するアナログ回路と、前記複数の画素からの信号を列ごとに前記アナログ回路に伝送する複数の第2信号線と、前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するスイッチと、を有する光電変換装置の駆動方法であって、1フレームの読み出し期間内に前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線の接続の組み合わせを変更するように前記スイッチを制御するステップを有することを特徴とする光電変換装置の駆動方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路の占有面積を低減し得る光電変換装置及び光電変換装置の駆動方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る光電変換装置のブロック図である。
図2】第1実施形態に係る画素アレイの回路図である。
図3】第1実施形態に係るデジタルラインメモリ及び水平走査回路の回路図である。
図4】第1実施形態に係る選択部の回路図である。
図5】第1実施形態に係る選択部のレイアウト図である。
図6】第1実施形態に係るシフトレジスタの設定を示すタイミング図である。
図7】第1実施形態に係る画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。
図8】第1実施形態に係る画素アレイの動作を示すタイミング図である。
図9】第2実施形態に係る光電変換装置のブロック図である。
図10】第2実施形態に係るシフトレジスタの設定を示すタイミング図である。
図11】第2実施形態に係る画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。
図12】第3実施形態に係る光電変換装置のブロック図である。
図13】第3実施形態に係るシフトレジスタの設定を示すタイミング図である。
図14】第4実施形態に係る光電変換装置のブロック図である。
図15】第4実施形態に係る画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。
図16】第5実施形態に係る光電変換装置のブロック図である。
図17】第5実施形態に係る画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。
図18】第6実施形態に係る光電変換装置の動作を示す模式的に示すブロック図である。
図19】第7実施形態に係る機器のブロック図である。
図20】第8実施形態に係る機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。複数の図面にわたって同一の要素又は対応する要素には共通の符号が付されており、その説明は省略又は簡略化されることがある。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る光電変換装置のブロック図である。図2は、本実施形態に係る画素アレイの回路図である。図3は、本実施形態に係るデジタルラインメモリ及び水平走査回路の回路図である。図4は、本実施形態に係る選択部の回路図である。図5は、本実施形態に係る選択部のレイアウト図である。図1から図5を相互に参照しつつ、本実施形態に係る光電変換装置の構成を説明する。
【0014】
図1に示されているように、光電変換装置1は、画素アレイ2、垂直走査回路3、制御回路4、スイッチ群5、シフトレジスタ6、アナログ周辺回路7、デジタルラインメモリ11、水平走査回路12、出力処理回路14及び出力端子17、18を有している。光電変換装置1を構成するこれらの回路は、シリコン等の半導体基板に形成され得る。なお、本実施形態の光電変換装置1は、画像を取得する撮像装置であるものとするが、これに限定されるものではない。例えば、光電変換装置1は、焦点検出装置、測距装置、TOF(Time-Of-Flight)カメラ等であってもよい。
【0015】
制御回路4は、垂直走査回路3、シフトレジスタ6、アナログ周辺回路7、デジタルラインメモリ11及び水平走査回路12に制御信号を供給することによりこれらを制御する。画素アレイ2は、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を有する。典型的には、画素アレイ2の行数及び列数はいずれも数千であり得るが、本実施形態では説明の簡略化のため、画素アレイ2の行数及び列数は4行×3列であるものとする。
【0016】
垂直走査回路3は、画素アレイ2の各画素に含まれるトランジスタをオン(導通状態)又はオフ(非導通状態)に制御するための制御信号を画素アレイ2の各行に設けられた制御信号線を介して供給する走査回路である。垂直走査回路3は、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等の論理回路により構成され得る。ここで、画素アレイ2に供給される制御信号は複数の種類の制御信号を含み得るため、各行の制御信号線は複数の駆動配線の組として構成され得る。画素アレイ2の各列には画素列信号線PVL0、PVL1、PVL2(第1信号線)が設けられており、画素からの信号が列ごとに画素列信号線PVL0、PVL1、PVL2に読み出される。なお、画素アレイ2は、画素のリセット状態に基づく信号と、画素において光電変換により生成された信号とを出力し得る。
【0017】
ここで、図2を参照して、画素アレイ2の構成をより詳細に説明する。画素アレイ2は、画素20a及び画素20bを1ブロックとする繰り返し配列をなしている。画素20a及び画素20bの構成を説明する。画素20aは、光電変換部Da1、Db1、転送トランジスタMa1、Mb1、リセットトランジスタM2、増幅トランジスタM3及び選択トランジスタM4を有している。画素20bは、光電変換部Da2、Db2及び転送トランジスタMa2、Mb2を有している。
【0018】
これらのトランジスタは、制御電極としてゲートを有するMOSトランジスタにより構成される。転送トランジスタMa1、Mb1、リセットトランジスタM2及び選択トランジスタM4のゲートには、垂直走査回路3から制御信号線を介して、これらのトランジスタを制御するための制御信号φTXa1、φTXb1、φRES1、φSEL1が入力される。転送トランジスタMa2、Mb2のゲートには、垂直走査回路3から制御信号線を介して、これらのトランジスタを制御するための制御信号φTXa2、φTXb2が入力される。なお、これらの制御信号の末尾の数値はこれらの信号が入力される画素の行番号を示している。
【0019】
光電変換部Da1、Db1、Da2、Db2は、光電変換により入射光に応じた電荷を生成するとともに、当該電荷を蓄積する光電変換素子である。光電変換部Da1、Db1、Da2、Db2は半導体基板内に形成されたフォトダイオードにより構成され得る。光電変換部Da1、Db1、Da2、Db2を構成するフォトダイオードのアノードは接地電位が供給される接地配線に接続されている。光電変換部Da1、Db1、Da2、Db2を構成するフォトダイオードのカソードは、転送トランジスタMa1、Mb1、Ma2、Mb2のソースにそれぞれ接続されている。
【0020】
転送トランジスタMa1、Mb1、Ma2、Mb2のドレイン、リセットトランジスタM2のソース及び増幅トランジスタM3のゲートはフローティングディフュージョンNFに接続されている。転送トランジスタMa1、Mb1、Ma2、Mb2の各々は、オンとなることにより対応する光電変換部の電荷をフローティングディフュージョンNFに転送する。フローティングディフュージョンNFの容量により、フローティングディフュージョンNFの電位は光電変換部Da1、Db1、Da2、Db2から転送された電荷に応じて変化する。
【0021】
リセットトランジスタM2のドレイン及び増幅トランジスタM3のドレインは、電源電位を有する電源配線に接続されている。増幅トランジスタM3のソースは、選択トランジスタM4のドレインに接続されている。選択トランジスタM4のソースは、画素列信号線PVL1に接続されている。増幅トランジスタM3は、画素列信号線PVL1に接続された電流源(後述する電流源Ib1又は電流源Ib2)とともにソースフォロワ回路を構成する。このソースフォロワ回路は、フローティングディフュージョンNFの電位に基づく信号を選択トランジスタM4を介して画素列信号線PVL1に出力する。リセットトランジスタM2は、オンとなることによりフローティングディフュージョンNFの電位をリセットする。
【0022】
画素20aは、入射光が光電変換部Da1、Db1に導かれるまでの光路上に配されたマイクロレンズ及びカラーフィルタを有している。マイクロレンズは、入射光を光電変換部Da1、Db1に集光する。カラーフィルタは、所定の色の光を選択的に透過する。すなわち、光電変換部Da1、Db1は共通のマイクロレンズを有している。これにより、光電変換部Da1が蓄積した電荷に基づくA信号と、光電変換部Db1が蓄積した電荷に基づくB信号に基づく位相差検出方式の焦点検出を行うことができる。また、光電変換部Da1が蓄積した電荷と光電変換部Db1が蓄積した電荷の和に基づくA+B信号を用いて画像の生成を行うこともできる。また、画素20bも同様に、入射光が光電変換部Da2、Db2に導かれるまでの光路上に配されたマイクロレンズ及びカラーフィルタを有している。
【0023】
本実施形態では、2つの異なる行に配された画素20a、20bが1組のリセットトランジスタM2、増幅トランジスタM3及び選択トランジスタM4を共有している。これにより、一画素当たりのトランジスタの個数を削減することができる。しかしながら、この画素回路構成を採用することは必須ではない。
【0024】
スイッチ群5は、画素列信号線PVL0、PVL1、PVL2にそれぞれ対応して設けられた複数のスイッチSW0、SW1、SW2を有している。シフトレジスタ6は、スイッチ群5を制御する回路である。シフトレジスタ6は、画素列信号線PVL0、PVL1、PVL2にそれぞれ対応して設けられた複数のフリップフロップFF0、FF1、FF2を有している。図1に示されているように、スイッチ群5及びシフトレジスタ6は、半導体基板に対する平面視において、画素アレイ2とアナログ周辺回路7の間に配されている。
【0025】
複数のスイッチSW0、SW1、SW2の各々は、1つの入力端子と2つの出力端子と制御端子とを有している。複数のスイッチSW0、SW1、SW2の各々の入力端子は、シフトレジスタ6から制御端子に入力される制御信号に応じて、第1出力端子(図1における左側の端子)と第2出力端子(図1における右側の端子)のいずれかと電気的に接続される。なお、各スイッチにおいて、制御信号がローレベルのときに入力端子と第1出力端子が接続され、制御信号がハイレベルのときに入力端子と第2出力端子が接続されるものとする。
【0026】
光電変換装置1には、スイッチ群5からアナログ周辺回路7に向かって延在する複数の周辺回路列信号線RVL0、RVL1、RVL2、RVL3(第2信号線)が配されている。スイッチSW0の入力端子は、画素列信号線PVL0に接続されている。スイッチSW0の第1出力端子は周辺回路列信号線RVL0に接続されており、スイッチSW0の第2出力端子は周辺回路列信号線RVL1に接続されている。スイッチSW1の入力端子は、画素列信号線PVL1に接続されている。スイッチSW1の第1出力端子は周辺回路列信号線RVL1に接続されており、スイッチSW1の第2出力端子は周辺回路列信号線RVL2に接続されている。スイッチSW2の入力端子は、画素列信号線PVL2に接続されている。スイッチSW2の第1出力端子は周辺回路列信号線RVL2に接続されており、スイッチSW2の第2出力端子は周辺回路列信号線RVL3に接続されている。このように、スイッチ群5は、1つの画素列信号線を2つの周辺回路列信号線のいずれかと接続させるように構成されている。
【0027】
フリップフロップFF0、FF1、FF2の各々は、入力端子D、クロック端子CK、CKB及び出力端子Q、QBを有している。フリップフロップFF0、FF1、FF2の各々のクロック端子CKには、制御回路4からクロック信号φCKが入力される。また、それらのクロック端子CKBには、制御回路4から、クロック信号φCKを論理反転した信号であるクロック信号φCKBが入力される。
【0028】
フリップフロップFF0の入力端子Dには、制御回路4から制御信号φData_INが入力される。フリップフロップFF0の出力端子Qから出力される信号は、スイッチSW0の制御端子及びフリップフロップFF1の入力端子Dに入力される。フリップフロップFF1の出力端子Qから出力される信号は、スイッチSW1の制御端子及びフリップフロップFF2の入力端子Dに入力される。フリップフロップFF2の出力端子Qから出力される信号は、スイッチSW2の制御端子に入力される。なお、フリップフロップFF0、FF1、FF2の出力端子QBは出力端子Qの信号を論理反転した信号を出力する端子である。出力端子QBからの信号もスイッチの制御に用いられ得るが、図1においては図示が省略されている。
【0029】
アナログ周辺回路7は画素アレイ2から出力された信号を処理する。アナログ周辺回路7において行われる信号処理は、信号の増幅、アナログデジタル変換等を含み得る。アナログ周辺回路7は、電流源Ib0、Ib1、Ib2、Ib3、クランプ容量C0、C1、C2、C3及び比較器Comp0、Comp1、Comp2、Comp3を有している。
【0030】
電流源Ib0、Ib1、Ib2、Ib3は、それぞれ、周辺回路列信号線RVL0、RVL1、RVL2、RVL3に接続されている。電流源Ib0、Ib1、Ib2、Ib3の各々は、対応する列の増幅トランジスタM3とともにソースフォロワ回路を構成する。
【0031】
クランプ容量C0の第1端子は、周辺回路列信号線RVL0に接続されており、クランプ容量C0の第2端子は、比較器Comp0の反転入力端子に接続されている。クランプ容量C1、C2、C3もこれと同様に周辺回路列信号線RVL1、RVL2、RVL3と比較器Comp1、Comp2、Comp3の間にそれぞれ接続されている。比較器Comp0、Comp1、Comp2、Comp3の各々の非反転入力端子には、制御回路4又は不図示の参照信号生成回路から参照信号RAMPが入力される。参照信号RAMPは、時間に応じて電位が変動する信号であり、例えばランプ信号であり得る。比較器Comp0、Comp1、Comp2、Comp3の各々は、反転入力端子の電位と非反転入力端子の電位の比較結果を示す信号をデジタルラインメモリ11に出力する。デジタルラインメモリ11は、比較器に対応したメモリを有しており、比較結果が反転した時刻に応じたデジタル信号を記憶する。この処理により、画素アレイ2からの信号のアナログデジタル(AD)変換が行われる。このように、アナログ周辺回路7には、電流源、クランプ容量及び比較器を含むアナログ回路が、複数の周辺回路列信号線の各々に対応して配されている。アナログ周辺回路7は、画素からの信号に対してAD変換等の処理を行う。アナログ回路及び周辺回路列信号線の数は、画素列信号線の数よりも多く、アナログ周辺回路7は冗長構成である。
【0032】
水平走査回路12は、制御回路4からの制御信号に基づいて、デジタルラインメモリ11内の複数のメモリに接続されたスイッチをオン又はオフに制御するための制御信号を当該スイッチに供給する。これにより、複数のメモリから、順次、水平転送線13を介して出力処理回路14に信号が出力される。出力処理回路14は、デジタルシグナルプロセッサ、シリアライザ、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)回路等を含み得る。デジタルシグナルプロセッサは、入力された信号の相関二重サンプリング等の信号処理を行う。シリアライザは、入力された信号をパラレルシリアル変換する。LVDS回路は、処理後の信号を、出力端子17、18を介して、LVDS方式により外部に出力する。
【0033】
図3を参照してデジタルラインメモリ11及び水平走査回路12の構成をより詳細に説明する。デジタルラインメモリ11は、メモリMEM0、MEM1、MEM2、MEM3及びスイッチSWT0、SWT1、SWT2、SWT3を有している。水平走査回路12は、スイッチSWT0、SWT1、SWT2、SWT3を制御するシフトレジスタ21と、シフトレジスタ21を制御するシフトレジスタ22とを有している。シフトレジスタ21は、フリップフロップFFT0、FFT1、FFT2、FFT3及びスイッチSWU0、SWU1、SWU2、SWU3、SWR0、SWR1、SWR2、SWR3、SWS0、SWS1、SWS2、SWS3を有している。シフトレジスタ22は、フリップフロップFFR0、FFR1、FFR2、FFR3を有している。各スイッチは、制御端子に入力される制御信号がハイレベルのときにオン状態であり、ローレベルのときにオフ状態であるものとする。
【0034】
メモリMEM0、MEM1、MEM2、MEM3は、比較器Comp0、Comp1、Comp2、Comp3にそれぞれ対応して配されている。メモリMEM0、MEM1、MEM2、MEM3には、制御回路4又は不図示のカウンタからカウント信号φCOUNTER_INが入力される。メモリMEM0、MEM1、MEM2、MEM3は、対応する比較器からの出力信号の電位が反転した時刻のカウント値を記憶する。このときメモリMEM0、MEM1、MEM2、MEM3に記憶される値は周辺回路列信号線RVL0、RVL1、RVL2、RVL3の電位に対応したデジタル信号である。このようにして、メモリMEM0、MEM1、MEM2、MEM3にはAD変換後のデジタル信号が記憶される。スイッチSWT0、SWT1、SWT2、SWT3の各々の第1端子は対応するメモリに接続されており、第2端子は水平転送線13に接続されている。スイッチSWT0、SWT1、SWT2、SWT3の各々がシフトレジスタ21の制御に応じてオンになることにより、メモリMEM0、MEM1、MEM2、MEM3に保持されている信号が水平転送線13に出力される。
【0035】
フリップフロップFFR0、FFR1、FFR2、FFR3の各々は、入力端子D、クロック端子CK、CKB及び出力端子Q、QBを有している。フリップフロップFFR0、FFR1、FFR2、FFR3の出力端子QBは出力端子Qの信号を論理反転した信号を出力する端子である。フリップフロップFFR0、FFR1、FFR2、FFR3の各々のクロック端子CKには、制御回路4からクロック信号φCKRが入力される。また、それらのクロック端子CKBには、制御回路4から、クロック信号φCKRを論理反転した信号であるクロック信号φCKRBが入力される。
【0036】
フリップフロップFFR0の入力端子Dには、制御回路4から制御信号φDataR_INが入力される。フリップフロップFFR0の出力端子Qから出力される信号は、スイッチSWR0の制御端子及びフリップフロップFFR1の入力端子Dに入力される。フリップフロップFFR0の出力端子QBから出力される信号は、スイッチSWU0の制御端子及びスイッチSWS0の制御端子に入力される。2段目以降のフリップフロップFFR1、FFR2、FFR3は同様の接続関係をなしているため説明を省略する。
【0037】
フリップフロップFFT0、FFT1、FFT2、FFT3の各々は、入力端子D、クロック端子CK、CKB及び出力端子Q、QBを有している。フリップフロップFFT0、FFT1、FFT2、FFT3の各々のクロック端子CKには、制御回路4からクロック信号φCKSが入力される。また、それらのクロック端子CKBには、制御回路4から、クロック信号φCKSを論理反転した信号であるクロック信号φCKSBが入力される。なお、フリップフロップFFT0、FFT1、FFT2、FFT3の出力端子QBは出力端子Qの信号を論理反転した信号を出力する端子である。出力端子QBからの信号もスイッチの制御に用いられ得るが、図3においては図示が省略されている。
【0038】
制御回路4から制御信号φDataS_INが入力される入力ノードは、スイッチSWU0の第1端子及びスイッチSWR0の第1端子と接続されている。スイッチSWU0の第2端子は、フリップフロップFFT0の入力端子Dと接続されている。フリップフロップFFT0の出力端子Qは、スイッチSWS0の第1端子と接続されている。スイッチSWR0の第2端子及びSWS0の第2端子は、スイッチSWU1及びスイッチSWR1の第1端子と接続されている。ここで、フリップフロップFFT0の出力端子QとスイッチSWS0の第1端子の間のノードの電位が、スイッチSWT0の制御信号としてスイッチSWT0に出力される。
【0039】
フリップフロップFFR0の出力端子Qがローレベルで出力端子QBがハイレベルのとき、スイッチSWR0がオフであり、スイッチSWU0、SWS0がオンである。このとき、フリップフロップFFT0はシフトレジスタの回路に組み込まれる。フリップフロップFFR0の出力端子Qがハイレベルで出力端子QBがローレベルのとき、スイッチSWR0がオンであり、スイッチSWU0、SWS0がオフである。このとき、フリップフロップFFT0は非接続状態となり、シフトレジスタに組み込まれない。したがって、このときにはスイッチSWT0はオンにならず、メモリMEM0の信号は読み出されない。2段目以降のフリップフロップFFR1、FFR2、FFR3は同様の接続関係をなしているため説明を省略する。
【0040】
このように、シフトレジスタ21は複数のスイッチを有しており、スイッチの動作により、一部のフリップフロップを飛ばしてシフトレジスタを動作させることができる。これにより、メモリMEM0、MEM1、MEM2、MEM3の一部を読み出さないようにする水平転送を行うことが可能である。
【0041】
次に、スイッチ群5内のスイッチとシフトレジスタ6内のフリップフロップのより具体的な構成を説明する。図4は、図1におけるフリップフロップFF1とスイッチSW1を含む選択部10のより具体的な回路構成を示している。
【0042】
フリップフロップFF1は、インバータIN1、IN2、IN3、IN4及びスイッチSWF1、SWF2、SWF3、SWF4を有している。スイッチSWF1、SWF4の制御端子には、クロック信号φCKが入力される。スイッチSWF2、SWF3の制御端子には、クロック信号φCKBが入力される。各スイッチは、制御端子に入力される制御信号がハイレベルのときにオン状態であり、ローレベルのときにオフ状態であるものとする。
【0043】
スイッチSWF1の第1端子は、フリップフロップFF1の入力端子Dである。スイッチSWF1の第2端子は、インバータIN1の入力端子及びスイッチSWF2の第1端子に接続されている。インバータIN1の出力端子は、インバータIN2の入力端子及びスイッチSWF3の第1端子に接続されている。インバータIN2の出力端子はスイッチSWF2の第2端子に接続されている。スイッチSWF3の第2端子は、インバータIN3の入力端子及びスイッチSWF4の第1端子に接続されている。インバータIN3の出力端子は、インバータIN4の入力端子に接続されている。インバータIN4の出力端子はスイッチSWF4の第2端子に接続されている。インバータIN4の入力端子のノードはフリップフロップFF1の出力端子Qであり、インバータIN4の出力端子のノードはフリップフロップFF1の出力端子QBである。クロック信号φCKにハイレベルのパルスが入力されると、そのタイミングにおいて入力端子Dに入力されている信号のレベルがフリップフロップFF1に取り込まれ、そのレベルの信号が出力端子Qから出力される。
【0044】
スイッチSW1は、NMOSトランジスタNM1、NM2及びPMOSトランジスタPM1、PM2を有している。フリップフロップFF1の出力端子Qの出力信号は、PMOSトランジスタPM1のゲート及びNMOSトランジスタNM2のゲートに入力される。フリップフロップFF1の出力端子QBの出力信号は、NMOSトランジスタNM1のゲート及びPMOSトランジスタPM2のゲートに入力される。画素列信号線PVL1は、NMOSトランジスタNM1、NM2のドレイン及びPMOSトランジスタPM1、PM2のソースに接続されている。周辺回路列信号線RVL1は、NMOSトランジスタNM1のソース及びPMOSトランジスタPM1のドレインに接続されている。周辺回路列信号線RVL2は、NMOSトランジスタNM2のソース及びPMOSトランジスタPM2のドレインに接続されている。
【0045】
出力端子Qから出力される制御信号がローレベルであり、出力端子QBから出力される制御信号がハイレベルであるとき、NMOSトランジスタNM1及びPMOSトランジスタPM1はオン状態である。また、このとき、NMOSトランジスタNM2及びPMOSトランジスタPM2はオフ状態である。したがって、画素列信号線PVL1と周辺回路列信号線RVL1が電気的に接続される。
【0046】
出力端子Qから出力される制御信号がハイレベルであり、出力端子QBから出力される制御信号がローレベルであるとき、NMOSトランジスタNM1及びPMOSトランジスタPM1はオフ状態である。また、このとき、NMOSトランジスタNM2及びPMOSトランジスタPM2はオン状態である。したがって、画素列信号線PVL1と周辺回路列信号線RVL2が電気的に接続される。
【0047】
次に、図5を参照して、スイッチ群5内のスイッチとシフトレジスタ6内のフリップフロップのより具体的なレイアウトを説明する。図5は、フリップフロップFF1及びスイッチSW1を構成するMOSトランジスタの配置と信号を伝送する配線とのレイアウトを模式的に示している。図5の「アクティブ領域」は、MOSトランジスタが形成される半導体基板のアクティブ領域の配置を示している。図5の「ポリシリコン」は、MOSトランジスタのゲート電極を形成するポリシリコンの配置を示している。図5の「メタル1」及び「メタル2」は、半導体基板の上方に層間絶縁膜を間に介して形成される2層の配線層の配置を示している。なお、「メタル1」よりも「メタル2」の方が半導体基板から遠い層であるものとする。図5の「コンタクト」及び「ビア」は、配線層とアクティブ領域又はポリシリコンとを接続するコンタクト及び配線層間を接続するビアの配置を示している。
【0048】
図5に示されている「D」、「CK」、「CKB」、「Q」、「QB」、「PVL1」、「RVL1」及び「RVL2」は、図1又は図4に示されているこれらの端子に対応する配線を示している。図5に示されている「VDD」及び「VSS」は、フリップフロップを構成するインバータの電源端子に対応する配線を示している。
【0049】
図5に示されているように、スイッチ群5とシフトレジスタ6が画素アレイ2とアナログ周辺回路7の間に配されているため、フリップフロップFF1を構成するトランジスタとスイッチSW1を構成するトランジスタは近傍に配されている。また、画素からの信号が流れる方向(画素列信号線PVL1等が延在する方向)を縦方向とし、縦方向に垂直な方向を横方向とする。このとき、図5に示されているように、フリップフロップFF1とスイッチSW1は横方向に並ぶように配されている。このようなレイアウトを採用することにより、フリップフロップFF1の出力端子Q、QBの近傍にスイッチSW1の入力端子を配することができる。これにより、フリップフロップFF1の出力とスイッチSW1の入力との間の配線に要する面積が少ない。
【0050】
一方、特許文献1の図3図5等のように比較器を切り替えるスイッチを制御するシフトレジスタが比較器よりも後段に配置されている回路構成においては、シフトレジスタの出力からスイッチの入力に向かって延在する配線が長い。このような回路構成では、この配線の要する面積を多く要する。これに対し、本実施形態では、スイッチ群5のスイッチを制御するシフトレジスタ6が画素アレイ2とアナログ周辺回路7の間に配されているため、シフトレジスタ6とスイッチ群5の間の配線が短く、配線に要する面積を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、回路の占有面積を低減し得る光電変換装置1が提供される。
【0051】
図6(a)及び図6(b)は、本実施形態に係るシフトレジスタの設定を示すタイミング図である。図7(a)及び図7(b)は、実施形態に係る画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。図8は、本実施形態に係る画素アレイ2の動作を示すタイミング図である。図6(a)から図8を更に参照しつつ、本実施形態に係る光電変換装置1の駆動方法を説明する。
【0052】
シフトレジスタの設定の説明に先立って、不使用列の設定について説明する。本実施形態では、上述のように、画素アレイ2の列数及び画素列信号線の数が3本であるのに対し、周辺回路列信号線の数、アナログ周辺回路7内のアナログ回路の列数及びデジタルラインメモリ11のメモリの列数が4つである。すなわち、1つの周辺回路列信号線に対応するアナログ回路及びメモリ(以下これらの総称を列回路と呼ぶことがある)の列数が画素アレイ2の列数よりも多い冗長構成となっている。
【0053】
これにより、本実施形態の構成では1つの列回路を選択して読み出しに使用しないようにする(不使用とする)ことができる。不使用とする列回路は、例えば、製造工程における不具合等により不良が発生していることがわかっている列回路であり得る。不良の列回路を示す位置情報(列番号等)は製造時の検査工程、光電変換装置1が搭載されるシステムの検査機能等においてあらかじめ取得済みであり、制御回路4内の記憶装置等に記憶されているものとする。なお、本実施形態の以下の説明においては、特記した場合を除き、左から2列目の周辺回路列信号線RVL1に対応する列回路が不良であるものとする。
【0054】
まず、図6(a)、図6(b)、図7(a)及び図7(b)を参照しつつ、シフトレジスタの設定方法を説明する。図6(a)は、シフトレジスタ6に入力される制御信号φData_INとクロック信号φCK、φCKBの時間変化を示している。図6(b)は、シフトレジスタ22に入力される制御信号φDataR_INとクロック信号φCKR、φCKRBの時間変化を示している。なお、図6(a)及び図6(b)の処理は、画素アレイ2からの信号の読み出しよりも前の時点、例えば、光電変換装置1の電源投入時等に行われる。
【0055】
図6(a)に示されているように、シフトレジスタ6には、クロック信号φCK、φCKBとして4つのパルスが入力される。1番目と4番目のパルスの入力時において制御信号φData_INはローレベルであり、2番目と3番目のパルスの入力時においてφData_INはハイレベルである。図6(a)の信号の入力後において、フリップフロップFF0、FF1、FF2の出力信号のレベルは、それぞれ、4番目、3番目、2番目のパルスの入力時の制御信号φData_INのレベルと一致する。すなわち、フリップフロップFF0、FF1、FF2の出力信号のレベルは、それぞれ、ローレベル、ハイレベル、ハイレベルである。これらの信号は、スイッチSW0、SW1、SW2の制御端子に入力され、画素列信号線と周辺回路列信号線の接続が制御される。なお、ここでのハイレベルの電位は例えば3.3Vであり、ローレベルの電位は例えば0Vである。
【0056】
図7(b)は、図6(a)の信号がシフトレジスタ6に入力されたときの画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。図7(b)は、縦に並ぶ2つの符号が付された画素列信号線と周辺回路列信号線が接続されていることを示している。例えば、スイッチSW0にはローレベルの信号が入力されているため、スイッチSW0は、画素列信号線PVL0と周辺回路列信号線RVL0を接続している。図7(b)は、このような接続関係を表形式で示したものである。図7(b)から理解されるように、周辺回路列信号線RVL1はいずれの画素列信号線とも接続されていない。したがって、周辺回路列信号線RVL1に対応する不良の列回路が不使用になるように制御されている。
【0057】
このように、本実施形態では、一部の列回路が不良である場合にその列回路を不使用としてその影響をなくすことができる。また、不良の検出を製造時の検査工程で実行し、不良の列回路を不使用とすることで、不良の列回路がある場合であってもその不良の影響が現れないように不使用列を設定して出荷することができる。したがって、製造工程における歩留まりが向上し、製造コストを低減することができる。
【0058】
なお、通常時(不良の列回路がない場合)には、例えば、図7(a)のような接続関係を適用することができる。この場合、周辺回路列信号線RVL3に対応する列回路が不使用になる。この接続関係は、例えば、図6(a)における制御信号φData_INを全期間に渡ってローレベルとすることで実現できる。
【0059】
図6(b)に示されているように、シフトレジスタ22には、クロック信号φCKR、φCKRBとして4つのパルスが入力される。1番目と3番目と4番目のパルスの入力時において制御信号φDataR_INはローレベルであり、2番目のパルスの入力時においてφDataR_INはハイレベルである。図6(b)の信号の入力後において、フリップフロップFFR0、FFR1、FFR2、FFR3の出力端子Qからの出力信号のレベルは、それぞれ、4番目、3番目、2番目、1番目のパルスの入力時の制御信号φData_INのレベルと一致する。すなわち、フリップフロップFFR0、FFR1、FFR2、FFR3の出力端子Qからの出力信号のレベルは、それぞれ、ローレベル、ハイレベル、ローレベル、ローレベルである。また、フリップフロップFFR0、FFR1、FFR2、FFR3の出力端子QBからの出力信号のレベルは、それぞれ、ハイレベル、ローレベル、ハイレベル、ハイレベルである。これらの信号は、シフトレジスタ21内の各スイッチの制御端子に入力される。なお、ここでのハイレベルの電位は例えば1.2Vであり、ローレベルの電位は例えば0Vである。シフトレジスタ21、22は、デジタル回路用のプロセスで形成されるため、シフトレジスタ21、22のハイレベルの電位は、シフトレジスタ6のハイレベルの電位よりも低い電位であり得る。
【0060】
このとき、スイッチSWR0、SWR1、SWR2、SWR3は、それぞれ、オフ、オン、オフ、オフである。また、スイッチSWU0、SWU1、SWU2、SWU3は、それぞれ、オン、オフ、オン、オンである。また、スイッチSWS0、SWS1、SWS2、SWS3は、それぞれ、オン、オフ、オン、オンである。これにより、シフトレジスタ21はフリップフロップFFT1を飛ばして動作し、フリップフロップFFT1の出力端子Qの電位はローレベルに維持され、スイッチSWT1はオンにならない。したがって、デジタルラインメモリ11内のメモリから信号が順次出力される際に、メモリMEM1は飛ばされて読み出されない。周辺回路列信号線RVL1に対応する列回路が不良である場合には、メモリMEM1に保持されているデジタル信号は不要である。したがって、上述のように不使用列のメモリMEM1を飛ばして外部に信号を出力することにより処理を効率化することができる。
【0061】
次に、図8を参照しつつ本実施形態の画素アレイ2からの信号の読み出し方法を説明する。図8には、図2に示されている制御信号φSEL1、φRES1、φTXa1、φTXb1、φTXa2、φTXb2、φSEL3、φRES3、φTXa3、φTXb3、φTXa4、φTXb4の時間に応じた変化が図示されている。
【0062】
時刻t1において、制御信号φSEL1がハイレベルになる。これにより、1行目の選択トランジスタM4がオンになり、1行目及び2行目の画素が選択される。なおこの時点において制御信号φRES1、φRES3はハイレベルであり、リセットトランジスタM2はオン状態であるため、フローティングディフュージョンNFの電位はリセットされている。
【0063】
時刻t2において、制御信号φRES1がローレベルになり、1行目のリセットトランジスタM2はオフになる、これにより、1行目のフローティングディフュージョンNFの電位のリセットが解除される。
【0064】
時刻t3から時刻t4の間の期間T11において、フローティングディフュージョンNFの電位に基づくN信号の読み出しが行われる。この期間T11の間に画素アレイ2からのN信号のAD変換が行われ、AD変換後のデジタルN信号がデジタルラインメモリ11内の不使用列以外の列のメモリに記憶される。
【0065】
時刻t5において、制御信号φTXa1がハイレベルになり、転送トランジスタMa1がオンになる。これにより、光電変換部Da1に蓄積されている電荷がフローティングディフュージョンNFに転送される。時刻t6において制御信号φTXa1がローレベルになり、転送トランジスタMa1がオフになる。これにより、電荷の転送が終了する。
【0066】
時刻t7から時刻t9の間の期間T12において、光電変換部Da1からの電荷が転送された後のフローティングディフュージョンNFの電位に基づくA信号の読み出しが行われる。また、この期間T12の間に画素アレイ2からのA信号のAD変換が行われ、AD変換後のデジタルA信号がデジタルラインメモリ11内の不使用列以外の列のメモリに記憶される。
【0067】
時刻t10において、制御信号φTXa1、φTXb1がハイレベルになり、転送トランジスタMa1、Mb1がオンになる。これにより、光電変換部Db1に蓄積されている電荷がフローティングディフュージョンNFに転送される。このとき、フローティングディフュージョンNFの電荷は、光電変換部Da1に蓄積された電荷と光電変換部Db1に蓄積された電荷とが加算されたものとなる。時刻t11において制御信号φTXa1、φTXb1がローレベルになり、転送トランジスタMa1、Mb1がオフになる。これにより、電荷の転送が終了する。
【0068】
時刻t11から時刻t15の間の期間T13において、デジタルN信号及びデジタルA信号の水平転送が行われる。デジタルラインメモリ11の不使用列以外の列のメモリは、水平走査回路12の制御に応じて、順次デジタルN信号とデジタルA信号を水平転送線13を介して出力処理回路14に出力する。出力処理回路14は、デジタルA信号からデジタルN信号を減算してノイズを除去する相関二重サンプリングを行う。そして、出力処理回路14は、相関二重サンプリング後の信号をシリアル形式に変換して、LVDS方式により出力端子17、18から外部に出力する。
【0069】
時刻t12から時刻t13の間の期間T14において、光電変換部Da1、Db1からの電荷が転送された後のフローティングディフュージョンNFの電位に基づくA+B信号の読み出しが行われる。この期間T14の間に画素アレイ2からのA+B信号のAD変換が行われ、AD変換後のデジタルA+B信号がデジタルラインメモリ11内の不使用列以外の列のメモリに記憶される。
【0070】
時刻t17から時刻t19の間の期間T15において、デジタルN信号及びデジタルA+B信号の水平転送が行われる。デジタルラインメモリ11の不使用列以外の列のメモリは、水平走査回路12の制御に応じて、順次デジタルN信号とデジタルA+B信号を水平転送線13を介して出力処理回路14に出力する。出力処理回路14は、デジタルA+B信号からデジタルN信号を減算してノイズを除去する相関二重サンプリングを行う。そして、出力処理回路14は、相関二重サンプリング後の信号をシリアル形式に変換して、LVDS方式により出力端子17、18から外部に出力する。
【0071】
時刻t14において、制御信号φRES1がハイレベルになり、1行目のリセットトランジスタM2はオンになる、これにより、1行目のフローティングディフュージョンNFの電位がリセットされる。その後時刻t18において、制御信号φRES1がローレベルになり、1行目のリセットトランジスタM2はオフになる、これにより、1行目のフローティングディフュージョンNFの電位のリセットが解除される。これ以降、2行目の光電変換部Da2、Db2に対して同様の動作により読み出しが行われる。図8に示されている2行目の読み出しに関する期間T21からT25は、1行目の読み出しに関する期間T11からT15にそれぞれ対応する。
【0072】
時刻t20において、制御信号φSEL1がローレベルになる。これにより、1行目の選択トランジスタM4がオフになり、1行目及び2行目の画素の選択が解除される。また、時刻t20において、制御信号φSEL3がハイレベルになる。これにより、3行目の選択トランジスタM4がオンになり、3行目及び4行目の画素が選択される。以降の動作は1行目及び2行目と同様であるため説明を省略する。なお、時刻t1から時刻t17までの期間T1及び時刻t17から時刻t20までの期間T2の各々は、1水平走査期間を示している。
【0073】
以上のように、本実施形態の光電変換装置1においては、スイッチ群5のスイッチを制御するシフトレジスタ6が画素アレイ2とアナログ周辺回路7の間に配されている。これにより、回路の占有面積を低減し得る光電変換装置1が提供される。また、本実施形態の光電変換装置1においては、アナログ周辺回路7内のアナログ回路及び周辺回路列信号線の数が画素列信号線の数よりも多く、アナログ周辺回路7は冗長構成である。これにより、列回路等の一部が不良である場合にも、その不良を不使用とすることで、不良の影響が現れないようにすることができる。この不良部分の検出を製造時に行うことで、製造工程における歩留まりが向上し、製造コストを低減することができる。
【0074】
シフトレジスタ6とアナログ周辺回路7は、同じ耐圧のトランジスタを形成する半導体プロセスで製造されることが望ましい。言い換えると、シフトレジスタ6とアナログ周辺回路7は、同じ耐圧の半導体素子を含むことが望ましい。この場合、シフトレジスタ6とアナログ回路を含むアナログ周辺回路7との間にレベルシフト回路を配する必要がないため、占有面積を低減することができる。また、シフトレジスタ6とアナログ周辺回路7との間の分離部の占有面積の影響も低減することができる。
【0075】
図1において、アナログ周辺回路7の中に電流源が含まれている構成が図示されているが、電流源の位置はこれに限られず画素アレイ2と比較器の間であればよい。例えば、電流源は、シフトレジスタ6と画素アレイ2の間に配されていてもよい。
【0076】
本実施形態では、図3に示すようにシフトレジスタ21、22により一部のメモリを飛ばして水平走査を行う構成を示しているが、不使用列の列回路から出力される信号を除去する手法はこれに限られない。例えば、光電変換装置1内に設けられたデジタルシグナルプロセッサ又は光電変換装置1外のプロセッサを用いた演算処理によって不使用列の列回路から出力される信号を除去してもよい。
【0077】
本実施形態においては、画素アレイ2内の画素からの信号を1行ずつ読み出す構成例を示しているが、複数行を同時に読み出す構成を適用して読み出しを高速化してもよい。複数行を同時に読み出す構成においては、同一列の複数行の画素から同時に信号を出力させるために列回路等の数が多いため、占有面積が大きくなりやすい。そのため、占有面積を低減する効果のある本実施形態の構成を採用することがより有効である。
【0078】
シフトレジスタ6、21、22の各々に含まれるフリップフロップにはクロック信号φCKとその反転信号であるクロック信号φCKBが入力されているが、クロック信号φCKのみが入力されてもよい。この場合、インバータを配する等により、フリップフロップの内部等でクロック信号φCKの反転信号を生成してもよい。
【0079】
[第2実施形態]
第1実施形態の光電変換装置1では、不良の列回路が1列だけある場合に、その1列を不使用とするようにスイッチ群5の切り替えが行われる。これに対し、本実施形態の光電変換装置1は、複数列を単位としてスイッチ群5の切り替えを行う。本実施形態の説明において、第1実施形態と共通する要素については説明を省略することがある。
【0080】
図9は、本実施形態に係る光電変換装置1のブロック図である。図9においては、平均化部8が追加されている点と、スイッチ群5、シフトレジスタ6及びアナログ周辺回路7の回路構成が変更されている点が図1と相違する。また、図9においては、図1に比べて図示されている列数が増加されている。これにより、画素列信号線PVL0~PVL11、周辺回路列信号線RVL0~RVL11、スイッチSW0~SW11、電流源Ib0~Ib11、クランプ容量C0~C11、比較器Comp0~Comp11が12個ずつ図示されている。また、図9においては、垂直走査回路3、制御回路4、デジタルラインメモリ11、水平走査回路12、出力処理回路14及び出力端子17、18の図示が省略されている。なお、図9においては12列のみが図示されているが、13列目以降にも同様の構成の不図示の回路が設けられているものとする。
【0081】
シフトレジスタ6は、フリップフロップFFA0、FFA4、FFA8を有している。各フリップフロップは、スイッチ群5内の4つのスイッチを制御する。例えば、フリップフロップFFA0の出力端子Qから出力される信号は、スイッチSW0、SW1、SW2、SW3の制御端子に共通に入力される。また、フリップフロップFFA0の出力端子Qは、フリップフロップFFA4の入力端子に接続されている。フリップフロップFFA4、FFA8についても同様の接続関係である。
【0082】
スイッチSW0~SW11の入力端子は、それぞれ、画素列信号線PVL0~PVL11に接続されている。スイッチSW0~SW11の第1出力端子は、それぞれ、周辺回路列信号線RVL0~RVL11に接続されている。スイッチSW0~SW11の第2出力端子は、4列だけ離れた周辺回路列信号線に接続されている。例えば、スイッチSW0の第2出力端子は、周辺回路列信号線RVL4に接続されている。
【0083】
平均化部8は、スイッチSWa0~SWa2、SWa4~SWa6、SWa8~SWa10を有している。スイッチSWa0~SWa2、SWa4~SWa6、SWa8~SWa10の各々の制御端子には、制御回路4から制御信号φR_HADDが入力される。これらのスイッチは、4列の周辺回路列信号線の信号を平均化する機能を有している。各スイッチは、制御端子に入力される制御信号φR_HADDがハイレベルのときにオン状態であり、ローレベルのときにオフ状態であるものとする。
【0084】
スイッチSWa0の第1端子は周辺回路列信号線RVL0に接続されており、スイッチSWa0の第2端子は周辺回路列信号線RVL1に接続されている。スイッチSWa1の第1端子は周辺回路列信号線RVL1に接続されており、スイッチSWa1の第2端子は周辺回路列信号線RVL2に接続されている。スイッチSWa2の第1端子は周辺回路列信号線RVL2に接続されており、スイッチSWa2の第2端子は周辺回路列信号線RVL3に接続されている。これらのスイッチは、制御信号φR_HADDがハイレベルになることでオンになり、周辺回路列信号線RVL0、RVL1、RVL2、RVL3の4列の電位を平均化可能にする機能を有している。他のスイッチについては配されている列が異なる点を除き同様の接続関係であるため説明を省略する。この平均化の機能は、動画撮影時のように静止画撮影の場合と比べて読み出し画素数を少なくする場合に適用され得る。また、制御信号φR_HADDをローレベルとすることにより、平均化を行わないこともできる。
【0085】
制御信号φR_HADDがハイレベルのとき、周辺回路列信号線RVL0、RVL1、RVL2、RVL3の4列を平均化した信号は、アナログ周辺回路7においてAD変換され、比較器Comp0から出力される。同様に4列を平均化した信号のAD変換結果が比較器Comp4、Comp8から出力される。
【0086】
ここで、アナログ回路群70、71、72は、制御信号φR_HADDがハイレベルの場合には不使用である。そこで、制御信号φR_HADDがハイレベルの場合には、これに連動してアナログ回路群70、71、72内の電源はオフに制御されてもよい。これにより、平均化時の消費電力を低減することができる。
【0087】
図10は、本実施形態に係るシフトレジスタの設定を示すタイミング図である。図11(a)、図11(b)、図11(c)及び図11(d)は、本実施形態に係る画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。これらの図を更に参照しつつ、本実施形態に係る光電変換装置1の駆動方法を説明する。
【0088】
図11(a)は、平均化を行わない場合(全画素読み出し)の場合で、かつ、列回路に不良がない場合(通常時)の画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。制御信号φR_HADDをローレベルとすることでこの接続関係が実現される。レベル上述のように全画素読み出しは、例えば、静止画撮影に用いられ得る。
【0089】
図11(c)は、4列の周辺回路列信号線の平均化を行う場合(4列アナログ信号平均)の場合で、かつ、列回路に不良がない場合(通常時)の画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。制御信号φR_HADDをハイレベルとすることでこの接続関係が実現される。上述のように平均化を行う読み出しは、例えば、動画撮影に用いられ得る。ここで、周辺回路列信号線RVL1~RVL3、RVL5~RVL7、RVL9~RVL11等に対応する不使用の列回路の電源はオフに制御されてもよい。なお、図11(a)及び図11(c)の2つのケースにおいては、制御信号φData_INは全期間に渡ってローレベルであり得る。
【0090】
図10は左から5列目の周辺回路列信号線RVL4に対応する列回路が不良である場合の制御信号φData_INとクロック信号φCKの時間変化を示している。図10に示されているように、シフトレジスタ6には、クロック信号φCKとして3つのパルスが入力される。1番目と2番目のパルスの入力時において制御信号φData_INはハイレベルであり、3番目のパルスの入力時においてφData_INはローレベルである。図10の信号の入力後において、フリップフロップFFA0、FFA4、FFA8の出力信号のレベルは、それぞれ、3番目、2番目、1番目のパルスの入力時の制御信号φData_INのレベルと一致する。すなわち、フリップフロップFFA0、FFA4、FFA8の出力信号のレベルは、それぞれ、ローレベル、ハイレベル、ハイレベルである。これらの信号は、スイッチSW0~SW11の制御端子に入力され、画素列信号線と周辺回路列信号線の接続が制御される。
【0091】
図11(b)は、平均化を行わない場合(全画素読み出し)の場合で、かつ、図10の信号がシフトレジスタ6に入力されたときの画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。制御信号φR_HADDをローレベルとすることでこの接続関係が実現される。例えば、スイッチSW4にはハイレベルの信号が入力されているため、スイッチSW4は、画素列信号線PVL4と周辺回路列信号線RVL8を接続している。図11(b)から理解されるように、周辺回路列信号線RVL4はいずれの画素列信号線とも接続されていない。したがって、不良となっている周辺回路列信号線RVL4に対応する列回路が不使用になるように制御されている。
【0092】
図11(d)は、4列の周辺回路列信号線の平均化を行う場合(4列アナログ信号平均)の場合で、かつ、図10の信号がシフトレジスタ6に入力されたときの画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。制御信号φR_HADDをハイレベルとすることでこの接続関係が実現される。図11(d)から理解されるように、周辺回路列信号線RVL4、RVL5、RVL6、RVL7はいずれの画素列信号線とも接続されていない。したがって、不良となっている周辺回路列信号線RVL4と、これと平均化され得る周辺回路列信号線RVL5、RVL6、RVL7に対応する列回路が不使用になるように制御されている。ここで、周辺回路列信号線RVL1~RVL7、RVL9~RVL11等に対応する不使用の列回路の電源はオフに制御されてもよい。
【0093】
上述のように、本実施形態においては、複数列を単位としてスイッチ群5の切り替えを行うことができる。これにより、この複数列の信号が平均化され得る場合に、平均化される列に対応する列回路をまとめて不使用とすることができる。これにより、複数列の信号を平均化する機能を有する回路構成においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
[第3実施形態]
本実施形態の光電変換装置1は、第1実施形態の光電変換装置1に対して画素列信号線と周辺回路列信号線の電位入出力機能を追加したものである。本実施形態の説明において、第1実施形態と共通する要素については説明を省略することがある。
【0095】
図12は、本実施形態に係る光電変換装置1のブロック図である。図12においては、電位入出力部51が追加されている点と、スイッチ群5の回路構成が変更されている点が図1と相違する。また、図12においては、垂直走査回路3、制御回路4、デジタルラインメモリ11、水平走査回路12、出力処理回路14及び出力端子17、18の図示が省略されている。
【0096】
電位入出力部51は、NOR回路NR0、NR1、NR2、スイッチSWa0、SWa1、SWa2、アナログ信号線52及び入出力端子53を有している。スイッチ群5には、スイッチSW0、SW1、SW2に加えて、NAND回路NA0、NA1、NA2を更に有している。スイッチSWa0、SWa1、SWa2は、制御端子に入力される信号がハイレベルのときにオン状態であり、ローレベルのときにオフ状態であるものとする。
【0097】
NOR回路NR0、NR1、NR2の第1入力端子及びNAND回路NA0、NA1、NA2の第1入力端子には、制御回路4から制御信号φR_Convが入力される。NOR回路NR0、NR1、NR2の第2入力端子には、フリップフロップFF0、FF1、FF2の出力端子QBからの信号がそれぞれ入力される。また、NAND回路NA0、NA1、NA2の第2入力端子にも、フリップフロップFF0、FF1、FF2の出力端子QBからの信号がそれぞれ入力される。NOR回路NR0、NR1、NR2の出力端子からの信号は、スイッチSWa0、SWa1、SWa2の制御端子にそれぞれ入力される。NAND回路NA0、NA1、NA2の出力端子からの信号は、スイッチSW0、SW1、SW2の制御端子にそれぞれ入力される。
【0098】
スイッチSWa0、SWa1、SWa2の第1端子は、画素列信号線PVL0、PVL1、PVL2にそれぞれ接続されている。スイッチSWa0、SWa1、SWa2の第2端子は、アナログ信号線52に接続されている。アナログ信号線52は、入出力端子53に接続されている。入出力端子53は、電極パッド等の外部端子である。入出力端子53が電極パッドである場合、電極パッドにオシロスコープ等の計測器のプローブを接触させることで、アナログ信号線52の電位の計測を行うことができる。あるいは、電極パッドに電源装置のプローブを接触させることで、アナログ信号線52に電位を供給することができる。
【0099】
制御信号φR_Convがハイレベルのとき、NOR回路NR0、NR1、NR2の出力はローレベルであり、スイッチSWa0、SWa1、SWa2はオフである。また、このとき、NAND回路NA0、NA1、NA2の出力は出力端子QBの反転信号と一致するため、スイッチSW0、SW1、SW2には出力端子QBの反転信号が入力される。したがって、制御信号φR_Convはハイレベルのときには本実施形態の光電変換装置1は、第1実施形態と同様の動作を行う。
【0100】
制御信号φR_Convがローレベルのとき、NOR回路NR0、NR1、NR2の出力は出力端子QBの反転信号と一致する。そのため、スイッチSWa0、SWa1、SWa2は出力端子QBの反転信号に応じてオン又はオフに制御される。また、このとき、NAND回路NA0、NA1、NA2の出力はハイレベルであり、スイッチSW0、SW1、SW2は第2出力端子(右側の端子)が選択された状態となる。
【0101】
図13は、本実施形態に係るシフトレジスタの設定を示すタイミング図である。図13は、シフトレジスタ6に入力される制御信号φData_INとクロック信号φCK、φCKBの時間変化と、制御信号φR_Convのレベルを示している。
【0102】
図13に示されているように、制御信号φR_Convはローレベルである。また、図13に示されているように、シフトレジスタ6には、クロック信号φCK、φCKBとして3つのパルスが入力される。1番目と3番目のパルスの入力時において制御信号φData_INはローレベルであり、2番目のパルスの入力時においてφData_INはハイレベルである。図6(a)の信号の入力後において、フリップフロップFF0、FF1、FF2の出力端子QBのレベルは、それぞれ、3番目、2番目、1番目のパルスの入力時の制御信号φData_INの反転信号のレベルと一致する。すなわち、フリップフロップFF0、FF1、FF2の出力端子QBの出力信号のレベルは、それぞれ、ハイレベル、ローレベル、ハイレベルである。これにより、スイッチSWa0、SWa1、SWa2のうち、スイッチSWa1のみがオンになり、画素列信号線PVL1とアナログ信号線52が接続される。なお、制御信号φData_INのパルスのタイミングを変更することにより、アナログ信号線52と任意の列の画素列信号線を接続することができる。
【0103】
上述のように、本実施形態では、任意の画素列信号線を入出力端子53に接続することが可能な電位入出力部51が設けられている。これにより、任意の画素列信号線の電位の時間変化を測定することができる。例えば、出荷検査において、画素列信号線の電位を計測することにより、装置内部の異常を検出することができ、品質を向上することができる。
【0104】
また、この測定結果は、不良原因解析に用いることも可能である。電位の時間変化から画素列信号線又はその周りのトランジスタ等における異常箇所を推定することができる。このような手法により不良原因の解析を行うことで、プロセス工程不良の根本原因分析を行うことができ、歩留りを向上させ、内部失敗コストを低減させることができる。また、市場への出荷後に、点キズ、線キズ等の不良が発生する場合もある。本実施形態では、このようなキズの発生箇所の電位の時間変化を測定できるため、出荷後に生じた不良の根本原因分析を行うこともでき、外部失敗コストを低減させることもできる。
【0105】
また、入出力端子53に時間変化を含む電位を与えて、通常の出力信号を計測することで、アナログ周辺回路7に起因するスミア等の不良原因の解析を行うこともできる。また、この手法により、アナログ周辺回路7の回路シミュレーションの妥当性の確認を行うこともできる。
【0106】
[第4実施形態]
本実施形態の光電変換装置1は、画素アレイ2の色配列と列回路との関係を変更可能にするものである。本実施形態の説明において、第1実施形態と共通する要素については説明を省略することがある。
【0107】
図14は、本実施形態に係る光電変換装置1のブロック図である。図14においては、画素アレイ2から延在する画素列信号線の数が変更されている点と、スイッチ群5及びシフトレジスタ6の回路構成が変更されている点とが図1と相違する。また、図14においては、垂直走査回路3、制御回路4、デジタルラインメモリ11、水平走査回路12、出力処理回路14及び出力端子17、18の図示が省略されている。
【0108】
本実施形態においては、画素アレイ2から4つの画素列信号線PVL0、PVL1、PVL2、PVL3がスイッチ群5に向かって延在している。したがって、本実施形態においては、アナログ回路及び周辺回路列信号線の数は、画素列信号線の数と同数である。また、本実施形態の画素アレイ2においては、赤(R)、緑(G)、青(B)の画素がベイヤー配列をなすようにカラーフィルタが配列されている。図14に示されている画素列信号線PVL0、PVL1、PVL2、PVL3は、それぞれ、緑(G)、青(B)、緑(G)、青(B)の信号を伝送する。
【0109】
シフトレジスタ6は、フリップフロップFF0、FF1を有している。スイッチ群5は、1段目に配されたスイッチSWb0、SWb1、SWb2、SWb3と、2段目に配されたスイッチSWc0、SWc1、SWc2、SWc3とを有している。フリップフロップFF0の出力端子Qから出力される信号は、スイッチSWb0、SWb1、SWb2、SWb3の制御端子に入力される。フリップフロップFF1の出力端子Qから出力される信号は、スイッチSWc0、SWc1、SWc2、SWc3の制御端子に入力される。
【0110】
スイッチSWb0、SWb1、SWb2、SWb3の入力端子は、画素列信号線PVL0、PVL1、PVL2、PVL3にそれぞれ接続されている。スイッチSWb0の第1出力端子及びスイッチSWb1の第2出力端子は、スイッチSWc0の入力端子に接続されている。スイッチSWb0の第2出力端子及びスイッチSWb1の第1出力端子は、スイッチSWc1の入力端子に接続されている。スイッチSWb2の第1出力端子及びスイッチSWb3の第2出力端子は、スイッチSWc2の入力端子に接続されている。スイッチSWb2の第2出力端子及びスイッチSWb3の第1出力端子は、スイッチSWc3の入力端子に接続されている。
【0111】
スイッチSWc0の第1出力端子及びスイッチSWc2の第2出力端子は、周辺回路列信号線RVL0に接続されている。スイッチSWc0の第2出力端子及びスイッチSWc2の第1出力端子は、周辺回路列信号線RVL2に接続されている。スイッチSWc1の第1出力端子及びスイッチSWc3の第2出力端子は、周辺回路列信号線RVL1に接続されている。スイッチSWc1の第2出力端子及びスイッチSWc3の第1出力端子は、周辺回路列信号線RVL3に接続されている。このように、スイッチ群5は、フリップフロップFF0、FF1の出力に応じて画素列信号線PVL0、PVL1、PVL2、PVL3と周辺回路列信号線RVL0、RVL1、RVL2、RVL3の接続関係を様々に変えることができる。
【0112】
図15は、本実施形態に係る画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。図15には、フリップフロップFF0、FF1の出力信号のレベル(FF0出力、FF1出力)に応じた4通りの接続の組み合わせが示されている。なお、表の中の「0」、「1」は、それぞれ、ローレベルとハイレベルを示している。列回路に不良がない場合(通常時)には、フリップフロップFF0、FF1は、いずれも出力信号がローレベルになるように制御される。
【0113】
これに対し、左から2列目の周辺回路列信号線RVL1に対応する列回路が不良である場合には、フリップフロップFF0の出力信号がハイレベルになるように制御される。ここで、フリップフロップFF1の出力信号はローレベルであってもよく(図15の「RVL1の不良時(1)」)、ハイレベルであってもよい(図15の「RVL1の不良時(2)」)。この場合、周辺回路列信号RLV1が画素列信号線PVL0又は画素列信号線PVL2、すなわち、緑(G)の信号を伝送する画素列信号線に接続される。なお、ここでの不良は、信号が出力できないといった重大な不良ではなく、電流源Ib1の性能が他の電流源と異なる等の薄い縦線キズが生じる程度の軽微な不良を意味するものとする。
【0114】
不良時にこのような接続を行うことの効果について説明する。一般的に、画素アレイ2からの青(B)の出力信号のレベルは、緑(G)の出力信号のレベルの半分程度である。そのため、ホワイトバランスを確保するために、青(B)の信号には、緑(G)の信号に比して約2倍のゲインをかけることがある。このとき、青(B)の信号が薄い縦線キズが生じるような不良が生じている列回路を介して出力されると、薄い縦線キズが約2倍に強調され、縦線キズが視認されやすい画像が得られる。
【0115】
そこで、本実施形態では、薄い縦線キズが生じるような不良が生じている列回路を緑(G)の信号を伝送する画素列信号線に接続する。これにより、青(B)の信号を伝送する画素列信号線に接続する場合と比べてゲインが小さいため、縦線キズが視認されにくい画像が得られる。
【0116】
また、本実施形態では、アナログ周辺回路7を冗長構成にする必要がないため、アナログ周辺回路7の面積が低減される。また、画素アレイ2内の画素列のピッチとアナログ周辺回路7内の列のピッチを同一にすることができるため、レイアウト設計の効率が向上する。これらの一方又は両方の理由により、本実施形態によれば回路の占有面積を低減し得る光電変換装置1が提供される。
【0117】
なお、本実施形態の読み出し方法では、アナログ周辺回路7から出力される信号の順序が変更されるため、後段の回路等において順序を元に戻すことが必要となり得る。その具体的な手法としては、例えば、アナログ周辺回路7の後段にスイッチ群5と同様のスイッチ群を配し、信号の順序を元に戻す手法が採用され得る。他の手法としては、制御回路4等が信号の順序を示す情報を光電変換装置1内のデジタルシグナルプロセッサ又は光電変換装置1外のシステムに送信し、デジタルシグナルプロセッサ又はシステムが信号の順序を元に戻す信号処理を行ってもよい。更に他の手法としては、水平走査回路12の構成をデコーダを含むものとし、信号の順序を戻すような順序でデコーダがメモリから水平転送線13に信号を転送するように制御してもよい。
【0118】
本実施形態では、スイッチ群5内のスイッチは、2段構成であるものとしているが、段数は任意であり、1段であってもよく、3段以上であってもよい。すなわち、スイッチ群5内のスイッチの個数及び段数は特に限定されない。
【0119】
[第5実施形態]
本実施形態の光電変換装置1は、不良の列回路がある場合にその影響を分散させて視認されにくくするものである。本実施形態の説明において、第1実施形態から第4実施形態のいずれかと共通する要素については説明を省略することがある。
【0120】
図16は、本実施形態に係る光電変換装置1のブロック図である。図16においては、画素列信号線及び周辺回路列信号線の数が変更されている点と、スイッチ群5の回路構成が変更されている点と、シフトレジスタ6が配されていない点が図1と相違する。また、図16においては、垂直走査回路3、デジタルラインメモリ11、水平走査回路12、出力処理回路14及び出力端子17、18の図示が省略されている。
【0121】
本実施形態においては、画素アレイ2から8つの画素列信号線PVL0~PVL7がスイッチ群5に向かって延在している。また、スイッチ群5から8つの周辺回路列信号線RVL0~RVL7がアナログ周辺回路7に向かって延在している。したがって、本実施形態においては、アナログ回路及び周辺回路列信号線の数は、画素列信号線の数と同一である。
【0122】
スイッチ群5は、1段目に配されたスイッチSWd0~SWd7と、2段目に配されたスイッチSWe0~SWe7と、3段目に配されたスイッチSWf0~SWf7とを有している。1段目に配されたスイッチSWd0~SWd7の制御端子には、制御回路4から制御信号φC0が入力される。2段目に配されたスイッチSWe0~SWe7の制御端子には、制御回路4から制御信号φC1が入力される。3段目に配されたスイッチSWf0~SWf7の制御端子には、制御回路4から制御信号φC2が入力される。スイッチ群5内の各スイッチは、制御信号φC0、φC1、φC2に応じて画素列信号線PVL0~PVL7と周辺回路列信号線RVL0~RVL7の接続関係を変更する。各スイッチの接続関係は段数及び列数が増加されていることを除いて図14と同趣旨であるため、スイッチ群5内のスイッチの接続関係の説明は省略する。
【0123】
図17は、本実施形態に係る画素列信号線と周辺回路列信号線の接続を示す表である。図17には、制御信号φC0、φC1、φC2のレベルに応じた8通りの接続の組み合わせが示されている。なお、表の中の「0」、「1」は、それぞれ、ローレベルとハイレベルを示している。
【0124】
本実施形態では、例えば1水平走査期間ごとに制御信号φC0、φC1、φC2のレベルの組み合わせを変えることにより、図17のように接続の組み合わせを変えることができる。これにより、8つの周辺回路列信号線のいずれかに対応する1つの列回路が不良である場合に、出力される画像に生じるキズが縦線状ではなく点キズに変換される。点キズは縦線キズよりも視認されにくいため、本実施形態によれば、キズが視認されにくい画像が得られる。なお、1水平走査期間ごとに毎回制御信号φC0、φC1、φC2の組み合わせを変えることは必須ではない。1フレームの読み出し期間内に1回以上制御信号φC0、φC1、φC2の組み合わせを変更すれば縦線キズの視認性を低下する効果が得られる。
【0125】
1水平走査期間ごとに制御信号φC0、φC1、φC2のレベルの組み合わせを変える手法は例えば図17の組み合わせを上から順に適用するというようなものであってもよく、これ以外の所定の順序で変えるものであってもよい。しかしながら、φC0、φC1、φC2を1水平走査期間ごとに変化する擬似ランダム信号とすることが望ましい。この場合、キズの発生位置がランダムになるため、キズの視認性がより低減される。
【0126】
また、本実施形態では、アナログ周辺回路7を冗長構成にする必要がないため、アナログ周辺回路7の面積が低減される。また、画素アレイ2内の画素列のピッチとアナログ周辺回路7内の列のピッチを同一にすることができるため、レイアウト設計の効率が向上する。これらの一方又は両方の理由により、本実施形態によれば回路の占有面積を低減し得る光電変換装置1が提供される。
【0127】
なお、本実施形態の読み出し方法においても、アナログ周辺回路7から出力される信号の順序が変更されるため、後段の回路等において順序を元に戻すことが必要となり得る。その具体的な手法は、第4実施形態で述べたいくつかの例を同様に適用することができる。
【0128】
本実施形態では、スイッチ群5内のスイッチは、3段構成であるものとしているが、段数は任意であり、1段又は2段であってもよく、4段以上であってもよい。すなわち、スイッチ群5内のスイッチの個数及び段数は特に限定されない。
【0129】
[第6実施形態]
本実施形態の光電変換装置1は、第5実施形態の変形例であり、画素アレイ2内に点キズを生じさせる不良画素がある場合にその影響を低減するものである。本実施形態の説明において、第1実施形態から第5実施形態のいずれかと共通する要素については説明を省略することがある。
【0130】
図18は、本実施形態に係る光電変換装置1の動作を示す模式的に示すブロック図である。図18においては、画素アレイ2内の点キズ82とアナログ周辺回路7内の不良列回路と、制御回路4に点キズ82の座標情報を供給する点キズメモリ83とが模式的に示されている。また、図18においては、垂直走査回路3、デジタルラインメモリ11、水平走査回路12、出力処理回路14及び出力端子17、18の図示が省略されている。
【0131】
本実施形態では、画素アレイ2内に画素の不良等に起因する点キズ82があるものとする。更に、アナログ周辺回路7内の一部の列回路に不良があるものとする(図18の「不良列回路」)。通常、画素アレイ2の点キズ82の箇所の信号は、その周りの画素の信号を用いた画像処理により補完され得る。したがって、点キズ82の画素の信号は画像形成に寄与しない。第5実施形態の手法により、点キズ82の箇所の読み出しが不良列回路で行われるようにスイッチ群5を制御することにより点キズ82に起因するキズと不良列回路に起因するキズを重ねることができる。このように、画素アレイ2内の不良箇所とアナログ周辺回路7内の不良箇所とが接続されるようにスイッチ群5を制御することにより、画像全体に含まれるキズの数を低減することができる。
【0132】
本例では、点キズメモリ83は、出荷検査等において得られた点キズ82の座標情報を記憶している。制御回路4は、点キズメモリ83の座標情報を参照して、点キズ82に起因するキズと不良列回路に起因するキズを重ねるようにスイッチ群5を制御する。
【0133】
本実施形態によれば、点キズ82に起因するキズと不良列回路に起因するキズを重ねることにより、キズが低減し得る光電変換装置1が提供される。
【0134】
[第7実施形態]
上述の実施形態における光電変換装置は種々の機器に適用可能である。機器として、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、カメラヘッド、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星、監視カメラ等があげられる。図19に、機器の例としてデジタルスチルカメラのブロック図を示す。
【0135】
図19に示す機器700は、バリア706、レンズ702、絞り704、撮像装置701(光電変換装置の一例)を含む。また、機器700は、更に、信号処理部(処理装置)708、タイミング発生部720、全体制御・演算部718(制御装置)、メモリ部710(記憶装置)、記録媒体制御I/F部716、記録媒体714、外部I/F部712を含む。バリア706、レンズ702、絞り704の少なくとも1つは、機器に対応する光学装置である。バリア706はレンズ702を保護し、レンズ702は被写体の光学像を撮像装置701に結像させる。絞り704はレンズ702を通った光量を可変にする。撮像装置701は上述の実施形態のように構成され、レンズ702により結像された光学像を画像データ(画像信号)に変換する。信号処理部708は撮像装置701より出力された撮像データに対し各種の補正、データ圧縮等を行う。タイミング発生部720は撮像装置701及び信号処理部708に、各種タイミング信号を出力する。全体制御・演算部718はデジタルスチルカメラ全体を制御し、メモリ部710は画像データを一時的に記憶する。記録媒体制御I/F部716は記録媒体714に画像データの記録又は読み出しを行うためのインターフェースであり、記録媒体714は撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。外部I/F部712は外部コンピュータ等と通信するためのインターフェースである。タイミング信号等は機器の外部から入力されてもよい。また、更に機器700は光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置(モニター、電子ビューファインダ等)を備えてもよい。機器は少なくとも光電変換装置を備える。更に、機器700は、光学装置、制御装置、処理装置、表示装置、記憶装置、及び光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置の少なくともいずれかを備える。機械装置は、光電変換装置の信号を受けて動作する可動部(たとえばロボットアーム)である。
【0136】
それぞれの画素が、複数の光電変換部(第1の光電変換部と、第2の光電変換部)を含んでもよい。信号処理部708は、第1の光電変換部で生じた電荷に基づく画素信号と、第2の光電変換部で生じた電荷に基づく画素信号とを処理し、撮像装置701から被写体までの距離情報を取得するように構成されてもよい。
【0137】
[第8実施形態]
図20(a)、図20(b)は、本実施形態における車載カメラに関する機器のブロック図である。機器800は、上述した実施形態の撮像装置805(光電変換装置の一例)と、撮像装置805からの信号を処理する信号処理装置(処理装置)を有する。機器800は、撮像装置805により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部801と、機器800より取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差算出部802を有する。また、機器800は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離計測部803と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部804とを有する。ここで、視差算出部802、距離計測部803は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部804はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0138】
機器800は車両情報取得装置810と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、機器800には、衝突判定部804での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU820が接続されている。また、機器800は、衝突判定部804での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置830とも接続されている。例えば、衝突判定部804の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU820はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置830は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステム等の画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。機器800は上述のように車両を制御する動作の制御を行う制御手段として機能する。
【0139】
本実施形態では車両の周囲、例えば前方又は後方を機器800で撮像する。図20(b)は、車両前方(撮像範囲850)を撮像する場合の機器を示している。撮像制御手段としての車両情報取得装置810が、撮像動作を行うように機器800又は撮像装置805に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0140】
上述では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御等にも適用可能である。更に、機器は、自動車等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機、人工衛星、産業用ロボット及び民生用ロボット等の移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)、監視システム等、広く物体認識又は生体認識を利用する機器に適用することができる。
【0141】
[変形実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0142】
上述の実施形態においては、画素アレイ2とアナログ周辺回路7は同一の半導体基板に配されていることを前提としているがこれは必須ではなく、別の基板に配されていてもよい。この場合、光電変換装置1は、画素アレイ2が配された半導体基板(第1基板)とアナログ周辺回路7が配された半導体基板(第2基板)とが積層された積層型の装置であり得る。読み出し用の回路部分を別の基板に配することにより、画素アレイ2の光電変換部の面積を多く確保することができる。なお、この積層型の場合には、シフトレジスタ6とアナログ周辺回路7は同一の基板に配されていることが望ましい。アナログ周辺回路7はデジタル回路部分を元より含んでいることが多く、デジタル回路であるシフトレジスタ6を形成することによる製造工程の増加が少ないため、全体の製造コストを低減することができる。
【0143】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0144】
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0145】
1 光電変換装置
2 画素アレイ
5 スイッチ群
6 シフトレジスタ
7 アナログ周辺回路
PVL0、PVL1、… 画素列信号線
RVL0、RVL1、… 周辺回路列信号線
SW0、SW1、… スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図18
図19
図20